令和5(ネ)570 国家賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和7年3月7日 名古屋高等裁判所 棄却 名古屋地方裁判所 平成31(ワ)597
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判決文本文35,565 文字)

令和7年3月7日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和5年(ネ)第570号国家賠償請求控訴事件(原審・名古屋地方裁判所平成31年(ワ)第597号)口頭弁論終結日令和6年12月12日判決 主文 1 本件各控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は、控訴人らに対し、各100万円及びこれに対する平成31年3月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要(以下、略称は、特に断らない限り、原判決の例による。) 1 本件は、戸籍上の性別(以下、特に断らない限り、性別の記載は戸籍上の性別を指す。)が同性の者同士である控訴人らが、同性間の婚姻(以下「同性婚」ともいう。)を認めていない民法及び戸籍法の規定は、憲法24条及び14条1項に違反するにもかかわらず、被控訴人が必要な立法措置を講じていないため、婚姻をすることができない状態にあると主張して、国家賠償法1条1項に基づき、被控訴人に対し、慰謝料各100万円及びこれに対する訴状送達の日である平成31年3月6日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 原審は、同性婚を認めていない民法及び戸籍法の諸規定は、同性カップルに対して、その関係を国の制度によって公証し、その関係を保護するのにふさわしい効果を付与するための枠組み(以下「本件枠組み」という。)すら与えていないという限度で、憲法24条2項及び14条1項に違反するが、上記諸規定 が憲法24条2項及び14条1項に違反するものであることが明白であるにもか (以下「本件枠組み」という。)すら与えていないという限度で、憲法24条2項及び14条1項に違反するが、上記諸規定 が憲法24条2項及び14条1項に違反するものであることが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠っていたと評価することはできないから、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではないとして、控訴人らの請求をいずれも棄却したところ、控訴人らが控訴した。 2 前提事実⑴ 前提事実は、次の⑵のとおり原判決を補正するほかは、原判決の「事実及び理由」の第2の2に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑵ 原判決の補正ア原判決2頁25行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 控訴人らは、▲▲▲年頃、里親制度(児童福祉法27条1項3号に基づき、児童相談所が要保護児童の養育を委託する制度)における養育里親になるための研修を受け、里親登録をしていたところ、▲▲▲年▲月、児童相談所から里親委託を受け、それ以降、里子を養育し、今後も里子が成年に達するまで養育する意向を持っている(甲A666、甲B10~13)。 また、控訴人らは、令和6年3月、名古屋家庭裁判所が氏の変更を許可する審判をしたことによって戸籍上の氏が同一になっている(甲B13)。」イ原判決3頁23行目から4頁1行目までを次のとおり改める。 「 民法及び戸籍法の諸規定(以下「本件諸規定」という。)は、同性婚を明文で禁止していないが、婚姻の当事者について「夫婦」、「夫」、「妻」という文言を用いており、通常「夫」が男性を、「妻」が女性を意味するものと用いられることから、本件諸規定は、婚姻を男女間のものとして規定しており、同性婚を認めていないと解される。」 3 争点及びこれについての当事者の主張 夫」が男性を、「妻」が女性を意味するものと用いられることから、本件諸規定は、婚姻を男女間のものとして規定しており、同性婚を認めていないと解される。」 3 争点及びこれについての当事者の主張争点及びこれについての当事者の主張は、原判決57頁18行目の「登録パートナーシップ制度」を「パートナーシップ制度」に改め、後記4のとおり当 審における控訴人らの補充主張を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」の第2の4に記載のとおりであるから、これを引用する。 4 当審における控訴人らの補充主張⑴ 本件諸規定が同性婚を認めていないことの違憲性同性婚を認めていない本件諸規定は、憲法24条、14条1項に違反するものであるが、同性婚を法律婚制度から排除するという状態は、原判決が説示するとおり、同性カップルに対して、その関係を国の制度によって公証し、その関係を保護するのにふさわしい効果を付与するための枠組み(本件枠組み)の不存在を包摂するものである。 しかしながら、原判決が本件枠組みすら与えていないという限度で憲法24条2項、14条1項に違反すると判断したことは、本件枠組みの具体化として法律婚制度ではない別制度の新設があり得ることを意味するものであるが、法律婚制度とは異なる制度の新設によって、原判決が指摘した違憲性を解消することはできない。 すなわち、同性カップルに法律婚制度とは異なる制度を新設するという立法政策は、法的効果の差異を必然的にはらみ、諸外国で法律婚制度とは異なる制度を設けたことによって、かえって差別意識・スティグマの強化・固定化がされ、オーストリアの憲法裁判所が2017年(平成29年)12月4日に異性間関係と同性間関係とを婚姻と登録パートナーシップという2つの法制度によって区別することは、性的指向等の個人の属性 ・固定化がされ、オーストリアの憲法裁判所が2017年(平成29年)12月4日に異性間関係と同性間関係とを婚姻と登録パートナーシップという2つの法制度によって区別することは、性的指向等の個人の属性を理由とする差別を禁止する平等原則に違反するという判断をしたほか、異なる制度を採用していた諸外国でも同様の判決が相次ぎ、法律婚制度と異なる制度を採用した国が続々と法律婚制度へ移行しており、2023年(令和5年)2月の国連人権理事会における普遍的定期的審査(UPR)では、アメリカ、メキシコ、カナダ、デンマーク、アイスランドの5か国が、我が国に同性間の法律婚制度の導入(以下「同性婚の法制化」ともいう。)を勧告しているように国際社 会から見ても、我が国に過渡的な法律婚制度とは別の制度の必要はなく、同性婚の法制化が必要と判断されている。婚姻の本質である両当事者が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むという関係を公証し、保護するという法律婚制度の目的に照らしても、同性カップルに法律婚制度とは異なる制度を設ける正当な根拠はなく、かえって異なる制度を設けると、その制度を利用することによって性的指向等の強制的な暴露につながる危険性があるだけでなく、異なる制度を設けるために膨大な立法作業が必要になるなどの弊害が生じる。さらに、婚姻を男女間の人的結合関係と捉える家族観と同性愛者等に対する過酷な差別の歴史・実態は表裏一体であるところ、同性婚の法制化をしても、上記のような家族観を持つ者の利益を損なうものではないから、上記のような家族観を持つ者の存在を重視して同性カップルに法律婚制度とは異なる制度を設けることは不当である。 また、同性カップルも、子を産み育てており、地方公共団体によるファミリーシップ制度や企業の取組等が進 族観を持つ者の存在を重視して同性カップルに法律婚制度とは異なる制度を設けることは不当である。 また、同性カップルも、子を産み育てており、地方公共団体によるファミリーシップ制度や企業の取組等が進んではいるものの、同性カップルが法律婚制度を利用することができないため、同性カップルのうちの実親以外の者とその子との間に法律上の親子関係を生じさせることが困難である点で限界があり、子の親との交流の機会を狭めるとともに、子の緊急時の安全保障という観点からも重大な脅威であり、子の福祉に反し、その人格的生存に対する重大な脅威、障害が生じている。なお、代理懐胎は日本では認められていないが、これは異性カップルにおいても懐胎出産ができない場合に代理懐胎を認めるか否かが議論されてきたものであり、同性婚の法制化によって代理懐胎を認めるか否かの結論が左右されるものではない。 さらに、国際人権法上、性自認及び性的指向に基づく差別は許されず、性自認及び性的指向に基づく差別の解消は国家に課せられた義務であるとの解釈は、揺るぎないものとして確立しており、同性婚の法制化も揺るぎない世 界的潮流であり、自由権規約委員会は、2022年(令和4年)11月、我が国に対し、自由権規約2条及び26条に基づき、同性カップルに法律婚へのアクセスを認めるための措置を講じるよう勧告を行い、国連人権理事会における普遍的定期的審査(UPR)では、2023年(令和5年)2月、我が国に対し、複数の国が性自認及び性的指向に基づく差別を禁止する包括的な差別禁止法令の制定等を勧告し、アメリカ、メキシコ、カナダ、デンマーク、アイスランドの5か国が同性婚の法制化を勧告し、アルゼンチン、オーストリア、アイルランド、ニュージーランドの4か国が同性カップルに法律婚又は婚姻類似の制度の導入を勧告している 、カナダ、デンマーク、アイスランドの5か国が同性婚の法制化を勧告し、アルゼンチン、オーストリア、アイルランド、ニュージーランドの4か国が同性カップルに法律婚又は婚姻類似の制度の導入を勧告している。また、自由権規約17条の「家族」には同性カップルも含まれ、締約国が同性カップルが家族を形成する法制度を含めた立法的措置を講じる義務を負うという解釈が国際人権法上確立している。我が国は、自由権規約の締約国として自由権規約2条、17条及び26条の義務の履行として、速やかに同性婚の法制化を行わなければならず、裁判所は、自由権規約の履行を確保する国家機関及び憲法98条2項に基づき、自由権規約を含む国際人権条約に適合するように憲法を解釈しなければならない。 同性カップルにおいて、その関係性を国の制度により公証され、保護されることは、個人の尊厳に基づく重要な人格的利益であることからすれば、同性カップルを法律婚制度から排除している本件諸規定が憲法24条、14条1項に適合しているか否かについては、個人の尊厳の要請に照らして厳格に審査しなければならないところ、同性カップルが法律婚制度から排除されている不利益は、契約や遺言等の民法上の制度や地方公共団体のパートナーシップ制度、民間事業者の取組が拡大しつつある現状をもってしても、解消・軽減しているとはいえず、その不利益の解消のためには個別の制度や取組ではなく、包括的な制度の導入が必要であるところ、同性カップルを法律婚制度から排除したまま別制度を新設した場合、個人の尊厳に反する重大な不利 益が生じる上、あえて別制度を新設すべき理由がないことからすれば、本件枠組みすら与えていないという限度にとどまらず、同性カップルを法律婚制度から排除している本件諸規定は、憲法24条、14条1項に違反しているといえる。 制度を新設すべき理由がないことからすれば、本件枠組みすら与えていないという限度にとどまらず、同性カップルを法律婚制度から排除している本件諸規定は、憲法24条、14条1項に違反しているといえる。 ⑵ 本件諸規定の改廃を怠る立法不作為が国家賠償法上違法であること2006年(平成18年)11月採択のジョグジャカルタ原則において、性的指向及び性自認にかかわらず、家族を形成する権利を有することがうたわれ、2008年(平成20年)に自由権規約委員会や国連人権理事会における普遍的定期的審査(UPR)の下で性的少数者の人権問題に関する具体的な勧告がされたことからすれば、立法府には、平成20年には本件枠組みの不存在が同性カップルの人権を侵害し違憲であることが明白となっており、その後間もなく、諸外国が相次いで同性婚の法制化をしたことによって、同性カップルが法律婚制度を利用できないことの違憲性も明白となった。仮に違憲性が明白となった時期が比較的最近であったとしても、単純な経過年数のみをもって立法不作為に国家賠償法上の違法性がないと判断すべきではない。立法不作為によって生じる損害の重大性や、令和元年6月には野党から具体的な民法改正案が提出され、立法措置の内容について具体的に検討を進めることが容易になっていたにもかかわらず、国会議員や与党議員らが有する性的少数者に対する不当な偏見・蔑視を背景に改正に至らなかったこと、同性婚の法制化に当たり婚姻を男女の人的結合関係と捉える家族観を持つ者や反対派の存在を考慮することは性的少数者への偏見・蔑視を考慮要素とするに等しいことなどからすれば、本件諸規定の改廃を怠る立法不作為は、国家賠償法上違法である。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も、控訴人らの請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は、次のとお しいことなどからすれば、本件諸規定の改廃を怠る立法不作為は、国家賠償法上違法である。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も、控訴人らの請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は、次のとおりである。 2 認定事実⑴ 認定事実は、次の⑵のとおり原判決を補正するほかは、原判決の「事実及び理由」の第3の1に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑵ 原判決の補正ア原判決11頁2行目の「性的志向」を「性的指向」に、3行目の「勧告を行った」を「勧告を行い、2022年(令和4年)11月、自由権規約2条、26条に基づき、性的指向及び性自認に基づく差別を明確に禁止する法律が存在しないことを懸念し、LGBTの人々が、特に公営住宅、戸籍上の性別の変更、法律婚へのアクセス及び矯正施設における処遇において差別的な扱いに直面しているとの報告に懸念を表明し、前回の勧告に沿い、同性カップルが公営住宅へのアクセス及び同性婚を含む自由権規約に定められた全ての権利を享受することができるよう勧告を行った」に、それぞれ改め、4行目の「192」の次に「、529」を加える。 イ原判決11頁14行目の「認知」を「認定」に、25行目の「勧告を行った」を「勧告し、2023年(令和5年)2月の第4回審査において、複数の国が、我が国に対し、性自認及び性的指向に基づく差別を禁止する包括的な差別禁止法令の制定等を勧告し、アメリカ、メキシコ、カナダ、デンマーク、アイスランドの5か国が同性婚の法制化を勧告し、アルゼンチン、オーストリア、アイルランド、ニュージーランドの4か国が同性カップルに法律婚又は婚姻類似の制度の導入を勧告した」に、それぞれ改め、26行目の「198」の次に「、530」を加える。 ウ原判決13頁25行目末尾に行を改めて次のとお ランドの4か国が同性カップルに法律婚又は婚姻類似の制度の導入を勧告した」に、それぞれ改め、26行目の「198」の次に「、530」を加える。 ウ原判決13頁25行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「(ウ) 登録パートナーシップ制度に対する評価等米州人権裁判所は、2017年(平成29年)11月24日、コスタリカの諮問を受けて提出した勧告的意見において、米州人権条約17条2項について、文字どおりに解釈すれば、結婚可能な年齢の男女が結婚 し、家族を養う権利を認めていることは事実であるが、この文言は、結婚をどのように理解すべきか、家族をどのように基礎付けるべきかという制限的定義を提示するものではなく、男女の婚姻が米州人権条約によって保護される唯一の家族の形態であることを必ずしも意味しないとした上で、同性カップルを保護する法制度の構築にはある程度の裁量の余地が国家に認められるとしても、婚姻とは別の制度を設けることは、個人の性的指向に基づく差別を生み出すことになり、あくまで過渡的に必要な限度において正当化され得るにすぎず、国は、同性カップルに対して、異性カップルとの間で差別のない平等で同等の権利を確保する義務を負っている旨判断し、補正後の後記ウ(ア)のとおり、コスタリカは、2020年(令和2年)に同性婚の法制化をした(甲A525、634)。 また、オーストリアの憲法裁判所は、2017年(平成29年)12月4日、結婚と登録パートナーシップを分けて考えることは、異性間関係と同性間関係が、その性質や本人にとっての意義において同等であるにもかかわらず、同性への性的指向を持つ人が異性への性的指向を持つ人と同等でないことを依然として示唆するものであり、同性への性的指向を有する者は、性的指向が重要ではない場面又は重 において同等であるにもかかわらず、同性への性的指向を持つ人が異性への性的指向を持つ人と同等でないことを依然として示唆するものであり、同性への性的指向を有する者は、性的指向が重要ではない場面又は重要であってはならない場面においても、自らの性的指向を明らかにせざるを得なくなり、差別を受けるおそれがあるから、異性間関係と同性間関係とを2つの制度によって区別することは、性的指向等の個人の属性を理由とする差別を禁止する平等原則に違反する旨判断し、補正後の後記ウ(ア)のとおり、オーストリアは、2019年(平成31年又は令和元年)に同性婚の法制化をした(甲A98・77頁、523)。」エ原判決15頁19行目の「ルクセンブルグ」の次に「、メキシコ」を、23行目の「コスタリカが、」の次に「2022年(令和4年)にはチリ、スイス、スロヴェニア、キューバが、2023年(令和5年)にはアンド ラ、ネパールが、2024年(令和6年)には、エストニア、ギリシャ、タイ、リヒテンシュタインが」を、25行目の「251」の次に「、634、809、860、891、947、958」を、それぞれ加える。 オ原判決16頁11行目の「フランスでは同性カップルに対し」の次に「(その後、生命倫理法の改正によって、女性同士のカップルや女性単独で、生殖補助医療の手段を用いて子を持つことを認めている。)」を、18行目の「141」の次に「、804・789頁」を、それぞれ加える。 カ原判決16頁18行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「エ難民認定による保護令和5年9月、カナダにおいて、日本人女性同士のカップルについて、日本には同性婚の法整備がなく、LGBTの迫害につながる差別が日本全体にあり、女性や性的少数者の人権が十分に守られて 令和5年9月、カナダにおいて、日本人女性同士のカップルについて、日本には同性婚の法整備がなく、LGBTの迫害につながる差別が日本全体にあり、女性や性的少数者の人権が十分に守られていないことなどを理由として、難民認定がされた(甲A959)。」キ原判決17頁1行目の「行われている」を「行われており、令和5年6月には、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に寛容な社会の実現に資することを目的として、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(令和5年法律第68号。以下「理解増進法」という。)が制定された」に改める。 ク原判決17頁10行目の「行われた」を「行われ、最高裁判所は、令和5年10月25日、同法3条1項4号(生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること)の規定が憲法13条に違反し、無効である旨判断した(最高裁令和2年(ク)第993号同5年10月25日大法廷決定・民集77巻7 号1792頁参照)」に改める。 ケ原判決17頁19行目の「DV防止法」を「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(以下「DV防止法」という。)」に改め、26行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「(エ) 厚生労働省は、令和元年10月1日、「里親希望者が単身、共働き、LGBT等である場合の取扱いについて」と題する通知を発し、里親制度において、①里親登録又は認定を希望する者が単身、共働き、LGBT等であるか否かにかかわらず、里親の種類に応じた要件に沿って登録又は認定の可否を判断することを徹底すること、②里親家庭として選定する場合に、単身、共働き、LGBT等であるか否かにかかわらず、ガイドラインで示した考え方に沿った選定をすることを徹 要件に沿って登録又は認定の可否を判断することを徹底すること、②里親家庭として選定する場合に、単身、共働き、LGBT等であるか否かにかかわらず、ガイドラインで示した考え方に沿った選定をすることを徹底すべきであることを周知し、里親認定の基準として同性カップルを除外しない運用が進んでいる(甲A534の2、653、666~673)。」コ原判決18頁6行目の「提出した」を「提出したが、その後の衆議院の解散で廃案となり、立憲民主党と社民党の議員らは、令和5年3月6日、同性婚を法制化する民法改正案を衆議院に提出し、日本共産党の議員らは、同月29日、同性婚の法制化を柱とした婚姻平等法案を参議院に提出した」に改め、同行目の「509」の次に「、620、621」を加える。 サ原判決18頁15行目冒頭から22行目の「ものもある。」までを次のとおり改める。 「 複数の地方公共団体において、性的指向の尊重又は差別の禁止を掲げる条例等が制定され、平成27年には、東京都渋谷区において、同性カップルが社会生活上のパートナーであることを地方公共団体が公的に認定するというパートナーシップ制度(ただし、名称は地方公共団体によって様々であり、手続や効果等も地方公共団体によって異なる。)が創設された。その後、パートナーシップ制度は、他の地方公共団体にも導入され、導入している地方公共団体が、令和4年1月時点で147、令和6年2月1日時点で391となり、導入している地方公共団体の人口の我が国の人口に占める割合が、令和6年2月1日時点で約80%、同年6月28日時点で約85%に及んでおり、その後も導入する地方公共団体が増加している。パ ートナーシップ制度の効果は、原則として当該地方公共団体の区域内に限られるが、中には、地方公共団体間で相互に協定を取り交わすこと 及んでおり、その後も導入する地方公共団体が増加している。パ ートナーシップ制度の効果は、原則として当該地方公共団体の区域内に限られるが、中には、地方公共団体間で相互に協定を取り交わすことにより、当該地方公共団体間で住所を異動してもパートナーシップ制度の利用を可能とする取組を行うものもある。」シ原判決18頁23行目の「477」の次に「、635、638、639、675~759、818、819、821~828、830~837、842~859、862~867、877~880、892~946、954、955、972、977、982の1、983、997」を加える。 ス原判決18頁26行目の「鳥取県」の次に「、千葉市、三重県」を加え、19頁4行目の「明らかにした」を「明らかにし、令和5年5月以降、東京都16区で、職員の同性パートナーを配偶者として扱う条例改正が進められており、また、住民票において同性パートナーを「夫(未届)」、「妻(未届)」と記載する地方公共団体も出てきている」に改め、同行目から5行目にかけての「358」の次に「、534、961、962、965、966、973、982の2」を加える。 セ原判決19頁5行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 また、同性カップルが共同して子を養育している場合が一定数存在し(甲A453、454、657、660~664)、同性カップルが養育している子についても家族として公的に認めるというファミリーシップ制度(ただし、名称は地方公共団体によって様々であり、手続や効果等も地方公共団体によって異なる。)を導入している地方公共団体が令和6年1月4日時点で68となり、その後も導入する地方公共団体が増加している(甲A399、674~759、849、863~865、877~880、 団体によって異なる。)を導入している地方公共団体が令和6年1月4日時点で68となり、その後も導入する地方公共団体が増加している(甲A399、674~759、849、863~865、877~880、901~905、907、908、912~919、926、927、931、932、939、942、955、983)。」ソ原判決19頁15行目の「提出した」を「提出し、他の市議会や県知事 も同様の意見書を国に提出している」に、それぞれ改め、同行目の「360」の次に「、536、542、543、548、561、568、570、648、890、957、967、981」を加える。 タ原判決20頁3行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 そして、同性婚の法制化に賛同する民間企業・団体が、令和5年7月時点では400社程度であったが、令和6年7月時点で500社を超えた(甲A974)。 また、複数の企業が、配偶者がいるときに適用する福利厚生制度を同性のパートナーがいる従業員にも拡充するという取組をしており、複数の生命保険会社、損害保険会社が同性パートナーを死亡保険金の受取人や補償の対象者とし、複数の携帯電話会社が同性パートナーを家族割引の対象とし、令和5年1月から住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」において、同性パートナーを連帯債務者や収入合算者、融資物件共有者として追加できる対応が始まり、複数の銀行(地方銀行では40行(約64.5%))が同性カップルに対応した住宅ローンを提供しているものの、都道府県間の地域格差があることや、金融機関が利用者の性的指向に関する情報を入手することになるため、未だ差別や偏見の根強い日本では、性的指向を自らの意思に反して他人に暴露するというア ているものの、都道府県間の地域格差があることや、金融機関が利用者の性的指向に関する情報を入手することになるため、未だ差別や偏見の根強い日本では、性的指向を自らの意思に反して他人に暴露するというアウティングの問題や当該個人情報の管理といった問題があると指摘され、同性カップルが法律婚制度を利用できないことによって、家族関係を前提とした金融商品に対するアクセスに不平等が生じているとの指摘もされている(甲A533の1~533の27、640、760~770)。」チ原判決20頁6行目から7行目にかけての「令和元年」を「平成31年」に、10行目から11行目にかけての「提言を行った」を「提言を行い、令和5年2月16日、性的少数者に対する差別発言に抗議し、速やかに同 性婚の法制化を求める会長声明を発表し、同年6月30日、当事者の性別に関わりなく婚姻を可能とする立法を改めて求める会長声明を発表し、令和6年4月10日、札幌高等裁判所が同年3月14日に民法及び戸籍法の婚姻に関する諸規定が憲法14条1項、24条に違反すると判断したことを受けて、速やかに同性婚の法制化を求める声明を発表した」に、それぞれ改め、13行目の「393」の次に「、537~541、544~547、549~560、563~567、569、571、643~647、885、886、889、948、949、952、964、976、980」を加える。 ツ原判決20頁26行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「(オ) 司法書士会複数の司法書士会が、同性婚の法制化を求める声明を発表している(甲A642、820)。」テ原判決21頁17行目の「87.9%であった」を「87.9%であり、令和3年に行った調査では、同性婚の法制化について賛成が31% 婚の法制化を求める声明を発表している(甲A642、820)。」テ原判決21頁17行目の「87.9%であった」を「87.9%であり、令和3年に行った調査では、同性婚の法制化について賛成が31%、どちらかといえば賛成が51.2%であった」に改め、22行目の「36. 6%であった」を「36.6%であり、令和5年4月に行った世論調査では、同性同士の結婚について、「法的に認められるべきだと思う」が44%、「法的に認められるべきではないと思う」が15%、「どちらともいえない」が37%であり、国立社会保障・人口問題研究所が令和3年6月に実施した調査では、男性同士、女性同士の結婚があっても構わないと回答した割合が83.5%であり、毎日新聞社が社会調査研究センターの協力を得て令和3年11月から令和4年1月にかけて実施した世論調査では、同性婚を法的に認めるべきだと思うかとの問いに対して「認めるべき」が46%、「認める必要はない」が16%、「どちらともいえない」が37%であり、共同通信が令和5年3月から同年4月にかけて実施した世論調査では同性 婚を認める方がよいが71%、認めない方がよいが26%であり、JNNが令和5年に行った世論調査では、同性婚を法的に認めることについて賛成が63%、反対が24%であり、法政大学のA助教、国立社会保障・人口問題研究所のB室長らによる「性的指向と性自認の人口学の構築-全国無作為抽出調査の実施」研究チームが令和5年2月から同年3月にかけて実施した調査では、同性同士が法的に結婚できる制度について賛成が53. 4%、やや賛成が29.8%、やや反対が9.5%、反対が6.1%であった」に、それぞれ改め、23行目の「479」の次に「、572~578、636、637」を加える。 ト原判決24頁19行目末尾に行を改めて次 成が29.8%、やや反対が9.5%、反対が6.1%であった」に、それぞれ改め、23行目の「479」の次に「、572~578、636、637」を加える。 ト原判決24頁19行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 上記研究所が令和3年に実施した意識調査によれば、未婚者のうち、いずれ結婚するつもりであると回答した者は、男性が81.4%(前回は85.7%)、女性が84.3%(前回は89.3%)、生涯独身で過ごすということは望ましい生き方ではないとの考えについて、賛成は男性が51. 1%(前回は64.7%)、女性が39.3%(前回は58.2%)、結婚したら、子供を持つべきだと回答したのが、男性が55%(前回は75. 4%)、女性が36.6%(前回は67.4%)であった(甲A573)。」ナ原判決25頁3行目の「大正8年」を「大正9年」に改める。 3 本件諸規定が憲法24条及び14条1項に違反するかについて(争点1)⑴ 性的指向、すなわち恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向(理解増進法2条)は、生来備わるものであって、自らの意思で選択や変更をすることができないものである(補正後の認定事実⑴ア)。 そして、婚姻の本質は、両当事者が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として、真摯な意思をもって共同生活を営むことにあり、このような人的結合関係を形成することは、法律婚制度ができる以前から人間の本質的営みとして、自生的に発生したことは歴史上明らかであるから、個人の人格的存在 と結び付いた重要な法的利益といえる。また、後記⑵アのとおり、憲法24条2項が婚姻及び家族に関する事項の内容の詳細については法律によって具体化することを予定していると解されることを踏まえても、人間が社会的存在であり、その人格的生存に社会的承認が不可欠 おり、憲法24条2項が婚姻及び家族に関する事項の内容の詳細については法律によって具体化することを予定していると解されることを踏まえても、人間が社会的存在であり、その人格的生存に社会的承認が不可欠であることからすれば、上記のような人的結合関係が正当な関係として社会的に承認されるということ自体については、婚姻及び家族に関する具体的な法制度を離れた個人の人格的存在と結び付いた重要な法的利益というべきである。 ⑵ 本件諸規定の憲法適合性についてア憲法14条1項は、法の下の平等を定めており、この規定は、事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づくものでない限り、法的な差別的取扱いを禁止する趣旨のものであると解すべきである(最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法廷判決・民集18巻4号676頁、最高裁昭和45年(あ)第1310号同48年4月4日大法廷判決・刑集27巻3号265頁等)。 民法739条1項は、「婚姻は、戸籍法(中略)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。」と定め、いわゆる事実婚主義を排して法律婚主義を採用しているところ、本件諸規定は、同性婚を認める規定を全く設けていないから、異性愛者(性的指向が異性に向く者)は法律婚制度を利用することができるのに対し、同性愛者(性的指向が同性に向く者)は法律婚制度を利用することができないという性的指向を理由として法律婚制度を利用することができるか否かという区別を生じさせている。このような区別が事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づくものと認められない場合は、当該区別は、憲法14条1項に違反するものと解するのが相当である。なお、被控訴人は、本件諸規定は、性的指向それ自体に着目した区別を設けるためのものではなく、性的指向について中立的な規定であり、控訴人らが 別は、憲法14条1項に違反するものと解するのが相当である。なお、被控訴人は、本件諸規定は、性的指向それ自体に着目した区別を設けるためのものではなく、性的指向について中立的な規定であり、控訴人らが主張する法的な取扱いの差異は、本件諸規定の適用 の結果生じる事実上又は間接的な効果にすぎない旨主張する。この点、本件諸規定は、異性愛者であっても同性愛者であっても異性と婚姻することができるという意味で法的な取扱いを異にしていないが、婚姻の本質は、両当事者が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことにあり、性的指向が向き合う者同士の婚姻をもって初めて本質を伴った婚姻といえるところ、性的指向が向かない相手との婚姻が認められるといっても、それは婚姻が認められないのと同義であって(異性愛者に同性との婚姻のみを認めるとしても意味がないのと同じことである。)、同性愛者にとって同性との婚姻が認められていないということは、性的指向により法的取扱いを異にしていることにほかならないから、被控訴人の上記主張を採用することはできない。 ところで、憲法24条は、1項において「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」と規定しているところ、これは、婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかについては、当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたものと解される(最高裁平成25年(オ)第1079号同27年12月16日大法廷判決・民集69巻8号2427頁(以下「再婚禁止期間大法廷判決」という。)、最高裁平成26年(オ)第1023号同27年12月16日大法廷判決・民集69巻8号2586頁(以下「夫婦同氏制大法廷判 法廷判決・民集69巻8号2427頁(以下「再婚禁止期間大法廷判決」という。)、最高裁平成26年(オ)第1023号同27年12月16日大法廷判決・民集69巻8号2586頁(以下「夫婦同氏制大法廷判決」という。)参照)。 そして、憲法24条は、2項において「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」と規定している。婚姻及び家族に関する事項は、国の伝統や国民感情を含めた社会状況における種々の要因を踏まえつつ、それぞれの時代 における夫婦や親子関係についての全体の規律を見据えた総合的な判断を行うことによって定められるべきものであるから、その内容の詳細については、憲法が一義的に定めるのではなく、法律によってこれを具体化することがふさわしいものと考えられるところ、憲法24条2項は、このような観点から、婚姻及び家族に関する事項について、具体的な制度の構築を第一次的には国会の合理的な立法裁量に委ねるとともに、その立法に当たっては、同条1項も前提としつつ、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきであるとする要請、指針を示すことによって、その裁量の限界を画したものといえる。 このように婚姻及び家族に関わる法制度をどのように定めるかは、立法府の合理的な裁量判断に委ねられているものというべきであるが、不合理な差別を定めて憲法14条1項に違反する立法措置を講じてはならないことは当然である(夫婦同氏制大法廷判決参照)。被控訴人は、本件は、現行の婚姻制度に加えて同性婚を認める法制度を創設しないこと(立法不作為)の憲法適合性の問題である旨主張するが、本件で問われているのは、本件諸規定が自らの意思で選択や変更する余 被控訴人は、本件は、現行の婚姻制度に加えて同性婚を認める法制度を創設しないこと(立法不作為)の憲法適合性の問題である旨主張するが、本件で問われているのは、本件諸規定が自らの意思で選択や変更する余地のない性的指向を理由として法律婚制度を利用することができるか否かについて区別をしていることが、合理的な根拠に基づかない法的な差別的取扱いに当たるか否かということであり、立法府に与えられた上記のような裁量権を考慮しても、そのような区別をすることに合理的な根拠が認められない場合には、当該区別は、憲法14条1項に違反するものと解するのが相当であるから、被控訴人の上記主張を採用することはできない。 また、被控訴人は、憲法24条は、婚姻が異性間の人的結合関係のみを対象としており、同性間の人的結合関係を対象とすることを想定していない以上、異性間の人的結合関係についてのみ法律婚が制度化され、同性間の人的結合関係について法律婚が制度化されないという差異が生じること は当然の帰結にすぎず、このような差異が生じることは、憲法自体が予定し、許容するものであるから、そもそも憲法14条1項の適合性が問題となる余地はない旨主張する。しかしながら、婚姻及び家族に関わる法制度をどのように定めるかは、立法府の合理的な裁量判断に委ねられているものというべきであるが、不合理な差別を定めて憲法14条1項に違反する立法措置を講じてはならないことは当然である。この点、補正後の認定事実⑵ないし⑷によれば、憲法24条1項が「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し」、「夫婦が同等の権利を有する」と規定し、同条2項が「両性の本質的平等」と規定し、これらの文言が婚姻について異性間の人的結合関係を念頭に置いた文言となっているのは、憲法制定当時、我が国だけでなく諸外国においても、婚 利を有する」と規定し、同条2項が「両性の本質的平等」と規定し、これらの文言が婚姻について異性間の人的結合関係を念頭に置いた文言となっているのは、憲法制定当時、我が国だけでなく諸外国においても、婚姻とは男女の人的結合関係をいうものと認識されていたためであり、憲法24条の制定において、明治民法における家制度を改め、婚姻に戸主や親の同意を要件としていたのを排して両当事者の合意のみで婚姻を成立させるなど、個人の尊厳と法の下の平等という人権の基本原則を婚姻制度において具体化させることに主眼があったものであって、同性婚を排除する目的があったことをうかがわせるようなものはない(認定事実⑵ウ)。その後、我が国や諸外国において、婚姻や家族の形態、婚姻や家族の在り方に対する意識、性的指向や同性カップルに対する意識が大きく変化したことに鑑みると、憲法24条1項は、婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかについては、当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたものと解するのが相当であり、同条2項は、婚姻及び家族に関する事項について、具体的な制度の構築を第一次的には国会の合理的な立法裁量に委ねるとともに、その立法に当たって、個人の尊厳と法の下の平等という人権の基本原則に立脚すべきであるとする要請、指針を示して、その裁量の限界を画したものと解するのが相当であり、憲法24条の「両性」、「夫婦」という文言に よって憲法が婚姻を異性間の人的結合関係のみを想定していると解することは相当でない。そのため、憲法24条の「両性」、「夫婦」という文言を理由として、同性カップルが法律婚制度を利用することができないという区別につき、憲法14条1項の適合性が問題になる余地はないと解することはできない。ところで、我が国は、昭和54年に「 」という文言を理由として、同性カップルが法律婚制度を利用することができないという区別につき、憲法14条1項の適合性が問題になる余地はないと解することはできない。ところで、我が国は、昭和54年に「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(昭和54年条約第7号。自由権規約)を批准し、国際連合の関連組織として設置された自由権規約委員会が、自由権規約の履行状況等につき、締約国に対し、意見の表明、勧告等をすることができるものとされているところ、自由権規約23条2項は、「婚姻をすることができる年齢の男女が婚姻をしかつ家族を形成する権利は、認められる。」と婚姻が男女の人的結合関係であることを前提とする文言であるにもかかわらず、自由権規約委員会は、我が国に対して、2022年(令和4年)11月、自由権規約2条、26条に基づき、LGBTの人々が法律婚へのアクセスにおいて差別的な扱いに直面しているとの報告について懸念を表明し、同性カップルが同性婚を含む自由権規約に定められた全ての権利を享受することができるよう勧告している(補正後の認定事実⑶ア(ウ))。これは、自由権規約23条2項において婚姻が男女の人的結合関係であることを前提とする文言であることが、同性カップルが法律婚制度を利用することができないという区別が、差別的取扱いとして自由権規約26条の平等原則違反と解することの妨げにはならないことを示すものといえる(なお、米州人権裁判所の平成29年11月24日の勧告的意見における米州人権条約17条2項の解釈(補正後の認定事実⑷ア(ウ))も同旨と解される。)。確かに、自由権規約委員会の勧告そのものは、厳密な意味での法的拘束力を持つものではないが、自由権規約委員会による自由権規約の解釈は、十分な正統性を有するものと解されていること(甲A777~779、810) 自由権規約委員会の勧告そのものは、厳密な意味での法的拘束力を持つものではないが、自由権規約委員会による自由権規約の解釈は、十分な正統性を有するものと解されていること(甲A777~779、810)からすれば、憲法24条の「両性」や「夫婦」という文言が、同性カップ ルにおいて法律婚制度を利用することができないという区別が憲法14条1項に違反するか否かの判断の制約にはならないと解することは、自由権規約委員会の自由権規約の解釈にも沿うものといえる。 したがって、被控訴人の上記主張を採用することはできない。 イ本件諸規定制定当時、我が国において、婚姻は、男女の生活共同体として、その間に生まれた子の保護・育成を行うという家族の中核を形成するものとして捉えられており、そのような男女の人的結合関係を承認して、これを公証することが法律婚制度と考えられていたこと(認定事実⑵)、民法上、親子関係に関し、夫婦の子についての嫡出の推定(同法772条1項)、親権に関する規定(同法818条)、配偶者のある者の未成年者養子(同法795条)、特別養子における養親の夫婦共同縁組(同法817条の3)など、夫婦において子をもうけ、養育することを念頭に置く規定が存在する一方で生殖不能が婚姻障害事由には掲げられていないこと(同法731条~738条)からすれば、本件諸規定が一人の男性と一人の女性という異性間の人的結合関係について法律婚を定めている立法目的は、生物学的な自然生殖可能性がある男女の人的結合関係に対して法的保護を与えたものと解される。これは、明治以降、一人の男性と一人の女性という異性間の人的結合関係が、今後の社会を支える次世代の子を産み、育みつつ、社会を構成して支える自然的かつ基礎的な集団単位である家族の中心となっているという社会的実態があり、そのよう と一人の女性という異性間の人的結合関係が、今後の社会を支える次世代の子を産み、育みつつ、社会を構成して支える自然的かつ基礎的な集団単位である家族の中心となっているという社会的実態があり、そのような実態に対する社会的承認があったことから、法的保護を与えたものと解するのが相当である。 そして、婚姻を男女の人的結合関係に法的保護を与えるという社会的実態と社会的承認があったことに加えて、法律婚制度を利用することができるか否かについて明確で画一的な基準を設けるため、本件諸規定は、実際の自然生殖可能性の有無にかかわらず、生物学的な自然生殖可能性がある異性間の人的結合関係にのみ法律婚制度を利用できるようにしたものと解 することができる。 明治時代以降、家族は、男女の人的結合関係(婚姻)を中核とし、その間に生まれた子の保護・育成を担うものであると捉えられており、本件諸規定の制定当時も、このような家族観が支配的であったことからすれば、男女の人的結合関係を保護し、これを公証するという法律婚制度を設けるという本件諸規定は、制定当時においては合理性を有したものといえる。 しかしながら、婚姻の本質は、両当事者が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことにあり、どのような人的結合関係について法律婚制度を定めるかということについては、婚姻や家族の形態、婚姻や家族の在り方に対する国民の意識、国内及び諸外国の状況等の種々の事柄を総合的に考慮して決せられるべきものであるところ、これらの事柄は時代と共に変遷するものであるから、本件諸規定の合理性については、個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らして不断に検討され、吟味されなければならない。そして、控訴人らが婚姻届を不適法として不受理とされたのは平成31年2月7日 、本件諸規定の合理性については、個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らして不断に検討され、吟味されなければならない。そして、控訴人らが婚姻届を不適法として不受理とされたのは平成31年2月7日ではあるものの、本件諸規定が同性婚を認める規定を全く設けていないため、控訴人らが法律婚制度を利用することができないという状態は継続しているといえるから、本件諸規定が性的指向によって法律婚制度を利用することができるか否かという区別を生じさせていることが憲法14条1項に違反するか否かについての判断の基礎となる前記事柄の変化等については、現時点までのものも含まれると解するのが相当である。 ウそこで、前記事柄のうち婚姻や家族の形態の変化、婚姻や家族の在り方に対する国民の意識の変化等について検討する。 近年、婚姻、家族の形態が著しく多様化しており、平成30年時点で、全世帯総数のうち独身世帯が占める割合は、昭和61年の18.2%から27.7%にまで上昇し、夫婦のみの世帯が占める割合も、同年の14. 4%から24.1%にまで上昇する一方、夫婦と未婚の子のみの世帯は、同年の41.4%から29.1%にまで減少し(認定事実⑺イ(イ))、令和3年に実施した意識調査では、前回の平成27年に実施した意識調査と比較して、未婚者(18歳ないし34歳)のうち、結婚したら、子供を持つべきだと回答した者が、男性が75.4%であったものが55%に、女性が67.4%であったものが36.6%に低下するなど(補正後の認定事実⑺ア(エ))、男女の人的結合関係を中核としてその間に生まれた子の保護・育成の機能を担うという家族観が、唯一絶対のものというわけではなくなっていることが認められる。 他方、我が国の年間出生総数に占める非嫡出子の割合は、統計上の数値(大正9年から平成 まれた子の保護・育成の機能を担うという家族観が、唯一絶対のものというわけではなくなっていることが認められる。 他方、我が国の年間出生総数に占める非嫡出子の割合は、統計上の数値(大正9年から平成29年)によれば、最大でも8.25%(大正9年)、最小では0.78%(昭和51年)であり、平成29年時点でも2.23%であったこと(補正後の認定事実⑺イ(ア))からすれば、法律婚制度が、我が国において、上記のような家族の中核としての機能を通じ、男女が共同生活を送りながら、子を産み育て、次世代へ承継していく営みにおいて、重要かつ不可欠な役割を果たしてきており、また、近年婚姻や家族の在り方に対する国民の意識の多様化が指摘されつつも、国民の中には、子を産み育てることに婚姻の意義を見いだす者が今なお少なからず存在していることが認められる。 さらに、報道機関等が国民に対して行ったいくつかの意識調査結果によれば、平成30年以降、同性婚の法制化についての賛成派が反対派を大きく上回る結果が報告されるようになり、その中には賛成派が80%を超えるという結果や、20ないし50代の比較的若い層を対象としたものでは、賛成派が、男性の約7割、女性の約9割を占める結果も存在しているものの、依然として反対派も二、三割程度を占めており(補正後の認定事実⑹ア(イ))、なお、一定数の国民が反対の意見を有している。そして、この割 合は、過去において医学心理学の専門家の知見として同性愛が精神病的なものとされていた時期が相当期間あり(認定事実⑴イ(ア)、同ウ(ア))、その後、これが改められ、性的指向は、障害ではなく、自らの意思で選択や変更することができないという知見が確立した後も(認定事実⑴イ(イ)、同ウ(イ))、なお国民の間でそのような認識が一定程度残り、上記意見形成に が改められ、性的指向は、障害ではなく、自らの意思で選択や変更することができないという知見が確立した後も(認定事実⑴イ(イ)、同ウ(イ))、なお国民の間でそのような認識が一定程度残り、上記意見形成に影響を及ぼしている可能性はあるものの、それのみではなく、婚姻の重要な要素として、男女が共同生活を送りながら、子を産み育て、次世代へ承継していく営みがあると理解する家族観に根差した結果が反映されているとも考えられる。 しかし、婚姻の本質は、単に生殖と子の保護・育成のみにあるわけではなく、両当事者が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことであるところ、このような永続性をもった生活共同体を形成することは、同性カップルにおいても成し得るものであり、現に、控訴人らは、婚姻関係にある夫婦と何ら異なるところのない共同生活を営み(甲B4、5、10、12、13、控訴人ら各本人)、他にも婚姻関係にある夫婦と異なるところのない共同生活を営んでいる同性カップルが相当数存在する(補正後の認定事実⑸ウ(イ)、甲A449~454)。また、婚姻した夫婦間における子の養育は、夫婦間の自然生殖によってもうけた子のみを対象として行われるのではなく、一方のみと血縁関係のある子のほか、血縁関係のない養子や里親の委託を受けた児童を対象としても行われており、控訴人らを含めて共同して子を養育している同性カップルが相当数存在していること(補正後の認定事実⑸ウ(イ)、甲A453、454)からすれば、婚姻制度が次世代の構成員の確保につながる社会的機能を果たしてきたからといって、異性間の人的結合関係であればこの機能を果たすことができるが、同性間の人的結合関係ではこの機能を果たすことができないとは言い難い。このような状況下で、本件諸規定が同性カップ たからといって、異性間の人的結合関係であればこの機能を果たすことができるが、同性間の人的結合関係ではこの機能を果たすことができないとは言い難い。このような状況下で、本件諸規定が同性カップ ルが法律婚制度を利用することができないという区別をしていることの合理性は、それに関連する種々の事柄を総合考慮し、個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らし、性的指向が同性に向くという性的少数者の権利が不当に侵害されているか否かという観点から判断されるべき法的問題であって、司法が多数決の原理では救済することが難しい少数者の人権をも尊重擁護する責務を負うものであり、特に本件諸規定が自らの意思で選択や変更することができない性的指向を理由として婚姻に対する直接的な制約を課すことになっていることに鑑みると、上記の司法の責務を発揮することが期待される場面であるといえるから、国民の中に依然として婚姻が男女が子を産み育てる関係であるという意識を持つ者や同性婚に反対する意見が一定数存在することは、上記法的問題の結論に直ちに結び付くものとはいえない。 エ憲法24条や本件諸規定の立法に影響を与えた諸外国の状況も大きく変化してきている。 すなわち、各種国際機関は、20世紀後半以降、性的少数者の権利保護に向けた活動を行ってきたところ、こうした活動の中には、同性カップルに対して異性カップルに認められていた遺族年金の受給権を認めるもの(認定事実⑶ア(ア)、(イ))のほか、同性カップル及びその子供を法的に認定し、異性カップルに与えられてきた法的利益が差別なく付与されることを推奨するもの(認定事実⑶イ(ア))、性的指向及び性自認にかかわらず、家族を形成する権利を有することを宣明するもの(認定事実⑶ウ)など、同性カップルの生活共同体を保護するものが含まれている。 とを推奨するもの(認定事実⑶イ(ア))、性的指向及び性自認にかかわらず、家族を形成する権利を有することを宣明するもの(認定事実⑶ウ)など、同性カップルの生活共同体を保護するものが含まれている。 また、諸外国においては、1989年(平成元年)にデンマークが登録パートナーシップ制度を導入して以降、世界各国において、同性カップルを公証するための制度(登録パートナーシップ制度等)が導入されるようになったほか(認定事実⑷ア、イ)、2000年(平成12年)には、オラ ンダが世界で初めて同性婚の法制化を行い、2017年(平成29年)には、米州人権裁判所が、登録パートナーシップ制度等の婚姻とは別の制度を設けることは、性的指向に基づく差別を生み出すことになる旨判断し、オーストリアの憲法裁判所が、異性間関係と同性間関係を結婚と登録パートナーシップとに分けて考えることは、性的指向等の個人の属性を理由とする差別を禁止する平等原則に違反している旨判断しており(補正後の認定事実⑷ア(ウ))、同性カップルに法律婚制度ではなく登録パートナーシップ制度等の別の制度を設けること自体が差別的な取扱いであると判断されるようになり、現在までに、証拠上確認できるだけでも、39の国と地域が同性婚の法制化をしており、先進国首脳会議(G7)の参加国において、同性婚(カナダ、フランス、イギリス、ドイツ、アメリカ)や同性カップルに婚姻に準じた関係を創設する法制度(イタリア)を導入していないのは我が国のみとなっている(甲A98・82頁、634、998・33頁。 補正後の認定事実⑷イ(ウ)、同ウ(ア))。 さらに、自由権規約委員会は、2014年(平成26年)、性的指向及び性自認等あらゆる理由に基づく差別を禁止する包括的な反差別法の制定等を勧告し、2022年(令和4年)1 (ウ)、同ウ(ア))。 さらに、自由権規約委員会は、2014年(平成26年)、性的指向及び性自認等あらゆる理由に基づく差別を禁止する包括的な反差別法の制定等を勧告し、2022年(令和4年)11月、自由権規約2条、26条に基づき、LGBTの人々が法律婚へのアクセスにおいて差別的な扱いに直面しているとの報告について懸念を表明し、同性カップルが同性婚を含む自由権規約に定められた全ての権利を享受することができるよう勧告しており、国連人権理事会が制度構築した普遍的定期的審査において、複数諸国が、性的指向及び性自認に基づく差別の撤廃に向けた措置を講ずるよう繰り返し勧告し、2023年(令和5年)2月の第4回審査において、我が国に対し、性自認及び性的指向に基づく差別を禁止する包括的な差別禁止法令の制定等を勧告し、アメリカ、メキシコ、カナダ、デンマーク、アイスランドの5か国が同性婚の法制化を勧告し、アルゼンチン、オーストリ ア、アイルランド、ニュージーランドの4か国が同性カップルに法律婚又は婚姻類似の制度の導入を勧告している(補正後の認定事実⑶ア(ウ)、同イ(イ))。 加えて、カナダにおいて、令和5年9月、日本人女性同士のカップルについて、LGBTの迫害につながる差別が日本全体にあるなどとして、難民認定がされている(補正後の認定事実⑷エ)オ我が国でも、平成12年頃以降、同性愛者等をめぐる人権問題の解決の必要性が指摘され(認定事実⑸ウ(ア))、平成27年、地方公共団体において初めてパートナーシップ制度が導入され、令和6年2月時点までに391の地方公共団体がこれを導入し、同年6月28日時点でパートナーシップ制度を導入している地方公共団体の人口が我が国全体の人口の約85%に及んでいるほか、同性カップルが養育している子についても家 1の地方公共団体がこれを導入し、同年6月28日時点でパートナーシップ制度を導入している地方公共団体の人口が我が国全体の人口の約85%に及んでいるほか、同性カップルが養育している子についても家族として公的に認めるというファミリーシップ制度を導入する地方公共団体も増加しつつあり、令和2年4月以降、同性パートナーがいる区職員に対しても結婚休暇等を認める取組を行う地方公共団体も現れ始め(補正後の認定事実⑸ウ(イ))、平成29年に一部諸外国から、同性婚の公式な承認を国レベルに拡大するなどの施策等の勧告がされてからは(補正後の認定事実⑶イ(イ))、複数の地方公共団体や各種団体から、同性婚の法制化を求める声明が発表されるに至っている(補正後の認定事実⑸ウ(ウ)、同エ)。 また、民間企業においても、同性婚の法制化に賛同する企業が500社を超え、同性パートナーに家族手当等を適用するといった取組を行う企業も現れ始め、生命保険や住宅ローン等において、同性パートナーを家族として取り扱うというものも増加している(補正後の認定事実⑸エ)。そして、国の施策においても、平成14年以降、性的少数者に対する偏見等の解消に向けた啓発活動が行われたほか、平成16年には性同一性障害特別措置法が施行され、令和5年6月には性的指向及びジェンダーアイデンテ ィティの多様性に寛容な社会の実現に資することを目的として理解増進法が制定されている(補正後の認定事実⑸ア(ア)、(イ))。 こうしてみると、家族の形態を男女の人的結合関係を中核としたものと捉える家族観は唯一絶対のものではなくなり、同性愛を精神的病理であるとする知見が否定されるに至った状況で、世界規模で同性カップルを保護するための具体的な制度化が実現してきており、我が国でも同性カップルに対する理解が進 対のものではなくなり、同性愛を精神的病理であるとする知見が否定されるに至った状況で、世界規模で同性カップルを保護するための具体的な制度化が実現してきており、我が国でも同性カップルに対する理解が進み、これを承認しようとする傾向が急速に進展しているといえる。 カこれに対し、被控訴人は、同性間の人的結合関係を異性間のそれと同視し得るほどの社会的な承認が存在しているとはいい難いこと、同性カップルにおいて婚姻類似の人的結合関係を構築し、共同生活を営むことが制限されているわけではなく、民法上の他の制度(契約や遺言等)を利用することにより、婚姻制度を利用することができないことによる不利益が相当程度解消又は軽減されていることからすれば、本件諸規定は、立法目的との関連において合理性を有する旨主張する。 しかし、平成30年以降の世論調査等において同性婚の法制化について肯定的な意見が否定的意見を大きく上回り、令和3年以降は肯定的な意見が80%を超える調査結果も複数あること、令和6年6月28日時点でパートナーシップ制度を導入している地方公共団体の人口が我が国の人口の約85%に及んでいることなどからすれば、同性間の人的結合関係を異性間のそれと同視し得るほどの社会的な承認が急速に進んでいるとみることができるし、同性婚の法制化について消極的な意見が二、三割程度存在していることは、個人の尊厳と法の下の平等が問題となる場面において、重視すべきではないことは前記のとおりである。 そして、パートナーシップ制度が拡充していることや、契約や遺言等の法律行為によって、婚姻によって付与される効果を一定程度実現できると いうことを踏まえても、同性カップルが法律婚制度を利用することができないことによる不利益は、相当程度解消又は軽減されているとはいえず、 て、婚姻によって付与される効果を一定程度実現できると いうことを踏まえても、同性カップルが法律婚制度を利用することができないことによる不利益は、相当程度解消又は軽減されているとはいえず、次のとおり看過することができないものといわざるを得ない。 すなわち、法律により具体化された現行の法律婚制度の規律内容を見ると、民法は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずるとし(同法739条1項)、婚姻の効力等に関し、氏の統一(同法750条)、同居、協力及び扶助の義務(同法752条)等を、夫婦の財産に関し、婚姻費用の分担(同法760条)、夫婦共有財産の推定(同法762条2項)等を、婚姻の解消に関して財産分与(同法768条)や裁判離婚の要件(同法770条)等の離婚制度を規定するほか、親子関係に関し、夫婦の子についての嫡出の推定(同法772条1項)、親権に関する規定(同法818条3項)、配偶者のある者の未成年者養子(同法795条)、特別養子における養親の夫婦共同縁組(同法817条の3)等を置き、親族に関し、三親等内の姻族を親族とし(同法725条3号)、三親等内の親族間の扶養義務(同法877条2項)等を定め、配偶者に後見、保佐、補助開始の申立権を定め(同法7条、11条、15条)、相続に関し、配偶者の相続権(同法890条)、配偶者の法定相続分(同法900条)、配偶者居住権(同法1028条)、配偶者短期居住権(同法1037条)、遺留分(同法1042条)等を規定するなど、身分関係の創設、解消に関する規律を定め、婚姻に伴う様々な権利義務を発生させている。戸籍法は、婚姻の届出があったときに、夫婦について新戸籍を編製し(同法16条)、子又は養子は父母又は養親の戸籍に入り(同法18条)、戸籍に、夫婦については、夫又は妻である旨が( 務を発生させている。戸籍法は、婚姻の届出があったときに、夫婦について新戸籍を編製し(同法16条)、子又は養子は父母又は養親の戸籍に入り(同法18条)、戸籍に、夫婦については、夫又は妻である旨が(13条7号)、子については、実父母又は養親の氏名及び実父母又は養親との続柄が記載され(同条5号、6号)、戸籍の正本と副本が、市役所、法務局等に保管され(同法8条)、戸籍の謄本若しくは抄本又は記載事項証明書の交付請求の手続(同法10条以下)が規定されて おり、身分関係を公証している。 そして、婚姻の効果には、民法や戸籍法が規定する上記の効果以外にも、税や社会保障等にかかわる制度など様々な社会政策的判断に基づき付与された効果が多数存在する。特に、同性カップルには、所得税・住民税の配偶者控除や所得税・住民税の医療費控除についての世帯での合算が認められないことや、遺言をしたとしても相続税ではなく贈与税が課せられ、その贈与税についても配偶者控除が認められないことは、契約や遺言等によっては解消することができない不利益といえる。 ところで、社会保障制度に関する法令において、被保険者が死亡した場合に遺族が年金等を受給するとし、その遺族として被保険者の配偶者とし、配偶者の定義として、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとすると規定するものが相当数存在する(国民年金法5条7項、37条、37条の2、厚生年金保険法3条2項、59条、労働者災害補償保険法16条の2、16条の4、国家公務員共済組合法2条4項、健康保険法3条7項、国家公務員災害補償法16条1項、戦傷病者戦没者遺族等援護法24条1項等)。最高裁令和4年(行ツ)第318号、同年(行ヒ)第360号同6年3月26日第三小法廷判決(民集78巻1号99頁参照)は、犯罪 家公務員災害補償法16条1項、戦傷病者戦没者遺族等援護法24条1項等)。最高裁令和4年(行ツ)第318号、同年(行ヒ)第360号同6年3月26日第三小法廷判決(民集78巻1号99頁参照)は、犯罪被害者と同性の者は、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(以下「犯給法」という。)5条1項1号括弧書きにいう「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」に該当し得ると判断しているが、この判決はあくまでも犯罪行為により不慮の死を遂げた者の遺族等への支援という特有の目的で支給される遺族給付金の受給権者に係る解釈を示したものであり、犯給法5条1項1号括弧書きの上記文言と同一又は類似の文言が用いられている法令の規定は上記のとおり相当数存在するものの、これらについて判断したものではなく(裁判官林道晴の補足意見参照)、同性パートナーが 他の各種法令において、「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」等に該当すると判断されるかどうかは不確定である。 また、刑事訴訟法においては、被害者の配偶者の定義として「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む」などという規定がないため、被害者が死亡した場合の告訴権者(同法231条2項)、被害者等参加制度(刑事訴訟法316条の33~316条の39)において、同性パートナーが被害者の配偶者として取り扱われるかはより不確定であり、令和5年6月、パートナーシップ制度を利用していた同性パートナーが犯罪被害者となった加害者の刑事裁判において、もう一方の同性パートナーが被害者参加を求めたところ、認められなかったケースがある(甲A651、815)。 さらに、我が国の医療機関においては、手術等の一定の医療行為を受ける場合に親族の おいて、もう一方の同性パートナーが被害者参加を求めたところ、認められなかったケースがある(甲A651、815)。 さらに、我が国の医療機関においては、手術等の一定の医療行為を受ける場合に親族の同意を求められることや、医師による病名・医療行為の説明の立会や面会等を親族に限るという運用がされていることが多い。厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」では、本人からの申出がある場合には、現実に患者の世話をしている親族に準ずる者を説明を行う対象に加えられ、厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン・解説編(改訂平成30年)」によれば、同性パートナーも家族として取り扱われることになるものの、実際にはパートナーシップ制度の利用によって同性パートナーが親族として取り扱われるかどうかは、当該医療機関の個別の判断に委ねられている(甲A661、998・133~138頁、1000、1001、1005~1007)。日本移植学会の倫理指針は、生体移植のドナーとなる親族を配偶者、6親等内の血族と3親等内の姻族と限定しており、親族以外の第三者から提供を受ける場合は、実施する医療機関の倫理委員会で個別に承認を受ける必要があるとされているため (甲A1009)、パートナーシップ制度を利用しても移植が認められるか否かは当該医療機関の倫理委員会の個別の判断に委ねられることになり(甲A1008)、日本産科婦人科学会は、提供精子を用いた人工授精の被実施者を法的に婚姻している夫婦に限定している(甲A805)。 そして、同性カップルが共同して子を養育している場合が一定数存在し、控訴人らのように同性カップルが里親として里子を養育する場合も一定数存在する(補正後の認定事実⑸ア(エ)、同ウ る(甲A805)。 そして、同性カップルが共同して子を養育している場合が一定数存在し、控訴人らのように同性カップルが里親として里子を養育する場合も一定数存在する(補正後の認定事実⑸ア(エ)、同ウ(イ))が、同性カップルが法律婚制度を利用することができないことから、同性カップルのうち実親でないパートナーが子と養子縁組をした場合には、実親の親権が失われるため(民法818条2項)、同性カップルのうち実親ではないパートナーと子の法的な親子関係を形成することは事実上困難であり、里子との間で特別養子制度を利用することもできない(民法817条の3)。このため、その子に医療行為が必要となった場合、パートナーシップ制度やファミリーシップ制度を利用しても、親権がない者の同意によって子が医療行為を受けることができるか否かは、当該医療機関の個別の判断に委ねられることになり、子の進学についての同意や学校行事の参加の可否等についても学校の個別の判断に委ねられることになる上(甲A661)、実親が死亡した場合、未成年後見人を指定する遺言(民法839条1項)が存在しない場合には子の養育が制度的に保障されないなど子の生命・身体・福祉に関して深刻な問題が生じ得る。 以上のような療養等における不利益のほかに、転勤を伴う人事において、同性パートナーが家族として考慮されないなどの就労における不利益、同性カップルが賃貸住宅の利用を制限されることや、住宅ローンを利用する場合に同性パートナーを家族として取り扱わない金融機関が相当数存在するなどの居住における不利益、家族関係を前提とした商品を利用することができないという不利益など、社会生活上の様々な場面において、パート ナーシップ制度を利用することでは解消することができない不利益が存在する(甲A661)。 そもそも、 品を利用することができないという不利益など、社会生活上の様々な場面において、パート ナーシップ制度を利用することでは解消することができない不利益が存在する(甲A661)。 そもそも、パートナーシップ制度やファミリーシップ制度は、地方公共団体による制度であるため、婚姻による法的効果を享受することができず、制度の効力が原則として当該地方公共団体の区域内に限られるなど効果面に限界があり、利用できる行政サービスの範囲の限界や、公正証書の作成を要する地方公共団体があるなど手続に関する制約もある上(甲983、989)、パートナーシップ制度やファミリーシップ制度といった婚姻制度とは異なる制度を利用すること自体が、個人の属性に係る秘匿性の高い情報である性的指向を自らの意思に反して開示することを求められるというプライバシー侵害につながる危険性がある。 このように同性カップルが法律婚制度を利用することができないことによって、法律婚による法的利益や居住、就労、療養その他の社会生活上の様々な場面での社会的利益を享受することができないという不利益が生じており、これが同性カップルにとって深刻な問題であるだけでなく、婚姻には人生を共にすることで得られる充実感、安心感等という個人の尊厳と結び付いた本質的価値があり、法律婚制度は、両者の人的結合関係が法的に保護され、公証されることによって安定的で充実した社会生活を送る基盤となるという個人の尊厳と結び付いた本質的価値がある。すなわち、人は、法的利益や各種の社会的利益を享受するためだけで婚姻をするのではなく、婚姻そのものに個人の尊厳と結び付いた本質的価値があるため婚姻をすると考えられるところ、同性カップルは、本件諸規定が同性カップルに法律婚を認める規定を全く設けていないことによって、このような法律婚の本 そのものに個人の尊厳と結び付いた本質的価値があるため婚姻をすると考えられるところ、同性カップルは、本件諸規定が同性カップルに法律婚を認める規定を全く設けていないことによって、このような法律婚の本質的価値を享受することができないという不利益を受けているのであるから、個人の尊厳が損なわれているという不利益を受けているとみることができる。なお、性的指向は、性自認とは必ずしも関連するものでは ないため(甲A114・3頁、153・2頁)、性同一性障害特別措置法に基づき戸籍上の性別を変更することが可能であるからといって、同性カップルが法律婚制度を利用することができない上記のような様々な不利益が解消するとはいえない。 キ確かに、婚姻及び家族に関する事項は、国の伝統や国民感情を含めた社会状況における種々の要因を踏まえつつ、それぞれの時代における夫婦や親子関係についての全体の規律を見据えた総合的な判断によって定められるべきものである。 しかしながら、同性カップルが法律婚制度を利用することができるようになったとしても、国民が被る具体的な不利益は想定し難い。現に、地方公共団体においては、パートナーシップ制度が創設されて以降、これを導入する地方公共団体が増加の一途を辿っているが(補正後の認定事実⑸ウ(イ))、これにより弊害が生じたという証拠はない。そして、法律婚制度を男女の人的結合関係を中核としてその間に生まれた子の保護・育成の機能を担うものと捉える家族観を持つ国民が一定数存在しているものの、理解増進法が、3条において、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策は、全ての国民が、その性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるもので ンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策は、全ての国民が、その性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならないものであるとの認識の下に、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを旨として行われなければならないとの基本理念を定め、国及び地方公共団体に上記の基本理念にのっとった施策の策定・実施に努めることを要請していることなどからすれば、同性婚の法制化によって、上記のような家族観を直ちに否定することにはならず、共生することは可能である。 ところで、現行の法律婚制度に付与されている効果は多彩なものがあるが、同居、協力扶助義務や関係解消時に離婚手続を要することなど、親密な関係に基づく生活共同体に付与されるべき本質的な効果については、基本的に両当事者間で完結するものが少なくなく、このような法的効果を同性カップルに付与した場合の具体的な弊害は観念しにくい。また、同性婚の法制化をした場合、遺伝学上の親でない者に嫡出推定が及ぶことになることがあり得るが、既に性同一性障害特別措置法に基づき性別変更をしたトランスジェンダー男性について、遺伝学上の父となり得ないことが明らかであるにもかかわらず、その妻が懐胎した子の嫡出推定を認めている(最高裁平成25年(許)第5号同12月10日第三小法廷決定・民集67巻9号1847頁参照)から、遺伝学上の親でない者に嫡出推定が及ぶことは同性婚の法制化の弊害にはなり得ない。そして、この場合、精子提供者である遺伝学上の父が存在することになるが、民法779条は、認知ができる子を「嫡出でない子」と規定して でない者に嫡出推定が及ぶことは同性婚の法制化の弊害にはなり得ない。そして、この場合、精子提供者である遺伝学上の父が存在することになるが、民法779条は、認知ができる子を「嫡出でない子」と規定しているから、遺伝学上の父が認知をすることにより身分関係に混乱が生じることもない。さらに、遺伝学上の父ではない者からの嫡出否認の訴えについては、生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律第10条は、「妻が、夫の同意を得て、夫以外の男性の精子(その精子に由来する胚を含む。)を用いた生殖補助医療により懐胎した子については、夫、子又は妻は、民法774条第1項及び第3項の規定にかかわらず、その子が嫡出であることを否認することができない。」と定め、親子関係の安定を図っているところ、同規定の「妻」や「夫」の文言を「婚姻の当事者の一方」や「婚姻の当事者の他方」などと変更することで、同性婚の法制化をしても親子関係の安定を図ることができる。他に、我が国において代理懐胎は認められていないが、これまでも異性カップルにおいても懐胎出産ができない場合に代理懐胎を認めるべきか否かが議論されてきたことからすれば、 同性婚の法制化をすることで代理懐胎を認めることにつながるとか、非合法的な代理懐胎が横行するという事態に直結することにはならない。 しかも、同性婚の法制化は戸籍制度の重大な変更をもたらすものではなく、民法の婚姻の効力に関する諸規定については、「夫婦」を「婚姻の当事者」、「夫又は妻」を「婚姻の当事者の一方」など性別中立的な文言に変更するといった法改正で足りるものであり、嫡出推定や認知、親権、養子縁組など親子関係に関する諸規定も、「父母」を「親」に、「夫若しくは妻」を「婚姻の当事者の一方」などという性別中立的な文言に 言に変更するといった法改正で足りるものであり、嫡出推定や認知、親権、養子縁組など親子関係に関する諸規定も、「父母」を「親」に、「夫若しくは妻」を「婚姻の当事者の一方」などという性別中立的な文言に変更するといった法改正で足りると解され、同性カップルに法律婚制度とは別の制度を設ける場合とは異なり、膨大な立法作業が必要になるとはいえない(甲A795、806~808)。国民年金法、厚生年金保険法、労働者災害補償保険法等社会保障に関する法律においても、同性婚の法制化をすれば、同性パートナーは「配偶者」として扱われることになるため、他の権利や法的利益と衝突した場合にどのように調整をするかといった解釈上の問題は生じないといえる。 ク以上によれば、本件諸規定が異性間の人的結合関係についてのみ法律婚制度を定め、同性カップルが法律婚制度を利用する規定を全く設けていないことは、制定当時においては合理性があったといえるものの、国民の間で同性カップルを保護し、同性婚の法制化に賛成する割合が増加し、平成30年以降の世論調査等においては、同性婚の法制化について肯定的な意見が否定的意見を大きく上回り、令和3年以降は、肯定的意見が80%を超える調査結果も複数存在する等、現時点では、その合理性を根拠付けていた婚姻、家族の形態やその在り方に対する国民の意識が大きく変化しているといえる。また、諸外国において同性婚の法制化が急速に拡大し、G7においても同性婚や同性カップルに対する婚姻に準じた関係を創設する法制度を導入していないのは我が国のみという状況であり、我が国が批准 した自由権規約の内容とこれに基づき設置された自由権規約委員会から同性婚の法制化が勧告されているなど、国際機関からも同性婚の法制化や同性カップルに対する法的保護が求められている。さらに、地方 した自由権規約の内容とこれに基づき設置された自由権規約委員会から同性婚の法制化が勧告されているなど、国際機関からも同性婚の法制化や同性カップルに対する法的保護が求められている。さらに、地方公共団体や民間企業においても同性カップルに対する保護に向けた動きが急速に拡大している。これらによれば、同性愛自体は、疾病や障害ではなく、性愛の対象が同性に向くのは自らの意思で選択や変更する余地のない性的指向によるものであるとの知見が確立するとともに、そのような自らの意思で選択や変更する余地のない性的指向を理由として差別をすることは許されず、性的少数者の権利を保障すべきであるという考えが、国内外を通じて急速に確立されてきているものということができる。このような状況下で、同性カップルに法律婚制度を利用することができるようにすることによって具体的な弊害が生じるとは言い難いにもかかわらず、同性カップルが、法律婚制度を利用することができないことによって、法的利益や各種の社会的利益を享受することができないという不利益を受け、特に医療行為に関しては、同性パートナーだけでなく、養育している子の生命身体に直結する不利益が想定される上、そもそも婚姻そのものに個人の尊厳と結び付いた本質的価値があるため、法律婚制度の本質的価値を享受することができずに個人の尊厳が損なわれているという不利益を受けている。これらに加えて、理解増進法により性的少数者の保護が国の施策における基本理念として明確にされており、多数決の原理では救済することが難しい少数者の人権をも尊重擁護することが司法の責務であることに鑑みると、婚姻制度が国の伝統や国民感情を含めた社会状況における種々の要因を踏まえつつ、それぞれの時代における夫婦や親子関係についての全体の規律を見据えた総合的な判断によって定め の責務であることに鑑みると、婚姻制度が国の伝統や国民感情を含めた社会状況における種々の要因を踏まえつつ、それぞれの時代における夫婦や親子関係についての全体の規律を見据えた総合的な判断によって定められるべく、国会の裁量に委ねられるべきものであることを踏まえても、現時点では、本件諸規定が同性カップルが法律婚制度を利用することができないという区別をしていることは、個人の尊 厳の要請に照らして合理的な根拠を欠く性的指向による法的な差別取扱いであって、憲法14条1項に違反するものといわざるを得ず、国会に与えられた立法裁量の範囲を超えるものとして、憲法24条2項にも違反すると解するのが相当である。 したがって、本件諸規定が同性カップルが法律婚制度を利用することができないという区別をしていることは、憲法14条1項に違反するとともに、憲法24条2項に違反するに至ったというべきである。 4 本件諸規定を改廃しないことが国家賠償法上違法であるかについて(争点2)⑴ 次の⑵のとおり原判決を補正する(控訴理由に対する判断を含む。)ほかは、原判決の「事実及び理由」の第3の3に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑵ 原判決の補正ア原判決51頁18行目の「立法の内容」の次に「又は立法不作為」を加える。 イ原判決51頁24行目の「法律の規定」から25行目の「違反するものであることが」までを「立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白である場合や、国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが」に改める。 ウ原判決52頁8行目から14行目までを次のとおり改める。 「 前記3のとおり、本件 いる権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが」に改める。 ウ原判決52頁8行目から14行目までを次のとおり改める。 「 前記3のとおり、本件諸規定が同性カップルが法律婚制度を利用することができないという区別をしていることは、憲法14条1項、24条2項に違反するところ、国会議員が本件諸規定の改廃等の立法措置をとらなかった立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるか否かについて検討する。」エ原判決53頁13行目の「6月のことであった(認定事実⑸イ)」を「6 月のことであり(認定事実⑸イ)、国民の多数が同性婚の法制化に肯定的になったのは平成30年以降と比較的最近のことであった(補正後の認定事実⑹)」に改める。 オ原判決53頁14行目の「同性カップル」から16行目の「認められる」までを「同性カップルに法律婚制度を付与する必要性が具体的に認識・浸透されるようになったのは、比較的最近のことであり、それが急速に広がったと認められる」に改める。 カ原判決53頁21行目の「令和2年時点」を「令和5年時点」に改め、同行目の「存在したこと」の次に「、加えて本件諸規定が同性婚を認める規定を全く設けていないことの憲法適合性についての司法判断が札幌地方裁判所の令和3年3月17日判決(甲A376)までなく、その後、同様の司法判断を求める訴訟の判決が積み重ねられつつあるものの、その判断内容自体必ずしも統一されておらず、最高裁判所の判断は未だ示されていないこと」を加える。 キ原判決53頁22行目から23行目にかけての「本件諸規定が憲法24条2項及び14条1項に違反する」を「本件諸規定が同性カップルが法律婚制度を利用することができないという区別をしているこ える。 キ原判決53頁22行目から23行目にかけての「本件諸規定が憲法24条2項及び14条1項に違反する」を「本件諸規定が同性カップルが法律婚制度を利用することができないという区別をしていることが憲法14条1項及び24条2項に違反する」に改める。 第4 結論よって、原判決は結論において相当であり、本件各控訴はいずれも理由がないから、主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第3部 裁判長裁判官片田信宏 裁判官山本万起子 裁判官三橋泰友

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