主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,原告らの負担とする。 事実 及び理由第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 被告株式会社中国銀行は,別紙原告目録≪略≫表示の1ないし65,81の原告らに対し,被告株式会社山陰合同銀行は,別紙原告目録≪略≫表示の66ないし72の原告らに対し,被告株式会社香川銀行は,別紙原告目録≪略≫表示の73ないし75の原告らに対し,被告株式会社みなと銀行は,別紙原告目録≪略≫表示の76,77の原告らに対し,被告株式会社高知銀行は,別紙原告目録≪略≫表示の78の原告に対し,被告株式会社愛媛銀行は,別紙原告目録≪略≫表示の79,80の原告らに対し,それぞれ,各金66万円及びこれに対する平成11年5月25日から(原告番号81については平成12年8月24日から)各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は,被告らの負担とする。 仮執行宣言二請求の趣旨に対する答弁主文同旨第二本件請求被告銀行6社から,訴外日産生命保険相互会社(以下「訴外日産生命」という)に対する保険料一括支払資金の融資を受けた各原告が,各被告の違法な。 保険勧誘行為あるいは融資契約勧誘行為により,上記融資金について別紙ローン契約表≪略≫記載のとおり各銀行ローン契約(以下「本件各ローン契約」という)を締結させられたとして(各保険契約についての解約の主張はしな。 い,各被告に対し,民法709条もしくは予備的に被告従業員の行為とし。)て715条に基づく不法行為による損害賠償請求権あるいは公序良俗違反による不当利得返還請求権を根拠に,これによって被った損害あるいは損失の一部として,66万円(金利分50万円,慰藉料10万円,弁護士費用分6万円)及びこれに対する本件各訴状送達日の翌日である 俗違反による不当利得返還請求権を根拠に,これによって被った損害あるいは損失の一部として,66万円(金利分50万円,慰藉料10万円,弁護士費用分6万円)及びこれに対する本件各訴状送達日の翌日である平成11年5月25日(原告番号81については平成12年8月24日)から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払いをそれぞれ求めたものである。 第三事案の概要一前提事実(当事者間に争いがないか,弁論の全趣旨により明らかな事実) 当事者(一)原告ら,,原告らはいずれも各被告との間でそれぞれ本件各ローン契約を締結し上記各契約と併せて,訴外日産生命との間で各保険契約をそれぞれ締結した者である。但し,被告中国銀行は,原告番号13,43,60については本件ローン契約の契約当事者であることを争う。 (二)被告ら被告らはいずれも,預金又は定期積立金の受入れ,資金の貸付け又は手形の割引並びに為替取引などの銀行業務を営む銀行である。 (三)訴外日産生命訴外日産生命は,平成8年度(平成9年3月31日時点)決算で,経常損失627億円・当期未処理損失606億円となり,平成9年4月25日業務停止して経営破綻した。その後,訴外社団法人生命保険協会が保険管理人となり,同年6月20日,資本金10億円を出資して訴外あおば生命保険株式会社を新設し,訴外日産生命の保険契約を契約条件を変更したうえで訴外あおば生命保険株式会社に移転する計画が同年7月30日の訴外日産生命の定時総代会の議決を経て承認された。 そして,上記あおば生命への移転計画により,訴外日産生命の保険は,満期日,年金開始日等の変更はないものの,平成9年7月15日以降の保険金額,年金額,給付金額が変更され,原告らの受け取る保険金額は削減され,また解約返戻金については,早期解約の場合所定分 の保険は,満期日,年金開始日等の変更はないものの,平成9年7月15日以降の保険金額,年金額,給付金額が変更され,原告らの受け取る保険金額は削減され,また解約返戻金については,早期解約の場合所定分を控除されることとなった。 原告らは,別紙ローン契約表≪略≫記載のとおり,訴外日産生命に対し支払うべき保険料を一括払いするために,各被告から,それぞれ融資を受け,各被告に対し利息を支払った。 保険の種類本件で原告らが加入した保険は以下のいずれかであり,定額保険である。 (一)ウィルウェル10年保証終身個人年金保険(一括払い・60歳まで払込,65歳年金開始)(二)ピップポップ育英保険(一括払い・22歳満期・子供の加入時年齢0歳)(三)パスポート終身保険(一括払い・70歳払込・保険金500万円)+生存給付金特約(一括払い・15年満期生存30年)(四)ケアプラン介護保険(一括払い・70歳払込・介護支払限度5年)二 争点 原告番号13,43,60の原告が本件ローン契約の当事者といえるか(当該原告らの主張)原告番号13の原告については,契約書上は子供の訴外A名義となっているが,被告中国銀行と交渉し,契約締結を決めたのは,原告Bであり,原告本人不在のときに,訴外Aが被告中国銀行担当者のいいなりに契約書に署名押印したに過ぎない。 原告番号60は,契約名義は妻の名義にしたが,契約をしたのは,原告である。 原告ら主張の共通の違法行為の有無(一)原告らの主張被告らはそれぞれ,保険募集の取締に関する法律(以下「募取法」という。なお現在は保険業法に規定されている)9条,16条1項1号,銀。 行法12条の各条項に違反して,組織的に銀行の信用を利用し,利息利益を図る目的で,各原告に対し,銀行ローン契約を締結せしめるために,生命保 在は保険業法に規定されている)9条,16条1項1号,銀。 行法12条の各条項に違反して,組織的に銀行の信用を利用し,利息利益を図る目的で,各原告に対し,銀行ローン契約を締結せしめるために,生命保険募集人と一切会わせることもなく,訴外日産生命との保険契約の締結に至らしめた。 (1)募取法9条違反募取法9条は,登録された生命保険募集人以外の者が生命保険の募集を行うことを禁止しており,同条の「募集」とは,保険契約の締結の代理又は媒介をなすことをいい(同法2条3項,保険契約の「媒介」と)は,保険会社と契約者との間の保険契約締結に向けて仲介・斡旋をなすことをいうと解されている。 被告ら従業員は,各原告に対し,それぞれ,訴外日産生命の保険加入の勧誘を行い,保険内容を説明し,保険料一括払いを勧めてその資金について被告らとの融資契約を締結させるとともに,告知書及び生命保険申込書に記入させ,申込書を募集代理店(生命保険募集人)に持参したものであり,この一連の行為の中には全く生命保険募集人は登場しておらず,被告ら従業員らの勧誘行為は訴外日産生命と原告らとの間の保険契約の締結に向けて仲介・斡旋をなしたと評価するほかない。 被告らは,同条に規定する「募集」のうち「媒介」とは,募集行為の中核的行為である保険申込書を受領し,申込書を保険会社に提出する行為に限定される旨主張するが,そのように限定的に解釈する合理的理由はないばかりか,被告ら従業員らは,原告ら作成の申込書を預かり,被告らと密接な関係を有していると思われる生命保険募集人に申込書を持,,参し上記生命保険募集人から訴外日産生命に送付されているのであり勧誘等の行為に被告ら従業員しか関与していないことを併せ考慮すれば,被告ら従業員が申込書を受領すると共に直接保険会社に提出したと同視できること,さら 険募集人から訴外日産生命に送付されているのであり勧誘等の行為に被告ら従業員しか関与していないことを併せ考慮すれば,被告ら従業員が申込書を受領すると共に直接保険会社に提出したと同視できること,さらには被告ら従業員が締結せしめた融資契約に基づく融資金のうち一括保険料額を被告らが直接訴外日産生命に支払っており,申込書授受と同様に媒介の中心的行為である保険料の支払いを被告らが直接行っていることに照らせば,被告らの主張する基準によっても募取法9条の「募集」に該当する。 被告らは,仮に形式的に募取法9条の「募集」に該当する行為があったとしても,同条は取締法規であり,形式的に同条に該当する行為のみをもって違法性を構成するものではないと主張している。 しかしながら,募取法は,生命保険募集人に登録を義務づけ(同法3条,登録簿を大蔵省に備えさせ(同法4条,生命保険募集人が募集))につき契約者に加えた損害を所属保険会社が賠償する義務を規定し(同法11条,募集文書図画の記載禁止事項を定め(同法15条,生命))保険募集人の募集に関する禁止事項を規定し(同法16条,上記禁止)違反行為に対しては業務停止,登録取消の行政処分をすることができると定め(同法20条1項,さらには,同法9条違反に対しては刑罰規)定を設けていること(同法22条1項)等を考慮すれば,法は生命保険の募集に極めて厳格な要件を要求しているのであり,同法9条に該当する違反行為は,単なる取締法規違反にとどまるものとは考えられない。 また,仮に同条が取締法規であるとしても,本件保険勧誘等の行為については,一切有資格者の関与はなく,専ら被告ら従業員が取り仕切っており,さらには,被告らは本件融資による利息金受領の利益以外に何らかの利益を得ている可能性が存する一方,原告らは,訴外日産生命について ては,一切有資格者の関与はなく,専ら被告ら従業員が取り仕切っており,さらには,被告らは本件融資による利息金受領の利益以外に何らかの利益を得ている可能性が存する一方,原告らは,訴外日産生命について何らの知識も有しておらず,銀行員である被告ら従業員,あるいはその背後に存在する被告らへの信用を強く信頼し保険契約締結に踏み切ったのであり,また後記のとおり被告ら従業員らの行為は募取法16条及び銀行法にも違反することを併せ考慮すれば,実質的にも,無資格者が生命保険の募集をしてはならないという信義則上認められる法的義務に違反し,違法性を具備するものである。 (2)募取法16条1項1号違反募取法16条1項1号において,生命保険募集人は,保険契約の契約条項のうち重要な事項を告げない行為をしてはならない旨規定されているところ,生命保険契約の特質,募取法の趣旨並びに生命保険募集人を登録制度としているなど厳格な要件を定めていることを考慮すれば,同条1項1号に規定する説明義務は,①有資格者たる生命保険募集人が,②重要事項を説明しなければならない,という2つの規範を定立しているものと考えられ,重要事項の説明という行為の問題だけでなく,生命保険募集人という主体を偽る行為も禁止していると解すべきである。本件の場合,生命保険募集人は原告らに対し,生命保険の内容について一切の説明を行っておらず,説明を行ったのは被告ら従業員のみである。 したがって,生命保険募集人は,被告ら従業員に原告らに対する説明義務の履行を委ね,被告ら従業員は,本来有資格者たる生命保険募集人が行うべき説明を代行して行ったのであるから,同条の禁止する「主体を偽る行為」であり,被告ら従業員の説明内容にかかわりなく同条に違反する。 なお同条は単なる取締法規ではないことは前述のとおりである。 また,仮に 明を代行して行ったのであるから,同条の禁止する「主体を偽る行為」であり,被告ら従業員の説明内容にかかわりなく同条に違反する。 なお同条は単なる取締法規ではないことは前述のとおりである。 また,仮に取締法規であるとしても,被告らの行為は実質的に違法と評価されるべきである。募取法16条1項1号は,生命保険募集人が保険内容につき何らかの説明をするであろうことを当然の前提として特に重要事項の説明義務を定めたものであるが,有資格者が一切説明を行っていないということは,原告らは生命保険内容について全く説明を受けていないに等しく,法の趣旨を根本から否定する行為であって,違反の程度が著しいというべきであり,被告ら従業員の行為は,信義則上,生命保険募集人以外の無資格者は生命保険募集人の関与なくしては保険契約の内容を説明して保険契約を締結せしめてはならないという法的義務に違反し,一方原告らは,有資格者による保険内容について説明を受ける権利を侵害されたものと評価できるから,実質的に違法である。 (3)銀行法違反行為銀行法12条は,銀行の公共性と預金者保護の観点から,銀行が法定する業務以外の他業務を営むことを禁止し,同条は強行法規と解されているところ,本件において,被告ら従業員は生命保険募集人として活動しており,同条に違反するものである。 (二)被告らの反論(1)募取法9条違反の主張について各被告は,銀行の本来業務である本件各ローン契約の勧誘をしたものであり,保険の募集行為を行ったものではない。保険契約とその保険料支払いに関する銀行融資契約とが提携された形態は法律上禁じられていない。 本件の場合,保険契約の有効性が争点になっておらず,実質的には訴外日産生命の破綻に起因する保険契約内容の不利益変更が問題なのであって,被告らの募集行為により当初の保険 態は法律上禁じられていない。 本件の場合,保険契約の有効性が争点になっておらず,実質的には訴外日産生命の破綻に起因する保険契約内容の不利益変更が問題なのであって,被告らの募集行為により当初の保険契約の内容について保険契約者の利益が害されたとか,あるいはその危険を招いたという意味において,実質的に募取法の趣旨に抵触した事案ではない。 また仮に形式的に抵触するとしても,募取法が取締法規であることは明らかで,それのみをもって直ちに不法行為を構成するものではない。 更に,募取法9条,22条により処罰される保険契約の媒介行為は募集行為の中核的行為である申込書を受領し,保険会社に提出する行為に限定され,本件では各被告銀行の担当者は保険契約の申込人から申込書を預かり,これを募集代理人へ送付する手続きを取ったことがあるというだけで,保険会社である訴外日産生命に提出したわけではないから,募取法に基づく処罰対象としての構成要件に該当する事実を欠く。 (2)募取法16条1項1号違反の主張について募取法は,生命保険募集人及び損害保険代理店の登録をなし,それらの者が行う募集を取り締まり,もって保険契約者の利益を保護し,あわせて保険事業の健全な発達に資することを目的とする取締法規である。 したがって,保険募集人が保険契約者に不実なことを告げたり,重要事項を告げなかった場合など,保険契約者の利益を直接侵害する違反行為を行った場合には,違反行為の態様によっては不法行為が成立し,保険契約も無効になる場合もあるが,登録された生命保険募集人以外の者が募集に関与したといった保険契約者の利益に直接関係のない違反行為については,その行為が仮に募取法に抵触すると評価されたとしても当然に不法行為が成立するわけでもない。 (3)銀行法違反の主張について被告らが仮に原告が主張する 約者の利益に直接関係のない違反行為については,その行為が仮に募取法に抵触すると評価されたとしても当然に不法行為が成立するわけでもない。 (3)銀行法違反の主張について被告らが仮に原告が主張するような保険募集人の行為に該当する行為を行ったとしても直ちに銀行法12条で禁止する他業務を行ったことにはならず,被告らが訴外日産生命の保険募集人としての業務を行うこととし,これに基づいて行員をして同業務を行わせたことが必要である。 銀行法は銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し,もって国民経済の(),健全な発達に資することを目的とする1条行政上の取締法規でありこれに抵触したからといって直ちに不法行為を構成するものではない。 原告ら主張の被告らの個別の違法行為の有無(一)原告らの主張各被告はそれぞれ,各原告に対し,次のとおり,個別の違法な勧誘行為をなしており,これらは,独自に不法行為を構成しあるいは,前記共通の違法行為の違法性を補強している。各原告ごとの個別の違法勧誘行為を類型化すると別紙「違法行為類型」≪略≫記載のとおりである。 ①「銀行が保険契約の主体であると誤解させる行為」とは,例えば銀行の新企画商品であるなどと虚偽の説明をして,主体を誤解させる積極的欺罔行為類型である。 ②「銀行が保険契約について保証をしていると誤解される行為」とは,銀行が保険契約の主体であると誤信はさせないが,銀行がやっているから間違いないなどと虚偽の説明をする積極的欺罔行為類型である。 ③「保険契約の契約相手が日産生命であるとの告知なし」とは,勧誘時において,保険契約の主体を明らかにすべき義務があるにもかかわらず,日産生命の名前を出すこともなく,これを説明しなかった行為類型である。 ④「保険内容の説明がないか不十分」とは,保険契約とセットになったローンを組む場 の主体を明らかにすべき義務があるにもかかわらず,日産生命の名前を出すこともなく,これを説明しなかった行為類型である。 ④「保険内容の説明がないか不十分」とは,保険契約とセットになったローンを組む場合,少なくとも保険料・受け取るべき保険金額(年金金額)・受取時期の概要を説明すべき義務があるにもかかわらず,これすら全くしなかったかあるいは,この一部をしなかった類型である。 ⑤「保険契約について断定的判断など虚偽の説明」とは,受取金額に変動の要素があるにもかかわらず,例えば,一覧表を示していくら払えばいくらもらえると確定的に説明するなど虚偽の説明をした積極的欺罔行為類型である。 ⑥「ローン契約の説明なし若しくは不十分」とは,ローンであることを全く説明せず積立預金や年金の掛け金等と誤信させた類型か,利率など基本部分の説明すらしなかった類型である。 ⑦「ローン契約の締結をしないと保険契約ができないという欺罔行為」とは,本来ローンを組まなくても保険契約は締結可能であるはずなのに,これができないと虚偽の説明をしてローンの締結を強制した行為類型である。 ⑧「勧誘行為のその他の社会的不相当行為」とは,上記類型に入らない不相当行為である。 (二)被告らの反論本件各ローン契約の勧誘においては,保険会社が訴外日産生命であること及び保険募集人名を明記したパンフレットが使用され,ローン契約申込みに際して原告らに交付された銀行ローン契約書の複写には保険会社が訴外日産生命であること及び銀行ローン契約の内容が明記されているのであるから,原告らが主張する①銀行が保険契約の主体であると誤解させ,③保険契約の相手方が訴外日産生命であることの告知がなく,⑥ローン契約の説明がなく若しくは不十分ということはおよそあり得ない。 原告主張②については,保険契約者において定額保険が安 であると誤解させ,③保険契約の相手方が訴外日産生命であることの告知がなく,⑥ローン契約の説明がなく若しくは不十分ということはおよそあり得ない。 原告主張②については,保険契約者において定額保険が安全であると理解していることは公知の事実といえること,原告らは銀行ローンを利用した場合の方が有利であることに着目して本件保険に加入したことからして,原告らが銀行が保証しているからとの認識を抱くこと自体,不自然である。 原告主張④,⑤については,被告ら担当行員は,銀行ローンの勧誘に必要な範囲・限度で本件保険の説明をしたに過ぎず,保険内容について説明,,義務を負うものではないから保険内容の説明がないか不十分であるとか確定的な判断を示したとの原告の主張は理由がない。 原告主張⑦については,被告ら担当行員は,本件保険にかかる銀行ローンを,ローン方式を利用した方が有利であることをセールスポイントとして勧誘するのであり,顧客が自己資金での一括払いを希望する場合には担当行員は保険の勧誘をするものではない以上,保険にかかわれない旨当然の対応をしたまでであって,このような応対をもって,ローン契約の締結をしないと保険契約ができないと欺罔したというのは失当である。 原告主張⑧については,その他社会的不相当行為類型に入るものとして原告らが挙げる行為態様は,いずれも違法と評価しうるような,不当な利益誘導,威嚇,強要ないしは虚偽事実の告知等の行為には当たらない。 原告らは被告らの勧誘行為において,種々,積極的欺罔行為ないし説明義務違反があった旨主張するが,①本件保険はいわゆる定額保険であり,保険商品としては変額保険のようなリスクの高い商品ではないうえ②その保険料を本件ローン契約を使って一括払いすることのメリットは客観的に存在していたのであって,①に関して被告は本件保険 額保険であり,保険商品としては変額保険のようなリスクの高い商品ではないうえ②その保険料を本件ローン契約を使って一括払いすることのメリットは客観的に存在していたのであって,①に関して被告は本件保険商品についてことさらにリスクを説明する義務などないばかりか,②の本件ローン契約の経済的メリットの点においても,本件はそのような経済的メリットが存在しないのにあたかもそれがあるかごとくに背信的欺罔行為がなされたケースではないこと,本件ローン契約と保険契約の締結後,原告らのもとへ訴外日産生命から直接種々の書類が送付されるなどした際,原告らにおいて保険契約を解約する機会があったにもかかわらず,訴外日産生命が破綻するまで何らそのような動きがなかったことを併せ考えると,原告の主張は失当である。 原告らに,被告らの違法行為との間に相当因果関係が認められる損害が発生したか(一)原告らの主張原告らは,被告らの違法行為により,被告らとの間に本来契約する意向もなかった本件各銀行ローン契約を締結させられ,その借入金元利金の支払いを余儀なくされる状況に置かれた結果,融資の金利分相当の損害を被り,精神的苦痛を受けた。 各原告は利息金相当額の内金50万円を請求するものであり,各原告につき,慰藉料は少なくとも10万円が相当であり,本件損害賠償と相当因果関係のある弁護士費用相当額は5万円である。 保険契約において銀行から融資を受けて保険料を一括払いにした場合には,保険契約の勧誘等につき違法性が認められれば,金利分の損害は特別事情による損害であり,当事者たる違法行為者が一時払い保険料額を銀行から融資を受けたことを予見し又は予見することができた場合には,相当因果関係を認めるのが確立した判例である。 (二)被告らの主張原告らはいずれも,その保険契約の解約の有無を主張 払い保険料額を銀行から融資を受けたことを予見し又は予見することができた場合には,相当因果関係を認めるのが確立した判例である。 (二)被告らの主張原告らはいずれも,その保険契約の解約の有無を主張しないが,保険契約が未解約の段階では,契約者の有する保険契約上の地位ないし利益を失っていないが,そのような保険契約上の権利を有していながら融資金の利息に相当する額の損害が発生しているとは認められない。 本件各ローン契約は,原告らがその有効性を争わないとする本件各保険契約の全支払期間の月掛保険料を一括払いするためのものであり,両契約の関係は,いわば目的と手段の関係にあるところ,目的である保険契約が有効であり,且つ全支払期間の保険料一括払いによる保険料総額の減額という利益を享受しながら,一方で目的の手段にすぎない本件各ローン契約について,しかもローンに付随する利息のみが何故不法行為の損害となるか明らかでない。原告らの本件各ローン契約は,保険契約者としての地位を得るためのものであり,現にその地位を保持し,しかも一括払いにより保険料支払い総額が低額になるという利益を享受しているのであるから本件ローン契約に附帯する利息が損害となる理由はない。 原告らは変額保険に関する判例を根拠にローンの利息を損害である旨主張するが,変額保険の事案は,ハイリスク・ハイリターンという変額保険の保険商品としての特殊性及び変額保険が銀行ローンを組み合わせることにより相続税対策という目的のもと,銀行ローンの負担が保険自体のリスクに直結していたことに鑑み,その勧誘行為の違法性が問われたものであるの対し,本件の保険は定額保険であり,その所期の保険利益が損なわれたのは契約当時予期しえなかった訴外日産生命の破綻によるものであること及び本件各保険契約における本件各ローン契約はあくまで保 のであるの対し,本件の保険は定額保険であり,その所期の保険利益が損なわれたのは契約当時予期しえなかった訴外日産生命の破綻によるものであること及び本件各保険契約における本件各ローン契約はあくまで保険料調達の一手段にすぎず,変額保険のような内在的なリスクに直結したものではないことから全く事案を異にする。 公序良俗違反行為の有無(不当利得構成)(原告らの主張)被告らが,被告ら従業員に本件各保険契約及びローン契約を締結させたことは銀行法12条,保険業法3条,募取法9条(現保険業法275条)に違反するものであり,本来保険業務及び保険募集業務をできない者が行った法律行為であるから,公序良俗違反行為として,民法90条に違反し,本件各保険契約及びローン契約はいずれも無効である。よって原告らが被告らに支払った各既払利息は,不当利得として返還すべきものである。 原告らは,各被告に対し,それぞれ,利息金相当額の内金50万円につき不当利得返還請求として,支払を求める。 第四当裁判所の判断一争点1について 原告番号13について甲個13第1ないし3号証,第7号証によれば,原告の次男である訴外Aが本件ローン契約の当事者であると認められる。 原告番号43について甲個43第1,第2,第4号証の各1,第5号証の4によれば,原告の配偶者である訴外Cが本件ローン契約の当事者であると認められる。 原告番号60について甲個60第1ないし第3号証によれば,原告の配偶者である訴外Dが本件ローン契約の当事者であると認められる。 上記各原告が本件各ローン契約の締結のために具体的に動き,借受金返済金を出捐したものであるとしても,上記契約当事者の認定に消長を来すものではない。 そうすると,原告番号13,43,60の各原告につき,被告らの違法な勧誘によって本件各 ために具体的に動き,借受金返済金を出捐したものであるとしても,上記契約当事者の認定に消長を来すものではない。 そうすると,原告番号13,43,60の各原告につき,被告らの違法な勧誘によって本件各ローン契約の当事者としての義務を負担するに至ったことを前提とする本件損害賠償請求あるいは不当利得返還請求はいずれも,その余につき判断するまでもなく理由がないことに帰する。 二争点2ないし5について 前提事実に,甲第1ないし第10号証,第17ないし22,甲個1第1,個2第1ないし6,個3第1,2,個4第1ないし6,個5第1ないし4,個6第1,2,個7第1ないし3,個8第1ないし4,個9第1ないし4,個10第1ないし5,個11第1ないし3,個12第1ないし4,個14第1ないし4,個15第1ないし4,個16第1ないし4,個17第1ないし4,個18第1ないし4,個19第1,2,個20第1ないし3,個21第1ないし3,個22第1,2,個23第1,個24第1,2,個25第1,個26第1,2,個27第1ないし3,個28第1,2,個29第1ないし3,個30第1ないし4,個31第1,個32第1,個33第1,2,個34第1,個35第1ないし9,個36第1,個37第1,個38第1ないし第7,個39第1ないし11,個40第1,2,個41第1,個42第1ないし7,個43第1ないし9,個44第1,個45第1ないし8,個46第1,2,個47第1ないし4,個48第1ないし5,個49第1ないし7,個50第1ないし4,個51第1,個52第1ないし3,個53第1ないし3,個54第1ないし4,個55第1ないし6,個56第1ないし4,個57第1ないし6,個58第1ないし3,個59第1ないし7,個60第1ないし3,個61第1,個62第1ないし7,個63第1ないし5,個64第1な ないし4,個55第1ないし6,個56第1ないし4,個57第1ないし6,個58第1ないし3,個59第1ないし7,個60第1ないし3,個61第1,個62第1ないし7,個63第1ないし5,個64第1ないし4,個65第1ないし5,個66第1ないし9,個67第1,2,個68第1ないし3,個69第1,2,個70第1ないし5,個71第1ないし5,個72第1ないし4,個73第1,2,個74第1ないし6,個75第1ないし3,個76第1ないし7,個77第1,2,個78第1ないし4,個79第1ないし6,個80第1ないし4,個81第1ないし5,乙第1ないし第3号証の各1ないし3,第4ないし7,戊76個第1ないし3,個77第1ないし4,庚個78第1号証,原告E,原告F,原告G各本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨を総合すると,次のとおり認定できる。 (一)各被告は,訴外日産生命と提携し,同保険会社の年金型保険の保険料の一括払い資金を各被告銀行においてローンを組んで顧客に融資する「年金ローン」のセールスを始め,そのセールス方法の研修をするなどして,営業取組を強化した。上記の年金ローンとして提携した保険は,①ウィルウェル10年保証終身個人年金保険(一括払い・60歳まで払込,65歳年金開始,②ピップポップ育英保険(一括払い・22)歳満期・子供の加入時年齢0歳)③パスポート終身保険(一括払い・70歳払込・保険金500万円)+生存給付金特約(一括払い・15年満期生存30年)④ケアプラン介護保険(一括払い・70歳払込・介護支払限度5年)であり,いずれも定額保険であった。 ,,,(二)各被告の担当行員は顧客である各原告に対し各被告の商品として「年金ローン」の勧誘をした。担当行員は,勧誘に当たっては,概ね,パンフレットを示して,受取年金額,年金受取開始日,受取 ,,,(二)各被告の担当行員は顧客である各原告に対し各被告の商品として「年金ローン」の勧誘をした。担当行員は,勧誘に当たっては,概ね,パンフレットを示して,受取年金額,年金受取開始日,受取期間,受取開始日前日解約受取金額等を説明し,保険料一括支払資金の融資を各被告銀行から受けてローンを組んだ場合のローン返済額と月払保険料額との差額を説明して,年金ローンを組む方が得であることを強調し,顧客から,無理のない月額ローン返済額を聴取して,ローン返済プランを作成して説明した。その際,担当行員は,顧客によっては,ローン返済額を「毎月積立額」と表現し,長期の積み立てとして,運用利回りの点でも有利であることを強調した。顧客の中には,保険料一括支払を希望する者もあったが,その場合には,担当行員は,ローンを組まなければ,被告銀行の年金ローンの勧誘をすることはできないと言い,1,2年の,,短期返済期間でもいいから被告銀行のローンの利用をするよう求めて年金ローンを勧誘した。 (三)担当行員は「年金ローン」の成約があると,各被告銀行との間のローン契約書,年金保険申込書,告知事項に,顧客である各原告の署名,捺,,。 印をしてもらったがその内容事項については代筆することもあったローン契約書には,資金使途として訴外日産生命の保険の一括払い保険料の支払いである旨また訴外日産生命名義の預金口座への振込を各被告に委任する旨の記載があり,年金保険申込書にはその上部冒頭に「日産生命保険相互会社御中」と太字ブロック体で記載されており,各原告はそれぞれの複写の交付を受けた。 その後の手続きとして,各被告銀行は,一括保険料額を訴外日産生命の,,口座に振り込み訴外日産生命の保険代理店に年金保険申込書を持参し間もなく,保険代理店から保険約款が,訴外日産生命から 受けた。 その後の手続きとして,各被告銀行は,一括保険料額を訴外日産生命の,,口座に振り込み訴外日産生命の保険代理店に年金保険申込書を持参し間もなく,保険代理店から保険約款が,訴外日産生命から保険証券が顧客に対し送付されている。 原告らはいずれも,上記約款,保険証書の送付を受け,別紙ローン契約表≪略≫のとおり,各被告に対し,元利金を割賦弁済したが,訴外日産生命の経営破綻に至るまでは,保険契約の締結あるいはローン契約の締結について,何らの異議又は苦情申立もしていない。 (四)本件の各保険成約に至る過程には,保険募集人は関与せず,各被告担当行員しか関わっていない。 (五)その後,訴外日産生命は,平成9年4月25日業務停止して経営破綻し,同年6月20日,保険管理人となった社団法人生命保険協会の出資により新設された訴外あおば生命保険株式会社に対し,訴外日産生命のすべての保険契約の移転がなされた。その結果,満期日,年金開始日,払込保険料等の変更はないものの,平成9年7月15日を変更基準日と,(. . して予定利率年275パーセントを超える保険契約について年2),,,,75パーセントに保険金額年金額生存給付金額が減額変更され早期解約控除制度が導入されて,所定の解約返戻金につき,早期解約の,。 場合には3パーセントないし15パーセント控除されることとなった(六)上記の結果,各原告が,本件の提携型年金保険ローンにかかる契約をなしたことによって,損害を生じた結果となるのかどうか,また,損害を生じたとすればその額がいくらになるのかは,各原告が本件各保険契約から受ける利益と,ローンによる負担を含め,損益相殺して算定すべきこととなるが,これを判定するに足る資料はない。 争点2について募取法9条は登録された生命保険募集 のかは,各原告が本件各保険契約から受ける利益と,ローンによる負担を含め,損益相殺して算定すべきこととなるが,これを判定するに足る資料はない。 争点2について募取法9条は登録された生命保険募集人以外の者が生命保険の「募集」を行うことを禁止しており,同条の募集とは保険契約の締結の代理又は媒介をなすことをいう(同条2条3項。 )そして,同法22条で同法9条違反に対する罰則を規定していること,保険契約とその保険料支払いに関する銀行ローン契約とを提携した形態は法律上禁止されているものではないことに照らすと「媒介」とは,少なくとも契約締結過程のうち中核的な行為をした場合をいうものと解される。 而して,1に認定したところによれば,各被告は,各原告に対し,それぞれ,訴外日産生命保険加入の勧誘を行い,保険内容を説明し,保険料一括払いを勧めてその資金について被告らとの融資契約を締結させるとともに,告,()知書及び生命保険申込書に記入させ申込書を募集代理店生命保険募集人に持参したものであり,この一連の行為の中には全く生命保険募集人は登場しておらず,各被告の勧誘行為は,訴外日産生命と各原告との間の保険契約の締結の媒介をなしたと評価するほかない。 募取法16条1項1号は,生命保険募集人において,保険契約の契約条項のうち重要な事項を告げない行為をしてはならない旨規定しており,生命保険募集人を登録制度としているなど厳格な要件を定めていることを考慮すれば,上記説明義務は,①有資格者たる生命保険募集人が,②重要事項を説明しなければならないという2つの規範を定立しているものと考えられるところ,本件の場合,生命保険募集人は原告らに対し,生命保険の内容について一切の説明を行っておらず,説明を行ったのは被告ら従業員のみである。したがって,生命保険募集人は,被告ら いるものと考えられるところ,本件の場合,生命保険募集人は原告らに対し,生命保険の内容について一切の説明を行っておらず,説明を行ったのは被告ら従業員のみである。したがって,生命保険募集人は,被告ら従業員に原告らに対する説明義務の履行を委ね,被告ら従業員は,本来有資格者たる生命保険募集人が行うべき説明を代行して行ったのであるから,同条に違反する。 他方,上記のとおり,被告らが,その業務に属する年金ローンの顧客を獲得するための手段として,保険募集人の行為に該当する行為を行ったとしても,そのことのみによって直ちに,銀行法12条で禁止する「他業務を行った」ものとはにわかに認め難いところである。 したがって,被告らのなした本件の各保険契約締結に関与する行為は,募取法9条及び16条1項1号に違反するものであるが,募取法は,保険事業の健全な運営を目的とする取締法規であること,本件の勧誘対象が運用成果に応じて保険金額や解約返戻金が変動する変額保険のような投資リスクの高い商品ではなく,利息や配当金収入など安全性重視の運用を行い,仮に運用の成果が予定利率を下回った場合でも一定の運用利回りを保証したいわゆる定額保険であり,原告らも保険契約締結自体による権利侵害性は主張せず,保険契約の違法・無効を主張しないことからも明らかなように,成約した保険契約自体は問題となっていないことに照らすと,上記違反は,私法上直ちに違法とされ,不法行為となるものではないものと言わざるを得ない。 争点3について(一)原告主張①,③及び⑥について原告主張に沿う原告本人の各陳述書及び原告本人尋問(原告番号35,54,59)の結果が存する。しかしながら,本件各ローン契約書には,資金使途として訴外日産生命の保険の一括払い保険料の支払いである旨また訴外日産生命名義の預金口座への振込を 本人尋問(原告番号35,54,59)の結果が存する。しかしながら,本件各ローン契約書には,資金使途として訴外日産生命の保険の一括払い保険料の支払いである旨また訴外日産生命名義の預金口座への振込を各被告に委任する旨の記載があり,年金保険申込書にはその上部冒頭に「日産生命保険相互会社御中」と,,太字ブロック体で記載されており各原告はそれぞれの複写の交付を受け間もなく,保険代理店から保険約款が,訴外日産生命から保険証券が送付されており,原告らはいずれも,別紙ローン契約表≪略≫のとおり,各被告に対し,元利金を割賦弁済し,訴外日産生命の経営破綻に至るまでは,保険契約の締結あるいはローン契約の締結について何らの異議又は苦情申立もしていないことは前示認定のとおりであることに照らすと,前記供述はにわかに採用できない。 (二)原告主張②において原告らが掲げる事実によっても,各被告銀行が保険契約について保証していると誤解させるに足る行為があったものとは認め難い。 (三)原告主張④⑤について銀行の融資契約と保険契約は別個の契約であって,保険契約についての説明義務は契約の当事者である保険会社が負っているものであり,また募取法9条により無資格者による募集が禁止されているのであるから,被告らに積極的に保険内容についての説明義務を認めることはできず,たとえ銀行ローンと保険契約の一体性あるいは被告が本件保険契約締結のきっかけを作ったことを理由に一定の説明義務が認められることがあるとしても,本件の勧誘対象がいわゆる定額保険であることに照らすと,原告主張④の事実をもって被告らの行為に違法性があるものとまでは認められない。 また,被告らが,保険契約との提携ローンの勧誘に必要な範囲・限度において,ある程度の見通しを述べるなどして本件保険契約の内容について説明 もって被告らの行為に違法性があるものとまでは認められない。 また,被告らが,保険契約との提携ローンの勧誘に必要な範囲・限度において,ある程度の見通しを述べるなどして本件保険契約の内容について説明することは,許されうるところであり,その限度を超えて虚偽説明等違法な行為に及んだ事実を認めるに足りる証拠はない。 (四)原告主張⑦について被告ら担当行員が,保険料一括支払を希望する顧客に対しては,ローンを組まなければ,被告銀行の年金ローンの勧誘をすることはできないと言っていたことは前示認定のとおりであるが,被告らにおいて本件保険にかかる提携ローンを勧誘することはできるが,保険自体の勧誘をすることはできない以上,当然のことであって,原告主張⑦の事実は違法と評価し難いところである。 (五)その他原告主張⑧で主張する社会的不相当行為の類型に入るものとして原告らが掲げる行為態様は,それ自体で違法と評価しうる不当な利益誘導,威迫,強要ないし虚偽事実の告知等にあたるものとは認め難い。 (六)また,前記認定の募取法違反と相俟ち,あるいは補強して,被告らの違法行為を基礎づけるに足るような事情は認められない。 争点4について仮に原告らの主張するように本件各ローン契約の締結・勧誘行為が違法な不法行為であるとしても,その一方で原告自身が同契約あるいは提携した保険契約の無効,取消等を主張せず,各契約が有効であることを前提とする以上原告らには保険契約上の利益が認められる。 そして有効に締結された本件各ローン契約の義務履行としての金利の支払額が原告らの保有している保険契約上の利益を越えなければ損害を観念しえないところ,保険契約上の利益は解約がなされた場合は保険事故発生の場合に保険金給付を受け得た利益・地位の価値と解約返戻金の形で確定し,満期前未解約の状態では保 約上の利益を越えなければ損害を観念しえないところ,保険契約上の利益は解約がなされた場合は保険事故発生の場合に保険金給付を受け得た利益・地位の価値と解約返戻金の形で確定し,満期前未解約の状態では保険事故発生の場合に保険金給付を受ける利益・地位を保有するとともに,時期を見て解約して解約返戻金を受け取る選択権を有している状態であり,満期時には満期支払金又は年金総額として確定する。仮に被告らの前記違法行為により,原告らが保険契約を締結し,その後訴外日産生命が破綻したことにより被った損害についても因果関係のある損害に含めると解釈できるとしても(そう解釈しないと損害自体がない,原告ら。)はその解約・満期の事実及び解約返戻金の額・満期支払金の額について主張しないのであるから,かかる条件下では具体的に損害が発生したのか不明あるいは仮に発生しているとしても不確定であるものというほかない。 また,慰謝料については,仮に被告らの行為に違法性が認められたとしても,本来財産上の損害は財産上の請求によって回復されるのであるから,精神的損害の賠償はこれをもってしてもなお回復し得ない特別の事情のある場合にのみ考慮すべきものであるが,本件各保険・各ローン契約はいずれも有効であることを前提とするものであること,原告らは訴外日産生命が破綻するまでは,被告らに対し,保険契約締結,ローン契約締結についての苦情申立てをせず,原告らが主張する精神的苦痛の損害は専ら訴外日産生命保険の破綻に伴う保険契約上の地位の価値の下落に向けられていることに照らすと,上記の特別の事情を認めることは困難である。 争点5について前示争点2及び3に説示したところによると,被告らの本件各保険契約と提携した本件各ローン契約締結に向けた行為はいまだ,公序良俗に反するものとは認められない。 三 結論 難である。 争点5について前示争点2及び3に説示したところによると,被告らの本件各保険契約と提携した本件各ローン契約締結に向けた行為はいまだ,公序良俗に反するものとは認められない。 三 結論 以上の次第で,原告らの被告らに対する請求はいずれも理由がないから,これを棄却すべく,訴訟費用の負担につき民事訴訟法65条1項,61条を各適用して,主文のとおり判決する。 岡山地方裁判所第一民事部裁判長裁判官金馬健二裁判官金光秀明裁判官潮海二郎
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