【DRY-RUN】主 文 本件各控訴を棄却する。 理 由 本件控訴の趣意は末尾に添付した被告人両名の弁護人川上隆、同一瀬英夫両名々 義の控訴趣意書記載のとおりで、これに対し当裁
主文 本件各控訴を棄却する。 理由 本件控訴の趣意は末尾に添付した被告人両名の弁護人川上隆、同一瀬英夫両名々義の控訴趣意書記載のとおりで、これに対し当裁判所は次のように判断する。 論旨第二点について。 本件被告人両名に対しては最初検察官から賍物運搬の事実について公訴提起がありその後差戻前の第一審において右賍物運搬から食糧管理法違反の事実へと訴因罰条の変更があつたところ、差戻後に於て再び訴因を変<要旨>更し、食糧管理法違反から最初の賍物運搬の訴因へと復したものである。しかしこの両者はその日時、場所が</要旨>同一であるし、その方法においても一は主食である米麦を運搬したという食糧管理法違反の事実であり、他は賍物である米麦を運搬したとの賍物運搬の事実であり、基本たる事実関係において両者の間に差異を認められないから、公訴事実の同一性を害する虞はなく、右訴因の変更はいずれも許さるべきものいわなければならない。所論第一は二度目の訴因変更は最初の訴因変更を取消したものとし、かかる訴因変更の取消は違法と主張するのであるが理由がない。 次に所論は右食糧管理法違反の罪と賍物運搬罪とは構成要件が異るしその罪質も違つているから訴因の変更は公訴事実の同一性を害すると主張するが、構成要件が違つているからこそ、訴因を変更する実益があるのであり、構成要件が同一でなければ公訴事実の同一性を害するというのは理由がないし、罪質が違うからとて公訴事実の同一性を害するものとはいえない。又右両者の罪は法定刑が異ることは当然であり、それ故食糧管理法違反から賍物運搬罪へと訴因を変更されれば被告人にとつて不利益なこととなるが、それは事の性質上やむを得ないところであつて、この不利益があるからといつて訴因の変更を違法とすべきではないし、右訴因 管理法違反から賍物運搬罪へと訴因を変更されれば被告人にとつて不利益なこととなるが、それは事の性質上やむを得ないところであつて、この不利益があるからといつて訴因の変更を違法とすべきではないし、右訴因の変更により、被告人に新たな防禦を講ずる必要が生じたとしても、それは被告人に充分防禦の準備をさせるため必要な期間公判手続の停止を求める事由とはなり得ても(刑訴第三一二条第四項参照)訴因の変更自体を禁止する理由にはならない。 所論は更に右訴因の変更は時期に遅れたものであり、刑罰権の鑑用であり、裁判所法第四条の精神に反するとも主張している。本件公訴提起は昭和二十四年十二月十七日であり、最初の訴因変更が為されたのは昭和二十五年二月十六日であり、その後同年三月十五日に第一審の無罪の判決言渡があつて、これに対し検察官から控訴の申立があり、第二審の破棄差戻の判決が為されたのは同年十二月十三日である。然るにその後本件記録は当裁判所にそのまゝとなつており、第一審裁判所に送付されたのは昭和二十七年八月となつた関係上、その後第一審の審理が初まり二度目の訴因変更があつたのは同年九月二十五日であつたから、第一回の訴因変更のあつた日から計算すると二年六ケ月以上を経過しているわけである。しかしこのように訴訟が遅延したことは司法行政上の監督権の発動を促す原因とはなり得ても、訴因の変更を違法とする事由とはならない。又訴因変更により法定刑が重くなつたにしても、二年六月経過後の訴因変更が検察官の恣意に基くものとして公訴権の濫用であり、刑事訴訟規則第一条第二項に違反するという理由は認められないし、高等裁判所の差戻判決後に於ては訴因を変更してはならないということも認められないのであるから所論はいずれも理由がない。 (その他の判決理由は省略する。)(裁判長判事近藤隆蔵判事 れないし、高等裁判所の差戻判決後に於ては訴因を変更してはならないということも認められないのであるから所論はいずれも理由がない。 (その他の判決理由は省略する。)(裁判長判事近藤隆蔵判事吉田作穂判事山岸薫一)
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