【DRY-RUN】主 文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事 実 第一 当事者の求めた裁判 一 請求の趣旨 1 原告と被告との間に雇用契約関係が存在し、原告が被告の人
主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 1 原告と被告との間に雇用契約関係が存在し、原告が被告の人事本部長としての地位を有することを確認する。 2 被告は原告に対し金五三三四万四一〇〇円及びこれに対する昭和五六年三月二六日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。 3 被告は原告に対し昭和五六年四月一日以降毎月二五日限り一か月金九五万七〇〇〇円並びに毎年六月末日限り金一六八万二〇〇〇円及び一二月末日限り金二五二万三〇〇〇円を各支払え。 4 訴訟費用は被告の負担とする。 5 第二、三項につき仮執行の宣言。 二請求の趣旨に対する答弁 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 担保を条件とする仮執行免脱の宣言。 第二当事者の主張一請求の原因 1 被告フオード自動車(日本)株式会社(以下「被告会社」という。)は、完成自動車の輸入、改造及び卸売販売並びに自動車部品の輸入、買付及び卸売販売を業とする株式会社で、資本金二億五〇〇〇万円(発行済)、従業員約二八〇名を擁し、東京都に本社を、横浜市に工場及びパーツ(部品)・センターを有している。 2 原告は、昭和五一年九月一三日、契約の始期を同年一〇月一五日、試用期間九〇日の約束で被告会社の人事本部長として雇用され(以下「本件契約ないし本件雇用」という。)、同五二年一月一四日の試用期間満了とともにいわゆる終身雇用の従業員(パーマネント・エンプロイー)となつた。 3 しかるに、被告会社は、原告を雇用したとして同年九月一日以降原告を被告会社の人事本部長として取扱わず、賃金の支払もしない。 4 原告の被告会社に対して有する昭和五六年三月末日現在における未払賃金・賞与の額は、以下の 社は、原告を雇用したとして同年九月一日以降原告を被告会社の人事本部長として取扱わず、賃金の支払もしない。 4 原告の被告会社に対して有する昭和五六年三月末日現在における未払賃金・賞与の額は、以下のとおりである。 (一) 昭和五二年六月ないし同年八月昇給差額分三二万六〇〇〇円(二) 同年九月ないし同五三年五月分九五三万八二〇〇円(賃金七三八万〇九〇〇円、冬賞与二一五万七三〇〇円)(三) 同五三年六月ないし同五四年五月分一四三二万八〇〇〇円(賃金一〇四八万八〇〇〇円、夏・冬賞与三八四万円)(四) 同五四年六月ないし同五五年五月分一五一六万九四〇〇円(賃金一〇九八万六〇〇〇円、夏・冬賞与四一八万三四〇〇円)(五) 同五五年六月ないし同五六年三月分一三九八万二五〇〇円(賃金九五七万円、夏・冬賞与四四一万二五〇〇円)以上、(一)ないし(五)の合計五三三四万四一〇〇円である。 5 原告の被告会社に対して有する昭和五六年四月一日以降の月額賃金(支払日毎月二五日)並びに夏期(支払日毎年六月末日)及び冬期(支払日毎年一二月末日)の各賞与の額は、以下のとおりである。 (一) 月額賃金九五万七〇〇〇円(月額基本給八四万一〇〇〇円、月額諸手当一一万六〇〇〇円)(二) 夏賞与一六八万二〇〇〇円(月額基本給の二か月分)(三) 冬賞与二五二万三〇〇〇円(月額基本給の三か月分) 6 よつて、原告は被告に対し、被告の人事本部長としての雇用契約関係の存在確認を求めるとともに、昭和五二年六月から同五六年三月までの未払賃金・賞与の合計である金五三三四万四一〇〇円及びこれに対する履行期後の同五六年三月二六日から完済に至るまで年五分の割合による遅延損害金並びに請求の趣旨3記載の月額賃金・賞与の各支払を求める。 二請求の原因に対する認否 1 請求の原因1の事実は認 れに対する履行期後の同五六年三月二六日から完済に至るまで年五分の割合による遅延損害金並びに請求の趣旨3記載の月額賃金・賞与の各支払を求める。 二請求の原因に対する認否 1 請求の原因1の事実は認める。 2 同2の事実中、原告が終身雇用の従業員になつたことは否認し、その余の事実は認める。 被告会社の制度上、「パーマネント・エンプロイー」に対応するのは試用中の従業員であり、「パーマネント・エンプロイー」とは正式に雇用された従業員のことである。 3 同3の事実は認める。 4 同4は争う。ただし、原告が被告会社の従業員であるとすれば支払を受けるべきである月額賃金・賞与の金額については認める。 5 同5は争う。ただし、原告が被告会社の従業員であるとすれば支払を請求できる月額賃金・賞与の金額については認める。 三被告の主張(解雇理由) 1 被告会社は、原告に対し、昭和五二年七月二八日付でそのころ原告に到達した書面で、原告に就業規則三二条一項(ト)「業務の履行又は能率が極めて悪く、引き続き勤務が不適当と認められる場合」及び同条項(リ)「雇用を終結しなければならないやむを得ない業務上の事情がある場合」に該当する事由があることを理由に、同年八月末日をもつて解雇する旨の意思表示をした(以下「本件解雇」という。)。 2 解雇の具体的理由は次のとおりである。 原告の業務の実績は、以下に述べるとおり、被告会社の組織上社長に次ぐ最上級管理職四名のうちの一名である人事本部長の地位にあるものとしては積極性を欠き、能率が極めて悪い等、被告会社において同人を右の地位において引き続き勤務せしめることが不適当と認められ、その結果、このまま雇用を継続することができない業務上の事情が存在するのであるから、就業規則三二条一項(ト)(以下「規則(ト)」という。)及び(リ)(以下「 続き勤務せしめることが不適当と認められ、その結果、このまま雇用を継続することができない業務上の事情が存在するのであるから、就業規則三二条一項(ト)(以下「規則(ト)」という。)及び(リ)(以下「規則(リ)」という。)に該当する。 (一) 原告は、一般の従業員の雇用とは異なり、「人事本部長」という職務上の地位を特定して、特段の能力の存在を期待されて、被告会社に中途採用されたものである。 (二) 原告の学歴及び経験に照らし、原告は、米国系会社の人事管理において、特に能力評価が重要な意味を持つことを十分に承知して入社したものである。 (三) 原告は、同人に課せられた事務の処理を過度に部下に委ねすぎる。すなわち、被告会社の規模を考えれば上級管理職として積極的に各種連絡文書の作成等常務の処理に自ら積極的にあたる必要があるのに、それを怠つた。 (四) 人事本部長としては、従業員、工員等との間に良好な人間関係を成立させるように努力しなければならないのに、その努力を怠つた。 (五) 必要のない人間に不必要なことを知らしめないよう注意する必要があるのに、その注意を怠つた。 (六) 原告の前任の人事本部長であり、かつ、原告の指導担当者であつたa(以下「a」という。)は、昭和五二年一月五日付の原告に対する勤務評定に基づき、原告と十分に話し合い、この時は欠点を指摘し注意するというよりも、積極的な勧告を与え指導するという形で原告の執務態度の改善を要望したが、このような状態は、その後の試用期間中依然として改められなかつた。 (七) 原告はその能力を人事の分野に集中せず、むしろ広報とか経営企画の分野に関心を持つているのではないかと思われたし、また、仕事の重要性、優先度を健全に判断する能力を欠くのではないかとの疑問をいだかせた。 (八) aは、昭和五二年一月一八日、原告と長 報とか経営企画の分野に関心を持つているのではないかと思われたし、また、仕事の重要性、優先度を健全に判断する能力を欠くのではないかとの疑問をいだかせた。 (八) aは、昭和五二年一月一八日、原告と長時間話し合い、その時は率直に欠点を欠点としてすべて指摘し、今後特に(イ)人事の分野に注意・努力を集中すべきこと、(ロ)課せられた事務は自ら処理して能力を実証すべきこと、(ハ)連絡文書は自ら起案作成すべきことを要望した。 (九) aは、同月二五日ころ、当時自ら実施し始めていた給与職の職務についての調査が、原告が被告会社の人事本部長としての職務に適応する訓練及びその能力の有無を観察する目的に適すると考え、調査を要する七一の職のうち自らすでに施行した一六の職を除きその余の五五の職について担当者との面接、調査、これに基づいた最終的分析、要約及び勧告を含めたリポート作成の作業(この一連の仕事を、以下「ジヨブ・オーデイツト」という。)を行うように指示したが、原告は五つの職について担当者との面接を済ませただけで、昭和五二年二月六日、研修のためオーストラリアへ出発した。 (一〇) 原告は、オーストラリアにあるフオード・アジア太平洋地域本部(以下、「フアスパツク」という。)における研修期間中、「上級管理職の研修について」というような題目や、「社員食堂の設備・運営」といつた限られた主題には興味を持つたように見うけられたが、主要な部分である人事本部の常務に属する事項には全く関心を示さず、研修の成果はあまりなかつたものと考えられた。人事本部長という上級管理職を対象とする研修であるから、一定の日程及び教材に従つて機械的に進行できるわけのものではなく、研修者が疑問等を提出し、あるいは自己の職務範囲中の問題点について助言を求める等積極的に関心を示し、講師と協同して作業する あるから、一定の日程及び教材に従つて機械的に進行できるわけのものではなく、研修者が疑問等を提出し、あるいは自己の職務範囲中の問題点について助言を求める等積極的に関心を示し、講師と協同して作業することにより研修の成果を挙げることが期待されていたのである。 (一一) 原告は、右研修を終えて同月二四日オーストラリアを出発し帰国したが、被告会社はなお原告の努力向上の希望を捨てず、当時フアスパツクにいたaは、原告が帰国するに際し、帰国後は積極的に自ら直接に事務を処理するように激励し、前述のジヨブ・オーデイツトを継続促進するよう指示した。 (一二) 原告は、同年三月初旬から単独で人事本部長としての執務を開始した。 なお、その後被告会社においては人員縮小計画が実施されたが、被告会社は新任の人事本部長の将来の執務に支障が生じないよう配慮し、同人の関与は限られた最小限のものであつた。そして、その後同年四月上旬ころまでの勤務状態についてみると、被告会社が従来繰り返し注意し改善を要望してきた問題点、すなわち(イ)事務処理をほとんど部下に委譲してしまう、(ロ)従業員・工員との良好な人間関係の形成に努めない、(ハ)文書の起案・作成に自らあたらない等は、依然として改善されないばかりか、改善の努力も見られなかつた。 特にジヨブ・オーデイツトについては、同年三月にb社長からその進行状況等の問い合わせを受けた際、メモで翌四月二五日までに完了すると答え、さらに四月一日に同社長が進行状況の報告を求めたのに対し、理由を示さず一か月ないし二か月完了時期が延びると回答したにとどまつた。実際には、人事本部長を解任する旨の告知があつた同月二〇日までに原告が行つたジヨブ・オーデイツトは、オーストラリアでの研修へ出発する前に行つた五人に対する面接だけで他に何もしておらず、要するに指示され には、人事本部長を解任する旨の告知があつた同月二〇日までに原告が行つたジヨブ・オーデイツトは、オーストラリアでの研修へ出発する前に行つた五人に対する面接だけで他に何もしておらず、要するに指示された事務の処理を怠り、社長に対し不誠意、不正確な報告をしていた。 (一三) 原告は、旧勤務先の日本IBM社の規則や事務処理方法を引き合いに出して、所要の指示承認を求めずに人員を異動したり、被告会社の規則、事務処理方式を身につけようとせず、ないしは無視する傾向があり、独断的な行動が多かつた。例えば、原告は、同年四月、被告会社の規則を無視し、被告会社を統括する立場にあるフアスパツクの承認を得ずに月給制社員であつた五人の守衛を生産部及び工務部の現業社員に配置換えし、後日部下の忠告により承諾を得ようとしたが、結局認められなかつた。このような措置は、被告会社が総力を挙げて成功させた人員削減計画の終了直後に行われたということにおいて、特に重大である。すなわちこの配置転換は、苦労して削減した現業部の人員をまた増加させることにほかならない。そして、この重大な規則違反をみるに至つて、被告会社は原告を人事本部長から解任することもやむを得ないと考えるに至つた。 そしてまた、原告のこのような行動は、他の上級管理職との間の人間関係を不円滑にし、摩擦を生ずるようになつた。 (一四) このように、原告は、被告会社の要求する適格要件を知りながら(執務開始後については、直接、警告等を与えた。)、採用後数か月を経てもなお被告会社の人事本部長に適応するに至らなかつた。このことは、同人がその能力を欠くか又はその高学歴や前歴等が災いして被告会社の要請を充足しようとする意思を有しないかを示すものといわざるを得ず、いずれにしても規則(ト)にいう「業務の履行又は能率が極めて悪く、引き続き勤務 力を欠くか又はその高学歴や前歴等が災いして被告会社の要請を充足しようとする意思を有しないかを示すものといわざるを得ず、いずれにしても規則(ト)にいう「業務の履行又は能率が極めて悪く、引き続き勤務が不適当と認められる場合」に該当し、その結果、規則(リ)にいう「雇用を終結しなければならないやむを得ない業務上の事情がある場合」にも該当する。 四被告の主張に対する原告の認否 1 被告の主張1の事実は認める。 2 同2冒頭の事実中、人事本部長職が被告会社の組織上社長に次ぐ最上級管理職四つのうちの一つであることは認め、その余は争う。 (一) 同2(一)の事実中、原告が人事本部長として被告会社に中途採用されたものであることは認め、一般の従業員の雇用とは異なるとの点は否認する。 原告の採用後の職務については、人事関係の業務のほか、広報及び工場の購買関係の業務も担当させる可能性があること、被告会社が将来日本の自動車会社を買収する計画が実現した際には、原告はその買収した会社の人事本部長をも兼ねること、さらに原告の努力如何によつてはフアスパツクの人事本部長になる可能性もある等と告げられている。 (二) 同2(二)の事実中、原告が米国において教育を受けていること、米国系会社において人事管理の経験を有していることは認める。 (三) 同2(三)の事実は否認する。 (四) 同2(四)の事実は否認する。 原告が採用された直後である昭和五一年一〇月一八日から同年一二月中旬まで及び翌五二年一月中旬から二月初めまで、いずれも多数の工員のレイ・オフのために工場は殆んど閉鎖に近い状態であり、さらに同年二月、原告は約三週間オーストラリアに出張し、帰国後は直ちに希望退職募集の計画を実行したのであつて、このような状態の中でそもそも工員との良好な人間関係を形成するためにしばしば工場現 あり、さらに同年二月、原告は約三週間オーストラリアに出張し、帰国後は直ちに希望退職募集の計画を実行したのであつて、このような状態の中でそもそも工員との良好な人間関係を形成するためにしばしば工場現場に赴くということは事実上できなかつたし、またそのようなことをすることがはたして適切であつたかどうかも疑問である。のみならず、原告はこの希望退職計画の実施に関連して、計画の終了後、原告自身が経費を負担して工員との間にフリーデイスカツシヨン(自由討議)の機会をもち、意思疎通をはかるようにしようと提案しているぐらいだつた。 (五) 同2(五)の事実は否認する。 (六) 同2(六)の事実中、aが原告の前任の人事本部長であること及び原告の指導担当者であつたことは認め、その余の事実は否認する。 (七) 同2(七)の事実は否認する。 原告は、昭和五一年一〇月一五日から九〇日間の試用期間中、工場が閉鎖されていた等の理由から社内的に人事本部長としての業務を行うという機会自体が少なかつたものである。この期間中に原告は、(イ)aから命ぜられて人事本部内及びその他の部門の部長とミーテイングを持ち、被告会社の過剰人員吸収のための新しい事業のプロジエクトを作成してaやb社長に報告したり、(ロ)同年一一月中旬から一二月中旬にかけて、aを通じて同社長からフオード社と三菱自動車との提携の可能性について調査することを命ぜられて、その調査を行つて同社長に報告し、さらに鈴木自動車との提携の可能性についても研究し報告した。 (八) 同2(八)の事実中、原告が、昭和五二年一月一八日、aから(イ)人事の分野に注意・努力を集中すべきこと、(ロ)課せられた事務は自ら処理して能力を実証すべきこと、(ハ)連絡文書は自ら起案作成すべきことを要望されたことは認め、その余の事実は否認する。 右(イ)は 事の分野に注意・努力を集中すべきこと、(ロ)課せられた事務は自ら処理して能力を実証すべきこと、(ハ)連絡文書は自ら起案作成すべきことを要望されたことは認め、その余の事実は否認する。 右(イ)は将来への希望としてなされたにすぎず、原告の欠点を指摘するというものではなかつた。しかも被告会社は右のような指摘をする一方で、その直後にフロントエンジン・フロントドライブ車の発売予定及びその仕様に関する調査という人事以外の仕事を原告に命じているのであつて、被告会社の態度は首尾一貫していなかつた。さらに右(ロ)及び(ハ)について、aは「これまで工場閉鎖等で会社(被告会社)とオーストラリア(フアスパツク)との間の往復文書が少なかつたため、あなたに英文文書を提起してもらう機会が少なかつた。よつて、これからは自分で英文文書をどしどし起案してあなたの英文起案能力を会社に示さなければならない。」と発言しただけであつて、原告に対する注意ないし叱責という内容のものではなかつた。 (九) 同2(九)の事実中、ジヨブ・オーデイツトが被告会社の人事本部長としての職務に適応する訓練を目的としてなされたことは否認し、ジヨブ・オーデイツトが原告の能力の有無を観察する目的でなされたとの点は不知、その余は認める。 ジヨブ・オーデイツトの主たる目的は、人員整理のため各部署の余剰人員を見い出すことにあつた。また、ジヨブ・オーデイツトは原告だけに命ぜられたのではなく、工員の職務についてはaとc労務部長、事務職については原告とd人事部長が手分けして行うことになつていた。 (一〇) 同2(一〇)の事実は否認する。 (一一) 同2(一一)の事実中、原告が研修を終えて昭和五二年二月二四日オーストラリアを出発し帰国したこと、帰国前にaと会つたことは認め、aが原告と会つた際、帰国後は積極的に自ら の事実は否認する。 (一一) 同2(一一)の事実中、原告が研修を終えて昭和五二年二月二四日オーストラリアを出発し帰国したこと、帰国前にaと会つたことは認め、aが原告と会つた際、帰国後は積極的に自ら直接に事務を処理するように激励し、ジヨブ・オーデイツトを継続促進するよう指示したとの点は否認する。 (一二) 同2(一二)の事実中、原告が同年三月初旬から単独で人事本部長としての執務を開始したこと、その後被告会社において人員縮小計画が実施されたこと、b社長からジヨブ・オーデイツトの進行状況等の問い合わせを受けた際、メモで同年四月二五日までに完了すると答え、さらに同社長が同月一日に進行状況の報告を求めたのに対し、一ないし二か月完了時期が延びると回答したこと、同月二〇日までに原告が行つたジヨブ・オーデイツトは、オーストラリアでの研修に出発する前に五人に面接しただけであることはいずれも認め、その余は否認する。 ジヨブ・オーデイツトが一ないし二か月完了時期が延びる理由については、原告は同社長にc労務部長の面前で電話をして、人員整理の結果仕事の再配分が行われたり、また当然組織変更が行われるところから、さらに各人の職務内容に変更を生ずるので、現在直ちにジヨブ・オーデイツトを行つても無意味であるとの理由で完了時期を延期したいこと及びジヨブ・オーデイツトは各人の職務再配分後、落ち着いた様子を見てから実施したい旨を報告している。 (一三) 同2(一三)の事実中、フアスパツクの承認を得ずに月給制社員であつた五人の守衛を生産部及び工務部の現業職員に配置換えし、結局フアスパツクの承認が得られなかつたことは認め、その余は否認する。 守衛の異動については、製造部長、工場長の強い要望により実施したものである。これに際しても、b社長の事前の承認は得ており、その旨フアスパツクに の承認が得られなかつたことは認め、その余は否認する。 守衛の異動については、製造部長、工場長の強い要望により実施したものである。これに際しても、b社長の事前の承認は得ており、その旨フアスパツクに通知した。当時フアスパツクにいたaは、テレツクスによりこの異動が承認されたことを通知してきたが、その後いかなる理由か原告にではなくc労務部長に直接電話でその承認は撤回された旨の連絡をしている。そもそも守衛の異動については、月給制従業員の増加ではなく減少であり、また、時間給制従業員(配転先の生産部及び工務部の現業職員はこれに該当する。)については、予算の範囲内でフアスパツクの承認なしに被告会社独自で増減できるものである。 次に、もし仮に、他の上級管理職との間に摩擦を生じたとしたならば、六〇名という不合理な人員整理の実施を社長に代わつて行い(e工場長は三〇名が妥当であると考えていた。)、工場長はじめ各部長に人員整理計画に基づく削減人員の割り当てを行い、これを説得したために生じたとしか考えられない。 (一四) 同2(一四)は争う。 五原告の反論(本件解雇の無効事由) 1 就業規則の解釈に関する主張被告会社は、規則(ト)及び(リ)に該当するとして原告を解雇する旨の意思表示をなしたが、右解雇は就業規則の解釈を誤つてなしたものであり、無効である。 (一) まず、規則(ト)の「従業員の業務の履行又は能率が極めて悪く、引き続き勤務が不適当と認められる場合」についてであるが、「業務の履行又は能率が極めて悪く」という表現自体からしても、また試用期間終了後は終身雇用従業員となるとの雇用契約の内容からしても、この条項を適用して原告を解雇するには、原告の「業務の履行又は能率」が極端に不良で、これを矯正したり他に配置換えをする等の余地がなく、被告会社から排除する以外に となるとの雇用契約の内容からしても、この条項を適用して原告を解雇するには、原告の「業務の履行又は能率」が極端に不良で、これを矯正したり他に配置換えをする等の余地がなく、被告会社から排除する以外に方法がない場合でなければならない。 (二) 次に、規則(リ)の「雇用を終結しなければならないやむを得ない業務上の事情がある場合」とは、その表現自体によつて明らかなとおり、被告会社に存する業務上の事由、例えば経営困難による人員削減、組織変更による部門又は役職の廃止により従業員を解雇する場合等を指すものと解すべきであるが、原告は雇用されてから約一〇か月しかたつておらず、この間被告会社には人事本部長の役職を廃止しなければならないような事情は全く生じていない。 2 原告のなした業績に関する主張原告は人員整理及びそれ以外の分野で次のような業績を挙げており、規則(ト)及び(リ)に該当しない。 (一) 人員整理に関する原告の業績(1) 原告の前任者であるaの人員整理に関する計画は極めて不十分なもので、何か月分かの特別手当を退職する従業員に支給するということのみを主な内容とするもので、実施段階に細かい配慮の足りないものであつた。例えば、退職する従業員に対して被告会社が再就職を斡旋する期間を考慮しておらず、また人員整理の実施のために不可欠である工員の勤務評定ですら昭和五二年一月現在においてもなお完成していなかつた。原告はaの不十分な計画を補い、人員整理をスムーズに実行するために、管理者給与の一時的カツト及び賞与の遅払いを立案し、その必要性を他の管理者に説得し実施した。 (2) 同年一月から二月にかけて実施された一部従業員の一時帰休に際しても、原告は、その後に予定された人員整理の実施を考慮して、帰休する従業員の人数、選択方法、グループ分け、帰休の方法、順序等その (2) 同年一月から二月にかけて実施された一部従業員の一時帰休に際しても、原告は、その後に予定された人員整理の実施を考慮して、帰休する従業員の人数、選択方法、グループ分け、帰休の方法、順序等その立案・実施の全面にわたつて主導的役割を果たした。すなわち原告は、f生産部長に生産部従業員の組分けとその理論的根拠について直接説明し、同部長は原告の説明に納得して部下のgゼネラル・フオアマンを呼び、原告の説明を繰り返して組分けを命じた。この組分けは人員整理の実施にあたつて最後まで参考になつた。 (3) 現場の意見を聴取することなく、上層部で一方的に決定した六〇名という人員削減目標の算出根拠について、説得力のある説明が与えられていなかつたにもかかわらず、原告は社長に代わつて、いずれの部から何名を縮小するかという割り当てについてe工場長をはじめ各部長と折衝してこれを説得し、また従業員代表と話し合いをして、これを実現させた。 (4) この人員整理は、作業量が増加した時期に実施したために、退職勧告した工員の退職日を即日としないで同年三月三一日まで出勤させ、取得不能の年次有給休暇は買い上げることとした。この要求はe工場長から出され、c労務部長は当該要求に対する強い不満を原告に表明していたが、原告はこれをやむを得ないとして了承した。 (5) このように、人員整理計画の成功は、原告が上部の方針、管理者及び一般従業員の状況を掌握し、適時適切に柔軟性をもつて対策を立案し、実施したからこそもたらされたものである。そして、この計画達成直後の同年四月四日には、b社長から原告の業績について、感謝と称賛の言葉を与えられた。 (二) 人員整理以外の原告がなした業績(1) 昭和五一年一〇月一八日から行われた子安工場の閉鎖にあたつて、aから過剰人員を吸収するあらゆる事業企画を作成 績について、感謝と称賛の言葉を与えられた。 (二) 人員整理以外の原告がなした業績(1) 昭和五一年一〇月一八日から行われた子安工場の閉鎖にあたつて、aから過剰人員を吸収するあらゆる事業企画を作成してもらいたい旨の依頼を受け、原告は自動車のリース・レンタカー業、百貨店における販売等各種の計画を作成したが、百貨店については三越、高島屋、京王と交渉し、横浜高島屋からは自動車の陳列許可までとりつけていた。 (2) 被告会社所有の鶴見の土地について、法規制により同五二年一〇月までに工場建設の申請をしなければその後の工場建設は不可能となるので、原告は合法的な土地利用計画として、ゴルフ場、冷凍倉庫又は建築資材の流通・卸センターの建設をb社長に進言した。 (3) 原告は、同年一月二〇日、aから日本の自動車メーカーによるフロントエンジン・フロントドライブ車の発売予定及びその仕様について調査し、b社長に報告するようにと指示を受け、また、同社長からもオーストラリア出張(同年二月六日から)前に調査を完了するように命令を受けたので、自動車業界の内情に通じた者と接触して困難な調査を行つた。そして原告は、同年二月三日、b社長に対し、フロントエンジン・フロントドライブ車としては、すでにチエリー、シビツク、アコード、レオーネ等が現存しているが、トヨタ、三菱が同年末から翌年春にかけて発売を予定をしていること及び発売予定車の名称、仕様を報告した。右の報告は新聞報道よりも約八か月も早く、しかも正確なものであつた。 (4) フアスパツクのh社長、フオード本社の政府担当副社長及びPR(広報)担当デイレクターの訪日に際し、原告は同年四月一三日、日本及び被告会社に関する資料を作成した。被告会社のi財務本部長、e工場長は原告の事務室に来て非常に良くできているとほめ、b社長は電話でわざ 報)担当デイレクターの訪日に際し、原告は同年四月一三日、日本及び被告会社に関する資料を作成した。被告会社のi財務本部長、e工場長は原告の事務室に来て非常に良くできているとほめ、b社長は電話でわざわざ原告に、「あなたの作つた資料は非常に良くできている。良い仕事をした。」と伝えてきた。その資料には東洋工業に関するものも入っているが、これは特に命ぜられたものではなく、フオードが東洋工業に深い関心を持つていたので、原告の判断で整備したものである。 3 解雇権の濫用仮に、原告が規則(ト)及び(リ)に該当するとしても、原告が被告会社に雇用される以前から解雇に至るまでの後述の経緯に鑑み、本件解雇は権利の濫用である。 (一) 被告会社が原告を人事本部長に採用した時点(昭和五一年九月一三日)においては、被告会社は既に人員過剰の状態にあり、その過剰人員の整理の業務は採用後の原告に与えられる重要な任務の一つにすることが予定されていたにもかかわらず、採用面接等の過程において被告会社はそのような実情について全く原告に告げず、原告が日本IBM社に辞表を提出した後である同年一〇月五日になつてはじめて右の実情を告知した。 (二) 原告が被告会社の要求している能力に欠けると判断した場合には、被告会社は試用期間中に解雇すべきであるのに、試用期間を経過してパーマネント・エンプロイーたる地位になつてから解雇した。 (三) 被告会社は、解雇通告以前に原告に対し具体的に欠点を指摘して警告を与えたり、矯正の機会を与えたりすることなく解雇した。 六原告の反論に対する被告の答弁 1 就業規則の解釈に関する主張について(一) 原告は規則(リ)を企業の経営困難の場合に限定して解するようであるが、そのような解釈の必然性はない。いずれにしても、本件解雇は規則(ト)に該当することが中心であ 則の解釈に関する主張について(一) 原告は規則(リ)を企業の経営困難の場合に限定して解するようであるが、そのような解釈の必然性はない。いずれにしても、本件解雇は規則(ト)に該当することが中心であり、結果的に規則(リ)を引用するのみであるから、就業規則適用上格別の問題ではない。 (二) 本件契約は、社長に次ぐ四名の最上級管理職の一名である人事本部長という地位を特定した契約である。そして、就業規則の解釈も、人事本部長という特定の地位との関係においてなされるべきである。 2 原告のなした業績に関する主張について(一) 原告は、あたかも子安工場の人員整理について多大の業績を挙げたかのように主張するが、これは全く原告の一方的見解である。右工場の人員整理は、すでに原告の入社前である昭和五一年八月ころから前任者であるaのもとで計画立案され、翌五二年二月ころは、米国本社の意向を聴取している段階であつた。要するに、原告は同年三月中旬から四月にかけての実施段階において若干関与したにすぎないのである。そして、このように原告にあまり関与させないで前任者において実施するようにすることが、将来の人事担当者たる原告の立場を考慮した被告会社の配慮でもあつた。それゆえ、原告の指摘するb社長の「感謝と称賛の言葉」なるものも、一連の組織活動に対するものとして理解すべきことであり、たまたまその当時人事本部長の地位にあつた原告がその表面に出たまでのことである。 (二) 原告の反論2(二)記載の「人員整理以外の原告がなした業績」は、必ずしも原告個人の業績とはいえないし、また、人事本部長という高い地位に鑑み、称賛に値する業績と呼べるものではない。 3 解雇権の濫用について(一) 原告の反論3(一)について就職を希望する際に必要に応じて被告会社の内容を調査することは、当然原告の いう高い地位に鑑み、称賛に値する業績と呼べるものではない。 3 解雇権の濫用について(一) 原告の反論3(一)について就職を希望する際に必要に応じて被告会社の内容を調査することは、当然原告のなすべきことであり、たとえ事情の認識に不十分な点があつたとしても、これを不公正なやり方と非難する余地はない。特に人員整理の問題は非常に微妙な問題であり、被告会社に入社未定の段階で原告に知らせるべき義務はない。 (二) 同3(二)について被告会社は、昭和五一年一〇月一五日から同五二年一月一四日までの試用期間中も、原告の適性能力について疑問を有していたのであるが、右期間中、同五一年一〇月一八日から一二月一〇日までは、人事本部の重要な職務対象である横浜工場が操業を休止し、続いて年末年始の休暇があつたので、あるいは原告にとつて能力を実証する機会が十分ではなかつたかもしれないこと、原告の日本IBMにおける勤務が長期であつたため、被告会社に適応するのになお多少時間のかかることも考えられること、集中的な研修の機会を与えれば急速に被告会社に適応し、能力を発揮するようになる希望もあること等を考慮して、あえて試用期間中の解雇はせず、原告に機会を与えるために雇用を継続したものである。 (三) 同3(三)について被告会社は、前記三「被告の主張」2において主張したように試用期間中はもとよりその後もしばしば原告に対しその執務について警告を与えていたにもかかわらず、原告にはなんら反省、改善が見られなかつた。 (四) 解雇通知に至る経緯(1) 被告会社は、前記三「被告の主張」記載のような原告の執務状況、特に被告会社の規則が無視されている点についてフアスパツクの責任者とも協議を重ねた結果、昭和五二年四月中旬、原告は被告会社の人事本部長として不適格であり、その職から解任せざ のような原告の執務状況、特に被告会社の規則が無視されている点についてフアスパツクの責任者とも協議を重ねた結果、昭和五二年四月中旬、原告は被告会社の人事本部長として不適格であり、その職から解任せざるを得ないとの結論に達したので、aはまず同月二〇日にこの結論を電話で原告に連絡し、さらに同日付書簡で右電話の趣旨を確認した。 (2) 被告会社の代理人であるaは、同年五月五日、同人宅に原告を招いて腹蔵のない話し合いを行つた。この席上、aは要旨次のとおり原告に述べた。 (イ) 人事本部長の職から解任するという結論は、かかる上級管理職の人事について慎重に検討を重ねたものであるから動かしがたいものであるが、これが直ちに原告の解雇を意味するものではない。しかし、被告会社の現況からみて人事本部長と同格の地位で原告が満足しうるものを新設する余裕はない。 (ロ) 原告に円満退職の意思があれば、被告会社としては原告の就職先の探索に協力し、できるだけ原告に有利になるような推薦状を出し、また就職まで合理的期間賃金を支給し続ける等誠意をもつて協力する。 (3) これに対し原告は、次のように述べた。 (イ) 同年六月末までは在籍したい。在籍している方が就職に有利である。 (ロ) 人事本部長解任発令後は、面子の問題もあるので出社しないでよいことにしてもらいたい。 (4) 同年五月九日、aは再び原告と面談した。この際原告は、六月末まで在籍したいという希望を再確認し、同人に貸与されていた社用車を有利な価格で譲渡して欲しい旨希望した。さらに両者は、人事本部長解任の告示は五月一三日とすること及びその後原告は出社しないでよいことについて合意に達した。翌一〇日、被告会社は社内手続きを経た後、原告の右申し出はすべて承諾することを正式に決定し、この旨を電話で原告に通知し、社用車の譲渡価格は被告 びその後原告は出社しないでよいことについて合意に達した。翌一〇日、被告会社は社内手続きを経た後、原告の右申し出はすべて承諾することを正式に決定し、この旨を電話で原告に通知し、社用車の譲渡価格は被告会社にとつての簿価とし、この簿価は計算中である旨を告げた。 なお、当時原告は日本IBM社に復職する希望を有しており、この目的を支援するため、原告の要望に基づきb社長は同月一一日付書簡を米国のIBM社に送つた。この書簡の実質は推薦状であり、その目的上あえて被告会社の規模が小さいこと及び業績が予想ほど発展しないことを強調して原告の復職に有利となることを考えた。 (5) 五月一二日、原告は被告会社に対し、求職先との連絡の便宜上、先の要望を変更し、人事本部長解任の発表をさらに一週間延期し、同月二〇日とするよう要望したので、被告会社はこれに同意した。また同時に、原告は七月末まで在籍期間を延長して欲しい旨の希望を表明したが、わずか二日前に原告の希望により六月末までと合意したことでもあり、被告会社はこれに同意しなかつた。 (6) 被告会社はその後も事態の円満解決に努め、原告に関する重役斡旋業等からの照会についてはできるだけ同人に有利な回答をし、原告の合理的な申し出にはできる限り応じてきた。しかるに原告は、いかなる理由によるものか人事本部長の解任が発表された五月二〇日ころから次第に態度を変化させ、その後六月上旬ころには前言を飜して人事本部長に復職する希望を表明し始め、七月上旬に至つて原告の意思は人事本部長への復職要求に確定したと見ざるを得ない事態に立ち至つた。 この間被告会社としては、直接にあるいは双方代理人を通じて間接的に事態の円満解決に努力してきたのではあるが、このような事態をいつまでも放置するわけにはいかず、被告会社はやむを得ず本件解雇をするに至つたもの 被告会社としては、直接にあるいは双方代理人を通じて間接的に事態の円満解決に努力してきたのではあるが、このような事態をいつまでも放置するわけにはいかず、被告会社はやむを得ず本件解雇をするに至つたものである。 (五) 結論以上のように、「被告の主張」及び「原告の反論に対する被告の答弁」で既述した原告を人事本部長から解任せざるを得なかつた事情に加えて、さらに解雇通知までの間十分な配慮を加え、その間原告が任意退職に同意したといつても過言でないような事態さえ生じたのであるから、被告会社が原告の不可解な態度に困惑し、その法律関係の消滅を明確にするために行つた本件解雇が濫用となる余地はない。 第三証拠(省略) 理由 一1 請求の原因1、3の事実及び原告が昭和五一年九月一三日、契約の始期を同年一〇月一五日、試用期間九〇日の約束で、被告会社の人事本部長として雇用されたこと、同五二年一月一四日に試用期間を満了したこと、原告が被告会社の従業員であるとすれば支払を受けるべき未払賃金・賞与及び同じく同五六年四月一日以降支払を受けるべき月額賃金・賞与の各金額が原告主張のとおりであることは当事者間に争いがない。 2 原告は昭和五二年一月一五日以降被告会社の終身雇用の従業員であると主張するので、この点につき検討する。 成立に争いのない甲第四号証、同第九号証並びにc、同aの各証言によれば、原告が被告会社に入社した当時、被告会社の定年が満五五歳であつたこと、原告が試用期間を満了した後は、同人は被告会社の「パーマネント・エンプロイー」となつたこと、被告会社においては、パーマネント・エンプロイーとは試用期間経過後の本採用たる地位、すなわち期間の定めのない雇用を意味するものであり、何らかの理由によつて解雇されないかぎりいわゆる終身雇用の慣行に従つて雇用さ おいては、パーマネント・エンプロイーとは試用期間経過後の本採用たる地位、すなわち期間の定めのない雇用を意味するものであり、何らかの理由によつて解雇されないかぎりいわゆる終身雇用の慣行に従つて雇用される地位であることが認められ、右事実によれば、パーマネントとは永久という意味ではなく、被告会社の就業規則に定める雇用の終結事由に該当しないかぎり被告会社から排除されないという地位を意味するものと解するのが相当であり、右の認定、判断を左右するに足りる証拠はない。 二被告会社は、原告の業務の実績は、同社の組織上社長に次ぐ最上級管理職四名のうちの一名である人事本部長の地位にあるものとしては積極性を欠き、能率が極めて悪い等、同社において同人を右の地位において引き続き勤務せしめることが不適当と認められ、その結果、このまま雇用を継続することができない業務上の事情が存在するのであるから、規則(ト)及び(リ)により原告を解雇した旨主張するので、検討することとする。 1 被告会社が原告に対し、本件解雇の意思表示をしたことは当事者間に争いがない。 2 そこで、まず本件雇用が、被告会社主張のような人事本部長という地位を特定した契約であるか否かを検討する。 原告は、本訴においては、請求の趣旨記載のとおり、単に雇用契約関係存在の確認を求めるのではなく、被告会社の人事本部長としての地位を有することの確認を求めていることからすると、その前提として本件契約は人事本部長という地位を特定した契約であることを自ら認めているものと解することができるばかりでなく、原告は、被告会社の一般の従業員として入社した後昇進して人事本部長になつたのではなく、人事本部長として中途採用されたものであることは当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲第四ないし第六号証、同第一七号証、同第三三号証の二、 業員として入社した後昇進して人事本部長になつたのではなく、人事本部長として中途採用されたものであることは当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲第四ないし第六号証、同第一七号証、同第三三号証の二、弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる乙第一号証並びに証人c、同d、同aの各証言及び原告本人尋問の結果を総合すれば、被告会社は原告の前任者であつたaの後任として、日本人の人事本部長の適任者を捜していたこと、国際経営顧問協会(以下「イムカ」という。)は、昭和五一年四月、被告会社に対し、人事本部長の候補者として原告の履歴書を送付してきたこと、原告は被告会社に採用される前は外資系(米国)の会社である日本IBMに約一六年間在籍し、その間同社の労務課長、人事部長、人事担当マネジヤー、副社長補佐、社長補佐、GBG人事担当マネジヤー等ほぼ一貫して人事の仕事をしてきたものであること、被告会社としては、原告を人事本部長として採用するにあたり、原告が米国で教育を受けたという学歴及び右職歴に注目したこと、そして、被告会社は、同年九月六日付で原告に対し、月額報酬七五万三七〇〇円、試用期間経過後は同社から自動車を貸与する等の待遇で人事本部長として被告会社に入社するように申し出したこと、原告は右申し出を受けて被告会社に対し、同月一三日付書簡で、同社申し出の条件で受諾する旨通知したこと、原告が日本IBMを辞めて被告会社に入社した理由の一つは、仕事が人事の仕事で、しかも人事本部長という地位で採用されることにあつたこと、もし提供される職位が人事本部長ではなく一般の人事課員であつたならば、原告は被告会社に入社する意思はなかつたこと、被告会社としても原告を人事本部長以外の地位・職務では採用する意思がなかつたこと等が認められ、以上の事実を総合すれば、本件契約は、人事本部長と たならば、原告は被告会社に入社する意思はなかつたこと、被告会社としても原告を人事本部長以外の地位・職務では採用する意思がなかつたこと等が認められ、以上の事実を総合すれば、本件契約は、人事本部長という地位を特定した雇用契約であると解するのが相当である。 原告は、入社前の面接において、(イ)採用後の職務については、人事関係の業務のほか、広報及び工場の購買関係の業務をも担当させる可能性があること、(ロ)被告会社が将来日本の自動車会社を買収する計画が実現した際には、原告はその買収した会社の人事本部長をも兼ねること、さらに(ハ)原告の努力如何によつてはフアスパツクの人事本部長になる可能性もある等と告げられていることから、本件契約は人事本部長という地位を特定した雇用契約ではない旨主張する。 しかしながら、被告会社が原告に対し、採用後の職務について原告主張のような事実を告知したかどうかはさておき、仮に右事実を告知したとしても、右事実は本件契約が人事本部長という地位を特定した契約であることを妨げるものではないと解すべきである。なぜなら、前記(イ)は人事本部長として人事関係の業務が中心であつて、将来被告会社の都合及び原告の能力に応じて人事の業務に加えてその他の職務の拡大の可能性があるというにすぎず、結局、本件契約の職務の中心は人事関係にあることになり、また(ロ)及び(ハ)は、いずれも仕事の内容自体は人事関係の仕事であり、しかも原告が被告会社の人事本部長として能力を十二分に発揮すれば、被告会社の発展に伴つて、原告自身の地位も同社の人事本部長よりもさらに昇進する可能性があるということを示されているにすぎず、結局、これらは人事本部長の仕事とほぼ同一の仕事をするけれどもその権限が拡大するあるいは昇進する可能性を示されているにとどまり、以上のような事情は、本 る可能性があるということを示されているにすぎず、結局、これらは人事本部長の仕事とほぼ同一の仕事をするけれどもその権限が拡大するあるいは昇進する可能性を示されているにとどまり、以上のような事情は、本件契約を人事本部長という地位を特定した契約であると解する妨げとはならないからである。 そして、他に右認定、判断を左右するに足りる証拠はない。 3 次いで、原告が被告会社の人事本部長として規則(ト)の「業務又は能率が極めて悪」かつたのかどうかを検討する。 (一) 被告の主張2の事実中、人事本部長という地位は、被告会社の組織上社長に次ぐ最上級管理職四名のうちの一名にあたるものであること、aは、昭和五二年一月一八日、原告に対し、(イ)人事の分野に注意・努力を集中すべきこと、(ロ)課せられた事務は自ら処理して能力を実証すべきこと、(ハ)連絡文書は自ら起案・作成すべきことを要望したこと、同じくaは、同月二五日ころ、原告に対し、五五の給与職について担当者との面接、調査、これに基づいた最終的分析、要約及び勧告を含めたリポート作成の作業を行うように指示したが、原告が人事本部長としての職務から離れた同年四月二〇日までに行つたジヨブ・オーデイツトは、五名の者に面接しただけであること、原告が同年二月六日から同月二四日までフアスパツクで行われた研修に参加し、右研修を終えて帰国する際、aと会つていること、同年三月、b社長からジヨブ・オーデイツトの進行状況等の問い合わせを受けた際、原告はメモで翌四月二五日までに完了すると答えたこと、さらに、同社長が同月一日に進行状況の報告を求めたのに対し、原告は一か月ないし二か月完了時期が延びると回答したこと、原告が人員整理終了後、フアスパツクの承認を得ずに月給制社員であつた五人の守衛を生産部及び工務部の現業職員に配置換えし、結局フアス のに対し、原告は一か月ないし二か月完了時期が延びると回答したこと、原告が人員整理終了後、フアスパツクの承認を得ずに月給制社員であつた五人の守衛を生産部及び工務部の現業職員に配置換えし、結局フアスパツクの承認が得られなかつたことは、いずれも当事者間に争いがない。 右各争いのない事実及び前記二2で認定した事実と、成立に争いのない甲第七号証、同第一三号証の一三ないし一五、同号証の二一、同第二〇号証、同第三四号証、乙第一二号証の一ないし三、証人cの証言により真正に成立したと認められる乙第一〇、一一号証、証人aの証言により真正に成立したと認められる乙第五号証の一、同第六号証並びに証人c、同d、同aの各証言及び原告本人尋問の結果(ただし、後に信用しない部分を除く。)を総合すれば、原告が人事本部長として就労して以来の勤務状況及び昭和五二年四月二〇日に人事本部長の解任を通告されるに至る経緯について、次のような事実が認められる。 (1) 原告は昭和五一年一〇月一五日から被告会社で、前任者であるaの指導・監督の下で人事本部長として執務を始めたが、aは原告に対し初めは何も担当させず、全時間を被告会社の政策・やり方等に関する文書を読んで理解するように、また、横浜の子安工場における仕事の性質及び被告会社の組織機構を理解するようにさせていた。 (2) 同年一〇月一八日から一二月中旬まで、子安の工場が閉鎖されていることも事実であるが、原告は工場の構内に足を運ぶことなく、一般の従業員との間に友好的な人間関係を形成することに努めなかつた。 (3) 同五一年中はフアスパツクあての文書を起案する機会自体も少なかつたが、原告はフアスパツクあて、社内連絡等の文書の起案、作成、テレツクス打ちを自ら行うのではなく、人事部門の部下に命じてそれをさせることが多かつた。 (4) aは、同 文書を起案する機会自体も少なかつたが、原告はフアスパツクあて、社内連絡等の文書の起案、作成、テレツクス打ちを自ら行うのではなく、人事部門の部下に命じてそれをさせることが多かつた。 (4) aは、同五二年一月五日付で採用後六〇日までの原告の第一回勤務評定を行つたが、同月五日ころこの勤務評定に基づき、原告に対し、人事部門に原告の関心を集中して欲しい、文書の起案は人事部門の部下に任せるのではなく、自分自身で行つて欲しい旨の指導・勧告を与えた。 (5) しかし、右の勧告後も原告の執務態度に変化が見られなかつたので、aは、同月一八日、原告に対し、人事の分野に注意・努力をすべきこと、課せられた事務は自ら処理して能力を実証すべきこと、連絡文書は自ら起案作成すべきこと等を重ねて厳しく指摘した。 (6) aは、同月二五日付で原告に対する第二回目の勤務評定を行つたが、原告の執務状況はaを安心させるものではなく、原告は人事本部長の職務及びそれに関連する被告会社の方針・手続等を理解できていないのではないかという不安をいだいていた。 (7) aは、同月二五日ころ、原告に対し、人事本部長としての職務に適応する訓練並びに従業員及びその職務について認識を深め、組織の再編成の役に立つと考え、五五の給与職(事務職)についてジヨブ・オーデイツトを行うように命じた。 これに対し、原告はそのジヨブ・オーデイツトの目的を、原告の訓練のためというよりは、主として人員整理のため各部署の余剰人員を見い出すことにあると理解していた。 (8) 同年二月六日から同月二四日までの間、原告はオーストラリアにあるフアスパツクにおいて、人事本部長としての執務に慣熟するために研修を受けたが、人事本部の常務に関する事柄には関心を示さず、研修の成果はあまりあがらなかつたとの評価を受けた。 (9) 同月二四日 あるフアスパツクにおいて、人事本部長としての執務に慣熟するために研修を受けたが、人事本部の常務に関する事柄には関心を示さず、研修の成果はあまりあがらなかつたとの評価を受けた。 (9) 同月二四日、原告は帰国するに際し、当時フアスパツクにいたaと会つたが、同人は原告に対し、帰国後は自ら仕事をするようにして、他人に仕事を任せるというやり方を改めるように、また、ジヨブ・オーデイツトを続けて行うようにと激励した。 (10) 同年三月、b社長は原告に対し、ジヨブ・オーデイツトの進行状況を尋ねたが、原告は同月三一日までに面談を大部分完了し、翌四月二五日までに全調査を完了する旨報告した。しかし、同年四月一日再度同社長からの問い合わせに対し、原告はこの仕事の完成を組織の再編成又は体制整備の後一か月から二か月先に延ばすと報告した。そして、原告が人事本部長を解任する旨告知された同月二〇日までに原告が行つたジヨブ・オーデイツトは、オーストラリアにおける研修のため出発する前に行つた、五つの職の者との面談をすませたことだけだつた。 (11) 被告会社は、同年三月一五日から工場部門の人員整理を始めたが、その目標人数が六〇人でe工場長の考えていた数を三〇人上回つていたため、同工場長は希望退職に応じた者も即日退職させるのではなく同月三一日まで雇用するように主張し、原告は右要求に応じた。退職が決まつた者の退職までの勤務状況は悪く、フオアマン(職工長)や退職勧告を受けていない一部の工員からは退職が決定した工員を早く退職させるべきだとの声があがつたほどであり、この間完成車の車体に意識的に行つたとみられる引つかき傷が何台かに出た。 (12) 原告は、同年四月になつて、工員の人員整理を適正人数よりも多く行つた(同月四日現在で、退職者数五五名、退職予定者数六名、合計六一名)と判断 意識的に行つたとみられる引つかき傷が何台かに出た。 (12) 原告は、同年四月になつて、工員の人員整理を適正人数よりも多く行つた(同月四日現在で、退職者数五五名、退職予定者数六名、合計六一名)と判断したので、b社長の同意を得て月給制の職員であるガードマン(守衛)五名を工場部門に配置換えした。右の配置換えは、財政上の理由からフアスパツクの事前の承認を必要とするものであつたが、原告はc労務部長、d人事部長の助言に従うことなく、フアスパツクの承認を得る前に異動を完了してしまつた。右配置換えは、結局同月一五日付で不承認となつた。 (13) 原告の人事本部長としての能力に疑問をいだき続けていた被告会社は、前記(12)の執務規則違反をみるに至つて原告の人事本部長からの解任を決定し、aをして、同月二〇日、原告に対し人事本部長を解任する旨告知させた。 以上の認定に反する原告本人の供述部分は前掲各証拠と対比するとたやすく信用できず、他に右の認定を左右するに足りる証拠はない。 (二) 次に、前記二2において認定のとおり被告会社は、原告を一般の従業員の雇用とは異なり、被告会社では社長に次ぐ四名の最上級管理職の一名にあたる人事本部長という職務上の地位を特定して、原告の過去における教育及び経験に照らし、特段の能力の存在を期待して中途採用したものであること、さらに、被告会社における執務方法については、前記(一)で認定したとおり、原告において人事本部長としての職務に十分習熟する機会を与えられていたことに加えて、成立に争いのない甲第二〇号証によれば、被告会社においては、いわゆる日本の会社に比べ執務の手続きを複雑に定め、その方式は完全にアメリカ・フオード社の規則を被告会社に適用していることが認められ、右の認定を左右するに足りる証拠はない。 (三) 以上のような事実を総合し 日本の会社に比べ執務の手続きを複雑に定め、その方式は完全にアメリカ・フオード社の規則を被告会社に適用していることが認められ、右の認定を左右するに足りる証拠はない。 (三) 以上のような事実を総合して考慮すると、人事本部長という職務上の地位を特定した雇用契約であつて、原告の特段の能力を期待して中途採用したという本件契約の特殊性に鑑み、前記(一)の原告の執務状況を検討すると、特に(イ)機会あるごとに、自己に課せられた仕事を部下に委譲する形ではなく、自ら仕事を担当する(デイレクターという形ではなく、被告会社のいうワーキング・マネジヤーとして)という方法で執務することを期待されていたにもかかわらず、執務開始後約六か月になつてもそれが改善されなかつたこと、(ロ)ジヨブ・オーデイツトの目的の一つが、人員整理の際の余剰人員を見つけることにあることを認識しながら、人員整理の完了した後である昭和五二年四月二〇日までに、五五の職のうち五人に面接したのみで、原告に要求されていた職務を著しく怠つていたこと、とりわけ、同年三月にb社長に対し同月末日までに面接を完了する予定であると報告しながら、全くそれを行わなかつたこと、(ハ)被告会社の執務方法に習熟する機会を与えられながら、かつ、被告会社においては社長の決裁だけでなくフアスパツクの承認が必要である事項が留保されていることを認識し、さらに、部下の助言を無視して規則違反を行つた等の原告の執務態度は、被告会社の期待した人事本部長としては規則(ト)にいう「業務の履行又は能率が極めて悪く、引き続き勤務が不適当と認められる場合」に該当し、ひいては、規則(リ)にいう「雇用を終結しなければならないやむを得ない業務上の事情がある場合」にも該当する、と解するのが相当である。 原告は、規則(ト)の「従業員の業務の履行又は能率が極 に該当し、ひいては、規則(リ)にいう「雇用を終結しなければならないやむを得ない業務上の事情がある場合」にも該当する、と解するのが相当である。 原告は、規則(ト)の「従業員の業務の履行又は能率が極めて悪く、引き続き勤務が不適当と認められる場合」を適用して原告を解雇するためには、同人の業務の履行又は能率が極端に不良で、これを矯正したり他に配置換えをする等の余地がなく、被告会社から排除する以外に方法がない場合でなければならない旨主張するが、本件契約が前記二2において認定のとおり人事本部長という地位を特定した雇用契約であるところからすると、被告会社としては原告を他の職種及び人事の分野においても人事本部長より下位の職位に配置換えしなければならないものではなく、また、業務の履行又は能率が極めて悪いといえるか否かの判断も、およそ「一般の従業員として」業務の履行又は能率が極めて悪いか否かまでを判断するものではなく、人事本部長という地位に要求された業務の履行又は能率がどうかという基準で規則(ト)に該当するか否かを検討すれば足りるものというべきである。 さらに、原告は、規則(リ)の「雇用を終結しなければならないやむを得ない業務上の事情がある場合」とは、被告会社に存する業務上の事由例えば経営困難による人員削減、組織変更による部門又は役職の廃止により従業員を解雇する場合等を指すものと解すべきであり、被告会社についてはそのような事由は生じていないと主張するが、既に右認定のとおり規則(ト)に該当する以上これのみに基づいて原告を解雇することができるものであるばかりでなく、規則(リ)の事由の中には、原告主張のような事由も含まれると解せられるものの、右のように本件契約が人事本部長という地位を特定した契約であり、かつ、原告が人事本部長として規則(ト)に該当すると認め 、規則(リ)の事由の中には、原告主張のような事由も含まれると解せられるものの、右のように本件契約が人事本部長という地位を特定した契約であり、かつ、原告が人事本部長として規則(ト)に該当すると認められる以上、このような場合等も規則(リ)に定める事由に該当すると解するのが相当である。 (四) 原告は、人員整理において多大の功績を挙げた旨主張するが、証人cの証言によれば、工員を成績順に分類する方法は必ずしも原告個人の発想とはいえないことが認められ(この認定を左右するに足りる証拠はない。)、また、人員整理の戦略に参加することは、人事部門の最高責任者である人事本部長としては当然の業務であるということができ、さらに、原告本人尋問の結果によれば、ある意味では最も困難でかつ重要であると思われる工員個人との希望退職に関する面接・説得を原告は全く行つておらず、専らc労務部長が担当したことが認められる。また、e工場長を納得させるために行つた退職日の延期は、完成車に対する損傷の発生という形で現われ、同工場長を納得させる方法としては、必ずしも適当なものと評価されるものではなかつた。 次に、原告が人員整理以外の業績として掲げた事実を検討すると、証人cの証言によれば、まず鶴見の土地の利用法については、必ずしも原告本人の発想によるものではなく、集団討議の中で出されたものであることが認められ、また、ジヤパン・プロフイールと称する資料の作成にあたつても、すべて原告本人が作成したというものではなく、c労務部長ら人事部門の職員が援助して作成されたものであることが認められ、右の認定を左右するに足りる証拠はなく、また、フロントエンジン・フロントドライブ車に関する調査については、原告本人尋問の結果によれば、被告会社においては原告だけが担当したことが認められるが、それが人事本部長 を左右するに足りる証拠はなく、また、フロントエンジン・フロントドライブ車に関する調査については、原告本人尋問の結果によれば、被告会社においては原告だけが担当したことが認められるが、それが人事本部長としての功績と呼べるかは疑問である。 このような事実からすると、人員整理に関して与えられたb社長の称賛の言葉は、原告個人に対してというよりはむしろ人事本部全員に与えられたものと評価すべきものであり、また、人員整理以外の業績についても、原告個人の、しかも人事本部長としての業績と呼べるかは疑問であり、いずれにしても、原告の前記(一)ないし(三)において認定判断した原告の執務態度の不足を補うに足るものではないと解するのが相当である。 三次に、原告は、同人が規則(ト)及び(リ)に該当するとしても、同人が被告会社に雇用される以前から解雇されるまでの経緯に鑑み、本件解雇は権利の濫用である旨主張するのでその当否を検討する。 1 被告会社が原告を採用するに際し、原告の入社受諾までに、被告会社が人員過剰の状態にあることを原告に告知していなかつたことは当事者間に争いがないが、たとえ右事実を原告に告げていなかつたとしても、原告としても、もともと入社しようとしている被告会社の状態を調査することは当然なすべきであり、また、人員整理という極めて重要かつ微妙な問題を入社するか否か未定の者に告知しなければならないということはできない。 2 次に、被告会社が原告を試用期間中(昭和五一年一〇月一五日から同五二年一月一四日まで)に解雇しなかつた理由は、成立に争いのない乙第一二号証の一ないし三並びに証人aの証言によれば、試用期間中に被告会社が原告の人事本部長としての能力を判定することを怠つたというよりは、むしろ原告の立場を考慮し、その能力を実証する機会を与えたためであることが認め し三並びに証人aの証言によれば、試用期間中に被告会社が原告の人事本部長としての能力を判定することを怠つたというよりは、むしろ原告の立場を考慮し、その能力を実証する機会を与えたためであることが認められ、この認定を左右するに足りる証拠はなく、前記3(一)ないし(三)において認定判断したように規則(ト)及び(リ)に該当する事由が認められる以上、試用期間中に解雇しなかつたことをもつて権利の濫用となる余地はないというべきである。 3 さらに、被告会社が原告に対し、しばしば警告を与え、矯正の機会を与えていたことは、前記二3(一)において認定したとおりである。 4 加えて、成立に争いのない乙第四号証、証人aの証言により真正に成立したと認められる乙第三号証、同証人の証言及び原告本人尋問の結果を総合すると、被告会社は、昭和五二年四月二〇日、原告に対し、人事本部長から解任する旨告知するとともに、原告の再就職にも配慮し、日本IBMへの復職を実現するために米国のIBM本社に推薦状を出したり、重役斡旋会社からの照会に対し、原告に有利な回答等を行つたこと、同年五月九日、原告は被告会社の代理人であるaに対し、同年六月末まで在籍したい、人事本部長解任発令後は出社しなくてもよいようにしてもらいたい、原告に貸与されている社用車を有利な価格で譲渡して欲しい旨申し入れ、被告会社は右申し出に同意したことが認められ、このような事実からすると円満退職の方向に動いていた事実が認められること、しかし、円満退職で解決しなかつたため、最終的に同年七月二八日付書面で、同年八月末日限り解雇する旨の意思表示をしたことが認められ、右の認定を左右するに足りる証拠はない。 5 以上の事実によれば、本件解雇が権利の濫用であると認めるに足りる事情は認められず、他に本件解雇が権利の濫用であると認めるに足りる 表示をしたことが認められ、右の認定を左右するに足りる証拠はない。 5 以上の事実によれば、本件解雇が権利の濫用であると認めるに足りる事情は認められず、他に本件解雇が権利の濫用であると認めるに足りる証拠はない。 四以上説示のとおりであつて、原告の本訴請求はその余の判断をするまでもなく、いずれも理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官渡邊昭赤西芳文鈴木浩美)
▼ クリックして全文を表示