令和4(ワ)185 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年5月12日 福岡地方裁判所 久留米支部
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判決文本文9,115 文字)

主文 1 被告は、原告に対し、4321万8905円及びうち816万6489円に対する令和4年7月12日から支払済みまで、うち3505万2416円に対する同年11月9日から支払済みまで年3分の割合による金員を各支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求主文第1項と同旨。 第2 事案の概要 本件は、電気事業者である被告との間で電力需給契約を締結していた原告が、被告が電力事業を廃止する旨通知したことから、上記契約を解除し、他の会社との間でより高い電気料金で電力需給契約を締結せざるを得なくなった結果、損害を被ったなどと主張して、被告に対し、契約解除による損害賠償請求権に基づき、損害賠償4321万8905円及びうち816万6489円(令和4 年5月分)に対する訴状送達の日の翌日である同年7月12日から支払済みまで、うち3505万2416円(同年6月分から同年9月分まで)に対する訴えの変更申立書送達の日の翌日である同年11月9日から支払済みまで、民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事件である。 1 前提事実(争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めら れる事実)(1) 当事者ア原告は、地方公共団体である。 イ被告は、特定規模電気事業、特定電気事業等を目的とする株式会社であり、小売電気事業者として経済産業大臣の登録を受けている。(甲2) (2) 電力需給契約の締結 ア市庁舎等に係る電力需給契約原告と被告は、令和3年8月12日、以下の内容の電力需給契約を締結した(以下「本件契約1」という。)。( (2) 電力需給契約の締結 ア市庁舎等に係る電力需給契約原告と被告は、令和3年8月12日、以下の内容の電力需給契約を締結した(以下「本件契約1」という。)。(甲1)(ア) 目的被告は、仕様書に基づき大牟田市本庁舎等、本庁舎南別館及び本庁舎 北別館の電力を需要に応じて供給し、原告は、当該電気の供給を受け、自己の必要に応じて使用するものとする(2条)。 (イ) 契約期間令和3年10月1日から令和4年9月30日まで(3条)(ウ) 電気料金 原告は、被告に対し、基本料金及び電力量料金等から所定の計算式によって算出される電気料金を支払う。基本料金及び電力量料金は、別紙1の「基本料金単価」欄及び「電力量料金単価」欄に記載のとおりである。 (エ) 原告の解除権 a 発注者(原告)は、受注者(被告)が次の各号のいずれかに該当するときは、受注者の責めに帰すべき事由によるものであるか否かにかかわらず、催告を要せず、直ちに契約を解除することができる(14条1項柱書)。 (a) 天災その他不可抗力によらないで、電力の供給をする見込みがな いと認められるとき(同項1号)。 (b) 前号に掲げる場合のほか、この契約に違反し、その違反により契約の目的を達することができないと認められるとき(同項2号)。 b 被告は、14条1項の規定に基づき、原告がこの契約を解除したことにより原告に損害が生じたときは、その損害を賠償しなければなら ない(15条3項)。 (オ) 被告の解除権等a 受注者(被告)は、発注者(原告)がこの契約に違反し、合理的な期間内に違反を解消 の損害を賠償しなければなら ない(15条3項)。 (オ) 被告の解除権等a 受注者(被告)は、発注者(原告)がこの契約に違反し、合理的な期間内に違反を解消しないときは、この契約を解除することができる(17条)。 b この契約の締結後、受注者(被告)の発電事情等に変動をきたし、 契約単価を改定する必要が生じたときは、発注者(原告)と受注者が協議の上、みなし小売電気事業者が定める供給条件等によりこれを改定することができるものとする(12条1項)。 イ学校等に係る電力需給契約原告と被告は、令和3年8月12日、以下の内容の電力需給契約を締結 した(以下「本件契約2」といい、本件契約1と併せて「本件各契約」という。)。(甲11)(ア) 目的被告は、別紙2の「施設名」欄記載の学校等の電力を需要に応じて供給し、原告は、当該電気の供給を受け、必要に応じて使用する。 (イ) 契約期間前記ア(イ)と同じ。 (ウ) 電気料金原告は、被告に対し、基本料金及び電力量料金等から所定の計算式によって算出される電気料金を支払う。基本料金及び電力量料金は、別紙 2の「基本料金単価」欄及び「電力量料金単価」欄に記載のとおりである。 (エ) 原告の解除権前記ア(エ)と同じ(本件契約2の14条1項、15条3項)。 (オ) 被告の解除権等 前記ア(オ)と同じ(本件契約2の17条、12条1項)。 (3) 本件各契約の解除ア被告の親会社である株式会社ウエストホールディングスは、令和4年3月25日、世界的なエネルギー価格の高騰による電 (本件契約2の17条、12条1項)。 (3) 本件各契約の解除ア被告の親会社である株式会社ウエストホールディングスは、令和4年3月25日、世界的なエネルギー価格の高騰による電力のひっ迫、市場価格の高騰や、ウクライナ情勢の影響を受けてひっ迫度合いが増していることから、今後、継続的、安定的な電力供給が困難な状況であると判断し、電 力小売事業を廃止することを表明した。(甲2)イ被告担当者は、令和4年3月29日、原告担当者に対し、電話で、電気事業を廃止するので、同年5月1日から本件各契約に基づく電力の供給ができないから、原告において電力供給会社を探すように伝えるとともに、今週中に正式文書を発送する予定であり、契約解除により生ずる違約金は 支払う予定であると述べた。(甲3)ウ被告は、令和4年4月7日付けの書面において、原告に対し、①同年2ないし3月の日本卸電力取引所の価格は最高値80円/kWhの高値が付く日も多く、このままでは安定した電力供給及び電力料金削減の還元を果たせないと判断し、被告は電力小売事業を廃止すること、②原告自身にお いて電力供給先変更の手続をされたいこと及び③同年4月30日までに変更手続が間に合わないときは、同年5月1日から同年6月30日(最終供給可能日)まで「市場連動型プラン」(日本卸電力取引所の価格より10%割引した価格)で電力供給が可能であることなどを通知した。(甲4)エ原告は、令和4年4月13日、被告に対し、被告が今後、電力の供給を する見込みがなく、本件各契約の目的を達することができないことを理由に、本件各契約14条1項に基づき、同月30日をもって同契約を解除するとの意思表示をした。(甲5)(4) 一般送配電事業者との電力需給契約の締結原 を達することができないことを理由に、本件各契約14条1項に基づき、同月30日をもって同契約を解除するとの意思表示をした。(甲5)(4) 一般送配電事業者との電力需給契約の締結原告は、本件各契約の目的となっている施設について、他社との間で電力 需給契約を締結するために入札を実施したものの、契約締結に至らなかった ことから、令和4年4月26日までに、最終保障供給(その供給区域における一般の需要に応ずる電気の供給を保障するための電気の供給をいう。電気事業法2条8号イ参照。)の事業を行う九州電力送配電株式会社(以下「九州送配電」という。)との間で、以下の内容の最終保障供給に係る電気需給契約を締結した。(甲6から8まで) ア需要場所本件各契約の目的に係る施設。 イ契約期間令和4年5月1日から同年9月30日までウ電気料金 原告は、九州送配電に対し、基本料金及び電力量料金等から所定の計算式によって算出される電気料金を支払う。基本料金及び電力量料金は、次のとおりである。 (ア) 基本料金2455円20銭/kW (イ) 電力量料金需要場所のうち、大牟田市中学校給食センターについては、夏季(7月1日から9月30日まで)が14円45銭/kWh、それ以外の期間が13円38銭/kWh、上記給食センター以外の需要場所については、夏季が15円3銭/kWh、それ以外の期間が13円91銭/kWh。 (5) 本件各契約解除後の電気料金令和4年5月1日以降の原告の使用電力量を前提として、本件各契約が継続していた場合に原告が被告に対し支払ったと予想される電気料金と、実際に原告が九州送配電に ) 本件各契約解除後の電気料金令和4年5月1日以降の原告の使用電力量を前提として、本件各契約が継続していた場合に原告が被告に対し支払ったと予想される電気料金と、実際に原告が九州送配電に支払った電気料金及びその差額は以下のとおりである。 (甲18、23) ア本件各契約が継続していた場合に被告に支払ったと予想される電気料金 (ア) 本件契約1に係る施設5月 206万5217円6月 280万7475円7月 374万6868円8月 410万2616円 9月 370万4085円(イ) 本件契約2に係る施設5月 443万5521円6月 804万4447円7月 960万6091円 8月 581万9754円9月 938万8432円イ被告が九州送配電に支払った電気料金(ア) 本件契約1に係る施設5月 348万2889円 6月 428万8648円7月 531万8224円8月 569万0834円9月 524万5584円(イ) 本件契約2に係る施設 5月 1118万4338円6月 1521万0796円7月 1701万1073円8月 1275万6319円9月 1675万0706円 ウ差額合計 4321万8905円(6) 電気事業法(定義)第二条この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該 5万0706円 ウ差額合計 4321万8905円(6) 電気事業法(定義)第二条この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一小売供給一般の需要に応じ電気を供給することをいう。 二小売電気事業小売供給を行う事業(一般送配電事業、特定送配電事業及び発電事業に該当する部分を除く。)をいう。 三小売電気事業者小売電気事業を営むことについて次条の登録を受けた者をいう。 (四から七まで省略)八一般送配電事業自らが維持し、及び運用する送電用及び配電用の電気工作物によりその供給区域において託送供給及び電力量調整供給を行う事業(発電事業に該当する部分を除く。)をいい、当該送電用及び配電用の電気工作物により次に掲げる小売供給を行う事業(発電事業に該 当する部分を除く。)を含むものとする。 イその供給区域(離島(その区域内において自らが維持し、及び運用する電線路が自らが維持し、及び運用する主要な電線路(第二十条の二第一項において「主要電線路」という。)と電気的に接続されていない離島として経済産業省令で定めるものに限る。)及び同項の指定区域 (ロ及び第二十一条第三項第一号において「離島等」という。)を除く。)における一般の需要(小売電気事業者又は登録特定送配電事業者(第二十七条の十九第一項に規定する登録特定送配電事業者をいう。)から小売供給を受けているものを除く。ロにおいて同じ。)に応ずる電気の供給を保障するための電気の供給(以下「最終保障供給」という。) (事業の登録) 第二条の二小売電気事業を営もうとする者は、経済産業大臣の登録を受けなければならない 電気の供給を保障するための電気の供給(以下「最終保障供給」という。) (事業の登録) 第二条の二小売電気事業を営もうとする者は、経済産業大臣の登録を受けなければならない。 (託送供給義務等)第十七条(1項から2項まで省略) 3 一般送配電事業者は、正当な理由がなければ、最終保障供給及び離島等供給を拒んではならない。 2 争点(1) 不可抗力の有無(争点1)(2) 原告が被った損害及び損害額(争点2) 第3 争点に関する当事者の主張 1 不可抗力の有無(争点1)について(1) 被告の主張令和4年5月1日から同年9月30日までの、本件各契約に基づく電力供給義務の不履行は、次のとおり、契約及び取引上の社会通念に照らして債務 者の責めに帰することができない事由(不可抗力)によるものであるから、被告は、損害賠償義務を負わない。 ア令和4年2月24日、ロシアのウクライナへの軍事進攻が始まり、世界のエネルギー市場の混乱及び燃料資源の供給減少などが生じた。 イ令和4年3月16日、福島県沖を震源地とする最大震度6強の大地震が 発生し、東北地方に立地する発電所の稼働停止が生じた結果、電力供給量の大幅な減少が生じた。 ウ令和4年2月以降、電力市場における電力仕入れ価格が急騰し、電力の販売価格よりも電力仕入れ価格の方が高額になるという逆ざや現象が発生し、その後、その状況が早期に解消される見込みが立たなくなった。 エこれらの現象は、債務者において統制外のもので、契約締結時には考慮 に入れることができず、回避困難かつ克服困難な障害に当たるから、不可抗力であるといえる。 (2) 原告の主張被告が不可抗 現象は、債務者において統制外のもので、契約締結時には考慮 に入れることができず、回避困難かつ克服困難な障害に当たるから、不可抗力であるといえる。 (2) 原告の主張被告が不可抗力であると主張する現象は、いずれも、契約締結時に考慮に入れることが可能なものであるし、これらの現象によって電力の供給がまっ たく不可能になったというわけではないのであるから、回復困難かつ克服困難な障害であるともいえない。したがって、被告の債務不履行が不可抗力によるとはいえない。 2 原告が被った損害及び損害額(1) 原告の主張 原告は、本件各契約の解除により、九州送配電との間で、最終保障供給である電気需給契約(本件各契約よりも基本料金及び電力量料金が高い)を締結せざるを得なかったのであり、その結果、本件各契約の解除後の令和4年5月1日から、本件各契約の契約期間である同年9月30日までの間、本件各契約が継続していたであれば被告に支払ったと予想される電気料金と、実 際に九州送配電に支払った電気料金の差額の合計4321万8905円の損害を被った。 (2) 被告の主張否認する。原告は、あらかじめ法律において定められた最終保障供給制度を前提に、被告との間で本件各契約を締結したのであり、その結果、本件各 契約の解除後、高額な市場価格ではなく、標準電気料金単価の1.2倍の電気料金という負担で、継続的に電気の供給を受けることができているのであるから、原告に損害は生じていない。 第4 当裁判所の判断 1 争点1(不可抗力の有無)について (1) 被告は、小売電気事業からの撤退による電力供給義務の不履行が不可抗力 によるものであると主張する。 (2) そこで検討するに、原告が 争点1(不可抗力の有無)について (1) 被告は、小売電気事業からの撤退による電力供給義務の不履行が不可抗力 によるものであると主張する。 (2) そこで検討するに、原告が本件各契約に違反した事実を認めるに足りる証拠はないから、被告は同契約を解除することができない(本件各契約17条参照)。また、被告による電力供給が物理的に不能である事実を認めるに足りる証拠はなく、被告による履行不能を理由とする解除(民法542条1項1 号)も認められない。 ところで、被告が第3の1(1)で主張する各事情は、「本件各契約の締結後、被告の発電事情等に変動をきたし、契約単価を改定する必要が生じたとき」に当たり、「原告と被告が協議の上、みなし小売電気事業者が定める供給条件等によりこれを改定することができる」とされている(本件各契約12条1 項。他方、受注者による解除権は認められていない。)ところ、被告は、かかる手続をとることなく、事業を廃止することにして本件各契約を解除する旨一方的に通告したものであり、かかる解除は有効とはいえない。 そこで、被告による業務廃止及び契約解除通告(前記前提事実(3)ウ参照)は、受注者が「本件各契約に違反し、その違反により契約の目的を達するこ とができないと認められるとき」(同14条1項2号)及び「天災その他不可抗力によらないで、電力の供給をする見込みがないと認められるとき」(同項1号)に当たるから、原告は、被告に対し、被告の責めに帰すべき事由によるものであるか否かにかかわらず、催告を要せず、直ちに契約を解除することができ(同項柱書)、これにより被る損害の賠償を請求することができる (同15条3項)。そうすると、被告の不可抗力の抗弁は、かかる解除・損害賠償合意に反し失当であるといえ に契約を解除することができ(同項柱書)、これにより被る損害の賠償を請求することができる (同15条3項)。そうすると、被告の不可抗力の抗弁は、かかる解除・損害賠償合意に反し失当であるといえる。 (3) なお、念のため、本件各契約に基づく電力供給義務の不履行が契約及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由(不可抗力)によるものであるかどうかについて検討する。 この点、被告が不可抗力であると主張する事由のうち、ロシアのウクライ ナ進攻(平成26年のクリミア危機が発端であるといえる。)や大地震の発生といった事実は、それ自体、被告において統制することが困難であるとしても、それによって生じる電力供給量の低下や、電力仕入価格の高騰といった事象については、小売電気事業者である被告において十分想定できるものというべきである。そもそも、被告が小売電気事業から撤退したのは、世界情 勢や地震の発生によって物理的に電力が供給できなくなったからではなく、電力料金の上昇によって継続的、安定的な電力供給が困難になったからというものであり(甲2、4)、このような直接的な原因である電力仕入価格の上昇自体は、電力仕入価格の変動リスクであって、契約期間が限定されていること(前記前提事実(2)ア(イ)、イ(イ)参照)からも、本件各契約締結時において 考慮に入れることのできなかった障害であるとはいえない。また、継続的、安定的な電力供給が困難になるというのは、要するに、小売電力料金の改定などによっても事業として採算が取れないということであって、被告における経営判断に過ぎず、回避困難かつ克服困難な障害であるとはいえない。 (4) したがって、本件各契約解除による被告の損害賠償義務について、不可抗 力によ 取れないということであって、被告における経営判断に過ぎず、回避困難かつ克服困難な障害であるとはいえない。 (4) したがって、本件各契約解除による被告の損害賠償義務について、不可抗 力による免責は認められない。 2 争点2(原告が被った損害及び損害額)について(1) 被告は、原告が最終保障供給制度の存在を前提に被告と本件各契約を締結し、本件各契約を解除した後、最終保障供給制度に基づき、高額な市場価格ではなく、標準電気料金単価の1.2倍という想定された電気料金で継続的 に電気供給を受けているところ、本件各契約が存在しなければ上記金額での電力購入はできなかったものであり、原告には民法415条にいう「損害」は生じていないと主張する。 (2) 被告の上記主張の内容は判然としないが、被告による本件各契約の解除(前記前提事実(3)ウ参照)が有効であることを前提とするものとも解される ところ、前記1(2)記載のとおり、当該解除は無効であるから、当該主張はそ の前提を欠き採用できない。 (3) また、最終保障供給制度は、小売電気事業者から電力供給を受けている者が、小売電気事業者の事業撤退等により電力供給を受けられなくなる場合に、なお、一般送配電事業者から電力の供給を受けられるようにする制度である(電気事業法2条8号イ、17条3項参照)。 被告は、本件各契約の締結により、原告に対し、令和4年9月30日まで、合意した電気料金で電力を供給する旨合意しているのであり、前述したとおり、電力仕入価格の変動やこれによって合意した電気料金が維持できなくなる可能性のあることは、被告において本件各契約締結時に考慮に入れることのできるものであって、このようなリスクは被告が負担すべきである。そう すると、合意した て合意した電気料金が維持できなくなる可能性のあることは、被告において本件各契約締結時に考慮に入れることのできるものであって、このようなリスクは被告が負担すべきである。そう すると、合意した電気料金によって契約期間満了まで電力供給を受けられるという原告の期待は、被告が小売電気事業から撤退した場合に最終保障供給制度によって電気供給が受けられることが契約当初から想定されていたとしても、当然、法的保護に値する利益であるといえる。被告の上記主張は、原告が最終保障供給制度によって、高騰した市場価格よりも低額な電気料金で 電気供給を受けているから、原告に損害は生じていないというものであるとも解されるが、本件各契約で合意した電気料金で被告から電力供給を受けられるという期待が法的保護に値する以上、最終保障供給による電気料金がこれよりも高額であれば、原告に損害が生じていることは明らかであって、被告の主張は失当である。 (4) したがって、原告は、本件各契約の解除後、九州送配電に対して支払った電気料金と、本件各契約の解除がなければ被告に支払ったと予想される電気料金との差額分の損害を被ったと認められる。 第5 結論よって、原告の請求は理由があるから認容することとして、主文のとおり判 決する。 福岡地方裁判所久留米支部 裁判長裁判官立川毅 裁判官岸本寛成 裁判官加藤邦太は、異動につき、署名押印することができない。 裁判長裁判官立川毅 官立川毅

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