平成30(ワ)8302 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和元年11月14日 東京地方裁判所
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令和元年11月14日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成30年(ワ)第8302号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和元年8月1日判決 原告株式会社コアアプリ 被告シャープ株式会社 同訴訟代理人弁護士宇佐見 真 菜同長谷川 葵同鳥山半六同訴訟代理人弁理士渡邊 一 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求被告は,原告に対し,456万円及びこれに対する平成28年8月11日か ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要原告は,発明の名称を「入力支援コンピュータプログラム,入力支援コンピュータシステム」とする特許に係る特許権者であるところ,被告のスマートフォン「SHV32」(以下,これにインストールされているソフトウェア(以下 「本件ホームアプリ」という。)も含めて「被告製品」という。)は,上記特許 に係る特許発明の技術的範囲に属すると主張している。 そして,本件は,原告が,被告に対し,被告製品の製造販売は,上記特許権を侵害すると主張して,民法709条,特許法102条3項に基づき,不法行為による損害賠償金9億1200万円のうち456万円及びこれに対する不法行為の後である平成28年8月11日(被告に対する通知書到達の日の翌日) から支払済みまで民法所定の年5分の割合 き,不法行為による損害賠償金9億1200万円のうち456万円及びこれに対する不法行為の後である平成28年8月11日(被告に対する通知書到達の日の翌日) から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員の支払を求める事案である。 1 前提事実(証拠等を掲げた事実以外は,当事者間に争いがない。)(1) 当事者ア原告は,ソフトウェア開発を業とする株式会社である(弁論の全趣旨)。 イ被告は,通信機器器具の製造を業とする株式会社である。 (2) 本件特許原告は,発明の名称を「入力支援コンピュータプログラム,入力支援コンピュータシステム」とする特許権(特許第4611388号。請求項の数は5である。以下,この特許を「本件特許」という。)の特許権者である。原告 は,本件特許につき,平成17年11月30日に特許出願をし,平成22年10月22日にその設定登録を受けた。 本件特許に係る特許請求の範囲の請求項3及び4の記載は,別紙特許公報の該当部分に記載されたとおりである(以下,請求項3及び4の記載を「本件各特許請求の範囲」といい,同記載に係る発明をそれぞれ「本件発明3」 及び「本件発明4」といい,本件発明3と本件発明4を併せて「本件各発明」という。また,本件特許に係る明細書及び図面を「本件明細書」という。)。 (3) 構成要件の分説本件各発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,分説した構成要件をそれぞれの符号に従い「構成要件A1」などのようにいう。)。 ア本件発明3 A1 情報を記憶する記憶手段と,情報を処理する処理手段と,利用者に情報を表示する出力手段と,利用者からの命令を受け付ける入力手段とを備えたコンピュータシステム ア本件発明3 A1 情報を記憶する記憶手段と,情報を処理する処理手段と,利用者に情報を表示する出力手段と,利用者からの命令を受け付ける入力手段とを備えたコンピュータシステムにおけるコンピュータプログラムであって,A2 利用者が前記入力手段を使用してデータ入力を行う際に実行される 入力支援コンピュータプログラムであり,B 前記記憶手段は,ポインタの座標位置によって実行される命令結果を利用者が理解できるように前記出力手段に表示するための画像データである操作メニュー情報と,当該操作メニュー情報にポインタが指定された場合に実 行される命令と,を関連付けた操作情報を1以上記憶し,当該操作情報は,前記記憶手段に記憶されているデータの状態を表す情報であるデータ状態情報に関連付けて前記記憶手段に記憶されており,C1 前記処理手段に, D (1)前記入力手段を介して,前記入力手段における命令ボタンが利用者によって押されたことによる開始動作命令を受信した後から,利用者によって当該押されていた命令ボタンが離されたことによる終了動作命令を受信するまでにおいて,以下の(2)及び(3)を行うこと, E (2)前記入力手段を介してポインタの位置を移動させる命令を受信すると,当該受信した際の前記記憶手段に記憶されているデータの状態を特定し,当該特定したデータ状態を表すデータ状態情報に関連付いている前記操作情報を特定し,当該特定した操作情報における操作メニュー情報を,前記記憶手段から読み出して前記出力手段に表示す ること, F (3)前記入力手段を介して,当該出力手段に表示した操作メニュー情報がポインタ 報における操作メニュー情報を,前記記憶手段から読み出して前記出力手段に表示す ること, F (3)前記入力手段を介して,当該出力手段に表示した操作メニュー情報がポインタにより指定されると,当該ポインタにより指定された操作メニュー情報に関連付いている命令を,前記記憶手段から読み出して実行し,当該出力手段に表示した操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を継続すること, 当該命令の実行により変化した前記記憶手段に記憶されているデータの状態を特定し,当該特定したデータ状態を表すデータ状態情報に関連付いている前記操作情報を特定し,当該特定した操作情報における前記操作メニュー情報を,前記記憶手段から読み出して前記出力手段に表示すること, G (4)前記入力手段を介して,前記開始動作命令の受信に対応する,前記命令ボタンが利用者によって離されたことによる終了動作命令を受信すると,前記出力手段へ表示している前記メニュー情報の表示を終了すること,C2 を実行させることを特徴とする入力支援コンピュータプログラム。 イ本件発明4H1 情報を記憶する記憶手段と,情報を処理する処理手段と,利用者に情報を表示する出力手段と,利用者からの命令を受け付ける入力手段とを備えたコンピュータシステムであって,H2 前記記憶手段が,請求項1乃至3のいずれか1記載の入力支援コン ピュータプログラムを記憶し,H3 前記処理手段が前記各処理を行うことを特徴とする入力支援システム。 (4) 被告の行為ア被告は,被告製品を製造し,少なくとも平成27年6月5日から,訴外 KDDI株式会社に販売している。 処理を行うことを特徴とする入力支援システム。 (4) 被告の行為ア被告は,被告製品を製造し,少なくとも平成27年6月5日から,訴外 KDDI株式会社に販売している。 イ被告製品は,別紙「被告製品の構成」(以下「被告製品の構成」という。)記載の構成を有している(ただし,下線部及び括弧([ ])内の各記載については,当事者の各主張を記載している。すなわち,原告は,下線部の構成を有していると主張し,被告は,括弧([ ])内の構成を有していると主張する。)。 2 争点(1) 被告製品に係る,本件各発明の構成要件充足性(争点1)ア 「入力支援」(構成要件A2,C2)について(争点1-1)イ 「ポインタ」(構成要件B,E,F)について(争点1-2)ウ 「操作メニュー情報」(構成要件B,E,F,G)について(争点1-3) エ 「命令ボタン」(構成要件D,G)について(争点1-4)オ 「入力手段を介してポインタの位置を移動させる命令を受信する」と「操作メニュー情報」を「表示する」(構成要件E)か否か(争点1-5)カ 「操作メニュー情報がポインタにより指定される」と「操作メニュー情報に関連付いている命令」を「実行」するか否か,及び「操作メニュー情 報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を継続する」(構成要件F)か否か(争点1-6)キ 「操作情報」(構成要件B,E,F)について(争点1-7)ク 「利用者からの命令を受け付ける入力手段」(構成要件A,H1)について(争点1-8) (2) 本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものか否か(争点2)ア乙7に基づく新規性・進歩性欠如(争点2 付ける入力手段」(構成要件A,H1)について(争点1-8) (2) 本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものか否か(争点2)ア乙7に基づく新規性・進歩性欠如(争点2-1)イ乙7及び乙8に基づく進歩性欠如(争点2-2)ウ明確性要件の欠如(争点2-3)(3) 損害の発生の有無及び損害額(争点3) 3 争点に関する当事者の主張 (1) 争点1-1(「入力支援」(構成要件A2,C2))について[原告の主張]ア本件明細書に,本件発明の課題として,「システム利用者の入力を支援するための,コンピュータシステムにおける簡易かつ便利な入力の手段を提供することである。特に,利用者が必要になった場合にすぐに操作コマン ドのメニューを画面上に表示させ,必要である間についてはコマンドのメニューを表示させ続けられる手段の提供を目的とする。」(段落【0006】)とあるように,利用者の入力を支援するため利用者が必要になった場合にすぐに操作コマンドのメニューを画面上に表示させることが,「入力支援」に相当する。 イ本件ホームアプリは,スクロール可能な方向にだけ,「下ページ一部表示」もしくは「上ページ一部表示」を表示し,これらの画像表示によって,利用者はスクロール可能な方向を視覚的に把握できるから,利用者が所望するぺージに,ショートカットアイコンを配置することを視覚的に支援している。さらに,利用者は,「下ページ一部表示」及び「上ぺージ一部表示」 の画像を見ながら,「指等のタッチパネル上の位置」や「マウスカーソルの先端の位置」を,当該画像が占める範囲に入れる操作によって,的確にスクロール命令を実行できる。 したがって,本件ホーム の画像を見ながら,「指等のタッチパネル上の位置」や「マウスカーソルの先端の位置」を,当該画像が占める範囲に入れる操作によって,的確にスクロール命令を実行できる。 したがって,本件ホームアプリは,「入力支援」(構成要件A2,C2,H3)を充足する。 ウ被告は,本件発明において入力されるデータや,入力支援の対象は,「編集対象データ」だけに限定されるべき旨を主張するが,そのような限定はなされておらず(段落【0015】),「編集対象データ」以外のデータを変化させても,本件発明の上記文言を充足する。 なお,ショートカットアイコンを任意のマス目の位置に配置することは, 利用者が,ショートカットアイコンの種類データと,「マス目の位置」を示 すX座標とY座標の数値データを,タッチパネルやマウスから入力することを意味する。ここで,「配置するショートカットアイコンの種類データと,配置するマス目の座標位置データ」は,ショートカットアイコンを,タップ又はクリックして利用する「ホームアプリ」の使い勝手を決めるデータであって,利用者にとって意味があるから本件各発明の「編集対象データ」 に当たる。そこで,仮に,入力支援の対象が「編集対象データ」に限定されたとしても,被告製品は,当該データの入力を「入力支援」している。 [被告の主張]ア本件明細書(段落【0013】,【0014】)の記載のように,本件発明における「データ」とは,利用者が入力するデータであり,利用者にとっ て意味のある編集対象データに限られる。 イ本件ホームアプリは,ホームアプリの画面をカスタマイズするプログラムであり,表示されているアイコンを隣の画面に移動する等の動作を行うプログラムであって,利用者にとって意味 タに限られる。 イ本件ホームアプリは,ホームアプリの画面をカスタマイズするプログラムであり,表示されているアイコンを隣の画面に移動する等の動作を行うプログラムであって,利用者にとって意味のある「データ入力」を「支援」するプログラムではない。 (2) 争点1-2(「ポインタ」(構成要件B,E,F))について[原告の主張]ア本件明細書においては「ポインタ」の用語そのものを定義していないため,本件各発明の技術分野の当業者の認識を客観的に表している書面(甲32及び36)の記載から解釈すべきであるところ,「ポインタ」には3通 りの解釈(①ポインティングデバイスのハードウェア抽象化レイヤのコンピュータプログラム,②ポインティングデバイスの一種(仮想的に存在するポインティングデバイス),③手で操作され,画面上の座標位置を指定する機能を満足するひと固まりの装置及びプログラム)が存在するが,実際は,「ポインタ」とは,ポインティングデバイスの種類を問わず,「ポイン タの位置」と呼ばれる座標位置を指定するための機能(アプリケーション ソフトから見ると,座標位置を取得する機能)であって,3つの解釈は同じものを説明している。すなわち,甲32の「ポインタ」であっても,甲36の「ポインタ」であっても,それにより得られる画面上の座標位置である「ポインタの位置」に違いはなく,カーソルは「ポインタの位置」を指し示すように描かれる。そして,「ポインタの位置」と「カーソル画像」 の関係は,本件明細書(段落【0012】)と合致すること,ポインティングデバイスの種類を問わない点においても同明細書(段落【0011】)と合致することから,甲32の「ポインタ」と,甲36の「ポインタ」は,いずれも本件各発明における「 】)と合致すること,ポインティングデバイスの種類を問わない点においても同明細書(段落【0011】)と合致することから,甲32の「ポインタ」と,甲36の「ポインタ」は,いずれも本件各発明における「ポインタ」に当たる。 イ被告製品の構成ア,エ(イ)~(エ),オ(イ)~(エ)は,「MotionEv entクラス」(甲34)を含み,これは,ポインティングデバイスのハードウェア抽象化レイヤを実現するコンピュータプログラムであって,甲32の「ポインタ」のコンピュータプログラムに相当し,抽象化によって,複数種類のポインティングデバイスを,一つの仮想的に存在するポインティングデバイスとしており,これが甲32の「ポインタ」に相当する。同 構成カについても同様である。 また,被告製品の構成ア,エ(イ)~(エ),オ(イ)~(エ)は,甲36に記載の「手で操作され,画面上の座標位置を指定する機能を満足するひと固まりの装置及びプログラム」である「ポインタ」であって,当該装置及びプログラムによって指定された「ポインタの位置」を指し示すように,同 構成カにあるカーソル画像や,ショートカットアイコンの画像が描画される。 したがって,被告製品は,本件各発明における「ポインタ」(構成要件B,E,F)を有する。 そして,被告製品における「マウスカーソルの先端の位置」(被告製品の 構成カ)及び「ショートカットアイコンをドラッグしているマウスカーソ ルの先端の位置」(同構成オ(イ)~(エ))並びに「白い円形のカーソルの中心の位置」(同構成カ)及び「ショートカットアイコンをドラッグしている指等のタッチパネル上の位置」(同構成エ(イ)~(エ))が本件各発明における「ポインタの座標位置」に相当する。 カーソルの中心の位置」(同構成カ)及び「ショートカットアイコンをドラッグしている指等のタッチパネル上の位置」(同構成エ(イ)~(エ))が本件各発明における「ポインタの座標位置」に相当する。 [被告の主張] ア本件明細書の記載(段落【0073】,【0103】,段落【0079】)からすれば,本件各発明における「ポインタ」とは,出力手段である画面上に表示され,画面上の特定の位置を指し示す絵記号と解さざるを得ない。 また,本件各発明では,利用者が,画面上実際に操作メニュー情報をポインタにより指定したかどうかを判断するためには,「ポインタ」もまた出 力手段である画面上に表示されている必要があることは明らかである。このような解釈は,一般的な用語の解釈にも合致する。 イ 「ドラッグ操作の対象となっているショートカットアイコン」の画面上で表示される現在位置を示すものが「カーソル」というべきである一方,ショートカットアイコン自体は移動させる対象であり,「カーソル」とは別 個のものであるから,ショートカットアイコン自体をカーソルであると解することはできない。また,原告の主張する「白い円形のカーソル」は,取扱説明書にも記載されていない開発者に限ったオプションとして表示されるから,本件各発明の「ポインタ」として画面上に表示されているものとはいえない。さらに,マウスカーソルはタッチパネル使用時に表示さ れないから(乙2の2),「ポインタ」として表示されているとはいえない。 そして,「マウス」は被告製品に同梱されていない以上,マウスカーソルの表示について主張しても被告製品による本件各発明の侵害の成否とは無関係である。したがって,被告製品は「ポインタ」を有しない。 (3) 争点1-3(「操作メニュー れていない以上,マウスカーソルの表示について主張しても被告製品による本件各発明の侵害の成否とは無関係である。したがって,被告製品は「ポインタ」を有しない。 (3) 争点1-3(「操作メニュー情報」(構成要件B,E,F,G))について [原告の主張] ア本件各発明の「操作メニュー情報」は,命令の「対象」や「内容」のいずれかを,小さな絵で表現したものが,「実行される命令結果を利用者が理解できるという動作・作用を目的・目標として構成されている画像データ」であって,「画面上のどの座標位置・範囲に表示するかという表示位置・範囲に関する情報」を含むものである。 イ被告製品の構成にある「上ページ一部表示」及び「下ページ一部表示」は,次の(ア)及び(イ)のとおり,本件各発明の「操作メニュー情報」に相当する。 (ア) 被告製品の構成にある「上ページ一部表示」及び「下ページ一部表示」は,スクロール命令の対象であって,実行されるスクロール命令の 結果として,画面の中央に表示される「ページ」の一部の画像であるから,「実行される命令結果」の画像の一部である。利用者は,「実行される命令結果」の画像を見れば,当然,実行される命令結果を理解できるから,この画像の一部を示すことは,実行される命令結果を,利用者に理解させることを目的・目標としているといえる。したがって,「実行さ れる命令結果」の画像は,「実行される命令結果を,利用者に理解させることを目的・目標としている画像データ」といえる。 (イ) また,「上ページ一部表示」は,「表示位置・範囲に関する情報」に相当する「右上領域」及び「左上領域」の範囲の情報を含む。すなわち,「上ページ一部表示」は,被告製品の構成(被告製品の工場出荷の状 イ) また,「上ページ一部表示」は,「表示位置・範囲に関する情報」に相当する「右上領域」及び「左上領域」の範囲の情報を含む。すなわち,「上ページ一部表示」は,被告製品の構成(被告製品の工場出荷の状態, すなわち「最小幅」の設定が360dpi)において,左上(X:123,Y:75),右下(X:956,Y:138)の長方形の領域(上ページ一部表示領域)の範囲に表示されるが,画面上の,この座標位置・範囲に表示するための情報(「表示位置・範囲に関する情報」・段落【0016】)とともに,「上ページ一部表示」が,記憶手段に記憶されてい なければ,処理手段は,IGZO液晶ディスプレイに「上ページ一部表 示」を表示する情報処理を実行することができない。したがって,「上ページ一部表示」は,「上ページ一部表示領域」の範囲の情報を含んでおり,これが被告製品の記憶手段に記憶されている。このことは「下ページ一部表示」についても同様である。 さらに,被告製品においては,被告製品の構成エ(エ),オ(エ)にあ るとおり,「下ページ一部表示」が表示されているときに限り,下ページスクロール1及び2が生じるかを判断するため,「右下領域」及び「左下領域」の範囲に,「ポインタの位置」に相当する,「指等のタッチパネル上の位置又はマウスカーソルの先端の位置」が入ったか否かを判断する情報処理を,実行している。この情報処理は,「下ページ一部表示」に, 「右下領域」及び「左下領域」の範囲の情報が含まれていなければ,実現できない。そうすると,「下ページ一部表示」は,「右下領域」及び「左下領域」の範囲の情報を含んで,記憶手段に記憶されているといえる。 このような,スクロールが生じる条件である「右下領域」及び「左下領域」については,設定によっ ページ一部表示」は,「右下領域」及び「左下領域」の範囲の情報を含んで,記憶手段に記憶されているといえる。 このような,スクロールが生じる条件である「右下領域」及び「左下領域」については,設定によって,その範囲が変わるものである。仮に被 告のいうように,「下ページ一部表示領域」と「右下領域」及び「左下領域」が,プログラム上も別々に設定されているのであれば,「右下領域」,「左下領域」が一致するはずであるが,乙13の映像によれば,最小幅の設定によって,「下ページ一部表示」の範囲が変わると,それに応じて,「右下領域」及び「左下領域」の範囲が変わる。これは,「下ページ一部 表示領域」の範囲の情報から,「右下領域」及び「左下領域」が算出されている(プログラム上関連付いている)ことを意味する。つまり,「下ページ一部表示領域」の範囲の情報は,「右下領域」及び「左下領域」の範囲の情報を含んでおり,これは,「表示位置・範囲に関する情報」(段落【0016】)に相当する。このことは,「上ページ一部表示」についても同 様である。 ウ 「左下領域」及び「右下領域」の画像も「下ページ一部表示」と認識できるから,「操作メニュー情報」に相当する。同様に,「左上領域」及び「右上領域」の画像も「上ページ一部表示」と認識できるから,「操作メニュー情報」に相当する。 [被告の主張] ア構成要件B,本件明細書の段落【0012】,【0081】,【0082】の各記載及び図6からすれば,「操作メニュー情報」は,どのような命令が実行されるか見て分かる画像データであって,それ自体から実行される命令結果を理解できる必要があるといえる。 イ原告が主張する「上ページ一部表示」及び「下ページ一部表示」は,単 にホー 実行されるか見て分かる画像データであって,それ自体から実行される命令結果を理解できる必要があるといえる。 イ原告が主張する「上ページ一部表示」及び「下ページ一部表示」は,単 にホーム画面が縮小表示されることによって当該ホーム画面に隣のホーム画面の一部が見えているにすぎず,実行される命令を表す文字も,矢印表示等何らかの操作ができることを示す絵や記号も表示されておらず,その表示自体から上ページ又は下ページにスクロールするといった実行される命令結果を理解できる画像ではない。なお,「左下領域」,「右下領域」, 「左上領域」及び「右上領域」は,画面上表示されず,「操作メニュー情報」に当たるといえない。したがって,被告製品において「操作メニュー情報」は存在しない。 (4) 争点1-4(「命令ボタン」(構成要件D,G))について[原告の主張] ア本件明細書(段落【0018】)において,「入力手段における命令ボタンが利用者によって押されたことによる開始動作命令」とは,タッチパネルにおいては,押す行為を伝える電気信号であると説明されており,かかる記載によれば,タッチパネルに「命令ボタン」が内包されていることは明らかである。 イ被告製品の構成エ(ア)及びオ(ア)において,利用者が被告製品に接 続されたマウスの左ボタン又はタッチパネルのタッチセンサを押すと,被告製品の処理手段は甲15の240頁に記載の「ACTION_DOWN」のデータを,マウス又はタッチパネルを介して受信し,その後,処理手段は,0.6秒の経過を待つ情報処理を実行することで,長押しを検出する。 この「ACTION_DOWN」のデータは,「マウスの左ボタンを押す行 為を示す電気信号」又は「タッチパネルのタ 後,処理手段は,0.6秒の経過を待つ情報処理を実行することで,長押しを検出する。 この「ACTION_DOWN」のデータは,「マウスの左ボタンを押す行 為を示す電気信号」又は「タッチパネルのタッチセンサを指等で押す行為を示す電気信号」であるから,「開始動作命令」(構成要件D,G)に相当する。 そして,「タッチパネル」(構成エ(ア))は,「前記入力手段」に相当し,「タッチセンサ」は「命令ボタン」(構成要件D,G)に相当する。 [被告の主張]ア本件各特許請求の範囲の文言を自然に解釈する限り,「命令ボタン」とは,「ポインタ」と別個の構成要素であり,本件明細書(段落【0079】)においても,「マウス・キーボードにおける命令ボタン」は「ポインタ1」と別個独立の構成要素として説明されている。 イ本件ホームアプリは,前記のとおり「ポインタ」が存在しないうえ,「上ページ一部表示」又は「下ページ一部表示」に向けてアイコンを移動する操作の際,押し続けているようなボタンも存在しない。また,原告は「ACTION_DOWN」のデータは,本件発明の「開始動作命令」に相当する旨を主張するが,本件ホームアプリは「ACTION_DOWN」の イベントを直接利用していない。 (5) 争点1-5(「入力手段を介してポインタの位置を移動させる命令を受信する」と「操作メニュー情報」を「表示する」(構成要件E)か否か)について[原告の主張] ア構成要件Eには,「ポインタの位置を移動させる命令を受信する」ことと 「操作メニュー情報を・・・表示」することの間に,「すぐに」というような時間を限定する要件は含まれておらず,このような時的要素は,同構成要件の充足には関係がない。 令を受信する」ことと 「操作メニュー情報を・・・表示」することの間に,「すぐに」というような時間を限定する要件は含まれておらず,このような時的要素は,同構成要件の充足には関係がない。 イ本件ホームアプリは,「当該ショートカットアイコンを移動させ,ロングタッチした位置と当該ショートカットアイコンをドラッグしている指等 のタッチパネル上の位置が約110ピクセル離れた場合に」(被告製品の構成エ(イ),タッチパネルを入力手段とする場合)又は「当該ショートカットアイコンを移動させ,マウスの左ボタンを押した際のマウスカーソルの先端の位置と当該ショートカットアイコンをドラッグしているマウスカーソルの先端の位置が約110ピクセル離れた場合に」(同構成オ(イ), マウスを入力手段とする場合)において,「縮小モードの状態」に変更する。 このような上記構成エ(イ)又はオ(イ)を,本件ホームアプリのコンピュータプログラムによって実現するためには,本件ホームアプリは,「処理手段」に,「タッチパネルを介して『ACTION_MOVE』のデータを受信すると,ロングタッチした位置とショートカットアイコンをドラッ グしている指等のタッチパネル上の位置が110ピクセル以上離れていれば『縮小モードの状態』に変更する」又は「マウスを介して『ACTION_MOVE』のデータを受信すると,マウスの左ボタンを押した際のマウスカーソルの先端の位置とショートカットアイコンをドラッグしているマウスカーソルの先端の位置が110ピクセル以上離れていれば『縮 小モードの状態』に変更する」との情報処理を実行させる必要があるから,上記構成エ(イ)又はオ(イ)は「マウスを介して『ACTION_MOVE』のデータを受信すると,」との情報処理を含 ば『縮 小モードの状態』に変更する」との情報処理を実行させる必要があるから,上記構成エ(イ)又はオ(イ)は「マウスを介して『ACTION_MOVE』のデータを受信すると,」との情報処理を含み,該情報処理は,「ポインタの位置を移動させる命令を受信すると」(構成要件E)を充足する。 [被告の主張] ア本件各発明の【課題】(段落【0006】)に加え,実施例(段落【00 71】~【0075】,図4。段落【0078】~【0081】参照)からすれば,構成要件Eにおいては,一旦「ポインタの位置を移動させる命令を・・・受信した」ときには,他の条件(例えば,ポインタの移動距離が所定以上になるというような条件)の成就を待つことなく,すぐに「操作メニュー情報」を表示する処理に入ることを要するものと解すべきである。 イ被告製品においては,ロングタッチした位置と当該ショートカットアイコンをドラッグしている指等のタッチパネル上の位置が約110ピクセル離れるまでは,指等のタッチパネル上の位置が移動されることにより「ポインタの位置を移動させる命令」を受信したにもかかわらず,縮小モードにはならず,「上ページ一部表示」も「下ページ一部表示」も表示され ない(被告製品の構成エ(イ),乙10の1,乙10の2図6)。 そうすると,被告製品は「ポインタの位置を移動させる命令」を一旦受信すると,すぐに「操作メニュー情報」を表示するものではないから,構成要件Eの上記文言を充足しない。 (6) 争点1-6(被告製品において「操作メニュー情報がポインタにより指定 される」と「操作メニュー情報に関連付いている命令」を「実行」するか否か,及び「操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を において「操作メニュー情報がポインタにより指定 される」と「操作メニュー情報に関連付いている命令」を「実行」するか否か,及び「操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を継続する」(構成要件F)か否か)について[原告の主張]ア 「操作メニュー情報がポインタにより指定される」と「操作メニュー情 報に関連付いている命令」を「実行」するか否かについて(ア) 被告製品における本件ホームアプリの構成において,上ページ一部表示が表示されているとき,利用者が当該ショートカットアイコンをドラッグしているマウスカーソルの先端の位置(マウスの場合)又は指等のタッチパネル上の位置(タッチパネルの場合)を,左上領域又は右上 領域のいずれかの範囲に入れたまま,約0.6秒以上経過した場合に, 上ページスクロール1が生じる。また,下ページ一部表示が表示されているとき,利用者が当該ショートカットアイコンをドラッグしているマウスカーソルの先端の位置(マウスの場合)又は指等のタッチパネル上の位置(タッチパネルの場合)を,左下領域又は右下領域のいずれかの範囲に入れたまま,約0.6秒以上経過した場合に,下ページスクロー ル1が生じる。 (イ) この点,「操作メニュー情報がポインタにより指定される」とは,「ポインタの座標位置」が「操作メニュー情報の画像の占める座標位置」の範囲に入ったことをいうところ(段落【0013】),利用者が当該ショートカットアイコンをドラッグしているマウスカーソルの先端の位置又 は指等のタッチパネル上の位置は,「ポインタの座標位置」に相当する。 また,上ページ一部表示のみならず右上領域又は左上領域も「操作メニュー情報」に相当するところ,右上領域又は左上領域の画像が は指等のタッチパネル上の位置は,「ポインタの座標位置」に相当する。 また,上ページ一部表示のみならず右上領域又は左上領域も「操作メニュー情報」に相当するところ,右上領域又は左上領域の画像が占める座標位置の範囲は,「操作メニュー情報が占める座標位置の範囲」に相当する。 そして,上ページスクロール1が生じるのは,処理手段が上ページスクロール1を行うプログラムを実行していることを意味するところ,同プログラムは上ページ一部表示が表示されていないと実行されないから,上ページ一部表示と同プログラムとは関連付いているといえる。 なお,上記で主張したところは,下ページ一部表示,左下領域又は右 下領域,下ページスクロール1についても同様である。 (ウ) したがって,上記(ア)の本件ホームアプリの構成は,「操作メニュー情報がポインタにより指定される」と「操作メニュー情報に関連付いている命令」を「実行」するとの文言(構成要件F)を充足する。 イ 「操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を 継続する」か否かについて (ア) 本件ホームアプリの構成においては,約0.2秒かけて画面が上方向にスクロールして,スクロール先が上端ページではなく,かつ,スクロール中に変化した上ページ一部表示の輝度が戻りスクロール元のページ画面の一部が下ページ一部表示として表示された後,引き続き利用者が当該ショートカットアイコンをドラッグしているマウスカーソルの先 端の位置(マウスの場合)又は指等のタッチパネル上の位置(タッチパネルの場合)を左上領域又は右上領域の範囲に入れたまま約0.4秒以上経過した場合,上ページスクロール2が生じて,以降,上ページスクロール2の条件が備わ 場合)又は指等のタッチパネル上の位置(タッチパネルの場合)を左上領域又は右上領域の範囲に入れたまま約0.4秒以上経過した場合,上ページスクロール2が生じて,以降,上ページスクロール2の条件が備わり続ける限度で,上ページスクロール2が繰り返される。また,約0.2秒かけて画面が下方向にスクロールして,スク ロール先が下端ページではなく,かつ,スクロール中に変化した下ページ一部表示の輝度が戻りスクロール元のページ画面の一部が上ページ一部表示として表示された後,引き続き利用者が当該ショートカットアイコンをドラッグしているマウスカーソルの先端の位置(マウスの場合)又は指等のタッチパネル上の位置(タッチパネルの場合)を左下領域又 は右下領域の範囲に入れたまま約0.4秒以上経過した場合,下ページスクロール2が生じて,以降,下ページスクロール2の条件が備わり続ける限度で,下ページスクロール2が繰り返される。 (イ) この点,「操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなる」とは,「ポインタの座標位置」が「操作メニュー情報の画像の占める座標位 置」の範囲から出たことをいうところ,前記のとおり,利用者が当該ショートカットアイコンをドラッグしているマウスカーソルの先端の位置又は指等のタッチパネル上の位置は,「ポインタの座標位置」に相当し,上ページ一部表示のみならず右上領域又は左上領域も「操作メニュー情報」に相当するところ,右上領域又は左上領域の画像が占める座標位置 の範囲は,「操作メニュー情報が占める座標位置の範囲」に相当する。 そして,上ページスクロール2が繰り返されることは,「当該実行を継続する」に相当する。 なお,上記で主張したところは,下ページ一部表示,左下領域又は右下領域 そして,上ページスクロール2が繰り返されることは,「当該実行を継続する」に相当する。 なお,上記で主張したところは,下ページ一部表示,左下領域又は右下領域,下ページスクロール2についても同様である。 (ウ) したがって,上記(イ)の本件ホームアプリの構成は,「操作メニュ ー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を継続する」との文言(構成要件F)を充足する。 (エ) なお,被告は,構成要件Fの上記記載につき,「操作メニュー情報」が「ポインタにより指定されなくなれば,命令の実行は終了しなければならない」旨を主張するが,同構成要件に「終了」というような記載は ないから,命令の実行がいつ終了するかは,同構成要件の充足の有無とは関係がないというべきである。 [被告の主張]ア 「操作メニュー情報がポインタにより指定される」と「操作メニュー情報に関連付いている命令」を「実行」するか否かについて (ア) 「上ページ一部表示」及び「下ページ一部表示」は,「ポインタの座標位置によって実行される命令結果を利用者が理解できるように前記出力手段に表示するための画像データである操作メニュー情報」ではなく,その他に「本件ホームアプリ」には本件で問題となっているスクロールに関する「操作メニュー情報」に当たる画面上の表示はない。 (イ) 前記のとおり,被告製品は「ポインタ」を有しない。 (ウ) 被告製品における「上ページスクロール1」,「上ページスクロール2」,「下ページスクロール1」及び「下ページスクロール2」は,「操作メニュー情報にポインタが指定された場合に実行」されるものではない。 (エ) 被告製品は「出力手段に表示した操作メニュ ール2」,「下ページスクロール1」及び「下ページスクロール2」は,「操作メニュー情報にポインタが指定された場合に実行」されるものではない。 (エ) 被告製品は「出力手段に表示した操作メニュー情報がポインタによ り指定されると,当該ポインタにより指定された操作メニュー情報に関 連付いている命令を・・・実行」するものではない。 イ 「操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を継続する」か否かについて(ア) 構成要件Fには「操作メニュー情報がポインタにより指定されると,当該ポインタにより指定された操作メニュー情報に関連付いている命令 を,前記記憶手段から読み出して実行し,当該出力手段に表示した操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を継続する・・・」と記載されている。このような記載振りに加え,日本語の自然な解釈からすれば,「指定されなくなるまで当該実行を継続する」との文言は,「当該ポインタにより指定された操作メニュー情報に関連付いて いる命令」が指定されなくなれば実行は終了しなければならないことを意味するものというべきである。 しかして,被告製品においては,スクロール表示の途中は「上ページ一部表示」及び「下ページ一部表示」が移動しているのであるから,スクロール表示中に,指等のタッチパネル上の位置又はマウスの先端が当 該移動する「上ページ一部表示」又は「下ページ一部表示」と重ならなくなった場合には,スクロールが止まるべきこととなるが,被告製品において,そのような動作はない。 (イ) 下ページスクロール1と下ページスクロール2(又は,上ページスクロール1と上ページスクロール2)が何度も実行されることは「継続」 ではない 品において,そのような動作はない。 (イ) 下ページスクロール1と下ページスクロール2(又は,上ページスクロール1と上ページスクロール2)が何度も実行されることは「継続」 ではない。上ページスクロール1又は下ページスクロール1が生じる条件が揃えば上ページスクロール1又は下ページスクロール1が生じること,上ページスクロール2又は下ページスクロール2が生じる条件が揃えば上ページスクロール2又は下ページスクロール2が生じることは,それぞれ1つの条件に1つの効果が生じているにすぎないのであって, 「操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を 継続」しているとはいえない。 (7) 争点1-7(「操作情報」(構成要件B,E,F))について[原告の主張]ア被告製品は,「上ページ一部表示」,「下ページ一部表示」を表示しているから,「上ページ一部表示」,「下ページ一部表示」の画像データを「記憶手 段」に記憶している。 イしかして,被告製品の「処理手段」は,「上ページ一部表示」が表示されている場合に限り,「左上領域」もしくは「右上領域」に「マウスカーソルの先端の位置」もしくは「指等のタッチパネル上の位置」が入ると「上ページスクロールプログラム」を実行するところ,記憶手段が「上ページ一 部表示」と「上ページスクロールプログラム」を関連付けた「被告製品の操作情報」を記憶していなければ,処理手段は「上ページ一部表示」を表示している場合に実行する動作である「画面が上方向にスクロール」との動作を実現できない。そうである以上,被告製品の記憶手段は「上ページ一部表示」と「上ページスクロールプログラム」を関連付けた「被告製品 の操作情報」を記憶しているというべきである ロール」との動作を実現できない。そうである以上,被告製品の記憶手段は「上ページ一部表示」と「上ページスクロールプログラム」を関連付けた「被告製品 の操作情報」を記憶しているというべきである。このことは,「下ページ一部表示」と「下ページスクロールプログラム」についても同様である。 したがって,被告製品は,「操作情報」との文言(構成要件B,E,F)を充足する。 [被告の主張] ア前記のとおり,被告製品には「操作メニュー情報」が存在しない以上,「操作情報」も存在しない。 イまた,本件ホームアプリの「上ページスクロール1」,「上ページスクロール2」,「下ページスクロール1」及び「下ページスクロール2」は,「指等のタッチパネル上の位置」又は「マウスカーソルの先端の位置」が,「左 上領域」,「右上領域」,「左下領域」又は「右下領域」のいずれかの範囲に 入ったときに実行されるのであって,「上ページ一部表示」及び「下ページ一部表示」の占める座標位置の範囲に入った場合に実行されるものではない。 したがって,「上ページスクロール1」,「上ページスクロール2」,「下ページスクロール1」及び「下ページスクロール2」を実現するための情報 処理は,「上ページ一部表示」及び「下ページ一部表示」とは関連付いておらず,仮に「上ページ一部表示」及び「下ページ一部表示」が「操作メニュー情報」に当たるとしても,本件ホームアプリは,「・・・操作メニュー情報と,当該操作メニュー情報にポインタが指定された場合に実行される命令と,を関連付けた操作情報」を有するものではない。 (8) 争点1-8(「利用者からの命令を受け付ける入力手段」(構成要件A,H1))について[原告の主張 場合に実行される命令と,を関連付けた操作情報」を有するものではない。 (8) 争点1-8(「利用者からの命令を受け付ける入力手段」(構成要件A,H1))について[原告の主張]ア 「タッチパネル」を備えた「スマートフォン」(被告製品の構成ア)は,「情報を記憶する記憶手段と,情報を処理する処理手段と,利用者に情報 を表示する出力手段と,利用者からの命令を受け付ける入力手段とを備えたコンピュータシステム」との文言を充足する。 イまた,「マウス」は,「利用者からの命令を受け付ける入力手段」に相当するから,「マウス」を接続した「スマートフォン」(被告製品の構成ア)も,「情報を記憶する記憶手段と,情報を処理する処理手段と,利用者に情 報を表示する出力手段と,利用者からの命令を受け付ける入力手段とを備えたコンピュータシステム」との文言を充足する。 [被告の主張]被告製品には「マウス」は同梱されておらず,「マウス」を備えていないから,少なくともマウスを使用する場合において「利用者からの命令を受け付 ける入力手段とを備えたコンピュータシステム」とはいえない。 したがって,少なくとも利用者がマウスを使用する場合において,被告製品は「利用者からの命令を受け付ける入力手段」を有しない。 (9) 争点2-1(乙7に基づく新規性・進歩性欠如)について[被告の主張]ア本件各発明は,平成9年6月10日に公開特許公報で公開されており, 本件各発明の特許出願前に公然知られていた特開平9-152856号公報(乙7)に記載された発明(以下,「乙7発明」という),具体的には,乙7の第1の実施の形態(乙7,段落【0014】~【0030】)を前提とした同 出願前に公然知られていた特開平9-152856号公報(乙7)に記載された発明(以下,「乙7発明」という),具体的には,乙7の第1の実施の形態(乙7,段落【0014】~【0030】)を前提とした同第2の実施の形態(乙7,段落【0031】~【0047】)と同一であるので,新規性の要件を満たさない(特許法29条1項)。 イ仮に,本件各発明が新規性を有すると判断されたとしても,乙7の第1の実施の形態に係る内容を第2の実施の形態に適用することは、当業者にとって容易に想到し得る。そうすると、本件各発明は、乙7発明に基づいて、本件各発明の特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性の要件を満たさない(特許法29条2項)。 [原告の主張]被告の上記主張は,争う。本件発明と,乙7発明とは,相違するものであり,乙7に基づく新規性欠如の主張は理由がない。また,進歩性の要件について見ても,乙7の第2の実施の形態に対して,同第1の実施形態を組み合わせる動機付けも示唆もなく,上記組合せには阻害要因があり,論理付け自 体が困難であるから,乙7に基づく進歩性欠如の主張も理由がない。 (10) 争点2-2(乙7及び乙8に基づく進歩性欠如)について[被告の主張]本件各発明は,乙7発明に加え,米国特許番号5726687(乙8の1)に記載されている従来システム(以下,「乙8システム」という)に基づいて, 本件発明の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。 [原告の主張]被告の上記主張は,争う。乙8システムを,乙7発明に適用することには阻害要因があるものであって,本件発明が,乙7及び乙8に基づき進歩性を欠如するとはいえない。 (11) [原告の主張]被告の上記主張は,争う。乙8システムを,乙7発明に適用することには阻害要因があるものであって,本件発明が,乙7及び乙8に基づき進歩性を欠如するとはいえない。 (11) 争点2-3(明確性要件の欠如)について [被告の主張]ア構成要件Gに「(4)・・・,前記出力手段へ表示している前記メニュー情報の表示を終了すること」との記載があるが,「メニュー情報」はそれ以前に記載がなく,「前記」との引用の基礎がないため,不明瞭な記載を含み,明確性の要件を満たさない。 イ構成要件Dにおける「終了動作命令」と構成要件Gにおける「終了動作命令」は,同じものなのか異なるものなのかが不明であるため,明確性の要件を満たさない。 [原告の主張]被告の上記主張は,争う。本件明細書の記載から,構成要件Gの「メニュ ー情報」が「操作メニュー情報」の誤記であること,構成要件Dの「終了動作命令」と構成要件Gの「終了動作命令」とが同一の電気信号であることは,明確に理解できるものである。 (12) 争点3(損害の発生の有無及び損害額)について[原告の主張] 被告製品の販売価格は7万6000円であり,販売台数は20万台を超えるから,売上額は152億円となる。これに,相当な実施料率である6パーセントを乗じた額である9億1200万円が,本件各発明の実施に対して,原告が被告から受けるべき金銭の額であり,原告は同額の損害を被った。原告は,このうち,一部請求として,1000台分に相当する456万円を, これに対する遅延損害金を付加して,請求する。 [被告の主張]原告の上記主張は,争う。 第3 当裁判所の判断 1 本件事案に鑑み,ま 相当する456万円を, これに対する遅延損害金を付加して,請求する。 [被告の主張]原告の上記主張は,争う。 第3 当裁判所の判断 1 本件事案に鑑み,まず,争点1-3(「操作メニュー情報」(構成要件B,E,F,G)の文言充足性)及び争点1-6(被告製品において「操作メニュー情 報がポインタにより指定される」と「操作メニュー情報に関連付いている命令」を「実行」するか否か,及び「操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を継続する」(構成要件F)か否か)について判断する。 (1) 本件各特許請求の範囲には,操作メニュー情報について,「ポインタの座標位置によって実行される命令結果を利用者が理解できるように前記出力手段 に表示するための画像データである操作メニュー情報と」との文言が記載されており,このような操作メニュー情報について,「・・・前記入力手段を介して,当該出力手段に表示した操作メニュー情報がポインタにより指定されると,当該ポインタにより指定された操作メニュー情報に関連付いている命令を,前記記憶手段から読み出して実行し,当該出力手段に表示した操作メ ニュー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を継続する・・・」との文言が記載されているところ,本件明細書には,次の各記載がある。 ア技術分野【0001】本発明は,マウスに代表されるポインティングデバイス等の入力装置を利用して,コンピュータシステムにおけるシステム利用者の 入力行為を支援するためのコンピュータプログラムに関するものである。 イ背景技術【0002】GUI(GraphicalUserInterface)環境のコンピュータシステムでは,シ を支援するためのコンピュータプログラムに関するものである。 イ背景技術【0002】GUI(GraphicalUserInterface)環境のコンピュータシステムでは,システム利用者の入力行為を支援するために様々な工夫がなされている。例えば,プログラムの実行中に コンピュータの入力装置であるマウスを右クリックすることにより操作 コマンドのメニューが画面上に表示される「コンテキストメニュー」や,マウス操作の一種である「ドラッグ&ドロップ」等が存在する。 【0003】「コンテキストメニュー」は,マウスを右クリックすることにより,マウスが指し示している画面上のポインタ位置に応じた操作コマンドのメニューが表示されるものであり,必要な場合に操作コマンドのメ ニューを画面上に表示させるという点でシステム利用者にとって有益である。しかしながら,「コンテキストメニュー」は,マウスの右クリックで簡単にコマンドのメニューが表示されるものの,マウスの左クリックを行う等するまではずっとメニューが画面に表示され続ける。また,利用者が間違って右クリックを押してしまった場合等は,利用者の意に反してメニ ューが画面上に表示されてしまうので不便である。 【0004】一方,「ドラッグ&ドロップ」とは,画面上でマウスポインタがウィンドウの枠やファイルのアイコンなどに重なった状態でマウスの左ボタンを押し,そのままの状態でマウスを移動させ,別の場所でマウスの左ボタンを離すマウス操作である。この「ドラッグ&ドロップ」は, データ等の「切り取り」と「貼り付け」を同時に行う操作,例えば,ディスク内でのファイル移動や,アプリケーションソフト間でのデータのカット&ペースト操作などに用いられている。しかしな プ」は, データ等の「切り取り」と「貼り付け」を同時に行う操作,例えば,ディスク内でのファイル移動や,アプリケーションソフト間でのデータのカット&ペースト操作などに用いられている。しかしながら,「ドラッグ&ドロップ」は,ドラッグしたポインタ位置からドロップしたポインタ位置まで画面をスクロールさせるような一時的動作には向いているが,継続的な動 作,例えば,移動させる位置を決めないで徐々に画面をスクロールさせていくような動作に適用させるのは難しい。 【0005】また,以下の特許文献1には,コマンドメニュー表示方法に関する技術が開示されている。しかしながら,当該技術も「ドラッグ&ドロップ」の応用技術としてのコマンドメニュー表示方法であり,継続的 な動作の実行に適用させるのは難しい。 【特許文献1】特開2000-339482号公報ウ発明が解決しようとする課題【0006】本発明の解決しようとする課題は,システム利用者の入力を支援するための,コンピュータシステムにおける簡易かつ便利な入力の手段を提供することである。特に,利用者が必要になった場合にすぐに操 作コマンドのメニューを画面上に表示させ,必要である間についてはコマンドのメニューを表示させ続けられる手段の提供を目的とする。 エ課題を解決するための手段【0008】(1) そこで,上記課題を解決するため,本発明に係る入力支援コンピュータプログラムは,情報を記憶する記憶手段と,情報を処 理する処理手段と,利用者に情報を表示する出力手段と,利用者からの命令を受け付ける入力手段とを備えたコンピュータシステムにおけるコンピュータプログラムであって,利用者が前記入力手段を使用してデータ入力を行う際 段と,利用者に情報を表示する出力手段と,利用者からの命令を受け付ける入力手段とを備えたコンピュータシステムにおけるコンピュータプログラムであって,利用者が前記入力手段を使用してデータ入力を行う際に実行される入力支援コンピュータプログラムである。 【0009】また,当該コンピュータシステムの前記記憶手段は,ポイ ンタの座標位置によって実行される命令結果を利用者が理解できるように前記出力手段に表示するための画像データである操作メニュー情報と,当該操作メニュー情報にポインタが指定された場合に実行される命令と,を関連付けた操作情報を1以上記憶している。 【0010】そして,当該コンピュータシステムの前記処理手段に,(1) 前記入力手段を介して,前記入力手段における命令ボタンが利用者によって押されたことによる開始動作命令を受信した後から,利用者によって当該押されていた命令ボタンが離されたことによる終了動作命令を受信するまでにおいて,以下の(2)及び(3)を行うこと,(2)前記入力手段を介してポインタの位置を移動させる命令を受信すると,前記操作メニュ ー情報を前記記憶手段から読み出して前記出力手段に表示すること,(3) 前記入力手段を介して,当該出力手段に表示した操作メニュー情報がポインタにより指定されると,当該ポインタにより指定された操作メニュー情報に関連付いている命令を,前記記憶手段から読み出して実行すること,(4)前記入力手段を介して,前記開始動作命令の受信に対応する,前記命令ボタンが利用者によって離されたことによる終了動作命令を受信す ると,前記出力手段へ表示している前記操作メニュー情報の表示を終了すること,を実行させることを特徴とする入力支援コンピュータプログラムである。 よって離されたことによる終了動作命令を受信す ると,前記出力手段へ表示している前記操作メニュー情報の表示を終了すること,を実行させることを特徴とする入力支援コンピュータプログラムである。 【0012】「ポインタの座標位置」とは,前記出力手段における画面上での現在位置を示す絵記号である「カーソル(マウスカーソル)」が指し示 している画面上での座標位置である。「ポインタの座標位置によって実行される命令結果を利用者が理解できるように前記出力手段に表示する画像データ」とは,当該ビットマップ形式やベクター形式の画像データにポインタを合わせることで,どのような命令が実行されるのかをシステム利用者が理解できるように構成されている画像データであることを意味す る。例えば,どのような命令が実行されるのか,を表す文字を含んだ画像データであったり,「アイコン」のように実行される命令の内容や対象を小さな絵や記号で表現した画像データが考えられる。 【0013】「操作メニュー情報にポインタが指定された場合」とは,前記出力手段における画面上に表示された画像データである操作メニュー 情報が占める座標位置の範囲に,前記ポインタの座標位置が合わさった(入った)こと,をいう。「操作メニュー情報にポインタが指定された場合に実行される命令」とは,前記コンピュータシステムに対する実行命令であり,例として,「編集対象データにおける内部のデータ状態を変化させる命令」がある。この「編集対象データにおける内部のデータ状態を変化さ せる命令」とは,前記記憶手段に格納されている編集対象データの内容(デ ータ状態)に変更を加える命令である。 【0016】「操作情報」とは,「操作メニュー情報」と「操作メニュー情報にポイ とは,前記記憶手段に格納されている編集対象データの内容(デ ータ状態)に変更を加える命令である。 【0016】「操作情報」とは,「操作メニュー情報」と「操作メニュー情報にポインタが指定された場合に実行される命令」とを関連付けた情報である。この「操作情報」により,前記出力手段に表示された「操作メニュー情報」にポインタが指定された場合に,どの「命令」を実行すればよ いかを特定することができる。また,「操作メニュー情報」には,出力手段に表示する際に,画面上のどの座標位置・範囲に表示するかという表示位置・範囲に関する情報も含まれる。この「表示位置・範囲に関する情報」としては,例えば,操作メニュー情報が画面上に表示された際に占める絶対的な座標位置・範囲を示す情報や,編集対象データが表示される画面上 の座標位置・範囲における操作メニュー情報の占める相対的な位置・範囲を示す情報などが該当する。 【0022】(3)本発明は,入力手段における命令ボタンが利用者によって押されてから,離されるまでの間に,ポインタの位置を移動させる命令を受信すると,画像データである操作メニュー情報を出力手段に表示し, ポインタの指定により命令が実行される。特に,入力手段における命令ボタンが利用者によって押されてから,離されるまでの間は,画像データである操作メニュー情報をポインタで指定することによって,当該命令を何回でも実行する,という継続的な操作が可能になる。また,入力手段における命令ボタンが利用者によって離されると,出力手段に表示されていた 操作メニュー情報の表示が終了する。 【0023】これにより,例えば,当該ポインタの指定により実行される命令として,編集対象データのうち出力手段に表示される画面(ビュー されていた 操作メニュー情報の表示が終了する。 【0023】これにより,例えば,当該ポインタの指定により実行される命令として,編集対象データのうち出力手段に表示される画面(ビュー)をスクロールさせるような命令を採用すると,スムーズな画面操作が可能である。また,利用者によって押されていた入力手段における命令ボタン が利用者によって離されると,出力手段に表示されていた操作メニュー情 報が表示されなくなるため,普段は画面上に操作メニュー情報を表示せずに,利用者にとって必要な場合に簡便に表示させることが可能となる。 オ発明の効果【0051】以上のように,本発明を利用すると,入力手段における命令ボタンが利用者によって押されてから,離されるまでの間に,ポインタ の位置を移動させる命令を受信すると,画像データである操作メニュー情報を出力手段に表示し,ポインタの指定により命令が実行される。特に,入力手段における命令ボタンが利用者によって押されてから,離されるまでの間は,画像データである操作メニュー情報をポインタで指定することによって,当該命令を何回でも実行する,という継続的な操作が可能にな る。また,入力手段における命令ボタンが利用者によって離されると,出力手段に表示されていた操作メニュー情報の表示が終了する。 (2) 前記(1)の記載によると,次のとおり認められる。 ア本件各発明以前にも,コンピュータシステムにおけるシステム利用者の入力行為を支援する従来技術としては,マウスを右クリックすることによ り,マウスが指し示している画面上のポインタ位置に応じた操作コマンドのメニューが表示される「コンテキストメニュー」や,画面上でマウスポインタがウィンドウの枠やファイルの クリックすることによ り,マウスが指し示している画面上のポインタ位置に応じた操作コマンドのメニューが表示される「コンテキストメニュー」や,画面上でマウスポインタがウィンドウの枠やファイルのアイコンなどに重なった状態でマウスの左ボタンを押し,そのままの状態でマウスを移動させ,別の場所でマウスの左ボタンを離すマウス操作である「ドラッグ&ドロップ」などが あった。しかして,「コンテキストメニュー」には,マウスの左クリックを行うまではメニューが画面に表示され続け,また,利用者が間違って右クリックを押してしまった場合には,利用者の意に反して画面上に表示されてしまうので不便であるなどの課題があり,また,「ドラッグ&ドロップ」には,継続的な動作,例えば,移動させる位置を決めないで徐々に画面を スクロールさせていくような動作に適用させるのが難しいという課題が あったところである(段落【0001】~【0005】)。 イ本件各発明は,このような課題を解決するため,入力手段における命令ボタンが利用者によって押されてから,離されるまでの間に,ポインタの位置を移動させる命令を受信すると,画像データである操作メニュー情報を出力手段に表示させ,入力手段における命令ボタンが利用者によって離 されると,出力手段に表示されていた操作メニュー情報の表示を終了させることにより,普段は画面上に操作メニュー情報を表示させずに,利用者にとって必要な場合に簡便に表示させることを可能にするという構成を採用したものといえる(段落【0022】,【0023】,【0051】)。そして,スムーズな画面操作を可能とするため,操作メニュー情報が表示さ れている状態において,これをポインタで指定した場合,すなわち,実行される命令結果を利用者が理解で 3】,【0051】)。そして,スムーズな画面操作を可能とするため,操作メニュー情報が表示さ れている状態において,これをポインタで指定した場合,すなわち,実行される命令結果を利用者が理解できるように出力手段に表示した画像データである操作メニュー情報が占める座標位置の範囲にポインタの座標位置が入った場合に,「操作メニュー情報にポインタが指定された場合に実行される命令」として特定された,例えば,出力手段に表示される画面 (ビュー)をスクロールさせるような命令など,コンピュータシステムに対する命令が実行され,操作メニュー情報が占める座標位置の範囲に,ポインタの座標位置が入らなくなるまで当該実行を継続するという構成を採用したものといえる(段落【0009】,【0012】,【0013】,【0016】,【0023】,【0051】)。 ウ以上のような,本件各特許請求の範囲の記載文言及び本件明細書の各記載によれば,本件各発明は,コンピュータシステムにおけるシステム利用者の入力行為を支援するため,「コンテキストメニュー」や「ドラッグ&ドロップ」における,操作メニュー情報が利用者に意に反して表示されることに関わる課題や,移動先を決めないで画面をスクロールさせるような継 続的な動作に関わる課題を解決すべく,操作メニュー情報については,普 段は画面上に表示させずに,利用者にとって必要な場合に簡便に表示させるという構成を採用し,その上で,物理的に操作メニュー情報が占める座標位置の範囲にポインタの座標位置が入っているときに,コンピュータシステムに対する命令が実行されるようにして,スムーズな画面操作が可能となるという構成を採用したものといえる。このような構成を採用した以 上,構成要件B,E,F及びGの「操作メニュ コンピュータシステムに対する命令が実行されるようにして,スムーズな画面操作が可能となるという構成を採用したものといえる。このような構成を採用した以 上,構成要件B,E,F及びGの「操作メニュー情報」とは,利用者にとって,その表示,非表示を明確に認識できることが前提となっており,物理的に操作メニュー情報が占める座標位置の範囲が明確になっている必要があることは明らかである。 そうすると,構成要件B,E,F及びGの「操作メニュー情報」につい ては,利用者にとっての,視覚的な見地からの,命令内容の表示や実行の簡便性を実現する構成を意味するものであるものといえ,そのような見地に照らし,同「操作メニュー情報」とは,利用者が,その表示の有無を視覚的に認識でき,その表示内容から,所望の命令を実行した結果についても理解できるような,画像データである必要があるものと解するのが相当 である。 そして,構成要件Fの,①「操作メニュー情報がポインタにより指定される」と「操作メニュー情報に関連付いている命令」を「実行」する,及び②「操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を継続する」との文言については,画像データである操作メニュー情報の 座標位置が利用者に視覚的に認識できることを前提に,①画面上に表示された画像データである操作メニュー情報が占める座標位置の範囲に,ポインタの座標位置が入った場合に,特定の命令を実行し,②操作メニュー情報が占める座標位置の範囲に,ポインタの座標位置が入らなくなるまで当該実行が継続され,入らなくなった場合には,当該実行が継続されないこ とを意味し,かかる動作状況を満たす命令であることをもって,「操作メニ ューに関連付いている命令」に当たるものと解するのが相当で れ,入らなくなった場合には,当該実行が継続されないこ とを意味し,かかる動作状況を満たす命令であることをもって,「操作メニ ューに関連付いている命令」に当たるものと解するのが相当である。 (3) 「操作メニュー情報」(構成要件B,E,F,G)の充足性ア以上を前提に,まず,「操作メニュー情報」(構成要件B,E,F,G)の充足性につき検討するに,被告製品の構成のエ(イ)ないし(エ)及びオ(イ)ないし(エ)のとおり,本件ホームアプリにおける上ページ一部 表示及び下ページ一部表示(以下「上ページ一部表示等」という。)は,画像データであり,その内容や表示位置からすれば,これを見た利用者は上ページ又は下ページにスクロールする結果を理解できるといえるから,利用者が,その表示の有無を視覚的に認識でき,その表示内容から,所望の命令を実行した結果についても理解できるような,画像データに当たるも のというべきであって,「操作メニュー情報」を充足するものと認められる。 イこれに対し,被告は,上ページ一部表示等は,単にホーム画面が縮小表示されることによって当該ホーム画面の隣のホーム画面が見えているにすぎず,実行される命令を表す文字も,矢印表示等何らかの操作ができることを示す絵や記号も表示されておらず,表示自体から上ページ又は下ペ ージにスクロールするといった実行される命令結果を理解できる画像ではない旨を主張する。 しかし,被告製品の構成エ(イ)及びオ(イ)のとおり,上ページ一部表示等が表示されるのは,利用者が移動させたいショートカットアイコンをロングタッチして,ドラッグ操作をして同アイコンを移動させる等して, 縮小モードになった状態であることからすれば,同アイコンを移動したい利用者が, 利用者が移動させたいショートカットアイコンをロングタッチして,ドラッグ操作をして同アイコンを移動させる等して, 縮小モードになった状態であることからすれば,同アイコンを移動したい利用者が,1つ上のページ又は1つ下のページの一部を表示した画像である上ページ一部表示等を見て,上ぺージ又は下ページが存在することのみならず,上ページ一部表示等までドラッグすれば,上ページ又は下ページに画面をスクロールさせることができるものと理解することも可能とい うべきである。 以上によれば,被告の上記主張は採用することができない。 ウ他方,原告は,上ページ一部表示等のみならず,「左上領域」「右上領域」又は「左下領域」「右下領域」(以下「左上領域等」という。)も「操作メニュー情報」に該当する旨を主張する。 しかし,左上領域等は,被告製品の構成エ(ウ)及びオ(ウ)のとおり, 特定の座標位置で囲まれた領域にすぎず,利用者が,その表示の有無を視覚的に認識でき,その表示内容から,所望の命令を実行した結果についても理解できるような,画像データに当たるものとは認められない。前記アの説示に照らしても,左上領域等が,「操作メニュー情報」に当たるとは認められず,同説示のとおり,「操作メニュー情報」に該当するのは,上ペー ジ一部表示等に限られるというべきである。 以上によれば,原告の上記主張は採用することができない。 (4) 「操作メニュー情報がポインタにより指定される」と「操作メニュー情報に関連付いている命令」を「実行」する,及び「操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を継続する」(構成要件F)の充足性 ア被告製品においては,被告製品の構成のエ(ウ)(エ)及びオ(ウ)(エ)のと ,及び「操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を継続する」(構成要件F)の充足性 ア被告製品においては,被告製品の構成のエ(ウ)(エ)及びオ(ウ)(エ)のとおり,左上領域等の占める座標位置の範囲に,原告が「ポインタの座標位置」に当たると主張(前記第2の3(2)[原告の主張]イ)する「当該ショートカットアイコンをドラッグしている指等のタッチパネル上の位置」又は「当該ショートカットアイコンをドラッグしているマウスカーソ ルの先端の位置」の座標位置(以下「指等及びマウスカーソルの先端の座標位置」という。)が入った場合に「上ページスクロール1」,「上ページスクロール2」,「下ページスクロール1」,「下ページスクロール2」を生じさせる命令(以下,併せて「ページスクロール命令」という。)が実行され,左上領域等の占める座標位置の範囲に指等及びマウスカーソルの先端の 座標位置が入らなくなるまでページスクロール命令が継続され,入らなく なった場合には当該実行が継続されないことが認められる。 しかし,前記(3)のとおり,被告製品において,「操作メニュー情報」に該当するのは上ページ一部表示等であるところ,証拠(甲19,乙11~13)によれば,上ページ一部表示等が占める座標位置の範囲と左上領域等の占める座標位置の範囲とは必ずしも一致せず,上ページ一部表示等は, 左上領域等と一部重なる座標位置に表示されているにすぎないことが認められる。このため,①上ページ一部表示等が占める座標位置の範囲に,指等及びマウスカーソルの先端の座標位置が入っていても,その位置が左上領域等の占める座標位置の範囲外であればページスクロール命令が実行されず,また,②上ページ一部表示等が占める座標位置の範囲に,指等 指等及びマウスカーソルの先端の座標位置が入っていても,その位置が左上領域等の占める座標位置の範囲外であればページスクロール命令が実行されず,また,②上ページ一部表示等が占める座標位置の範囲に,指等 及びマウスカーソルの先端の座標位置が入っていなくとも,その位置が左上領域等の占める座標位置の範囲内であればページスクロール命令が実行・継続されることとなる。 このような被告製品の動作状況から検討すると,ページスクロール命令の実行や継続は,指等及びマウスカーソルの先端の座標位置が,利用者が その範囲を視覚的に認識することができない,左上領域等の占める座標位置の範囲に入っているかどうかによるものであり,これが肯定されれば,指等及びマウスカーソルの先端の座標位置が上ページ一部表示等の占める座標位置の範囲に入っていなくても,ページスクロール命令が実行され継続されるものである一方,上記が否定されれば,指等及びマウスカーソ ルの先端の座標位置が上ページ一部表示等の占める座標位置の範囲に入っていても,ページスクロール命令は実行され継続されないこととなるものである。 すなわち,被告製品においては,指等及びマウスカーソルの先端の座標位置が,偶々,上ページ一部表示等と左上領域等が重なる部分の占める座 標位置の範囲に入った場合に限って,ページスクロール命令が実行・継続 されているにすぎないものである。これに照らせば,ページスクロール命令については,飽くまで利用者が視覚的に認識できない左上領域等の範囲において実行・継続されるものであって,上ページ一部表示等の範囲において実行・継続されるものではないのであるから,上ページ一部表示等に,ページスクロール命令が関連付いているとまでは認めるに足りないとい うほかない。 って,上ページ一部表示等の範囲において実行・継続されるものではないのであるから,上ページ一部表示等に,ページスクロール命令が関連付いているとまでは認めるに足りないとい うほかない。 したがって,上記のとおりの被告製品の構成は,構成要件Fの「操作メニュー情報がポインタにより指定される」と「操作メニュー情報に関連付いている命令」を「実行」する,及び「操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を継続する」という文言(構成要件F) を充足するとは認められない。 イ原告の主張について(ア) まず,原告は,上ページ一部表示等のみならず左上領域等も「操作メニュー情報」に相当する旨主張するが,前記(3)に説示したとおり,左上領域等は,「操作メニュー情報」には当たるとはいえない。 (イ) また,原告は,上ページスクロール1が生じるのは,処理手段が上ページスクロール1を行うプログラムを実行していることを意味するところ,同プログラムは上ページ一部表示が表示されていないと実行されないから,上ページ一部表示と同プログラムとは関連付いている旨主張する。 しかし,前記説示のとおり,本件発明の構成要件F(「関連付いている」)については,画像データである操作メニュー情報の座標位置が利用者に視覚的に認識できることを前提に,①画面上に表示された画像データである操作メニュー情報が占める座標位置の範囲に,ポインタの座標位置が入った場合に,特定の命令を実行し,②操作メニュー情報が占める座 標位置の範囲に,ポインタの座標位置が入らなくなるまで当該実行が継 続され,入らなくなった場合には,当該実行が継続されないことを意味し,かかる動作状況を満たす命令であることをもって,「操作メニュ の範囲に,ポインタの座標位置が入らなくなるまで当該実行が継 続され,入らなくなった場合には,当該実行が継続されないことを意味し,かかる動作状況を満たす命令であることをもって,「操作メニューに関連付いている命令」に当たるものと解するのが相当であるところである。しかして,被告製品においては,指等及びマウスカーソルの先端の座標位置が,偶々,上ページ一部表示等と左上領域等が重なる部分の占 める座標位置の範囲に入った場合に限って,ページスクロール命令が実行されているにすぎないものであって,ページスクロール命令については,飽くまで利用者が視覚的に認識できない左上領域等の範囲において実行・継続されるものであり,上ページ一部表示等の範囲において実行・継続されるものではないというのである。 以上によれば,原告の上記指摘をもって,直ちに,上ページ一部表示と上記プログラムとが関連付いており,上ページ一部表示等の有無とページスクロール命令の実行の可否が関連付いているとまで認めることはできず,他に,両者の関連付けを推認させるに足りる事情も見当たらない。 以上によれば,原告の上記主張は採用することができない。 (ウ) 原告は,構成要件Fの「操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を継続する」には,「終了」といった記載はないから,操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなった際に当該実行が終了することまで求めてはおらず,実行がいつ終了するかは同構 成要件とは関係がない旨を主張する。 しかし,上記(2)ウで述べたとおり「操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を継続する」とは,操作メニュー情報がポインタにより指定されている場合に当該実行が継続されることのみなら し,上記(2)ウで述べたとおり「操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を継続する」とは,操作メニュー情報がポインタにより指定されている場合に当該実行が継続されることのみならず,操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなった場合に は当該実行が継続されなくなることまで意味するものと解すべきところ, 前記アで述べたとおり,被告製品において,指等及びマウスカーソルの先端の座標位置が上ページ一部表示等の占める座標位置の範囲に入っていない場合であっても,左上領域等の占める座標位置に入っていればページスクロール命令の実行が継続されるものである以上,被告製品は上記の構成要件を充足しないというべきである。なお,原告の主張する「実 行」の「終了」が何を意味するか必ずしも判然としないが,仮に,上記構成要件の解釈として,操作メニュー情報がポインタにより指定されている場合に当該実行を継続することのみを意味し,操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなった場合に当該実行が継続されないことまでは含んでいないとする旨を主張する趣旨であるとしても,そもそも そのような解釈は,本件各特許請求の範囲の文言及び本件明細書の記載に照らし,上記構成要件の解釈として失当と言わざるを得ない。 以上によれば,原告の上記主張は採用することができない。 (5) 小括以上のとおり,被告製品は,本件各発明の「操作メニュー情報」(構成要件 B,E,F,G)の文言を充足するが,「操作メニュー情報がポインタにより指定される」と「操作メニュー情報に関連付いている命令」を「実行」する,及び「操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を継続する」との文言(構成要件F)を充足しないものであって,本件各 れる」と「操作メニュー情報に関連付いている命令」を「実行」する,及び「操作メニュー情報がポインタにより指定されなくなるまで当該実行を継続する」との文言(構成要件F)を充足しないものであって,本件各発明の技術的範囲に属しないものというべきである。原告は,その他縷々主張す るが,その各主張内容に照らし,そのいずれを慎重に検討しても,上記説示を左右するに足りるものはなく,いずれも採用の限りでない。 2 結論よって,その余の争点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官田中孝一 裁判官横山真通 裁判官奥俊彦 ※ 別紙特許公報掲載省略 (別紙)被告製品の構成なお,下線部は原告の主張,[ ]内は被告の主張である。 ア被告製品は,3ギガバイトのRAM,32ギガバイトのROM等の記憶手段 と,MSM8994と呼ばれるプロセッサ等を備えた処理手段と,IGZO液晶ディスプレイの出力手段とを備えたスマートフォンである。入力手段として,取扱説明書上ではタッチパネルのみが言及されているが,利用者が別途用意したマウスを入力手段の一部として利用することも不可能ではない。ここでいうマウス及びタッチパネルは,ポインティングデバイスであって,画面上の座標位置を入 力するための装置である。 イ被告製品には,「ホーム画面」と呼ばれるソフトウェア(本件ホームアプリ)がインストールされている。本件ホームアプリ ィングデバイスであって,画面上の座標位置を入 力するための装置である。 イ被告製品には,「ホーム画面」と呼ばれるソフトウェア(本件ホームアプリ)がインストールされている。本件ホームアプリは,電源投入後に最初に起動するアプリケーションソフトであり,画面上に複数のショートカットアイコンを表示する。利用者は,このショートカットアイコンにタップ操作(タッチパネルに触 れて,すぐ離す操作)又はクリック操作(マウスの左ボタンを押してすぐ離す操作)を行うことで,ショートカットアイコンに関連付いた他のアプリケーションソフトを利用することができる。 本件ホームアプリの画面に表示される1ページには,ショートカットアイコンが5行×4桁のマス目に整列して配置されるため,画面上に一度に表示できるシ ョートカットアイコンの数は,20個程度となる。そこで,それ以上の個数のショートカットアイコンがある場合には,複数のページを構成して配置する。利用者は,上方向又は下方向にスライド操作(タッチパネルに触れた指を,すぐに,上方向又は下方向に滑らせながら指を離す操作)又はマウスの左ボタンを押してから約0.6秒内にマウスを上方向若しくは下方向に動かしてから左ボタンを離 す操作を行い,利用したいアプリケーションソフトのショートカットアイコンが 配置されたページを表示させた上で,上記のとおりタップ操作又はクリック操作をする。 ウ本件ホームアプリでは,利用者が任意のショートカットアイコンを任意のページの任意マス目の位置に配置する,並べ替え操作をすることができる。この並べ替え操作は次のエ及びオのとおり行うことが可能である。 エ利用者がタッチパネルを使用する場合(ア) 利用者が,移動させたいショートカットアイコン上のタッチパネル することができる。この並べ替え操作は次のエ及びオのとおり行うことが可能である。 エ利用者がタッチパネルを使用する場合(ア) 利用者が,移動させたいショートカットアイコン上のタッチパネルを指等で長押し(以下「ロングタッチ」という。)すると,当該ショートカットアイコンはタッチパネル上の指等に追従して画面上を移動させることができる状態になるので,そのまま画面上を移動させるドラッグ操作をすることにより当該 ショートカットアイコンを移動させ,同一ページ内の任意のマス目に配置して,並べ替えることができる。 (イ) 利用者が,移動させたいショートカットアイコンをロングタッチし,ドラッグ操作をすることにより当該ショートカットアイコンを移動させ,ロングタッチした位置と当該ショートカットアイコンをドラッグしている指等のタッチ パネル上の位置が約110ピクセル離れた場合に,その際のページ画面が縮小表示されるとともに,そのページ画面のページ番号に応じて,当該ページが上端ページであれば1つ下のページの一部の画像(以下「下ページ一部表示」という。)のみが,下端ページであれば1つ上のページの一部の画像(以下「上ページ一部表示」という。)のみが,それ以外のページであればこれらがいず れもIGZO液晶ディスプレイに表示される(以下,この状態を「縮小モード」という。)。 (ウ) 縮小モードの状態で,上ページ一部表示が表示されているとき,利用者が当該ショートカットアイコンをドラッグしている指等のタッチパネル上の位置を,左上(X:179,Y:0。これは,IGZO液晶ディスプレイ(横10 80ピクセル,縦1920ピクセル)の左上部の頂点を原点とし,水平方向に X軸(右方向が正方向),垂直方向にY軸(下方向が正方向)を設定して, れは,IGZO液晶ディスプレイ(横10 80ピクセル,縦1920ピクセル)の左上部の頂点を原点とし,水平方向に X軸(右方向が正方向),垂直方向にY軸(下方向が正方向)を設定して,ディスプレイ上の座標位置を示すとして,X軸方向に179ピクセル,Y軸方向に0ピクセル移動した地点を意味する。以下,同じ。),右下(X:460,Y:168)の長方形[(以下「左上領域」という。)](判決注・左記の「[(以下「左上領域」という。)]」は,「(以下「左上領域」という。)」の明白な誤記 と認める。),又は左上(X:616,Y:0),右下(X:972,Y:168)の長方形(以下「右上領域」という。)のいずれかの範囲に入れたまま約0.6秒以上経過した場合,画面が上方向にスクロールして(以下「上ページスクロール1」といい,上ページスクロール1が生じる条件を「上ページスクロール1が生じる条件」という。後記オのマウスを使用する場合についても同 じ。ただし,「利用者が当該ショートカットアイコンをドラッグしている指等のタッチパネル上の位置」を「利用者が当該ショートカットアイコンをドラッグしているマウスカーソルの先端の位置」と読み替える。後記「上ページスクロール2」「上ページスクロール2が生じる条件」「下ページスクロール1」「下ページスクロール1が生じる条件」「下ページスクロール2」「下ページス クロール2が生じる条件」についても同じ。),1つ上のページ全体が縮小表示されるとともに,スクロール先のページ画面のページ番号に応じて,上ページ一部表示及び下ページ一部表示か,下ページ一部表示のみ(上端ページの場合)がIGZO液晶表示ディスプレイに表示される。 約0.2秒かけて画面が上方向にスクロールして,スクロール先が上端ペー 表示及び下ページ一部表示か,下ページ一部表示のみ(上端ページの場合)がIGZO液晶表示ディスプレイに表示される。 約0.2秒かけて画面が上方向にスクロールして,スクロール先が上端ペー ジではなく,かつ,スクロール中に変化した上ページ一部表示の輝度が戻り,スクロール元のページ画面の一部が下ページ一部表示として表示された[スクロール先に上ページ一部表示が表示された]後,引き続き利用者が当該ショートカットアイコンをドラッグしている指等のタッチパネル上の位置を左上領域又は右上領域の範囲に入れたまま約0.4秒以上経過した場合,さらに画面が 上方向にスクロールして(以下「上ページスクロール2」といい,上ページス クロール2が生じる条件を「上ページスクロール2が生じる条件」という。),さらに1つ上のページ全体が縮小表示されるとともに,スクロール先のページ画面のページ番号に応じて,上ページ一部表示及び下ページ一部表示か,下ページ一部表示のみ(上端ページの場合)がIGZO液晶表示ディスプレイに表示される。以降,上ページスクロール2の条件が備わり続ける限度で,上ペー ジスクロール2が繰り返される。 他方,上ページスクロール2の条件が備わらなくなった場合には,画面は上方向にスクロールしない。そして,再度,上ページスクロール1の条件が備わった場合に上ページスクロール1が生じ,更に上ページスクロール2の条件が備わった場合に上ページスクロール2が生じ,上ページスクロール2の条件が 備わり続ける限度で,上ページスクロール2が繰り返される。 (エ) 縮小モードの状態で,下ページ一部表示が表示されているとき,利用者が当該ショートカットアイコンをドラッグしている指等のタッチパネル上の位置を,左上(X:104,Y:1499) り返される。 (エ) 縮小モードの状態で,下ページ一部表示が表示されているとき,利用者が当該ショートカットアイコンをドラッグしている指等のタッチパネル上の位置を,左上(X:104,Y:1499),右下(X:460,Y:1603)の長方形(以下「左下領域」という。),又は左上(X:616,Y:149 9),右下(X:972,Y:1603)の長方形(以下「右下領域」という。)のいずれかの範囲に入れたまま約0.6[0.7]秒以上経過した場合,画面が下方向にスクロールして(以下「下ページスクロール1」といい,下ページスクロール1が生じる条件を「下ページスクロール1が生じる条件」という。),1つ下のページ全体が縮小表示されるとともに,スクロール先のペ ージ画面のページ番号に応じて,上ページ一部表示及び下ページ一部表示か,上ページ一部表示のみ(下端ページの場合)がIGZO液晶表示ディスプレイに表示される。 約0.2秒かけて画面が下方向にスクロールして,スクロール先が下端ページではなく,かつ,スクロール中に変化した下ページ一部表示の輝度が戻り, スクロール元のページ画面の一部が上ページ一部表示として表示された[スク ロール先に下ページ一部表示が表示された]後,画面が下方向にスクロールして,スクロール先に下ページ一部表示が表示された後,引き続き利用者が当該ショートカットアイコンをドラッグしている指等のタッチパネル上の位置を左下領域又は右下領域の範囲に入れたまま約0.4秒以上経過した場合,さらに画面が下方向にスクロールして(以下「下ページスクロール2」といい,下ペ ージスクロール2が生じる条件を「下ページスクロール2が生じる条件」という。),さらに1つ下のページ全体が縮小表示されるとともに,スクロール先のペー (以下「下ページスクロール2」といい,下ペ ージスクロール2が生じる条件を「下ページスクロール2が生じる条件」という。),さらに1つ下のページ全体が縮小表示されるとともに,スクロール先のページ画面のページ番号に応じて,上ページ一部表示及び下ページ一部表示か,上ページ一部表示のみ(下端ページの場合)がIGZO液晶表示ディスプレイに表示される。以降,下ページスクロール2の条件が備わり続ける限度 で,下ページスクロール2が繰り返される。 他方,下ページスクロール2の条件が備わらなくなった場合には,画面は下方向にスクロールせず,再度,下ページスクロール1の条件が備わった場合に下ページスクロール1が生じ,更に下ページスクロール2の条件が備わった場合に下ページスクロール2が生じ,下ページスクロール2の条件が備わり続け る限度で,下ページスクロール2が繰り返される。 (オ) 利用者が,当該ショートカットアイコンを,スクロール先のページの縮小表示のうち移動したいマス目の位置に重ねた後に,タッチパネルから指等を離せば,当該ショートカットアイコンはスクロール先ページの当該マス目に移動するとともに,縮小モードの状態が終了する。 他方,利用者が,当該ショートカットアイコンを,スクロール先のページの縮小表示に重ねることなく,タッチパネルから指等を離せば,当該ショートカットアイコンは移動せずに,縮小モードの状態が終了する。 オ利用者がマウスを使用する場合(ア) 被告製品においては,マウスを接続した場合に,マウスカーソルが画面に 表示される。利用者が,移動させたいショートカットアイコンにマウスカーソ ルの先端の位置を合わせて,マウスの左ボタンを押したまま約0.6秒間待つと,当該ショートカットアイコンがマ 表示される。利用者が,移動させたいショートカットアイコンにマウスカーソ ルの先端の位置を合わせて,マウスの左ボタンを押したまま約0.6秒間待つと,当該ショートカットアイコンがマウスの動きに追従して画面上を移動させることができる状態になるので,そのまま画面上を移動させるドラッグ操作をすることにより当該ショートカットアイコンを移動させ,同一ページ内の任意のマス目に配置して,並べ替えることができる。 (イ) 利用者が,移動させたいショートカットアイコンにマウスカーソルの先端の位置を合わせて,マウスの左ボタンを押して約0.6秒間待ってから,ドラッグ操作をすることにより当該ショートカットアイコンを移動させ,マウスの左ボタンを押した際のマウスカーソルの先端の位置と当該ショートカットアイコンをドラッグしているマウスカーソルの先端の位置が約110ピクセル離れ た場合に,縮小モードの状態となる。 (ウ) 縮小モードの状態で,上ページ一部表示が表示されているとき,利用者が当該ショートカットアイコンをドラッグしているマウスカーソルの先端の位置を,左上領域又は右上領域のいずれかの範囲に入れたまま約0.6秒以上経過した場合に,上ページスクロール1が生じて,1つ上のページ全体が縮小表示 されるとともに,スクロール先のページ画面のページ番号に応じて,上ページ一部表示及び下ページ一部表示か,下ページ一部表示のみ(上端ページの場合)がIGZO液晶表示ディスプレイに表示される。 約0.2秒かけて画面が上方向にスクロールして,スクロール先が上端ページではなく,かつ,スクロール中に変化した上ページ一部表示の輝度が戻り, スクロール元のページ画面の一部が下ページ一部表示として表示された[スクロール先に上ページ一部表示が表示 ル先が上端ページではなく,かつ,スクロール中に変化した上ページ一部表示の輝度が戻り, スクロール元のページ画面の一部が下ページ一部表示として表示された[スクロール先に上ページ一部表示が表示された]後,引き続き利用者が当該ショートカットアイコンをドラッグしているマウスカーソルの先端の位置を左上領域又は右上領域の範囲に入れたまま約0.4秒以上経過した場合,上ページスクロール2が生じて,さらに1つ上のページ全体が縮小表示されるとともに,ス クロール先のページ画面のページ番号に応じて,上ページ一部表示及び下ペー ジ一部表示か,下ページ一部表示のみ(上端ページの場合)がIGZO液晶表示ディスプレイに表示される。以降,上ページスクロール2の条件が備わり続ける限度で,上ページスクロール2が繰り返される。 他方,上ページスクロール2の条件が備わらなくなった場合には,画面は上方向にスクロールしない。そして,再度,上ページスクロール1の条件が備わ った場合に上ページスクロール1が生じ,更に上ページスクロール2の条件が備わった場合に上ページスクロール2が生じ,上ページスクロール2の条件が備わり続ける限度で,上ページスクロール2が繰り返される。 (エ) 縮小モードの状態で,下ページ一部表示が表示されているとき,利用者が当該ショートカットアイコンをドラッグしているマウスカーソルの先端の位置 を,左下領域又は右下領域のいずれかの範囲に入れたまま約0.6秒以上経過した場合,下ページスクロール1が生じて,1つ下のページ全体が縮小表示されるとともに,スクロール先のページ画面のページ番号に応じて,上ページ一部表示及び下ページ一部表示か,上ページ一部表示のみ(下端ページの場合)がIGZO液晶表示ディスプレイに表示される。 れるとともに,スクロール先のページ画面のページ番号に応じて,上ページ一部表示及び下ページ一部表示か,上ページ一部表示のみ(下端ページの場合)がIGZO液晶表示ディスプレイに表示される。 約0.2秒かけて画面が下方向にスクロールして,スクロール先が下端ページではなく,かつ,スクロール中に変化した下ページ一部表示の輝度が戻り,スクロール元のページ画面の一部が上ページ一部表示として表示された[スクロール先に下ページ一部表示が表示された]後,引き続き利用者が当該ショートカットアイコンをドラッグしているマウスカーソルの先端の位置を左下領域 又は右下領域の範囲に入れたまま約0.4秒以上経過した場合,下ページスクロール2が生じて,さらに1つ下のページ全体が縮小表示されるとともに,スクロール先のページ画面のページ番号に応じて,上ページ一部表示及び下ページ一部表示か,上ページ一部表示のみ(下端ページの場合)がIGZO液晶表示ディスプレイに表示される。以降,下ページスクロール2の条件が備わり続 ける限度で,下ページスクロール2が繰り返される。 他方,下ページスクロール2の条件が備わらなくなった場合には,画面は下方向にスクロールしない。そして,再度,下ページスクロール1の条件が備わった場合に下ページスクロール1が生じ,更に下ページスクロール2の条件が備わった場合に,下ページスクロール2が生じ,下ページスクロール2の条件が備わり続ける限度で,下ページスクロール2が繰り返される。 (オ) 利用者が,当該ショートカットアイコンを,スクロール先のページの縮小表示のうち移動したいマス目の位置に重ねた後に,マウスの左ボタンを離してドロップすれば,当該ショートカットアイコンはスクロール先ページの当該マス目に移動する トアイコンを,スクロール先のページの縮小表示のうち移動したいマス目の位置に重ねた後に,マウスの左ボタンを離してドロップすれば,当該ショートカットアイコンはスクロール先ページの当該マス目に移動するとともに,縮小モードの状態が終了する。 他方,利用者が,当該ショートカットアイコンを,スクロール先のページの 縮小表示に重ねることなく,マウスの左ボタンを離してドロップすれば,当該ショートカットアイコンは移動せずに,縮小モードの状態が終了する。 カ被告製品において,マウスを使用しているときは,マウスカーソルが表示される。被告製品において,「開発者向けオプション」中の「タップを表示」の項目を表示する設定を選択すると,タッチパネルの指やペンで触れた場所に白い円形 のカーソルが表示される。 さらに,被告製品においては,「開発者向けオプション」中の「ポインタの位置」の項目を表示する設定を選択すると,マウスの左ボタンを押したままにするか,指等でタッチパネル画面に触れた際に,マウスカーソルの先端の座標位置,もしくは触れた箇所の座標位置を示す数値がマウスもしくはタッチパネルを介し て入力されて,[当該座標位置を示す数値が]画面左上に表示されるとともに,座標のY軸の数値を示す水平方向の青い線及びX軸の数値を示す垂直方向の青い線が画面上に表示される。そして,利用者がマウスの左ボタンを押したまま動かすか,指等を入力手段であるタッチパネル画面に触れた状態で動かすと,上記青い線及びこれらの交点も,マウスもしくは指等に追従して移動する。上記青い線 の交点と白い円形のカーソルの中心やマウスカーソルの先端の座標位置は一致す る。また,上記エ及びオにおけるドラッグ操作中は,ドラッグ操作の対象となっているショートカットアイコンの の交点と白い円形のカーソルの中心やマウスカーソルの先端の座標位置は一致す る。また,上記エ及びオにおけるドラッグ操作中は,ドラッグ操作の対象となっているショートカットアイコンの領域内に,上記青い線の交点と白い円形のカーソルの中心又はマウスカーソルの先端が存在する。 以上

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