平成18(行ウ)124 健康保険受給権確認請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年11月7日 東京地方裁判所 その他 その他
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判決文本文17,818 文字)

- 1 -平成19年11月7日判決言渡・同日原本領収裁判所書記官平成18年(行ウ)第124号健康保険受給権確認請求事件口頭弁論終結の日平成19年8月29日判決主文 原告が,活性化自己リンパ球移入療法と併用して行われる,本来,健康保険法による保険診療の対象となるインターフェロン療法について,健康保険法に基づく療養の給付を受けることができる権利を有することを確認する。 訴訟費用は,被告の負担とする。 事実 及び理由第1請求主文同旨第2事案の概要健康保険法(以下「法」という。平成18年法律第83号による改正前のものを「旧法」という)は,医師が行う診療のうち特定の診療を,保険者(政。 府等)が被保険者に対し行う「療養の給付」と定め(法63条1項,被保険)者は,このような「療養の給付」に当たる診療を受けた場合,それに要した費用の一部のみを負担すれば足りる旨を定めている(法74条1項。原告は,)「療養の給付」に該当する療養(インターフェロン療法)に加えて「療養の,給付」に該当しない療養(活性化自己リンパ球移入療法)を併用する診療(いわゆる混合診療)を受けたところ,インターフェロン療法についても「療養,の給付」に当たらず,当該療法に要した費用についても全額を負担すべきものとされた。 本件は,原告が,被告に対し,これは法に違反するものであり,また憲法違反であるとして,上記のような混合診療を受けた場合であっても,本来法が定- 2 -める「療養の給付」に当たる診療については,なお法に基づく「療養の給付」を受けることができる権利を有することの確認を求めた事案(行政事件訴訟法4条の「公法上の法律関係に関する確認の訴え)である。 」 争いのない事実等(以下の事実は,当事者間に争いがないか,弁論の全趣旨によ ことができる権利を有することの確認を求めた事案(行政事件訴訟法4条の「公法上の法律関係に関する確認の訴え)である。 」 争いのない事実等(以下の事実は,当事者間に争いがないか,弁論の全趣旨により認められるものである)。 (1)原告は,神奈川県に在住する者であるところ,神奈川県立がんセンターにおいて,腎臓がんの治療のため,主治医から,インターフェロン療法に加えて,活性化自己リンパ球移入療法を併用する旨の提案を受け,平成13年9月から,両療法を併用する治療を受けていた。 ,「」,(2)インターフェロン療法は法63条1項の療養の給付に該当するが活性化自己リンパ球移入療法は,同条項の「療養の給付」に該当しない。 (3)一般に,法63条1項に定める「療養の給付」に該当する診療(保険診療)と,該当しない診療(自由診療)を併用することを混合診療というところ,厚生労働省は,混合診療が行われた場合には,自由診療はもとより,本来「療養の給付」に該当する保険診療相当分についても,法に基づく給付を受けられなくなる旨解釈している。 (4)厚生労働省が採用する上記解釈によれば,原告が,インターフェロン療法に加えて活性化自己リンパ球移入療法を受けると,原告は,活性化自己リンパ移入療法に要する費用はもとより,インターフェロン療法に要する費用についても,法に基づく給付を受けることができず,費用の全額を負担すべきことになる。 法令の定め(1)法52条は,保険者が被保険者に対して行う「保険給付」として「療養,の給付」等を行う旨定め,また,法61条は,被保険者はこれらの保険給付を保険者から受ける権利があることを前提とする定めを置いている。 そして,法63条1項本文は「被保険者の疾病又は負傷に関しては,次,に掲げる療養の給付を行う」と定め,そ ,被保険者はこれらの保険給付を保険者から受ける権利があることを前提とする定めを置いている。 そして,法63条1項本文は「被保険者の疾病又は負傷に関しては,次,に掲げる療養の給付を行う」と定め,その「療養の給付」の内容として,。 - 3 -診察(同項1号,薬剤又は治療材料の支給(同項2号,処置,手術その))他の治療(同項3号,居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話)その他の看護(同項4号,病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世)話その他の看護(同項5号)を掲げている。また,法74条1項は,被保険者は,保険医療機関等から「療養の給付」それ自体(現物給付)を受けるとともに,これらの療養を受ける際,その費用の一部についてのみ一部負担金として保険医療機関等に支払う旨定め,法76条1項は「療養の給付」に,関する費用は,保険者が,保険医療機関等に対し,上記一部負担金に相当する額を控除した額を支払う旨定めている。 (2)このように,被保険者が法に基づき受けることのできる診療の範囲は,原則として法52条,同63条1項にいう「療養の給付」に含まれるか否かによって決されることになるが,法は,何が「療養の給付」に該当するかを直接明らかにすることなく,その具体的内容は,法の委任を受けた規則等に委ねている。 すなわち,①法72条1項は,保険医療機関において診察に従事する保険医(法64条により,保険医療機関において健康保険の診療に従事する厚生労働大臣の登録を受けた医師又は歯科医師をいう)等は「厚生労働省令。 ,で定めるところにより,健康保険の診療又は調剤に当たらなければならない」と定め,この委任を受けた「保険医療機関及び保険医療養担当規則」。 (昭和32年厚生省令第15号。以下「療担規則」という)18条は「保。 ,険医は,特殊な療 診療又は調剤に当たらなければならない」と定め,この委任を受けた「保険医療機関及び保険医療養担当規則」。 (昭和32年厚生省令第15号。以下「療担規則」という)18条は「保。 ,険医は,特殊な療法又は新しい療法等については,厚生労働大臣の定めるもののほか行ってはならない」と定めている。また,②「療養の給付」に関。 ,,「,する費用については法76条2項は前項の療養の給付に要する費用は厚生労働大臣が定めるところにより,算定するものとする」と定め,この。 「」()委任を受けて診療報酬の算定方法平成18年厚生労働省告示第92号が定められ,さらに,③保険医が「療養の給付」として用いることができる医薬品の品目及びその価格については,前記法72条1項の委任を受けた療- 4 -担規則19条1項が「保険医は,厚生労働大臣の定める医薬品以外の薬物を患者に施用し,又は処方してはならない」と定め,さらにこれを受けた「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(平成18年厚生労働省告示第501号。乙11)第六によって,一部」品目を除き「使用薬剤の薬価(薬価基準(平成18年厚生労働省告示第,)」95号。以下「薬価基準」という)の別表に収載されている医薬品である。 旨が明らかにされている。 (3)他方,被保険者は,保険者から法63条1項の定める「療養の給付」に当たらない診療の給付を原則として受けることができない結果,当該診療に要する費用は,自由診療として,全額自らが負担しなければならないことになるが法は療養の給付に含まれない診療のうち特に食事療養法,,「」,,(63条2項1号,生活療養(同項2号,評価療養(同項3号)及び選定))療養(同項4号)に係る給付については,これら 療養の給付に含まれない診療のうち特に食事療養法,,「」,,(63条2項1号,生活療養(同項2号,評価療養(同項3号)及び選定))療養(同項4号)に係る給付については,これらの療養に要した費用の一部について,それぞれ,食事療養については入院時食事療養費(法85条,)生活療養については入院時生活療養費(法85条の2,評価療養及び選定)療養については保険外併用療養費(法86条)を支給する旨を定めている。 本件の争点インターフェロン療法が,個別的にみれば法63条1項の「療養の給付」に該当し,保険診療の対象となり,活性化自己リンパ球移入療法が個別的にみれば同条項の「療養の給付」に該当せず,保険診療の対象とならないことは,当事者間に争いがない。そうすると,患者が,インターフェロン療法と活性化自己リンパ球移入療法を受けた場合には,インターフェロン療法は保険診療として保険給付を受け,活性化自己リンパ球移入療法は保険診療の対象外である自由診療として患者が自己負担をすべきことになると考えるのが自然な帰結といえよう。 しかしながら,この点について,被告は,インターフェロン療法を活性化自己リンパ球移入療法と併用して行う場合には,インターフェロン療法もまた,- 5 -法63条1項の「療養の給付」に該当しないと解すべきであると主張する。 その理由として,被告は,(1)複数の医療行為が行われる場合には,それらの複数の医療行為を合わせて不可分一体の1つの医療行為であるとして法63条1項の「療養の給付」が予定したものに該当するかどうかを検討すべきであり,個別的には保険診療に該当するものであっても,これに保険診療に該当しないものが加わって一体として「療養の給付」に該当しないことになれば,前者についても保険給付は受けられないと解すべきであ きであり,個別的には保険診療に該当するものであっても,これに保険診療に該当しないものが加わって一体として「療養の給付」に該当しないことになれば,前者についても保険給付は受けられないと解すべきである,(2)保険外併用療養費制度について定めた法86条は,保険診療と自由診療が混在する混合診療のうち,健康保険により給付すべきものを限定的に掲げたものであるから,反対解釈により,混合診療のうちこの保険外併用療養費制度に該当しないものについては,すべて法63条1項の「療養の給付」に当たらないと解されるべきであると主張する。 そこで,本件の争点は,上記(1)及び(2)の被告の主張の当否,加えて,(3)原告が主張する憲法14条違反の主張の当否である。 争点に関する当事者の主張(1)争点1(複数の医療行為が行われる場合には,それらを不可分一体の1つの医療行為とみて,法63条1項の「療養の給付」に該当するか否かを判断すべきであると解すべきかどうか)について。 (被告の主張)医療行為は,様々な作用を及ぼす侵襲行為であるから,複数の医療行為を行う場合には,複雑な相互作用を生じさせるおそれがあり,これを単純に複数の医療行為が併存しているとみることはできず,複数の医療行為を併せて不可分一体の1つの新たな医療行為がされているとみるべきである。 そして,法63条1項にいう「療養の給付」は「傷病の治療等を目的と,」,「」,した一連の医療サービスをいうと解すべきところその療養の給付は安全性,有効性,普及性,効率性等の水準が担保されていると厚生労働大臣が認める医療行為を指すものであり,その具体的な内容については,法76- 6 -条2項において「療養の給付」に要する費用を定めるにあたり,厚生労働大臣が定めるものとされている。 この厚生労働大臣の が認める医療行為を指すものであり,その具体的な内容については,法76- 6 -条2項において「療養の給付」に要する費用を定めるにあたり,厚生労働大臣が定めるものとされている。 この厚生労働大臣の定めとして「診療報酬の算定方法(平成18年厚,」生労働省告示第92号)が定められ,保険医が行うことのできる診療行為の具体的内容が列挙されているところ,個別的には,保険診療に該当するものであっても,これに保険診療に該当しないものが加わって,一体として「療養の給付」に該当しないことになれば,個別的にみれば保険診療であるものについても「療養の給付」を受けられないと解すべきである。 ,(原告の主張)ア原告は,法63条1項の「療養の給付」に当たる診療としてインターフェロン療法を受けることができる権利を有するところ,これに該当しない自由診療を1つでも受けると,インターフェロン療法が,法63条1項の「療養の給付」として受けられなくなると解すべき法律上の根拠はない。 原告が有する,インターフェロン療法を法63条1項の「療養の給付」として受けることができる権利を失わせるには,最高裁平成18年3月1日大法廷判決(民集60巻2号587頁)の趣旨に照らしても,明確な法律上の根拠が必要というべきであるところ,そのような規定は,法はもとより,その委任を受けた告示等にも存しない。したがって,原告が,インターフェロン療法と共に,活性化自己リンパ球移入療法を合わせて受けたとしても,なお,インターフェロン療法に関しては法63条1項の「療養の給付」として受ける権利は失われないと解すべきである。 イ被告は,法63条1項の「療養の給付」は「傷病の治療等を目的とし,た一連の医療サービス」を指し,原告が受けたインターフェロン療法と活性化自己リンパ球移入療法は,不可分一体のもの すべきである。 イ被告は,法63条1項の「療養の給付」は「傷病の治療等を目的とし,た一連の医療サービス」を指し,原告が受けたインターフェロン療法と活性化自己リンパ球移入療法は,不可分一体のものとして「療養の給付」に該当するかどうか判断すべきである旨主張するが,そのように解すべき具体的な法律上の根拠は示されていないそしてそもそも何をもって不。 ,,「可分一体」の療養とみるのか,たとえば,同一の病院で同時期に診療を併- 7 -用した場合のみを指すのか,全く別の病院で全く別の時期に診療を受けた場合でも「不可分一体」となるのか等について定める基準は存在しないばかりか,診療報酬の請求の実際等にも合致しておらず,被告のこの主張は誤りである。 (,(2)争点2保険外併用療養費制度について定めた法86条の解釈によって同制度に該当するもの以外の混合診療については,本来保険診療に該当するものも含めて,すべて法63条1項の「療養の給付」に当たらないと解釈することができるか)について。 (被告の主張)ア昭和59年の法改正前には,保険診療を超えた療養については,差額徴収することが運用として認められていたが,その弊害が社会問題化したこ,,()となどから昭和59年の法改正によって特定療養費制度旧法86条が設けられ,被保険者が,旧法によって本来予定された「療養の給付」と併用して「療養の給付」の対象外である高度先進医療又は選定療養を受,けた場合に,保険診療相当部分については,金銭(特定療養費)を支給することとされた。 すなわち,特定療養費支給の対象となる療養は,保険診療と自由診療が混在する混合診療であるところ,特定療養費制度は,およそ混合診療の中で,給付の対象とするものを限定的に掲げたものであるから,これに該当しない ,特定療養費支給の対象となる療養は,保険診療と自由診療が混在する混合診療であるところ,特定療養費制度は,およそ混合診療の中で,給付の対象とするものを限定的に掲げたものであるから,これに該当しない混合診療については,これに対する保険給付を認めず,仮にかかる診療が行われた場合には,個別的には保険診療に該当するものが含まれていたとしても,当該療養全体について保険が適用されず,全額,自由診療として患者が負担することを予定していたと解すべきである。 イそして,平成18年の法改正により,特定療養費制度(旧法86条)を見直して保険外併用療養費制度(法86条)が設けられたが,法は,旧法と同様,保険診療と自由診療の混在形態(混合診療)のうち,保険外併用療養費が支給されないものについては,一般的にこれに対する保険給付を- 8 -認めず,仮にかかる診療が行われた場合には,当該療養全体について保険が適用されず,自由診療として患者が全額負担することになると解すべきである。 仮に,被保険者が混合診療を受けた場合であっても,当該診療のうち保険診療相当部分がなお法63条1項の「療養の給付」に該当するという解釈をした場合には,法が,わざわざ昭和59年及び平成18年の法改正によって,特定療養費制度や保険外併用療養費制度を設け,混合診療のうちこれらに該当する場合についてのみ療養費を支払うものとした趣旨が全く失われてしまうことになり,このような解釈は,立法者の意思に反した解釈というほかないから,失当である。 (原告の主張)そもそも,混合診療を明示的に禁止した法の規定はないから,混合診療を一般的に禁止する法の立法者意思なるものは存在しないし,被告が主張する立法者意思や立法事実は何ら証明されていない。被告は,旧法における特定療養費制度(旧法86条)は,混合診療を一般的に ,混合診療を一般的に禁止する法の立法者意思なるものは存在しないし,被告が主張する立法者意思や立法事実は何ら証明されていない。被告は,旧法における特定療養費制度(旧法86条)は,混合診療を一般的には是認しない趣旨と解すべきである旨主張するが,特定療養費制度の規定は,むしろ保険診療と自由診療の併用が可能であることを確認的に規定しているのみであって,それ以外の混合診療を禁止している趣旨は含まれていないと解される。そして,現行法の保険外併用療養費制度(法86条)は,本質的に特定療養費制度と同じであって,基本的枠組みは残したままであるから,混合診療を一般的に禁止する法的根拠にはなり得ない。 (3)争点3(同じく保険料を支払っているにもかかわらず,混合診療になる,,と保険診療に該当する部分についても保険給付を受けられなくなることは憲法14条等に反するといえるか)。 (原告の主張)保険料納付という義務を果たしている国民が等しく受けるべき保険給付について,保険診療と併せて,保険診療に該当しない自由診療を1つでも- 9 -受けると,それだけで本来受けるべき保険診療についても保険給付が受けられなくなるということは,自由診療を併用して受けた者とそうでない者とを合理的な理由なく差別するものであるから,憲法14条等に違反する。 (被告の主張)法が,混合診療を保険給付の対象外としているのは,従来,通達等に基づく運用により行われていた差額徴収の下で医療費高騰等の弊害が生じたことから,昭和59年の法改正により保険診療と自由診療が混在する形態のうち,旧法が高度先進医療又は選定療養として認めたものに限り,特定療養費として金銭給付を行うこととしたためであり,現行法下においても同様に,選定療養等に該当しない混合診療を受けた患者については療養全体について保険を 進医療又は選定療養として認めたものに限り,特定療養費として金銭給付を行うこととしたためであり,現行法下においても同様に,選定療養等に該当しない混合診療を受けた患者については療養全体について保険を適用せず,全額自己負担することには合理的理由があるから,憲法14条等に違反するものではない。 第3当裁判所の判断 争点1(法63条1項の「療養の給付」に当たる療養であっても「療養の,給付」に当たらない療養と併用された場合には,全体として「療養の給付」に該当しないと解すべきか)について。 (1)法63条1項本文は「被保険者の疾病又は負傷に関しては,……療養の,給付を行う」と定めているところ,本件のインターフェロン療法が,個別。 的に見れば,同条項にいう「療養の給付」に該当することは当事者間に争いがない。 被告は,同条項本文にいう「療養の給付」は「傷病の治療等を目的とし,た一連の医療サービス」を指し,複数の医療行為がされた場合には,それ自,,体を不可分一体の1つの医療行為であると理解すべきであって個別的には保険診療に該当するものであっても,これに保険診療に該当しないものが加わって一体として療養の給付に該当しないことになれば個別的には療「」,「養の給付」に該当するものについても「療養の給付」は受けられないと解すべきであると主張する。 - 10 -(2)そこで,まず,法の条項から,被告が主張するような解釈が看取できるかどうかについて検討するに,法63条1項は,保険者が被保険者の疾病又は負傷に関して行う「療養の給付」の内容について,診察(同項1号,薬)剤又は治療材料の支給(同項2号,処置,手術その他の治療(同項3号,))居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護(同項4号,病院又は診療所への入 ついて,診察(同項1号,薬)剤又は治療材料の支給(同項2号,処置,手術その他の治療(同項3号,))居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護(同項4号,病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護(同項)5号)を掲げ,他方で,同条2項において,食事療養(同項1号,生活療)養(同項2号,評価療養(同項3号)及び選定療養(同項4号)に係る給)付は「療養の給付」に含まれないものと定めている。しかし,法は,この,ほかに「療養の給付」の具体的内容について何ら定めていないのであって,これらの法の条項の規定を見る限りにおいては,個別的にみれば「療養の給付」に該当する医療行為であっても,それに保険診療に該当しない医療行為が併せて行われると,それらを一体とみて,前者についても「療養の給付」が受けられないと解釈すべきであるという根拠はおよそ見出し難いと言わざるを得ない。 (3)そこで,さらに,法の規定の委任を受けて定められた規則等も含めて,検討する。 前記第2の2(2)記載のとおり「療養の給付」に関しては,まず,①「療,養の給付」に要した費用の算定方法について,法76条2項の委任を受けて前掲の「診療報酬の算定方法(平成18年厚生労働省告示第92号)が定」められている。また,②「療養の給付」に用いられる医薬品に関して,保険医等が用いることのできる医薬品の品目及びその価格につき,法72条1項の委任を受けて定められた療担規則19条1項が,保険医は「厚生労働大,臣の定める医薬品」以外の薬物を患者に施用し,又は処方することを原則として禁止し,その「厚生労働大臣の定める医薬品」については,前掲「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(乙11)の第六が,原則として前掲の「薬価基準」 とを原則として禁止し,その「厚生労働大臣の定める医薬品」については,前掲「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(乙11)の第六が,原則として前掲の「薬価基準」の別表に収載され」- 11 -ている医薬品である旨を定めている。 これらの定めから,被告の主張するように,法63条1項にいう「療養の給付」とは「傷病の治療等を目的とした一連の医療サービス」をいい,保,険診療と,これに当たらない診療とが併用された場合には,これらを一体と見て,全体として「療養の給付」を判断すべきであるという趣旨を読み取ることができるかどうか検討する。 まず,上記の「診療報酬の算定方法」は,基本的に,診察,投薬,注射,検査,処置,手術など個々の診療行為に着眼して,各診療行為ごとに予め点数を定め,保険医療機関等が被保険者に提供した医療サービスについて,上記各点数表に記載された点数に1点当たり所定の金額を乗じて算出することによって,診療報酬の額を算定するものであって,ある特定の傷病を基準として,その「傷病の治療等を目的とした一連の医療サービス」を念頭において複数の医療行為を一体として診療報酬が算定される仕組みは採用されていない。 また薬価基準の別表も医療用医薬品として承認された医薬品を内,「」,「用薬」等に分類し,個々の医薬品名の五十音順に,その規格単位当たりの価格を定めたものであって,ある特定の傷病を基準として,その「治療等を目的とした一連の医療サービス」としての医薬品を体系的に示したものではない。 すなわち,法の規定を受けて定められた「診療報酬の算定方法」及び「薬価基準」は,個別の診察行為や個別の医薬品を単位として規定されており,たとえば同じ「傷病の治療等を目的とした」複数の種類の診察行為や医薬品,「」 を受けて定められた「診療報酬の算定方法」及び「薬価基準」は,個別の診察行為や個別の医薬品を単位として規定されており,たとえば同じ「傷病の治療等を目的とした」複数の種類の診察行為や医薬品,「」の投与が行われたからといってそれを不可分一体の一連の医療サービスとしてとらえて,それによって診療報酬の算定をしたり,利用できる医薬品に当たるかどうかを判断する仕組みとされていない。仮に,被告が主張するように,特定の傷病の治療等を目的として,医療行為Aと別の医療行為Bが行われた場合には,これを個別に見るのではなく不可分一体の医療行為Cが- 12 -行われたと見るのであれば,医療行為A又はBが「診療報酬の算定方法」のリストに掲載されていても,不可分一体の医療行為であるCが「診療報酬の算定方法」に掲載されていない限り「療養の給付」に要した費用として計,上できないことになり,また,同様に医薬品A及びBが「薬価基準」に掲載されていても,不可分一体で考えるべき医薬品Cが「薬価基準」に掲載されていない限りそれを用いることはできないことになるしかしながら診,。 ,「療報酬の算定方法」及び「薬価基準」はそのような定め方をしていない。 このように法の委任を受けて設けられた診療報酬の算定方法及び薬,「」「価基準」を検討しても,法63条1項の「療養の給付」が「傷病の治療等を目的とした一連の医療サービス」をいい,個別的に見れば「療養の給付」に該当する医療行為であっても,それに保険診療として承認されていない医療行為が併せて行われると,それらを一体とみて,前者についても「療養の給付」に該当しないと解釈すべき手がかりは,何ら見出すことができないばかりか,これらによれば,法は,個別の診療行為ごとに法63条1項の「療養の給付」に該当するかどうかを みて,前者についても「療養の給付」に該当しないと解釈すべき手がかりは,何ら見出すことができないばかりか,これらによれば,法は,個別の診療行為ごとに法63条1項の「療養の給付」に該当するかどうかを判断する仕組みを採用していると言うべきである。 (4)以上よりするならば,法及びその委任を受けた告示等を併せて検討しても,この点についての被告の主張は採用できない。 争点2(保険外併用療養費制度について定めた法86条の解釈によって,同制度に該当するもの以外の混合診療については,本来保険診療に該当するものも含めて,すべて法63条1項の「療養の給付」に当たらないと解釈することができるか)について。 (1)被告は,昭和59年の法改正によって設けられた特定療養費制度(旧法86条)によって保険給付の対象となるのは保険診療と自由診療が混在する混合診療であるところ,特定療養費制度は,およそ混合診療の中で,給付の対象とするものを限定的に掲げたものであるから,旧法86条は,これに該当しない混合診療に対しては,保険給付をしない趣旨であると主張する。 - 13 -すなわち,被告の主張は,特定療養費制度は,およそ保険診療と自由診療の組み合わせ全体を網羅的に対象とした上で,特定療養費制度に該当するものと該当しないものに二分し,前者を保険給付の対象とし,後者はおよそ保険給付の対象としないとしたのが法86条の趣旨であるという主張と解される。 (2)そこで,まず,旧法下における特定療養費制度に関する被告の主張の当否について検討する。 ,。 ア特定療養費制度に関する旧法の定め等を概観すると次のとおりである(ア)特定療養費制度は,国民の生活水準の向上や価値観の多様化に伴う医療に対する国民のニーズの多様化,医学医術のめざましい進歩に伴う医療サービスの高度化に対応 の定め等を概観すると次のとおりである(ア)特定療養費制度は,国民の生活水準の向上や価値観の多様化に伴う医療に対する国民のニーズの多様化,医学医術のめざましい進歩に伴う医療サービスの高度化に対応して,必要な医療の確保を図るための保険の給付と患者の選択によることが適当な医療サービスとの間の適切な調整を図ることを目的として,昭和59年法律第77号による健康保険法の改正により導入された制度であり(乙7,被保険者が,次に掲げる)療養を受けたときは「その療養に要した費用」について,特定療養費,を支給するという制度である。 a被保険者が特定承認保険医療機関において高度先進医療等を受けた場合(旧法86条1項1号)b被保険者が保険医療機関等において厚生労働大臣の定める療養(選定療養)を受けた場合(同項2号)(イ)旧法は療養の給付の内容について現行法と同じく診察旧,「」,,(法63条1項1号,薬剤又は治療材料の支給(同項2号,処置,手))術その他の治療(同項3号,居宅における療養上の管理及びその療養)に伴う世話その他の看護(同項4号)及び病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護(同項5号)を掲げるとともに,他方で同条2項により,食事の提供である療養(食事療養)に係る給付及び被保険者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生労働大臣が定める- 14 -療養(選定療養)については「療養の給付」に含まれないものとする,旨を定めていた。 なお特定療養費が支給される場合上記(ア)のうち上記aの高,(),「度先進医療等」が「療養の給付」に含まれるか否かについては,現行法と異なり,これを直接定めた規定はなかった(現行法では,上記第2の2(3)のとおり,法63条2項3号により,旧法における ),「度先進医療等」が「療養の給付」に含まれるか否かについては,現行法と異なり,これを直接定めた規定はなかった(現行法では,上記第2の2(3)のとおり,法63条2項3号により,旧法における高度先進医療等に対応する「評価療養」は「療養の給付」に含まれない旨が明示されている。しかし,旧法は,病院又は診療所が,高度先進医療等を行。)うことのできる特定承認保険医療機関と「療養の給付」を行う保険医,療機関を兼ねることを禁止し(旧法86条7項,保険医療機関が特定)承認保険医療機関の承認を受けたときは,保険医療機関としての指定を辞退したものとみなし(同条9項,旧法63条3項2号又は3号に掲)げる病院(いわゆる事業主病院等)が特定承認保険医療機関の承認を受けたときは,当該病院又は診療所においては,療養の給付(入院時食事療養費に係る療養を含む)は行わない(同条10項)旨の定めを置い。 ていたから,旧法においても,高度先進医療等に係る療養は「療養の,」。 給付の対象とは異なる内容であることが前提とされていたと解される(ウ)そして,厚生労働大臣の定める高度先進医療及び施設基準(平成17年厚生労働省告示第384号(以下「高度先進医療告示」という))。 (乙14)には,厚生労働大臣の定める高度先進医療が三以下一一一までに列挙されており,そこには,顔面骨又は頭蓋骨の観血的移動術(顔面骨又は頭蓋骨の先天奇形に係るものに限る,生体部分肺移植術(原)発性肺高血圧症,特発性間質性肺炎,気管支拡張症……に係るものに限る)など,まさに高度な先進的医療が具体的に掲記されていることが認められる。 イこれらの規定をみると,旧法86条に基づく特定療養費制度は「療養,の給付」と截然と区別をされた制度の下で,高度先進医療告示に個別的,- 15 - が具体的に掲記されていることが認められる。 イこれらの規定をみると,旧法86条に基づく特定療養費制度は「療養,の給付」と截然と区別をされた制度の下で,高度先進医療告示に個別的,- 15 -具体的に列記された高度先進医療等についてそれに要した費用を支給する,,,制度であると解されおよそ保険診療と自由診療の組み合わせを全体的網羅的に対象として,その中から保険給付に値する組み合わせを拾い上げて保険給付の対象とした制度であることは窺えない。 すなわち,高度先進医療には,被告の主張するように,その医療行為の内容によっては,性質上,いわゆる基礎的部分として保険診療に該当する診察や麻酔等の部分が存在することがあり得ると考えられるが,それだからといって,被告の主張するように,特定療養費制度が,およそ保険診療と自由診療とを組み合わせた場合を全体的,網羅的に検討して,その中で保険給付に適するものだけを拾い上げたものであるということはできず,かえって,高度先進医療告示に掲げられている高度先進医療を見ても,いずれも当該具体的医療行為に着目して特定療養費制度の対象とする旨が明らかにされたにとどまり,これらの高度先進医療の中に,たとえば,個別的にみれば保険診療行為と自由診療行為であるが,ある特定の組み合わせであれば高度先進医療に該当するとか,あるいは逆に,個別的にみれば高度先進医療に該当する自由診療行為であるが,他の特定の保険診療行為と組み合わせると高度先進医療に該当しなくなるというように,保険診療と自由診療の組み合わせに着目して定めたものは何ら見受けられない。 そして,被告は,特定療養費制度に関し,単に,保険診療と自由診療の組み合わせが列記されているというにとどまらず,これに該当しない場合は,保険診療としても給付をしない趣旨が,旧法86条から看取 ない。 そして,被告は,特定療養費制度に関し,単に,保険診療と自由診療の組み合わせが列記されているというにとどまらず,これに該当しない場合は,保険診療としても給付をしない趣旨が,旧法86条から看取できるはずであると主張するが,特定療養費制度に関する定めを鳥瞰しても,特定の保険診療については,およそ全ての保険給付の対象から排除するという趣旨を窺い知ることができる規定はない。すなわち,本件においては,個別的にみれば旧法63条1項の「療養の給付」に該当し,保険診療の対象となるとされることに争いのないインターフェロン療法が,旧法86条あるいは関連する法規範の条項によって,保険給付の対象から排除されるこ- 16 -とを示すものは一切見あたらないと言わざるを得ない。 ウまた,前示のとおり,旧法63条2項において,法が明示的に「療養の給付」に含まれないとしていた食事療法についてみると,同条項は,一定の要件を満たした食事療養については,入院時食事療養費を支給する旨を定めているところ,この規定は,保険診療とこれに該当しない食事療養が併用された混合診療の場合において,保険診療たる「療養の給付」についてはなお給付の対象となることを法が予定していることを暗黙裏に当然の前提として,食事療法についての費用の支給について規定されているものと解されるのであって,このような法の態度は,被告が主張する,混合診療の場合には,旧法86条に該当しない限り,保険診療部分を含めて給付の対象としないという主張とは相容れないものであるといわざるを得ない。 エさらに,被告は,特定療養費制度は,混合診療の中で特定のものについて,その基礎的部分すなわち保険診療部分についての給付をするものであると主張するが,旧法86条の文言を検討してみると,そもそも,旧法86条1項は,高度先進医療 制度は,混合診療の中で特定のものについて,その基礎的部分すなわち保険診療部分についての給付をするものであると主張するが,旧法86条の文言を検討してみると,そもそも,旧法86条1項は,高度先進医療等及び選定療養を掲げた上で,被保険者がこれらの療養を受けたときは「その療養に要した費用」について特定療養費,を支給する旨を定めており,ここにいう「その療養に要した費用」とは,高度先進医療等又は選定療養に要した費用を指すと解されるところ,前示のとおり,高度先進医療等や選定療養が「療養の給付」とは全く別の概,念として規定していることを考え合わせれば,この「その療養に要した費用」が,保険診療に該当する費用を指すと解することは,困難であると言わざるを得ない。 そして,特定療養費の額について定めた同条2項の文言をみても,同項は,同項1号の「当該療養」すなわち高度先進医療等及び選定療養を基礎として算出された額を支給する旨を定めているところ,これらが「療養の給付」とは異なるものであることは前示のとおりであるから,同項により- 17 -特定療養費支給の対象となるものが,高度先進医療等に係る療養又は選定療養に関する費用ではなくこれらと併用して行われた保険診療である療,「養の給付」に関する費用であると解することは,明文に反する解釈であるさえ言えよう。 オ以上によれば,被告が,旧法86条に関して主張する上記の解釈は,採用できない。 (3)また,被告は,前記(1)のとおり,平成18年の法改正によって定められた保険外併用療養費制度(法86条)は,旧法の特定療養費制度を継承したものであって,混合診療については,法86条1項が定める保険外併用療養費の対象となる場合を除き,これらに対する保険給付を認めておらず,個別的にみれば保険給付の対象となり得る診療部分も 制度を継承したものであって,混合診療については,法86条1項が定める保険外併用療養費の対象となる場合を除き,これらに対する保険給付を認めておらず,個別的にみれば保険給付の対象となり得る診療部分も含めて法63条1項の「療養の給付」に当たらないと解すべきである旨主張する。 そこで,上記改正によって導入された保険外併用療養費制度をみると,旧法における特定療養費制度の支給対象となる療養のうち,選定療養はこれを維持し,高度先進医療等を「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって,……厚生労働大臣が定めるもの(評価療養」)と改め(法63条2項3号,4号,被保険者が,この評価療養及び選定療)養を受けたときは,その療養に要した費用について,保険外併用療養費を支(),,給する旨を定めているのであって法86条1項被告が自認するとおり基本的に特定療養費制度と同じ構造を採用するものであり,法63条1項にいう「療養の給付」と保険外併用療養費制度により支給の対象となる療養の関係や,費用の算定方法等について,特定療養費制度と同様の考え方に基づくものである。そうすると,平成18年の法改正後の法86条1項による保険外併用療養費制度に関しても,上記(2)と同様の帰結が導かれるということができる。 (4)なお,被告は,昭和59年及び平成18年の法改正によって,混合診療を一般的には認めないという法の立法者意思が明確にされたにもかかわら- 18 -ず,なお法の解釈として混合診療が許容されている旨解するのであれば,この解釈は上記立法者意思に反する旨主張する。また,被告は,混合診療の原則的禁止という厚生労働省が採用する解釈,政策は,医療の平等を保障する必要性があること,混合診療を解禁すれば,患者の負担が不当に増大するおそれがあること, する旨主張する。また,被告は,混合診療の原則的禁止という厚生労働省が採用する解釈,政策は,医療の平等を保障する必要性があること,混合診療を解禁すれば,患者の負担が不当に増大するおそれがあること,医療の安全性及び有効性を確保する必要があることに照らしても,合理的である旨主張する。 しかしながら,そもそも,一般的にいえば,保険診療と自由診療が併用された混合診療については,一方で,併用される自由診療の内,何をどのような方式で保険給付の対象とすべきか,また,それに伴う弊害にどのように対処すべきかという問題があり,他方で,自由診療が併用された場合にもともとの保険診療相当部分についてどのような取扱いがされるかという問題があるところ,これらは別個の問題であって,両者が不即不離,論理必然の関係にあると解することはできない。そして,本件の問題の核心は,まさに後者の問題,すなわち,原告が,個別的にみれば,法及びその委任を受けた告示等によって,法63条1項の「療養の給付」を受けることができる権利を有,,すると解されるにもかかわらず他の自由診療行為が併用されることによりいかなる法律上の根拠によって,当該「療養の給付」を受ける権利を有しないことになると解釈することができるのかという点であるところ,法律上,上記のような解釈を採ることができないことは,縷々述べてきたとおりである。また,このような法解釈の問題と,差額徴収制度による弊害への対応や混合診療全体の在り方等の問題とは,次元の異なる問題であることは言うまでもない。 (5)以上のとおりであって,特定療養費制度(旧法86条)及び保険外併用療養費制度(法86条)の内容,制定経緯等を考慮しても,個別的に見れば法63条1項の「療養の給付」に該当する診療行為に,法86条の対象とならない自由診療が併用された場合に 旧法86条)及び保険外併用療養費制度(法86条)の内容,制定経緯等を考慮しても,個別的に見れば法63条1項の「療養の給付」に該当する診療行為に,法86条の対象とならない自由診療が併用された場合に,これらの診療行為の全体が保険給付の対象外となるというのが法の趣旨である旨の被告の主張は理由がないという- 19 -べきである。 小括,,,以上検討したところによれば争点3について判断するまでもなく原告は法及びその委任を受けた告示等によって「療養の給付」に含まれるインター,フェロン療法を受けることのできる権利を有する以上,これと活性化自己リンパ球移入療法が併用された場合であっても,インターフェロン療法については健康保険法の適用がある,すなわち,被保険者から「療養の給付」として当該療養を受けることができる権利をなお有すると解すべきである。 そして,上記第2の1(1)のとおり,原告は,その主治医から,その腎臓がんの治療のため,インターフェロン療法と活性化自己リンパ球移入療法を併用する療養が医学的に有用なものとして勧められ,この療養を受けていたものであり,原告は,今後とも,インターフェロン療法と活性化自己リンパ球移入療法を併用する療養を受ける可能性は高いと認められるところ,仮に,原告が今後とも活性化自己リンパ球移入療法を受けようとすれば,インターフェロン療法に要する費用についても全額自己負担とされ,多額の医療費の負担を余儀なくされるおそれがあることに照らすと,原告が,いわゆる公法上の当事者訴訟(行政事件訴訟法4条)として,上記権利を有することを確認すべき法律上の利益も十分に肯認することができるというべきである。 第4 結論 よって,原告の請求は理由があるから,これを認容することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法 を確認すべき法律上の利益も十分に肯認することができるというべきである。 第4 結論 よって,原告の請求は理由があるから,これを認容することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官定塚誠- 20 -裁判官中山雅之裁判官進藤壮一郎

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