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昭和33(ネ)288 離婚無効養子縁組無効確認等請求事件

裁判所

昭和35年8月20日 高松高等裁判所

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7,293 文字

主文 原判決中被控訴人Aに関する部分を次のとおり変更する。同被控訴人は控訴人に対し金二十万円とこれに対する昭和三十二年九月六日以降支払ずみに至るまでの間の年五分の割合による金員を支払え。控訴人の同被控訴人に対するその余の請求を棄却する。控訴人のその余の被控訴人らに対する控訴を棄却する。控訴人と被控訴人Aとの間に生じた訴訟費用を第一、二審を通じて二分し、その一を控訴人の負担とし、他を同被控訴人の負担とする。控訴人とその余の被控訴人らとの間に生じた訴訟費用は第一、二審を通じていずれも控訴人の負担とする。事実 控訴代理人は「原判決を取消す。昭和三十一年三月五日川之江市長が受理した届出による控訴人と被控訴人Aとの離婚が無効であることを確認する。もし右請求が理由がないときは右離婚を取消す。昭和三十一年九月三日今治市長が受理した届出によるAの代諾を以て行つた被控訴人Bと同C、同Dとの養子縁組が無効であることを確認する。控訴人とAとを離婚する。右両名間の長男Bの親権者並びに監護をなすべきものを控訴人と定める。Aと被控訴人Eとは連帯して控訴人に対し金五十万円とこれに対する昭和三十二年九月六日以降支払済に至るまでの間の年五分の割合による金員を支払え。CとDは控訴人に対しBを引渡せ。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする」との判決を求め、被控訴代理人は本件控訴を棄却する、控訴費用は控訴人の負担とするとの判決を求めた。当事者双方の事実上の陳述は、控訴代理人において、本件離婚が無効だというのは控訴人はAがBを自ら監護養育すると信じて離婚届に署名をしたものであつて、この点について控訴人に要素の錯誤があつたからである。なお控訴人は離婚届に署名はしたが印をおすこ 、本件離婚が無効だというのは控訴人はAがBを自ら監護養育すると信じて離婚届に署名をしたものであつて、この点について控訴人に要素の錯誤があつたからである。 めた。当事者双方の事実上の陳述は、控訴代理人において、本件離婚が無効だというのは控訴人はAがBを自ら監護養育すると信じて離婚届に署名をしたものであつて、この点について控訴人に要素の錯誤があつたからである。なお控訴人は離婚届に署名はしたが印をおすこ 、本件離婚が無効だというのは控訴人はAがBを自ら監護養育すると信じて離婚届に署名をしたものであつて、この点について控訴人に要素の錯誤があつたからである。なお控訴人は離婚届に署名はしたが印をおすことをなんびとにも依頼したことはない。仮に昭和三十一年三月五日川之江市長が受理した届出による控訴人とAとの離婚が有効で且つ取消を求めることができないとしても、そのように離婚をすることとなつたのは、従来主張したとおりE及び同人の意見にしたがつたAの共同不法行為によるものである。また仮に控訴人とAの婚姻そのものが両名の子Bを嫡出子として出生の届出をするためのもので真実の婚姻ではなかつたとしても、EとAとは右と同一の理由によつて婚姻予約を不履行したことの責に任じなければならない。したがつて、この両名は控訴人に対し離婚又は婚姻予約不履行によつて精神的、肉体的に甚大な苦痛と損害とを与えたことにつき、慰謝料として、連帯して金五十万円とこれに対する昭和三十二年九月六日以降支払済までの間の年五分の割合による遅延損害金を支払う義務がある旨述べ、被控訴代理人において、右主張事実はいずれも争う旨述べたほかは、原判決事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。立証として、控訴代理人は、甲第一号証、第二号証を提出し、原審証人F、原審及び当審証人GことGの各証言、原審及び当審における控訴人本人尋問の結果並びに当審における被控訴人A本人の尋問の結果を援用し、乙号各証について第一号証の成立を認める、第二号証もまた真正に成立したものであると述べた。被控訴代理人は乙第一号証、第二号証(第二号証は控訴人が勝手に作成したものとして、)を提出し、原審における被控訴人A、E、Cの各本人尋問の結果を援用し、甲号各証の成立を認めると述べた。理由 一、 原 号証(第二号証は控訴人が勝手に作成したものとして、)を提出し、原審における被控訴人A、E、Cの各本人尋問の結果を援用し、甲号各証の成立を認めると述べた。理由 一、 原審及び当審における控訴人、被控訴人Aの各本人尋問の結果(ただし、以下の認定に反する部分を除く、その部分は採用できない)ところによつて真正に成立したものと認めうる乙第一号証離婚届の記載を併せると、控訴人の本訴慰謝料請求を除くその他の請求に対する原審の判示は相当で、当裁判所はこれにつき、当審証人Gの証言によつてはこれを左右しえないこと、また控訴人が主張するような錯誤の事由を以てしては係争の協議離婚を無効ということができないことをそれぞれ附加するほかは、原審の右判示と判断を同じくするから、ここにこれを引用する。 きない)ところによつて真正に成立したものと認めうる乙第一号証離婚届の記載を併せると、控訴人の本訴慰謝料請求を除くその他の請求に対する原審の判示は相当で、当裁判所はこれにつき、当審証人Gの証言によつてはこれを左右しえないこと、また控訴人が主張するような錯誤の事由を以てしては係争の協議離婚を無効ということができないことをそれぞれ附加するほかは、原審の右判示と判断を同じくするから、ここにこれを引用する。二、 そこで、慰謝料請求(この点に関する控訴人の当審での主張は原審以来主張してきた慰謝料請求権の範囲を出るものではなく、その同一性を害するものではない)のうち、まず被控訴人Aに対する部分の当否につき判断をするのに、右の控訴人及び被控訴人Aの各本人尋問の結果及び原審におけるEの本人尋問の結果を併せると、控訴人とAとは昭和三十年六月頃から善通寺市で同棲したが、Aはそれから僅かに三ケ月位で川之江市の父E方にかえり、その後は時折控訴人方へくるだけで、しかもその時などに時々控訴人と離別したいという趣旨のことを口にしていたが、昭和三十一年二月七日両名の間に長男Bが出生したので、原審判示のとおり一旦婚姻して嫡出子としての出生の届出を了した後、ただちにAから離婚を要求したこと、その原因として特記しうる出来事などはなく、Aが当初安易に考えていた親の援助をうけない生活のきびしさや当初ほとんど気附かなかつた控訴人の性格の勝気な一面などを知るに及んで、控訴人との 要求したこと、その原因として特記しうる出来事などはなく、Aが当初安易に考えていた親の援助をうけない生活のきびしさや当初ほとんど気附かなかつた控訴人の性格の勝気な一面などを知るに及んで、控訴人との共同生活を維持する情熱を漸次うしなつたことにあること、もつとも、両名の性格にやや調和を欠く点がないではないが、Aから右離婚を求めることを正当ずける程の事情は何もなく、同人は自ら内縁及び婚姻関係を結んだ者として控訴人のためにはこれを維持する責任があるのにかかわらず、自らの労働によつて共同生活の資をうる努力や夫婦互いの性格の調和をはかるための努力をほとんどすることなく、その間にすでに一子をもうけた仲でありながらただ離婚を求めたのであること、そしてこのような経過によつて控訴人はAとの共同生活を断念して離婚の承諾をすることを余儀なくされたものであることをそれぞれ認めることができる。 及び婚姻関係を結んだ者として控訴人のためにはこれを維持する責任があるのにかかわらず、自らの労働によつて共同生活の資をうる努力や夫婦互いの性格の調和をはかるための努力をほとんどすることなく、その間にすでに一子をもうけた仲でありながらただ離婚を求めたのであること、そしてこのような経過によつて控訴人はAとの共同生活を断念して離婚の承諾をすることを余儀なくされたものであることをそれぞれ認めることができる。以上の認定を左右するに足る証拠はない。これらの経過によると、Aは控訴人との共同生活を営むについて配偶者としての責任を果さないだけでなく、不法に控訴人の婚姻生活を営む利益を侵害したものというべきで、離婚によつて控訴人に与えた苦痛を慰謝するためその損害を賠償する義務があるといわねばならない。しかしながら、他面、右の各本人尋問の結果によつて、控訴人とAとの当初からの関係をみるのに、右両名ははじめ川之江市のダンスホールで親しくなつた後、Aがまだ関西大学に在学中であつた昭和二十九年六月頃に、両名ともAの両親の強い反対をうけるであろうことを予想しながらAの大阪市内の下宿先で情交関係を結び、その後もその関係を絶たず、昭和三十年三月にAが同大学を卒業した後には、事情を知つて反対するEらの意向をよそにして、しかも、Aに就職口もなく資産もほとんど何もなくしたがつてこれという収入の途もないま その後もその関係を絶たず、昭和三十年三月にAが同大学を卒業した後には、事情を知つて反対するEらの意向をよそにして、しかも、Aに就職口もなく資産もほとんど何もなくしたがつてこれという収入の途もないままで、前記のとおり内縁関係を結んだことが認められる。およそ、婚姻生活の円満と安定をはかる上に、あらかじめ、互いの性格を慎重に観察し、また互いの親族らの意向をできるだけ考慮してこれらの者と不和を生ずることを避けるための配慮をし、更には生活の基礎である収入の確保をはかることなどが重要な事柄であることはいうまでもないが、右認定の事実によると、Aだけでなく控訴人もまた、これらの点の配慮と用意とを怠り、自ら婚姻生活の基礎を不安定なものとしたといわなければならない。以上の諸事実及び右各本人尋問の結果によつて認められる控訴人が初婚者であつて昭和八年八月二十日生れの女性であること、本件離婚によつて控訴人が愛児を手ばなさなければならなくなつたこと、一方右離婚にあたつてAは控訴人に対し、当座の生活費として金二万九千円ないし三万円程の金銭を交付したことその他諸般の事情を考慮すると、前記慰謝料の額は金二十万円が相当で、この支払義務は不法行為による損害賠償債務として離婚の時から当然に遅滞を生ずると解すべきである。 認められる控訴人が初婚者であつて昭和八年八月二十日生れの女性であること、本件離婚によつて控訴人が愛児を手ばなさなければならなくなつたこと、一方右離婚にあたつてAは控訴人に対し、当座の生活費として金二万九千円ないし三万円程の金銭を交付したことその他諸般の事情を考慮すると、前記慰謝料の額は金二十万円が相当で、この支払義務は不法行為による損害賠償債務として離婚の時から当然に遅滞を生ずると解すべきである。したがつて控訴人のAに対する本訴慰謝料請求は金二十万円の限度で理由があり、またこれに対する遅延損害金請求は(控訴人が昭和三十二年九月六日以降の期間について求めているので)右金二十万円に対する昭和三十二年九月六日以降完済までの間の民法所定の法定利率である年五分の割合によつて計算した額の範囲で理由がある。三、 次に、慰謝料請求のうち、被控訴人Eに対する部分の当否につき判断をするのに、右の控訴人、被控訴人A、同Eの各本人尋問の結果を併せると、Eは長男であるA よつて計算した額の範囲で理由がある。三、 次に、慰謝料請求のうち、被控訴人Eに対する部分の当否につき判断をするのに、右の控訴人、被控訴人A、同Eの各本人尋問の結果を併せると、Eは長男であるAが関西大学在学中に自分に秘して控訴人と情交関係を結んだことを当時は知らずにいたが、Aが昭和三十年三月に同大学を卒業してすぐに婚姻の希望を打ちあけたことから、従来の両名間の事情を知つて非常におどろき、Aが未だ若年であり、収入の途も定まつておらず、控訴人にもそのような独立の生活を営む経済的能力がないことや、両名の従来の関係から推して控訴人の性格、教養、家庭事情などに不安を抱いたこと、それにE方には当時大学に進学中の次男がいたことなどのために、Eは時期が早すぎるとして反対の意向を明らかにし、Aに対し控訴人との関係を解消するよう強く望んだこと、しかし、Aはこれに従わずに家出をして善通寺市で前記のとおり控訴人と同棲したので、Eは出てゆくならそれも仕方がないという態度をとり、一方妻Hが一、二度善通寺市に赴いて(ちょうど控訴人は留守であつたが)Aに思いなおすよう促したりしたこと、そのうちAは前記のとおり控訴人との生活を継続する気持を失つて三ヶ月程でE方へ帰つてきたが、Aは当時すでにEらに対し控訴人とは別れてきたといい、またその後もはつきり別れるということを言つていたので、Eとしてはその上更にこの問題に積極的に深入りする必要もなく経過したこと、もつともAがE方へもどつてきた後まもなく控訴人において、Aが別れると言つているということを聞いてE方へ来たことがあり、そのときEははじめて控訴人と会い、同人に対し、自分はAと控訴人との婚姻に反対であること、控訴人がかい胎している胎児はおろすことが互いのためだと思うという趣旨のことを述べたことがあるが、これに対して控訴人 ので、Eとしてはその上更にこの問題に積極的に深入りする必要もなく経過したこと、もつともAがE方へもどつてきた後まもなく控訴人において、Aが別れると言つているということを聞いてE方へ来たことがあり、そのときEははじめて控訴人と会い、同人に対し、自分はAと控訴人との婚姻に反対であること、控訴人がかい胎している胎児はおろすことが互いのためだと思うという趣旨のことを述べたことがあるが、これに対して控訴人 Eははじめて控訴人と会い、同人に対し、自分はAと控訴人との婚姻に反対であること、控訴人がかい胎している胎児はおろすことが互いのためだと思うという趣旨のことを述べたことがあるが、これに対して控訴人がはつきり拒絶したので、Eは子を産むというならそれも仕方がないといつて繰返しては求めなかつたこと、以上の事実をそれぞれ認めることができる。これらの認定を左右するに足る証拠はない。控訴人はEが控訴人を特殊部落民の娘であるとして極力婚姻に反対し、これを妨害し、婚姻後は離婚を強要したと主張し、原審及び当審における証人Gの各証言、同控訴人の各供述によると、E及びその家族らが控訴人の家柄について他からのまた聞きにより一時右のような疑念を抱き且つこれを疑念としてAに告げたことがあるのではないかと推察されるふしがあるけれども、右供述その他全証拠によつてもEがこのようなことを控訴人に述べた事実は認められず、またEが終始Aと控訴人との婚姻に反対の意向を示していたことは前認定のとおりであるが、該認定の程度をこえて婚姻の妨害、離婚の強制などをした事実は認められない。<要旨>ところで、およそ配偶者の選択並びに婚姻について他の者が不当に当該個人の意思をおさえたり、その他不</要旨>当にこれを妨害してはならないこと及び他人の意思が婚姻成立に関する法律上の要件となりえないことは、婚姻における個人の尊厳、両性の本質的平等を規定した憲法第二十四条並びに民法第一条の二などの規定の趣旨によつても明白で、このことはその他人が親であつても例外となるものではないが、他人殊に親がその子の婚姻についてその子の将来を案ずる純粋な動機から配偶者の選択について種々忠告をすることが一般に許容されるべきことはいうまでもないとともに、婚姻が一方配偶者の親や兄弟らと他方配偶者及びその一定範囲の親族と ついてその子の将来を案ずる純粋な動機から配偶者の選択について種々忠告をすることが一般に許容されるべきことはいうまでもないとともに、婚姻が一方配偶者の親や兄弟らと他方配偶者及びその一定範囲の親族との間に法律上当然に姻族関係を生ぜしめ、これに基いて爾後長期に亘りこれらの親や他の子らの生活に法律上及び実際上極めて重大な影響を与えるものである以上、親が自己や他の家族の蒙る影響などを考慮して当該婚姻に反対することなども或程度はやむをえないことであつて、その動機や理由及び方法、程度などが社会観念上未だ不当といえない範囲のものであれば、不法行為やその教唆、輔助としての違法性を欠くといわねばならない。 との間に法律上当然に姻族関係を生ぜしめ、これに基いて爾後長期に亘りこれらの親や他の子らの生活に法律上及び実際上極めて重大な影響を与えるものである以上、親が自己や他の家族の蒙る影響などを考慮して当該婚姻に反対することなども或程度はやむをえないことであつて、その動機や理由及び方法、程度などが社会観念上未だ不当といえない範囲のものであれば、不法行為やその教唆、輔助としての違法性を欠くといわねばならない。この観点から前記のようなAと控訴人との当初からの経過をみるのに、同入らの行動ははじめからE夫妻らの意向や立場を顧慮しないものであり、また当の両名の間だけの問題としても不用意な婚姻との感を免れないものであつて、Eが前記認定の理由からこれに反対をしたことは、動機や理由としても無理からぬものがあり、またその方法及び程度としても未だ違法なものということができない。したがつて、控訴人のEに対する本訴慰謝料請求は理由がない。四、 以上の次第で、控訴人の請求のすべてを排斥した原判決は、うちAに対する慰謝料請求を前記の限度で認容しなかつた点で結局当をえなかつたこととなるから、右の限度で変更を免れないが、その余はすべて相当であるといわねばならない。よつて、訴訟費用の負担について民事訴訟法第九十六条、第九十二条本文に則り、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官谷弓雄裁判官橘盛行裁判官山下顕次) 判官 橘盛行 裁判官 山下顕次

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