【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告の費用は上告人の負担とする。 理 由 本件上告理由は添付の別紙記載のとおりであつて、これに対する判断は次のとお り
主文 本件上告を棄却する。 上告の費用は上告人の負担とする。 理由 本件上告理由は添付の別紙記載のとおりであつて、これに対する判断は次のとおりである。第一点について。 原審が本件借地権の存続期間を本件木造建物の腐朽するまでと認定していることは、原判決の明かに説明しているところである。 借地権の價格を認定するに際しても「地上権の存続期間その面積等を考慮し」「一坪につき平均七百円を相當と認める」としているのであつて、高層建築物用のものとして認定したのではないこと明白である。原審が本件借地権の價格の認定に際し採用した甲第十号証の三四七及び第一審鑑定人Dの鑑定はいずれも本件借地権は本件木造建物の腐朽するまで存続するものとしてその價格を算定しており、ことに右Dの鑑定書には「寧ロ大大阪ノ表玄関トシテビルデイング其ノ他大建築物ヲ造營スルヲ適當トス。若シ物件ノ坪数ガ三〇〇坪以上ナルモノトスレバ鑑定價格ヲ一坪ニ付キ金二千円以上トナスモ敢テ不可ナラザルベシ」と記載してあり、本件借地権が高層建築に用い得ないものとして鑑定しているのであつて、原審がこれらの証拠によつて本件借地権の價格を認定したのは、高層建築物用地として認定したものでないこと一層明白である。 又本件土地の所有者が本件土地について一坪四百二十四円の價格を以て買収に応じたからと言つて、その價格が適正であるということも直ちに断言できないのであつて、論旨は理由がない。同第二点について。 論旨は、上告人が原審で本件借地権の價格は賃料変革のため壓迫せられると主張したのに対し、原審にはこの点に関する判断を遺脱しているというのであるけれど- 1 -も、都市計画施行の結果或は借地料が昂騰することもあるかも知れないが、同時にその土地を借地して得られる利益 主張したのに対し、原審にはこの点に関する判断を遺脱しているというのであるけれど- 1 -も、都市計画施行の結果或は借地料が昂騰することもあるかも知れないが、同時にその土地を借地して得られる利益も亦増大するかも知れないのであつて、にわかに借地権の價格の将来について予則することはできないのである。将来の事実は買収時期現在の價格に影響のあること明白な限度においてのみ考慮せられるべきものであつて、論旨のような不確実な事実はこれを考慮に入れる必要はないのである。若し明白に上告人の主張するような事実が予想せられるならば、自ら現在の價格にも影響し鑑定人の鑑定價格も影響を受けるのであつて、原審が鑑定人の鑑定を採用するに際し一々論旨のような将来の予想を説明する必要はない。論旨は理由がない。 同第三点について。 原審は本件土地について登記簿に建物所有のため存続期間建物腐朽までとした地上権設定の仮登記がしてあることを理由とし、右の仮登記には地主の承諾があつたか或は少くとも地主は知つていたものとして、本件借地権を地上権と判断したのであるが、原判決説示のような理由によつて、これを地上権と推認することは、登記の事務から言つても決して不合理でないのであつて、この認定が実験則に反し或は法律の誤解に基くとの論旨には理由がない。同第四点について。 論旨は、原審が本件建物の腐朽するまでの期間を認定するに際し大阪府技師Eの鑑定を採用しないで土地売買業者の鑑定を援用したのは、科学を無視し採証の法則に反するといふのであるけれども、如何なる鑑定を採用するかについては鑑定人の職務上の地位等色々の具体的事情をも考慮に入れる必要がめり、必ずしも、建築專問家の鑑定を採用しなければならないということはない。原審は多くの証拠のうちから、甲第十号証の二乃至八によつて、昭和九年八月三十一日か 位等色々の具体的事情をも考慮に入れる必要がめり、必ずしも、建築專問家の鑑定を採用しなければならないということはない。原審は多くの証拠のうちから、甲第十号証の二乃至八によつて、昭和九年八月三十一日から三十年間の命数あるものと認定したのであつて、採証の法則に反するということはなく、論旨は理由がない。同第五点について。 原審は、本件地上権の存続期間は本件建物の腐朽までとして、その期間を昭和九- 2 -年八月三十一日から三十年と認定し、従つて借地法附則第一七条第一項但書の存続期間の定ある地上権と判断したのである。もとよりそれ以前に建物が朽廃すれば地上権も消滅するのであり、このような期間は不確定ではあるが、不確定なるが故に同条第二項にいわゆる存続期間の定めのない場合に該當するものと言うことはできない。論旨は結局上告人獨自の法律解釋であつて理由がない。同第六点について。 論旨は上告人が原審に於て大阪驛附近の借地権買収の実例を挙げて被上告人の主張の不當なことを主張したにかゝわらず、この点について原審は審理を盡していないというのであるけれども、地上権の價格を認定するに際し如何なる事実、如何なる証拠によつてこれを認定するかは、原審の専権に属することである。従つて原審が上告人の挙げた買収実例について、その當否を判断しなかつたからとて、審理を盡さないものと言うことはできない。論旨には理由がない。第七点について。 論旨は原審が被上告人の本件借地権の取得價格について審理しなかつたのは違法であるというのであるけれども、取得價格は取得當時の個人的事情その他各種の事情によつて定まるのであつて、必ずしも客観的價格をあらわしているものではなく、現在の價格とは直接に関係がないのであるから、この点について原審は審理し、判示する必要もないのであつて、論旨は理由がない。 よつて定まるのであつて、必ずしも客観的價格をあらわしているものではなく、現在の價格とは直接に関係がないのであるから、この点について原審は審理し、判示する必要もないのであつて、論旨は理由がない。 従つて本件上告に理由がないので民訴第四〇一条、第九五条、第八九条を適用して主文のとおり判決する。 以上は裁判官全員の一致した意見である。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官長谷川太一郎裁判官井上登裁判官島保裁判官河村又介- 3 -裁判官穂積重遠- 4 -
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