平成13(ワ)1502 不当利得返還請求

裁判年月日・裁判所
平成13年12月3日 東京地方裁判所
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判決文本文11,877 文字)

平成13年12月3日判決言渡平成13年(ワ)第1502号不当利得返還請求事件(以下「第1事件」という。)平成13年(ワ)第5764号不当利得返還請求事件(以下「第2事件」という。)平成13年(ワ)第7954号保証債務履行請求事件(以下「第3事件」という。) 主文 1 被告は、各原告(原告株式会社Kを除く。)に対し、別紙請求額・認容額一覧表の「認容額」欄記載の金員及びこれに対する「起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告株式会社Kの被告に対する平成8年7月18日以降の金銭消費貸借取引に係る債務が元本金62万3204円及びこれに対する平成12年6月10日から支払済みまで年3割の割合による遅延損害金を超えては存在しないことを確認する。 3 原告らのその余の請求及び被告の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は、全事件を通じて全部被告の負担とする。 5 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 第1事件、第2事件(1) 被告は、各原告(原告株式会社Kを除く。)に対し、別紙請求額・認容額一覧表の「請求額」欄記載の金員及びこれに対する「起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 原告株式会社Kの被告に対する平成8年7月18日以降の金銭消費貸借取引に係る債務が金35万6122円を超えては存在しないことを確認する。 2 第3事件第3事件被告らは、被告に対し、各自金400万円及びこれに対する平成12年10月6日から支払済みまで年3割の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要第1事件及び第2事件は、貸金業者の被告から継続的に利息天引の方法で金銭の貸付けを受け、弁済期が到来すると利息の前払い(先払い)をすることにより弁済期を延期してもらうなどし え。 第2 事案の概要第1事件及び第2事件は、貸金業者の被告から継続的に利息天引の方法で金銭の貸付けを受け、弁済期が到来すると利息の前払い(先払い)をすることにより弁済期を延期してもらうなどして返済を繰り返してきた各原告が、利息制限法に従って計算すると、過払い(被告の不当利得)が生じており(原告株式会社Kを除くその余の原告らについて)、あるいは、残債務が被告主張の額よりも少ない(原告株式会社Kについて)として、不当利得返還請求権に基づいて過払金及びこれに対する被告の受益後の日からの民法704条所定の利息の支払を求め、あるいは、残債務が利息制限法に従って計算した額を超えては存在しないことの確認を求めている事案であり、第3事件は、被告が、原告らのうちの1名の被告に対する債務について連帯保証をした第3事件被告らに対し、保証債務の履行を求めている事案である。 いずれの事件においても、被告が天引した利息及び各原告が支払った利息について貸金業の規制等に関する法律(以下「貸金業規制法」という。)43条の適用があるか否かが主たる争点となっている。 1 前提事実(特記しない事実は当事者間に争いがない。)(1) 被告は、貸金業規制法3条1項の登録を受けて貸金業を営む株式会社である。 (2) 被告は、各原告に対し、別表(1ないし16)の「貸付日・支払日」欄記載の日に、「貸付金額」欄記載の金員を、これから「天引額」欄記載の金員を当日から「天引最終日」欄記載の日までの利息として天引した上で貸し付けた(「交付額」欄記載の金員を現実に交付した。利息天引の対象期間については乙9ないし25)。そして、各原告は、被告に対し、「貸付日・支払日」欄記載の日に「支払額」欄記載の金員を支払った。 (3) 第3事件被告Qは、被告との間で、平成7年12月11日、原告株式会社Fの は乙9ないし25)。そして、各原告は、被告に対し、「貸付日・支払日」欄記載の日に「支払額」欄記載の金員を支払った。 (3) 第3事件被告Qは、被告との間で、平成7年12月11日、原告株式会社Fの被告に対する金銭消費貸借債務を主債務として次のような連帯根保証契約を締結した。 ア根保証限度額 400万円イ根保証期間平成7年12月11日から5年間ウ根保証の範囲現在の債務及び上記根保証期間内に新たに発生する債務。なお、利息及び損害金については上記根保証限度額を超えても支払う。 エ期限の利益の喪失被告に対する約定に基づく元利金の支払を1回でも怠った場合には、被告に対する一切の債務について期限の利益を喪失する。 オ損害金年40.004パーセント(4) 第3事件被告Rは、被告との間で、平成8年1月29日、原告株式会社Fの被告に対する金銭消費貸借債務を主債務として次のような連帯根保証契約を締結した。 ア根保証限度額 400万円イ根保証期間平成8年1月29日から5年間ウ根保証の範囲現在の債務及び上記根保証期間内に新たに発生する債務。なお、利息及び損害金については、上記根保証限度額を超えても支払う。 エ期限の利益の喪失被告に対する約定に基づく元利金の支払を1回でも怠った場合には、被告に対する一切の債務について期限の利益を喪失する。 オ損害金年40.004パーセント 2 原告ら及び第3事件被告らの主張本件につき利息制限法に従って計算すると、原告株式会社Kを除く各原告については、別表(1ないし14、16)の「過払金合計」欄記載の金額が過払いとなるから、被告に対し同額の不当利得返還請求権を有し、また、原告株式会社Kについては、残債務(元本 株式会社Kを除く各原告については、別表(1ないし14、16)の「過払金合計」欄記載の金額が過払いとなるから、被告に対し同額の不当利得返還請求権を有し、また、原告株式会社Kについては、残債務(元本)が別表15の「残元本合計」欄記載の金額となるから、被告に対する債務は同額を超えては存在しない。そして、原告株式会社Fの被告に対する債務が消滅した以上、第3事件被告らの被告に対する保証債務も消滅したというべきである。 3 被告の主張(1) 貸金業規制法43条1項の適用本件における各原告の利息(天引利息を含む。)の支払は、利息として任意に支払われたものである。そして、被告は、各原告に対し、貸金業規制法17条1項の規定により同条項に規定する書面を交付したし、同法18条1項の規定により同条項に規定する書面を交付した。 したがって、上記利息の支払については、同法43条1項が適用され、有効な利息の債務の弁済とみなされる。 (2) 上記(1)についてア利息の天引について利息制限法2条は、利息天引の場合には、現実の交付額だけでなく、名目上の貸付額について要物性を充足することを当然の前提として、ただ、天引額が現実の交付額を計算上の元本としたときに同法1条1項所定の利率を超える場合の充当方法を定めたものにすぎず、その法文自体からも明らかなように、同条項と一体の規定であり、それ自体独立した規定ではない。したがって、貸金業規制法43条は、利息制限法1条1項、4条1項の特則であるだけでなく、同法2条の特則でもある。 そして、本件において、各原告は、その自由な意思で利息の天引に合意したのであり、天引利息につき利息として任意に支払ったものということができる。 したがって、本件における利息の天引についても貸金業規制法43条1項の適用がある。 イ利息の前払いに で利息の天引に合意したのであり、天引利息につき利息として任意に支払ったものということができる。 したがって、本件における利息の天引についても貸金業規制法43条1項の適用がある。 イ利息の前払いについて本件において、各原告は、その自由な意思で、元本返済について期限の猶予を得るために利息を前払いしていた。すなわち、債務者には貸金業者に対し期限の猶予や再度の貸付けを請求する権利はないところ、本件において、各原告は、利息を前払いするデメリットと期限の猶予や再度の貸付けを受けるメリットを比較考量して、利息の前払いに合意していたのである。 したがって、本件における利息の前払いについても貸金業規制法43条1項の適用がある。 (3) 計算方法仮に本件について利息制限法に従った計算をするとしても、消費貸借契約は貸口ごとに別個独立のものであるから、貸口別に行うべきである。 4 原告ら及び第3事件被告らの反論(1) 貸金業規制法43条1項の適用の有無についてア貸金業規制法43条1項は、利息制限法1条1項、4条1項の特則であるにとどまり、同法2条(利息の天引)に対する特則ではない。また、天引利息については、貸金業規制法43条1項にいう「支払った」という要件を充足しない。 したがって、利息の天引について同条項は適用されない。 イ本件において、各原告は、約1か月後の弁済期までの利息を天引された上で貸付けを受け、その弁済期が到来すると、更に利息を前払いして約1か月の弁済期の延期をしてもらうということを繰り返してきた。利息の前払いをしなければ、一括返済を請求され、かつ、保証人に対しても厳しい請求がされることから、やむを得ず利息の前払いをして弁済期の延期をしてもらっていたのであり、その利息の支払には任意性がない。 したがって、本件における利息 を請求され、かつ、保証人に対しても厳しい請求がされることから、やむを得ず利息の前払いをして弁済期の延期をしてもらっていたのであり、その利息の支払には任意性がない。 したがって、本件における利息の支払(前払い)について貸金業規制法43条1項は適用されない。 ウまた、本件における利息中には調査料・事務手数料等の「費用」名目の金員が含まれているが、その部分は、貸金業規制法43条1項にいう「利息」として支払ったものとはいえない。すなわち、調査料・事務手数料は利息制限法3条の「みなし利息」に該当するが、貸金業規制法43条は利息制限法3条の特則ではないから、これらは貸金業規制法43条1項にいう「利息」に当たらない。被告は、顧客台帳等にも調査料・事務手数料を利息とは別個に記載しており、これらを「利息として指定して」受領してはいない。 エ本件において、貸金業規制法17条の規定により同条に規定する書面を交付することは行われていない。 (ア) 貸金業規制法17条の要件を充足する書面というためには、1通の書面において同法及び同規則所定の記載事項すべてが記載されていなければならないところ、被告が17条書面と主張している書面は全部で4通に分かれている。 (イ) 本件の借用証書には、同法17条及び同規則所定の記載事項の一部の記載が欠けている。 (ウ) 初回天引以降の毎月の利息の支払金額、計算方法について、調査料、事務手数料も含めて、どこにも記載されていない。 オ本件において、貸金業規制法18条の規定により同条に規定する書面を交付することは行われていない。 (ア) 被告が18条書面と主張する書面のうち、平成9年3月までの分には、契約年月日、受領金額及びその利息、賠償額の予定に基づく賠償金または元本への充当額等の記載がない。同月以降の分については、単 (ア) 被告が18条書面と主張する書面のうち、平成9年3月までの分には、契約年月日、受領金額及びその利息、賠償額の予定に基づく賠償金または元本への充当額等の記載がない。同月以降の分については、単なる利息支払いの案内であり、受取証書ではない。 また、被告は、毎月5日に支払を受けた後、毎月25日ころになって「取引明細」を送付していたのであり、同法18条の「直ちに」の要件を充足していない。 (イ) 被告が18条書面と主張する書面のうち、平成9年3月以降の分については、「前回までのお取引明細」が省略されており、平成10年8月以降の分については、「電信振込依頼書」に様式が変わり、借主には各返済後に何らの書面も交付されなくなった。 (2) 計算方法ア被告は、各原告との間で、貸付けの条件等を定めた基本契約を締結した上、これに基づいて個別の貸付けを行っており、貸付方法としてはいわゆるリボルビング方式(包括方式)を採用していた。これは、あらかじめ顧客との間で貸付枠(限度枠)を取り決めた上、その枠の範囲内で、取り決められた期間内においては自由に返済と追加貸付けを繰り返すことを予定したものである。したがって、本件について利息制限法に従った計算をするに当たっては、貸口別に計算するのではなく、これらを一体のものとして計算すべきである。 イ仮に複数の貸付けとみるとしても、ある1口について過払いが生ずるとき、その過払金は、その時点において、民法489条、491条に基づいて別口に充当されるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 前記前提事実に証拠(甲31、乙3ないし23、25)及び弁論の全趣旨を併せると、次の事実が認められる。 (1) 本件における被告と各原告との間の金銭消費貸借取引は、次のようなものであった。 ア被告は、取引を開始するに当たり、以 3ないし23、25)及び弁論の全趣旨を併せると、次の事実が認められる。 (1) 本件における被告と各原告との間の金銭消費貸借取引は、次のようなものであった。 ア被告は、取引を開始するに当たり、以後反復継続的に貸付けをすることを前提にして、その基本契約の契約書というべき「手形割引・金銭消費貸借契約等継続取引に関する承諾書並びに限度付根保証承諾書」(例えば乙3)につき、主債務者たる原告及びその連帯根保証人に署名押印(記名押印)をさせた(連帯根保証人は必ず付けさせた。)。そして、その際、被告は、原告に対し、① いわゆるリボルビング方式(包括方式)を採用すること、すなわち、取り決めた貸付枠(限度枠)と期間(原則として5年)の範囲内であれば、自由に反復継続して貸付けと返済を繰り返すことができること、② 基本契約に基づく個別の貸付けに当たっては、弁済期を約1か月後とし、その弁済期までの利息を天引すること、③ 上記弁済期が到来した時は、利息の前払い(先払い)をすることを条件に約1か月の弁済期の延期を認め、以後、上記期間内であれば、同様にして弁済期の延期を繰り返すことができること、④ しかし、約定に基づく元利金の支払を1回でも怠ったときは、一切の債務について期限の利益を失い、直ちに債務全額を即時に弁済すべきこと等を説明し、原告もこれらに同意した。 イ実際にも、上記アのような合意に従って取引が行われた。すなわち、個別の貸付けに当たり、弁済期は約1か月後とされて、その弁済期までの利息(概ね日歩8銭)が天引され、その弁済期が到来すると、利息の前払いをすることによって弁済期が約1か月延期され、以後、同様にして弁済期の延期が繰り返されたのであり、また、その間、反復継続して貸付けと返済が繰り返された(例えば原告株式会社Kについてみると、約3年半の間に計58 よって弁済期が約1か月延期され、以後、同様にして弁済期の延期が繰り返されたのであり、また、その間、反復継続して貸付けと返済が繰り返された(例えば原告株式会社Kについてみると、約3年半の間に計58回もの貸付けが行われた。)。 (2) 別表(1ないし16)の「支払額」欄記載の金員には、元本として支払われたもの及び前払利息として支払われたものがあるほか、いかなる名目で支払われたものか明確な主張立証のないものがある。 (3) なお、本件において、被告は、個別の貸付けごとに契約番号を付して管理していたが、他方、各貸付けの残元本を合計したものを「残元本」として把握する管理の仕方もしていた。 2 利息制限法と貸金業規制法との関係利息制限法所定の制限利息又は制限損害金を超える金銭消費貸借上の利息又は損害金の支払約定は無効であり(利息制限法1条1項、4条1項)、その支払債務は存在しないものと解されるところ、貸金業規制法43条1項は、貸金業者が業として行う金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約に基づき債務者が利息として任意に支払った金銭の額が、利息制限法1条1項に定める利息の制限額を超える場合において、一定の要件を充足する場合には、例外的に利息制限法1条1項の規定にかかわらず有効な利息の債務の弁済とみなす旨を規定し、さらに、貸金業規制法43条3項は、債務者が損害金として任意に支払った金銭の額が、利息制限法4条1項に定める賠償額の予定の制限額を超える場合について、貸金業規制法43条1項を準用している。なお、貸金業規制法43条は、利息制限法2条(利息の天引)について触れていない。 このように、本来債務として存在しない利息制限法の制限利息又は制限損害金を超過する利息又は損害金の支払が貸金業規制法43条の要件を充足する場合に同条によって有効な弁済とみなされる て触れていない。 このように、本来債務として存在しない利息制限法の制限利息又は制限損害金を超過する利息又は損害金の支払が貸金業規制法43条の要件を充足する場合に同条によって有効な弁済とみなされるのは、このような場合には、債務者において、約定の利息又は損害金が利息制限法所定の利息又は損害金を超過していることを認識し得たにもかかわらず、自己の自由な意思によってこれを支払ったと評価することができるからであると解される。 したがって、貸金業規制法43条1項にいう利息として「任意に」支払ったといえるためには、その支払について、本来存在しない債務であるにもかかわらず、債務者が自己の自由な意思によってこれを支払ったと評価することができるだけの事情があることが必要であるというべきである。 3 利息の天引について利息天引の約定で消費貸借契約が締結される場合、利息の天引は貸付けの条件とされていることが通常であり、たとえ当該利息が利息制限法所定の制限利息を超過していても、債務者はその天引に応じなければ貸付けを受けることができない。このような状況の下では、債務者が利息の天引に応じたとしても、これをもって、債務者が自己の自由な意思によって(すなわち、「任意に」)利息として支払ったと評価することは困難である。 なお、前記のように、貸金業規制法43条が、利息制限法1条1項及び4条1項の特則として定められていながら、同法2条に何ら触れていないのは、上記のように利息の天引には支払の任意性が欠けていることを考慮し、利息天引の場合を適用の対象としなかったからであるとも解されるところである。 また、以上のような解釈は、貸金業規制法43条1項が、利息として任意に「支払った」と規定し、その文言上、金銭の現実の交付を要件としているように読めることとも符合する。 したがっ るところである。 また、以上のような解釈は、貸金業規制法43条1項が、利息として任意に「支払った」と規定し、その文言上、金銭の現実の交付を要件としているように読めることとも符合する。 したがって、本件における利息天引部分について貸金業規制法43条1項の適用はないというべきである。 4 利息の前払い(先払い)について前記前提事実及び上記1の認定事実によれば、本件において、各原告は、約1か月後の弁済期が到来すると、更に利息の前払いをして弁済期を約1か月延期してもらうということを繰り返していたこと、そして、各原告は、弁済期において、元金を完済することができない以上、利息の前払いをすることによって弁済期を延期してもらわない限り、被告に対するすべての債務について期限の利益を喪失し、直ちに債務全額の返済を迫られるだけでなく、その連帯保証人を被告による保証債務履行請求にさらしてしまう立場にあったことが認められる。 上記事実によれば、本件において、各原告は、利息の前払いをして弁済期の延期をしてもらわない限り、自己及びその連帯保証人に対し被告から即時一括返済の請求がされる立場にあったことから、このような事態に陥るのを免れるべく、弁済期の延期をしてもらうために、やむを得ず利息の前払いをしていたものと推認される。 このような利息の前払いについて、債務者である各原告が自由な意思をもって(すなわち、「任意に」)利息として支払ったと評価することは、前記の利息天引の場合以上に困難であるといわざるを得ない。 したがって、本件における利息の前払部分について貸金業規制法43条1項の適用はないというべきである。 5 以上によれば、本件における別表(1ないし15)の「天引額」欄記載の利息の天引及び「支払額」欄記載の支払については、すべて貸金業規制法43条の適用がな 43条1項の適用はないというべきである。 5 以上によれば、本件における別表(1ないし15)の「天引額」欄記載の利息の天引及び「支払額」欄記載の支払については、すべて貸金業規制法43条の適用がないというべきである(上記1(2)にいう、いかなる名目で支払われたものか明確な主張立証のないものについて、同条の適用がないことは明らかである。)。 6 計算方法(1) そこで、上記の天引及び支払につき利息制限法に従って計算をすべきことになるが、その際、各貸口ごとに個別に計算すべきか、それとも、一連の取引として一体的に計算すべきかが問題となる。いずれの方法を採用するかによって、適用すべき制限利率に差が生じたり、過払金の別口債権への充当の有無に差が生じたりすることがあるからである。もっとも、各貸口ごとに個別に計算するとしても、ある1口について過払いが生ずるとき、その過払金は、その時点で別口の債権が存在する以上、民法489条、491条に基づいて別口の債権に充当されると解するのが相当である。 ア前記前提事実及び上記1の認定事実によれば、本件において、被告は、各原告との間で、上記1(1)のように、基本契約を締結した上、いわゆるリボルビング方式による取引を行うこととし、実際にも、当初取り決めた貸付限度枠及び期間の範囲内で反復継続して多数回にわたり貸付けと返済を繰り返した(例えば原告株式会社Kの場合についてみると、約3年半の間に58回にもわたって貸付けを繰り返した。)こと、その間、被告に対し、原告A及び原告株式会社Dを除くその余の原告らは一貫して、原告Aは初回貸付けから平成8年5月9日までの間及び平成9年12月11日から最終貸付けまでの間、原告株式会社Dは初回貸付けから平成10年2月6日までの間及び同年10月20日から平成12年10月23日までの間、それぞ から平成8年5月9日までの間及び平成9年12月11日から最終貸付けまでの間、原告株式会社Dは初回貸付けから平成10年2月6日までの間及び同年10月20日から平成12年10月23日までの間、それぞれ元金の清算がされることなく債務を負担し続けていたこと、また、各原告は、1つの貸口について元利金の返済を怠った場合であっても、すべての債務について期限の利益を喪失することになっていたこと、さらに、被告は、基本契約に基づいて各原告に貸し付けた各貸付金の残元本を合計したものをもって各原告に対する貸付金残元本として把握する方法での管理もしていたことが認められる。 そして、上記事実によれば、本件において、各原告は、基本契約に基づいて貸付けを受けるに当たっては、新たに別の貸付けを受けるというよりも、当初取り決めた貸付限度額の範囲内で従前の借り増しをするという認識であり、元利金の返済をするに当たっても、貸口ごとに個別に返済するというよりも、借り増しをしてきた一体としての借受金について返済をするという意識であったであろうことが推認される。 イ上記事実によれば、本件における被告と各原告との間の金銭消費貸借取引は、基本契約に基づく一連の取引であって、形式的には別個の新たな貸付けが行われても実質的には従前の借り増しにすぎないとみるべきものであったというべきである。 したがって、本件における利息制限法に従った計算は、一連の取引として一体的に計算すべきものである。 ただし、原告Aについては平成8年1月5日に、原告株式会社Dについては平成10年2月6日及び平成12年10月23日に、それぞれそれまでの各貸付けについての元利金が完済されており、これらの時点においていったんそれまでの取引の清算がされたものと認められるから、これらの時点以前の取引とそれ以後の取引 年10月23日に、それぞれそれまでの各貸付けについての元利金が完済されており、これらの時点においていったんそれまでの取引の清算がされたものと認められるから、これらの時点以前の取引とそれ以後の取引とを一連のものと認めることはできない。しかし、これらの時点以前の取引について、また、これらの時点以後の取引については、それぞれ一連の取引として一体的に計算すべきものである。 ウなお、上記1の認定事実によれば、本件において、被告は貸付けごとに契約番号を付して管理していたことが認められるが、それだけでは上記イの認定判断は左右されない。 (2) 以上のように一連の取引として一体的に計算する場合、適用すべき制限利率については、個別の貸付額を基準とするのではなく、各貸付日における残元本額と当該貸付けに係る貸付額との合計額を基準とするのが相当である。もっとも、利息の天引について利息制限法2条の計算をする場合の制限利率については、当該貸付けに係る交付額のみを基準とすべきである。 なお、利息制限法に従って計算をする場合、利息の前払いについては、その対象期間に対応する制限利息を算出した上、当該前払額のうち当該制限利息額を超える部分を元本に充当すべきものであるが、本件においては、前払利息の対象期間について明確な主張がされていないので、単純に利息として支払われたものとして計算することとする。 7 本件について利息制限法に従って計算すると、原告株式会社Kを除く各原告については、別表1ないし14、16のとおりの過払いとなる。これらが被告の不当利得を構成することは明らかであるし、被告は、原告株式会社Kを除く各原告から返済を受けた際、利息制限法の制限利率を超える利率で計算した利息を受領していたことを認識していたというべきであるから、その受益につき悪意であったというべき し、被告は、原告株式会社Kを除く各原告から返済を受けた際、利息制限法の制限利率を超える利率で計算した利息を受領していたことを認識していたというべきであるから、その受益につき悪意であったというべきである。原告株式会社Kについては、別表15のとおり、平成12年6月9日時点で元本62万3204円の残債務があったことになる。 そして、原告株式会社Fの被告に対する債務が上記のとおり既に消滅している以上、その保証人である第3事件被告らの被告に対する保証債務も消滅したというべきである。 8 よって、各原告の請求については、主文第1、2項の限度で理由があるから、その限度で認容し、原告らのその余の請求及び被告の第3事件被告らに対する請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法64条ただし書、61条を、仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第42部裁判長裁判官貝阿彌誠裁判官久末裕子裁判官佐藤卓別紙請求額・認容額一覧表原告名請求額認容額起算日A762万3348円738万5798円平成12年12月26日株式会社 B744万2068円614万7615円平成12 年9 月7 日株式会社 C628万1674円585万0254円平成12年10月6日株式会社 D358万1876円271万0640円平成12年12月7日株式会社 E476万9738円460万2502円平成12年11月3日株式会社 F419万7792円417万1972円平成12 年9 月6 日株式会社 G303万2521円296万1178円平成12年11月11日有限会社 H 02円平成12年11月3日株式会社 F419万7792円417万1972円平成12 年9 月6 日株式会社 G303万2521円296万1178円平成12年11月11日有限会社 H691万8439円688万5925円平成12年10月6日I149万0853円145万6437円平成12年10月5日株式会社 J130万3786円116万1796円平成12年11月22日株式会社 L95万9100円94万3216円平成12 年8 月8 日有限会社 M91万2450円88万8142円平成12年10月6日株式会社 N57万3749円47万8321円平成12 年8 月1 日有限会社 O342万8583円257万3174円平成12 年8 月8 日P34万5497円26万0606円平成13年1月12日

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