【DRY-RUN】事 實 第二審は、被告人に對して業務上横領及び竊盗の犯罪事實を認定し被告人を懲役 一年に處したが、上告論旨に摘示のように被告人が右竊盗の事實を否認し、これが 立證のため新な證人申請をしたところ
事 實 第二審は、被告人に對して業務上横領及び竊盗の犯罪事實を認定し被告人を懲役 一年に處したが、上告論旨に摘示のように被告人が右竊盗の事實を否認し、これが 立證のため新な證人申請をしたところ、そのうち一部を採用し一部を採用しなかつ た。 主 文 本件上告はこれを棄却する。 理 由 辯護人阿部甚吉の上告理由とするところは、末尾に添付した上告趣意書第四點記 載のとおりであつて、(同第一乃至第三點は主張せず)これに對し、當裁判所は、 次のやうに判断する。 刑事訴訟法においては、裁判所は、自ら進んで事案の審判に必要とするすべての 證人の訊問をなすことを要するものであるが、刑事訴訟法は、被告人にもその利益 のため、證人の申請をなすの權利を與え、裁判所が必要と認める限り、右申請の證 人の訊問をなすべきものとし、もつて、證據調の範圖に遺漏なきを期していること は、同法の證據調に關する各法條を通覧するときは、これを看取することができ る。 <要旨>而して、日本國憲法第三十七條第二項において所論のように規定を設けた ゆえんのものは、右裁判所の必要と</要旨>した證人訊問の實施に際しても、被告人 の利益を保障せんがために、被告人に、證人に對して直接に審問する機會を充分に 與うべきであり、なお右の保障を完うする手段として、右證人は公費で、かつ、必 要な場合には強制的手續によつて、出頭させることを求める權利を被告人に與え、 もつて、前示刑事訴訟法の各規定と相俟つて證據調の實施に關し、被告人の利益を 確保せんことを意圖したるものと解するを相當とすべく、右憲法の規定に基いて、 いやしくも、被告人の申請した證人は所論にいはゆる權利の亂用とならない限り、 すべて裁判所はこれを訊問することを要すとする所論は、いまだ、これを肯認する だ 解するを相當とすべく、右憲法の規定に基いて、 いやしくも、被告人の申請した證人は所論にいはゆる權利の亂用とならない限り、 すべて裁判所はこれを訊問することを要すとする所論は、いまだ、これを肯認する だけの根據を發見し難いところであつて、畢竟獨自の見解と見るの外はない。 だから、たとえ原審が被告人の申請にかかる證人の一部の訊問をしなかつたとし ても、これだけで原審の手續が憲法に違反したものということはできないから、論 旨は理由がない。 本件上告の理由のないことは、以上説明のごとくであるから、刑事訴訟法第四百 四十六條によつて、主文のとおり判決する。 (裁判長判事 荻野益三郎 判事 大野美稻 判事 大西和夫)
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