平成13(ネ)773 預託株券返還等請求控訴

裁判年月日・裁判所
平成14年10月3日 福岡高等裁判所
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判決文本文9,051 文字)

主文 1 原判決を次のとおり変更する。 2 被控訴人は,控訴人に対し,金238万9731円及びこれに対する平成12年6月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 控訴人のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は,第1,2審を通じて,これを4分し,その3を控訴人の負担とし,その1を被控訴人の負担とする。 5 この判決の第2項は,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は,控訴人に対し,株式会社A発行の株券6600株及び株式会社B発行の株券3300株を引き渡せ。 3 被控訴人は,控訴人に対し,金1113万0659円及びこれに対する平成12年6月9日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,控訴人が,証券会社である被控訴人に対し,控訴人の委託指示内容とは異なる株式取引が行われたとして,預託金及び株券の返還を求めるとともに,債務不履行及び不法行為に基づき,損害賠償を求めた事案である(遅延損害金の請求も含む。)。 1 前提となる事実(争いのない事実)(1) 本件取引前の経過控訴人は,平成11年7月14日,証券会社である被控訴人のもとに口座を開設し(乙1),株式取引の委託注文を始めた。控訴人の平成12年2月末の時点での預託金残高は25万5250円であり,控訴人は,株式会社A発行の株式(以下「A株式」という。)1万3000株を保有していた。 (2) 本件取引被控訴人は,平成12年3月1日,控訴人から,① A株式1万3000株につき1株3900円で売却する(本件指示①)(乙3),② C株式会杜の株式(以下「C株式」という。)2万1000株を1株2450円で買い付ける(本件指示②)(乙4)旨の ,① A株式1万3000株につき1株3900円で売却する(本件指示①)(乙3),② C株式会杜の株式(以下「C株式」という。)2万1000株を1株2450円で買い付ける(本件指示②)(乙4)旨の各委託指示を受けたとして(以下,各指示を併せて「本件指示」という。),控訴人の名で,同日,本件指示①の株式のうち6400株分を売却し,同時に本件指示②の株式全部を買い付けた。 この時点で,控訴人の預託金残高は,マイナス2650万7330円となった。 (3) 本件取引以外の取引控訴人は,平成12年3月15日,16日及び23日,被控訴人に対し,株式会社B発行の株式(以下「B株式」という。)合計1万5000株の買付け(買付代金は合計1843万6826円)を指示し,被控訴人はそれを実行した。 この時点での控訴人の預託金残高は,マイナス4494万4156円となった。 (4) 本件取引後の経過被控訴人は,控訴人に対し,平成12年3月28日付「債務不履行決済督促状」(甲1)により,決済損金4494万4156円を同年4月3日までに被控訴人に支払うように求め,支払がない場合には証券取引所受託契約準則60条1項2項に従い決済損金を清算するため,控訴人の預託金及び預託証券を同決済損金に充当する旨を伝えたが,控訴人はその支払を拒絶した。 被控訴人は,控訴人に対し,同月11日付内容証明郵便(甲2)により,同郵便到達後に直ちに決済損金の支払がなければ,同月17日に控訴人の預託証券を任意に売却してその売却代金を同決済損金に充当する旨を伝えたが,控訴人はその支払を拒絶した。 そこで,被控訴人は,同月18日,控訴人が被控訴人に預託していたA株式6600株,B株式3000株,C株式2万1000株を売却した。 その売却 伝えたが,控訴人はその支払を拒絶した。 そこで,被控訴人は,同月18日,控訴人が被控訴人に預託していたA株式6600株,B株式3000株,C株式2万1000株を売却した。 その売却代金合計4532万5641円を決済損金に充当すると,控訴人の預託金残高は38万1485円となった。被控訴人は,控訴人に対し,同年9月19日,清算金38万1485円を支払った。 2 控訴人の主張(1) 無断売買ア控訴人は,被控訴人の担当者Dに対し,本件指示に際し,本件指示①の株式全部が売却されることを条件として,本件指示②をした。 被控訴人は,その指示を忠実に実行すべきところ,本件指示①の株式が全部売却できていないにもかかわらず,本件指示②の買付けに及んだもので,明らかに,控訴人の指示に反しているから,売買は不成立ないしは債務不履行であり,本件指示②の効果は控訴人に帰属しない。また,その後のA株式6600株の売却及びB株式3000株の売却の効果も控訴人には帰属しない。 したがって,控訴人に効果が帰属する取引は,A株式6400株の売却,B株式1万5000株の買付けのみであるから,預託金残高は,651万2144円であるところ,控訴人は清算金として38万1485円を被控訴人から受領しているから,次の計算のとおり預託金残金は613万0659円である。 預託金残の計算平成12年2月末時点の預託金残高 25万5250円A株式6400株売却代金 2469万3720円B株式1万5000株買付代金 -1843万6826円清算金としての受領分 -38万1485円合計 B株式1万5000株買付代金 -1843万6826円清算金としての受領分 -38万1485円合計 613万0659円また,A株6600株及びB株3000株については,被控訴人が清算すべき場合ではないのに,控訴人の承諾を得ることなく無断で売却したものであるから,控訴人がなお保有するものとして,被控訴人にその引渡を求めることができるものである。 控訴人は,被控訴人に対して,平成12年6月8日到達の書面(甲5)で,預託金及び預託株券の引渡を求めた。 なお,B株式は,平成13年8月28日に1:1.1で分割権利落ちしたので,現在の株式数は3300株である。 イ仮に,本件指示①及び②が同時実行の指示であるとしても,控訴人は,条件付きの実行指示をする意思で,外形上同時実行の指示をしたものであるところ,控訴人の条件付き実行指示の意思の存在は,買付け代金が支払えるかどうかにかかわる重大な点であるから,要素の錯誤にあたり,本件指示②は無効である。控訴人に重過失があるとの被控訴人の主張は争う。 (2) 債務不履行又は不法行為ア被控訴人は,控訴人の注文を受けるに際しては,前受金制度を採用して,買付け代金の支払を確保するようにしていたのであり,代金の支払方法については,顧客の資金準備に影響を与えるものであることからからすると,本件のように「A売れた代金で払いますから。」といった,買付け代金の支払につき,原則とは異なる理解を前提に注文がされているような疑いがある場合,その善管注意義務の内容として,その真意を確かめるべき注意義務があるというべきである。 そして,被控訴人が本件指示②の際に,控訴人にその真意を確認し,条件 に注文がされているような疑いがある場合,その善管注意義務の内容として,その真意を確かめるべき注意義務があるというべきである。 そして,被控訴人が本件指示②の際に,控訴人にその真意を確認し,条件付き注文を受け入れられないのであれば,控訴人は本件指示②をしなかったものである。 したがって,被控訴人は,本件指示②を実行したことにより生じた損害を賠償すべき義務を負うというべきである。 イ本件指示②が実行されなければ,Cの株式を買付けることもなく,これを決済損金の充当のために売却されることもなかったのであるから,控訴人が前記(1)アの預託金残高613万0659円に相当する損害を被ったものである。 また,控訴人は,C株式の買付代金の一部に充当するために,強制売却されたA株式6600株及びB株式3300株の時価に相当する損害を被ったものである。 A株式1株の時価は430円であり,B株式1株の時価は600円であるから,現時点の時価総額は481万8000円である。 また,控訴人は,被控訴人の不法行為により受けた精神的苦痛に対する慰謝料250万円及び訴訟提起を余儀なくされたことによる損害として弁護士費用250万円を本訴において請求する。 (3) よって,控訴人は,被控訴人に対して,株式会社A発行の株券6600株及び株式会社B発行の株券3300株の引渡及び預託金残金又は損害合計1113万0659円(預託金残高613万0659円,株式時価合計481万8000円,慰謝料250万円,弁護士費用250万円の一部)及び催告の日の翌日である平成12年6月9日から商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 3 被控訴人の主張(1) 本件指示は,単に本件指示①及び本件指示②の同時実行の指示であった。 控訴人は,本件指示の 9日から商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 3 被控訴人の主張(1) 本件指示は,単に本件指示①及び本件指示②の同時実行の指示であった。 控訴人は,本件指示の際,Dに対し,「A売れた代金で払いますから。」と述べているが,だからといって,本件指示が,本件指示①の株式全部が売却されることを条件として本件指示②をした内容となっていないことは明らかである。控訴人は,本件指示①が売却できたときには,その売却代金から本件指示②の買付代金を支払う旨,その支払方法を述べたに過ぎない。 仮に,本件指示②が控訴人の錯誤に基づくものであるとしても,証券取引においては,買付けに時期や条件があるのであれば,これを明確に告げて注文すべきであり,これを怠り,さらに,Dが注文内容を復唱するに際し,同時実行として注文内容を確認したのに対し,控訴人は何ら異議,訂正を求めることなく,単純に了解して注文しているのであり,控訴人には重大な過失がある。 (2) したがって,本件指示②の買付けは,控訴人に効果が帰属する。 そこで,被控訴人は,控訴人に対し,前記1(4)のとおり,決済損金の支払がなければ,控訴人の預託証券を任意に売却してその売却代金を同決済損金に充当する旨を伝えたが,控訴人はその支払を拒絶したことから,控訴人が被控訴人に預託していたA株式6600株,B株式3000株,C株式2万1000株を売却し,その売却代金をもって,決済損金を清算したものである。 (3) 善管注意義務違反の主張は争う。本件は,証券会社において,顧客に一定の取引等の勧誘等をしてする取引とは異なり,顧客の証券取引につき被控訴人の勧誘,助言等が予定されていないコール取引につき,コール取引で予定されている取引方法に従って は,証券会社において,顧客に一定の取引等の勧誘等をしてする取引とは異なり,顧客の証券取引につき被控訴人の勧誘,助言等が予定されていないコール取引につき,コール取引で予定されている取引方法に従って,控訴人が自らの判断で株式の現物取引をしたものであり,被控訴人においては,注文受注の一定の手順に従い,控訴人の注文を確認の上,執行したに過ぎない。被控訴人の前記行為が債務不履行又は不法行為となるものではない。 仮に,債務不履行ないし不法行為の主張が認められるとしても,控訴人において,本件指示②が条件付きの注文であることを明確に表示して注文をしなかった点には,注文受注方法が定型化したコール取引であること,復唱して注文内容を確認していることに照らし,重大な過失があるので,過失相殺されるべきである。 4 争点(1) 本件指示の内容(本件指示②は,本件指示①の株式の売却を条件としたものかどうか)(2) 本件指示②につき錯誤の成否,重大な過失の有無(3) 債務不履行又は不法行為の成否(4) 損害の額(過失相殺の可否及び割合を含む。)第3 当裁判所の判断 1 証拠(甲8,乙1ないし4,5の1,2,6ないし9,当審における証人D,控訴人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 (1) 被控訴人は,コールセンター室を設け,ブルースカイ・コールサービスという呼称の下に,会員契約をした顧客を対象に株式等の売買の注文を電話で受け付けるサービスをしていた。顧客に配付された取引方法を説明する手引き(乙7)には,注文の手順の説明があり,顧客の注文内容について,被控訴人の担当者が復唱すること,復唱した内容に相違又は変更がない場合,注文の手続をとる旨の記載があるほか,「初回のお取引の場合は,すべての商品に完全前受け制をとらせていただい の注文内容について,被控訴人の担当者が復唱すること,復唱した内容に相違又は変更がない場合,注文の手続をとる旨の記載があるほか,「初回のお取引の場合は,すべての商品に完全前受け制をとらせていただいております。2回目以降のお取引の場合は,約定代金の50%を前受金として取らさせていただいております。」と記載されている。また,このサービスでは,条件付きの注文は受けないこととされていたが,前記の手引きには明示されていなかった。 (2) 控訴人は,平成12年3月1日,ブルースカイ・コールサービスに電話をし,担当のDに対し,A株式1万3000株につき1株3900円で売却する旨(本件指示①)を注文し,さらに,C株式2万1000株を1株2450円で買い付ける旨(本件指示②)の注文をし,その際,控訴人は,「自分としては,AとCを乗り換えるつもりであったのであり,Aが売れない限り,Cの売却代金を支払うことができないから,Aが売れてからCを買って貰いたい。」との意図の下に,「そのA売れた代金で払いますから。」と述べたが,Dは,控訴人の言葉に何ら反応することなく,控訴人の本件指示①と本件指示②の内容を復唱し,控訴人に対し,「以上でよろしいですか。」と尋ねたところ,控訴人は,「はい。」と答えて,電話のやり取りが終了した。 2(1) 争点(1)及び(2)について前記第2の1の前提となる事実及び前記1で認定した事実によると,控訴人は,本件指示②の際,「そのA売れた代金で払いますから。」と述べているが,Dの復唱の際には,これに何ら異議,訂正を唱えることもなかったし,本件指示が条件付きであるとは述べていないのであるから,控訴人の本件指示②が条件付きであったと認定するのは困難というべきである。そして,仮に,控訴人の本件指示②が内心において条件付き指示 かったし,本件指示が条件付きであるとは述べていないのであるから,控訴人の本件指示②が条件付きであったと認定するのは困難というべきである。そして,仮に,控訴人の本件指示②が内心において条件付き指示の意思で,無条件の指示を表示したものとして錯誤に該当するとしても,前記のように,Dの復唱の際には,本件指示が条件付きである旨を述べていないこと,本件取引が電話による注文によって行われることが予定される定型的なものであることに照らすと,控訴人には錯誤による意思表示をするにつき重大な過失があると言わざるを得ないから,控訴人の錯誤の主張も理由がないと言うべきである。そうすると,控訴人の本件指示②によるC株式の買付及びこれに起因する効果は控訴人に帰属すると解するほかない。 よって,控訴人の請求のうち,本件指示②の効果が控訴人に帰属しないことを前提とする部分は理由がないと言わざるを得ない。 (2) 争点(3)について被控訴人は,証券業を営む証券取引の専門家であり,顧客との関係上,有価証券売買取引委託契約に基づく付随的義務として,証券取引について専門家としての合理的な根拠に基づく助言をなすべき義務を負うと解される。のみならず,被控訴人は契約締結に当たって契約当事者に一般的に要求される注意義務を負うと解されるから,売買委託の注文を受けるに際しては,顧客の注文内容を確認し,顧客が誤解に基づいて注文をしている疑いがある場合には,その真意を確認するなどして,顧客に予期しない過大な不利益を生じさせないように配慮すべき注意義務を負っているものと解される。 被控訴人は,本件が電話によるいわゆるコール取引であることから顧客の証券取引につき被控訴人の勧誘,助言等が予定されていない旨主張をするが,仮に勧誘,助言等が予定されていないとしても,契約当事者に一般的 訴人は,本件が電話によるいわゆるコール取引であることから顧客の証券取引につき被控訴人の勧誘,助言等が予定されていない旨主張をするが,仮に勧誘,助言等が予定されていないとしても,契約当事者に一般的に要求される注意義務は存在するのであり,コール取引に特有の定型的な事務処理の要請から注意義務の程度が軽減されることはあっても,被控訴人が顧客に対して前記注意義務を負うことには変わりはないと解するのが相当である。 これを本件についてみるに,前記認定の事実によれば,控訴人は,本件指示をした電話のやりとりにおいて,本件指示②に続いてDに対し,「A売れた代金で支払います。」と述べて,本件指示②の代金の支払について,条件であるかのような発言をしているのである。そして,当時,控訴人の預託金残金はわずか25万5250円に過ぎなかったうえ,本件指示①による売却代金と本件指示②による買付代金はほぼ拮抗しており,控訴人がA株式とC株式のいわゆる乗換えを意図していることも窺えないわけではなく,また,コールセンターでの取引においては,2回目以降の取引の場合,被控訴人は顧客から約定代金の50パーセントを前受金として申し受ける仕組みになっていたのであり,このことは被控訴人と会員たる顧客の共通の認識になっていたと言って差し支えない。そうすると,控訴人の前記の発言を受けたDとしては,控訴人の注文の真意を確認すべきであり,もし控訴人が条件付き注文をする意思であるのであれば,コールセンターでの取引について条件付き注文はできない旨を説明すべき義務があったというべきである。 そして,Dがこの義務を尽くして,控訴人に対して真意の確認をしていれば,控訴人としても本件指示②をしなかったものと認められるところ,Dは,控訴人の前記発言に何ら反応することなく,単に控訴人の注文内容を機械 Dがこの義務を尽くして,控訴人に対して真意の確認をしていれば,控訴人としても本件指示②をしなかったものと認められるところ,Dは,控訴人の前記発言に何ら反応することなく,単に控訴人の注文内容を機械的に復唱して,本件指示②が条件付きでないことを前提とした処理をしたのであるから,被控訴人は,民法715条1項により,従業員であるDの前記行為によって,控訴人に生じた損害を賠償すべき義務を負うものである。 もっとも,本件取引がコールセンターでの取引であること,最終的にはDは,控訴人の注文を復唱しており,復唱内容では条件付き注文でないことが前提とされており,控訴人はこれに何ら異議,訂正を唱えていないこと,前受金制は,顧客の取引適合性を審査し顧客を過大な取引に誘引しないようにして顧客を保護する機能を有していることも否定できないが,基本的には被控訴人が損害を被るのを防止する趣旨のものであることに照らすと,控訴人には相当程度の過失があるから,被控訴人に支払を命ずべき損害を算定するに当たっては,控訴人の過失を斟酌して,過失相殺すべきである。過失相殺の割合は,前記説示に照らして,控訴人が8割と認めるのが相当である。 (3) 争点(4)について本件指示②が実行されなければ,控訴人は,C株式を買付けることもなく,ひいては,これを決済損金の充当のために売却されることもなかったと考えられるから,乙9によれば,控訴人は,少なくともその主張(第2の2(1)ア)に係る預託金残高613万0659円に相当する損害を被ったものと認められる。 また,本件指示②が実行されなければ,C株式の買付代金の一部に充当するために,A株式6600株及びB株式3000株も売却されることもなかったと考えられるから,控訴人はそれらの時価に相当する損害(なお,弁論の全趣旨によれば れなければ,C株式の買付代金の一部に充当するために,A株式6600株及びB株式3000株も売却されることもなかったと考えられるから,控訴人はそれらの時価に相当する損害(なお,弁論の全趣旨によれば,B株式は,平成13年8月28日に1:1.1で分割権利落ちしたものと認められる。)を被ったものと認められるところ,甲12及び13によると,本件口頭弁論終結時におけるA株式1株の時価は430円であり,B株式1株の時価は600円であると認められるから,損害額は481万8000円である。 控訴人は,このほかに慰謝料を請求しているけれども,本件における被控訴人の不法行為の内容,その程度,控訴人が被った損害の内容,程度を考慮すると,控訴人が前記損害のほかに金銭をもって償われるべき精神的苦痛を受けたとまでは認められないから,控訴人の慰謝料の請求は理由がない。 そうすると,被控訴人の不法行為により,控訴人は合計1094万8659円の損害を受けたものであるところ,前記の割合で過失相殺すると,控訴人が被控訴人に対して請求できる損害は,218万9731円である。 控訴人は,本件訴訟の遂行のため,弁護士である控訴人訴訟代理人に委任し,相当額の報酬の支払を約したものと推認されるところ,そのうち,本件不法行為と相当因果関係のある部分は,20万円と認められる。 3 よって,控訴人の本訴請求は,被控訴人に対して,金238万9731円及びこれに対する不法行為の日の後である平成12年6月9日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,これと一部異なる原判決は変更を免れない。 福岡高等裁判所第1民事部裁判長裁判官宮良允通裁判官石井宏治 ら,これと一部異なる原判決は変更を免れない。 福岡高等裁判所第1民事部裁判長裁判官宮良允通裁判官石井宏治裁判官野島秀夫

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