主文 1 甲事件原告・乙事件被告らの請求をいずれも棄却する。2 甲事件原告・乙事件被告ら及び乙事件被告A4は,乙事件原告に対し,連帯して金30万円及びこれに対する平成10年7月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。3 乙事件原告のその余の請求を棄却する。4 訴訟費用は,甲事件原告・乙事件被告らと甲事件被告らとの間に生じたものを甲事件原告・乙事件被告らの負担とし,乙事件原告と甲事件原告・乙事件被告らとの間に生じたものは,これを10分し,その1を甲事件原告・乙事件被告らの負担とし,その余を乙事件原告の負担とする。5 この判決は,乙事件原告勝訴部分に限り,仮に執行することができる。事実及び理由 第1 請求 1 甲事件(1) 原告らが,それぞれ,被告社会福祉法人恵泉会に対し雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。(2) 被告社会福祉法人恵泉会は,ア原告A1に対し,金3129万2750円及び内金2328万5240円に対する平成12年7月1日から,内金394万5125円に対する平成13年1月1日から,内金406万2385円に対する同年7月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員,イ原告A2に対し,金2436万0636円及び内金1794万5551円に対する平成12年7月1日から,内金315万8100円に対する平成13年1月1日から,内金325万6985円に対する同年7月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員,ウ原告A3に対し,金2788万1999円及び内金2067万2119円に対する平成1 年1月1日から,内金325万6985円に対する同年7月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員,ウ原告A3に対し,金2788万1999円及び内金2067万2119円に対する平成12年7月1日から,内金354万5450円に対する平成13年1月1日から,内金366万4430円に対する同年7月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員を各支払え。 999円及び内金2067万2119円に対する平成1 年1月1日から,内金325万6985円に対する同年7月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員,ウ原告A3に対し,金2788万1999円及び内金2067万2119円に対する平成12年7月1日から,内金354万5450円に対する平成13年1月1日から,内金366万4430円に対する同年7月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員を各支払え。(3) 被告社会福祉法人恵泉会は,平成13年7月1日から本判決確定の日まで毎月21日限り,原告A1に対し,1か月金48万8730円,同A2に対し,1か月金39万7920円,同A3に対し,1か月金44万2790円及び上記各金員に対する各毎月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。(4) 被告社会福祉法人恵泉会及び被告B1は,原告らに対し,連帯して,各金300万円及びこれに対する平成9年9月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。(5) 被告B2は,原告らに対し,各金150万円及びこれに対する平成9年9月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。(6) 被告B3,同B4,同B5は,原告らに対し,連帯して,各金37万5000円及びこれに対する平成9年9月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。2 乙事件被告らは,原告に対し,連帯して,金300万円及びこれに対する平成10年7月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。第2 事案の概要甲事件は,甲事件原告・乙事件被告A1(以下「原告A1」という。),同A2(以下「原告A2」という。),同A3(以下「原告A3」という。なお,原告A1,同A2,同A3の3名を併せて「甲事件原告ら」という。)が,甲事件被告社 事件被告A1(以下「原告A1」という。),同A2(以下「原告A2」という。),同A3(以下「原告A3」という。なお,原告A1,同A2,同A3の3名を併せて「甲事件原告ら」という。)が,甲事件被告社会福祉法人恵泉会(以下「被告恵泉会」という。)の甲事件原告らに対する懲戒免職処分が違法・無効であるとして,被告恵泉会に対し,甲事件原告らが被告恵泉会の被用者の地位にあることの確認及び同地位に基づく賃金の支払を,被告恵泉会,当時理事長であった甲事件被告B1(以下「被告B1」という。 ,同A3(以下「原告A3」という。なお,原告A1,同A2,同A3の3名を併せて「甲事件原告ら」という。)が,甲事件被告社会福祉法人恵泉会(以下「被告恵泉会」という。)の甲事件原告らに対する懲戒免職処分が違法・無効であるとして,被告恵泉会に対し,甲事件原告らが被告恵泉会の被用者の地位にあることの確認及び同地位に基づく賃金の支払を,被告恵泉会,当時理事長であった甲事件被告B1(以下「被告B1」という。)並びに常務理事であった亡Cの訴訟承継人である甲事件被告B2(以下「被告B2」という。),同B3(以下「被告B3」という。),同B4(以下「被告B4」という。),同B5(以下「被告B5」という。なお,被告恵泉会,同B1,同B2,同B3,同B4,同B5の6名を併せて「甲事件被告ら」という。)に対し,同懲戒免職処分が不法行為であるとしてそれぞれ損害賠償を請求する事案である。乙事件は,乙事件原告B6(以下「原告B6」という。)が,甲事件原告ら及び乙事件被告A4(以下「被告A4」という。)に対し,同人らが原告B6の名誉を毀損したとして,不法行為に基づく損害賠償を請求する事案である。1 争いのない事実等(証拠を掲げたもののほかは,当事者間に争いがない。)(1) 当事者ア被告恵泉会は,昭和48年6月6日に設立された公益法人であり,現在,宮城県登米郡に,知的障害者のための援護施設(若草園,若生園,若葉園)及び老人福祉施設(光風園,松風園,萩風園,迫風園,南風園)を設置する社会福祉法人である。イ原告A1は,昭和49年2月1日,被告恵泉会との間で労働契約を締結し,同契約に従って,被告恵泉会に勤務し,平成2年12月1日,被告恵泉会事務局 ,南風園)を設置する社会福祉法人である。イ原告A1は,昭和49年2月1日,被告恵泉会との間で労働契約を締結し,同契約に従って,被告恵泉会に勤務し,平成2年12月1日,被告恵泉会事務局長(被告恵泉会本部事務局を,以下「被告事務局」という。),平成6年5月1日,迫風園施設長を歴任し,平成8年4月1日には,光風園施設長に就任した。ウ原告A2は,昭和55年4月1日,被告恵泉会との間で労働契約を締結し,同契約に従って,被告恵泉会に勤務し,平成6年5月1日,被告事務局総務課長兼事務局長心得,平成7年4月1日,光風園次長,平成8年4月1日,萩風園総務課長を歴任し,同9年4月1日,南風園総務課長に就任した。 部事務局を,以下「被告事務局」という。),平成6年5月1日,迫風園施設長を歴任し,平成8年4月1日には,光風園施設長に就任した。ウ原告A2は,昭和55年4月1日,被告恵泉会との間で労働契約を締結し,同契約に従って,被告恵泉会に勤務し,平成6年5月1日,被告事務局総務課長兼事務局長心得,平成7年4月1日,光風園次長,平成8年4月1日,萩風園総務課長を歴任し,同9年4月1日,南風園総務課長に就任した。エ原告A3は,昭和49年2月1日,被告恵泉会との間で労働契約を締結し,同日から,同契約に従って,被告恵泉会に勤務し,平成8年4月1日,光風園次長に就任した。オ被告B1は,被告恵泉会が設立された昭和48年6月6日当初から被告恵泉会の理事に就任し,昭和53年4月1日から平成10年11月5日までの間,理事長の職を務めた。カ亡Cは,昭和48年6月6日,被告恵泉会との間で労働契約を締結し,昭和54年に被告恵泉会をいったん退職したが,昭和57年11月6日からは被告恵泉会の理事に就任し,平成6年7月25日から平成10年11月5日までの間は常務理事を務めた。同人は,平成12年9月18日に死亡し,被告B2(妻),被告B4(二女),被告B5(三女),被告B3(四女)がそれぞれ相続し,亡Cの訴訟上の地位を承継した。上記4名と並んで亡Cの相続人であったD(長男)は,平成11年10月22日死亡したが,その代襲相続人E及び同Fは,仙台家庭裁判所登米支部に相続放棄の申述をし,平成14年3月2 訴訟上の地位を承継した。上記4名と並んで亡Cの相続人であったD(長男)は,平成11年10月22日死亡したが,その代襲相続人E及び同Fは,仙台家庭裁判所登米支部に相続放棄の申述をし,平成14年3月29日に受理された。キ原告B6は,平成元年より若生園施設長,萩風園施設長,南風園施設長などを歴任し,平成8年4月1日,再度,萩風園の施設長の職に就任した。ク被告A4は,平成8年4月1日から,光風園総務係長の職にあった。ケ被告事務局は,被告恵泉会の各施設の運営を総括し,理事長の命によって,各種企画の立案,実施,理事会への議案の作成などを行う被告恵泉会の中枢的機関である。コ被告恵泉会の理事会(以下「被告理事会」という。)は,定款上,同被告の業務を決定する最高機関と規定されている。(2) 懲戒免職処分ア被告恵泉会の就業規則(甲12の1)被告恵泉会の就業規則には,次の規定がある。 月1日から,光風園総務係長の職にあった。ケ被告事務局は,被告恵泉会の各施設の運営を総括し,理事長の命によって,各種企画の立案,実施,理事会への議案の作成などを行う被告恵泉会の中枢的機関である。コ被告恵泉会の理事会(以下「被告理事会」という。)は,定款上,同被告の業務を決定する最高機関と規定されている。(2) 懲戒免職処分ア被告恵泉会の就業規則(甲12の1)被告恵泉会の就業規則には,次の規定がある。第57条職員が,次の各号の一に該当するときは,懲戒処分をすることができる。(1) 職務上の義務に違反し又は職務を怠ったとき(2) 恵泉会及び恵泉会職員の名誉及び信用を傷つけたとき(3) 故意又は重大な過失により恵泉会に損害を与えたとき(4) その他関係法令又はこの規則に違反したとき(5) 前各号に準ずる不都合な行為のあったとき第58条前条の懲戒処分は,次の4種とする。(1) 戒告始末書をとり将来を戒める。(2) 減給 1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え,総額が1賃 第58条前条の懲戒処分は,次の4種とする。(1) 戒告始末書をとり将来を戒める。(2) 減給 1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え,総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えない範囲(3) 停職 1年以内の期間,出勤を停止し,その間の給与を支給しない。(4) 免職予告期間を設けることなく,即時解雇する。この場合,行政官庁の認定を受けたときは,予告手当(平均賃金30日分)を支給しない。イ懲戒処分被告恵泉会は,平成9年9月12日,甲事件原告らに対し,同日招集された平成9年度第5回理事会において,同原告らについてそれぞれ被告恵泉会就業規則第57条1号,2号に該当する事由があったとして,同規則58条4号の処分をし(以下「本件懲戒免職処分」という。),翌13日,同月12日付け書面をもってその旨通告した。ウ平成9年度第5回理事会で示された本件懲戒免職処分の理由(甲50の11)(ア) 原告A1に対する処分理由① 人事案件の撤回を求める署名活動などに実質的に関わり,恵泉会及び特定の役職員の名誉を著しく害したこと。② 上記の行動は,管理職として組織の維持,規律を図るべき義務に違反していること。③ 常務理事制の導入にあたって職員を先導して阻止行動に走り,職務上の義務に違反したこと。④ 取引業者等との関係において,業者,地域社会から疑惑・悪評をかい,法人の名誉を失墜させたこと。 (ア) 原告A1に対する処分理由① 人事案件の撤回を求める署名活動などに実質的に関わり,恵泉会及び特定の役職員の名誉を著しく害したこと。② 上記の行動は,管理職として組織の維持,規律を図るべき義務に違反していること。③ 常務理事制の導入にあたって職員を先導して阻止行動に走り,職務上の義務に違反したこと。④ 取引業者等との関係において,業者,地域社会から疑惑・悪評をかい,法人の名誉を失墜させたこと。(イ) 原告A2に対する処分理由① 人事案件の撤回を求める署名活動などに関わり,恵泉 において,業者,地域社会から疑惑・悪評をかい,法人の名誉を失墜させたこと。(イ) 原告A2に対する処分理由① 人事案件の撤回を求める署名活動などに関わり,恵泉会及び特定の役職員の名誉を著しく害したこと。② 上記の行動は,管理職として組織の維持,規律を図るべき義務に違反していること。③ 常務理事制の導入にあたって,数名の職員と共にその阻止行動を行い,職務上の義務に違反したこと。④ 取引業者等との関係において,業者,地域社会から疑惑・悪評をかい,法人の名誉を失墜させたこと。(ウ) 原告A3に対する処分理由① 物事を的確に分別もせずに,人事案件の撤回を求める署名活動を積極的にリードし,恵泉会及び特定職員の名誉を著しく害したこと。② 上記の行動は,管理職として組織の維持,規律を図るべき義務に違反したこと。エ甲事件原告らに書面によって告知された本件懲戒免職処分の理由(ア) 原告A1に対する処分理由① 人事案件の撤回等を求める署名活動などに陰に陽に関わりをもって,恵泉会及び特定の恵泉会役職員の名誉などを著しく害したこと。② ①の活動は,管理職として組織の維持,規律を図るべき義務に違反していること。③ 平成6年当時,被告事務局長の役職にあったころ,理事長によって被告事務局の体制固めのために常務理事制の導入が行われようとした際,職員を扇動して,それを阻止する行動をとり,職務上の義務に違反したこと。④ 被告事務局長の役職にあったころ,業者との業務委託事務等の執行に少なからず影響を及ぼし れようとした際,職員を扇動して,それを阻止する行動をとり,職務上の義務に違反したこと。④ 被告事務局長の役職にあったころ,業者との業務委託事務等の執行に少なからず影響を及ぼし,故意又は過失によって業者,地域社会から,疑惑,悪評を買い,法人の信用と名誉を失墜させたこと。 る行動をとり,職務上の義務に違反したこと。④ 被告事務局長の役職にあったころ,業者との業務委託事務等の執行に少なからず影響を及ぼし れようとした際,職員を扇動して,それを阻止する行動をとり,職務上の義務に違反したこと。④ 被告事務局長の役職にあったころ,業者との業務委託事務等の執行に少なからず影響を及ぼし,故意又は過失によって業者,地域社会から,疑惑,悪評を買い,法人の信用と名誉を失墜させたこと。(イ) 原告A2に対する処分理由① 自己が処分対象の人事案件の撤回を求める同意書に強力に職員の署名を要請し,同時に,自己を正当化するために上司等を痛烈にひぼう中傷した文書を作成し,被告恵泉会及び特定の職員の名誉などを著しく害したこと。② ①の活動は,管理職として,組織の維持,規律を図るべき義務に違反していること。③ 平成6年,被告事務局総務課長当時,理事長によって被告事務局の体制固めのために常務理事制の導入が行われようとした際,無分別に原告A1等とそれを阻止しようとする行動をとり,職務上の義務に違反したこと。④ 被告事務局総務課長の職にあったころ,無分別に原告A1に同調,業務委託事務などの執行に少なからず関わり,業者,地域社会から疑惑,悪評をかい,法人の信用と名誉を失墜させたこと。(ウ) 原告A3に対する処分理由平成9年3月ころ,少なからず問題のある職員をかばうため,物事を的確に分別せずに,理事会に提案される人事案件を阻止するために,嘆願の署名活動を中心的立場で行った。その活動の中で,嘆願書の意図をすり替えたり,被告恵泉会の最高責任者の退任を求める意図をほのめかすなど,職員を扇動し多数の力で行動し,管理職としての組織の維持,規律を図るべき義務に違反したこと 2 争点(1) 本件懲戒免職処分の効力 の最高責任者の退任を求める意図をほのめかすなど,職員を扇動し多数の力で行動し,管理職としての組織の維持,規律を図るべき義務に違反したこと 2 争点(1) 本件懲戒免職処分の効力ア懲戒事由の有無及び懲戒免職の相当性イ手続的瑕疵の有無(2) 未払賃金の額及び損害額(3) 原告B6に対する名誉毀損の成否及び損害額 3 争点に対する当事者の主張(1) 争点(1)(本件懲戒免職処分の効力)についてア懲戒事由の有無及び懲戒免職の相当性(ア) 甲事件被告らの主張a 原告A1に対する1(2)エの処分理由①について(a) 「人事案件」とは,平成9年3月18日開催の被告理事会に提案することが予定されていた原告A1及び同A2の懲戒処分(停職処分)である。 払賃金の額及び損害額(3) 原告B6に対する名誉毀損の成否及び損害額 3 争点に対する当事者の主張(1) 争点(1)(本件懲戒免職処分の効力)についてア懲戒事由の有無及び懲戒免職の相当性(ア) 甲事件被告らの主張a 原告A1に対する1(2)エの処分理由①について(a) 「人事案件」とは,平成9年3月18日開催の被告理事会に提案することが予定されていた原告A1及び同A2の懲戒処分(停職処分)である。(b) 「署名活動など」とは,甲事件原告らと被告A4が,上記人事案件を撤回させることを共謀し,原告A3と被告A4において,別紙2(添付省略)の嘆願書(以下「本件嘆願書」という。)及び別紙3(添付省略)の嘆願趣意書(以下「本件嘆願趣意書」という。なお,本件嘆願書と本件嘆願趣意書を併せて「本件嘆願書等」という。)を作成し,平成9年3月21日から22日にかけて,被告恵泉会職員から,本件嘆願書の提案者としての署名28人分及び嘆願に同意する旨の署名113人分を集めた上,恵泉会の理事,監事11名に対しこれを配布したことをいう。(c) 「特定の恵泉会役職員」とは,当時若草園施設長であり,平成9年5月29日死亡したG(以下「亡G」という。)及び同じく萩風園施設長であった原告B6である。甲事件原告ら及び 「特定の恵泉会役職員」とは,当時若草園施設長であり,平成9年5月29日死亡したG(以下「亡G」という。)及び同じく萩風園施設長であった原告B6である。甲事件原告ら及び被告A4は,上記(b)のとおり,不特定多数の被告恵泉会役職員に対し,虚偽の事実を摘示した本件嘆願趣意書を閲覧させ,よって,亡G及び原告B6の名誉を侵害した。(d) 上記署名活動に基づき,同月23日,上記人事案件が撤回されたが,上記撤回の経緯は登米郡東和町及びその近隣の住民が認識するところとなり,被告恵泉会で内乱があった,管理職を含む多くの職員が理事長に反旗を翻した,住民の税金によって運営している施設であるのに仕事もしないで何をしているのかなどと評される事態となり,もって,被告恵泉会の名誉・信用は大きく失墜した。(e) なお,原告A1に対する1(2)エの処分理由①は,名誉毀損罪として,刑法上の犯罪行為に該当する。b 原告A2に対する1(2)エの処分理由①について(a) 甲事件原告ら及び被告A4は,平成9年3月18日開催の被告理事会に提案することが予定されていた,原告A1及び同A2の懲戒処分(停職処分)につき,被告理事会がこれを否決するように働きかけることを共謀し,別紙4(添付省略)のA2に係る同意書(以下「本件同意書」という。 に対する1(2)エの処分理由①は,名誉毀損罪として,刑法上の犯罪行為に該当する。b 原告A2に対する1(2)エの処分理由①について(a) 甲事件原告ら及び被告A4は,平成9年3月18日開催の被告理事会に提案することが予定されていた,原告A1及び同A2の懲戒処分(停職処分)につき,被告理事会がこれを否決するように働きかけることを共謀し,別紙4(添付省略)のA2に係る同意書(以下「本件同意書」という。)を作成し,同月21日から22日にかけて,多数の被告恵泉会職員にこれを閲覧し,その署名,捺印を得た上で,同月22日,これを被告恵泉会の理事と監事全員(ただし,理事長,常務理事,施設長兼務理事を除く)に配布した。(b) 「特定の役職員」とは,原告B6である。c 原告A1及び同A2に対する1( 監事全員(ただし,理事長,常務理事,施設長兼務理事を除く)に配布した。(b) 「特定の役職員」とは,原告B6である。c 原告A1及び同A2に対する1(2)エの処分理由②について1(2)エの処分理由①の活動がなされた当時,原告A1は,被告恵泉会の光風園施設長の職にあり,原告A2は,被告恵泉会の萩風園の総務課長であったから,いずれも,被告恵泉会に対し,管理職として,組織の維持,規律を図るべき義務を負っていたにも関わらず,同活動を行い,よって,恵泉会職員を二分し,恵泉会職員の中に修復し難い不和,反目,疑心暗鬼を生じさせ,あるいは上下の組織秩序を蹂躙し,もって,同義務に違反した。d 原告A1及び同A2に対する1(2)エの処分理由③について(a) 被告B1は,被告事務局の事務局長職を廃止し,理事から常務理事を選任して同事務局を監督させることとし,平成6年4月上旬ころ,原告A1に対し,この意向を話し,そのための体制づくりと規定の整備を命じるとともに,亡Cに対し,常務理事への就任を要請した。亡Cは,いったんは辞退したものの,同年4月8日,同要請を了承した。(b) 原告A1は,その数日後,亡C宅を訪問し,同人に対し,常務理事就任を断念するように迫り,同日夜,同人を登米町の「h」に呼び出し,被告事務局職員などとともに,同様の行為を行い,同年5月1日ころ,被告事務局から迫風園施設長に転出するに際し,原告A2を含む事務局職員に対し,常務理事制の導入をできる限り遅らせるように指示した。(c) 原告A2は,上記(b)の原告A1の指示に基づき,同年5月初旬ころ,宮城県(以下「県」という。 日後,亡C宅を訪問し,同人に対し,常務理事就任を断念するように迫り,同日夜,同人を登米町の「h」に呼び出し,被告事務局職員などとともに,同様の行為を行い,同年5月1日ころ,被告事務局から迫風園施設長に転出するに際し,原告A2を含む事務局職員に対し,常務理事制の導入をできる限り遅らせるように指示した。(c) 原告A2は,上記(b)の原告A1の指示に基づき,同年5月初旬ころ,宮城県(以下「県」という。)から,常務理事 し,常務理事制の導入をできる限り遅らせるように指示した。(c) 原告A2は,上記(b)の原告A1の指示に基づき,同年5月初旬ころ,宮城県(以下「県」という。)から,常務理事制導入について,被告恵泉会の財政面からの検討が必要であると指導された旨述べるなどして,常務理事制導入に伴う被告恵泉会の定款変更の事務処理を故意に遅らせた。被告B1は,同年6月18日ころ,原告A2に対し,理事長として,常務理事制導入のための定款変更の事務処理を早急に行うよう,厳重に注意,指示した。被告B1は,同月28日,常務理事制導入に関する定款の改正が理事会で承認されるに当たって,理事長が常務理事を必置の機関とするよう主張したにもかかわらず,原告A2ほか被告事務局は,これに反対し,任意的機関とする改正をした。(d) 当時被告事務局長の職にあった原告A1の(b)の行為は,恵泉会組織規則8条1号に規定する「上司の命を受け,事務局の事務を掌理し,所属職員を指揮監督する」という事務局長の職務に反するものである。(e) 被告事務局総務課長兼事務局長心得の職にあった原告A2の(c)の行為は,(a)あるいは(c)の理事長の命に反するから,恵泉会組織規則8条2号に規定する「上司の命を受け,課の事務を掌理し,所属職員を指揮監督する」という課長の職務に反する行為である。e 原告A1及び同A2に対する1(2)エの処分理由④について(a) 原告A1及び同A2が影響を及ぼした業者との業務委託事務等とは,次の7項目である。① 被告恵泉会が,平成6年度,株式会社i(以下「i」という。)から,その (a) 原告A1及び同A2が影響を及ぼした業者との業務委託事務等とは,次の7項目である。① 被告恵泉会が,平成6年度,株式会社i(以下「i」という。)から,その米川工場の建物を賃料年額520万円で,同工場の敷地を駐車場として賃料年額180万円で賃借したこと② 被告恵泉会が,平成6年度,iに対し,同社の余剰社員が被告恵泉会入所者に対し技術指導をした対価として,およそ730万円を支払ったこと③ 被告恵泉会が,平成4年度から,iに対し,過大な自家水道料を支払ったこと④ 被告恵泉会が,平成4年度から,物品の購入について,優先的にiをその購入先に選んだこと⑤ 被告恵泉会が,従来株式会社j(以下「j」という。 敷地を駐車場として賃料年額180万円で賃借したこと② 被告恵泉会が,平成6年度,iに対し,同社の余剰社員が被告恵泉会入所者に対し技術指導をした対価として,およそ730万円を支払ったこと③ 被告恵泉会が,平成4年度から,iに対し,過大な自家水道料を支払ったこと④ 被告恵泉会が,平成4年度から,物品の購入について,優先的にiをその購入先に選んだこと⑤ 被告恵泉会が,従来株式会社j(以下「j」という。)に対し委託していた洗濯業務を,平成4年度からはiに対して委託し,これに伴い,従来jが負担していた電気料を被告恵泉会が負担することとしたこと⑥ 被告恵泉会が,その経営する老人ホームで使用するおむつ及び寝具類のリースについて,従来の契約先であったcに対しては取引を断念させた上,伝票上,iを経由させる形で,契約を締結し,同社にマージンを稼がせたこと⑦ 被告恵泉会の施設を利用する知的障害のある子を持つ親の会である恵の会が,iに対し,平成3年度から平成5年度にかけて,325万円を助成金として支出したこと(b) (a)①及び②について被告恵泉会が,iに対して支払った工場賃借料,技術指導料及び工場駐車料金の額及びその年度毎の推移は,別表のとおりである。これによれば,被告恵泉会は,原告A1が被告事 て被告恵泉会が,iに対して支払った工場賃借料,技術指導料及び工場駐車料金の額及びその年度毎の推移は,別表のとおりである。これによれば,被告恵泉会は,原告A1が被告事務局長を,原告A2が被告事務局総務課長を努めていた平成5年度から上記各取引を開始し,翌平成6年度には,工場の賃料520万円(前年度の1・5倍)のほか,技術指導料,工場駐車料金の名目で900万円余を,iに対し支払っている。しかし,亡Cが常務理事として契約の交渉に携わり始めてからは,同社に対する支出は激減し,平成10年には,工場の賃借は不要として中止するに至ったものであり,上記賃料の推移に照らせば,平成6年度の支出は不当な支出である。(c) (a)③について③にかかる水道料は,被告恵泉会が,iが掘削した井戸の水の供給を受けていることの対価であると説明されている。しかし,その掘削にかかった費用は300万円程度であったと考えられるところ,被告恵泉会は,平成4年度から9年度にかけ560万円を支出したこと,被告恵泉会は,iの米川工場が消費した水道料まで支払ったこと,従前井戸の掘削費用を負担したcに対しては,自家水道料の支払をしたことがないことに照らせば,③の水道料の支払は,iの便宜を図った不当な支出である。 の水の供給を受けていることの対価であると説明されている。しかし,その掘削にかかった費用は300万円程度であったと考えられるところ,被告恵泉会は,平成4年度から9年度にかけ560万円を支出したこと,被告恵泉会は,iの米川工場が消費した水道料まで支払ったこと,従前井戸の掘削費用を負担したcに対しては,自家水道料の支払をしたことがないことに照らせば,③の水道料の支払は,iの便宜を図った不当な支出である。(d) (a)④について原告A1及び同A2は,平成4年ころ,当時の萩風園総務係長Hに対し,物品購入について,iを相手先としてほしい旨依頼し,平成5年ころ,平成6年開園予定の南風園の特殊浴槽とベッドの購入に関し,被告事務局に所属したIに対し,各業者の見積額の額の多寡に関わらず,iを購入先とするよう指示するなど,iに便宜を図った。平成6年開園予定の南風園の特殊浴槽とベッドの購入に関し,被告事務局に所属したIに対し,各業者の見積額の額の多寡に関わらず,iを購入先とするよう指示するなど,iに便宜を図った。(e) (a)⑤及び⑥について原告A1及び同A2は,従来jに対し委託していた洗濯業務及び寝具類のリース契約を,iに委託することを計画し,まず,平成3年10月ころ,jに対し,被告恵泉会が上記各業務を直営で行うことにした旨告げて,同社との取引を解約した後,平成4年3月ころ,寝具類のリースについて,iが受注できるよう,k株式会社(以下「k」という。)及びiに対して根回しをした上で,同2社に対してのみ見積書を徴求し,最終的に,iとの間で寝具類のリース契約を締結した。なお,寝具類の実質的な納入業者はkであり,iは,同契約によって,労せずして,7パーセントのマージンを得た。(f) (a)⑦について(a)⑦の325万円の助成金の支出は,原告A1が,恵の会の参与としての立場を利用して,園生の社会復帰のために建設される米川工場の備品購入のためとして,恵の会に強く要請し,財源の乏しい同会から民間会社に対し寄付をさせるという形で実現したものである。(g) 原告A1及び同A2は,(a)ないし(f)のとおり,長期間・多数回にわたり背任的行為を行ってきたものであり,平成9年6月以後,県北ジャーナルが,これを新聞紙上に掲載して報道したことから,税金で運営されている被告恵泉会の幹部職員が,特定の民間会社のために便宜を図っていた事実として,宮城県登米郡東和町を中心とした地域住民の知るところとなって,原告A1及び同A2を使用する被告恵泉会自身の名誉を著しく失墜させた。 1及び同A2は,(a)ないし(f)のとおり,長期間・多数回にわたり背任的行為を行ってきたものであり,平成9年6月以後,県北ジャーナルが,これを新聞紙上に掲載して報道したことから,税金で運営されている被告恵泉会の幹部職員が,特定の民間会社のために便宜を図っていた事実として,宮城県登米郡東和町を中心とした地域住民の知るところとなって,原告A1及び同A2を使用する被告恵泉会自身の名誉を著しく失墜させた。会の幹部職員が,特定の民間会社のために便宜を図っていた事実として,宮城県登米郡東和町を中心とした地域住民の知るところとなって,原告A1及び同A2を使用する被告恵泉会自身の名誉を著しく失墜させた。f 原告A3に対する1(2)エの処分理由について(a) 原告A3は,平成9年3月ころ,原告A1及び同A2に対する懲戒処分(停職処分)を阻止するために,本件嘆願書等を作成し,前記a(b)記載の署名活動を行った。原告A3は,その際,人事案件の阻止という目的を秘匿して,被告恵泉会の民主化を求めるという体質改善をその目的としたり,B1理事長の退任を求める意図である旨申し向けたりするなどして職員を扇動した。(b) 原告A3は,当時,被告恵泉会の光風園次長の職にあったから,被告恵泉会に対し,管理職として,組織の維持,規律を図るべき義務を負っていたにもかかわらず,(a)の活動を行い,よって,被告恵泉会職員を二分し,被告恵泉会職員の中に修復し難い不和,反目,疑心暗鬼を生じさせ,あるいは上下の組織秩序を蹂躙し,もって,上記義務に違反した。(イ) 甲事件原告らの主張a 原告A1及び同A2に対する1(2)エの処分理由①について(a) 署名を集め,被告恵泉会の理事,監事に配布したのは原告A3及び同A2であり,原告A1は,本件嘆願書に係る署名活動に関与していないし,本件同意書の作成にも署名活動にも一切関与していないから,1(2)エの処分理由①をもって原告A1の処分事由とすることはできない。(b) 原告A2は,平成7年4月1日,被告事務局長心得から光風園次長へ,平成8年4月1日,萩風園総務課長へそれぞれ降格され,さらに 原告A1の処分事由とすることはできない。(b) 原告A2は,平成7年4月1日,被告事務局長心得から光風園次長へ,平成8年4月1日,萩風園総務課長へそれぞれ降格され,さらに,平成9年1月ころ,原告B6又は亡Cから,平成9年度には平職員へ降格する旨告知されていた。 きない。(b) 原告A2は,平成7年4月1日,被告事務局長心得から光風園次長へ,平成8年4月1日,萩風園総務課長へそれぞれ降格され,さらに 原告A1の処分事由とすることはできない。(b) 原告A2は,平成7年4月1日,被告事務局長心得から光風園次長へ,平成8年4月1日,萩風園総務課長へそれぞれ降格され,さらに,平成9年1月ころ,原告B6又は亡Cから,平成9年度には平職員へ降格する旨告知されていた。また,平成8年5月28日には,原告B6から,亡Cが退職届を提出するよう言っていたことを伝えられており,さらに,同年11月15日ころには,被告B1から,8項目の事項を指摘した上,原告A2に対し,退職勧告がなされた。原告A2は,同A3及び被告A4が本件嘆願書の署名活動を行うことを聞きつけ,上記8項目の事項についても,それが事実無根であることを同じ職場の同僚に証明してもらおうと考え,原告A3及び被告A4と相談の上,本件同意書の基となる資料を同人らに渡し,同人らは,これを同意書として作成し,8項目の事項に根拠がないことを証明してもらう趣旨で,萩風園の職員に対してのみ署名を依頼した。以上のとおり,本件同意書は,原告A2が自らの人事案件の撤回を求める内容のものではないから,1(2)エの処分理由①の根拠にはならない。(c) また,本件の一連の経緯に照らせば,本件嘆願書等や本件同意書などが被告恵泉会の運営に重大な支障を与えたとは到底考えられない。(d) 仮に,懲戒事由に該当するとしても,原告A2に対する理由を示さない一連の降格人事の実態を併せ考慮すれば,原告A2に対する懲戒免職処分は懲戒権の濫用として無効である。b 原告A1及び同A2に対する1(2)エの処分理由②について原告A1及び同A2 慮すれば,原告A2に対する懲戒免職処分は懲戒権の濫用として無効である。b 原告A1及び同A2に対する1(2)エの処分理由②について原告A1及び同A2は,1(2)エの処分理由①の活動に全く関与していない。したがって,同人らには,管理職としての義務違反を指摘されるような事実は存在せず,同人らによって,被告恵泉会職員間の上下の組織秩序が蹂躙されることなどあり得ない。c 原告A1及び同A2に対する1(2)エの処分理由③について(a) 原告A1及び同A2は,被告恵泉会の現在の財政上の理由から,施設長兼務の常務理事ならよいが,独自の常務理事では,その報酬について資金面の手当てを考える必要があると考えていたにすぎず,常務理事制の導入自体には反対したことはないし,職員を扇動してこれを阻止した事実もない。 ,被告恵泉会職員間の上下の組織秩序が蹂躙されることなどあり得ない。c 原告A1及び同A2に対する1(2)エの処分理由③について(a) 原告A1及び同A2は,被告恵泉会の現在の財政上の理由から,施設長兼務の常務理事ならよいが,独自の常務理事では,その報酬について資金面の手当てを考える必要があると考えていたにすぎず,常務理事制の導入自体には反対したことはないし,職員を扇動してこれを阻止した事実もない。また,必要的機関ではなく任意的機関としても,被告恵泉会の常務理事制導入自体には何ら支障はないのであるから,これをもって,原告A2の懲戒事由とすることはできない。(b) また,常務理事制導入が遅れたのはわずか1か月程度であり,この1か月の遅れを原告A2独りの責任として同人を懲戒免職に処することはできないし,更にこれを原告A1からの指示に基づくなどとして,同人を懲戒免職に処することは,懲戒権の濫用として無効である。d 原告A1及び同A2に対する1(2)エの処分理由④について原告A1及び同A2には,甲事件被告らが指摘するような業者との癒着あるいは被告恵泉会に不当な損害を与えた事実は一切ない。前記(ア)e(a)の甲事件被告らの主張に対する反論は次のとおりである。告A1及び同A2には,甲事件被告らが指摘するような業者との癒着あるいは被告恵泉会に不当な損害を与えた事実は一切ない。前記(ア)e(a)の甲事件被告らの主張に対する反論は次のとおりである。(a) (ア)e(a)①の事実についてiは,平成5年ころから,米川工場の受注が激減し,従前どおりの社員を抱えたままでは工場運営が困難となったため,被告恵泉会と協議した結果,同社は人員整理を行い,同工場は被告恵泉会がiから借り受け,従前の目的どおり運営することとなった。平成6年度の米川工場の建物の賃料を年520万円としたのは,その当時の登米郡の相場である坪5000円を念頭に,坪3500円と評価して,算出した額である。これが前年度の工場賃借料360万円の1・5倍となっているのは,前年度の賃借が,工場の2階部分のみを賃借したのに対し,平成6年度は,1階部分をも賃借したためである。iが,同工場に対し,土地代を含めて1億円を投資したことに照らしても,520万円は,適正な価格である。さらに,同工場の賃貸借に当たっては,被告恵泉会内部の所定の手続を経て,平成6年3月の予算理事会において,正式議題として上程され,理事会全員一致をもって承認可決され,平成7年5月の決算理事会においても,異議はなかったものであるから,上記建物賃料支払の事実は,懲戒免職事由とはならない。 借したためである。iが,同工場に対し,土地代を含めて1億円を投資したことに照らしても,520万円は,適正な価格である。さらに,同工場の賃貸借に当たっては,被告恵泉会内部の所定の手続を経て,平成6年3月の予算理事会において,正式議題として上程され,理事会全員一致をもって承認可決され,平成7年5月の決算理事会においても,異議はなかったものであるから,上記建物賃料支払の事実は,懲戒免職事由とはならない。なお,上記賃料の支出については,県の監査においても,問題を生じていない。次に,駐車場として借りたのは,工場の敷地ではなく,iの役員が共有する土地である。この賃料は,駐車台数を月間30台(職員駐車台数20台,年中行事の駐車台数10台),1か月当たりの1台の駐車料を5000円として算出したものであって 工場の敷地ではなく,iの役員が共有する土地である。この賃料は,駐車台数を月間30台(職員駐車台数20台,年中行事の駐車台数10台),1か月当たりの1台の駐車料を5000円として算出したものであって,過大な賃料ではない。なお,予算,決算の承認を受けている点についても,建物賃料と同様である。(b) (ア)e(a)②についてiは,園生の社会復帰のため,米川工場に社員を派遣して園生の作業の指導を行ってきたが,(a)のように,人員整理を行うこととなり,その際,派遣社員をも解雇することとした。しかし,それでは工場の運営ができないことから,被告恵泉会では,最低限の人数である2人の社員と準社員2名を残して米川工場に出向してもらい,被告恵泉会がこれに対する賃金相当額を支払うこととした。(ア)e(a)②の技術指導料は,実質的には,上記2名の社員及び準社員2名に対する人件費であり,その支出理由・額からして不当な支出ではない。なお,翌年度に上記支出が継続していないのは,工場への注文がなくなったため,出向の必要もなくなったからである。上記2名の社員のうち1名は被告恵泉会の職員となり,もう1名は退職となった。(c) (ア)e(a)③について被告恵泉会では,米川工場の操業・運営に当たり,当初から,自家水道水を利用することを考え,iが全額を拠出して井戸掘りを行った。そして,米川工場の使用する水量と恵泉会3施設などが使用する水量を明確にするため水量計を設置し,使用量に応じて,水道料をiに支払った。その料金は,町水道料金の3分の1程度であるから不当な支出ではない。 告恵泉会の職員となり,もう1名は退職となった。(c) (ア)e(a)③について被告恵泉会では,米川工場の操業・運営に当たり,当初から,自家水道水を利用することを考え,iが全額を拠出して井戸掘りを行った。そして,米川工場の使用する水量と恵泉会3施設などが使用する水量を明確にするため水量計を設置し,使用量に応じて,水道料をiに支払った。その料金は,町水道料金の3分の1程度であるから不当な支出ではない。なお,予算,決算につき理事会の承認を得ている事情は(a)と同様である。(d) て,水道料をiに支払った。その料金は,町水道料金の3分の1程度であるから不当な支出ではない。なお,予算,決算につき理事会の承認を得ている事情は(a)と同様である。(d) (ア)e(a)④について原告A1が,被告恵泉会が行う物品の購入について,優先的に,あるいは公正な競争を排除して,iをその購入先に選んだ事実はない。(e) (ア)e(a)⑤について被告恵泉会では,iの米川工場が操業を開始したことに伴い,被告恵泉会3施設の園生の作業訓練科目を再編し,jに委託していた洗濯業務を平成4年度からiに引き受けてもらうこととしたものである。電気料の負担については,jが洗濯業務の委託を受けていた際も被告恵泉会が負担していたものであるから問題となるものではない。(f) (ア)e(a)⑥について老人ホーム施設用のおむつ及び寝具類は,従前,jの洗濯委託業務の一部であったが,その洗濯による排水が多量であったうえ,保健所から,施設の浄化槽と排水溝との限界を超えている旨指摘を受けたことから,その洗濯業務を取りやめて,平成3年度はjが問屋であるkから仕入れて被告恵泉会にリースする方法を採っていたが,平成4年度からは,iがjに代わり,問屋であるkから仕入れて被告恵泉会にリースする方法を採用したもので,その取引形態はjの場合と同様であり,不正な事情はない。(g) (ア)e(a)⑦について恵の会は,被告恵泉会3施設の施設長が顧問となり,被告事務局長が参与となっているが,同会の意思決定は同会が独自に行っており,原告A1あるいは同A2が寄付について担当となるこ 恵の会は,被告恵泉会3施設の施設長が顧問となり,被告事務局長が参与となっているが,同会の意思決定は同会が独自に行っており,原告A1あるいは同A2が寄付について担当となることはないから,(ア)e(a)⑦の事実は恵の会の制度上あり得ない。 は,被告恵泉会3施設の施設長が顧問となり,被告事務局長が参与となっているが,同会の意思決定は同会が独自に行っており,原告A1あるいは同A2が寄付について担当となるこ 恵の会は,被告恵泉会3施設の施設長が顧問となり,被告事務局長が参与となっているが,同会の意思決定は同会が独自に行っており,原告A1あるいは同A2が寄付について担当となることはないから,(ア)e(a)⑦の事実は恵の会の制度上あり得ない。なお,助成金の使途については,iの役員が恵の会の役員会・総会などに折にふれて説明しており,また,資金の拠出先がiである以上,原告A1が被告恵泉会に対して説明・報告しないのは当然である。e 原告A3に対する1(2)エの処分理由について本件嘆願書等は,当初,原告A1及び同A2に対する降格人事を阻止する趣旨で作成が検討されたものであったが,平成9年3月20日の理事会で降格人事案件は撤回されることとなったので,原告A3らは,被告恵泉会の体質改善を要望する嘆願書として,本件嘆願書等を作成し,署名活動をしたものである。したがって,原告A3に対する1(2)エの処分理由は,その署名活動の目的の点で事実の誤認があるから,原告A3に対する懲戒免職処分は違法・無効である。また,本件嘆願書等の作成及びこれに伴う署名活動によって,被告恵泉会の上下の組織秩序が破壊されたことはないから,上記1(2)エの処分理由に基づく懲戒免職処分は,無効である。イ手続的瑕疵の有無(ア) 甲事件原告らの主張a 付帯決議違反による違法無効(a) 平成9年3月23日開催の被告理事会において,今後報復人事はしない旨の付帯決議があった。同決議の具体的内容は,平成9年3月18日から23日にかけて開催された理事会の中で論議された原告A1及び原告A2の降格ないし停職 日開催の被告理事会において,今後報復人事はしない旨の付帯決議があった。同決議の具体的内容は,平成9年3月18日から23日にかけて開催された理事会の中で論議された原告A1及び原告A2の降格ないし停職処分案件の理由として問題とされたそれぞれの事由及び本件嘆願書等の問題について,今後これらを理由として,関係職員に対し,降格,左遷もしくは懲戒処分などの不利益処分をしないというものであり,そこには,何らの留保はない。(b) 同付帯決議は,被告恵泉会の正式な機関決定であり,法人の執行機関としての被告B1及び亡Cは,当然この決議に拘束される。 れた理事会の中で論議された原告A1及び原告A2の降格ないし停職処分案件の理由として問題とされたそれぞれの事由及び本件嘆願書等の問題について,今後これらを理由として,関係職員に対し,降格,左遷もしくは懲戒処分などの不利益処分をしないというものであり,そこには,何らの留保はない。(b) 同付帯決議は,被告恵泉会の正式な機関決定であり,法人の執行機関としての被告B1及び亡Cは,当然この決議に拘束される。また,この付帯決議は,関係職員に対する法人としての意思決定であるから,個別的労働関係を規制する雇傭契約上の特別付加条件としての効果を有し,関係職員は,雇用契約上この付帯決議に違反して不利益処分を受けない権利ないし利益を有する。したがって,経営者は関係職員が雇傭契約上有するこの権利もしくは利益を一方的に剥奪することは許されないから,同雇傭契約上の特別付加条件に違反した本件懲戒免職処分は,無効である。(c) 仮に,特別付加条件に該当しないとしても,甲事件原告らは,上記付帯決議による反射的利益を受ける立場にあり,個別的労働関係においては,信義則上このような利益が尊重されるから,本件懲戒免職処分は無効である。b 理事会決定手続の瑕疵(a) 被告恵泉会の職員を懲戒免職処分とする決定は,日常の軽易な業務ではないから,理事会にその決定権限がある(恵泉会定款6条)。本件懲戒免職処分については,理事会で,甲事件原告らに対する処分を被告B1に一任する決議がなされた。しかし,理事会の各理事は,懲戒免職を行うかどうかを決定する権限は理事長にあり る(恵泉会定款6条)。本件懲戒免職処分については,理事会で,甲事件原告らに対する処分を被告B1に一任する決議がなされた。しかし,理事会の各理事は,懲戒免職を行うかどうかを決定する権限は理事長にあり,理事会にはないと考えていたから,理事会が有している決定権限を理事長に委譲する意思はなかった。したがって,同一任決議は懲戒免職処分をする権限まで委譲したものではなく,本件懲戒免職処分は権限のない者がしたものであるから無効である。(b) また,被告B1が,平成9年9月12日に理事会に提出した議案1号「恵泉会の不祥事の処理について」における甲事件原告らに対する処分の理由①と,甲事件原告らに対する告知書における処分の理由①はその内容が異なるから,甲事件原告らに対する本件懲戒免職処分の理由①に相応する理事会決議が存在せず,本件懲戒免職処分は無効である。 たものではなく,本件懲戒免職処分は権限のない者がしたものであるから無効である。(b) また,被告B1が,平成9年9月12日に理事会に提出した議案1号「恵泉会の不祥事の処理について」における甲事件原告らに対する処分の理由①と,甲事件原告らに対する告知書における処分の理由①はその内容が異なるから,甲事件原告らに対する本件懲戒免職処分の理由①に相応する理事会決議が存在せず,本件懲戒免職処分は無効である。c 弁明の機会の欠如懲戒免職処分が有効であるためには,被処分者に対し弁明の機会を与えることが必要であるが,原告A1に対する1(2)エの処分理由①及び同②は具体的にいかなる行為を示しているのか不明であるから,同A1は弁明することができない。また,原告A2に対する1(2)エの処分理由④についても,同A2のいかなる行為を問題としているのか不明であり,原告A2は弁明することができない。したがって,原告A1に対する1(2)エの処分理由①及び同②並びに原告A2に対する1(2)エの処分理由④については,弁明の機会を与えずに処分したのと同視できるから,本件懲戒免職処分は,懲戒権の濫用として無効である。d 二重処罰の禁止被告B1は,常務理事制導入の問題が 明の機会を与えずに処分したのと同視できるから,本件懲戒免職処分は,懲戒権の濫用として無効である。d 二重処罰の禁止被告B1は,常務理事制導入の問題が一段落した平成6年7月19日,原告A2に対し,今後は慎重に行動するようにとの注意を与え,これをもって常務理事制導入の問題は決着を見た。したがって,これを本件懲戒免職処分の理由として持ち出すことは,信義則上,二重処罰に準ずるものとして許されず,原告A2に対する1(2)エの処分理由③を理由とする本件懲戒免職処分は懲戒権の濫用として無効である。(イ) 甲事件被告らの主張a 付帯決議違反による違法無効について(a) 平成9年3月23日に開催された理事会において,甲事件原告らの主張するような付帯決議がなされた事実はない。(b) 仮に,甲事件原告らの主張する付帯決議が存在したとしても,同決議はその客体及び内容が不明であるし,同理事会の経過を併せ考慮すれば,同決議の拘束力は極めて弱いものといわざるを得ないから,同決議は,個々の職員に対し権利や利益を発生させるものではないというべきである。b 理事会決定手続の瑕疵について(a) 被告恵泉会では,職員の人事権は理事長にあり(恵泉会定款12条2項,3項),これには懲戒権が含まれる。 仮に,甲事件原告らの主張する付帯決議が存在したとしても,同決議はその客体及び内容が不明であるし,同理事会の経過を併せ考慮すれば,同決議の拘束力は極めて弱いものといわざるを得ないから,同決議は,個々の職員に対し権利や利益を発生させるものではないというべきである。b 理事会決定手続の瑕疵について(a) 被告恵泉会では,職員の人事権は理事長にあり(恵泉会定款12条2項,3項),これには懲戒権が含まれる。従前も,職員への懲戒処分は,被告理事会への付議及び同理事会の決議なしに行ってきた。甲事件原告らに対する懲戒免職処分は,理事会を二度開催し,慎重に審議をした上で決議されたものであるから,委譲の問題は生じない。(b) 被告B1が同年 甲事件原告らに対する懲戒免職処分は,理事会を二度開催し,慎重に審議をした上で決議されたものであるから,委譲の問題は生じない。(b) 被告B1が同年9月12日に提出した議案第1号「恵泉会の不祥事の処理について」の処分理由①の甲事件原告らに対する告知書における処分理由①への変更は極めて軽微であり,このような軽微な変更は人事権者である理事長の権限に属する適法なものである。仮に,理事長の権限に属さないとしても,手続違反としては極めて軽微であるから,本件懲戒免職処分を無効ならしめるものではない。c 弁明の機会の欠如について被告恵泉会の規則などに懲戒手続に関する規定は存しない。なお,被告恵泉会では,平成9年7月に設置された調査委員会において,常務理事制の導入阻止や,iとの癒着問題,そして嘆願書の問題などについて,理事・監事の調査委員が甲事件原告らから十分に話を聞いており,現実に弁明の機会は十分に与えている。d 二重処罰の禁止について甲事件原告らの主張する二重処罰の禁止には何の根拠もない。また,被告B1の原告A2に対する注意が,常務理事制導入阻止の問題に決着を与える趣旨ではなかったことは,当時原告A2とともに行動していた原告A1やJらに同様の注意が与えられていないことからも明らかである。(2) 争点(2)(未払賃金の額及び損害額)についてア甲事件原告らの主張(ア) 未払賃金の額a 原告A1は,被告恵泉会に対し,(a) 平成9年10月から平成1 額)についてア甲事件原告らの主張(ア) 未払賃金の額a 原告A1は,被告恵泉会に対し,(a) 平成9年10月から平成13年6月まで通常に勤務していれば当然に支払われるべき別紙5(添付省略)の同原告欄記載の本俸・諸手当合計金3129万2750円(ただし,給与改定後の分を含む。 び損害額)についてア甲事件原告らの主張(ア) 未払賃金の額a 原告A1は,被告恵泉会に対し,(a) 平成9年10月から平成1 額)についてア甲事件原告らの主張(ア) 未払賃金の額a 原告A1は,被告恵泉会に対し,(a) 平成9年10月から平成13年6月まで通常に勤務していれば当然に支払われるべき別紙5(添付省略)の同原告欄記載の本俸・諸手当合計金3129万2750円(ただし,給与改定後の分を含む。)及び内金2328万5240円に対する支払期日後である平成12年7月1日から,内金394万5125円に対する支払期日後である平成13年1月1日から,内金406万2385円に対する支払期日後である平成13年7月1日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金,(b) 平成13年7月1日から本判決確定の日まで毎月21日限り1か月金48万8730円の割合による賃金及びこれに対する各当月22日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。b 原告A2は,被告恵泉会に対し,(a) 平成9年10月から平成13年6月まで通常に勤務していれば当然に支払われるべき別紙5の同原告欄記載の本俸・諸手当合計金2436万0636円(ただし,給与改定後の分を含む。)及び内金1794万5551円に対する支払期日後である平成12年7月1日から,内金315万8100円に対する支払期日後である平成13年1月1日から,内金325万6985円に対する支払期日後である平成13年7月1日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金,(b) 平成13年7月1日から本判決確定の日まで毎月21日限り1か月金39万7920円の割合による賃金及びこれに対する各当月22日から支払済みまで年5分の割合による遅延損 (b) 平成13年7月1日から本判決確定の日まで毎月21日限り1か月金39万7920円の割合による賃金及びこれに対する各当月22日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。c 原告A3は,被告恵泉会に対し,(a) 平成9年10月から平成13年6月まで通常に勤務していれば当然に支払われるべき別紙5の同原告欄記載の本俸・諸手当合計金2788万1999円(ただし,給与改訂後の分を含む。)及び内金2067万2119円に対する支払期日後である平成12年7月1日から,内金354万5450円に対する支払期日後である平成13年1月1日から,内金366万4430円に対する支払期日後である平成13年7月1日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金(b) 平成13年7月1日から本判決確定の日まで毎月21日限り1か月金44万2790円の割合による賃金及びこれに対する各当月22日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 である平成12年7月1日から,内金354万5450円に対する支払期日後である平成13年1月1日から,内金366万4430円に対する支払期日後である平成13年7月1日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金(b) 平成13年7月1日から本判決確定の日まで毎月21日限り1か月金44万2790円の割合による賃金及びこれに対する各当月22日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。(イ) 損害額a 甲事件原告らは,本件懲戒免職処分により,社会的名誉を失うとともに,多大の精神的苦痛を被った。甲事件原告らの同精神的苦痛を慰謝するに足りる額は,それぞれ,少なくとも金300万円は下らない。b 被告B1は,被告恵泉会の理事長として,善良なる管理者の注意をもって誠実に被告恵泉会の職務を行うべき義務があるにもかかわらず,故意又は重大な過失によって,職員に対する懲戒権は理事長の専権に属するものと思い込み,かつ,理事・監事並びに幹部職員に対してもそのように誤導又は誘導して 泉会の職務を行うべき義務があるにもかかわらず,故意又は重大な過失によって,職員に対する懲戒権は理事長の専権に属するものと思い込み,かつ,理事・監事並びに幹部職員に対してもそのように誤導又は誘導して信じ込ませ,また,本来,甲事件原告らには懲戒免職処分にすべき相当の理由がないことを十分に知りながら,あえて理事会の決議なくして甲事件原告らを懲戒免職処分にし,甲事件原告らに対しaの損害を与えた。したがって,被告B1は,被告恵泉会とともに,甲事件原告らの被った損害を賠償すべき義務がある。c 亡Cは,被告恵泉会の常務理事として,bと同様の義務を負うところ,平成12年9月18日に死亡し,妻である被告B2,子である被告B3,被告B4,被告B5がそれぞれ法定相続分により相続して,亡Cの甲事件原告らに対する損害賠償義務を承継した。イ甲事件被告らの主張(ア) 未払賃金の額a 仮に,甲事件原告らに雇用契約上の地位が認められたとしても,被告恵泉会が甲事件原告らに支払うべき金額は,別紙6(添付省略)の(B)欄記載のとおり,総額金5710万9002円にとどまる。すなわち,期末手当と勤勉手当は賞与的部分であるから,現実に勤務実績のない甲事件原告らは受給する権利がない。また,本件において,通勤手当が支払われるべきでないことは条理上明らかである。 被告らの主張(ア) 未払賃金の額a 仮に,甲事件原告らに雇用契約上の地位が認められたとしても,被告恵泉会が甲事件原告らに支払うべき金額は,別紙6(添付省略)の(B)欄記載のとおり,総額金5710万9002円にとどまる。すなわち,期末手当と勤勉手当は賞与的部分であるから,現実に勤務実績のない甲事件原告らは受給する権利がない。また,本件において,通勤手当が支払われるべきでないことは条理上明らかである。さらに,平成11年4月からは,施設長に対するもの以外は,管理職手当は廃止されたので,同月以降,原告A3及び同A2は,同手当を受給することができない。b 被告恵泉会は,別紙6の(C)欄記載のとおり,既に,総額金5471万4150円の仮払 職手当は廃止されたので,同月以降,原告A3及び同A2は,同手当を受給することができない。b 被告恵泉会は,別紙6の(C)欄記載のとおり,既に,総額金5471万4150円の仮払をしている(平成9年10月から平成13年6月の分)。(イ) 損害額すべて争う。(3) 争点(3)(原告B6に対する名誉毀損の成否及び損害額)についてア原告B6の主張(ア) 甲事件原告ら及び被告A4は,原告A1と同A2に対する人事案件の阻止を目的とし,原告B6をひぼう中傷する虚偽の内容を記載した本件嘆願趣意書及び本件同意書を作成し,不特定多数の職員に見せて署名活動をし,原告の名誉を著しく毀損した。なお,本件嘆願趣意書及び本件同意書において,原告B6の名誉を毀損した記載は,別紙3及び4の下線の部分である。(イ) 甲事件原告ら及び被告A4の上記行為による原告B6の精神的苦痛を慰謝するには金300万円が相当である。(ウ) なお,本件嘆願趣意書及び本件同意書の作成の究極の目的は,理事長の追い落としにあったのだから,公益目的や内容の公共性があったとは到底いえない。イ乙事件被告らの主張(ア) 本件嘆願趣意書は,その記載内容に一部不穏当な用語を用いている部分があるが,その内容は総じて抽象的であり,具体的事実の摘示を欠くものであるから,名誉毀損には当たらない。(イ) 本件嘆願趣意書は,原告A1及び同A2に対する理不尽な降格人事及び退職勧告など,どのような不測の事態がいつ自分に降りかかるか分からない危機感の中で,本質的にはあくまで被告恵泉会の民主的運営及び被告恵泉会全体としての人事の公 1及び同A2に対する理不尽な降格人事及び退職勧告など,どのような不測の事態がいつ自分に降りかかるか分からない危機感の中で,本質的にはあくまで被告恵泉会の民主的運営及び被告恵泉会全体としての人事の公正を願っての意見具申としての性格を持つ。 事及び退職勧告など,どのような不測の事態がいつ自分に降りかかるか分からない危機感の中で,本質的にはあくまで被告恵泉会の民主的運営及び被告恵泉会全体としての人事の公 1及び同A2に対する理不尽な降格人事及び退職勧告など,どのような不測の事態がいつ自分に降りかかるか分からない危機感の中で,本質的にはあくまで被告恵泉会の民主的運営及び被告恵泉会全体としての人事の公正を願っての意見具申としての性格を持つ。したがって,本件嘆願趣意書の基本的趣旨は,社会福祉法人としての被告恵泉会の健全性を意図したものであり,その真のねらいは被告恵泉会の公共性及び公益性の回復と更なる実現にある。(ウ) 本件嘆願趣意書及び本件同意書の記載内容はすべて真実である。第3 争点に対する判断 1 前示第2の1の争いのない事実等に,証拠(甲1の1ないし3,2,5,6の1ないし3,7の1ないし3,8の1及び2,12の1及び2,13の1ないし9,14の1ないし10,16の1ないし12,19,20の13の1及び2,20の14ないし17,27の2,43,44,49の1ないし4,50の1ないし11,51の1及び2,52,60,61,75ないし77,乙1ないし19,20の1ないし141,21の1ないし19,25の1ないし13,33,38,41,48ないし50,59ないし63,70ないし77,80,81,94,109の1ないし37,113,182ないし184,192,193,194の1ないし5,195,196,197の1ないし5,証人K,同L,同M,原告A1本人,同A2本人,同A3本人,被告C本人,原告B6本人,被告A4本人)及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実が認められる。(1) 原告A1は,昭和49年2月1日,同人の父が当時被告恵泉会の知的障害者更生施設若草園施設長であった亡Cの妻の弟に当たるという縁から,両親の紹介により被告恵泉会に職員として採用された。同人は,若草園での勤務を経 1日,同人の父が当時被告恵泉会の知的障害者更生施設若草園施設長であった亡Cの妻の弟に当たるという縁から,両親の紹介により被告恵泉会に職員として採用された。同人は,若草園での勤務を経た後,熱心な働きぶりやその決断力,指導力などが評価されて,昭和56年4月には,被告恵泉会の各施設の運営を総括し,各種企画の立案,実施,理事会への議案の作成などを行う被告恵泉会の中枢機関である被告事務局の次長に任用され,平成2年12月1日には同事務局長に任用された。 生施設若草園施設長であった亡Cの妻の弟に当たるという縁から,両親の紹介により被告恵泉会に職員として採用された。同人は,若草園での勤務を経た後,熱心な働きぶりやその決断力,指導力などが評価されて,昭和56年4月には,被告恵泉会の各施設の運営を総括し,各種企画の立案,実施,理事会への議案の作成などを行う被告恵泉会の中枢機関である被告事務局の次長に任用され,平成2年12月1日には同事務局長に任用された。(2) 同人が事務局長の職に就いてまもなく,被告恵泉会内部において,同人について,二日酔いで出勤し,勤務時間中に寝ていることがしばしばある,私用のために職員を使う,宴会の席で女性職員に不快な言動を取る,職員に対して人事を盾に傲慢な振る舞いをする,新職員の採用に際し金品を受け取っているなど,同人の管理職としての勤務態度や職員に接する態度について悪い評判が立つようになったほか,同人は,iの福祉工場設立の際の借入金の返済のため,被告恵泉会から同社に対し金が流れる仕組みを作るなどの便宜を図り,その見返りとして飲食などの接待を受けるなどして同社と癒着している旨のうわさがささやかれるようになった。(3) 上記福祉工場は,被告恵泉会の入所者の職業訓練と社会復帰の場を提供するためにiが設置したものであり,その設立の経緯は大要次のとおりであった。ア被告恵泉会では,知的障害者更生のための施設(若草園,若生園,若葉園)の園生に職業訓練の場を提供してその社会復帰を図るため,昭和63年2月3日から,被告恵泉会と登米地域の優良企業の事業主(株式会社l,同m,同nなど7社。各社とも,現在,関係者がiの役員になっている。)との間で,福祉工場の設置を検討し,当初,公益法人の形態での設立を 3日から,被告恵泉会と登米地域の優良企業の事業主(株式会社l,同m,同nなど7社。各社とも,現在,関係者がiの役員になっている。)との間で,福祉工場の設置を検討し,当初,公益法人の形態での設立を検討していたが,最終的には株式会社として設立することになり,上記企業の協力と拠出を得て,平成2年11月14日,iの前身である「株式会社o」が設立された。イ同社は,平成3年3月に商号を「株式会社i」に変更して業務を開始し,同年10月には福祉工場が完成し,同年11月には同工場のE業を開始した。ウ同工場は,以後,上記施設の園生の社会復帰を目的とする職業指導・訓練の施設として,運営された。 の形態での設立を検討していたが,最終的には株式会社として設立することになり,上記企業の協力と拠出を得て,平成2年11月14日,iの前身である「株式会社o」が設立された。イ同社は,平成3年3月に商号を「株式会社i」に変更して業務を開始し,同年10月には福祉工場が完成し,同年11月には同工場のE業を開始した。ウ同工場は,以後,上記施設の園生の社会復帰を目的とする職業指導・訓練の施設として,運営された。(4) 被告B1は,原告A1について,福祉に情熱を燃やす好青年であるとの印象を抱いており,同人を信頼していたことから,同人に関する(2)のうわさを耳にしても,大して気に留めていなかった。しかし,平成6年2月,原告A1と当時被告事務局の総務課長であった原告A2が,被告B1に対し,iから同社の工場を賃借する案件の決裁を求めたのに対し,被告B1が,大して必要性も認められず,また,賃借料も高額過ぎることから,もう一度見直すよう指示したところ,原告A1及び同A2が,これに納得せず,執拗に決裁を求めて来たことがあった。被告B1は,そのときの原告A1及び同A2の態度を見て,あるいは原告A1とiの癒着のうわさは本当であるかも知れないと思うようになった。被告B1は,仮にうわさが真実であれば,社会福祉法人として税金で運営されている被告恵泉会の予算が不透明な形で民間業者に流れることになるが,このようなことは到底許されることではなく,同事実が世間に広く知れ渡れば大変なことになること,原告A1の被告恵泉会に対する今までの功績を 被告恵泉会の予算が不透明な形で民間業者に流れることになるが,このようなことは到底許されることではなく,同事実が世間に広く知れ渡れば大変なことになること,原告A1の被告恵泉会に対する今までの功績を考えれば,同人はこの先も被告恵泉会にとって必要な人材であり,これ以上,被告恵泉会の内部において悪いうわさが立つのは好ましくないことから,このまま同人を事務局長の職に留めておくわけにはいかないのではないかと考えるようになった。そして,できれば,同人を傷つけない形で同人に反省を促しつつ,被告恵泉会の立て直しを図りたいとの思いから,思案の末,原告A1を施設長職に昇進させて同人の体面を傷つけないようにするとともに,被告恵泉会の事務局長職は廃止し,代わりに常務理事制を導入して常務理事に被告事務局を監督させることを思い立った。 くないことから,このまま同人を事務局長の職に留めておくわけにはいかないのではないかと考えるようになった。そして,できれば,同人を傷つけない形で同人に反省を促しつつ,被告恵泉会の立て直しを図りたいとの思いから,思案の末,原告A1を施設長職に昇進させて同人の体面を傷つけないようにするとともに,被告恵泉会の事務局長職は廃止し,代わりに常務理事制を導入して常務理事に被告事務局を監督させることを思い立った。(5) 被告B1は,平成6年3月,亡Cに対し,原告A1について,(2)のような疑念があるが,必ずしも事実無根とは言い切れず,同疑念を払拭できないこと,同人はこれからも被告恵泉会にとっては必要な人材であり,このままにしておくことは,同人にとっても被告恵泉会にとっても好ましいことではないこと,ついては,同人に反省を促しつつ,被告恵泉会を立て直す方法として,同人については施設長職に昇進させるとともに,事務局長職についてはこれを廃止し,代わりに常務理事制を導入して常務理事に被告事務局の監督に当たらせたいと考えていることを打ち明け,初代事務局長である亡Cに常務理事に就任してもらいたいと要請した。しかし,亡Cは,原告A1とは叔父と甥の関係にあり,できれば同人に恨まれるようなことはしたくないという気持があったことから,即答はしなかった。(6) 被告B1は,同年4月8日,自宅に原告A1を呼び出し,同人につ A1とは叔父と甥の関係にあり,できれば同人に恨まれるようなことはしたくないという気持があったことから,即答はしなかった。(6) 被告B1は,同年4月8日,自宅に原告A1を呼び出し,同人についていろいろな業者から物をもらっている,業者と癒着しているなどというような悪いうわさがあるから,一度,被告事務局から外に出た方が良い,今度の人事異動で新しい施設でもどこでも良いから希望の施設の施設長に出たらどうかと話しを向けた。原告A1は,突然の話に驚き,「そういうことはございません。」などと否定していたが,被告B1との間で,「御中元や御歳暮をもらったら何か返せばいいんだ。」,「いや,返しています。」などとやりとりを繰り返したのち,最終的には,それでは,迫風園の方にお願いしますと言って,異動を了解した。被告B1は,原告A1が異動を了解したことから,続けて,同人に対し,同人の異動を機に被告恵泉会に常務理事を置くこと,ついては,亡Cに同職に就任してもらうつもりであることを説明し,これから亡C宅に向かうから車で送るようにと依頼して,同人らは亡C宅に向かった。 せばいいんだ。」,「いや,返しています。」などとやりとりを繰り返したのち,最終的には,それでは,迫風園の方にお願いしますと言って,異動を了解した。被告B1は,原告A1が異動を了解したことから,続けて,同人に対し,同人の異動を機に被告恵泉会に常務理事を置くこと,ついては,亡Cに同職に就任してもらうつもりであることを説明し,これから亡C宅に向かうから車で送るようにと依頼して,同人らは亡C宅に向かった。常務理事就任の要請を受けた亡Cは,最初のうちは,もう歳だからなどと言ってこれを断っていたが,被告B1に重ねて要請されるに及び,被告B1から常務理事就任の要請を受けるのは既に三度目であったこと,今回は原告A1を伴って訪れたことから,同人との間でも話がついたものと考えて,最終的には,常務理事就任を内諾した。(7) 突然の施設長への転出の話を左遷と考えた原告A1は,亡C宅を出て,被告B1を自宅まで送り届けた後,被告事務局に戻り,部下で被告事務局総務課長の原告A2,企画調整課長のN,総務係長のKら被告事務局の幹部らに対し,被告B1から人事異動の内示があ 1は,亡C宅を出て,被告B1を自宅まで送り届けた後,被告事務局に戻り,部下で被告事務局総務課長の原告A2,企画調整課長のN,総務係長のKら被告事務局の幹部らに対し,被告B1から人事異動の内示があったこと,常務理事制導入の話があったことを報告するとともに,自分の被告恵泉会に対するこれまでの功績や,自分が事務局長にいなければ被告恵泉会は成り立たないこと,常務理事制は不要であることなどを述べて不満をあらわにした。そして,原告A1は,亡Cが就任を断れば,常務理事制の話は立ち消えになると考え,当時若草園施設長のJ,原告A2,N,Kの4名を伴って,亡Cに面会し,常務理事就任を断るよう要請することとした。原告A1は,原告A2,J,N,Kの4名を伴って,同月14日,亡Cを,登米町の料亭に呼び出し,被告恵泉会の設立当時とは法律も改正されたし,被告恵泉会の職員数も増えた,老齢で全てを取り仕切るのは大変であるなどと話して常務理事就任を断るよう説得を試みた。しかし,亡Cが一つ一つ反論したことから,原告A1は,亡Cに対し,「あなたでは常務理事は務まらない。」,「90歳の理事長と80歳の常務理事で何ができる。恵泉会の本部は老人ホームではない。」などと語気を強めたり,逆に一同で頭を下げるなどして,執拗に常務理事就任を思いとどまるよう迫った。 たし,被告恵泉会の職員数も増えた,老齢で全てを取り仕切るのは大変であるなどと話して常務理事就任を断るよう説得を試みた。しかし,亡Cが一つ一つ反論したことから,原告A1は,亡Cに対し,「あなたでは常務理事は務まらない。」,「90歳の理事長と80歳の常務理事で何ができる。恵泉会の本部は老人ホームではない。」などと語気を強めたり,逆に一同で頭を下げるなどして,執拗に常務理事就任を思いとどまるよう迫った。亡Cは,その場では常務理事就任を引き受けるとも断るとも明言しなかったが,この出来事を受けて,常務理事就任の決意を固めた。(8) 同年5月1日,原告A1は老人福祉施設である迫風園施設長の辞令を受けて転任し,同A2は事務局長心得兼総務課長の辞令を受けた。被告B1は,早期の常務理事制導入を目指したが,この間,原告A1は,被告事務局の職員である原告A2,N,Kらに対し,常 令を受けて転任し,同A2は事務局長心得兼総務課長の辞令を受けた。被告B1は,早期の常務理事制導入を目指したが,この間,原告A1は,被告事務局の職員である原告A2,N,Kらに対し,常務理事制の導入を少しでも遅らせるために,定款変更などの事務手続を積極的には進めないよう指示した。原告A2は,同月中旬ころ,被告B1に対し,そのような事実がないにもかかわらず,常務理事制導入に関し県に相談したところ,財政的な面で問題がある旨の指摘を受けたなどと虚偽の報告をした。このため,常務理事制の導入は,当初の予定より1か月ほど遅れ,同年6月28日に被告理事会で定款変更が議決され,同年7月13日の県の認可を受けて,同月25日,亡Cが常務理事に就任した。(9) 亡Cが常務理事に就任した翌日,iの副社長O(以下「O副社長」という。)が,被告事務局を訪れ,亡Cに対し面談を求めた。亡Cが,原告A2とともに,役員室で面会すると,O副社長は,亡Cに対し,「原告A1は被告恵泉会にとって一番の功労者であるから,同人を外に出しておくわけにはいかない。同人を迫風園から被告事務局に戻し,同人と原告A2を理事にしろ。」と要求した。O副社長は,「常務さえうんと言えば,すぐ戻れるんだから戻せ。」というような趣旨の発言を繰り返し,原告A2に対し,「なあ,A2。」などと言って同意を求めたが,原告A2は,黙ったままであった。亡Cが,そのようなことはできないとして,なおもこれを断ると,O副社長は,「常務爆破だ,一発でパーだぞ。 を外に出しておくわけにはいかない。同人を迫風園から被告事務局に戻し,同人と原告A2を理事にしろ。」と要求した。O副社長は,「常務さえうんと言えば,すぐ戻れるんだから戻せ。」というような趣旨の発言を繰り返し,原告A2に対し,「なあ,A2。」などと言って同意を求めたが,原告A2は,黙ったままであった。亡Cが,そのようなことはできないとして,なおもこれを断ると,O副社長は,「常務爆破だ,一発でパーだぞ。」などと意味不明のことを述べて帰っていった。亡Cは,常務理事就任早々,なぜ出入りの業者であるiの副社長がこのようなことに口出ししなければならないのか,非常に疑問を だ,一発でパーだぞ。」などと意味不明のことを述べて帰っていった。亡Cは,常務理事就任早々,なぜ出入りの業者であるiの副社長がこのようなことに口出ししなければならないのか,非常に疑問を感じた。(10) 亡Cは,常務理事就任後,理事長である被告B1の命を受けて,iとの間の福祉工場の賃貸借契約など各種契約関係の調査や,人事の不公正を是正するために,過去の人事関係の調査を開始した。調査を進めると,iとの関係では,取引しているおむつや寝具の単価が県内の他施設より高く設定されていること,使用されていないにもかかわらず,工場の駐車場の使用料として年間180万円が支払われていること,特に指導など何もされていないのに,平成6年度予算において,技術指導料という名目で,約730万円が計上されていること,福祉工場の賃借料についても,平成6年度予算において,合計530万円が計上されていたが,立地条件等を考慮すると異常に高額であったこと,その他同社に委託されていた洗濯業務の委託費も,同社にかかる人件費や洗剤,燃料の費用などを考慮しても,異常に高額であったこと,原告A1が事務局長のときに編成された平成6年度予算で,同社に対する支出が突然前年比1500万円増となっていることなど,癒着のうわさを裏付けるような事実が次々に判明した。また,人事関係についても,原告A1が事務局長を務めていたころの職員の人事異動や昇給の一部が,不公正な扱いではないかと思われた。亡Cは,被告事務局を指揮して上記調査を進め,原告A2に対しても,同調査をするよう指示したが,原告A2は,事務局長心得兼総務課長の職にありながら,これに従おうとしなかった。(11) 亡Cが調査を進め,各契約の見直しを検討していた同年9月,O副社長が うな事実が次々に判明した。また,人事関係についても,原告A1が事務局長を務めていたころの職員の人事異動や昇給の一部が,不公正な扱いではないかと思われた。亡Cは,被告事務局を指揮して上記調査を進め,原告A2に対しても,同調査をするよう指示したが,原告A2は,事務局長心得兼総務課長の職にありながら,これに従おうとしなかった。(11) 亡Cが調査を進め,各契約の見直しを検討していた同年9月,O副社長が も,同調査をするよう指示したが,原告A2は,事務局長心得兼総務課長の職にありながら,これに従おうとしなかった。(11) 亡Cが調査を進め,各契約の見直しを検討していた同年9月,O副社長が,再び被告事務局を訪れ,来年度についても,例年どおりの内容で契約するよう要請した。応対した亡Cが,「そういうわけにはいかない。現在,事実関係を調査中であり,調査の結果によって改めて考えましょう。」と返事をすると,O副社長は,「原告A1との間では,iが被告恵泉会のために福祉工場を建設する代わりに,建設費のうち銀行からの借入分については,被告恵泉会が支払うという話になっていた。被告恵泉会から頼まれて工場を建てたのだから,借入金の返済は被告恵泉会が行うのが当たり前だ。今までどおりやってもらわなければ困る。」などと述べた。驚いた亡Cは,同年10月3日,被告恵泉会の設立20周年記念式典の際に,原告A1に対し,上記O副社長とのやりとりについて事実関係を確認しようとしたところ,同人は,「今まで大過なくやってきているのに今更いろいろ言うのはおかしい。なんだかんだ言ってiの社長らに損をさせるわけにはいかない。」などと述べるにとどまり,肝心の点については明確には答えなかった。(12) 平成7年度以降,被告恵泉会は,iとの間で,各種契約関係の条件の見直しを進めたが,その中で,O副社長は相変わらず,亡Cに対し,原告A1との間では,同社には損をさせないという約束になっていたと何度も繰り返した。そこで,亡Cは,平成9年1月27日,光風園を訪ねて,原告A1に対し,この点を再度問いただしたが,同人は,若草園の前施設長Pと若葉園の前施設長Qと亡Gがやったことであって,自分は事務処理を担当しただけでやっていないと答えた。,光風園を訪ねて,原告A1に対し,この点を再度問いただしたが,同人は,若草園の前施設長Pと若葉園の前施設長Qと亡Gがやったことであって,自分は事務処理を担当しただけでやっていないと答えた。 Cは,平成9年1月27日,光風園を訪ねて,原告A1に対し,この点を再度問いただしたが,同人は,若草園の前施設長Pと若葉園の前施設長Qと亡Gがやったことであって,自分は事務処理を担当しただけでやっていないと答えた。,光風園を訪ねて,原告A1に対し,この点を再度問いただしたが,同人は,若草園の前施設長Pと若葉園の前施設長Qと亡Gがやったことであって,自分は事務処理を担当しただけでやっていないと答えた。これを受けて,亡Cは,O副社長に,もう一度,本当に原告A1が上記の趣旨の発言をしたのかどうか念を押して確認したところ,それでも,間違いないと何度も言うことから,これは,本当に癒着があったのではないかと強く疑念を抱くようになった。(13) 一方,原告A1は,迫風園施設長への転任を降格人事と考え,勤務時間中,施設内において,部下の職員らに対し,被告B1や亡Cらを指して老害だなどと公然と執行部の批判を繰り返した。原告A2も,平成7年4月に老人福祉施設である光風園次長に転任になるまでの間,事務局長心得兼総務課長として,亡Cの下で仕事をしながら,亡Cの指示に従おうとしなかった。平成7年10月1日,被告B1は,給与体系の是正のため,全職員を対象に俸給を1号俸昇級させたが,原告A1は,職員の面前で,「何もないのに全員1号俸上げるとはなんだ。退職金のためにためておいた金はどうなるんだ。年寄りには任せてはいられない。もう沢山だ。」などと執行部を批判した。また,平成8年1月,当時光風園次長であった原告A2は,新規採用したばかりの看護婦が採用から3日で退職願を出したにもかからず,格別理由も聞かずにこれを亡Cに報告した。亡Cは,原告A2に対し,まず,本人から理由を聞くよう指示したところ,被告事務局の職員の面前で,「それなら,退職の辞令を渡すときにあなた(亡C)が聞けばよい。」などと言って,指示に従おうとしなかった。さらに,被告恵泉会では,人事異動は,まず各施設の施設長を集めてこれを内示し,各施設長の意見も踏 辞令を渡すときにあなた(亡C)が聞けばよい。」などと言って,指示に従おうとしなかった。さらに,被告恵泉会では,人事異動は,まず各施設の施設長を集めてこれを内示し,各施設長の意見も踏まえた上で決定することになっていたところ,同年3月18日の人事異動の内示の際,原告A1自身は自らの代わりに総務課長を出席させた。 に,被告恵泉会では,人事異動は,まず各施設の施設長を集めてこれを内示し,各施設長の意見も踏 辞令を渡すときにあなた(亡C)が聞けばよい。」などと言って,指示に従おうとしなかった。さらに,被告恵泉会では,人事異動は,まず各施設の施設長を集めてこれを内示し,各施設長の意見も踏まえた上で決定することになっていたところ,同年3月18日の人事異動の内示の際,原告A1自身は自らの代わりに総務課長を出席させた。亡Cは,原告A1に対し,「人事異動の内示に施設長が来ないというのはどういうことか。」と注意したが,原告A1は,「代わりの者をよこしたのだからいいではないか。」と反論した。(14) 同年4月1日,原告A1は光風園施設長に,同A2は萩風園総務課長にそれぞれ転任した。(15) 同年8月9日,各施設の職員の代表者が集まり,その研究の成果を発表する場である職員研修大会が開かれ,各施設の施設長は大会の顧問を務めることとなっていたが,原告A1はこれを欠席した。亡Cが,職員に事情を聞いたところ,原告A1は大会の前日から東京ドームにプロ野球の観戦に行っており,当日の午前中は年次休暇を取っていて,午後に帰ってくる予定であることが判明した。後日,亡Cは,原告A1に対し,「自分の施設の職員が何か月も前から準備して来た研究の成果を発表する大会なのに,施設長がそういうことではだめではないか。」とこれを戒めたが,原告A1は,聞く耳を持たない態度であった。(16) 同年9月,亡Gは,11月の理事改選を控え,原告A1と同A2が,職員の前で,公然と,理事長(被告B1)と常務理事(亡C)を今度の理事改選のときには一泡吹かせてやるなどと話しているのを耳にした。また,同年10月,当時,萩風園総務課長であった原告A2は,施設長である原告B6に対し,今度の改選ではあなた(原告B6)の再選はないな は一泡吹かせてやるなどと話しているのを耳にした。また,同年10月,当時,萩風園総務課長であった原告A2は,施設長である原告B6に対し,今度の改選ではあなた(原告B6)の再選はないなどと申し向けた。被告B1と亡Cは,これらの報告を受けるたびに,原告A1及び同A2に対し,口頭で注意したが,同人らは一向に耳を貸そうとしなかった。(17) その後も,亡Cのところには,原告A2は,出勤しても,二日酔いで寝ていたり,どこかに行ってしまったりするなど勤務態度が悪いとか,原告A1は,被告事務局に何の相談もしないまま,対外的な場でMRSA感染者も施設に引き受ける旨の話をしたとかの報告があった。 と申し向けた。被告B1と亡Cは,これらの報告を受けるたびに,原告A1及び同A2に対し,口頭で注意したが,同人らは一向に耳を貸そうとしなかった。(17) その後も,亡Cのところには,原告A2は,出勤しても,二日酔いで寝ていたり,どこかに行ってしまったりするなど勤務態度が悪いとか,原告A1は,被告事務局に何の相談もしないまま,対外的な場でMRSA感染者も施設に引き受ける旨の話をしたとかの報告があった。亡Cや被告B1が,ことあるごとに注意しても,原告A1や同A2は耳を貸さず,職員の前で,被告B1や亡Cら執行部を指して,老害だとか,老人パワーのワンマンショーだとか,90歳になる理事長と80歳になる常務理事で何ができるなどと批判を繰り返した。そして,被告恵泉会の職員の中には,原告A1及び同A2と同調する者が現れるようになった。(18) 亡Cは,平成9年1月,関係者からの度重なる事情聴取の結果,原告A1及び同A2が,iに対し,同社の経営が経済的に立ち行かなくなったときは被告恵泉会が責任を持つという趣旨の発言を繰り返していたこと,同社との間では合計約1500万円もの不必要または不相当な契約がなされていたこと,契約関係を操作して同社にマージンを稼がせるなどしていたことなど,原告A1及び同A2とiとの間には,癒着と評価されるべき事実が存在したと確信を抱くに至り,同人らには何らかの処分が必要であると思われる旨,被告B1に報告した。被告B1も,原告A1及び同A2が,公然と被告恵泉会の執行部 癒着と評価されるべき事実が存在したと確信を抱くに至り,同人らには何らかの処分が必要であると思われる旨,被告B1に報告した。被告B1も,原告A1及び同A2が,公然と被告恵泉会の執行部批判を繰り返していること,両名とも管理職であるにもかかわらずその勤務態度が悪いこと,これを注意しても一向に改まる気配がないことに手を焼いていたことを併せ考慮すると,もはや処分はやむを得ないとして,亡Cに対し,まず,被告恵泉会の規則や法規,関係当局の指導を調査するよう指示した。そして,亡Cと被告B1は,何度かの協議の末,原告A1と同A2については停職程度の処分は考えなければならないとの結論に達した。(19) 亡Cは,同年3月,被告事務局に対し,原告A1及び同A2の処分を被告理事会に諮るため,同人らの処分案を同月18日に開催される予定であった被告恵泉会平成8年度第9回理事会に上程して付議すべく準備をするよう指示した。 泉会の規則や法規,関係当局の指導を調査するよう指示した。そして,亡Cと被告B1は,何度かの協議の末,原告A1と同A2については停職程度の処分は考えなければならないとの結論に達した。(19) 亡Cは,同年3月,被告事務局に対し,原告A1及び同A2の処分を被告理事会に諮るため,同人らの処分案を同月18日に開催される予定であった被告恵泉会平成8年度第9回理事会に上程して付議すべく準備をするよう指示した。これを受けて,被告事務局は,原告A1及び同A2の処分について,次の内容の告知書と処分事由説明書を作成した。ア原告A1(ア) 懲戒処分の区分a 職員就業規則第58条(3)の停職b 実施の日付・期間平成9年4月1日から1年以内の期間(イ) 処分の事由(職員就業規則第57条(2)(3))a 特定業者との契約についてb 規則に違反した人事c 本法人の役員人事に干渉した(ウ) 処分事由の説明a 特定業者とある約束をして,かなり金額を上乗せして多数の年間契約をしている。(a) 自家水道使用の年間契 した(ウ) 処分事由の説明a 特定業者とある約束をして,かなり金額を上乗せして多数の年間契約をしている。(a) 自家水道使用の年間契約(b) 洗濯業務(委託料)の年間契約(c) おむつリース料の年間契約b 執拗に本法人役員人事に干渉している(a) 元若草園長の退職について(b) 常務理事就任について妨害行為をしているc 清掃業者(S社)の専務が当社,会計上に不正支出したとして警察に訴えたところ,取調べ中,A1名,A2名が出ていたことが判明し,原本の写しが当法人に来ている。イ原告A2(ア) 懲戒処分の区分a 職員就業規則第58条(3)の停職b 実施の日付・期間平成9年4月1日から1年以内の期間(イ) 処分の事由(職員就業規則第57条(2)(3))a 肩書きを詐称したb 本法人に損害を与えたc 本法人の役員人事に執拗に介入した(ウ) 処分事由の説明a 肩書を詐称した。b 特定業者(会社)の利益を図った。c 役員人事に執拗に介入した。d 光風園,萩風園における過去2か年の勤務は,管理職として職責をほとんど果たしていなかった。上記処分と並んで,同年4月1日付けで,原告A1を光風園施設長から南風園総務課長に,原告A2を萩風園総務課長から平職員にそれぞれ降格する人事案が策定された(以上 果たしていなかった。 人事に執拗に介入した(ウ) 処分事由の説明a 肩書を詐称した。b 特定業者(会社)の利益を図った。c 役員人事に執拗に介入した。d 光風園,萩風園における過去2か年の勤務は,管理職として職責をほとんど果たしていなかった。上記処分と並んで,同年4月1日付けで,原告A1を光風園施設長から南風園総務課長に,原告A2を萩風園総務課長から平職員にそれぞれ降格する人事案が策定された(以上 果たしていなかった。上記処分と並んで,同年4月1日付けで,原告A1を光風園施設長から南風園総務課長に,原告A2を萩風園総務課長から平職員にそれぞれ降格する人事案が策定された(以上の処分,処遇案件を,以下「本件人事案件」という。)。(20) 同月上旬,被告事務局の担当者は,所轄の瀬峰労働基準監督署を訪ね,上記懲戒処分について相談した。その際,同署の係官から,処分に当たっては,本人を納得させて,なるべく穏便にこれを行うのが望ましいとの指導を受けた。亡Cは,そのころ,光風園を訪れ,原告A1に対し,同人を停職処分にする考えがあること及び同年4月の人事異動で同人を施設長職から課長職に,原告A2を課長職から平職員に降格する予定であることを告げた。その上で,亡Cは,原告A1に対し,これまでの執行部批判などの言動を素直に認め,理事長である被告B1に謝罪するとともに,原告A2と手を切るよう説得を試みたが,原告A1は,これを聞き入れず,降格は受け入れられないなどと反発した。亡Cは,原告A2に対しても,総務課の職員を介して出頭を促すなどして,同様の説得を試みようとしたが,同人は「理事会の結果を見ていろ。」などと言って,話し合いを拒んで出頭しなかった。同月15日,原告A2の義理の兄に当たるMを自宅に呼んで,原告A2のiとの癒着などは,被告恵泉会の職員としてあるべき行為ではない旨を伝え,同人に対する停職などの処分を検討中であることを伝えた。(21) 自らの人事案件が被告理事会に上程されることを知った原告A1と同A2は,これを阻止するため,被告理事会の開催に先立ち,理事らに対し,勤務態度などについて弁明しておく必要があると考えるとともに,光風園次長の原告A3及び同総務課長の被告A4に対 知った原告A1と同A2は,これを阻止するため,被告理事会の開催に先立ち,理事らに対し,勤務態度などについて弁明しておく必要があると考えるとともに,光風園次長の原告A3及び同総務課長の被告A4に対し,このような人事案件がまかり通れば決して他人事ではないなどと話した。 催に先立ち,理事らに対し,勤務態度などについて弁明しておく必要があると考えるとともに,光風園次長の原告A3及び同総務課長の被告A4に対 知った原告A1と同A2は,これを阻止するため,被告理事会の開催に先立ち,理事らに対し,勤務態度などについて弁明しておく必要があると考えるとともに,光風園次長の原告A3及び同総務課長の被告A4に対し,このような人事案件がまかり通れば決して他人事ではないなどと話した。この降格人事案件を知った原告A3や被告A4は,これを阻止するため,その撤回を求める嘆願書に被告恵泉会の職員の署名を集めることを画策し,同月16日,迫町の寿司屋に,松風園総務課長R,迫風園次長T,南風園養護課長Lを呼び出した。そして,同人らに対し,原告A2が,平成7年4月1日に被告事務局長心得から光風園次長に,平成8年4月1日には光風園次長から,萩風園総務課長にそれぞれ降格されたことを引き合いに出し,今度の理事会で更に原告A1と同A2が降格されようとしているが,これは理不尽な人事であること,その背景には,当時若草園の施設長であった亡Gと萩風園及び菊風荘施設長を兼務していた原告B6が人事に不当に介入している事実があること,このような人事がまかり通れば決して他人事ではないこと,理事の大半も味方につく見込みであることなどを告げて,被告恵泉会の体質改善と民主化のために協力するよう要請し,Rらに,さも,亡Gや原告B6が理事長である被告B1らに告げ口をして人事が左右されようとしていると思い込ませて,その協力を取り付けた。原告A1は,理事らに弁明するためには,まず,亡Cらが何を処分理由にしようとしているのかを知る必要があると考え,理事会が開かれる予定であった同月18日の早朝,当時,被告事務局の総務課長補佐の職にあったKの自宅に電話を架けて,同人からこれを聞き出そうとした。そのとき,原告A1は,Kに対し,「懲戒処分というのは,事務局の方で,それを止めさせなければなら ,当時,被告事務局の総務課長補佐の職にあったKの自宅に電話を架けて,同人からこれを聞き出そうとした。そのとき,原告A1は,Kに対し,「懲戒処分というのは,事務局の方で,それを止めさせなければならない。」,「体を張ってでもやれ。」,「俺は理事に対して根回しをしている。」,「A3とA4は俺のために署名活動をする。」などと話した。(22) 原告A1及び同A2は,自らの勤務態度などについての弁明として,「過去一年間に渡るC常務理事及び他職員からの本部,並びに自分に関わる出来事についての経過説明」,「Gに関する事項」,「B6園長に関する事項」,「現在に至るまでの経緯」と題する4種類のメモ(いずれも甲16の5の添付書面)を作成し,原告A2は,同日,午前10時の被告理事会の開催に先立ち,理事らが集まる合同庁舎の集合場所に赴いて,理事数名に対し,上記メモを配布した。 らの勤務態度などについての弁明として,「過去一年間に渡るC常務理事及び他職員からの本部,並びに自分に関わる出来事についての経過説明」,「Gに関する事項」,「B6園長に関する事項」,「現在に至るまでの経緯」と題する4種類のメモ(いずれも甲16の5の添付書面)を作成し,原告A2は,同日,午前10時の被告理事会の開催に先立ち,理事らが集まる合同庁舎の集合場所に赴いて,理事数名に対し,上記メモを配布した。(23) 被告恵泉会の平成8年度第9回理事会は,被告恵泉会本部において,同日午前10時から開催された。当初の予定では,原告A1の光風園施設長からの降格を含む各施設長の任免が議案として掲げられていた。しかしながら,理事・監事から,理事会の開催に先立ち原告A2が配布した4種類のメモに関する質問が相次ぎ,議案の実質的な審議に入ることができず,2日後に,再度,理事会を開いて継続審議することとなった。また,同日の夜,甲事件原告ら及び被告A4は,U理事,V理事,W理事の3名を呼び出して,上記メモに記載した内容を具体的に説明した。同月20日の理事会は秘密会の形をとって行われた。亡C及び被告B1は,出席した理事・監事に本件人事案件について説明を行ったが,理事・監事の態度ははっきりせず,停職事由についての調査結果を出すよう要求されるなどして,結局,この日の理事会に 行われた。亡C及び被告B1は,出席した理事・監事に本件人事案件について説明を行ったが,理事・監事の態度ははっきりせず,停職事由についての調査結果を出すよう要求されるなどして,結局,この日の理事会においては結論が出せず,さらに,3日後に理事会を開くこととなった。(24) 本件署名活動についてa 原告A3と被告A4は,同月21日までに,被告恵泉会の体質改善及び民主化を訴える内容の本件嘆願趣意書(別紙3)を作成し,同日の午前中,原告A3がこれを原告A1に見せると,同人は,その内容に満足して「立派じゃないか。」などと話すとともに,原告A3と被告A4に対し,同日午後の有給休暇を与えて,本件嘆願書に同意する趣旨の署名を被告恵泉会職員から急いで集めるよう指示した。b 原告A1は,同日の午後,迫風園のTから嘆願書の件で電話を受けた際,同人に対し,もうすぐ原告A3と被告A4がそちらに行くので,署名活動の方はよろしくと協力を依頼した。c 原告A3と被告A4は,RやTらを動員して,同日から翌22日にかけて,本件嘆願書の提案者として被告恵泉会職員26名の署名を得るとともに,同職員116名から本件嘆願書に同意する趣旨の署名を得た。 泉会職員から急いで集めるよう指示した。b 原告A1は,同日の午後,迫風園のTから嘆願書の件で電話を受けた際,同人に対し,もうすぐ原告A3と被告A4がそちらに行くので,署名活動の方はよろしくと協力を依頼した。c 原告A3と被告A4は,RやTらを動員して,同日から翌22日にかけて,本件嘆願書の提案者として被告恵泉会職員26名の署名を得るとともに,同職員116名から本件嘆願書に同意する趣旨の署名を得た。ちなみに,同日現在の被告恵泉会の正規職員数は262名であった。また,原告A2は,別途,同原告に係る本件同意書(別紙4)を作成し,原告A3及び被告A4とともに,被告恵泉会職員13名から本件同意書に同意する趣旨の署名を得た(以下,本件嘆願書と本件同意書に係る署名活動を「本件署名活動」という。)。d 原告A3は,被告恵泉会の職員から署名を集める際,その目的を,原告A1及び同A2に対する降格人事案件を阻止するためと説明し,「このような人事案を出すような,ボケた理事長には近いうちに退任し d 原告A3は,被告恵泉会の職員から署名を集める際,その目的を,原告A1及び同A2に対する降格人事案件を阻止するためと説明し,「このような人事案を出すような,ボケた理事長には近いうちに退任してもらう。」,「B1理事長さんには御退任いただいて,相談役,または顧問になっていただく。」などと話した。e 署名を求められた職員の中には,真意からこれに応じた者もいたが,「時間がない。」,「急を要する。」などと急かされて,十分に内容を確認しないまま署名に応じた者,「原告A1らが降格されるから助けてくれ。」,「迷惑はかけないから。」などと情に訴えられて,どうしたら良いか分からないまま,その場の雰囲気でこれに応じた者,既に署名した者の名に自分の上司の名を見て,あるいは,上司から直接に署名を求められるなどして,署名せざるを得なかった者,署名していないのはあなただけだと言われてやむなく署名した者も少なからず存在した。また,内容をよく確認せず,特に断る理由もないからなどと深く考えずに署名した者も多かった。(25) 同月22日の午後,光風園の会議室に顔を出した原告A1と同A2は,原告A3らが集めた署名を一つ一つ確認し,同人らに対し,嘆願書と署名のコピーを各理事に届けるよう指示した。これを受けて,原告A3と被告A4は,同日夜,Rらとともに,分担して,被告恵泉会の理事・監事合計11名の自宅を回り,本件嘆願書とこれに対する同意の署名に本件嘆願趣意書を添えてつづったもの及び本件同意書とこれに対する同意の署名をつづったものを配布した。 ,光風園の会議室に顔を出した原告A1と同A2は,原告A3らが集めた署名を一つ一つ確認し,同人らに対し,嘆願書と署名のコピーを各理事に届けるよう指示した。これを受けて,原告A3と被告A4は,同日夜,Rらとともに,分担して,被告恵泉会の理事・監事合計11名の自宅を回り,本件嘆願書とこれに対する同意の署名に本件嘆願趣意書を添えてつづったもの及び本件同意書とこれに対する同意の署名をつづったものを配布した。(26) 亡Cらは,原告A1及び同A2の停職事由について従前の調査結果をまとめた資料を準備して,同月23日の理事会に臨むこととしたが,その前日になって,甲事件原告らが上記(24)の活動をして (26) 亡Cらは,原告A1及び同A2の停職事由について従前の調査結果をまとめた資料を準備して,同月23日の理事会に臨むこととしたが,その前日になって,甲事件原告らが上記(24)の活動をしていることを知り,同月18日及び20日の理事会の様子から,ただでさえ理事らが本件人事案件に対して慎重であるのに,そのようなものが理事会に提出されれば,会議が紛糾して審議にならないことは間違いないと思われたこと,同日に決議できなければ,年度替わりである同年4月1日の人事異動にはもう間に合わないことから,原告A1の施設長からの降格処遇を撤回し,同人及び原告A2の停職処分を議案として提出することを断念(この撤回及び提出断念を,以下「撤回等」という。)することもやむなしと考えるに至った。そして,同月23日の理事会の席上,被告B1及び亡Cは,被告恵泉会の体質改善をうたう本件嘆願書に同意する署名数の多さを重く見た理事らから原告A1を施設長から降格させる議案の撤回を求められ,結局,これを撤回するとともに,同人及び原告A2の停職処分を正式な議案として提出しないまま,その他の施設長の任免の案件を議決して理事会を終了した。以上の結果,本件人事案件は廃案となり,実現されずに終わった。(27) 甲事件原告らとこれに同調する職員数名は,同日,光風園に集まって待機していたが,同日午後,原告A1は,被告理事会の会議の結果をX理事に電話で確認し(原告A3もV理事に同様の確認をした。),その場の者に,「理事会の結果,処分は行われないことになった。署名活動に対しても一切不問に付することとなった。」と報告した。(28) 被告恵泉会の職員の間では,本件署名活動の結果,本件人事案件が撤回等されたことから,署名した者は勝ち組,署名しなかった者は 同日,光風園に集まって待機していたが,同日午後,原告A1は,被告理事会の会議の結果をX理事に電話で確認し(原告A3もV理事に同様の確認をした。),その場の者に,「理事会の結果,処分は行われないことになった。署名活動に対しても一切不問に付することとなった。」と報告した。(28) 被告恵泉会の職員の間では,本件署名活動の結果,本件人事案件が撤回等されたことから,署名した者は勝ち組,署名しなかった者は 活動に対しても一切不問に付することとなった。」と報告した。(28) 被告恵泉会の職員の間では,本件署名活動の結果,本件人事案件が撤回等されたことから,署名した者は勝ち組,署名しなかった者は負け組などと色分けがされ,職員相互の間の関係がぎくしゃくするようになった。また,理事長が早期退陣するといううわさや,署名者は名誉毀損で訴えられるといううわさが流れ,そのたびに,多くの職員の間に不安と動揺が走った。さらに,現場においても,職員相互の人間関係にきしみが生じたことにより,当直の夜勤の際の事務引継ぎが円滑に行われないなど,円滑な介護の実施に具体的な支障が生じ,入所者からも,最近,職員の雰囲気が非常に悪くなった,笑顔がない,会話がないなどと心配する声が出るようになった。(29) 一方,甲事件原告らは,本件人事案件が撤回等された後,特に被告恵泉会の体質改善を求めるような積極的な活動を行うこともなく,同年5月ころには,原告A1及び同A2において,一部の理事の自宅を訪問し,「3月には大変お世話になりました。」などと述べて,お茶と急須の包みを差し出した。(30) 本件嘆願書等において名指しで批判された亡Gは,同年5月29日に急死した。(31) 宮城県登米郡を中心に,同県県北地方に発行部数を持つ旬刊誌県北ジャーナルは,被告恵泉会における上記一連の出来事とその経緯について取材を続け,同年6月11日から7回にわたって同事実に関する記事を同紙に掲載した。これにより,被告恵泉会における,本件人事案件をめぐる一連の出来事は,広く県北地方の住民の知るところとなり,被告恵泉会の経営に対し,地域住民からも不信感を抱かれることとなった。(32) 原告A3,被告A4及びLは,被告恵泉会の一部の職員が県北ジャーナルの取材 く県北地方の住民の知るところとなり,被告恵泉会の経営に対し,地域住民からも不信感を抱かれることとなった。 て同事実に関する記事を同紙に掲載した。これにより,被告恵泉会における,本件人事案件をめぐる一連の出来事は,広く県北地方の住民の知るところとなり,被告恵泉会の経営に対し,地域住民からも不信感を抱かれることとなった。(32) 原告A3,被告A4及びLは,被告恵泉会の一部の職員が県北ジャーナルの取材 く県北地方の住民の知るところとなり,被告恵泉会の経営に対し,地域住民からも不信感を抱かれることとなった。(32) 原告A3,被告A4及びLは,被告恵泉会の一部の職員が県北ジャーナルの取材に積極的に協力した結果,真実のゆがめられた記事が掲載されたこと,署名活動に対して不問に付すとの決議があったにもかかわらず,被告恵泉会内部において署名者に対する圧力がかけられていることなどを理由として,被告恵泉会の体質改善を求める要望書(以下「本件要望書」という。)を同年6月17日付けで作成してU理事に届け,同理事の指示により,更にW,Y,V,X,Zの各理事に配布した。本件署名活動の際に協力したRとTは,本件要望書についても協力を求められたが,今度はこれを断り,同じ頃,本件嘆願書の署名を撤回した。(33) 上記県北ジャーナルの報道後,被告恵泉会の職員の中にも,本件嘆願書への署名を撤回する者が現れた。(34) 同年7月1日,被告恵泉会の平成9年度第2回理事会が開催され,同理事会終了後の懇談会の席上,本件要望書が話題になり,理事らから,本件署名活動は,本件人事案件の阻止とともに,理事長の退任を念頭においた行為であった,同行為の結果,職場に分裂ときしみを生じ,現在も組織は二分されたままである,本件要望書のような文書が出回るのは,3月の前記理事会の審議の際に本件嘆願書等の問題や事実関係をきちんと検討しないままうやむやにしたからである,真相を究明し,処分すべきものは処分して正すべきであるとの声が挙がった。(35) 被告理事会は,同年7月8日,① 本件嘆願書等の件,② 本件要望書の件,③県北ジャーナルの報道に係る事実の真偽について,真相を究明することを目的として,被告理事会内に調査委員会を設置した。同 は,同年7月8日,① 本件嘆願書等の件,② 本件要望書の件,③県北ジャーナルの報道に係る事実の真偽について,真相を究明することを目的として,被告理事会内に調査委員会を設置した。同調査委員会は,同月から同年8月にかけて,計7回にわたって開催され,甲事件原告らを始めとする複数の関係者から事情聴取を行った。 に係る事実の真偽について,真相を究明することを目的として,被告理事会内に調査委員会を設置した。同 は,同年7月8日,① 本件嘆願書等の件,② 本件要望書の件,③県北ジャーナルの報道に係る事実の真偽について,真相を究明することを目的として,被告理事会内に調査委員会を設置した。同調査委員会は,同月から同年8月にかけて,計7回にわたって開催され,甲事件原告らを始めとする複数の関係者から事情聴取を行った。この事情聴取において,甲事件原告らは,本件嘆願書等及び本件同意書の記載に係る事実について,逐一説明を求められたものの,調査委員会の納得を得られるような説明をすることができなかった。また,県北ジャーナルの報道に係るiとの癒着の問題についても,原告A1及び同A2は,質問が核心部分に入ると,記憶にないとか忘れたとかの答えを繰り返し,疑念を払拭することができなかった。その結果,調査委員会は,確実な証拠に乏しく,また,甲事件原告らが記憶にないという趣旨の弁明を繰り返す状況の下においては,真相究明には限界があったが,甲事件原告らには,iとの癒着については,多分に疑惑が残るものであった,本件人事案件の阻止のための本件署名活動は,組織を崩壊させる行為以外の何ものでもないと結論付け,被告恵泉会の対外的な信頼と組織の秩序を回復し,法人を維持するためには甲事件原告らの懲戒処分が相当であり,処分内容は被告B1理事長に一任すべきとの内容で全委員の意見が一致した。(36) これを受けて,同年9月7日,被告恵泉会の平成9年度第4回理事会が開催され,その中で,上記調査委員会の調査結果が報告が行われ,これに引き続き,各理事が意見を述べた。審議は,午前10時から午後2時まで昼食を挟んで約4時間に及び,その結果,甲事件原告らについては,懲戒処分相当,処分内容は被告B1理事長に一任するとの結論が出された。そし を述べた。審議は,午前10時から午後2時まで昼食を挟んで約4時間に及び,その結果,甲事件原告らについては,懲戒処分相当,処分内容は被告B1理事長に一任するとの結論が出された。そして,同月12日に開催された被告恵泉会の平成9年度第5回理事会において,午後3時の開会から午後5時15分の閉会まで,被告B1理事長の提案した甲事件原告らに対する本件懲戒免職処分が検討され,約2時間の審議の結果,全理事の一致によって,同処分が決定された。 から午後2時まで昼食を挟んで約4時間に及び,その結果,甲事件原告らについては,懲戒処分相当,処分内容は被告B1理事長に一任するとの結論が出された。そして,同月12日に開催された被告恵泉会の平成9年度第5回理事会において,午後3時の開会から午後5時15分の閉会まで,被告B1理事長の提案した甲事件原告らに対する本件懲戒免職処分が検討され,約2時間の審議の結果,全理事の一致によって,同処分が決定された。2 争点(1)(本件懲戒免職処分の効力)について(1) 1の事実に徴すれば,甲事件原告ら3名による本件嘆願書等及び本件同意書の作成,平成9年3月21日から同月22日にかけて行われた本件署名活動及びこれらの書面の被告恵泉会の理事・監事に対する配布行為は,後述のとおり,いずれも,原告A1及び同A2に対する本件人事案件を阻止する目的の下,被告恵泉会の多数の職員を巻き込む形で行われたものであり,これにより,同職員の間に大きな禍根を残し,入所者に対するサービスの低下など,被告恵泉会の業務の実施にも大きな影響をもたらす結果を招いたものであったことが認められる。甲事件原告らは,平成9年3月当時,被告恵泉会において前示の各地位にあり,いずれも被告恵泉会の管理職として,所属職員を指揮監督し,組織の維持,規律を図るべき義務を負い,いやしくも,職場規律を紊乱し,職場環境の悪化をきたすような行為があれば,むしろ自らこれを阻止すべき立場にあったというべきである(乙64,弁論の全趣旨)。しかるところ,前記の行為は,以下のとおり,目的の正当性及び手段の相当性を欠き,上記のような甲事件原告らの管理職としての職務上の義務に著しく違反する行為であったというべきであり,いずれも,被告恵泉会の就業 ところ,前記の行為は,以下のとおり,目的の正当性及び手段の相当性を欠き,上記のような甲事件原告らの管理職としての職務上の義務に著しく違反する行為であったというべきであり,いずれも,被告恵泉会の就業規則第57条1号に該当する行為であるとともに,同規則第58条4号によって懲戒免職処分にするのもやむを得ない行為であると認めるのが相当である。ア本件人事案件の内容について亡Cと被告B1が,原告A1とiとの癒着の問題及び原告A1及び同A2の度重なる執行部批判とこれを注意しても一向に耳を貸さない同人らの態度から,同人らを停職処分に処するのもやむなしと考えていたことは前示1のとおりであり,本件人事案件が被告理事会に提出される直前の平成9年3月15日,Mは,亡Cから,原告A2を停職処分にすることを検討中である旨を聞かされていること,原告A1及び同A2について,それぞれ同人らを停職処分とする告知書と処分事由説明書(乙80,81)が,平成9年3月付け(日にちは空欄)で作成されていること,後記(2)イ(ア)のとおり,被告恵泉会においては,施設長以外の職員は理事長が任免し,理事会に付議する必要がないとされているから,原告A2については,平職員への降格のみであれば,理事会の議案にはならないはずであるところ,同人についても本件同意書の署名集めを行い,同月23日の理事会に先立って各理事に配布していること,その他前示1に認定した事実を総合すれば,本件人事案件は,単に降格人事案だけでなく,これと併せて原告A1及び同A2の停職処分案を含むものであり,原告A1及び同A2はこれを認識していたことが認められる。 されているから,原告A2については,平職員への降格のみであれば,理事会の議案にはならないはずであるところ,同人についても本件同意書の署名集めを行い,同月23日の理事会に先立って各理事に配布していること,その他前示1に認定した事実を総合すれば,本件人事案件は,単に降格人事案だけでなく,これと併せて原告A1及び同A2の停職処分案を含むものであり,原告A1及び同A2はこれを認識していたことが認められる。イ本件嘆願書等及び本件同意書の目的(ア) 本件嘆願書等について甲事件原告らは,本件嘆 原告A1及び同A2はこれを認識していたことが認められる。イ本件嘆願書等及び本件同意書の目的(ア) 本件嘆願書等について甲事件原告らは,本件嘆願書等の作成と署名活動は,被告恵泉会の体質改善と民主化を目的としていたものであって,本件懲戒免職処分は,その前提となる事実に誤認があり無効であると主張する。しかしながら,次のaないしg並びに前示1の一連の経緯を併せ考慮すれば,本件嘆願書等の作成と署名活動の目的は,被告恵泉会の体質改善と民主化を真の目的とするものではなく,被告恵泉会上層部の体質を批判したり,被告B1や亡Cの立場を危うくすることにより,本件人事案件の阻止を狙ったものと認められる。a 原告A1が被告事務局から転出した平成6年5月以降,同人と原告A2は,老害だなどとして,亡C及び被告B1を再三批判し,同人らが退任することを望むような発言を繰り返していた。b 原告A1と同A2は,亡Cに対する反発の中で,「次の理事改選では一泡吹かせてやる。」とか,「理事会の結果を見ていろ。」などと,被告理事会の審議が,被告B1や亡Cの思惑どおりにはいかないことを暗示するような発言をしている。c 原告A1は,理事会開催当日の平成9年3月18日の早朝,被告事務局の総務課長補佐のKの自宅に電話を架けて,懲戒処分を阻止するよう申し向けている。d 原告A3は,被告恵泉会の職員から署名を集める際,その目的を,原告A1及び同A2に対する降格人事案件を阻止するためと説明し,「このような人事案を出すような,ボケた理事長には近いうちに退任してもらう。」,「B1理事長さんには御退任いただいて,相談役,または顧問になっていただ A2に対する降格人事案件を阻止するためと説明し,「このような人事案を出すような,ボケた理事長には近いうちに退任してもらう。 。d 原告A3は,被告恵泉会の職員から署名を集める際,その目的を,原告A1及び同A2に対する降格人事案件を阻止するためと説明し,「このような人事案を出すような,ボケた理事長には近いうちに退任してもらう。」,「B1理事長さんには御退任いただいて,相談役,または顧問になっていただ A2に対する降格人事案件を阻止するためと説明し,「このような人事案を出すような,ボケた理事長には近いうちに退任してもらう。」,「B1理事長さんには御退任いただいて,相談役,または顧問になっていただく。」などと話している。e 平成9年3月の理事会で本件人事案件が撤回等された後,原告A1及び同A2は,一部の理事の自宅を訪問して,本件人事案件の撤回等について謝意を示している。f 甲事件原告らは,県北ジャーナルによる報道が始まるまで,何ら被告恵泉会の体質改善のための具体的な活動を行っていない。g 原告B6や亡Gに係る本件嘆願趣意書の記載内容について,後記のとおり,これを真実であると認めるに足りる証拠はない。(イ) 本件同意書について原告A2は,本件同意書は,自己の人事案件の撤回を求める内容のものではないから,同人に対する第2の1(2)エの処分理由の根拠にはならないと主張する。しかしながら,本件同意書の内容及び上記1に認定した一連の事実の経過に照らせば,本件人事案件の対象となっていた原告A2が,本件同意書の作成と署名活動を思いつき,本件嘆願書等の作成及び署名活動に便乗してこれを実行し,同人事案件を回避しようとしたものであることは明らかであるから,原告A2の主張は採用できない。ウ原告A1の本件署名活動への関与原告A1は,署名を集め,被告恵泉会の理事,監事に配布したのは原告A3及び同A2であって自らは本件嘆願書に係る署名活動に関与していないと主張する。しかしながら,前示1によれば,次の事実が認められる。(ア) 本件人事案件は,原告A1自身に係る停職処分等をその内容と 願書に係る署名活動に関与していないと主張する。しかしながら,前示1によれば,次の事実が認められる。(ア) 本件人事案件は,原告A1自身に係る停職処分等をその内容とするものであった。(イ) 原告A1は,亡Cから本件人事案件を告げられてこれに強く反発していた。(ウ) 本件嘆願書等の作成と署名活動の中心的役割を果たした原告A3と被告A4は,本件当時,いずれも原告A1が施設長を務める光風園の直属の部下であった。 係る署名活動に関与していないと主張する。しかしながら,前示1によれば,次の事実が認められる。(ア) 本件人事案件は,原告A1自身に係る停職処分等をその内容とするものであった。(イ) 原告A1は,亡Cから本件人事案件を告げられてこれに強く反発していた。(ウ) 本件嘆願書等の作成と署名活動の中心的役割を果たした原告A3と被告A4は,本件当時,いずれも原告A1が施設長を務める光風園の直属の部下であった。(エ) 平成9年3月18日,被告事務局のKとの電話での会話の中で,自らの停職処分を止めるよう要求するとともに,原告A3と被告A4が自分のために署名活動をする旨述べている。(オ) 同月21日には,原告A3から完成した本件嘆願書等を見せられて,「立派じゃないか。」などと述べている。(カ) 同日午後に原告A3と被告A4に対し,有給休暇を与え,同人らはこれを受けて署名活動を始めた。(キ) 同じく同日午後,Tからの電話に対し,署名活動を依頼している。(ク) 同月23日,自ら電話で理事会の内容を確認している。以上の事実を総合すれば,原告A1は,積極的に本件嘆願書等の作成及び本件署名活動並びにこれらの理事らへの配布行為に関与してこれを遂行したと認めるのが相当であるから,原告A1の主張は採用できない。エ本件嘆願趣意書及び本件同意書の記載内容の真実性(ア) 本件嘆願趣意書について同文書は,原告B6及び亡Gを名指しで,かつ,不穏当な表現方法で批判したものである。そして,次の各事実によれば,同文書の記載内容が真実である 意書について同文書は,原告B6及び亡Gを名指しで,かつ,不穏当な表現方法で批判したものである。そして,次の各事実によれば,同文書の記載内容が真実であるとはにわかに認め難く,他にこれを真実と認めるに足りる証拠はないのであって,原告A3及び被告A4は,その前提事実の裏付けを十分にとらないままその記載したものといわざるを得ない。a 原告A3は,本件第8回及び第9回口頭弁論期日における本人尋問において,同文書の記載内容について供述したが,同文書の起案者であるにもかかわらず,次の点について,質問を受けながら,得心のいく説明ができなかった。(a) 「ごく限られた人たちのみの意見で物事が決定される」の意味(b) 「非民主的な体質」の改善の方向性(c) 原告B6が,「その立場を利用して職員の手柄は自分のものとし,逆に不手際は職員のせいにしていること」,「真面目に勤務する職員の勤務評価を劣悪のものとして理事長等に報告するなど,自分の身を保障してもらう為,一般職員は虫けらのように扱っていること」の裏付け(d) 亡Gが,「職員の前で他の職員を誹謗・中傷したり,犯罪者呼ばわりしていること」,「政治家とのつながりをちらつかせていること」の裏付け(e) 亡Gが「1年も前から次年度の人事異動を口に出したり,あるいは,その異動対象者を自宅に呼び寄せ,説得しようとする」ことの裏付け及びこれが許されない根拠(f) 「さらに驚くことに,こうした人事がそのとおり実現されている」の具体的意味及び裏付け(g) 原告B6及び亡Gが「我々一般職員に圧力 職員を誹謗・中傷したり,犯罪者呼ばわりしていること」,「政治家とのつながりをちらつかせていること」の裏付け(e) 亡Gが「1年も前から次年度の人事異動を口に出したり,あるいは,その異動対象者を自宅に呼び寄せ,説得しようとする」ことの裏付け及びこれが許されない根拠(f) 「さらに驚くことに,こうした人事がそのとおり実現されている」の具体的意味及び裏付け(g) 原告B6及び亡Gが「我々一般職員に圧力 れない根拠(f) 「さらに驚くことに,こうした人事がそのとおり実現されている」の具体的意味及び裏付け(g) 原告B6及び亡Gが「我々一般職員に圧力をかけ,人事異動での制裁をちらつかせている」ことの具体的意味及び裏付けb 平成9年3月の被告理事会においては,被告恵泉会の体質改善をうたう本件嘆願書への署名の多さを重視して本件人事案件が撤回等されたのに対し,調査委員会の調査・報告を経た同年9月の被告理事会においては,甲事件原告らに対する本件懲戒免職処分に反対する理事が一人もいなかった。c 本件嘆願書の署名を中心になって集めたRとT自身が後日署名を撤回している。d 本件嘆願書の署名に応じた職員の中には,本件嘆願趣意書に記載された事実が真実か否か分からないまま署名に応じた者もおり,甲事件原告らが懲戒処分となった後の時点においてもなお,本件嘆願趣意書に書かれた事実は正しかったと認識している者はわずかに9名しかいない(乙20の1ないし141)。(イ) 本件同意書について同文書は,原告B6を名指しで,かつ,辛辣な表現で批判したものである。そして,次の点によれば,同文書の指摘する事実は疑わしいものといわざるを得ない。a 原告A2本人尋問の結果によれば,同文書の核心部分である原告B6が作り話を被告B1に報告していたという点について,断定的な記載となっているものの,原告A2は,実際には,原告B6及び被告B1に裏付けをとらないまま,原告A2の推測に基づいて記載したものであることが認められ,上記記載は確実な根拠を欠いている。b 被告恵泉会が,本件懲戒免 実際には,原告B6及び被告B1に裏付けをとらないまま,原告A2の推測に基づいて記載したものであることが認められ,上記記載は確実な根拠を欠いている。b 被告恵泉会が,本件懲戒免職処分の後に実施した職員に対するアンケートの結果(乙109の1ないし37)によれば,回答者30名のうち,本件同意書の中で摘示された被告B1の原告A2に対する指摘について,全く根拠がなく事実に反すると思っていると回答した者は,わずかに1名しかいない。 被告B1に裏付けをとらないまま,原告A2の推測に基づいて記載したものであることが認められ,上記記載は確実な根拠を欠いている。b 被告恵泉会が,本件懲戒免職処分の後に実施した職員に対するアンケートの結果(乙109の1ないし37)によれば,回答者30名のうち,本件同意書の中で摘示された被告B1の原告A2に対する指摘について,全く根拠がなく事実に反すると思っていると回答した者は,わずかに1名しかいない。オ署名取得の態様本件署名活動の結果,2日間という短い期間で,被告恵泉会の約半数の職員の署名が集められたが,その過程においては,上司に署名を求めらたり,署名していないのはあなただけだと言われてやむなく署名した者,あるいは,急を要するなどと急かされて,内容をよく確認しないまま署名した者,また,深く考えずに,その場の雰囲気で署名した者が少なくなかったことは前示1のとおりである。被告恵泉会が,本件懲戒免職処分の後に実施した職員に対するアンケートの結果(乙20の1ないし141)によれば,回答者135名のうち,本件嘆願趣意書の内容が正しかったと認識していると回答した者はわずかに9名であり,その余の126名は,正しくなかった,あるいは,未だに真実が分からないと感じている。以上によれば,本件署名活動は,本件嘆願趣意書・本件同意書の記載内容をよく吟味する間もなく,職場の上下関係などを利用して行われたものであり,これにより集められた署名は,必ずしもそのすべてが真意に基づいてなされたものと認めることはできないから,本件署名活動の態様は,問題のあるものであったというべきである。カ本件署名活動が被告恵泉会に与えた影響本件署 が真意に基づいてなされたものと認めることはできないから,本件署名活動の態様は,問題のあるものであったというべきである。カ本件署名活動が被告恵泉会に与えた影響本件署名活動の結果,本件人事案件が撤回等されたことにより,被告恵泉会の職員は,被告事務局時代から被告恵泉会内部で大きな力を持っていた原告A1らが再び大きな影響力を持つようになると考え,また,署名をしなかった者はその報復をおそれるようになったことは,推認に難くない。このことは,理事長や常務理事が当時既に高齢で,いつまでその職にとどまるか分からないことを併せ考えればなおさらである。また,署名に応じた者も,本件嘆願趣意書や本件同意書で名指しで非難された原告B6や亡Gから訴えられるのではないかと不安を抱えることになった。 力を持っていた原告A1らが再び大きな影響力を持つようになると考え,また,署名をしなかった者はその報復をおそれるようになったことは,推認に難くない。このことは,理事長や常務理事が当時既に高齢で,いつまでその職にとどまるか分からないことを併せ考えればなおさらである。また,署名に応じた者も,本件嘆願趣意書や本件同意書で名指しで非難された原告B6や亡Gから訴えられるのではないかと不安を抱えることになった。そして,署名した者は勝ち組,署名しなかった者は負け組などと色分けがされ,職員相互の間の関係がぎくしゃくするようになったこと,また,理事長が早期退陣するといううわさや,署名者は名誉毀損で訴えられるといううわさが流れ,そのたびに,多くの職員の間に不安と動揺が走ったことは前示1のとおりであり,署名に応じたか否かにかかわらず,本件署名活動が被告恵泉会の職員の間に大きな影響を残した。さらに,職員相互の人間関係にきしみが生じたことにより,当直の夜勤の際の事務引継ぎが円滑に行われないなど,現場における円滑な介護の実施に具体的な支障が生じ,入所者からも,職員の雰囲気が非常に悪いことを心配する声が出るようになったことも前示1のとおりである。したがって,本件嘆願書等及び本件同意書が,その後の被告恵泉会の業務及び被告恵泉会職員相互の関係に与えた影響はむしろ非常に大きかったというべきである。甲 である。したがって,本件嘆願書等及び本件同意書が,その後の被告恵泉会の業務及び被告恵泉会職員相互の関係に与えた影響はむしろ非常に大きかったというべきである。甲事件原告らは,本件の一連の経緯に照らせば,本件嘆願書等や本件同意書が被告恵泉会の運営に重大な支障を与えたとも被告恵泉会職員間の上下の組織秩序が蹂躙されたとも到底考えることはできないと主張するが,以上に照らしてこの主張は採用できない。キ懲戒事由該当性及び懲戒権濫用の有無前示1の認定事実及びアないしカに検討したところを前提に,甲事件原告らに懲戒事由が認められるか,懲戒事由が認められる場合,本件懲戒免職処分が処分として相当か,これが相当性を欠き,懲戒権濫用と評価されるべきものか否かについて判断する。なお,およそ,人事権者又は懲戒権者に働きかけて自己又は他人に対する処分を免れ,あるいは処遇の変更を得ようとすること自体は,一切認められないわけではなく,例えば,根拠のない事実に基づいて処分,処遇がなされようとしているときや,不当に重い処分あるいは不当な処遇がなされようとしているときに,誤解を解き又は処分や処遇の相当性がないことを訴えて自己を防御する目的で,相当な手段により人事権者又は懲戒権者に働きかけることはもとより許される行為というべきであるが,その限度を超えて,組織内部の秩序を乱し,組織の円滑な運営を損なうような手段に訴えてこれを行うことは組織の維持の観点から許されないというべきである。 されようとしているときや,不当に重い処分あるいは不当な処遇がなされようとしているときに,誤解を解き又は処分や処遇の相当性がないことを訴えて自己を防御する目的で,相当な手段により人事権者又は懲戒権者に働きかけることはもとより許される行為というべきであるが,その限度を超えて,組織内部の秩序を乱し,組織の円滑な運営を損なうような手段に訴えてこれを行うことは組織の維持の観点から許されないというべきである。(ア) まず,懲戒事由の有無について判断する。a 次の各事実によれば,平成9年3月の時点において,亡Cが原告A1及び同A2には懲戒事由があると判断したことには相当性があったというべき まず,懲戒事由の有無について判断する。a 次の各事実によれば,平成9年3月の時点において,亡Cが原告A1及び同A2には懲戒事由があると判断したことには相当性があったというべきであり,根拠のない事実に基づいて処分がなされようとしているとはいえない。(a) 本件人事案件の処分事由であるiとの癒着については,亡Cが常務理事に就任した平成6年7月以降,2年以上の時間をかけて調査を継続し,客観的な数字やiのO副社長並びに原告A1及び同A2らに対する聞き取りを経て,確信を抱くに至ったものである。(b) 亡Cからの事情聴取やのちの調査委員会における事情聴取においても,原告A1及び同A2らからは,かかる疑念を払拭するに足りる弁明が無かった。b 本件人事案件により原告A1及び同A2に課されようとしていた懲戒処分は,1年以内の停職であり,上記疑惑の重大性を考慮すれば,不当に重い処分がなされようとしていたということもできない。c 甲事件原告らは,本件嘆願趣意書の作成,本件署名活動,本件嘆願書等の理事への配布行為にそれぞれ積極的に関与してこれを遂行したが,原告A3及び被告A4らは,本件署名活動の際,被告恵泉会の理事長の進退にまで言及していたことを考えれば,一連の行為は原告A1及び同A2の防御のための限度を逸脱したものというべきである。d 本件嘆願趣意書は,その前提事実の裏付けを十分にとらないままに起案されたものであり,内容の不確かなものであるから,同趣意書に基づいて集められた本件嘆願書の署名もその真意に大きな疑問を残すものであった。e 本件同意書は,その中核をなす部分(原告B6が作り話を被告B1に報告していたと るから,同趣意書に基づいて集められた本件嘆願書の署名もその真意に大きな疑問を残すものであった。 ものというべきである。d 本件嘆願趣意書は,その前提事実の裏付けを十分にとらないままに起案されたものであり,内容の不確かなものであるから,同趣意書に基づいて集められた本件嘆願書の署名もその真意に大きな疑問を残すものであった。e 本件同意書は,その中核をなす部分(原告B6が作り話を被告B1に報告していたと るから,同趣意書に基づいて集められた本件嘆願書の署名もその真意に大きな疑問を残すものであった。e 本件同意書は,その中核をなす部分(原告B6が作り話を被告B1に報告していたというもの)について,断定的な記載となっているものの,実際には,原告B6及び被告B1に裏付けをとらないまま,原告A2の推測に基づいて記載したものであるから,同文書に同意する趣旨の署名にもやはりdと同様の問題がある。f 本件署名活動の態様は,多くの一般職員を巻き込む形で行われ,その結果,その後の被告恵泉会の職員に動揺を与え,ひいては入所者にまで不安を抱かせるなど,被告恵泉会全体に大きな影響を与えた。以上の事実を総合考慮すれば,本件署名活動は,その目的の正当性及び手段の相当性のいずれをも欠くものというべきであって,甲事件原告らの本件署名活動とこれに付随する一連の行為は,被告恵泉会の管理職としての義務に著しく反するものと認められるから,この行為は,被告恵泉会就業規則57条1号の懲戒事由に該当すると認めるのが相当である。(イ) 次に,懲戒免職処分としたことの相当性について判断する。a 原告A1について(a) 同原告は,本件嘆願趣意書の作成,本件署名活動,本件嘆願書等の理事への配布行為に積極的に関与してこれを遂行した。(b) 本件署名活動の目的は,自己に対する不当な人事案件の是正というものではなく,その実は,被告恵泉会上層部の体質を批判したり,被告B1や亡Cの立場を危うくすることにより降格や懲戒を免れることにあった。(c) 本件署名活動は,被告恵泉会の職員相互の間に大きなしこりを残し,現場における円滑な介 たり,被告B1や亡Cの立場を危うくすることにより降格や懲戒を免れることにあった。(c) 本件署名活動は,被告恵泉会の職員相互の間に大きなしこりを残し,現場における円滑な介護の実施に支障を来すなどの影響を与えた。(d) 本件署名活動が功を奏して,実際に本件人事案件が撤回等されたことにより,署名に応じなかったり,のちにこれを撤回した職員に,同原告が組織に残る限りいずれ報復されるのではないかとの恐れを抱かせた。 告B1や亡Cの立場を危うくすることにより降格や懲戒を免れることにあった。(c) 本件署名活動は,被告恵泉会の職員相互の間に大きなしこりを残し,現場における円滑な介護の実施に支障を来すなどの影響を与えた。(d) 本件署名活動が功を奏して,実際に本件人事案件が撤回等されたことにより,署名に応じなかったり,のちにこれを撤回した職員に,同原告が組織に残る限りいずれ報復されるのではないかとの恐れを抱かせた。(e) 県北ジャーナルの報道によってiとの癒着の疑惑及び本件署名活動の一部始終が広く地域住民の知るところとなって,被告恵泉会の経営に対する地域住民の信頼を失った。(f) (e)のiとの癒着の疑惑について,同原告は,亡Cによる調査の積み重ねに基づく疑惑の指摘に対し,これを払拭するに足りる弁明ができないままであった。以上の事実を総合考慮すれば,同原告を被告恵泉会から排除しなければ,組織の秩序を維持し,職場の雰囲気を回復することが図ることができず,また,被告恵泉会の経営に対する不信を払拭することができないというべきであって,被告恵泉会が,同原告につき,被告恵泉会就業規則58条4号の懲戒免職処分にしたのは相当であり,これを懲戒権濫用と評価すべき事由は認められない。b 原告A2について(a) 同原告は,原告A3及び被告A4が本件嘆願趣意書を起案して本件嘆願書に署名を集めようとしているのに便乗して,本件同意書を起案して,同時に同文書に対する署名集めを実行した。(b) 同原告は,本件同意書の内容の中核をなす部分について,裏付けをとらず,確かな根拠のない推測の 便乗して,本件同意書を起案して,同時に同文書に対する署名集めを実行した。(b) 同原告は,本件同意書の内容の中核をなす部分について,裏付けをとらず,確かな根拠のない推測のままにこれを記載した。(c) 本件署名活動の目的は,自己に対する不当な人事案件の是正というものではなく,その実は,被告恵泉会上層部の体質を批判したり,被告B1や亡Cの立場を危うくすることにより降格や懲戒を免れることにあった。(d) 本件署名活動は,被告恵泉会の職員相互の間に大きなしこりを残し,現場における円滑な介護の実施に支障を来すなどの影響を与えた。(e) 本件署名活動が功を奏して,実際に本件人事案件が撤回等されたことにより,署名に応じなかったり,のちにこれを撤回した職員に,同原告が組織に残る限りいずれ報復されるのではないかとの恐れを抱かせた。 告B1や亡Cの立場を危うくすることにより降格や懲戒を免れることにあった。(d) 本件署名活動は,被告恵泉会の職員相互の間に大きなしこりを残し,現場における円滑な介護の実施に支障を来すなどの影響を与えた。(e) 本件署名活動が功を奏して,実際に本件人事案件が撤回等されたことにより,署名に応じなかったり,のちにこれを撤回した職員に,同原告が組織に残る限りいずれ報復されるのではないかとの恐れを抱かせた。(f) 県北ジャーナルの報道によってiとの癒着の疑惑及び本件署名活動の一部始終が広く地域住民の知るところとなって,被告恵泉会の経営に対する地域住民の信頼を失った。(g) (f)のiとの癒着の疑惑について,同原告は,亡Cによる調査の積み重ねに基づく疑惑の指摘に対し,これを払拭するに足りる弁明ができないままであった。以上の事実を総合考慮すれば,同原告を被告恵泉会から排除しなければ,組織の秩序を維持し,職場の雰囲気を回復することが図ることができず,また,被告恵泉会の経営に対する不信を払拭することができないというべきであって,被告恵泉会が,同原告につき,被告恵泉会就業規則58条4号の懲戒免職処分にしたのは相当であり,これを懲戒権濫用と評価すべき事由は認められない。対する不信を払拭することができないというべきであって,被告恵泉会が,同原告につき,被告恵泉会就業規則58条4号の懲戒免職処分にしたのは相当であり,これを懲戒権濫用と評価すべき事由は認められない。c 原告A3について(a) 同原告は,本件署名活動を自ら企画・立案して直接これを実行した。(b) その目的は,不当な人事案件の是正というものではなく,その実は,被告恵泉会上層部の体質を批判したり,被告B1や亡Cの立場を危うくすることにより,原告A1や同A2に降格や懲戒を免れることにあった。(c) 原告A3は,本件署名活動に先立ち,被告A4とともに本件嘆願趣意書を起案したが,その表現方法が不穏当なばかりでなく,その前提事実の裏付けを十分にとらないままに起案した。(d) 同原告は,本件署名活動の際,単に署名を依頼するだけでなく,理事長らの退任にまで言及していた。(e) 同原告による署名取得の態様は,内容をよく吟味する間も与えず,また,職場の上下関係を利用するなど相当性を欠くものであった。(f) 本件署名活動は,被告恵泉会の職員相互の間に大きなしこりを残し,現場における円滑な介護の実施に支障を来すなどの影響を与えた。 実の裏付けを十分にとらないままに起案した。(d) 同原告は,本件署名活動の際,単に署名を依頼するだけでなく,理事長らの退任にまで言及していた。(e) 同原告による署名取得の態様は,内容をよく吟味する間も与えず,また,職場の上下関係を利用するなど相当性を欠くものであった。(f) 本件署名活動は,被告恵泉会の職員相互の間に大きなしこりを残し,現場における円滑な介護の実施に支障を来すなどの影響を与えた。以上の事実を総合考慮すれば,原告A3自身は,本件人事案件の対象者ではなかったとしても,被告恵泉会の管理職たる総務課長の立場にありながら,その秩序を乱し,その経営に対する不信を招く直接の原因を作ったというべきであるから,原告A1及び同A2と同様に,原告A3を被告恵泉会から排除しなければ,組織の秩序を維持し,職場の雰囲気を回復することが図ることができず, 経営に対する不信を招く直接の原因を作ったというべきであるから,原告A1及び同A2と同様に,原告A3を被告恵泉会から排除しなければ,組織の秩序を維持し,職場の雰囲気を回復することが図ることができず,また,被告恵泉会の経営に対する不信を払拭することができないというべきであって,被告恵泉会が,同原告につき,被告恵泉会就業規則58条4号の懲戒免職処分としたのは相当であり,これを懲戒権濫用と評価すべき事由は認められない。(ウ) 以上より,本件懲戒免職処分はいずれも理由があり,これをもって懲戒権の濫用ということはできない。(2) 甲事件原告らは,本件懲戒免職処分に手続の瑕疵があると主張するので,以下検討する。ア付帯決議違反による違法無効について甲事件原告らは,平成9年3月23日の理事会において,原告A1及び同A2に対する本件人事案件の各事由と本件嘆願書等の問題につき,今後報復人事はしない旨の付帯決議があり,その決議には何ら留保がないから,その後になされた本件懲戒免職処分は同決議に違反して無効であると主張する。しかしながら,証拠(甲50の5)によれば,同理事会において,この3日間に議論された内容は不問にするという趣旨の決議があったことは認められるが,同理事会はその大半が秘密会の形式で執り行われ,その議論された内容自体は議事録に残されておらず,何を不問にしたのか詳らかでないばかりでなく,仮に,被告理事会がした上記決議が甲事件原告らの主張するようなものであったとしても,甲事件原告らに対し,その内容を告知するなどして,約束したことを認めるに足りる証拠はないから,これによって,被告恵泉会と甲事件原告らとの間の雇用契約上何らかの効力が発生するものと解すべき根拠はなく,その後の被告理 で執り行われ,その議論された内容自体は議事録に残されておらず,何を不問にしたのか詳らかでないばかりでなく,仮に,被告理事会がした上記決議が甲事件原告らの主張するようなものであったとしても,甲事件原告らに対し,その内容を告知するなどして,約束したことを認めるに足りる証拠はないから,これによって,被告恵泉会と甲事件原告らとの間の雇用契約上何らかの効力が発生するものと解すべき根拠はなく,その後の被告理 し,その内容を告知するなどして,約束したことを認めるに足りる証拠はないから,これによって,被告恵泉会と甲事件原告らとの間の雇用契約上何らかの効力が発生するものと解すべき根拠はなく,その後の被告理事会の意思決定を拘束すべき理由とはならない。したがって,甲事件原告らの主張は採用できない。イ理事会決定手続の瑕疵について(ア) 証拠(甲12の2)によれば,被告恵泉会の定款には次の定めがあることが認められる。第6条(1) この定款に別段の定めのあるもののほか,この法人の業務の決定は,理事をもって組織する理事会によって行う。ただし,日常の軽易な業務は理事長が専決し,これを理事会に報告する。第12条(2) この法人の設置経営する施設の長(以下「施設長」という。)は,理事会の議決を経て,理事長が任免する。(3) 施設長以外の職員は,理事長が任免する。(イ) 被告恵泉会の職員を懲戒免職処分にするか否かについての決定については,日常の軽易な業務とはいえないので,定款第6条1項本文により理事会にその決定権限があると解される。そして,定款第12条2,3項の任免とは,通常の人事の場合を指し,懲戒免職処分を含まないと解するのが相当である。したがって,被告恵泉会の職員を懲戒免職処分にするには,施設長であるか否かにかかわらず,理事会で決定することが必要というべきである。(ウ) 証拠(甲50の10,11)によれば,本件においては,各理事は,懲戒免職処分を行うか否かについて決定権限が理事長にあって理事会にはないことを前提に議論をし,その上で,甲事件原告らの本件 (ウ) 証拠(甲50の10,11)によれば,本件においては,各理事は,懲戒免職処分を行うか否かについて決定権限が理事長にあって理事会にはないことを前提に議論をし,その上で,甲事件原告らの本件懲戒免職処分について理事長に一任すべく決議していることが認められる。 おいては,各理事は,懲戒免職処分を行うか否かについて決定権限が理事長にあって理事会にはないことを前提に議論をし,その上で,甲事件原告らの本件 (ウ) 証拠(甲50の10,11)によれば,本件においては,各理事は,懲戒免職処分を行うか否かについて決定権限が理事長にあって理事会にはないことを前提に議論をし,その上で,甲事件原告らの本件懲戒免職処分について理事長に一任すべく決議していることが認められる。(エ) しかしながら,前示1(35)(36)の事実に,(ウ)の認定に供した各証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実が認められる。a 各理事は,調査委員会の調査結果を受けて,長時間にわたり実質的な議論を行っている。b その議論は,最初から結論ありきというようなものではなく,中立的な立場から慎重に行われている。c 同議論の中で,甲事件原告らを懲戒免職処分とすることに反対の意見を述べる理事がいなかった。d 最終的には,理事長の方針を受けて,平成9年9月12日の理事会において,再度,理事の全員一致をもって本件懲戒免職処分を決定した。以上の事実を総合すれば,理事長に一任したといっても,単なる白紙委任ではなく,実質的にみて被告理事会が本件懲戒免職処分を決定したものと評価できる。(オ) 甲事件原告らに対する,同日の理事会における処分理由(第2の1(2)ウ)と現実の告知理由(第2の1(2)エ)では,記載文言が必ずしも同一ではないけれども,この相違は,表現ないし記載事実の精粗の差異にすぎず,処分理由の実質的な変更を伴うものとは認められないから,本件懲戒免職処分を無効ならしめる事由となるものではない。(カ) 以上によれば,本件懲戒免職処分についての理事会決定手続に甲事件原告らの主張するような瑕疵があったとは認められない。ウ弁明 効ならしめる事由となるものではない。(カ) 以上によれば,本件懲戒免職処分についての理事会決定手続に甲事件原告らの主張するような瑕疵があったとは認められない。ウ弁明の機会の欠如について被告恵泉会の役員会は,平成9年7月から8月までの間,7回にわたって調査委員会を開催し,その中で,甲事件原告ら3名から,本件懲戒免職処分の理由である本件嘆願書等の件や県北ジャーナルで報道されたiとの取引関係などについて,それぞれ,複数回にわたって事情を聴取をしたことは,前示のとおりである。 分についての理事会決定手続に甲事件原告らの主張するような瑕疵があったとは認められない。ウ弁明の機会の欠如について被告恵泉会の役員会は,平成9年7月から8月までの間,7回にわたって調査委員会を開催し,その中で,甲事件原告ら3名から,本件懲戒免職処分の理由である本件嘆願書等の件や県北ジャーナルで報道されたiとの取引関係などについて,それぞれ,複数回にわたって事情を聴取をしたことは,前示のとおりである。したがって,甲事件原告らは,十分に弁明の機会を与えられていたというべきであるから,甲事件原告らの主張は採用できない。エ二重処罰の禁止について本件懲戒免職処分は,原告A2に対する第2の1(2)エの処分理由③を検討するまでもなく有効であるから,同処分理由の違法をいう甲事件原告らの主張は採用できない。オ以上によれば,甲事件原告らに対する本件懲戒免職処分に手続上の瑕疵は認められない。(3) よって,甲事件原告らに対する本件懲戒免職処分はいずれも有効というべきであるから,その余の点について判断するまでもなく,甲事件原告らの請求は理由がない。3 争点(3)(原告B6に対する名誉毀損の成否及び損害額)について(1) 本件嘆願趣意書及び本件同意書が,原告A1,同A2,同A3及び被告A4が主体となって作成,配布したものであることは,前示1に認定した一連の事実により明らかである。証拠(甲13の1及び7)及び弁論の全趣旨によれば,両文書の記載内容のうち原告B6の主張に係る部分が同人をひぼう中傷するものであって,これが,署名活動及び理事・監事への配 らかである。証拠(甲13の1及び7)及び弁論の全趣旨によれば,両文書の記載内容のうち原告B6の主張に係る部分が同人をひぼう中傷するものであって,これが,署名活動及び理事・監事への配布の過程で,被告恵泉会内部の多数の職員と理事及び監事の目にするところとなったことにより,原告B6の名誉を毀損したことが認められる。なお,乙事件被告らは,両文書の記載が具体的な事実を摘示したものでない旨主張するが,これが具体的な事実の記載であることは,その内容から明らかであって,上記の主張は採用できない。そして,同部分の記載内容を真実であると認めることができないことは,前示2(1)エのとおりである(なお,これを真実と誤信したことに相当な理由があることの主張立証はない。)。したがって,同文書の作成目的や内容の公共性について検討するまでもなく,原告B6に対する名誉毀損が成立する。 摘示したものでない旨主張するが,これが具体的な事実の記載であることは,その内容から明らかであって,上記の主張は採用できない。そして,同部分の記載内容を真実であると認めることができないことは,前示2(1)エのとおりである(なお,これを真実と誤信したことに相当な理由があることの主張立証はない。)。したがって,同文書の作成目的や内容の公共性について検討するまでもなく,原告B6に対する名誉毀損が成立する。(2) 本件嘆願趣意書及び本件同意書が,甲事件原告ら及び被告A4による署名活動及び理事・監事への配布行為により,多くの被告恵泉会の職員,理事及び監事の目に触れることとなったこと,他方で,その記載内容は抽象的なものが多いこと,配布の対象が被告恵泉会の内部の人間に限られていること,被告恵泉会内部においても,同文書の作成と署名活動を理由とする本件懲戒免職処分により,多少なりとも原告B6の名誉が回復されたといえることなど諸般の事情を総合的に考慮すれば,本件嘆願趣意書及び本件同意書により被った原告B6の精神的苦痛を慰謝するためには30万円が相当であると認める。4 以上の次第であるから,甲事件原告らの請求をいずれも棄却することとし,原告B6の請求は,甲事件原告ら及び被告A4に対し,連帯して金30万円及びこれに対する不法行為の後の日 当であると認める。4 以上の次第であるから,甲事件原告らの請求をいずれも棄却することとし,原告B6の請求は,甲事件原告ら及び被告A4に対し,連帯して金30万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成10年7月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるので認容し,その余を棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,64条本文,65条1項本文を,仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。仙台地方裁判所第1民事部裁判長裁判官信濃孝一 裁判官岡崎克彦 裁判官寺田利彦別表平成4年度5年度6年度7年度8年度9年度工場賃借料 3,600,0005,200,0003,600,0003,600,0001,800,000技術指導料 7,319,180 工場駐車料金 1,800,000 合計 3,600,00014,319,1803,600,0003,600,0001,800,000
▼ クリックして全文を表示