主文 本件訴えを却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告が原告に対し平成12年7月21日付けでした既存宅地確認処分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,被告が原告に対して行った既存宅地確認処分の取り消しを求めた事案である。 1 争いのない事実(1) 原告は,北九州市α2397番1の土地(以下「本件土地」という。)について,平成12年7月6日付けで,被告に対し,都市計画法(平成12年法律第73号による改正前のもの。以下「法」という。)43条1項6号ロに基づく既存宅地の確認申請をし,同月10日,同申請が受理された。 (2) 被告は,同月21日付けで,前記申請に対し,既存宅地の確認処分(以下「本件処分」という。)をし,原告は,同月26日,本件処分の通知を受領した。 被告は,本件処分の際,本件土地が,法43条1項6号イに規定する地域内に存しないこと,本件土地上に建築物の新築等の行為をする場合には市長の許可が必要であること等を,既存宅地確認通知書(以下「本件確認通知書」という。)欄外に参考として記した(以下「本件付記」という。)。 (3) 原告は,同年8月4日付けで,本件処分を不服として,北九州市開発審査会に対し,審査請求を申し立てた。 (4) 審査会は,同年9月28日付けで,前記審査請求は理由がないとして,前記審査請求を棄却するとの裁決をし,原告は,同年10月3日,同裁決の通知を受領した。 原告は,同年12月26日,本件訴訟を当裁判所に提訴した。 2 争点本件の争点は,原告適格の有無,処分の違法性の有無である。 3 争点に対する当事者の主張(1) 原告適格についてア被告の主張被告は,原告の請求した法43条1項6号ロの確認申請に対し,その請求どおり本件処分を行ったのであり,原告に 法性の有無である。 3 争点に対する当事者の主張(1) 原告適格についてア被告の主張被告は,原告の請求した法43条1項6号ロの確認申請に対し,その請求どおり本件処分を行ったのであり,原告には本件処分の取り消しによって回復すべき法律上の利益を何ら有しておらず,原告適格がない。 イ原告の主張被告は,法43条1項6号の解釈を誤り,原告の請求した「市長の許可なくして建築物が建築できる」という確認申請に対し,「市長の許可を要する」確認をしたものである。原告は,被告の誤った確認の取り消しを求める法律上の利益を有している。 (2) 処分の違法性についてア原告の主張(ア) 法43条1項6号ロの確認は,同号イの要件を充たさなければ確認することはできない。すなわち,ロの確認はイの要件を前提とするものであり,ロが確認されればイの要件を充たしていることになるから,本件土地上に建築物の新築等の行為をする場合に市長の許可が不要となる。このことは,昭和57年7月16日付け建設省計民発第31号通達に,「法43条第1項第6号イの要件に該当しない土地については,同号ロの確認を行う必要がない」とされていることからも明らかである。被告は,法43条1項6号の解釈を誤って本件処分を行ったものであり,違法である。 (イ) 本件付記は,北九州市の「市街化調整区域における開発行為等の審査基準」に基づいてされているが,同審査基準は,①法43条1項6号イの前段の要件である「市街化調整区域に隣接し,又は近接し,かつ,自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であって」との記述がなく,審査基準が恣意的で同号イに反し,②同審査基準1項の「建築物の敷地相互間が50メートルの隣棟間隔で」との基準は同号イには明示されず,同審査基準を適用して ると認められる地域であって」との記述がなく,審査基準が恣意的で同号イに反し,②同審査基準1項の「建築物の敷地相互間が50メートルの隣棟間隔で」との基準は同号イには明示されず,同審査基準を適用してなされた本件処分は,同号イ後段の「おおむね50以上の建築物が連たんしている地域内に存する土地」の要件を逸脱し宅地所有者の既得権を著しく制限しているものであって,同審査基準に基づいて本件土地が同号イに規定する土地に存しないとするのは違法であるうえ,憲法29条2項の趣旨に違反している。 (ウ) 本件処分は,本件土地が法43条1項6号イ,ロの要件を充たしているにもかかわらず,同号イの要件を充たさないとしたもので違法である。 イ被告の主張(ア) 法43条1項の許可が不要になるためには,同項6号のイ及びロの両方の要件を充たしていなければならない。通常の場合であれば,事前相談において,法43条1項の建築制限を受けている土地で,同項6号により許可なく建築しようとする場合には,まず同号イの要件を充たしているかどうかを確認し,充たしている場合には,ロの確認を受けるための申請をするように説明をする。しかし,本件のように,同号イの要件を充たしていないので法43条1項の許可が必要であることを原告に説明したにもかかわらず,それを承知の上で同号ロの確認申請がされた場合には,被告としては,同号ロの要件を充たしているかどうかのみ判断して,充たしている場合には確認せざるを得ない。 (イ) 本件審査は,前記審査基準に基づいて同号ロに該当するか否かについてするものであって,同審査基準1項が法43条1項6号イの要件を充たしているかは問題にならない。 (ウ) 本件訴訟は,法43条1項6号ロの確認処分の違法性が争われているものであるから,同号イの要件を充たしているか否かは問題とはならない 法43条1項6号イの要件を充たしているかは問題にならない。 (ウ) 本件訴訟は,法43条1項6号ロの確認処分の違法性が争われているものであるから,同号イの要件を充たしているか否かは問題とはならない。 第3 争点に対する判断 1 原告適格について本件においては,原告は,被告に対し,本件土地につき法43条1項6号ロの確認申請をし,その結果,同号ロの確認がされているため,原告適格が問題となる。 この点につき,本件付記に行政処分性があるか,又は被告の同号の解釈に誤りがあり同号ロを確認するためには同号イの存在を要するとの解釈が正当である場合には,原告は本件処分を争う法律上の利益を有するといえる。そこで,以下この2点について検討する。 2 まず,法43条1項6号の解釈について検討する。 法43条1項6号は,昭和49年法律第67号による改正によって追加された規定であり,市街化調整区域内の土地であってもその土地が市街化区域と同一の日常生活圏を構成する一定規模以上の集落内にあり,しかも市街化調整区域とされた時点で既に宅地になっていること等の範囲内のものについてまで一律に市街化調整区域としての建築等の制限を行うのは実情にそぐわないとの趣旨によるものである。 ところで,法43条1項の許可なくして,同項6号規定の建築物の新築,改築又は用途の変更を行うためには,同号のイ及びロの両方の要件を充たす必要がある。 そこで同号ロの要件が同号イの要件の存在を前提としているかについて検討するに,同号イとロの要件は別個独立のものであって,同号ロの要件が同号イの要件の存在を前提とはしていないというべきである。すなわち,同号ロの要件は,確認を受けようとする土地が市街化調整区域とされた時点で既に宅地であったこと及びそれ以降現在に至るまで継続して宅地であることを要件とするものであり, いないというべきである。すなわち,同号ロの要件は,確認を受けようとする土地が市街化調整区域とされた時点で既に宅地であったこと及びそれ以降現在に至るまで継続して宅地であることを要件とするものであり,過去の一定時点から現在に至るまでの事実関係を確認するものであるのに対し,同号イの要件は,法43条1項6号に規定する建築物の新築,改築又は用途の変更を行う時点においてその土地のおかれている状況についてのものである。よって,同号イとロの要件は別個独立したものであり,原告の解釈は採用できない。 この点,原告は,昭和57年7月16日付け建設省計民発第31号の通達を根拠に,同号ロの要件は,同号イの要件を前提としている旨主張するが,前記通達は,同号ロの確認申請をするためには,相応の費用及び時間を要するところ,同号イの要件を充たしていなければ,同号ロの確認を受けていたとしても,結局法43条1項の規定する都道府県知事(政令指定都市においてはその長)の許可を要することになるため,同項6号ロの確認のための費用及び時間を申請者に負担させないようにとの配慮からなされたにとどまるものと解される。したがって,前記通達を根拠とする原告の主張は採用できない。 なお,法令上,同号イの要件を充たさない限り同号ロの確認を受けることができない旨の規定は存しないため,被告としては,同号イの要件を充たしていないにもかかわらず同号ロの確認申請がされ,その際既存宅地の確認を受けたとしても結局法43条1項の許可を要する旨の説明をしたにもかかわらず同号ロの確認申請を維持された場合には,通達を理由に拒むことはできないから,同号ロのみの確認をせざるを得ない。 3 次に本件付記に行政処分性があるかについて検討する。 同号イについては,同号に規定する建築物の新築,改築又は用途の変更を行う時点にお 拒むことはできないから,同号ロのみの確認をせざるを得ない。 3 次に本件付記に行政処分性があるかについて検討する。 同号イについては,同号に規定する建築物の新築,改築又は用途の変更を行う時点においてその土地のおかれている状況を判断するものであるから,具体的には,都市計画法施行規則60条規定の書面の交付を求める際に判断されるべきである。 そして,本件付記は,同号ロの確認をもって法43条1項の許可を要しないと誤解しないようにとの趣旨で被告が原告に教示したものに過ぎず,この付記をもって直ちに同項6号イの要件に該当しないと最終的に判断されるものではない。すなわち,同号イの要件該当性については,同号に規定する建築物の新築,改築又は用途の変更を行う時点,具体的には前記規則60条の書面交付を申請する際に判断されるべきところ,本件付記は,本件確認通知書の参考部分に「本件土地が,同法第43条第1項第6号イに規定する地域内に存することになった場合」と記載されているとおり,将来において同号イの要件を充たす場合があることを示唆していることからも,本件付記が,単なる被告の教示に過ぎないことは明らかであり,行政処分性を有しない。 また,本件確認通知書が,同号イについて最終判断していないことからも,前記規則60条の書面でないことは明らかである。 4 以上によれば,被告の法43条1項6号の解釈には誤りが無く,また本件付記には行政処分性は認められないのであり,原告の同号ロの確認申請に従い,被告は同号ロの確認をしたに過ぎないから,原告には当該処分の取り消しを求める法律上の利益を有しない。 5 よって,原告には原告適格が認められず,本件訴えは不適法であるからこれを却下することとし,訴訟費用につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 福 を有しない。 5 よって,原告には原告適格が認められず,本件訴えは不適法であるからこれを却下することとし,訴訟費用につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所第1民事部裁判長裁判官高野裕裁判官齋木稔久裁判官入江克明
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