- 1 -令和6年5月31日判決言渡同日原本交付裁判所書記官令和5年(ネ)第2172号不正競争行為差止等請求控訴事件(原審大阪地方裁判所令和4年(ワ)第3392号)口頭弁論終結日令和6年1月19日判決 控訴人(一審原告) ホワイトスター株式会社同訴訟代理人弁護士山室匡史 被控訴人(一審被告) 株式会社アトラス同訴訟代理人弁護士松村廣治 同幸田勝利同大黒光大主文 1 原判決を次のとおり変更する。 2 被控訴人は、控訴人に対し、20万円及びこれに対する令和4年6月1 0日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 3 控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は、第1、2審を通じこれを25分し、その24を控訴人の負担とし、その余を被控訴人の負担とする。 5 この判決は、第2項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は、控訴人に対し、500万円及びこれに対する令和4年6月10日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 3 被控訴人は、原判決別紙製品目録記載のペット用栄養補助食品を製造販売し - 2 -てはならない。 4 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。 5 第2項につき仮執行宣言第2 事案の概要以下で使用する略称は、特に断らない限り、原判決の例による。 1 控訴人製造販売に係る「ワンスプーン」との商品名のペット用健康補助食品(原告商 第2項につき仮執行宣言第2 事案の概要以下で使用する略称は、特に断らない限り、原判決の例による。 1 控訴人製造販売に係る「ワンスプーン」との商品名のペット用健康補助食品(原告商品)を控訴人から仕入れてインターネット上のサイトで日本国内において独占的に販売していた被控訴人は、控訴人との間の本件販売契約の終了後に、同じインターネット上のサイトで他社製造に係る原告商品と同種の商品(被告商品)を「ワンスプーンプレミアム」との商品名を付して販売(本件販 売行為)するようになった。 本件は、控訴人が被控訴人に対し、原告商品の上記商品名が周知商品表示であることを前提に、被控訴人の本件販売行為が不競法2条1項1号の不正競争に該当すると主張して、同法3条1項に基づき、被告商品の製造販売の差止めを求めるとともに、同法4条に基づき、損害賠償として500万円及びこれに 対する令和4年6月10日(訴状送達日であり、不正競争よりも後の日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求め、また、被控訴人の本件販売行為が不法行為を構成すると主張して、選択的に民法709条に基づき、上記同額の損害賠償及び遅延損害金の支払(付帯請求の起算日は、不法行為よりも後の日)を求めた事案である。 原審は、本件販売行為は不競法2条1項1号の不正競争に該当せず、また、不法行為を構成するとも認められないとして、控訴人の請求をいずれも棄却したことから、これを不服とする控訴人が本件控訴を提起した。 2 前提事実は、次のとおり補正するほか、原判決「事実及び理由」欄第2の2(原判決2頁13行目から5頁15行目まで)に記載のとおりであるから、こ れを引用する。 - 3 -(1) 原判決2頁18行目及び同頁20行目 か、原判決「事実及び理由」欄第2の2(原判決2頁13行目から5頁15行目まで)に記載のとおりであるから、こ れを引用する。 - 3 -(1) 原判決2頁18行目及び同頁20行目の「(弁論の全趣旨)」をいずれも「(当裁判所に顕著)」に改める。 (2) 原判決3頁11行目の「別紙商標権目録1記載の商標権」を「横書きした「ONESPOON」と「ワンスプーン」を2段に組み合わせてなる別紙商標権目録1記載の商標権」に改める。 (3) 原判決3頁16行目の「P4が引退する意思を示したことから」を削る。 (4) 原判決3頁18行目の「原告が」から同頁19行目の「死亡した」までを「P1が代表者を務める控訴人が、緑微研から原告商品の製造販売事業を引き継いだ」に改める。 (5) 原判決3頁23行目の「P1に」から同頁24行目の「尋ねたところ、」 を「原告商品について」に改める。 (6) 原判決4頁6行目の「その後、原告商品の海外での販路開拓には至らなかった、」を削る。 (7) 原判決4頁25行目の「袋詰め商品」の後に「・定価3960円(税込み)」を加える。 (8) 原判決4頁26行目の「(甲6、22、乙27、28)」を「(甲3、6、22、乙27、28)」に改める。 (9) 原判決5頁7行目の「令和2年11月12日、別紙商標権目録2記載の商標」を「本件販売契約存続期間中である令和2年11月12日、本件商標権1の商標と類似した字体でほぼ同一の構成からなる原判決別紙商標権目録2 記載の商標」に改める。 (10) 原判決5頁15行目末尾に改行して次のとおり加える。 「 被控訴人は、インターネットのサイト上の原告商品を販売していたページを一部改め、原告商品に関するカスタマーレビュー(高評価のものが多数を占め 原判決5頁15行目末尾に改行して次のとおり加える。 「 被控訴人は、インターネットのサイト上の原告商品を販売していたページを一部改め、原告商品に関するカスタマーレビュー(高評価のものが多数を占める。)を残したまま、これを被告商品のページに用いて本件販売 行為を開始した(甲9ないし12、20)。」 - 4 - 3 争点及び争点に関する当事者の主張は、次のとおり補正するほか、原判決「事実及び理由」欄第2の3及び4(原判決5頁16行目から9頁5行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (1) 原判決7頁8行目冒頭から同頁15行目末尾までを次のとおり改める。 「被控訴人は、原告商品を販売するために開設した複数のサイトの商品ペー ジにおいて、原告商品とは全く関わりがない別の商品である被告商品に原告商品と類似の商品名を付け、被告商品が原告商品の改良後継商品であるかのように装い、原告商品のカスタマーレビューを流用するなどして、本件販売行為を行っている。」(2) 原判決7頁21行目冒頭から8頁5行目末尾までを削除する。 (3) 原判決8頁17行目の「に係る商標」を削る。 (4) 原判決9頁2行目の「令和3年12月以降」を「令和3年12月から本件口頭弁論終結時までの間」に改める。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実 次のとおり補正するほか、原判決「事実及び理由」欄第3の1(原判決9頁7行目から13頁17行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (1) 原判決9頁23行目の「P1」から同頁24行目の「尋ねたところ、」を「原告商品について」に改める。 (2) 原判決10頁8行目の「販売の前提」を「販売を前提」に改める。 (3) 原判決10頁12行目から同頁13行目にかけて 4行目の「尋ねたところ、」を「原告商品について」に改める。 (2) 原判決10頁8行目の「販売の前提」を「販売を前提」に改める。 (3) 原判決10頁12行目から同頁13行目にかけての「引き継ぎ、同年9月にはP4は死亡した」を「引き継いだ」に改める。 (4) 原判決11頁3行目の「袋詰め商品」の後に「・定価3960円(税込み)」を加える。 (5) 原判決11頁7行目の「変更したり」の後に「(令和元年の年末頃には、 P3ないし被控訴人から、原告商品の販売者名義を控訴人から被控訴人に変 - 5 -更したいとの意向が示されていた。)」を加える。 (6) 原判決12頁1行目の「リピート商品」を「いわゆるリピート購入される商品」に改める。 (7) 原判決12頁11行目から同頁12行目にかけての「問われたのに対し、」の後に「以前にP4から商標登録を受けている旨を聞いていたことから、」 を加える。 (8) 原判決12頁17行目末尾に改行して次のとおり加える。 「 P3は、この間の令和3年11月4日、P1に対し、被控訴人から原告商品の販売に係るサイト閉鎖の連絡があったとして、同年12月20日には全てのサイトを停止するが、それまではフェイスの責任で原告商品を供 給する旨申し入れた。そこで、P1は、被控訴人に対して、上記同日まで原告商品を供給することとした。(甲4・58頁)」(9) 原判決12頁23行目から同頁24行目にかけての「「ワンスプーンの良さはそのままに、より食べやすく改良しました」」の後に「、「普段からワンスプーンが気になっていた方も、ワンスプーン食べたことある方も、ぜひ ぜひお願いします🐾」、「ONESPOONPREMIUMにアイコンを変更しました!」、「今後はリニューアル 「普段からワンスプーンが気になっていた方も、ワンスプーン食べたことある方も、ぜひ ぜひお願いします🐾」、「ONESPOONPREMIUMにアイコンを変更しました!」、「今後はリニューアル版のプレミアムを中心に発信していきます」」を加える。 (10) 原判決12頁26行目末尾に「また、楽天市場の広告には、写真画像は被告商品のものに変更したものの、その画像下部には「ワンスプーン300g」 「ワンスプーン1.2㎏(300袋セット)」など従前の記載が残されていた。」を加える。 (11) 原判決13頁1行目の「被告は」から同頁3行目の「残ったままとなっていた」までを「被控訴人は、令和3年12月20日、インスタグラムに「お待たせしました!本日からワンスプーンプレミアム一般販売STARTしま す☆」などと投稿し、同日には閉鎖する旨を告知していた複数のサイト上の - 6 -原告商品を販売していたページを一部改めて被告商品用のページとし、そのページにおいて被告商品の販売を開始しており、同ページには原告商品のカスタマーレビュー(高評価のものが多数を占める。)が残されたままになっていた」に改める。 2 本件販売行為は不競法2条1項1号の不正競争に該当するか(争点1)につ いて原判決「事実及び理由」欄第3の2(原判決13頁18行目から14頁19行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 3 被控訴人による不法行為の成否(争点2)について(1) 控訴人は、被控訴人が本件販売契約の終了後、原告商品を販売するために 開設した複数のインターネットのサイトにおいて、控訴人とは別会社製造に係る被告商品に原告商品と類似の商品名を付け、被告商品が原告商品の改良後継商品であるかのように装うとともに、上記各サイ に 開設した複数のインターネットのサイトにおいて、控訴人とは別会社製造に係る被告商品に原告商品と類似の商品名を付け、被告商品が原告商品の改良後継商品であるかのように装うとともに、上記各サイトの商品ページにおける原告商品のカスタマーレビューを被告商品に流用するなどしている本件販売行為は、不法行為を構成する旨主張する 。 前記1で補正の上引用した認定事実(9)及び(10)のとおり、被控訴人は、控訴人に対し、本件販売契約の終了に伴い、令和3年12月20日には原告商品を販売していたサイトを閉鎖する旨を伝えていたが、実際には上記サイトを閉鎖することなく、原告商品の販売終了後、上記サイト上の原告商品を販売していたページを、原告商品のカスタマーレビュー(高評価のものが多 数を占める。)を残したまま被告商品の専用ページのように一部改変し、そのページにおいて被告商品の販売を開始している。そして、同ページにおいて被控訴人が販売を開始した被告商品は、原告商品と同様にLBSが原材料の一つとして用いられていることに特徴がある原告商品と同種のペット用栄養補助食品であって、その商品名は、原告商品の商品名である「ワンスプー ン」に、一段上等・高級であることを意味する「プレミアム」との語を付加 - 7 -したにすぎない「ワンスプーンプレミアム」であり、さらには被控訴人が運営するインスタグラムや一部のサイトの被告商品のページには「ワンスプーンの良さはそのままに、より食べやすく改良しました」、「ONESPOONがリニューアルしました。」などと記載して、被告商品が「プレミアム」の語を商品名に付加するにふさわしい原告商品を改良した後継商品であると 理解されるような説明が付されている。 以上のような被告商品及び被告商品販売のための どと記載して、被告商品が「プレミアム」の語を商品名に付加するにふさわしい原告商品を改良した後継商品であると 理解されるような説明が付されている。 以上のような被告商品及び被告商品販売のための商品ページの体裁等に加え、もともとペット用栄養補助食品である原告商品はいわゆるリピート購入される商品であり(認定事実(8))、被控訴人がカスタマーレビューを流用したサイトの商品ページはもともと原告商品の商品ページであって同サイト は原告商品をリピート購入していた需要者が原告商品を購入することを目的にアクセスすることが見込まれるものであること、とりわけ日本国内で原告商品を購入するためには、被控訴人が開設した上記サイトにアクセスするしかなかったことからすると、被控訴人が、原告商品の販売を終了した後に、原告商品の商品ページを上記限度で一部改変するのみで、同ページにおいて、 原告商品とは別会社の製造に係る被告商品に原告商品の改良品ないし後継商品と誤認される商品名を付して販売する行為(一部のサイトの商品ページには、さらに改良品ないし後継商品であると理解される説明を付すなどもしている。)は、上記サイトにサクセスして被告商品ページを閲覧した者のうちに新規の需要者が含まれることを考慮したとしても、アクセス者の多くが原 告商品をリピート購入しようとする需要者であると考えられる以上、被告商品ページを介して被告商品に接する者に生じ得る誤認を利用して、原告商品をリピート購入していた需要者に対して被告商品を販売しようとしていたものとの推認するのが相当である。 そうすると、原告商品の商品名自体が不競法上の周知商品等表示と認めら れず、本件販売行為が不正競争を構成しないとしても、需要者の誤認を利用 - 8 -するものといえる上記被控訴 。 そうすると、原告商品の商品名自体が不競法上の周知商品等表示と認めら れず、本件販売行為が不正競争を構成しないとしても、需要者の誤認を利用 - 8 -するものといえる上記被控訴人による被告商品の販売態様は、自由競争の範囲を逸脱した違法な販売態様で控訴人の顧客を奪っているものといえるから不法行為を構成するというべきである。 (2)ア被控訴人は、原告商品をリピート購入する需要者が生じる程度に販売が増加したのは、被控訴人がインターネットのサイトを設けて原告商品を販 売するようになったからであり、その需要者は被控訴人の顧客であって、これらの顧客の関係では控訴人に何ら権利、利益はないように主張する。 確かに、原告商品に1000人程度にすぎないとはいえ、リピート購入するような顧客が生じるようになったことについては、被控訴人がインターネットのサイトを利用して原告商品を販売するようになったことが寄与 しているということができ、控訴人限りの販売力であれば、そのような販売実績が得られていたとは考えられないところである。 しかし、原告商品が被控訴人の設けたインターネットのサイトからリピート購入されるようになったとすれば、それは原告商品がペットにとってよい商品であったという実体験がその購入者にあったからと考えるのが自 然であり、原告商品を購入するためには同サイトを利用するしかなかった以上、被控訴人の設けたインターネットのサイトの顧客対応の評価自体は余り関係しないものと考えられる(ペット用栄養補助食品の購入者は、ペットオーナーの中でも特にペットを愛玩している層を想定できるから、ペットにとってよい商品であるとの実体験、あるいはそうであるとの信頼で きる評価などの裏付けがなければリピート購入にまで及ぶとは考えにくい の中でも特にペットを愛玩している層を想定できるから、ペットにとってよい商品であるとの実体験、あるいはそうであるとの信頼で きる評価などの裏付けがなければリピート購入にまで及ぶとは考えにくい。)。 そして、そうであれば、原告商品に対する信頼は、販売取扱者である被控訴人に対するものというより原告商品自体に向けられるものというべきであるから、被控訴人が原告商品の販売拡大にいかに貢献しようとも、原 告商品をリピート購入していた者が被控訴人の顧客であって、控訴人に何 - 9 -ら権利、利益がないようにいう主張は失当であり、むしろ、それらの者は、原告の顧客であるというべきであるから、被控訴人による被告商品の販売態様は、上記判示のとおり、需要者の誤認を利用した違法な態様で控訴人の顧客を奪っている違法なものといわなければならないというべきである。 イ被控訴人は、被告商品販売のために原告商品の商品ページをいわば流用 したことについて、被控訴人は、新たなページを設けることの負担を述べて、需要者を誤認させるような意図がなかったように主張する。 しかし、同じページを作り替えるとしても、原告商品と被告商品では製造者が異なることを明らかにしたり、残された原告商品のレビューが被告商品に関するものでないことを閲覧者が認識できるような措置を講じたり することは容易であるはずであるから、被控訴人の負担をいう主張は採用し難く、上記認定は妨げられない。 ウ被控訴人は、被告商品に「ワンスプーンプレミアム」の商品名を付して販売する行為は、本件商標権2の商標権者であるフェイスから、その使用許諾を得てしている正当な権利の行使であって、違法性が阻却される旨を 主張する。 しかし、被控訴人の上記主張は、以下のとおりの理由で採用できない。 標権2の商標権者であるフェイスから、その使用許諾を得てしている正当な権利の行使であって、違法性が阻却される旨を 主張する。 しかし、被控訴人の上記主張は、以下のとおりの理由で採用できない。 すなわち、前記1で補正の上引用した認定事実によれば、①本件販売契約は契約締結1年後の最初の契約更新時期に更新されたが、その更新直後の令和2年9月頃から、控訴人と被控訴人は原告商品の販売方針等を巡っ て関係が悪化していったこと、②その頃、P2ないしフェイス代表者が、控訴人代表者に対し「ワンスプーン」が商標権で保護されているかを尋ね、その後、間もない同年11月に、フェイスにおいて控訴人に秘して本件商標権2の登録出願をしたこと、③被控訴人は、本件販売契約終了間もない時期である同年12月には、原告商品と同種の商品を第三者に製造させ、 「ワンスプーンプレミアム」の商品名を付して販売を開始するようになっ - 10 -たこと、以上の事実が認められる。そうすると、これらの事実経緯に照らし、控訴人と被控訴人との間の本件販売契約の内容も知悉しているフェイスが、本件商標権2の登録出願をした動機目的は、令和2年9月以降、被控訴人と控訴人との関係が悪化し、次期の契約更新時期(令和3年8月末)に本件販売契約が更新されない可能性が生じていたことから(現に更新され ていない。)、原告商品の商品名についての商標権を取得することで、契約更新時の交渉に際し、自らの立場を強化しようと目論んでいた可能性がまず考えられるところである。しかし、実際には、控訴人からの本件販売契約を更新しない旨の通知に対し、本件商標権2取得の事実で対抗しようとしたわけではなく、その後まもなく被控訴人において被告商品の販売を開 始したというのであるから、これらの経緯を考 の本件販売契約を更新しない旨の通知に対し、本件商標権2取得の事実で対抗しようとしたわけではなく、その後まもなく被控訴人において被告商品の販売を開 始したというのであるから、これらの経緯を考慮すると、むしろフェイスは、被控訴人と共謀し、本件販売契約が終了した後に、原告商品と商品名の類似した同種商品を第三者に製造させて販売することとし、もって被控訴人が開設したインターネットのサイトに原告商品を求めてアクセスしてくる顧客との関係をそのまま維持して利益を確保することを目論んでいた ものと推認するのが相当とも考えられる。 この点、被控訴人は、本件商標権2の登録出願をした理由について、第三者が原告商品の商品名につき商標権を取得した場合、被控訴人による本件販売行為が賠償問題に発展する可能性があったため、原告商品を防衛するために出願した旨を主張するが、そうであれば、その当時、被控訴人と 控訴人との間には本件販売契約が存続していた以上、控訴人に対して商標権確保の必要性を説き、原告商品の製造者である控訴人の名義で商標登録の出願を促せば足りたはずのものである。そうであるのに、これを控訴人に秘した上で、あえてフェイスにおいて費用負担までして出願することは、いかにも不自然であるし、また、上記アで検討したとおり、被控訴人は、 原告商品の顧客を自らの顧客と考えていたというのであるから、結局、本 - 11 -件商標2の登録出願の動機目的が自らの利益確保のためであるとの上記推認は妨げられないというべきである。 そして、以上のように本件商標権2を取得した上で被控訴人が現にしている被告商品の販売態様は、判示したとおり、原告商品を販売していた当時の商品ページをいわば流用して、需要者(原告商品の顧客)の誤認を利 用しながら被告商品 標権2を取得した上で被控訴人が現にしている被告商品の販売態様は、判示したとおり、原告商品を販売していた当時の商品ページをいわば流用して、需要者(原告商品の顧客)の誤認を利 用しながら被告商品を販売しているというものであって、明らかに需要者の利益を損なっているものであるから、その行為が、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護するという商標法の目的に反するものといわなければならないことは明らかであるし、また、このような販売態様が本件商標権2の登 録出願当初から計画されたものであるなら、フェイスが本件商標権2の登録出願をした動機目的も、結局、このような商標法の目的に反するものであったといわなければならない。 したがって、被控訴人がフェイスから本件商標権2について使用許諾を得ていたとしても、そのことを理由として被控訴人がする被告商品の販売 行為の違法性は阻却されないというべきである。 4 控訴人の損害の発生及びその額(争点3)について(1) 前記3(1)のとおり、被控訴人の前記不法行為は、原告商品を購入しようとする需要者の誤認を利用して被告商品に誘導し、原告商品の需要を奪うものであるから、これにより控訴人は、原告商品を販売することにより得られ た利益を失ったものといえる。 (2) 控訴人は、原告商品は毎月300個程度販売することができており、卸売単価が1400円であるから、年間売上げは504万円程度となるなどとして、被告商品が販売された令和3年12月以降、本件口頭弁論終結時までの間に少なくとも500万円の損害を被った旨を主張するが、上記損害の算定 は、販売に係る経費や控訴人の利益率を考慮しないものであり、採用できな - 12 -い。 口頭弁論終結時までの間に少なくとも500万円の損害を被った旨を主張するが、上記損害の算定 は、販売に係る経費や控訴人の利益率を考慮しないものであり、採用できな - 12 -い。 前記補正の上引用した前提事実(3)及び(4)並びに認定事実(6)ないし(8)によれば、控訴人は、本件販売契約締結以降、被控訴人に対し、原告商品(1袋250gの袋詰め商品・定価3960円(税込み))を1袋当たり1400円で卸売販売し、被控訴人は控訴人の販売代理店として、インターネット のサイトにおいて原告商品を販売していたこと、控訴人は、本件手数料契約に基づき、フェイス及びP3に対し、上記卸売販売取引に関し、1袋当たり600円の手数料を支払っていたこと、本件販売契約継続中における原告商品の販売個数は2年間で3837袋であったことが認められる。上記販売実績からすると、原告商品の1か月当たりの販売個数は約160袋であったと 認められる。そして、原告商品の販売に係る経費や控訴人の利益率は明らかではないものの、控訴人代表者であるP1自身、原審本人尋問において、控訴人の損害額につき、1袋当たり約400円の利益が出ることを前提とした供述をしていること(控訴人代表者供述9頁)、令和2年以降に売上が伸びた要因としては、被控訴人がネット販売により販路を拡大した点が寄与して いると考えられること(控訴人代表者自身、被控訴人の尽力により売れている部分がかなりある旨認める旨の供述をしている(控訴人代表者供述25頁)。)、そして本件販売契約終了後、控訴人の販売態勢は従前のものに戻って、その販売力が著しく低下したことは否めないことなどを踏まえると、被控訴人の前記不法行為による控訴人の損害額は、20万円の限度で認める のが相当である。 5 以上に 態勢は従前のものに戻って、その販売力が著しく低下したことは否めないことなどを踏まえると、被控訴人の前記不法行為による控訴人の損害額は、20万円の限度で認める のが相当である。 5 以上によると、控訴人の請求は、不競法に基づく請求は理由がないが、不法行為に基づく損害賠償請求については、損害賠償として20万円及びこれに対する不法行為の後の日である令和4年6月10日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから、その限 度で認容し、その余は理由がないからいずれも棄却すべきところ、これと異な - 13 -る原判決は一部失当であり、本件控訴は上記限度で理由があるから、原判決を上記のとおり変更することとし、主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第8民事部 裁判長裁判官 森崎英二 裁判官 奥野寿則 裁判官 岩井一真
▼ クリックして全文を表示