主文 1 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。 2 上記取消部分に係る被控訴人の請求を棄却する。 3 本件附帯控訴を棄却する。 4 訴訟費用は,1,2審とも被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者双方の申立て 1 控訴の趣旨主文1項及び2項と同旨 2 附帯控訴の趣旨(1) 原判決を次のとおり変更する。 (2) 控訴人が被控訴人に対して平成13年4月20日付けでした原判決添付別紙1記載の行政文書の不開示決定処分のうち,同別紙1記載の番号1ないし15,18,19,22,23の各文書を不開示とした部分を取り消す。 第2 事案の概要 1 以下のとおり訂正し,2で当審における当事者の主張を付加するほかは,原判決の「第2 事案の概要」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決6頁につきア 4行目の「秘密に関する事項」を「秘密に属する事項」に改める。 イ 8行目の「属する事項とはいえない」を「属する事項」とはいえない」に改める。 (2) 同7頁末行の「(本件文書1」から8頁1行目までを削る。 2 当事者の主張(1) 控訴人ア原判決は,漁業協同組合別の総漁獲量等自体が不開示となった部分(本件文書1,5,6,8の漁業種類別・魚種別の漁獲量欄,本件文書11ないし15,19,23の養殖種類欄,魚種名欄,経営体数欄)は,独立した1個の情報といえると判示する。しかしながら,この判示は,漁業協同組合別の総漁獲量等がその他の不開示部分と一体的な情報を形成している点を看過して,情報公開法6条1項の該当性を認めたものであって,同項該当性の判断を誤るものである。 イ原判決は,「被告が主張する本 獲量等がその他の不開示部分と一体的な情報を形成している点を看過して,情報公開法6条1項の該当性を認めたものであって,同項該当性の判断を誤るものである。 イ原判決は,「被告が主張する本件文書の公開により失う被調査者との信頼は,市町村が統計の単位である慣行に基づくものに過ぎず,統計の単位を市町村として,それ以外の単位による公表を行わない旨明示して本件統計調査を行ったと認めるに足りる証拠はない」などとし,「これらの事実からすれば,市町村ではなく漁業協同組合を単位とする本件文書を公にすることにより,申告者の調査者に対する信頼が失われるおそれ,更に真実の申告を確保できなくなるおそれは,具体的に存在しているとはいえない」と判示する。しかしながら,原判決のこの判断は,統計事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれの判断を誤るものである。すなわち,指定統計調査において,申告者である個人,法人等がこれに関する事項を申告する場合,当該個人,法人等としては,一般的に,当該事項が既に公になっているか,公表が予定されているなどの事情がない限り,申告に係る事項は秘密に属する事項として保護されることになるとの信頼を有していると考えるのが通常である。にもかかわらず,原判決によれば,調査者があえて公表しないということを明らかにして調査をしない限り,申告者はあらゆる方法による公表を想定すべきこととなり,調査票そのものが目的外に使用されないことや非公表が明示された事項以外は,公にされないことについての信頼を有していないとされるに等しくなって,不当である。そして,本件において,申告者たる漁業協同組合が専ら市町村単位での公表を前提として調査に応じていたこと,このような市町村単位での公表は,申告者である漁業協同組合の協力を得るために必要であること,漁業協同組合が申告 いて,申告者たる漁業協同組合が専ら市町村単位での公表を前提として調査に応じていたこと,このような市町村単位での公表は,申告者である漁業協同組合の協力を得るために必要であること,漁業協同組合が申告した事項について市町村単位以外によっては公表されないと信頼していることが合理的であることは,以下の点を総合すれば明らかである。したがって,これを開示すれば,各漁業協同組合の調査者に対する信頼を失い,真実の申告を確保できなくなり,統計調査事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるから,本件文書における漁業協同組合別の総漁獲量等は情報公開法5条6号に該当するものというべきである。 (ア) 海面漁業生産統計調査においては,海面における漁業生産の実情を表そうとすれば,市町村よりも小さい漁業地区を単位とすることは考えられない訳ではない。しかし,岡山県で市町村を公表の最小単位としてきたのは,内湾を漁場とする同県では漁業漁獲量又は収獲量が外洋に比べ少ないことから,商品価値の高い特定魚種に特化した漁法が主となっており,漁業地区別の漁獲量又は収獲量が公表されれば,個別経営体の漁具・漁場等に精通している漁業関係者が個人の漁獲量等を特定する可能性が高まると漁業協同組合が懸念し,その公表について拒否感を示してきたためである。また,漁業協同組合別の総漁獲量等が公になるとすれば,被調査者たる漁業協同組合には以下のような支障が生じるおそれがあるものであり,調査の実施に当たり,漁業協同組合単位によっては公表されないと漁業協同組合が信頼していたことは明らかである。 ① 他の産地や他の事業者との漁獲物の販売競争において不利になるおそれ② ある漁業種類について,1つないし2つの経営体が漁業を行っている場合以外にも,組合員の ① 他の産地や他の事業者との漁獲物の販売競争において不利になるおそれ② ある漁業種類について,1つないし2つの経営体が漁業を行っている場合以外にも,組合員の個人データが明らかになってしまうおそれ③ 組合員が操業する漁場が明らかになり,漁業者間,遊漁者との間で争いが生じるおそれ④ 今後の漁業協同組合合併交渉に影響を与えるおそれ⑤ 統計の作成目的以外に利用されるおそれ(イ) (ア)のような背景もあって,岡山県における海面漁業生産統計においては,昭和40年の調査内容の見直し以来,市町村単位をその公表の最小単位とし現在に至っている。 (ウ) 中国四国農政局岡山統計情報出張所の統計職員は,市町村単位で公表されている「岡山県漁業の動き」(乙14と同様のもの)を調査実施に併せて被調査者等に配布している。 (エ) 海面漁業生産統計において,通常公表単位となるのは,都道府県,市町村,漁業地区,海区などといった地域的単位であって,基本的には人的集団である漁業協同組合を単位とした統計が公表されるとは考えにくく,全国的に見ても,漁業協同組合別に公表している都道府県は存在しない。 (オ) さらに,各漁業協同組合に対するアンケートのうち,乙16の(1),(2),(6),(7)においては,「仮に本件文書が開示され,貴組合の漁業生産量が公になった場合でも調査協力できるか。」との設問に対し,「(3) 今後の調査への協力を再考したい。」と答えている。これによれば,「統計」及び「統計以外」の意義にかかわらず,漁業協同組合別の総漁獲量等が開示された場合には信頼関係が破壊することは明らかである。 ) 今後の調査への協力を再考したい。」と答えている。これによれば,「統計」及び「統計以外」の意義にかかわらず,漁業協同組合別の総漁獲量等が開示された場合には信頼関係が破壊することは明らかである。なお,乙16の(3)ないし(5),(8),(9)においては,同じ設問に対し,「(2) 統計以外に使われることは不満である。」と答えている。 ウ原判決は,本件文書10ないし15,18,19,22及び23について,これを統計法15条1項の調査票ではないとし,また,調査票を明らかにすることと等しいものとも考えていない。しかし,原判決のこの判断は,同項の「調査票」の意義を誤っている。すなわち,統計法15条1項にいう「調査票」とは,被調査者が申告した個別の調査票だけでなく,個々の調査対象ごとにその申告内容を判別することができるような形で申告内容が記録されたものを含み,記録の形態・媒介のいかんを問わないとされ,場合によっては中間集計表をも含むものである(乙7)。しかるところ,上記各文書は,中国四国農政局岡山統計情報出張所が本件統計調査において調査した海面養殖業収獲統計調査に係る調査票の記載内容を「農林水産統計情報処理システム」に電算入力する際に,入力ミスを防止するために転記した補助表である。 したがって,上記各文書は,被調査者の申告した個別の調査票と同一の内容が記載されているものであり,同項にいう「調査票」に当たるというべきである。そうすると,これらを公開することは統計法15条1項に反することになるから,上記各文書は情報公開法5条6号により開示されるべきでない情報に該当するものというべきである。 エ本件文書4及び9の様式自体には調査対象の名称を記載する欄はないものの,職員が集計・審査を行う際に,当該文書に記載されている漁獲量が るべきでない情報に該当するものというべきである。 エ本件文書4及び9の様式自体には調査対象の名称を記載する欄はないものの,職員が集計・審査を行う際に,当該文書に記載されている漁獲量がいずれの調査対象のものかを判別する必要があることから,本件文書4及び9の枠外左上部に,調査対象である漁業協同組合の名称を記載している。そこで,本件文書4及び9自体から個々の調査対象を判別することも可能である。したがって,本件文書4及び9も「個々の調査対象ごとにその申告内容を判別することができるような形で申告内容が記載されたもの」であるから,統計法15条1項の「調査票」に該当するものである。 (2) 被控訴人ア原判決が本件文書1,5,6,8,11ないし15,19,23について情報公開法5条6号に基づいて開示を認めなかった範囲については,以下の点からして,その範囲が広すぎることは明らかである。 (ア) 情報公開法6条1項によれば,開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合において,不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは,当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。 (イ) 岡山市内で行われている漁業種類の中で,漁労体数が1又は2であるのは,手繰第3種の底びき網だけであるから,漁獲量の情報の開示によって「特定の経営体の特定の漁業種類又は魚種の捕獲量が明らかになる」可能性があるのは手繰第3種の底びき網以外にはない。 そして,本件文書中の手繰第3種の底びき網による漁獲量の記載は,その形式上,容易に他の部分から区分して除くことができることは明らかであるから,仮にこの漁業種類による漁獲量について情報公開法5条に定める不開示事由が存在 手繰第3種の底びき網による漁獲量の記載は,その形式上,容易に他の部分から区分して除くことができることは明らかであるから,仮にこの漁業種類による漁獲量について情報公開法5条に定める不開示事由が存在するとしても,当該漁業協同組合の全部の漁業種類別の漁獲量を不開示とするべき理由は存在しない。 (ウ) また,岡山市内で行われている養殖種類の中で,漁労体数が1又は2であるのは,「ひらめ養殖」「ひらめ以外の魚類養殖」「のり類種苗養殖」の3種類のみであり,「のり類養殖」は76経営体で生産され,「かき類養殖」「わかめ類養殖」「その他の貝類養殖」については経営体が存在しない。したがって,「特定の経営体の養殖量が明らかになる」可能性があるのは,「ひらめ養殖」「ひらめ以外の魚類養殖」「のり類種苗養殖」の3種類の養殖業だけである。 そして,本件文書中の上記3種類の養殖業による収獲量の記載は,その形式上,容易に他の部分から区分して除くことができることは明らかだから,仮に,この3種類の養殖業による収獲量について情報公開法5条に定める不開示事由が存在するとしても,当該漁業協同組合の「のり類養殖」の収獲量を不開示とするべき理由は存在しない。 イ控訴人が主張する「本件文書の開示によって統計調査に対する漁業協同組合の協力が得られなくなるおそれ」は,以下の点からして,非現実的なものであり,著しく誇張されたものである。 (ア) 本件統計調査は,統計法上の指定統計調査であり,統計法5条によって被調査者には申告義務が課されており,その義務は罰則によって強力に担保されており,調査者の権限と被調査者の義務とは法的に厳格に定められている。 (イ) 漁業協同組合は,農林水産省の行政指導に服する立場にある団体で おり,その義務は罰則によって強力に担保されており,調査者の権限と被調査者の義務とは法的に厳格に定められている。 (イ) 漁業協同組合は,農林水産省の行政指導に服する立場にある団体であるから,本件程度の情報の開示に関して,(ア)のような性格をもつ調査について現実に協力を行わないというようなことは,机上の観念論としては格別,実社会の現実としては起こり得ない非常識なことである。 (ウ) 各漁業協同組合は,統計調査が行われること,その調査の結果を利用し得ることによって,間接的に利益を得る立場にあるので,調査に協力しない等ということは,その意味からもあり得ない。すなわち,岡山市内の9漁業協同組合は,「児島湾漁業協同組合連合会」を結成しており,同連合会は,児島湾内の公共工事等に関して岡山県等から漁業補償を受ける主体となっており,その漁業補償に関しては公表されていない農林統計資料が用いられている。そして,各漁業協同組合は,本件統計調査の公表されていない部分のデータ・結果に基づいた算定結果に従って,公共工事等に関して岡山県等の地方自治体から補償を受ける立場にある。 したがって,本件統計調査等の統計調査について漁業協同組合の意見が反映することは,漁業協同組合自身の利害に密接に関係するので,現実問題として漁業協同組合の調査非協力が生じるような事態はあり得ないということができる。 (エ) 控訴人が漁業協同組合に対して行ったとする意見聴取(アンケート)については,控訴人の指導監督官庁としての地位を考えれば,強い結果誘導が行われていることが疑われる。したがって,控訴人による一方的な聴取結果は,安易に信頼をおくことができないものである。 第3 当裁判所の判断 1 本件統計調査は,統計法所定の指定統計調査であり,本件文 われていることが疑われる。したがって,控訴人による一方的な聴取結果は,安易に信頼をおくことができないものである。 第3 当裁判所の判断 1 本件統計調査は,統計法所定の指定統計調査であり,本件文書は,国の機関が行う事務に関する情報(情報公開法5条6号)に該当するものであることについては,当事者間に争いがない。そして,統計法は,指定統計調査の結果知られた人,法人等の秘密に属する事項は保護されなければならない(統計法14条)とし,また,何人も集められた調査票を統計上の目的以外に使用してはならない(同法15条1項)としているが,情報公開法は統計法との調整に関する具体的な定めをしていない。この点,被控訴人は,情報公開法は,統計法との関係で後法に当たるので,情報公開法5条各号に該当する場合以外は,情報公開法に基づき情報は公開されるべきであると主張する。しかし,統計法が統計の真実性を確保すること等を目的とするもの(統計法1条)であるのに対し,情報公開法が国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とするもの(情報公開法1条)と,その目的を異にしている上,上記統計法の各規定は,被調査者の真実の申告を確保して,統計法の目的である統計の真実性を確保するために不可欠な規定であると考えられることからすると,上記各規定に反するような結果をもたらすような情報の開示は,上記統計法に違反するものであって,許されないと解すべきである。 すなわち,本件の場合,当該文書が調査票に該当する場合には,調査票は統計上の目的以外に使用しないことを前提として収集されたものであり,統計法15条1項により,何人も統計上の目的以外の使用を禁止されており,これを情報公開法により第三者に開示することは目的以外の使用を認める結果となってしまうものであ 前提として収集されたものであり,統計法15条1項により,何人も統計上の目的以外の使用を禁止されており,これを情報公開法により第三者に開示することは目的以外の使用を認める結果となってしまうものであるから,その開示は同条2項の場合を除いては許されないというべきである。 また,当該文書が調査票自体ではないとしても,調査票の内容をそのまま忠実に転記したものに該当する場合にも,これを開示することは,上記と同様の結果となるから,同様に解すべきである。 さらに,当該文書が調査票あるいは調査票を忠実に転記したものではなく,調査票からの集計をした文書であったとしても,被調査者あるいは被調査者提出の調査票を集計して申告する者は,当該事項が既に公になっているか,公表が予定されるなどの事情がない限り,指定統計調査の場合には,申告にかかる事情が秘密に属する事項として保護されると信頼して調査,申告に協力するものと通常考えられるから,これが開示されるということになると,被調査者あるいは申告者の信頼を損ない,その結果,その後の統計調査において統計法の目的である統計の真実性を確保できないというおそれが生じるというべきである。したがって,統計法14条にいう「法人等の秘密に属する事項」とは,公になっておらず,また,公表が予定されることともなっていない事項をいうと解すべきであり,統計法14条にいう「法人等の秘密に属する事項」の記載された文書を開示することは許されないというべきである。 そして,統計法の上記各規定により文書の開示が規制される場合,当該文書は,情報公開法5条6号にいう「公にすることにより,当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」に該当することになると解するのが相当である。 2 争点について 5条6号にいう「公にすることにより,当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」に該当することになると解するのが相当である。 2 争点についてそこで,1を前提として,本件文書について検討する。 (1) まず,本件文書のうち,16,17,20及び21は統計法15条1項にいう「調査票」であり(乙12の(4)),弁論の全趣旨によれば,上記各文書については,同条2項の公示はないと認められる。したがって,これを開示することは,統計法15条1項に反するものであって許されないから,これを非開示とした本件処分は適法であるというべきである。 (2) 次に,本件文書のうち,10ないし15,18,19,22,23は,調査票の内容を電算入力する際の入力ミスを防止するために,調査票の内容を転記したもの(乙12の(3),(4))である。したがって,(1)の各調査票と同様に,これを開示することは,統計法15条1項に反するものであって許されないから,これを非開示とした本件処分は適法であるというべきである。 (3) さらに,本件文書のうち,1ないし9は,その文書の形式(乙12の(1))であって,その形式からして,調査票自体であるとも,調査票の内容をそのまま転記したものとも直ちに認めることはできない。しかし,これらの文書には,岡山市内の漁業協同組合別の総漁獲量並びに漁法及び魚類等別の漁獲量が記載されていると認められるところ,弁論の全趣旨によれば,各漁業協同組合別の総漁獲量等については,既に公となっているものではなく,公表が予定されているものでもないと認められ,証拠(乙16,44。枝番を含む。 )によれば,上記各漁業協同組合は,上記の各文書の内容が公開されるものとは認識しておらず,これが公開さ るものではなく,公表が予定されているものでもないと認められ,証拠(乙16,44。枝番を含む。 )によれば,上記各漁業協同組合は,上記の各文書の内容が公開されるものとは認識しておらず,これが公開された場合には支障が生じ,今後の統計調査への対応に対し,「一切協力できない」あるいは「組合員のデータ提供は行わない」としていることが認められる。上記の点に鑑みると,各漁業協同組合別の総漁獲量等の情報は,統計法14条の「法人等の秘密に属する事項」であるというべきであって,これを開示することは,統計法14条に反するものであって許されないから,これを非開示とした本件処分は適法であるというべきである。 (4) 被控訴人は,本件文書について部分開示が認められるべきであると主張する。しかし,本件文書のうち10ないし23については,調査票ないしは調査票に準じるものであるから,その開示は部分的にせよ統計法15条1項により許されないというべきである。また,本件文書のうち1ないし9については,上記(3)で述べたとおり,各数値それぞれが「法人等の秘密に属する事項」と認められるから,その部分開示は統計法14条により許されないというべきである。したがって,被控訴人の上記主張は採用できない。 3 被控訴人の主張について(1) 被控訴人は,各漁業協同組合別の総漁獲量等は,統計法14条の「秘密に属する事項」に該当するものではなく,この「秘密に属する事項」の意義の解釈は,情報公開法5条2号イの定義が準用されるべきであると主張する。 しかし,上記1及び2で述べたとおり,統計法と情報公開法とは,その目的を異にするものであるから,統計法14条の「法人等の秘密に属する事項」の意義の解釈について,情報公開法5条2号イの定義が準用されるべきであるとは直ちにはいえず,統計法 統計法と情報公開法とは,その目的を異にするものであるから,統計法14条の「法人等の秘密に属する事項」の意義の解釈について,情報公開法5条2号イの定義が準用されるべきであるとは直ちにはいえず,統計法の目的等からすれば,上記1及び2で述べたとおり解するのが相当である。 したがって,被控訴人の上記主張は採用できない。 (2) 被控訴人は,「岡山県漁業の動き」(甲1,乙14)によれば,市町村別の主とする漁業種類別漁獲量等が公表されて,邑久町,牛窓町,寄島町の各漁業協同組合はいずれも各町内唯一の漁業協同組合であるから,これらの3漁業協同組合については,漁業協同組合別の各数値が公表されている等として,漁業協同組合別の総漁獲量等が統計法14条の「秘密に属する事項」には該当しない等と主張する。しかし,本件文書の総漁獲量等の情報が統計法14条の「法人等の秘密に属する事項」に該当することについては,上記1及び2で述べたとおりである。 したがって,これと見解を異にする被控訴人の上記主張は採用できない。 (3) 被控訴人は,部分開示義務について様々な主張をする。しかし,本件文書については,統計法の規定からして,その部分開示も許されるべきでないことは,上記2で述べたとおりである。 したがって,被控訴人の上記主張も採用できない。 (4) 被控訴人は,控訴人が主張する「本件文書の開示によって統計調査に対する漁業協同組合の協力が得られなくなるおそれ」は非現実的なものであり,著しく誇張されたものであると主張する。しかし,上記2で述べたとおり,本件文書上の情報が,実質的に,統計法14条にいう「法人等の秘密に属する事項」に該当すると認めるべきであることからすると,漁業協同組合の協力が得られなくなり,統計法の目的を阻害する で述べたとおり,本件文書上の情報が,実質的に,統計法14条にいう「法人等の秘密に属する事項」に該当すると認めるべきであることからすると,漁業協同組合の協力が得られなくなり,統計法の目的を阻害するおそれがあることは否定できず,控訴人の主張が非現実的なものであるとは認められない。 したがって,被控訴人の上記主張も採用できない。 4 以上によれば,控訴人のした本件処分は適法であって,被控訴人の本件請求は理由がないからこれを棄却すべきである。 第4 結論よって,結論を異にする原判決中控訴人敗訴部分を取り消し,同取消部分に係る被控訴人の本件請求を棄却し,被控訴人の本件附帯控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 広島高等裁判所岡山支部第2部裁判長裁判官前坂光雄裁判官岩坪朗彦裁判官横溝邦彦
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