平成16(行ウ)15 退去強制令書発付処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成18年1月25日 大阪地方裁判所 警察関係
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判決文本文57,320 文字)

主文 原告の被告らに対する請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 被告大阪入国管理局長が平成15年11月26日付けで原告に対してした出入国管理及び難民認定法(平成16年法律第73号による改正前のもの)49条1項に基づく原告の異議申出は理由がない旨の裁決を取り消す。 被告大阪入国管理局主任審査官が平成15年11月26日付けで原告に対してした退去強制令書発付処分を取り消す。 第2事案の概要本件は,中国(台湾)国籍を有し,留学の在留資格で上陸許可を受け,以後,同在留資格により在留期間更新許可を受けて本邦に在留していた原告が,P1大学在学中,大阪市中央区所在のP2(以下「本件店」という。)で稼働していた(以下「本件就労」という。)ため,出入国管理及び難民認定法(平成16年法律第73号による改正前のもの。以下「法」という。)24条4号イ(資格外活動)に該当する旨の大阪入国管理局(以下「大阪入管」という。)入国審査官の認定(以下「本件認定」という。)及び同認定に誤りがない旨の大阪入管特別審理官の判定(以下「本件判定」という。)を受け,法務大臣に対し異議の申出をしたところ,法務大臣から権限の委任を受けた被告大阪入国管理局長(以下「被告入管局長」という。)が原告の異議の申出は理由がない旨の裁決(以下「本件裁決」という。)をし,これを受けて被告大阪入国管理局主任審査官(以下「被告主任審査官」という。)が原告に対し退去強制令書を発付した(以下「本件退令発付処分」という。)ため,被告入管局長のした本件裁決及び被告主任審査官のした本件退令発付処分はいずれも違法であるとして,その各取消しを求めた事案である。 前提となる事実等(1)在留資格制度に関する法の規定ア法は,我が国に した本件裁決及び被告主任審査官のした本件退令発付処分はいずれも違法であるとして,その各取消しを求めた事案である。 前提となる事実等(1)在留資格制度に関する法の規定ア法は,我が国における外国人の入国及び在留管理の基本となる制度として,在留資格制度を採用している。 すなわち,本邦に在留する外国人は,法及び他の法律に特別の規定がある場合を除き,それぞれ,当該外国人に対する上陸許可若しくは当該外国人の取得に係る在留資格又はそれらの変更に係る在留資格をもって在留するものとされる(法2条の2第1項)ところ,同条2項は,在留資格は別表第一又は別表第二の上欄に掲げるとおりとし,別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者は当該在留資格に応じそれぞれ本邦において同表の下欄に掲げる活動を行うことができ,別表第二の上欄の在留資格をもって在留する者は当該在留資格に応じそれぞれ本邦において同表の下欄に掲げる身分若しくは地位を有する者としての活動を行うことができる旨規定している。このうち,別表第一の四には,留学の在留資格に係る本邦において行うことができる活動として,「本邦の大学若しくはこれに準ずる機関,専修学校の専門課程,外国において12年の学校教育を修了した者に対して本邦の大学に入学するための教育を行う機関又は高等専門学校において教育を受ける活動」が規定されている。 イ法7条1項2号は,上陸のための条件の一つとして,別表第一の二の表及び四の表の下欄に掲げる活動を行おうとする者については我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準に適合することと規定し,「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令」は,「法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動」に係る基準として,「申請人がその本邦に在 で定める基準に適合することと規定し,「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令」は,「法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動」に係る基準として,「申請人がその本邦に在留する期間中の生活に要する費用(以下「生活費用」という。)を支弁する十分な資産,奨学金その他の手段を有すること。ただし,申請人以外の者が申請人の生活 費用を支弁する場合は,この限りでない。」と規定している。そして,法施行規則6条,別表第三は,留学目的で本邦に上陸しようとする外国人が,法7条2項の規定により同条1項2号に定める上陸のための条件に適合していることを自ら立証しようとする場合には,「在留中の一切の経費の支弁能力を証する文書,当該外国人以外の者が経費を支弁する場合には,その者の支弁能力を証する文書及びその者が支弁するに至った経緯を明らかにする文書」を提出しなければならないと規定している。 ウ法19条1項2号は,留学の在留資格を含む別表第一の三の表及び四の表の上欄の在留資格をもって在留する者は,同条2項の許可を受けて行う場合を除き,収入を伴う事業を運営する活動又は報酬(業として行うものではない講演に対する謝金,日常生活に伴う臨時の報酬その他の法務省令で定めるものを除く。以下同じ。)を受ける活動を行ってはならないと規定し,同条2項は,法務大臣は,別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者から,法務省令で定める手続により,当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内で当該活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことを希望する旨の申請があった場合において,相当と認めるときは,これを許可することができる旨規定している。 エ本邦に在留する外国人で,法19条1項の規定に違反して収入を伴う事業を ける活動を行うことを希望する旨の申請があった場合において,相当と認めるときは,これを許可することができる旨規定している。 エ本邦に在留する外国人で,法19条1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行っていると明らかに認められる者については,本邦からの退去を強制することができるものとされている(法24条4号イ)。 なお,法19条1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行っていると明らかに認められる者は,3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金に処し,又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科するとされ(法70条1項4号),また,同 号に該当する場合を除き,法19条1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行った者は,1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは20万円以下の罰金に処し,又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科するとされている(法73条)。 (2)退去強制の手続に関する法の規定退去強制の手続に関する法の規定は,以下のとおりである。 入国警備官は,容疑者(法24条各号の一(退去強制事由)に該当すると思料する外国人をいう。法27条)が法24条各号の一に該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは,収容令書により当該容疑者を収容することができ(法39条1項),容疑者を収容したときは,容疑者の身体を拘束した時から48時間以内に,調書及び証拠物とともに,当該容疑者を入国審査官に引き渡さなければならない(法44条)。入国審査官は,法44条の規定により容疑者の引渡しを受けたときは,容疑者が同条各号の一に該当するかどうかを速やかに審査しなければならない(法45条1項)。入国審査官は,同審査の結果,容疑者が法24条各号のいずれにも該当しないと により容疑者の引渡しを受けたときは,容疑者が同条各号の一に該当するかどうかを速やかに審査しなければならない(法45条1項)。入国審査官は,同審査の結果,容疑者が法24条各号のいずれにも該当しないと認定したときは,直ちにその者を放免しなければならない(法47条1項)。これに対し,入国審査官は,同審査の結果,容疑者が法24条各号の一に該当すると認定したときは,速やかに理由を附した書面をもって,主任審査官及び当該容疑者にその旨を知らせなければならない(法47条2項)。入国審査官は,同通知をする場合には,当該容疑者に対し,法48条の規定による口頭審理の請求をすることができる旨を知らせなければならない(法47条3項)。 入国審査官から上記通知を受けた容疑者が入国審査官による法24条各号の一に該当するとの認定に服したときは,主任審査官は,当該容疑者に対し,口頭審理の請求をしない旨を記載した文書に署名させ,速やかに法51条の規定による退去強制令書を発付しなければならない(法47条4項)。これ に対し,同通知を受けた容疑者が同認定に異議があるときは,同通知を受けた日から3日以内に,口頭をもって,特別審理官に対し口頭審理の請求をすることができ(法48条1項),特別審理官は,同請求があったときは,容疑者に対し,時及び場所を通知して速やかに口頭審理を行わなければならない(同条3項)。特別審理官は,同口頭審理の結果,入国審査官による上記認定が事実に相違すると判定したときは,直ちにその者を放免しなければならない(同条6項)。これに対し,特別審理官は,同口頭審理の結果,入国審査官による上記認定が誤りがないと判定したときは,速やかに主任審査官及び当該容疑者にその旨を知らせるとともに,当該容疑者に対し,法49条の規定により異議を申し出ることができる旨を知らせな 果,入国審査官による上記認定が誤りがないと判定したときは,速やかに主任審査官及び当該容疑者にその旨を知らせるとともに,当該容疑者に対し,法49条の規定により異議を申し出ることができる旨を知らせなければならない(法48条7項)。 特別審理官から上記通知を受けた容疑者が入国審査官による上記認定が誤りがないとの特別審理官による上記判定に服したときは,主任審査官は,当該容疑者に対し,異議を申し出ない旨を記載した文書に署名させ,速やかに法51条の規定による退去強制令書を発付しなければならない(法48条8項)。これに対し,同通知を受けた容疑者が同判定に異議があるときは,同通知を受けた日から3日以内に,法務省令で定める手続により,不服の事由を記載した書面を主任審査官に提出して,法務大臣に対し異議を申し出ることができ(法49条1項),法務大臣は,同異議の申出を受理したときは,異議の申出が理由があるかどうかを裁決して,その結果を主任審査官に通知しなければならない(同条3項)。法務大臣は,同裁決に当たって,異議の申出が理由がないと認める場合でも,当該容疑者が,①永住許可を受けているとき,②かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき,③その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき,の一に該当するときは,その者の在留を特別に許可することができ(法50条1項),同許可は,異議の申出に理由がある旨の裁決とみなされる(同条3 項)。 主任審査官は,法務大臣から異議の申出が理由があると裁決した旨の通知を受けたときは,直ちに当該容疑者を放免しなければならない(法49条4項)。これに対し,主任審査官は,法務大臣から異議の申出が理由がないと裁決した旨の通知を受けたときは,速やかに当該容疑者に対し,その旨を知らせるとともに,法51条の 免しなければならない(法49条4項)。これに対し,主任審査官は,法務大臣から異議の申出が理由がないと裁決した旨の通知を受けたときは,速やかに当該容疑者に対し,その旨を知らせるとともに,法51条の規定による退去強制令書を発付しなければならない(法49条5項)。 (3)原告原告は,▲年(昭和▲年)▲月▲日に中国(台湾)台北縣板橋市で出生した中国(台湾)国籍を有する男性である。 (当事者間に争いのない事実)(4)原告の在留経過等ア原告は,平成9年(1997年)12月18日,P3職員P4を代理人として,法務大臣に対し,法7条の2第1項に基づき,在留資格認定証明書の交付申請を行った。 法務大臣は,平成10年(1998年)2月27日,同申請に基づき,原告に対し,原告が法別表第一の四に定める留学の在留資格に関して,法7条1項2号に掲げる上陸のための条件に適合している旨の在留資格認定証明書を交付した。 (当事者間に争いのない事実)イ原告は,同年4月6日,関西国際空港に到着し,大阪入管関西空港支局入国審査官に対し上陸申請を行い,同審査官から,留学の在留資格で在留期間を1年とする上陸許可を受け,本邦に上陸した。 (当事者間に争いのない事実)ウ原告は,同月8日,大阪市天王寺区長に対し,居住地を大阪市α×番13号として,外国人登録法に基づく新規登録の申請を行い,外国人登録証 明書の交付を受けた。 (当事者間に争いのない事実)エ原告は,同年12月14日,大阪入管において,法務大臣に対し資格外活動許可申請を行い,同日,許可期限を平成11年(1999年)3月31日までとして同許可を受けた。 (当事者間に争いのない事実)オ原告は,本邦入国後,P3で日本語を勉強し,平成11年3月にP3を卒業した。申立人は,同年4月にP5経営ネットワーク学科経営 )3月31日までとして同許可を受けた。 (当事者間に争いのない事実)オ原告は,本邦入国後,P3で日本語を勉強し,平成11年3月にP3を卒業した。申立人は,同年4月にP5経営ネットワーク学科経営情報コースに入学した。 (乙6号証,14号証)カ原告は,同年3月26日,大阪入管において,P5経営ネットワーク学科への入学を理由として在留期間更新許可申請をし,同年5月11日,在留資格を留学とし,在留期間を1年として同許可を受けた。 (乙5号証,当事者間に争いのない事実)キ原告は,同年4月2日,大阪市北区長に対し,居住地を大阪市β××番とする居住地変更登録をした。 (当事者間に争いのない事実)ク原告は,平成12年(2000年)2月21日,大阪入管において,法務大臣に対し,P5での勉学を理由として在留期間更新許可申請を行い,同月28日,在留資格を留学とし,在留期間を1年として同許可を受けた。 (乙6号証,当事者間に争いのない事実)ケ原告は,平成11年4月からP5において,簿記,コンピューター,貿易関係の勉強をし,平成13年3月,同専門学校を卒業した。 (乙14号証)コ原告は,同年2月5日,大阪入管において,法務大臣に対し,P1大学国際言語文化学部への進学を理由として在留期間更新許可申請を行い,同 月13日,在留資格を留学とし,在留期間を2年として同許可を受けた。 (乙7号証,当事者間に争いのない事実)サ原告は,同年4月,P1大学国際言語文化学部国際言語文化学科に入学した。 (乙9号証,14号証)シ原告は,同月3日,大阪市北区長に対し,居住地を,大阪市γ×番6-×××号とする居住地変更登録をした。 (当事者間に争いのない事実)ス原告は,同年6月19日,大阪入管において,法務大臣に対し資格外活動許可申請(勤務先P6,週間稼働時 居住地を,大阪市γ×番6-×××号とする居住地変更登録をした。 (当事者間に争いのない事実)ス原告は,同年6月19日,大阪入管において,法務大臣に対し資格外活動許可申請(勤務先P6,週間稼働時間24時間,月額報酬8万円)を行い,同日,許可期限を平成15年(2003年)4月6日までとして同許可を受けた。 (乙8号証,当事者間に争いのない事実)セ原告は,平成13年9月ころから同年12月31日まで大阪市δ所在のP6(以下「本件P6」という。)で月曜日から土曜日の午後4時30分から午後6時まで,時給1000円で稼働した。原告は,同月31日,同店内調理場でミンチ器の清掃作業中,誤って作動部に左中指を当て負傷した(以下「本件労災」という。)。このため,原告は,同日から平成15年6月30日までの休業期間(休業日数547日(待期期間3日間を含む。))に係る休業補償給付(特別支給金を含む。)として,保険給付額137万9184円及び特別支給金額45万9728円の合計183万8912円の支給を受けた。同給付は,毎月約10万円が原告の銀行口座に振り込まれることにより,原告に支給された。 (甲22号証,乙14号証,30号証,原告本人)ソ原告は,平成15年3月26日,大阪入管において,法務大臣に対し,P1大学での勉学を理由として在留期間更新許可申請を行い,同年5月1 日,在留資格を留学とし,在留期間を2年として同許可を受けた。同許可による在留期限は,平成17年(2005年)4月6日である。 (甲10号証,当事者間に争いのない事実)タ原告は,平成14年12月5日から平成15年10月29日まで,大阪市ε×番30号ζ×階所在のP2(本件店)において稼働していた(本件就労)。本件就労の内容は,本件店で使う食べ物の調達,テーブル等のセット,店内の掃除,厨房 5日から平成15年10月29日まで,大阪市ε×番30号ζ×階所在のP2(本件店)において稼働していた(本件就労)。本件就労の内容は,本件店で使う食べ物の調達,テーブル等のセット,店内の掃除,厨房での雑用等を行うもので,チーフと呼ばれていた。 勤務時間は午後7時ころから午前2時ころまでであり,時給は1200円であった。勤務曜日は,毎週火曜日,水曜日及び木曜日の3日間であったが,1週間に4日ないし5日勤務する週もあった。 原告の同年10月における本件就労の内容は,同月1日から同月29日までの29日間中18日間稼働していたものであり,同月27日には給料として15万円を受領している。 (甲22号証,乙11号証,13号証,14号証,当事者間に争いのない事実)(5)退去強制令書発付処分に至る経緯ア大阪入管入国警備官は,平成15年10月29日,大阪府警察本部組織犯罪対策本部,同外事課,南警察署,東警察署警察官と合同で,本件店を摘発し(以下「本件摘発」という。),法違反の疑いが持たれた原告を含む中国人15名を大阪府警南警察署まで任意同行した。 (当事者間に争いのない事実)イ大阪入管入国警備官は,同日,大阪府警南警察署において,原告が法24条4号イ(資格外活動)に該当すると疑いがあるとして,違反調査(法27条)に着手した。 (当事者間に争いのない事実)ウ大阪入管入国警備官は,同月30日,原告が法24条4号イに該当する と疑うに足りる相当の理由があるとして,被告主任審査官から収容令書の発付(法39条2項)を受けた上,同日,同令書を執行し,原告を大阪入管収容場に収容した。大阪入管入国警備官は,同日,原告を法24条4号イ該当容疑者として,大阪入管入国審査官に引き渡した。 (当事者間に争いのない事実)エ大阪入管入国審査官は,同年11月6日,審 入管収容場に収容した。大阪入管入国警備官は,同日,原告を法24条4号イ該当容疑者として,大阪入管入国審査官に引き渡した。 (当事者間に争いのない事実)エ大阪入管入国審査官は,同年11月6日,審査の結果,原告が法24条4号イに該当すると認定(本件認定)し,原告にその旨通知した。これに対し,原告は,同日,口頭審理の請求をした。 (当事者間に争いのない事実)オ大阪入管特別審理官は,同月13日,原告に対し,口頭審理(法48条)を行い,入国審査官の認定に誤りがないと判定(本件判定)し,原告にその旨を通知した。原告は,同日,法務大臣に対し,異議を申し出た。 (当事者間に争いのない事実)カ法務大臣から権限の委任を受けた被告入管局長は,同月21日,原告の異議の申出は理由がない旨の裁決(本件裁決)をした。被告主任審査官は,本件裁決を受け,同月26日,退去強制令書を発付し(本件退令発付処分),大阪入管入国警備官は,同日,大阪入管においてこれを執行した。 大阪入管入国警備官は,同年12月24日,原告を入国者収容所西日本入国管理センターに移収した。 (当事者間に争いのない事実)(6)原告のP1大学における勉学の状況等ア原告が平成13年4月にP1大学国際言語文化学部国際言語文化学科に入学した後の,単位の修得状況は,平成13年度(1年次)が42単位,平成14年度(2年次)が38単位,平成15年度(3年次)前期が20単位であり,平成15年度前期までで合計100単位を修得している。P1大学においては,成績評価3以上が合格であるところ,原告が単位を修 得した合計45科目中,評価5(成績100点から80点)が10科目,評価4(成績79点から70点)が6科目,成績3(69点から60点)が29科目であった。また,原告がこれまで履修した科目のうち,不合格と 合計45科目中,評価5(成績100点から80点)が10科目,評価4(成績79点から70点)が6科目,成績3(69点から60点)が29科目であった。また,原告がこれまで履修した科目のうち,不合格となったものは3科目であり,このほか,履修したものの受験しなかったものが3科目ある。 なお,P1大学国際言語文化学部では,4年以上在学し,所定の授業科目を履修し,124単位以上を修得すると,教授会の議を経て学長が卒業を認定するとされている。 (甲11号証,14号証,弁論の全趣旨)イ原告の平成15年度(3年次。ただし,平成15年10月29日まで)の履修科目の出席状況は,出席率(全授業のうち出席調査をした授業回数中,原告が出席していた回数)67.32パーセントであった。 この出席率を曜日別にみると,以下のとおりであった。 月曜日68.96パーセント火曜日84.77パーセント水曜日80.73パーセント木曜日46.09パーセント金曜日70.61パーセントこのうち,原告の水曜日,木曜日及び金曜日の履修科目の出席状況及び単位取得状況は,以下のとおりであった。 (ア)水曜日前期(平成15年4月1日から同年9月17日まで)1時限(午前9時から午前10時30分まで)言語行動論出席率81.82パーセント評価3で合格2時限(午前10時40分から午後零時10分まで) ヨーロッパ文学Ⅰ出席率76.92パーセント評価3で合格4時限(午後2時40分から午後4時10分まで)日本文学Ⅰ出席率92.31パーセント評価3で合格後期(同年9月18日から同年10月29日時点まで)1時限言語構造論出席率100パーセント2時限西欧思潮出席率66.67パーセント4時限日本文学Ⅱ出席率66.67パーセント(イ)木曜日前期(平成15年4月 年10月29日時点まで)1時限言語構造論出席率100パーセント2時限西欧思潮出席率66.67パーセント4時限日本文学Ⅱ出席率66.67パーセント(イ)木曜日前期(平成15年4月1日から同年9月17日まで)1時限(午前9時から午前10時30分まで)美学芸術論出席率53.85パーセント評価1で不合格2時限(午前10時40分から午後零時10分まで)ヨーロッパ史学Ⅰ出席率33.33パーセント評価2で不合格3時限(午後1時から午後2時30分まで)東南アジア史学Ⅰ出席率92.31パーセント評価5で合格4時限(午後2時40分から午後4時10分まで)日本思想史Ⅰ出席率69.23パーセント評価5で合格後期(同年9月18日から同年10月29日時点まで)1時限思想文化論出席率16.67パーセント2時限日本美術史Ⅱ出席率20パーセント 3時限日本史学Ⅰ出席率33.33パーセント4時限日本思想史Ⅱ出席率50パーセント(ウ)金曜日1時限後期日本語学Ⅰ出席率83.33パーセント3時限通年フランス語初級Ⅱ出席率57.89パーセント(甲12号証)ウP1大学における原告に係る学費等の額及び原告の納入状況は,以下のとおりである。 (ア)1年次a前期納入日平成13年4月1日入学金25万円学費43万7500円委託徴収金4万5500円合計73万3000円b後期納入日平成13年11月5日学費23万3500円(実際に振り込んだ金額)(備考授業料減免20万4000円)合計23万3500円(イ)2年次a前期納入日平成14年5月22日学費45万5000円委託徴収金2万2000円合計47万7000円 b後期納入日平成14年11月11日 23万3500円(イ)2年次a前期納入日平成14年5月22日学費45万5000円委託徴収金2万2000円合計47万7000円 b後期納入日平成14年11月11日学費24万5000円(実際に振り込んだ金額)(備考授業料減免21万円)合計24万5000円(ウ)3年次a前期納入日平成15年5月20日学費47万5000円委託徴収金2万2000円合計49万7000円b後期納入日平成15年10月20日学費25万6000円(実際に振り込んだ金額)(備考授業料減免21万9000円)合計25万6000円(エ)4年次a前期納入日平成16年5月20日学費49万5000円委託徴収金2万2000円合計51万7000円b後期納入日平成16年11月1日学費26万7000円(実際に振り込んだ金額)(備考授業料減免22万8000円) 合計26万7000円(甲20号証)エ原告は,P1大学において,入学した平成13年4月から平成15年10月まで,毎月2万円(合計62万円)の外国人留学生学内奨学金を受給していた。また,原告は,平成15年4月から同年9月まで,毎月5万2000円(合計31万2000円)の私費外国人留学生学習奨励費を受給していた。 (乙26号証)オ原告は,平成17年3月,P1大学を卒業した。 (原告本人)(7)P7との婚姻原告は,中国上海からの留学生であり,P3で原告と同級生であったP7と,平成15年12月10日に婚姻し,同日,大阪市北区長に対し,婚姻届が提出された。 (甲6号証ないし8号証,15号証)(8)本件訴訟の提起原告は,平成16年2月16日,本件裁決及び本件退令発付処分の各取消しを求める本件訴訟を当裁判所に提起した。 に対し,婚姻届が提出された。 (甲6号証ないし8号証,15号証)(8)本件訴訟の提起原告は,平成16年2月16日,本件裁決及び本件退令発付処分の各取消しを求める本件訴訟を当裁判所に提起した。 (当裁判所に顕著な事実) 争点 (1)本件裁決の取消訴訟において,原告が法24条4号イ(資格外活動)に該当する旨の大阪入管入国審査官の認定(本件認定)の違法を主張することができるか否か(2)原告が法24条4号イ(資格外活動)に該当するか否か(3)本件裁決における裁量権の逸脱濫用の有無(4)本件退令発付処分の適否 争点に対する当事者の主張(1)本件裁決の取消訴訟において,原告が法24条4号イ(資格外活動)に該当する旨の大阪入管入国審査官の認定(本件認定)の違法を主張することができるか否か(被告ら)ア退去強制の手続に関する法の規定は,前提となる事実等(2)記載のとおりであるところ,入国審査官の認定は,私人を名あて人とし,退去強制という侵害作用の要件である退去強制事由を認定するものであり,これを受けた容疑者は,以後退去強制令書の発付により,実力をもって退去を強いられることになるから,上記認定は,入国審査官がその優越的地位に基づき,公権力の発動として行う行為であり,名あて人の法律上の地位に直接具体的な影響を与えるものとして,抗告訴訟の対象となる行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に該当する。したがって,容疑者が法24条の各号の該当性に係る認定に不服があれば,入国審査官の認定を取消訴訟の対象として争うことが法律上予定されている。 また,特別審理官は,入国審査官の認定に対する不服申立ての応答として審理判定する義務を負うものであるから,特別審理官の判定は行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)3条3項の「裁決」に当た ている。 また,特別審理官は,入国審査官の認定に対する不服申立ての応答として審理判定する義務を負うものであるから,特別審理官の判定は行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)3条3項の「裁決」に当たる。 そして,法49条の規定からみれば,法務大臣には,異議の申出に対する応答義務があることは明らかであり,法47条2項所定の入国審査官の認定に対する法48条所定の特別審理官の判定が行訴法3条3項にいう「裁決」に当たる以上,認定に誤りがない旨の判定に対する法49条所定の裁決も,当該判定に対する「異議の申出」という不服申立ての応答として,行訴法3条3項にいう「裁決」に当たるというべきである。 イ法49条1項の異議の申出に理由がない旨の裁決が行訴法3条3項の裁決に当たることはア記載のとおりであるから,その取消訴訟において主張 することができるのは,同裁決に固有の違法事由に限られる(行訴法10条2項)。したがって,異議の申出の手続に関する違法や,法務大臣の在留特別許可に関する違法の主張は,裁決固有の瑕疵として異議申出棄却裁決の取消訴訟において主張することができるものと解される。 一方,認定が行政庁の処分であり,判定がこれに対する審査請求に対する裁決,法49条1項の異議の申出に対する裁決がこれに対する再審査請求に対する裁決である以上,法49条1項の異議の申出に対する裁決の取消しの訴えにおいては,原処分の違法を理由とすることはできない(行訴法10条2項)から,本件裁決の取消訴訟において,原告が法24条4号イ(資格外活動)に該当する旨の大阪入管入国審査官の本件認定に係る判断の誤りを,その違法事由として主張することはできない。 ウなお,原告の後記主張が,入国審査官による認定の処分性等を認めながらも,認定の違法事由が法務大臣による裁決にも承継されるとする 認定に係る判断の誤りを,その違法事由として主張することはできない。 ウなお,原告の後記主張が,入国審査官による認定の処分性等を認めながらも,認定の違法事由が法務大臣による裁決にも承継されるとする趣旨であったとしても,その主張には理由がない。 すなわち,原告が違法性の承継を肯定する根拠として指摘するのは,法が退去強制の手続での不服申立期間を短期間に制限していることに尽きるが,不服申立期間が短期間に制限されていることのみをもって,直ちに違法性の承継が肯定されるとの結論を導くことはできない。この点,原告は,不服申立期間が短期間に制限されているため,認定の取消訴訟を提起しても,第1回口頭弁論期日に至る前に法務大臣による裁決がされてしまうとして,想定される種々の不都合を指摘する。しかしながら,入国審査官による認定と,その後の特別審理官による判定及び法務大臣による裁決とは,原処分とこれに対する行訴法3条3項に定める裁決に当たると解すべきであるから,法務大臣の裁決がされた後に,入国審査官の認定に対する取消訴訟を提起することが可能であり(行訴法14条4項),これによって原告の指摘する不都合はいずれも解消される。したがって,原告指摘の不都 合をもって本件訴訟において認定の違法についての主張を許す根拠とはなり得ない。 (原告)法は,入国審査官の認定は,これに対する取消訴訟のみで争うことを予定していないと解される。 すなわち,前提となる事実等(2)記載のとおり,法は,入国審査官の認定に対して異議があるときは,その通知を受けた日から3日以内に特別審理官に口頭審理の請求をすることができる旨規定し,さらに,口頭審理において上記認定に誤りがないと判定されたときは,その通知を受けた日から3日以内に法務大臣に対して異議の申出をすることができる旨規定している。 頭審理の請求をすることができる旨規定し,さらに,口頭審理において上記認定に誤りがないと判定されたときは,その通知を受けた日から3日以内に法務大臣に対して異議の申出をすることができる旨規定している。このように,入国審査官の認定に対する口頭審理の請求期間,特別審理官の判定に対する異議の申出期間は,いずれもその通知を受けた日から3日以内と極めて短期間に限られている。仮に入国審査官の認定に対して不服があり,取消訴訟を提起しても,他方で,通知から3日以内に口頭審理を請求し,その後異議の申出を行うと,入管実務に照らせば,結局のところ,上記取消訴訟の第1回口頭弁論が開かれるまでに法務大臣の裁決がされてしまうことになる。この場合,法務大臣が当該事案について在留特別許可を与えた場合や,異議の申出が理由があると判断した場合は,既に提起していた入国審査官の認定に対する取消訴訟は実質的に意味を有しなくなる。また,法務大臣が在留特別許可を付与した場合や,異議の申出が理由があるとの裁決を行った場合,その時点において入国審査官の認定に誤りがあったとして当該認定について取消訴訟を提起することは通常考えられない。一方,異議の申出が理由がない旨の裁決があった場合で,かつ,入国審査官の認定の違法を争う場合には,当該認定に対する取消訴訟と,当該裁決に対する取消訴訟を提起するのが通常であるから,原処分主義を採用した一つの理由とされている両訴訟が別個に提起された場合の判断の矛盾,抵触のおそれも生じないといえる。 以上からすれば,法が退去強制の手続について被告らが主張するように単純に段階的な処分性をとっていると解することには疑問が残る。法が不服を申し立てる期間を3日間という極めて短期間に制限しているのは,最終的な不服申立てといえる異議の申出に対する法務大臣の判断を速やかに 純に段階的な処分性をとっていると解することには疑問が残る。法が不服を申し立てる期間を3日間という極めて短期間に制限しているのは,最終的な不服申立てといえる異議の申出に対する法務大臣の判断を速やかに行うことによって行政庁としての最終判断の迅速化を図るとともに,この最終判断に対して不服がある場合は,訴訟において,入国審査官の認定も含めた違法の主張を許していると解するのが相当である。すなわち,仮に,先行する認定等の処分が独立の争訟対象になるとしても,上記の手続は早期救済のために各段階において争訟の機会を与えたものにすぎず,その段階で取消訴訟を提起して争わなければ裁決や最終処分である退去強制令書発付処分においてその違法を主張して争うことを許容しない趣旨であるとは考えられない。したがって,入国審査官の認定の違法を理由に本件裁決の取消しを求めることは許されると解すべきである。 (2)原告が法24条4号イ(資格外活動)に該当するか否か(被告ら)ア法24条4号イは,本邦に在留する外国人について,法19条1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行っていると明らかに認められる者を退去強制の事由としている。すなわち,法は,法19条1項に違反するだけでは直ちに退去強制の対象とはせず,本来有する在留資格に沿った活動を維持し,同項に違反する資格外活動を「専ら行っている」とは認められない場合には,当該外国人を本邦から退去強制することはしないとするものである。そして,「専ら行っている」とは,在留目的たる活動が在留資格たる活動から変更されたと評価することができる程度まで在留資格外の活動を行っていることをいうと解すべきところ,在留資格には,法別表第一の一,二のように,一定の範囲内において収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受 されたと評価することができる程度まで在留資格外の活動を行っていることをいうと解すべきところ,在留資格には,法別表第一の一,二のように,一定の範囲内において収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動をすること が許されるものもあれば,法別表第一の三,四のように,およそそのような活動が許されないものもあることから,報酬を受ける活動を「専ら行っている」といえるか否かを決するためには,従来の在留の目的である在留資格が報酬を受ける活動を許容するか否かを考慮した上,検討しなければならない。 イ法は,我が国における外国人の入国及び在留の管理の基本となる制度として,在留資格制度を採用しているところ,この在留資格は,我が国社会にとって好ましいと認める外国人の活動類型を法律で明示したものであり,それに該当する活動に従事する外国人の入国・在留が認められるという意味において,我が国の外国人受入政策を対外的に明らかにしたものということができる。すなわち,法は,本来,無限に近い広がりを有する人の社会生活上の活動を在留資格により限定類型化することにより,我が国社会にとって有益な外国人に限ってこれを受け入れようとするものである。 以上のような観点から,法2条の2第2項は,我が国に在留する外国人が,それぞれの在留資格に対応して,別表第一の下欄の「活動」又は同第二の下欄の「身分又は地位」を有する者としての活動を行って我が国に在留するものであることを求めており,また,法7条1項2号は,我が国に上陸しようとする外国人が上陸のための条件として,当該外国人が行おうとする活動が上記活動のいずれかに該当すべきことを求めている。そして,上記の在留資格制度の趣旨からして,在留資格の決定を受けて本邦に在留する外国人は,その現に有する在留資格に該当する活動を,その在留期間 活動が上記活動のいずれかに該当すべきことを求めている。そして,上記の在留資格制度の趣旨からして,在留資格の決定を受けて本邦に在留する外国人は,その現に有する在留資格に該当する活動を,その在留期間中一貫して行って在留するというのが基本である。 そして,前提となる事実等(1)記載のとおり,留学の在留資格を取得するためには,本邦に滞在するための費用を支弁する十分な資力や支弁のための手段を有することが必要とされていることからすれば,我が国は,就労しつつ勉学する活動を行う外国人を受け入れる出入国管理政策を採用 しておらず,法は,本邦において,報酬を受ける活動をしながら,その報酬によって勉学する活動を維持しようとする者には,そもそも留学の在留資格を付与せず,本邦への上陸及び在留を認めない立場を採っていると解される。もっとも,留学の在留資格をもって在留する者の資格外活動も,法19条2項の許可を受ければ認められるものの,当該資格外活動は,留学生の本国と我が国との所得格差を考慮して,本邦滞在中の学費その他の必要経費の一部を補う目的でのいわゆるアルバイト活動のみが許容されているにすぎない。したがって,留学の在留資格をもって本邦に在留する外国人が,たとい就労と勉学とを両立させ,まじめに大学等に通学していたとしても,本邦における滞在費用を専ら本邦における就労によって支弁しようとするような活動は,留学という在留資格によって法が保護を予定する活動ではない。 以上のとおり,留学の在留資格で在留する外国人が在留資格外の報酬を受ける活動を行い,その程度が本邦滞在中の必要経費を賄おうとするまでに至っている場合には,学業の遂行自体が就労によって阻害されていないとしても,もはやそれは,法の予定する留学の在留資格たる活動には当たらないことになり,この場合,在留資格たる 経費を賄おうとするまでに至っている場合には,学業の遂行自体が就労によって阻害されていないとしても,もはやそれは,法の予定する留学の在留資格たる活動には当たらないことになり,この場合,在留資格たる活動が留学の在留資格たる活動から変更されたと評価される程度まで,当該外国人は,資格外の報酬を受ける活動を行ったことになるのであるから,法24条4号イにいう報酬を受ける活動を「専ら行っている」として同号の退去強制事由に当たると解釈すべきである。そして,この場合,もはや,法律上留学の在留資格に基づく活動ということはできなくなり,在留目的たる活動が留学から変更されたことになるのであるから,在留資格に基づく活動をどの程度行っているかといったことについて総合考慮を行う余地はないと解すべきである。 ウ以上を前提に本件についてみると,以下のとおり,原告の活動は,留学の在留資格に該当する活動に当たらない。 (ア)原告の稼働状況及び収支関係は以下のとおりである。 a原告の父は,平成11年9月までは台湾の映画関係の会社に勤務しており,原告は,平成10年4月に来日してから約2年間,原告の両親から生活費として毎月約10万円の仕送りを受けていたものであるが,その後,原告の両親は職を失い,原告は,遅くとも平成12年8月以降は両親から仕送りを受けることはなくなった。そのため,原告は,奨学金と本邦内での就労活動によって得る収入によって,生活費と学費を賄うこととしたものである。 b原告は,平成13年4月1日,P1大学に入学したが,同月から平成15年10月まで,毎月2万円の外国人留学生学内奨学金を受領したほか,同年4月以降は,さらに月額5万2000円の私費外国人留学生学習奨励費を受領した。 c原告は,本件P6で稼働中の平成13年12月31日に起きた本件労災の結果 外国人留学生学内奨学金を受領したほか,同年4月以降は,さらに月額5万2000円の私費外国人留学生学習奨励費を受領した。 c原告は,本件P6で稼働中の平成13年12月31日に起きた本件労災の結果,同日から平成15年6月30日までの547日間を休業期間とする日額3361円相当の休業補償給付を受けた。 d原告は,平成14年12月5日から,資格外活動許可を受けず,また,同許可を受けることができない業種である本件店において,チーフとして稼働するようになり,週3日を固定出勤日として午後7時ころから翌日午前2時ころまで働き,平成15年10月27日には同月分の給料として15万円の支給を受けている。 e一方,原告がP1大学に支払った学費等は,平成13年度が96万6500円,平成14年度が72万2000円,平成15年度が75万3000円である。その他,原告は,教材費として年間約10万円が必要であるとしている。 また,原告は,1か月当たり,家賃2万5900円,食費3万円,光熱費約1万円,携帯電話通話料約5000円及びインターネット接 続料金約4000円の計約7万4900円を固定費用として必要としていたほか,単車の燃料費及び消耗品費等が生活費として必要であったとしている。以上を年額に計算すると,原告は,少なくとも90万円の固定生活費を必要としていたことになる。 以上の学費及び生活費等を月額で計算すると,平成13年度は約16万4000円,平成14年度は約14万4000円,平成15年度は約14万6000円を下ることはないと推認される。 (イ)(ア)記載の事実関係によれば,確かに,原告は,平成15年4月以降,月額2万円の奨学金に加え,月額5万2000円の私費外国人留学生学習奨励費を受領していたものであるが,生活費及び学費等を賄うにはほど遠いものであり 関係によれば,確かに,原告は,平成15年4月以降,月額2万円の奨学金に加え,月額5万2000円の私費外国人留学生学習奨励費を受領していたものであるが,生活費及び学費等を賄うにはほど遠いものであり,両親からの援助等もなかったため,遅くとも本件労災による休業補償給付の途絶えた同年7月以降は,専ら本件店における違法な資格外活動によって得られた収入によって,継続的に生活費や学費を賄おうとしていたというべきである。そうであるならば,本件認定がされた同年11月時点には経費支弁能力があったとは認められず,原告の報酬を受ける活動により,本邦滞在中の学費生活費が賄われていたものというべきであるので,原告の本邦での活動は,もはや留学の在留資格に基づく活動に該当するものではない。 したがって,原告は,在留目的たる活動が留学の在留資格たる活動から変更されたと評価される程度まで,資格外の報酬を受ける活動を行ったことになるのであるから,違法な就労活動を「専ら行っている」ものとして,法24条4号イに該当することは明らかである。 なお,原告は,両親からの資金援助により経費支弁能力があった旨主張するが,原告は,大阪入管における退去強制の手続の過程では,台湾における大地震を契機として父が無職となったため,遅くとも平成12年8月以降,両親からの送金を受けたことはなかった旨繰り返し述べて いたところであるし,また,原告が帰省した際に両親から金員を受領したことを裏付ける入金記録も認められないから,上記原告の主張は不自然である。 このほか,原告は,叔父であるP8及び妻のP7からの借入をもいうが,本訴提起後になって始めた説明である上,その授受回数や金額等もはなはだあいまいであり,経費支弁能力を取り繕うための虚偽の弁明というほかない。また,この点をおいても,これら借入は,奨 借入をもいうが,本訴提起後になって始めた説明である上,その授受回数や金額等もはなはだあいまいであり,経費支弁能力を取り繕うための虚偽の弁明というほかない。また,この点をおいても,これら借入は,奨学金や本件就労等による収入がなく,困窮した場合に補充的に借り入れたというにすぎず,このような借入金をもって,留学の在留資格に沿った活動を裏付ける必要経費を支弁する十分な手段とは到底いえない。 (ウ)なお,(ア)b及びc記載のように,原告は,本件就労による収入の他にも多額の収入を得ている。そして,株式会社P9銀行η支店の原告名義の普通預金口座(口座番号XXXXXXX-x)の入出金状況をみると,原告が本件就労を始めた平成14年12月5日当時の同口座の残高は63万8663円であり,本件就労期間中である平成15年2月26日には同口座の残高が89万8975円となっており,同年3月10日にそのうち80万円が出金されているものの,そのわずか約2か月後の同年5月15日には,同口座の預金残高は52万9622円まで増加し,同月20日にそのうち50万円が出金されている。さらに,その約4か月後の同年9月10日には,同口座の預金残高は71万3520円に増加したが,同年10月2日に合計43万4050円が,同月8日に11万0100円がそれぞれ出金されている。 本来,就労活動が許されていない留学等の在留資格で在留する者が,上記のように数か月のうちに年間の学費をはるかに超える余剰預金を蓄えることなど不可能である。上記各出金は,その額からすると,生活資金として費消されたものとは到底認め難く,上記口座の預金残高及び出 金状況からすると,本件就労の目的も,学費等必要経費の不足分を補填するものではなく,むしろ余剰財産を形成することにあったとみることもでき,この点からしても, 認め難く,上記口座の預金残高及び出 金状況からすると,本件就労の目的も,学費等必要経費の不足分を補填するものではなく,むしろ余剰財産を形成することにあったとみることもでき,この点からしても,原告の在留目的は就労に変更されていると解さざるを得ない。 エ(ア)入管実務においては,留学生に許容されるアルバイトの程度,許可の条件について,社会情勢及び国内情勢の推移に応じた政策判断が行われてきているが,終始一貫して,いわゆる風俗営業店でのアルバイトは,許可の対象から除外されており,留学生による活動として許容される余地がないことは既に入管実務として定着しているところである。 すなわち,留学の在留資格を有する者について,例外的に,本邦滞在中の学費その他の必要経費の一部を補う目的でのアルバイト活動が許容されるが,これは,留学生の本国と我が国との所得格差等に対する考慮のほか,我が国では,学生が学業に支障を来さない範囲でアルバイトを行うことがほぼ社会通念上認められている社会的背景を前提とするものである。このことからすると,仮に,稼働目的が本邦滞在中の学費その他の必要経費の一部を補うことにあったとしても,稼働内容が社会通念上学生が通常行うアルバイトとは認められない場合には,その稼働は留学の在留資格として認められる活動とみることはできない。そして,風俗営業が風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)の規制の対象とされている趣旨や,風営法による規制の内容に照らしても,風俗営業店における稼働はおよそ学業とは相容れず,社会通念上学生が通常行うアルバイトとみることは困難である。また,実際的な見地からしても,主として異性との接触を求める酔客に対して,その求めに応じたサービスを提供することを業務とする風俗営業に関与することは,学 が通常行うアルバイトとみることは困難である。また,実際的な見地からしても,主として異性との接触を求める酔客に対して,その求めに応じたサービスを提供することを業務とする風俗営業に関与することは,学業途上の学生の心身・意欲に悪影響を及ぼすことは想像に難くない。入管実務においても,風俗営業店での稼働が社会通 念上学生が通常行うアルバイトとみることができないため,法令又は公序良俗に反するおそれがあるものとともに,留学,就学の在留資格の下で許容される活動と認められる余地がないためである。なお,入管実務において,風俗営業等が含まれる営業所において行う稼働については,具体的稼働内容にかかわらず,一律資格外活動の許可の対象から除外しているが,これは,いわゆる風俗営業店に出入りすること自体,社会通念上学生が通常行うアルバイトと認められず,学業と両立し難いと評価されることに基づくものである。 以上のように,いわゆる風俗営業店における稼働は,社会通念上学生のアルバイトと認められず,留学を在留資格とする活動とは両立しないため,本来,留学を在留資格とする活動として認められる余地はない。 このように,留学の在留資格を有する外国人の実際上の活動が本来の在留資格の下に認められないものである場合,その在留目的も,本来の在留目的から実際の活動に応じた目的に変更されたと評価する有力な証拠となるものであり,本来の在留資格と両立しない活動に及んでいることは,法24条4号イにいう「専ら行っている」との要件該当性を判断するに際して,積極要素として考慮すべきである。 (イ)これを本件についてみるに,本件就労は風俗営業店における稼働であり,仮に資格外活動の許可を申請したとしても,許可される余地がない。 この点,原告は,本件就労が一般の飲食店におけるアルバイトと大差ないことを 件についてみるに,本件就労は風俗営業店における稼働であり,仮に資格外活動の許可を申請したとしても,許可される余地がない。 この点,原告は,本件就労が一般の飲食店におけるアルバイトと大差ないことを強調するが,原告が稼働する風俗営業店(本件店)は中国人ホステス多数が在籍する,いわゆる中国人ラウンジであり,原告の稼働時間帯は深夜に及ぶ。その稼働内容が客の接待には当たらないものであっても,深夜,風俗営業店に出入りし,主として異性との接触目当ての酔客に対するサービス提供が行われている場所で稼働し,享楽的な環境 に日常的に接することは,地道に専門的知識を習得する意欲を減退させることになり,やはり学業とは両立し難いものであり,社会通念上も,学生が行うアルバイトとして相当性を認めることは困難といわざるを得ない。入管実務においても,いわゆる風俗営業店における稼働については,一律資格外活動許可の対象から除外しているとおり,稼働内容が客の接待に当たらないことをもって,原告の風俗営業店での稼働を正当化する理由とはなり得ない。 以上のように,原告が,留学の在留資格の下では認められる余地のない本件就労に及んでいることからすれば,その在留目的も,留学から実際の活動に応じて就労に変更されたものとみるべきである。 オ原告が行っていた資格外活動(本件就労)の継続性は顕著であり,この点からも,原告の在留目的は就労目的に変更されていたとみるべきである。 すなわち,原告による本件店での資格外活動(本件就労)は,平成14年12月5日から平成15年10月29日に摘発されるまでの約11か月に及ぶ上,本件摘発がなければ,さらに継続して資格外活動を行っていたはずである。しかも,この間,原告は週3日を固定出勤日として週21時間以上稼働しており,本件摘発直前の同年10月中の稼働時間 1か月に及ぶ上,本件摘発がなければ,さらに継続して資格外活動を行っていたはずである。しかも,この間,原告は週3日を固定出勤日として週21時間以上稼働しており,本件摘発直前の同年10月中の稼働時間は115時間を超えている。 他方,原告はP1大学において1週間当たり14時限又は16時限(1時限当たり1時間30分)の授業を履修しているが,その出席率は平均67.3パーセントであるから,1週間当たりの出席時間は16時間程度にすぎず,本件摘発直前の同年10月中には延べ63時限の授業を履修することになっていたが,上記出席率からすると,原告の実際の出席時間はおよそ68時間程度にすぎないのであって,これからすると,原告は,P1大学における受講時間を大きく超える時間を本件就労に充てていたこととなる。 上記のとおり,原告は,本邦在留中の生活上の多くの時間を資格外活動のために充てていたのであり,その客観的な生活態度からしても,原告の在留は留学目的よりむしろ就労目的に変更されていたものとみるべきである。 (原告)ア法24条4号イは,法19条1項の規定に違反して報酬を受ける活動等を「専ら行っている」と明らかに認められる者と規定しているところ,ここにいう「専ら行っている」とは,活動の継続性,有償性,その本来の資格に基づく活動をどの程度行っているか等を総合的に判断して,外国人の在留目的の活動が変更したと認められる程度に資格外活動を行っていることをいうと解されている。 このように,法は,単に外国人が資格外活動を行っていたことをもって直ちに違法とするのではなく,相当強度の資格外活動に限って違法としているのであり,在留目的である活動が実質的に留学ではなく就労その他の報酬を受ける活動に変更したといえる程度に達していることが必要であり,その判断を行うにあたって 当強度の資格外活動に限って違法としているのであり,在留目的である活動が実質的に留学ではなく就労その他の報酬を受ける活動に変更したといえる程度に達していることが必要であり,その判断を行うにあたっては,在留目的の活動実態と就労活動の実態をと相関的に判断する必要がある。 イそこで,原告の資格外活動(本件就労)についてみるに,原告が従事していた仕事の内容は,チーフという立場であったものの,掃除や買い物等のいわゆる雑用であり,接客を主とするホステスとは全く仕事の内容を異にする。特に,学業への影響という点では,ホステスは飲酒を余儀なくされる場合も生じるであろうが,原告が従事していた仕事においては,飲酒の機会など全くなかったのであり,ファミリーレストラン等の飲食店においてアルバイトをする場合の仕事内容と大差がない。 原告が本件就労をしていた期間は約11か月と学生のアルバイトとしては比較的短期間である。なお,原告は,本件店の責任者から平成15年の 終わりまで仕事を続けて欲しいと言われており,同年末ころまでは働こうと思っていたが,それ以降もアルバイトを続けようという意思は有していなかった。 原告の稼働時間については,1週21時間程度であったところ,資格外活動の許可を受けた場合においても大学生の場合は1週について28時間以内(長期休業期間にあっては,1日について8時間以内)の稼働が許されていることに照らせば,原告の仕事の内容(清掃等の開店準備や洗い物など)からすれば,それほど長い時間であるとはいえない。 本件就労に係る時給は1200円であり,稼働時間帯が深夜に及ぶことを考慮すれば,ごく一般的な時給であって,レストラン等において夜間にアルバイトをする場合と異ならない金額であった。また,本件就労により得た収入は100万円程度であるが,1か月当たりに換 夜に及ぶことを考慮すれば,ごく一般的な時給であって,レストラン等において夜間にアルバイトをする場合と異ならない金額であった。また,本件就労により得た収入は100万円程度であるが,1か月当たりに換算すれば9万円程度であって,ごく普通のアルバイト収入であり,多額であるとまではいえない。 ウ(ア)原告は,本件就労による収入で本邦滞在費用のすべてを賄っていたものではない。確かに,原告に対する親元からの定期的な仕送りは平成12年(2000年)8月ころにはなくなったが,原告は,本国に帰国した際に両親や兄から援助を受けたり,日本にいる叔父のP8や当時交際相手であったP7から援助を受けたり,あるいは,P8が商用で台湾に行った際に,原告の家族からお金を預かってきてくれるなどしていた。 上記収入以外にも,原告は,本件P6で稼働して得たアルバイト料金や,本件労災による休業補償給付などがある。同給付金は,平成14年3月から平成15年8月までの間,毎月約10万円が支払われていた。 また,原告は,平成13年4月からは月額2万円の奨学金をP1大学から受けており,これに加えて,平成15年4月からは月額5万2000 円の奨学金も受けていた。さらに,学費の減額措置を受けて戻ってきた金員もある。 (イ)被告らは,留学の在留資格で在留する外国人が在留資格外の報酬を受ける活動を行い,その程度が本邦滞在中の必要経費を賄おうとするまでに至っている場合には,学業の遂行自体が就労によって阻害されていないとしても,それは法の予定する留学の在留資格たる活動には当たらないことになる旨主張する。 確かに,法の規定によれば,滞在費用の主要な部分を国内における就労以外の方法で獲得することが予定されているといえる。しかしながら,本邦に入国する際には本邦滞在のための十分な資産を有していて 張する。 確かに,法の規定によれば,滞在費用の主要な部分を国内における就労以外の方法で獲得することが予定されているといえる。しかしながら,本邦に入国する際には本邦滞在のための十分な資産を有していても,その後の事情の変化によって経費支弁能力に支障を来す場合はあり得ることである。特に,入国した後,日本語学校を経て大学に行く場合には5年以上にわたって滞在することになるが,その途中で当初予想することができなかった経済的支障が生じることも少なくないのであって,そのような場合には本邦滞在中の必要経費を補うことも許容されると解すべきである。 原告は,平成10年4月に来日し,語学学校卒業後コンピューター及び簿記の専門学校に通っていた平成12年8月ころに震災の影響で父の事業継続が困難になり,親元からの定期的な仕送りが途絶えたものである。しかしながら,(ア)記載のように,原告は,両親が親戚等から借り入れるなどした金銭を帰国する際に受け取って本邦に持ち帰ったり,その他,日本にいる原告の叔父のP8や当時の交際相手で現在の妻であるP7からも経済的援助を受けていたものであり,学費や生活費のすべてを本件店でのアルバイト収入で賄っていたわけではない。 (ウ)被告らは,本件就労の目的が余剰財産を形成することにあった旨の主張もする。この点,留学生が病気や不慮の事故などによって突然出 費を強いられる場合に備えて,学費等必要経費の補填分以上の収入をある程度蓄えておく現実の必要性があるといえるのであり,この程度の余剰財産の形成(そもそも,このような目的での貯蓄等が「余剰」といえるか疑問である。)をもって,直ちに「専ら行っている」との要件に当たると解することはできない。 また,原告が1年に負担する費用は,P1大学における学費等と生活費を合計すると,150万円を超える程 えるか疑問である。)をもって,直ちに「専ら行っている」との要件に当たると解することはできない。 また,原告が1年に負担する費用は,P1大学における学費等と生活費を合計すると,150万円を超える程度となるのであり,本件就労により原告が得た収入が余剰財産の形成に充てられたものではない。 なお,被告らは,原告の預金口座からの出金を問題とするが,平成15年3月10日の80万円の出金はP8やP7からの借金の返済に,同年5月20日の50万円の出金はP1大学における3年次前期の学費及び委託徴収金の支払に,同年10月2日の合計約43万円の出金は同3年次後期の学費の支払及び生活費や書籍購入費等にそれぞれ充てられたものであり,これら各出金が余剰財産の形成のためにされたものではない。ちなみに,平成16年1月13日時点の預金残高は約10万円にすぎない。 エ原告のP1大学における就学状況についてみるに,原告の大学出席状況及び成績は良好であったといえる。 すなわち,前提となる事実等(6)記載のとおり,原告は,3年次前期において既に卒業に必要な単位数(124単位以上)の約8割に当たる100単位を取得しており,そのうち平成15年前期に取得した20単位は本件就労期間中に取得した単位である。そして,同取得単位中には,最高の評価で合格している科目も相当ある。このように原告の成績は良好であったといえる。 また,出席率については,3年次においては確かに木曜日の出席率が低いが,これは,年度当初に選択した科目について,どうしても授業になじ めなかったものがたまたま木曜日に重なったからにすぎない。本件就労の固定出勤日は火曜日,水曜日及び木曜日であるが,3年次の授業への出席率は水曜日が80.73パーセント,金曜日が70.61パーセントとなっていることからしても,木曜日の出席 からにすぎない。本件就労の固定出勤日は火曜日,水曜日及び木曜日であるが,3年次の授業への出席率は水曜日が80.73パーセント,金曜日が70.61パーセントとなっていることからしても,木曜日の出席率の低さは本件就労が原因ではないことが明らかである。 なお,原告は,2年次終了時(平成14年3月末)において既に80単位を取得しており,3年次になってからは受講科目が減少したため,1週間当たりの受講時間も比較的短くなっていた。 オ風俗営業が営まれている営業所における活動が一律的に資格外活動許可の対象外とされているのは,同所における活動内容を個々具体的に取り上げて対象外か否かを明らかにすることが実際上困難なためと考えられるところ,単に留学生のアルバイトの対象範囲を画する場面と,退去強制事由に当たるか否かという強度の人権侵害を招来しかねない事項に関する場面とで同一の基準を用いなければならない理由はなく,むしろ,後者において留学生に及ぼす影響の重大性にかんがみれば,単に上記営業所に出入りして稼働していたという点だけではなく,その具体的活動内容まで吟味されなければならない。 この点,被告らは,深夜,風俗営業店に出入りして酔客に対するサービスが行われている場所で稼働し,享楽的な環境に日常的に接することは,地道に専門的知識を習得する意欲を減退させることになり,学業とは両立し難い旨主張する。 確かに,原告が享楽的な環境に接していた面は否定し難いが,本件店は,男性客を酒食でもてなすごく一般的なラウンジであり,いかがわしい行為(売春等)を行うような店では全くなかった上,酔客の接客に直接当たるホステスと,原告のような単なるスタッフとでは,従事する仕事の内容に大きな違いがあることは明らかであり,その違いは学業に対する意欲に与 える影響とも無関係ではないとい 上,酔客の接客に直接当たるホステスと,原告のような単なるスタッフとでは,従事する仕事の内容に大きな違いがあることは明らかであり,その違いは学業に対する意欲に与 える影響とも無関係ではないといえる。そして,風俗営業店内における仕事といえども,客との会話や接触がほとんどないような仕事,すなわちラウンジ等における営業の本質的部分である「接客」の仕事を扱っていないのであれば,店内のホステスと客とのやりとりを見聞きすることがあっても,社会通念上,それが直ちに学業に対する意欲を減退させるとまではいえない。 カ以上から,原告について,外国人の在留目的の活動が変更したと認められる程度に資格外活動を行っているとはいえず,原告が資格外活動を「専ら行っている」と認めることはできない。 したがって,原告の資格外活動(本件就労)が法24条4号イの要件を満たしているとはいえず,同要件に該当するとした大阪入管入国審査官による本件認定に基づいて行われた本件裁決は違法である。 (3)本件裁決における裁量権の逸脱濫用の有無(被告ら)ア国際慣習法上,国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく,特別の条約がない限り,外国人を自国内に受け入れるかどうか,また,これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかを,当該国家が自由に決定することができるものとされている。したがって,憲法上,外国人は,本邦に入国する自由を保障されているものではないことはもちろん,在留の権利ないし引き続き本邦に在留することを要求する権利を保障されているものでもない(最高裁昭和50年(行ツ)第120号同53年10月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁)。 そして,法50条1項の在留特別許可は,退去強制事由に該当するため,当然本邦からの退去を強制されるべき者に対し,特に在留を認める処分で 号同53年10月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁)。 そして,法50条1項の在留特別許可は,退去強制事由に該当するため,当然本邦からの退去を強制されるべき者に対し,特に在留を認める処分であって,他の一般の行政処分と異なり,恩恵的措置としての性格を有するものであり,法50条1項の規定により在留特別許可を与えるか否かは法 務大臣の自由裁量に属する(最高裁昭和34年(オ)第32号同年11月10日第三小法廷判決・民集13巻12号1493頁)。 法が在留特別許可の付与を法務大臣の裁量にゆだねることとした趣旨は,在留特別許可を与えるか否かの判断に当たり,当該外国人の在留状況等の個人的事情のみならず,その時々の国内の政治・経済・社会等の諸事情,外交政策,当該外国人の本国との外交関係等の諸般の事情を総合的に考慮した上で,時宜に応じた的確な判断をする必要があることから,国内外の情勢に通じ,常に出入国管理の衝に当たる者の裁量に任せることにより,適切な結果を期待することにある。 そうすると,在留特別許可の付与に係る法務大臣の裁量権の範囲は,在留期間の更新の場合に比して,格段に広範なものと解すべきであるから,これが違法として評価されるのは,上記昭和53年10月4日大法廷判決が示す場合よりもさらに限定され,法律上当然に退去強制されるべき外国人についてなお我が国に在留することを認めなければならない積極的な理由が認められるような場合に限られるのであって,結局,法務大臣がその付与された権限の趣旨に明らかに背いて裁量権を行使したものと認め得るような特別な事情がある場合等,極めて例外的な場合のみというべきである。 イ争点(2)についての被告らの主張記載のとおり,原告による資格外活動(本件就労)は法24条4号イ所定の退去強制事由に該当するところ,原告は, る場合等,極めて例外的な場合のみというべきである。 イ争点(2)についての被告らの主張記載のとおり,原告による資格外活動(本件就労)は法24条4号イ所定の退去強制事由に該当するところ,原告は,本邦において報酬を受ける活動を行うには資格外活動許可が必要なこと,同許可を受けたとしても風俗営業店等で稼働することができないこと,さらには入管や警察の摘発があった場合には身柄を拘束される可能性があることを十分認識していたにもかかわらず,本件店においてチーフとして稼働を開始し,本件摘発までの約11か月間,他の中国人留学生ホステスらとともに違法な資格外活動を継続していたものであって,その行 状は悪質であるといわざるを得ない。 のみならず,原告は,平成12年8月以降は本国からの送金もなく,稼働等により本邦滞在費を支弁していたにもかかわらず,本件店で稼働していた平成15年5月1日に大阪入管で行った在留期間更新許可の申請書には,本邦滞在費の支弁方法等について,「支弁方法外国からの送金」「経費支弁者P10」(実父)と記載し,滞在費支弁方法について虚偽申告をし,殊更に本件店での稼働事実を秘匿することにより,在留期間を2年更新する許可を受けており,その行状は出入国管理行政を害するものとして,到底看過し得ない。 一方,原告は,本邦には約5年半しか在留しておらず,本国で出生・成育し,教育を受け,23歳まで生活を営んでいたほか,原告の親族は本国で生活しており,本人には稼働能力があることなど,原告が本国に帰国したとしても,本国での生活に特段の支障があるとは認められず,原告に在留特別許可を付与すべき積極的な理由を認めることはできない。 以上から,原告につき在留特別許可を付与すべき事情は存在せず,上記事情の存在を前提として,本件裁決が裁量の範囲を逸脱したものであ ,原告に在留特別許可を付与すべき積極的な理由を認めることはできない。 以上から,原告につき在留特別許可を付与すべき事情は存在せず,上記事情の存在を前提として,本件裁決が裁量の範囲を逸脱したものであるとする原告の主張は失当である。 なお,原告は,本件裁決後の平成15年12月10日に中国人女性と婚姻したことをも斟酌すべき事情として主張するが,当該行政行為が行われた後の事情を主張立証しても,当該行政行為がさかのぼって違法となるものではない。 (原告)ア憲法は国会を国権の最高機関と定めており,国家の裁量権は第一義的には国会に属するものとして立法裁量にゆだねられていると解すべきである。 もっとも,その立法裁量の結果として,特定の場合において行政庁に裁量を与えることもあるが,憲法における「法の支配」の精神や「法律による 行政」の原理からすれば,民主的コントロールが間接的にしか及ばない行政庁に対して全くの自由裁量が付与されることはあり得ないと考えるべきである。そのため,法律によって行政庁に一定の裁量権が与えられたとしても,その根拠となる法律の目的・趣旨等によって自ずから一定の制限を受ける覊束裁量となる。 この点,法は「出入国の公正な管理」を目的としているところ(法1条),この「出入国の公正な管理」とは,国内の治安や労働市場の安定など公益並びに国際的な公正性,妥当性の実現及び憲法,条約,国際慣習,条理等により認められる外国人の正当な利益の保護を図るための管理を意味する。法50条1項の趣旨も,この公益目的と外国人の正当な権利,利益の調整を図ることにあり,法務大臣の裁量権もこの趣旨の範囲内で認められるにすぎず,法務大臣に極めて広範な裁量権があるというものではない。 イ争点(2)についての原告の主張記載のとおり,原告が報酬を受ける活動を「専ら行 ,法務大臣の裁量権もこの趣旨の範囲内で認められるにすぎず,法務大臣に極めて広範な裁量権があるというものではない。 イ争点(2)についての原告の主張記載のとおり,原告が報酬を受ける活動を「専ら行っていると明らかに認められる者」ではないにもかかわらず,風俗営業店での稼働という点を強調しすぎるあまり,退去強制事由に該当するとしてしまった点において全く事実の基礎を欠いているといえる。のみならず,上記記載の諸点に照らせば,本件裁決は,原告の本件就労や在留目的である勉学の実体についての評価が明白に合理性を欠いているとともに,著しく妥当性を欠くものというほかない。 また,仮に原告による本件就労が法24条4号イに該当するとしても,上記のとおり同該当性が明らかな事案であるとは到底いえず,微妙な判断を必要とする事案であるといえるから,同記載の諸点を総合考慮すれば,原告に対して在留特別許可を付与するのが相当であったといえる。 さらに,これまで在留特別許可が与えられた事案をみると,本邦において長期間不法残留をしていた者について許可された事案も散見されるとこ ろ,これら事案は,不法残留であっても長期間平穏かつ公然と我が国に残留して我が国社会とのつながりが深くなっていることが在留特別許可を与えることについての一つの理由となっている場合が多い。これら事案と本件とを対比すると,原告は本件就労で検挙された時点において適法な滞在資格を有していた上,既に5年以上我が国で生活しており,相当の社会的つながりをもつに至っている。しかも,原告は,平成15年(2003年)12月10日にP7と婚姻したという事情もある。これらからすれば,本件裁決は,長期間の不法残留という違法性の大きい事案においても在留特別許可が認められる事案があることと対比して公平の原則に反するといえる。 日にP7と婚姻したという事情もある。これらからすれば,本件裁決は,長期間の不法残留という違法性の大きい事案においても在留特別許可が認められる事案があることと対比して公平の原則に反するといえる。 以上から,本件裁決には裁量範囲を逸脱した違法があるといえる。 (4)本件退令発付処分の適否(被告主任審査官)ア原告は,本件退令発付処分が本件認定の違法性を承継するため違法である旨主張するが,以下のとおり,本件退令発付処分が本件認定の違法性を承継するものと解することはできない。 (ア)退去強制の手続に関する法の規定は前提となる事実等(2)記載のとおりであり,また,入国審査官の認定に処分性が認められることは争点(1)についての被告らの主張記載のとおりである。このように,容疑事実に係る退去強制事由該当性の判断は,入国審査官の審査,特別審理官の口頭審理及び異議の申出に対する法務大臣の裁決の三審制により慎重に審理され,また,このうち特別審理官の口頭審理において聴聞手続が保障されているため,容疑者の権利が手厚く守られる手続構造となっている。つまり,法は,認定,判定,裁決等の判断権限を,それぞれ権限の異なる独立の機関に配分・担当させることにより,これらの期間の相互間にチェック機能が働くようにし,容疑者の人権に配慮している ということができる。 (イ)入国審査官による認定と退去強制令書発付処分は,先行処分と後行処分との関係があるが,両者は別個の行政処分であり,格別にその瑕疵を理由として取消訴訟を提起し,その適法性を争うことができる。そして,入国審査官による認定についても公定力や不可争力は認められるのであるから,退去強制令書発付処分の取消訴訟において,認定の違法を取消事由として主張することは原則として許されない。 しかも,入国審査官の認定が行政庁 よる認定についても公定力や不可争力は認められるのであるから,退去強制令書発付処分の取消訴訟において,認定の違法を取消事由として主張することは原則として許されない。 しかも,入国審査官の認定が行政庁の処分であり,特別審理官の判定が審査請求に対する裁決としての,法務大臣の裁決が再審査請求に対する裁決としての実質をそれぞれ有し,法務大臣の裁決の取消訴訟において,認定の違法を理由に裁決の取消しを求めることはできないのであるから(行訴法10条2項),法務大臣の裁決に後続し,裁決とは別個の処分である退去強制令書発付処分の取消訴訟においても,認定の違法を理由に退去強制令書発付処分の取消しを求めることはできないと解すべきである。 (ウ)入国審査官により法24条各号の一に該当すると認定されたときは,速やかに理由を付した書面をもってその旨が知らされるが(法47条2項),原告に対してもその通知はされている。そして,この場合,原告には,法所定の手続により,口頭審理の請求及び異議の申出という不服申立てを行うことができるほか,(イ)記載のとおり認定の取消訴訟を提起することもできるという手続保障がされている。 さらに,判定,裁決によってもその不服が入れられなかった場合,原告は,主任審査官を介して異議の申出に理由がない旨の裁決の告知を受けた後,同裁決の取消訴訟を提起することができ,現に,原告は,本件裁決の取消訴訟を提起している。原告が認定の取消訴訟を提起しないまま出訴期間を徒過した場合であっても,裁決の取消しの訴えと認定の取 消しの訴えとを併合して提起すれば,出訴期間の遵守については,認定の取消しの訴えは,裁決の取消しの訴えを提起した時に提起したものとみなされる(行訴法20条)。 このように,本件において原告は,本件裁決及び本件退令発付処分の取消訴訟を提起 間の遵守については,認定の取消しの訴えは,裁決の取消しの訴えを提起した時に提起したものとみなされる(行訴法20条)。 このように,本件において原告は,本件裁決及び本件退令発付処分の取消訴訟を提起したにすぎず,本件認定に対する取消訴訟を提起しないまま,本件裁決及び本件退令発付処分の取消訴訟において本件認定の違法を主張しているが,上記のとおり,原告には,制度上特に手厚い保障がされていたのであるから,その手続上の権利を行使しなかったことによる原告の不利益は原告において甘受すべきものというほかない。 したがって,本件において,違法性の承継を認め,本件退令発付処分取消訴訟において原告が本件認定の違法を主張することを認めなければならない理由はない。 (エ)以上のとおり,法は,特別審理官に対する口頭審理の請求,特別審理官の判定に対する異議の申出の制度によって退去強制事由の存否を争う機会を特に手厚く保障するとともに,本件認定に対する取消訴訟を提起(本件裁決に対する取消訴訟を提起した上,本件認定に対する取消訴訟を併合提起することを含む。)する機会まで保障している。これは,退去強制事由の存否という当該外国人にとって重大な事柄に関する紛争をこれらの手続により特に慎重に審理する一方,この手続において,退去強制事由が存在するとされた場合には,その後に予定されている退去強制令書発付処分とその執行手続は,退去強制事由の不存在を争わせることなく,迅速かつ円滑に行うことを図る趣旨のものと解される。そうすると,法は,当事者が上記のような不服申立手続を利用しなかったために認定について不可争力が発生した場合には,もはや退去強制令書発付処分取消訴訟においては認定の違法は主張し得ないという立法政策を採用しているとみるべきである。 したがって,法は,退去強制令書発付処 定について不可争力が発生した場合には,もはや退去強制令書発付処分取消訴訟においては認定の違法は主張し得ないという立法政策を採用しているとみるべきである。 したがって,法は,退去強制令書発付処分取消訴訟において,入国審査官の認定の違法を主張することを認めない,すなわち違法性の承継を否定する趣旨であると解すべきである。 イ原告は,主任審査官に退去強制令書発付に係る裁量が認められるべきことを根拠として,本件退令発付処分についても独自の違法性がある旨主張する。 しかしながら,退去強制の手続において,容疑者が法24条各号の一に該当するとの入国審査官の認定若しくは特別審理官の判定に容疑者が服したとき又は法務大臣からの異議の申出は理由がない旨の裁決の通知を受けたときには,主任審査官は,速やかに当該容疑者に対する退去強制令書を発付しなければならないのであり(法47条4項,48条8項,49条5項),主任審査官には,同手続において退去強制令書を発付するか否かについては全く裁量の余地はない。 原告は,法24条の規定ぶりから,同条各号に該当する外国人について,退去強制の手続を開始し,退去強制令書を発付するかについて一定の裁量が認められており,その裁量は限定されるべきである旨主張する。 しかしながら,法24条は,我が国が外国人を退去強制することができる権利ないし権能を有することを確認して宣言した規定であり,併せて,本邦から退去強制される外国人の類型及び外国人を退去強制する場合には法第5章に定める手続により行うことを明らかにしたものであって,法24条の規定により裁量権限を定めたものと解することはできない。 さらに,原告は,警察比例の原則や行政便宜主義など行政法の伝統的解釈を根拠に,主任審査官には退去強制令書発付の裁量が認められている旨主張する。 しかしな 裁量権限を定めたものと解することはできない。 さらに,原告は,警察比例の原則や行政便宜主義など行政法の伝統的解釈を根拠に,主任審査官には退去強制令書発付の裁量が認められている旨主張する。 しかしながら,法49条4項及び5項の規定内容に照らしても,退去強制令書発付につき主任審査官に行政便宜主義が適用される余地はないし, また,上記のとおり主任審査官には退去強制令書発付に関する裁量はないから,比例原則が退去強制令書発付の裁量を限界づける法理として働くことはあり得ない。 以上から,主任審査官には,退去強制令書を発付するか否かについては全く裁量の余地はなく,本件退令発付処分についてはその他の固有の瑕疵も存しないから,適法な本件裁決を前提とする本件退令発付処分も適法である。 (原告)ア争点(1)についての原告の主張記載のような退去強制の手続に関する法の規定内容に照らせば,入国審査官による本件認定の違法を本件裁決の取消訴訟において主張することができると解すべきところ,本件では原告について法24条4号イ(資格外活動)に該当するとして所定の手続を履践した上で,被告主任審査官は法49条5項の規定に基づき本件退令発付処分をしたものであり,同規定によると,本件認定に対する異議の申出が理由がないと裁決されたことを受けて,被告主任審査官は覊束的に本件退令発付処分をしたのであるから,退去強制事由の認定の誤りは本件退令発付処分と連動しているというべきであって,前者の違法性を後者の適法性の判断においても考慮することができると解すべきである。 よって,本件認定の違法を本件退令発付処分の取消訴訟において主張することができると解すべきである。 そして,争点(2)についての原告の主張記載のとおり,原告は法24条4号イに規定する外国人には該当せず,これに反する本件認定 本件退令発付処分の取消訴訟において主張することができると解すべきである。 そして,争点(2)についての原告の主張記載のとおり,原告は法24条4号イに規定する外国人には該当せず,これに反する本件認定は違法であるから,本件退令発付処分も違法な処分となる。 イ仮に原告の本件就労が法24条4号イに該当するとしても,争点(3)についての原告の主張記載のとおり本件裁決には裁量範囲を逸脱した違法があるといえるから,本件裁決を受けて覊束的に行われた本件退令発付処 分にも裁量権逸脱の違法があるといえる。 ウこれに対し,法24条の規定や警察比例の原則,行政便宜主義など行政法の伝統的解釈からすれば,退去強制令書発付処分は裁量行為であるとも解されるところである。 そして,本件退令発付処分により,①原告は,我が国において大学での高等教育を3年次まで受け,あと1年余で卒業資格を取得することができるにもかかわらず,それが得られなくなるという不利益を受けるし,また,大学を卒業することができなくなると,原告の今後の人生における就職活動において事実上多大な制約を受けることになるし,また,②婚姻した男女が家族を形成すること及び家族は社会の自然かつ基礎的な単位であり,社会及び国による保護を受ける権利を有することは国際法上も保障されているところ,原告が退去強制された場合には妻P7との夫婦共同生活が送れなくなるのであり,本件退令発付処分により損なわれる利益は極めて大きい。これに対し,原告は,入国後,本件退令発付処分の原因となった違反行為以外には何ら法を犯すことなく善良な一市民と同様に学生生活を送ってきたものであり,また,原告が行っていた資格外活動(本件就労)の内容は,一般的に留学生に許可されている飲食店等における就労とほとんど差異がなく,実質的な法益侵害はないとい 民と同様に学生生活を送ってきたものであり,また,原告が行っていた資格外活動(本件就労)の内容は,一般的に留学生に許可されている飲食店等における就労とほとんど差異がなく,実質的な法益侵害はないといえる。このような原告に対し在留資格を付与することによって本邦に悪影響を与えることは想定し難い。したがって,本件退令発付処分によって損なわれる利益と得られる利益とを比較すると,前者がはるかに大きいことは明らかであり,本件退令発付処分には比例原則違反がある。 また,争点(3)についての原告の主張記載内容に照らせば,本件退令発付処分についても,公平原則違反がある。 第3当裁判所の判断 争点(1)(本件裁決の取消訴訟において,原告が法24条4号イ(資格外 活動)に該当する旨の大阪入管入国審査官の認定(本件認定)の違法を主張することができるか否か)について(1)行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟としての抗告訴訟(行訴法3条1項)には,行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(同条3項に規定する裁決,決定その他の行為を除く。以下「処分」という。)の取消しを求める「処分の取消しの訴え」(同条2項)と,審査請求,異議申立てその他の不服申立て(以下「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決,決定その他の行為(以下「裁決」という。)の取消しを求める「裁決の取消しの訴え」(同条3項)がある。そして,処分の取消しの訴えは,当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても,法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときを除き,直ちに提起することができるとされ(同法8条1項),また,処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴 分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときを除き,直ちに提起することができるとされ(同法8条1項),また,処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には,裁決の取消しの訴えにおいては,処分の違法を理由として取消しを求めることはできないとされている(同法10条2項)。このように,行訴法は,違法な公権力の行使に対する訴訟上の救済手段として,行政庁の処分(原処分)自体と,原処分に対する行政内部における不服の申立てとしてされた審査請求に対する行政庁の裁決のいずれもが取消訴訟の対象となることを原則とし,この場合に原処分の違法事由(瑕疵)は,処分取消しの訴えにおいてのみ主張することが許され,裁決取消しの訴えにおいては裁決固有の瑕疵を主張することができるにとどまり,原処分の違法事由を主張することはできないとする建前(原処分主義)を採っている。 これに対し,個別の行政実体法において裁決主義を採用し,原処分の取消しの訴えの提起を許さず,裁決取消しの訴えのみの提起を認めている場合もある(地方税法434条2項等)ところ,この場合には,行訴法10条2項 の制限はなく,当該裁決取消しの訴えにおいて,裁決固有の瑕疵はもとより,原処分の違法も当然に主張し得ることとなる。 (2)退去強制の手続に関する法の規定は,前提となる事実等(2)記載のとおりであるところ,法44条の規定により引渡しを受けた外国人(容疑者)が法24条各号の一に該当するとの入国審査官の認定は,退去強制事由を認定するものであって,当該容疑者がこれに服した場合には,主任審査官による退去強制令書の発付及び入国警備官による同令書の執行を経て退去強制を受けることになるのであるから,入国審査官が優越的地位に基づいて公権力を発動 て,当該容疑者がこれに服した場合には,主任審査官による退去強制令書の発付及び入国警備官による同令書の執行を経て退去強制を受けることになるのであるから,入国審査官が優越的地位に基づいて公権力を発動するものであり,これによって直接私人の権利義務を形成し又はその範囲を確定するものとして,行訴法3条2項にいう行政庁の処分に当たるものと解される。 これに対し,入国審査官の行った上記認定を不服とする容疑者が行う口頭審理の請求に対する特別審理官の判定,さらには,入国審査官による上記認定が誤りがないとの特別審理官の判定を不服とする容疑者が行う異議の申出に対する法務大臣の裁決(法務大臣から権限の委任を受けた入国管理局長の裁決を含む。以下同じ。)は,いずれも行訴法3条3項にいう裁決に当たるものと解される。 そうすると,入国審査官がした容疑者が法24条各号の一に該当するとの退去強制事由の認定と法務大臣がした裁決のいずれもが取消訴訟の対象となるとすれば,原処分である入国審査官がした退去強制事由の認定に係る違法(瑕疵)を理由として法務大臣がした裁決の取消しを求めることは許されないこととなる(行訴法10条2項)。 (3)しかしながら,前提となる事実等(2)記載の退去強制の手続に関する法の規定等に照らせば,次のとおり,法は,むしろ法務大臣がした裁決の取消訴訟の中で入国審査官がした退去強制事由の認定に係る違法をも審理すべきものとする裁決主義を採用するものと解するのが相当である。 すなわち,退去強制の手続に関する法の規定によれば,入国警備官は,容疑者が法24条各号の一(退去強制事由)に該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは,収容令書により当該容疑者を収容することができ(法39条1項),容疑者を収容したときは,容疑者の身体を拘束した時から48時間以内に, (退去強制事由)に該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは,収容令書により当該容疑者を収容することができ(法39条1項),容疑者を収容したときは,容疑者の身体を拘束した時から48時間以内に,調書及び証拠物とともに,当該容疑者を入国審査官に引き渡さなければならないとされ(法44条),入国審査官は,法44条の規定により容疑者の引渡しを受けたときは,容疑者が法24条各号の一に該当するかどうかを速やかに審査しなければならず(法45条1項),同審査の結果,容疑者が法24条各号の一に該当すると認定したときは,速やかに理由を附した書面をもって,主任審査官及び当該容疑者にその旨を知らせなければならず(法47条2項),入国審査官は,同通知をする場合には,当該容疑者に対し,法48条の規定による口頭審理の請求をすることができる旨を知らせなければならないものとされている(法47条3項)。そして,入国審査官から上記通知を受けた容疑者が入国審査官による法24条各号の一に該当するとの認定に服したときは,主任審査官は,当該容疑者に対し,口頭審理の請求をしない旨を記載した文書に署名させ,速やかに法51条の規定による退去強制令書を発付しなければならないものとされている(法47条4項)。これに対し,同通知を受けた容疑者が同認定に異議があるときは,同通知を受けた日から3日以内に,口頭をもって,特別審理官に対し口頭審理の請求をすることができ(法48条1項),特別審理官は,同請求があったときは,容疑者に対し,時及び場所を通知して速やかに口頭審理を行わなければならず(同条3項),口頭審理の結果,入国審査官による上記認定が事実に相違すると判定したときは,直ちにその者を放免しなければならないが(同条6項),入国審査官による上記認定が誤りがないと判定したときは,速やかに主任審 口頭審理の結果,入国審査官による上記認定が事実に相違すると判定したときは,直ちにその者を放免しなければならないが(同条6項),入国審査官による上記認定が誤りがないと判定したときは,速やかに主任審査官及び当該容疑者にその旨を知らせるとともに,当該容疑者に対し,法49条の規定により異議を申し出ることができる旨を知らせな ければならないものとされている(法48条7項)。そして,特別審理官から上記通知を受けた容疑者が入国審査官による上記認定が誤りがないとの特別審理官による上記判定に服したときは,主任審査官は,当該容疑者に対し,異議を申し出ない旨を記載した文書に署名させ,速やかに法51条の規定による退去強制令書を発付しなければならないものとされる(法48条8項)。 これに対し,同通知を受けた容疑者が同判定に異議があるときは,同通知を受けた日から3日以内に,法務省令で定める手続により,不服の事由を記載した書面を主任審査官に提出して,法務大臣に対し異議を申し出ることができ(法49条1項),法務大臣は,異議の申出を受理したときは,異議の申出が理由があるかどうかを裁決して,その結果を主任審査官に通知しなければならないとされている(同条3項)。そして,主任審査官は,法務大臣から異議の申出が理由があると裁決した旨の通知を受けたときは,直ちに当該容疑者を放免しなければならないが(同条4項),法務大臣から異議の申出が理由がないと裁決した旨の通知を受けたときは,速やかに当該容疑者に対し,その旨を知らせるとともに,法51条の規定による退去強制令書を発付しなければならないとされている(法49条5項)。もっとも,この場合,法務大臣は,同裁決に当たって,異議の申出が理由がないと認める場合でも,当該容疑者が,①永住許可を受けているとき,②かつて日本国民として本 ないとされている(法49条5項)。もっとも,この場合,法務大臣は,同裁決に当たって,異議の申出が理由がないと認める場合でも,当該容疑者が,①永住許可を受けているとき,②かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき,③その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき,の一に該当するときは,その者の在留を特別に許可することができ(法50条1項),同許可は,法49条4項の適用については,異議の申出に理由がある旨の裁決とみなされる(同条3項)。 なお,これらの外国人の出入国に関する処分については,行政不服審査法の適用は除外されている(同法4条1項10号)。 これによれば,法は,外国人に対する退去強制の手続として,退去強制事由に該当すると疑うに足りる相当の理由がある外国人(容疑者)についてそ の者を収容してその身体を拘束した上,退去強制事由の有無の認定を行政処分としての入国審査官の認定により行うものとし,当該認定に異議のある容疑者に対しては,特別審理官に対する口頭による口頭審理の請求及び法務大臣に対する書面による異議の申出という2段階の不服申立手続を設け,当該容疑者に退去強制事由の有無について争う機会を確保するとともに,各不服申立期間をそれぞれ通知を受けた日から3日以内という極めて短いものとし,他方,法務大臣に対する異議の申出の手続においては,法務大臣において,異議の申出が理由があるかどうか,すなわち,入国審査官による退去強制事由の有無についての認定に誤りがあるか否かについての判断にとどまらず,出入国管理行政の責任を最終的に負う者として当該容疑者に対しその者が退去強制事由に該当する(異議の申出が理由がない)にもかかわらず在留特別許可を付与するか否かについての判断をもするものとして,退去強制事由の有無及び退去強制事 に負う者として当該容疑者に対しその者が退去強制事由に該当する(異議の申出が理由がない)にもかかわらず在留特別許可を付与するか否かについての判断をもするものとして,退去強制事由の有無及び退去強制事由が認められる場合最終的に当該容疑者に退去強制を受けさせるかその者に本邦における在留を特別に認めるかを迅速かつ適正に確定させる仕組みを採用しているものということができる。 このような退去強制の手続に関する法の趣旨,目的等に加えて,退去強制事由に該当する旨の入国審査官の認定に対する上記2段階の不服申立手続において,当該認定が誤りがある旨の判定又は裁決がされた場合については,当該判定をした特別審理官において又は当該裁決をした法務大臣の通知を受けた主任審査官において直ちに当該容疑者を放免するものとされ,法文上入国審査官の認定に対する取消しが規定されていないことをも併せ考えると,法は,退去強制事由に該当する旨の入国審査官の認定に不服がある場合には,法所定の申立期間内に特別審理官に対する口頭審理の請求及び法務大臣に対する異議の申出という2段階の不服申立てを経るものとした上,なお不服がある場合には,当該不服申立手続における最終判断としての法務大臣の異議の申出が理由がない旨の裁決に対してのみ取消訴訟を提起することができる ものとし,当該取消訴訟において退去強制事由に該当する旨の入国審査官の認定の違法を(在留特別許可を付与しないものとした判断の違法とともに)争わせる仕組み(裁決主義)を採用したものと解するのが相当というべきである。 (4)以上説示したところによれば,本件裁決の取消訴訟において,原告が法24条4号イ(資格外活動)に該当する旨の大阪入管入国審査官の認定(本件認定)の違法を主張することができるものというべきである。 争点(2)(原告が法2 れば,本件裁決の取消訴訟において,原告が法24条4号イ(資格外活動)に該当する旨の大阪入管入国審査官の認定(本件認定)の違法を主張することができるものというべきである。 争点(2)(原告が法24条4号イ(資格外活動)に該当するか否か)について(1)ア前提となる事実等(1)記載のとおり,法は,我が国における外国人の出入国及び在留の管理の基本となる制度として,在留資格制度を採用している。 すなわち,本邦に在留する外国人は,法及び他の法律に特別の規定がある場合を除き,それぞれ,当該外国人に対する上陸許可若しくは当該外国人の取得に係る在留資格又はそれらの変更に係る在留資格をもって在留するものとされ(法2条の2第1項),その在留資格は別表第一又は別表第二の上欄に掲げるとおりであり,別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者は当該在留資格に応じそれぞれ本邦において同表の下欄に掲げる活動を行うことができ,別表第二の上欄の在留資格をもって在留する者は当該在留資格に応じそれぞれ本邦において同表の下欄に掲げる身分若しくは地位を有する者としての活動を行うことができるとされている(同条2項)。そして,在留資格を有する外国人がその有する在留資格の変更を受けようとするときは,法務大臣に対し在留資格の変更を申請してその許可を受けなければならないものとされている(法20条)。これらによれば,法は,個々の外国人が本邦において行おうとする活動に着目し,一定の活動を行おうとする者のみに対してその活動内容に応じた在留資格を取得さ せ,本邦への上陸及び在留を認めることとしているものということができる。 しかるところ,法別表第一の四は,留学の在留資格に係る本邦において行うことができる活動として,「本邦の大学若しくはこれに準ずる機関,専修学校の専門課程,外国におい しているものということができる。 しかるところ,法別表第一の四は,留学の在留資格に係る本邦において行うことができる活動として,「本邦の大学若しくはこれに準ずる機関,専修学校の専門課程,外国において12年の学校教育を修了した者に対して本邦の大学に入学するための教育を行う機関又は高等専門学校において教育を受ける活動」と規定している。また,法7条1項2号は,上陸のための条件の一つとして,別表第一の二の表及び四の表の下欄に掲げる活動を行おうとする者については我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準に適合することと規定しているところ,「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令」は,「法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動」に係る基準として,「申請人がその本邦に在留する期間中の生活に要する費用(以下「生活費用」という。)を支弁する十分な資産,奨学金その他の手段を有すること。ただし,申請人以外の者が申請人の生活費用を支弁する場合は,この限りでない。」と規定し,法施行規則6条,別表第三は,留学目的で本邦に上陸しようとする外国人が,法7条2項の規定により同条1項2号に定める上陸のための条件に適合していることを自ら立証しようとする場合には,「在留中の一切の経費の支弁能力を証する文書,当該外国人以外の者が経費を支弁する場合には,その者の支弁能力を証する文書及びその者が支弁するに至った経緯を明らかにする文書」を提出しなければならないと規定している。さらに,法19条1項2号は,留学を含む別表第一の三の表及び四の表の上欄の在留資格をもって在留する者は,同条2項の許可を受けて行う場合を除き,収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行ってはならない旨規定し,同条2項は,法別表第一の上 三の表及び四の表の上欄の在留資格をもって在留する者は,同条2項の許可を受けて行う場合を除き,収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行ってはならない旨規定し,同条2項は,法別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者から,法務省令で定める手続により, 当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内で当該活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことを希望する旨の申請があった場合において,相当と認めるときは,これを許可することができる旨規定している。そして,証拠(乙24号証,29号証,32号証ないし37号証)及び弁論の全趣旨によれば,留学の在留資格を有する外国人については,当該外国人の本国と我が国との所得格差等の事情を考慮し,一定の条件の下で包括的に資格外活動としてのアルバイト活動を行うことを許可する運用がされている。 以上のような留学の在留資格に係る法の規定等に照らせば,法は,労働市場の安定等の見地から,我が国の産業及び国民生活に与える影響等にかんがみ,外国人が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことによりその在留中の経費を支弁しながら本邦の大学等において教育を受ける活動を行うことを認めない出入国管理政策を採用しているものと解される。 イ前提となる事実等(1)エ記載のとおり,法24条は,退去強制事由の一つとして,本邦に在留する外国人で,法19条1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行っていると明らかに認められる者については,本邦からの退去を強制することができる旨規定し(法24条4号イ),法19条1項に違反するいわゆる資格外活動を行った場合に直ちに退去強制事由に該当するものとするのではなく,同活動を「専ら行っていると明らか らの退去を強制することができる旨規定し(法24条4号イ),法19条1項に違反するいわゆる資格外活動を行った場合に直ちに退去強制事由に該当するものとするのではなく,同活動を「専ら行っていると明らかに認められる」場合に退去強制事由に該当するとしている。また,法は,法19条1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行った者は,法70条1項4号に該当する場合を除いて,1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは20万円以下の罰金に処し,又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科するが(法73条),法19条1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営す る活動又は報酬を受ける活動を専ら行っていると明らかに認められる者は,3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金に処し,又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科するものとして(法70条1項4号),単なる資格外活動と退去強制事由としての資格外活動とを区別してそれぞれ構成要件及び法定刑を規定している。他方で,法19条2項は,法別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者から,法務省令で定める手続により,当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内で当該活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことを希望する旨の申請があった場合において,相当と認めるときは,これを許可することができる旨規定している。以上の規定に加えてア記載の在留資格制度の趣旨にかんがみれば,法24条4号イにいう法19条1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(資格外活動)を「専ら行っていると明らかに認められる」場合とは,当該外国人に認められた在留資格に係る在留目的が実質的に変更したと評価し得る程度に法19条1項の規定に違反して収入を伴う事 受ける活動(資格外活動)を「専ら行っていると明らかに認められる」場合とは,当該外国人に認められた在留資格に係る在留目的が実質的に変更したと評価し得る程度に法19条1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行っている場合をいうものと解するのが相当であり,当該場合に該当するか否かについては,当該外国人に認められた在留資格の内容,当該在留資格に関する法の規制等にかんがみ,当該外国人の行っている資格外活動の内容,態様,程度,当該外国人に認められた在留資格に係る活動の遂行状況,当該活動の遂行に対する阻害の有無,程度等を総合勘案して決するのが相当である。 (2)そこで,法19条1項に違反して報酬を受ける活動(本件就労)を行っていた原告について,同活動を「専ら行っていると明らかに認められる者」に該当するか否か,以下検討する。 ア前記のとおり,法は,労働市場の安定等の見地から,我が国の産業及び国民生活に与える影響等にかんがみ,外国人が収入を伴う事業を運営する 活動又は報酬を受ける活動を行うことによりその在留中の経費を支弁しながら本邦の大学等において教育を受ける活動を行うことを認めないとの立法政策を採っているものと解され,留学目的で本邦に在留する外国人は,当該外国人以外の者が当該外国人の生活費用を支弁する場合を除いて,その本邦に在留する期間中の生活費用を支弁する十分な資産,奨学金その他の手段を有することが要求され,当該外国人以外の者が当該外国人の生活費用を支弁する場合には,その者が支弁能力を有することが要求されており,留学の在留資格をもって在留する者が資格外活動を行うことを希望する場合には,留学の在留資格に係る活動(本邦の大学等において教育を受ける活動)の遂行を阻害しない範囲内において相当と認めるときに限り,法 学の在留資格をもって在留する者が資格外活動を行うことを希望する場合には,留学の在留資格に係る活動(本邦の大学等において教育を受ける活動)の遂行を阻害しない範囲内において相当と認めるときに限り,法務大臣の許可を得て,これを行うことができるものとされているのである。このような留学の在留資格に関する法令の規制等にかんがみると,留学の在留資格をもって本邦に在留する外国人が資格外活動を専ら行っていると明らかに認められる,すなわち,当該外国人の在留目的が実質的に変更したと評価し得る程度に資格外活動を行っているということができるためには,少なくとも,当該資格外活動が当該外国人のその本邦に在留する期間中の学費その他の生活費用を支弁するための手段として行われ,その程度,態様が他の手段によっては支弁することのできない当該生活費用の一部不足分を補填するという範囲,限度を逸脱するに至っている場合であるか,又は当該資格外活動が留学の在留資格に係る活動(本邦の大学等において教育を受ける活動)の遂行を阻害する程度にまで至っている場合であることが必要であると解するのが相当である。 この点,被告らは,いわゆる風俗営業店でのアルバイトのように,いわゆる入管実務において留学の在留資格と両立しないものとして法19条2項に基づく許可の対象から除外される運用が定着している活動については,同項に基づく許可を申請したとしても,許可される余地はないから,この ような活動を行っている者については,その在留目的は変更されているとみるべきであるといった趣旨の主張をする。 確かに,法務大臣が,法19条2項に基づく許可に当たり,国内の治安と善良の風俗の維持,保健・衛生の確保,労働市場の安定等の見地から,我が国の産業及び国民生活に与える影響等にかんがみ,収入を伴う事業を運営する活動又は報 法19条2項に基づく許可に当たり,国内の治安と善良の風俗の維持,保健・衛生の確保,労働市場の安定等の見地から,我が国の産業及び国民生活に与える影響等にかんがみ,収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動のうち風俗営業に係る活動など一定類型の活動について,当該外国人の在留資格に係る活動の遂行に対する具体的な阻害の程度,態様等のいかんにかかわらず,一律に許可の対象としない運用を行うことも,法の許容するところであると解される。しかしながら,当該基準が法令により規定されているのならばともかく,入管実務における運用基準として事実上確立しているにすぎないというのであるから,このような運用の対象とされている活動を行ったことをもって,その程度,態様,在留資格に係る活動に対する影響のいかんにかかわらず,直ちに,法24条4号イにいう資格外活動を「専ら行っていると明らかに認められる」場合に該当すると解するのは,文理上も無理があるといわざるを得ない。 したがって,被告らの上記主張を採用することはできない。 イ原告が行った資格外活動(本件就労)が,ア記載のとおり,本邦に在留する期間中の学費その他の生活費用を支弁するための手段として行われ,その程度,態様が他の手段によっては支弁することのできない当該生活費用の一部不足分を補填するという範囲,限度を逸脱するに至っているものとして,原告が法19条1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行っていると明らかに認められる者に該当するか否かについて,以下検討する。 (ア)本件就労は,原告がP1大学2年次の平成14年12月5日からP1大学3年次の平成15年10月29日までの間行われたものである (前提となる事実等(4)サ,タ)から,原告がP1大学に入学した後の本邦に在留するた がP1大学2年次の平成14年12月5日からP1大学3年次の平成15年10月29日までの間行われたものである (前提となる事実等(4)サ,タ)から,原告がP1大学に入学した後の本邦に在留するために必要な学費その他の生活費用の額について,まず検討する。 aP1大学における原告に係る学費等の額P1大学における原告に係る学費等の額及び原告の納入状況は,前提となる事実等(6)ウ記載のとおりである。すなわち,原告は,本件摘発をされた平成15年10月29日までに,1年次は入学金,学費及び委託徴収金あわせて96万6500円を,2年次は学費及び委託徴収金あわせて72万2000円を,3年次は学費及び委託徴収金あわせて75万3000円をそれぞれ納入しており,このうち,本件就労期間中には,平成15年5月20日に3年次前期の学費及び委託徴収金として合計49万7000円を,同年10月20日に3年次後期の学費として25万6000円をそれぞれ納入している。 また,証拠(原告本人)によれば,原告のP1大学における教材費(書籍代)として年間約10万円必要であると認められる。 b生活費等の額証拠(甲18号証,乙13号証,27号証の1,原告本人)によれば,原告に必要な毎月の生活費として,少なくとも家賃2万5900円,食費約3万円,光熱費約1万円,携帯電話通話料約5000円,インターネット接続料金約4000円の合計約7万4900円を要していたことに加えて,単車の燃料費や保険料,消耗品費,友人との交際費用等が必要であったことがそれぞれ認められ,これらを合計すると,aで認定した学費等を除いて少なくとも最低年間約100万円は生活費等として必要であったと認められる。また,証拠(原告本人)によれば,このほかにも,P1大学に通学するために購入した単車の購入費(約20万円) した学費等を除いて少なくとも最低年間約100万円は生活費等として必要であったと認められる。また,証拠(原告本人)によれば,このほかにも,P1大学に通学するために購入した単車の購入費(約20万円)やコンピューターの購入費(約11万円)が必 要であったことが認められる。 c以上からすれば,P1大学に入学した後に原告が本邦に在留するために必要であった学費その他の生活費用の額は,最低でも,年間合計で約206万円(1年次),約182万円(2年次),約185万円(3年次)を下回らないものであったと認められる。 (イ)次に,原告が得ていた金員について検討する。 aP1大学における奨学金の受給前提となる事実等(6)エ記載のとおり,原告は,P1大学において,入学した平成13年4月から平成15年10月まで,毎月2万円(合計62万円)の外国人留学生学内奨学金を受給しており,また,平成15年4月から同年9月まで,毎月5万2000円(合計31万2000円)の私費外国人留学生学習奨励費を受給していた。 b台湾居住の両親等からの援助証拠(甲17号証,21号証,22号証,乙11号証,13号証,14号証,27号証の1及び2,原告本人)によれば,以下の各事実が認められる。 (a)原告の父は,台湾で映画監督の仕事をしており,原告が来日した当初2年くらいは,原告に対し,学費を支出するとともに,生活費として毎月10万円の仕送り(送金)をしていた。 (b)原告がP5に在学中の平成11年(1999年)9月,台湾で大地震があり,原告の父が所属していた映画会社の建物が倒壊するなどしたため,同映画会社は倒産し,原告の父も職を失った。 そのため,それ以降,原告の父から原告に対する仕送りは一切なくなった。 (c)原告は,平成13年3月にP5を卒業した後,学費支払の不安も るなどしたため,同映画会社は倒産し,原告の父も職を失った。 そのため,それ以降,原告の父から原告に対する仕送りは一切なくなった。 (c)原告は,平成13年3月にP5を卒業した後,学費支払の不安もあり,大学への進学を迷っていたところ,台湾にいる原告の両 親や兄,あるいは本邦在留の原告の叔父P8らから,学費のことは何とかするから心配する必要はない旨言われ,P1大学に入学することとした。 (d)上記のとおり,原告の父からの仕送りはなくなったものの,原告が台湾に帰った際には,原告の父は,親戚や原告の兄弟から借りるなどして工面した金員として,1回当たり30万円から70万円程度の金員を原告に手渡した。原告がP1大学入学時期以降に原告の父から交付を受けた金員はおおよそ以下のとおりである。 平成13年3月ころ約47万円平成14年2月ころ約72万円同年9月ころ約56万円(e)原告の叔父P8(原告の母の弟)は,本邦に留学し,本邦の大学を卒業後本邦の会社に就職し,その後,平成14年10月には株式会社P11という貿易会社を設立し,仕事でしばしば台湾に渡航することがあるところ,年に2回程度,台湾に行った際に原告の両親から1回当たり10万円程度の金員を預かり,本邦に戻ってきた後,これを原告に交付していた。 この点,被告らは,原告の父からの上記(d)の金員の交付の事実を認めることはできない旨主張するところ,確かに,原告に対する退去強制の審査手続における原告の供述内容には,同地震の後原告の父からの仕送りは一切なくなった旨の供述があるのみで,原告が台湾に帰った時に原告の父から金員の交付を受けた旨の供述はなく,かえって,以後の学費,生活費は自分で稼いでいる旨の供述をしている(乙11号証,13号証,14号証)。しかしながら,証拠(甲17号証,乙27 帰った時に原告の父から金員の交付を受けた旨の供述はなく,かえって,以後の学費,生活費は自分で稼いでいる旨の供述をしている(乙11号証,13号証,14号証)。しかしながら,証拠(甲17号証,乙27号証の1及び2)によれば,①原告は,平成13年(2001年)3月29日台湾から本邦に再入国しており,同月30日株式会 社P9銀行η支店の原告名義の普通預金口座(口座番号XXXXXXX-x)に44万円と3万円の合計47万円が入金されていること,②原告は,平成14年(2002年)2月16日台湾から本邦に再入国しており,同日郵便局の原告名義の貯金口座(乙27号証の2)に72万円が入金されていること,③原告は,同年9月8日台湾から本邦に再入国しており,同月9日上記株式会社P9銀行の普通預金口座に56万円が入金されていることがそれぞれ認められるのであり,これら原告の台湾からの本邦への再入国の時期と原告名義の預貯金口座への入金の事実とに照らせば,上記(d)記載の原告の父による原告への金員の交付の事実を認めるのが相当である。 cP8及びP7からの援助(貸付)証拠(甲21号証,22号証,原告本人)によれば,原告は,叔父のP8から1回当たり8万円ないし10万円程度で合計約50万円を借り受け,また,交際相手であったP7(平成15年12月10日に婚姻(前提となる事実等(7)))からも1回当たり5万円ないし6万円程度で合計50万円ないし60万円程度を借り受けたことがそれぞれ認められる。もっとも,具体的な借入経過は本件全証拠によるも明らかではなく,また,上記各証拠によれば,原告は,P8に対しては約30万円,P7に対しては約20万円を本件就労期間中に返済している事実が認められる。 d本件労災による休業補償給付前提となる事実等(4)ス及びセ記載のとおり 証拠によれば,原告は,P8に対しては約30万円,P7に対しては約20万円を本件就労期間中に返済している事実が認められる。 d本件労災による休業補償給付前提となる事実等(4)ス及びセ記載のとおり,原告は,法19条2項に基づく許可を受けて,平成13年9月ころから同年12月31日まで,本件P6で稼働していたものであるが,同月31日,本件労災にあったため,同日から平成15年6月30日までの休業期間(休業日数547日(待期期間3日間を含む。))に係る休業補償給付 (特別支給金を含む。)として,保険給付額137万9184円及び特別支給金額45万9728円の合計183万8912円の支給を受けた(毎月約10万円の振込送金の方法による。)。 e本件就労による賃金収入原告は,平成14年12月5日から平成15年10月29日まで本件店において稼働していた(本件就労)ところ(前提となる事実等(4)タ。なお,乙11号証によれば,原告の同月の本件店における就労時間は約115時間に及んでいる。),証拠(乙11号証,13号証,原告本人)によれば,原告は本件就労により合計約100万円の収入を得たことが認められる。 (ウ)(ア)記載の原告がP1大学入学後本邦に在留するために必要であった学費その他の生活費用の額及び内容と,(イ)記載の原告が得ていた金員の額及び内容とを対比すると,原告は,平成11年9月の台湾大地震の後,原告の父からの定期的な仕送り(送金)はなくなったものの,平成13年4月のP1大学入学後平成14年末ころまでの間は,台湾に帰国した際に原告の父から交付を受けた金員に加えて,P1大学から受領していた奨学金(外国人留学生学内奨学金),法19条2項に基づく許可を受けて行っていた本件P6での就労による賃金収入ないし本件P6における本件労災による休業補償 受けた金員に加えて,P1大学から受領していた奨学金(外国人留学生学内奨学金),法19条2項に基づく許可を受けて行っていた本件P6での就労による賃金収入ないし本件P6における本件労災による休業補償給付さらには原告の父から託され原告の叔父P8から交付を受けた金員等により生活費用を支弁していたものと認められる。 しかしながら,平成15年以降については,証拠(甲17号証,乙27号証の1及び2)によっても,同年1月末から同年2月初めにかけて台湾に渡航しているにもかかわらず,本邦への再入国後前記株式会社P9銀行の原告名義の普通預金口座に前記(イ)b(d)で認定したようなまとまった金員の入金がされた形跡はなく,証拠関係からは,原告が 受領した金員としては,本件就労による賃金収入(平成14年12月5日から平成15年10月29日まで合計約100万円)及び本件労災による休業補償給付(同年6月30日まで毎月約10万円)を除けば,P1大学から支給される奨学金(外国人留学生学内奨学金(月額2万円)及び私費外国人留学生学習奨励費(同年4月から同年9月まで月額5万2000円))並びにP8及びP7からの借入金(P8につき合計約50万円,P7につき合計約50万円ないし60万円程度。なお,借入時期を含めた具体的な借入経過は本件全証拠によるも明らかではない。)のほか,せいぜい原告の父から託され原告の叔父P8から交付を受けた金員(年に2回程度,1回当たり10万円程度のもの)の存在の可能性がうかがわれるにすぎない。しかも,P8及びP7から援助は,借入金であって,前記のとおり原告はその一部を返済している事実が認められるのであるから,「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令」にいう「申請人以外の者が申請人の生活費用を支弁する場合」には該当しないの 原告はその一部を返済している事実が認められるのであるから,「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令」にいう「申請人以外の者が申請人の生活費用を支弁する場合」には該当しないのみならず,その返済がされた時期等からして,原告は本件就労による賃金収入のうちから当該返済資金を捻出した可能性も否定することができないものである。これらによれば,平成15年以降,原告は,本邦に在留するために必要であった学費その他の生活費用の額(年間最低180万円以上)のほとんどの部分をP1大学から支給される奨学金のほか本件労災による休業補償給付及び本件就労による賃金収入により賄っていたものと認めざるを得ない。このような原告の生活費用の支弁状況に照らすと,原告は,平成15年以降,本件摘発がされた同年10月当時はもとよりこれより相当以前の時期から,その在留中の経費の大部分を実質的にみて報酬を受ける活動を行うことにより支弁していたものと評価せざるを得ないものというべきである。 なお,本件労災による休業補償給付については,その支給の原因とな った労災事故(本件労災)に係る就労(報酬を受ける活動)は,原告が法19条2項に基づく許可を受けて行っていたものであるが,原告は,平成15年6月30日までの間,本件労災による休業補償給付を受けながら,法19条2項に基づく許可を得ないで本件就労を行っていたものであるところ,そもそも,留学の在留資格をもって在留する者が,法19条2項に基づく許可を受けて報酬を受ける活動等を行うとともにこれと並行して同許可を受けないでこれとは異なる報酬を受ける活動等を行い,これらの活動等を行うことによりその在留中の経費を支弁するといったことは,法19条2項等の予定しないところというべきであるから,本件労災による休業給付を含めて,その 異なる報酬を受ける活動等を行い,これらの活動等を行うことによりその在留中の経費を支弁するといったことは,法19条2項等の予定しないところというべきであるから,本件労災による休業給付を含めて,その在留中の経費の大部分を実質的にみて報酬を受ける活動を行うことにより支弁していたものと評価せざるを得ないというべきである。 また,乙27号証の1によれば,前記株式会社P9銀行の原告名義の普通預金口座から,平成15年10月2日に計43万4050円が出金され,同月8日に11万0100円が出金され,他方,同銀行η支店の原告名義の外貨普通預金口座(口座番号YYYYYYY-y)に,同月2日に3000USD(米ドル),同月8日に1000USD(米ドル),同月23日に2000USD(米ドル)が入金されている事実が認められ,これらの事実等からは原告が生活費用を賄うために必要な額を上回るいわゆる蓄財をしていた様子がうかがわれなくもないが,そうであるとしても,原告が本邦に在留するために必要であった学費その他の生活費用の額のほとんどの部分をP1大学から支給される奨学金のほか本件労災による休業補償給付及び本件就労による賃金収入により賄っていた事実に変わりはない。 (エ)以上のとおり,原告は,平成15年以降,本件摘発がされた同年10月当時はもとよりこれより相当以前の時期から,その在留中の経費 の大部分を実質的にみて報酬を受ける活動を行うことにより支弁していたものと評価せざるを得ないのであり,原告の当該資格外活動は,原告の本邦に在留する期間中の学費その他の生活費用を支弁するための手段として行われ,その程度,態様はもはや他の手段によっては支弁することのできない当該生活費用の一部不足分を補填するという範囲,限度を逸脱するに至っているものといわざるを得ない。そうである るための手段として行われ,その程度,態様はもはや他の手段によっては支弁することのできない当該生活費用の一部不足分を補填するという範囲,限度を逸脱するに至っているものといわざるを得ない。そうであるとすれば,原告のP1大学における勉学状況等について前提となる事実等(6)のとおりの事実が認められ,当該資格外活動が留学の在留資格に係る活動すなわち本邦の大学等において教育を受ける活動の遂行を阻害する程度にまで至っていないと評価する余地があるとしても,原告はその在留目的が実質的に変更したと評価し得る程度にまで資格外活動を行っているとものといわざるを得ず,したがって,原告は法24条4号イにいう法19条1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行っていると明らかに認められる者に該当するものというべきである。 争点(3)(本件裁決における裁量権の逸脱濫用の有無)について(1)前提となる事実等(2)及び前記1(3)のとおり,法務大臣は,外国人に法24条各号所定の退去強制事由があり,法49条1項に基づく異議の申出が理由がないと認める場合でも,当該外国人に特別に在留を許可すべき事情があると認めるときには,その者の在留を特別に許可することができるとされており(法50条1項3号),法49条1項に基づく異議の申出が理由がない旨の法務大臣の裁決には,当該外国人が法24条各号所定の退去強制事由に該当する旨の判断と,当該外国人の在留を特別に許可することをしない旨の判断が含まれる。この理は,法務大臣から権限の委任を受けた入国管理局長が法49条1項に基づく異議の申出について裁決する場合についても,異なるところがない。 前記2において説示したとおり,原告は法24条4号イ所定の退去強制事由に該当するから,本件裁決が違法であるか否 49条1項に基づく異議の申出について裁決する場合についても,異なるところがない。 前記2において説示したとおり,原告は法24条4号イ所定の退去強制事由に該当するから,本件裁決が違法であるか否かは,被告入管局長が原告に対し在留特別許可を付与しなかったことについての違法の有無によることになる。 (2)ところで,国際慣習法上,国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく,外国人を自国に受け入れ,その入国及び在留を許可するかどうか,許可する場合でもいかなる条件で許可するかは,国家固有の権能に属し,特別の条約等の存しない限り,外国人の入国及び在留の許否は,国家がこれを自由に決定することができるものとされている。日本国憲法においても,22条1項は日本国内における居住・移転の自由を保障する旨を規定するにとどまり,外国人が我が国に入国することについては何ら規定していないのであり,このことは,上記のとおり国際慣習法上外国人の入国及び在留の許否は国家がこれを自由に決定することができるものとされていることとその考えを同じくするものと解される。なお,市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)にも,上記国際慣習法上の原則を制限する旨の規定は存在せず,かえって,13条において,「合法的にこの規約の締約国の領域内にいる外国人は,法律に基づいて行われた決定によってのみ当該領域から追放することができる。」と規定し,合法的に当該国家に滞在する外国人に対しても退去強制の措置をとり得るとしており,同規約は,上記国際慣習法上の原則を当然の前提として,外国人の入国及び在留の制限に関する権限を各締約国に留保した上で制定されたものと解されるところである。 したがって,外国人は,憲法上ないし条約上,我が国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求し得る権利を保障さ 留の制限に関する権限を各締約国に留保した上で制定されたものと解されるところである。 したがって,外国人は,憲法上ないし条約上,我が国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求し得る権利を保障されているものではないと解するのが相当である(最高裁昭和50年(行ツ)第120号同53年10月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁参照)。 しかるところ,法50条1項3号は,法務大臣は,法49条3項の裁決に 当たって,異議の申出が理由がないと認める場合でも,法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるときは,その者の在留を特別に許可することができると規定している。この在留特別許可は,法24条各号所定の退去強制事由に該当すると認定された外国人に対して退去強制を行わずに本邦に在留することを特別に許可するものであって,その趣旨からすれば,在留特別許可を付与するか否かの判断は,当該外国人の個人的事情や外国人に対する人道的配慮のみならず,外国人に対する出入国の管理及び在留の規制の目的である国内の治安と善良の風俗の維持,保健・衛生の確保,労働市場の安定などの国益の保持の見地に立って,当該外国人の在留中の一切の行状,国内の政治,経済,社会等の諸事情,国際情勢,外交政策等諸般の事情をしんしゃくし,時宜に応じて的確に行われるべきものでなければならず,事柄の性質上,出入国管理行政の責任を負う法務大臣の裁量に任せるのでなければ到底適切な結果を期待することができないものである。このような観点から,在留特別許可を付与するか否かの判断における法務大臣の裁量権の範囲は広範なものとされていると解されるのである。 上記のような在留特別許可を付与するか否かの判断における法務大臣の裁量権の内容,性質にかんがみると,在留特別許可を付与しない旨の法務大臣の判断は,それが は広範なものとされていると解されるのである。 上記のような在留特別許可を付与するか否かの判断における法務大臣の裁量権の内容,性質にかんがみると,在留特別許可を付与しない旨の法務大臣の判断は,それが全く事実の基礎を欠き,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により,社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限り,裁量権の範囲を超え,又はその濫用があったものとして違法となるものというべきである。 そして,この理は,法務大臣から権限の委任を受けた入国管理局長による場合についても,異なるところがないと解すべきである。 (3)そこで,被告入管局長が原告に対し在留特別許可を付与しなかったことが裁量権の逸脱又は濫用に当たるか否かにつき検討する。 前記認定事実に加えて証拠(乙11号証,13号証,14号証,原告本 人)によれば,前記のとおり,原告は,平成10年4月6日に本邦に入国した後,2年間くらいは,主に父からの仕送りにより学費その他の生活費用を支弁していたが,平成11年(1999年)9月の台湾大地震の影響で原告の父が失職したことを契機に,原告の父から原告に対する仕送りが途絶え,平成13年4月のP1大学入学後平成14年末ころまでの間は,台湾に帰国した際に原告の父から交付を受けた金員に加えて,P1大学から受領していた奨学金(外国人留学生学内奨学金),法19条2項に基づく許可を受けて行っていた本件P6での就労による賃金収入ないし本件P6における本件労災による休業補償給付さらには原告の父から託され原告の叔父P8から交付を受けた金員等により生活費用を支弁していたものの,平成15年以降,台湾に帰国しても原告の父等から生活費用を支弁するための資金を調達することもできなくなり,原告は,本邦に在留するために必要であった学費その他の生活費 り生活費用を支弁していたものの,平成15年以降,台湾に帰国しても原告の父等から生活費用を支弁するための資金を調達することもできなくなり,原告は,本邦に在留するために必要であった学費その他の生活費用のほとんどの部分をP1大学から支給される奨学金のほか本件労災による休業補償給付及び本件就労による賃金収入により賄うようになったものであって,原告が法24条4号イ所定の退去強制事由に該当するに至った経緯については,酌むべきところがあることは否定することができない。 また,原告のP1大学における勉学状況等について前提となる事実等(6)のとおりの事実が認められ,これによれば,原告のP1大学における出席状況及び学業成績は本件就労期間中を含めておおむね良好であったということができ,前記のとおり,本件就労が留学の在留資格に係る活動すなわちP1大学において教育を受ける活動の遂行を阻害する程度にまで至っていないと評価する余地がある。 しかしながら,前記認定事実及び前掲証拠等によれば,本件就労は,留学の在留資格をもって在留する者が資格外活動としても行うことができない活動として法19条2項に基づく許可の対象外とする取扱いがされている風俗営業に該当するものであり(しかも,本件店が風営法に基づく風俗営業の許 可を受けていた形跡は証拠上うかがわれない。),原告は,風俗営業が営まれている営業所において就労することが留学の在留資格をもって在留する者の資格外活動として上記許可の対象外とされている事実を知りながら,平成14年12月5日から本件摘発がされる同年10月29日までの間,本件就労を行っていたものである。のみならず,本件就労期間のうち平成15年6月末までの間については,原告は,本件労災による休業補償給付を受給しながら,重ねて本件就労を行っていたものである。前記のと 本件就労を行っていたものである。のみならず,本件就労期間のうち平成15年6月末までの間については,原告は,本件労災による休業補償給付を受給しながら,重ねて本件就労を行っていたものである。前記のとおり,そもそも,法は,労働市場の安定等の見地から,我が国の産業及び国民生活に与える影響等にかんがみ,外国人が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことによりその在留中の経費を支弁しながら本邦の大学等において教育を受ける活動を行うことを認めない出入国管理政策を採用しており,留学の在留資格を有する外国人については,当該外国人の本国と我が国との所得格差等の事情を考慮して,一定の条件の下で包括的に資格外活動としてのアルバイト活動を行うことを許可する運用がされているが,上記許可に当たり,国内の治安と善良の風俗の維持等の見地から,国民生活に与える影響等にかんがみ,収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動のうち風俗営業に係る活動について,当該外国人の在留資格に係る活動の遂行に対する具体的な阻害の程度,態様等のいかんにかかわらず,一律に許可の対象としない運用を行っているのであって,このような運用を行うこと自体は,もとより法の許容するところであると解される。このような見地からすれば,上記のような原告の在留状況ないし在留中の行状は,我が国の外国人に対する在留及び出入国の公正な管理に弊害を及ぼし,ひいては我が国の国益に反するものと評価されてもやむを得ないものというべきである。 そうであるとすれば,原告について,本件裁決当時,P1大学において卒業に必要な単位(124単位以上)のうち100単位を修得していたこと(前提となる事実等(6)ア),中華人民共和国国籍を有するP7との間で その直後に婚姻して夫婦共同生活を営むに至る関係を形成していた 必要な単位(124単位以上)のうち100単位を修得していたこと(前提となる事実等(6)ア),中華人民共和国国籍を有するP7との間で その直後に婚姻して夫婦共同生活を営むに至る関係を形成していたこと,原告について他に法24条各号所定の退去強制事由に該当するような事実がうかがわれないことなどをしんしゃくしてもなお,原告に対し在留特別許可を与えることなく原告の異議の申出が理由がないとした被告入管局長の判断が,全く事実の基礎を欠き,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるということはできず,その裁量権の範囲を超え,又はその濫用があったものとして違法であるとは認められない。 争点(4)(本件退令発付処分の適否)について前提となる事実等(2)のとおり,法49条5項は,主任審査官は,法務大臣ないし法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長から同条1項の規定に基づく異議の申出が理由がないと裁決した旨の通知を受けたときは,速やかに退去強制令書を発付しなければならないとしており,法第5章の規定する退去強制の手続等に照らしても,主任審査官には,退去強制令書を発付するか否かについて裁量の余地はないと解されるから,2及び3において説示したとおり,本件裁決が違法であるとは認められない以上,本件退令発付処分も違法であるとは認められない。 結論 以上によれば,原告の被告らに対する本訴請求は,いずれも,その余の点について判断するまでもなく理由がないから,これを棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部裁判長裁判官西川知一郎 裁判官田中健治裁判官和久一彦 主文 り判決する。 理由 大阪地方裁判所第2民事部裁判長裁判官西川知一郎 裁判官田中健治 裁判官和久一彦

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