平成16(行ウ)29 更正すべき理由がない旨の通知処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成18年6月28日 広島地方裁判所 租税
ファイル
hanrei-pdf-33925.txt

判決文本文23,077 文字)

- 1 -主文 原告の平成13年4月1日から平成14年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正の請求に対し,被告が平成14年12月27日付けでした更正をすべき理由がない旨の通知処分を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由第1請求主文と同旨第2事案の概要本件は,平成13年4月1日から平成14年3月31日までの課税期間(以下「本件課税期間」という)における消費税及び地方消費税について,原告。 が,消費税法9条1項(平成15年法律第8号による改正前のもの。同条項につき以下同じ)にいう免税事業者に該当するとしてなした更正の請求に対す。 る被告の平成14年12月27日付け更正をすべき理由がない旨の通知処分(以下「本件処分」という)は違法であるとして,同処分の取消しを求めて。 いる事案である。 争いのない事実及び証拠上容易に認定できる事実(後者は各項末尾掲記の各証拠によって認定)( )原告 ア原告は,平成11年3月31日,倉橋町が民法34条に基づき広島県知事の許可を得て設立した公益法人である。 イ原告の寄附行為においては,原告は,瀬戸内の伝統文化の継承と創造に役立つ人材を養成するとともに,地域住民の福祉の向上と産業活性化を促進し,個性ある倉橋町のまちづくりに寄与することを目的とし(3条,)この目的を達成するために,地元特産物を中心とした地域産業の振興に関する事業,住民の健康づくりに関する事業,公共関連施設の管理及び運営- 2 -などの事業を行う(4条)と定められている(乙1。 )( )事実経過等 ア倉橋町は,広島県安芸郡α×××番地(当時)にAを設置し,平成10年4月1日には,B有限会社(東京都中野区β××番23号に本店を置くもの。以下「B(中野区」という)との ( )事実経過等 ア倉橋町は,広島県安芸郡α×××番地(当時)にAを設置し,平成10年4月1日には,B有限会社(東京都中野区β××番23号に本店を置くもの。以下「B(中野区」という)との間で,A内のγ温泉部門を試)。 運転期間の1年間に限り,B(中野区)が運営するという施設管理運営委託契約を締結し,同時に,上記施設運営に必要な備品の賃貸借を内容とする,自動券売機等賃貸借契約を締結した。 イ倉橋町は,平成10年6月1日,B(中野区)との間で,広島県安芸郡δ×××番地の1(当時)所在のC施設等管理委託契約を締結し,Cについても,B(中野区)が運営することとした。 ウ前記ア,イのとおり,倉橋町とB(中野区)との間に締結されたA及びC(以下「A等」という)に関する施設管理運営委託契約に基づいて,。 地方公共団体である倉橋町がそのまま各施設の管理運営の委託をB(中野区)に任せるのは,平成15年法律第81号による改正前の地方自治法244条の2第3,4項に違反するとされるおそれがあるため,そういった疑いを払拭する目的で,平成11年4月1日,原告と倉橋町との間で,A等の管理運営を原告が倉橋町から受託する契約(以下「本件受託契約」という)を締結した(乙2。 。 )エ原告は,平成11年4月1日,B有限会社(広島県安芸郡ε町×××番地(当時)に本店を置くもの。以下「B(ε町」という)との間で,)。 Aの入浴施設,軽食施設及びその他の合計891.22平方メートルに相当する部分(以下「A温泉館」という,並びに,C及び公衆便所(以。)下,上記両施設を「本件各施設」という)の管理運営をB(ε町)に再。 委託する契約(以下「本件委託契約」という)を締結し(乙3,併せ。 )て,本件委託契約の詳細について「A温泉館及びCの管理委託等の申合, 施設を「本件各施設」という)の管理運営をB(ε町)に再。 委託する契約(以下「本件委託契約」という)を締結し(乙3,併せ。 )て,本件委託契約の詳細について「A温泉館及びCの管理委託等の申合,- 3 -せ事項(乙4)のとおり合意した。 」オ原告は,平成13年3月29日,B(ε町)との間で上記温泉館に関する営業譲渡契約を締結し,以降は原告が本件各施設の管理運営を実施するようになった。 ( )本件処分に至る経緯等 ア原告は,平成13年5月23日,被告に対し,収益事業開始届出書(乙5。以下「開始届出書」という)及び消費税課税事業者届出書(乙6。 。 以下「事業者届出書」という)を提出した。 。 イ調査官Dは,開始届出書に記載されている収益事業開始日及び事業者届出書に記載されている適用開始課税期間の始期がいずれも平成13年4月1日であることから,平成13年5月下旬ころ,原告の関与税理士であるEに対し,開始届出書及び事業者届出書の記載内容についてそれぞれ確認した。 ウ原告は,平成13年11月13日,被告に対し「消費税課税事業者届,出書の取下申請書(乙7)を提出した。 」エ調査官D及び調査官Fは,平成14年5月13日,E税理士,原告事務局長G,倉橋町総務課長H及び倉橋町企画課長Iから,また,平成14年5月20日,原告常務理事J及びH総務課長から,それぞれ,原告の事業内容についての説明を受けた。 ( )本件処分等の経過 ア原告は,平成14年6月20日,被告に対し,本件課税期間の消費税の納付すべき税額398万2900円及び地方消費税の納付すべき譲渡割額99万5700円とする確定申告書を提出した(乙8。 )イ原告は,平成14年10月11日,被告に対し「当事業者は新設法人,であり平成13年4月1日~平成14年3月31日 費税の納付すべき譲渡割額99万5700円とする確定申告書を提出した(乙8。 )イ原告は,平成14年10月11日,被告に対し「当事業者は新設法人,であり平成13年4月1日~平成14年3月31日は第一期にあたり課税業者に概当しない」ことを理由として「消費税及び地方消費税の更正の,- 4 -請求書(乙9)を提出して更正の請求をした(以下「本件更正の請求」」という。 。)ウ調査官Fは,平成14年12月18日,原告の事務所に赴き,本件更正の請求に係る調査をした。 エ被告は,上記調査結果に基づき,平成14年12月27日,原告の本件課税期間については,基準期間(平成11年4月1日から平成12年3月31日までの課税期間。以下「本件基準期間」という)の課税売上高が。 3000万円を超えているため,消費税法9条1項により消費税の納税義務は免除されないと認定し,更正をすべき理由がない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という)をした(甲1。 。 )オ原告は,本件通知処分を不服として,平成15年2月25日,被告に対し,異議申立てをしたところ,被告は,同年5月23日,異議申立てを棄却する異議決定をした(甲2。 )カ原告は,上記異議決定を経た後の本件通知処分を不服として,平成15年6月10日,国税不服審判所長に対し,審査請求をしたところ,国税不服審判所長は,平成16年5月19日,上記審査請求を棄却するとの裁決をした(甲3。 ) 争点 ( )利用料金等の帰属者が原告かB(ε町)か。 ( )本件通知処分が信義則違反に当たり違法か。 争点に関する当事者の主張( )争点( )(利用料金等の帰属者が原告かB(ε町)か)について 。 (原告の主張)ア消費税法9条には,消費税納税義務者の納税義務の免除に関する規定が置かれ 争点に関する当事者の主張( )争点( )(利用料金等の帰属者が原告かB(ε町)か)について 。 (原告の主張)ア消費税法9条には,消費税納税義務者の納税義務の免除に関する規定が置かれ,同法13条には資産の譲渡等を行ったものの実質判定に関する規定が置かれているところ,同条に関する消費税基本通達4-1-3によれ- 5 -ば「資産の譲渡等が委託販売の方法その他業務代行契約に基づいて行わ,れるのであるかどうかの判定は,当該委託者等と受託者等との間の契約の内容,価格の決定経緯,当該資産の譲渡等に係る代金の最終的な帰属者が誰であるか等を総合判断して行う」とされている。 。 イ(ア)倉橋町は,設置したAについて,B(中野区)との間で,γ温泉部門の施設管理運営委託契約を締結していたが,地方自治法244条の2第3項及び4項により,地方公共団体である倉橋町が施設の管理運営の(),委託をB中野区に任せるのは地方自治法に違反することになるため平成11年4月1日に倉橋町の出資で原告が設立され,町と原告との間「」()。 でC等に係る施設管理運営委託契約本件受託契約が締結された(イ)形式的に原告が設立され本件受託契約が結ばれたものの,原告には何ら人的物的設備が整備されていなかったことから,原告は倉橋町との契約どおり施設の管理運営を実施することができなかったため,そのまま従来施設管理運営に当たっていたB(ε町)に委託することにした。 (ウ)原告とB(ε町)との間には「甲(原告)は,振り込まれた金額から,賃料,電気代,水道代等のランニングコスト並びに機械警備,定期,(())清掃等のメンテナンス代機器リース代を差し引いた額を乙Bε町。」の指定する口座に委託料として毎月17日及び27日までに振り込むとの申合せ事項が合意 ニングコスト並びに機械警備,定期,(())清掃等のメンテナンス代機器リース代を差し引いた額を乙Bε町。」の指定する口座に委託料として毎月17日及び27日までに振り込むとの申合せ事項が合意されており(乙4・5枚目,実際にもこのよう)な運営がされてきた(乙14。すなわち,B(ε町)が運営委託され)た温泉事業の売上げは,いったん原告の普通貯金口座に入金された後,上記の賃料等の必要経費が差し引かれ,その残額が再びB(ε町)の口座に委託料として振り込まれていることになる。他方,差し引いた賃料等は倉橋町にいったん引き渡された後,そのまま個々の支出に回されたりしている。 (エ)このように,本件各施設の運営により発生する利用料金等収入はB- 6 -(ε町)が享受し,法人税及び消費税の申告もB(ε町)の収益としてなされていたが,このような場合B(ε町)は利用料金等収入の中から原告に支払うべき賃料等必要経費のみを支払い,残りは管理運営委託費として自ら収受していればよかったところ,原告の設立には広島県知事の許可を受けていることから,原告の収支決算について広島県に報告しなければならないため,原告の実績作りのためB(ε町)が収受した利用料金等収入はいったん原告口座に入金され,その後利用料金等収入から必要経費を差し引いた残りが委託料としてB(ε町)に対し払い戻されていたのであり,原告には本件基準期間中に温泉事業からの売上げが一銭も入ることはなく,いわばトンネル会社ともいえるものであった。 (オ)このような取扱いは,平成13年3月29日に原告がB(ε町)との間で営業譲渡契約を締結するまで継続していた。 ウ以上の事実関係からすれば,原告は平成13年3月29日にB(ε町)から営業譲渡を受けるまでは,消費税法13条にいう「単なる名義人」にすぎず, )との間で営業譲渡契約を締結するまで継続していた。 ウ以上の事実関係からすれば,原告は平成13年3月29日にB(ε町)から営業譲渡を受けるまでは,消費税法13条にいう「単なる名義人」にすぎず,本件基準期間の課税売上高が3000万円以上になることはないから,原告は免税事業者となるはずである。 (被告の主張)ア(ア)私法上の法律行為と実質課税の原則について私法上の法律行為と租税法の適用については「租税法は,種々の経,済活動ないし経済現象を課税の対象としているが,それらの活動ないし現象は,第一次的には私法によって規律されている。租税法律主義の目的である法的安定性を確保するためには,課税は,原則として私法上の法律関係に即して行われるべきである(金子宏著「租税法」第十版。」(弘文堂)123頁。 )そして「租税法の適用にあたっては,課税要件事実の認定が必要で,ある。他の法分野におけると同様に,租税法においても,要件事実の認- 7 -定に必要な事実関係や法律関係の『外観と実体』ないし『形式と実質』がくいちがっている場合には,外観や形式に従ってではなく,実体や実質に従って,それらを判断しなければならない(中略)ただし,この。 ことは,要件事実の認定に必要な法律関係についていえば,表面的に存在するように見える法律関係に即してではなく,真実に存在する法律関係に即して要件事実の認定がなされるべきことを意味するに止まり,真実に存在する法律関係からはなれて,その経済的成果なり目的なりに即して法律要件の存否を判断することを許容するものではないことに注意する必要がある。いわゆる「実質課税の原則」は,以上のような意味に理解し,用いられるべきである(前掲租税法139,140頁。 」)(イ)本件における私法上の法律関係についてa倉橋町と原告 意する必要がある。いわゆる「実質課税の原則」は,以上のような意味に理解し,用いられるべきである(前掲租税法139,140頁。 」)(イ)本件における私法上の法律関係についてa倉橋町と原告との間の私法上の法律関係について①原告は,寄附行為(乙1)に定めた目的に沿って,同寄附行為に定めた事業を行うために設立された,独立した法人格を有する公益法人であること(民法34条,②原告は,平成11年4月1日,倉橋)町との間で,A等の管理運営を倉橋町から受託する本件受託契約を締結したこと(乙2,③原告は,本件受託契約に従い,本件基準期間)において,A等の管理運営を自ら行っていたこと,④A設置条例(乙16)17条により,利用料金は,原告の収入とされていること,⑤原告は,B(ε町)から現実に利用料金等を受領していること(甲11,12,乙14,⑥原告は,利用料金等を自らの収入として計上)していること(乙11・7枚目)などの事実関係が認められ,そうすると,原告が倉橋町から委託を受けたA等の管理運営を行うこと,及び利用料金等が原告に帰属することについて,倉橋町と原告との私法上の契約関係の外観・形式と実体・実質は完全に一致しているといえる。 - 8 -b原告とB(ε町)との間の私法上の法律関係について⑦原告とB(ε町)は,原告が倉橋町から管理運営の委託を受けた(),,A等の一部本件各施設の管理運営について平成11年4月1日本件委託契約を締結し,併せて,同契約の詳細について「A温泉館,及びCの管理委託等の申合せ事項(乙4)のとおり合意しているこ」と,⑧B(ε町)は,本件委託契約に従い,本件各施設の管理運営を行っていること⑨A温泉館及びCの管理委託等の申合せ事項乙,「」(4)Ⅲ1において,B(ε町)は,原告に対し,利 ているこ」と,⑧B(ε町)は,本件委託契約に従い,本件各施設の管理運営を行っていること⑨A温泉館及びCの管理委託等の申合せ事項乙,「」(4)Ⅲ1において,B(ε町)は,原告に対し,利用料金等を原告の口座に振り込むこととされ,同Ⅲ2において,原告は,B(ε町)に,()対し利用料金等から賃料等を差し引いた額を委託料としてBε町の指定する口座に振り込むこととされていること,⑩原告及びB(ε町)は,いずれも,上記⑨の合意事項にほぼ沿った支払を行っていること(甲11,12,乙14)などの事実関係が認められ,そうすると,B(ε町)が原告から受領する委託料がB(ε町)に帰属することについては,原告とB(ε町)との私法上の契約関係の外観・形式と実体・実質は一致しているということができ,利用料金等がB(ε町)に帰属する私法上の契約関係を見いだすことはできない。 ,,()c以上のように利用料金等は原告に帰属するのであってBε町に帰属するというべき私法上の法律関係は存在しない。 dしたがって,原告は,本件基準期間において,A等において行われた事業の主体であり,消費税法13条に規定されている「単なる名義人」でないことは明らかである。 (ウ)なお,本件各施設は公の施設(地方自治法244条1項)であるから,本件各施設の利用料金等は,本来,公の施設を所有する倉橋町の収入となるべきところ,平成15年法律第81号による改正前の地方自治法244条の2第3項及び4項並びにA設置条例16条及び17- 9 -条(乙16・3枚目)に基づき,原告が収受することができるものであって,B(ε町)は,そもそも,公の施設の管理を受託することはできず(乙28,29,利用料金等を自らの収入として収受するこ)ともできない。 イそして,原告が,平成12 受することができるものであって,B(ε町)は,そもそも,公の施設の管理を受託することはできず(乙28,29,利用料金等を自らの収入として収受するこ)ともできない。 イそして,原告が,平成12年9月28日付けで広島県地域振興部長に提出した平成11年4月1日から平成12年3月31日までの会計年度の収支決算書(乙11・7枚目ないし9枚目)によると,原告の当該会計年度における「料金収入」は7181万8395円「試験販売収入」は90,93万3973円「受託金収入」は1717万3000円「電話代」,,収入は4万7910円であり,当該各収入の合計は1億7997万3278円となり,この合計金額から「料金収入」には含まれているが課税資,産の譲渡等(消費税法2条1項9号)には当たらない「入湯税」953万4900円を差し引いた残額1億7043万8378円は,全額課税資産の譲渡等(同条項8号,9号)に該当する。 ウしたがって,原告の本件基準期間の課税売上高(消費税法9条2項)は3000万円を超えることとなるから,原告は,本件課税期間において,免税事業者には該当しない。 エなお,消費税法において,納税義務者が納付すべき税額は,基本的には課税売上高に対する消費税額から,課税仕入れに係る消費税額を控除した残額に相当する額とされている(消費税法45条,49条参照)ところ,これを本件に照らせば,原告が納付すべき消費税額は,利用料金等(課税売上高)に対する消費税額から,委託料等(課税仕入れ)に係る消費税額を控除した残額に相当する額であり,他方,B(ε町)が納付すべき消費,(),()税額は委託料課税売上高に対する消費税額から経費課税仕入れに係る消費税額を控除した残額に相当する額となる。そうすると,原告が納付すべき消費税額の中に,当 すべき消費,(),()税額は委託料課税売上高に対する消費税額から経費課税仕入れに係る消費税額を控除した残額に相当する額となる。そうすると,原告が納付すべき消費税額の中に,当該委託料に対する消費税額は含まれておら- 10 -ず,これはB(ε町)が納付することとなるから,本件利用料金等について二重課税の問題は生じ得ない。 ( )争点( )(本件通知処分が信義則違反に当たり違法か)について 。 (原告の主張)ア最高裁昭和60年(行ツ)第125号同62年10月30日判決・裁集民152号93頁は「租税法規に適合する課税処分について,法の一般原,理である信義則の法理の適用により,右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合がある」とし,それは「租税法規の適用における納税者間の平等,公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分にかかる課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合」をいい,その適用要件として,①税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したこと,②納税者がその表示を信頼し,かつ,このように信頼したことについて納税者の責めに帰すべき事由がなかったこと,③納税者がその信頼に基づいて行動し,かつ,このように行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がなかったこと,④のちに右表示に反する課税処分が行われ,そのため納税者が経済的不利益を受けることになったこと,を挙げている。 イ(ア)平成13年3月29日にB(ε町)からA温泉館に関する営業譲渡を受けることとなった原告は,上記温泉館の営業による収益事業を新たに営むことになったが,かかる収益事業により平成13年分の収益に対する消費税の納税義務があるか否かが問題となったため,原告担当者が,平 を受けることとなった原告は,上記温泉館の営業による収益事業を新たに営むことになったが,かかる収益事業により平成13年分の収益に対する消費税の納税義務があるか否かが問題となったため,原告担当者が,平成13年6月上旬ころ呉税務署に対し上記の問題について直接面談の上照会したところ,調査官Dより温泉館の営業による収益事業は原告にとって消費税法上の基準期間のない新規事業に該当するから,消費税の納税義務はないとの回答が得られた。 (イ)原告としては,その回答を受けて,今後2年間は免税事業者という- 11 -立場になるものと理解した。 (ウ)そこで,原告は,平成13年分の消費税納付分の負担がなくなったので,これを地域住民の温泉館使用利益に反映させるため,温泉館の利用料金の値下げをした。 ,,,()(エ)しかしその後呉税務署の見解が変更され上記事業はBε町からの継続事業に該当し,原告にも消費税法上の基準期間があることになるから,新規事業者として提出された平成13年5月23日付け消費税課税事業者届出書を取り下げるとともに,平成13年分の消費税を納税するように言い渡された。 (オ)そこで,原告は,平成13年11月13日に消費税課税事業者届出書を取り下げるとともに,平成14年6月20日に消費税及び地方消()費税の確定申告平成13年4月1日から平成14年3月31日までを行った。 ウこのように,原告は,呉税務署の公的見解に従って合理的期待を有しており,それを前提に温泉館使用料金の値下げを決め経営を継続していたところ,その後呉税務署から消費税の納付を慫慂され,それに従い消費税の確定申告をした結果,使用料金値下げ幅である本来受けられるべき利益を失ったものである。 したがって,本件処分は,信義則違反の違法があり,取り消されるべきで 消費税の納付を慫慂され,それに従い消費税の確定申告をした結果,使用料金値下げ幅である本来受けられるべき利益を失ったものである。 したがって,本件処分は,信義則違反の違法があり,取り消されるべきである。 エ被告の主張に対する反論被告は,調査官Dの回答は公的見解ではない旨主張するが,調査官Dの回答は,呉税務署長又は呉税務署全体の見解を通知するものであって,調査官Dの個人的見解ではないものと推測される。特に本件では税務の専門家である税理士が直接質問をしており,しかも,平成13年6月上旬には原告担当者が直接調査官Dと面談した上で相談しており,それに対する調- 12 -査官Dの回答は調査官一個人の回答であって「税務官庁」の回答ではないなどという軽いものではない。 調査官Dは,呉税務署所轄地域において法人課税第一部門の消費税に関する事務及びその法律相談を担当している者であったのであるから,少なくとも消費税に関する本件処分に関連して重大な地位にある者であるといえるし,また,納税者の側からすれば,税務署内部の権限分配規定ではなく実際の担当処理業務の内容に信を置くのが通常であるから,その発言内容には「信頼の対象となる公的見解」としての資格を十分備えているといえる。 (被告の主張)ア(ア)様々な状況下で行われる税務職員の見解の表示のすべてが信頼の対象となる公的見解の表示となるものでないことはいうまでもなく,納税者はもともと自己の責任と判断の下に行動すべきものであることからすれば,信頼の対象となる公的見解の表示であるというためには,少なくとも,税務署長その他の責任ある立場にある者の正式の見解の表示であることが必要であるというべきである(名古屋地裁平成2年5月18日(),)。 判決・訟務月報37巻1号160頁乙17乙23・132頁参照(イ その他の責任ある立場にある者の正式の見解の表示であることが必要であるというべきである(名古屋地裁平成2年5月18日(),)。 判決・訟務月報37巻1号160頁乙17乙23・132頁参照(イ)また,各税務署職員が一般的な知識をもって即答したことに対する信頼は,税務官庁の公的見解に対する信頼に比して,信頼の程度に格段の差があるというべきであり,そのようなものに対する信頼を基礎として,租税法律主義の原則の下における納税者間の平等や公平を損なうことは到底容認できない(那覇地裁平成8年4月2日判決・税務訴訟資料216号18頁。 )イ調査官Dの回答は,その回答者,回答の方法及び回答の状況に照らし,信義則の適用を問題とする場合の信頼の対象となる公的見解の表示には該当しない。 - 13 -(ア)調査官Dの回答は税務署長その他の責任ある立場にある者の正式の見解の表示ではないこと調査官Dは,平成13年6月当時,上席国税調査官として呉税務署法人課税第一部門に配置されていたところ,上席国税調査官は,命を受けて,課長,特別国税徴収官,特別国税調査官,統括国税徴収官,統括国税調査官又は酒類指導官の所掌に属する事務のうち主要なものを処理する者とされている(平成13年1月6日付け国税庁訓令第1号441条2項(乙18・12枚目。そして,調査官Dが配置されている法人))課税第一部門の統括国税調査官が所掌する事務は,法人課税第一部門から法人課税第四部門までの総括及び調整に関する事務並びに法人税の賦課及び減免に関する事務をはじめ,消費税に係る諸申請及び届出に関する事務,税務相談に関する事務等であるところ(平成13年1月12日付け広島国税局訓令第9号別表4(乙19・11枚目,これらの事))務は,法人課税第一部門において,統括国税調査官及びその下に 関する事務,税務相談に関する事務等であるところ(平成13年1月12日付け広島国税局訓令第9号別表4(乙19・11枚目,これらの事))務は,法人課税第一部門において,統括国税調査官及びその下に置かれる職員が処理するものとされている(前記国税庁訓令第1号430条6項(乙18・11枚目。 ))平成13年6月当時,これらの各事務のうち,消費税に係る諸申請及び届出に関する事務,税務相談に関する事務は,それぞれ法人課税第一部門の当該事務を担当する職員が主に処理していたところ,調査官Dは消費税に係る諸申請及び届出に関する事務を担当しており,また,その事務に係る税務相談も担当していたことから,E税理士に対して消費税課税事業者届出書の提出が不要であるとの回答をするに至ったものである。 このように,調査官Dは,法人課税第一部門を指揮監督する立場の者でもなく,反対に,法人課税第一部門統括国税調査官の指揮監督の下,法人課税第一部門の統括国税調査官の所掌する事務を処理する一担当者- 14 -,,にすぎないのであって税務署長その他の責任ある立場の者とはいえずまた,調査官Dの回答方法は口頭によるものであることからすると,その回答は,税務署長その他の責任ある立場にある者の正式の見解の表示であるとは,到底いうことができない。 (イ)調査官Dの回答は税務相談に対する回答であること調査官Dは,消費税に係る諸申請及び届出に関する事務及び当該事務に係る税務相談の担当者としての立場で,E税理士からの税務相談に対して回答したものであるところ,税務当局が行う税務相談は,専ら行政サービスの一環として納税者のため税法の解釈,運用又は申告手続等についてその相談に応ずるもので,具体的な課税処分とはかかわりがないし,もちろん税務当局の公式見解でもない(東京高裁昭和63年 専ら行政サービスの一環として納税者のため税法の解釈,運用又は申告手続等についてその相談に応ずるもので,具体的な課税処分とはかかわりがないし,もちろん税務当局の公式見解でもない(東京高裁昭和63年11月30日判決・税務訴訟資料166号627頁(乙20,東京高裁平成)3年6月6日判決・訟務月報38巻5号878頁(乙21,名古屋地)裁昭和46年8月28日判決・訟務月報18巻4号576頁(乙22)等参照。 )(ウ)また,調査官Dの指導は,税務職員が税理士等から提供された情報をもとに当該職員が有する一般的な知識をもって即答したものであって,これに対する信頼は,税務官庁の公的見解に対する信頼に比して,信頼の程度に格段の差があるというべきであり,そのようなものに対する信頼を基礎として,租税法律主義の原則の下における納税者間の平等や公平を損なうことは到底容認できない。 ウ調査官Dの回答は原告が平成13年3月まで休業していたことを前提とするものにすぎないこと調査官Dは,平成13年5月下旬ないし6月ころ,E税理士に対し,本件収益事業開始届出書及び本件消費税課税事業者届出書の記載内容について確認したところ,E税理士から,原告は設立以降,同年3月まで休業し- 15 -ていたと聞いている旨の回答を受けたことから,原告が平成13年3月まで休業していたというのであれば消費税課税事業者届出書の提出は不要であると回答し,併せて本件消費税課税事業者届出書の取下げの書類の提出を指導したのであって,そもそも事実と異なるE税理士の回答に基づくものであるから,信義則の法理の適用の前提を欠く。 エこのように,調査官Dの回答は,そもそも,信頼の対象となる公的見解であるということはできないものであるし,仮に調査官Dの回答が信頼の対象となる公的見解に当たるとしても, 法理の適用の前提を欠く。 エこのように,調査官Dの回答は,そもそも,信頼の対象となる公的見解であるということはできないものであるし,仮に調査官Dの回答が信頼の対象となる公的見解に当たるとしても,調査官Dの回答は,原告が平成13年3月まで休業していたことを前提とするものにすぎず,原告がいかなる場合においても本件課税期間に係る消費税の納税義務を負わないと回答したものではないこと,原告は,E税理士が調査官Dに行った説明とは異なり,設立以降平成13年3月まで休業していたという事実は認められず,本件基準期間に本件各施設において行われた事業の主体であったと認められることからすると,原告が調査官Dの回答を信頼したのであるとしても,その信頼については原告の責めに帰すべき事由があるというべきであるから,原告の信義則違反に係る主張は,いずれにしても,失当であるといわなければならない。 第3当裁判所の判断 争点( )(利用料金等の帰属者が原告かB(ε町)か)について 。 ( )帰属の判定基準 ア消費税法13条は「法律上資産の譲渡等を行ったとみられる者が単な,る名義人であって,その資産の譲渡等に係る対価を享受せず,その者以外の者がその資産の譲渡等に係る対価を享受する場合には,当該資産の譲渡等は,当該対価を享受する者が行ったものとして,この法律の規定を適用する(なお,資産の譲渡等とは,事業として対価を得て行われる役務。」の提供を含む用語である。同法2条1項8号)と定めているところ,これ- 16 -は,課税物件(資産の譲渡等)の法律上(私法上)の帰属について,その形式と実質とが相違している場合には,実質に即して帰属を判定すべきであるとするものと解される。 すなわち,この規定は,単なる名義人と法律上の真の資産の譲渡等を行った者とがいると の帰属について,その形式と実質とが相違している場合には,実質に即して帰属を判定すべきであるとするものと解される。 すなわち,この規定は,単なる名義人と法律上の真の資産の譲渡等を行った者とがいるとみられる場合には,真の(私法上の)法律関係を明確にし,真の(私法上の)法律関係に従っ。 ,て課税すべきことを要求する趣旨であると解するのが相当であるそして,(),上記の場合において真実の私法上の法律関係を明確にするに当たりその他の事情に加えて経済的効果や経済的目的をも総合的に考慮するのは(私法上の)法律関係の解釈において当然なすべきことであって,こ,のことは,真実に存在する法律関係から離れてその経済的効果なり目的なりに即して法律要件の存否を判断することにはならない。 イこの点,消費税法基本通達4-1-3は「資産の譲渡等が委託販売の,方法その他業務代行契約に基づいて行われるのであるかどうかの判定は,当該委託者等と受託者等との間の契約の内容,価格の決定経緯,当該資産の譲渡等に係る代金の最終的な帰属者がだれであるか等を総合判断して行う」と定めているところ,これは,単なる名義人と法律上の真の資産の。 譲渡等を行った者とがいるとみられる場合には,仮に形式的には委託という法形式を用いているときであっても,同通達記載の事情等を総合的に考慮することにより真の(私法上の)法律関係を明らかにし,真の(私法上の)法律関係に従って資産の譲渡等を行った者を判定すべきことを規定したものと解されるのであるから,前項の解釈を裏付けるものといえる。 ウしたがって,利用料金等が法律上原告とB(ε町)のいずれに帰属するかが争われている本件においては,両者間の契約の内容等を総合的に判断して真の法律上の帰属者を判定する必要がある。なお,前記通達記載の事情は,原告 利用料金等が法律上原告とB(ε町)のいずれに帰属するかが争われている本件においては,両者間の契約の内容等を総合的に判断して真の法律上の帰属者を判定する必要がある。なお,前記通達記載の事情は,原告及びB(ε町)間で委託の法形式をとっている本件において,真の法律上の帰属者を判定する際に考慮すべき事情となると考えられる。 - 17 -( )利用料金等の帰属者 ア(ア)A温泉館並びにC施設等管理委託契約書(乙3)によれば,本件委託契約は,次のとおりの内容である。 a原告は,B(ε町)に本件各施設の管理運営を委託する(1条。 )bB(ε町)は,原告の指示に従って誠実に管理運営を実施する(2条。 )c(委託料及び賃料等)という標題の5条においては,賃料は毎月60万円とするとして賃料だけが定められている。 dB(ε町)の施設管理運営に関連して生ずる電気料,ガス料,燃料費,水道料,清掃費等の費用(付加使用料)は,一切B(ε町)の負担とし,原告が立て替え,支払ったものは,原告の請求により直ちに支払うものとされ,かつ,Cにかかわる浄化槽の維持管理料及び公衆便所にかかる電気料は,原告が負担する(6条。 )e本件各施設等の造作,設備の破損又は故障の修理は,原則として,原告が,その費用を負担する(8条。 )(イ)a「A温泉館等申合せ事項(乙4)によれば,設備」器具の管理費については,空調設備,電気設備,入浴設備のうちの貯,,,水タンク・ボイラー等消防設備備品類のうちのテーブル・椅子等厨房設備を倉橋町において負担済みで,什器・調理備品器具,入浴備品のうちの桶・風呂椅子等は業者(B(ε町)を指す。下記b,cにつき同じ)により負担済みであり,電球,蛍光灯,電池等の消耗経。 費及び利用により生じた破損修繕料(水道蛇口等の簡易な水漏れ 具,入浴備品のうちの桶・風呂椅子等は業者(B(ε町)を指す。下記b,cにつき同じ)により負担済みであり,電球,蛍光灯,電池等の消耗経。 費及び利用により生じた破損修繕料(水道蛇口等の簡易な水漏れ修繕料,電気料金(温泉ポンプ電気代も含む・水道料金(専用メータ)。)。),(。)ーで積算するガス料金業者がプロパンガス会社と手続を行うは業者が負担することとされ,さらに,建物,設備本体に係る修繕料は倉橋町と業者が協議の上負担割合を算出することとされ,業者が負- 18 -担することは前提とされている一方,原告の負担については何ら触れられていない。また,入浴施設・軽食・厨房・休憩室等の消毒(ただし,実施する場合は管理公社(原告)と事前打合せをする,委託。)部分の清掃(ただし,共用部分(エントランス,駐車場)については双方が負担する,委託業務中,塵芥処理業務,警備業務の一部,。)入浴施設並びに軽食施設の電話線の設置,保健所への飲食店営業許可等申請については業者が行うこととされている。そして,原告管理部分の暖房用重油代は一部原告が負担することとされるとともにB(ε町)は,営業時間及び休日については原告と,入浴価格については倉橋町と,それぞれ協議して決めることとされている。 b「C施設等申合せ事項(乙4)によれば,設備器具の管理費につ」いては,空調設備,電気設備,備品類(テーブル・椅子等,厨房設)備については倉橋町で設置済みであるが,什器調理備品器具,電球,蛍光灯,電池等の消耗経費及び利用により生じた破損修繕料(水道蛇口等の簡易な水漏れ修繕料,電気料金・水道料金(専用メーターに)よる。ただし,公衆便所部分については倉橋町が負担する,ガス。)料金(業者がプロパンガス会社と手続を行う,電話料は業者が負。)担す 簡易な水漏れ修繕料,電気料金・水道料金(専用メーターに)よる。ただし,公衆便所部分については倉橋町が負担する,ガス。)料金(業者がプロパンガス会社と手続を行う,電話料は業者が負。)担することとされ,さらに,設備器具の管理費のうち,建物,設備本体に係る修繕料は倉橋町と業者が協議の上負担割合を算出することとされ,業者が負担することは前提とされている一方,原告の負担については何ら触れられていない。また,Cの軽食・厨房・休憩室等の消(,()。),毒ただし実施する場合は管理公社原告と事前打合せをする委託部分及び共用部分(公衆便所,駐車場)の清掃(ただし,公衆便所部分の清掃費の一部を倉橋町が負担する,警備業務の経費(警。)備会社と業者が直接契約をすることとされている,保健所への飲。)食店営業許可等申請は,業者が行うものとされている。なお,営業時- 19 -間及び休日並びに軽食コーナーのメニューは原告と協議して決めることとされている。 c「A温泉館及びCの運営費等の申合せ事項(乙4)によれば,施」設の利用料金及び売上金については,毎月14日と24日までに,原告の指定する口座に振り込むものとし,原告は,振り込まれた金額から,賃料,電気代,水道代等のランニングコスト並びに機械警備,定,()期清掃等のメンテナンス代機器リース代を差し引いた額をBε町の指定する口座に委託料として毎月17日と27日までに振り込むものとするとされている。 (ウ)利用料金の決定についての経緯についてa入浴料については,A設置条例により,入浴施設料金については大人500円から1,000円まで,小人(3歳以上12歳まで)400円まで,小人(3歳以下)200円まで,と定められており(同条例8条3項,別表第2「A温泉館等申合せ事 り,入浴施設料金については大人500円から1,000円まで,小人(3歳以上12歳まで)400円まで,小人(3歳以下)200円まで,と定められており(同条例8条3項,別表第2「A温泉館等申合せ事項(乙4)9項にお),」いて,入浴価格は「倉橋町と協議のうえ決める」とされている。 。 bその他の利用料をみると,軽食コーナーのメニューについては申合せがされているもののその料金については特段定められておらずA,(温泉館等申合せ事項8項,C施設等申合せ事項8項,B(ε町)に)おいて決めることができるものと考えられる。 なお,Cの休憩室は無料であることが前提であり(C施設等申合せ事項9項( ) ,原告もB(ε町)も利用料の決定はできないものと 1 )考えられる。 (エ)利用料金等の最終的な帰属者についてa原告及びB(ε町)間の入出金状況等について(a)証拠(甲11,12の1・2)によれば,倉橋町(K準備室)及び原告とB(ε町)間の入出金状況は,別紙のとおりである(別- 20 -紙中,網掛部分が本件基準期間における収支にまつわるものを指す。 。)これによると,原告が,本件基準期間に関して,B(ε町)から振り込まれた金額は,1億5946万0246円である一方,原告がB(ε町)に振り込んだ金額は,1億2254万1960円である。 (b)また,同期間の電気代,水道代等の光熱水費と入湯税による支出合計金額は,3504万4635円である(乙11。 )その他リース代や施設利用料等も,原告がいったん振り込まれた利用料金等から支出しなければならないものである(甲11,乙11。 )bかかる事実関係によれば,利用客からB(ε町)が受け取った入浴料などの利用料金等はいったんは原告に振り込まれるが,賃料や電気代,水道代等のいわゆるランニ らないものである(甲11,乙11。 )bかかる事実関係によれば,利用客からB(ε町)が受け取った入浴料などの利用料金等はいったんは原告に振り込まれるが,賃料や電気代,水道代等のいわゆるランニングコストを除いた金額がB(ε町)に再度振り込まれるのであるから,原告は一定の賃料(月60万円)と原告が負担すべき電気代等(これらにランニングコストを加えたものを以下「ランニングコスト等」という)を得ることになるにすぎ。 ない。そして,それらも結局は別途直ちに支出されることになるのであるから(甲11,乙11参照,B(ε町)から振り込まれた利用)料金等による利益は原告の手元には残らないようになっているのであって,反面利用料金等の利益の大半をB(ε町)が最終的に受け取ることになることは明らかである。したがって,本件各施設における事業により挙げられた収入については,経済的にはB(ε町)に帰属するというほかはない。 (オ)J及びHの供述証人H及びJは,原告設立前の本件各施設における事業の状況につい- 21 -,,,て原告が設立される以前は温泉館やレストランの売上げについてはB(ε町)の収入となり,支出もB(ε町)が支出するという形でやっており(H証言10項,倉橋町には,レストランとか入浴施設のラン)ニングコスト,電気代,水道代,そういうものを按分をして倉橋町(準),()備室に入れてもらい準備室のほうで支出をしていたH証言12項とか,原告の設立が予定されていることから,原告ができた後は原告からの再委託になるということでB(ε町)に委託した(J証言12項)と供述しており,また,原告設立後の本件各施設における事業の状況については,当初は従前と同様B(ε町)のほうで入出金をしていた(H証言16,17,22項)が,公共施設という 委託した(J証言12項)と供述しており,また,原告設立後の本件各施設における事業の状況については,当初は従前と同様B(ε町)のほうで入出金をしていた(H証言16,17,22項)が,公共施設ということで,町民からも,売上げ等,営業がうまくいっているのかどうかの関心度も高く,財団法人を作るとき,県の指導もあって,いったん売上げを財団の口座のほうに入れてもらうようになった(H証言24ないし27項)などと,原告設立以前にB(ε町)からランニングコストのみを振り込んでもらっていたのを,売上げの全額を振り込んでもらうような契約の内容とし,実際にそういう金銭の流れで経理上処理するようになった経緯等について述べているが,弁論の全趣旨に照らすと,上記供述はほぼ事実に合致するものと認められる。 ,,イ前記アに判示したところによれば本件委託契約ないし申合せの文言上一見するといかにも,利用料金等本件各施設における事業の収入は振り込みにより原告に帰属することになっていると見えなくもないが,他方で,原告に振り込まれた利用料金等は,賃料,電気代,水道代等のランニングコスト並びに機械警備,定期清掃等のメンテナンス代,機器リース代を差し引いた上,その残額を委託料としてB(ε町)の口座に振り込むことも定められており,実際にB(ε町)から原告に売上げが振り込まれた日の当日ないし数日後(本件基準期間においては,平成12年2月8日の合計- 22 -37万7286円を除き,最も遅い場合でも7日後には振り込まれてい。),()るには振り込まれた金額と同額ないしその大半が原告からBε町に振り込まれており,本件委託契約ないし申合せにほぼ従った処理がなされている。その結果,本件各施設における事業により得られた利用料金等,()。 は経済的には原告ではなくB 半が原告からBε町に振り込まれており,本件委託契約ないし申合せにほぼ従った処理がなされている。その結果,本件各施設における事業により得られた利用料金等,()。 は経済的には原告ではなくBε町に帰属しているものと認められるまた,本件委託契約ないし申合せ上,原告は,わずかにCに係わる浄化槽の維持管理料及び公衆便所にかかる電気料(ただし,これについては,申合せによると,原告ではなく倉橋町が負担するものとされている,。)本件各施設等の造作,設備の破損又は故障の修理費用,Aにおける共用部分(エントランス,駐車場)の清掃費用の一部,ふれあいセンター全体の警備業務にかかる費用,原告管理部分の暖房用重油代の一部を負担するのみであり,これらの費用は,本件各施設における事業を日常的に遂行するための必要かつ不可欠のものとまでは言い難いものである。それに対し,B(ε町)が負担することとされている費用は,専用メーターで積算された温泉ポンプ電気代を含む電気料金や水道料金,ガス料金など本件各施設における事業を遂行するために必要不可欠なものであり,さらに,プロパ,()ンガス会社との契約や電話線の設置飲食店営業許可等申請等もBε町が行うよう定められており,実際にかかる定めに従って費用の負担等がなされていたものと認められる。また,本件委託契約ないし申合せには,原告が本件事業へ関与する場合として,B(ε町)が入浴施設等の消毒を実施する際の事前の打合せ,営業時間及び休日並びに軽食コーナーのメニューについての協議などが定められている程度であり,実際にも「入浴料,金をどうするかなどの一定期間の計画や設備が傷んだ場合の費用負担をどうするかなどの突発的な事項の処理について,J常務理事が判断を求められることがあっても,日々の日常業務については集客数の増減 料,金をどうするかなどの一定期間の計画や設備が傷んだ場合の費用負担をどうするかなどの突発的な事項の処理について,J常務理事が判断を求められることがあっても,日々の日常業務については集客数の増減などの報告がある程度で判断を求められることはなかった(J証言20,21,1」- 23 -13,114項「B(ε町)に管理運営委託をしていたときは,原告),は,入浴施設とレストランについては何もしておらず,図書館と公民館,」(),そういう複合施設の電気代の支払などの管理はしていたH証言96項「経営実態についてはおおむね分かっていたが,支出については一切分からなかった(H証言92,127,129ないし134項)などという」J及びHの供述にみられるように,原告が,本件事業の具体的な運営について関与していたことは認められない。 そして,原告の本件委託契約締結の目的をみても,原告設立後最初に開催された平成11年第1回評議会において,L評議員からの「利益は話し,。」,,あいの上で町に還元するのですかとの質問に対し原告の事務局は「利益については,月60万円で委託していますから,利益が上がればそれは業者の売上収入になります」旨回答していること(乙13)など,。 利用料金等のうち60万円だけが賃料として原告に帰属し,その余の部分についてはB(ε町)に帰属させる意図であったことは明らかである。このことは,B(ε町)から原告に入ったお金は預り金というつもりで受けているので,収入伝票は起こしていないが,賃料,電気代,水道代といったものは,収入伝票を起こしている旨のHの供述(H証言157項)や,B(ε町)が撤退するに当たって,原告としては,B(ε町)に営業権があったというふうに考え,短期借入までして3400万円で営業譲渡を受けたこと 入伝票を起こしている旨のHの供述(H証言157項)や,B(ε町)が撤退するに当たって,原告としては,B(ε町)に営業権があったというふうに考え,短期借入までして3400万円で営業譲渡を受けたこと(甲4,5,H証言67ないし75項,J証言41,42項,),(),平成12年度の第3回理事会においてBε町からの事業引継に関しE税理士が,B(ε町)は普通の場合は「のれん代」を請求するが,税金対策のため請求しない旨説明していること(甲5・4枚目)からもうかがわれること,さらには,平成11年6月1日に開催された平成11年度第1回理事会ないし第1回評議会に出席した理事及び評議員が原告自体の運営事業はAの建物だけの管理であると説明を受け,実質は,B(ε町)が- 24 -入浴施設及び食事部門等の収益事業については独立採算で自主運営をしているとの説明を受けた旨の「Mの運営についての意見書(甲14,こ」)れに沿う「理事会や評議員会で金の流れを変えることについての質問に対し,これは単なるトンネルです,金はすべてBへ返します,財団が,利益を得ることも赤字を被ることもありませんと説明した旨のJの供述J,」(証言68項)によっても裏付けられる。 ウ前記ア,イに判示したところに照らすと,確かに利用料金等のうち入浴,,,料金の決定などについては倉橋町の条例の制限を受けるもののこれは本件各施設が公の施設であることから受けるやむを得ないものと考えられる(地方自治法244条の2第5項参照)ことを考慮すれば,本件各施設における事業は,B(ε町)が独自の経営判断と計算において行っていたものと認めるのが相当である。 したがって,本件委託契約を契約の内容や本件事業運営の実態,経済的な財産の帰属等を総合して判断すると,私法上真に資産の譲渡等を行った の経営判断と計算において行っていたものと認めるのが相当である。 したがって,本件委託契約を契約の内容や本件事業運営の実態,経済的な財産の帰属等を総合して判断すると,私法上真に資産の譲渡等を行ったのはB(ε町)であることは明らかであるから,利用料金等はB(ε町)に帰属するものといわなければならない。 エこれに対し,被告は,種々の事実を摘示するなどして本件各施設における事業による利用料金等は原告に帰属するものであると主張する。 (ア)しかしながら,ランニングコスト等のみならず利用料金等の全部をいったん原告が受領するよう本件委託契約ないし申合せで定めたのであるから,B(ε町)の資金繰りにより(H証言25項,それらに従っ)た入金がされてなかった分(別紙中,平成11年5月26日ないし同年8月10日の入金額参照)については,B(ε町)から原告への利用料金等の振り込みが真に必要な実質的に意味のあるものであれば,時期が遅れようとも本件委託契約ないし申合せに従った入金の手続をとるなど何らかの措置を講じる必要があるものと考えられるが,そのような処理- 25 -はされていないことや,原告において前記のような利用料金等を振り込みランニングコスト等を控除して逆送金するといった複雑な金銭の流れの操作を行うことによる経済的な合理性は全く認められないことなどからすれば,経理上原告の収益として本件各施設における事業の売上げが計上されるようになった経緯について,地方自治法244条の2に違反するとの疑いを払拭させようとして,広島県の指導等があったために形式的にかかる金銭の流れの操作を行う方式を採用したなどとHが述べている内容は自然で十分了解可能である。そうすると,原告が本件各施設における事業の収入を原告の収支計算書に自らの収入として計上していること(乙11・7 の流れの操作を行う方式を採用したなどとHが述べている内容は自然で十分了解可能である。そうすると,原告が本件各施設における事業の収入を原告の収支計算書に自らの収入として計上していること(乙11・7枚目)やH総務課長の平成11年度第1回評議員会における発言(乙13の3枚目)等を直ちに本件各施設における事業の主体が原告であったとする根拠とすることはできない。 (イ)また,レストランが時間短縮して人件費の削減を図っている旨のJ常務理事の発言(乙12・3枚目)については,県からの指導を受け,,()県に報告する立場にある原告の常務理事という立場にあればBε町から報告を受けていれば知っていてしかるべき事柄であるといえる。そして,乙25,26にみられるように本件事業に関する電気代等の支出にN理事長やJ常務理事の決裁が必要であったことについては,確かに同人らに決裁権限があったことは認められるが,それらの支出は,本件委託契約ないし申合せの内容に盛り込まれている支出である上,使用した電気等の量に基づき客観的に定まることは明らかなことに照らすと,Jが,B(ε町)に金を払い戻すということは,既に理事会及び評議員会の了解事項であるから,拒否するということはあり得ない(J証言33,37,38項)と述べるとおり,同人らに実質的な決裁権限があったとみることはできないだけでなく,原告が設立されて以来平成13年に原告の事務局長が着任し同年3月29日にB(ε町)から営業譲渡を- 26 -受けるまでの間は,原告の運営を実際に担当するのは倉橋町担当者であって,原告には人的にも物的にも稼働実体がなかった(H証言9項。 )したがって,いずれも原告が本件各施設における事業を独自の経営判断と計算において行っていたことの根拠とはならない。 (ウ)そして,被告が主張するとおり も物的にも稼働実体がなかった(H証言9項。 )したがって,いずれも原告が本件各施設における事業を独自の経営判断と計算において行っていたことの根拠とはならない。 (ウ)そして,被告が主張するとおり,仮に万一本件委託契約が地方自治法に反し,不適法なものであると解する余地があるとしても,公序良俗に反するなどの特段の事情がない限り,それにより本件委託契約が直ちに私法上も無効になるとまではいえないのであるから,利用料金等の私法上の帰属がB(ε町)にあることを揺るがすものではないし,また,前記( )に判示したように,単なる名義人と法律上の真の資産の譲渡等 を行った者とがいるとみられる場合に,資産の譲渡等の帰属主体を判断するに当たっては,公法上の法律関係ではなく,その真の私法上の法律関係を明確にして,真の私法上の法律関係に従って課税すべきことを消費税法13条は要求していると解されるのであるから,この点に関する被告の主張は採用できない。なお,弁論の全趣旨によれば,利用料金等から必要経費などのランニングコスト等を控除した残額はB(ε町)の売上げとして計上され,B(ε町)により同残額につき法人税の申告と税金納付がなされていたことがうかがわれるところであって,このことも前記判断の正当性を裏付けるものと考えられる。 オしたがって,本件において資産の譲渡等を行ったのはB(ε町)であったのであるから,本件更正の請求は理由があるものと認められる。そうすると,被告が,原告からの本件更正の請求に対して,更正すべき理由がない旨の通知処分をしたのは違法であるから,その余の点を判断するまでもなく,本件通知処分は取消しを免れない。 結論 以上によれば,原告の請求は理由があるから,主文のとおり判決する。 - 27 -広島地方裁判所民事第1部裁判長裁判官 点を判断するまでもなく,本件通知処分は取消しを免れない。 結論 以上によれば,原告の請求は理由があるから,主文のとおり判決する。 主文 理由 事実 争点 判断 広島地方裁判所民事第1部裁判長裁判官坂本倫城裁判官榎本光宏裁判官赤松亨太

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る