令和6(わ)517 電子計算機使用詐欺、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反、特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律違反被告事件

裁判年月日・裁判所
令和6年10月11日 札幌地方裁判所
ファイル
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判決文本文3,442 文字)

- 1 -被告人両名に対する電子計算機使用詐欺、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下、「組織犯罪処罰法」という。)違反、特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律(以下、「チケット不正転売禁止法」という。)違反被告事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。 主文 被告人Aを懲役2年6月及び罰金50万円に処する。 被告人Aにおいてその罰金を完納することができないときは、5000円を1日に換算した期間、被告人Aを労役場に留置する。 被告人Aに対し、この裁判が確定した日から3年間その懲役刑の執行を猶予する。 被告人Bを懲役2年及び罰金50万円に処する。 被告人Bにおいてその罰金を完納することができないときは、5000円を1日に換算した期間、被告人Bを労役場に留置する。 被告人Bに対し、この裁判が確定した日から3年間その懲役刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)当裁判所の認定した罪となるべき事実は、令和6年7月9日付け起訴状に記載された公訴事実と同一であるから、これを引用する(起訴状は省略)。以下、公訴事実を次のとおりとする。 ・前記起訴状記載の公訴事実第1:第1の事実・同公訴事実第2:第2の事実・同公訴事実第3:第3の事実・同公訴事実第4:第4の事実(証拠の標目)省略 - 2 -(被告人Aに関する法令の適用)1(1) 判示第1にかかる被告人Aの所為は包括して刑法246条の2に該当する。 (2) 判示第3にかかる被告人Aの所為は包括して刑法60条、組織犯罪処罰法11条本文に該当する。 (3) 判示第4にかかる被告人Aの所為は刑法60条、チケット不正転売禁止法9 2に該当する。 (2) 判示第3にかかる被告人Aの所為は包括して刑法60条、組織犯罪処罰法11条本文に該当する。 (3) 判示第4にかかる被告人Aの所為は刑法60条、チケット不正転売禁止法9条1項、3条に該当する。 なお、被告人Aの弁護人は、チケット不正転売禁止法3条にいう不正転売に当たる事案では、転売にかかるチケットの大半が犯罪収益等に該当する違法性を帯びたチケットなので、チケットの入手から転売までの一連の流れがチケット不正転売禁止法3条で評価され尽くしているから、本件のようにチケット不正転売禁止法3条が適用される事案では、組織犯罪処罰法11条は適用されないと解釈すべきであると主張する。 しかし、チケット不正転売禁止法3条にいう不正転売にかかるチケットは、必ずしも詐欺等の犯罪行為により得られた犯罪収益等に限らず、正当に入手したものも含まれるのであって、チケット不正転売禁止法3条がチケットの入手過程を含めて処罰する趣旨とは認められないので、弁護人の主張は採用できない。 2 判示第3の罪については懲役刑を、判示第4の罪については懲役刑及び罰金刑を選択する。 3 判示第1、第3及び第4の各罪は刑法45条前段の併合罪であるから、刑法47条本文、10条により最も重い判示第1の罪の懲役刑に法定の加重をし、刑法48条1項により判示第4の罪の罰金刑を併科する。 4 以上の刑期及び所定金額の範囲内で、被告人Aを懲役2年6月及び罰金50万円に処する。 5 被告人Aにおいてその罰金を完納することができないときは、刑法18条により、5000円を1日に換算した期間、被告人Aを労役場に留置する。 - 3 - 6 被告人Aに対し、情状により刑法25条1項を適用して、この裁判が確定した日から3年間、その懲役刑の執行を猶予する。 (被告 1日に換算した期間、被告人Aを労役場に留置する。 - 3 - 6 被告人Aに対し、情状により刑法25条1項を適用して、この裁判が確定した日から3年間、その懲役刑の執行を猶予する。 (被告人Bに関する法令の適用)1(1) 判示第2にかかる被告人Bの所為は刑法246条の2に該当する。 (2) 判示第3にかかる被告人Bの所為は包括して刑法60条、組織犯罪処罰法11条本文に該当する。 (3) 判示第4にかかる被告人Bの所為は刑法60条、チケット不正転売禁止法9条1項、3条に該当する。 2 判示第3の罪については懲役刑を、判示第4の罪については懲役刑及び罰金刑を選択する。 3 判示第2、第3及び第4の各罪は刑法45条前段の併合罪であるから、刑法47条本文、10条により最も重い判示第2の罪の懲役刑に法定の加重をし、刑法48条1項により判示第4の罪の罰金刑を併科する。 4 以上の刑期及び所定金額の範囲内で、被告人Bを懲役2年及び罰金50万円に処する。 5 被告人Bにおいてその罰金を完納することができないときは、刑法18条により、5000円を1日に換算した期間、被告人Bを労役場に留置する。 6 被告人Bに対し、情状により刑法25条1項を適用して、この裁判が確定した日から3年間、その懲役刑の執行を猶予する。 (量刑の理由) 1 本件は、被告人らが人気アイドルグループのコンサートにかかるチケットを不正な方法で入手し、販売価格を超える価格で不正に転売した事案である。 すなわち、判示第1及び第2(電子計算機使用詐欺)は、被告人A及び被告人Bが、それぞれ単独で、架空人名義を用いて電子チケットを不正に入手したもので、判示第1で被告人Aが得た電子チケットは6枚分(約5万2000円相当)、判示第2で被告人Bが得た電子チケットは2枚分(約 Bが、それぞれ単独で、架空人名義を用いて電子チケットを不正に入手したもので、判示第1で被告人Aが得た電子チケットは6枚分(約5万2000円相当)、判示第2で被告人Bが得た電子チケットは2枚分(約1万7000円相当)であ - 4 -る。 判示第3(犯罪収益等収受)は、被告人両名が共謀の上、いわゆる転売ヤーが不正に入手した電子チケットにかかるパスワード等を収受したもので、収受にかかる電子チケットは6枚分(約5万2000円相当)にあたる。 判示第4(特定興行入場券の不正転売)は、被告人両名が共謀の上、業として電子チケットを不正に転売したもので、5回にわたり9枚分(合計8万円弱相当)の電子チケットを合計23万円超で転売している。 2 人気アイドルグループのコンサートは常に応募多数で抽選となるため、チケットの入手が非常に困難である。そこで、被告人両名は、架空人の名義等を用いるなどしてファンクラブに多数のアカウントを登録し、抽選に当たる確率を高めてチケットを入手するようになり、このようにして多く入手したチケットを通常の販売価格より高い値段で転売するようになった。また、転売するチケットを増やすため、より手広く不正入手を行っている転売ヤーからチケットを購入することもあった。本件各犯行は、被告人らがこのような活動をする中でなされた常習的犯行の一環である。そもそもファンクラブの規約上は、一人につき一つのアカウントしか登録できないのであるから、本件は、規約を遵守する者がチケットに当選する確率を著しく減少させる悪質な犯行であり、犯情は芳しくない。 3 他方、被告人らが不正転売で得た利益は、もっぱら被告人らがコンサートの良い席を購入するのに充てられており、中には50万円もの代金を支払ったこともあるというのであるから、被告人らもアイドルグル 3 他方、被告人らが不正転売で得た利益は、もっぱら被告人らがコンサートの良い席を購入するのに充てられており、中には50万円もの代金を支払ったこともあるというのであるから、被告人らもアイドルグループのコンサートチケットを巡る仕組みに翻弄された面があることは否定できない。 また、被告人らはいずれも公判廷で素直に事実を認めているほか、アイドルの応援活動はやめると述べるなど反省の言葉を述べている。加えて、いずれも父が被告人らのために出廷してくれていることや、被告人両名とも前科前歴がないことも考慮すると、業として行った不正転売に見合う罰金刑は併科するものの、懲役刑についてはいずれもその執行を猶予するのが相当と思料するので、主文のと - 5 -おり刑を量定した。 (求刑-被告人Aにつき懲役2年6月及び罰金50万円被告人Bにつき懲役2年及び罰金50万円)令和6年10月11日札幌地方裁判所刑事第2部裁判官井戸俊一

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