平成22(行ウ)295 建築確認処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成23年11月11日 東京地方裁判所 警察関係
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判決文本文36,338 文字)

- 1 - 主文 1 本件各訴えのうち,被告が株式会社P1,P2株式会社,株式会社P3,P4株式会社及び株式会社P5に対してした平成21年3月3日付け建築確認処分(第○建確○号)の取消しを求める部分を,いずれも却下する。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求被告が株式会社P1,P2株式会社,株式会社P3,P4株式会社及び株式会社P5(上記5社を併せて,以下「P1ほか4社」という。)に対してした,①平成21年1月15日付け建築確認処分(第○建確○号。以下「本件確認処分1」という。)及び②同年3月3日付け建築確認処分(第○建確○号。以下「本件確認処分2」といい,本件確認処分1と併せて「本件各確認処分」という。)をいずれも取り消す。 第2 事案の概要等 1 事案の要旨本件は,建築基準法(以下「法」という。)77条の21第1項の指定確認検査機関(以下「指定確認検査機関」という。)である被告が,P1ほか4社に対し,平成21年1月15日付けで別紙1「建築物目録」記載1の建築物(以下「本件西棟」という。)の計画についてした法6条の2第1項に基づく確認の処分(本件確認処分1)及び同年3月3日付けで同目録記載2の建築物(以下「本件東棟」といい,本件西棟と併せて「本件マンション」ともいう。)の計画についてした同項に基づく確認の処分(本件確認処分2)につき,本件マンションの敷地である神奈川県平塚市α×-2の土地(以下,この土地を「本件敷地」といい,そのうち本件東棟の敷地部分を「本件東棟敷地」と, - 2 -本件西棟の敷地部分を「本件西棟敷地」と,それぞれいう。)の近隣の土地に所在する建築物に居住する原告らが,①本件西棟及び本件東棟は い,そのうち本件東棟の敷地部分を「本件東棟敷地」と, - 2 -本件西棟の敷地部分を「本件西棟敷地」と,それぞれいう。)の近隣の土地に所在する建築物に居住する原告らが,①本件西棟及び本件東棟は,いずれも複数の建築物と評価すべきものであり,本件西棟及び本件東棟がそれぞれ「一の建築物」であることを前提としてされた本件各確認処分には,「一建物一敷地の原則」(建築基準法施行令〔以下「施行令」という。〕1条1号参照)に違反する違法がある,②本件西棟については,平塚市長がした都市計画法29条に基づく開発行為の許可及び平塚市建築基準条例(以下「建築基準条例」という。)26条1項2号の規定により安全上,防火上及び避難上支障がないと認める処分(以下「安全認定」という。)が違法なものであり,その違法が本件確認処分1に承継されるなどと主張して,本件各確認処分の取消しを求める事案である(なお,本件における原告らの主張,立証の内容等に照らすと,原告らは,後記3(3)オの変更の届出後の本件各確認処分の取消しを求めているものと解される。)。 2 関係法令等の定め別紙2「関係法令等の定め」に記載したとおりである(なお,同別紙で定める略称等は,以下においても用いることとする。)。 3 前提事実(証拠等の掲記のない事実は,当事者間に争いがないか,当事者において争うことを明らかにしない事実である。)(1) 当事者等ア原告P6は,別紙3「物件目録」記載1の土地に所在する建築物に,原告P7は,同目録記載2の土地に所在する建築物に,原告P8は,同目録記載3の土地に所在する建築物に,原告P9は,同目録記載4の土地に所在する建築物に,原告P10は,同目録記載5の土地に所在する建築物に,原告P11は,同目録記載6の土地に所在する建築物に,原告P12は, の土地に所在する建築物に,原告P9は,同目録記載4の土地に所在する建築物に,原告P10は,同目録記載5の土地に所在する建築物に,原告P11は,同目録記載6の土地に所在する建築物に,原告P12は,同目録記載7の土地に所在する建築物に,原告P13は,同目録記載8の土地に所在する建築物に,それぞれ居住している者である(甲5,12, - 3 -14,弁論の全趣旨。以下,同目録記載の土地を総称して「原告ら土地」といい,個々の土地を「原告土地1」のようにいう。)。 なお,本件東棟敷地の隣地境界線(本判決においては,本件西棟敷地との事実上の境界線を含む意味で用いる。また,本件西側敷地についても同様である。)と個々の原告ら土地との間の水平距離は,原告土地1が35m,原告土地2が80m,原告土地3が65m,原告土地4が35m,原告土地5が70m,原告土地6が6m,原告土地7が115m,原告土地8が40mである(甲12,14)。 イ被告は,指定確認検査機関である。 (2) 本件マンションの概要等ア本件東棟(別紙1「建築物目録」記載2の建築物)は,いずれも地上5階建ての住宅棟であるA棟,B棟,C棟,D棟及びE棟の5棟(それらがそれぞれ建築物に当たるのか,本件東棟の建築物の部分に当たるのかについては,争いがある。)が,本件敷地の東側部分である本件東棟敷地に別紙4「造成計画平面図」記載のとおり配置されるなどしたものであり,A棟とB棟,A棟とC棟,B棟とD棟,B棟とE棟のそれぞれが,各階において渡り廊下(屋外開放廊下)によって連結され,これらの各棟は,エキスパンションジョイントで接している(甲4,6,乙3,12~19,弁論の全趣旨)。 イ本件西棟(別紙1「建築物目録」記載1の建築物)は,いずれも地上5階建ての住宅棟であ れらの各棟は,エキスパンションジョイントで接している(甲4,6,乙3,12~19,弁論の全趣旨)。 イ本件西棟(別紙1「建築物目録」記載1の建築物)は,いずれも地上5階建ての住宅棟であるF棟,G棟,H棟及びI棟の4棟(それらがそれぞれ建築物に当たるのか,本件東棟の建築物の部分に当たるのかについては,争いがある。)が,本件敷地の西側部分である本件西棟敷地に別紙4「造成計画平面図」記載のとおり配置されるなどしたものであり,F棟とI棟,G棟とI棟,H棟とI棟のそれぞれが,各階において渡り廊下(屋外開放廊下)によって連結され,これらの各棟は,エキスパンションジョイント - 4 -で接している(甲4,6,乙4,25~32,弁論の全趣旨)。 ウエキスパンションジョイントとは,温度変化による伸縮,地震時の振動性状の違いなどによる影響を避けるために,建築物をいくつかのブロックに分割して設ける相対変位に追随可能な接合部の手法及び工法をいい,エキスパンションジョイント部に設けた隙間及び空間であるクリアランスとクリアランスを覆い,遮断された建築物に使用上支障を及ぼさない機能を有する仕上材であるエキスパンションジョイントカバーによって構成される(甲20,乙39)。 (3) 本件各確認処分の経緯等ア平塚市長は,平成20年10月23日,本件敷地につき都市計画法29条1項に規定する許可(平塚市指令(開)第○号。以下「本件開発許可」という。)をした(甲1,2)。 イ P1ほか4社は,被告に対し,①平成20年11月21日,本件西棟の計画につき,②同年12月9日,本件東棟の計画につき,それぞれ法6条の2第1項に規定による確認の申請をした(乙12,25)。 ウ平塚市長は,平成21年1月15日,本件西棟に係る安全認定(平塚市( つき,②同年12月9日,本件東棟の計画につき,それぞれ法6条の2第1項に規定による確認の申請をした(乙12,25)。 ウ平塚市長は,平成21年1月15日,本件西棟に係る安全認定(平塚市(建指)第○号。以下「本件安全認定」という。)をした(甲1)。 エ被告は,P1ほか4社に対し,①平成21年1月15日,本件西棟の計画についての本件確認処分1を,②同年3月3日,本件東棟の計画についての本件確認処分2を,それぞれした。 オ本件各確認処分については,平成22年3月31日,建築主等をP2株式会社,株式会社P3及び株式会社P5(上記3社を併せて,以下「P2ほか2社」という。)に変更する旨の届出がされた(甲1,2)。 (4) 審査請求及び本件各訴えの提起ア原告らを含む9名は,平塚市建築審査会に対し,法94条1項に基づき,①平成21年3月12日,本件確認処分1の取消しを求める審査請求(以 - 5 -下「本件審査請求1」という。)を,②同年4月7 日,本件確認処分2の取消しを求める審査請求(以下「本件審査請求2」という。)を,それぞれした(甲3,4)。 イ平塚市建築審査会は,平成21年12月22日,①本件審査請求1については,原告P7以外の原告らを含む8名の審査請求を審査請求人適格を欠くものとして却下し,原告P7の審査請求を棄却する旨の裁決を,②本件審査請求2については,原告P7,原告P8,原告P10及び原告P12の審査請求を審査請求人適格を欠くものとして却下し,その余の原告らを含む5名の審査請求を棄却する旨の裁決を,それぞれした(甲3,4)。 ウ原告らは,平成22年6月3日,本件各訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。 (5) 本件東棟についての検査済証の交付本件東棟については, ,それぞれした(甲3,4)。 ウ原告らは,平成22年6月3日,本件各訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。 (5) 本件東棟についての検査済証の交付本件東棟については,法7条の2による検査がされた平成23年3月1日までに建築等の工事が完了し,被告は,P2ほか2社に対し,同月11日付けで検査済証(第○建完○号)を交付した(乙38,41,弁論の全趣旨)。 4 争点(本案前の争点)(1) 原告らが本件各訴えの原告適格を有するか否か(争点1)(2) 本件各訴えにつき審査請求の前置がされているか否か(争点2)(3) 本件各訴えのうち本件確認処分2の取消しを求める部分に訴えの利益があるか否か(争点3)(本案の争点)(4) 本件各確認処分につき「一敷地一建物の原則」(施行令1条1号参照)に違反する違法があるか否か(争点4)(5) 本件西棟につき平塚市長がした都市計画法29条に基づく開発行為の許可及び安全認定が違法なものであり,その違法が本件確認処分1に承継される - 6 -か否か(争点5) 5 争点に関する当事者の主張の要点(1) 原告らが本件各訴えの原告適格を有するか否か(争点1)についてア原告らの主張の要点(ア)a 法の目的や,法及び建築基準条例の定める規制内容からすると,法6条1項及び6条の2第1項は,建築密度,建築物の規模等を規制することにより,当該建築物及びその周辺の建築物における日照,通風,採光等を良好に保つなどの快適な居住環境(住環境)を確保するとともに,地震や火災により当該建築物が倒壊し又は炎上するなど万が一の事態が生じた場合に,その周辺の建築物や居住者に重大な被害が及ぶことのないようにするためにあるものである。 b また,法6条1項にいう建築基準 や火災により当該建築物が倒壊し又は炎上するなど万が一の事態が生じた場合に,その周辺の建築物や居住者に重大な被害が及ぶことのないようにするためにあるものである。 b また,法6条1項にいう建築基準関係規定には,開発行為の許可について規定する都市計画法29条1項も含まれているところ(施行令9条12号),建築基準法施行規則(以下「施行規則」という。)は,建築物の建築計画が開発行為を伴うものでないことや,開発行為を伴うものである場合にはこれにつき開発許可を受けていることを,当該建築計画に係る工事に着手する前に建築主事に確認させることにより(同規則1条の3第1項1号ロの表2(77),都市計画法施行規則60条参照),開発許可制度による規制によって保護しようとしている利益の確実な保護を図り,このことを通して,法1条に規定する目的の実現を確保しようとしている。 c そして,平塚市まちづくり条例(甲11。以下「まちづくり条例」という。)は,①防災上の観点から,道路の整備や消防水利の設置基準,住環境の観点から緑化基準といった開発許可の基準を定めており(同条例第5章第4節),前記bに掲げた諸規定と同様に,法1条に規定する目的の実現を図ったものであるところ,②事業者に「近隣住 - 7 -民等」(同条例2条1項6号及び7号,28条2項)への説明会を開催することを義務付け,「近隣住民等」には意見書の提出を認める(同条例28条以下)など,「近隣住民等」に特別な地位を与え,他の市民とは区別する形で,防災上の安全性や住環境につき,単なる公益を超えて,「近隣住民等」の個別的利益として保護する趣旨であることは明らかである。 (イ)a 建築基準関係規定である建築基準法,消防法及び建築基準条例の諸規定は,災害時,火災時ないし建物の倒壊時における,建築確認 の個別的利益として保護する趣旨であることは明らかである。 (イ)a 建築基準関係規定である建築基準法,消防法及び建築基準条例の諸規定は,災害時,火災時ないし建物の倒壊時における,建築確認の対象となった建築物に居住する者の生命,身体及び財産を保護するのみならず,当該建築物の近隣の住民の生命,身体及び財産を個別的に保護しているものである。したがって,このような観点から,本件マンションの近隣住民である原告らには,いずれも原告適格が認められることが明らかである。 少なくとも,建築物の高さの2倍以内に居住する者については,当該建築物の倒壊に伴い,建築物の破片等が飛散することが極めて高い蓋然性で予測されるから,本件西棟の高さの2倍以内の距離に居住する原告P7については本件確認処分1に係る訴えにつき,本件東棟の高さの2倍以内の距離に居住する原告P11については本件確認処分2に係る訴えにつき,原告適格があることは明らかである。 b 前記(ア)aのとおり,法が建築物の周辺住民の快適な居住環境(住環境)を保護しているというべきところ,①本件マンションの周辺は低層の住宅地であり,その中に高層の本件マンションが建築されることで風害が生ずるのは経験則上明らかであり,②また,環境アセスメントの結果として,本件マンションの建設により1度から2度の気温上昇が見込まれており(甲9),③多数の自動車が狭い路にあふれることによる交通上の障害も高い蓋然性をもって予想できる。原告らは, - 8 -本件各確認処分により,法で個別に保護された住環境を侵害されるから,原告らに原告適格があることは明らかである。 c 法が周辺住民の日照を個別的利益として保護していることは明らかというべきところ(法56条の2参照),冬至の真太陽時において, されるから,原告らに原告適格があることは明らかである。 c 法が周辺住民の日照を個別的利益として保護していることは明らかというべきところ(法56条の2参照),冬至の真太陽時において,本件西棟については,原告P7が午前8時から午前9時過ぎにかけて,原告P11が午後4時前に,それぞれ日影に入り(甲10),本件東棟については,原告P11が午後1時以降,原告P6,原告P13及び原告P8がいずれも午後3時半頃から4時にかけて,それぞれ日影に入る(甲12,13,14)。したがって,少なくとも,日照侵害の観点から,①本件確認処分1の取消しの訴えについては,原告P7及び原告P11に原告適格があり,②本件確認処分2の取消しの訴えについては,原告P11,原告P6,原告P13及び原告P8に原告適格があることは明らかである。 d ①本件西棟との関係では,原告P7は,まちづくり条例にいう近隣住民(同条例2条6号)に当たり(甲10),他の原告らも,「開発事業に伴う工事車両の進入その他の理由により生活環境等に著しい影響がある」者(平塚市まちづくり条例施行規則〔以下「まちづくり条例施行規則」という。〕6条1号オ参照)であるという点で,同条例にいう周辺住民と同様の立場にあるというべきである。②また,本件東棟との関係では,原告P11は,同条例にいう「近隣住民」に,原告P9,原告P6及び原告P13は,同条例にいう「周辺住民」に,それぞれ当たり,他の原告らも,「開発事業に伴う工事車両の進入その他の理由により生活環境等に著しい影響がある」者(同施行規則6条1号オ参照)であるという点で,同条例にいう周辺住民と同様の立場にあるというべきである。したがって,原告らには,本件各訴えの原告適格が認められるべきである。 - 9 -(ウ) なお,本 号オ参照)であるという点で,同条例にいう周辺住民と同様の立場にあるというべきである。したがって,原告らには,本件各訴えの原告適格が認められるべきである。 - 9 -(ウ) なお,本件西棟及び本件東棟の距離は2mも離れておらず,敷地としても元々は1筆の土地を人為的・作為的に分筆したものであり,建築計画としても,本件西棟及び本件東棟には,メインエントランスが1つ,自動車駐車場の出入口も1つが設置されるのみであるなど(甲5),両者は一連一体のものとして計画されていることが明らかである。また,上記のような両者の距離等からすれば,一方に火災が発生すれば他方に類焼するおそれがあることは明らかであり,一方が倒壊すれば他方が倒壊する可能性も否定できない。さらに,本件西棟及び本件東棟については,両者を一体のものとして都市計画法29条1項の開発許可がされており,まちづくり条例においても,開発許可に応じて「近隣住民」,「周辺住民」及び「近隣住民等」の範囲が決められている(同条例2条1項6号,7号,28条)。以上からすれば,本件西棟及び本件東棟は,原告適格の点では,一体となった建築計画であると考えるべきである。 イ被告の主張の要点原告らは,本件敷地に隣接ないし近接した場所に居住しており,災害時の危険性があるのみならず,著しい住環境の悪化という被害を受けると抽象的に主張するのみで,本件マンションにより,災害時に自らがどのような危険を被るのか,また,自らの住環境がどのように悪化するのかなど具体的な侵害内容を主張していない。本件各確認処分の違法により,原告らの権利ないし利益が具体的に侵害され又は侵害されるおそれがあるのでなければ,本件各訴えにつき原告適格は認められない。 (2) 本件各訴えにつき審査請求の前置がされているか否 分の違法により,原告らの権利ないし利益が具体的に侵害され又は侵害されるおそれがあるのでなければ,本件各訴えにつき原告適格は認められない。 (2) 本件各訴えにつき審査請求の前置がされているか否か(争点2)についてア原告らの主張の要点審査請求が本来適法であるにもかかわらず,裁決行政庁が誤って却下裁決をした場合には,審査請求前置の要件を具備したものとして取り扱われる(最高裁昭和34年(オ)第973号同36年7月21日第二小法廷判 - 10 -決・民集15巻7号1966頁参照)。 前記(1)アにおいて述べたところからすれば,原告P7以外の原告らについても本件審査請求1に係る審査請求人適格が,原告P7,原告P8,原告P10及び原告P12についても本件審査請求2に係る審査請求人適格が,それぞれ認められるべきであったというべきである。したがって,これらの審査請求についての裁決のうち上記の原告らに関する部分は,審査請求人適格についての判断を誤ったものであるから,上記の原告らに係る本件各訴えについても,審査請求前置の要件は満たされている。 イ被告の主張の要点指定確認検査機関の処分の取消しの訴えについては,審査前置が求められているところ(法94条1項,96条),前記3(4)イのとおり,原告P7以外の原告らによる本件審査請求1並びに原告P7,原告P8,原告P10及び原告P12による本件審査請求2は,いずれも審査請求人適格を欠く不適法なものとして却下されている。したがって,①原告P7以外の原告らによる本件確認処分1の取消しの訴え並びに②原告P7,原告P8,原告P10及び原告P12による本件確認処分2の取消しの訴えは,いずれも審査請求前置の要件を欠き,不適法であるというべきである。 (3) 本件各訴えのうち本件確認処分 並びに②原告P7,原告P8,原告P10及び原告P12による本件確認処分2の取消しの訴えは,いずれも審査請求前置の要件を欠き,不適法であるというべきである。 (3) 本件各訴えのうち本件確認処分2の取消しを求める部分に訴えの利益があるか否か(争点3)について(被告の主張の要点)前記3(5)のとおり,本件東棟については,工事が完了して建物が完成し,法7条の2第5項の規定による検査済証が交付されたから,本件確認処分2の取消しを求める訴えについては,訴えの利益が失われたものというべきである。 (4) 本件各確認処分につき「一敷地一建物の原則」(施行令1条1号参照)に違反する違法があるか否か(争点4)について - 11 -ア原告らの主張の要点(ア) 施行令1条1号は,1つの敷地に建築することができるのは,原則として「一の建築物」であるとし(一敷地一建物の原則),例外として用途上不可分の関係にある「二以上の建築物」を1つの敷地に建築ができるものとしている。一敷地一建物の原則が緩和されると,敷地を基本とする集団規定の内容もこれに応じて緩和されることになるため,建築物の利用者ないし周辺住民にとっては,住環境や,災害時の生命及び身体の安全性のマイナスが大きくなること,法が,一敷地一建物の原則の例外として,一団地建築物設計制度(法86条1項)及び連坦建築物設計制度(同条2項)を特に設けていることなどに照らすと,一敷地一建物の原則につき容易に例外を拡大すべきではない。 そして,ある建築物が「一の建築物」といえるか否かは,まずは周辺住民を含めた「国民の生命,健康及び財産の保護を図り,もって公共の福祉の増進に資すること」という法の目的(法1条)に沿うことが大前提であり(また,このような法の目的及び法が定める集団規制の ずは周辺住民を含めた「国民の生命,健康及び財産の保護を図り,もって公共の福祉の増進に資すること」という法の目的(法1条)に沿うことが大前提であり(また,このような法の目的及び法が定める集団規制の趣旨に照らせば,「一の建築物」の判断において,周辺環境に与える影響というファクターも考慮されてしかるべきである。),その上で,構造上,機能上及び外観上の一体性並びに用途上の不可分性について,法の趣旨を踏まえて検討すべきである。 (イ) 以下のとおり,本件マンションは,「国民の生命,健康及び財産の保護」という法の大前提に反するものであることが明らかである。 a 本件東棟はA,B,C,D及びE棟の5棟で,西棟はF,G,H及びI棟の4棟で,それぞれ構成され,棟間をエキスパンションジョイントと渡り廊下で結んでいるところ,A棟には避難階段もエレベーターもなく,B棟及びI棟には避難階段がなく,D,E,F,G及びH棟にはエレベーターがない建築計画となっている。地震災害時に,エ - 12 -レベーターが停止することは明らかであり,また,渡り廊下が崩落する蓋然性も高いから,A棟及びB棟(本件東棟)並びにI棟(本件西棟)の居住者の避難方法は,バルコニーに設置されている緊急用のタラップのみとなるところ,高齢者,子供及び身体障害者においては,上記タラップによる避難は困難である(甲17)。このように,本件東棟及び本件西棟については,それぞれ「一の建築物」と見せかける目的で意図的に避難階段を削減して居住者が渡り廊下で日常通行するような不自然な建築計画とした結果,人命に対する危険を有する致命的な欠陥を包含するものとなっている。 b 外部の道路に面していないC棟及びD棟(本件東棟)並びにF棟及びG棟(本件西棟)から火災が発生した場合, とした結果,人命に対する危険を有する致命的な欠陥を包含するものとなっている。 b 外部の道路に面していないC棟及びD棟(本件東棟)並びにF棟及びG棟(本件西棟)から火災が発生した場合,敷地内への自動車の入口は本件東棟A棟側の1か所(幅4.5m,高さ2.70m)だけであることから,消防車やはしご車が敷地内に入って消火・救急活動をすることができず,「はしご付き消防自動車による消防活動が容易にできる場所を設けること」と定めるまちづくり条例施行規則48条2項に違反している上,本件マンションに接する道路の幅員が6.0mであることから,これらの道路に面する棟についても,10m以上の作業半径を必要とするはしご車の利用は制限される。本件東棟及び本件西棟は,「一の建築物」であると見せかけるために各棟を無理に連結した結果,火災の際の緊急車両の進入経路が確保されなくなり,前記のような法の大前提に反するものとなっている。 c ①本件マンションの2階から4階までの住民は,最終的には,本件東棟においてはB棟1階のエントランスを,本件西棟においてはI棟1階のエントランスを,それぞれ通じて外部に出る必要があり,これらのエントランス付近で火災が発生しただけで逃げ道が実質的にはなくなること,②前記bで述べたとおり,バルコニーからは実質的に避 - 13 -難はできないというべきである上,本件マンションの構造からすれば,バルコニーに設置されている緊急用のタラップ(避難バルコニー,避難はしご)は,住民の避難のみならず,消火・救護活動のために消防が用いることも想定されており,避難バルコニーが各戸に設置されているわけでもないことからすれば,本件マンションは,「二方向避難」が確保されておらず,施行令121条に違反している。本件東棟及び本件西棟は,機 ことも想定されており,避難バルコニーが各戸に設置されているわけでもないことからすれば,本件マンションは,「二方向避難」が確保されておらず,施行令121条に違反している。本件東棟及び本件西棟は,機能上「一の建築物」であると見せかけるために避難階段を無理に削った結果,避難経路が確保されなくなり,前記のような法の大前提に反するものとなっている。 d まちづくり条例には,集会所の面積を200㎡とするとの規定があるが,本件東棟(総住戸数202戸)の集会所は,電気室,倉庫を入れても82.5㎡であり,西棟(総住戸数155戸)においては,ロビーを含めてもこれと同程度しかなく,集会所としての有効面積は40㎡ほどにすぎない。本件東棟及び本件西棟は,経済効率を重視した結果,災害時に緊急対応活動の拠点となる集会所につき十分な大きさが確保されておらず,前記のような法の大前提に反するものとなっている。 e 本件マンションへの自動車の出入口は,本件東棟北側の1か所のみであり,350台を超える敷地内駐車場の自動車がそこに集中する。 上記出入口から最も遠い駐車場の車については,幅員約5.5m~5. 9mの敷地内通路を約150m運転しなければならないところ,行き止まりの道路につき,避難及び通行の安全上支障がないと判断するため(施行令144条の4第1項1号ホ参照)には,35mごとに小型4輪自動車が2台以上停車できる展開広場を設けることが義務付けられている(法42条1項5号,施行令144条の4第1項1号ハ,昭和45年建告第1837号。本件で問題となるのは敷地内通路である - 14 -が,避難及び通行の安全性という点では,道路と違いはない。)。また,上記出入口は,幅員6mほどの前面道路に通じており,本件マンション建築計画は,地域環境上の安全性にも 内通路である - 14 -が,避難及び通行の安全性という点では,道路と違いはない。)。また,上記出入口は,幅員6mほどの前面道路に通じており,本件マンション建築計画は,地域環境上の安全性にも配慮していない(なお,まちづくり条例施行規則54条は,計画戸数が300戸以上の開発事業につき,自動車駐車場からの自動車の出入口を2か所以上設けるものとしている。)。本件東棟及び本件西棟は,「一の建築物」と見せかけるために駐車場出入口を1か所とした結果,交通上の安全が図れなくなり,居住者の生命,健康及び安全の保護という法の大前提に反するものとなっている。 f 本件東棟のC棟,D棟及びE棟並びに本件西棟のF棟,G棟及びH棟には,主要な出口であるというべき階段(屋外階段)が各1か所ずつ設置されているが,これらの階段は道路に面しておらず,4m以上の敷地内通路が確保されているものでもないから,本件東棟及び本件西棟は,いずれも,建築基準条例26条1項に違反しているものというべきである(なお,被告は,これらの階段は屋内階段であり,屋内階段には同項の適用はない旨主張するが,建物からの出口が同条例26条1項にいう主要な出口に該当するか否かの判断においては,当該出口が屋内階段からのものか屋外階段からのものかは関係がない。)。 仮に,屋内階段には同項の適用がないとしても,A棟及びB棟(本件東棟)並びにI棟(本件西棟)には避難階段がなく,大勢の避難者がC棟からH棟までの階段に集中し,かつ,どの避難階段からも50mほど歩かないと道路に避難できないという建築物は,前記のような法の大前提に反するものというべきである。 (ウ) ある建築物が「一の建築物」に該当するか否かについては,社会通念から見た判断と,構造上,機能上及び外観上の一体性の観点から総合的に見 前記のような法の大前提に反するものというべきである。 (ウ) ある建築物が「一の建築物」に該当するか否かについては,社会通念から見た判断と,構造上,機能上及び外観上の一体性の観点から総合的に見た判断とがあるところ,後者については,実質的な危険性の有無も - 15 -考慮した上で判断されるべきである。以下のとおり,本件東棟及び本件西棟については,これらのいずれの観点から見ても,「一の建築物」であるとはいえない。 a 社会通念上「一の建築物」とはいえないこと本件東棟は実質的には5つの建物が,本件西棟は実質的には4つの建物が,それぞれ複雑に渡り廊下で連結され,それぞれ1つと数えられているところ,社会通念上は,建物同士の離れがわずかで,かつ,同じ方向を向いて並んでいるC棟とF棟,G棟とD棟及びH棟とE棟については,それぞれ1つの建築物を見る余地はあるが,建物同士の離れがこれらのおよそ2倍で,かつ,向きも異なる他の建物(本件東棟につき,A棟とC棟,B棟とD棟及びB棟とE棟。本件西棟につきI棟とF棟,I棟とG棟及びI棟とH棟)については,1つの建築物とは社会通念上考えることができない。社会通念上「一の建築物」であるか否かの判断に当たっては,当該建築物が周辺環境に与える影響も考慮すべきものというべきところ,前記(ア)で述べたとおり,周辺の住環境を著しく悪化させること自体,本件東棟及び本件西棟をぞれぞれ「一の建築物」であると見ることが常識的ではないことを示している。 b 構造上の一体性の欠如本件東棟,本件西棟とも,各住宅棟は,各階において相互にエキスパンションジョイント及び渡り廊下により接続されているところ,施行令81条4項によれば,エキスパンションジョイントで接続された建築物の場合,その構造上の安全性に 各住宅棟は,各階において相互にエキスパンションジョイント及び渡り廊下により接続されているところ,施行令81条4項によれば,エキスパンションジョイントで接続された建築物の場合,その構造上の安全性については,各々の構造物ごとに構造計算が必要とされている。構造上の一体性は,一体となった建築物全体で構造上の安全性が保持されているかという観点から検討されるべきであるから,本件東棟及び本件西棟のように,各棟ごとに構造 - 16 -計算を別にし,全体としては各棟ごとに構造上の安全性が検討されるにとどまる場合は,建築物全体としては構造上の一体性は欠如しているといわざるを得ない。 c 機能上の一体性の欠如(a) 本件マンションにおいては,あらゆる建築設備が全戸を対象としたものとはいえず,各所に分散配置されていることから,機能上の一体性がないことは明らかである。例えば,エレベーターについては,本件東棟においてB棟及びC棟に設置されており,電気室は本件東棟に3か所,本件西棟に2か所ある。本件東棟及び本件西棟がそれぞれ「一の建築物」に該当するのであれば,共用施設は各棟1つで十分であり,かつ,1つ備えていれば居住者の利便性においても十分であることはもとより,居住者の生命,健康,安全上も問題がないはずである。 (b) 前記(イ)において述べたとおり,本件マンションは,避難上の安全性を欠くものであって,このことは,機能上の一体性を欠く要素として考慮されるべきである。 (c) 本件東棟及び本件西棟の電気設備,給排水設備の系統は,いずれも,屋外を通る各本管から(又は各本管へ)各棟に独立して配管,配線されており,各棟への(又は各棟からの)配管・配線は,パイプスペース又はメーターボックスという縦穴を通じて1階 水設備の系統は,いずれも,屋外を通る各本管から(又は各本管へ)各棟に独立して配管,配線されており,各棟への(又は各棟からの)配管・配線は,パイプスペース又はメーターボックスという縦穴を通じて1階から最上階の住戸に電気・水の供給,排水を行っている。すなわち,電気設備,給排水設備においては,各棟相互間に関連性はなく,各棟の各住戸の上下関係でつながっている。つまり,本件東棟又は本件西棟を構成する各棟は,独立した機能を持っている。 (d) ①前記(イ)で述べたところからすれば,避難の安全性,居住者の利便性を考えれば,避難階段やエレベーターを各棟に設置するのが - 17 -より合理的な設計というべきこと,②本件東棟及び本件西棟においては,通常は最寄りのエレベーターまでの区間の通行が主であり,全ての住戸を長い渡り廊下(例えば,本件東棟において,E棟最西端の住戸の住民がC棟最西端の住戸まで歩くと180mを超える。)で接続する必然性はない,すなわち,各棟を渡り廊下で接続する機能上の必要性はないことからすれば,本件マンションにおけるエキスパンションジョイント及び渡り廊下の目的は,一敷地一建物の原則及び一団地認定制度の規制逃れにあるというべきである。 (e) 以上からすれば,本件東棟及び本件西棟については,いずれも機能上の一体性は認められないものというべきである。 d 外観上の一体性の欠如本件マンションの渡り廊下の屋根は各棟の屋根とは別個のものとしか見えず,水切りも各棟の屋根とは別に渡り廊下に設けられている上,渡り廊下は壁に囲まれておらず,各棟と外観上の一体性を有しているとはいえない。また,渡り廊下は,単独では法2条1項1号にいう建築物に当たらないものであって,そのようなものが,独立した複数個の建築物を り廊下は壁に囲まれておらず,各棟と外観上の一体性を有しているとはいえない。また,渡り廊下は,単独では法2条1項1号にいう建築物に当たらないものであって,そのようなものが,独立した複数個の建築物を1つの建築物とするような働きがあるはずがない。以上からすれば,複数の住宅棟を渡り廊下で接続しただけの本件東棟及び本件西棟をもって,外観上の一体性を有しているとは解し難い。 イ被告の主張の要点(ア) 本件東棟及び本件西棟がそれぞれ「一の建築物」といえるか否かは,建築基準法令の規定に基づき,社会通念に照らし,構造上,外観上及び機能上の各面を総合的に判断して,一体性が認められるか否かによって判断されるべきである。 ある建築物が「一の建築物」となるかどうかの判断は,建築基準関係規定の適用に関わるものであるから,原告らが主張するような「周辺環 - 18 -境に与える影響」というような抽象的な判断基準があってはならない。 当該建築物が周辺環境に与える影響については,法などによる規制を満たすことにより保護されているのであって,それに加えて「一の建築物」かどうかの判断要素とする必要はない。 また,原告らは,「一の建築物」といえるか否かは,法1条の目的に沿うことが大前提であるとして,本件東棟及び本件西棟においては,前記ア(ア)のとおり,居住者のみならず周辺住民にとっても生命,健康及び財産が脅かされているから,「一の建築物」とはいえないとも主張するが,地震,火災及び災害の際や,交通上の安全性等についても,法その他の法律等で具体化された形で具体的な規制を満たすことで十分保護されているのであって,「一の建築物」かどうかの判断要素とする必要はないし,すべきでもない。 (イ) 前記ア(イ)の原告らの主張に対する被告の反論は,以下のとおりである。 制を満たすことで十分保護されているのであって,「一の建築物」かどうかの判断要素とする必要はないし,すべきでもない。 (イ) 前記ア(イ)の原告らの主張に対する被告の反論は,以下のとおりである。なお,原告らは,甲17に基づき前記ア(イ)a~eのとおり主張しているところ,甲17は,建築基準関係規定の適合性判断について述べられたものではなく,その作成者独自の観点において検討がされているにすぎないものであって,本件各確認処分における建築基準関係規定の適合性判断に関して参考になるものではない。 a 前記ア(イ)aについて被告においては,耐震構造に関する建築基準関係規定上の要件が満たされれば,建築確認処分を下すことになるのであり,建築物の建築後,事後的に災害時に崩落が生ずるか否かは,事前の確認審査では判断対象外である。 b 前記ア(イ)bについて本件各確認処分は,いずれも法93条2号に基づき消防署長の同意を得てされたものである。また,建築確認処分において審査の対象と - 19 -なる法令は,建築基準関係規定に限られるところ(法6条1項),まちづくり条例は,建築基準関係規定に含まれておらず,確認審査の対象外である。 c 前記ア(イ)cについて施行令121条は,「建築物の避難階以外の階が次の各号のいずれかに該当する場合においては,その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならない。」と規定しているのみであって,それ以上の実質的な逃げ場の確保を要求するものではない。そして,直通階段が2つ以上存在することは,原告らも争っていないのであり,本件マンションにつき,同条違反はない。 d 前記ア(イ)dについて前記bのとおり,まちづくり条 そして,直通階段が2つ以上存在することは,原告らも争っていないのであり,本件マンションにつき,同条違反はない。 d 前記ア(イ)dについて前記bのとおり,まちづくり条例は,建築基準関係規定に含まれておらず,確認審査の対象外である。なお,原告らが主張している集会所の面積を200㎡とする規定は,本件各確認処分の後の条例の改正により設けられたものである。 e 前記ア(イ)eについて原告らも自認するとおり,原告らが本件で問題としているのは敷地内通路であり,道路ではないところ,建築確認においては,原告らが主張するような実質論を加味して敷地内通路に道路と同様の規定を適用して判断するということはしない。また,まちづくり条例が建築基準関係規定に含まれておらず,確認審査の対象外であることは,既に述べたとおりである。 f 前記ア(イ)fについて本件東棟のC棟からE棟まで及び本件西棟のF棟からH棟までに設置された階段は,屋内階段として計画されたものであり,建築基準条例26条1項の適用はない。 - 20 -また,本件で議論すべきは,本件東棟及び本件西棟において,同項にいう「主要な出口」がどこかであるというべきところ,①本件東棟においては,C棟,D棟及びE棟にそれぞれ設けられた屋内直通階段からそれぞれ開放廊下を経由してB棟のエントランスを出入口とする計画とされているから,B棟のエントランスが「主要な出口」ということになり,②本件西棟においては,F棟,G棟及びH棟にそれぞれ設けられた屋内直通階段からそれぞれ開放廊下を経由してI棟のエントランスを出入口とする計画とされているから,I棟のエントランスが「主要な出口」ということになる。 したがって,上記の各階段が「主要な出口 られた屋内直通階段からそれぞれ開放廊下を経由してI棟のエントランスを出入口とする計画とされているから,I棟のエントランスが「主要な出口」ということになる。 したがって,上記の各階段が「主要な出口」であることを前提とする前記ア(イ)fの原告の主張は,失当である。 (ウ) 以下のとおり,本件東棟及び本件西棟については,いずれも,構造上,機能上及び外観上の一体性が認められるというべきであるから,社会通念に照らせば,本件東棟及び本件西棟は,それぞれ「一の建築物」に該当するものというべきである。 a 構造上の一体性について(a) 本件東棟は,A棟とB棟,A棟とC棟,B棟とD棟及びB棟とE棟が,それぞれエキスパンションジョイントで接続されており,これらの各棟は,共同住宅で,B棟がエントランスとして主要な出口とされているなど,用途上不可分な関係にあり,密接な関連を有しているといえるから,構造上の一体性がある。 (b) 本件西棟は,F棟とI棟,G棟とI棟及びH棟とI棟が,それぞれエキスパンションジョイントで接続されており,これらの各棟は,共同住宅で,I棟がエントランスとして主要な出口とされているなど,用途上不可分な関係にあり,密接な関連を有しているといえるから,構造上の一体性がある。 - 21 -(c) なお,施行令81条4項は,1つの建築物であっても,構造計算上は,別の建築物とみなすということを定めた規定であり,施行令自体が,エキスパンションジョイントを用いて接続された建築物も「一の建築物」であることを前提としている。したがって,法は,「一の建築物」の判断要素として構造上の一体性を要求するに当たり,構造力学上相互に応力を伝え合う関係にあることまでは要求しておらず,単純に物理的に結合されたものであれば,構造上の一体 って,法は,「一の建築物」の判断要素として構造上の一体性を要求するに当たり,構造力学上相互に応力を伝え合う関係にあることまでは要求しておらず,単純に物理的に結合されたものであれば,構造上の一体性は認められるというべきである。 b 機能上の一体性について(a) 本件東棟については,エントランス及びメールコーナーはB棟のみに設置され,郵便物は上記メールコーナーに配達されるものであり,A棟,C棟,D棟及びE棟の居住者は,日常の生活経路として,B棟のエントランスから入り,B棟又はC棟のエレベーターを利用し,渡り廊下を通って,A棟,C棟,D棟及びE棟に入ることになる。また,法的な避難経路としては,施行令121条により2以上の直通階段を設ける必要があるところ,本件東棟においては,C棟,D棟及びE棟それぞれに1か所ずつの直通階段が設けられており,開放廊下で接続されている。さらに,電気,給排水設備も,電気と給水の敷地への引込みが1か所ずつ設置され,台所の排水が1か所のディスポーザー処理槽を経由して排出されるなど,本件東棟全体につき,電気系統,給排水系統について,それぞれ一体的に管理又は使用される建築設備を各棟の居住者が共用している。よって,生活機能上,A棟からE棟までの各棟を切り離して住居として利用することは不可能であり,各棟は相互に不可分な関係にあるから,これらは機能上の一体性があるといえる。 (b) 本件西棟についても,エントランス及びメールコーナーはI棟の - 22 -みに設置され,郵便物はI棟に設置されたメールコーナーに配達されるのであり,居住者は,日常の生活経路として,I棟のエントランスから建物に入り,各住居に達する。また,法的避難経路についても,F棟,G棟及びH棟のそれぞれに1か所ずつの直通階段が設けられており れるのであり,居住者は,日常の生活経路として,I棟のエントランスから建物に入り,各住居に達する。また,法的避難経路についても,F棟,G棟及びH棟のそれぞれに1か所ずつの直通階段が設けられており,開放廊下で接続されている。さらに,電気,給排水設備も,電気と給水の敷地への引込みが1か所ずつ設置され,台所の排水が1か所のディスポーザー処理槽を経由して排出されるなど,本件西棟全体につき,電気系統,給排水系統について,それぞれ一体的に管理又は使用される建築設備を各棟の居住者が共用している。 よって,生活機能上,F棟からI棟までの各棟を切り離して住居として利用することは不可能であり,各棟は相互に不可分な関係にあるから,これらは機能上の一体性があるといえる。 c 外観上の一体性について本件東棟においては,A棟からE棟までは各階全てにおいてそれぞれエキスパンションジョイント及びエキスパンションジョイントカバーにより接続されており,本件西棟についても,F棟からI棟までは各階全てにおいてそれぞれエキスパンションジョイント及びエキスパンションジョイントカバーにより接続されているのであって,外観上は,それぞれ全体が一連の建物であると視認することができる。外観上の一体性は,意匠の問題であるから,単純に外観から見て一連の建物であると視認することができる場合には,外観上の一体性は認められるべきである。 (5) 本件西棟につき平塚市長がした都市計画法29条に基づく開発行為の許可及び安全認定が違法なものであり,その違法性が本件確認処分1に承継されるか否か(争点5)についてア原告らの主張の要点 - 23 -(ア) 本件安全認定は,本件西棟についてI棟北側のエントランスのみを建築確認条例26条1項にいう「主要な出口 されるか否か(争点5)についてア原告らの主張の要点 - 23 -(ア) 本件安全認定は,本件西棟についてI棟北側のエントランスのみを建築確認条例26条1項にいう「主要な出口」としてされたものであるが,前記(4)ア(イ)fで述べたとおり,F棟,G棟及びH棟に設置された階段(又は,開放廊下や階段に設置された出入口)は,いずれも「主要な出口」であるというべきである(なお,前記3(3)ウの事実及び証拠〔甲1,2〕に照らせば,原告らの主張のうち,本件東棟につき平塚市長が安全認定をしたことを前提とする部分は,原告らの誤解に基づく誤った主張であるものと認められる。)。そして,これらの「主要な出口」については,「周囲に講演,広場その他の空地」は存在せず,他に「安全上,防火上及び避難上支障がない」といえる事情も存しないから,本件安全認定は,違法である。そして,本件安全認定の違法は,後続処分である本件確認処分1に承継されるものというべきである(最高裁平成21年(行ヒ)第145号同年12月17日第一小法廷判決・民集63巻10号2631頁参照)。 指定確認検査機関がどのような審査権限を有するかと,安全認定が違法であるか否かや,安全認定に基づいた建築確認が違法であるか否かは,別問題である。 (イ) 本件西棟のF棟の南北に位置する機械式駐車場及び平置駐車場については,前面道路に接続する出入口及び車路がなく,駐車場に車を乗り入れることも利用することもできないのであって,この状態は,利用形態の重大な欠陥である。「平塚市開発事業指導要綱」(甲15。以下「開発事業指導要綱」という。)及び「駐車・駐輪施設の確保基準」(甲16)では,駐車場は住戸計画戸数の60%以上,駐輪場は計画戸数の100%以上確保するように定められているとこ 要綱」(甲15。以下「開発事業指導要綱」という。)及び「駐車・駐輪施設の確保基準」(甲16)では,駐車場は住戸計画戸数の60%以上,駐輪場は計画戸数の100%以上確保するように定められているところ,上記の駐車場は,利用できない駐車場として開発事業指導要綱に反する。したがって,本件西棟に係る本件開発許可は,違法なものというべきである。 - 24 -そして,開発許可も建築確認も本来的には平塚市の権限であったこと,都市計画法29条1項の規定による開発行為の規制も,法1条の目的の実現を確保しようとしたものであることに照らせば,開発許可と建築確認の関係についても,前掲最高裁平成21年12月17日第一小法廷判決の趣旨が及ぶことは明らかである。したがって,本件開発許可の違法は,本件確認処分1に承継されるものというべきである。 イ被告の主張の要点(ア) 安全認定は,平塚市長の裁量により決せられるものであり,指定確認検査機関である被告においては,平塚市長による安全認定がされているかどうかを形式的外形的に審査すれば足り,当該安全認定の当不当につき判断する権限を有していないから,本件西棟につき本件安全認定がされていることを前提としてした本件確認処分1に違法はない。また,本件西棟については,I棟のエントランスのみが建築確認条例26条1項にいう「主要な出口」であるというべきであるから,これと異なる原告らの主張は,その前提を欠くものというべきである。 なお,本件西棟の主要な出口となるI 棟のエントランスと,その前面の道路との間には,「道路予定地」(本件西棟につき都市計画法29条に規定する許可を受けるに当たり,幅員が5.99mと6mに満たないものであった前面の道路を拡幅することが必要となるため,本件敷地の一部を道路として提供するこ 予定地」(本件西棟につき都市計画法29条に規定する許可を受けるに当たり,幅員が5.99mと6mに満たないものであった前面の道路を拡幅することが必要となるため,本件敷地の一部を道路として提供することとされた部分)が介在しており,上記エントランスが「道路に面する」(建築基準条例26条1項参照)とはいえない状況にあったため,本件西棟に係る本件確認処分1に関しては,安全認定が必要となったものである。 (イ) 建築確認処分において審査の対象となる法令は,建築基準関係規定に限られるところ(法6条1項),開発事業指導要綱は建築基準関係規定に含まれていないので,確認審査の対象外である。 - 25 -第3 当裁判所の判断 1 本件各訴えのうち本件確認処分2の取消しを求める部分に訴えの利益があるか否か(争点3)について(1) 法6条1項の確認(建築確認)は,同項の建築物の建築等の工事が着手される前に,当該建築物の計画が同項にいう建築基準関係規定に適合していることを公権的に判断する行為であって,それを受けなければ上記工事をすることができないという法的効果が付与されており,建築基準関係規定に違反する建築物の出現を未然に防止することを目的としたものということができる。しかし,上記工事が完了した後における建築主事等の検査(同法7条,7条の2)は,当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかを基準とし,特定行政庁の違反是正命令(同法9条1項)は,当該建築物及びその敷地が建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定又は建築基準法の規定に基づく許可に付した条件に適合しているかどうかを基準とするものであって,いずれも当該建築物及びその敷地が建築確認に係る計画どおりのものであるかどうかを基準とするものでない上,違反是正命令を発す 定に基づく許可に付した条件に適合しているかどうかを基準とするものであって,いずれも当該建築物及びその敷地が建築確認に係る計画どおりのものであるかどうかを基準とするものでない上,違反是正命令を発するかどうかは,特定行政庁の裁量に委ねられているから,建築確認の存在は,検査済証の交付を拒否し,又は違反是正命令を発する上において法的障害となるものではなく,また,たとえ建築確認が違法であるとして判決で取り消されたとしても,検査済証の交付を拒否し,又は違反是正命令を発すべき法的拘束力が生ずるものではない。したがって,建築確認は,それを受けなければ上記工事をすることができないという法的効果を付与されているにすぎないものというべきであるから,上記工事が完了した場合においては,建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われるものと解すべきである(最高裁判所昭和58年(行ツ)第35号同59年10月26日第二小法廷判決・民集38巻10号1169頁,最高裁判所平成9年(行ツ)第7号同14年1月22日第三小法廷判決・民集56巻1号46頁参照)。 - 26 -(2) 前記前提事実(前記第2の3(5))のとおり,本件東棟については,法7条の2による検査がされた平成23年3月1日までに建築等の工事が完了したというのであるから,本件各訴えのうち本件東棟に係る本件確認処分2の取消しを求める部分については,訴えの利益が失われたものというべきである。よって,その余の争点について判断するまでもなく,本件各訴えのうち本件確認処分2の取消しを求める部分は,いずれも不適法であり,却下を免れないものというべきである(したがって,以下,その余の争点に関しては,本件西棟に係る本件確認処分1についてのみ判断することとする。)。 2 原告らが本件各訴えの原告適格を有するか否か(争点1) 免れないものというべきである(したがって,以下,その余の争点に関しては,本件西棟に係る本件確認処分1についてのみ判断することとする。)。 2 原告らが本件各訴えの原告適格を有するか否か(争点1)について(1) 行政事件訴訟法9条は,取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。そして,当該処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが - 27 -害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項参照)(以上につき,最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参 びにこれが - 27 -害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項参照)(以上につき,最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。 (2)ア法は,建築物の敷地,構造等に関する最低の基準を定めて,国民の生命,健康及び財産の保護を図ることなどを目的とするものである(1条)ところ,建築確認は,法6条1項(法6条の2第1項によるいわゆるみなし適用の場合を含む。以下同じ。)に基づき,建築主事又は指定確認検査機関が,建築物の建築等の工事が着手される前に,当該建築物の計画が建築基準関係規定に適合していることを公権的に判断する行為であって,既に述べたとおり,それを受けなければ当該工事をすることができないという法的効果が付与されている。そして,法は,建築物に関し,法52条及び57条の2において容積率の制限を,法55条及び56条において高さ制限を,それぞれ定めているところ,これらの規定は,本来,建築密度,建築物の規模等を規制することにより,建築物の敷地上に適度な空間を確保し,もって,当該建築物及びこれに隣接する建築物等における日照,通風,採光等を良好に保つことを目的とするものであるが,そのほか,当該建築物に火災その他の災害が発生した場合に,隣接する建築物等に延焼するなどの危険を抑制することをもその目的に含むものと解するのが相当である(前掲最高裁平成14年1月22日第三小法廷判決参照)。 イ前記アのような法6条1項の趣旨及び目的,同項が建築確認を通して保護しようとしている利益の内容・性質等に加え,上記のような法の趣旨及び目的(1条)に鑑みれば,法6条1項は,同項による確認の対象となる建築物について,その居住者の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物の保護を図る の内容・性質等に加え,上記のような法の趣旨及び目的(1条)に鑑みれば,法6条1項は,同項による確認の対象となる建築物について,その居住者の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物の保護を図るとともに,①当該建築物の倒壊,炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物について,その居住者の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物 - 28 -を,②当該建築物により日照,通風を阻害される周辺の他の建築物について,その居住者の健康を,それぞれ個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきである。 ウそうすると,①建築確認に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者及び②当該建築物により日照,通風を阻害される周辺の他の建築物に居住する者は,それぞれ当該建築確認の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有すると解するのが相当である。 (3)アこれを本件について見ると,①本件東棟敷地の隣地境界線と個々の原告ら土地(括弧内は,当該土地に所在する建築物に居住する原告を示す。)との間の水平距離は,原告土地1(原告P6)が35m,原告土地2(原告P7)が80m,原告土地3(原告P8)が65m,原告土地4(原告P9)が35m,原告土地5(原告P10)が70m,原告土地6(原告P11)が6m,原告土地7(原告P12)が115m,原告土地8(原告P13)が40mであること(前記第2の3(1)ア),②本件東棟敷地と本件西棟敷地との位置関係(甲10,14)及び本件東棟敷地と個々の原告ら土地との水平距離に関する甲14の記載との対比からすれば,本件西棟敷地の隣地境界線 と(前記第2の3(1)ア),②本件東棟敷地と本件西棟敷地との位置関係(甲10,14)及び本件東棟敷地と個々の原告ら土地との水平距離に関する甲14の記載との対比からすれば,本件西棟敷地の隣地境界線と個々の原告ら土地との間のおおよその水平距離は,原告土地1が105m程度,原告土地2が20m程度,原告土地3が140m程度,原告土地4が80m程度,原告土地5が125m程度,原告土地6が75m程度,原告土地7が70m程度,原告土地8が120m程度であるものと認められること,③本件東棟と本件西棟は,別紙4「造成計画平面図」記載のとおり,極めて近接した位置に建築されるものとされており(甲6,弁論の全趣旨),本件西棟が倒壊,炎上等をした場合には,それに起因して本件東棟が倒壊,炎上等をするという事態が生ずることも - 29 -ないとはいえないものというべきこと,④本件東棟及び本件西棟の規模等(別紙1「建築物目録」記載1及び2参照。前記第2の3(2)ア及びイ)などからすれば,本件確認処分1に係る建築物である本件西棟が倒壊,炎上等をした場合,その際の気象条件等によっては,原告らが上記倒壊,炎上等による直接的な被害を受ける可能性は否定することができないものというべきである。 イまた,上記ア②の事実及び証拠(甲10,乙33)によれば,原告P7の居住する住宅は,冬至の日の午前8時から午前9時過ぎにかけて,原告P11の居住する住宅は,冬至の日の午後4時頃に,それぞれ本件西棟によって生ずる影の中に入るものと認められ,本件西棟により,原告P7及び原告P11がそれぞれ居住する建築物の日照に影響が生ずることは否定することができない。 ウ以上述べたところからすれば,その余の点につき判断するまでもなく,原告らは,本件確認処分1の取消しを求めるにつき法律上の れ居住する建築物の日照に影響が生ずることは否定することができない。 ウ以上述べたところからすれば,その余の点につき判断するまでもなく,原告らは,本件確認処分1の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,本件各訴えのうち本件確認処分1の取消しを求める部分についての原告適格を有すると解するのが相当である。 3 本件各訴えにつき審査請求の前置がされているか否か(争点2)について(1) 建築基準法令の規定による指定確認検査機関の処分の取消しの訴えは,当該処分についての審査請求に対する建築審査会の裁決を経た後でなければ,提起することができないところ(法94条1項,96条),当該審査請求が適法なものであるにもかかわらず,建築審査会が誤ってこれを却下する裁決をした場合には,当該裁決は,原則として,同条の規定にいう建築審査会の裁決に該当するものというべきである(前掲最高裁昭和36年7月21日第二小法廷判決参照)。 (2) これを本件について見ると,平塚市建築審査会は,原告らを含む9名がした本件審査請求1につき,原告P7以外の原告らを含む8名の審査請求を審 - 30 -査請求人適格を欠くものとして却下し,原告P7の審査請求を棄却する旨の裁決をしたものであるところ(前記第2の3(4)イ),前記2において述べたところからすれば,原告P7のみならず,それ以外の原告らについても,本件審査請求1の審査請求人適格が認められるものというべきであり,また,本件全証拠によっても,他に本件審査請求1のうち原告らに関する部分の適法性を疑わせるに足りる事情は認められないから,本件において,建築審査会は,本件審査請求1のうち原告P7以外の原告らに関する部分が適法なものであったにもかかわらず,誤ってこれを却下する裁決をしたものというべきである。そして, 認められないから,本件において,建築審査会は,本件審査請求1のうち原告P7以外の原告らに関する部分が適法なものであったにもかかわらず,誤ってこれを却下する裁決をしたものというべきである。そして,本件において,前記(1)で述べた原則と異なる取扱いをすべき事情も認められないから,本件各訴えのうち本件確認処分1の取消しを求める部分については,いずれも審査請求の前置がされているものというべきである。 4 本件各確認処分につき「一敷地一建物の原則」(施行令1条1号参照)に違反する違法があるか否か(争点4)について(1) 施行令1条1号は,敷地について,①「一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の建築物のある一団の土地をいう」と規定しており,原則として「一の建築物」ごとに一の「敷地」が成立し,②二以上の建築物が用途上不可分の関係にあるときは,「用途上不可分の関係にある二以上の建築物」ごとに一の「敷地」が成立するものとし(原告らは,上記①を「一敷地一建物の原則」と称している。),「一の建築物」あるいは「用途上不可分の関係にある二以上の建築物」という概念によって「敷地」の個数が決せられるものとしている。そして,法が,敷地の接道義務(法43条1項),容積率の制限(法52条,57条の2),建ぺい率の制限(法53条),いわゆる隣地斜線規制及び北側斜線規制(法56条),日影による中高層の建築物の高さの制限(法56条の2)など,都市計画区域等における建築物に関する各種の規制を「敷地」単位で行うものとしていることからすれば,施行 - 31 -令1条1号の規定は,法の定めるこれらの規制の実効性を担保する役割を有するものであると解される。 ところで,法,施行令等の規定を見ても,建築物がいかなる場合に施行令1条1号にいう「一の建築物」に当たるか の規定は,法の定めるこれらの規制の実効性を担保する役割を有するものであると解される。 ところで,法,施行令等の規定を見ても,建築物がいかなる場合に施行令1条1号にいう「一の建築物」に当たるかという点について定めた規定はないことからすれば,ある建築物が「一の建築物」に当たるか否かは,社会通念に基づき事案ごとに決せざるを得ないものというべきところ,「一の建築物」という用語の文理や,「一の建築物」という法的概念が果たしている上記のような役割に鑑みれば,法の趣旨及び目的を踏まえた上で,構造上,外観上及び機能上の各面を総合的に判断し,社会通念上一体性があると認められる建築物は,同号にいう「一の建築物」に当たるものと解するのが相当である。 原告らの主張のうち,以上述べたところと異なる部分は,採用することができない。 (2) 前記前提事実及び後掲の証拠等によれば,本件西棟の計画については,以下の事実が認められる。 ア本件西棟は,いずれも地上5階建ての住宅棟であるF棟,G棟,H棟及びI棟の4棟が,本件敷地の西側部分である本件西棟敷地に別紙4「造成計画平面図」記載のとおり配置されるなどしたものであり,F棟とI棟,G棟とI棟,H棟とI棟のそれぞれが,各階において渡り廊下(屋外開放廊下)によって連結され,これらの各棟は,エキスパンションジョイント(温度変化による伸縮,地震時の振動性状の違いなどによる影響を避けるために,建築物をいくつかのブロックに分割して設ける相対変位に追随可能な接合部の手法及び工法)で接している(前記第2の3(2)イ。なお,各棟間の架橋部分〔エキスパンションジョイントの部分を含む。〕の長さは,乙26に記載されている各部の寸法の対比からすると,3m前後にすぎないものと認められる。)。 - 32 -イ本件西棟において の架橋部分〔エキスパンションジョイントの部分を含む。〕の長さは,乙26に記載されている各部の寸法の対比からすると,3m前後にすぎないものと認められる。)。 - 32 -イ本件西棟において,エントランス及びメールコーナーは,I棟の1階のみに設置されており,また,エレベーターは,I棟の渡り廊下(屋外開放廊下)のほぼ中央部に面した部分に2機が設置される一方,F棟,G棟及びH棟には設置されておらず,さらに,F棟,G棟及びH棟のそれぞれに1か所ずつ,上記各棟の1階から5階までの各階の渡り廊下(屋外開放廊下)を結ぶ直通階段(有効幅員1.2m以上)が設けられている(甲3,6,乙4,5,27~29,31,35~37)。そして,本件西棟の2階以上の階に居住する者において,緊急時には,上記の各階段及び渡り廊下(屋外開放廊下)を経由して,I棟1階のエントランスから本件西棟の外部へと避難することが想定されている(甲3,乙4,弁論の全趣旨)。 ウ本件西棟の諸設備の位置,構造等を見ると,①本件西棟への電気の引込みは,本件西棟敷地の北西角(I棟の北西角)の1か所に設置された設備を介して行われており,本件西棟の電気室及びごみ置場は,I棟の北側と南側の2か所に設置されている。②また,本件西棟内への給水の引込みは,本件西棟敷地の北西角(I棟の北西角)の1か所に設置された設備を介して行われている。③さらに,本件西棟の各住戸の台所からの排水は,1か所のディスポーザー排水処理水槽を経由して外部へと排出される構造となっている。(以上,甲3,6,乙4,35~37,弁論の全趣旨)(3) 前記(2)の認定事実を基に,本件西棟が施行令1条1号にいう「一の建築物」に当たるか否かを検討すると,前記(2)アにおいて述べたF棟,G棟,H棟及びI棟の配置,これらの各棟の連 の全趣旨)(3) 前記(2)の認定事実を基に,本件西棟が施行令1条1号にいう「一の建築物」に当たるか否かを検討すると,前記(2)アにおいて述べたF棟,G棟,H棟及びI棟の配置,これらの各棟の連結及び結合の状況に照らせば,本件西棟を構成するF棟,G棟,H棟及びI棟には,構造上の一体性及び外観上の一体性が認められるものというべきである。 また,本件西棟において,エントランス及びメールコーナーは,I棟の1階のみに設置されており,また,エレベーターも,I棟の渡り廊下(屋外開放廊下)のほぼ中央部に面した部分に2機が設置されているのみであること - 33 -からすれば,本件西棟に居住する者においては,I棟のエントランスから本件西棟に入り,各棟内の住戸に達するというのが日常の生活経路となるものというべきことや,前記(2)ウにおいて述べた本件西棟の諸設備の位置,構造等に鑑みれば,本件西棟を構成するF棟,G棟,H棟及びI棟は,その全体が一体となって1つの共同住宅として機能しているものというべきであるから,上記各棟には,機能上の一体性があるものと認められる。 そして,本件全証拠を検討しても,本件西棟(F棟,G棟,H棟及びI棟)につき,構造上,外観上及び機能上の各面を総合的に判断し,社会通念上一体性があるものと認めることが,前記(1)に掲げたような都市計画区域等における建築物に関する各種の規制を定めた法の趣旨及び目的を没却するものであることをうかがわせるような具体的事情は認め難いものというべきである。 以上からすれば,本件西棟は,全体として施行令1条1号にいう「一の建築物」に該当するものと認めるのが相当である。 (4)ア(ア) 原告らは,①地震災害時に渡り廊下が崩落するなどすると,階段のないI棟の居住者の避難方法は,バルコニーに設置されてい 号にいう「一の建築物」に該当するものと認めるのが相当である。 (4)ア(ア) 原告らは,①地震災害時に渡り廊下が崩落するなどすると,階段のないI棟の居住者の避難方法は,バルコニーに設置されている緊急用のタラップのみとなり,本件西棟は避難上の安全性を欠く,②F棟及びG棟から火災が発生した場合,消防車やはしご車が敷地内に入って消火・救急活動をすることができず,本件西棟は「はしご付き消防自動車による消防活動が容易にできる場所を設けること」と定めるまちづくり条例施行規則48条2項に違反している,③本件西棟は「二方向避難」が確保されておらず,施行令121条に違反している,④本件西棟の集会所の面積は,集会所の面積を200㎡とする旨を定めるまちづくり条例の規定に違反する,⑤本件マンションへの自動車の出入口から敷地内駐車場までの通路は,法42条1項5号,施行令144条の4第1項1号ハ及び昭和45年建告第1837号の定めに適合しておらず,また,自動 - 34 -車の出入口が1か所しかないため,交通上の安全が図られなくなっている,⑥F棟,G棟及びH棟の階段は,道路に面しておらず,4m以上の敷地内通路も確保されていないから,本件西棟は建築基準条例26条1項に違反しており,仮に上記階段に同項の適用がないとしても,I棟に避難階段がなく,大勢の避難者が上記階段に集中することになり,かつ,どの階段からも50mほど歩かないと道路に避難できない点で問題があるなどとする主張を前提として(前記第2の5(4)ア(イ)),本件西棟につき,前記(1)に述べた観点から一体性があるものと認めることは,法の趣旨及び目的を没却する旨の主張もしているものと解される(前記第2の5(4)ア(ウ)a並びにc(b)及び(d)参照)。 (イ) しかし,以下のとおり,前記(ア)の原告ら あるものと認めることは,法の趣旨及び目的を没却する旨の主張もしているものと解される(前記第2の5(4)ア(ウ)a並びにc(b)及び(d)参照)。 (イ) しかし,以下のとおり,前記(ア)の原告らの主張は,採用し難いものというべきである。 すなわち,①本件西棟の高さ,各棟間の架橋部分の長さ,I棟の2階から5階までにはいずれも最も南側及び最も北側の住戸部分のバルコニーに下階に至る避難ハッチが設置されていること(乙27~29)を考慮すれば,I棟に地上への直通階段が設置されていないこと(上記(ア)①)のみをもって,本件西棟につき一体性があるものと認めることが,法の趣旨及び目的を没却するものとまではいい難い。②まちづくり条例施行規則48条の規定は,まちづくり条例の目的を達成するために同条例にいう開発事業の基準として定められたものであり(同条例36条,49条,同条例別表第1の4,まちづくり条例施行規則48条),建築基準関係規定に含まれるものとして定められたものではなく,同条例の規定に基づく制度と建築確認の制度がその目的等を異にするものであることに照らせば,上記(ア)②の事情をもって,本件西棟につき一体性があるものと認めることが,法の趣旨及び目的を没却するものとまではいい難い。③上記(ア)③の主張は,実質的には,F棟からI棟までが別個 - 35 -の建築物であることを前提として,施行令121条の規定を充足しない旨主張するものにほかならず,採用し難い。④本件確認処分1がされた時点におけるまちづくり条例に,原告らが主張するような集会所の面積を200㎡とすべき旨の規定が置かれていたことを認めるに足りる証拠はない上,上記②において述べたところも考慮すれば,上記(ア)④の主張は採用し難い。⑤原告ら主張の自動車の出入口から敷地内駐車場までの通路は ㎡とすべき旨の規定が置かれていたことを認めるに足りる証拠はない上,上記②において述べたところも考慮すれば,上記(ア)④の主張は採用し難い。⑤原告ら主張の自動車の出入口から敷地内駐車場までの通路は,法42条1項5号,施行令144条の4第1項1号ハ及び昭和45年建告第1837号の定めが適用される「道路」には該当しないものである上,本件の証拠関係に照らせば,交通上の安全が図られない旨の原告らの主張も,いまだ抽象的・一般的な危ぐ感の域を出るものではないというべきであって,上記(ア)⑤の主張は採用し難い。⑥既に述べたとおり,本件西棟に居住する者においては,I棟のエントランスから本件西棟に入り,各棟内の住戸に達するというのが日常の生活経路となるものというべきこと,本件西棟の2階以上の階に居住する者において,緊急時には,上記の各階段及び渡り廊下(屋外開放廊下)を経由して,I棟に設置されたエントランスから本件西棟の外部へと避難することが想定されていることなどからすれば,本件西棟については,I棟に設置されたエントランスが「主要な出口」となるものというべきであるから,上記(ア)⑥のうち本件西棟が建築基準条例26条1項に違反する旨をいう主張部分は,その前提を欠くものというべきであり,また,上記(ア)⑥のうちその余の主張部分は,建築基準関係規定を見ても,当該主張に指摘されている事項を問題にする規定は特に見当たらないことからすれば,本件西棟につき建築基準関係規定の定めを超える規制を求めるものにほかならないものというほかなく,採用し難い。 イ原告らは,施行令81条4項によれば,エキスパンションジョイントで接続された建築物の場合,その構造上の安全性については,各々の構造物 - 36 -ごとに構造計算が必要とされているところ,構造上の一体性は,一体 令81条4項によれば,エキスパンションジョイントで接続された建築物の場合,その構造上の安全性については,各々の構造物 - 36 -ごとに構造計算が必要とされているところ,構造上の一体性は,一体となった建築物全体で構造上の安全性が保持されているかという観点から検討されるべきであるから,エキスパンションジョイントで接続された建築物については,構造上の一体性は欠如している旨主張する(前記第2の5(4)ア(ウ)b)。 上記主張の当否につき検討すると,法20条は,一定の建築物にあっては,政令で定める基準に従った構造計算によって確かめられる安全性を有することを要する旨を定め,これを受けて,施行令81条は,その1項から3項までにおいて,法20条に規定する建築物の構造計算に係る基準について定めるとともに,4項において,二以上の部分がエキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接している建築物の当該建築物の部分は,同条1項から3項までの規定の適用については,それぞれ別の建築物とみなす旨を定めている。このように,同条4項は,その文理上,1つの「建築物」であっても,構造計算に当たっては,エキスパンションジョイント等の構造方法のみで接している「当該建築物の部分」は,別の建築物とみなすという規定であり,複数の建築物の部分をエキスパンションジョイントを用いて接続する建築物が「一の建築物」に含まれることを前提とした規定であることが明らかであるというべきであるから,原告らの上記主張は,採用することができない。 ウ(ア) 原告らは,本件西棟につき,①あらゆる設備が全戸を対象としたものとはいえず,また,各所に分散配置されていることから,機能上の一体性がないことは明らかである,②電気設備,給排水設備は,各棟相互間に関連性がなく,各 西棟につき,①あらゆる設備が全戸を対象としたものとはいえず,また,各所に分散配置されていることから,機能上の一体性がないことは明らかである,②電気設備,給排水設備は,各棟相互間に関連性がなく,各棟ごとに独立した機能を持っている,③本件西棟のエキスパンションジョイント及び渡り廊下の目的は「一敷地一建物の原則」及び一団地認定制度の規制逃れである,などと主張する(前記第2の5(4)ア(ウ)c(a),(c)及び(d))。 - 37 -(イ) しかし,①あらゆる設備が建築物内の全ての住戸等において共用されていることや建築物内の1か所に集約されていることが,機能上の一体性を認めるための必要条件でないことは明らかであり,上記(ア)①の主張は採用し難い。②また,前記(2)ウにおいて認定したところからすれば,本件西棟全体につき,電気系統及び給排水系統について,それぞれ一体的に管理又は使用がされる建築設備を各棟の住戸の居住者が共用しているものと評価して差し支えなく,前記(ア)②の主張は採用し難い。 ③さらに,原告ら主張の事情のみでは,本件西棟のエキスパンションジョイント及び渡り廊下が「一敷地一建物の原則」及び一団地認定制度の規制逃れを目的として設置されたものであるとは認めるに足りない。結局のところ,前記(ア)の原告らの主張は,採用することができない。 エ原告らは,本件西棟の渡り廊下は各棟と外観上の一体性を有しているとはいえず,また,単独では法2条1項1号にいう建築物に当たらない渡り廊下に独立した複数個の建築物を1つの建築物とするような働きがあるはずがないなどとして,本件西棟には外観上の一体性はない旨主張するが(前記第2の5(4)ア(ウ)d),前記(3)において判示したところに照らし,採用することができない。 5 本件西棟につき平塚市 はずがないなどとして,本件西棟には外観上の一体性はない旨主張するが(前記第2の5(4)ア(ウ)d),前記(3)において判示したところに照らし,採用することができない。 5 本件西棟につき平塚市長がした都市計画法29条に基づく開発行為の許可及び安全認定が違法なものであり,その違法性が本件確認処分1に承継されるか否か(争点5)について(1) 原告らは,本件西棟につき,I棟に設置されたエントランスのみならず,F棟,G棟及びH棟に設置された階段(又は開放廊下や階段に設置された出入口)も建築確認条例26条1項にいう「主要な出口」に該当することを前提として,I棟に設置されたエントランスのみを「主要な出口」としてされた本件安全認定は違法であり,その違法が本件確認処分1に承継される旨主張する。 - 38 -しかし,争点4に関する判断の中で述べたとおり(前記4(4)イ⑥),本件西棟については,I棟に設置されたエントランスのみを「主要な出口」と見れば足りるものというべきであって,原告らの上記主張は,その前提を欠くものというべきである。 (2) 原告らは,本件西棟のF棟の南北に位置する機械式駐車場及び平置駐車場については,前面道路に接続する出入口及び車路がなく,駐車場に車を乗り入れることも利用することもできないものであって,開発事業指導要綱及び「駐車・駐輪施設の確保基準」に反するものであるから,本件西棟に係る本件開発許可は違法なものというべきであり,その違法が本件確認処分1に承継される旨主張する。 しかし,開発許可の制度は,無秩序な市街化を防止して都市の健全で計画的な発展を図ることを趣旨とする市街化区域及び市街化調整区域の制度を担保し,かつ,良好な市街地を実現するために,開発行為に一定の水準を確保することを目的とするものである一方 防止して都市の健全で計画的な発展を図ることを趣旨とする市街化区域及び市街化調整区域の制度を担保し,かつ,良好な市街地を実現するために,開発行為に一定の水準を確保することを目的とするものである一方(都市計画法1条等参照),建築確認の制度は,建築物の計画が,建築物の敷地,構造,設備及び用途に関する最低の基準を定めた建築基準関係規定に適合するかどうかの審査・確認をすることによって,国民の生命,健康及び財産の保護を図ることを目的としており(法1条参照),両制度はその目的を異にするものというべきであって,開発許可処分と建築確認処分とが同一の目的を達成するためにされるものとはいえないから,開発許可が違法なものである場合に,その違法性が建築確認に承継されるものとは解し難い。したがって,本件西棟に係る本件開発許可の適法性につき判断するまでもなく,原告らの上記主張には理由がない。 6 結論以上の次第であって,本件各訴えのうち本件確認処分2の取消しを求める部分は,いずれも不適法であるからこれらを却下し,原告らのその余の請求は,いずれも理由がないからこれらを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行 - 39 -政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官八木一洋 裁判官田中一彦 裁判官塚原洋一 - 40 -(別紙2)関係法令等の定め 1 法の定め(1) 法6条1項前段は,建築主は,同項1号から3号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合におい - 40 -(別紙2)関係法令等の定め 1 法の定め(1) 法6条1項前段は,建築主は,同項1号から3号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては,建築物が増築後において同項1号から3号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)等又は同項4号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては,当該工事に着手する前に,その計画が建築基準関係規定(法並びにこれに基づく命令及び条例の規定〔以下「建築基準法令の規定」という。〕その他建築物の敷地,構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて,確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け,確認済証の交付を受けなければならない旨を定めている。 ア 1号 (省略)イ 2号 (省略)ウ 3号木造以外の建築物で2以上の階数を有し,又は延べ面積が200㎡を超えるものエ 4号 (省略)(2) 法6条の2第1項は,法6条1項各号に掲げる建築物の計画(同条3項各号のいずれかに該当するものを除く。)が建築基準関係規定に適合するものであることについて,法77条の18から法77条の21までの規定の定めるところにより国土交通大臣又は都道府県知事が指定した者(指定確認検査機関)の確認を受け,国土交通省令で定めるところにより確認済証の交付を受けたときは,当該確認は法6条1項の規定による確認と,当該確認済証は同項の確認済証とみなす旨を定めている。 - 41 - 2 施行令の定め(1) 施行令1条1号は,施行令において「敷地」とは,一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の建築物のある一団の土地をいう旨を定めている。 (2) ①施行令81条1項から3項は,そ の定め(1) 施行令1条1号は,施行令において「敷地」とは,一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の建築物のある一団の土地をいう旨を定めている。 (2) ①施行令81条1項から3項は,それぞれ,建築物の構造耐力に関する法20条1号,2号イ又は3号イの政令で定める基準につき定めており,②施行令81条4項は,二以上の部分がエキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接している建築物の当該建築物の部分は,同条1項から3項までの規定の適用については,それぞれ別の建築物とみなす旨を定めている。 (3)ア施行令121条1項6号ロは,建築物の避難階以外の階が同項1号から5号までに掲げる階以外の階で,5階以下の階でその階における居室の床面積の合計が避難階の直上階にあっては200㎡を,その他の階にあっては100㎡を超えるものに該当する場合においては,その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならない旨を定めている。 イ施行令121条2項は,主要構造部が準耐火構造であるか,又は不燃材料で造られている建築物について同条1項の規定を適用する場合には,同項中100㎡とあるのは200㎡と,200㎡とあるのは400㎡とする旨を定めている。 ウ施行令121条3項は,同条1項の規定により避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設ける場合において,居室の各部分から各直通階段に至る通常の歩行経路の全てに共通の重複区間があるときにおける当該重複区間の長さは,施行令120条に規定する歩行距離の数値の2分の1を超えてはならないが(本文),居室の各部分から,当該重複区間を経由しないで,避難上有効なバルコニー,屋外通路その他これらに類するものに避難することができる場合は,この限りでない旨を定めている。 3 建築基準 らないが(本文),居室の各部分から,当該重複区間を経由しないで,避難上有効なバルコニー,屋外通路その他これらに類するものに避難することができる場合は,この限りでない旨を定めている。 3 建築基準条例の定め - 42 -建築基準条例26条1項は,共同住宅,寄宿舎又は下宿の用途に供する建築物の避難階においては,主要な出口(屋外階段からの出口を含む。以下同じ。)は,道路に面して設けなければならないが(本文),下記(1)及び(2)いずれかに該当する場合はこの限りではない(ただし書)旨を定めている。 (1) 1号主要な出口から道路に通ずる敷地内通路の幅員が,次の表の左欄に掲げる区分に応じて,同表の右欄に定める数値以上あり,安全上及び避難上支障がないと認められる場合共同住宅,寄宿舎又は下宿の用途に供する部分の床面積の合計敷地内通路の幅員100㎡以内のもの1.5m100㎡を超え300㎡以内のもの2m300㎡を超え500㎡以内のもの3m500㎡を超えるもの4m(2) 2号周囲に公園,広場その他の空地があり,市長が安全上,防火上及び避難上支障がないと認めた場合以上

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