平成5(行ツ)50 事業認定処分取消,特定公共事業認定処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成15年12月4日 最高裁判所第一小法廷 判決 その他 東京高等裁判所 昭和59(行コ)38
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判決文本文3,414 文字)

主文 1 原判決中上告人甲及び同乙の事業認定(昭和44年建設省告示第3865号に係るもの)の取消請求に関する部分を破棄し,第1審判決中同部分を取り消し,同部分につき本件訴えを却下する。 2 上告人丙及び同Dの上告を棄却する。 3 上告人甲のその余の上告並びに同E,同F,同G,同H,同I及び同Jの上告を却下する。 4 訴訟の総費用は上告人らの負担とする。 理由 第1 上告人丙及び同Dの上告について 1 上告代理人葉山岳夫,同前田裕司,同一瀬敬一郎,同森谷和馬,同井上智治,同深澤信夫の上告理由第一点,第四点(土地収用法(平成11年法律第160号による改正前のもの)20条3号違反をいう部分を除く。)について行政手続に憲法31条による保障が及ぶと解すべき場合であっても,保障されるべき手続の内容は,行政処分により制限を受ける権利利益の内容,性質,制限の程度,行政処分により達成しようとする公益の内容,程度,緊急性等を総合較量して決定されるべきものである。そして,土地収用法(昭和47年法律第52号による改正前のもの)第3章第1節の規定の定める手続の下に事業の認定を行うことが土地等の所有者又は関係人の権利保護に欠けると解することはできず,【要旨1】これらの規定及びこれに基づいて建設大臣がした事業認定(昭和44年建設省告示第3865号に係るもの。以下「本件事業認定」という。)が憲法31条の法意に反するということはできない。以上は,当裁判所の判例(最高裁昭和61年(行ツ)第11号平成4年7月1日大法廷判決・民集46巻5号437頁,最高裁平成8年(行ツ)第90号同年8月28日大法廷判決・民集50巻7号1952頁)の趣旨に- 1 -徴して明らかというべきである。上記憲法31条違反のあることを前提とする所論憲法13条違反の主張は 裁平成8年(行ツ)第90号同年8月28日大法廷判決・民集50巻7号1952頁)の趣旨に- 1 -徴して明らかというべきである。上記憲法31条違反のあることを前提とする所論憲法13条違反の主張は,その前提を欠く。論旨は採用することができない。 2 同第二点について土地収用法(平成13年法律第103号による改正前のもの)71条の規定が憲法29条3項に違反するものではないことは,当裁判所の判例(最高裁昭和25年(オ)第98号同28年12月23日大法廷判決・民集7巻13号1523頁)の趣旨に徴して明らかである(最高裁平成10年(行ツ)第158号同14年6月11日第三小法廷判決・民集56巻5号958頁参照)。上記憲法29条3項違反のあることを前提とする所論憲法14条違反の主張は,その前提を欠く。論旨は採用することができない。 3 同第三点について公共用地の取得に関する特別措置法(平成11年法律第160号による改正前のもの。以下「法」という。)7条の規定による特定公共事業の認定を受けた起業者は,収用委員会に対し,法20条1項の規定により緊急裁決を申し立てることができ,緊急裁決においては,損失の補償に関する事項でまだ審理を尽くしていないものがある場合においても,権利取得裁決又は明渡裁決がされ(同項),概算見積りによる仮補償金が定められるものとされている(法21条1項)。緊急裁決は,公共の利害に特に重大な関係があり,緊急に施行することを要する事業に必要な土地等を取得するため(法1条,7条),明渡裁決が遅延することによって事業の施行に支障を及ぼすおそれがある場合に特に認められるものであり(法20条1項),緊急裁決において定められた権利取得の時期又は明渡しの期限までに仮補償金の額の払渡し又は供託がなければ,緊急裁決は失効するとされている(法27条,土 る場合に特に認められるものであり(法20条1項),緊急裁決において定められた権利取得の時期又は明渡しの期限までに仮補償金の額の払渡し又は供託がなければ,緊急裁決は失効するとされている(法27条,土地収用法100条)。そして,収用委員会は,緊急裁決の後も引き続き審理して,遅滞なく補償裁決をし(法30条1項),補償裁決で定められた補償金額と緊急裁決で- 2 -定められた仮補償金の額とに差額があるときは,年6分の利率により算定した利息を付して清算するものとされ(法33条1項,2項,34条1項),緊急裁決においては最終的な補償義務の履行を確保するために起業者に担保の提供を命ずることが(法26条1項),補償裁決においては起業者が裁決に基づく義務の履行を怠った場合に支払うべき過怠金を定めることが(法34条2項),それぞれできるとされ,法は,最終的に正当な補償がされるための措置を講じている。 憲法29条3項は,補償の時期については何ら規定していないのであるから,補償が私人の財産の供与に先立ち又はこれと同時に履行されるべきことを保障するものではないと解すべきである(最高裁昭和23年(れ)第829号同24年7月13日大法廷判決・刑集3巻8号1286頁)。そして,上記関係規定が定める補償に関する措置に不合理な点はないから,【要旨2】法が定める緊急裁決の制度が憲法29条3項に違反するとはいえない。以上は,上記大法廷判決の趣旨に徴して明らかである。 また,法20条4項の規定があるからといって,収用委員会における審理手続の公正を欠くとはいえず,所論憲法31条違反の主張は,その前提を欠く。 論旨は採用することができない。 4 同第四点のうち土地収用法(平成11年法律第160号による改正前のもの)20条3号違反をいう部分,第五点,第六点について所論の点に関する原審 は,その前提を欠く。 論旨は採用することができない。 4 同第四点のうち土地収用法(平成11年法律第160号による改正前のもの)20条3号違反をいう部分,第五点,第六点について所論の点に関する原審の認定判断は,原判決挙示の証拠関係に照らし,正当として是認することができ,その過程に所論の違法はない。論旨は,違憲をいう点を含め,原審の専権に属する証拠の取捨判断,事実の認定を非難するか,又は独自の見解に基づいて原判決の法令違背をいうものにすぎず,採用することができない。 5 同第七点ないし第九点について論旨は,本件第2期工事区域に係る本件事業認定の失効に伴い,本件事業認定の全- 3 -部が取り消されるべきことをいう。しかし,本件事業認定後の事由によって本件事業認定が違法となる余地はない。論旨は,原判決の結論に影響のない事項についての違法をいうものにすぎず,採用することができない。 第2 上告人甲及び同乙の本件事業認定の取消請求について職権をもって調査するに,K国際空港公団は,平成5年6月16日,上告人甲及び同乙の所有地につき権利取得裁決の申請及び明渡裁決の申立てを取り下げ,上記所有地については,土地収用法29条1項により本件事業認定の効力が失われるに至ったから,上記上告人両名が本件事業認定の取消しを求める法律上の利益も消滅したものといわざるを得ない。そうすると,上記上告人両名の本件事業認定の取消しを求める訴えは却下すべきであり,同訴えに係る請求につき本案の判断をした原判決は失当であることに帰するから,原判決中同請求に関する部分を破棄し,第1審判決中同部分を取り消し,上記訴えを却下すべきである。そして,上記訴えは,不適法でその不備を補正することができないものであるから,当裁判所は,口頭弁論を経ないで上記判決をすることとする。 第3 その余の上 同部分を取り消し,上記訴えを却下すべきである。そして,上記訴えは,不適法でその不備を補正することができないものであるから,当裁判所は,口頭弁論を経ないで上記判決をすることとする。 第3 その余の上告について上告人甲の特定公共事業の認定(昭和45年建設省告示第1824号に係るもの)の取消請求に関する上告並びに同E,同F,同G,同H,同I及び同Jの上告については,前記各上告人が上告理由を記載した書面を提出しないから,これを不適法として却下することとする。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官横尾和子裁判官深澤武久裁判官甲斐中辰夫裁判官泉徳治裁判官島田仁郎)- 4 -

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