主文 本件抗告を却下する。抗告費用は抗告人の負担とする。理由 本件記録に徴すると、本件は、抗告人を申請人とし、学校法人D幼稚園を被申請人とする従業員地位保全仮処分申請事件につき東京地方裁判所八王子支部が昭和四三年六月一〇日に、保証を立てさせないでした別紙仮処分決定に対し、右被申請人から異議の申立に伴つて右仮処分決定の執行停止の申立をしたところ、同裁判所が、同月一七日、仮処分決定の主文第二項の一部についてはその執行により被申請人に対して回復しがたい損害を与えることが予想されるものとして申立を認容し、その余については申立を相当でないとしてこれを却下する旨の決定をしたので、抗告人から右申立認容部分について当裁判所に抗告の申立をしたものであることが明らかである。そして、右の経過に照らせば、本件抗告は、民訴法五一二条を準用してされた執行停止の申立に対する裁判に対しては不服を申し立てることが許されないことを前提とするものと解される。一般に、仮処分決定に対する異議の申立または仮処分判決に対する上訴に伴う執行停止は、該当仮処分の内容が権利保全の範囲にとどまらず、その終局的満足を得させ、もしくはその執行により仮処分債務者に対し回復することのできない損害を蒙らせる虞れのあるような例外的場合にのみ許されるもの(最高裁判所昭和二五年(ク)第四三号、同二五年九月二五日大法廷決定、民集四巻九号四三五頁)であるところ、仮処分決定に対する執行停止の手続の附随的性格とその効果の暫定的、応急的性格にかんがみれば、申立を受けた裁判所がこれを認容して仮処分決定の執行を停止すべきものとするか、または申立を相当でないとして却下すべきものとするかは当該裁判所の慎重な判断に委ねらるべきものと解すべく、裁判所が申立につき- 受けた裁判所がこれを認容して仮処分決定の執行を停止すべきものとするか、または申立を相当でないとして却下すべきものとするかは当該裁判所の慎重な判断に委ねらるべきものと解すべく、裁判所が申立につき- 1 -実質的な審査をして許否を決した場合には、民訴法五一二条二項、五〇〇条三項の準用によりその裁判を独立の不服申立の対象とすることは許されないものと解するのが相当である。 と解すべく、裁判所が申立につき- 受けた裁判所がこれを認容して仮処分決定の執行を停止すべきものとするか、または申立を相当でないとして却下すべきものとするかは当該裁判所の慎重な判断に委ねらるべきものと解すべく、裁判所が申立につき- 1 -実質的な審査をして許否を決した場合には、民訴法五一二条二項、五〇〇条三項の準用によりその裁判を独立の不服申立の対象とすることは許されないものと解するのが相当である。したがつて、本件原決定に対しては、これに民訴法四一九条ノ二所定の事由があることを理由にして、最高裁判所に対してのみ特に抗告を申し立てることができるものと解すべきところ、本件抗告理由中には、原決定は憲法二五条、二八条、三二条、一四条に違反するとする部分があるが、前記のような例外的場合に執行停止を許容することがそれ自体として憲法に反するものでないことは右大法廷決定の趣旨に徴して明らかであつて、所論の実質は原決定が執行停止の許否の判断を誤つたという、たんなる法令違背の主張にとどまり、その抗告理由とするところはすべて民訴法四一九条ノ二所定の場合にあたらないと認められる。よつて、本件抗告を不適法として却下し、抗告費用は抗告人の負担とすべきものとして、主文のとおり決定する。昭和四四年九月二〇日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官草鹿浅之介裁判官城戸芳彦裁判官色川幸太郎裁判官村上朝一仮処分決定主文申請人が被申請人に対し労働契約上の権利を有する地位を仮に定める。被申請人は申請人に対し、昭和四二年四月一日から申請人から被申請人に対する労働契約関係存在確認請求事件の 仮処分決定主文申請人が被申請人に対し労働契約上の権利を有する地位を仮に定める。被申請人は申請人に対し、昭和四二年四月一日から申請人から被申請人に対する労働契約関係存在確認請求事件の判決確定に至るまで、一カ月金二万四五〇〇円の金員を毎月末限り仮に支払え。- 2 -
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