平成14刑(わ)187 危険運転致傷罪

裁判年月日・裁判所
平成14年3月28日 東京地方裁判所
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判決文本文2,088 文字)

平成14年刑(わ)187号危険運転致傷罪 主文 被告人を懲役2年に処する。 この裁判確定の日から4年間その刑の執行を猶予する。 理由 (犯罪事実)被告人は,平成14年1月7日午後10時過ぎころ,東京都千代田区a町b丁目c番d号付近道路において,それまでに飲んだ酒の酔いの影響により前方注視及び運転操作が困難な状態で,普通乗用自動車の運転を開始し,もって,アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で普通乗用自動車を走行させたことにより,同日午後10時5分ころ,同区a町e丁目f番付近道路において,同様の状態のまま時速約40キロメートルで同車を走行中,同車を道路右側部分に進出させ,折から対向進行してきたB(当時31歳)運転の自転車に自車右前側部を衝突させて同人を歩道上に転倒させ,引き続き同様の状態で上記自動車を時速約50キロメートルで走行させたことにより,そのころ,同都新宿区g町h丁目i番付近道路において,折から同所先の交差点手前で信号待ちのため停止中のC(当時61歳)運転の普通乗用自動車の後部に自車前部を衝突させて,C運転車両を前方に押し出した上,同車前部をその前方で同様に停止中のD(当時54歳)運転の普通乗用自動車の後部に衝突させ,さらに同車を前方に押し出し,同車前部をその前方で同様に停止中のE運転の普通乗用自動車の後部に衝突させ,よって,Bに全治約2週間を要する腰部打撲等の傷害を負わせ,C及びDにいずれも約2週間の安静加療を要する頸椎捻挫の傷害を負わせた。 (量刑の事情)本件は,被告人が,アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で普通乗用自動車の運転を開始し,よって,その状態で同車を走 れも約2週間の安静加療を要する頸椎捻挫の傷害を負わせた。 (量刑の事情)本件は,被告人が,アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で普通乗用自動車の運転を開始し,よって,その状態で同車を走行中に,自転車に乗って対向進行してきた男性や,前方で信号待ちのため停止していた2台のタクシーの各運転手にそれぞれ傷害を負わせたという事案である。 本件犯行に至る経緯及びその犯行態様は,被告人が,本件当日,仕事を終えた後,被告人の営む事業に新しく雇い入れた従業員の歓迎会兼新年会を韓国料理店で催し,そこでビールや強い酒を大量に飲み,同店を出る際には既に足もとがおぼつかないほどの泥酔状態(本件の約50分後に行われた飲酒検知の結果でも,被告人の呼気中のアルコール濃度は呼気1リットルにつき0.5ミリグラムと高い数値を示していた。)であったにもかかわらず,自動車の運転を開始し,その直後に交通量の多い都心部のさほど広くない道路に乗り入れて,判示のとおり通行中の自転車や停止中のタクシーに次々と自車を衝突させたというものであり,このような被告人の運転行為自体,事と次第によっては,多数の者の生命等に取り返しのつかない被害を生じさせるおそれのある,危険極まりないものであったというべきである。この点,被告人は,一緒に飲酒した従業員らを送っていこうと思い,近くの駐車場に止めてあった自分の自動車を上記飲食店前に回してきて,その者らを同乗させて同車の運転を開始したなどと述べているが,飲酒運転の危険性に頓着しない甚だ安易な考えというほかはなく,その従業員らの身の安全をも考慮すると,より一層強い非難を免れない。そして,本件犯行により,全く落ち度のない3人の被害者がいずれも決して軽くない傷害を負ったものであり,生じた結果も軽視できない。 以上に加え,近時,酒酔い運転の上での ,より一層強い非難を免れない。そして,本件犯行により,全く落ち度のない3人の被害者がいずれも決して軽くない傷害を負ったものであり,生じた結果も軽視できない。 以上に加え,近時,酒酔い運転の上での死傷事故に対する社会の非難が高まり,新たに危険運転致死傷罪が創設され,単なる業務上過失致死傷罪等と比べて法定刑の引き上げが図られたことも併せ考慮すると,被告人の刑事責任を軽く見ることはできない。 しかしながら,被告人が,3人の被害者に合計100万円の見舞金を支払い,各被害者から宥恕を得ており,発生した人的・物的損害についても,被告人運転車両に掛けられた保険によりしかるべき賠償金が支払われる見込みであること,被告人が本件犯行を認め,深く反省後悔しており,今後は自動車を運転するつもりはなく,また,アメリカで取得した国際運転免許証も更新しないつもりであると述べていること,まだ25歳と若く,交通違反歴はあるものの前科はないこと,被告人の兄が被告人の更生を援助し監督する旨約束していることなど,被告人に有利に酌むべき事情もあるので,これらの諸情状を総合勘案すると,被告人に対しては,今回に限り,その刑の執行を猶予して社会内で更生する機会を与えるのが相当である。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑懲役2年)平成14年3月28日東京地方裁判所刑事第15部裁判長裁判官岡田雄一裁判官市川太志裁判官岸野康隆

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