平成15(行ケ)286 特許取消決定取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成16年2月4日 東京高等裁判所
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平成15年(行ケ)第286号特許取消決定取消請求事件(平成16年1月21日口頭弁論終結)判決原告グンゼ株式会社訴訟代理人弁理士三枝英二同斎藤健治同林雅仁同関仁士被告特許庁長官今井康夫指定代理人野村康秀同高梨操同一色由美子同伊藤三男 主文 特許庁が異議2001-72303号事件について平成15年5月13日にした決定を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文と同旨第2 当事者間に争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯(1) 原告は,名称を「ラベル用低温熱収縮性フィルム」とする特許第3138754号発明(平成10年10月28日出願〔優先権主張平成9年12月5日・日本〕,平成12年12月15日設定登録,以下「本件発明」といい,この特許を「本件特許」という。)に係る特許権者である。 その後,本件特許につき特許異議の申立てがされ,同申立ては,異議2001-72303号事件として特許庁に係属したところ,原告は,平成14年10月8日,本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載等の訂正(以下「本件訂正」という。)を請求し 号事件として特許庁に係属したところ,原告は,平成14年10月8日,本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載等の訂正(以下「本件訂正」という。)を請求した。 特許庁は,上記事件につき審理した結果,平成15年5月13日,「特許第3138754号の請求項1ないし8に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし,その謄本は,同年6月4日,原告に送達された。 (2) 原告は,本件決定の取消しを求める本訴を提起した後,同年7月22日,本件明細書の特許請求の範囲の記載等の訂正をする旨の訂正審判の請求をしたところ,特許庁は,同請求を訂正2003-39148号事件として審理した上,同年12月2日,訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決という。)をし,その謄本は,同月16日,原告に送達された。 2 本件明細書の特許請求の範囲の記載(1) 設定登録時のもの(以下,その明細書を「登録明細書」という。)【請求項1】80℃における1方向の熱収縮率Yと熱収縮時間t(秒)(1≦t≦5)との関係を示す相関図において,そのY′が,式1と式2とで示される範囲内にあり,且つ,その熱収縮率Yが式3と式4とで示される熱収縮率の範囲内にある,少なくとも1層の熱可塑性樹脂を含むラベル用低温熱収縮性フィルム。 Y′=-1.05t2+12.05t (式1)Y′=-0.30t2+2.90t (式2)Y=-1.05t2+12.05t+40 (式3)Y=-0.30t2+2.90t+9 (式4)(ただし,Y=at2+bt+cのとき,Y′=Y-c=at2+btを表す。)【請求項2】前記フィルムが熱可塑性ポリエス Y=-0.30t2+2.90t+9 (式4)(ただし,Y=at2+bt+cのとき,Y′=Y-c=at2+btを表す。)【請求項2】前記フィルムが熱可塑性ポリエステル系樹脂を含む請求項1に記載のラベル用低温熱収縮性フィルム。 【請求項3】前記フィルムが,ポリスチレン樹脂,耐衝撃性ポリスチレン樹脂,及びグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む中間層(B)と,スチレン-ブタジエンブロックコポリマーを主成分とする樹脂系からなる内外層(A),(C)とを,(A)/(B)/(C)の順に積層したフィルムである請求項1に記載のラベル用低温熱収縮性フィルム。 【請求項4】内外層(A),(C)が,ブタジエン含有量10~40重量%のスチレン-ブタジエンブロックコポリマー100重量部に,ポリスチレン樹脂を2~100重量部混合した樹脂系を含む請求項3に記載のラベル用低温熱収縮性フィルム。 【請求項5】前記中間層(B)に紫外線吸収剤をさらに含む請求項3又は4に記載のラベル用低温熱収縮性フィルム。 【請求項6】250~380nmの波長領域における光線透過率の最大値が25%以下である請求項1~5のいずれかに記載のラベル用低温熱収縮性フィルム。 【請求項7】請求項1~6のいずれかに記載のフィルムを,70~84℃でのラベルの熱収縮装置に適した容器に適用する工程,70~84℃で熱収縮する工程を含む熱収縮性フィルムの装填方法。 【請求項8】請求項1~6のいずれかに記載のフィルムを容器に熱収縮装着した包装体。 (以下,上記請求項1係る発明を,「本件発明1」という。)(2) 本件訂正審決に係るもの(注,訂正部分を下線で示 請求項1~6のいずれかに記載のフィルムを容器に熱収縮装着した包装体。 (以下,上記請求項1係る発明を,「本件発明1」という。)(2) 本件訂正審決に係るもの(注,訂正部分を下線で示す。なお,この訂正により設定登録時の請求項2及び3は削除され,これに伴い設定登録時の請求項4~8がそれぞれ請求項2~6とされた。)【請求項1】80℃における1方向の熱収縮率Yと熱収縮時間t(秒)(1≦t≦5)との関係を示す相関図において,そのY′が,式1と式2とで示される範囲内にあり,且つ,その熱収縮率Yが式3と式4とで示される熱収縮率の範囲内にある,3層の熱可塑性樹脂からなるラベル用低温熱収縮性フィルムであって,該フィルムがポリスチレン樹脂,耐衝撃性ポリスチレン樹脂,及び熱可塑性エラストマーが添加されたグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む中間層(B)と,スチレン-ブタジエンブロックコポリマーを主成分とする樹脂系を含む内外層(A),(C)とを,(A)/(B)/(C)の順に積層したフィルムであり,かつ,中間層(B)の厚みは全体の厚みの65~85%であるラベル用低温熱収縮性フィルム。 Y′=-1.05t2+12.05t (式1)Y′=-0.30t2+2.90t (式2)Y=-1.05t2+12.05t+40 (式3)Y=-0.30t2+2.90t+9 (式4)(ただし,Y=at2+bt+cのとき,Y′=Y-c=at2+btを表す。)【請求項2】内外層(A),(C)が,ブタジエン含有量10~40重量%のスチレン-ブタジエンブロックコポリマー100重量部に,ポリスチレン樹脂を2~100重量部混合した樹脂系 を表す。)【請求項2】内外層(A),(C)が,ブタジエン含有量10~40重量%のスチレン-ブタジエンブロックコポリマー100重量部に,ポリスチレン樹脂を2~100重量部混合した樹脂系を含む請求項1に記載のラベル用低温熱収縮性フィルム。 【請求項3】前記中間層(B)に紫外線吸収剤をさらに含む請求項1又は2に記載のラベル用低温熱収縮性フィルム。 【請求項4】250~380nmの波長領域における光線透過率の最大値が25%以下である請求項1~3のいずれかに記載のラベル用低温熱収縮性フィルム。 【請求項5】請求項1~4のいずれかに記載のフィルムを,70~84℃でのラベルの熱収縮装置に適した容器に適用する工程,70~84℃で熱収縮する工程を含む熱収縮性フィルムの装填方法。 【請求項6】請求項1~4のいずれかに記載のフィルムを容器に熱収縮装着した包装体。 3 本件決定の理由本件決定は,本件訂正は,特許法120条の4第3項において準用する同法126条2項の規定に適合しないので認められないとして,本件発明の要旨を登録明細書の特許請求の範囲の記載(上記2(1))のとおり認定した上,登録明細書の発明の詳細な説明には,当業者が本件発明1を実施できる程度に明確かつ十分な記載がされていないし,本件発明1の技術上の意義を理解するために必要な事項も記載されていないから,請求項1~8に係る本件特許は,同法36条4項の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって,同法113条4号に該当し,取り消されるべきものであるとした。 第3 原告主張の本件決定取消事由本件決定が,本件発明の要旨を登録明細書の特許請求の範囲の記載(上記第2の2(1))のとおり認定した点は,本件訂正審決の確定 消されるべきものであるとした。 第3 原告主張の本件決定取消事由本件決定が,本件発明の要旨を登録明細書の特許請求の範囲の記載(上記第2の2(1))のとおり認定した点は,本件訂正審決の確定により本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2の2(2)のとおり訂正されたため,誤りに帰したことになるから,本件決定は,本件発明の要旨の認定を誤った違法があり,取り消されるべきである。 第4 被告の主張本件訂正審決の確定により本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正されたことは認める。 第5 当裁判所の判断本件訂正審決の確定により,本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2の2(2)のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,この訂正によって特許請求の範囲が減縮されたことは明らかである。 そうすると,本件決定が,本件発明の要旨を本件訂正に係る本件明細書の特許請求の範囲の記載(上記第2の2(1))のとおり認定したことは,結果的に誤りであったことに帰し,これが本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,本件決定は,瑕疵があるものとして取消しを免れない。 よって,原告の請求は理由があるから認容することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第13民事部裁判長裁判官篠原勝美裁判官岡本岳裁判官早田尚貴

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