平成13年(行ケ)第305号審決取消請求事件(平成13年10月24日口頭弁論終結)判決原告キャノン株式会社訴訟代理人弁護士中島敏同弁理士川口嘉之被告東洋インキ製造株式会社訴訟代理人弁護士沼田安弘同宮之原陽一同川西秀樹同長田敦同上田美帆同弁理士鐘尾宏紀 主文 特許庁が無効2000-35271号事件について平成13年6月5日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告主文と同旨 2 被告原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 第2 当事者間に争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯(1) 原告は、名称を「現像方法及び絶縁性磁性現像剤」とする特許第1715170号発明(昭和56年4月30日特許出願、平成4年11月27日設定登録、以下「本件発明」といい、その特許を「本件特許」という。)の特許権者である。 被告は、平成12年5月18日、本件特許につき無効審判の請求をした。 特許庁は、同請求を、無効2000-35271号事件として審理した上、平成13年6月5日、「特許第1715170号の特許請求の範囲に記載された発明1、2についての特許を無効とする。」 した。 特許庁は、同請求を、無効2000-35271号事件として審理した上、平成13年6月5日、「特許第1715170号の特許請求の範囲に記載された発明1、2についての特許を無効とする。」との審決(以下「本件無効審決」という。)をし、その謄本は同月18日原告に送達された。 (2) 原告は、本件無効審決の取消しを求める本訴提起後の平成13年7月30日、願書に添付した明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の各記載を訂正する旨の訂正審判の請求をしたところ、特許庁は、同請求を訂正2001-39119号事件として審理した上、平成13年9月26日、上記訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決」といい、本件訂正審決に係る訂正を「本件訂正」という。)をし、その謄本は同年10月9日原告に送達された。 2 特許請求の範囲の記載(1) 本件訂正前の明細書の特許請求の範囲の記載 1 静電像を表面に保持する静電像保持体と、絶縁性磁性現像剤を表面に担持する現像剤担持体とを現像部において一定の間隔を設けて配置し、前記絶縁性磁性現像剤を現像剤担持体上に、前記間隙よりも薄い厚さに担持させ、前記現像剤を磁界の作用下で、前記静電像担持体に移動させて現像する現像方法に於て、前記現像剤として、平均粒子径5~30μの磁性トナーと、添加剤粒子としての平均一次粒子径1~30mμの微粉末被処理シリカと、平均一次粒子径150mμ~5μの無機酸化物(但し、一次平均粒子径5~100mμのコロイダイルシリカまたはアルミナ粉末を造粒したものおよびSn02系無機酸化物は除く)とを含有する現像剤を使用することを特徴とする現像方法。 2 静電像を表面に保持する静電像保持体と、絶縁性磁性現像剤を表面に担持する現像剤担持体とを現像部において一定の間隔を設けて配置し、前記絶縁 含有する現像剤を使用することを特徴とする現像方法。 2 静電像を表面に保持する静電像保持体と、絶縁性磁性現像剤を表面に担持する現像剤担持体とを現像部において一定の間隔を設けて配置し、前記絶縁性磁性現像剤を現像剤担持体上に、前記間隙よりも薄い厚さに担持させ、前記現像剤を磁界の作用下で、前記静電像担持体に移動させて現像する現像方法に使用される絶縁性磁性現像剤において、該現像剤が平均粒子径5~30μの磁性トナーと、添加剤粒子としての平均一次粒子径1~30mμの微粉末被処理シリカと、平均一次粒子径150mμ~5μの無機酸化物(但し、一次平均粒子径5~100mμのコロイダイルシリカまたはアルミナ粉末を造粒したものおよびSn02系無機酸化物は除く)とを含有することを特徴とする絶縁性磁性現像剤。 (2) 本件訂正によって訂正された明細書の特許請求の範囲の記載(注、訂正部分を下線で示す。) 1 静電像を表面に保持する静電像保持体と、絶縁性磁性現像剤を表面に担持する現像剤担持体とを現像部において一定の間隔を設けて配置し、前記絶縁性磁性現像剤を現像剤担持体上に、前記間隙よりも薄い厚さに担持させ、前記現像剤を磁界の作用下で、前記静電像担持体に移動させて現像する現像方法に於て、前記現像剤として、平均粒子径5~30μの磁性トナーと、添加剤粒子としての平均一次粒子径1~30mμの疎水性シリカ微粉末と、平均一次粒子径150mμ~5μの無機酸化物(但し、一次平均粒子径5~100mμのコロイダイルシリカまたはアルミナ粉末を造粒したものおよびSn02系無機酸化物は除く)とを含有する現像剤を使用することを特徴とする現像方法。 2 静電像を表面に保持する静電像保持体と、絶縁性磁性現像剤を表面に担持する現像剤担持体とを現像部において一定の間隔を設けて配置し 除く)とを含有する現像剤を使用することを特徴とする現像方法。 2 静電像を表面に保持する静電像保持体と、絶縁性磁性現像剤を表面に担持する現像剤担持体とを現像部において一定の間隔を設けて配置し、前記絶縁性磁性現像剤を現像剤担持体上に、前記間隙よりも薄い厚さに担持させ、前記現像剤を磁界の作用下で、前記静電像担持体に移動させて現像する現像方法に使用される絶縁性磁性現像剤において、該現像剤が平均粒子径5~30μの磁性トナーと、添加剤粒子としての平均一次粒子径1~30mμの疎水性シリカ微粉末と、平均一次粒子径150mμ~5μの無機酸化物(但し、一次平均粒子径5~100mμのコロイダイルシリカまたはアルミナ粉末を造粒したものおよびSn02系無機酸化物は除く)とを含有することを特徴とする絶縁性磁性現像剤。 3 本件無効審決の理由本件無効審決は、本件訂正前の明細書の記載に従って明細書の記載要件の充足性について判断し、①特許請求の範囲の「微粉末被処理シリカ」との記載において、発明の詳細な説明に記載した発明の構成に欠くことのできない事項のみが記載されていない不備があり、また、②発明の詳細な説明には、この「微粉末被処理シリカ」が具体的にどのような処理を受けたものであるか不明であって、当業者が容易に発明を実施することができる程度に構成、効果が記載されていない不備があるとして、本件特許は、特許法36条3項及び4項(注、「平成2年法律第30号による改正前の特許法36条3項及び4項」の趣旨と解される。)に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法123条1項3号(注、「平成5年法律第26号による改正前の特許法123条1項3号」の趣旨と解される。)の規定によって無効とすべきものとした。 第3 当事者の主張 1 原告本件 るから、同法123条1項3号(注、「平成5年法律第26号による改正前の特許法123条1項3号」の趣旨と解される。)の規定によって無効とすべきものとした。 第3 当事者の主張 1 原告本件無効審決が、本件訂正前の明細書の特許請求の範囲に「微粉末被処理シリカ」と記載されていることを前提としてした認定判断は、本件訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正され、これによって特許請求の範囲が減縮されたため、誤りに帰したことになる。そして、この瑕疵は本件無効審決の結論に影響を及ぼすものであるから、本件無効審決は違法として取り消されるべきである。 2 被告本件訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正され、これによって特許請求の範囲が減縮されたことは認める。 第4 当裁判所の判断本件訂正審決の確定により、特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正されたこと、この訂正によって特許請求の範囲が減縮されたことは当事者間に争いがない。 そうすると、本件無効審決が、本件訂正前の明細書の特許請求の範囲の記載を前提としてした認定判断は、結果的に誤りであったことに帰する。そして、これが本件無効審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、本件無効審決は、瑕疵があるものとして取消しを免れない。 よって、原告の請求は理由があるから認容し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第13民事部裁判長裁判官篠原勝美裁判官長沢幸男裁判官宮坂昌利 勝美 裁判官 長沢幸男 裁判官 宮坂昌利
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