平成23年6月3日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成22年(ワ)第30074号特許権移転登録抹消登録請求事件口頭弁論終結日平成23年4月25日判決東京都千代田区〈以下略〉原告ロイズ・アンド・アソシエイツ株式会社同訴訟代理人弁護士日野修男東京都港区〈以下略〉(商業登記簿上の本店所在地及び特許登録原簿上の住所)東京都港区〈以下略〉被告株式会社セコー技研同訴訟代理人弁護士滝田裕主文 1 被告は,原告に対し,別紙特許権目録記載1ないし6の特許権について,平成22年5月26日特許庁受付第3665号をもってした本権の各移転登録の抹消登録手続をせよ。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求主文同旨第2 事案の概要 1 本件は,別紙特許権目録記載1ないし6の特許権(以下「本件各特許権」といい,同目録記載1ないし6の各特許権を「本件特許権1」ないし「本件特許権6」という。)を有すると主張する原告が,本件各特許権を被告へ譲渡したことがないにもかかわらず,これらを被告へ移転した旨の登録がされているとして,本件各特許権に基づき,被告に対し,本件各特許権の本権の移転登録の 抹消登録手続を求める事案である。 2 前提となる事実(証拠等を掲記した事実を除き,当事者間に争いがない。)(1) 原告は,平成15年5月22日に設立された,特許権の取得,保有,運用等を主たる事業目的とする株式会社である。(甲1)被告は,エレクトロニクスに関連する研究試作等を主たる事業目的とする株式会社である。 (2) 被告は,本件特許権1につき平成11年8月13日に,本件特許権2ない 目的とする株式会社である。(甲1)被告は,エレクトロニクスに関連する研究試作等を主たる事業目的とする株式会社である。 (2) 被告は,本件特許権1につき平成11年8月13日に,本件特許権2ないし4につき平成11年11月19日に,本件特許権5につき平成12年4月28日に,各特許権の権利者として設定登録を受けた。(甲3の1~5)原告の代表取締役であるA(以下「A」という。)は,本件特許権6の権利者として,平成16年4月9日に設定登録を受けた。(甲3の6)(3) 平成15年1月31日当時,被告は,本件特許権1ないし5の特許権者であり,かつ,特許出願(平成5年8月2日特許出願,特願平5-227731号)中で平成16年4月9日に本件特許権6として登録された発明についての特許を受ける権利(以下,特許権設定登録を受ける前の特許を受ける権利も含むものとして「本件特許権6」という。)を有していた。 (4) 本件特許権1,2及び5については,平成15年6月18日特許庁受付第4453号(同月30日登録)をもって,原告に対する特許権の移転登録がされている。(甲3の1,2及び5)本件特許権3及び4については,平成15年6月12日特許庁受付第4326号(同月24日登録)をもって,原告に対する特許権の移転登録がされている。(甲3の3及び4)本件特許権6については,平成16年12月13日特許庁受付第7433号(同月27日登録)をもって,原告に対する特許権の移転登録がされている。(甲3の6)(5) 本件各特許権について,平成22年5月26日特許庁受付第3665号を もって,被告に対する特許権の移転登録がされている。(甲3の1~6)しかしながら,本件各特許権に係る平成22年5月26日付けの特許権移転登録申請書(甲4)の原告作成名義部 65号を もって,被告に対する特許権の移転登録がされている。(甲3の1~6)しかしながら,本件各特許権に係る平成22年5月26日付けの特許権移転登録申請書(甲4)の原告作成名義部分(申請人(登録義務者)欄)は偽造されたものであり,原告から被告に対する上記の特許権の移転登録は無効なものである。 3 争点原告が本件各特許権を取得したか否か 4 争点に関する当事者の主張(1) 原告の主張ア原告は,本件各特許権を以下のとおり取得した。 (ア) Aは,平成15年1月31日,被告から,本件特許権1ないし5及び当時特許出願中で平成16年4月9日に本件特許権6として登録された発明についての特許を受ける権利を含む当時被告が有していた全ての特許権(米国特許権も含む)及び特許を受ける権利を166万円で譲り受けた(以下「本件譲渡契約」という。)。 本件譲渡契約に係る特許権譲渡契約書(甲7。以下「本件譲渡契約書」という。)及び特許権譲渡契約公正証書(甲8の1)には,譲渡対象となる特許権として4件の特許権(本件特許権1,2及び5を含む。)の記載漏れがあったため,平成15年6月3日付けの特許権譲渡契約書付記事項(甲8の2。以下「本件付記事項書」という。)をもって,記載が漏れていた上記4件の特許権が本件譲渡契約における譲渡の対象であることを確認した。 (イ) 原告の設立(平成15年5月22日)後,原告は,Aから,本件各特許権を譲り受けた。 (ウ) 上記2(2),(4)のとおり,本件特許権1ないし5については,中間省略登録として被告から原告へ移転登録がされ,本件特許権6については, Aが権利者として設定登録を受け,Aから原告へ移転登録がされた。 イ仮に,本件特許権1,2及び5が本件譲渡契 省略登録として被告から原告へ移転登録がされ,本件特許権6については, Aが権利者として設定登録を受け,Aから原告へ移転登録がされた。 イ仮に,本件特許権1,2及び5が本件譲渡契約における譲渡対象に含まれないとしても,原告は,本件各特許権を以下のとおり取得した。 (ア) Aは,平成15年1月31日,被告から,本件特許権3,4及び当時特許出願中で平成16年4月9日に本件特許権6として登録された発明についての特許を受ける権利を含む28件の特許権(米国特許権も含む)及び特許を受ける権利を166万円で譲り受けた。 (イ) Aは,平成15年6月3日,本件付記事項書(甲8の2)に基づき,被告から,本件特許権1,2及び5を含む4件の特許権を譲り受けた。 (ウ) 原告の設立(平成15年5月22日)後,原告は,Aから,本件各特許権を譲り受けた。 (エ) 上記2(2),(4)のとおり,本件特許権1ないし5については,中間省略登録として被告から原告へ移転登録がされ,本件特許権6については,Aが権利者として設定登録を受け,Aから原告へ移転登録がされた。 (2) 被告の主張原告が本件各特許権を被告がAに譲渡したと主張する平成15年1月31日当時,被告の当時の代表取締役であったBは体調を崩しており契約を締結できる状況ではなかった。また,Bは同年7月に死亡しており,特許権譲渡契約公正証書(甲8の1),本件付記事項書(甲8の2),譲渡証書(甲10,12)等が作成された同年6月当時には衰弱して,正常な状態で活動することはできず,公正証書が作成された東京都港区新橋所在の公証人役場まで出向く体力もなかった。 本件譲渡契約書(甲7)のBの署名は本人の署名ではなく,同契約書は被告の全ての資産の譲渡であるにもかかわらず取締役会の議 証書が作成された東京都港区新橋所在の公証人役場まで出向く体力もなかった。 本件譲渡契約書(甲7)のBの署名は本人の署名ではなく,同契約書は被告の全ての資産の譲渡であるにもかかわらず取締役会の議事録も存在しない。 また,被告の本店所在地は平成15年2月1日に東京都渋谷区から東京都練馬区へ移転しているにもかかわらず,平成15年6月11日付けで作成され た委任状(甲9の2,11の2)及び譲渡証書(甲10,12)には,移転前の被告の本店所在地が記載されているが,正常な状態であればBがこのような記載をすることはない。 したがって,原告が主張する被告からAへの本件各特許権の譲渡は,被告の代表取締役であったBが行ったものではなく,同人の意思表示を欠く無効なものであり,原告は本件各特許権を取得していない。 第3 当裁判所の判断 1 証拠(甲7,17)によれば,本件譲渡契約書(甲7)の被告代表取締役名下の印影は,印鑑証明書(甲17)における被告の登録印の印影と同一であると認められる。したがって,本件譲渡契約書の被告代表取締役名下の印影は,被告の登録印によって顕出されたものと認められ,本件譲渡契約書の被告代表取締役名下の印影は,当時の被告代表取締役Bの意思に基づいて顕出されたものと推定されるから,本件譲渡契約書は真正に成立したものと推定される。そして,本件全証拠によるも,上記推定を覆すに足りない。 また,証拠(甲7,8の2,乙1,4)によれば,本件付記事項書(甲8の2)のB(当時の被告代表取締役)の署名は,被告がBの真正な署名であるとして提出した乙4の付箋部分の署名と対照すると,字の崩し方に若干の相違はあるものの筆致に共通する部分が多く,その筆跡は同一であると肯認できるので,その署名は真正なものと認められるから,本件付記事項書 して提出した乙4の付箋部分の署名と対照すると,字の崩し方に若干の相違はあるものの筆致に共通する部分が多く,その筆跡は同一であると肯認できるので,その署名は真正なものと認められるから,本件付記事項書は真正に成立したものと推定され,これを覆すに足りる証拠はない。 そして,本件譲渡契約書(甲7)によれば,被告は,平成15年1月31日,Aに対し,本件特許権3,4及び本件特許権6に係る発明についての特許を受ける権利を含む28件の特許権及び特許を受ける権利を譲渡したことが認められ,本件付記事項書(甲8の2)によれば,被告は,平成15年6月3日,本件特許権1,2及び5を含む4件の特許権を本件譲渡契約の対象に加え,これらの特許権をAに対して譲渡するものとしたことが認められる。 また,Aは,平成15年5月22日,被告から譲り受けた本件各特許権等を管理等するために原告を設立し,その後,原告に対する移転登録手続がされるまでの間に,原告に対して本件各特許権を譲渡したものと認められる(甲1,14の1及び2,18,弁論の全趣旨)。 したがって,原告は,遅くとも原告に対する前記第2,2(4)の各移転登録手続がされるまでには,本件各特許権を取得したものと認められる。 2 被告は,被告の代表取締役であったBは,平成15年1月31日当時体調を崩しており契約を締結できる状況ではなかった,本件付記事項書(甲8の2)等が作成された同年6月当時には衰弱して正常な状態で活動することはできず,Aへの本件各特許権の譲渡は,被告代表取締役であったBが行ったものではなく,同人の意思表示を欠く無効なものであると主張する。 しかしながら,被告代表取締役であったBが被告を代表してAに対し本件各特許権を譲渡したと認められることは,上記1に説示したとおりである。 く,同人の意思表示を欠く無効なものであると主張する。 しかしながら,被告代表取締役であったBが被告を代表してAに対し本件各特許権を譲渡したと認められることは,上記1に説示したとおりである。 Bの子であるCが作成した書面には,平成15年6月当時,Bは「歩ける状態ではない」(乙3),「病床に臥している状態で外出など出来る状態ではなかったはずです」(乙5)と記載されている。しかしながら,上記各書証は,その作成日(乙3は平成22年11月28日付け,乙5は平成23年3月30日付け)及び体裁から被告がCに依頼して本件訴訟に提出するために作成されたものであることが認められ,その記載の客観性は必ずしも高いものと評価することはできない上,平成15年当時のBの健康状態や病状を示す客観的な資料は全く提出されていないのであって,上記各書証のみから被告主張の事実を認めることはできず,ほかに被告の主張を認めるに足りる的確な証拠はない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 3 結論以上によれば,原告の請求はいずれも理由があるからこれらを認容することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 岡本 岳 裁判官 坂本康博 裁判官 寺田利彦 (別紙)特許権目録 1 登録番号特許第2964417号出願年月日平成2年7月12日登録年月日平成11年8月13日発明の名称直流電動機の整流子装置 2 登録番号特許第3002902号出願年月日平成2年12月28日登録年月日平成11年11月19日発明の名称段差を乗越える電動車 電動機の整流子装置 2 登録番号特許第3002902号出願年月日平成2年12月28日登録年月日平成11年11月19日発明の名称段差を乗越える電動車 3 登録番号特許第3002915号出願年月日平成3年8月5日登録年月日平成11年11月19日発明の名称インダクタンスコイルの通電制御装置 4 登録番号特許第3002918号出願年月日平成3年9月6日登録年月日平成11年11月19日発明の名称インダクタンスコイルの通電制御装置 5 登録番号特許第3060325号出願年月日平成3年1月24日登録年月日平成12年4月28日 発明の名称高速直流電動機 6 登録番号特許第3541199号出願年月日平成5年8月2日登録年月日平成16年4月9日発明の名称リラクタンス電動機
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