平成18(ワ)963 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成20年9月9日 那覇地方裁判所 棄却
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判決文本文70,643 文字)

主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告は,原告に対し,2000万円及びこれに対する平成18年8月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,宮古島市更竹地区において宮古島リハビリ温泉病院(以下「原告病」。),(「」。)院というを運営し同病院内に温泉施設以下本件温泉施設というを開設した原告が,旧宮古島上水道企業団(以下「企業団」という)及び旧。 宮古広域圏事務組合(以下「事務組合」という)の権利義務を承継した被告。 に対し,企業団が十分な科学的根拠がないにもかかわらず,宮古島の地下水流域の一つである白川田流域の地下水の塩素イオン濃度(以下,単に「塩素イオン濃度」というときは,白川田流域の地下水に含まれる塩素イオンの濃度をいう)が急激に上昇したのは,本件温泉施設からの排水(以下「温泉排水」と。 いう)が原因である旨公表したことや,原告に対し温泉排水の地下浸透処理。 を中止するよう要請したことなどが,違法であると主張して,国家賠償法1条1項に基づき,原告に生じた損害の内金2000万円の支払を求める事案である(附帯請求は,訴状送達の日の翌日である平成18年8月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金。 。) 前提となる事実(当事者間に争いがないか,証拠により容易に認定することができる事実)(1)当事者ア原告は,平成5年9月3日に設立され,宮古島市更竹地区において,原告病院を運営し,その後,同病院内に温泉施設を開設した医療法人で ある。 原告病院のベッド数は334床,全職員数は220~230人である(弁論の全趣旨。 )イ被告は,平成17年10月,旧平良市,旧城辺町,旧下地町,旧伊良 院内に温泉施設を開設した医療法人で ある。 原告病院のベッド数は334床,全職員数は220~230人である(弁論の全趣旨。 )イ被告は,平成17年10月,旧平良市,旧城辺町,旧下地町,旧伊良部町及び旧上野村(以下併せて「旧市町村」という)が合併して誕生し。 た地方公共団体であり,旧市町村の権利義務を包括的に承継した。 被告は,上記合併に伴い,従前宮古島圏域の水道行政を行ってきた旧宮古島上水道企業団(企業団)の権利義務を承継するとともに,旧市町村の地下水の保全・管理を行ってきた旧宮古広域圏事務組合(事務組合)の権利義務も承継した。 (2)宮古島の地下水源についてア宮古島の概況及び地質(ア)宮古群島は琉球列島のほぼ中央に位置し,沖縄本島から南西約340㎞の地点にある大小8つの島からなり,同群島中,最大の宮古島の面積は約159㎢である。 宮古島は亜熱帯性海洋気候に属するところ,宮古島地方気象台(宮古島市平良所在)が観測した平成17年の年平均気温は23.5℃,降水量は2094.0㎜,日照時間は1627.9時間であった。 宮古島の人口は,平成17年12月末の時点で4万9753人,世帯数は1万9906世帯で,平成10年の調査以降横ばいの状況にあり,同島の人口の7割は,宮古島市平良地区に居住している。 宮古島の平成16年度の土地利用状況は,宮古島支庁農林水産課の統計によれば,森林,耕地及びその他(住宅・商工地,道路,牧場,ゴル),(. フ場等の3つに区分して算出すると森林面積が2573ha 6%,耕地面積が9270ha(56.1%,その他の面積が46))86ha(28.4%)であった。 なお,宮古島では,昭和59年以降肥料の販売量は目立って減り続けており,本件当時は横ばいの状況にあった。平成16年度に肥料によって ,その他の面積が46))86ha(28.4%)であった。 なお,宮古島では,昭和59年以降肥料の販売量は目立って減り続けており,本件当時は横ばいの状況にあった。平成16年度に肥料によって供給された(硝酸性)窒素量は,前年度より減少した。上記肥料は,化学肥料が93%を占め,有機肥料は肥料全体の3%を占めるにすぎない状況にあった。 (イ)宮古島は,島全体が隆起したサンゴ起源の琉球石灰岩に覆われ,平均標高約60mのおおむね三角形の形状をした平たんな島である。 宮古島の地質は,断層運動によって形成された北西から南東に向かう数条の尾根状の高まり(以下「隆起部分」という)が発達し,同隆起。 部分の北東側斜面の傾斜が急で南西側斜面の傾斜は緩くなるケスタ地形となっている。 宮古島の表面には島尻マージと呼ばれる暗赤褐色をした土壌が広く分布しており,その下には,第三紀鮮新世のシルト質粘土からなる島尻層群泥岩(以下「島尻層群」という)と,これを不整合におおう第四紀。 中期ないし後期の石灰岩の層群(以下「琉球石灰岩層」という)から。 構成される。このうち粘土層の発達した島尻層群は,宮古島の地質基盤の不透水層(以下「不透水基盤」という)を形成しているのに対し,。 琉球石灰岩層は空隙の多いサンゴ性たい積物からなり透水性が良いことから帯水層を形成している。 イ宮古島の地下水流域(ア)このような宮古島の地質構造により,降水のほとんどは表層を流れることなく地下に浸透し地下水となるため,河川はほとんど発達していない。すなわち,宮古島の年間平均降水量は約2200㎜であるところ,そのうち約50%は蒸発散し,10%は地表流出し,残りの40%が地下に浸透し地下水となる。琉球石灰岩層に浸透した地下水は,不透水基盤の上面に沿って流下し,一部は海岸で湧水となって流出 であるところ,そのうち約50%は蒸発散し,10%は地表流出し,残りの40%が地下に浸透し地下水となる。琉球石灰岩層に浸透した地下水は,不透水基盤の上面に沿って流下し,一部は海岸で湧水となって流出する。 (イ)このため,宮古島の水資源は,主として地下水に依存しており,企業団は宮古島の地下水流域を不透水基盤の断層によって形成される流域ごとに,別紙図面1のとおり区分して把握している。 上記流域の一つである白川田流域は,企業団の上水道の主要な水源であり,同流域は,宮古島市熱帯植物園付近に所在する断層以東を占め,島尻層群を不透水基盤として,琉球石灰岩層を帯水層とした地下水盆中に地下水を蓄え,白川田,山川の両湧水から流出している。 ,,白川田流域の不透水基盤の上面等高線は別紙図面2のとおりであり同流域内の地下水はこの不透水基盤に沿って流下していると推測される。白川田流域の流域面積は,10.293㎢であり,同流域内の地下水盆の地下水貯留量は259.1万㎥~499.2万㎥と推定されている。 本件温泉施設のある原告病院は,別紙図面2の「宮古島リハビリ温泉病院」と記載された場所にあり,同病院は白川田流域と東添道流域の境界上に位置し,南側の仲原流域及び砂川流域にも近接している。 ウ宮古島の上水道宮古島の上水道は,白川田,山川の両湧水と,高野,前福,西底原,袖山,大野,ニャーツ,底原,添道,加治道及び加治道西の10か所の井戸から取水されており,配水系統は袖山浄水場系統と加治道上水道系統に分。 ,,,,,,,,かれる袖山浄水場は白川田山川高野前福西底原袖山大野ニャーツ,底原及び添道の各水源地を水源とし,平良,下地,上野及び城,。 辺西部へ給水しており同浄水場の処理能力は日量2万9961㎥である白川田及び山川の両湧 山川高野前福西底原袖山大野ニャーツ,底原及び添道の各水源地を水源とし,平良,下地,上野及び城,。 辺西部へ給水しており同浄水場の処理能力は日量2万9961㎥である白川田及び山川の両湧水は,企業団の主要な水源となっており,宮古島で使用されている上水道水の約70%を供給している。 平成10年度の宮古島における1人1日当たりの上水道使用量は412ℓであった。 なお,水道法4条2項に基づく厚生労働省の水質基準に関する省令は,上水道により供給される水について,塩素イオン(塩化物イオン)濃度は1ℓあたり200mg以下とする基準(以下,この数値を「基準値」という)に適合しなければならない旨定めている。 。 (乙7~11)(3)事実経過ア本件温泉施設の開設準備原告は,患者に対する,より効果的な医療を実現するために温泉療法の効能に着目し,原告病院内に温泉施設を開設することを計画し,平成13年3月ころ,原告病院の敷地周辺における温泉湧出の可能性について調査を開始した。 調査の結果,温泉湧出の可能性があることが判明したので,原告は,沖縄県知事に対し,温泉法(平成19年法律第31号による改正前のもの。以下同じ)3条1項に基づく温泉掘削の許可を申請したところ,同。 知事は,平成13年10月22日ころ,これを許可した。 また,原告は,同年7月27日付けで,事務組合理事長に対し,宮古島地下水保護管理条例7条に基づく地下水採取の許可を申請し,同理事長は,原告に対し,同年12月26日付けで「温泉水採取のための掘削,に関して,周辺地下水流域及び水質への影響があってはならない」旨の。 掘削にかかわる条件を付して,宮古島地下水保護管理条例10条1項に基づき掘削許可証を交付した。 (乙12,13の1,2,乙15)イ本件温泉施設の開設原告は,平成 影響があってはならない」旨の。 掘削にかかわる条件を付して,宮古島地下水保護管理条例10条1項に基づき掘削許可証を交付した。 (乙12,13の1,2,乙15)イ本件温泉施設の開設原告は,平成14年10月から平成15年9月にかけて,総額約2億円の費用を投じて温泉掘削工事を行い,温泉を掘削するとともに(以下湧出した温泉水を「温泉源水」という,本件温泉施設の設備を整えた。 。) 原告が平成15年4月4日に依頼した財団法人鹿児島県環境技術協会による温泉分析によれば,温泉源水の泉温は48℃,湧出量は毎分306ℓ(動力揚湯)であり,塩素イオン濃度は8671mg/ℓで,泉質はナトリウム-塩化物温泉(高張性,弱アルカリ性,高温泉)であった(乙14。 )原告は,平成15年5月20日ころ,沖縄県知事に対し,温泉法9条1項に基づく動力装置設置の許可を申請し,同知事は同法28条に基づき沖縄県自然保護審議会に対し意見を聴取したところ,同審議会は,同年9月18日ころ,温泉排水が高濃度の塩素イオンを含むので陸域環境に影響が及ばないよう,海域に流すなどの配慮を求める旨の答申をした(乙16。 ),,「()原告が同年8月ころ作成した宮古島リハビリ温泉病院更竹温泉の末端排水計画」と題する書面によれば,当時の原告病院の排水量は145.7t(うち温泉排水92.85t)であり,本件温泉施設があるB棟の浄化槽からの排水は浸透桝により地下浸透処理し,A棟の浄化槽からの排水は散水栓と埋設浸透配管により地下浸透処理する旨記載されていた(乙24。なお,原告の主張及び原告代表者の陳述書(甲17)によれば,1日当たりの温泉排水の量は約30tである。 。)沖縄県知事は,平成15年11月14日,原告に対し,温泉法13条1項に基づき温泉の利用の許可をし,原告は,同 原告代表者の陳述書(甲17)によれば,1日当たりの温泉排水の量は約30tである。 。)沖縄県知事は,平成15年11月14日,原告に対し,温泉法13条1項に基づき温泉の利用の許可をし,原告は,同年12月ころ,本件温泉施設を開設し,原告病院の患者らに対する温泉療法等を開始した。 なお,本件温泉施設の利用者は,平均1日当たり10人程度である(弁論の全趣旨。 )ウ温泉排水の地下浸透処理原告は,本件温泉施設の開設当初から,本件温泉施設がある原告病院のB棟の浄化槽を通して温泉排水を地下浸透処理していたものであり, その地点は白川田流域に面していた。なお,塩素イオンは,浄化槽を通しても,除去されるものではない。 宮古福祉保健所(以下「宮古保健所」という)は,平成16年2月3。 日,原告病院の浄化槽の排水のサンプルを採取し,分析を行った。その結果,原告病院のA棟の浄化槽(1570人槽。一部の温泉排水が流入している)の塩素イオン濃度は81mg/ℓであり,本件温泉施設がある。 B棟の浄化槽(70人槽。温泉排水の大半が流入している)の塩素イオ。 ン濃度は1700mg/ℓであった。なお,温泉排水が流入していないC棟の浄化槽(70人槽)の塩素イオン濃度は55mg/ℓであった。宮古保健所長は,平成16年2月27日,事務組合理事長に対し,地下水の保全・管理業務の参考とするため上記分析の結果を提供した。 (乙17,弁論の全趣旨)エ白川田流域における塩素イオン濃度の上昇傾向白川田流域の白川田,山川,高野及び大野の各水源地(以下,これらの水源地を併せていうときは「4水源」という)における平成12年4。 月から平成18年9月までの塩素イオン濃度の推移は別表1のとおりであるところ,企業団は,本件温泉施設開設後,白川田流域において過去に例がないほど塩素イオン濃 4水源」という)における平成12年4。 月から平成18年9月までの塩素イオン濃度の推移は別表1のとおりであるところ,企業団は,本件温泉施設開設後,白川田流域において過去に例がないほど塩素イオン濃度が上昇しつつあると認識し,平成16年2月以降,白川田流域内の4水源の水質について,常時水質検査を行うとともに,同流域内の井戸についても水質検査を行うこととした。 企業団は,本件温泉施設の周辺で確認された井戸についてA~Kの名称を付け(以下,個別の井戸を指すときは「A井戸」などという。なお,,()()。),各井戸の選定の経緯は後記第3 アアに記載のとおりであるその水質の調査を開始した。なお,上記各水源地及び本件各調査に係る井戸の位置は,別紙図面2のとおりである。 平成15年8月までの白川田流域内の4水源の塩素イオン濃度は,概 ね30~40mg/ℓ前後で推移していたところ,山川水源の塩素イオン濃度は,平成15年9月に70mg/ℓを超え,その後若干低下し,10月以降は60mg/ℓ台で推移していたものの,平成16年8月に再度上昇し,同年9月には,80mg/ℓを超えた。白川田水源においては,山川水源の塩素イオン濃度が上昇した平成15年9月以降,微増加傾向を示し,平成16年8月には60mg/ℓ近くに上昇した。高野水源においても,平成15年8月には30mg/ℓ程度で推移していた塩素イオン濃度が同年9月以降増加傾向を示し,平成16年6月には60mg/ℓ,同年9月には80mg/ℓに上昇した。大野水源については,高野水源ほどの塩素イオン濃度の上昇が認められないものの,ほぼ同様の傾向で塩素イオン濃度は推移し,平成16年9月には60mg/ℓに上昇した(別表1参照。 )白川田流域内にある井戸の塩素イオン濃度の状況は,16年2月以降,A井戸では が認められないものの,ほぼ同様の傾向で塩素イオン濃度は推移し,平成16年9月には60mg/ℓに上昇した(別表1参照。 )白川田流域内にある井戸の塩素イオン濃度の状況は,16年2月以降,A井戸では平均150mg/ℓ前後,B井戸では100mg/ℓ以下で安定的に推移していたが,C井戸においては,平成16年2月から8月まで180~300mg/ℓ前後で推移し,同年9月以降急激に上昇し(同月13日には1099mg/ℓ,同年10月に1600mg/ℓを超え,同月中旬に)は若干低下したものの,1300mg/ℓ程度と高値で推移していた(乙1の10ないし13頁)オ本件公表前の原告と企業団らの交渉企業団職員は,平成16年9月22日ころ,原告病院を訪れ,白川田流域において塩素イオン濃度が上昇している旨告知した。 事務組合のY5事務局長らは,同年10月14日及び15日,原告病院を再び訪れ,本件温泉施設開設後から白川田流域において塩素イオン濃度が上昇していることを理由として,原告に対し,温泉排水の地下浸透処理を自粛するよう要請した。また,企業団職員も,同月18日ころ,原告に対し,温泉排水の地下浸透処理を自粛するよう口頭で要請した。 原告は,上記各要請に対し,白川田流域における塩素イオン濃度の上昇の原因が温泉排水であるとする企業団らの対応に不満を感じたが,地域住民の不安も考慮し,温泉排水を白川田流域以外の地点に排水処理すること(以下「流域外処理」という)について検討する一方,白川田流。 域における塩素イオン濃度の上昇の原因が温泉排水によるものであるか調査,反論することとした。 企業団は,同年10月15日,財団法人沖縄県環境科学センター(以下「本件センター」という)に対し,白川田流域内にある水源地の塩素。 イオン濃度の上昇の原因について可能な限り把握すると ることとした。 企業団は,同年10月15日,財団法人沖縄県環境科学センター(以下「本件センター」という)に対し,白川田流域内にある水源地の塩素。 イオン濃度の上昇の原因について可能な限り把握するとともに,今後の監視体制・保全対策の検討のための緊急の初動的な原因究明調査(以下「本件第1調査」といい,後記の本件第2調査と併せていうときは「本件各調査」という)を依頼した。 。 そして,企業団は,原告に対し,温泉排水についての水質検査に協力するように依頼し,原告がこれに同意したので,企業団及び本件センターの職員らは,同年10月16日ころ,温泉排水の採水などを行った。 本件センターは,同年11月19日ころ,本件第1調査の結果を「宮古島における地下水の塩素イオン濃度高値に関する調査報告書以下本」(「件第1調査報告書」といい,後記する本件第2調査報告書と併せていう「」。)(,ときは本件各調査報告書というにまとめて提出したその内容は後記(4)イのとおりである。 。)他方で,原告は,同年11月5日ころ,本件温泉施設の温泉排水の流域外処理に対応するための貯蔵タンク(以下「流域外処理用の貯蔵タンク」という)の建設に着手した。 。 カ本件第1調査の結果の公表企業団のY6企業長(以下「Y6企業長」という)は,本件センター。 環境科学部のα部長,企業団のY7次長及びY8参事らが同席した上で, 平成16年11月19日,報道機関に対し,白川田流域内の4水源の塩素イオン濃度の上昇について,本件第1調査の結果を公表した。Y6企業長は,塩素イオン濃度が上昇した原因は,台風による風送塩の影響による可能性が高いとし,白川田流域内の4水源の塩素イオン濃度は,いずれも水質基準値を下回っており,上水道の水源として問題がないことを強調した。Y7次 ン濃度が上昇した原因は,台風による風送塩の影響による可能性が高いとし,白川田流域内の4水源の塩素イオン濃度は,いずれも水質基準値を下回っており,上水道の水源として問題がないことを強調した。Y7次長は「以前にも塩素イオン濃度の上昇は台風後に見,られ,今回も台風による風送塩の影響による可能性が高い」と述べた。 上記公表では,白川田流域内で温泉を利用する民間施設(本件温泉施設)付近の井戸で,塩素イオン濃度が基準値の8倍となる1600mg/ℓと高値を検出したが,今回の塩素イオン濃度の上昇には影響がないと考えられること,今後の温泉排水の影響の把握と対策をたてることが急務であること,本件温泉施設は温泉法や沖縄県の関係法令の基準をすべて満たしてはいるが,企業団としては,今後温泉排水の流域外処理を行うよう対策を進めていることなどが公表された(甲2,3。 )キ本件第2調査と本件公表本件第1調査は中間報告であったことから,本件センターは,平成16年12月9日ころ,2回目の調査(以下「本件第2調査」という)を。 開始し,平成17年1月ころ「宮古島における地下水の塩化物イオン濃,()」(「」。)度高値に関する調査その2報告書以下本件第2報告書というを提出した(その内容は後記(4)ウのとおりである。 。)企業団は,平成17年2月1日,白川田流域における塩素イオン濃度の上昇について,本件第2調査の結果に基づき,①高濃度の塩素イオンが検出された白川田流域内にある二つの井戸(C井戸及びI井戸)について「温泉排水の影響によるものと判断される」こと,②上記二つの井,戸とも,本件温泉施設の近隣に所在しており下流に白川田などの4水源があることから「今後の影響が懸念される」旨を公表した(以下「本,, 件公表」といい,上記①,②を主 こと,②上記二つの井,戸とも,本件温泉施設の近隣に所在しており下流に白川田などの4水源があることから「今後の影響が懸念される」旨を公表した(以下「本,, 件公表」といい,上記①,②を主たる内容とする本件公表に係る事実を「本件公表事実」という。 。)すなわち,本件公表では,本件第1調査で二つの井戸のうち一つから,基準値(1ℓあたり200㎎)をはるかに上回る1600㎎の塩素イオンが検出されたため,上記井戸近くにある本件温泉施設からの温泉排水との因果関係について調査を進めていたこと,塩素イオンの供給源として「風送塩」と「温泉排水」いずれかの可能性を探るため,塩素イオン濃度が上昇する以前の白川田水源の地下水に海水を混入した場合と,温泉源水を混入した場合の水質を比較検討する「混入シミュレーション」法(以下「本件シミュレーション」という)を実施し,この結果,温泉源。 水を混入した場合の水質の方が二つの井戸から採水した水の水質と類似していることから「温泉排水の影響が温泉から近い井戸に現れ,次の井,戸にも現れたと判断される」としたこと,トリリニアダイヤグラムによる解析でも,二つの井戸の水質が温泉源水の水質と近似していたこと,一方,4水源については今回の調査でも,温泉排水からの影響は明確にされず,前回に引き続き「台風後の風送塩の影響が高い」としたことなどが公表された。また,企業団は「仮に,温泉排水の影響が確認された,井戸と同様の均質な琉球石灰岩が連続していると仮定した場合,地下水の流動方向がほぼ一致するとして,いずれは高野水源-大野水源,その後は白川田水源山川水源へと影響の拡大が懸念されるとしつつ温,。」,「(泉排水の)流域外への排水開始後も引き続き調査を継続し,それでも塩素イオン濃度が低減しない場合,別の調査方法に その後は白川田水源山川水源へと影響の拡大が懸念されるとしつつ温,。」,「(泉排水の)流域外への排水開始後も引き続き調査を継続し,それでも塩素イオン濃度が低減しない場合,別の調査方法についても検討したい」。 とした。 本件公表に基づき宮古新報は2月2日温泉排水の影響と判断塩,,「」「素イオン濃度の上昇「白川田水源域の2井戸宮古島上水道企業団,拡」大懸念,調査は継続」との見出しで本件公表を報じ,宮古毎日新聞も同 日「地下水塩素イオン濃度2井戸で高濃度検出「白川田水源流域温,」」「,」泉排水が原因県環境科学センター調査結果企業団対策委員設置へとの見出しで本件公表を報じた。 (甲4,5。 )ク本件対策委員会の立ち上げ企業団は,平成17年2月9日,理事会を開き,白川田流域における塩素イオン濃度の上昇の経緯,現状を確認して,その対策を話し合い,塩素イオン濃度の上昇の原因を温泉排水に限らず,多方面から究明し地下水の保全・管理のため法整備を視野に入れた水道水源流域内塩化物イオン濃度上昇対策委員会(以下「本件対策委員会」という)を早急に立ち上げる。 こととした。 その後,企業団,事務組合及び宮古島内の旧市町村の担当職員が本件対,,,策委員会設立に向けて協議し本件対策委員会には学識有識者を配置しその人選を早急にまとめることを確認した。また,同協議では,原告が新設した流域外処理用の貯蔵タンクに関する沖縄県の排水水質検査の結果が翌月に判明することから,現時点では,温泉排水を流域外処理することができず地下浸透処理せざるを得ないことから,地下水の保全・管理のための緊急措置として,温泉排水の地下浸透処理の中止を代表理事等の連名で要請する方針を示し,2月10日,宮古島内の市町村の首長は,原告に対し 地下浸透処理せざるを得ないことから,地下水の保全・管理のための緊急措置として,温泉排水の地下浸透処理の中止を代表理事等の連名で要請する方針を示し,2月10日,宮古島内の市町村の首長は,原告に対し,上記水質検査の結果が出るまでの約1か月間,温泉排水の地下浸透処理の中止する要請をすることを確認し,企業団も上記要請の具体的な検討を行うこととなった。 これに対し,原告は,報道機関の取材に対し「独自の調査を実施する,予定であり,調査結果を受け適正処理をしたい」と述べ,上記要請に従。 った温泉排水の地下浸透処理の中止に難色を示した。 (甲6ないし9) ケ本件要請の経緯(ア)Y6企業長は,Y1理事長(同理事長は,被告の市長及び事務組合代表理事も兼ねている。以下「被告市長」という,Y9副理事長,。)Y10理事,Y11理事との連名で,平成17年2月15日,原告に対し,温泉排水の地下浸透処理を中止するよう要請した(以下「本件要請」という。 。)(イ)本件要請の経緯は以下のとおりである。 企業団(総務課)は,2月14日,原告に対し要請にかかる文書(以「」。)。 ,下本件要請文書というを同日持参する旨の電話をしたその後企業団は,本件要請文書の持参を翌15日に延期する旨連絡した。原告のX2事務長は,翌日は原告代表者が不在であると告げるとともに,本件要請文書は持参ではなく郵送するように依頼した。 しかし,Y6企業長及び被告市長は,2月15日午前11時ころ,本件要請文書を携えて原告病院を訪れた。その際,企業団職員の他に報道機関の記者が取材のためこれに同行した。 原告病院では,原告代表者が不在であるとして,同院のX3医事課長(以下「X3医事課長」という)がこれに対応したが,被告市長が本。 件要請文書の受領を再三要望したにもかかわ 取材のためこれに同行した。 原告病院では,原告代表者が不在であるとして,同院のX3医事課長(以下「X3医事課長」という)がこれに対応したが,被告市長が本。 件要請文書の受領を再三要望したにもかかわらず,X3医事課長は「受け取る立場にない」として本件要請文書の受領を拒否した。 。 このため,被告市長らは,原告病院の受付カウンターに本件要請文書を置き,原告病院を後にした。 (ウ)本件要請の経緯について,宮古新報は2月16日「温泉排水の,処理停止要請応じられない「施設側『独自調査で判断』法廷闘争も示」唆」との見出しで報じ,宮古毎日新聞も「温泉排水停止を要請「上水」道企業団など病院側『独自調査する』と反論」との見出しでこれを報じた。 原告代表者は,報道機関の取材に対し「根拠があいまいなまま操業,停止を求められても即時に応じられない。温泉を利用している患者も多い(水源地に近い)井戸の塩素イオン濃度の上昇要因が本当に温泉排。 水なのかは独自に調査した上で判断したい」として専門家に調査を依。 頼する方針を示すとともに「近日中に独自調査を行い,温泉排水が本,当に地下水に影響しているのか(特に塩素イオン濃度の高い)C地点。 の井戸(C井戸)が温泉排水の影響を最も強く受けていることがはっきりすれば,要請のとおり対応したい」と温泉排水の地下浸透処理を中止する考えも示した。また,本件要請文書を受領しなかった理由について「前日,Y6企業長に『企業団が調査した場所で同じ項目の調査結果を独自に行い,その結果を見て要請に応じるか検討したい』と話し『要,』」。 請書を直接持ってきても返事は同じと伝えたからである旨説明した,「。 原告代表者はこの問題についてはきちんとした場所で白黒つけたいそのために今,材料集めをしている。相手は要請に参加 』」。 請書を直接持ってきても返事は同じと伝えたからである旨説明した,「。 原告代表者はこの問題についてはきちんとした場所で白黒つけたいそのために今,材料集めをしている。相手は要請に参加したメンバー全員」などと企業団を相手に訴訟も辞さない意向を示唆した。 (エ)なお,本件要請にかかる本件要請文書の内容は以下のとおりである。 「温泉排水地下浸透中止のお願い貴下益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。 さて,去る1月に財団法人沖縄県環境科学センターが宮古島上水道企業団に対して提出した報告書は,貴院温泉の排水が地下水質に影響を与えるものとしておりますところ,貴院は排水貯留槽の建設などにより,右排水の水源流域外への排出を準備しており,これを私共一同は歓迎致します。現在,同貯留槽を通した排水の水質につき検査中であり,その結果が判明するのはおよそ1か月後と伺っておりますが,仮にこの先も右排水が地下浸透されれば,さらに地下水に影響を与えることとなりま す。 昨年行われた同温泉排水の検査結果が,水質汚濁防止法の定める水質基準を満たしていたことは承知致しております。しかし,本件への対応を全国一律の最低基準を定めた法律のみに依り行うことは危険です。宮古広域特有の地質や水環境に配慮して慎重に対処せねばなりません。温泉排水が水源地に到達するまでの時間や排水混入の影響が持続する期間など不明な点は未だに多いのですが,水源地に近い井戸でも温泉排水の影響が既に現れています。 地下浸透を続けても結果的に水源水質へ悪影響が全くなければ幸いですが,宮古郡民の生命を不確定要素の多い結果論に委ねることはできません。宮古島では「命の水」に「万が一」があってはなりません。あ,らゆる努力を尽くし問題を未然に防ぐことが,宮古島の住民や事業者,行政の責務です。 この 不確定要素の多い結果論に委ねることはできません。宮古島では「命の水」に「万が一」があってはなりません。あ,らゆる努力を尽くし問題を未然に防ぐことが,宮古島の住民や事業者,行政の責務です。 このような事情から,私どもは貴院に対して,水源流域内における温泉排水の地下浸透処理を中止して頂けますようお願い致します。宮古圏域の持続的発展のため,今後ともご高配賜りたく存じます」。 (甲11,12,16~19,乙15,証人β原告代表者)コ本件対策委員会の発足(),,。 ア企業団は平成17年2月22日本件対策委員会を発足させた,(,)同日の1回目の会合では白川田流域内にある二つの井戸CI井戸で塩素イオン濃度が高値となっている問題で,原因とされる温泉排水について,本件温泉施設が排水量の抑制などの対応策を講じているか確認し,従来どおりの排水を行っている場合には排水の自粛を求める方針を決定し,これを公表した。なお,同会合では,沖縄県知事が発した温泉利用許可証に「公衆衛生上,必要があると認められた場合,許可を取り消す」という文言があることから,温泉排水が白川田流域における塩素 イオン濃度の上昇の原因となっている可能性があることが,上記文言に該当するか調査することとされた。 本件対策委員会の1回目の会合について,宮古毎日新聞は,同月23日「塩素イオン上昇対策委が発足「地下水を多角的に調査温泉排,」水自粛も要請へ委員8人に委嘱状」との見出しでこれを報じた(甲13。 )(イ)本件対策委員会は,同年3月8日,2回目の会合を開き,温泉排水についての宮古保健所の調査結果を報告した。同調査結果によれば,温泉排水の水質は,環境基準等には抵触しないものの,1万1000mg/ℓという極めて高度の塩素イオン濃度が検出された。 を開き,温泉排水についての宮古保健所の調査結果を報告した。同調査結果によれば,温泉排水の水質は,環境基準等には抵触しないものの,1万1000mg/ℓという極めて高度の塩素イオン濃度が検出された。これを受けて,同委員会では,原告に対し,温泉排水の流域外処理を要請することを決定し,これを公表した。なお,上記会合では,温泉排水の陸域での処理(地下浸透処理)についても,地下水の保全・管理の観点から容認できないとの懸念が示された。 このような本件対策委員会の対応について,宮古新報は,同月9日,「水源流域外排水要請へ「通常より高い濃度(保健所調査)塩化物」イオン濃度対策委地下浸透に危機感」との見出しで報じ,宮古毎日新聞も同日「温泉排水水質汚濁防止法の基準値内「塩素イオン濃度,」上昇問題県が調査結果発表「対策委海域への処理求める」との見」出しでこれを報じた。 (甲14,15)サ流域外処理の開始原告は,同年4月14日以降,温泉排水の流域外処理を開始した。 具体的には,従前浄化槽から地下浸透処理していた温泉排水等を,流域外処理用の貯蔵タンクに貯蔵し,同タンクが満杯になった時点で,貯蔵された排水をタンクローリーなどの貨物自動車で運搬し海中に投棄するとい うものである。上記タンクの貯蔵量は約100t程度であり,同タンクは約3日程度で満杯となるところ,運搬に要する費用は,年間約2400万円である(原告代表者【調書40,41丁。 】)(4)本件各調査の実施ア本件仕様書(ア)企業団は,本件各調査を行うに際し,本件センターに対し「地,下水の塩化物イオン濃度高値に関する調査仕様書(以下「本件仕様」書」という)を交付し,これに基づく調査を行うよう依頼したもので。 あるところ,本件仕様書の内容は概ね以下のとおりである。 ( ,下水の塩化物イオン濃度高値に関する調査仕様書(以下「本件仕様」書」という)を交付し,これに基づく調査を行うよう依頼したもので。 あるところ,本件仕様書の内容は概ね以下のとおりである。 (イ)調査方法a調査地点(サンプルの採水地点をいう。以下同じ)。 (a)その1調査調査地点は,以下に示す11地点とする。 流域内井戸(7地点:A井戸~C井戸,F~H井戸及び福山井)戸流域外井戸(2地点:D井戸,E井戸)温泉源泉(1地点:浴槽水)温泉排水(1地点:浄化槽排水)合計11地点その2調査(b)調査地点は以下に示す12地点とする。 流域内水源地(4地点:白川田,山川,高野,大野)流域内井戸(6地点:B井戸,C井戸,G井戸,I井戸,K井)戸,福山井戸温泉源泉(1地点:温泉水利用湯船)流域外井戸(1地点:E井戸) 合計12地点これらの調査地点のうち,B井戸と福山井戸は,流域内の対照井戸として,E井戸は流域外の対照井戸として設定するものである。 b調査項目(a)その1調査調査項目は以下のとおりとする。 現地測定項目:気温,水温,電気伝導度,水位分析試験項目:ストロンチウムイオン(Sr」3-)その2調査(b)調査を行う項目は以下のとおりとする。 現地測定項目:気温,水温,電気伝導度,水位分析試験項目:ナトリウムイオン(Na,カリウムイオン(K+),カルシウムイオン(Ca,マグネシウムイオン(Mg,+2+2+)))(),(),(),塩素イオンCl硫酸イオンSOヨウ素イオンI-2-- 臭素イオン(Br,硝酸イオン(NO,炭酸水素イオン(H--)) CO,アルカリ度 -)測定・分析方法(c)測定・分析は,下記に示す方法に ヨウ素イオンI-2-- 臭素イオン(Br,硝酸イオン(NO,炭酸水素イオン(H--)) CO,アルカリ度 -)測定・分析方法(c)測定・分析は,下記に示す方法にて行う。 現地測定項目気温:温度計による測定水温:水温・電気伝導度計による測定電気伝導度:水温・電気伝導度計による測定水位:けん縄による測定分析試験項目・Sr:原始吸光光度法3-・Na,K,Ca,Mg:ICP発光分光光度法++2+2+ ・Cl,SO:イオンクロマトグラフ法-2- ・I:ヨウ素抽出吸光光度法-・Br,NO:イオンクロマトグラフ法-- ・HCO:赤外線分析法 -・アルカリ度:滴定法調査期間(d)調査期間は,下記のとおりとする。 自:平成16年10月15日至:平成17年1月31日採水調査は,降雨の影響の少ない晴天時に1回実施する。 調査実施機関(e)調査は,本件センターが実施するものとする。 考察,提言等については,宮古島地下水水質保全協議会の委員等専門家の意見を踏まえて,策定するものとする。 (甲22)イ本件第1調査報告書本件第1調査報告書(乙1)の内容はおおむね以下のとおりである。 (ア)調査方法の検討a調査方法の検討は,企業団が継続的に実施している塩素イオン濃度測定結果と,その所有する宮古島の不透水基盤の上面等高線図を用いて行った。 調査方法の検討段階で,塩素イオン濃度の供給源として下記の事項を考えた。①風送塩,②地質由来の岩塩,③人為的な供給源。これらのうち「風送塩」については,過去に遡る調査は,不可能であるた,,。「」め既存文献等による推測にとどめることにした地質由来の岩塩については「宮古島の地層に岩塩の存在を示す知見は得られてなく, 風送塩」については,過去に遡る調査は,不可能であるた,,。「」め既存文献等による推測にとどめることにした地質由来の岩塩については「宮古島の地層に岩塩の存在を示す知見は得られてなく, 考え難い(琉球大学黒田教授談」ことから調査を実施しないことと)した「人為的供給源については,宮古島の広範な地域で地下浸透に。 よる排水が実施されている現状にかんがみ,相当程度の負荷が考えら()れる200mg/ℓを超える塩素イオン濃度を示す井戸が認められることから主要な調査項目とすることとした。この「人為的供給源」として塩素イオンの高値が確認された(平成15年9月)以前に白川田流域内において水利用の変化を伴う開発行為を調査し,同年3月に噴出した温泉水に着目した。 ()地下水の影響源を把握する方法としてトレサートレーサーの誤記調査法がある。トレーサー調査方法で使用される物質としては下記の物質がある(中略)ただし,調査対象地下水が上水道の水源である。 ことを考慮すると,これらの何れの物質を使用することも適当でないと結論付けた。そこで,海水起源とされる対象温泉水の水質に着目し,。 ,てストロンチウムをトレーサーとして利用することとした併せて水温,電気伝導度を現地にて測定することとした。 b調査方法本件第1調査に係る調査地点は,A井戸~H井戸及び福山井戸並びに温泉源泉(浴槽)及び温泉排水(浄化槽)であり,採水は,開放型の井戸についてはバケツによる採水を行い,開口部の狭い井戸については筒型の地下水採水器を用いた。密閉型でポンプの設置されている井戸については,数分間水を出し放しにした上で採水を行った。温泉水については源泉(温泉源水)は湯船から直接採水を行い,温泉水排水(温泉排水)については合併浄化槽の沈殿槽からバケツにより直接 れている井戸については,数分間水を出し放しにした上で採水を行った。温泉水については源泉(温泉源水)は湯船から直接採水を行い,温泉水排水(温泉排水)については合併浄化槽の沈殿槽からバケツにより直接採水した。採水したサンプルは,分析室に持ち帰り,ストロンチウムの分析を行った。現地では,水温,電気伝導度を測定するともともに,後日の検討資料に供するため水位測定を行った。 (イ)調査結果aストロンチウム等調査結果トレーサーとして着目したストロンチウムの濃度は温泉源水が29.4mg/ℓ(平成15年4月測定時26.9mg/ℓ)で浄化槽排水(温泉排水を含む)は3.1mg/ℓと10倍程度に希釈されている。 ことがうかがわれる。塩素イオン濃度が最も高値を示しているC井戸はストロンチウム濃度が0.5mg/ℓと比較的高く,その他の井戸は0.1~0.2mg/ℓである。地下水中のストロンチウム濃度は,宮古島に限らず全国的にも一般的な濃度に対する知見は得られていない。ただし,C井戸を除く他井戸の0.1~0.2mg/ℓが宮古島における一般的なストロンチウム濃度と考えると,C井戸は温泉水の影響を受けていることが推測できる。電気伝導度については源泉が2万6800μs/㎝,温泉排水4740μs/㎝であった。C井戸は,温泉排水とほぼ同程度の4530μs/㎝であり,他の井戸は,1000μs/㎝(751~1060μs/㎝)程度であった。C井戸における電気伝導度の高値は,イオン成分が多く含まれていることをうかがわせ,塩素イオン濃度が1600mg/ℓを超える値を示したことを裏付ける結果といえる。 b塩素イオン調査の結果塩素イオン濃度については,宮古上水道企業団の測定結果を基に考察する。 宮古上水道企業団の塩素イオン濃度測定結果は,平成16年は平成14年~15年 を裏付ける結果といえる。 b塩素イオン調査の結果塩素イオン濃度については,宮古上水道企業団の測定結果を基に考察する。 宮古上水道企業団の塩素イオン濃度測定結果は,平成16年は平成14年~15年の1.5~2倍程度に上昇している。しかし,10年程度の経年変化図(略)によると,平成9年~平成10年にか,,,,けて山川水源では60mg/ℓ台の濃度を示しており白川田高野大野水源でも50mg/ℓ前後の値を示し,平成12年~平成15年8 月までに比べると明らかに高値を示している。ただし,山川水源や高野水源における80mg/ℓの塩素イオン濃度は,ここ10年間の最高値であることに留意しなければならない。白川田,山川の水源は海岸に近接することから風送塩,特に台風時の風送塩の影響は大きいと考えられる。高野,大野の両水源も海岸から1㎞程度の距離であるので,風送塩の影響は否定できない。塩素イオン濃度の高値が最初に認められた平成15年9月は,11日に台風14号が宮古島付近を通過している。これら4水源の何れの地点でも塩素イオン濃度の高値がみられた平成16年8月期には台風13号(11日,1)5号(17日,17号(24日)が宮古島付近を通過しており,そ)の影響は少なからずあったものと推測される。渡久山(琉球大昭和56年工業用水第275号)によると,沖縄本島中南部石灰岩地帯でCl濃度が60mg/ℓを示した例は台風の影響とし,宮古島の-例では,200mg/ℓ近くの例があることを示している。更に「沖,縄本島の中南部の石灰岩地帯における湧水や井戸水に含まれている塩素イオン濃度は,45~50mg/ℓまではすべて海水起源であり,海岸から2~3㎞以上離れたところでこれ以上濃い水があれば,その水は人間生活による影響を受けているのではないかと思わ 水に含まれている塩素イオン濃度は,45~50mg/ℓまではすべて海水起源であり,海岸から2~3㎞以上離れたところでこれ以上濃い水があれば,その水は人間生活による影響を受けているのではないかと思われる」としている。 同報告からすると,A井戸の塩素イオン濃度150mg/ℓ前後,D井戸の同200mg/ℓ前後,B,E,F井戸の60mg/ℓ前後の各値は,過年度データ(上記渡久山報告値)と矛盾しないものと考える。 しかし,C井戸の1600mg/ℓを超える塩素イオン濃度は,高供給源の存在を考慮しないと説明し難い。 (ウ)まとめ平成16年現在,企業団が注視している山川,白川田,高野及び大野 の4水源の塩素イオン濃度の上昇は,風送塩の影響(特に台風時の影響)が否定できない。海岸に近い山川,白川田の塩素イオン濃度の上昇は,風送塩の影響が大きいと考えられる。これは,更竹の温泉水の影響だとした場合に水源地下流側の山川の塩素イオン濃度が上流側水源地の塩素イオン濃度よりも高値を示すことが説明し難いためである。また,4水源の塩素イオン濃度の高値が温泉水の影響だとした場合は,途中のG井()。 戸における塩素イオン濃度の低値50mg/ℓ以下の説明も困難であるC井戸については,温泉水の影響の可能性が極めて大きい。C井戸以外の塩素イオン濃度の高値は,既存の知見で十分に説明が可能であるが,C井戸の塩素イオン濃度の高値(1600mg/ℓ程度)は,塩素イオン濃度の上昇前後における同井戸周辺の土地利用形態に大きな変化がみられないことから,生活排水や農業用水の影響とは考えられない。平成16年3月測定時の温泉排水の塩素イオン濃度は165mg/ℓであるが,時間的,空間的な何らかの要因で温泉源水(平成15年4月測定時の塩素イ)。 ,オン濃度8671mg/ℓの影響 られない。平成16年3月測定時の温泉排水の塩素イオン濃度は165mg/ℓであるが,時間的,空間的な何らかの要因で温泉源水(平成15年4月測定時の塩素イ)。 ,オン濃度8671mg/ℓの影響があるものと考えられる現在のところC井戸の高塩素イオン濃度水は,G地点や大野,高野水源に大きな影響を及ぼしていないものと推測される。しかし,これが流達時間によるものであれば,遠からず影響が表面化するのは避られない。そのため,水源地上流における温泉水の影響把握,温泉水対策は急務であると考えられる。 (エ)今後の課題a監視対策について本調査で述べた塩素イオン濃度の高値に関する因果関係は推測の域をでない。因果関係を明らかにする手段としては,トレーサー調査が有効である。しかし,これら4水源は宮古島の貴重な水道水源であるため,新たな負荷を生じかねないトレーサー物質の利用に対しては住 民感情として抵抗が大きいと考えられる。 よって,今後は現行の定期監視の継続実施は当然のこととして,イオンバランス,イオン成分比率等による検討をも行うためイオン成分(Na,K,Cl,SO,I,Br等)検査を実施すること++-2--- が望まれる。 調査地点については,C井戸とG井戸との間,G井戸と高野水源との間に調査井戸を設定する必要がある。調査に利用可能な既設井戸がない場合には,ボーリングによる新たな調査孔を地下水の流央部と考えられる位置に設置することも検討の必要がある。 調査時期については,現行の2回/月に加えて台風時における調査を行う必要があると考えられる。台風時調査は,風送塩が水道水の水質管理に及ぼす影響などについても貴重な検討資料を提供するであろう。 b環境保全対策について今後の監視調査において,温泉水と水源地の塩素イオン濃度との因 えられる。台風時調査は,風送塩が水道水の水質管理に及ぼす影響などについても貴重な検討資料を提供するであろう。 b環境保全対策について今後の監視調査において,温泉水と水源地の塩素イオン濃度との因果関係がより明確になった場合,又は更なる著しい影響が予想される場合は,運搬車両による海域への排出作業を徹底するとともに,恒久的な排水路(排水パイプ)による排水方法の検討が望まれる。 今後宮古島で温泉開発が行われる場合には,県等許認可に係わる関係機関と密接に連携して対応する必要がある。また,開発位置については,水源との位置関係に充分に留意し可能な限り水源下流域とする必要がある。また,開発に先立った排水計画の策定が極めて重要な事項の一つである。 ウ本件第2調査報告書本件第2調査報告書乙2の内容はおおむね以下のとおりであるた(),(,「」「」。)。 だし同報告書のうち温泉排水とあるのは温泉源水の誤記である (ア)調査方法a調査方法の検討調査方法の検討は,企業団が継続的に行っている塩素イオン濃度の調査結果,その所有する宮古島の不透水基盤の上面等高線図,さらに平成16年11月19日の調査結果をもとに行った。前回の調査結果を踏まえ,塩素イオンの供給源として,風送塩及び人為的供給源と考えられる温泉排水の影響を検討するため,水質試験項目を増やし各水質のイオン成分比率を算出し,トリリニアダイヤグラム・海水及び温泉排水の混入シミュレーションを用いて比較検討することにした。 b調査方法採水は,開放型の井戸についてはバケツによる採水を行い,開口部の狭い井戸については,筒型の地下水採水器を用いた。密閉型でポンプの設置されている井戸では,数分間水を出した後,採水を行った。 温泉源水については源泉から湯船へ温泉水を供給しているパ 水を行い,開口部の狭い井戸については,筒型の地下水採水器を用いた。密閉型でポンプの設置されている井戸では,数分間水を出した後,採水を行った。 温泉源水については源泉から湯船へ温泉水を供給しているパイプから。 ,。 直接採水した採取した試料は本件センターにおいて分析を行ったまた,採水場所において,気温,水温,電気伝導度を測定し,開放型の井戸に関しては水位測定を行った。 c調査地点流域内水源地(4地点:白川田,山川,高野,大野)(),,,,,流域内井戸6地点:B井戸C井戸I井戸G井戸K井戸福山井戸温泉源水(1地点:温泉水利用湯船)流域外井戸(1地点:E井戸)d調査期間調査期間平成16年10月10日~平成17年1月31日採水日平成16年12月9日 (イ)調査結果平成16年12月9日に行った水質検査結果を別表2にまとめた。 a水源について,,,陽イオンについてみるとナトリウムイオンマグネシウムイオンカリウムイオン及びカルシウムイオン濃度は,4水源ともおよそ同程度の値を示した。 陰イオンについてみると,塩素イオン濃度は,白川田水源が50mg/ℓ台で,高野水源,山川水源及び大野水源では,70mg/ℓ台の濃度を示した。臭素イオン,炭酸水素イオン,硫酸イオン及び硝酸イオン濃度は,4水源ともおよそ同程度の値を示した。ヨウ素イオンは4水源とも検出されなかった。 b温泉源水について陽イオンについてみると,ナトリウムイオンが6240mg/ℓで4水源のおよそ200~240倍の値,マグネシウムイオンが117mg/ℓで4水源のおよそ17倍~22倍の値,カリウムイオンが50. 2mg/ℓで4水源のおよそ31~52倍の値となっており,4水源に比べ,ナトリウムイオン,マグネシウムイオン,カリウムイオンが 17mg/ℓで4水源のおよそ17倍~22倍の値,カリウムイオンが50. 2mg/ℓで4水源のおよそ31~52倍の値となっており,4水源に比べ,ナトリウムイオン,マグネシウムイオン,カリウムイオンが高いことを示している。ただし,カルシウムイオンについては,378mg/ℓで4水源のおよそ3倍程度となっている。 ,,陰イオンについてみると塩素イオン濃度が1万1000mg/ℓで4水源の50~70mg/ℓ台と比較すると桁外れに高い値を示した。 臭素イオンは45.4mg/ℓで,4水源のおよそ150~230倍の値,ヨウ素イオンは18.4mg/ℓあったが,4水源では検出されなかった。炭酸水素イオンは284mg/ℓで4水源とほぼ同じ値を示した。硫酸イオンは検出されず,4水源の20~30mg/ℓと比較すると低い値を示し,硝酸イオンは0.40mg/ℓで4水源の19~27 mg/ℓ台と比較すると低い値を示した。以上のことから,温泉源水の陰イオンは4水源と比べ,ハロゲン属の塩素イオン,臭素イオン,ヨウ素イオンが高いことを示している。 電気伝導度は,3万1100μs/㎝で4水源の700~800μs/㎝台と比較すると桁外れに高い値になっており,先に示したように4水源より溶存イオンが多く含まれていることを裏付ける結果となっている。アルカリ度は,256mg/ℓで,4水源の200~220mg/ℓと比べ若干高い値を示している。 c流域内井戸について陽イオンについてみると,塩素イオン濃度が一番高い値1110mg/ℓを示したC井戸において,ナトリウムイオンが545mg/ℓで4水源のおよそ17~21倍の値,マグネシウムイオンが11.0mg/ℓで4水源のおよそ1.6倍~2倍の値,カリウムイオンが4.28mg/ℓで4水源のおよそ3~4倍となっている。カルシウムイオンに で4水源のおよそ17~21倍の値,マグネシウムイオンが11.0mg/ℓで4水源のおよそ1.6倍~2倍の値,カリウムイオンが4.28mg/ℓで4水源のおよそ3~4倍となっている。カルシウムイオンについては4水源と比べて若干高い程度であり,C井戸は,4水源と比べてナトリウムイオン,マグネシウムイオン,カリウムイオンの濃度が高いことを示している。 塩素イオン濃度が2番目に高い値310mg/ℓを示したI井戸において,ナトリウムイオンが152mg/ℓで4水源のおよそ5~6倍の値,マグネシウムイオンが6.7mg/ℓで4水源と同程度の値,カリウムイオンが3.73mg/ℓで4水源のおよそ2~4倍の値となっており,I井戸は4水源と比べ,ナトリウムイオン,カリウムイオンの濃度が高いことを示している。 その他,塩素イオン濃度が90~100前後の値を示している流域,,,,内井戸は福山井戸を除きナトリウムイオンマグネシウムイオンカルシウムイオンの濃度は,4水源とおおよそ同程度の値であった。 福山井戸に関しては,ナトリウムイオンが86.2mg/ℓで4水源の3倍の値,カリウムイオンが9.24mg/ℓで4水源のおよそ6~10倍の値,マグネシウムイオンに関しては,4水源とおよそ同程度の値であった。 陰イオンについてみると,C井戸では,塩素イオン濃度が1110mg/ℓで4水源の50~70mg/ℓ台と比較して非常に高い値を示した。臭素イオンは4.3mg/ℓで4水源のおよそ14~22倍の値,ヨウ素イオンは4水源と同様,検出されなかった。炭酸水素イオン,硫酸イオン,硝酸イオンは4水源とおよそ同程度の値であり,C井戸は4水源と比べ,ハロゲン属の塩素イオン濃度及び臭素イオンの濃度が高いことを示している。 I井戸では,塩素イオン濃度が310mg/ℓで4水源の オン,硝酸イオンは4水源とおよそ同程度の値であり,C井戸は4水源と比べ,ハロゲン属の塩素イオン濃度及び臭素イオンの濃度が高いことを示している。 I井戸では,塩素イオン濃度が310mg/ℓで4水源の50~70mg/ℓ台と比較すると4~6倍高い値を示した。臭素イオンは1.2,,mg/ℓで4水源のおよそ4~6倍の値ヨウ素イオンは4水源と同様検出されなかった。炭酸水素イオン,硫酸イオン,硝酸イオンは4水源とおよそ同程度の値となっており,I井戸は4水源と比べ,ハロゲン属の塩素イオン濃度及び臭素イオンの濃度が高いことを示している。 その他,塩素イオン濃度が90~100前後の値を示している流域内井戸では,福山井戸を除き,臭素イオン,ヨウ素イオン,炭酸水素イオン,硫酸イオン及び硝酸イオン濃度は4水源と同程度の値を示した。福山井戸では,硫酸イオンが57.6mg/ℓで4水源のおよそ2倍の値,硝酸イオンは108mg/ℓで4水源のおよそ4~5倍の値を示し,臭素イオン,ヨウ素イオン及び炭酸水素イオン濃度は,4水源とおよそ同程度の値を示した。 d流域外井戸について(E井戸) 陽イオンについてみると,ナトリウムイオン,マグネシウムイオン及びカルシウムイオンは4水源とおよそ同程度の値を示し,カリウムイオンは0.24mg/ℓで4水源のおよそ1/7~1/4程度の値を示した。 陰イオンについてみると,塩素イオン,臭素イオン,ヨウ素イオン及び硫酸イオン濃度は,4水源とおよそ同程度の値を示した。炭酸水素イオンは301mg/ℓで4水源のおよそ1.1~1.3倍と若干高い値を示した。硝酸イオンは6.7mg/ℓで4水源の1/4~1/3の値を示した。 カリウムイオン及び硝酸イオンが流域内の4水源とくらべ,低い値を示しているが,これは肥料等の影響が少ないことによるものと 値を示した。硝酸イオンは6.7mg/ℓで4水源の1/4~1/3の値を示した。 カリウムイオン及び硝酸イオンが流域内の4水源とくらべ,低い値を示しているが,これは肥料等の影響が少ないことによるものと推測される。 (ウ)トリリニアダイヤグラムaトリリニアダイヤグラムは地下水の水質組成の分類を行うために使用されるもので,水質組成の含有量比を菱形座標図と三角座標図にプロットしたものから成り立っている。菱形座標図はキーダイヤグラムと言い,陰イオンはHCOと(Cl+SO)を,陽イオンでは --2-(Na+K)と(Ca+Mg)を含有量比としてプロットし++2+2+ たものである。三角座標図は,陰イオンではHCO,Cl,SO-ーを,陽イオンでは(Na+K,Ca,Mgを含有量比とし2-++2+2+)てプロットしたものである(地下水技術第12号1995。また,)菱形座標図はⅠ型~V型の領域に区分され,それぞれの領域に属する水質は下記のような組成を示すものとして分類される。 Ⅰ:重炭酸カルシウム型Ca(HCO)または,Mg(HCO)型の水質組成で,わが 国の循環性地下水の大半がこの型に属する。石灰岩地帯の地下水は典 型的にこの型を示す。 Ⅱ:重炭酸ナトリウム型NaHCO型の水質組成で,停滞的な環境にある地下水がこの型 に属する。地表から比較的深い地下水の型といえる。 Ⅲ:非重炭酸カルシウム型CaClまたはCaSO型の水質組成で,温泉水,鉱泉水及び油 田塩水(化石塩水)などがこの型に属し,一般河川・地下水では特殊なものであり,温泉水や工場排水などの混入が考えられる。 Ⅳ:非重炭酸カルシウム型NaSOまたはNaCl型の水質組成で海水・海水が混入した地 下水及び がこの型に属し,一般河川・地下水では特殊なものであり,温泉水や工場排水などの混入が考えられる。 Ⅳ:非重炭酸カルシウム型NaSOまたはNaCl型の水質組成で海水・海水が混入した地 下水及び温泉水などがこの型に属する。 V:中間型I~V(まま)の中間的な型で,河川水・伏流水及び循環性地下水の多くがこの型に属する。 b平成16年12月の分析結果をトリリニアダイヤグラムで示すと,各地点における水質の分類は別紙「トリリニアダイヤグラム」のとおりとなった。 (a)水源地について別紙「トリリニアダイヤグラム」のキーダイヤグラムをみると,4水源ともI型(重炭酸カルシウム型)の領域に分布し,ほぼ同じ水質で琉球石灰岩層を通る地下水の特徴を表している。また,陽イオン3成分についてプロットした三角座標図をみると,4水源ともカルシウムイオンが陽イオンのおよそ80%を占めている。陰イオン3成分についてプロットした三角座標図をみると,4水源とも炭酸水素イオンがおよそ60~70%を占めている。 温泉源水について(b) 別紙「トリリニアダイヤグラム」のキーダイヤグラムをみると,Ⅳ型(非重炭酸ナトリウム型)に属していることがわかる。また,陽イオン3成分についてプロットした三角座標図をみると,ナトリウムイオンとカリウムイオンの合計量で陽イオンのおよそ90%を占めている。陰イオン3成分についてプロットした三角座標図をみると,塩素イオンで陰イオンのほとんどが占められている。 これらの結果,ナトリウムイオン,塩素イオンを主要成分とすることからナトリウム・塩化物泉の温泉であることが示唆される環,(境省自然環境局:鉱泉分析法指針改定平成14年3月。 )(c)流域内井戸について別紙「トリリニアダイヤグラム」のキーダイヤグラムをみると,B井戸及びK井戸 の温泉であることが示唆される環,(境省自然環境局:鉱泉分析法指針改定平成14年3月。 )(c)流域内井戸について別紙「トリリニアダイヤグラム」のキーダイヤグラムをみると,B井戸及びK井戸はI型(重炭酸ナトリウム型,G井戸及び福山)井戸はV型(中間型,C井戸,I井戸はⅣ型(非重炭酸ナトリウ)ム型)に分布している。 陽イオン3成分についてプロットした三角座標図をみると,B井戸,G井戸,K井戸はカルシウムイオンで陽イオンのおよそ70~80%を占めており,福山井戸及びI井戸はカルシウムイオンでおよそ50%を占め,ナトリウムイオンとカリウムイオンの合計量もおよそ50%を占めている。C井戸は,ナトリウムイオンとカリウムイオンの合計量で陽イオンのおよそ70%を占め,カルシウムイオンは,およそ20%と低く,他の井戸と異なる分布を示した。 陰イオン3成分についてプロットした三角座標図をみると,B井戸,K井戸,G井戸,福山井戸は,炭酸水素イオンで陰イオンのおよそ40~50%,塩素イオンで40~50%を占めている。しかし,I井戸では,塩素イオンで陰イオンのおよそ70%,C井戸では,塩素イオン濃度で陰イオンのおよそ90%を占めており,他の 井戸と比べ塩素イオンの割合が多いことがわかる。これらの結果,流域内井戸で温泉源水に近いC井戸及びI井戸では,他の重炭酸カ,,ルシウム型の水質とは異なり非重炭酸ナトリウム型の水質を示し温泉源水の水質に近いことがわかった。 (d)流域外井戸について(E井戸)別紙「トリリニアダイヤグラム」のキーダイヤグラムをみると,4水源と同様,E井戸はI型(重炭酸ナトリウム型)に分布している。また,陽イオン及び陰イオンについてプロットした三角座標図をみると,カルシウムイオンは陽イオンのおよそ80%,炭酸水素イオンは と,4水源と同様,E井戸はI型(重炭酸ナトリウム型)に分布している。また,陽イオン及び陰イオンについてプロットした三角座標図をみると,カルシウムイオンは陽イオンのおよそ80%,炭酸水素イオンは陰イオンのおよそ70%を占めており,4水源とほぼ同じ水質パターンを示している。 (エ)風送塩(海水)及び温泉排水の混入シミュレーション,,a地下水の塩素イオン濃度上昇の影響について白川田流域の水質を温泉排水の影響がない過去の白川田(水源)の水質を基準とし,この地下水に海水及び温泉排水が混入した場合の水質をシミュレーションした値と実測データを比較し,風送塩及び温泉排水の影響について考察を試みた。基準となる水質は,平成7年5月から平成11年度における白川田の水質を平均した値を用いた。この水質基準に,実測データの塩素イオン濃度になるまで海水及び温泉排水をそれぞれ混入した場合のシミュレーションデータを算出した。シミュレーションで使用したイオンは,過去の白川田の水質から得られた主要イオンを選定し。 ()。 たこれらシミュレーションデータと実測データを表省略に示すb海水を混入したシミュレーションデータと温泉排水を混入したシミュレーションデータを比較すると,C井戸及びI井戸ではカリウムイオン,マグネシウムイオン,硫酸イオン濃度が海水を混入した場合に比べ,低い傾向を示している。この傾向から,海水または温泉排水の 影響を見ることができるものと思われる。ナトリウムイオン及びカルシウムイオンについては,両者とも同じような傾向を示している。また,4水源及びその他の井戸におけるシミュレーションデータをみる,。 と海水及び温泉排水混入のいずれの場合もおよそ同じ水質を示したこれは,塩素イオン濃度が100mg/ℓ位までは,海水混入及び温泉排水 4水源及びその他の井戸におけるシミュレーションデータをみる,。 と海水及び温泉排水混入のいずれの場合もおよそ同じ水質を示したこれは,塩素イオン濃度が100mg/ℓ位までは,海水混入及び温泉排水混入の影響による水質の違いが出にくいと思われる。 cC井戸及びI井戸の実測データとシミュレーションデータを比較すると,ナトリウムイオン及びカルシウムイオン濃度はおよそ同じ値を示しているが,カリウムイオン,マグネシウムイオン,硫酸イオンでは,海水を混入したシミュレーションデータに比べ,実測データは低い傾向を示し,温泉排水を混入したシミュレーションデータに近い値を示した。このことから,C井戸及びI井戸では風送塩による海水の混入より,温泉排水の混入による影響が強いと思われる。 d4水源及びその他の井戸における実測データでは,ナトリウムイオン,カルシウムイオン,硫酸イオン濃度はシミュレーションデータよりやや低い値を示し,カリウムイオン,マグネシウムイオンはおよそ同じ値を示した。この結果からは,海水の影響か温泉排水の影響かを判断することはできなかった。 e以上の結果をより視覚的にわかりやすくするために,シミュレーションデータに対する実測データの割合をプロットし,比較した。比較の方法は,基準となる白川田(基準)の水質における主要イオン(ナトリウムイオン,カリウムイオン,カルシウムイオン,マグネシウムイオン,塩素イオン,硫酸イオン)を用いて算出したシミュレーションデータを100%(黒い太枠のグラフ)とし,各地点での実測データとシミュレーションデータの割合を結んだ6角形の形状が,シミュレーションデータに近ければ,混入した海水または温泉排水の影響が あると示唆され,形状が異なれば,混入した海水または温泉排水の影響がないと示唆される。 f別紙「シミ んだ6角形の形状が,シミュレーションデータに近ければ,混入した海水または温泉排水の影響が あると示唆され,形状が異なれば,混入した海水または温泉排水の影響がないと示唆される。 f別紙「シミュレーション結果」の図3-1(以下で摘示する図の番号は同別紙に記載のものをいう)をみると,白川田,山川,高野,。 大野では白川田(基準)の水質からシミュレーションした白川田,山,,。 川高野大野のデータは実測データと全体的に同様な水質を示した図3-4をみると,高野,大野ともにカリウムイオンがやや突出しているが,全体的にシミュレーションデータと同様な値を示した。図3-1及び図3-4のグラフの形がおよそ同じであることから,山川,高野,大野の水質が風送塩または温泉排水の影響のどちらの影響が大きいか判断できなかった。 g図3-2をみると,C井戸及びI井戸ではシミュレーションデータに比べ,カリウムイオン,硫酸イオン及びマグネシウムイオンの割合が極端に低く,シミュレーションデータと大きく異なっている。 また,図3-5をみると,I井戸はカリウムイオンが突出しているが,図3-2と比べると全体的にはシミュレーションデータに近い。 これは,C井戸及びI井戸が風送塩よりも温泉排水の影響が大きいものと思われる。 h図3-3をみると,福山井戸はカリウムイオンが突出している。これは,肥料からの影響でシミュレーションデータより大きくなっているものと思われるが,これを除けば,全体的にシミュレーションデータとおよそ同じパターンを示した。図3-6をみると,福山井戸でカリウムイオンが突出しているが,全体的に図3-3のグラフと形がおよそ同じパターンを示しており,このことから風送塩及び温泉排水のどちらの影響が大きいかは判断できなかった。 以上の結果,C井戸及びI井戸に関しては ンが突出しているが,全体的に図3-3のグラフと形がおよそ同じパターンを示しており,このことから風送塩及び温泉排水のどちらの影響が大きいかは判断できなかった。 以上の結果,C井戸及びI井戸に関しては,風送塩の影響より温泉 排水の影響が大きいことがわかった。また,4水源では,風送塩及び温泉排水のどちらの影響かを判断することはできなかった。 (オ)まとめ今回は各水源及び井戸の水質成分の調査を行い,水質組成による解析を行った。また,C井戸とG井戸の間のI井戸及び福山井戸を調査地点に加えている。 a水質組成の特徴について白川田水源をはじめとする4水源及び多くの井戸が典型的な琉球石灰岩層を通る地下水の特徴である「重炭酸カルシウム型」に属しているのに対し,温泉源水(水源,C井戸及びI井戸については「非重)」,。 炭酸ナトリウム型に属するもので異なった水質組成を示しているb風送塩について宮古島の地下水は,地形的,地質的な状況から風送塩の影響を受けやすい状況にある。これまでのデータによると,通常の塩素イオン濃度は40~50mg/ℓとなっているが,温泉利用開始以前においても台風時には73mg/ℓまで上昇した経緯がある。 c温泉排水の影響について各井戸に対する温泉排水の影響は,温泉源水の分析結果と比較すると,まず温泉から距離の近い(約500m)C井戸に影響が現れ,ついでI井戸に現れているものと判断される。また,現時点では,塩素イオン濃度の低い(80mg/ℓ以下)4水源への影響は明確ではなかった。 C井戸及びI井戸以外の井戸,並びに水源などに対する温泉排水の影響は,温泉水源―C井戸―I井戸と同様の均質な琉球石灰岩が連続しているものと仮定すれば,不透水基盤(島尻層群の上面)の形状で,,示されるように地下水の流動方向がこれとほぼ一致 対する温泉排水の影響は,温泉水源―C井戸―I井戸と同様の均質な琉球石灰岩が連続しているものと仮定すれば,不透水基盤(島尻層群の上面)の形状で,,示されるように地下水の流動方向がこれとほぼ一致するものとして いずれG井戸―K井戸から高野水源―大野水源へ,その後は白川田水源―山川水源へと影響の拡大が懸念される。 (カ)今後の課題a監視体制について今後の調査において,トリリニアダイヤグラム及び温泉排水の混入シミュレーションを比較検討することは,塩素供給源の特定や供給経路を把握するために有効と考える。 そのため,今後必要な分析項目は,Na,K,Ca,Mg,++2+2+Cl,SO,Br,NO,HCOである。 -2---- 調査地点については,K井戸と高野水源との間に調査井戸を追加設定すれば,水質成分が水源に及ぼす影響についてより把握しやすくなると考えられる。 調査時期については,現行の月2回に加えて台風時における調査を行う必要があると考えられる。台風時調査は,風送塩が水道水の水質管理に及ぼす影響などについても貴重な検討資料になると思われる。 b環境保全対策について今回の調査結果から,温泉排水の地下水水質への影響が明らかとなり,更に将来的に水源への影響が懸念されることから,温泉排水の方法については適正な対策を講じることが重要である。 宮古島において今後,温泉開発が行われる場合には,県等許認可に係わる関係機関と密接に連携して対応する必要がある。また,開発位置については,水源との位置関係に十分に留意する必要がある」。 争点及び争点に関する当事者双方の主張(1)争点(1(本件各調査は,本件公表事実を真実と信ずるについて相)当な根拠となりうるか)(原告の主張) ア本件公表の根拠とされ がある」。 争点及び争点に関する当事者双方の主張(1)争点(1(本件各調査は,本件公表事実を真実と信ずるについて相)当な根拠となりうるか)(原告の主張) ア本件公表の根拠とされた本件各調査によっても,温泉排水と白川田流域における塩素イオン濃度の上昇との因果関係は科学的に立証できていない。 したがって,本件公表事実は,真実ではなく,これを真実と信ずるについて相当な根拠もない。 イ本件各調査には以下のような問題点がある。 (ア)サンプルの採水地点の選定等及び本件ため池の影響についてaサンプルの採水地点の選定等について(a)サンプルの採水地点の選定が恣意的である。 本件温泉施設に最も近いA井戸は,C井戸と比べて塩素イオン濃度が低く比較的安定的に推移していたにもかかわらず,本件第2調査では,調査地点から除外されている。これは,企業団が,温泉排水が塩素イオン濃度の上昇の原因であるとの結論を導くために,意図的に上記井戸を本件第2調査から除外するように指示したものであり,到底公正な調査とはいえない。 サンプルの採水回数及び採水方法が不適切である。 (b)本件各調査の時点で,本件各調査に係る調査地点の塩素イオン濃度が乱高下を繰り返していることが確認できていたにもかかわらず,本件第2調査では,平成16年12月9日の1日に行われた採水に基づく分析しか行われていない。すなわち,調査にかかるサンプルが多ければ多いほど,調査結果の信頼性が向上することは統計学の教えるところであり,公正な調査を心がけるのであれば,少なくとも本件各調査に係る調査地点ごとに3~5日程度の採水日を設けて,そこで得られたデータの平均値をもって分析に供するといった慎重さが求められるというべきであり,これを怠った本件各調査は不合理なものである。 また,本 査地点ごとに3~5日程度の採水日を設けて,そこで得られたデータの平均値をもって分析に供するといった慎重さが求められるというべきであり,これを怠った本件各調査は不合理なものである。 また,本件各調査では,調査地点から2回採水を行っているが,イオン成分比率の分析は2回しか行われていない。また,本件第2調査では,温泉排水の影響がないと思料される地下水を比較対照用サンプルとして採水すべきであったのにこれがされておらず,科学的調査としての基礎を欠いている。 さらに,本件各調査では,調査地点から採取したサンプルはすべて費消され再調査が不可能となっている。 b本件ため池の影響を無視している。 高値の塩素イオン濃度が検出されたC井戸のすぐ隣には貯水設備(県営かんがい排水路4号沈砂池。以下「本件ため池」という)が。 あるところ,C井戸の水が本件ため池の水の混入による影響を強く受けている可能性があるにもかかわらず,本件各調査は本件ため池の影響を無視しており不当である。 (イ)水質検査の結果の分析についてa想定される塩素イオンの供給源について,正当なスクリーニングをしないまま,温泉排水を取り上げている。 白川田流域における塩素イオンの供給源となりうるものとしては,温泉排水の他に,風送塩,肥料及び生活排水などが想定されるにもかかわらず,本件各調査は,温泉排水以外の供給源については明確な根,,拠なく排除し温泉排水のみを供給源として取り上げたものであって偏向した調査であるといわざるを得ない。 bイオン成分比率の分析といった定性的な調査に偏しており,定量的な把握を一切していない。 本件温泉施設からの温泉排水の量は1日当たり30t程度であり,1年当たり約1万t程度であるところ,本件各調査によれば,温泉排水の塩素イオン濃度は165mg/ℓであり(前 的な把握を一切していない。 本件温泉施設からの温泉排水の量は1日当たり30t程度であり,1年当たり約1万t程度であるところ,本件各調査によれば,温泉排水の塩素イオン濃度は165mg/ℓであり(前提となる事実(4) イ(ウ,温泉源水と比べて10倍以上に希釈されている。これに))対し,白川田流域の地下水貯留量は,259.1㎦~499.2㎦であり(前提となる事実(2)イ(イ,これに流入する雨水だけ))でも1年当たり約1117万t(年間雨量2200mm×流域面積10.293㎢×40%+雑排水等)に達する。したがって,白川田流域内に流入する水に対する温泉排水の寄与率は雨水に対してさえ0.1%にも満たない。しかるに,本件各調査は,上記のような定量的な視点が欠落しており,不合理である。 c本件温泉施設の開設前から水源地で塩素イオン濃度が上昇していた事実についての分析がない。 本件各調査開始以前から,白川田流域内の4水源地では塩素イオン濃度の上昇が観察されており,むしろ,本件温泉施設の開設後,平成16年8月ころまでの間は,高野水源を除く水源地の塩素イオン濃度は概ね安定していた。本件各調査は,上記のような塩素イオン濃度の推移について台風の影響によるものとして詳細な分析をしなかったものであり,不当である。 d本件温泉施設の開設前のデータがないC井戸についての分析を偏重している。 C井戸においては,本件温泉施設の開設以前にも極めて高濃度の塩素イオンが検出された可能性があり,本件温泉施設の開設により,C井戸の塩素イオン濃度にいかなる変化がもたらされたかは,検証することができない。現に,C井戸では,原告が温泉排水の流域外処理を開始した平成17年4月以降,いったん100mg/ℓ台まで下降した塩素イオン濃度が1000mg/ℓ近くまで再度上昇し れたかは,検証することができない。現に,C井戸では,原告が温泉排水の流域外処理を開始した平成17年4月以降,いったん100mg/ℓ台まで下降した塩素イオン濃度が1000mg/ℓ近くまで再度上昇した事実がある。 上記可能性を考慮していない本件各調査結果の論拠は,ぜい弱であるというほかない。 (ウ)本件シミュレーションについてa温泉排水ではなく温泉源水を用いている。 ,,本件において地下浸透処理されたのは温泉排水であり温泉排水は温泉源水の他に雑排水等が混入し,その塩素イオン濃度も10倍以上に希釈されたものであるところ,本件各調査のトリリニアダイヤグラム及び本件シミュレーションによる解析には,温泉排水ではなく温泉源水のサンプルが利用されており不合理である。 b風送塩の影響を論じるために必要な海水の採水が行われていない。 本件各調査では,風送塩の影響も検討対象としているが,これを判断する上で必要な周辺地域の雨水や海水の採水が全くされておらず,海水のイオン成分比率の出典も明示されていない。海水のイオン成分比率は海洋,海域によって異にするものであり,宮古島周辺の海水のイオン成分比率が標準的なものである保障は全くない。しかるに,本件各調査は,宮古島周辺海域の海水を実際に採水することなく,標準的な海水のイオン成分比率と同視したものであり,この点において,本件各調査には重大な誤りがある。 c本件シミュレーションは不合理な仮定に基づくものである。 本件シミュレーションは,温泉排水の影響がない過去の白川田水源の水質を基準(以下「基準地下水」という)に,温泉源水を混入し。 た場合と,海水を混入した場合とで,どちらが実際のイオン成分比率(実測データ)に近づくか比較検討しようとするものであるが,上記シミュレーションは,自然界では想定できない不合 に,温泉源水を混入し。 た場合と,海水を混入した場合とで,どちらが実際のイオン成分比率(実測データ)に近づくか比較検討しようとするものであるが,上記シミュレーションは,自然界では想定できない不合理な仮定に仮定を重ねた単なる机上の空論である。 すなわち,①平成7年5月から同11年度における白川田水源の水質検査の平均を基準地下水としているが,これは本件第2調査に係る調査地点の水質が本件温泉施設の開設以前には均質であったという検 証不可能な仮定条件に基づくものであること,②海水のみが地下水に混入することや,温泉排水のみが地下水に混入することなどおよそあり得ないにもかかわらず,本件シミュレーションでは地下浸透のプロセスを単純化していること,③地下水が,実際には流動,拡散するものであるにもかかわらず,本件シミュレーションは地下水を不動のものとして把握し,地下水の流出について何ら想定していないことなど非現実的な仮定を積み重ねたものである。 (エ)本件各調査報告書の記載等についてa本件各報告書には初歩的な誤記や,誤解を招くあいまいな表現が多すぎる。 本件第1調査報告書では「トレーサー」を「トレサー」と誤記し,たり,トレーサー調査などまったく行われていないにもかかわらず,これが行われたかのような不適切な記載となっている。本件第2調査報告書では,温泉排水と温泉源水の用語が混同して使用されており,ずさんである。 b本件第2調査の結果と本件第2調査報告書の結論部分に論理的な整合性がない。 仮に,本件第2調査の結果が正当なものであるとしても,その結果からは,①温泉排水と4水源における塩素イオン濃度の上昇には関連が認められない,②温泉排水とC井戸における塩素イオン濃度が高値であることには関連性が認められる可能性があるという程度の推論ができる からは,①温泉排水と4水源における塩素イオン濃度の上昇には関連が認められない,②温泉排水とC井戸における塩素イオン濃度が高値であることには関連性が認められる可能性があるという程度の推論ができるにとどまる。 すなわち,トリリニアダイヤグラムの解析からは,C井戸が温泉排水の影響を受けている可能性自体は排斥されないが,C井戸と4水源地とのプロットとの間には大きな隔たりがあり,C井戸の水質が4水源の水質に影響を及ぼしている可能性を読みとることは不可能であ る。本件シミュレーションの結果によっても,C井戸には海水より温泉水が混入している可能性が高いという程度の雑ぱくな推論が可能なだけである。 ところが,本件第2調査報告書の結論部分には「温泉排水がC井,戸における塩素イオン濃度上昇に影響している「各水源地への影響」の拡大が懸念される」と,調査結果からは推論することができない,根拠のない断定的な結論が記載されており不当である。 (オ)その他企業団が,本件センターに本件各調査を依頼した本件仕様書には,解析手法があらかじめ指定されておらず,企業団が,本件センターが行った複数の解析手法のうち企業団にとって都合のいい結果を示した解析手法のみを本件各調査報告書に記載するように指示した可能性は否定できない。 また,本件各調査報告書は,企業団が作成した本件仕様書に記載された水質の概況についての分析が,一字一句違わず記載されていることに現れているように,本件センターが,企業団の意向に添うように本件各調査報告書の結論部分を作成した疑いがある。 (被告の主張)否認又は争う。 ア本件各調査は,地下水の調査手法としての最も基本的な方法を踏襲して行われたものであり,その結果,本件温泉施設の近隣に所在するC井戸及びI井戸について温泉排水の影響が認められたも 否認又は争う。 ア本件各調査は,地下水の調査手法としての最も基本的な方法を踏襲して行われたものであり,その結果,本件温泉施設の近隣に所在するC井戸及びI井戸について温泉排水の影響が認められたものである。 なお,本件は,塩素イオン濃度の異常上昇という宮古島において過去に経験がない現象に対する緊急調査であって,学術論文ではない。本件各調査は,原告が本件温泉施設を開設した前後から塩素イオン濃度が上昇したという客観的な事実を前提として,その原因究明のための調査で あり,調査精度よりも対応の早さが求められたものである。 イ(ア)サンプルの採水地点の選定等及び本件ため池の影響についてaサンプルの採水地点の選定等について(a)サンプルの採水地点の選定は恣意的ではない。 ,,原告は本件第2調査に係る調査地点の選択について非難するがC井戸は,原告の温泉施設に近い場所にあり,これを調査地点から除外することは適当とはいえない。企業団及び本件センターによる調査地点の決定は,白川田流域における地下水の流動方向等を勘案した結果であり,適切である原告は,本件各調査がC井戸のみに固執して行われたかのような,,,主張をするが本件各調査では比較対照用の井戸の設定も含めて必要なデータ収集を行っている。なお,C井戸について,本件温泉施設の開設以前の水質検査のデータがないのは不可抗力によるものであり,企業団が調査を始めた平成16年2月以降のデータをもって検討したことは当然である。 サンプルの採水回数及び採水の方法は適切である。 (b)原告は,サンプルの採水回数が少ないことを非難するが,水質検査におけるサンプルの採取は1か所1サンプルが通常であり,原告の指摘はさ末なものにすぎない。 また,4水源における水質検査は長期にわたり行われており,水質の安定性 数が少ないことを非難するが,水質検査におけるサンプルの採取は1か所1サンプルが通常であり,原告の指摘はさ末なものにすぎない。 また,4水源における水質検査は長期にわたり行われており,水質の安定性からみて平均値をとることは可能である。C井戸などで塩素イオン濃度が乱高下を繰り返していたことは原告の主張のとおりであるが,このような場合,水質検査の結果の平均値をとる統計的な意味はない。また,本件各調査は,学術論文ではなく,企業団の発注により本件センターが実施した調査業務報告書であり,費用対効果や迅速性が求められたものであって,調査精度の高さよりも 対応の早さに重きを置いた初動調査であり限られたサンプル数で検討することもやむを得なかったものである。 b本件ため池の影響について原告は,C井戸は,隣接する本件ため池の水の混入の影響を強く受けていると主張するが,C井戸の水は地下水であり,かつC井戸周辺では小さな湧水が複数確認されている。仮に,C井戸が本件ため池の影響を受けているとしても,本件ため池の水は白川田流域の不透水基盤の境界に位置する原告病院から地下に浸透された地下水が地表に湧出し流れ込んでいる可能性も否定できない。なお,地下水の保全・管理上は,C井戸が本件ため池の影響を受けているか否かはさほど重要ではなく,C井戸内の高濃度の塩素イオンを含む水が4水源に向けて流動するか否かが重要なのである。 (イ)水質検査の結果の分析についてa塩素イオンの供給源として温泉排水を取り上げたのは適切である。 原告は,他の供給源の存在を考慮しないで温泉排水を供給源とした本件各調査は不当であると主張するが,肥料及び生活排水による塩素イオンの供給は,人口動態,土地利用状態などの統計的資料から判断されるものであるところ,平成元年以降の宮古島の人口動態,土地 給源とした本件各調査は不当であると主張するが,肥料及び生活排水による塩素イオンの供給は,人口動態,土地利用状態などの統計的資料から判断されるものであるところ,平成元年以降の宮古島の人口動態,土地利用状況,肥料の販売状況実績等の統計資料に照らせば,肥料及び生活。 ,排水による供給は定常的なものであるとみなすことができる他方で温泉排水が,地下水に悪影響を与える可能性があることは,沖縄県知事の意見聴取に対する沖縄県自然保護審議会の答申でも指摘されていたことである(前提となる事実(3)イ。 )b本件各調査は定性的な調査に偏したものではない。 本件第2調査では,各イオン濃度について検査しており,定量的な分析をしている。地下水の問題は,量的問題と質的問題があり,両者 は不可分のものではあるが常に同じ重みをもって論じる必要はない。 本件各調査は,地下水の塩素イオン濃度の上昇という質的問題を定量的に扱っているのであり,温泉排水や台風による風送塩の影響の有無を検討するためには,このような方法で十分なのであって,本件各調査において,温泉排水の排水量について言及がなかったことに問題はない。 c本件温泉施設が開設する以前から水源地で塩素イオン濃度が上昇していた事実についての分析はされている。 企業団は,白川田流域内の4水源の平成14年4月から同15年8月までの塩素イオン濃度は30~40mg/ℓ程度であったものが,平成16年8月ころには50~80mg/ℓに上昇していることを確認した。一方,温泉排水が地下水に悪影響を与える可能性が指摘されていたことから,企業団は,平成16年2月以降,本件温泉施設周辺の調査地点の水質検査を開始したのである。 d企業団がC井戸に特に着目した理由C井戸の塩素イオン濃度は,上記調査開始時点で270mg/ℓであったが,平 業団は,平成16年2月以降,本件温泉施設周辺の調査地点の水質検査を開始したのである。 d企業団がC井戸に特に着目した理由C井戸の塩素イオン濃度は,上記調査開始時点で270mg/ℓであったが,平成16年9月13日には,1099mg/ℓという高値が検出されたことから(前提となる事実(3)エ,同井戸に特に着目し)て調査を行ったものである。 (ウ)本件シミュレーションについてa温泉排水ではなく温泉源水を用いたことについて原告は,本件シミュレーションにおいて,温泉排水ではなく,温泉源水を用いたことを非難するが,温泉排水は,原告病院からの雑排水との混合比率が安定しておらず,その希釈化の割合も一定とはいえないものである。したがって,本件シミュレーションは,温泉源水の水質検査の結果を用いて行うのが適切である。 ,。 b海水の採水が行われていなくとも本件各調査には何ら影響がない原告は,本件シミュレーションに用いられた海水のイオン成分比率が実際に採水した結果によるものでないことを非難するが,海水のイオン成分比率は,地下水,降水及び地表水などと比べるとかなり均質的であることは,海洋学において常識であり,海水の一般的挙動を考察する基準として標準海水が規定されている。宮古島のようなサンゴ礁域の海水のイオン成分比率は,本件各調査において問題とされるべき水質論の精度からすれば,標準海水と同一のものとみなすことができ風送塩はその単純希釈とみなすことができる本件第2調査の標,。 「準的な海水」とは,標準海水のイオン成分比率か,理科年表の数値であることは容易に判断され,いずれを用いたとしても本件各調査に影響を与えるものではない。 c本件シミュレーションの仮定は相当である。 シミュレーションは,単純なモデルから実際の現象の再現を試み,計算値が とは容易に判断され,いずれを用いたとしても本件各調査に影響を与えるものではない。 c本件シミュレーションの仮定は相当である。 シミュレーションは,単純なモデルから実際の現象の再現を試み,計算値が実際の現象をうまく再現できないようであれば,モデルに新たな要因を加えて検討を繰り返すことで複雑な現象を理解するための補助とするものである。原告は,シミュレーションの基本的な考えを理解していないか,意図的に曲解している。 地下水の水質の分析手法としての数値計算のためのシミュレーションは当然に行われている常識的なものである。特に,単純な無機化学組成の混合計算を行うシミュレーションは正確なものであり,サンプルの各イオン成分比率が判明していれば,実際にサンプルを混合して濃度測定する必要はない。むしろ実際のサンプルの混合操作は,混合する水量,濃度計測などのいくつもの段階で計量誤差が累積する可能性があるから,精度及び費用の点からしても,非効率的,非合理的手法である。 原告は,本件第2調査報告が本件シミュレーションのみに基づいているかのような主張をしているが,これは誤った認識である。本件第2調査の中核となる分析作業は,12か所の調査地点の水質検査とそれに基づくトリリニアダイヤグラムによる解析である。本件シミュレーションもまた地下水調査のごく基本的な解析手法の一つとして利用されているが,あくまでトリリニアダイヤグラムによる解析を補足す。 ,(()るものである本件第2調査報告書はまとめ前提となる事実 ウ(オ)において,トリリニアダイヤグラムによる解析の結果につ)いて述べているが,本件シミュレーションの結果については言及していないことからも,主たる分析手法及び判断根拠がトリリニアダイヤグラムによる解析であり,本件シミュレーションはそれ る解析の結果につ)いて述べているが,本件シミュレーションの結果については言及していないことからも,主たる分析手法及び判断根拠がトリリニアダイヤグラムによる解析であり,本件シミュレーションはそれを補足するものであると位置付けていることが,読み取れるはずである。 (エ)本件各調査報告書の記載等についてa本件各調査報告書の誤記について本件各調査報告書に誤記があることは認めるが,本質的な問題ではない。また,原告は,誤解を招く表現があると主張するが,本件各調査結果は広く市民の閲覧に供することを予定したものではなく,表現に問題はない。 b本件第2調査の結果と本件第2調査報告書の結論部分との間には何ら論理的な矛盾はない。 本件第2調査の結果は,温泉排水が4水源に到達する可能性を述べているだけであって,調査時点で4水源に温泉排水の影響が現れているとは述べていないところ,原告の主張は,同調査の結果について不適切な解釈を加えており,失当である。 (オ)その他原告は,本件各調査は企業団が作成した本件仕様書の不適切な指示 に基づくものであり,企業団の意向を尊重した調査結果になっていると主張するが,根拠のない邪推にすぎない。 (2)争点(2(本件公表の違法性))(原告の主張)ア原告は,企業団から白川田流域において塩素イオン濃度が上昇していることを理由として,本件温泉施設からの排水を停止するよう求められ,これに不審を抱きながらも,水質検査に率先して協力し,温泉排水の流域外処理用の貯蔵タンクを建設するなどしてきた。 ところが,企業団は,平成17年2月1日,原告に対し,何ら予告することなく,白川田流域において塩素イオン濃度が上昇している原因が,本件温泉施設からの温泉排水であるとする本件公表を行った。すなわち,企業団は,①白川田流域内にある 2月1日,原告に対し,何ら予告することなく,白川田流域において塩素イオン濃度が上昇している原因が,本件温泉施設からの温泉排水であるとする本件公表を行った。すなわち,企業団は,①白川田流域内にあるC井戸及びI井戸の塩素イオン濃度の上昇は,本件温泉施設からの排水の影響である旨報道機関に公表し,本件施設を特定して白川田流域における塩素イオン濃度の上昇の原因であると決めつけるとともに,②上記二つの井戸とも,本件温泉施設の近隣に所在しており下流に4水源があることからすると「今後の影響が懸念される」と。 危機感をあおった。 イ本件公表は,上記のとおり真実と信ずるについて相当な根拠となり得ない本件各調査に基づくものであり,その目的,必要性,時期及び内容に照らしても,違法なものというべきである。 本件公表の目的は,白川田流域における塩素イオン濃度の上昇の責任を原告に転嫁し,その名誉をおとしめるとともに,企業団が,塩素イオン濃度の上昇の問題の解決に向けて努力している姿勢を示し,その原因を突き止めたという功績を世間にアピールすることにあった。 本件各調査によっても,白川田流域における塩素イオン濃度の上昇の原因は何ら究明されていない反面,平成17年2月1日の時点で本件公表を 行わなければならない差し迫った必要性もなく,原告が上記時点で本件温泉施設からの排水を流域外処理する準備を整えていたことに照らしても,本件公表は時期尚早である。 基準値を上回る塩素イオンを含む水を摂取したとしても直ちに人の健康被害が生じることはないにもかかわらず,本件公表の内容は,白川田流域内にあるC井戸及びI井戸から高濃度の塩素イオンが検出されたこと及びその影響が白川田流域全体に拡大していく懸念を殊更に強調するとともに,本件温泉施設からの温泉排水が塩素イオン濃度の上昇の原因であ 域内にあるC井戸及びI井戸から高濃度の塩素イオンが検出されたこと及びその影響が白川田流域全体に拡大していく懸念を殊更に強調するとともに,本件温泉施設からの温泉排水が塩素イオン濃度の上昇の原因であると判断するのに都合のよいものばかりであった。 本件公表では原告病院の名称は明らかにされていないものの,宮古島内において「温泉施設」といえば原告病院を指すことは地域住民の間で公知の事実であって,本件温泉施設が白川田流域の地下水に対し悪影響を与えているかのように,広く地域住民のみならず沖縄県民に対し強く印象づけたものである。本件公表は,顕名性及び識別性が高く,原告に多大な影響を及ぼしうるものであるから,事前に本件各調査等への反論の機会を付与する必要があるにもかかわらず,反論の機会を与えることなく,いわば抜き打ち的に行われたものである。 ウそして,企業団が,本件公表を行ったことにより,新聞などの報道機関が「温泉排水の影響と判断「塩素イオン濃度の上昇「白川田水源域の」」2井戸宮古島上水道企業団,拡大懸念,調査は継続「地下水塩素イオ」ン濃度2井戸で高濃度検出「白川田水源流域温泉排水が原因」などの」見出しで,本件温泉施設からの排水が白川田流域における塩素イオン濃度の上昇の原因であるとの報道を大々的に行った結果,原告の名誉は著しく毀損された。 (被告の主張)否認又は争う。 ア本件各調査について企業団が,原告に予告することなく本件公表を行ったことは認めるが,本件公表の根拠となった本件各調査に根拠がないとの主張は失当である。 イまた,本件各調査は,宮古島において過去に経験がない白川田流域における塩素イオン濃度の異常な上昇に対する緊急調査であって,学術論文ではない。塩素イオン濃度の異常上昇が公共的に地下水利用が行われていない流域で起 調査は,宮古島において過去に経験がない白川田流域における塩素イオン濃度の異常な上昇に対する緊急調査であって,学術論文ではない。塩素イオン濃度の異常上昇が公共的に地下水利用が行われていない流域で起きたものであれば,時間をかけて調査し,相応の対処をすべきであったかもしれない。 しかしながら,本件各調査は,原告が本件温泉の掘削を開始した平成15年ころから,白川田流域において塩素イオン濃度の上昇傾向がみられ,本件温泉施設が開設された後の平成16年9月以降,塩素イオン濃度が異常に上昇したという客観的状況を踏まえて行われたものであって,予防原則からすれば学術論文的な調査精度よりも対応の早さを優先することが求められるのであり,行政機関が委託して作成された本件各調査に基づき緊急に対応するために本件公表をしたのは適法である。 ,ウ水道法の塩素イオン濃度の基準値は200mg/ℓであることとされおり塩素イオンの濃度が基準値を上回る場合には上水道水として利用することができなくなるところ,白川田流域は宮古島の最重要水源であり,宮古島市民にとって極めて公共性が高い水資源であり,同流域の地下水が利用できなくなると,宮古島市民の上水道水は危機的状況に陥ることになる。 本件温泉施設の温泉源水の塩素イオン濃度は1万1000mg/ℓという極めて高値のものであり,白川田流域の地下水の流動方向を勘案すれば,温泉排水の影響が4水源に及ぶ危険性は十分に予測された。企業団は,宮古島市民にとって公共性の高い資源である地下水を保全・管理する責務があるところ,白川田流域における塩素イオン濃度の異常上昇により同流域の地下水が上水道水として利用できなくなる状況が現実に起こりうること からすれば,同流域における塩素イオン濃度が上昇している事実を公表する必要があった。 原告は本件公表は の異常上昇により同流域の地下水が上水道水として利用できなくなる状況が現実に起こりうること からすれば,同流域における塩素イオン濃度が上昇している事実を公表する必要があった。 原告は本件公表は時期尚早であると主張するが,白川田流域における塩素イオン濃度の上昇は,現実的な危機であり,かかる危機に対する原因究明のための調査結果を速やかに宮古島市民に公表することは,地下水を保全・管理する企業団の責務である。地下水の保全・管理にかかわる重大な問題は,公表すること自体に重要な意義があるものであって,本件各調査の結果が出てからこれを一定期間伏せておく理由はない。 エ企業団は,本件公表において,本件各調査に基づき,本件温泉施設に近い二つの井戸について本件温泉施設からの排水の影響が現れていると判断している旨公表したにとどまるものであり,白川田流域内にある他の井戸や4水源での塩素イオン濃度の上昇が,本件温泉施設からの温泉排水が原因である旨断定したことはない。企業団職員は,本件公表の中で本件温泉施設の排水による「今後の影響が懸念される」旨の見解を表明したことは事実である(前提となる事実(3)キ)が,これは本件各調査に照らし当然に予測されるものである。ただし,企業団は,報道機関に,温泉排水の影響が認められるのは温泉施設近隣の二つの井戸(C井戸及びI井戸)のみであり,その他の井戸や水源地への影響については不明であることを繰り返し強調した。企業団としても,地下水の保全・管理が宮古島の生活基盤,経済基盤に直接関わる問題であり,報道機関が本件公表を大きく取り上げることが予測されたことから,企業団は,報道機関に対し過剰な表現を避けるように依頼したのであって,企業団が報道機関による過剰表現を期待して本件公表を行ったことはない。 オなお,本件公表は,白川田流域 ことが予測されたことから,企業団は,報道機関に対し過剰な表現を避けるように依頼したのであって,企業団が報道機関による過剰表現を期待して本件公表を行ったことはない。 オなお,本件公表は,白川田流域における塩素イオン濃度の上昇がすべて温泉排水によるものであるとしてはおらず,事実上の不利益処分に当たるとはいえないから,聴聞等の手続は不要である。 (3)争点(3(本件要請の違法性))(原告の主張)ア行政指導は,相手方の任意の協力によってのみ内容が実現されるものであり,行政指導の相手方にはこれに従わなければならない義務はないのであって,行政指導に従わなかったことを理由として,相手方が不利益な扱いを受けるようなことはあってはならない。そして,行政指導が,行政目的を達成するのに必要な限度を超えていたり,その行使の方法が社会通念上相当と認められる範囲を逸脱し,強制にわたることは許されない。 イ企業団は,本件各調査に基づき,平成17年2月15日,Y6企業長,,,「」被告市長ら5名の連名で原告に対し温泉排水地下浸透中止のお願いと題する書面(本件要請文書)により,本件温泉施設からの排水の浸透処,。 理を中止し本件温泉施設の操業停止を要請する内容の本件要請を行ったウしかしながら,本件要請は,上記のとおり,本件公表事実が真実と信ずるについて相当な根拠とはなり得ない本件各調査に基づくものである。また,本件要請は「去る1月に財団法人沖縄県環境科学センターが宮古島,上水道企業団に対し提出した報告書は,貴院温泉の排水が地下水質に影響を与えるものとなっております「水源に近い井戸でも温泉排水の影響が」既に現れています」などと本件各調査報告書を引用しているが,本件各調査報告書には「温泉排水の影響は(中略)4水源への影響は明確ではなかった のとなっております「水源に近い井戸でも温泉排水の影響が」既に現れています」などと本件各調査報告書を引用しているが,本件各調査報告書には「温泉排水の影響は(中略)4水源への影響は明確ではなかった「影響の拡大が懸念される」とのみ記載されているのであり,企業」団の都合のいいように本件各調査報告書を曲解して,本件要請を行ったものである。 また,本件要請は,その必要性,時期及び目的に照らして不相当なものである。すなわち,本件要請は,原告が本件温泉施設からの温泉排水を流域外処理する準備を整えていたところに,温泉排水の地下浸透処理の中止を要請したものであり,企業団は原告が自発的に温泉排水を流域外処理を 。 ,,実施する前に本件要請をすることを急いだものであるそして企業団は本件要請を行うに際し,報道機関に事前に予告した上,原告代表者が不在である旨の連絡を受けていたにもかかわらず,記者の環視のもと,被告市長自ら,本件要請文書を原告病院に持参し,あたかも原告が本件要請を拒絶し被告市長を門前払いしたかのような印象を地域住民に与えたものである。 エこのような本件要請の態様からすると,本件要請は政治的パフォーマンスを目的として行われたものといわざるを得ず,行政指導の限界を超えるものであって違法である。 (被告の主張)否認又は争う。 ア原告は,企業団及び被告市長による一連の行為を違法な行政指導である旨主張するが,本件要請文書は,宮古島の地下水の保全・管理をすることを責務とする被告市長の立場から当然のことを記載したお願いの要請文書であり,行政指導ではなく単なる要請にすぎない。 イ地下水の保全・管理は予防原則を貫くことにより達成することができるものであるところ,原告の温泉排水の流域外処理に向けた準備は必ずしも自発的,協力的なものではなく,円滑に く単なる要請にすぎない。 イ地下水の保全・管理は予防原則を貫くことにより達成することができるものであるところ,原告の温泉排水の流域外処理に向けた準備は必ずしも自発的,協力的なものではなく,円滑に進んでいたものではない。このように協力的でない原告に対し,本件各調査に基づき,温泉排水の地下浸透処理中止を要請したとしても,非難に値する違法な行為であるとはいえない。 ウ原告は,本件要請の態様に照らせば,本件要請は政治的なパフォーマンスにすぎないと主張するが,見識偏狭と言わざるを得ない。企業団は,本件要請において,原告が格別の不利益を被ることがないように配慮していた。すなわち,被告市長は,平成17年2月14日,原告病院に温泉排水の地下浸透中止の要請にうかがいたいと電話連絡したところ,原告の職員 から本件要請文書を郵送してほしいと返答を受けた。被告市長,Y6企業長らは,本件要請文書の重要性にかんがみ,郵送は原告に対する礼を失するとして,同月15日,原告病院を訪れ上記要請を行ったものである。 したがって,原告が主張するように,企業団が報道関係者に呼びかけて上記訪問に随行させた事実はなく,また,原告が上記要請に対する協力を拒んだことや門前払いをしたことなどを内容とする報道をさせた事実もない。 (4)争点(4(本件対策委員会の本件各意思決定の違法性))(原告らの主張)ア本件対策委員会は,平成17年2月22日の1回目の会合において,原告に対し,本件温泉施設からの排水の自粛を求める方針を決定・公表した。また,本件対策委員会は,同年3月8日,2回目の会合を開き,同会合において,原告に対し,本件温泉施設からの排水を流域外処理するよう要請することを決定・公表した(以下,上記方針及び要請の決定を併せて「本件各意思決定」という。 。)イしかし 会合を開き,同会合において,原告に対し,本件温泉施設からの排水を流域外処理するよう要請することを決定・公表した(以下,上記方針及び要請の決定を併せて「本件各意思決定」という。 。)イしかしながら,本件対策委員会は本件各意思決定を公表することにより,原告に著しい損害が生じることを十分認識し得たにもかかわらず,満足な審議をすることなく,格別の配慮も図らないまま,真実と信ずるにつき相当な根拠となり得ない本件各調査に基づき,原告に対し,本件温泉施設の操業に干渉する不当な意思決定をし,かつ,原告に反論の機会を与えないまま,一方的にその内容を報道機関に公表したものである。 ウまた,原告は,本件対策委員会が本件各意思決定を公表する以前から本件温泉施設からの排水の流域外処理の準備を整えていたものであり,本件対策委員会が本件各意思決定を公表する必要は全くなかった。さらに,本件対策委員会が本件各意思決定を公表した時点では,本件要請が行われており,原告に対し本件温泉施設からの排水の地下浸透処理の中 止(排水自粛)の要請が既に行われていたものである。そうすると,本件対策委員会は,原告に対し更なる致命傷を与えるために本件各意思決定を公表したものというべきであり,悪意すらうかがわれるものである。 エしたがって,本件対策委員会の本件各意思決定は不必要であった上,内容も不当なものであり,目的も不純な動機に基づくものであるから,違法というほかない。 (被告の主張)否認又は争う。 平成17年2月22日に行われた本件対策委員会の1回目の会合で議論されたのは,同月15日に被告市長が原告病院に本件要請文書を持参して交付しようとしたにもかかわらず,原告病院のX3医事課長らが同文書の受領を拒否したためこれを同所のカウンター上に置いてきたことについて,原告が本件要 5日に被告市長が原告病院に本件要請文書を持参して交付しようとしたにもかかわらず,原告病院のX3医事課長らが同文書の受領を拒否したためこれを同所のカウンター上に置いてきたことについて,原告が本件要請文書を受領したか否かを検討するためであった。 すなわち,本件対策委員会では,本件要請の他に改めて原告に対し温泉排水の地下浸透処理の中止の要請を行う必要があるか否かが問題となり,その前提として,宮古島市民から信託を受けた被告市長らの連名による本件要請文書が受領されたかを確認することが検討されたが,同じ内容の要請文書を原告に改めて交付することは,このことを報道機関が大きく報道し原告に不利益を与えかねないことから,本件対策委員会は,原告に対し温泉排水の地下浸透処理の中止を口頭で要請することを決定したものであり,何らの違法も認められない。 (5)争点(5(損害額))(原告の主張)ア企業団及び被告市長による一連の違法行為によって,原告の名誉は著しく毀損されたものであり,かかる原告の精神的苦痛に対する慰謝料は2000万円を下らない。 イ原告は,本件公表をはじめとする一連の違法行為による損害の拡大を食い止めるため,本件公表等に対する反論の意見広告を地元の新聞に掲載せざるを得なくなったが,原告はこれに184万5000円を要した。 ウまた,原告は,白川田流域における塩素イオン濃度の上昇の原因を究明するべく研究機関に調査を依頼しなければならなくなり,これに214万4835円の費用を要した。 エ原告は,本件について対応するために弁護士に相談するなど84万円の弁護士費用を支払った。 オその他,原告は企業団及び被告市長の一連の違法行為により,本件温泉施設の近隣に温泉施設を中核とした福利厚生施設を開業することを予定していたが,これが大幅に遅延するな 円の弁護士費用を支払った。 オその他,原告は企業団及び被告市長の一連の違法行為により,本件温泉施設の近隣に温泉施設を中核とした福利厚生施設を開業することを予定していたが,これが大幅に遅延するなど,有形無形の損害を被った。 カよって,原告は,上記損害の内金2000万円の支払を求める。 (被告の主張)否認又は争う。 原告は,本件公表をはじめとする一連の行為により,原告の名誉が毀損されたなどと主張するが,原告の勝手な思いこみにすぎない。 第3 判断 争点(1(本件各調査は本件公表事実を真実と信ずるについて相当な根拠)となりうるか)について(),, 原告は本件公表及び本件要請の根拠とされた本件各調査によっても温泉排水と白川田流域における塩素イオン濃度の上昇との因果関係は科学的に立証されておらず,本件各調査の結果は,本件公表事実を真実と信ずるについて相当の根拠となりえない旨主張する。 (2)前提となる事実(3)キで認定した事実によれば,本件公表の主たる根拠となったのは,本件第2調査の結果であるところ,同調査は「C井戸,については,温泉水の影響の可能性が極めて大きい」という本件第1調査の 結果を踏まえて行われたものであり,その結果の要旨は,①本件第2調査が行われた4水源及び多くの本件第2調査に係る井戸が典型的な琉球石灰岩層を通る地下水の特徴である「重炭酸カルシウム型」に属しているのに対し,温泉水源(源水,C井戸及びI井戸の水質が「非重炭酸ナトリウム型」に),,,属するもので異なった水質組成を示している②宮古島の地下水は地形的地質的な状況から風送塩の影響を受けやすい状況にある,③過去の4水源の水質検査のデータによると,塩素イオン濃度は40~50mg/ℓにとどまっているが,本件温泉施設の開設以前においても台風時に 地形的地質的な状況から風送塩の影響を受けやすい状況にある,③過去の4水源の水質検査のデータによると,塩素イオン濃度は40~50mg/ℓにとどまっているが,本件温泉施設の開設以前においても台風時には73mg/ℓまで上昇した経緯がある,④各井戸に対する温泉排水の影響は,温泉源水の分析結果と比較すると,まず温泉から距離の近い(約500m)C井戸に影響が現れ,ついでI井戸に現れているものと判断される,⑤現時点では,塩素イオン濃度の低い(80mg/ℓ以下)4水源への影響は明確ではなかった,⑥C井戸及びI井戸以外の井戸並びに4水源などに対する温泉排水の影響は,温泉水源―C井戸―I井戸と同様の均質な琉球石灰岩が連続しているものと仮定すれば,不透水基盤(島尻層群の上面)の形状で示されるように,地下水の流動方向がこれとほぼ一致するものとして,いずれG井戸―K井戸から高野水源―大野水源へ,その後は白川田水源―山川水源へと影響の拡大が懸念されるというものである。 そこで,以下では,このような本件各調査,とりわけ本件第2調査の結果が,本件公表事実を真実と信ずるについて相当な根拠となりうるか原告の主張する順序に沿って検討する。 (3)サンプルの採水地点の選定等及び本件ため池の影響について原告は,本件各調査に係る調査地点の選定が恣意的であり,サンプルの採水回数及び方法も不適切であると主張する。 ア本件各調査に係る調査地点の選定(ア)証拠(乙1,15)によれば,本件各調査に係る調査地点の選定 の経緯について,以下の事実を認めることができる。 a事務組合は,平成16年1月16日「温泉排水による地下水汚染,可能性に係る勉強会」を開き,事務組合,企業団,宮古土地改良区及び宮古保健所の職員が参加し,温泉排水が地下水を汚染する可能性について意見交換をした結 成16年1月16日「温泉排水による地下水汚染,可能性に係る勉強会」を開き,事務組合,企業団,宮古土地改良区及び宮古保健所の職員が参加し,温泉排水が地下水を汚染する可能性について意見交換をした結果,温泉排水が地下水中の塩素イオン濃度を上昇させている可能性は否定できないとの見解で一致した。 b企業団及び事務組合は,上記勉強会以降,本件温泉施設の周辺で確認された井戸の水質検査を開始することとした。原告病院が白川田流域と東添道流域のほぼ境界線上に位置し,南側の仲原流域及び砂川流域にも近接していることから,原告病院周辺で確認された井戸について,A井戸~F井戸とそれぞれ名称を付け,その水質検査を開始した。 c上記A~F井戸の初回の水質検査では,A井戸から173.1mg/ℓ,C井戸から269.8mg/ℓ,病院を挟んで反対側に位置するD井戸(砂川流域)から194.7mg/ℓの塩素イオン濃度がそれぞれ検出された。 d平成16年8月ころ,4水源の塩素イオン濃度が50~80mg/ℓに上昇し,C井戸では同年7月ころから塩素イオン濃度が上昇し始,,. 。 ,め同年8月10日には 3mg/ℓに達したこのことから企業団は,温泉排水が白川田流域に流入していると推測し,同月27日,原告病院と4水源の間に所在するG井戸を調査地点に加えたほか,同年10月15日にH井戸を,同年11月24日にI,J,K井戸をそれぞれ調査地点に加えた。その理由は,白川田流域の不透水基盤の構造と地下水の流動方向を勘案すると,I,K井戸は更竹地区から4水源に向かう地下水の流動経路上に位置し,H,J井戸は,地上の地理的には更竹地区と4水源との間に位置するが,地 下水の流動経路がI,K井戸と異なることから,比較対象として調査地点としたというものであった(なお,H井戸 経路上に位置し,H,J井戸は,地上の地理的には更竹地区と4水源との間に位置するが,地 下水の流動経路がI,K井戸と異なることから,比較対象として調査地点としたというものであった(なお,H井戸の水位が低下し採水することができなくなったことから,企業団は,平成16年11月24日から,その代替としてJ井戸を調査の対象としたものである。 。)(イ)本件第2調査は,4水源,B井戸,C井戸,E井戸,G井戸,I井戸,K井戸,福山井戸及び温泉源水を調査地点としており,白川田流域外にあったA井戸及びD井戸については,従前,比較的高値の塩素イ,,オン濃度が検出されていたにもかかわらず調査地点とされていないがこれは,上記(ア)のとおり,C井戸で同年7月ころから塩素イオン濃度が上昇し始め,同年8月10日には,313.3mg/ℓに達したことから,企業団が温泉排水が白川田流域に流入していると推測したためであり,上記推測は別紙図面2の不透水基盤の上面等高線から推定される白川田流域内の地下水の流動方向(C井戸付近から,おおむね北に向か)(,い白川田水源及び山川水源に至る方向に符合するものである原告は上記図面の正確性に疑問がある旨主張するが,これを裏付ける証拠はない。 。)(ウ)上記(ア)及び(イ)で認定した経過等に照らせば,本件第2調査に当たり,白川田流域内に調査地点を増やす一方,白川田流域外にあるA井戸及びD井戸を調査地点から外したことには合理性があり,企業団は,原告病院が所在する更竹地区から4水源へと向かう地下水の流動経路以外にも新たに調査井戸(H,J井戸)を設定し比較対照を試みていることからすれば,原告が主張するような恣意的な調査地点の選定が行われたと認めることはできない。 イサンプルの採水回数及び方法について(ア)原告は 査井戸(H,J井戸)を設定し比較対照を試みていることからすれば,原告が主張するような恣意的な調査地点の選定が行われたと認めることはできない。 イサンプルの採水回数及び方法について(ア)原告は,本件各調査に係る調査地点からの採水回数が少ないと主 張するところ,確かに,本件第2調査に係る調査地点からの採水は,平成16年12月9日に1回だけ行われたものであり,調査の前提となるサンプルに乏しいということができる。 しかしながら,企業団は,平成16年2月以降,常時4水源の水質検査を行うとともに,本件温泉施設周辺のA~K井戸の水質の調査を開始(),したものであることは前提となる事実3エで認定したとおりであり調査地点の選定に関する経緯は,上記アのとおりであるところ,これらの水質検査の結果は,本件各調査に際し本件センターにも提供され,本件第2調査においても考慮されていること(前提となる事実(4)イ及びウの各(ア)a参照)や,本件各調査が緊急の初動的な原因究明調査(前提となる事実(3)オ)であることからすると,直ちに不適切とはいえない。 (イ)また,採水方法は,開放型の井戸についてはバケツによる採水を行い,開口部の狭い井戸については筒型の地下水採水器を用い,密閉型でポンプの設置されている井戸については,数分間水を出した後,採水を行い,温泉水については源泉から湯船へ温泉水を供給しているパイプから直接採水したというものである(前提となる事実(4)イ及び同ウの各(ア)b参照)が,この採水方法が不適当なものであると認めるに足りる証拠はない。また,本件全証拠によっても,上記採水方法を実施する過程で,異物が混入したと認めることはできない。 (ウ)さらに,原告は,本件各調査では,調査地点から採取されたサンプルがすべて費消され再調査することができ 件全証拠によっても,上記採水方法を実施する過程で,異物が混入したと認めることはできない。 (ウ)さらに,原告は,本件各調査では,調査地点から採取されたサンプルがすべて費消され再調査することができず不適切であると主張するが,上記のとおり本件各調査に係る採水方法は不適切なものといえず,本件各調査における水質検査の結果の正確性を疑わせるに足りる証拠はなく,上記の点をもって,直ちに本件各調査が不当であるということはできない。 ウ原告は,C井戸は隣接する本件ため池の水の混入の影響を受けており,調査地点として適切でない旨主張する。 (ア)証拠(乙1,2,11,15)及び弁論の全趣旨によれば,以,下の事実を認めることができる。 aC井戸の周辺は畑地であり,その隣りには,本件ため池が所在している。 b本件ため池の上下流両側に水路が設けられており,本件ため池の周囲は,コンクリートの擁壁により護岸されている。 c本件ため池は,大雨などにより地下に浸透しきれなくなった雨水を排水するためのものであるが,かんがい排水路の設計上,本件ため池及び上記水路の水は海に流入することなく,地下に浸透することが予定されている。 d平成17年度に行われたC井戸と本件ため池の水質検査の結果によれば,C井戸の塩素イオン濃度が612mg/ℓであったのに対し,本件ため池の塩素イオン濃度は429.9mg/ℓであった。 (イ)上記(ア)で認定した事実によれば,C井戸と本件ため池は隣接しており,C井戸が本件ため池の水の混入の影響を受けている可能性を否定することはできないが,白川田流域の地下水への影響という観点からは,C井戸が本件ため池の水の混入の影響を受けていたとしても,格別,本件第2調査の対象として適格を欠くということはできない(もっとも,本件ため池の塩素イオン濃 川田流域の地下水への影響という観点からは,C井戸が本件ため池の水の混入の影響を受けていたとしても,格別,本件第2調査の対象として適格を欠くということはできない(もっとも,本件ため池の塩素イオン濃度が,温泉排水以外の原因で上昇しているというのであれば話は別であるが,そのような事情を認めるに足りる証拠はない。 。)(4)水質検査の結果の分析についてア想定される塩素イオンの供給源として温泉排水を取り上げたことについて (ア)原告は,白川田流域における塩素イオン濃度の上昇の原因として想定される供給源について正当なスクリーニングをせず,温泉排水を取り上げたことが不当である旨主張する。 (イ)この点,地下水の塩素イオンの供給源としては,一般に,風送塩,地質由来の岩塩及び人為的な供給源が考えられるところ,宮古島の地層に岩塩の存在を示す知見は得られていないこと(前提となる事実(4)イ(イ)b,沖縄本島中南部石灰岩地帯の地下水で,塩素イ)オン濃度が60mg/ℓを検出した例は台風の影響によるものであり,宮古島では台風の影響により地下水の塩素イオン濃度が200mg/ℓに達した例もあること,沖縄本島中南部石灰岩地帯における湧水や井戸水,,に含まれる塩素イオン濃度は45~50mg/ℓまでは海水起源であり海岸から2~3㎞以上離れたところでこれを上回る濃度の塩素イオンが検出された場合には,その地下水は人間生活による影響を受けているとする研究結果があり(前提となる事実(4)イ(イ)b,同研究)結果の信用性を覆すに足りる証拠はない。 上記研究結果等に照らすと,平成16年10月にC井戸で検出された1600mg/ℓという著しく高値の塩素イオン濃度の原因が,岩塩又は台風などの風送塩であると説明することは困難である。 (ウ)そうすると,C井戸 果等に照らすと,平成16年10月にC井戸で検出された1600mg/ℓという著しく高値の塩素イオン濃度の原因が,岩塩又は台風などの風送塩であると説明することは困難である。 (ウ)そうすると,C井戸の高値の塩素イオン濃度は人為的な供給源に由来すると推測するのが合理的であるから,これについて検討するに,C井戸の近郊には本件温泉施設が所在し,本件温泉施設の温泉源水の塩素イオン濃度は8671~1万1000mg/ℓであり(前提となる事実(3)イ,同(4)ウ(イ)b,希釈されてはいるが,本件温)泉施設からは温泉源水に由来する温泉排水が地下浸透処理されていたものである。 そして,原告が白川田流域にある本件温泉施設で地下浸透処理を行 っていたことや,不透水基盤の構造から推測される白川田流域内の地下水の流動方向(前提となる事実(2)イ(イ,さらにC井戸が本))件温泉施設から約500mの距離にあること(別紙図面2)にかんがみれば,温泉排水がC井戸に向かって流入すると考えるのは相当であり,温泉排水を同井戸の塩素イオンの供給源と考えるのには合理性があるというべきである。 (エ)もっとも,塩素イオンの人為的な供給源としては,肥料や生活排水も挙げることができるが,前提となる事実(2)ア(ア)で認定したとおり,宮古島の人口は平成10年の調査以降横ばいの状況にあり,C井戸で1600mg/ℓもの著しく高値の塩素イオン濃度を検出した平成16年10月前後において,生活排水の顕著な増加をうかがわせるような事情は認められない。また,肥料の販売量は昭和59年以降目立って減少し,本件当時横ばいの状況にあったものであり,仮に,塩素イオン濃度の上昇が肥料によるものであれば,これに含まれる硝酸性窒素及びカリウムイオンも突出して上昇するのが通常であるところ(乙11,証人 減少し,本件当時横ばいの状況にあったものであり,仮に,塩素イオン濃度の上昇が肥料によるものであれば,これに含まれる硝酸性窒素及びカリウムイオンも突出して上昇するのが通常であるところ(乙11,証人β【調書44丁,本件各調査に係るC井戸の水質】)検査の結果では,塩素イオン濃度の上昇が肥料によるものであることをうかがわせるほど硝酸性窒素及びカリウムイオン濃度が突出して上昇したとまで認めることはできず(別表2参照,その他,平成16年)10月にC井戸から検出された1600mg/ℓもの塩素イオン濃度の原因となりうる人為的な供給源がC井戸付近にあると認めるに足りる証拠はない。 (オ)したがって,C井戸の塩素イオン濃度の上昇の原因は,温泉排水によるものであると考えるのが合理的であり,本件各調査は正当なスクリーニングを経た上で,温泉排水を塩素イオンの供給源としたものであるから原告の上記主張は採用することができない。 イ本件第2調査は,イオン成分比率の分析といった定性的な調査に偏しており,定量的な把握をしていないとの主張について(ア)本件第2調査は,トリリニアダイヤグラムによる解析に基づき採水されたサンプルの水質検査の結果を分類すると,4水源及び多くの井戸の水質が典型的な琉球石灰岩層を通る地下水の特徴である「重炭酸カルシウム型」に属しているのに対し,温泉源水,C井戸及びI井戸の水質は「非重炭酸ナトリウム型」に属するもので異なった水質組成を示していることを主たる根拠として,C井戸及びI井戸については温泉排水の影響を受けているとするものである。 トリリニアダイヤグラムによる解析は,地下水のサンプルのイオン成分比率を比較することで,地下水の水質組成の分類を行うものであることは前提となる事実(4)ウ(ウ)aで認定したとおりであり,その有効 トリリニアダイヤグラムによる解析は,地下水のサンプルのイオン成分比率を比較することで,地下水の水質組成の分類を行うものであることは前提となる事実(4)ウ(ウ)aで認定したとおりであり,その有効性を否定するに足りる証拠はない。 そして,本件第2調査に係る調査地点は,いずれも白川田流域内に所在しているところ,上記のとおり,C井戸及びI井戸のみが他の本件第2調査に係る調査地点と異なり,温泉源水と同じ「非重炭酸ナトリウム型」の水質に属しているという本件第2調査の結果からすれば,C井戸及びI井戸が温泉排水の影響を受けていると考えることには十分な合理性があるということができる。 (イ)ところで,このようなトリリニアダイヤグラムによる解析は,サンプルとなる地下水のイオン成分比率に重点を置くものであって,各イオンの含有量自体に重点を置くものではない。 そこで,原告は,本件第2調査はイオン成分比率の分析という定性的な調査に偏しており,定量的な把握を一切していないと主張し,白川田流域内に流入する水に対する温泉排水の寄与率は,0.1%にも満たないにもかかわらず,本件各調査は,このような定量的な視点が欠落して おり不合理である旨主張する。また,本件第1調査では温泉排水の塩素,,イオン濃度は165mg/ℓであるのに対しC井戸の塩素イオン濃度は平成16年12月には1110mg/ℓとなっており,温泉排水の塩素イオン濃度を大きく上回っていることからすれば,C井戸の塩素イオン濃度の上昇については,他の原因が考えられ,本件第2調査の結果は不当である旨主張する。 (ウ)確かに,原告が地下浸透処理していたのは温泉源水ではなく温泉排水であるし,その排水量については本件各調査においては何ら検討されておらず,温泉排水の白川田流域(とりわけ,4水源)における塩素 (ウ)確かに,原告が地下浸透処理していたのは温泉源水ではなく温泉排水であるし,その排水量については本件各調査においては何ら検討されておらず,温泉排水の白川田流域(とりわけ,4水源)における塩素イオン濃度の上昇への寄与度は不明であるといわざるを得ない。また,本件第1調査の結果によれば,浄化槽において温泉源水は雑排水等により希釈されており,現に同調査による温泉排水の塩素イオン濃度は165mg/ℓとされていることからすると,温泉排水が白川田流域全体の塩素イオン濃度の大幅な上昇の原因となりうるかは未だ不明であるといわざるを得ない。 (エ)しかしながら,上記ア(ウ)のとおり,温泉源水の塩素イオン濃度は,8671~1万1100mg/ℓであり,雑排水の混入状況は時間帯等により異なり,常に一定の塩素イオン濃度ではないと推認されるものの,本件第1調査のストロンチウムによるトレーサー調査によれば,温泉源水は温泉排水の段階で約10倍に希釈されていることが認められ(前提となる事実(4)イ(イ)a,上記希釈割合によれば水道法の)基準値(200mg/ℓ)の約4~5倍程度の塩素イオン濃度(800~)。 ,1000mg/ℓ程度が含まれる場合もあると推認されるこのことは宮古保健所が平成16年2月3日に原告病院の浄化槽排水のサンプルを採取し分析した結果によれば,本件温泉施設があるB棟の浄化槽の塩素イオン濃度が,C井戸の塩素イオン濃度を上回る1700mg/ℓであっ たこと(前提となる事実(3)ウ)からも裏付けられている。 そして,原告の主張によれば本件温泉施設からの温泉排水は1日当たり30tであるから,年間約1万1000tもの高濃度の塩素イオンを含む温泉排水が地下浸透処理され,これが本件温泉施設が開設された平成15年12月から本件第2調査の採水日であ からの温泉排水は1日当たり30tであるから,年間約1万1000tもの高濃度の塩素イオンを含む温泉排水が地下浸透処理され,これが本件温泉施設が開設された平成15年12月から本件第2調査の採水日である平成16年12月9日まで約1年間にわたり継続していたものである。 これらの事実に加え,上記ア(ウ)のとおり,C井戸が本件温泉施設から約500mの距離にあることも考慮すれば,定量的な観点からも,C井戸の塩素イオン濃度の上昇が温泉排水によるものと考えることには相応な合理性があるということができる。また,温泉排水と上記塩素イオン濃度の上昇との間の具体的な機序を明らかにする証拠はないが,上記イ(ア)のとおり,トリリニアダイヤグラム等による解析(定性的な調査)によれば,C井戸及びI井戸が温泉排水の影響を受けていると考えるには十分な合理性があることや,本件各調査が初動的な原因究明調査であること(前提となる事実(3)オ)からすれば,定量的な観点から温泉排水と上記塩素イオン濃度の上昇との間の因果関係を否定することはできない。 (オ)原告は,白川田流域全体の地下水貯留量に対する温泉排水の寄与度は低いから,本件各調査は定量的な把握をしていない旨主張するが,本件第2調査は,白川田流域における塩素イオン濃度の上昇の原因がすべて温泉排水にあるとか,温泉排水のために白川田流域の4水源の塩素イオン濃度が基準値を超す可能性があるなどとするものではなく,水源への「今後の影響の拡大が懸念される」としたものにすぎない(前提となる事実(4)ウ(オ。なお「懸念」の意義について後記㨯イ(イ)),b参照)から,上記の結論を出すためには完全な定量的な分析まで行わ,。 なければならないものではなく原告の主張は採用することができない ウ本件温泉施設の開設前から4水源で塩素イ イ)),b参照)から,上記の結論を出すためには完全な定量的な分析まで行わ,。 なければならないものではなく原告の主張は採用することができない ウ本件温泉施設の開設前から4水源で塩素イオン濃度が上昇していたことについて原告は,本件温泉施設の開設前から4水源で塩素イオン濃度が上昇していた事実について分析がない旨主張するが,前提となる事実(4)イで認定したとおり,本件第1調査では,企業団の平成9年から平成16年までの塩素イオン濃度測定結果をもとに,平成9年から平成10年にかけての4水源の塩素イオン濃度が,平成12年から平成15年8月までの4水源の塩素イオン濃度に比べると明らかに高値を示し,山川水源や高野水源における80mg/ℓの塩素イオン濃度は,ここ10年間の最高値であることに留意しなければならないとし,その原因については,白川田,山川の水源は海岸に近接することから風送塩,特に台風時の風送塩の影響は大きいと考えられるとしている。 したがって,本件第1調査が,本件温泉施設の開設前から4水源で塩素イオン濃度が上昇していた事実について分析していることは明らかであり,その内容も相当と認められるから,原告の主張を採用することはできない。 エC井戸についての分析を偏重しているとの主張について,,原告は本件温泉施設の開設前の水質検査の結果がないにもかかわらずC井戸についての分析を偏重していると主張する。 確かに,C井戸については,本件温泉施設の開設前から継続的な水質検査の結果は存在しないものである。 しかしながら,前提となる事実(3)エで認定したとおり,C井戸が水質検査の対象となったのは,企業団が本件温泉施設の開設後,白川田流域において塩素イオン濃度が上昇しつつあることを認識し,平成16年2月以降,4水源の水質について,常時監査を 定したとおり,C井戸が水質検査の対象となったのは,企業団が本件温泉施設の開設後,白川田流域において塩素イオン濃度が上昇しつつあることを認識し,平成16年2月以降,4水源の水質について,常時監査を行うとともに,本件温泉施設の 周辺で確認された井戸についても水質検査を行うこととしてからであるか,,。 らそれ以前の水質検査の結果がないのはやむを得ないというほかないそして,上記水質検査の結果,C井戸の塩素イオン濃度は,本件温泉施設の開設後の平成16年2月から8月までは300mg/ℓ程度で推移していたものが,同年9月以降急激に上昇し,同年10月には風送塩などの自然由来の供給源では説明が不可能な1600mg/ℓに達したものである前(提となる事実(3)エ。 )しかも,白川田流域の地下水の流動方向は別紙図面2の不透水基盤に沿ったものと推測され,地下水の流動方向上,C井戸の下流には4水源が位置しているものであり,白川田流域が宮古島の上水道水の約70%を供給していることにかんがみれば,企業団が,本件各調査においてC井戸に着,。 目したことは至極当然のことであってこれを不当ということはできないまた,本件温泉施設開設前のC井戸の水質検査がされていないからといって,前記ア(オ)の結論が左右されるものではない。 (5)本件シミュレーションについてア温泉排水ではなく温泉源水を用いていることについて原告は,本件シミュレーションは,温泉排水ではなく温泉源水を用いているのは不当である旨主張するところ,原告が温泉源水そのものではなく原告病院から雑排水も混入した温泉排水を浄化槽を通して地下浸透処理していたことは前提となる事実(3)ウのとおりである。 しかしながら,浄化槽における雑排水と本件温泉施設からの排水の混入状況は時間帯等により異なり,一定でないと た温泉排水を浄化槽を通して地下浸透処理していたことは前提となる事実(3)ウのとおりである。 しかしながら,浄化槽における雑排水と本件温泉施設からの排水の混入状況は時間帯等により異なり,一定でないと考えられることは上記(4)イ(ウ)に判示したとおりであり,本件シミュレーションを行うのに適切な温泉排水のサンプルを採取することは実際上容易ではない。 また,本件各調査は,白川田流域の塩素イオン濃度の上昇についての緊急の初動的な原因究明調査であり(前提となる事実(3(オ,第一義))) 的には同流域の地下水に対する温泉源水に由来する温泉排水の影響の有無を判断することができれば足りるというべきである。したがって,本件シミュレーションにおいて,平均値を採りにくい温泉排水ではなく,温泉源水を用いたことには合理性があるというべきである(なお,本件第2調査の結果に記載された温泉排水は温泉源水の誤記であることが認められるが(証人θ【調書43丁,上記誤記が本件第2調査の結果の信用性を左】)右するものとは認められない。 。)イ海水の採水が行われていないことについて,,原告は海水の採水が行われていないのは不当である旨縷々主張するが本件シミュレーションで用いられた海水のイオン成分比率が標準海水などの理論値によるものであるとしても,海水のイオン成分比率が一般的に均質であること(証人θ【調書36丁)からすると,これをもって,本件】シミュレーションが不合理であるということはできない。 ウ本件シミュレーションの仮定の合理性について(ア)前提となる事実(4)ウで認定したとおり,本件第2調査は,白川田流域における塩素イオン濃度の影響について,基準地下水に海水及び温泉排水が混入した場合の水質をシミュレーションした値と実測データを比較し,風送塩及び温 4)ウで認定したとおり,本件第2調査は,白川田流域における塩素イオン濃度の影響について,基準地下水に海水及び温泉排水が混入した場合の水質をシミュレーションした値と実測データを比較し,風送塩及び温泉排水の影響について考察し,C井戸及びI井戸の実測データとシミュレーションデータを比較すると,ナトリウムイオン及びカルシウムイオン濃度はおよそ同じ値を示しているが,カリウムイオン,マグネシウムイオン,硫酸イオンでは,海水を混入したシ,,ミュレーションデータに比べ実測データは低い傾向を示したのに対し温泉源水を混入したシミュレーションデータに近い値を示したことから,C井戸及びI井戸では風送塩による海水の混入より,温泉排水の混入による影響が強いとしたものである。 (イ)本件シミュレーションは,白川田流域の水質を温泉排水の影響が ないと考えられる平成7年5月から平成11年度における白川田水源の水質を平均した値を基準地下水として用いたものであり,本件シミュレーションは4水源及び本件第2調査に係る調査地点の水質は,温泉排水の影響がない場合白川田水源と同様の水質であることを前提したものであるところ,本件第2調査の水質検査(前提となる事実(4)ウ)によれば,4水源のイオン成分比率には若干のばらつきがあることが認められる。 しかしながら,上記調査の時点では本件温泉施設の開設前の本件第2調査に係る調査地点の水質についてのサンプルがなかったこと,4水源の水質はいずれも典型的な琉球石灰岩層を通る地下水の特徴である重,「炭酸カルシウム型」に属していること,前提となる事実(2)イ(イ)で認定したとおり,宮古島の地下水は不透水基盤の断層によって形成される流域により把握されており,4水源及び本件第2調査に係る調査地点は,いずれも白川田流域内にあることなどに となる事実(2)イ(イ)で認定したとおり,宮古島の地下水は不透水基盤の断層によって形成される流域により把握されており,4水源及び本件第2調査に係る調査地点は,いずれも白川田流域内にあることなどに照らせば,温泉排水の影響を受ける前の4水源及び本件第2調査に係る調査地点の水質を同様のものと仮定することは必ずしも不合理とはいえない。 (ウ)また,原告は,本件シミュレーションは実際の実験など行われておらず机上の空論であるなど縷々主張するが,シミュレーションは一定の単純化したモデルに数値を当てはめるなどして,現実の現象の再現等を試みるものであるし,本件第2調査に用いられたモデル・数値等について誤りがあると認めるに足りる証拠はないから,原告の主張は採用することはできない。 (6)本件各調査と本件各調査報告書の記載についてア本件各調査の報告の誤記について原告は,本件各調査報告書には,初歩的な誤記や誤解を招く表現が多くされている旨主張するところ,本件第2調査において温泉源水を温泉 排水と誤記したことが,同調査の結果の信用性を左右するものと認められないことは上記(5)アで説示したとおりである。また,本件第1調査において「トレーサー」を「トレサー」と誤記したことが,同調査の結果の信用性を左右するものであると認めることはできない。 イ本件第2調査の結果と本件第2調査報告書の結論部分の論理的な整合性について原告は,仮に,本件第2調査の結果が正当なものであるとしても,その結果からは,①温泉排水と4水源における塩素イオン濃度の上昇には関連が認められない,②温泉排水とC井戸における塩素イオン濃度が高値であることには関連性が認められる可能性があるという程度の推論ができるにとどまるから,本件第2調査の結果と本件第2調査報告書の結論部分には論理的な整合 ②温泉排水とC井戸における塩素イオン濃度が高値であることには関連性が認められる可能性があるという程度の推論ができるにとどまるから,本件第2調査の結果と本件第2調査報告書の結論部分には論理的な整合性がない旨主張する。 (ア)本件第2調査の結果と本件第2調査報告書の結論部分の概要a前提となる事実(4)ウ(オ)で認定したとおり,本件第2調査報告書の「まとめ」の部分(結論部分)には,①「各井戸に対する温泉排水の影響は,温泉源水の分析結果と比較すると,まず温泉から距離の近い(約500m)C井戸に影響が現れ,ついでI井戸に現れているものと判断される。また,現時点では塩化物イオン濃度の低い(80mg/ℓ以下)4水源への影響は明確ではなかった(以下「①の事。」実」という,②「C井戸及びI井戸以外の井戸,並びに水源など。)に対する温泉排水の影響は,温泉水源-C井戸-I井戸と同様の均質な琉球石灰岩が連続しているものと仮定すれば,不透水基盤(島尻層群の上面)の形状で示されているように,地下水の流動方向がこれとほぼ一致するものとして,いずれG井戸-K井戸から高野水源-大野水源へ,その後は白川田水源-山川水源へと影響の拡大が懸念され る(以下「②の事実」という)と記載されている。 。」。 b一方,本件第2調査の結果は,C井戸及びI井戸の水質が温泉源水と同じ非重炭酸ナトリウムに属するのに対し,4水源は,重炭酸カルシウムの水質に属しているというトリリニアダイヤグラムによる解析の結果と,風送塩及び温泉源水を混入した場合に,C井戸及びI井戸の実測データとシミュレーションデータを比較すると海水を混入したデータより温泉源水を混入したデータの方が実測データに近く,その他の本件第2調査に係る調査地点では温泉を混入したデータと温泉源水を混入したデータ タとシミュレーションデータを比較すると海水を混入したデータより温泉源水を混入したデータの方が実測データに近く,その他の本件第2調査に係る調査地点では温泉を混入したデータと温泉源水を混入したデータとでは大差がなかったというものである。 (イ)検討a①の事実について()()(),,上記 イア及びエのとおり本件第2調査の結果からC井戸及びI井戸については,温泉排水の影響を受けていると推認することに十分な合理性があるというべきであるから「各井戸に対す,る温泉排水の影響は,温泉源水の分析結果と比較すると,まず温泉から距離の近い(約500m)C井戸に影響が現れ,ついでI井戸に現れているものと判断される。現時点では塩化物イオン濃度の低い(80mg/ℓ以下)4水源への影響は明確ではなかった」との本件第2。 調査調査報告書の結論部分(①の事実)と本件第2調査の結果との間に論理的な整合性がないということはできない。 b②の事実について前提となる事実(2)イ(イ)で認定したとおり,宮古島の地下水流域は不透水基盤の断層によって形成される流域により把握されており同流域の不透水基盤の上面等高線は別紙図面2のとおりであり原,(告は,同図面の正確性には疑問がある旨主張するが,同主張を採用することができないことは,上記1(3)ア(イ)のとおりである,。) 同流域の地下水はこれに沿って流動していると推測されるところ,これによれば本件温泉施設,C井戸,I井戸,G井戸,K井戸及び4水源はいずれも白川田流域内に所在し,同一の流動経路上に所在するものである。 そして,C井戸は本件温泉施設から約500mのところに位置し,かつ,地下水の流動方向上,本件温泉施設の下流に位置するものであるところ,上記推測に基づき「C井戸及びI井 経路上に所在するものである。 そして,C井戸は本件温泉施設から約500mのところに位置し,かつ,地下水の流動方向上,本件温泉施設の下流に位置するものであるところ,上記推測に基づき「C井戸及びI井戸以外の井戸,並び,に水源などに対する温泉排水の影響は,温泉水源-C井戸-I井戸と同様の均質な琉球石灰岩が連続しているものと仮定すれば,不透水基盤(島尻層群の上面)の形状で示されているように,地下水の流動方向がこれとほぼ一致するものとして,いずれG井戸-K井戸から高野水源-大野水源へ,その後は白川田水源-山川水源へと影響の拡大が。」,。 懸念されると推測したことは合理性を有するというべきであるさらに,白川田流域が宮古島の上水道水の約70%を供給していることにかんがみれば,本件第2調査報告書が温泉排水の影響が4水源に今後及ぶ可能性について言及するのは至極当然というべきであり,新村出編・広辞苑第6版によれば「懸念」とは「気にかかって不,,安に思うこと」であるから,その結論部分の「影響の拡大が懸念される」との表現も決して不適切なものではない。 したがって,②の事実についても,上記(ア)bの本件第2調査の結果と,同aの本件第2調査報告書の結論部分との間に論理的な整合性がないということはできない。 (7)本件仕様書の指示について原告は,企業団が本件センターに調査を依頼した際の本件仕様書には,不適切な指示がある旨主張するが,本件仕様書の記載内容は前提となる事実(4)アで認定したとおりであるところ,上記の本件仕様書の内容に照らし ても,企業団による指示が不適切なものであったと認めることはできない。 ,,,,また原告は本件仕様書には解析手法があらかじめ指定されておらず企業団が,本件センターが行った複数の解析手法のうち,企業団 による指示が不適切なものであったと認めることはできない。 ,,,,また原告は本件仕様書には解析手法があらかじめ指定されておらず企業団が,本件センターが行った複数の解析手法のうち,企業団にとって都合のいい結果を示した解析手法を本件各調査報告書に記載するように指示した可能性は否定できない旨も主張するが,本件全証拠によっても,原告主張の事実を認めることはできない。 (8)以上のとおり,原告の主張はいずれも採用することができず,本件各調査は,本件公表事実を真実と信ずるについて相当な根拠となりうるものというべきである。 争点(2(本件公表の違法性)について)(1)ア本件公表の違法性を検討するに当たっては,その目的の正当性,必要性,時期及び内容の相当性に照らして検討する必要があるところ,水道法は,水道の布設及び管理を適正かつ合理的ならしめるとともに,水道を計画的に整備し,及び水道事業を保護育成することによって,清浄にして豊富低廉な水の供給を図り,もって公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することを目的とし(同法1条,地方公共団体は,当該地域の自然)的社会的諸条件に応じて,水道の計画的整備に関する施策を策定し,及びこれを実施するとともに,水道事業及び水道用水供給事業を経営するに当たっては,その適正かつ能率的な運営に努めなければならない(同法2条の2第1項)と規定している。 そして,宮古島の上水道水は,水源のほとんどを地下水に依存しているところ,被告は,地下水の重要性にかんがみ,地下水の保全・管理のために宮古島地下水保護管理条例及び宮古島水道水源保護条例を定めているものである(乙3~6。 )これらの規定の趣旨に照らせば,被告(前身である企業団及び事務組合を含む)は,水道水に汚染物質等が混入するおそれがあるなどの場合に。 び宮古島水道水源保護条例を定めているものである(乙3~6。 )これらの規定の趣旨に照らせば,被告(前身である企業団及び事務組合を含む)は,水道水に汚染物質等が混入するおそれがあるなどの場合に。 は,水道を利用する住民の身体,生命等に対する危害の発生を最小限にとどめ,もって,公衆衛生の向上と生活環境の改善を図るため,汚染等の拡大の防止及び再発の防止のために,速やかに原因究明を行う必要があると解される。 イところで,水道法4条2項に基づく厚生労働省の水質基準に関する省令は,水道により供給される水について,塩素イオン濃度は1ℓあたり200mg以下とする旨定めているところ(前提となる事実(2)ウ,本件公)表は,宮古島の水道水の70%を供給する白川田及び山川両水源のある白川田流域において,塩素イオン濃度が過去に例がないほど上昇したという現象について,原因を調査するために行われた本件各調査(特に本件第2調査)の結果に基づき行われたものである。 (2)本件公表の目的についてアこのような状況を踏まえ,本件公表の目的について検討するに,前提となる事実(4)イ(ウ)で認定したとおり,本件第2調査報告書の「まとめ」の部分には「温泉排水の影響は(中略)いずれ高野水源-大野水,,源へ,その後は白川田水源-山川水源へと影響の拡大が懸念される」とした上で,今後の課題として,監視体制,今後必要な分析項目,調査井戸の,,「」,追加設定調査時期について提言するとともに環境保全対策として「今回の調査結果から,温泉排水の地下水水質への影響が明らかとなり,更に将来的に水源への影響が懸念されることから,温泉排水の方法については適正な対策を講じることが重要である。宮古島において今後,温泉開発が行われる場合には,県等許認可にかかわる関係機関と密 となり,更に将来的に水源への影響が懸念されることから,温泉排水の方法については適正な対策を講じることが重要である。宮古島において今後,温泉開発が行われる場合には,県等許認可にかかわる関係機関と密接に連携して対応する必要がある。また,開発位置については,水源との位置関係に十分に留意する必要がある」との記載がある。 。 上記のような本件第2調査報告書の内容や,企業団が本件公表後直ちに本件要請及び本件各意思決定をするなど,温泉排水の地下浸透処理の中止 に向けた行動をとっていることからすれば,本件公表は,本件温泉施設の操業を停止させ,これにより,温泉排水をなくすことにより,白川田流域における塩素イオン濃度の上昇を防止することを目的として行われたものと推認することができる。なお,前提となる事実(3)イのとおり,本件温泉施設の利用者は,平均1日当たり10人程度にすぎなかったものである。 イこれに対し,原告は,本件公表の目的は,白川田流域における塩素イオン濃度上昇の責任を原告に転嫁し,その名誉をおとしめるとともに,企業,,団が塩素イオン濃度の上昇問題の解決に向けて努力している姿勢を示しその原因を突き止めたという功績を世間にアピールすることを目的としてされたものであると主張する。 しかしながら,上記1(8)で説示したとおり,本件各調査の結果は,本件公表事実を真実と信ずるについて相当の根拠となりうるものであり,本件公表が原告の名誉をおとしめるために殊更されたものであると認めるに足りる証拠はない。 また,被告は,白川田流域における塩素イオン濃度の上昇に対する原因究明のための本件第2調査の結果を公表することは企業団の責務であると主張するところ,これによれば,本件公表の目的の一つに,本件第2調査の結果を地域住民に公表するという情報公開としての側 に対する原因究明のための本件第2調査の結果を公表することは企業団の責務であると主張するところ,これによれば,本件公表の目的の一つに,本件第2調査の結果を地域住民に公表するという情報公開としての側面があると認めることができる。そして,このうな情報公開を目的とした公表も,公表により水道を利用する地域住民の水道の安全に対する不安を除去する側面があることにかんがみれば,正当なものというべきである。 (3)本件公表の必要性についてア上記(2)アのとおり,本件公表は,白川田流域における塩素イオン濃度の上昇を防止するとともに,地域住民に対する情報の公開を目的として行われたものであるところ,その必要性について検討するに,前提となる 事実(2)ウ及び同(3)エで認定したとおり,白川田流域は宮古島の上水道水の70%を供給する白川田及び山川両水源が所在しており,4水源の塩素イオン濃度は平成16年8月以降上昇を続け,C井戸においては同年10月に1600mg/ℓという高値の塩素イオン濃度を検出したものである。 そして,温泉源水の塩素イオン濃度は8671~1万1100mg/ℓであり,これが10倍に希釈されたとしても,原告は,水道法の基準値を約5~4倍程度上回る高値の塩素イオン濃度を含む温泉排水を地下浸透処理し続けていたものである。地下水の流動速度は1日に1.53~10m程度であるが(乙10,証人θ ,本件公表の時点で原告が本件温泉施設を)開設してから約1年1か月が経過しており,このような温泉排水の塩素イオン濃度及び地下水の流動速度等にかんがみると,白川田流域にある4水源に温泉排水の影響が生じることも懸念されていたものである。 さらに,前提となる事実(3)オないしサで認定したとおり,原告は,平成16年9月22日に企業団職員から白川田流域における塩素イ 域にある4水源に温泉排水の影響が生じることも懸念されていたものである。 さらに,前提となる事実(3)オないしサで認定したとおり,原告は,平成16年9月22日に企業団職員から白川田流域における塩素イオン濃度が上昇している旨告知され,同年10月14日,同月15日及び同月18日に,Y5事務局長や企業団職員から,温泉排水の地下浸透処理を自粛するよう要請を受けたにもかかわらず,本件温泉施設の操業を停止せず,平成17年4月13日まで温泉排水の流域外処理もしなかったものである。 イ上記アで認定した状況からすれば,企業団としては,行政指導により,本件温泉施設の操業を停止させるためには,本件公表を行い,世論の支持を受ける必要があったというべきである(なお,弁論の全趣旨によれば,原告が平成17年4月13日まで温泉排水の流域外処理をしなかった一因として,温泉排水の流域外処理の場所が定まっていなかったことが認められるが,上記のとおり,本件温泉施設の利用者が平均1日当たり10人程 度にすぎなかったことや,宮古島における白川田流域の地下水の重要性にかんがみれば,本件温泉施設の操業を停止させるためには,本件公表を行う必要があったものと認められる。 。)(4)本件公表の時期について,,,本件第2調査の結果は平成17年1月ころ本件センターから提出され本件公表は同年2月1日に行われたものであるところ,地下水の塩素イオン濃度を低減させることは極めて困難であり,浄水場での通常の浄水処理では塩素イオンを除去することはできず,塩素イオンを除去するためには逆浸透膜処理をする必要がありそのために高額の設備投資を要すこと証人β 調,(【書41丁)や,上記(3)で説示した公表の必要性に照らせば,企業団と】しては速やかな対応が求められたというべきであるから, 理をする必要がありそのために高額の設備投資を要すこと証人β 調,(【書41丁)や,上記(3)で説示した公表の必要性に照らせば,企業団と】しては速やかな対応が求められたというべきであるから,本件公表の時期も相当というべきである。 (5)本件公表の内容についてア(ア)本件公表は,本件第2調査の結果に基づくものであり,同調査結果は上記1で説示したとおり,本件公表事実を真実と信ずるについて相当の根拠となりうるものである。なお,前提となる事実(3)キで認定したとおり,本件公表事実の主たる内容は,①高濃度の塩素イオンが検出された白川田流域内にある二つの井戸(C,I井戸)について「温,泉排水の影響によるものと判断される,②二つの井戸とも,本件温。」泉施設の近隣に所在し下流に白川田などの4水源があることから「今,後の影響が懸念される」というものである。 (イ)このうち①の事実は,本件第2調査報告書の「各井戸に対する温泉排水の影響は,温泉源水の分析結果と比較すると,まず温泉から距離の近い(約500m)C井戸に影響が現れ,ついでI井戸に現れているものと判断される」との記載に基づくものであり,これが合理性を有。 することは,上記1㨯イ(イ)aに説示したとおりである。 さらに敷衍すれば,本件第1調査の結果によれば,C井戸の塩素イオン濃度は1600mg/ℓと突出しており,上記のような高値の塩素イオン濃度を台風などの風送塩による影響として説明することは困難であり,人為的な供給源によるものであると考えられるところ,本件温泉施設の温泉源水の塩素イオン濃度が8761mg/ℓと高値であり,これを含む温泉排水が地下浸透処理されているのに対し,C井戸付近の土地利用形態に大きな変化がなく生活排水や農業用水(肥料等)による影響が考え難いことから「 イオン濃度が8761mg/ℓと高値であり,これを含む温泉排水が地下浸透処理されているのに対し,C井戸付近の土地利用形態に大きな変化がなく生活排水や農業用水(肥料等)による影響が考え難いことから「C井戸については,温泉水の影響の可能性が極め,て大きい」と推測されたものである。 。 このような本件第1調査の結果を踏まえて行われた本件第2調査の結果は,C井戸及びI井戸の水質が温泉源水と同じ非重炭酸ナトリウムに属するのに対し,4水源は,重炭酸カルシウムの水質に属しているというトリリニアダイヤグラムによる解析の結果と,風送塩及び温泉源水を混入した場合に,C井戸及びI井戸の実測データとシミュレーションデータを比較すると海水を混入したデータより温泉源水を混入したデータの方が実測データに近く,その他の本件第2調査に係る調査地点では海水を混入したデータと温泉源水を混入したデータとでは大差がなかったというのである。そして,上記調査結果から,C井戸及びI井戸については,温泉排水の影響を受けていると推認することに十分な合理性があることから,本件第2調査の調査報告書には「各井戸に対する温泉排,水の影響は,温泉源水の分析結果と比較すると,まず温泉から距離の近い(約500m)C井戸に影響が現れ,ついでI井戸に現れているものと判断される」と記載されたものであり,合理的といえる。 。 (ウ)また,②の事実も,本件第2調査報告書の「C井戸及びI井戸以外の井戸,並びに水源などに対する温泉排水の影響は,温泉水源-C井 戸-I井戸と同様の均質な琉球石灰岩が連続しているものと仮定すれば,不透水基盤(島尻層群の上面)の形状で示されているように,地下水の流動方向がこれとほぼ一致するものとして,いずれG井戸-K井戸から高野水源-大野水源へ,その後は白川田水源-山川水源へ と仮定すれば,不透水基盤(島尻層群の上面)の形状で示されているように,地下水の流動方向がこれとほぼ一致するものとして,いずれG井戸-K井戸から高野水源-大野水源へ,その後は白川田水源-山川水源へと影響の拡大が懸念される」との記載に基づくものであり,これが合理的とい。 えることは,上記1㨯イ(イ)bに説示したとおりである。 イまた,企業団は,本件公表において,4水源については本件第2調査でも温泉排水の影響は明確にされず,台風後の風送塩の影響が高い旨公表しているのであり(前提となる事実(3)キ,原告が主張するように)本件各調査報告書のうち本件温泉施設からの温泉排水が塩素イオン濃度の上昇の原因であると判断するのに都合がよいもののみを公表したということはできない。 ウしたがって,本件公表の内容も相当である。 (3)以上のとおり,本件公表は,その目的,必要性,時期及び内容に照らし相当であり,違法ということはできない。 争点(3(本件要請の違法性)について)(1)原告は,本件要請は行政指導の限界を超えた違法なものであると主張するのに対し,被告は,本件要請文書は,宮古島の地下水の保全・管理をすることを責務とする被告市長の立場から当然のことを記載したお願いのためのものであり,行政指導ではなく単なる要請にすぎない旨主張する。 行政指導とは,行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導,勧告,助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう(行政手続法2条6号)ところ,本件要請は,企業団が宮古島の地下水の保全・管理という所掌事務の範囲内において,原告に対し,本件温泉施設の操業停止(温泉排水の地下浸透処理の中止)という不作為を求めるという行為であるから,こ れが 要請は,企業団が宮古島の地下水の保全・管理という所掌事務の範囲内において,原告に対し,本件温泉施設の操業停止(温泉排水の地下浸透処理の中止)という不作為を求めるという行為であるから,こ れが行政指導に当たることは明らかである。 (2)ところで,行政指導は,相手方に対する法的強制力はなく,相手方が任意にこれに従うことを企図して行うものであるところ,これが強制にわたる場合には,国家賠償法上違法となる場合があると解される。 そこで,本件要請が,強制にわたり違法なものであるかを検討するに,原告のX2事務長が,前日に,平成17年2月15日は原告代表者が不在であり,かつ,本件文書も持参ではなく郵送するように依頼したにもかかわらず,Y6企業長及び被告市長らは,同日午前11時ころ,本件要請文書を携えて原告病院を訪れ,その際,企業団職員の他に報道機関の記者が取材のためこれに同行しその様子を取材したというものであることは前提となる事実(3)ケ(イ)で認定したとおりであり,このような行政指導の態様に照らせば,本件要請は強制にわたるものと見る余地もある。 しかしながら,前提となる事実(3)ケ及び同サで認定したとおり,本件要請に際し,被告市長が本件要請文書の受領を再三要望したにもかかわらず,対応に当たったX3医事課長は,本件要請文書の受領を拒否したものであり,その結果,被告市長らは,原告病院の受付カウンターに本件要請文書を置き,原告病院を後にしたものである(なお,被告は,X3医事課長が電話で原告代表者の指示を仰いでいたようである旨主張するところ,同課長が原告代表者に断りなく本件要請文書の受領を拒否したとは,にわかに考え難い。そして,原告は,本件要請後も,本件温泉施設の操業停。)止をせず,平成17年4月13日までも温泉排水の流域外処理もしなかったもの 者に断りなく本件要請文書の受領を拒否したとは,にわかに考え難い。そして,原告は,本件要請後も,本件温泉施設の操業停。)止をせず,平成17年4月13日までも温泉排水の流域外処理もしなかったものである。 このように,原告は,本件要請に係る本件要請文書の受領さえ現に拒否しており,また,前提となる事実(3)サのとおり,流域外処理のための運搬に関する費用は,年間約2400万円にのぼるが,弁論の全趣旨によれば,原告は本訴提起後も,温泉排水の流域外処理及び上記運搬を続けて いることが認められるから,本件要請が強制にわたるものであったと認めることはできない。 (3)これに対し,原告は,本件要請の内容は,本件公表事実を真実と信ずるについて相当な根拠とはなり得ない本件各調査に基づくものであり,その必要性,時期及び目的に照らして不相当である旨主張する。 しかしながら,上記1で説示したとおり,本件各調査は,本件公表事実を真実と信ずるについて相当な根拠となりうるものである。 また,原告は,本件要請は,原告が温泉排水を流域外処理するために準備を整えていたところに行われたものであり,必要性がない旨主張するが,原告は流域外処理用の貯蔵タンクの建設に着手したものの,依然として本件温泉施設の操業(温泉排水の地下浸透処理)を継続し,本件公表後の報道機関の取材においても「独自の調査を実施する予定であり,調査結果を受け適,正処理したい」として,本件温泉施設の操業の中止(温泉排水の地下浸透処理の停止)に難色を示すなどしていたことは前提となる事実(3)オないし同クで認定したとおりである。このような事情からすれば,白川田流域の地下水の保全・管理を所掌事務とする企業団としては,本件要請を行う必要があったということができる。 また,原告が本件公表後も,本件温泉施設の操業の中 おりである。このような事情からすれば,白川田流域の地下水の保全・管理を所掌事務とする企業団としては,本件要請を行う必要があったということができる。 また,原告が本件公表後も,本件温泉施設の操業の中止に難色を示していたことからすれば,企業団としては白川田流域の地下水の保全・管理という所掌事務を全うするためには,すみやかに本件要請を行う必要があったというべきであるから,本件要請をした時期も相当というべきである。 さらに,原告は,企業団は本件要請を行うに際し,報道機関に事前に予告した上で,原告代表者が不在である旨の連絡を受けていたにもかかわらず,記者の環視のもと,被告市長自ら,本件要請文書を原告病院に持参し,あたかも原告が本件要請を拒絶し被告市長を門前払いしたかのような印象を地域住民に与えることを目的とした政治的パフォーマンスである旨主張する。し かしながら,被告市長の動向を報道機関の記者が把握し,これを取材して報道することは当然のことであり,本件全証拠によっても,企業団が,報道機関に対し,報道機関に事前に予告した上で,報道機関の記者の環視のもと,原告が本件要請を拒絶し被告市長を門前払いしたかのような印象をあたえる報道を行わせたと認めることはできないのであって,原告の上記の主張を採用することはできない。 なお,原告代表者が,後の平良市長選挙の際,被告市長の対立候補者を支援するなどし,宮古島においては,原告代表者自身が被告市長と対立する保守派の有力者とみなされており,政治的に対立している事実があるとしても(甲17,宮古島の約70%の上水道水を供給している白川田流域におけ)る塩素イオン濃度の上昇という問題の重要性にかんがみれば,本件要請が単に政治的パフォーマンスとして行われたものであると直ちに認めることはできない。 (4)以上のとおり している白川田流域におけ)る塩素イオン濃度の上昇という問題の重要性にかんがみれば,本件要請が単に政治的パフォーマンスとして行われたものであると直ちに認めることはできない。 (4)以上のとおり,本件要請は,強制にわたる違法は認められないものであり,その内容,必要性,時期及び目的に照らして相当であるから,原告の主張は採用することができない。 争点(4(本件対策委員会の本件各意思決定の違法性)について)(1)前提となる事実(3)コで認定したとおり,企業団は,平成17年2月22日,本件対策委員会を発足させ,1回目の会合では,白川田流域内にある二つの井戸(C井戸及びI井戸)で塩素イオン濃度が高い数値を示している原因とされる温泉排水について,本件温泉施設が排水量の抑制などの対応策を講じているか確認し,従来どおりの排水を行っている場合,排水自粛を求める方針を決定した。また,本件対策委員会は,同年3月8日,2回目の会合において,温泉源水から1万1000mg/ℓという極めて高値の塩素イオン濃度が検出されたとの宮古保健所の報告を受けて,原告に対し,温泉排水を白川田流域外に排出するよう要請することを決定したものである(本 件各意思決定。 )(2)本件対策委員会は,企業団内において,白川田流域における塩素イオン濃度の上昇の経緯,現状を確認した上で,対策を話し合い,その原因を温泉排水に限らず,多方面から究明し地下水の保全・管理のための法整備を視野に入れて立ち上げられたものであり(前提となる事実(3)ク,本件各)意思決定は,このような目的に沿うものである。 そして,原告は,本件各意思決定時点において流域外処理用の貯蔵タンクを建設していたものの,依然として本件温泉施設の操業を停止せず,本件公表後の報道機関からの取材に対しても,温泉排水の地下 のである。 そして,原告は,本件各意思決定時点において流域外処理用の貯蔵タンクを建設していたものの,依然として本件温泉施設の操業を停止せず,本件公表後の報道機関からの取材に対しても,温泉排水の地下浸透処理の中止に難色を示し,本件要請文書の受領も拒絶していたことなどからすれば,本件対策委員会には,本件各意思決定をする必要があったというべきである。 ,,,また本件各意思決定は本件第2調査の結果に基づくものであるところ上記1で説示したとおり,同調査結果は,本件公表事実を真実と信ずるについて相当な根拠となりうるものであり,これに基づく本件各意思決定の内容自体も相当である。 したがって,本件各意思決定は,その目的,必要性及び内容に照らして,相当なものであり,違法ということはできない。 (3)これに対し,原告は,本件対策委員会が本件各意思決定を公表した時点では原告に対し本件温泉施設からの排水の地下浸透処理の中止の要請本,(件要請)が行われており,本件対策委員会は,原告に更なる致命傷を与えるために本件各意思決定を公表したものであると主張する。 しかしながら,上記(2)のとおり,本件対策委員会が,原告に対し,本件各意思決定及びその公表をしたのは,原告が本件要請にかかる本件要請文書の受取を拒否するなど,本件温泉施設の操業停止に難色を示していたためと認められる。また,本件全証拠によっても,本件対策委員会が,原告の名誉を毀損する目的で,本件各意思決定を公表したと認めることは できない。 よって,原告の請求は,争点(5)について判断するまでもなく,理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 那覇地方裁判所民事第2部裁判長裁判官大野和明裁判官田邉実裁判官小西圭一 由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 那覇地方裁判所民事第2部裁判長裁判官大野和明裁判官田邉実裁判官小西圭一

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