平成28(行ウ)374

裁判年月日・裁判所
平成29年1月25日 東京地方裁判所
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平成29年1月25日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成28年(行ウ)第374号特許査定義務付け等請求事件口頭弁論終結日平成28年12月21日判決原告 A被告国 主文 1 原告の訴えのうち下記請求の趣旨第1項,第2項,第4項及び第5項に係る訴えをいずれも却下する。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求の趣旨 1 処分行政庁は,原告に対して,特許法51条,行政事件訴訟法3条6項2号及び同法37条の3により特願2015-201805の特許査定をせよ。 2 処分行政庁は,原告が平成27年10月26日付けで提出した審査請求に平成28年4月22日付けで提出した早期審査に対する事情説明書を付着させた申請に応答する特許査定又は拒絶査定をしていない不作為の違法を確認する。 3 被告は,原告に対し,20万円及びこれに対する平成28年8月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 「処分行政庁が作成した特願2015-201805の拒絶理由通知書及び引用非特許文献4書類,計5書類」を特許庁長官が平成28年11月25日付けで発送した書留郵便に対する送達(付郵便2016-24)は無効であることを確認する。 5 処分行政庁は,特願2015-201805について拒絶査定を原告に送達してはならない。送達手続に着手しているときは送達手続を撤回せよ。 第2 事案の概要 1 原告の主張する請求原因は必ずしも判然としないところがあるものの,これを善解するに,本件は,原告が,①本件の処分行政庁(以下「本件処分行政庁」という。)に対して特許出願を 第2 事案の概要 1 原告の主張する請求原因は必ずしも判然としないところがあるものの,これを善解するに,本件は,原告が,①本件の処分行政庁(以下「本件処分行政庁」という。)に対して特許出願をしたのに,その特許査定がないなどとして,特許査定をするよう求め(請求の趣旨第1項),②上記出願において早期審査に関する事情説明書を提出したのに,その特許査定又は拒絶査定がないなどとして,特許査定又は拒絶査定をしていない不作為の違法確認を求め(同第2項),③付審判請求(刑事訴訟法262条1項)に係る特別抗告棄却決定に対して異議申立てをしたのに,最高裁判所の裁判官会議において立件しないと判断され,もって原告の裁判を受ける権利が侵害されたなどとして,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料20万円及びこれに対する上記異議申立ての日の翌日である平成28年8月3日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め(同第3項),④拒絶理由通知は法定の送達書類に該当せず,特許庁長官がこれを発送することも違法であるのに,特許庁長官は上記出願に係る拒絶理由通知書等を送達したなどとして,同送達の無効確認を求め(同第4項),⑤本件処分行政庁において所定の期限前に拒絶査定をする蓋然性があるとして,拒絶査定を原告に送達しないよう求めるとともに,仮に送達手続に着手しているのであればその撤回を求める(同第5項)事案であると認められる。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実又は文中掲記した証拠により容易に認定できる事実)(1) 特許の出願等ア原告は,平成27年10月13日,特許を出願(出願番号:特願2015-201805。以下「本件出願」という。)し,同月26日,本件出願に係る出願審査の請求を行うとともに,平成28年4月22日,早期審査に関する事情 年10月13日,特許を出願(出願番号:特願2015-201805。以下「本件出願」という。)し,同月26日,本件出願に係る出願審査の請求を行うとともに,平成28年4月22日,早期審査に関する事情説明書を提出した。(甲21,22,乙1ないし3) イ特許庁長官は,同年11月25日,特許法190条の規定で準用する民事訴訟法107条1項の規定により,拒絶理由通知書及び引用非特許文献4書類の計5書類(以下,本件の拒絶理由通知書を「本件拒絶理由通知書」といい,これに引用非特許文献4書類を併せて「本件拒絶理由通知書等」という。)を書留郵便に付して発送した。(甲15,乙14ないし16)(2) 付審判請求手続最高裁判所第一小法廷は,平成28年7月26日,原告の付審判請求(以下「本件付審判請求」という。)に係る特別抗告を棄却する旨決定した。 (甲12) 3 当事者の主張(1) 原告の主張別紙訴状,原告第一準備書面,原告第二準備書面,平成28年8月28日付け訴えの追加的変更の申立書,同年10月19日付け訴えの変更申立て及び同年12月7日付け訴えの変更申立て(その2)の各写しに記載のとおり(2) 被告の主張ア請求の趣旨第1項に係る訴えについて請求の趣旨第1項に係る訴えは,いわゆる申請不作為型の義務付けの訴えと解されるところ,同訴えにおいては,「当該法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないこと」が訴訟要件とされている(行政事件訴訟法〔以下「行訴法」という。〕37条の3第1項1号)。 しかし,本件処分行政庁は,既に拒絶理由通知書を作成し,原告宛てに発送している。特許の審査を行うには通常相応の時間が掛かり,出願審査の請求から審査官による審査結果の最初の通知(主に特許査定又は拒絶理由 し,本件処分行政庁は,既に拒絶理由通知書を作成し,原告宛てに発送している。特許の審査を行うには通常相応の時間が掛かり,出願審査の請求から審査官による審査結果の最初の通知(主に特許査定又は拒絶理由通知書)が出願人等へ発送されるまでに要する期間の平均は9. 5か月となっている。本件では,出願審査の請求から拒絶理由通知書の 作成まで約10か月である上,本件出願には多くの不備があり,出願審査の請求以後,原告は10度にわたって手続補正書を提出していたものであるから,「相当の期間内に何らの処分又は裁決がされない」とはいえない。 したがって,請求の趣旨第1項に係る訴えは,行訴法37条の3第1項1号の訴訟要件を満たさない不適法な訴えである。 イ請求の趣旨第2項に係る訴えについて請求の趣旨第2項に係る訴えは,不作為の違法確認の訴えとして提起されたものと解されるところ,同訴えにいう「法令に基づく申請」(行訴法3条5項)とは,行政庁の処分又は裁決を求める行為であって,当該行為に対して行政庁が何らかの処分又は裁決をすべき義務を負うものをいい,法令にその根拠を有する行政庁の一定の行為を求める行為であっても,その求めに係る行為が行政庁の処分又は裁決でないものは「法令に基づく申請」に該当せず,申請が「法令に基づく申請」でない場合,当該不作為の違法確認の訴えは,訴えの対象を欠く不適法なものとなる。 原告は,出願審査の請求が「法令に基づく申請」に該当するものとして,請求の趣旨第2項に係る訴えを提起したものと考えられるが,出願審査の請求は,特許出願の審査の開始を求めるものにすぎず,特許出願の審査の開始自体は,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているも 開始を求めるものにすぎず,特許出願の審査の開始自体は,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものに該当せず,処分性を有しないから,出願審査の請求は「法令に基づく申請」に当たらない。 したがって,請求の趣旨第2項に係る訴えは,訴えの対象を欠く不適法なものである。 ウ請求の趣旨第3項に係る訴えについて国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項にいう「違法」とは, 公権力の行使に当たる公務員が,その権利ないし法益を侵害された個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背することであると解される。 しかし,原告の主張する請求原因事実からは,いかなる公務員のいかなる行為がいかなる職務上の法的義務に違反したものか何ら明らかでなく,およそ国賠法1条1項に基づく損害賠償請求権を基礎付けるものたり得ず,主張自体失当である。 仮に,原告の主張を,本件付審判請求に係る特別抗告棄却決定に対する異議申立てについて,「異議申立棄却することなく裁判官会議で立件しないとの判断され,記録は原告に無断で東京地裁に移送され」(原告第二準備書面「第二」)たことが,原告の裁判を受ける権利を侵害するとの主張と善解したとしても,裁判官会議は,その議により司法行政事務を行うものであり(裁判所法12条1項),「裁判官会議で立件しないとの判断され」ることは考え難く,上記主張に沿った事実は認められないし,最高裁判所に対する特別抗告に対して棄却決定がされた場合,更なる異議申立てはできない(刑事訴訟法433条1項,434条参照)から,仮に上記主張を前提としても,原告の裁判を受ける権利が侵害されたとはいえない。 したがって,請求の趣旨第3項に係る原告の請求は る異議申立てはできない(刑事訴訟法433条1項,434条参照)から,仮に上記主張を前提としても,原告の裁判を受ける権利が侵害されたとはいえない。 したがって,請求の趣旨第3項に係る原告の請求は理由がなく,棄却されるべきである。 エ請求の趣旨第4項に係る訴えについて請求の趣旨第4項に係る訴えは,本件拒絶理由通知書等の送達の無効確認の訴えと解されるところ,無効確認の訴えの対象は「当該処分又は裁決」(行訴法36条)とされており,当該行政庁の行為が処分性を有することが前提とされている。 しかし,拒絶理由の通知は,拒絶理由を通知するにとどまるものであ り,これによって,権利義務に直接具体的な影響を及ぼすものではなく,上記イに記載された処分性の定義に該当しない。また,本件では本件拒絶理由通知書等の送達がされているが,送達そのものも,直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものではなく,同様に処分性の定義に該当しない。 したがって,請求の趣旨第4項に係る訴えは,「当該処分又は裁決」を対象とするものではなく,不適法な訴えである。 オ請求の趣旨第5項に係る訴えについて(ア) 請求の趣旨第5項に係る訴えは,その記載からすれば,査定の送達の差止めの訴え又は非申請型の義務付けの訴えである同送達の撤回の義務付けの訴えと解される。 しかし,本件出願に対しては,いまだ特許査定又は拒絶査定がされておらず,当然ながら,拒絶査定の送達もされていないから,請求の趣旨第5項に係る訴えを同送達の撤回の義務付けの訴えと解した場合,撤回の対象が存在せず,不適法であることは明らかである。 また,請求の趣旨第5項に係る訴えを査定の送達の差止めの訴えと解したとしても,差止めの訴えの対象は「一定の処分又は裁決」(行 と解した場合,撤回の対象が存在せず,不適法であることは明らかである。 また,請求の趣旨第5項に係る訴えを査定の送達の差止めの訴えと解したとしても,差止めの訴えの対象は「一定の処分又は裁決」(行訴法3条7項,37条の4第1項)とされており,当該行政庁の行為が処分性を有することが前提とされているところ,送達それ自体は,権利義務に直接具体的な影響を及ぼすものではなく,処分性を有せず,不適法であることは同様である。 したがって,請求の趣旨第5項に係る訴えは,不適法である。 (イ) なお,請求の趣旨第5項に係る訴えを拒絶査定の差止めの訴えと解したとしても,以下のとおり,不適法であることに変わりはない。 すなわち,差止めの訴えにおいては,「重大な損害を生ずるおそれ」があること,「その損害を避けるため他に適当な方法が」ないことが訴 訟要件とされている(行訴法37条の4第1項)。しかし,原告は,何ら重大な損害を生ずるおそれがあることを主張立証していない上,拒絶査定がされることにより,原告に何らかの損害が生じると仮定したとしても,拒絶査定の効力は拒絶査定不服審判により争うことができる(特許法121条)のであるから,「損害を避けるため他に適当な方法が」ある。 第3 当裁判所の判断 1 前記第2,2の前提事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められ,同認定を覆すに足りる的確な証拠はない。 (1) 特許の出願等ア原告は,平成27年10月13日,本件出願をし,同月26日,本件出願に係る出願審査の請求を行った。(甲21,乙1,2)イ原告は,平成28年4月22日,特許庁長官に対して,本件出願につき早期審査に関する事情説明書を提出した。(甲22,乙3)また,原告は,同年7月25日までに,本件出願につき合計10 1,2)イ原告は,平成28年4月22日,特許庁長官に対して,本件出願につき早期審査に関する事情説明書を提出した。(甲22,乙3)また,原告は,同年7月25日までに,本件出願につき合計10回にわたって手続補正書を提出した。(乙9)本件処分行政庁は,同年8月4日,本件出願を早期審査の対象とした。 (乙4。なお,原告は乙4が真正に作成されたかどうか疑問がある旨主張するが,その形式及び内容に照らし,成立の真正を認めることができる。)ウ本件処分行政庁は,同月5日,本件出願について拒絶をすべき理由が存在したとして,本件拒絶理由通知書を作成した。(乙5)エ本件拒絶理由通知書は,同月30日,原告宛てに発送されたが,同年9月9日,原告不在のため特許庁に返送された。(甲16,乙7の1ないし3,弁論の全趣旨)本件拒絶理由通知書は,同月27日,原告宛てに再度発送されたが, 同年10月24日,原告不在のため特許庁に返送された。(乙7の4及び5,乙10の1及び2,弁論の全趣旨)本件拒絶理由通知書は,同年11月1日,原告宛てに再度発送されたが,同月15日,原告不在のため特許庁に返送された。(乙11ないし13)そこで,特許庁長官は,同月25日,特許法190条の規定で準用する民事訴訟法107条1項の規定により,本件拒絶理由通知書等を書留郵便に付して発送した。(甲15,乙14ないし16)(2) 付審判請求手続ア原告は,平成28年,Bほか2名を被疑者とする本件付審判請求をしたが,同年3月3日,東京地方裁判所刑事第6部において同請求を棄却する旨の決定を受けた。(甲10)イ原告は,上記決定に対して抗告の申立てをしたが,同年6月29日,東京高等裁判所において同抗告を棄却する旨の決定を受けた。(甲11)ウ原告は, 同請求を棄却する旨の決定を受けた。(甲10)イ原告は,上記決定に対して抗告の申立てをしたが,同年6月29日,東京高等裁判所において同抗告を棄却する旨の決定を受けた。(甲11)ウ原告は,上記決定に対して特別抗告の申立てをしたが,同年7月26日,最高裁判所第一小法廷において同抗告を棄却する旨の決定を受けた。 (甲12) 2 請求の趣旨第1項に係る訴えについて(1) 請求の趣旨第1項に係る訴えは,要するに,原告の本件出願につき特許査定をすることを求めるものであるところ,特許を受けようとする者は,特許出願を行い(特許法36条),審査官は,当該特許出願について拒絶の理由を発見しないときは,特許査定をしなければならない(同法51条)ことからすると,請求の趣旨第1項に係る訴えは,いわゆる申請型の義務付けの訴え(行訴法3条6項2号)と解される。 そして,本件においては,本件出願について特許査定は行われていないから,請求の趣旨第1項に係る訴えは,このうちいわゆる申請不作為型の義務 付けの訴え(行訴法37条の3第1項1号)と解される。 (2) ところで,申請不作為型の義務付けの訴えにおいては,「当該法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないこと」が訴訟要件とされている(同法37条の3第1項1号)。 本件では,前記1(1)アないしウのとおり,原告による出願審査の請求(平成27年10月26日)から本件拒絶理由通知書の作成(平成28年8月5日)まで9か月余りを要しているところ,通常,特許の審査を行うには相応の期間を要し,出願審査の請求から審査官による審査結果の最初の通知(主に特許査定又は拒絶理由通知書)が出願人等へ発送されるまでに要する期間の平均は9.5か月とされている上(乙8),原告は合計10回に の期間を要し,出願審査の請求から審査官による審査結果の最初の通知(主に特許査定又は拒絶理由通知書)が出願人等へ発送されるまでに要する期間の平均は9.5か月とされている上(乙8),原告は合計10回にわたって手続補正書を提出していたこと(前記1(1)イ)にも照らすと,本件拒絶理由通知書の作成までの期間が通常の所要期間を徒過していたとか,不当に長期であったなどと評価することはできない。そして,本件拒絶理由通知書の作成から原告への送達(平成28年11月25日)までは3か月以上を要しているが,これは専ら原告の不在という原告側の事情によるものである。 そうすると,現時点で本件出願に対する特許査定ないし拒絶査定がされていない(当事者間に争いがない。)からといって,「相当の期間内に何らの処分又は裁決がされない」ということはできない。 (3) したがって,請求の趣旨第1項に係る訴えは,行訴法37条の3第1項1号の訴訟要件を満たさず,不適法なものであるといわざるを得ない。 3 請求の趣旨第2項に係る訴えについて(1) 請求の趣旨第2項に係る訴えは,要するに,原告が平成27年10月26日に本件出願に係る出願審査の請求を行い,平成28年4月22日には早期審査に関する事情説明書を提出したことに対し,特許査定又は拒絶査定がされていない不作為の違法を確認するというものであり,不作為の違法確認の訴え(行訴法3条5項)と解される。 (2) ところで,不作為の違法確認の訴えとは,行政庁が「法令に基づく申請」に対し,相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず,これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう(行訴法3条5項)。そして,「法令に基づく申請」とは,行政庁の処分又は裁決を求める行為であって,当該行為に対して行政庁が何 あるにかかわらず,これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう(行訴法3条5項)。そして,「法令に基づく申請」とは,行政庁の処分又は裁決を求める行為であって,当該行為に対して行政庁が何らかの処分又は裁決をすべき義務を負うものをいい,法令にその根拠を有する行政庁の一定の行為を求める行為であっても,その求めに係る行為が行政庁の処分又は裁決でないものは「法令に基づく申請」に該当せず,申請が「法令に基づく申請」でない場合,当該不作為の違法確認の訴えは,訴えの対象を欠く不適法なものとなる。 しかるに,本件において原告の指摘する出願審査の請求及び早期審査に関する事情説明書の提出は,特許出願の審査の開始を求めるものにすぎない。 そして,特許出願の審査の開始自体は,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているもの(最高裁判所昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参照)に該当せず,処分性を有しないから,出願審査の請求は「法令に基づく申請」に当たらない。 (3) したがって,請求の趣旨第2項に係る訴えは,訴えの対象を欠き,不適法なものであるといわざるを得ない。 4 請求の趣旨第3項に係る訴えについて(1) 請求の趣旨第3項に係る訴えは,国賠法1条1項に基づく損害賠償請求であると解される。 (2) ところで,国賠法1条1項にいう「違法」とは,公権力の行使に当たる公務員が,その権利ないし法益を侵害された個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背することであると解される(最高裁判所昭和60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁,最高裁判所平成17年9月14日大法廷判決・民集59巻7号2087頁参照)。 上の法的義務に違背することであると解される(最高裁判所昭和60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁,最高裁判所平成17年9月14日大法廷判決・民集59巻7号2087頁参照)。 本件の場合,原告の主張する請求原因事実からは,いかなる公務員のいかなる行為がいかなる職務上の法的義務に違反したと主張するものか,必ずしも判然としない。そして,仮に,原告の主張を,本件付審判請求に係る特別抗告棄却決定に対して異議申立てをしたのに,最高裁判所の裁判官会議において立件しないと判断され,もって原告の裁判を受ける権利が侵害されたことをいうものと善解したとしても(前記第2,1参照),裁判官会議は,その議により司法行政事務を行うものであって(裁判所法12条1項),裁判官会議において個別事件の立件の当否を判断するものとは考え難く,上記主張に沿った事実はおよそ認めることができない。また,最高裁判所に対する特別抗告に対して棄却決定がされた場合,更なる異議申立てはできない(刑事訴訟法433条1項,434条参照)から,仮に上記主張を前提としても,原告の裁判を受ける権利が侵害されたとはいえない。 (3) したがって,請求の趣旨第3項に係る原告の請求は,理由がない。 5 請求の趣旨第4項に係る訴えについて(1) 請求の趣旨第4項に係る訴えは,要するに,特許庁長官による本件拒絶理由通知書等の送達が無効であることの確認を求めるものであり,無効確認の訴え(行訴法3条4項)と解される。 (2) ところで,無効確認の訴えの対象は「当該処分又は裁決」(行訴法36条)であって,当該行政庁の行為が処分性を有することを前提とするものである。 しかし,拒絶理由書等の送達は,拒絶理由を通知するにとどまるものであり,権利義務に直接具体的な影響を及ぼすもの 訴法36条)であって,当該行政庁の行為が処分性を有することを前提とするものである。 しかし,拒絶理由書等の送達は,拒絶理由を通知するにとどまるものであり,権利義務に直接具体的な影響を及ぼすものではないから,上記3(2)で論じたところに照らし,処分性を有しない。 (3) したがって,請求の趣旨第4項に係る訴えは,「当該処分又は裁決」を対象とするものではないから,不適法なものであるといわざるを得ない。 6 請求の趣旨第5項に係る訴えについて(1) 請求の趣旨第5項に係る訴えは,要するに,本件出願について拒絶査定を 原告に送達しないよう求めるとともに,仮に送達手続に着手しているのであればその撤回を求めるものであり,前者は差止めの訴え(行訴法3条7項),後者は非申請型の義務付けの訴え(同法3条6項1号)と解される。 しかし,差止めの訴えの対象は「一定の処分又は裁決」(行訴法3条7項,37条の4第1項)とされており,当該行政庁の行為が処分性を有することが前提とされているところ,拒絶査定の送達は,拒絶査定があったことを通知するにとどまるものであり,権利義務に直接具体的な影響を及ぼすものではないから,処分性を有しない。 また,現時点では本件出願に対する特許査定ないし拒絶査定がされておらず,そのため拒絶査定の送達手続に着手された事実もないから,送達手続の撤回という義務付けの訴えの対象自体が存在しない。 したがって,請求の趣旨第5項に係る訴えは,不適法なものであるといわざるを得ない。 (2) なお,請求の趣旨第5項に係る訴えについては,これを送達の差止めの訴えないしその撤回の義務付けの訴えではなく,拒絶査定自体の差止めの訴えと解する余地もないではない。 しかし,差止めの訴えにおいては「その損害を避けるため他に適当な方法 は,これを送達の差止めの訴えないしその撤回の義務付けの訴えではなく,拒絶査定自体の差止めの訴えと解する余地もないではない。 しかし,差止めの訴えにおいては「その損害を避けるため他に適当な方法がある」ときは提起することができないところ(行訴法37条の4第1項),拒絶査定の効力は拒絶査定不服審判により争うことができるのであるから(特許法121条),「その損害を避けるため他に適当な方法がある」ものといわざるを得ない。 したがって,請求の趣旨第5項に係る訴えは,いずれにせよ,不適法なものというべきである。 7 結論よって,原告の訴えのうち請求の趣旨第1項,第2項,第4項及び第5項に係る訴えはいずれも不適法であるからこれを却下することとし,原告のその余 の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 東海林保 裁判官 瀬孝 裁判官 勝又来未子 (別紙) 省略

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