昭和32(ネ)448 保険料引渡請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和33年12月16日 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決を左の通り変更する。      控訴人は被控訴人に対し金六万五千三百十七円及びこれに対する昭和三 十一年一月一日以降支払済に至る迄年六分の割合による金員を支払え。    

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判決文本文3,804 文字)

主文 原判決を左の通り変更する。 控訴人は被控訴人に対し金六万五千三百十七円及びこれに対する昭和三十一年一月一日以降支払済に至る迄年六分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は第一、二審共控訴人の負担とする。 この判決は被控訴人において金二万円の担保を供するときは仮に執行することができる。 事実 控訴代理人は、「原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とするとの判決を、被控訴代理人は控訴棄却の判決を各求めた。 当事者双方の事実上の主張、及び立証関係は左記の外原判決事実摘示と同一につきこれを引用する。 被控訴代理人は、本訴請求にかかる年六分の割合による損害金の内昭和二十九年七月一日以降昭和三十年十二月末日迄の分は連帯保証人の一人である訴外Aより弁済を受けたので右損害金の請求を昭和三十一年一月一日以降に減縮する。控訴人主張の債務免除の事実は否認する。と述べ控訴代理人は、代理店主Bは昭和二十九年二月以前から既に使い込みをしており、そのため同月被控訴人の営業所へ呼ばれたのであるから、被控訴人側において、その際Bの使い込みを知つたか少くとも知り得たに拘わらず、代理店契約の解除をせず(甲第一号証代理店契約書第十七条参照)、漫然三月以降も引続いて代理店の仕事を継続せしめ、而も保険料の取立を等閑に付していたことは被控訴人の過失である。本訴請求にかかる債務は昭和三十年十二月末日債権者たる被控訴人より全額免除を受けた。すなわち、訴外Bが昭和二十九年六月末日現在で被控訴人に対し負担していた金四十九万四千五百二十七円の債務につきその後連帯保証人の一人である訴外Aが昭和三十年十二月末日迄に合計金四十六万円を弁済した結果同日被控訴人はB、A及控訴人に 末日現在で被控訴人に対し負担していた金四十九万四千五百二十七円の債務につきその後連帯保証人の一人である訴外Aが昭和三十年十二月末日迄に合計金四十六万円を弁済した結果同日被控訴人はB、A及控訴人に対し残債務一切を免除した。或は被控訴人はAと残債務を全部(主債務者B及び控訴人との関係においても)消滅せしめる合意をしたものである。仮に右免除がAに対する関係においてのみなされたものとしても、民法第四百三十七条によりAの負担部分については控訴人の為に効力を生ずるから本訴請求金六万五千三百十七円中その半額にあたる金三万二千六百五十八円五十銭(Aと控訴人の負担部分は平等である。)の請求部分は失当であると。と述べ立証として、新たに控訴代理人は証人B、C及び控訴本人の各尋問を求めた。 理由 被控訴人主張の請求原因事実は凡て当事者間に争いない。 そこで控訴人の抗弁につき順次判断する。 一、 身元保証に関する法律第五条文は民法第四百十八条による保証責任減免の抗弁(原判決事実摘示三の(二)(イ)、(ロ)及び(三)について、<要旨>(イ) 身元保証に関する法律にいわゆる身元保証契約とは、被用者の行為により使用者の受けた損害を第三者が</要旨>賠償することを約する契約であるから、被害者と加害者間に使用者対被用者の関係、換言すれば一定の従属関係が存することを前提とするものと解すべきところ、成立に争いのない甲第一号証と原審証人Bの証言を綜合すると、本件代理店契約において代理店主Bは自ら保険加入者を勧誘募集し、被控訴人を代理してこれらの者と保険契約を締結したときは保険料を受領してこれを被控訴人に納めるのであるが、この業務の報酬としてBは納入保険料に一定の割合を乗じた代理店手数料を被控訴人より受領する外他に何等の報酬なく、事務所費、 保険契約を締結したときは保険料を受領してこれを被控訴人に納めるのであるが、この業務の報酬としてBは納入保険料に一定の割合を乗じた代理店手数料を被控訴人より受領する外他に何等の報酬なく、事務所費、交際費、旅費、通信費等業務上の諸経費は凡てBの自弁とする約定であつたことが認められる。このような約定の下に業務に従事する代理店主と保険会社との関係は、たとえ前掲証拠により認め得るように或る場合代理店が会社の指図に従わねばならぬことがあり又代理人備付の帳簿及び諸記録の閲覧、提出等を会社から求められたときは代理店はこれを拒み、妨げ又は忌避することができない約定があるとしても、全体としてこれを見るときは、委任又は準委任であつて、被用者と使用者との関係は存在せず代理店主は自己の計算と責任において活動する営業者とみるのが妥当である。控訴人の全立証によるも右認定を覆すに足りない。してみれば本件において控訴人の保証責任につき前記法律を適用ないし類推適用することは相当でない。 (ロ) また、民法第四百十八条は債務の不履行により損害が生じた場合に、この損害賠償責任の有無及び範囲を定めるにつき債権者の過失を御酌するという趣旨であつて、本件の如く債務者Bが債権者である被控訴人に対し負担する債務―受入保険料を引渡すべき債務―につきなされた控訴人の保証責任についてまで同条の適用ないし類推適用ありとする控訴人の主張は正当でない。 (ハ) しかのみならず、原審証人D、原審及当審における証人Bの証言並びに控訴本人尋問の結果を綜合すればBが被控訴人に対し保険料の納入を遅滞し始めたのは昭和二十九年二月分の一部及び同年三月以降の分であつて被控訴人は三月分の保険料納入期である同年四月末頃からBに対しこれが支払の督促を始め、爾来同年六月末頃迄の間再三再四その支払方を催告した結果、B は昭和二十九年二月分の一部及び同年三月以降の分であつて被控訴人は三月分の保険料納入期である同年四月末頃からBに対しこれが支払の督促を始め、爾来同年六月末頃迄の間再三再四その支払方を催告した結果、Bは一部の入金をしたけれども残余についてはもつともらしい言訳をして支払猶予を求めて居たこと、その間被控訴人はBよりの支払を期待して代理店契約はそのまま継続していたが同年六月に至りBの未払保険料額がその頃の内入を控除しても尚金四十九万余円に達し、しかも受入保険料の一部をBにおいて他の用途に流用していることが判明したので被控訴人は同月末頃Bが保管中の保険契約書用紙その他の関係書類を返還せしめて事実上代理店契約を終了せしめ、次で同年七月上旬頃保証人たる控訴人及びA等に対し右金員の支払を請求すると共に同月末頃正式に代理店契約を解除したことをそれぞれ認めうるのであつて、被控訴人がBの保険料の未払に関し措つた上叙の処置はその日時、方法等からみて債権者として相当の注意をしたものと認むべく、たといその間被控訴人がBをして代理店業務に従事させていた事実があるとしてもこれを以て被控訴人の過失により控訴人の本件保証責任を不当に加重したものとするのは妥当でない。もつとも前記甲第一号証及び原審証人Bの証言によれば、本件代理店契約において、「代理店はその受入保険料を毎月末日計算し代理店手数料を控除した残額を報告書と共に翌月末日迄に会社に納入しなければならない。但し会社は予告をしてその精算期間を短縮できる旨(契約書第八条)、及び代理店は業務上帳簿及び諸記録を備え付け何時でも会社からの閲覧説明又は提出の求めに応ずる義務がある旨(同第十条)一の各約定が存したに拘らず被控訴人は敢て右精算期間の短縮とか、帳簿検査等の措置をとらなかつたものと推認できるけれども、上記認定の経緯に徴す の閲覧説明又は提出の求めに応ずる義務がある旨(同第十条)一の各約定が存したに拘らず被控訴人は敢て右精算期間の短縮とか、帳簿検査等の措置をとらなかつたものと推認できるけれども、上記認定の経緯に徴すればそのことのみから直に控訴人主張のように被控訴人に監督不行届の過失があつたものと断ずることはできない。その他控訴人の全立証によるも前段認定を覆し控訴人の抗弁事実を認めるに足る資料は存しない。 (二) 従つていずれにするも控訴人の右抗弁は採用できない。 二、 暗黙的責任解除条件附契約であるとの抗弁について、控訴人と被控訴人間の本件保証契約が控訴人主張の如き責任解除条件附契約の性質を有することは控訴人の全立証によるもこれを認め難いのみならず、本件において被控訴人に控訴人主張のような監督不行届の廉があつたものと認め得ないこと前認定の通りであるから、控訴人の右抗弁もまた理由がない。 三、 債務免除の抗弁について、当審における証人Cの証言及び控訴本人尋問の結果によるも控訴人主張の如き債務免除の事実又は債務免除の契約はこれを認め難く他にこれを認めるに足る証拠は何もないから右抗弁もまた採用できない。 四、 以上控訴人の抗弁はいずれも理由がなく被控訴人主張の請求原因によれば被控訴人の本訴請求は全部正当として認容すべきところ、被控訴人は当審において請求の一部を減縮したからここになすべき判決は原判決と異るのでその範囲において原判決を変更すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九十六条第八十九条仮執行の宣言につき同法第百九十六条を適用し主文の通り判決する。 (裁判長判事奥田嘉治判事牧野威夫判事岸上康夫) 判長 判事 奥田嘉治 判事 牧野威夫 判事 岸上康夫

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