- 1 -主文 本件訴えのうち外務大臣が別紙一部不開示文書目録1記載の各行政文書の不開示部分を開示すべき旨を命ずることを求める請求に係る部分をいずれも却下する。 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求 外務大臣が,平成19年11月16日付けで原告らに対してした,別紙一部不開示文書目録1記載の各行政文書を不開示とする決定を取り消す。 外務大臣は,原告らに対し,1記載の各行政文書の不開示部分を開示せよ。 第2事案の概要 本件は,原告らが,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という)に基づいて,外務大臣に対し,日本政府と大韓民国(以。 下「韓国」という)政府との間において両国間の外交関係の開設等の関係の。 正常化を目的として実施されたいわゆる日韓会談に関する行政文書の開示を請求したところ,外務大臣が,上記行政文書の全部又は一部に,情報公開法5条3号,4号又は6号に定めるものに該当する情報が記録されていることを理由として,その全部又は一部につき開示をしない旨の処分をしたため,原告らがその取消しを求めるとともに,当該不開示文書又は不開示部分を開示することの義務付けを求めた事案である。 争いのない事実等(当事者間に争いがないか,又は各項の末尾に掲記した証拠若しくは弁論の全趣旨により容易に認定することができる事実)(1)日本政府と韓国政府は,昭和26年(1951年)から昭和40年(1965年)までの間,両国間の外交関係の開設等の関係の正常化を目的とした会談(日韓会談。以下,日韓会談を含め,両国間の関係の正常化に係る交渉を「日韓国交正常化交渉」という)を実施した。日韓会談は,合計7期間。 - 2 -にわたって実施されており,そ 常化を目的とした会談(日韓会談。以下,日韓会談を含め,両国間の関係の正常化に係る交渉を「日韓国交正常化交渉」という)を実施した。日韓会談は,合計7期間。 - 2 -にわたって実施されており,それぞれの会談が第1次会談から第7次会談と称されることがある。 (2)昭和40年(1965年)6月22日,日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約(以下「日韓基本条約」という)が締結された。 。 (3)竹島は,隠岐諸島の北西約157キロメートル,北緯37度14分,東経131度52分の日本海上に位置する群島であり,その領有権につき日本と韓国との間で紛争が存在する。韓国政府は,昭和27年1月,いわゆる「李承晩ライン」を設定し,その中に竹島を含めるとともに,昭和29年6月ころから,竹島に警備員を常駐させ,灯台等を設置するなどして,占拠を継続している。これに対し,日本政府は,我が国が竹島の領有権を有するものであり,韓国政府の上記行為は不法占拠であるとして,韓国政府に抗議するとともに,同年9月及び昭和37年3月には,竹島の領有権に関する紛争を国際司法裁判所に付託することなどを提案したが,韓国政府はこれに応じず,現在に至っている(以下,上記に述べた竹島の領有権に係る紛争を「竹島問題」という(乙8,乙19,乙20)。)。 (4)ア日本政府は,平成3年,北朝鮮当局との間で,関係の正常化に係る交渉(以下「日朝国交正常化交渉」という)を開始した。 。 イ小泉純一郎内閣総理大臣(当時(以下「小泉元首相」という)は,平)。 成14年9月17日,北朝鮮の平壌において金正日朝鮮民主主義人民共和国国防委員長(以下「金委員長」という)と会談した。その会談の結果。 は,日朝平壌宣言として記され,小泉元首相及び金委員長がこれに署名し,「,,ているところ日 て金正日朝鮮民主主義人民共和国国防委員長(以下「金委員長」という)と会談した。その会談の結果。 は,日朝平壌宣言として記され,小泉元首相及び金委員長がこれに署名し,「,,ているところ日朝平壌宣言1項には双方は相互の信頼関係に基づき国交正常化の実現に至る過程においても,日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明した」との記載が,同2項には「双方。 は,国交正常化を実現するにあたっては,1945年8月15日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い,国交正常化交渉においてこれを具体的に協議- 3 -することとした」及び「双方は,在日朝鮮人の地位に関する問題及び文。 化財の問題については,国交正常化交渉において誠実に協議することとした」との記載が,同3項には「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問。 題については,朝鮮民主主義人民共和国側は,日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した」との記載が,同4項には「双方は,核問題。 及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し,関係諸国間の対話を促進し,問題解決を図ることの必要性を確認した」との記載がある(乙。 。 23)(5)外務省は,日韓会談の議事録,添付資料及び内部資料等に係る行政文書を保有している。 ,,,,(6)原告らは平成18年4月25日外務大臣に対し情報公開法に基づき別紙請求文書目録記載の各行政文書(以下「本件請求文書」という)の開。 示を請求した。 (7)外務大臣は,平成19年11月16日,本件請求文書のうち,別紙一部不開示文書目録1記載の各行政文書以下これらの各行政文書を総称して本(,「件各 求文書」という)の開。 示を請求した。 (7)外務大臣は,平成19年11月16日,本件請求文書のうち,別紙一部不開示文書目録1記載の各行政文書以下これらの各行政文書を総称して本(,「件各文書」という。また,同目録1の番号1ないし13に記載された文書について個別に摘示するときは「本件文書1「本件文書2」などと表記す,」,る)及び別紙一部不開示文書目録2記載の各行政文書について,その全部。 又は一部につき開示をしない旨の処分(そのうち本件各文書に係る処分を,以下「本件不開示処分」という)をした。 。 (8)本件不開示処分に係る書面に理由として記載されていたところは,次のとおりであった。 ア本件文書1ないし本件文書9「公にすることにより,他国等との関係で交渉上不利益を被るおそれがあるため,不開示としました」。 情報公開法5条3号該当(ただし,本件文書3については,同条2号に- 4 -該当することを理由にその一部につき開示をしない旨の処分もされている)。 イ本件文書10「政府部内の検討内容であり,公にすることにより,他国等との信頼関係を損なうおそれがあり,また,事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため,不開示としました」。 情報公開法5条3号及び6号該当ウ本件文書11「政府内部の検討内容であり,公にすることにより,他国等との関係で交渉上不利益を被るおそれがあるほか,信頼関係を損なうおそれがあり,また,外交事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため,不開示としました」。 情報公開法5条3号及び6号該当エ本件文書12(ア)22枚目「公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるほか,事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため,不開示としました」 本件文書12(ア)22枚目「公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるほか,事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため,不開示としました」。 情報公開法5条4号及び6号該当(イ)48枚目「政府内部の検討内容であり,公にすることにより,他国等との関係で交渉上不利益を被るおそれがあるほか,事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため,不開示としました」。 情報公開法5号3号及び6号該当オ本件文書13「現在においても,日韓間で立場の異なる問題に関する交渉の様子や政府部内での検討の様子が子細に記されており,公にすることにより,我が- 5 -国の今後の交渉上の立場を不利にするおそれがあるため,不開示としました」。 情報公開法5条3号該当(9)原告らは,平成20年4月23日,本件訴えを提起した。 第3本件の争点及び争点に関する当事者の主張 本件各文書を開示することの義務付けについて(本案前の争点)(原告らの主張)行政事件訴訟法3条6項2号は,行政庁に対し一定の処分を求める旨の法令に基づく申請がされた場合において,当該行政庁がその処分をすべきであるにもかかわらずこれがされないときに,行政庁がその処分をすべき旨を命ずることを求めることができる旨定めている。そして,同法37条の3第1項2号及,,び第5項は当該法令に基づく申請を棄却する旨の処分がされた場合において,,当該処分が取り消されるべきものである場合に請求に理由があると認められ行政庁が当該行政処分をすべきであることが根拠法令上明らかであると認められる場合には,当該処分の義務付けが認められる旨定めている。 本件においては,後記2以下で述べるとおり,本件各文書に記録された情報は不開示情報に該当しないから,本件不開 根拠法令上明らかであると認められる場合には,当該処分の義務付けが認められる旨定めている。 本件においては,後記2以下で述べるとおり,本件各文書に記録された情報は不開示情報に該当しないから,本件不開示処分は取り消されるべきものである。また,本件不開示処分の根拠となっている情報公開法は,行政庁に対し,行政文書に記録された情報が不開示情報に該当しない場合は,原則として当該文書の開示を義務付けているところ,本件各文書に記録された情報は不開示情報に該当しないから,外務大臣は,原則どおり本件各文書を開示する義務を負う。 よって,外務大臣に本件各文書の不開示部分の開示を義務付けることが認められるべきである。 (被告の主張)第1の2に係る訴えは,行政事件訴訟法3条6項2号に定めるいわゆる申請型義務付け訴訟と解されるところ,申請型義務付け訴訟のうち「当該法令に,- 6 -基づく申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされた場合」の類型については,当該処分又は裁決が「取り消されるべきものであり,又は無効若しくは不存在である」ときに限り,提起することができるとされている(同法37条の3第1項2号)から,併合提起した処分又は裁決の取消請求又は無効等確認請求(同条3項2号)が認容されることが訴訟要件である。 しかし,後記2以下で述べるとおり,本件不開示処分は適法であり,取り消されるべきものに当たらないから,上記義務付けの訴えは,同法37条の3第1項2号の要件を欠くものであり,不適法なものとして却下されるべきである。 情報公開法5条3号,4号及び6号該当性の審査方法及び立証責任の所在等(本案の争点1)(原告らの主張)(1)情報公開法の制定時に策定された「情報公開法要綱案の考え方」等においては,情報公開法5条3号及び4号の場合を他の不開示 該当性の審査方法及び立証責任の所在等(本案の争点1)(原告らの主張)(1)情報公開法の制定時に策定された「情報公開法要綱案の考え方」等においては,情報公開法5条3号及び4号の場合を他の不開示事由の場合と区別することなく,行政文書はあくまでも開示することが原則であって,この開示は行政機関の長の義務であるとする基本的枠組みが採用されている。 また,情報公開法5条は「行政文書の開示義務」との見出しの下,同条3号及び4号にも共通して適用される規定として,同条本文において「行政,機関の長は,開示請求があったときは,開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(中略)のいずれかが記録されている場合を除き,開示請求者に対し,当該行政文書を開示しなければならない」と規定し,原則として行政文書を開示する義務が行政機関の長にあることを明らかにしている。その上で,情報公開法は,義務としての開示とは別に,行政機関の長の裁量によ()る開示又は不開示を認める条文として7条公益上の理由による裁量的開示を別途設けている。このように,同条の場合は行政機関の長の裁量の問題になるのに対し,情報公開法5条の不開示情報の場合には,原則として開示をすることが行政機関の長の義務とされているのである。 そして,上記に述べた情報公開法における開示又は不開示の基本的枠組み- 7 -や条文の構造,規定の仕方を踏まえるならば,情報公開法5条の不開示情報には,その規定の表現に多少の相違はあっても,原則と例外とを逆転するような意図は含まれておらず,また,行政機関の長の判断について,特段の裁量権の行使を前提としたり,その裁量権の範囲を区別する目的は存在しないというべきである。 したがって,情報公開法5条3号及び4号の不開示情報について,行政機関の長の裁量権の範囲を逸脱し,又はその濫 量権の行使を前提としたり,その裁量権の範囲を区別する目的は存在しないというべきである。 したがって,情報公開法5条3号及び4号の不開示情報について,行政機関の長の裁量権の範囲を逸脱し,又はその濫用があったことを基礎付ける事実について原告らが主張立証責任を負うということはできず,他の不開示情報と同様に,情報公開法によって認められた権利としての情報公開請求権に対して,それを拒否するための不開示情報についての立証責任は行政機関の長に存在するというべきである。 (2)仮に,情報公開法5条3号及び4号に規定する情報に該当するか否かの判断について,行政機関の長の第一次的な判断を尊重することが否定されないとしても,①情報公開法に基づく開示請求権は,民主主義の推進に資する法律上の重要な権利であること,②情報公開法においては,開示請求が認められることが原則であり,不開示とされるのは例外であること,③情報公開法5条3号について「公にすることにより,国の安全が害されるおそれ,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」とされ,情報公開法5条4号について「公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」とされており,これらはいずれも概括的な規定ではないことなどからすれば,行政機関の長に広範な裁量権があることを前提にその判断の当否が検討されるべきではなく,行政機関の長の第一次的な判断が合理性を有すると認めるに足りる具体的事実を被告が主張立証すべきである。 - 8 -(被告の主張)(1)情報公開法5条3号及び 判断の当否が検討されるべきではなく,行政機関の長の第一次的な判断が合理性を有すると認めるに足りる具体的事実を被告が主張立証すべきである。 - 8 -(被告の主張)(1)情報公開法5条3号及び4号の意義等情報公開法5条3号は「公にすることにより,国の安全が害されるおそ,れ,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」を不開示情報として定める。これは,我が国の安全,他国との信頼関係及び我が国の国際交渉上の利益を確保することが国民全体の基本的利益を擁護するために政府に課せられた重要な責務であり,これらの利益を十分に保護する必要があることから定められたものである。そして,同号の文理等に加え,上記の情報は,その性質上,開示又は不開示の判断に高度の政策的判断を伴い,また,対外関係上の将来予測としての専門的,技術的判断を要するといった特殊性があることなどから,同号該当性の判断には,行政庁に比較的広範な裁量権が付与されていると解するべきであり,それに対する司法審査は,処分の存在を前提として,当該処分に社会通念上著しく妥当性を欠くなど裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められる点があるか否かを審査する方法によるべきである。 また,情報公開法5条4号は「公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧,又は捜査,公訴の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」を不開示情報として定める。これは,公共の安全と秩序を維持することは,国民全体の基本的利益を擁護するために政府に課せられた重要な責務であり,これらの利益を十分に保護する必要があることから定められた 」を不開示情報として定める。これは,公共の安全と秩序を維持することは,国民全体の基本的利益を擁護するために政府に課せられた重要な責務であり,これらの利益を十分に保護する必要があることから定められたものである。そして,同号の文理等に照らし,同号の司法審査についても,処分の存在を前提として,当該処分に社会通念上著しく妥当性を欠くなど裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められる点があるか否かを審査する方法によるべきである。 (2)情報公開法3条は「何人も,この法律の定めるところにより,行政機関の- 9 -長(中略)に対し,当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる」と規定し,同法5条本文は「行政機関の長は,開示請求があっ,たときは,開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(中略)のいずれかが記録されている場合を除き,開示請求者に対し,当該行政文書を開示しなければならない」と規定していることから,一般的には,開示を請求する原告らが,開示対象となる行政文書を行政機関が保有していることを主張立証すれば,情報公開法の規定の範囲で開示請求をすることができ,被告において,当該行政文書に係る不開示処分の適法性を根拠付ける事実を主張立証すべきことになると解される。 他方,情報公開法5条3号及び4号については,上記のとおり,行政機関の長に裁量権が付与されており,それに対する司法審査は,処分の存在を前提として,当該処分に社会通念上著しく妥当性を欠くなど裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められる点があるか否かを審査すべきとされ,,,ていることからこのような場合は行政機関の長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したことを基礎付ける事実について原告らが主張立証責任を負うものと解するべきである。 本件不開示処分に ,,,ていることからこのような場合は行政機関の長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したことを基礎付ける事実について原告らが主張立証責任を負うものと解するべきである。 本件不開示処分に係る各情報の不開示情報該当性について(本案の争点2)(1)本件各文書に共通する不開示情報該当性に関する主張(原告らの主張)次に述べるとおり,外務大臣が,情報公開法5条3号,4号又は6号を根拠として本件各文書の全部ないし一部を不開示としたのは違法である。 ア昭和26年(1951年)に日韓会談が開始されてから,本件訴え提起時点で57年もの時が経過しており,本件各文書の不開示部分を含めすべての日韓会談文書は作成後長期間が経過しており,その記述や内容は,歴史的記録というべきものである。また,本件各文書の作成後,日韓基本条約及び諸協定の締結等により,日韓関係を取り巻く情勢は大きく変化している。このような過去の歴史的事実について,その内容や存在が明らかに- 10 -なったとしても,日本の外交に不利益が生じるおそれがあるとは認められず,事務の適正な遂行に支障が生ずるおそれもなく,犯罪の予防及び鎮圧等に支障を及ぼすおそれも認められない。 イ平成17年(2005年)に,韓国政府が保管していた日韓会談に関する韓国側の文書が全面的に開示されており,その中には,本件不開示処分の対象となった文書そのものも存在している。これらの文書は,日本側が保有する文書と完全に一致するものでないとしても,実質的には多分に重なり合う部分が存在する。このことからも,本件各文書の不開示部分を含めたすべての日韓会談文書を開示しても,それが日本の外交にとって不利益を生ずるおそれがあると外務大臣が認めることについて相当の理由があるとはいえず,事務の適正な遂行に支障を生ずるおそれもない。 を含めたすべての日韓会談文書を開示しても,それが日本の外交にとって不利益を生ずるおそれがあると外務大臣が認めることについて相当の理由があるとはいえず,事務の適正な遂行に支障を生ずるおそれもない。 ウ被告は,本件各文書の開示により,日朝国交正常化交渉につき不利益が生じるおそれがある旨を主張する。しかし,北朝鮮は日韓会談の相手方ではなく,交渉が行われた時期やそれまでの交渉経緯等も異にするものであるから,本件各文書の不開示部分が開示されたとしても,それにより日朝国交正常化交渉において制約が生じるものではない。また,我が国は,平成14年(2002年)9月17日,北朝鮮との間で,日朝平壌宣言を締結しており,同宣言において明確に財産及び請求権の相互放棄の基本原則が宣言され「国交正常化の後,双方が適切と考える期間にわたり,無償,資金協力,低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実施」するという枠組みが作られている。上記宣言は,仮に条約の形式や内実を伴わないものであっても,当事者間に対する拘束力を有するものであり,日朝国交正常化交渉は,今後,上記宣言に従って行われるのであって,請求権の問題について基本的な合意のないまま国交正常化交渉が行われた日韓会談とは全く状況を異にする。したがって,日朝国交正常化交渉が継続中であることをもって,本件各文書の不開示事由とすることはできない。 - 11 -(被告の主張)ア本件各文書は,竹島問題に関する文書1点(本件文書13,日本の対)韓国政策に関する文書1点(本件文書1)及び日韓会談に関する文書11点(本件文書2ないし本件文書12)の13文書であり,本件各文書は,いずれも外務省が作成した韓国及び北朝鮮をめぐる外交問題に関係する文書である。 外交問題については,一般的に,外交交 関する文書11点(本件文書2ないし本件文書12)の13文書であり,本件各文書は,いずれも外務省が作成した韓国及び北朝鮮をめぐる外交問題に関係する文書である。 外交問題については,一般的に,外交交渉を円滑に推進するため,いわゆる水面下での交渉や事前準備のための内部における多角的かつ多面的な分析,検討及び協議が実施されているのが通常であり,これらの交渉や協,,議等は秘密裏に進めなければ外交交渉が成功しないことが多く必然的にこれらの交渉や協議等の内容を記録した文書は外交機密を含む内容になるといえる。本件各文書の不開示部分は,いずれも過去における日本と韓国との間の外交交渉において重要な懸案事項である竹島問題,両国及びその国民の財産並びに両国及びその国民の間の請求権の処理に関する問題(以下「財産・請求権問題」という,在日韓国人の地位に関する問題等を。)内容とするものであり,これらの不開示部分を開示することは,次に述べるとおり,現在及び将来における韓国及び北朝鮮との外交交渉において,日本にとって不利益となる具体的な影響が及ぶ可能性が高い。 (ア)竹島問題は,領土という国家及び国民にとっての根幹にかかわる政治的重要度の極めて高い問題であり,日本政府としては,竹島問題を平和的に解決するための有効な方策を不断に検討している。また,竹島問題は,日韓両国民がそれぞれの立場から高い関心を寄せている状況にあることから,政治的な重要性,歴史的経緯,国際法上の論点,両国国民の感情,更には国際社会の認識等も踏まえた上で,万が一にも我が国の立場が不利になることがないよう不断の努力を続ける必要がある。そのためには,国際社会に対して竹島問題に関する我が国の立場に理解を求め,誤解が生じないように細心の注意を払う必要があ- 12 -る。このことは,竹島問題に ないよう不断の努力を続ける必要がある。そのためには,国際社会に対して竹島問題に関する我が国の立場に理解を求め,誤解が生じないように細心の注意を払う必要があ- 12 -る。このことは,竹島問題に係る情報の発信及び開示においても同様である。 以上のとおり,竹島問題は,従来から我が国と韓国との間での最も重要な懸案事項の一つであり,領土問題という我が国にとって譲歩することのできない問題であることから,この問題への我が国の具体的な考え方や分析法及び立論等は基本的にすべて「公にすることによ,り,国の安全が害されるおそれがあり,あるいは,韓国との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある」不開示情報に該当するものといえる。 (イ)北朝鮮との間では,平成3年(1991年)に日朝国交正常化交渉本会談を開始し,現在に至るまで交渉が継続している。我が国と北朝鮮との関係は,その歴史的経緯や法的地位等我が国と韓国との関係に類似しており,それゆえ,日朝国交正常化交渉において取り扱う問題は,財産・請求権問題,経済協力,在日朝鮮人の問題,文化財の問題等,本件各文書の主題である日韓国交正常化交渉と類似する部分が多い。したがって,日韓国交正常化交渉における我が国政府部内の検討事項及びその内容,当時の韓国政府との外交交渉のやり取りの詳細な内容等が記録されている本件各文書が開示されれば,北朝鮮がその内容を知ることとなり,今後の北朝鮮との外交交渉において我が国が不利益を被るおそれがある。特に,日本と韓国との間における財産・請求権問題及び在日韓国人の地位の問題には「ある特定の懸案事項」,が含まれており「ある特定の懸案事項」については,これに関する,記録がなされていること,すなわち当該情報の記載が存在すること自体をもってして, 在日韓国人の地位の問題には「ある特定の懸案事項」,が含まれており「ある特定の懸案事項」については,これに関する,記録がなされていること,すなわち当該情報の記載が存在すること自体をもってして,将来的に外交上の問題に発展する可能性が明らかに予想されるため,当該情報については「ある特定の懸案事項」としか説明できず,また,当該情報の記録部分を明らかにすること自体できないものである。 - 13 -また,日朝国交正常化交渉において,日本政府は,日朝平壌宣言に基づき,いわゆるら致問題,核及びミサイル問題といった高度に政治的でかつ解決困難な問題について包括的に解決して,不幸な過去を清算することを基礎として国交正常化を実現するとの基本的方針の下,北朝鮮との交渉に臨んでいるのであり,これは,ら致問題,核及びミサイル問題といった,高度に政治的でかつ解決困難な問題の包括的な解決とともに,北朝鮮側が関心を有する財産・請求権問題や経済協力等の問題を含めて,全体として国交正常化交渉を進めなければ国交正常化は実現しないという方針を採っていることを意味する。このような状況において,我が国が交渉上不利益を被るおそれがある内容を含む本件各文書が開示され,日朝交渉における我が国政府の外交戦術というべき「手の内」を北朝鮮側に予測させることは,ら致問題の解決を始めとする我が国国民の生命と安全にかかわる懸案事項の解決自体にも深刻な影響を与えかねない。 なお,日朝平壌宣言は,条約法に関するウィーン条約2条1項(a)に定める「国の間において文書の形式により締結され,国際法によって規律される国際的な合意」である条約ではないものの,日朝関係の今後の在り方を,日朝両首脳の議論の結果として記し,両首脳が共に署名した,政治的に極めて重みのある文書である。そして,財産・請求権問題に 規律される国際的な合意」である条約ではないものの,日朝関係の今後の在り方を,日朝両首脳の議論の結果として記し,両首脳が共に署名した,政治的に極めて重みのある文書である。そして,財産・請求権問題についていえば,同宣言3項は「双方は,国交正常化を実,現するにあたっては,1945年8月15日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い,国交正常化交渉においてこれを具体的に協議することとした」と記載しているのであり,国交正常化後に行われる我が国から北朝鮮に対する経済協力と共に,その後の交渉において具体的な内容が協議されることになっている。 (ウ)外務大臣は,上記のように外交上極めて慎重な取扱いが求められる- 14 -竹島問題や日朝国交正常化交渉を始めとする外交上の諸問題に深く関係する内容を含む本件各文書について開示の可否を判断するに当たり,当時の政府部内の検討や外交交渉のやり取りの詳細が分かる内容の一部について,今後,我が国が交渉上不利益を被るおそれがあると認める場合があることや,本件各文書には,公表を前提としないでされた日韓両政府当局者による率直な会談の記録も含まれており,そのような文書を開示すれば,韓国政府との信頼関係が損なわれ,外交交渉において重要な水面下における率直なやり取りを通じた交渉も困難となり,ひいては同国との相互の信頼関係に基づき保たれている正常な関係に支障を及ぼすことにもなりかねないことから,本件不開示処分をしたものである。 イ他国の政府が保有している文書の記録内容と外務省が保有している我が国政府の文書の記録内容が全く一致するものではなく,現実にも,日韓会談に関する韓国側の文書と我が国が保有している日韓会談に関する文書とは全く同一ではないし,本件各文書の不開 外務省が保有している我が国政府の文書の記録内容が全く一致するものではなく,現実にも,日韓会談に関する韓国側の文書と我が国が保有している日韓会談に関する文書とは全く同一ではないし,本件各文書の不開示部分には日韓会談に関係する文書以外の文書も含まれている。また,不開示部分について他の文書や当該文書の開示された部分から推定することが可能であるとしても,それは公知であることを意味しないし,開示しても不利益を被らないことを意味するものではない。さらに,我が国の文書を開示することの是非は,我が国の国益や立場を総合的に検討し,独自に判断した上で決定する必要があり,二国間交渉に係る文書を相手国が開示したことをもって,我が国が同様の交渉に係る文書を開示したとしても我が国の「外交にとって不利益を生ずるおそれ」がないとはいえない。 (2)本件各文書ごとの不開示情報該当性について別紙「本件各文書の不開示情報該当性に関する当事者の主張」のとおり第4当裁判所の判断 本案の争点1(情報公開法5条3号,4号及び6号該当性の審査方法及び立- 15 -証責任の所在等)について(1)一般に,情報公開法5条各号に定める不開示情報が記録されているとして行政文書の全部又はその一部について開示をしない旨の処分がされた場合に,その処分の取消し等を求める訴えにおいて,当該処分に係る行政文書の部分に記録されている情報が情報公開法5条各号に定めるものに該当するか否かについては,行政文書の開示の原則の例外に当たるか否かが問題となることや,それが当該処分の適法性を基礎付ける事項であること,行政機関側が当該行政文書を保有してその内容を把握していることなどからすれば,原則として,当該処分をした行政庁の所属する行政主体である被告において立証すべきものと解される。 (2)ところで こと,行政機関側が当該行政文書を保有してその内容を把握していることなどからすれば,原則として,当該処分をした行政庁の所属する行政主体である被告において立証すべきものと解される。 (2)ところで,情報公開法5条3号は「公にすることにより,国の安全が害,されるおそれ,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」を不開示情報として規定しているところ,この規定は,我が国の安全,他国等との信頼関係及び我が国の国際交渉上の利益を確保することは,国民全体の基本的利益を擁護するために政府に課された重要な責務であり,これらの利益等を十分に保護する必要があることから設けられた規定であると解される。 そして,このような同号の立法趣旨,同号が「おそれがある情報(同条」6号等参照)と規定せず「おそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」と規定していること,同条3号に掲げる国の安全等の確保に関する情報については,一般の行政運営に関する情報とは異なり,その性質上,開示又は不開示の判断に高度の政策的判断を伴うものであり,我が国の安全保障上又は対外関係上の将来予測等についての専門的,技術的判断をも要するものであるとの特殊性があることなどから,同号に基づく処分の適法性については,同号に規定する事由があるか否かについての行政機関の長の第一次的な判断を尊重し,その判断が合理性を持つものとして許容- 16 -される限度内のものであるかどうか,すなわち,開示をしない旨の決定が裁量権の行使としてされたことを前提に,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し,その判断が,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に うか,すなわち,開示をしない旨の決定が裁量権の行使としてされたことを前提に,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し,その判断が,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められるなど,当該行政機関の長に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるか否かを判断するという審査方法によるべきであると解される。 この際,一般に,国の安全や他国又は国際機関との交渉等に関する正確かつ詳細な情報は専ら行政機関の長の側に属しており,開示請求をする者及び裁判所は,処分に係る行政文書の部分に記録されている内容等を直接には把握することができないことからすれば,被告において,当該処分に係る行政文書の部分に記録されている情報に係る事柄,当該情報の性質,当該処分をするに当たって前提とした事実関係その他の当該処分当時の状況等の,一般的又は類型的にみて,それらに照らし当該情報が同号に掲げる国の安全等の確保に関するものに当たることを推認するに足りる事情を立証する必要があると解するべきである。 そして,その上で,既に述べたように,同号に基づき開示をしないことを争う原告が,当該処分につき行政機関の長の裁量権の範囲からの逸脱又はその濫用があったことを基礎付ける具体的事実について立証することを要するというべきである。 (3)また,情報公開法5条4号は「公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧,又は捜査,公訴の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」を不開示情報として規定しているところ,この規定は,公共の安全と秩序を維持することは,国民全体の基本的利益を擁護するために政府に課された重要な責務であり,これを十分に保護する必 当の理由がある情報」を不開示情報として規定しているところ,この規定は,公共の安全と秩序を維持することは,国民全体の基本的利益を擁護するために政府に課された重要な責務であり,これを十分に保護する必要があることから設けられた規定と解される。そして,このような同号の立法趣旨,同号が「おそれがある情報」と規定せず「おそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当- 17 -の理由がある情報」と規定していること,同号に掲げる公共の安全等の維持に関する情報については,一般の行政運営に関する情報とは異なり,その性質上,犯罪等に関する将来予測等についての専門的,技術的判断を要するものであり,開示又は不開示の判断に高度の政策的判断を伴う場合もあるとの特殊性があることなどから,同号に基づく処分の適法性については,同号に規定する事由があるか否かについての行政機関の長の第一次的な判断を尊重し,その判断が合理性を持つものとして許容される限度内のものであるかどうか,すなわち,開示をしない旨の決定が裁量権の行使としてされたことを前提に,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し,その判断が,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められるなど,当該行政機関の長に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるか否かを判断するという審査方法によるべきであると解される。 この際,(2)に述べたのと同様の観点から,被告において,当該処分に係る行政文書の部分に記録されている情報に係る事柄,当該情報の性質,当該処分をするに当たって前提とした事実関係その他の当該処分当時の状況等の,一般的又は類型的にみて,それらに照らし当該情報が同号に掲げる公共の安全等の維持に関するものに当たることを推認するに足りる事情 処分をするに当たって前提とした事実関係その他の当該処分当時の状況等の,一般的又は類型的にみて,それらに照らし当該情報が同号に掲げる公共の安全等の維持に関するものに当たることを推認するに足りる事情を立証する必要があると解するべきである。 そして,その上で,既に述べたように,当該情報を同号に基づき開示をしないことを争う原告が,当該処分につき行政機関の長の裁量権の範囲からの逸脱又はその濫用があったことを基礎付ける具体的事実について立証することを要するというべきである。 (4)以上に対し,不開示処分のうち当該処分に係る行政文書の部分に記録されている情報が情報公開法5条6号に定めるものに該当することを理由とするものについては,(1)に述べたとおり,被告において,当該情報が同号に定めるものに該当することを立証することを要すると解される。 - 18 - 本案の争点2(本件不開示処分に係る各情報の不開示情報該当性)について(1)本件文書1についてア証拠(乙7)及び弁論の全趣旨によれば,①本件文書1は,昭和31年2月21日付けで外務省アジア局第五課当時が作成した朝鮮問題対()「(朝鮮政策」と題する文書であり,日韓国交正常化交渉の概要や日韓国交)正常化交渉における日本政府の対応等に関する内部の検討状況等が記録されていること,②本件文書1の不開示部分は2か所であり,いずれも,日韓国交正常化交渉の日本政府と韓国政府との会談で協議された財産・請求権問題等に関する韓国政府との交渉過程において日本政府内部で検討された対応案が記録されていること,③上記不開示部分のうち37枚目の約2行分には「四日韓会談の開催と決裂」との見出しの下に,昭和28年,までにされた第3次までの日韓会談の経過において財産・請求権問題が重要な懸案となっていた旨 ,③上記不開示部分のうち37枚目の約2行分には「四日韓会談の開催と決裂」との見出しの下に,昭和28年,までにされた第3次までの日韓会談の経過において財産・請求権問題が重要な懸案となっていた旨の記述に関連して,在日韓国人に対する財産的保障について,当時,日本政府内部で検討された対応案の具体的内容が記録されていること,④上記不開示部分のうち53枚目の約1行分には「六,米国の斡旋とわが方の平和政策」との見出しの下に,米国が第3次をもって中断する状態にあった日韓会談の再開のために調整に当たった旨の記述に関連して,日米間で意見調整がなされた日韓会談の再開の手順に関して,財産・請求権問題について「請求権の相互放棄を提案する」とし,。 これに続いて,同提案に付加することを日本政府内部で検討していた提案の具体的内容が記録されていることが認められる。 以下,これを前提に,上記各不開示部分に記録された情報の情報公開法5条3号該当性について検討する。 イ第2の2(4)に記載したとおり,日朝国交正常化交渉においては,財産・請求権問題が協議の対象となるところ,これは一国又はその国民の財産や請求権等の帰すうを決定するものであるから,北朝鮮当局が,上記の問題に係る協議を自らに有利に進展させるため,上記の問題に係る日本政府- 19 -の見解及びその検討内容等に高い関心を有することは容易に認められるところである。また,我が国と北朝鮮との関係は,その歴史的経緯や法的地位等につき,我が国と韓国との関係に類似していることから,日朝国交正常化交渉において取り扱われる可能性のある問題においては,財産・請求権問題のほか,在日朝鮮人の法的地位の問題,文化財の問題等,本件各文書の主題である日韓国交正常化交渉において採り上げられた問題と類似する部分が多いことが容易に認めら のある問題においては,財産・請求権問題のほか,在日朝鮮人の法的地位の問題,文化財の問題等,本件各文書の主題である日韓国交正常化交渉において採り上げられた問題と類似する部分が多いことが容易に認められることなどに照らせば,財産・請求権問題につき我が国がいかなる検討をした上で日韓国交正常化交渉に臨んだかなどについては,北朝鮮当局において高い関心を有し,協議を自らに有利に進展させるために可能な限りの情報収集を図ることも容易に認めることができる。以上に述べたところに照らし,上記各不開示部分に記録されている情報については,一般的又は類型的にみて,日朝国交正常化交渉における我が国の利益の確保に関するものに当たることを推認することができる。 次に,本件文書1に係る各不開示処分につき,外務大臣に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるか否かを検討するに,財産・請求権問題は,その性質上,北朝鮮当局の関心が高い問題であることは容易に認められるところ,既に述べたところに照らすと,上記各不開示部分の開示により,日韓国交正常化交渉の実施や日韓基本条約等の締結から相当程度期間が経過していることを考慮しても,上記の問題に関する我が国の検討内容等を事前に相手側である北朝鮮当局に推測されるおそれがあり,これにより,上記の問題に関する交渉において,我が国が不利な立場に置かれる可能性が高いといえる。また,第2の2(4)に記載した事実によれば,日朝国交正常化交渉においては,財産・請求権問題のみが協議されるものではなく,ら致問題並びに核及びミサイル問題を含め,我が国と北朝鮮との間に存在する諸問題について包括的に解決することが外交方針として志向されているところ,交渉に当たって,これらの諸問題- 20 -についていかなる考え方に立ち,その解決のために北 我が国と北朝鮮との間に存在する諸問題について包括的に解決することが外交方針として志向されているところ,交渉に当たって,これらの諸問題- 20 -についていかなる考え方に立ち,その解決のために北朝鮮当局にいかなる提案をするかなどについては,これらの諸問題をめぐる国内外の諸事情を総合的に考慮した上で,高度に政策的な判断を求められるものである。したがって,これらの諸問題の一部であり,上記の考慮に当たり重要な要素となるべき財産・請求権問題に関する検討内容等を北朝鮮当局に事前に推測されることになれば,これらの諸問題に関する交渉全般においても,我が国が不利な立場に置かれる可能性が高いといえる。 以上によれば,外務大臣が,本件文書1の各不開示部分に記録された情報について,これらが公にされることにより日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると判断したことをもって,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。したがって,上記各不開示部分に記録された情報は,いずれも情報公開法5条3号に定めるものに該当するといえる。 ウ他方,原告らは,日本及び北朝鮮は,国交正常化交渉に当たって,日朝平壌宣言に拘束されるのであって,財産・請求権問題について基本的な合意のないまま国交正常化交渉が行われた日韓会談とは,全く状況を異にする旨主張するが,第2の2(4)に記載したとおり,日朝平壌宣言は,財産・請求権問題等の解決については,今後の日朝国交正常化交渉においてこれを具体的に協議するとしているのであるから,原告らの指摘する条項が存在することをもって,既に述べたところが左右されるものではない。 また,原告らは,日本側の財産・請求権問題についての戦略及び不開示とされた本件文書1の各部分に記録されている情報の内容はおおよそ推定が可能であるから って,既に述べたところが左右されるものではない。 また,原告らは,日本側の財産・請求権問題についての戦略及び不開示とされた本件文書1の各部分に記録されている情報の内容はおおよそ推定が可能であるから,不開示処分をすることはできない旨を主張するが,開示請求をした者その他の第三者が他の文書等との比較対照等をすることにより不開示部分に記録された情報の内容等を推測することと,担当部局により作成された外交政策に関する行政文書に記録された情報の内容が現実に明らかにされることとは,次元を異にするものであり,日朝国交正常化- 21 -交渉に与える影響も異なるものであるから,原告らの上記主張を採用することはできない。 (2)本件文書2についてア証拠(乙8)及び弁論の全趣旨によれば,①本件文書2は,昭和31年6月付けで外務省が作成した「日韓会談議題の問題点」と題する文書であり,日韓国交正常化交渉の概要や日韓国交正常化交渉における日本政府の対応等に関する日本政府内部の検討状況等が記録されていること,②本件文書2の不開示部分は8か所であり,それらについては次のとおりであることが認められる。 (ア)7枚目の不開示部分は約1行分であり,当該部分には「(一)基,本関係樹立問題」との見出しの下に,日韓国交正常化交渉における基本関係条約起草に関する韓国政府との交渉過程で昭和30年1月29日に開催された会談での日本側大使の発言内容のうち,交渉全体の基本的枠組みについて最終的に締結された日韓基本条約の解釈とは相いれないと解し得る見解の具体的な言及内容が記録されている。 (イ)15枚目の不開示部分は約1行分及び約5行分であり,当該部分には「(二)財産請求権問題」との見出しの下に,いずれも,財産・,請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において問題となった韓 (イ)15枚目の不開示部分は約1行分及び約5行分であり,当該部分には「(二)財産請求権問題」との見出しの下に,いずれも,財産・,請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において問題となった韓国政府の日本政府に対する請求金額の総額として考えられるところの試算等に関する日本政府内部の検討内容が記録されている。 (ウ)19枚目直後の不開示部分は約1ページであり当該部分には(イ),,と同じ見出しの下に,財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において問題となった日本政府の韓国政府に対する請求金額の試算等に関する日本政府内部の検討内容が記録されている。 (エ)22枚目の不開示部分は約4行分であり,当該部分には,(イ)及び(ウ)と同じ見出しの下に,財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において日本政府が主張していた基本方針の目的や評価につい- 22 -ての日本政府内部の見解が記録されている。 (オ)23枚目の不開示部分は約2行分であり,当該部分には,(イ)から(エ)までと同じ見出しの下に,財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において問題となった日本政府の対韓請求権の放棄に関し,昭和28年10月に開催された日韓会談の際にP1代表から発言のあった非公式の見解の内容が記録されている。 (カ)24枚目の不開示部分は約9行分,25枚目の不開示部分は約7行分であり,当該部分には,(イ)から(オ)までと同じ見出しの下に,いずれも,財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において,日本側大使が,(オ)に記載した日韓会談の後に開催された日韓非公式会談で提案した日本政府から韓国政府に対して返還する用意があるとした事項等に関し,当時の大蔵省と外務省との間の事務折衝において外務省が提議した試案についての外務省内部の検討内容が記録 れた日韓非公式会談で提案した日本政府から韓国政府に対して返還する用意があるとした事項等に関し,当時の大蔵省と外務省との間の事務折衝において外務省が提議した試案についての外務省内部の検討内容が記録されている。 (キ)68枚目の不開示部分は約2行分であり,当該部分には「附二,竹島問題」との見出しの下に,竹島問題に関して日本政府内部において検討した竹島の当時の状況についての認識ないし評価が記録されている。 イ以上を前提に,アに述べた各不開示部分に記録された情報の情報公開法5条3号該当性について検討する。 (ア)ア(ア)の不開示部分には,日韓国交正常化交渉の中間の段階において,交渉全体の基本的枠組みについて,最終的に締結された日韓基本条約の解釈と相いれないと解し得る見解が記録されているところ(1),イに述べたように,日朝国交正常化交渉においても,日韓国交正常化交渉において協議された問題と類似する問題が協議される可能性が高いことなどから,こうした情報が開示されることにより,日朝国交正常化交渉において,我が国が不利な立場に置かれる可能性があるとい- 23 -え,このようなことに照らし,上記不開示部分に記録されている情報については,一般的又は類型的にみて,日朝国交正常化交渉における我が国の利益の確保に関するものに当たると推認することができる。 次に,上記不開示処分につき,外務大臣に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したと認められるか否かを検討するに(1),,イに述べたように,日朝国交正常化交渉においては,財産・請求権問題のみが協議されるものではなく,我が国と北朝鮮との間に存在する諸問題について包括的に解決することが外交方針として志向されているところ,交渉に当たっていかなる基本的枠組み等を採用するかなどについては, みが協議されるものではなく,我が国と北朝鮮との間に存在する諸問題について包括的に解決することが外交方針として志向されているところ,交渉に当たっていかなる基本的枠組み等を採用するかなどについては,上記諸問題をめぐる国内外の諸事情を総合的に考慮した上で,高度に政策的な判断を求められるものである。そして,ア(ア)の不開示部分に記録された情報については,これが開示されることにより上記の基本的枠組み等の選択の範囲を推測することができるものであり,そのようなことになれば,交渉全般において我が国が不利な立場に置かれる可能性が高いといえる。 以上によれば,外務大臣が,上記不開示部分に記録された情報について,これが公にされることにより日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると判断したことをもって,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。したがって,上記不開示部分に記録された情報は,情報公開法5条3号に定めるものに該当するといえる。 他方,原告らは,上記不開示部分に記録された情報に係る被告の主張が抽象的であり,理解することができるような内容となっていない旨主張する。しかし,当該不開示部分に記録されたところにつき既に述べたところに照らせば,当該不開示部分に記録された情報が情報公開法5条3号に掲げる国の安全等の確保に関するものに当たることを推認するに足りる事情については主張・立証がされているといえ,か- 24 -えって,この範囲を超えて,当該不開示部分に記録された情報の内容について具体的に主張することは,これを実質的に開示することに等しいものであり,これにより,日朝国交正常化交渉において我が国が不利な立場に置かれる可能性が生じることを否定できない。したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 (イ)ア( ることに等しいものであり,これにより,日朝国交正常化交渉において我が国が不利な立場に置かれる可能性が生じることを否定できない。したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 (イ)ア(イ)ないし(カ)の各不開示部分には,いずれも財産・請求権問題に関する日本政府内部の検討内容ないし非公式の見解が記録されているところ,(1)イに述べたように,上記各不開示部分に記録されている情報については,一般的又は類型的にみて,日朝国交正常化交渉における我が国の利益の確保に関するものに当たると推認することができる。そして,(1)イに述べたのと同様の理由で,外務大臣が,上記各不開示部分に記録された情報について,これらが公にされることにより日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると判断したことをもって,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。したがって,上記各不開示部分に記録された情,。 報はいずれも情報公開法5条3号に定めるものに該当するといえる当該情報の内容等を推測することができることをもって処分の違法をいう原告らの主張を採用することができないことは,(1)ウに述べたのと同様である。 (ウ)ア(キ)の不開示部分には,竹島問題に関する日本政府内部の認識ないし評価が記録されているところ,第2の2(3)に記載したとおり,竹島の領有権の帰属をめぐっては日本と韓国との間で紛争があり,現在においてもその紛争が継続しているのであるから,韓国政府が上記の問題に係る自国の立場をより有利にするために,上記の問題に係る日本政府の見解及びその検討内容等に高い関心を有し,可能な限りの情報収集を図ることは容易に認められるところである。以上に述べたところに照らし,上記不開示部分に記録されている情報については,- 25 -一般 見解及びその検討内容等に高い関心を有し,可能な限りの情報収集を図ることは容易に認められるところである。以上に述べたところに照らし,上記不開示部分に記録されている情報については,- 25 -一般的又は類型的にみて,韓国との交渉における我が国の利益の確保に関するものに当たることを推認することができる。 次に,上記不開示処分につき,外務大臣に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるか否かを検討するに,一般に,領有権の帰属をめぐる紛争に係る外交交渉については,高度な政策的判断が求められるものであり,その上で,いかなる情報を,どのような時期,順序,方法等で開示するか否かにより,上記交渉が我が国により有利に進展するか否かが影響されるがい然性が高いと解される。そこで,政府内部でいかなる情報収集を行い,又はその情報に基づいてどのような検討をしたか等の情報を開示することについても,外務大臣の広範な裁量にゆだねられているものと考えられる。これを本件についていえば,ア(キ)の不開示部分に記録された情報は,竹島問題に関する日本政府の見解及び検討内容であり,これが公表されていることをうかがわせる証拠等は見当たらないところ,これが公にされれば,韓国政府においてそれを利用して,自国により有利な主張をし,又はその主張に沿った広報活動等を行うなどして,これにより,我が国が交渉上不利益を被るおそれが高いということができる。 以上によれば,外務大臣が,上記不開示部分に記録された情報について,これが公にされることにより韓国との交渉上不利益を被るおそれがあると判断したことをもって,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。したがって,上記不開示部分に記録された情報は,情報公開法5条3号に定めるものに該当するといえる。上記の ると判断したことをもって,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。したがって,上記不開示部分に記録された情報は,情報公開法5条3号に定めるものに該当するといえる。上記の情報の内容等の推定又は推測をすることができることをもって処分の違法をいう原告らの主張を採用することができないことは,(1)ウに述べたのと同様である。 (3)本件文書3についてア証拠(乙9)及び弁論の全趣旨によれば,①本件文書3は,昭和33年- 26 -1月20日付けで外務省アジア局第一課(当時)が作成した「日韓会談における双方の主張及び問題点」と題する文書及びその附属資料であり,日韓国交正常化交渉の概要や日韓国交正常化交渉における日本政府の対応等に関する内部の検討状況等が記録されていること,②本件文書3の不開示部分は4か所であり,いずれも,財産・請求権問題に関して記録されており,それらについては次のとおりであることが認められる。 (ア)13枚目の不開示部分は,文書部分中の「二財産請求権問題」との見出しの下の約2行分であり,76枚目の不開示部分は,附属資料部分中の「わが方の対韓請求権についての大蔵省試算」と題する資料のうちの7行分であり,当該部分には,いずれも,日本政府の韓国政府に対する請求金額について個別具体的項目に係る試算等に関する内容が記録されている。 (イ)16枚目の不開示部分は,文書部分中の約3行分であり,当該部分には「二財産請求権問題」との見出しの下に,財産・請求権問題,に関する韓国政府との交渉過程において日本政府が主張していた基本方針の目的や評価についての日本政府内部の見解が記録されている。 (ウ)82枚目の不開示部分は,附属資料部分中の約2行分であり,当該部分には「第二次会談における韓国側の請求項目」と題する資 いた基本方針の目的や評価についての日本政府内部の見解が記録されている。 (ウ)82枚目の不開示部分は,附属資料部分中の約2行分であり,当該部分には「第二次会談における韓国側の請求項目」と題する資料の,一部として,財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において問題となった韓国政府の日本政府に対する請求について,日本政府が正式提示を留保した具体的な請求項目に係る請求内容及びその試算額等が記録されている。 イ以上を前提に,アに述べた各不開示部分に記録された情報の情報公開法5条3号該当性について検討するに,上記各不開示部分には,いずれも財産・請求権問題に関する日本政府内部の検討内容等が記録されているところ,(1)イに述べたように,上記各不開示部分に記録されている情報については,一般的又は類型的にみて,日朝国交正常化交渉における我が国の- 27 -利益の確保に関するものに当たると推認することができる。そして,(1)イに述べたのと同様の理由で,外務大臣が,上記各不開示部分に記録された情報について,これらが公にされることにより日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると判断したことをもって,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。したがって,上記各不開示部分に記録された情報は,いずれも情報公開法5条3号に定めるものに該当するといえる。日朝平壌宣言に原告ら指摘の条項が存在することをもって上記が左右されるものではなく,当該情報の内容等を推測することができることをもって処分の違法をいう原告らの主張も採用することができないことは,(1)ウに述べたのと同様である。 ウなお,原告らは,ア(ウ)の不開示部分について,韓国政府が開示した文書によって既にその不開示とされた情報自体が開示されているから,これが開示さ ができないことは,(1)ウに述べたのと同様である。 ウなお,原告らは,ア(ウ)の不開示部分について,韓国政府が開示した文書によって既にその不開示とされた情報自体が開示されているから,これが開示されたとしても北朝鮮当局にとって有利となる情報を提供することにはならない旨主張する。しかし,証拠(乙9)及び弁論の全趣旨によれば,当該不開示部分は,我が国政府の職員が作成した内部メモの一部と認められるところ,韓国政府が開示した文書に記録された情報等から上記不開示部分に記録された情報の内容等を推測することと,担当部局により作成された外交政策に関する行政文書に記録された情報の内容が現実に明らかにされることとは,次元を異にするものであり,日朝国交正常化交渉に与える影響も異なるものであるから,原告らの上記主張を採用することはできない。 (4)本件文書4についてア証拠(乙10)及び弁論の全趣旨によれば,①本件文書4は,昭和33年10月16日付けで外務省アジア局北東アジア課当時が作成した日()「韓会談の問題点」と題する文書であり,日韓国交正常化交渉の概要や日韓国交正常化交渉における日本政府の対応等に関する内部の検討状況等が記録されていること,②本件文書4の不開示部分は,4枚目の約7行分及び- 28 -4枚目直後の1ページ分の一連の部分であり,当該部分には「一韓国,」,,の対日財産請求権についてとの見出しの下に財産・請求権問題に関し韓国政府が正式提示を留保している対日請求権について,日本政府内部でその項目の金額を具体的に試算した結果及びその検討内容等が記録されていることが認められる。 イ以上を前提に,アに述べた不開示部分に記録された情報の情報公開法5条3号該当性について検討するに,上記不開示部分には,財産・請求権問題に関する日本政 討内容等が記録されていることが認められる。 イ以上を前提に,アに述べた不開示部分に記録された情報の情報公開法5条3号該当性について検討するに,上記不開示部分には,財産・請求権問題に関する日本政府内部の検討内容等が記録されているところ,(1)イに述べたように,上記不開示部分に記録されている情報については,一般的又は類型的にみて,日朝国交正常化交渉における我が国の利益の確保に関するものに当たると推認することができる。そして,(1)イに述べたのと同様の理由で,外務大臣が,上記不開示部分に記録された情報について,これが公にされることにより日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると判断したことをもって,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。したがって,上記不開示部分に記録された情報は,情報公開法5条3号に定めるものに該当するといえる。日朝平壌宣言に原告ら指摘の条項が存在することをもって上記が左右されるものではなく,当該情報の内容等を推測することができることをもって処分の違法をいう原告らの主張も採用することができないことは,(1)ウに述べたのと同様である。 (5)本件文書5についてア証拠(乙11)及び弁論の全趣旨によれば,①本件文書5は,昭和35年4月5日付けで外務省アジア局北東アジア課(当時)が作成した「日韓会談の経緯及び問題点」と題する文書であり,日韓国交正常化交渉の概要や日韓国交正常化交渉における日本政府の対応等に関する内部の検討状況等が記録されていること,②本件文書5の不開示部分は2か所であり,いずれも,財産・請求権問題に関して記録されていること,③上記不開示部- 29 -分のうち21枚目の約2行分には「第3財産請求権問題」との見出し,の下に,日本政府の韓国政府に対する請求金額につい ずれも,財産・請求権問題に関して記録されていること,③上記不開示部- 29 -分のうち21枚目の約2行分には「第3財産請求権問題」との見出し,の下に,日本政府の韓国政府に対する請求金額についての試算に関する内,,,容が記録されており25枚目の約5行分には上記と同じ見出しの下に財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において日本政府が主張していた基本方針の目的や評価についての日本政府内部の見解が記録されていることが認められる。 イ以上を前提に,アに述べた各不開示部分に記録された情報の情報公開法5条3号該当性について検討するに,上記各不開示部分には,いずれも財産・請求権問題に関する日本政府内部の検討内容が記録されているところ,(1)イに述べたように,上記各不開示部分に記録されている情報については,一般的又は類型的にみて,日朝国交正常化交渉における我が国の利益の確保に関するものに当たると推認することができる。そして,(1)イに述べたのと同様の理由で,外務大臣が,上記各不開示部分に記録された情報について,これらが公にされることにより日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると判断したことをもって,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。したがって,上記各不開示部分に記録された情報は,いずれも情報公開法5条3号に定めるものに該当するといえる。日朝平壌宣言に原告ら指摘の条項が存在することをもって上記が左右されるものではなく,当該情報の内容等を推測することができることをもって処分の違法をいう原告らの主張も採用することができないことは,(1)ウに述べたのと同様である。 (6)本件文書6について証拠(乙12)及び弁論の全趣旨によれば,①本件文書6は,昭和36年9月4日付けで外務省アジア局北東アジ も採用することができないことは,(1)ウに述べたのと同様である。 (6)本件文書6について証拠(乙12)及び弁論の全趣旨によれば,①本件文書6は,昭和36年9月4日付けで外務省アジア局北東アジア課(当時)が作成した「日韓会談の経緯」と題する文書であり,日韓国交正常化交渉の概要や日韓国交正常化交渉における日本政府の対応等に関する内部の検討状況等が記録されていること,②本件文書6の不開示部分は60枚目の約4行分であり,当該部分に- 30 -は「第5財産請求権問題」との見出しの下に,本件文書5の25枚目の,不開示部分と同一内容が記録されていることが認められる。そして,(5)イに述べたとおり,上記不開示部分に記録された情報は,情報公開法5条3号に定めるものに該当するといえる。 (7)本件文書7についてア証拠(乙13,乙28)及び弁論の全趣旨によれば,①本件文書7は,昭和36年4月21日付けで外務省アジア局北東アジア課(当時)が作成「」した第5次日韓全面会談予備会談の一般請求権小委員会の第11回会合と題する文書であり,日韓国交正常化交渉の過程で同日に開催された第5次日韓全面会談予備会談の一般請求権小委員会の第11回会合における財産・請求権問題,特に,昭和20年(1945年)8月9日現在韓国に本店のあった法人の在日財産の返還請求に関する日本政府側の出席者であるP2主査代理と韓国政府側の出席者であるP3主査代理との間の意見交換,,,が記録されていること②本件文書7の不開示部分は13枚目の2行分13枚目直後の1ページ分及び14枚目の約4行分の一連の部分であり,当該部分には「2議事要旨」との見出しの下に,朝鮮半島地域におけ,る日本法人の財産の取扱いや処置の仕方についての考え方等に関し,日本政府側の出席者からの質問に対する 約4行分の一連の部分であり,当該部分には「2議事要旨」との見出しの下に,朝鮮半島地域におけ,る日本法人の財産の取扱いや処置の仕方についての考え方等に関し,日本政府側の出席者からの質問に対する韓国政府側の出席者による基本的立場の具体的説明等が記録されていることが認められる。 イ以上を前提に,アに述べた不開示部分に記録された情報の情報公開法5条3号該当性について検討するに,上記不開示部分には,財産・請求権問題に関する日本政府と韓国政府との協議の際の韓国政府側の出席者による説明内容が記録されているところ,(1)イに述べた観点,殊に,上記の問題についての韓国と北朝鮮との法的地位等の類似性に加え,上記の協議におけるやり取りの一部である当該部分にどのような記録がされているかにより,財産・請求権問題について日本政府がいかなる関心を有しているかを推測することができる可能性があるといえることにも照らせば,上記不- 31 -開示部分に記録されている情報については,一般的又は類型的にみて,日朝国交正常化交渉における我が国の利益の確保に関するものに当たると推認することができる。そして,(1)イに述べた観点に加え,財産・請求権問題について日本政府がいかなる関心を有しているかを事前に相手側である北朝鮮当局に推測されることになれば,当該交渉において,我が国が不利な立場に置かれる可能性が高いといえることを併せ考慮すると,外務大臣が,上記不開示部分に記録された情報について,これが公にされることにより日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると判断したことをもって,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。したがって,上記不開示部分に記録された情報は,情報公開法5条3号に定めるものに該当するといえる。 ウなお,証拠(甲18の もって,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。したがって,上記不開示部分に記録された情報は,情報公開法5条3号に定めるものに該当するといえる。 ウなお,証拠(甲18の1・2,乙27ないし乙29)によれば,上記会合に関する韓国側の議事録が開示されている事実が認められるものの(3),ウに述べたとおり,韓国政府が開示した文書に記録された情報等から上記不開示部分に記録された情報の内容等を推測することと,担当部局により作成された外交政策に関する行政文書に記録された情報の内容が現実に明らかにされることとは,次元を異にするものであり,日朝国交正常化交渉に与える影響も異なるものであることに加え,会合等の議事録を作成するに当たっては,作成者の作成目的や関心事項等を反映した形式により,それらに沿った内容が記録されることが通常であり,翻っていえば,いかなる形式でどのような内容が記録されているかが明らかになることにより,当該作成者の関心事項等を推測することができる場合もあることなどからすると,上記韓国側の議事録が開示されていることをもって,上記不開示部分を公にしても日朝国交正常化交渉において我が国が不利益を被ること,,がないとはいえず上記の事実をもって処分の違法をいう原告らの主張は採用することができない。 (8)本件文書8について- 32 -ア証拠(乙14)及び弁論の全趣旨によれば,①本件文書8は,昭和36年4月28日付けで外務省アジア局北東アジア課(当時)が作成した「第5次日韓全面会談予備会談の一般請求権小委員会の第12回会合」と題する文書であり,日韓国交正常化交渉の過程で同日に開催された第5次日韓全面会談予備会談の一般請求権小委員会第12回会合における財産・請求権問題,特に,韓国法人又は韓国自然人の日本国又は 回会合」と題する文書であり,日韓国交正常化交渉の過程で同日に開催された第5次日韓全面会談予備会談の一般請求権小委員会第12回会合における財産・請求権問題,特に,韓国法人又は韓国自然人の日本国又は日本国民に対する日本国債,公債,日本銀行券,被徴用韓人の未収金,補償金及びその他の請求権の弁済の問題について日本政府側の出席者であるP2主査代理と韓国政府側の出席者であるP3主査代理との間の意見交換が記録されていること,②本件文書8の不開示部分は,5枚目の11行分及び5枚目直後の2ページ分の一連の部分であり,当該部分には「2議事要旨」との見出,しの下の「(3)」の項として,朝鮮半島地域等における韓国法人及び自然人並びにその財産の法的範囲に関して具体的にいかなる考え方によりどのように画定していくのかに係る日本政府側の出席者と韓国政府側の出席者との間の意見交換の内容等が記録されていることが認められる。 イ以上を前提に,アに述べた不開示部分に記録された情報の情報公開法5条3号該当性について検討するに,上記不開示部分には,財産・請求権問題に関する日本政府側の出席者と韓国政府側の出席者との意見交換の内容等が記録されているところ,(7)イと同様に,上記不開示部分に記録されている情報については,一般的又は類型的にみて,日朝国交正常化交渉における我が国の利益の確保に関するものに当たると推認することができる。そして,(7)イに述べたのと同様の理由で,外務大臣が,上記不開示部分に記録された情報について,これが公にされることにより日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると判断したことをもって,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。したがって,上記不開示部分に記録された情報は,情報公開法5条3号に定めるものに該当すると 被るおそれがあると判断したことをもって,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。したがって,上記不開示部分に記録された情報は,情報公開法5条3号に定めるものに該当するといえる。 - 33 -ウなお,証拠(甲19の1・2)によれば,上記会合に関する韓国側の議事録が開示されている事実が認められるものの,このことをもって上記が左右されるものではないことは,(7)ウに述べたのと同様である。 (9)本件文書9についてア証拠(乙15)及び弁論の全趣旨によれば,①本件文書9は,昭和35年12月13日付けでP4外務省外務参事官(当時)が作成した「一般請求権問題に関する件」と題する文書,同月27日付けで外務省アジア局北東アジア課(当時)が作成した「請求権問題に関する非公式会談概要」と,「」題する文書昭和36年3月3日ころ作成された一般請求権非公式会談と題する文書,同月6日ころ作成された「文参事官との打合せ(P4参事官記」と題する文書及び同月7日ころ作成された「一般請求権委員会打)合せ(非公式」と題する文書で構成されており,いずれも,日韓国交正)常化交渉の過程でそれぞれのころに非公式に開催された一般請求権小委員会の会談等の内容が記録されていること,②本件文書9の不開示部分は2か所であり,それらのうち2枚目の約3行分には,昭和35年12月13日に開催された非公式の昼食会における財産・請求権問題等に関する韓国政府側の出席者の発言内容が記録されており,10枚目の約4行分には,同月21日に開催された非公式の会談における朝鮮半島情勢と財産・請求権問題に関する日本政府側の出席者の発言内容が記録されていることが認められる。 イ以上を前提に,アに述べた各不開示部分に記録された情報の情報公開法5条3号該当性について検討する 島情勢と財産・請求権問題に関する日本政府側の出席者の発言内容が記録されていることが認められる。 イ以上を前提に,アに述べた各不開示部分に記録された情報の情報公開法5条3号該当性について検討するに,上記各不開示部分には,いずれも財産・請求権問題等に関する日本政府関係者及び韓国政府関係者による非公式の発言内容が記録されているところ,(7)イと同様に,上記各不開示部分に記録されている情報については,一般的又は類型的にみて,日朝国交正常化交渉における我が国の利益の確保に関するものに当たると推認することができる。そして,(7)イに述べたのと同様の理由で,外務大臣が,- 34 -上記各不開示部分に記録された情報について,これらが公にされることにより日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると判断したことをもって,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。したがって,上記各不開示部分に記録された情報は,いずれも情報公開法5条3号に定めるものに該当するといえる。韓国政府が開示した文書等により上記の情報の内容等の推定又は推測をすることができることをもって処分の違法をいう原告らの主張を採用することができないことは,(1)ウ及び(3)ウに述べたのと同様である。 (10)本件文書10についてア証拠(乙16)及び弁論の全趣旨によれば,①本件文書10は,昭和40年4月16日付けで外務省アジア局北東アジア課(当時)が作成した「第7次日韓全面会談在日韓国人の法的地位に関する委員会第24回会合」と題する文書及び同月21日付けで同課が作成した「第7次日韓全面会談在日韓国人の法的地位に関する委員会第25回会合」と題する文書で構成されており,いずれも,日韓国交正常化交渉の過程で同月16日に開催された第7次日韓全面会談在日韓国人の 作成した「第7次日韓全面会談在日韓国人の法的地位に関する委員会第25回会合」と題する文書で構成されており,いずれも,日韓国交正常化交渉の過程で同月16日に開催された第7次日韓全面会談在日韓国人の法的地位に関する委員会第24回会合及び同月21日に開催された同じく第25回会合における会談内容が記録されていること,②本件文書10の不開示部分は1,,「」0枚目の約2行分であり当該部分には後者の会合の議事概要中の3の項の一部として,在日韓国人学校卒業生の進学資格に係る日本政府側の出席者の発言内容が記録されていることが認められる。 イ以上を前提に,アに述べた不開示部分に記録された情報の情報公開法5条3号該当性について検討するに,上記不開示部分には,日韓国交正常化交渉における在日韓国人学校卒業生の進学資格に係る日本政府側の出席者の発言内容が記録されているところ,第2の2(4)に記載した事実及び弁論の全趣旨によれば,日朝国交正常化交渉においては,在日朝鮮人の進学資格についても採り上げられる可能性がある上に,在日朝鮮人- 35 -の進学資格の取扱いは在日朝鮮人の法的地位に関する問題の中でも重要性を有するものの一つであるということができるから,北朝鮮当局が,上記の問題に係る協議を自らに有利に進展させるため,当該問題に係る日本政府関係者の見解ないしその発言内容等に高い関心を有することは容易に認められるところである。また,(1)イに述べたとおり,日朝国交正常化交渉において取り扱われる可能性がある問題においては,日韓国交正常化交渉において採り上げられた問題と類似する部分が多いことが容易に認められ,上記の問題について日本政府関係者が日韓国交正常化交渉においていかなる発言をしていたかなどについては,北朝鮮当局において高い関心を有し,協議を自らに有 問題と類似する部分が多いことが容易に認められ,上記の問題について日本政府関係者が日韓国交正常化交渉においていかなる発言をしていたかなどについては,北朝鮮当局において高い関心を有し,協議を自らに有利に進展させるために可能な限りの情報収集を図ることも容易に認めることができるところである。以上に述べたところに照らし,上記不開示部分に記録されている情報については,一般的又は類型的にみて,日朝国交正常化交渉における我が国の利益の確保に関するものに当たることを推認することができる。 次に,本件文書10に係る不開示処分につき,外務大臣に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるか否かを検討するに,在日朝鮮人の進学資格に関する問題は,その性質上,北朝鮮当局の関心が高い問題であることは容易に認められるところ,上記不開示部分の開示により,日韓国交正常化交渉の実施や日韓基本条約等の締結から相当程度期間が経過していることを考慮しても,上記の問題に関する我が国の検討内容等を事前に相手側である北朝鮮当局に推測されるおそれがあり,これにより,上記の問題に関する交渉において,我が国が不利な立場に置かれる可能性が高いといえる。また,(1)イに述べたとおり,日朝国交正常化交渉においては,我が国と北朝鮮との間に存在する諸問題について包括的に解決することが外交方針として志向されているところ,これらの諸問題の一部であり,上記の解決につき考慮するに当たり重要な要素となるべき在日朝鮮人の進学資格の問題に関する検討内- 36 -容等を事前に北朝鮮当局に推測されることになれば,これら諸問題に関する交渉全般においても,我が国が不利な立場に置かれる可能性が高いといえる。 以上によれば,外務大臣が,本件文書10の不開示部分に記録された情報について,これが公にされ とになれば,これら諸問題に関する交渉全般においても,我が国が不利な立場に置かれる可能性が高いといえる。 以上によれば,外務大臣が,本件文書10の不開示部分に記録された情報について,これが公にされることにより日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると判断することをもって,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。したがって,上記不開示部分に記録された情報は,情報公開法5条3号に定めるものに該当するといえるから,上記不開示部分に記録された情報が同条6号に定めるものに該当するか否かを判断するまでもなく,本件文書10に係る不開示処分が取り消されるべきものであるとはいえない(なお,被告は,本訴において,上記の情報が同条3号に定めるものに該当することにつき北朝鮮当局との交渉に関する事情に係る主張を追加したものであるが,本件の審理の経過にも照らし,このことは上記の判断を左右するものではないと考えられる。 。)ウ(ア)なお,証拠(甲21の1・2)によれば,上記会合に関する韓国側の議事録が開示されている事実が認められるものの,このことをもって上記が左右されるものではないことは,(7)ウに述べたのと同様である。 (イ)また,原告らは,上記不開示部分に記録されている情報の内容が韓国内の正規学校卒業者としての資格に関する示唆であったとすれば,同様に北朝鮮内の正規学校卒業者としての資格は北朝鮮当局が決定することができる事項であって,日本の事務的協力の示唆は,両国間の外交交渉においてさほどの重要性を持つものではないことや,朝鮮学校卒業者の大学進学資格については,韓国学校と区別なく大学の個別資格認定が可能なものとなっており,外交交渉による解決の必要性は大きく減少していることなどを挙げて,上記不開示- 37 -部分 朝鮮学校卒業者の大学進学資格については,韓国学校と区別なく大学の個別資格認定が可能なものとなっており,外交交渉による解決の必要性は大きく減少していることなどを挙げて,上記不開示- 37 -部分を開示したとしても日朝国交正常化交渉における不利益をもたらすものではないと主張する。 しかし,原告らが主張するような上記事情を考慮しても,日朝国交正常化交渉において在日朝鮮人の進学資格の問題が協議の対象となる可能性は否定されず,日韓国交正常化交渉における我が国の検討内容等との対比等により,この問題に関する我が国の検討内容等を事前に相手側である北朝鮮当局に推測されることの不利益を否定することはできない。したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 (11)本件文書11についてア証拠(乙17)及び弁論の全趣旨によれば,①本件文書11は,外務省が作成した「日韓国交正常化交渉の記録総説五」と題する文書であり,日韓国交正常化交渉の過程における第4次日韓会談の概要及び上記交渉における日本政府の対応等について日本政府内部で検討した試案の内容等が記録されていること,②本件文書11の不開示部分は3か所であり,いずれも,日韓会談が不調に終わった場合に日本政府が採るべき措置について日本政府内部で検討した内容が記録されていること,③上記の不開示部分のうち181枚目の上から3行分は「Ⅴ第4次日韓,会談」中の「5第2次相互釈放の実施と第4次会談(後期)の再開」中の「(3)準備された「日韓会談不調の際の措置」案」中の「日韓会談が不調に終った場合にとるべき措置(試案」と題する部分の一部とし)て,日韓会談が不調に終わった場合に日本政府が採るべき措置の基本方針に関係して,実際に実施される段階においても外交交渉上いわゆる水面下で実施される方策に関し き措置(試案」と題する部分の一部とし)て,日韓会談が不調に終わった場合に日本政府が採るべき措置の基本方針に関係して,実際に実施される段階においても外交交渉上いわゆる水面下で実施される方策に関して記録されていること,④上記の不開示部分のうち181枚目の上から5行目から約4行分には,③と同じ部分の一部として,日韓会談が不調に終わった場合に日本政府が採るべき具体的措置について具体的な事項を項目1とし,以下(イ)(ロ)(ハ)と3項目が記- 38 -録されていること,⑤上記の不開示部分のうち182枚目の約9行分及,,び183枚目の約2行分の一連の部分には③と同じ部分の一部として日韓会談が不調に終わった場合に日本政府が採るべき措置としての海上警備強化及び漁船保護についての具体的措置に関して記録されていることが認められる。 イ以上を前提に,アに述べた各不開示部分に記録された情報の情報公開法5条3号該当性について検討するに,本件文書11の各不開示部分には,いずれも日韓会談が不調に終わった場合に日本政府が採るべき措置について日本政府内部において検討した試案の具体的内容が記録されているところ,北朝鮮当局において,日朝国交正常化交渉を自らに有利に進展させる観点から,仮に交渉が不調に終わった場合に日本政府がいかなる対応を採ることを検討しているかについて高い関心を有することは容易に認められるところである。このようなことに照らし,上記各不開示部分に記録されている情報については,一般的又は類型的にみて,日朝国交正常化交渉における我が国の利益の確保に関するものに当たることを推認することができる。 次に,本件文書11に係る各不開示処分につき,外務大臣に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるか否かを検討するに,(1)イに述べたよ のに当たることを推認することができる。 次に,本件文書11に係る各不開示処分につき,外務大臣に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるか否かを検討するに,(1)イに述べたように,日朝国交正常化交渉において取り扱われる可能性のある問題においては,日韓国交正常化交渉において採り上げられた問題と類似する部分が多いことが容易に認められ,これらの問題についての双方の意見が対立する箇所や経過等も類似する可能性が相当程度あるものと認められる。そして,韓国と北朝鮮とはいずれも朝鮮半島にあり近隣国との地勢的条件等を含めて国際関係上で共通する要素が多いことにも照らすと,日韓国交正常化交渉の実施や日韓基本条約等の締結から相当程度期間が経過していることを考慮しても,日韓会談が不調に終わった場合に日本政府が採るべき措置としてどのような検討を- 39 -していたかについて北朝鮮当局の知るところとなれば,日朝国交正常化交渉においても,北朝鮮当局がそれを参考にして交渉に臨み,これにより我が国が不利な立場に置かれる可能性が高いといえる。 以上によれば,外務大臣が,本件文書11の各不開示部分に記録された情報について,これらが公にされることにより日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると判断したことをもって,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。したがって,上記各不開示部分に記録された情報は,いずれも情報公開法5条3号に定めるものに該当するといえ,これらが同条6号に定めるものに該当するか否かを判断するまでもなく,本件文書11に係る各不開示処分が取り消されるべきものとはいえない。 ウなお,原告らは,上記各不開示部分に記録された情報が,被告が主張するような問題点を有するのかを判断するにはその主張が抽象的にすぎ 件文書11に係る各不開示処分が取り消されるべきものとはいえない。 ウなお,原告らは,上記各不開示部分に記録された情報が,被告が主張するような問題点を有するのかを判断するにはその主張が抽象的にすぎる旨を主張するが,アに述べたとおり,上記各不開示部分には,日韓会談が不調に終わった場合に日本政府が採るべき措置について日本政府内部で検討した内容について記録されているものであり,当該各不開示部分に記録された情報が情報公開法5条3号に掲げる国の安全等の確保に関するものに当たることを推認するに足りる事情については主張・立証がされているといえ,かえって,その内容を明らかにすること自体により日朝国交正常化交渉において我が国が不利な立場に置かれる可能性が高いというべきであるから,原告らの上記主張を採用することはできない。 また,原告らは,被告の各不開示部分に関する主張について,当該不開示部分が他の開示されている内部検討事項と比較してなぜ被告の主張するような問題点を持つのかについて明らかにされていないとして,被告において,不開示部分が一般の内部検討事項や他の開示部分と比較してどのような性質等を持った情報であるのかを主張するべきである旨を- 40 -主張する。しかし,上記各不開示部分に記録されたところにつき既に述べたところに照らせば,原告らの上記主張は,被告に対し当該各不開示部分に記録された情報の内容を実質的に開示することを求めることに等しいものであり,これにより,日朝国交正常化交渉において我が国が不利な立場に置かれる可能性が生じることを否定できない。したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。 (12)本件文書12についてア証拠(乙18)及び弁論の全趣旨によれば,①本件文書12は,外務省が作成した「日韓国交正常化交渉の記録総説六」 って,原告らの上記主張を採用することはできない。 (12)本件文書12についてア証拠(乙18)及び弁論の全趣旨によれば,①本件文書12は,外務省が作成した「日韓国交正常化交渉の記録総説六」と題する文書であり,日韓国交正常化交渉の過程における在日朝鮮人の北朝鮮帰還問題と帰還協定の締結についての日本政府の対応等について日本政府内部で検討した内容等が記録されていること,②本件文書12の不開示部分は2か所であり,それらのうち22枚目の約3行分には「Ⅵ在日朝鮮人,の北朝鮮帰還問題と帰還協定の締結」中の「1朝鮮動乱休戦後」中の「(2)P5事件」との見出しの下に,昭和28年当時に民戦中央議長であったP5に係る出入国許可問題に関して,日本政府内部において,同人の行動をどのように評価していたかについての検討内容等が記録されており,48枚目の約3行分には「Ⅵ在日朝鮮人の北朝鮮帰還問題,と帰還協定の締結」中の「2北朝鮮残留日本人の引揚と在日朝鮮人の帰還」中の「(1)日本・北朝鮮赤十字会談」との見出しの下に,在日朝鮮人の北朝鮮帰還について,外務省アジア局第五課(当時)が作成した「北鮮への帰還希望者の送還問題処理方針」において在日朝鮮人を北朝鮮に帰還させることが大局的に有利であるという結論に達した具体的理由や価値判断につき,当時の日本政府内部で検討された意見等が記録されていることが認められる。 イ以上を前提に,アに述べた各不開示部分に記録された情報の情報公開法5条各号該当性について検討する。 - 41 -(ア)まず,本件文書12の22枚目の不開示部分には,特定の人物の出入国を許可するか否かとの問題に関して,日本政府が当該人物の出入国に関する行動をどのように評価していたのかについての検討内容等が記録されているところ,外国人等の出 目の不開示部分には,特定の人物の出入国を許可するか否かとの問題に関して,日本政府が当該人物の出入国に関する行動をどのように評価していたのかについての検討内容等が記録されているところ,外国人等の出入国の公正な管理についても罰則をもってその実効性が担保されているところであり,このような情報は,その性質上,我が国の公共の安全と秩序の維持に直接関係するものであって,このようなことに照らし,上記不開,,示部分に記録されている情報については一般的又は類型的にみて公共の安全と秩序の維持に関するものに当たることを推認することができる。また,第2の2(4)に記載した事実によれば,日朝国交正常化交渉において,在日朝鮮人の法的地位に関する問題が重要性を有するものであり,北朝鮮当局が,上記の問題に係る協議を自らに有利に進展させるため,当該問題に係る日本政府の見解及びその検討内容等に高い関心を有することは容易に認められるところ,上記のような情報は,その性質上,日朝国交正常化交渉において議論されることが想定される在日朝鮮人の法的地位等に関する議論に影響を与える可能性があるといえ,以上に述べたところに照らし,上記不開示部分に記録されている情報については,一般的又は類型的にみて,日朝国交正常化交渉における我が国の利益の確保に関するものに当たることも推認することができる。 次に,上記不開示部分に係る不開示処分につき,外務大臣に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるか否かを検討するに,上記不開示部分には,日本政府が特定の人物の出入国に関する行動をどのように評価していたのかについての検討内容等が記録されているところ,北朝鮮当局との関係はいまだ多くの問題を残すことにおいて当時と大きく異なるとはいえないことからすると,このような内容が明 行動をどのように評価していたのかについての検討内容等が記録されているところ,北朝鮮当局との関係はいまだ多くの問題を残すことにおいて当時と大きく異なるとはいえないことからすると,このような内容が明らかになれば,日本政府がかかる検- 42 -討をしてから相当程度の期間が経過していることを考慮しても,外国人等の出入国に関する行動に係る犯罪の予防,鎮圧等の在り方,ひいては我が国の公共の安全と秩序の維持の在り方に関する関係行政機関の対応の態様等が具体的に推測され,支障をもたらすおそれがあることは否定できないというべきである。また,在日朝鮮人の法的地位に関する問題は,その性質上,北朝鮮当局の関心が高い問題であることは容易に認められるから,この問題に関する我が国の検討内容等を事前に相手側である北朝鮮当局に推測されることになれば,当該交渉において,我が国が不利な立場に置かれる可能性が高いといえる。さらに,(1)イに述べたとおり,日朝国交正常化交渉においては,我が国と北朝鮮との間に存在する諸問題について包括的に解決することが外交方針として志向されているところ,これらの諸問題の一部であり,上記の解決につき考慮するに当たり重要な要素となるべき在日朝鮮人の法的地位に関する検討内容等を事前に相手側である北朝鮮当局に推測されることになれば,これら諸問題に関する交渉全般においても,我が国が不利な立場に置かれる可能性が高いといえる。 以上によれば,外務大臣が,上記不開示部分に記録された情報について,これが公にされることにより日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると判断したことや,上記情報が公にされることにより犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると判断したことをもって,その裁量権の範囲を逸 それがあると判断したことや,上記情報が公にされることにより犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると判断したことをもって,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。したがって,上記不開示部分に記録された情報は,情報公開法5条3号及び4号に定めるものに該当するといえ,これが同条6号に定めるものに該当するか否かを判断するまでもなく,これを不開示とした処分が取り消されるべきものであるとはいえな- 43 -い。 (イ)本件文書12の48枚目の不開示部分には,在日朝鮮人の北朝鮮帰還について,日本政府内部で検討した結果,大局的に有利であるという結論に達した具体的理由や価値判断についての当時の日本政府内部における検討状況が記録されているところ,上記のような情報は,その性質上,日朝国交正常化交渉において議論されることが想定される在日朝鮮人の法的地位等に関する議論に影響を与える可能性があるといえ,このようなことに照らし,上記不開示部分に記録されている情報については,一般的又は類型的にみて,日朝国交正常化交渉における我が国の利益の確保に関するものに当たることを推認することができる。 次に,上記不開示部分に係る不開示処分につき,外務大臣に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるか否かを検討するに,在日朝鮮人の法的地位に関する問題は,その性質上,北朝鮮当局の関心が高い問題であることは容易に認められるから,この問題に関する我が国の検討内容等を事前に相手側である北朝鮮当局に推測されることになれば,当該交渉において,我が国が不利な立場に置かれる可能性が高いといえる。また,(1)イに述べたとおり,日朝国交正常化交渉においては,我が国と北朝鮮との間に存在する 北朝鮮当局に推測されることになれば,当該交渉において,我が国が不利な立場に置かれる可能性が高いといえる。また,(1)イに述べたとおり,日朝国交正常化交渉においては,我が国と北朝鮮との間に存在する諸問題について包括的に解決することが外交方針として志向されているところ,これらの諸問題の一部であり,上記の解決につき考慮するに当たり重要な要素となるべき在日朝鮮人の法的地位の問題に関する検討内容等を事前に相手側である北朝鮮当局に推,,測されることになればこれら諸問題に関する交渉全般においても我が国が不利な立場に置かれる可能性が高いといえる。 以上によれば,外務大臣が,上記不開示部分に記録された情報について,これが公にされることにより日朝国交正常化交渉において- 44 -不利益を被るおそれがあると判断したことをもって,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。したがって,上記不開示部分に記録された情報は,情報公開法5条3号に定めるものに該当するといえ,これが同条6号に定めるものに該当するか否かを判断するまでもなく,これを不開示とした処分が取り消されるべきものであるとはいえない。 (13)本件文書13についてア被告は,本件文書13の体裁及び記録内容等について次のとおり主張。 ,,()するすなわち本件文書13は外務省アジア局北東アジア課当時,内に設置された日韓国交正常化交渉史編纂委員会が作成した資料であり竹島問題に関する各文献資料の標題の記載に続きそれぞれに記録された内容について概略を説明したものが記録されている約40ページの本件文献資料と,時系列とによって構成されている。そして,本件文献資料は,上記の委員会が内部資料として作成したものであり,約90の文献資料について,各文献資料の標題の記載 録されている約40ページの本件文献資料と,時系列とによって構成されている。そして,本件文献資料は,上記の委員会が内部資料として作成したものであり,約90の文献資料について,各文献資料の標題の記載に続き「文献資料に記載された内容についての概要説明」が記録されている。また,約90の文献資料,。 ,,中外務省が作成した内部資料は約6割を占めている他方時系列は日本政府が韓国政府との関係で竹島問題を採り上げることとなった原因事実を把握するに至った端緒を含め,竹島問題をめぐる両国政府間のや。 り取りについての事実関係がいわゆる編年方式で記録されたものであるそして,上記被告の主張の内容は相応に具体的で,特段不自然な点がみられないことなどから,本件文書13の体裁及び記録内容等は上記のとおりであると認めることができる。そこで,これを前提に,本件文書13に記録された情報が情報公開法5条3号に該当するか否かを検討する。 イ(ア)本件文書13中の本件文献資料には,日本政府が収集し保有する竹島問題に関するいわゆる内部資料を含む文献資料の標題及び当該- 45 -文献資料の記載内容の概要が記録されているところ,第2の2(3)に記載したように,竹島の領有権の帰属をめぐっては日本と韓国との間で法的問題もかかわる紛争があり,現在においてもその紛争が継続しているのであるから,韓国政府が上記の問題に係る自国の立場をより有利にするために,上記の問題に係る日本政府の見解及びその検討内容並びにこれらに関係する文献資料等に高い関心を有し,。 可能な限りの情報収集を図ることは容易に認められるところである以上に述べたところに照らすと,本件文献資料に記録されている情報については,一般的又は類型的にみて,韓国との交渉における我が国の利益の確保に関するものに当たること ことは容易に認められるところである以上に述べたところに照らすと,本件文献資料に記録されている情報については,一般的又は類型的にみて,韓国との交渉における我が国の利益の確保に関するものに当たることを推認することができる。 次に,上記不開示処分につき,外務大臣に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるか否かを検討するに,(2)イ(ウ)に述べたとおり,領有権の帰属をめぐる未解決の紛争に係る外交交渉については,高度な政策的判断が求められるものであり,政府内部でいかなる情報収集を行い,又はその情報に基づいてどのような検討をしたか等の情報を開示することについては,外務大臣の広範な裁量にゆだねられているものと考えられる。これを本件についていえば,日本政府が,これまでに2度にわたり紛争の国際司法裁判所への付託を韓国政府に対して提案したことからも明らかなように,高度の法的問題を含む竹島問題に関する我が国の立,場を基礎付けるためにいかなる文献資料を収集し保有しているかはそれ自体が外交交渉上の重要性を有するものであり,加えて,これらにつき我が国がその関心の所在等を基礎に収捨選択をして一覧形式で列記し,かつ,それぞれにおける我が国の関心の所在等との関係での要点等を抽出して記録したものについては,全体として独自の価値を有する情報であると評価することができる。そして,本件- 46 -文献資料に挙げられた文献資料に公刊物が含まれているとしても,当該文献資料に我が国が関心を有していること等が韓国政府に知られ,当該文献資料に記録された内容に対する対策が講じられることなどにより,我が国が外交交渉上の不利益を被る相当程度の可能性があることなどからすれば,外務大臣において上記の情報のすべてを開示しないとの判断をしたとしても,いまだ裁量の範 する対策が講じられることなどにより,我が国が外交交渉上の不利益を被る相当程度の可能性があることなどからすれば,外務大臣において上記の情報のすべてを開示しないとの判断をしたとしても,いまだ裁量の範囲内のものであるということができる。 以上によれば,本件文書13が作成されてから相当程度の期間が経過していることを考慮したとしても,竹島問題の帰すうに関しては法的観点からは韓国政府による占拠よりも前の事由が重要な意味を有すると考えられることにも照らすと,外務大臣が,本件文献資料に記録された情報について,これが公にされることにより韓国との交渉上不利益を被るおそれがあると判断したことをもって,その,。 裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したということはできないしたがって,本件文献資料に記録された情報は,情報公開法5条3号に定めるものに該当するといえる。 (イ)本件文書13中の時系列には,日本政府が韓国政府との関係で竹島問題を採り上げることとなった原因事実を把握するに至った端緒を含め,竹島問題をめぐる両国政府間の交渉等についての事実経過が時系列により記録されているところ,(ア)に述べた観点に加え,,,一般に事実経過に係るいわゆる時系列表を作成するに当たっては作成者の問題意識ないし関心事項が反映されることに照らせば,時系列に記録されている情報については,一般的又は類型的にみて,韓国との交渉における我が国の利益の確保に関するものに当たることを推認することができる。 次に,上記不開示処分につき,外務大臣に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるか否かを検討する- 47 -に,(ア)に述べたとおり,領有権の帰属をめぐる未解決の紛争に係る外交交渉について,政府内部でいかなる情報収集を行い,又はその情報に基づいてどのよ 濫用したと認められるか否かを検討する- 47 -に,(ア)に述べたとおり,領有権の帰属をめぐる未解決の紛争に係る外交交渉について,政府内部でいかなる情報収集を行い,又はその情報に基づいてどのような検討をしたか等の情報を開示することについては,外務大臣の広範な裁量にゆだねられているものと考えられる。これを本件についていえば,一般に,事実経過に係る時系列については,作成者の問題意識ないし関心事項が反映される点において,全体として独自の価値を有する情報であると評価することができ,竹島問題に関する時系列についても,その記録の内容に反映された問題意識ないし関心事項が韓国政府に知られ,これらに対する対策が講じられることなどにより,我が国が外交交渉上の不利益を被る相当程度の可能性があることなどからすれば,外務大臣において上記の情報のすべてを開示しないとの判断をしたとしても,いまだ裁量の範囲内のものであるということができる。 以上によれば,本件文書13が作成されてから相当程度の期間が経過していることを考慮したとしても,(ア)に述べた竹島問題の性質にも照らすと,外務大臣が,時系列に記録された情報について,これが公にされることにより韓国との交渉上不利益を被るおそれがあると判断したことをもって,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。したがって,時系列に記録さ,。 れた情報は情報公開法5条3号に定めるものに該当するといえる 本案前の争点(本件各文書を開示することの義務付け)について本件訴えのうち外務大臣が別紙一部不開示文書目録1記載の各行政文書の不開示部分を開示すべき旨を命ずることを求める請求に係る部分は,いずれも行政事件訴訟法3条6項2号に基づく義務付けの訴えとして提起されたものと解されるところ,2に述べたとおり 録1記載の各行政文書の不開示部分を開示すべき旨を命ずることを求める請求に係る部分は,いずれも行政事件訴訟法3条6項2号に基づく義務付けの訴えとして提起されたものと解されるところ,2に述べたとおり,これらと併合して提起された本件不開示処分の取消しを求める原告らの請求はいずれも理由がないから,本件訴えのうち上記の義務付けの請求に係る部分は,いずれも同法37条の3第1項2号所定- 48 -の訴訟要件を満たさない不適法なものであるといわざるを得ない。 第5 結論 以上によれば,本件訴えのうち外務大臣が別紙一部不開示文書目録1記載の各行政文書の不開示部分を開示すべき旨を命ずることを求める請求に係る部分はいずれも不適法であるから却下することとし,原告らのその余の請求はいずれも理由がないから棄却することとして,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条並びに民事訴訟法61条及び65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官八木一洋裁判官衣斐瑞穂裁判官中島朋宏- 49 -(別紙)本件各文書の不開示情報該当性に関する当事者の主張第1本件文書1について(被告の主張) 不開示情報の内容本件文書1は,外務省アジア局第五課(当時)が作成した文書であり,日韓国交正常化交渉の概要や日韓国交正常化交渉における日本政府の対応等に関する内部の検討状況等が記録されている。 本件文書1の不開示部分は2か所(約2行分及び約1行分)であり,いずれも,財産・請求権問題等に関する韓国政府との交渉過程について日本政府内部で検討された腹案の段階における見解についての情報である。 まず,37枚目の不開示部分(約2行分)には,在日韓国人に対する財産的保障についての腹案の具体的内容が記録されており,当該腹案は, 本政府内部で検討された腹案の段階における見解についての情報である。 まず,37枚目の不開示部分(約2行分)には,在日韓国人に対する財産的保障についての腹案の具体的内容が記録されており,当該腹案は,腹案として提案されたにすぎないものである。 次に,53枚目の不開示部分(約1行分)には,日米間で意見調整がなされた日韓会談の再開の手順に関して,財産・請求権問題について「請求権の相互放棄を提案する」とし,これに続いて,同提案に付加する腹案の具体的内容。 が記録されており,当該腹案も腹案として提案されたにすぎないものである。 不開示事由本件文書1は外務省において内部文書として作成されたものであり,不開示部分は,いずれも,日韓会談における財産・請求権問題に関して特定の懸案事項に対する日本政府の腹案段階における具体的見解に関する情報である。このような腹案段階の具体的見解が開示されると,現在継続中である日朝国交正常化交渉において,北朝鮮当局に日本政府の対処方針(外交交渉上の戦術)を明かすことにつながり,もって日本政府が北朝鮮当局と交渉する上で不利益を被るがい然性が極めて高くなることは明らかである。さらに,当該「腹案段階における見解」は,財産・請求権問題に関する「特定の懸案事項」に対する当時- 50 -の外務省における具体的な見解であり,単なる抽象的な交渉の姿勢を述べたものではない。 したがって,上記腹案段階における見解が開示されれば,日朝国交正常化交渉において,北朝鮮側に日韓国交正常化交渉において内部的にせよ外務省が提案していた見解であるとして上記見解を先取りして提案を強行され,日本側としては譲歩せざるを得ないという具体的な不利益を被るおそれが十分に予想される。また,上記腹案段階における見解が開示されることにより,現在の日韓関係にも影響を与え を先取りして提案を強行され,日本側としては譲歩せざるを得ないという具体的な不利益を被るおそれが十分に予想される。また,上記腹案段階における見解が開示されることにより,現在の日韓関係にも影響を与えるおそれも多分にある。 よって,本件文書1の不開示部分に記録された情報は,文書に記録されている内容が「公にすることにより,韓国との信頼関係が損なわれるおそれ及び日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認める」()。 ことにつき相当の理由がある不開示情報情報公開法5条3号に該当する(原告らの主張) 不開示情報の内容について本件文書1の37枚目の不開示部分について,被告は,在日韓国人に対する財産的保障についての腹案の具体的内容が記録されている旨主張するところ,この腹案の具体的内容については,既に開示された「日韓交渉報告(再四)P1参与請求権部会再開第一回会議状況二八,十,九」と題する文書から,請求権を相互に放棄した上で,互譲の精神に立っての歩み寄りとして,被徴用韓人に対する未払給料等について考慮するというものであると推定される。 また,53枚目の不開示部分(約1行分)について,被告は,財産・請求権問題について請求権の相互放棄を提案する旨の提案に付加する腹案の具体的内容が記録されていると主張するところ,この不開示部分についても,37枚目と同様に被徴用韓人に対する未払給料等について支払うとの内容であるか,又は対韓経済援助に関して,経済援助の無償供与及び一定額の商業借款を実施するとの内容であると推定することができる。 不開示事由について- 51 -日朝国交正常化交渉は,今後,日朝平壌宣言に従って行われるところ,両国は上記宣言に拘束されるのであって,日本と韓国との間で,財産・請求権問題について基本的な合 不開示事由について- 51 -日朝国交正常化交渉は,今後,日朝平壌宣言に従って行われるところ,両国は上記宣言に拘束されるのであって,日本と韓国との間で,財産・請求権問題について基本的な合意のないまま国交正常化交渉が行われた日韓会談とは全く状況を異にする。 また,日本側の財産・請求権問題についての戦略は,おおよそ推定が可能であり,特に秘匿するようなものではない。すなわち,日本側が,北朝鮮に残された財産の返還請求権の存在を指摘し,同請求権と北朝鮮の請求権との相殺を主張することが考えられ,相殺の主張が受け入れられない場合には,北朝鮮当局が主張する請求権のうち,日本側で妥協的に認める余地のある部分について支払うという姿勢を示して取引をするという戦略は,容易に推定が可能な交渉の術であるし,上記のとおり,日本側の腹案は,被徴用韓人の未払給料の支払であることが,他の文書との比較から容易に特定することができる。 さらに,腹案段階における見解が開示されることにより日韓関係に影響を与えるおそれがあるとの被告の主張についても,53枚目の不開示部分の後の記録(54枚目)や本件文書2の記録からすれば,米国が,日米間でまとめた構想で韓国側と接触し,その際,米国から韓国に対し,不開示部分の内容が提案されていたことは明らかである。 よって,いずれの不開示部分についても情報公開法5条3号を理由に不開示とすることはできない。 第2本件文書2について(被告の主張) 不開示情報の内容本件文書2は,外務省が作成した文書であり,日韓国交正常化交渉の概要や日韓国交正常化交渉における日本政府の対応等に関する内部の検討状況等が記録されている。本件文書2の不開示部分は8か所であり,不開示部分の分量及び内容は以下のとおりである。 (1)7枚目の不開示部分(約1行分)- 渉における日本政府の対応等に関する内部の検討状況等が記録されている。本件文書2の不開示部分は8か所であり,不開示部分の分量及び内容は以下のとおりである。 (1)7枚目の不開示部分(約1行分)- 52 -日韓国交正常化交渉における基本関係条約起草に関する韓国政府との交渉過程で開催されたP6・P7会談でのP6大使の発言内容のうち最終的に締結された日韓基本条約の解釈とは相いれないと解し得る見解,すなわち「交渉全体の基本的枠組み」についての具体的言及であり,日朝国交正常化交渉における交渉相手である北朝鮮当局が知るところとなれば直ちに日本側が具体的な不利益を被ることが確実に予想される内容が記録されている。 (2)15枚目の不開示部分(約1行分及び約5行分)いずれも,財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において問題となった韓国政府の日本政府に対する請求金額の試算等に関する日本政府内部の検討内容が記録されている。 (3)19枚目直後の不開示部分(1ページ分)財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において問題となった日本政府の韓国政府に対する請求金額の試算等に関する日本政府内部の検討内容が記録されている。 (4)22枚目の不開示部分(約4行分)財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において日本政府が主張していた基本方針の目的及び評価についての日本政府内部の率直な見解が記録されている。 (5)23枚目の不開示部分(約2行分)財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において問題となった日本政府の対韓請求権放棄に関し,昭和28年10月に開催された日韓会談の際,P1代表から発言のあった非公式見解(ある特定の懸案事項」に関係「する)の内容が記録されている。 。 ()()(6)24枚目の不開示部分約9行分及び 年10月に開催された日韓会談の際,P1代表から発言のあった非公式見解(ある特定の懸案事項」に関係「する)の内容が記録されている。 。 ()()(6)24枚目の不開示部分約9行分及び25枚目の不開示部分約7行分財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において,P6大使が日韓非公式会談で提案した日本政府の韓国政府に対し返還する用意があるとした「ある特定の懸案事項」等に関し,当時の大蔵省と外務省の事務折衝にお- 53 -いて外務省が提案した試案についての外務省内部の検討内容が記録されている。 (7)68枚目の不開示部分(約2行分)竹島問題に関して日本政府内部において検討した当時の竹島の状況についての率直な認識ないし評価が記録されている。 不開示事由について(1)7枚目の不開示部分について1(1)の不開示部分は,最終的に締結された日韓基本条約の解釈と相いれないと解し得る見解が記録されており,このような情報が開示されれば,無用の混乱を招き,現在の日韓関係に影響を与えるおそれがある。また,日朝国交正常化交渉において,北朝鮮当局に「日韓交渉において,日本側がかつては○○といった発言をしていたのであるから,○○まで譲歩,妥協してもやむなしと判断していたことが推認される。よって,北朝鮮との交渉においても○○について日本政府に強く迫れば譲歩を得られる可能性がある」と。 の判断ないし認識を持たせるというような日本側にとっては不利となり北朝鮮側にとっては有利となる情報を提供することにもなりかねないという具体的な不利益を被るおそれが十分に予想される。 よって,上記不開示部分に記録された情報は,文書に記録されている内容が「公にすることにより,韓国との信頼関係が損なわれるおそれ及び日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあ 十分に予想される。 よって,上記不開示部分に記録された情報は,文書に記録されている内容が「公にすることにより,韓国との信頼関係が損なわれるおそれ及び日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めるこ」()。 とにつき相当の理由がある不開示情報情報公開法5条3号に該当する(2)15枚目,19枚目直後,22枚目ないし25枚目の各不開示部分について1(2)ないし(6)の不開示部分は,いずれも財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉経過についての日本政府内部の検討内容が記録されており,特に,韓国政府に対する具体的請求金額の項目と試算等に関する日本政府内部の検討内容や日本政府が韓国政府に支払う金員についての日本政府の内部試- 54 -,,案等の各見解も記録されていることから上記各不開示情報が開示されると日韓交渉において具体的にいかなる項目についてどの程度の金額を想定していたのかが明らかになる。これらの各不開示部分が開示されると,現在の韓国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあり,また,日朝国交正常化交渉において,北朝鮮当局に「日韓交渉において,日本政府内部は○○まで試算や検討を行っていた」という重要な手掛かりや主張の論拠を与えることに。 なり,北朝鮮側にとって有利となる情報を提供し,日本政府の交渉上不利益をもたらすことは明らかである。 なお,当該不開示部分で記述されている項目は,いずれも北朝鮮との国交正常化を図るために交渉上採り上げられることが当然想定され得る項目であり,一般的な可能性として採り上げられる可能性が理論的にあり得るといったがい然性をはるかに超えた重要性を有する事項である。 よって,上記各不開示部分に記録された情報は,文書に記録されている内容が「公にすることにより,韓国との信頼関係が損な 能性が理論的にあり得るといったがい然性をはるかに超えた重要性を有する事項である。 よって,上記各不開示部分に記録された情報は,文書に記録されている内容が「公にすることにより,韓国との信頼関係が損なわれるおそれ及び日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある」不開示情報(情報公開法5条3号)に該当する。 (3)68枚目の不開示部分について1(7)の不開示部分は,竹島問題に関する日本政府内部の率直な認識及び評価が記録されており,当該不開示情報が開示されると,韓国政府に「日本政府は竹島についてこのような観察を行っていたのであるから,今後,竹島問題をめぐるやり取りにおいては,日本政府にこの点を追及し,あるいは,この点を対抗すべく戦術をもって臨むのが有利である」といった判断を導。 かせる手掛かりを与えるおそれが高く,竹島問題における日本政府の立場が不利になる可能性が極めて高い。 したがって,上記不開示部分に記録された情報は,文書に記録されている内容が「公にすることにより,韓国との外交交渉上不利益を被るおそれがあ- 55 -ると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある」不開示情報(情報公開法5条3号)に該当する。 (原告らの主張) 不開示情報の内容について(1)被告は,7枚目の不開示部分(約1行分)には,日韓国交正常化交渉における基本関係条約起草に関する韓国政府との交渉過程で開催されたP6・P7会談でのP6大使の発言内容のうち最終的に締結された上記基本関係条約,「」の解釈とは相いれないと解し得る見解すなわち交渉全体の基本的枠組みについての具体的言及が記録されていると主張するが,かかる主張は余りに抽象的であり,理解することができるような内容となっていないから,不開示事由 いれないと解し得る見解すなわち交渉全体の基本的枠組みについての具体的言及が記録されていると主張するが,かかる主張は余りに抽象的であり,理解することができるような内容となっていないから,不開示事由の主張として失当である。 なお,被告が主張する「基本関係条約の解釈とは相いれないと解し得る見解」をあえて推測するならば,いわゆるP1発言についての何らかの言及,すなわち日韓基本条約では触れられなかった植民地支配に関する何らかの記載など,日韓基本条約の条文と背理する内容が記録されていると推測することができる。 (2)被告は,15枚目(約1行分及び約5行分)及び19枚目直後(1ページ分)の不開示部分には,財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において問題となった韓国政府の日本政府に対する請求金額の試算等に関する日本政府内部の検討内容が記録されていると主張する。15枚目の不開示部分は,対日要求の総額についての記載と関係しており「朝鮮銀行等閉鎖機,関及び在外会社の在日財産」との文言の後が約十数字にわたり不開示となっており,次いで5行分も不開示となっている。これらの不開示部分においては,対日要求の金額について分析をしているものと考えられるが,不開示部分はわずかであるから,日本政府の試算した額が示されていると推測することができる一方で,詳細な分析や具体的な試算方法が記録されているとは考え難い。 - 56 -19枚目直後の不開示部分についても,韓国政府の請求金額の表の後であるから,15枚目と同様に,韓国政府が提示した請求項目及び金額に対する日本側の試算や評価が記録されていると推測することができる。 (3)被告は,22枚目の不開示部分(約4行分)には,財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において日本政府が主張していた基本方針の目的及び評 や評価が記録されていると推測することができる。 (3)被告は,22枚目の不開示部分(約4行分)には,財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において日本政府が主張していた基本方針の目的及び評価についての日本政府内部の率直な見解が記録されていると主張する,,,ところこの不開示部分についてはこれまでの研究者の研究の蓄積等から対韓請求権の主張が韓国政府の提案した請求権の主張に対抗するために考え出されたものであり,政治的な交渉のための道具であって,相殺又は韓国政府から大幅な譲歩を引き出すことを目的としていたことが記録されていると推測することができる。 (4)被告は,23枚目の不開示部分(約2行分)には,財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において問題となった日本政府の対韓請求権放棄に関し,昭和28年10月に開催された日韓会談の際,P1代表から発言のあった(ある特定の懸案事項」に関係する)非公式見解の内容が記録さ,「れていると主張する。 しかし,請求権の相互放棄の代わりに,日本が韓国に対し,被徴用韓人の未払給料の支払を行う意図があったことは,別に公開された文書において明らかであり,不開示部分の「ある特定の懸案事項に関係する」内容とは,それを指すと推測することができる。 (5)被告は24枚目の不開示部分約9行分及び25枚目の不開示部分約,()(7行分)には,財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において,P6大使が日韓非公式会談で提案した日本政府の韓国政府に対し返還する用意があるとした「ある特定の懸案事項」等に関し,当時の大蔵省と外務省との事務折衝において外務省が提案した試案についての外務省内部の検討内容が記録されていると主張する。 しかし「ある特定の懸案事項」とは,両国が請求権の相互放棄をする場, に関し,当時の大蔵省と外務省との事務折衝において外務省が提案した試案についての外務省内部の検討内容が記録されていると主張する。 しかし「ある特定の懸案事項」とは,両国が請求権の相互放棄をする場,- 57 -合でも,日本が韓国に対し支払う意図を有していたある個別の請求権を指すと推測することができ,不開示部分は,その具体的な試算額及び検討であると推測することができる。 (6)被告は,68枚目の不開示部分(約2行分)には,竹島問題に関して日本政府内部において検討した当時の竹島の状況についての率直な認識,評価が記録されていると主張する。同不開示部分は,日本政府の竹島の状況についての認識を示した部分であるところ「竹島は日本海の孤島で,往年はアシ,カ猟とわずかなアワビ及び海草採取が行われた」の記録に続いており,しかも,竹島問題における日本政府の立場が不利になるという被告の主張と併せ考えれば,同不開示部分は,日本政府が竹島の領有権を主張するのに障害となり得る消極的な評価が記録されているものと推定することができる。具体的には,過去にはアシカ猟等がなされていたが「現在は,アシカ漁なども,行われておらず,日本人の定住はない状態で,あまり利用されていない(実効的な支配がない」等の記録がなされていると推定することができる。 ) 不開示事由について(1)被告は,7枚目の不開示部分について,開示されれば無用の混乱を招き,現在の日韓関係に影響を与えるおそれがあるほか,北朝鮮当局との交渉において,日本側にとっては不利となり北朝鮮側にとっては有利となる情報を提供することになりかねないと主張する。しかし,7枚目のP6大使の言及の前後の記録から,P6大使が,昭和30年1月29日の第1回会談においてP7公使に対し説明をしたことが明らかであるから,P6大使の 供することになりかねないと主張する。しかし,7枚目のP6大使の言及の前後の記録から,P6大使が,昭和30年1月29日の第1回会談においてP7公使に対し説明をしたことが明らかであるから,P6大使の言及は韓国政府において当然に把握されているため,開示によって無用の混乱を招き,現在の日韓関係に影響を与えるおそれはない。 また,上記不開示部分はわずか1行であり,ここに日本の譲歩ないし妥協の詳しい内容が記録されていることは考えられないし,日韓国交正常化交渉は,交渉開始後長期間が経過しており,当時の社会的ないし政治的状況を前提とした交渉と,現在の北朝鮮を取り巻く社会的,政治的ないし国際的状況- 58 -を前提とした交渉とは,全く異なるものであるから,同様の交渉上の戦略が成り立つものではない。実際にも,既に日朝平壌宣言において,交渉全体の基本的枠組みが既に設定されており,現時点において日韓会談の交渉全体の基本的枠組みが明らかになったからといって,日朝国交正常化交渉に具体的影響を与えるおそれはない。 よって,上記不開示部分を情報公開法5条3号により不開示とすることはできない。 (2)被告は,1(2)ないし(5)に記録した不開示部分を開示すれば,日韓交渉において具体的にいかなる項目についてどの程度の金額を想定していたのかが,,明らかになるとし現在の韓国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあり北朝鮮当局に対して試算や検討についての重要な手掛かりや主張の論拠を与えることになると主張する。 しかし,日韓会談は,交渉開始後長期間が経過しており,研究者の研究の蓄積によって,交渉の詳細が相当程度解明されており,現時点において不開示部分を開示したからといって,特に韓国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあるとはいえない。また,60年近く前に行われた交渉にお 蓄積によって,交渉の詳細が相当程度解明されており,現時点において不開示部分を開示したからといって,特に韓国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあるとはいえない。また,60年近く前に行われた交渉においていかなる金額の試算がなされようとも,それは交渉の過程での試算にすぎないものであるし,自国の交渉を有利に進めようと考える外交において,日本に有利な試算がなされていることは外交交渉上当然の戦略であり,韓国政府において容易に了解することができることである。したがって,そのような過去の外交交渉上の戦略が仮に現時点で判明したとしても,日本政府と韓国政府との間の信頼関係が損なわれる事態が生じるとは考えられない。 また,不開示部分の量からして,当該部分には,日本政府の試算の具体的な金額が記録されていると推定される一方で,試算の具体的方法については明らかにされていないと推定される。試算の具体的方法の記録がないままに単に具体的な金額が開示されたとしても,北朝鮮当局において,それを根拠に請求権について具体的な試算ができるものではない。また,日韓会談がな- 59 -された当時の貨幣価値と現在の貨幣価値とは異なっており,北朝鮮当局における試算の参考ともならない。したがって,不開示部分の開示は,日朝国交正常化交渉に何ら支障を及ぼすものではない。 さらに,22枚目の不開示部分については,日韓会談の研究者によって,財産・請求権問題に関する日本政府の率直な見解が相当程度明らかにされているのであるし,会談における日本側の具体的な発言によって,日本政府の率直な見解の内容は既に韓国政府が了知していると考えられるため,開示によって,韓国政府との間の信頼関係が損なわれることはない。 そして,23枚目の不開示部分については,非公式な見解といえども,韓国側がP1発言を把握しているの 政府が了知していると考えられるため,開示によって,韓国政府との間の信頼関係が損なわれることはない。 そして,23枚目の不開示部分については,非公式な見解といえども,韓国側がP1発言を把握しているのは明らかであり,開示により韓国政府との信頼関係が損なわれることはない。 よって,上記不開示部分を情報公開法5条3号により不開示とすることはできない。 (3)68枚目の不開示部分はわずか2行分であり,当該部分に日本政府の竹島についての詳しい観察が記録されているとは考え難いし,当該部分に,竹島の領有権を否定するような消極的な評価が記録されていることや,その具体的内容は容易に推測することができるのは既に述べたとおりである。また,仮に上記不開示部分が開示されたとしても,2行分の観察をもって,韓国政府が,日本政府に対し,有効な対抗戦術をもって臨む可能性も著しく低い。 よって,上記不開示部分を情報公開法5条3号により不開示とすることはできない。 第3本件文書3について(被告の主張) 不開示情報の内容本件文書3は,外務省アジア局第一課(当時)が作成した文書であり,内容は,日韓国交正常化交渉の概要や日韓国交正常化交渉における日本政府の対応等に関する内部の検討状況等が記録されている。本件文書3の不開示部分は4- 60 -か所であり,いずれも,財産・請求権問題に関する記録であり,不開示部分の分量及び内容は次のとおりである。 (1)13枚目の不開示部分(約2行分)及び76枚目の不開示部分(7行分)日本政府の韓国政府に対する請求金額について個別,具体的な項目についての試算等に関する内容が記録されている。 (2)16枚目の不開示部分(約3行分)財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において日本政府が主張していた基本方針の目的,評価についての日本政府 ての試算等に関する内容が記録されている。 (2)16枚目の不開示部分(約3行分)財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において日本政府が主張していた基本方針の目的,評価についての日本政府内部の率直な見解が記録されている。 (3)82枚目の不開示部分(約2行分)財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉過程において問題となった韓国政府の日本政府に対する請求について,日本政府が正式提示を留保した具体的な請求項目であり,韓国政府との「ある特定の懸案事項」に直接関連する内容及びその試算額に関する内容が記録されている。 不開示事由本件文書3の各不開示部分は,いずれも財産・請求権問題に関する韓国政府との交渉経過についての日本政府内部の検討内容が記録されており,特に,韓国政府に対する請求金額の試算等に関する内容や日本政府が韓国政府に支払う金員についての特定の懸案事項に関する日本政府の内部試案や,日本政府の基本方針についての率直な見解が記録されていることから,上記各不開示情報が開示されると,日韓交渉における日本政府の基本的な方針や財産請求における相互の請求について日本政府が具体的にいかなる項目についてどの程度の金額を想定していたのかが如実に明らかになり,また,当時の日本政府の日韓国交正常化交渉における交渉戦術について,いわば,交渉の「落とし所」をどのようにとらえていたかなどを露呈することになりかねず,現在の韓国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあるのみならず,日朝国交正常化交渉において,北朝鮮当局に「日韓交渉において,日本政府内部は○○まで試算や検討を行っ- 61 -ていた」という重要な手掛かりや主張の論拠を与えることになり,北朝鮮側。 にとって有利となる情報を提供し,日本政府の交渉上不利益をもたらすことは明らかである。 よって 試算や検討を行っ- 61 -ていた」という重要な手掛かりや主張の論拠を与えることになり,北朝鮮側。 にとって有利となる情報を提供し,日本政府の交渉上不利益をもたらすことは明らかである。 よって,上記各不開示部分に記録された情報は,文書に記録されている内容が「公にすることにより,韓国との信頼関係が損なわれるおそれ及び日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある」不開示情報(情報公開法5条3号)に該当する。 (原告らの主張) 不開示情報の内容について(1)13枚目の不開示部分は,本件文書3と同様に日韓会談の問題点を指摘した文書である本件文書6の56枚目の記載に照らし「請求額として大蔵省,が試算したところは,資料その七のとおりである」との趣旨の記録がなさ。 れていると推測することができる。 (2)76枚目の不開示部分は,当該部分の表題「わが方の対韓請求額についての大蔵省試算」のとおり,13枚目の不開示部分に対応した大蔵省の試算内容として,対韓請求権の請求項目とその試算結果が具体的に記録されているものと推測される。 (3)16枚目の不開示部分は,正確に推定することは困難であるものの,財産・請求権問題における日韓会談の経緯からすれば,日本政府が主張していた基本方針の目的及び評価についての日本政府内部の率直な見解として「早,期の解決を図るため,請求権に関する法的論拠は別として,一刻も早く政治的妥結を図る必要性があった」旨の日本政府の見解が記録されていると推測される。 (4)82枚目の不開示部分は,既に韓国において開示されている日韓会談関連文書の中に日本側から提示されたものとして開示されている同一内容の文書が存在する。これによれば,同不開示部分には「韓国人官吏に対する恩給等○ 不開示部分は,既に韓国において開示されている日韓会談関連文書の中に日本側から提示されたものとして開示されている同一内容の文書が存在する。これによれば,同不開示部分には「韓国人官吏に対する恩給等○○未払金(日本恩給局によれば約5億円(○○部分は文字を解読する)」- 62 -ことができない)と記録されており,被告が主張する,韓国政府との「あ。 る特定の懸案事項」とは「韓国人官吏の恩給等に関する未払金」のことであり,その試算額が5億円であったことが判明している。 不開示事由について韓国政府との関係については,対韓請求権の項目や金額,日韓会談における日本政府の姿勢などについては,既に日韓会談に係る歴史資料などである程度明らかになっており,そうした交渉の過程での検討内容に関する情報は,既に日韓会談の結果として,財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(以下「本件協定」という)が締結さ。 れた後では,韓国との法的関係に何ら影響を及ぼすものではないし,本件協定締結後半世紀以上を経過している現在においては,当時の日本政府の内部的な検討内容は歴史的な事実及び記録として,歴史的な研究や検討の対象となるべきものである。それゆえに,韓国政府は日韓会談に関連する文書をいち早く全面開示しており,仮に,日本側の過去の検討内容に係る情報が開示されたとしても,それが現在の韓国政府との信頼関係を損なうことになる事態を想定することができない。 また,日朝国交正常化交渉については,外交関係及び国際政治状況等が異なる半世紀以上も前の韓国政府との交渉に際して検討された内容が,そのまま北朝鮮当局との交渉における日本政府の検討内容となるわけではなく,日本政府もそれに拘束される理由は何ら存在しない。そして,日朝国交正常化交渉につ の韓国政府との交渉に際して検討された内容が,そのまま北朝鮮当局との交渉における日本政府の検討内容となるわけではなく,日本政府もそれに拘束される理由は何ら存在しない。そして,日朝国交正常化交渉については日朝平壌宣言において,財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い,経済協力の枠組みができているから,日韓会談における賠償額に関す,。 る試算や検討内容は日朝国交正常化交渉においてほとんど意味を失っている以上によれば,韓国政府との信頼関係や日朝国交正常化交渉における重要な手掛かりといった被告の不開示事由は,正当な理由とはならない。特に,82枚目の不開示部分については,韓国政府が開示した文書によって既にその不開示情報自体が開示されているのであるから,これが開示されたからといって,- 63 -現在の韓国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあるとは考えられないし,北朝鮮当局にとって有利となる情報を提供することにはならない。 よって,上記不開示部分を情報公開法5条3号により不開示とすることはできない。 第4本件文書4について(被告の主張) 不開示情報の内容,(),本件文書4は外務省アジア局北東アジア課当時が作成した文書であり内容は,日韓国交正常化交渉の概要や日韓国交正常化交渉における日本政府の対応等に関する内部の検討状況等が記録されている。 ,()本件文書4の不開示部分は4枚目(約7行分)及び4枚目直後1ページ分の一連の記載部分であり,財産・請求権問題に関する記録がある。 不開示部分は,韓国政府が正式提示を留保している対日請求権について,日本政府内部で「ある特定の懸案事項」を含む項目の金額を具体的に試算した結果及びその検討内容等に関する情報が記録されている。 不開示事由本件文書4の不開示部分は,財産・請求権問 請求権について,日本政府内部で「ある特定の懸案事項」を含む項目の金額を具体的に試算した結果及びその検討内容等に関する情報が記録されている。 不開示事由本件文書4の不開示部分は,財産・請求権問題に関して韓国政府が正式提示を留保している対日請求権について,日本政府内部で「ある特定の懸案事項」を含む項目の金額を具体的に試算した結果及びその検討内容が記録されていることから,上記各不開示情報が開示されると,日本政府が具体的にいかなる項目についてどの程度の金額を想定していたのかが如実に明らかになり,現在の韓国政府との信頼関係が損なわれるおそれがある。また,日朝国交正常化交渉において,北朝鮮当局に「日韓交渉において,日本政府内部はそれぞれの項目についてどの程度の金額になるか,あるいは,いかなる試算を行ったのか,どの程度の価値を持つものと認識・想定していたのか」について重要な手掛かりを与えることになり,北朝鮮側にとって有利となる情報を提供し,日本政府の交渉上不利益をもたらすことは明らかである。 - 64 -よって,上記不開示部分に記録された情報は,文書に記録されている内容が「公にすることにより,韓国との信頼関係が損なわれるおそれ及び日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある」不開示情報(情報公開法5条3号)に該当する。 (原告らの主張) 不開示情報の内容について本件文書4の不開示部分前後の記述や,本件文書3及び本件文書6の関連箇所の記載に照らすと,韓国政府の対日請求権に関する韓国側提案の内容について,昭和24年(1949年)に韓国政府が作成した「対日賠償要求調書」などを参照し,項目ごとに具体的な試算をして,その金額等に対する見解等を記録していると推測される。 不開示事由について ついて,昭和24年(1949年)に韓国政府が作成した「対日賠償要求調書」などを参照し,項目ごとに具体的な試算をして,その金額等に対する見解等を記録していると推測される。 不開示事由について被告は,本件文書4の不開示部分の記述内容について,日本政府内部で「ある特定の懸案事項」を含む項目の金額を具体的に試算した結果及びその検討内容等に関する情報であると主張するところ,本件協定締結後半世紀以上を経過している現在においては,当時の日本政府の内部的な検討内容はむしろ歴史的な事実及び記録として,歴史的な研究や検討の対象となるべきものであり,そのような日本側の過去の検討内容にかかわる情報が開示されたとしても,現在の韓国政府との信頼関係を損なうことになる事態は想定することができない。 ,,,,また日朝国交正常化交渉は今後日朝平壌宣言に従って行われるところ両国は上記宣言に拘束されるのであって,日本と韓国との間で,財産・請求権問題について基本的な合意のないまま国交正常化交渉が行われた日韓会談とは,全く状況を異にする。 よって,上記不開示部分を情報公開法5条3号により不開示とすることはできない。 第5本件文書5について(被告の主張)- 65 - 不開示情報の内容,(),本件文書5は外務省アジア局北東アジア課当時が作成した文書であり内容は,日韓国交正常化交渉の概要や日韓国交正常化交渉における日本政府の対応等に関する内部の検討状況等が記録されている。 本件文書5の不開示部分は2か所であり,いずれも財産・請求権問題に関する記載であり,不開示部分は21枚目(約2行分)及び25枚目(約5行分)である。 21枚目(約2行分)の不開示部分には,日本政府の韓国政府に対する請求金額についての試算に関する内容が記録されており(本件文書 あり,不開示部分は21枚目(約2行分)及び25枚目(約5行分)である。 21枚目(約2行分)の不開示部分には,日本政府の韓国政府に対する請求金額についての試算に関する内容が記録されており(本件文書3の13枚目の不開示部分と同旨,25枚目(約5行分)の不開示部分には,財産・請求権問)題に関する韓国政府との交渉過程において日本政府が主張していた基本方針の目的,評価についての日本政府内部の率直な見解が記録されている(本件文書3の16枚目の不開示部分と同旨。 ) 不開示事由本件文書5の各不開示部分は,財産・請求権問題に関して日本政府の韓国政府に対する請求金額の試算に関する内容及び財産・請求権問題についての日本政府の基本方針についての率直な見解が記録されていることから,上記各不開示情報が開示されると,日本政府内部における請求金額の検討状況が明らかになり,当時の日本政府の日韓国交正常化交渉における交渉戦術について,いわば,交渉の「落とし所」をどのようにとらえていたかなどを露呈することとなりかねず,現在の韓国政府との信頼関係が損なわれるおそれがある。また,日朝国交正常化交渉において,北朝鮮当局に日本政府の交渉戦術等に関する重要な手掛かりを与えることになり,北朝鮮側にとって有利となる情報を提供し,日本政府の交渉上不利益をもたらすことは明らかである。 よって,上記各不開示部分に記録された情報は,文書に記録されている内容が「公にすることにより,韓国との信頼関係が損なわれるおそれ及び日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることに- 66 -つき相当の理由がある」不開示情報(情報公開法5条3号)に該当する。 (原告らの主張) 不開示情報の内容について被告の主張によれば,①21枚目(約2行分)の不開示部分は,本件文書 に- 66 -つき相当の理由がある」不開示情報(情報公開法5条3号)に該当する。 (原告らの主張) 不開示情報の内容について被告の主張によれば,①21枚目(約2行分)の不開示部分は,本件文書3の13枚目の不開示部分と同旨であり,②25枚目(約5行分)の不開示部分は本件文書3の16枚目の不開示部分と同旨であるから①の不開示部分は大,,「蔵省の試算したところによれば総額約○○○億円と試算されている」と具体。 的に試算された金額の総額が記録されているものと推定され,②の不開示部分は「早期の解決を図るため,請求権に関する法的論拠は別として,一刻も早,く政治的妥結を図る必要性があった」旨の日本政府の見解が記録されていると推測される。 不開示事由について第3(原告らの主張)2と同旨第6本件文書6について(被告の主張) 不開示情報の内容,(),本件文書6は外務省アジア局北東アジア課当時が作成した文書であり内容は,日韓国交正常化交渉の概要や日韓国交正常化交渉における日本政府の対応等に関する内部の検討状況等が記録されている。本件文書6の不開示部分は60枚目(約4行分)であり,本件文書5の25枚目の不開示部分と全く同一内容である。 不開示事由第5(被告の主張)2と同旨(原告らの主張) 不開示情報の内容について被告の主張によれば,本件文書6の60枚目(約4行分)の不開示部分は,本件文書5の25枚目の不開示部分と全く同一内容であり,本件文書3の16- 67 -枚目の不開示部分と同旨の内容が記録されているのであるから「早期の解決,を図るため,請求権に関する法的論拠は別として,一刻も早く政治的妥結を図る必要性があった」旨の日本政府の見解が記録されていると推測される。 不開示事由について第3(原告 あるから「早期の解決,を図るため,請求権に関する法的論拠は別として,一刻も早く政治的妥結を図る必要性があった」旨の日本政府の見解が記録されていると推測される。 不開示事由について第3(原告らの主張)2と同旨第7本件文書7について(被告の主張) 不開示情報の内容,(),本件文書7は外務省アジア局北東アジア課当時が作成した文書であり内容は,日韓国交正常化交渉の過程で開催された第5次日韓全面会談予備会談の一般請求権小委員会の第11回会合における財産・請求権問題,特に「昭和20年(1945年)8月9日現在韓国に本店のあった法人の在日財産の返還請求」に関する日本政府代表者であるP2主査代理(大蔵省(当時)理財局次長)と韓国政府のP3主査代理との間の率直な意見交換が記録されている。本件文書7の不開示部分は,13枚目(2行分),13枚目直後(1ページ分)及び14枚目(約4行分)の一連の記載部分であり,朝鮮半島地域における日本法人の財産の取扱いや処置の仕方についての基本的な整理方法等について,日本政府代表者からの質問に対する韓国政府代表者による基本的立場の具体的かつ率直な説明等が記録されている。 不開示事由本件文書7の不開示部分は,朝鮮半島地域における日本法人の財産の取扱いや処置の仕方についての基本的な整理方法等について日本政府代表者と韓国政府代表者との間で検討した内容が記録されていることから,上記不開示情報が開示されると,日本政府が韓国政府との間において水面下で協議した内容が明らかになり,韓国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあるのみならず,日朝国交正常化交渉において,論点となる可能性が極めて高い財産・請求権問題について,北朝鮮当局に,北朝鮮に存在した日本法人の財産等についての日本- 68 -政府の関心事項 おそれがあるのみならず,日朝国交正常化交渉において,論点となる可能性が極めて高い財産・請求権問題について,北朝鮮当局に,北朝鮮に存在した日本法人の財産等についての日本- 68 -政府の関心事項や基本的な考え方を具体的に明かすこととなり,その結果,日本政府が北朝鮮当局との交渉上不利益を被るがい然性が極めて高くなることは明らかである。 よって,上記各不開示部分に記録された情報は,文書に記録されている内容が「公にすることにより,韓国との信頼関係が損なわれるおそれ及び日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある」不開示情報(情報公開法5条3号)に該当する。 なお,本件文書7と本件文書7に記録された事項に対応する韓国側作成に係る文書とはその形式及び記載内容が異なるから,韓国政府が上記文書を開示していることをもって,本件文書7に不開示事由がないということはできない。 (原告らの主張) 不開示情報の内容について本件文書7は,第5次日韓全面会談予備会談の一般請求権小委員会第11回会合について日本側で作成された議事録であるところ,不開示部分の記述内容に相当するものは,韓国政府が開示した日韓会談関連文書のうち,韓国側で作成された第5次日韓全面会談予備会談の一般請求権小委員会第11回会合の議事録に記録されている。上記の韓国側議事録によれば,不開示となっている部分に該当する議事録には,朝鮮半島地域における日本法人の財産の取扱いや処置の仕方のうち,北緯38度線以北にある北朝鮮当局が実効支配している地域の株式や支店財産に関するやり取りが記録されていると推定される。 不開示事由について上記のとおり,本件文書7の不開示部分に相当する内容は既に韓国側の日韓会談関連文書において開示されており,韓国政府自らが 支店財産に関するやり取りが記録されていると推定される。 不開示事由について上記のとおり,本件文書7の不開示部分に相当する内容は既に韓国側の日韓会談関連文書において開示されており,韓国政府自らが,日本政府と韓国政府との間において水面下で協議した内容を明らかにしているのであるから,本件文書7に記録された不開示情報が開示されたとしても,そのことによって韓国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあるといえない。 また,日朝国交正常化交渉についても,不開示の対象となっているのは北朝- 69 -鮮と関係する財産・請求権問題についての日本政府の見解等であるところ,上記のとおり,既に韓国側開示文書によってその内容が公にされている以上,北朝鮮当局においても本件文書7に記録された不開示情報に相当する内容を知ることができ,北朝鮮に存在した日本法人の財産等についての日本政府の関心事項や基本的な考え方は既に明らかになっている。したがって,本件文書7の不開示情報を開示することによって,日朝国交正常化交渉において日本政府が交渉上不利益を被る結果になるとはいえない。 よって,上記不開示部分を情報公開法5条3号により不開示とすることはできない。 なお,被告が指摘する本件文書7と本件文書7に記録された事項に対応する韓国側作成に係る文書との形式及び記載内容の相違は,いずれも議事録全体で見れば同趣旨の記載が存在するか,又は形式的な記載方法の相違にすぎず,実質的には同内容である。 第8本件文書8について(被告の主張) 不開示情報の内容,(),本件文書8は外務省アジア局北東アジア課当時が作成した文書であり内容は,日韓国交正常化交渉の過程で開催された第5次日韓全面会談予備会談の一般請求権小委員会の第12回会合における財産・請求権問題,特に,韓国法人又は韓 ア局北東アジア課当時が作成した文書であり内容は,日韓国交正常化交渉の過程で開催された第5次日韓全面会談予備会談の一般請求権小委員会の第12回会合における財産・請求権問題,特に,韓国法人又は韓国自然人の日本国又は日本国民に対する日本国債,公債,日本銀行券,被徴用韓人の未収金,補償金及びその他の請求権の弁済の問題について日本政府代表者であるP2主査代理と韓国政府のP3主査代理との間の率直な意見交換が記録されている。 本件文書8の不開示部分は,5枚目(11行分),5枚目直後(2枚分)の一連の記載部分であり,朝鮮半島地域等における韓国法人及び自然人並びにその財産の法的範囲に関して具体的にいかなる考え方によりどのように画定していくのかについて,日本政府代表からの質問に対する,韓国政府代表者による基- 70 -本的立場の具体的かつ率直な説明や,これに対する日本政府代表者の意見等が記録されている。 不開示事由本件文書8の不開示部分は,朝鮮半島地域等における韓国法人及び韓国自然人並びにその各財産の法的範囲や財産の取扱い等に関する基本的な立場等について日本政府代表者と韓国政府代表者との間で検討した内容が記録されていることから,上記不開示情報が開示されると,日本政府が韓国政府との間において水面下で協議した内容が明らかになり,韓国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあるのみならず,日朝国交正常化交渉において,論点となる可能性が極めて高い財産・請求権関係の問題について,北朝鮮当局に,朝鮮半島に存在した韓国法人及び韓国自然人の各財産等についての日本政府の関心事項や基本的な考え方を具体的に明かすこととなるほか,韓国法人及び韓国自然人の法的範囲についての日本政府の考え方,当時の朝鮮半島における「韓国」法人及び自然人の法的範囲を画定することにより「北朝 心事項や基本的な考え方を具体的に明かすこととなるほか,韓国法人及び韓国自然人の法的範囲についての日本政府の考え方,当時の朝鮮半島における「韓国」法人及び自然人の法的範囲を画定することにより「北朝鮮」の法人及び「北朝鮮」の自然人の範囲を画定することと直接関連し得ることになるので,今後の北朝鮮当局との交渉において日本政府の具体的考えや立場が露見する結果にもなることから,日本政府が北朝鮮当局との交渉上不利益を被るがい然性が極めて高くなることは明らかである。 よって,上記不開示部分に記録された情報は,文書に記録されている内容が「公にすることにより,韓国との信頼関係が損なわれるおそれ及び日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある」不開示情報(情報公開法5条3号)に該当する。 (原告らの主張) 不開示情報の内容について本件文書8は,第5次日韓全面会談予備会談の一般請求権小委員会第12回会合について日本側で作成された議事録であるところ,不開示部分の記述内容に相当するものは,韓国政府が開示した日韓会談関連文書のうち,韓国側で作- 71 -成された第5次日韓全面会談予備会談の一般請求権小委員会第12回会合の議事録に記録されている。上記の韓国側議事録によれば,不開示部分には,北朝鮮に在住する自然人が保有する日本国債,日本銀行券,被徴用韓人の未収金及び補償金並びにその他請求権の弁済に関するやり取りが記録されていると推定される。 不開示事由について上記のとおり,本件文書8の不開示部分は,既に韓国側の日韓会談関連文書において開示されているから,この不開示情報が開示されたとしても,そのことによって韓国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあるといえない。 また,日朝国交正常化交渉についても,不開示 日韓会談関連文書において開示されているから,この不開示情報が開示されたとしても,そのことによって韓国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあるといえない。 また,日朝国交正常化交渉についても,不開示の対象となっているのは北朝。 ,鮮と関係する財産・請求権問題についての日本政府の見解等であるそれゆえ既に韓国側開示文書によってその内容が公にされている以上,朝鮮半島に存在した韓国法人及び韓国自然人の各財産等についての日本政府の関心事項や基本的な考え方や「北朝鮮」の法人及び「北朝鮮」の自然人の範囲を画定するこ,とに関する日本政府の具体的考えや立場も,既に北朝鮮当局に明らかになっている。したがって,本件文書8の不開示部分を開示することによって,日朝国交正常化交渉において日本政府が交渉上の不利益を被るがい然性が極めて高くなるとはいえない。 よって,上記不開示部分を情報公開法5条3号により不開示とすることはできない。 第9本件文書9について(被告の主張) 不開示情報の内容,(),本件文書9は外務省アジア局北東アジア課当時が作成した文書であり内容は,日韓国交正常化交渉の過程で非公式に開催された一般請求権小委員会の会談内容が記録されている。 本件文書9の不開示部分は2枚目(約3行分)及び10枚目(約4行分)であ- 72 -り,2枚目(約3行分)には上記非公式会談において話し合われた財産・請求権問題等に関する韓国政府代表P8主査の率直な発言内容が記録されており,10枚目(約4行分)には当時日本政府内でも検討を終えていなかった朝鮮半島情勢と財産・請求権問題に関する重要事項についての日本政府代表P2主査代理の率直な発言内容が記録されている。 不開示事由本件文書9の不開示部分は,日韓非公式会談における韓国政府代表者と日本政府代表 と財産・請求権問題に関する重要事項についての日本政府代表P2主査代理の率直な発言内容が記録されている。 不開示事由本件文書9の不開示部分は,日韓非公式会談における韓国政府代表者と日本政府代表者の忌たんのない発言内容が記録されていることから,上記各不開示情報が開示されると,日本政府が韓国政府との間において水面下で協議した内容が明らかになり,韓国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあるのみならず,日朝国交正常化交渉において論点となる可能性が極めて高い財産・請求権関係の問題や朝鮮半島情勢の問題等について,北朝鮮当局に,韓国政府との非公式な協議内容や朝鮮半島情勢に関する日本政府の基本方針及び考え方を明らかにすることとなり,今後の北朝鮮当局との交渉において日本政府の具体的考えや立場が露見することにもなるから,結果として,日本政府が北朝鮮当局との交渉上不利益を被るがい然性が極めて高くなることは明らかである。 よって,上記各不開示部分に記録された情報は,文書に記録されている内容が「公にすることにより,韓国との信頼関係が損なわれるおそれ及び日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある」不開示情報(情報公開法5条3号)に該当する。 (原告らの主張) 不開示情報の内容について(1)2枚目の不開示部分については,韓国政府が開示した第5次日韓会談の一般請求権小委員会の会議録要旨に照らし「調査に膨大な経費が必要である,ことから,これらの支払に関する問題の国内的処理は韓国政府が権限をもって行いたい」旨の当時の韓国政府の徴用者未収金問題の処理に関する見解が記録されているものと推定される。 - 73 -(2)10枚目の不開示部分については,当該部分の後に「比較的とり上げやすい項目から話合ってはどう 時の韓国政府の徴用者未収金問題の処理に関する見解が記録されているものと推定される。 - 73 -(2)10枚目の不開示部分については,当該部分の後に「比較的とり上げやすい項目から話合ってはどうだろうかと質したところ」と記録されている点からすれば,日韓会談で問題点とされたもののうち「比較的取り上げにくい(項目である)財産・請求権問題に関する重要事項の検討についてはしばらく棚上げすることにして,最終的には政治的解決に委ねるとしても」などの記載である可能性が高く,本件文書7及び本件文書8において不開示とされているような北朝鮮と関係する財産・請求権問題についての見解等が記録されていると推測される。 不開示事由について2枚目の不開示部分の内容は,これまでに韓国政府が開示した日韓会談関連文書から推定することができるとともに,10枚目の不開示部分の内容は,前後の関係から,北朝鮮と関係する財産・請求権問題についての日本政府の見解等が記録されていると推測することができる。そうすると,韓国政府との関係については,上記各不開示情報が開示されたとしても,既に韓国政府が日韓会談関連文書をすべて開示している以上,日本政府が日韓会談関連文書をすべて開示することによって,韓国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあるといえない。 また,日朝国交正常化交渉に関しても,不開示の対象となっているのは北朝鮮と関係する財産・請求権問題についての日本政府の見解等である。したがって,既に韓国政府が開示した文書によってその内容が公にされている以上,上記各不開示情報が開示されたとしても,それにより,日朝国交正常化交渉において,日本政府が北朝鮮当局との交渉上不利益を被るがい然性が極めて高くなるとはいえない。 よって,上記不開示部分を情報公開法5条3号により不開示とすることはで ても,それにより,日朝国交正常化交渉において,日本政府が北朝鮮当局との交渉上不利益を被るがい然性が極めて高くなるとはいえない。 よって,上記不開示部分を情報公開法5条3号により不開示とすることはできない。 第10本件文書10について(被告の主張)- 74 - 不開示情報の内容本件文書10は,外務省アジア局北東アジア課(当時)が作成した文書であり,内容は,日韓国交正常化交渉の過程で開催された第7次日韓全面会談在日韓国人の法的地位に関する委員会第24回会合及び同第25回会合における会談内容が記録されている。 本件文書10の不開示部分は10枚目(約2行分)であり,在日韓国人学校卒業生の進学資格について当時の日本政府内部における率直な検討結果及び韓国政府との外交交渉における率直な交渉状況が記録されている。 不開示事由本件文書10の不開示部分は,在日韓国人学校卒業生の進学資格についての日本政府内部の検討結果及び韓国政府との外交交渉における率直な交渉状況が記録されていることから,不開示部分の情報が開示されれば,基本的価値を共有する重要な隣国である韓国との間で信頼関係が損なわれるおそれが高く,韓国政府との外交交渉事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれもある。 さらに,今後の日朝国交正常化交渉においては,在日朝鮮人の進学資格についても何らかの形で採り上げられる可能性がある上に,在日朝鮮人の進学資格は在日朝鮮人の法的地位に関する問題全体の中でも重要性を有する問題の一つ。 ,,,でもあるしたがって北朝鮮当局は日本政府との交渉を有利に進めるため在日韓国人に対する進学資格についての日本政府内部の検討結果及び対応状況についての情報を参考にしようとすることは容易に想定されるから,不開示部分の情報が開示されれば,北朝鮮側に日本政府との対処方 め在日韓国人に対する進学資格についての日本政府内部の検討結果及び対応状況についての情報を参考にしようとすることは容易に想定されるから,不開示部分の情報が開示されれば,北朝鮮側に日本政府との対処方針や交渉戦術を練る上で有利な情報を与えることとなり,北朝鮮当局との交渉上日本政府が不利益を被ることとなるがい然性は高い。 よって,上記不開示部分に記録された情報は,文書に記録されている内容が「公にすることにより,韓国との信頼関係が損なわれるおそれ及び日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある」不開示情報(情報公開法5条3号)に該当するのみなら- 75 -ず「今後,日本政府における対韓国及び対北朝鮮との交渉における事務の適,正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」不開示情報(情報公開法5条6号)にも該当する。 (原告らの主張) 不開示情報の内容について,,本件文書10の不開示部分については対応する部分の韓国側文書が存在し日本側が,韓国側が要求する韓国学園卒業者の資格認定について,韓国内の正規学校卒業者と同等の資格認定を求める趣旨か否かを質問したことが明らかとなっている。この日本側の質問は,日本側が,韓国学園卒業者について日本の正規学校卒業者の資格は認められない一方で,韓国内の正規学校卒業者としての資格であれば考慮に値することを示唆した発言である。 不開示事由について,,本件文書10の不開示部分は公式の委員会会合で韓国側に表示されており日本側の発言の趣旨が既に対応する韓国側文書で明らかとなっている点で,もはや公になっている発言であって,それを改めて公にすることによる不利益は何ら想定されない。 また,日本側の発言が韓国内の正規学校卒業者としての資格に関する示唆であったとすれば かとなっている点で,もはや公になっている発言であって,それを改めて公にすることによる不利益は何ら想定されない。 また,日本側の発言が韓国内の正規学校卒業者としての資格に関する示唆であったとすれば,その資格を決定するのは韓国政府自身であって,日本政府の示唆は単に韓国での教育行政に対する事務的な協力の可能性に言及したという意味しかない。そのような事務的協力の可能性への言及は,どのように評価しても,今後の韓国政府との外交交渉事務において信頼関係や交渉上の不利益をもたらすものではない。 さらに,日本政府は,従前,民族学校(韓国学校及び朝鮮学校)を卒業した在日朝鮮,韓国人の大学進学資格を認めない扱いを続けてきた。しかし,平成11年9月に実施された大学入学資格検定試験(平成17年度からは高等学校卒業程度認定試験)の受検資格の拡大や,平成15年9月の文部科学省告示の改正により各大学が個別の入学資格審査により入学資格を認めることを可能と- 76 -したことによって,民族学校の卒業生が国公立を含む日本の大学に入学することの障害が取り払われた。その意味において,日韓会談当時,韓国学校について日本政府がどのような示唆を韓国側に行っていたかに関する事実は,現在においては何ら日本政府の韓国政府に対する外交交渉に影響を与えるものではない。 ,。 上記の事情は外交関係が開設されていない北朝鮮との関係でも同様であるすなわち,北朝鮮当局は,韓国側が開示した会合の記録を通じて,民族学校卒業者の資格認定に関する日韓会談当時の日本側の対応を知ることができる。次に,不開示部分の内容が韓国内の正規学校卒業者としての資格に関する示唆であったとすれば,同様に北朝鮮内の正規学校卒業者としての資格は北朝鮮当局が決定することができる事項であって,日本政府の事務的協力の示唆は,日朝 内容が韓国内の正規学校卒業者としての資格に関する示唆であったとすれば,同様に北朝鮮内の正規学校卒業者としての資格は北朝鮮当局が決定することができる事項であって,日本政府の事務的協力の示唆は,日朝の外交交渉においてさほどの重要性を持つものではない。また,朝鮮学校卒業者の大学進学資格については,韓国学校と区別なく大学の個別資格認定が可能なものとなっているのであり,外交交渉による解決の必要性は大きく減少している。したがって,本件文書10の不開示部分は,それを公にしたとしても,日朝国交正常化交渉における不利益や支障をもたらすものではない。 よって,上記不開示部分を情報公開法5条3号及び6号により不開示とすることはできない。 第11本件文書11について(被告の主張) 不開示情報の内容本件文書11は,外務省が作成した文書であり,内容は,日韓国交正常化交渉の過程における第4次日韓会談の概要及び上記交渉における日本政府の対応等について日本政府内部で検討した試案の内容等が記録されている。 本件文書11の不開示部分は,181枚目(約7行分),182枚目(約9行分)及び183枚目(約2行分)であり,いずれも,日韓会談が不調に終わった場合に日本政府が採るべき措置について日本政府内部で検討した内容が記録- 77 -されている。 181枚目の上から3行分の不開示部分に記録されているのは,日韓会談が不調に終わった場合に日本政府が採るべき基本方針であり,実際に実施される段階においても外交交渉上いわゆる水面下で実施される方策に関する情報である。 181枚目の上から5行目から約4行分の不開示部分に記録されているのは,日韓会談が不調に終わった場合に日本政府が採るべき具体的措置について,,具体的な事項を項目1とし以下(イ)(ロ)(ハ)と3項目が記録されていると 目から約4行分の不開示部分に記録されているのは,日韓会談が不調に終わった場合に日本政府が採るべき具体的措置について,,具体的な事項を項目1とし以下(イ)(ロ)(ハ)と3項目が記録されているところいずれも,現在友好関係を維持している韓国政府との信頼関係が損なわれるがい然性を有する内容である。 182枚目及び183枚目の不開示部分に記録されているのは,日韓会談が不調に終わった場合に日本政府が採るべき具体的措置としての海上警備強化及び漁船保護についての具体的措置である。 不開示事由本件文書11の各不開示部分は,いずれも日韓会談が不調に終わった場合に日本政府が採るべき具体的措置について,日本政府内部において検討した試案の具体的な内容が記録されていることから,不開示部分の各情報が開示されれば,日韓会談が不調に終わった場合に日本政府が採るべき措置として不開示部分の具体的措置が検討されていたことが韓国側に知られることとなり,その事実自体が韓国国内で問題視され,韓国政府のみならず報道機関や韓国国民からも非難を浴びる結果となりかねず,基本的価値を共有する重要な隣国である韓国との信頼関係が損なわれるおそれが高く,韓国政府との外交交渉事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある。 さらに,日朝国交正常化交渉においても,日韓会談が不調に終わった場合の具体的措置として日本側が検討していた内容を北朝鮮当局が知るところとなれば,北朝鮮側に日本政府に対抗するための交渉戦術を策定する情報を提供することとなり,北朝鮮当局との交渉上日本政府が不利益を被ることとなるがい然- 78 -性が高い。 よって,上記各不開示部分に記録された情報は,文書に記録されている内容が「公にすることにより,韓国との信頼関係が損なわれるおそれ及び日朝国交正常化交渉において不利益を被るお - 78 -性が高い。 よって,上記各不開示部分に記録された情報は,文書に記録されている内容が「公にすることにより,韓国との信頼関係が損なわれるおそれ及び日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある」不開示情報(情報公開法5条3号)に該当するのみならず,今後,日本政府における韓国政府及び北朝鮮当局との交渉における事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある不開示情報(情報公開法5条6号)にも該当する。 (原告らの主張) 不開示情報の内容について(1)被告は,181枚目の上から3行分の不開示部分について,日韓会談が不調に終わった場合に日本政府が採るべき基本方針であり,実際に実施される段階においても外交交渉上いわゆる水面下で実施される方策に関する情報で。 ,,「」あると主張するしかし被告は水面下で実施される方策に関する情報と述べる以上にどのような問題について言及したものであるかを主張しないことから,それが基本方針であるという以上に,どのような点において,開示することにより各種の支障をもたらす可能性があるのかを具体的に検討することができない。また,基本方針にもかかわらず開示されている先行する部分に比して,なぜこの部分を不開示とする必要があるのかについても判断材料は何ら提供されていない。その意味で,被告の不開示部分に関する主張は,不開示事由としての主張の前提を欠くものである。 なお,この不開示部分をあえて推測すれば,それに先行する部分の記載内容等と対比すると,中長期的に各種の強硬措置を採ることによって韓国と対じする可能性を否定しないとの外交方針が記録されていると推測される。 (2)被告は,181枚目の上から5行目から約4行分の不開示部分について,日韓会談が不調に終わった 措置を採ることによって韓国と対じする可能性を否定しないとの外交方針が記録されていると推測される。 (2)被告は,181枚目の上から5行目から約4行分の不開示部分について,日韓会談が不調に終わった場合に日本政府が採るべき具体的措置について具体的な事項を項目1とし,以下(イ)(ロ)(ハ)と3項目が記録されている旨主張- 79 -するところ,被告は,その項目名も不開示とし,それが何についての具体的な措置であるのかも主張しようとしない。したがって,この不開示とされた「具体的措置」が,どのような点において,開示することにより各種の支障をもたらす可能性があるのかを具体的に検討することができない。また,同じ「具体的措置」であるにもかかわらず,項目が開示されている第2項以下に比して,なぜこの部分を不開示とする必要があるのかについての判断材料は何ら提供されていない。その意味で,被告の不開示部分に関する主張は,不開示事由としての主張の前提を欠くものである。 なお,上記不開示部分の後に記録された「具体的措置」の内容等から上記不開示部分をあえて推測すれば「具体的措置」の総論的な外交上の対抗措,。 ,置が記録されていたと推測されるそして総論的な外交上の対抗措置のうち平和的な手段として想定することができるのは,最も強硬とされる外交関係の断絶,又はそれに準ずる大使館的な役割をしている駐韓代表部の閉鎖等があり得る。 (3)被告は,182枚目及び183枚目の不開示部分について,日韓会談が不調に終わった場合に日本政府が採るべき具体的措置としての海上警備強化及び漁船保護についての具体的措置が記録されている旨主張するが,不開示部分とされているのは11行分の記載であり,措置の詳細な内容が記録されているとは考えられず,開示されている「イ)海上保安庁による警備体制の( についての具体的措置が記録されている旨主張するが,不開示部分とされているのは11行分の記載であり,措置の詳細な内容が記録されているとは考えられず,開示されている「イ)海上保安庁による警備体制の(量的増強」との記載と比較しても,抽象的な措置の項目が列挙されているにすぎないものと考えられる。そのような措置の項目の列挙が,なぜ不開示事由に該当する程度の性質を持つ情報であるのかについて,被告はその判断の前提となる主張を行っていない。 不開示事由について(1)まず,不開示部分に関する被告の主張は,被告が主張するような問題点を有するのかどうかを判断するには抽象的にすぎ,不開示事由としての主張の前提を欠いている。 - 80 -(2)また,被告の不開示部分に関する主張は,不開示部分が,他の開示されている内部検討事項と比較して,なぜ被告の主張するような問題点を持つのかについて,何ら明らかにされていない。被告は,不開示部分が一般の内部検討事項や他の開示部分と比較して,どのような性質を持った情報であるのかを主張するべきであり,それを欠いた主張は,不開示事由の主張として失当である。 (3)さらに,韓国との関係では,半世紀前の日本政府の内部検討事項の開示が,今日の安定した外交関係にある韓国政府との信頼関係を損なうとは考えられず,今日の北朝鮮当局との交渉において日本政府の外交交渉上の利益を損なうほどの影響を持つとは考えられない。 (4)そして,不開示部分の内容に照らしても,被告の主張する不開示事由は存在しない。すなわち,181枚目の上から3行分の不開示部分は,中長期的に韓国と対じすることの可能性を含む外交方針を採るべきことが記録されていると推測され,181枚目の上から5行目から約4行分の不開示部分も交渉決裂の場合の外交関係の断絶やそれに準ずる措 分は,中長期的に韓国と対じすることの可能性を含む外交方針を採るべきことが記録されていると推測され,181枚目の上から5行目から約4行分の不開示部分も交渉決裂の場合の外交関係の断絶やそれに準ずる措置等の総論的な外交上の対抗措置が記録されていると推測される。しかし,国家間の外交交渉が決裂した場合に備えて,対決的方針や外交上の対抗措置が検討されることは,外交交渉において何ら不自然なことではないし,日本政府がそ,のような対決的方針や外交上の対抗措置を当時検討していたという事実が今日,安定した外交関係を築いている韓国や,逆にら致問題などをめぐって既に対立を続けている北朝鮮との関係で,特段の外交上の影響をもたらすことは考え難い。 また,182枚目及び183枚目の不開示部分は,海上警備強化及び漁船保護措置に関する情報であるが,11行分の記載であり,措置の詳細な内容が記録されているとは考えられない。そして,侵略や戦争を放棄した日本国憲法の下で,日本政府部内で検討した海上警備強化及び漁船保護措置は,国際法や国内法の下で合法とされる措置であったであろうことは容- 81 -易に想定されるから,国家が領海内又は公海上で海上警備強化及び漁船保護のために採ることができる措置はおのずから限定され,そのような措置は,当該文書作成当時の韓国においても,あるいは今日の北朝鮮においても,当然に想定の範囲内にある情報であるといえる。したがって,そのような措置の内容が,詳細な内容を伴わずに明らかとなったとしても,韓国。 政府との信頼関係や北朝鮮当局との外交交渉に影響を及ぼすとは考え難い(5)よって,上記不開示部分を情報公開法5条3号及び6号により不開示とすることはできない。 第12本件文書12について(被告の主張) 不開示情報の内容本件文書12は,外務省が は考え難い(5)よって,上記不開示部分を情報公開法5条3号及び6号により不開示とすることはできない。 第12本件文書12について(被告の主張) 不開示情報の内容本件文書12は,外務省が作成した文書であり,内容は,日韓国交正常化交渉の過程における在日朝鮮人の北朝鮮帰還問題と帰還協定の締結について日本政府の対応等について日本政府内部で検討した内容等が記録されている。 本件文書12の不開示部分は,①22枚目(約3行分)及び②48枚目(約3行分)である。 ①22枚目の不開示部分には,当時,在日朝鮮統一民主戦線(以下「民戦」という)議長であったP5に係る出入国許可問題に関して,日本政府内部で。 検討された情報が記録されている。 ②48枚目の不開示部分には,在日朝鮮人の北朝鮮帰還について,外務省アジア局第五課(当時)が作成した「北鮮への帰還希望者の送還問題処理方針」において在日朝鮮人を北朝鮮に帰還させることが大局的に有利であるという結論に達した具体的理由や価値判断につき,当時の日本政府内部で検討された率直な意見等が記録されている。 不開示事由(1)本件文書12の22枚目の不開示部分には,P5の出入国許可問題に関して,日本政府がP5という人物の行動をどのようにとらえ,かつ,評価して- 82 -いたのかについて,その捕そく及び判断を行った具体的機関名と内容が明確に記録されているのであり,このような内容が明らかになれば,日本国内における公共の安全,秩序の維持の在り方が具体的に推測され,支障をもたらすおそれがあると判断される情報である。また,上記の内容は出入国許可問題に関する日本政府の対応に関するものであるから,外国人の出入国に関する事務の遂行にも支障を及ぼすおそれがある。 さらに,上記の内容が明らかになれば,現在継続中の日朝国交正常化 記の内容は出入国許可問題に関する日本政府の対応に関するものであるから,外国人の出入国に関する事務の遂行にも支障を及ぼすおそれがある。 さらに,上記の内容が明らかになれば,現在継続中の日朝国交正常化交渉や,その中で議論されることが想定され得る在日朝鮮人の法的地位等に関する議論に対し具体的な影響を与える可能性がある。 したがって,本件文書12の22枚目の不開示部分に記録された情報は,当該情報を開示にすることにより,我が国の公共の安全,秩序の維持に影響が及ぶおそれがあると合理的に推認され,文書に記録されている内容が「公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持その他公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある」不開示情報(情報公開法5条4号)に該当するのみならず「日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると行政機,関の長が認めることにつき相当の理由がある」不開示情報(情報公開法5条3号)及び「外国人の出入国に関する事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」不開示情報(情報公開法5条6号)にも該当する。 (2)本件文書12の48枚目の不開示部分には,在日朝鮮人の北朝鮮帰還について,日本政府内部で検討した結果,大局的に有利であるという結論に達した具体的理由や価値判断についての当時の日本政府内部での率直な検討状況が記録されているのであり,当該不開示部分が開示されると,在日朝鮮人が日本に居住することと北朝鮮に帰還させることとを比較検討した内容やその際の価値判断が露呈することになり,日朝国交正常化交渉において,北朝鮮当局に当該交渉を有利に推進するための口実を与えかねないこととなり,さらに,当該記載内容は,日本政府部内における,開示しないことを前提とし- 83 -た韓国に ,日朝国交正常化交渉において,北朝鮮当局に当該交渉を有利に推進するための口実を与えかねないこととなり,さらに,当該記載内容は,日本政府部内における,開示しないことを前提とし- 83 -た韓国に対する率直な評価等を記録したものであり,これを公にすることにより,基本的価値を共有する重要な隣国である韓国との間で,信頼関係が損なわれるおそれも十分にある。 よって,上記不開示部分に記録された情報は,文書に記録されている内容が「公にすることにより,韓国との信頼関係が損なわれるおそれ及び日朝国交正常化交渉において不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある」不開示情報(情報公開法5条3号)に該当するのみならず「今後,日本政府における韓国及び北朝鮮との交渉における事,務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」不開示情報(情報公開法5条6号)にも該当する。 (原告らの主張) 不開示情報の内容について(1)22枚目の不開示部分について,被告は,P5の行動の捕そく及び判断を行った機関名と内容が記録されていると主張するところ,まず,捕そく及び判断を行った機関とは,公安調査庁であることが容易に推測することができる。また,その内容は,不開示部分の前後の記載からすれば,P5に対し出入国許可という便宜を与える理由の一つを記録したものと推測される。 (2)48枚目の不開示部分について,その前後の記載に照らすと,北朝鮮への帰還を促進し,そのために日本政府が帰還旅費を援助すべき理由として,当時の韓国の国内状況に照らして北朝鮮への帰還希望者を韓国に送還した場合,。 には人道その他の問題を生じる可能性について記録したものと推測される 不開示事由について(1)22枚目の不開示部分について,P5に関する問題があったのは昭和28年の 韓国に送還した場合,。 には人道その他の問題を生じる可能性について記録したものと推測される 不開示事由について(1)22枚目の不開示部分について,P5に関する問題があったのは昭和28年のことであり,民戦も昭和30年に解散している。このような時期の公安及び出入国管理に関する判断が,現時点において関係当事者及び団体に影響を持たないことは明らかであり,現在の行政実務に何らかの影響力を持つとも考え難い。 - 84 -また,不開示情報の内容は,P5の出入国許可を正当化する理由であるところ,P5の行動を捕そく及び判断した結果として,同人に関する好材料の一つを明らかにすることが公共の安全及び秩序の維持と抵触するとは考え難いし,また,同人に関する好材料を考慮した事実を明らかにすることが出入国の判断の支障となるとも考えられない。 さらに,仮に,公安調査庁がP5を内通者又は協力者として取り扱おうとし,また,入国管理局がそのような公安調査庁への内通又は協力を出入国の判断の好材料として列挙していたとしても,公安機関が規制対象組織に内通者や協力者を持とうとすることは一般の常識に属し,かかる推測を持たれることが公安機関の業務に支障を与えるものではないし,半世紀以上も前の実施例を理由に現在の実務を推測することもできない。出入国管理行政についても,法務大臣に外交関係や政治判断も含む広範な裁量権が与えられている下で,内通や協力を判断材料に加えたことを明らかにしたからといって法務大臣の裁量権が規制されるものではなく,併せて,半世紀以上も前の裁量権行使の実例が,現在の出入国管理行政に対する批判や期待を招くとは考え難い。 よって,上記不開示部分を情報公開法5条3号,4号及び6号により不開示とすることはできない。 (2)48枚目の不開示部分について,まず,この不 出入国管理行政に対する批判や期待を招くとは考え難い。 よって,上記不開示部分を情報公開法5条3号,4号及び6号により不開示とすることはできない。 (2)48枚目の不開示部分について,まず,この不開示部分を含む「北鮮への帰還希望者の送還問題処理方針」が作成された昭和30年当時,日本が韓国の国内状況に懸念を抱いていたとしても特段奇異なことではなく,半世紀以上も前の韓国の政治体制について,当時の日本政府が帰還問題にかかわる人道上の懸念を抱いていたことが公になったとしても,そのことが現在の韓国政府との関係や事務の適正な遂行を損なうおそれはない。 また,当時の韓国の国内状況との比較において,北朝鮮への帰還が相対的に良い選択である旨の評価が記録されていたとしても,それは半世紀以上も前の両国の政治状況に対する評価にすぎず,それをもって,外交交渉を有利- 85 -に運ぶことができると北朝鮮当局が期待するといった結論を導くことはできない。 さらに,北朝鮮への帰還事業は,昭和34年に開始され,昭和59年に終了しており,日本政府が昭和30年当時,どのような判断の下に帰還事業を開始したかという理由は,歴史的な研究の対象となることはあり得ても,既に終了した帰還事業の遂行に影響を与えることはあり得ない。 よって,上記不開示部分を情報公開法5条3号及び6号により不開示とすることはできない。 第13本件文書13について(被告の主張) 不開示情報の内容本件文書13は,外務省アジア局北東アジア課(当時)内に設置された日韓国交正常化交渉史編纂委員会が作成した資料であり,竹島問題に関する各文献資料の標題の記載に続き,それぞれに記録された内容について概略を説明したものが記録されている約40ページの「竹島問題に関する文献資料が記載された部分(以下「本件文献資料」とい 竹島問題に関する各文献資料の標題の記載に続き,それぞれに記録された内容について概略を説明したものが記録されている約40ページの「竹島問題に関する文献資料が記載された部分(以下「本件文献資料」という)と「竹島問題を巡る日韓政府間の」。 やりとりについての事実関係が時系列に記載された部分(以下「時系列」と」いう)によって構成されている。そして,本件文献資料と時系列とはそれぞ。 れ独立した一体的情報であると解され,本件文書13は,本件文献資料と時系列の2個の情報によって構成されているといえる。 本件文献資料は,外務省アジア局北東アジア課(当時)内に設置された日韓国交正常化交渉史編纂委員会が内部資料として作成したものであり,約90の文献資料について各文献資料の標題の記載に続き「各文献資料に記載された内容についての概要説明」が記録されている。また,約90の文献資料中,外務省が作成した内部資料は約6割を占めている。他方,時系列は,日本政府が韓国政府との関係で竹島問題を採り上げることとなった原因事実を把握するに至った端緒を含め,竹島問題をめぐる日韓政府間のやり取りについての事実関係- 86 -が時系列で記録されたものである。 不開示事由(1)本件文献資料は,外務省アジア局北東アジア課(当時)内に設置された日韓国交正常化交渉史編纂委員会が作成したものであるが,竹島問題に係る日本政府の交渉方針や政策を立案,策定するために,重要と判断された文献資料のみを収集して作成され,実際に上記交渉方針や政策の立案,策定に使用された資料である。 したがって,本件文献資料は,当時存在した文献資料を無作為,網羅的に収集した単なるリストではなく,また,各文献資料には公刊されているものも存するが,公刊物といってもその大部分は外務省作成の文書であり,市販されてい 文献資料は,当時存在した文献資料を無作為,網羅的に収集した単なるリストではなく,また,各文献資料には公刊されているものも存するが,公刊物といってもその大部分は外務省作成の文書であり,市販されているものではなく,その存在が広く知られていないものや通常は入手困難なものが多く含まれている。 そして,外務省で作成された内部文書には,竹島問題に関する領有権についての法律上の見解及び調査資料等韓国政府と竹島問題に関して外交交渉を行うため準備として作成された秘密資料も含まれており,文書名を明らかにするだけでも上記外交交渉における「手の内」を明かすことになり上記外交交渉上不利益を被るおそれがある内部文書も存する。 さらに,公刊されている文献資料については,その文書名が明らかになれば,その文書の記載内容の概要が容易に知られてしまうばかりでなく,前記のとおり,公刊物といっても,その存在が広く知られておらず,通常は入手困難であると考えられるものについても,積極的に収集し,文献資料そのものを詳細に分析する端緒を与えることになり,竹島問題について日本側がいかなる歴史的視点や法的視点から分析,検討しているかが韓国政府に覚知される可能性がある。 竹島問題は微妙な対応を余儀なくされる未解決の重要問題であり,交渉当事者である我が国が,その方針を検討するに当たって重要と考えて収集,整理した文献資料のリスト及びその概要が,一方的に交渉相手国である韓国政- 87 -府に知られ得る状態になることは,我が国の交渉上の地位を一方的に不利益にするものであるし,公刊物といっても,全国の書店で容易に入手できるようなものではないのであり,外交方針決定上,重要なもののみ選別されているのであるから,開示により上記不利益を被るおそれがないとはいえない。 よって本件文書13のうち本件文献資料に で容易に入手できるようなものではないのであり,外交方針決定上,重要なもののみ選別されているのであるから,開示により上記不利益を被るおそれがないとはいえない。 よって本件文書13のうち本件文献資料についてはその内容全部が公,,「にすることにより,韓国との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の」()長が認めることにつき相当の理由がある不開示情報情報公開法5条3号に該当する。 なお,本件文献資料は竹島問題について日本政府が韓国政府と交渉する上での交渉方針及び政策を立案,策定する上で役立つ内容を含んだ資料を意図的,選択的に収集したものであり,文書全体が一体となって情報としての価値を有する「独立した一体的な情報」であると認められるから,本件文献資料をさらに細分化して情報公開法6条2項により部分開示する義務はないし,各文献資料に関する記載すべてについて,それぞれ不開示事由が存在するというべきであるから,情報の単位を論ずるまでもなく,全部不開示が相当であるともいえる。 (2)時系列は,日本政府が竹島問題に関する交渉方針や政策を立案,策定する際の資料として参照することを目的として作成された内部文書であり,ある特定の視点及び目的に基づいて竹島に関する事項が時系列として記録されたものであるから,文書全体が一体となって情報としての価値を有する「独立した一体的な情報」であると認められる。したがって,時系列をさらに細分化して情報公開法6条2項により部分開示する義務はなく,その内容全部が「公にすることにより,韓国との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある」不開示情報(情報公開法5条3号)に該当する。 (原告らの主張) 不開示情報の内容について- 88 -被告の主張により明らかになった本件文書13の 機関の長が認めることにつき相当の理由がある」不開示情報(情報公開法5条3号)に該当する。 (原告らの主張) 不開示情報の内容について- 88 -被告の主張により明らかになった本件文書13の内容等は次のとおりである。すなわち,本件文書13は,外務省アジア局北東アジア課(当時)内に設置された日韓国交正常化交渉史編纂委員会が作成した,全体で約40ページの文書であり,竹島問題に関する文献資料のリスト及びその概要等を記録したものである。採り上げられている文献資料の数は合計約90点であり,その中には公刊されている資料も含まれており,外務省で作成されたと考えられる内部資料はそのうち約6割である。上記リスト及び概要には,文献資料の標題の記載があり,個々の標題の記載に続けて,対応する文献資料の概要が記録されている。 本件文書13は,竹島問題に関する文献資料の標題とその概要紹介を主な内容とするものであるが,竹島問題をめぐる日韓政府間のやり取りについての事実関係が時系列で記録された部分が一部に存する。ただし,文献資料はその時系列とは無関係に記録されている。 上記文献資料には,竹島問題に関する歴史的経緯に関する論文や,領有権についての法律上の見解及び調査資料等が含まれている。日本政府が韓国政府との関係で竹島問題を採り上げることとなった原因事実を把握するに至った端緒を含め,竹島問題をめぐる日韓政府間のやり取りについての事実関係も記録されている。 なお,被告は,上記文献資料のリスト及びその概要等と時系列のそれぞれが「独立した一体的な情報」であり,それらを更に細分化してその一部を不開示とすることは義務付けられないと主張するが,このような主張は情報公開法6条に係る立法の経緯や立法趣旨を無視するものであり,同条の解釈を誤るものである。 不開示事由について 化してその一部を不開示とすることは義務付けられないと主張するが,このような主張は情報公開法6条に係る立法の経緯や立法趣旨を無視するものであり,同条の解釈を誤るものである。 不開示事由について(1)文献資料のリスト及びその概要等について被告は,文献資料のリスト及びその概要を開示することにより,外交交渉の「手の内」を明かすことになると主張するのみで,当該文書の内容がなぜ- 89 -不開示事由に該当するのかについては抽象的な主張に終始している。かえって,被告による広報活動や国会審議における政府答弁等を通じて,竹島問題に関する被告の具体的な考え方や分析法,立論等の多くは,既に公になっている。 また,本件文書13は,竹島問題に関する文献資料のリスト及びその概要等を記録した文書にすぎない。一国の外交政策に関する事務をつかさどる外務省としては,竹島問題を検討するに当たり,関連する文書を,その文書がいかなる立場から作成されたものであるかなどにかかわらず広く収集,検討すべきことが求められるのは当然のことである。そして,参考資料の名称や内容と,当該参考資料を保有し,検討した者の見解又は方針はしゅん別すべきものである。仮に,外務省が竹島問題について様々な立場から作成された資料を保有していたとしても,外務省が竹島問題についていかなる考えを持ち,いかなる分析法,立論等を採用するかが明らかになるものではないし,公刊物である文献の存在が広く知られていないことや,入手が困難なものが多く含まれていることは,それらを情報公開請求の対象から除外し,不開示とする根拠にはならない。 さらに,本件文書13に記録された文献資料は,約半世紀前に,日韓会談に際して外務省内に設けられた日韓国交正常化交渉史編纂委員会なる委員会が検討ないし保有していた資料に限られる。したがっ はならない。 さらに,本件文書13に記録された文献資料は,約半世紀前に,日韓会談に際して外務省内に設けられた日韓国交正常化交渉史編纂委員会なる委員会が検討ないし保有していた資料に限られる。したがって,その後,現在までの間に外務省が新たに入手し,検討した資料等は,本件文書13が全面開示になったとしても依然として不明であるし,これにより,現在の被告又は外務省が竹島問題についていかなる見解や方針を持っているかが明らかになるものではない。 (2)時系列について日韓政府間のやり取りについての事実関係は公の事実であり,交渉相手国の韓国は当然に把握しているはずであるから,開示によって外交上の不利益が生じるおそれがない。また,上記時系列は,外務省が政策を立案ないし策- 90 -定する際の資料として参照したというのであるから,事実については広く時系列で記載しておく必要があるはずであり,時系列が開示されたからといって,その内容から日本政府の内部的対応状況が明らかになるというものではない。さらに,上記時系列は,約半世紀前に作成されたものであり,これを開示することが外交上の不利益を生じさせるものではない。 (3)よって,本件文書13を情報公開法5条3号により不開示とすることはできない。
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