平成20年2月20日判決言渡平成17年第26697号損害賠償請求事件( )ワ判決主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求 被告らは,原告Aに対し,連帯して1億5993万9849円及びこれに対する平成18年1月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告らは,原告Bに対し,連帯して550万円及びこれに対する平成18年1月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要 事案の要旨原告Aは,被告国の開設・運営するC病院との間で診療契約を締結して,ぶどう膜炎及び続発緑内障等の治療のために入通院し,その後,同病院の医師らの勧めによりD病院に転院して,同病院において続発緑内障手術等の治療を受けたものの,視神経の損傷・萎縮により両眼ともに視力を喪失するに至った。 本件は,原告らが,被告E医師を含むC病院の医師らのリンデロンAの点眼を中止したこと,緑内障手術を適切な時期に行わなかった等の過失行為によって,原告Aが失明するに至ったなどとして,原告Aが被告国に対し,債務不履行又は不法行為(使用者責任)に基づき,被告E医師に対し,不法行為に基づき,連帯して損害額の一部である1億5993万9849円及びこれに対する不法行為日の後であり,訴状送達の翌日である平成18年1月17日から支払 済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を,原告Bが被告らに対し,不法行為に基づき,連帯して550万円及びこれに対する不法行為日の後であり,訴状送達の翌日である平成18年1月17日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を請求した事案である。 前提となる事実(証拠等を掲記しない事実は当事者間に争いがない) であり,訴状送達の翌日である平成18年1月17日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を請求した事案である。 前提となる事実(証拠等を掲記しない事実は当事者間に争いがない)。 当事者( )ア原告A(以下「原告A」という)は,昭和16年6月9日生まれ(平。 成14年11月当時61歳)の男性であり,原告Bは,原告Aの妻である(甲A19,乙A1,2。 )原告Aは,法律関係の著述・講演等を業としており,医療訴訟に関する著述・講演も多数行っていた(乙B15,原告A。 )イ被告国は,平成14年当時,C病院(以下「被告病院」という)を開。 設・運営しており,被告E(以下「被告E医師」という)は,平成14。 年当時,被告病院に眼科医として勤務していた医師である。 事実経過( )ア原告Aは,平成13年頃から,ぶどう膜炎及びぶどう膜炎による続発緑内障の治療のためF病院に通院し,リンデロンA(副腎皮質ホルモン薬(ステロイド薬)の抗炎症点眼薬)等の薬剤による治療を受けていた(甲A6,乙A3。 )イ平成14年11月12日,原告Aは,F病院眼科のG医師(以下「G医師」という)から,右眼の角膜内皮細胞が減少しているので,右眼の緑。 内障の手術を受けた方がよいと勧められたが,手術に対する不安があったことなどから,手術の必要性について改めて判断してもらおうと考え,同)。 月15日,被告病院眼科を受診した(甲A15①,②,乙A1,原告A原告Aを診察した被告病院の被告E医師は,手術の判断をする前に原告Aの緑内障がステロイド緑内障の疑いがあると考え,その鑑別のために, リンデロンAの点眼を中止することとしたが,その数日後,原告Aは両眼にかすみがかかったような状態となり,視力も低下したことから,同月19日に再度被告病院を受 疑いがあると考え,その鑑別のために, リンデロンAの点眼を中止することとしたが,その数日後,原告Aは両眼にかすみがかかったような状態となり,視力も低下したことから,同月19日に再度被告病院を受診した。被告E医師は,原告Aの両眼に炎症所見がみられ,眼圧は右55mmHg,左56mmHgと極めて高く,角膜上皮浮腫及び前房内の炎症が認められ,矯正視力も右0.05,左0.05と初診時より低下していたことから,原告Aに緊急入院して手術を受けることを勧めたが,原告Aが仕事を理由に難色を示したことから,リンデロンAの点眼を再開し,1日当たり750mg(3錠)のダイアモックス(炭酸脱水酵素阻害薬)の服用を指示するなどして,外来にて経過を観察することとした(乙A1,被告E医師,原告A)。 ウ原告Aは,平成14年11月25日,H医師(以下「H医師」という)の診察を受け,同医師から,現段階で右眼について手術の必要はな。 いと診断されたが,ぶどう膜炎の原因を調べるため,平成14年11月26日に被告病院に入院した。原告Aは,平成15年1月1日に退院するまでの入院期間中に,リンデロンAやトルソプト(炭酸脱水酵素阻害薬)等の点眼,デカドロン(ステロイド薬)の結膜下注射等の薬物療法を継続して受けた。しかし,左眼については,十分な眼圧下降は得られず,角膜浮腫が残存し,視力の低下したまま退院となった(乙A1,2)。 また,原告Aは,被告病院入院中の平成14年12月2日,嘔吐と左側腹部痛を訴えていたことから,ダイアモックスの副作用による尿路結石の疑いがあるとして,ダイアモックスの服用を中止することとされた。 原告Aは,被告病院を退院後も,ほぼ週に1度のペースで被告病院へ通院し,ぶどう膜炎の消炎及び眼圧のコントロールを目的として薬物療法を継続して受けたが,通院中,眼 ックスの服用を中止することとされた。 原告Aは,被告病院を退院後も,ほぼ週に1度のペースで被告病院へ通院し,ぶどう膜炎の消炎及び眼圧のコントロールを目的として薬物療法を継続して受けたが,通院中,眼圧は概ね右20mmHg台,左30mmHg台で推移し(正常眼圧の上限は21mmHg,被告病院の入院前に生)じていた左眼の角膜上皮浮腫は改善することはなく,また,平成15年3 月下旬ころからは,右眼についても角膜上皮浮腫が生じ,同年4月下旬ころには,両眼とも,視力が極めて低下した状態となった(甲A2,4,。 19,甲B7,乙A1,2)エH医師は,原告Aの今後の治療方針について他病院の助言を求めるため,平成15年4月28日にI病院J医師(以下「J医師」という)に,5。 月6日にK病院L医師(以下「L医師」という)にそれぞれコンサルト。 (意見照会)を行ったところ,両医師から緑内障手術をした方がよいとの指摘を受け,原告Aの手術を決定した。しかし,原告Aの角膜浮腫が強いことから,角膜移植が必要となるものと考え,原告Aに角膜の手に入りやすいD病院(以下「D病院」という)を紹介し,同病院を受診してもら。 うこととした(甲A4,乙A1,証人H医師,J医師,L医師の各書面。 尋問事項回答書)オ原告Aは,平成15年5月13日,H医師の紹介を受け,D病院を受診し,同月20日には,緑内障手術を受けるため,同病院へ入院した。そして,同月21日に右眼について,5月26日に左眼についてそれぞれ繊維柱帯切除手術を受けたが,同手術によっても原告Aの視力は回復することはなかった。その後も,原告Aは,同病院へ通院するなどして治療を継続したが,結局視力が回復することはなく,その後完全に失明(視力喪失)の状態となった(甲B1,乙A1,M医師の書面尋問事項回答書,弁論。 かった。その後も,原告Aは,同病院へ通院するなどして治療を継続したが,結局視力が回復することはなく,その後完全に失明(視力喪失)の状態となった(甲B1,乙A1,M医師の書面尋問事項回答書,弁論。 の全趣旨) 争点 適時に緑内障手術を行わなかった過失の有無( ) リンデロンAの点眼中止の危険性についての説明義務違反の有無( ) リンデロンAの点眼を中止した過失の有無( ) ダイアモックスを過剰に投与した過失の有無( ) 過失と失明との因果関係( ) ア適時に緑内障手術を行わなかった過失と失明との因果関係の有無イリンデロンAの点眼中止による失明の危険性についての説明義務違反と失明との因果関係の有無ウリンデロンAの点眼を中止した過失と失明との因果関係の有無 ダイアモックスを過剰に投与した過失と尿路結石との因果関係の有無( ) 損害額( ) 争点についての当事者の主張争点についての当事者の主張は別紙主張要約書のとおりである。 第3当裁判所の判断 認定事実前提となる事実のほか,証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 F病院における診療経過等( )ア原告Aは,被告病院を訪れる以前から,F病院に通院し,ぶどう膜炎及びぶどう膜炎を原因とする続発緑内障の治療を受けていた。 F病院通院中,原告Aの眼には,平成13年10月30日から継続して結膜浮腫が確認されていたが,眼圧は,リンデロンA,トルソプト,リズモンTG(β遮断薬,ダイアモックス等の投薬(F病院におけるダイア)モックスの処方量は下記のとおりである)によって,平成14年5月頃。 までは,時折30mmHgを超える数値が見られたものの,基本的には,正常とされる10mmHgないし21mmHgの範囲内で推移していた。 しかし, 量は下記のとおりである)によって,平成14年5月頃。 までは,時折30mmHgを超える数値が見られたものの,基本的には,正常とされる10mmHgないし21mmHgの範囲内で推移していた。 しかし,平成14年6月ころから,左眼の眼圧が21mmHg以上の数値を示すようになり,そして同年8月ころからは,右眼についても21mmHg以上の数値を示すようになった。F病院眼科のG医師は,平成14年6月26日,左眼眼圧が27mmHgに上昇したため,リンデロンAによるステロイド緑内障を疑い,左眼のみリンデロンAの点眼を中止してフル メトロン(リンデロンAに比べると眼圧が上昇しにくいステロイド点眼剤)に変更してみたが,眼圧は28mmHgと変化がなかったことから,リンデロンAの点眼を継続した(ただし,ステロイド点眼剤を中止した訳ではなかったので,眼圧が変化しなかった可能性がある(甲A9,1。)。 5②,乙A1)(ダイアモックス処方量)平成14年4月23日1日1錠(250mg)を2日分4月30日1日2錠(500mg)を2日分5月1日1日2錠(500mg)を2日分8月30日1日1錠(250mg)を7日分9月24日1日1錠(250mg)を7日分イF病院のG医師は,平成14年11月12日,眼圧が右34mmHg,左44mmHgと前回(10月22日)の診察時の右19mmHg,左24mmHgから大きく上昇しており,角膜内皮細胞数が,右1694,左2583と減少していることを確認した。そこで,G医師は,従前の治療の経過からして眼圧のコントロールができておらず,右眼の角膜内皮細胞が減少し,角膜内皮障害が進行していたことから,原告Aに対し,緑内障手術をして今より見えるようになることはないが,今のうちに右眼について手術を行い,高眼圧による角膜内皮障害 らず,右眼の角膜内皮細胞が減少し,角膜内皮障害が進行していたことから,原告Aに対し,緑内障手術をして今より見えるようになることはないが,今のうちに右眼について手術を行い,高眼圧による角膜内皮障害進行を抑制しなければ,手術時期を逸することになるなどと説明し,手術を勧め,原告Aがこれに同意したことから,12月5日に手術を予約した(甲A1,6,9,15②)。 被告病院における経過( )被告病院における診療の経過の概要は以下のとおりであり,その他の各診察時の検査値,検査所見等は別紙診療経過一覧表のとおりである(甲A1,乙A1,2,11,12。 )ア原告Aは,平成14年11月12日には,F病院で右眼について緑内障 手術が必要と言われたものの,従前は,F病院で手術は必要ないと言われており,手術を受けることに対する不安もあったことなどから,被告病院で改めて手術の必要性の判断をしてもらおうと考え,平成15年11月15日,F病院からの紹介状(診療情報提供書)等を持参しないまま被告病院眼科を受診し,被告E医師の診察を受けた。 被告E医師が視力検査,眼圧検査,視野検査等を行ったところ,矯正視力は右1.2,左1.0で,眼内に活動性の炎症所見は認められず,視神経乳頭及び視野も正常であったが,眼圧は右35mmHg,左45mmHgと高い数値を示し,両眼の角膜後面に沈着物,両眼偶角に虹彩癒着が認められた。 原告Aは,E医師に対し,F病院で右眼について緑内障手術を勧められたが本当に手術が必要な状態であるのか否か判断してもらいたいこと,もし手術が必要なのであれば,原告らの自宅が被告病院の方が近いことから,被告病院で手術を受けたいことを伝え,F病院で処方された薬剤として,リンデロンAやトルソプト,キサラタン(プロスタグランジン関連薬,)ダイアモックス等 ,原告らの自宅が被告病院の方が近いことから,被告病院で手術を受けたいことを伝え,F病院で処方された薬剤として,リンデロンAやトルソプト,キサラタン(プロスタグランジン関連薬,)ダイアモックス等が記載された薬剤リストを被告E医師にみせた。被告E医師は,原告Aの両眼の上記所見及び原告Aがステロイド剤であるリンデロンAを長期にわたり使用しており,被告病院来院当時はリンデロンAを1日6回も点眼していると聞いたことから,原告Aの高眼圧はステロイド剤であるリンデロンAの点眼が原因である可能性があると考えるとともに,原告Aが,F病院の紹介状等を持参しておらず,同原告の病歴も分からない状態で緑内障手術に踏み切ることは躊躇されたことから,原告Aの高眼圧がステロイド緑内障によるものでないか否かを確認するため,リンデロンAの点眼を中止することとし,その旨告知した上,11月22日に次回の診察を予約した(甲A1,乙A1,原告A,被告E医師)。 イ原告Aは,平成14年11月18日,両眼に霞がかかったようになり, 翌19日には,その症状がさらに悪化し,視力が低下してしまったことから,リンデロンAの点眼を中止したことによるリバウンドであると考え,同日,急遽被告病院を訪れた。被告E医師が原告Aを診察したところ,原告Aの眼圧は右55mmHg,左56mmHgと極めて高い数値で,矯正視力は右0.05,左0.05と極度に低下しており,角膜上皮浮腫及び前房内炎症の所見も認められた。 被告E医師は,これらの所見から,緊急入院して手術の必要があると判断し,その旨を原告Aに伝えたが,原告Aは,12月3日まで,青森や名古屋等での講演の予定が入っていたことから,それらの講演が終わってからにして欲しいと述べた。これに対し,被告E医師は,最終的には原告A自身が決定すべきことではあ ,原告Aは,12月3日まで,青森や名古屋等での講演の予定が入っていたことから,それらの講演が終わってからにして欲しいと述べた。これに対し,被告E医師は,最終的には原告A自身が決定すべきことではあるが,それは非常に厳しいと原告Aに伝えた。 被告E医師は,原告Aが入院しての手術に否定的な回答をしたため,この時点での手術は行えないものと考え,マンニトール(高浸透圧薬)の点滴を行い,炎症を抑えるために,リンデロンAの点眼再開も指示し,また,眼圧が50mmHgを超える高値であったことから,ダイアモックス(1日あたり750mg(3錠)を28日分処方した(甲A1,乙A1,原)。 告A,被告E医師)ウ原告Aは,平成14年11月20日は被告病院において,同月21日は近医であるN眼科においてマンニトールの点滴を受けた。 同月22日,眼の状態が不安になったことから,原告Aは,講演の予定をキャンセルし,被告病院へ入院しようと被告病院を訪れたが,病室が満室であったため,入院することはできなかった。原告Aは,E医師と相談して,同月26日に被告病院へ入院することとし,その日はマンニトールの点滴を受け帰宅した。なお,同日の原告Aの眼圧は,マンニトールの点滴前が右34mmHg,左43mmHgであり,マンニトールの点滴後は右21mmHg,左35mmHgであった。 原告Aは,被告病院において,同月23日,マンニトールの点滴を受け,同月24日に,デカドロン0.3mlの眼注を受け,同月25日には,被告E医師が前日に診察を依頼していたH医師及びO医師(以下「O医師」という)の診察を受けた。H医師は,各種検査・診察の結果,原告Aの。 矯正視力が右0.8,左1.0,眼圧が右25mmHg,左39mmHgであり,両眼角膜上皮浮腫は消失し,視神経に緑内障変化も認められなかった 診察を受けた。H医師は,各種検査・診察の結果,原告Aの。 矯正視力が右0.8,左1.0,眼圧が右25mmHg,左39mmHgであり,両眼角膜上皮浮腫は消失し,視神経に緑内障変化も認められなかったことなどから,緑内障手術は行わず,ステロイド剤の点眼等で当面様子を見ることとし,その旨を原告Aに伝え,リンデロンA,トルソプト,チモプトール(β遮断薬)を処方した(甲A1,乙A1)。 エ原告Aは,平成14年11月26日,ぶどう膜炎の原因検索のため被告病院に入院し,翌27日から,リンデロンAの点眼に加え,デカドロンの眼注を受けるようになった。なお,同日,原告Aが排尿時に違和感を感じたと訴えたことから,被告E医師は,ダイアモックスを1日3錠(750mg)から2錠(500mg)に減量した(甲A1,乙A2)。 オデカドロンの眼注等の結果,平成14年11月28日から30日まで,原告Aの眼圧は,右が10mmHg台,左が20mmHg台で推移し,原告Aからは,同月29日には「だいぶスッキリ見えてきました」との発,言が聞かれ,12月1日には,眼圧が右14mmHg,左26mmHgとなって「目が悪くなって以来今日が一番すっきりして物が見える」との,。 発言も聞かれた。そして,12月2日には,リンデロンAの点眼を中止して以降継続して存在していた霧視感も消失した(なお,原告らは,右眼のかすみはなくなったものの,左眼についてはかすみは消失していないと主張するが,カルテ(乙A2)には両眼ともに霧視感がない旨の記載があり,同日の原告Aの日記(甲A1)にも左眼についてかすみ感があるなどとの記載はなく,同月1日には,上記のとおり,目が悪くなって以来今日が一番すっきりして物が見えるとの発言があったことなどに鑑みると,同月2 日には原告Aに霧視感はなかったものと認め 感があるなどとの記載はなく,同月1日には,上記のとおり,目が悪くなって以来今日が一番すっきりして物が見えるとの発言があったことなどに鑑みると,同月2 日には原告Aに霧視感はなかったものと認めるのが相当である(乙A。)。 2)カ平成14年12月2日,原告Aが,吐き気,嘔吐,左側腹部痛(押される感じ)の症状を訴えたため,被告病院担当医師らは,原告Aに被告病院の第2内科を受診してもらうとともに,ダイアモックスの服用を中止することとした。同日,原告Aからは「経過良いからもうすぐ退院できそう,だと思ってたのに長くなっちゃうな」との発言が聞かれた。 12月3日,原告Aは,第2内科において尿路結石の疑いがあると診断され,同月5日には,泌尿器科において,腹部レントゲン検査を受けたところ,レントゲン上,尿管に結石は認められなかったものの,左腎に5mmないし6mm大の結石が認められた。その後,同月7日に原告Aが排尿時に血尿とともに残骸物(石)が排出されるのを確認した後,原告Aの左脇腹痛は消失した(甲A1,乙A2,11,12)。 キ平成14年12月11日,原告Aの眼圧が,右20mmHg,左34mmHgであり,視神経乳頭には緑内障性変化は認められなかった。また,同日に行われた静脈性腎盂造影検査では,5日と同様に左腎に結石が確認された(乙A2,11)。 その後,被告病院眼では,原告Aに対し点眼する薬剤を変更しながら,薬物療法を継続し,同原告が平成15年1月1日に退院するまでの間,原告Aの眼圧は,概ね右が20mmHg台,左が30mmHg台で推移した。 なお,前記のとおり,同月2日に,原告Aの霧視感は一度消失したものの,その後再び霧視感が生じ,以後,この霧視感が再度消失することはなかった(甲A1,2,乙A2)。 ク平成14年12月23日,O医 なお,前記のとおり,同月2日に,原告Aの霧視感は一度消失したものの,その後再び霧視感が生じ,以後,この霧視感が再度消失することはなかった(甲A1,2,乙A2)。 ク平成14年12月23日,O医師は,原告Aの眼内の炎症が沈静化してきたことから,キサラタンによる降圧作用の有無とキサラタンによる起炎性の有無を確認するため,キサラタンによる炎症増悪の可能性を説明し, 了解を得ることとして,左眼について,試験的にキサラタンの点眼(1日1回)を開始した。 平成14年12月26日,被告病院医師らは,原告Aに12月28日に退院してもらうこととし,その後は2週間から1か月に1度の通院で治療を継続して,右眼については経過観察,左眼については視神経乳頭に変化が出るようならば炎症の有無にかかわらず手術をするとの方針を立てた。 そして,被告E医師は,その日の診察の際,原告Aに対し,12月28日に退院してもらう予定であると伝え,更に,右眼は現在のところ手術が必要でないこと,左眼については手術をすると却って,炎症を悪化させるおそれがあることから,手術をしない方がよいことなどを伝えた。 同月27日,前日は31mmHgであった左眼の眼圧が,45mmHgと上昇し,左眼の角膜後面沈着物や細胞数の上昇も確認され,隅角には結節が確認されたため,O医師は,キサラタンによる起炎性の可能性が高いと判断し,原告Aの了解を得て,キサラタンを中止して,デカドロンの眼注により消炎を図ることとした。 同月28日,原告Aは,退院する予定の日であったが,前日から左眼のかすみが強まっているように感じて不安になったこともあり,その日は退院せず,入院を継続することとした。 同月31日には,左眼にびまん性の角膜上皮浮腫が確認され,同日以降,左眼の角膜上皮浮腫が消失することはなかった(甲A1,2,乙 て不安になったこともあり,その日は退院せず,入院を継続することとした。 同月31日には,左眼にびまん性の角膜上皮浮腫が確認され,同日以降,左眼の角膜上皮浮腫が消失することはなかった(甲A1,2,乙A2)。 ケ原告Aは,平成15年1月1日,被告病院を退院し,以後は外来で治療を継続することとなった。退院時の原告Aの矯正視力は,右0.8,左0. 05,眼圧は右20mmHg,左34mmHgであった。退院に際し,O医師は,原告Aに対し,炎症自体は治まってきたこと,高眼圧はステロイド誘発による眼圧亢進が生じた可能性があるが,ステロイド治療を中止すると炎症が再燃し眼圧が亢進するリスクがあること,今後,炎症と眼圧の 兼ね合いでステロイドの投与量を調節するが,基本的には消炎を優先すること等を原告Aに説明した(乙A2)。 なお,原告Aのぶどう膜炎の原因は不明であった(証人H医師)。 コ原告Aは,平成15年1月6日,被告病院を訪れ,O医師の診察を受けたところ,眼圧は右20mmHg,左40mmHgであり,両眼の角膜後面沈着物の上昇が見られ,左眼には平成15年12月31日と同様に角膜上皮浮腫(水疱様)が認められるなどしたが,視神経乳頭には緑内障性変化は認められなかった。 原告Aは,その日の診察の際,F病院では,右眼の手術を勧められ,左眼に関しては手術という話になっていなかったにもかかわらず,O医師の説明では,左眼に関しては,手術を考えなければならないあろうとのことであるが,左眼の状態が,いずれ手術が必要と言われるほど悪化したことについて,特にステロイド点眼薬中止の妥当性,ダイアモックスの内服,大量投与の妥当性について納得がいかないので,被告E医師及びH医師から説明が欲しいとO医師に伝えた。その際,O医師は,原告Aに対し,現在の所見としては,左眼は最 中止の妥当性,ダイアモックスの内服,大量投与の妥当性について納得がいかないので,被告E医師及びH医師から説明が欲しいとO医師に伝えた。その際,O医師は,原告Aに対し,現在の所見としては,左眼は最終的には緑内障手術(濾過手術)が必要となるが,明らかな視神経変化が出現するまでは消炎と薬物による眼圧の下降というのが学術的な見解であり,手術は炎症を増悪させ,手術後の感染症等の危険があることなどを説明した上,被告E医師と話をする機会を設けることとした(甲A1,乙A1)。 サ原告Aは,平成15年1月7日,被告E医師の診察を受け(矯正視力は右0.7,左0.06,眼圧は右24mmHg,左38mmHgであった,その後被告E医師,O医師とこれまでの診療経過,今後の治療方針。)等について話し合い,その結果,デカドロンの眼注を中止し,左眼角膜上皮浮腫及びぶどう膜炎の消炎を目的として,プレドニン(プレドニゾロン,ステロイド薬)の内服(1日当たり30mg(6錠)を開始することと) した。なお,被告E医師は,同日の話し合いの中で,原告Aに対し,平成14年11月15日の初診時にリンデロンA液を中止したこと,被告E医師は,リンデロンAの点眼中止によるリバウンドを経験するのは初めてであり,リバウンドについての説明を十分に行っていなかったことについて謝罪し,また,ダイアモックスの服用についても連続投与するつもりはなかったと述べ,尿路結石が生じたことについても謝罪した。 被告E医師は,同日の話し合いにおいて,原告Aが,被告病院の診療,特に被告E医師が平成14年11月15日にリンデロンAの点眼を中止したこと及び同月19日にダイアモックスを1日当たり750mg処方したことについて不満を述べており,他方で,同月15日及び19日のカルテの記載が十分でないと感じたこ 15日にリンデロンAの点眼を中止したこと及び同月19日にダイアモックスを1日当たり750mg処方したことについて不満を述べており,他方で,同月15日及び19日のカルテの記載が十分でないと感じたことから,カルテの同月15日及び19日の部分に,原告Aに対し,リンデロンAの点眼を中止した場合のリバウンドについて説明したこと,原告Aが忙しいことから予備分を含めてダイアモックスを28日分処方したことなどを追加記載した(甲A1,乙A1,。 被告E医師)シ原告Aは,平成15年1月14日,被告E医師及びO医師の診察を受けたところ,眼圧は,右が24mmHg,左が48mmHgで,右眼に周辺虹彩前癒着,視神経乳頭陥没はほとんどなく,左眼には角膜後面沈着物,角膜上皮浮腫が認められたが,ぼんやりだが視神経乳頭陥没はほとんどないことが確認され,有意な炎症の増悪はなさそうであると診断された。同日,被告E医師がF病院のG医師と電話で話したところ,ステロイド誘発緑内障も考え,数回リンデロンAを切ったり,フルメトロンにかえたりしたこともあったが,再発したためリンデロンAを点眼しており,ぶどう膜炎の原因ははっきりしなかったとのことであった(甲A1,乙A1)。 ,ス平成15年1月20日の診察からは,原告Aの主治医が,H医師に交替した。H医師が原告Aを診察をしたところ,眼圧は右が18mmHg,左 が37mmHg,左眼の角膜中央部に2mm大の上皮浮腫,角膜後面沈着物,皮質混濁が認められた。また,角膜内皮細胞数を検査したところ,右が1217,左が765~843と角膜内皮細胞数が大きく減少しており(角膜内皮細胞数の正常値は2500~3000/mmで,500/m m以下になると危険であるとされている,左右両眼につき角膜内皮障。) 害の進行が認められた。さらに 胞数が大きく減少しており(角膜内皮細胞数の正常値は2500~3000/mmで,500/m m以下になると危険であるとされている,左右両眼につき角膜内皮障。) 害の進行が認められた。さらに,同日の診察の際,原告Aは,H医師に対し,講演の前後必要時な時にダイアモックスを服用することの許可を求めその了承を得た。 その後,原告Aは,ほぼ週に1度の割合で被告病院に通院し,プレドニン,リンデロンA,トルソプト等によるぶどう膜炎の治療を継続して受けたが,同日から3月24日までは,原告Aの眼圧はほぼ右20mmHg台,左30mmHg台で推移し(ただし,3月17日は40mmHg,左眼)については,角膜上皮浮腫が消失することはなく,1月27日には,左眼の角膜中央部やや下方に径2mmの上皮欠損があり,その周囲に角膜上皮浮腫の生じていることが認められ,さらに2月10日以降は水疱も確認されるようになり,右眼についても,平成15年2月14日ころから,霧視感を感じるようになった(甲A2,6,甲B7,乙A1)。 セ平成15年3月24日の診察時には,原告Aの左眼には依然として角膜上皮浮腫が認められ,それまで20mmHg台で推移してきた右眼の眼圧も33mmHgに上昇し,右眼にも角膜上皮浮腫が生じていることが確認された。 同月31日の診察時には,左眼に前回の診察時にはほぼ消失していた水疱が再度出現し,右眼には,前回の診察時と同様に角膜上皮浮腫が認められた。なお,H医師は,原告Aに下痢が生じていたことなどを考慮し,同日からプレドニンを1日4錠(20mg)から2錠(10mg)に減量した。 4月7日の診察時には,右眼の角膜上皮浮腫が右眼上半分に拡大し,同月14日の診察時には、左眼にびまん性表層角膜炎が認められ,そして,同月19日ころには,原告Aの両眼は,霧 mg)に減量した。 4月7日の診察時には,右眼の角膜上皮浮腫が右眼上半分に拡大し,同月14日の診察時には、左眼にびまん性表層角膜炎が認められ,そして,同月19日ころには,原告Aの両眼は,霧視感が強く,ほとんど何も見えない状態となった(甲A2,19,乙A1)。 ソH医師は,平成15年4月28日,原告Aの今後の治療方針について,I病院のJ医師に助言を求めるため,原告Aに同医師の診察を受けることを勧め,これを受けて,原告Aは,同月30日,I病院を訪れJ医師の診察を受けた。J医師が診察したところ,原告Aの両眼は,角膜浮腫が強く,眼内の詳細な観察は不可能な状態であり,視力は右眼が0.02,左眼が手動弁,眼圧は両眼とも40mmHgであった。 J医師は,原告Aの両眼に炎症が存在し,しかもその炎症の原因が不明であることなどから,手術には大きなリスクを伴うと考えたが,原告Aが,被告病院において長期間薬物療法を継続しており,加えて,原告Aには尿路結石の既往もあったことから,薬物療法には限界があると考え,手術するほかはないと診断した(J医師の書面尋問事項回答書)。 タまた,H医師は,原告Aから,K病院のL医師の診察を受けたいとの申し出があったことから,L医師にも原告Aの治療方針について意見を求めることとした。 原告Aは,平成15年5月6日,K病院を訪れ,L医師の診察を受けた。 L医師が原告Aの両眼の状況を診察したところ,原告Aの両眼は,角膜浮腫及び角膜後面沈着物が著明で,眼内を透見することが不可能であり,視力は右眼が0.02,左眼が20cm指数弁であった。L医師は,上記所見等から,原告Aの両眼について,両眼のぶどう膜炎及び続発緑内障であり,緑内障手術(濾過手術)が必要であると診断した(乙A2,L医師。 の書面尋問事項回答書,証人H医師)チ た。L医師は,上記所見等から,原告Aの両眼について,両眼のぶどう膜炎及び続発緑内障であり,緑内障手術(濾過手術)が必要であると診断した(乙A2,L医師。 の書面尋問事項回答書,証人H医師)チH医師は,平成15年3月末ころから,プレドニンを1日当たり4錠か ら2錠に減量しており,炎症が治まってきているなどと考えて,緑内障手術を実施することについても検討していたところ,J医師,L医師から手術が必要との指摘を受けたことから,同年5月12日,原告Aに対し手術を行うことを決めた。しかし,原告Aの左眼の角膜上皮浮腫が強く,緑内障手術のほかに,角膜移植手術も必要であると判断し,原告Aに対し,角膜が豊富で入手しやすいD病院を紹介した(乙A2,5,証人H医師)。 D病院における経過( )ア原告Aは,平成15年5月13日,H医師から勧められたD病院を訪れ,M医師の診察を受けた。M医師が診察したところ,原告Aの両眼は,結膜及び角膜浮腫が著明であり,角膜後面沈着物が認められ,視力は右眼が0. 02,左眼が20cm指数弁であった。 M医師は,水疱性角膜症,ぶどう膜炎,続発緑内障と診断し,ピバレフリンの投与を中止したほかは,被告病院と同様にプレドニン,リンデロンA,トルソプト,チモプトール(β遮断薬)等を処方をした(M医師の。 書面尋問事項回答書)イ平成15年5月20日,原告Aは,D病院の緑内障外来を受診した。原告Aを診察したP医師は,眼圧が右が50mmHg,左が46mmHgで,開放隅角であるが,繊維柱帯に多数の色素沈着が認められたことなどから,入院した上で,マンニトール静注を行い,眼圧を30mmHg程度まで下げた上で,濾過手術を行うことが必要と判断し,原告Aは,同日,D病院に入院となった。そして,原告Aは,同月21日に右眼の,同月26日に 院した上で,マンニトール静注を行い,眼圧を30mmHg程度まで下げた上で,濾過手術を行うことが必要と判断し,原告Aは,同日,D病院に入院となった。そして,原告Aは,同月21日に右眼の,同月26日に左眼の繊維柱帯切除術を受けた。同月27日には,眼圧が右15,左10程度となり,その後も同程度の眼圧が維持され,6月6日には同病院を退院となったが,退院時の視力は右0.02,左手動弁であり,その後も原告Aの左右両眼の視力が回復することはなかった(乙A4,5,M医師。 の書面尋問事項回答書) ウ平成15年7月22日,原告Aは,左眼の角膜移植手術を受けるためにD病院に入院した。原告Aの同日の視力は,右が0.02,左が手動弁であり,左眼の視神経乳頭の色調に異常は認められなかった。原告Aは,翌23日に左角膜移植手術を受け,同年8月5に同病院を退院したが,同手術後も視力が回復することはなかった(乙A6,M医師の書面尋問事項。 回答書。 )エ平成15年10月21日,原告Aは,左眼の白内障手術を受けるため,D病院に入院した。術前検査では,原告Aの視力は,右が0.02,左が0.03であり,左眼の視神経乳頭に特段異常は認められなかった。翌22日,原告Aは左眼の白内障眼内レンズ挿入術を受け,同月27日に退院したが,やはり視力は回復しなかった(乙A7)。 オ原告Aは,その後も,視力の回復を目指し,D病院に通院し,治療を継続するなどしたものの,結局,視力が回復することはなく,両眼とも失明の状態となった(甲A17ないし19,甲B1,乙A4,原告A,弁論の全趣旨。 ) 医学的知見証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の医学的知見が認められる。 ぶどう膜炎( )虹彩,毛様体,脈絡膜をあわせたものをぶどう膜といい,ぶどう膜に炎症が生じた状態をぶどう膜 。 ) 医学的知見証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の医学的知見が認められる。 ぶどう膜炎( )虹彩,毛様体,脈絡膜をあわせたものをぶどう膜といい,ぶどう膜に炎症が生じた状態をぶどう膜炎という。 ぶどう膜炎の原因疾患としては,フォークト(Vogt)-小柳-原田病(VKH,サルコイドーシス,ベーチェット病が3大疾患として約半数を)占め,その他に,急性網膜壊死(桐沢型ぶどう膜炎,ポスナー・シュロス)マン症候群,ウイルス性ぶどう膜炎(単純ヘルペス性ぶどう膜炎,帯状疱疹ヘルペス性ぶどう膜炎,サイトメガロウイルス性ぶどう膜炎)などがあるが,原因不明とされるものもあり,この原因不明例が約半数を占める。 ぶどう膜に炎症が生じると,角膜後面沈着物,前房水混濁,細胞浮遊,虹彩結節,視神経乳頭や網脈絡膜の出血・浮腫・滲出等が生じ,自覚症状としては飛蚊症(ゴミのようなものが浮いて見える症状)や虹視症(光が濁りで乱反射して電灯の周りに虹がかかって見える症状)等が生じる。また,炎症により経シュレム管流出路,ぶどう膜強膜流出路の閉塞が生じ,高眼圧,眼循環障害が引き起こされて,視神経が傷害され,その結果,視力を喪失することがあり,さらに,炎症により角膜内皮障害が進行すると,水疱性角膜症(角膜内皮細胞が損傷し,前房水が角膜内に侵入して,角膜全体が浮腫状に腫れている状態。最終的には,角膜全体が白濁して瘢痕となり,視力が失われる。なお,これを治療する方法は角膜移植以外にはない)となり,やは。 り,視力の低下・喪失が生じる。 なお,炎症により眼圧が上昇する結果,緑内障(続発緑内障)が引き起こされることもある(甲B6,7,乙B1,証人H医師,M医師の書面尋問。 事項回答書) 緑内障( )ア定義・分類緑内障とは,眼圧,視神経乳頭,視野の特徴的変 ,緑内障(続発緑内障)が引き起こされることもある(甲B6,7,乙B1,証人H医師,M医師の書面尋問。 事項回答書) 緑内障( )ア定義・分類緑内障とは,眼圧,視神経乳頭,視野の特徴的変化の少なくとも一つを共有し,眼圧を十分に下降させることで視神経障害の改善あるいは進行を阻止しうる,眼の機能的・構造的異常を特徴とする一連の疾患群と定義され,高眼圧の起こる機序から,原発,続発,先天に分類され,隅角の所見から開放隅角緑内障,閉塞隅角緑内障に分類される。続発緑内障とは,眼炎症,眼腫瘍,眼外傷,眼循環障害,糖尿病等の眼病変や全身疾患等が原因となり,眼圧上昇が生じることによって生じる緑内障である。一般に10ないし21mmHgの範囲が正常眼圧とされるが,緑内障の人は21mmHgを超えることが多く,高眼圧により視神経が障害され萎縮するため,それに対応した視野が損なわれ,視力が低下し,失明に至ることがある。 また,高眼圧によって,水疱性角膜症となり,視力の低下を招くこともあ。 ,る(甲A15①,②,甲B5ないし7,乙B1,4,10,証人H医師M医師の書面尋問事項回答書)イステロイド緑内障緑内障の一つの原因としてステロイド剤があり,ステロイド剤が原因の緑内障をステロイド緑内障という。 ステロイド緑内障の発生機序・病態については不明な部分が多く,その診断は必ずしも容易ではないが,原発開放偶角緑内障,低眼圧緑内障,ステロイド剤を長期あるいは断続的に投与していた慢性のぶどう膜炎,角膜疾患に続発する開放偶角性緑内障(眼圧上昇が不可逆的となったポスナー・シュロスマン症候群)と診断されているものの一部はステロイド緑内障である可能性があるとされる。 ステロイド緑内障は,通常,ステロイド剤の投与開始から発症まで数週間であるが,数ヶ月のこともあり ナー・シュロスマン症候群)と診断されているものの一部はステロイド緑内障である可能性があるとされる。 ステロイド緑内障は,通常,ステロイド剤の投与開始から発症まで数週間であるが,数ヶ月のこともあり,集中的に投与すれば数時間のこともあるとされており,いつ発症するかを予測することはできないとされている。 (甲B2,3,乙B2,3,5)ウステロイド緑内障の鑑別診断眼圧上昇がステロイドによるものなのか,あるいは炎症によるものかの診断は必ずしも容易ではなく,ステロイドの投与中止により眼圧が下降することを確認したときに初めて確定することができるとされており,ステロイド緑内障の鑑別のためには,ステロイド剤の点眼を中止することが必要である。ぶどう膜炎の状態が許せば1週間,ぶどう膜炎の状態が思わしくなくても,3日ほどはすべてのステロイドを中止して様子を見るのが確実とされている(甲B3ないし5,乙B2ないし4)。 ステロイド剤を中止すると,炎症が再燃・増悪し,眼圧が上昇するなどのリバウンドを起こす可能性があることから,何らかの消炎療法を継続す る必要性がある場合は,一度にステロイド剤を切るのではなく,より低濃度の製剤や眼圧上昇作用の低いフルメトロン点眼,非ステロイド性の抗炎)。 症剤(NSAID)に変更する(甲B3,5,被告E医師,証人H医師ステロイド剤を中止して眼圧が上昇すると,急性隅角閉塞緑内障の場合は,50mmHg前後の眼圧上昇により非可逆的な視力低下が生じることもあるが,続発緑内障では,一過性眼圧上昇があった場合でも,視力が保持される例が多い(M医師の書面尋問事項回答書,被告E医師。 ) ぶどう膜炎及びぶどう膜炎による続発緑内障の治療方法( )ア薬物療法ぶどう膜炎及びぶどう膜炎による続発緑内障はその発生機序により治療方針が異な M医師の書面尋問事項回答書,被告E医師。 ) ぶどう膜炎及びぶどう膜炎による続発緑内障の治療方法( )ア薬物療法ぶどう膜炎及びぶどう膜炎による続発緑内障はその発生機序により治療方針が異なり,その原因を明らかにして原因療法を行う。しかし,原因不明の場合も多く,そのような場合は,ぶどう膜炎に対してステロイド薬(リンデロンA)か散瞳薬(1%アトロピン,ミドリンP等)の点眼,ステロイド剤(デカドロン)の結膜下への注射等を行う。高眼圧に対しては,眼圧の程度に応じてβ遮断薬(チモプトール等,交感神経刺激薬(ピバ)レフリン等,炭酸脱水酵素阻害薬(トルソプト等,プロスタグランジン))関連薬(レスキュラ,キサラタン等)の1~4剤を点眼する。これらの点眼で眼圧が下降しないときや初診時の眼圧が30mmHg以上の場合には炭酸脱水酵素阻害薬(ダイアモックス500~1000mg)の内服や高浸透圧薬(グリセオールやマンニトール)の点滴静注を併用する(甲B。 5,11)イ手術療法眼圧下降薬点眼と炭酸脱水酵素阻害薬内服を併用しても眼圧が下降しない場合には,マイトマイシンC(MMC)や5-FUを併用した繊維柱帯切除術(トラベクレクトミー)等の手術療法が行われるとされている。しかし,ぶどう膜炎による続発緑内障に対する手術療法の治療成績は,術前 の炎症の程度で左右され,活動期に手術を行うとその成績は低下することから,高眼圧が続いたとしても,眼底検査や視野検査で視神経乳頭陥凹等,明らかな緑内障の進行が見られなければ,できるだけぶどう膜炎の治療を優先させ,副作用の発現にも注意を払いながら,薬物による眼圧下降に努めるとする見解もある。もっとも,この見解でも,眼圧が高く,初診時から視野狭窄が高度の症例や高眼圧のために視野変化が進行する症例に対しては,炎 作用の発現にも注意を払いながら,薬物による眼圧下降に努めるとする見解もある。もっとも,この見解でも,眼圧が高く,初診時から視野狭窄が高度の症例や高眼圧のために視野変化が進行する症例に対しては,炎症が活動性であっても,ステロイドの内服投与を行いながら,手術治療に踏み切ることもあり得るとされている(甲B2,5,11,乙。 B4,5)手術の適応判断に際しては,上記のとおり,眼圧,視神経の状態,視野狭窄の進行の程度等を考慮する必要があるが,その他にも,全身状態や投薬に対するコンプライアンス,年齢,社会生活等多くの要件を考慮すべきで,手術適応決定の一般論は成立し難いとする見解もある(甲B8,乙B9,J医師の書面尋問事項回答書。 )ウ手術療法の治療成績等ぶどう膜炎による続発緑内障に対する手術療法の治療成績については,マイトマイシンC(MMC)を用いた繊維柱帯切除術を行い,経過観察期間9.87か月において21mmHg以下の眼圧にコントロールされたものが,点眼薬なしで24眼中18眼(75%,抗緑内障薬1剤併用にお)いて22眼(91.6%)であったとの報告や,ぶどう膜炎による続発緑内障に対し,MMC併用繊維柱帯切除術を行い,平均経過観察期間32. 7か月において眼圧調整率が,78.9%であったとの報告,38眼のぶどう膜炎による続発緑内障に濾過手術を施行し,34眼(89.5%)で長期にわたり眼圧20mmHg以下の成績を得たとの報告等があり,手術療法は,治療目標眼圧を達成する上では,投薬療法よりも優れているとされている。 なお,緑内障手術は眼圧を下げる手術であり,萎縮した視神経を治したり,炎症を抑える手術ではなく,逆に手術による侵襲によって炎症は悪化する可能性がある。ぶどう膜炎による続発緑内障の場合,この炎症の悪化が手術で最も懸念される事 げる手術であり,萎縮した視神経を治したり,炎症を抑える手術ではなく,逆に手術による侵襲によって炎症は悪化する可能性がある。ぶどう膜炎による続発緑内障の場合,この炎症の悪化が手術で最も懸念される事項とされている(甲B5,8,M医師の書面。 尋問事項回答書,証人H医師)エ緑内障手術の合併症緑内障手術には,術中併発症として,結膜損傷,水晶体損傷,強膜弁の断裂,前房出血などが,術後早期併発症として,浅前房,脈絡膜剥離,悪性緑内障,結膜離解・結膜欠損などが,術後早期の眼圧上昇の原因としては,虹彩・硝子帯の嵌頓,強膜弁の早期癒着,晩期併発症としては感染症,低眼圧黄斑症,眼球ろう,結膜瘻孔・濾過胞漏出,白内障の進行などがあり,緑内障手術は非常に合併症の多い治療法である(甲B5,乙B4,J医師の書面尋問事項回答書,証人H医師。 )実際の症例報告をみても,ぶどう膜炎による続発緑内障手術の合併症として,12.5%にぶどう膜炎の再燃・脈絡膜剥離,8.3%に低眼圧,4.2%に浅前房・房水漏出・前房出血・黄斑浮腫を認めたとする報告や,20%に前房炎,13%に脈絡膜剥離,3%に低眼圧黄斑症,3%にぶどう膜炎の再燃,28%に白内障を認め,術前より2段階以上視力が低下した症例は27%,眼圧が20mmHg以下にコントロールされた31眼の52%で視野が悪化したとの報告がある(乙B4。また,薬物治療と手)術療法で最終的にアセタゾラミド(ダイアモックス)なしで眼圧が20mmHg以下にコントロールできた83眼の約40%で視野が悪化したとの報告もある(甲B5。 ) ダイアモックス(アセタゾラミド)( )ダイアモックス(アセタゾラミド)は,緑内障やてんかんの治療薬として用いられる薬剤であり,成人の緑内障患者に対して用いられる場合には,通 常,1日当たり25 アモックス(アセタゾラミド)( )ダイアモックス(アセタゾラミド)は,緑内障やてんかんの治療薬として用いられる薬剤であり,成人の緑内障患者に対して用いられる場合には,通 常,1日当たり250mgないし1000mgが分割経口投与される(乙B7。 )ダイアモックスの添付文書では,高齢者に対しては低容量から投与を開始するとともに,慎重に投与することとされており,また,ダイアモック,スには,急性腎不全,腎・尿路結石の副作用があるので観察を十分に行い血尿,結晶尿,乏尿等の症状が現れた場合には投与を中止することとされている(甲B9,10。 )腎・尿路結石の副作用については,ダイアモックスによる治療の間に1個以上の結石を発症した12人の患者のダイアモックスの投与開始から結石の発症までの期間は,1か月から108か月,平均14.4か月であったとの報告がある(乙B14の1,2。 ) 争点に対する判断 争点1 (適時に緑内障手術を行わなかった過失の有無)について( )( )ア原告らは,高眼圧が続けば,視力が低下し,失明に至る可能性があるから,被告E医師を含む被告病院担当医師らには,平成14年11月19日,あるいは遅くとも左眼については平成14年11月28日から12月3日,右眼については平成15年2月10日ころの時点で原告Aの眼の角膜内皮細胞が減少し,角膜浮腫が生じる前に,緑内障手術を行い眼圧を下げておくべき注意義務があったと主張する。 イ確かに,前記23 イのとおり,眼圧下降薬点眼と炭酸脱水素阻害薬内服( )を併用しても眼圧が下降しない場合には,マイトマイシンCや5-FUを併用した繊維柱帯切除術(トラベクレクトミー)等の手術療法が行われるとされているところであり,G医師は前記11 イのとおり,平成14年1( )1月12日の い場合には,マイトマイシンCや5-FUを併用した繊維柱帯切除術(トラベクレクトミー)等の手術療法が行われるとされているところであり,G医師は前記11 イのとおり,平成14年1( )1月12日の時点で右眼について手術が必要と判断していたこと,M医師は,原告Aの緑内障手術の時期について「H14.11.27以降にお,ける左眼の手術が一つの妥当性と考えられる「H15.2.10頃に右。」 眼の手術を検討することも一つの適応であると考えられる」と述べてい。 ること(M医師の書面尋問事項回答書,L医師は「当院受診時(平成1),5年5月6日)より早い時期に手術を行うべきであったと思われる」と。 し(L医師の書面尋問事項回答書「平成14年11月22日には,薬物),治療は無効であるから,この時点で両眼とも手術に踏み切ってよかったと思われる(甲A16②)としていることのほか,前記12 アないしスの。」( )原告Aの被告病院における診療経過等なども併せ考えると,平成14年11月末ころから平成15年2月ころまでの間に,原告Aの両眼に緑内障手術の適応があったと認めるのが相当である。 ウしかしながら,G医師は,平成14年11月12日の時点で右眼について手術が必要と判断している一方で,原告Aの緑内障手術手術の時期につ,,いて「手術の時期は流動的で,その後の眼圧や炎症の経過によりますがもっと遅くてもよいと考えます」とも述べており,また,M医師も,手。 術時期について,左眼は平成14年11月27日ころ,右眼は平成15年2月10日ころとするが,これらについては「一つの妥当性「一つの適」,応」と述べているにすぎず,M医師やG医師の上記供述に,被告病院において原告Aの両眼に対し,薬物療法が継続されたことが不適切であるとする趣旨が含まれて れらについては「一つの妥当性「一つの適」,応」と述べているにすぎず,M医師やG医師の上記供述に,被告病院において原告Aの両眼に対し,薬物療法が継続されたことが不適切であるとする趣旨が含まれているとまでは解されない。 そもそも,緑内障手術の適応判断については,前記23 イのとおり,絶( )対的な手術適応の基準はないとする見解もあり,J医師も,手術時期については「ぶどう膜炎は時期や薬物療法の影響によって眼の所見はもちろんのこと,眼圧も刻々と変化する可能性がある」から「いつがベストの時,期か第三者が客観的に判断することは困難」と述べているところである(J医師の書面尋問事項回答書。そして,ぶどう膜炎による続発緑内障)の手術成績は,術前の炎症の程度に左右され,炎症の活動期に手術をした場合には治療成績が低下するとされていることから,高眼圧が続いたとし ても,眼底検査や視野検査で視神経乳頭陥凹等,明らかな緑内障の進行が見られなければ,眼圧が高く,初診時から視野狭窄が高度の症例や高眼圧のために視野変化が進行する症例を除き,できるだけぶどう膜炎の治療を優先させ,副作用の発現にも注意を払いながら,薬物による眼圧下降に努めるとする見解があることは前記23 イのとおりであり,被告病院通院中,( )原告Aに視神経乳頭の変化や視野の狭窄等は認められていなかったのであるから,消炎治療を優先させた被告病院の処置は,この見解に沿ったものということができる。加えて,前記23 イ,エのとおり,ぶどう膜炎によ( )る続発緑内障の手術は非常に合併症の多い手術であって,術後に視野狭窄,視力の低下が起こる可能性も高く,非常にリスクの高い手術である上,ぶどう膜炎による続発緑内障の手術では,術後の炎症の増悪が最も懸念される事項とされているところであり,しかも,原 て,術後に視野狭窄,視力の低下が起こる可能性も高く,非常にリスクの高い手術である上,ぶどう膜炎による続発緑内障の手術では,術後の炎症の増悪が最も懸念される事項とされているところであり,しかも,原告Aの眼は,リンデロンAの点眼を中止した際に,非常に激しいリバウンドを起こしていたことから,被告病院担当医師らが,原告Aの両眼は炎症に対し弱い状態にあり,通常の場合に比して,術後の炎症の増強・再燃によって,視力の低下・喪失が生じる可能性は高いと判断したことは合理的であったというべきである。 エまた,被告E医師は,原告Aに対し,平成14年11月19日,同原告の眼圧が高い数値を示し,矯正視力も極度に低下し,角膜上皮浮腫及び前房内炎症の所見も認められたことから手術の必要があると伝えたが,同原告は,入院しての手術について否定的な回答をしたため,同時点での手術は行えないものと考え,マンニトールの点滴,リンデロンAの点眼,ダイアモックスの投与等の薬物療法を行うこととしたこと,その後,同月25日には,H医師及びO医師の診察を受けたが,H医師は,同日の各種検査・診察の結果,原告Aの両眼の矯正視力,眼圧の数値のほか,両眼角膜上皮浮腫が消失し,視神経に緑内障変化も認められなかったことから,緑内障手術は行わず,ステロイド剤の点眼等で当面様子を見ることとし,その 旨を原告Aに伝えたこと(これに対し,同原告も特段の異議を述べなかったこと)は,前記12 イ,ウのとおりである。 ( )さらに,被告E医師は,原告Aに対し,平成14年12月26日,右眼は現在のところ手術が必要でないこと,左眼については手術をすると却って炎症を悪化させるおそれがあるから手術をしない方がよいことなどを伝えたこと,O医師は,同原告に対し,平成15年1月6日,現在の所見としては,左眼は最終的 でないこと,左眼については手術をすると却って炎症を悪化させるおそれがあるから手術をしない方がよいことなどを伝えたこと,O医師は,同原告に対し,平成15年1月6日,現在の所見としては,左眼は最終的には緑内障手術(濾過手術)が必要となるが,明らかな視神経変化が出現するまでは消炎と薬物による眼圧下降というのが学術的な見解であること,緑内障手術は炎症を増悪させ,手術後の感染症等の危険もあることなどを説明していること(これらに対し,同原告は特段の異議を述べなかったこと,その後,同月20日から3月24日までの)間は,原告Aの右眼の眼圧はほぼ20㎜Hg台で推移しており,同年2月10日には28㎜Hgとそれまでの数値から若干上昇を示し,角膜後面に沈着物があり,軽度の皮質混濁があったが,明らかな視神経変化は確認されていないことも,前記12 ク,コないしセのほか,甲A第1号証,第( ),2号証,乙A第1号証によって認められるところである。 オ原告らは,適期に緑内障手術をすれば眼圧が下がり,眼圧が下がれば炎症も消失するなどと主張するが,そのような医学的知見を認めるに足りる証拠はない。この原告らの主張に理由がないことは,前記23 ウ,エのと( )おり,緑内障手術を行えば,炎症が増悪する可能性があり,ぶどう膜炎による続発緑内障の手術において,術後の炎症の増悪が最も懸念されるとされていること,手術の合併症として,前房炎やぶどう膜炎の再燃等が挙げられていることなどから明らかである。また,原告らは,被告らが原告Aに緑内障手術を行わず,薬物療法のみを行っていたことにより失明に至ったことからすれば,同原告に手術が必要であったことは明らかであるとも主張するが,原告の緑内障は続発緑内障,すなわち,ぶどう膜炎が原因と なって,ぶどう膜炎に続発する緑内障であり, より失明に至ったことからすれば,同原告に手術が必要であったことは明らかであるとも主張するが,原告の緑内障は続発緑内障,すなわち,ぶどう膜炎が原因と なって,ぶどう膜炎に続発する緑内障であり,原因であるぶどう膜炎に対する治療が奏功すれば,緑内障も軽快することが期待できるものの,緑内障に対する治療がぶどう膜炎に対しても効果があるとは必ずしもいえず,前記ウ,エに照らすと,この主張は,事実経過を後方視的観点からのみ捉えたものであって,単なる結果論にすぎないというべきである。 カ以上によれば,平成15年5月以前のより早期の段階で原告Aに対し緑内障手術を行うべきであったとの見解はあるものの,被告E医師が,平成14年11月19日に,原告に対し,緊急入院して手術の必要性があることを伝えたが,原告が仕事が12月3日まで入っていることを理由に拒絶したという本件の事実経過に照らすと,術後の合併症の発生や炎症の増強による視力の低下ないし喪失の可能性を懸念し,手術に踏み切る前に,できる限り薬剤による消炎治療を行うことにより,眼圧のコントロールをしようと試みた被告担当医師らの選択は,十分に合理性を有するものということができ,かつ原告の意向にも沿うものであり,医師としての注意義務に違反するとまではいうことができない。 したがって,原告らの上記主張には理由がない。 争点2 (リンデロンAの点眼中止の危険性についての説明義務違反の有( )( )無)についてア原告らは,リンデロンAの点眼によってブドウ膜の炎症の悪化をおさえている者に対し,他の炎症防止薬を点眼させることなく,リンデロンAの点眼を中止すれば,ぶどう膜炎が遷延・悪化し,眼圧が上昇して視力の低下・喪失を招く危険があると主張する。 イ確かに,リンデロンAの点眼により炎症を抑えていた患者について せることなく,リンデロンAの点眼を中止すれば,ぶどう膜炎が遷延・悪化し,眼圧が上昇して視力の低下・喪失を招く危険があると主張する。 イ確かに,リンデロンAの点眼により炎症を抑えていた患者について,リンデロンAの点眼を中止すれば,リバウンドが生じ,ぶどう膜炎が悪化する可能性があることは,前記22 ウのとおりである。 ( )しかし,リンデロンAの点眼中止によって,一時的にぶどう膜炎が悪化 することはあっても,ぶどう膜炎が遷延化すると認めるに足りる証拠はない。また,急性閉塞隅角緑内障では眼圧上昇により,50mmHg前後の眼圧上昇により非可逆的な視力低下が生じることもあるが,ぶどう膜炎による続発緑内障の場合には,一過性の眼圧上昇があっても,視力が保持される例が多いとされており,加えて,ステロイド緑内障を鑑別するためには,リンデロンAの点眼を中止するよりほかに方法がないこと,F病院のG医師も,ステロイド緑内障を疑って,片眼のみリンデロンAの点眼を一時中止してみたことからも明らかなように,原告Aの症状がステロイド緑内障との鑑別がどうしても必要であったこと,昭和60年にC研修医となり,その後眼科医として勤務するなどしていた被告E医師がリンデロンAの点眼中止によりリバウンドが生じたことは,原告Aの場合が初めてであると述べていることなどからしても,実際にリバウンドが生じる事態は比較的稀であることも認められるところである。 しかも,前記12 イないしキのとおり,原告Aの場合には,リンデロン( )Aの点眼を中止して,リバウンドにより眼圧の急上昇,矯正視力の低下が生じた後,リンデロンAの点眼再開,ダイアモックスの服用,デカドロンの眼注等の処置により,平成14年11月22日には,原告Aの眼圧は,マンニトール点滴前でも右34mmHg,左43mmHgと の低下が生じた後,リンデロンAの点眼再開,ダイアモックスの服用,デカドロンの眼注等の処置により,平成14年11月22日には,原告Aの眼圧は,マンニトール点滴前でも右34mmHg,左43mmHgと被告病院初診時と同程度となり,その後,平成14年11月29日には,右14mmHg,左25mmHgと初診時よりも下降している。そして,視力についても11月25日には,右0.8,左1.0まで回復し,さらに角膜上皮浮腫も消失している上,霧視感についても平成14年12月2日には消失しているのであるから,リンデロンAの点眼中止により,一時的な炎症の悪化が見られたとしても,炎症は,平成14年12月2日には点眼中止前と同じ状態に戻ったものと認められ,点眼中止によって炎症が再燃・遷延化し,眼圧が上昇して,恒常的に高眼圧となった結果,原告Aが失明に至っ たとは認めることができない。このことは,M医師,L医師,J医師,G医師のいずれもが,リンデロンAの点眼中止と,原告Aの失明とは無関係であると述べていることからも明らかである(なお,原告らは,M医師らの書面尋問事項に対する回答は,虚偽の内容が記載された被告病院の診療情報提供書に基づくものであると主張するが,書面尋問に際しては,F病院及び被告病院における診療経過が記載された書面等をも送付し,これらを参照した上での回答を求めているのであるから,原告らの主張を採用することはできない。 。)さらに,F病院における担当医師として原告Aを診察していたG医師は,原告Aのぶどう膜炎は,同病院通院中においても治療が容易なぶどう膜炎ではなく,F病院での診療時点において,既に原告Aのぶどう膜炎は「炎症によると考える結膜浮腫が持続してみられており,遷延化の状態にあったといえると思います」と述べているところであり(甲A15①, 炎ではなく,F病院での診療時点において,既に原告Aのぶどう膜炎は「炎症によると考える結膜浮腫が持続してみられており,遷延化の状態にあったといえると思います」と述べているところであり(甲A15①,②,。 )被告病院における消炎治療が困難を極めたのは,原告Aのぶどう膜炎の性質によるものといえるのであって,このことからも,被告E医師がリンデロンAの点眼を中止したことが,原告Aが失明に至る原因であるとは認めることができない。 ウなお,被告らは,仮に原告らの主張するような説明義務が認められるとしても,被告E医師が,初診時にリンデロンAの点眼を中止することを決定をした際に,リンデロンAの点眼中止によるリバウンドの危険性について説明をした旨主張し,カルテ(乙A1)にも同旨の記載があり,被告E医師は,その本人尋問において同様の供述をしているところである。 しかし,カルテの上記記載部分については,前記12 サで認定したとお( )り,被告病院の初診時から1月以上経過した平成15年1月7日に記載されたもので,しかも,原告Aが,被告病院での治療に対する不満を被告E医師らに伝えた後に記載されたものであるから,その信用性を肯定するこ とはできない。本件において,原告Aは,被告E医師からリンデロンAの点眼中止することの危険性について説明を受けていないと述べているところであり(甲A1,3,原告A,カルテの上記記載部分及び被告E医師)の供述のほかに,被告E医師が,原告Aに対し,リンデロンAの点眼中止に伴う危険性について説明したこと認めるに足りる証拠がないことからすると,被告E医師が原告Aに対し,リンデロンAの点眼中止に伴う危険性について説明したと認めることはできず,上記被告らの主張は採用することができない。 エそうすると,リンデロンAの点眼中止により すると,被告E医師が原告Aに対し,リンデロンAの点眼中止に伴う危険性について説明したと認めることはできず,上記被告らの主張は採用することができない。 エそうすると,リンデロンAの点眼中止により,原告Aに生じた両眼の眼圧の急上昇,視力の低下,ぶどう膜炎の悪化等は,その程度がやや想定外であったとはいえ,抗炎症点眼薬であるリンデロンAの点眼中止によって生じることが当然に予測された事態というべきであり(原告AにとってもリンデロンAの点眼を中止すれば,ぶどう膜炎が一時的に悪化することがあることは予測することができたというべきである,原告Aの失明がリ。)ンデロンAの点眼により生じたものであるとは認められない以上,被告E医師に原告らの主張するようなリンデロンAの点眼中止によりぶどう膜炎が遷延・悪化し,視力の低下ないし喪失の機能障害を起こす危険性があることについて説明義務違反があったとはいえないし,その余の点についても,被告らの原告らに対する損害賠償義務を肯認すべきほどの説明義務違反があったものということもできない。したがって,原告らの上記主張には理由がない。 争点3 (リンデロンAの点眼を中止した過失の有無)について( )( )ア原告らは,被告E医師が,原告Aの眼の状況等を確認することなく,眼圧が高く,ぶどう膜炎も悪化している時期に,非ステロイド系の抗炎症剤等を処方することもなく,リンデロンAの点眼を中止したと主張する。 しかし,前記12 アのとおり,被告E医師は,原告Aについて,リンデ( ) ロンAの中止するに際し,各種検査を実施し,視神経乳頭の状態や眼内の炎症の有無等,眼内の状況を十分に把握した上でリンデロンAの点眼を中止しており,被告E医師が原告Aの眼の状態を考慮せずに中止したという事実は認められないし,原告Aの被告 し,視神経乳頭の状態や眼内の炎症の有無等,眼内の状況を十分に把握した上でリンデロンAの点眼を中止しており,被告E医師が原告Aの眼の状態を考慮せずに中止したという事実は認められないし,原告Aの被告病院初診時,同原告に活動性の炎症は確認されていなかったのであるから,ぶどう膜炎が悪化している時期に中止した(なお,眼圧が高いためにリンデロンAの点眼を中止してみることこととしたのであり,眼圧が高いことは,その前提となっているというべきである)との原告らの主張に理由がないことは明らかである。そし。 て,眼内の炎症の状態によっては,非ステロイド系の薬剤を処方することなく,リンデロンAの点眼を中止することは通常用いられる一般的に認められたステロイド緑内障の鑑別手法であるところ,原告Aの場合,被告病院初診時には,原告Aの眼内に活動性の炎症は確認されておらず,その時点においては消炎治療を継続する必要があるとは必ずしもいえない状態であったのであるから,消炎のために眼圧上昇作用の低いフルメトロンや,非ステロイド系の抗炎症剤を処方することなく,リンデロンAの点眼を中止したことが不適切であるとは認められない。 イまた,原告らは,リンデロンAの点眼を中止すると,視力の低下・喪失の危険性があることから,被告E医師には前医における診療の経過等を確認すべき義務があったと主張し,また,被告E医師は,原告Aが長期にわたりリンデロンAの点眼を続けてきていたと認識していたのであるから,前医においてステロイド緑内障を疑ってその判断,検査をしていることを予測すべきであり,この点からも前医のカルテを確認すべき義務があったと主張する。 しかし,リンデロンAの点眼を中止するという行為に,一般には,一時的にぶどう膜炎を悪化させることはあっても,原告らが主張するような危険性があるとさ 前医のカルテを確認すべき義務があったと主張する。 しかし,リンデロンAの点眼を中止するという行為に,一般には,一時的にぶどう膜炎を悪化させることはあっても,原告らが主張するような危険性があるとされていないことは前記のとおりであるから,仮に,前医に おいて,ステロイド緑内障の鑑別診断のためにリンデロンAの点眼を中止していたことが予測されるとしても,緑内障手術の適応を判断するに当たり,ステロイド緑内障の鑑別診断のために,改めてリンデロンAの点眼を中止することに問題があるとはいえないし,中止をするに当たり,前医のカルテ等を確認する必要があるともいえない(なお,甲A第1号証,第15号証①,②,原告A本人尋問の結果によれば,原告Aには前記のF病院でリンデロンAの点眼を中止したことについて記憶がなく,また,同病院では,平成14年6月に眼圧が上昇したためリンデロンAの点眼を中止し,リンデロンAに比して眼圧の上昇しにくいステロイド点眼剤であるフルメトロンを使用したことはあるが,ステロイド剤の使用自体を中止したことはないことも認められるところである。 。)ウなお,原告らは,平成15年1月7日に,被告E医師が,原告Aに,リンデロンAの点眼中止について謝罪をしたこと,O医師がE医師がリンデロンを中止した点については疑問に思っている旨述べたことを被告E医師に過失があることの根拠として主張しているようである。しかし,被告E医師はその本人尋問において謝罪したのは不本意であったと述べていることのほか,謝罪の趣旨は明確でなく,診療行為に過失がないとしても,これによって想定外の結果が生じたことについて謝罪する趣旨であったということも当時の状況に照らし,あながち不合理ともいえないから,被告E医師がリンデロンAの点眼中止の判断につき謝罪をしたことをもって,被 によって想定外の結果が生じたことについて謝罪する趣旨であったということも当時の状況に照らし,あながち不合理ともいえないから,被告E医師がリンデロンAの点眼中止の判断につき謝罪をしたことをもって,被告E医師の治療行為に法律上の過失があったことを基礎付けるものとまではいえない。また,O医師の発言についても,それがどのような文脈で発言されたものかが不明であり,その発言の趣旨も明らかではなく,やはり被告E医師の治療行為に法律上の過失があったことを基礎付けるものとはいえない。 エ以上のとおり,被告E医師がリンデロンAの点眼を中止したことに過失 (医師としての注意義務違反)があるとは認められないから,原告らの主張は採用することができない。 なお,仮に,被告E医師がリンデロンAの点眼を中止したことに過失があるとしても,原告Aの失明とリンデロンAの点眼中止との間に因果関係がないことは,前記3 イのとおりであり,この点からも原告らの上記主張( )には理由がないというべきである。 争点4 (ダイアモックスを過剰に投与した過失の有無)について( )( )ア原告らは,ダイアモックスの添付文書に高齢者には慎重投与とされていること,F病院における処方が少量であったことなどを根拠として,被告E医師には,医師として具体的な患者の状態等を考えて万一の副作用を避けるために少量からの投与かつ連続せず期間を置いての投与を指示すべき注意義務があったにもかかわらず,これを怠ったと主張する。 イしかし,原告Aは,平成14年11月当時61歳であり,必ずしも高齢とは言い難い年齢であることは措くとしても,F病院の処方量は,被告病院の処方量と比べると少量であるが,ダイアモックスの処方量は年齢,症( )( )状により適宜増減するとされているところ(甲B10,前記11 い年齢であることは措くとしても,F病院の処方量は,被告病院の処方量と比べると少量であるが,ダイアモックスの処方量は年齢,症( )( )状により適宜増減するとされているところ(甲B10,前記11 ア,2)イのとおり,被告病院においてダイアモックスが処方された平成14年11月19日の時点では,原告Aの眼圧は右55mmHg,左56mmHgと極めて高い数値を示していたのに対し,F病院への通院中の原告Aの眼圧は,正常値よりは高いながらも概ね20mmHg台後半程度で抑えられていたことからすると,F病院と被告病院の処方の違いは,眼圧上昇の程度(症状)の違いによるものとも考えられる。 そもそも,ダイアモックスの添付文書(甲B10)によれば,緑内障に対して投与する場合のダイアモックスの用量は1日あたり250mgないし1000mgとされているが,被告E医師が服用を指示した1日当たり750mgという量は,添付文書の用量の範囲内のものであるし,上記の とおり,平成14年11月19日における原告Aの眼圧が極めて高い数値を示しており,早急に眼圧を下げる必要性があったことからすると,高齢者に対しては少量から投与すべきとされていることを考慮しても,被告E医師が原告Aに対し当初から1日当たり750mgのダイアモックスを処方したとしたことが不適切であるということはできない(なお,被告E医師は,ダイアモックスの処方についても原告Aに謝罪をしていることが認められるが,この事実が被告E医師の治療行為に法律上の過失があったことを基礎付けるものといえないことは,前記3 と同様である。 ( )。)したがって,原告らの上記主張には理由がない。 ウなお,原告らは,被告病院担当医師らが,ダイアモックスとトルソプトを併用したことも過失であると主張しているようであるが,トル である。 ( )。)したがって,原告らの上記主張には理由がない。 ウなお,原告らは,被告病院担当医師らが,ダイアモックスとトルソプトを併用したことも過失であると主張しているようであるが,トルソプトに尿路結石の副作用はなく,ダイアモックスとトルソプトの併用によって尿路結石が生じたものとは認められないから(証人H医師,やはり被告病)院の担当医師らの行為について,原告らの請求を肯定すべき注意義務違反があるとは認められない。 弁論終結後に提出された原告らの準備書面における新たな主張について口頭弁論終結後に提出された原告らの準備書面において,新たな主張が追加されているところ,裁判所としては,これらの主張について判断する必要はないが,以下念のため付言する。 失明に至る機序等についての認識を統一し,他の医師の見解・認識を聞い( )た上で治療方針を検討すべき注意義務について原告らは,被告病院の担当医師らには,患者の症状と失明等へ至る機序についての認識を統一した上で治療に当たるべき注意義務があると主張し,また,自らの主張・認識だけに固執せず可能な限り他の医師の見解・認識を聞いた上で治療方針を検討すべき注意義務があるなどと主張する。 しかし,原告らの上記主張は,結局のところ,被告病院の担当医師らには, 原告Aに対し,緑内障手術を行うべき注意義務違反があると主張していることと変わりはなく,これと別個独立して検討・判断する必要があるとは認められない。そして,手術時期の選択等について被告病院の担当医師らに過失があるといえないことは前記のとおりである。したがって,原告らの上記主張には理由がない。 手術を行わない場合の説明義務違反について( )原告らは,被告病院の担当医師らには,原告Aに対し,緑内障手術を行わないのであれば,手術をしな る。したがって,原告らの上記主張には理由がない。 手術を行わない場合の説明義務違反について( )原告らは,被告病院の担当医師らには,原告Aに対し,緑内障手術を行わないのであれば,手術をしないことの利点とその後の治療方法と治癒の確率,手術をしないことのリスクの有無,手術をすることの利点とリスクの有無等について説明義務違反があると主張する。 確かに,医師は,治療方法を決定するに際し,複数の選択肢がある場合には,それぞれの治療方法の利害得失等について患者に説明する必要があるものというべきである。したがって,本件の場合においても,被告病院の担当医師らには,原告Aに対し,特段の事情のない限り,消炎治療を優先させて薬物療法を行う方法と積極的に緑内障手術を行う方法について,それぞれの利害得失等を説明する必要があったものと認められる。 しかし,原告Aは,平成14年11月12日,前医であるF病院のG医師から,右眼について,緑内障手術をして今より見えるようになることはないが,今のうちに右眼について手術を行い,高眼圧による角膜内皮傷害進行を抑制しなければ手術時期を逸することになるなどと説明を受け,手術に対する不安等から,改めて手術の必要性について判断してもらおうと被告病院眼科を受診したことは前記11 イのとおりであり,このことからすると,原告( )Aは,同原告の眼の状況では,早期に緑内障手術を受けなければ,視力の低下・喪失等の重大な結果が生ずる可能性があるとする医師の意見があることを認識したと認められる。 また,原告Aは,平成14年11月19日には,被告E医師から,眼圧が 急上昇した場合等には緑内障手術が必要となることの説明を受け,リンデロンAの点眼等による薬物療法を受けることとしたこと,同月25日には,H医師から,同日の各種検査・診察の結果 医師から,眼圧が 急上昇した場合等には緑内障手術が必要となることの説明を受け,リンデロンAの点眼等による薬物療法を受けることとしたこと,同月25日には,H医師から,同日の各種検査・診察の結果を踏まえて,視神経に緑内障変化が認められなかったことなどから,緑内障手術は行わず,ステロイド剤の点眼等で当面様子をみることとした旨を伝えられたこと,同年12月26日には,被告E医師から,右眼は現在のところ手術が必要でないこと,左眼については手術をすると却って炎症を悪化させるおそれがあるから手術をしない方がよいことなどを伝えられたこと,平成15年1月6日には,O医師から,現在の所見としては,左眼は最終的には緑内障手術(濾過手術)が必要となるが,明らかな視神経変化が出現するまでは消炎と薬物による眼圧下降というのが学術的な見解であること,緑内障手術は炎症を増悪させ,手術後の感染症等の危険もあることなどについて説明を受けていることは前記12 イ,ウ,( )ク,コないしセ,31 エのとおりであり,これらのことからすると,原告A( )は,G医師の前述の意見とは異なり,緑内障手術によって炎症が増悪する可能性があり,手術後の感染症等の危険があるとする意見があることをも認識・理解したものと認められる。 以上の事実からすると,原告Aは,緑内障手術を行うこと又は手術を行わないことの利害得失・手術の要否・時期について異なる医学的見解の存在等について十分に認識・理解していたものというべきであり,被告病院の担当医師らから消炎治療を優先させて薬物療法によって経過観察をする旨の説明を受けた上で治療を受けていたのであるから,仮に被告病院の担当医師らの説明が十分でないとしても,これによって,原告らの権利または法的利益が侵害されたものとはいえない。したがって,被告病院の担当 説明を受けた上で治療を受けていたのであるから,仮に被告病院の担当医師らの説明が十分でないとしても,これによって,原告らの権利または法的利益が侵害されたものとはいえない。したがって,被告病院の担当医師らの説明義務違反により,損害を被ったとする原告らの主張は採用することができない。 結論 以上のとおりであり,原告らの請求は,その余の争点について判断するまで もなく,いずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第34部裁判長裁判官村田渉裁判官金光秀明裁判官小野本敦 (別紙)主張要約書第1適時に緑内障手術を行わなかった過失の有無(原告らの主張) ぶどう膜炎は,高眼圧により遷延・悪化し,ぶどう膜炎が遷延・悪化すれば,網膜,網膜内の視神経に傷害を与えて,視力を低下させてしまうものである。また,ぶどう膜炎の遷延・悪化が進むと,角膜内皮細胞障害が進行して角膜内皮細胞の数が減少し,その結果,代謝不全となって角膜浮腫が生じ,やはり視力が低下してしまうものである。したがって,高眼圧による視力の低下を防止するためには,緑内障手術を行い眼圧を下げることが必要となる。 原告Aは,薬物療法を長期間にわたり受けていたが,薬物治療のみでは眼圧が下がらない状態であった。高眼圧が続けば,視力が低下するのは上記のとおりであり,原告Aの失明の機序は,眼組織の傷害であり,その範囲は角膜浮腫と眼底の傷害(特に視神経の傷害)であり,これらの傷害の原因の根元が眼圧上昇と角膜内皮細胞の減少にあることは明らかである。したがって,被告らは,医師として,まず平成14年11月19日にリンデロンAの点眼中止の結果起こった高眼圧と,その結果発症した各種組織障害を抑え,眼組織障害を悪化させず,再発さ ことは明らかである。したがって,被告らは,医師として,まず平成14年11月19日にリンデロンAの点眼中止の結果起こった高眼圧と,その結果発症した各種組織障害を抑え,眼組織障害を悪化させず,再発させないようにすべく,この時点で直ちに緑内障手術を施して,先ず眼圧を早期に正常値まで下げておくべき注意義務があったというべきである。 また,仮にこの高眼圧の時点で直ちに緑内障手術を施すことができなかったとしても,少なくとも眼科医師としては,左眼については,高眼圧が少しおさまった時点(左眼は平成14年11月28日から12月3日,右眼は平成15)年2月10日ころに再度眼圧が上昇してきた時点で,原告Aの眼の角膜内皮細 胞が減少及び角膜浮腫が生じる前に緑内障手術を施して,眼圧を正常値まで下げ,発症している各種眼組織障害の悪化と視神経への傷害を防ぐべき義務があったというべきである。 ところが,被告病院担当医師らは,高眼圧による視力低下の機序を理解せず,高眼圧のために両眼の眼組織障害の発生・悪化及びこれに伴う視力の低下の生じていた原告Aに対し,緑内障手術をしないまま,約6か月もの間,薬物点眼等の治療のみを延々と続けていたのである。 被告らは,原告Aは緑内障手術の適応の状態になかった,角膜内皮細胞数は緑内障手術とは関係がない,緑内障手術は炎症を押さえる効果がないなどと主張する。しかし,緑内障手術をすれば眼圧が下がり,眼圧が下がれば炎症も消失するのであり,これらの主張は,被告らが,角膜内皮細胞数と眼圧,ぶどう膜炎の関係を全く理解していないことを示すものである。被告らが,緑内障手術を行わず,薬物治療のみで放置したことにより失明に至ったことからすれば,原告Aに緑内障手術が必要であったことは明らかである。 (被告らの主張) 緑内障手術の効果及びそのリスクに 告らが,緑内障手術を行わず,薬物治療のみで放置したことにより失明に至ったことからすれば,原告Aに緑内障手術が必要であったことは明らかである。 (被告らの主張) 緑内障手術の効果及びそのリスクについて続発緑内障は炎症によって眼圧が亢進することによって引き起こされるものであり,緑内障手術は,眼圧を下げる効果はあっても,眼圧を亢進させている根本である炎症を抑える効果は持ち合わせていない。したがって,緑内障手術を行って眼圧を一時的に下げることができたとしても,炎症が残っている以上,いずれ眼圧の亢進は避けられないし,炎症による視神経乳頭の萎縮を抑制することもできないのである。 このように,緑内障手術は,限定的な効果しか持ち合わせていない上に,合併症として,低眼圧黄斑症が生ずることがあるが,合併症の発症は予測不能であり,いったん発症した場合には,低眼圧から確実かつすみやかな眼圧上昇が得られる治療手段も知られていない。合併症なく経過した場合でも,無血管濾 過胞が多く,経過とともに濾過胞限局,濾過胞壁菲薄化をきたし,房水漏出や滲出,あるいは結膜上皮障害が認められる症例は数多い。手術が不成功となった場合,眼圧再上昇だけでなく,身体をいたずらに損傷したということ以外にも,例えば経過中の濾過胞瘢痕化によって眼圧下降が得られなくなり,それまで機能していたschlemm管の閉塞,狭細化によって,術前よりも濾過機能を悪化させている可能性があり,さらには,虹彩切除の存在が房水の流れを変え白内障進行を促すことなどがあるとされている。 以上のように緑内障手術は非常にリスクが高い手術である。 緑内障の具体的手術適応基準について以上のように,緑内障手術はリスクが高い割には,眼圧下降をその目的とするにすぎず,治療の目的である視機能障害進行阻止,あるいは改善に直接 スクが高い手術である。 緑内障の具体的手術適応基準について以上のように,緑内障手術はリスクが高い割には,眼圧下降をその目的とするにすぎず,治療の目的である視機能障害進行阻止,あるいは改善に直接的に作用する治療法ではない。開放隅角緑内障の手術適応については教科書的な原則がある訳ではなく,手術適応に絶対というものはなく(乙B第9号証100頁ないし101頁,緑内障における手術治療は必要悪といわれており,患者)に選択権があると同時に医師側にも選択権がある(乙B第9号証94頁)とされているところであって,視神経乳頭に緑内障変化が生じた時点で手術実施を考えるというのが一つの目安ではあるものの,これも絶対的な基準とはされていないのである。 原告Aのようなぶどう膜炎による続発性緑内障の場合は,緑内障の手術療法は100%安全ではなく,また続発性緑内障の手術の成功率は原発開放隅角緑内障に比べて悪いので,患者の年齢やQOLなども十分に考慮して踏み切るべきであり,特にぶどう膜炎による続発性緑内障の場合,眼圧が高くても原発緑内障に比べ,手術効果が悪い場合が多いのであまり積極的には行わない(乙B10の57頁)とされている程度であって,具体的な手術適応の基準はない。 なお,原告らは,角膜内皮細胞数が緑内障手術実施時期を判断する要素になるとの理解を前提とした主張を展開しているが,続発緑内障の手術適応の判断 要素として,角膜内皮細胞数を挙げている文献はない。確かに角膜内皮細胞が多ければより安全に手術することができるが,角膜内皮細胞が少なければこれに触れないように注意して手術をすれば済むことであって,角膜内皮細胞数の多寡は,緑内障の手術の適応には関係がないというべきである。また,緑内障の進行と角膜内皮細胞の減少との間にはあまり関係がないとするのが一般的な理解 して手術をすれば済むことであって,角膜内皮細胞数の多寡は,緑内障の手術の適応には関係がないというべきである。また,緑内障の進行と角膜内皮細胞の減少との間にはあまり関係がないとするのが一般的な理解であり,緑内障の手術をして眼圧を下げても主としてぶどう膜炎に起因する角膜内皮細胞の減少を防ぐことはできず,この点からも角膜内皮細胞数は緑内障の手術適応とは関係がないというべきである。 緑内障手術の適応判断 リンデロンAの点眼中止により原告Aの矯正視力が低下した機序は,ぶど( )う膜炎が悪化し,前房内炎症が発症した結果,眼圧が上昇して角膜上皮浮腫が生じ,その結果として視力が低下したというものであって,視神経に影響して視力が低下したというものではない。したがって,リンデロンAの使用を一時見合わせたことを契機として視力が低下した時点では,緑内障手術の適応はない。また,平成15年1月14日に行った検査においては視神経乳頭に緑内障性変化は認められず,この時点でも緑内障手術の適応はない。 また,緑内障手術はリスクの高い手術である以上,リスクが顕在化した際に医師と患者との間に信頼関係が保たれるかということも考慮に入れて手術適応を判断する必要があるが,原告Aに関しては,眼圧のコントロールが奏功せず,緑内障手術が却って視力悪化を加速する危険性が高く,しかも同原告は,被告病院医師に対し,リンデロンAの点眼を中止したことが視機能悪化を招いたと述べ,被告病院入院費を支払おうともしない状況にあったことなどからすると,原告Aにおいて,緑内障手術に伴うリスクを受け入れるだけの信頼関係を醸成できていなかったというべきであり,この点からも手術適応はなかったというべきである。 そして,本症例のようなぶどう膜炎による続発緑内障に対する手術成績は,( ) 術前の炎 けの信頼関係を醸成できていなかったというべきであり,この点からも手術適応はなかったというべきである。 そして,本症例のようなぶどう膜炎による続発緑内障に対する手術成績は,( ) 術前の炎症の程度で左右されるとされており,眼内の炎症が強い時期に外科的侵襲を加えることは躊躇されること,本件においては非可逆性である角膜内皮細胞の減少が存在しており,緑内障手術によるぶどう膜炎の増悪は,角膜内皮細胞機能不全=水泡性角膜症につながる可能性が高かったことなどの諸事情からすれば,被告病院医師の原告Aに対する手術時期に関する判断は適切であったというべきである。 なお,原告Aは,D病院に転院してから間を置かずに緑内障手術を受けるに至っているが,これは,被告病院において内科的に考え得る範囲で最大限の眼圧抑制治療を続けてきた経緯があったことを受けてのことであり,上記手術の実施をもって,被告病院において漫然と投薬をしていたということの根拠とはならない。 まとめ被告病院医師らは,原告Aが被告病院に入院する直前の平成14年11月25日から入院前半である同月29日までの間,原告Aの眼圧が比較的安定し,矯正視力の極端な低下は見られず,視神経乳頭にも緑内障性変化が生じておらず,原告A自身も被告病院の治療(ぶどう膜炎の治療及び眼圧の抑制)に満足していたことから,緑内障手術は行わないこととしたのであり,被告病院医師に適切に緑内障手術を行わなかった過失はない。 第2リンデロンAの点眼中止の危険性についての説明義務違反の有無(原告らの主張) リンデロンAの点眼によってブドウ膜の炎症の悪化をおさえている者に対し,他の炎症防止薬を点眼させることなく,リンデロンAの点眼を中止すれば,ぶどう膜の炎症が遷延・悪化する危険性があることは明らかである。そして,ぶどう膜炎 てブドウ膜の炎症の悪化をおさえている者に対し,他の炎症防止薬を点眼させることなく,リンデロンAの点眼を中止すれば,ぶどう膜の炎症が遷延・悪化する危険性があることは明らかである。そして,ぶどう膜炎が遷延・悪化すると,眼圧が上昇し,角膜内皮細胞の減少を招き,角膜浮腫が生じて,視力の低下・喪失の危険があり,また,ぶどう膜炎の悪化により,眼底(特に視神経)に傷害が生じ,視力低下ないし喪失機能障害をおこ してしまうおそれがある。 したがって,被告E医師は,長期間(1年間)リンデロンAによりぶどう膜の炎症を抑えてきた原告Aについて,リンデロンAの点眼を中止してステロイド緑内障か否かの判断を得ようとするのであれば,中止により生ずるかもしれない上記機序と危険性について,原告Aに対し,きちんと説明をして,原告Aの同意をとってから中止する義務がある。 被告E医師は,上記義務があるにもかかわらず,初診患者の原告Aに対して,前医(F病院)における処方薬を原告Aから問診にて聴取すると,医師としての説明義務を尽くさず,前記危険性の説明など一切せず,安易かつ無造作に「リンデロンAには眼圧を高める作用がある。したがってこれを切ってみましょう」とだけ言って,1週間後(11月22日)の再診を約して,他にぶど。 う膜炎の炎症を抑える薬も処方せず,原告Aに対してリンデロンAの点眼を平成14年11月15日の午後から約6日間止めることを指示したのであり,被告E医師には上記説明義務を怠った過失がある。 (被告らの主張) そもそも,リンデロンA点眼の一時中止は臨床において日常的に行われていることであり,リンデロンAの点眼を一時中止することによって視力が急激かつ不可逆的に悪化するなどという医学的知見はない。リンデロンA点眼の一時中止が,原告らの指摘するような危険性をはらむ 行われていることであり,リンデロンAの点眼を一時中止することによって視力が急激かつ不可逆的に悪化するなどという医学的知見はない。リンデロンA点眼の一時中止が,原告らの指摘するような危険性をはらむものではない以上,被告E医師に原告らの主張するような説明義務はなく,原告らの主張は,その前提において失当というべきである。 仮に説明義務が認められるとしても,被告E医師は,リンデロンAの一時使用見合せを提案するに当たって十分な説明を行っている。すなわち,被告E医師は,原告Aの眼圧が「右35mmHg左45mmHg」と非常に高い数値であったことを受けて「緑内障の手術はリスクが高く失明する可能性もあるが,眼圧,が高いのはステロイド剤の副作用による可能性もあり,一度ステロイド剤の使 用を中止してみるという方法もある」と説明し,いずれの治療法を採るか原。 告Aに選択させている。そして,原告Aがステロイド剤の一時使用見合せを選択したことを受けて「逆に症状が悪化することもあるので,その時は火曜か金曜に来るよう」に指示しており,実際に原告Aは翌火曜(平成14年11月19日)に来院している。 また,原告Aは,JamicJournalにリンデロンAに関する著作を掲載するなど医学知識は豊富であり,しかも医療訴訟に関する著作も多いことからすると,医師の説明とこれに対する患者の同意の重要性に関しては十分に理解をしていると解される。そうすると,原告Aが,リンデロンAの一時使用見合せの意味を理解することなく医師の一方的な指示に従って唯々諾々と点眼を中止したとは考え難い。 以上からすると,原告らの主張は後に視力低下が進んだことを受けた結果論というべきである。 第3リンデロンAを中止した過失の有無(原告らの主張) リンデロンAの点眼によってぶどう膜の炎 い。 以上からすると,原告らの主張は後に視力低下が進んだことを受けた結果論というべきである。 第3リンデロンAを中止した過失の有無(原告らの主張) リンデロンAの点眼によってぶどう膜の炎症の悪化をおさえている者に対し,他の炎症防止薬を点眼させることなく,リンデロンAの点眼を中止すれば,視力の低下・喪失を招く可能性があることは前記のとおりであるから,医師としては,ステロイド緑内障か否かの判断のためにリンデロンAを中止する場合には,患者の眼の状況や従前の治療状況,症状の経過(炎症の程度、眼圧の推移、リンデロンAの使用歴及び置換薬)等について確認し,中止の必要性,中止によるリスク検討した上,他の炎症防止薬を処方するか眼内の状態のよい時期を選んで中止すべきである。 したがって,被告E医師には,原告AについてリンデロンAを中止する前に,問診だけでなく,前医での治療状況や症状経過について前医(F病院)のカルテ等によって確認をし,リンデロンA中止の必要性,他の炎症防止薬等を処方 せずにリンデロンAを中止した場合の重大なリスク(ぶどう膜炎の遷延・悪化)等につき,医学的に検討し,その結果により前医においてステロイド緑内障の判断検査を行っていなかった場合にはじめてリンデロンAを中止し,また中止するとしても,眼内の状態のよい時期を選んで中止すべき注意義務があったというべきである。また,被告E医師の認識では,原告Aが前医(F病院)にて2年前からリンデロンAの点眼を続けていたということになり,前医にて2年間もリンデロンAの点眼を続けていれば必ずやステロイド緑内障を疑ってその判断検査を行っていることは医師として当然に予測できることであり,この点からかも,前医のカルテ等によって確認すべき義務があったものといえる。 しかし,被告E医師は,前医のF病 ド緑内障を疑ってその判断検査を行っていることは医師として当然に予測できることであり,この点からかも,前医のカルテ等によって確認すべき義務があったものといえる。 しかし,被告E医師は,前医のF病院のカルテを持参させ又は取り寄せて,治療内容やステロイド緑内障の検査の有無等につき,確認することもなく,簡単な問診だけでリンデロンAの中止を指示した。初診時の原告Aの眼圧が高いこと(右35mmHg,左45mmHg)を考えると,両眼のぶどう膜の炎症も悪化していることが容易に判断でき,このような状況下で炎症防止薬のリンデロンAを急いで中止させるべき何の理由も存在しなかったが,被告E医師は,単に「眼圧が高い「長期間リンデロンAを用いていた「従ってステロイド,」」」,緑内障の疑いあり「だからリンデロンAを中止させる」という安直な考えで前医での治療状況や原告Aの眼内の状態を深く考えず,リンデロンAの点眼中止による視力低下の機序について全く意を用いず,突然思いついたままに安易な発想のみでリンデロンAを中止させる行為に及んだのである。 以上のように,被告E医師には,当時眼圧が高かった(従ってぶどう膜炎も悪化している状態)原告Aに対して,安易にぶどう膜炎の炎症防止薬であるリンデロンAを突然他の代替炎症防止薬も処方せずに中止させたのであり,前記注意義務を怠った過失がある。 被告らはリンデロンAを中止するのは標準的な治療方法であると主張する。 確かに,ステロイド緑内障か否かの判断をするためにリンデロンAを中止する ことは一般的に行われている治療であるが,上記のとおり,被告らは,中止の必要性及び時期の判断を誤っているのであるから,本件のリンデロンAの中止を適切な治療行為ということはできない。 (被告らの主張) リンデロンAを一気に中止すること ,上記のとおり,被告らは,中止の必要性及び時期の判断を誤っているのであるから,本件のリンデロンAの中止を適切な治療行為ということはできない。 (被告らの主張) リンデロンAを一気に中止することは,標準的な治療法の一つであり,原告らの指摘するような危険性をはらむものではない。そして,被告E医師はリンデロンAの中止の提案をするに際しては,あらかじめ眼圧検査を行い「右3,5㎜Hg,左45㎜Hg」と極めて高い数値であることを確認したばかりでなく,眼底検査を実施して視神経乳頭は正常であり,前房に炎症は認められないものの両眼の角膜後面に沈着物があり,両眼隅角に虹彩前癒着を認めるなど,眼内の状況を十分に把握した(乙A第1号証14頁)上でリンデロンAの中止を提案しており,患者の眼の状況等についても十分把握した上でリンデロンAを中止している。 なお,原告らは「他に非ステロイド剤による炎症防止もしなかった」と主,張する。しかし,上述したとおり,初診時に行った検査では前眼房に炎症細胞は認められず,炎症は起こしていなかったのであるから,炎症の防止策を講じるべきとする前提を欠いている。 以上のとおり,リンデロンAの点眼を中止することは何ら危険なことではなく,被告E医師は,事前に十分な検査も行っているのであるから,原告らの主張は失当というべきである。 第4ダイアモックスを過剰に投与した過失の有無(原告らの主張) ダイアモックスは眼圧降下薬として用いられる内服薬であるが「尿路結石,の副作用」があることは,医学上明らかである(甲B第10号証) ダイアモックスの投与方法について,甲B第9号証(乙B第6号証「炭酸)脱水酵素阻害剤使用上の注意」では「投与対象は高齢者が多く,全身疾患を有 する頻度も高く,それら疾患への配慮を考えることも大切で アモックスの投与方法について,甲B第9号証(乙B第6号証「炭酸)脱水酵素阻害剤使用上の注意」では「投与対象は高齢者が多く,全身疾患を有 する頻度も高く,それら疾患への配慮を考えることも大切である」とされ,甲B第10号証の製薬会社のダイアモックスの投与の際の注意事項では「高齢者への投与は,低用量から投与を開始するとともに,患者の状態を観察しながら慎重に投与することが必要である」とされており,ダイアモックスの投与は,慎重になされることが要求されている。 実際に,F病院においては,下記のとおり,少量を短期間だけ,しかも期間を置いて投与しており,副作用の防止に心を配りながら投与がされている。 平成14年4月23日250㎎錠剤を1日に1錠で2日分4月30日250㎎錠剤を1日に2錠で2日分5月1日250㎎錠剤を1日に2錠で2日分8月30日250㎎錠剤を1日に1錠で7日分9月24日250㎎錠剤を1日に1錠で7日分 これに対し,被告E医師が原告Aに対して処方したダイアモックスの量は250㎎の錠剤を1日に3錠服用(1日で合計750㎎の服用)で28日間分の処方であった。被告E医師は,原告Aと会ったのは平成14年11月15日の初診と11月19日の2回目だけであり,前医のカルテも見ていないであるから,慎重にダイアモックスの処方をすべきであったのにもかかわらず,自らが証拠として提出している乙B第6号証の書物の記載だけを見て,全ての患者に対して1日1000㎎以下の投与であれば良しとして,具体的患者の状態も,副作用も考えず,1日750mgものダイアモックスの処方を行ったのである。 この被告E医師の指示した処方量及び1日の服用量(750㎎)は,F病院での処方・服用量(1日250㎎)とは明らかに異なっており,被告E医師がダイアモックスを過剰に投与 ックスの処方を行ったのである。 この被告E医師の指示した処方量及び1日の服用量(750㎎)は,F病院での処方・服用量(1日250㎎)とは明らかに異なっており,被告E医師がダイアモックスを過剰に投与していたことは明らかである。また,原告Aは,被告病院の初診時,前医であるF病院で処方された過去6か月分の薬のリスト(説明書)を持参して被告E医師に見せるとともに,同被告からダイアモックスも飲んでいるかと尋ねられ,何回か服用したが,ダイアモックスを服用する と2~3日後に排尿時に違和感があると答えているのであって,被告E医師は,原告Aの場合,ダイアモックス1錠(250mg)を1日1回服用するだけで,原告Aに排尿時の違和感が生じることを認識していたというべきである。 以上のとおり,被告E医師には,ダイアモックスの投与量につき,書物による一般的投与量の記載だけを盲信するのみで,医師として具体的な患者の状態等を考えて万一の副作用を避けるために少量からの投与且つ連続せず期間を置いての投与を指示すべき注意義務があったにもかかわらず,これを怠った過失がある。 (被告らの主張) ダイアモックスの添付文書によれば,ダイアモックス錠は1錠中にアセタゾラミド成分を250㎎含有しており,緑内障に対しては,アセタゾラミドとして1日250~1000㎎(したがって,ダイアモックス錠として1日1~4錠)を分割経口投与することとされている。 また,添付文書以外の文献においても「ダイアモックス(炭酸脱水酵素阻,害剤)は緑内障の治療薬として使用されており,その病気の性質上10年以上の長期にわたることも珍しくない。ダイアモックスは1錠250mgであるが,1日1g以上(4錠以上)は効果に比して副作用の程度が高まるので,長期に使われることは稀である(乙B第6号証405頁)とされ の長期にわたることも珍しくない。ダイアモックスは1錠250mgであるが,1日1g以上(4錠以上)は効果に比して副作用の程度が高まるので,長期に使われることは稀である(乙B第6号証405頁)とされており,臨床医か」らも広く信頼を集めている「今日の治療薬(乙B第7号証599頁)におい」ても緑内障に対する1日量は250~1000mgとされている。 よって,被告E医師は原告Aに対して平成14年11月19日にした,ダイアモックス錠を1日3錠,朝,昼,夕の各食後に分けて服用するとの処方は,添付文書に記載された処方量の範囲内に収まり,かつ,一般的な医学的知見にも合致するものであり,誤りはない。 原告らは,医師として具体的な患者の状態等を考えて万一の副作用を避けるために少量からの投与かつ連続せず期間を置いての投与を指示すべき注意義務 があった旨主張するが,ダイアモックスの添付文書上も,その他一般的な文献上も,ダイアモックスを投与するに際し少量から投与することや連続投与を避けるべきことは指摘されておらず,また,臨床的にもそのような配慮が払われる例はない。 なお,被告E医師が,原告Aから,その初診時に,ダイアモックスを服用すると2~3日後に排尿時に違和感があると聞いたことはなく,原告Aの場合,ダイアモックス1錠(250mg)を1日1回服用するだけで,原告Aに排尿時の違和感が生じることを認識していたとの事実もない。 よって,原告らの当該主張には理由がない。 第5過失と損害との因果関係(原告らの主張) 過失と失明との因果関係 原告Aの失明の機序( )原告Aは,平成14年11月19日,リンデロンAの中止により生じた過去1度もない程の眼圧の上昇によって,あらゆる眼組織が急激に傷害されて悪化し(角膜浮腫・ぶどう膜炎の悪化・網膜の傷害・視 序( )原告Aは,平成14年11月19日,リンデロンAの中止により生じた過去1度もない程の眼圧の上昇によって,あらゆる眼組織が急激に傷害されて悪化し(角膜浮腫・ぶどう膜炎の悪化・網膜の傷害・視神経の傷害等の発生・悪化,その後も,眼圧が下がらず却って上昇したことで各種眼組織障害)は悪化し,さらに新たな眼組織障害も発症・悪化させるなどして,その結果,視神経の障害・萎縮や毛様体の機能不全まで生じることとなった。したがって,その後にD病院において眼圧を下げる手術を施してみても,視神経の萎縮や毛様体機能の低下は戻らず,視力は喪失していった。 適時に緑内障手術を行わなかった過失と失明との因果関係( )上記のとおり,原告Aの失明は高眼圧状態が続いたことが原因であるから,被告らが,原告Aに発症した各眼内障害に対して早期に緑内障手術を施していれば,眼圧を正常に下がり,各眼内障害も悪化せず,視神経や毛様体への影響も免れ,失明を回避できたことは明らかである。 リンデロンAの中止の危険性についての説明義務違反と失明との因果関係( )原告Aが失明したのは,リンデロンAを突然中止したことにより生じた高眼圧に根本的な原因がある。 したがって,被告E医師が,リンデロンAを中止するにつき,原告Aに対し,リンデロンAの中止の危険性等(第2の1)を説明していれば,原告AはリンデロンAを中止することはなく,視力喪失を回避できたのである。 リンデロンAを中止した過失と失明との因果関係( )リンデロンAを中止した過失と失明との因果関係については,中止行為そのものと失明の結果との関係だけを一対としてとらえると因果関係はないもののようにもみえるが,本件の場合は,中止行為により発症した各眼内傷害を手術せずに放置した前後一連の行為が不可避的に結合して失明とい ものと失明の結果との関係だけを一対としてとらえると因果関係はないもののようにもみえるが,本件の場合は,中止行為により発症した各眼内傷害を手術せずに放置した前後一連の行為が不可避的に結合して失明という結果に至っているのであるから,中止行為を含めて以後の治療行為を一連の原因行為として生じた失明という結果との間に因果関係が存するか否かを判断すべきである。 そして,本件においては,リンデロンAの中止行為がなく,眼内傷害が起こらない状態の下で,以後適切な治療行為が採られていれば,原告Aは失明に至らなかったのであり,被告E医師がリンデロンAを中止して(しかも緑内障手術を行わなかった結果)眼内障害を発症させたのであって,被告E医師がリンデロンAを中止しなければ,原告Aの眼は超高眼圧になることはなく,高眼圧にならなければ,ぶどう膜炎も悪化せず,角膜内皮細胞数も減少せず,角膜浮腫も起こらず,視神経の傷害もなく,したがってその後の視力喪失もなかったのであるから,リンデロンAを中止した過失と失明との間には因果関係があることは明らかである。 ダイアモックスを過剰に投与した過失と尿路結石との因果関係ダイアモックスには尿路結石という副作用があり,原告Aの尿路結石は,被告E医師が1日750mgというF病院における投与量の3倍もの量を服用さ せ始めてから8日目に発症しているのであり,被告E医師がダイアモックスを過剰投与した過失と尿路結石発症との間に因果関係があることは明らかである。 (被告らの主張) 「過失と失明との因果関係」について 原告Aの失明の機序( )原告Aの視力障害は,ぶどう膜炎による直接的な視神経の傷害によるものであり,高眼圧=緑内障によるものではない。このことは,高眼圧が視力の悪化を招いているとすれば,眼圧を下げれば視力の悪化を食い止 )原告Aの視力障害は,ぶどう膜炎による直接的な視神経の傷害によるものであり,高眼圧=緑内障によるものではない。このことは,高眼圧が視力の悪化を招いているとすれば,眼圧を下げれば視力の悪化を食い止めることができるはずであるところ,原告Aは,平成15年5月21日,左眼の線維柱帯切除術を受けて,眼圧亢進が収まり,視力も手動弁からいったんは0.03にまで改善したにもかかわらず,その後視力を失うに至ったことから明らかである。 上記のように,原告Aの抱えていた原疾患のうち,ぶどう膜炎については,それだけで視力を悪化させることについて十分な根拠がある一方で,続発緑内障が視力を悪化させるということについては実証的に否定されている。したがって,原告Aの視力低下はぶどう膜炎による間接的もしくは直接的な視神経の傷害によって引き起こされたものと考えるのが相当であって,高眼圧=緑内障によるものではないというべきである。 適時に緑内障手術を行わなかった過失と失明との因果関係( )上記のとおり,原告Aの視力障害発生は緑内障が亢進していったことだけからは説明ができないのに対し,それが原疾患であるぶどう膜炎により間接的もしくは直接的に視神経が傷害されたことによるものであることについて合理的な説明が可能であることからすれば,緑内障に対する治療法である緑内障手術(線維柱帯切除術)実施の時期如何と原告Aの視力障害発生が関連性を有しているとはいえないというべきである。むしろ,リンデロンAの点 眼をわずかの期間中止しただけでこれほどまでにリバウンドをする症例は稀有であり,仮に,この時点で手術治療に踏み切っていたならば,逆に炎症を助長して早期に失明に至っていたとすら考えられる。 リンデロンAの中止の危険性についての説明義務違反と失明との因果関係( )原告Aがリ 仮に,この時点で手術治療に踏み切っていたならば,逆に炎症を助長して早期に失明に至っていたとすら考えられる。 リンデロンAの中止の危険性についての説明義務違反と失明との因果関係( )原告AがリンデロンAの点眼を再開した後の平成14年11月22日には眼圧が「右21㎜Hg,左35㎜Hg」と初診時より改善し(乙A第1号証11ページ,また同月25日の矯正視力は「右0.8(その後,1.0にまで)改善,左1.0」と改善しており,角膜上皮浮腫も消失している(乙A第)1号証16ページ。 )このような原告Aの眼圧等の数値は,リンデロンAの一時使用見合せによる障害が可逆的であったことの証左というべきである。したがって,初診時にリンデロンAの使用を一時見合わせる指示をしたことと,原告Aが失明したこととの間に因果関係はないというべきである。 リンデロンAを中止した過失と失明との因果関係( )原告らは,被告病院に通院を開始してから視力障害が発生するまでのすべてがリンデロンAの点眼中止から始まっていると理解しているようである。 しかしながら,リンデロンAの点眼中止と原告Aの視力障害発生との間に何の関連性もないことは,3 記載のとおりである。そうすると,原告Aが,( )平成14年11月15日から同月19日までの4日間,リンデロンAの点眼を中止したことと,原告Aに視力障害が発生したこととの間に関連性はないというべきである。 「ダイアモックスを過剰に投与した過失と尿路結石との因果関係」について 被告E医師が原告Aに対してダイアモックス錠を処方したのは平成14年( )11月19日であるところ,原告らの主張によれば,原告Aは8日後の同月27日に早くも排尿時痛を訴えている。 しかしながら,このような短期間に副作用が出現するとの医学的知見は, 調査 4年( )11月19日であるところ,原告らの主張によれば,原告Aは8日後の同月27日に早くも排尿時痛を訴えている。 しかしながら,このような短期間に副作用が出現するとの医学的知見は, 調査した範囲では引き当たらなかった。したがって,本件ダイアモックスの処方と尿路結石発症との間に因果関係は認められないというべきである。 付言するに,原告らは,F病院においてはダイアモックスの副作用も考慮( )した処方がなされていたから副作用が出なかったと主張する。 しかし,原告AのF病院における診療記録によれば,同人は平成14年9月11日外来診察日において排尿時違和感を訴えており(乙A第3号証87頁,この診療記録の記載からすると,原告Aには,被告病院来院時点にお)いて既に尿路結石の症状が発症していたというべきである。そうすると,原告らの主張は,平成14年9月に排尿時違和感を訴えてダイアモックスの処方が中止された経緯があるにもかかわらずこれを秘匿し,わずか2か月後に再びダイアモックスの処方を求め,その後に尿路結石となったからといって,F病院ではダイアモックス服用による副作用など発症しなかったとして被告E医師の処方に誤りがあったというものであって,失当というべきである。 第6損害額(原告らの主張) 原告Aの損害合計1億6673万9849円 休業損害1525万4844円( )原告Aの年収は854万円(1日あたり2万3397円)であり,本件医療事故により平成14年11月22日から同年12月31日までの40,日間,平成15年4月3日から平成16年12月5日までの612日間は著述・講演ができなくなった。したがって,原告Aの休業損害は1525万4844円となる。 2万3397円×(40日+612日)=1525万4844円 逸失利益 6年12月5日までの612日間は著述・講演ができなくなった。したがって,原告Aの休業損害は1525万4844円となる。 2万3397円×(40日+612日)=1525万4844円 逸失利益8022万0490円( )原告Aの後遺障害は,自動車損害賠償保障法施行令2条後遺症等級表1級1号に該当し,労働能力を100%喪失した状態である。また,原告Aの就 労可能年数は少なくとも13年間(76歳まで)は存すると考えられる。 したがって,基礎収入854万円に13年に対応するライプニッツ係数9. 395を乗じて中間利息を控除した8022万0490円が原告Aの逸失利益である。 854万0000円×100%×9.3935=8022万0490円 後遺症慰謝料3000万0000円( )原告Aは,被告らの不法行為により両眼失明となり,その後遺障害は,上記2 のとおりであり,原告Aの後遺症は,61歳まで健常(右1.2,左1. ( )0)であった視力の状況から一転・急変したものであって,生活の中心であった著述も講演も不可能となり,人生の設計を狂わされ,今後一生涯付添介護を要する不慣れな生活となることは同原告を死に比する程苦しめているものであり,同原告の日常の生活の中で絶えず受ける多大な精神的苦痛を慰謝するに足りる金額は3000万円をくだらないものである。 尿路結石になったことに対する慰謝料130万0000円( )被告E医師の過失に基づくダイアモックスの過剰投与の結果,原告Aは尿路結石となり,砕石手術を受けざるを得なくなった。この間の原告Aの尿路結石の激痛に耐える苦しみ及び手術に対する苦痛は多大なものであった。原告Aが尿路結石になったことに対する慰謝料は130万円が相当である。 付添介護費用2546万4515円( )平成15年1月2 石の激痛に耐える苦しみ及び手術に対する苦痛は多大なものであった。原告Aが尿路結石になったことに対する慰謝料は130万円が相当である。 付添介護費用2546万4515円( )平成15年1月2日以降,原告Aの左眼の視力は低下してほとんど見えない状況となり,同原告一人での外出歩行はできなくなり,日常生活も不便となったことで,同原告の妻である原告Bによる付添が必要となった。平成16年12月6日の両眼失明の症状固定以降も,63歳で突然失明に至った原告Aは,日常生活全般につき,付添介護を受けなければならないものであり,原告Bによる付添介護費用は,以下のとおり,1日当たり3000円から5000円が相当である。なお,症状固定日である12月6日から平均余命時 である平成36年6月9日までの間は,20年間の原価をライプニッツ方式により中間利息を控除して算定する。 ア平成15年1月2日から平成15年4月2日3000円×91日=27万3000円イ平成15年4月3日から平成16年12月5日4000円×612日=244万8000円ウ平成16年12月6日(症状固定日)以降5000円×365日×12.4622(平均余命20年に対応するライプニッツ係数)=2274万3515円 弁護士費用900万0000円( )原告Aは,本件訴訟の提起・追行を原告ら代理人に委任し,その報酬として900万円を支払う旨約したものである。 原告Bの損害合計550万0000円 慰謝料500万0000円( )原告らに子供はなく,原告Bは,夫である原告Aのみを頼りにしていたところ,本件医療事故により将来への希望を失い,終生付添介護を続けざるを得なくなったのであり,その精神的苦痛は多大なもので,これを慰謝するに足る金額は少なくとも500万円をくだらない。 にしていたところ,本件医療事故により将来への希望を失い,終生付添介護を続けざるを得なくなったのであり,その精神的苦痛は多大なもので,これを慰謝するに足る金額は少なくとも500万円をくだらない。 弁護士費用50万0000円( )原告Bは,本件訴訟の提起・追行を原告ら代理人に委任し,その報酬として50万円を支払う旨約したものである。 (被告らの主張)争う。
▼ クリックして全文を表示