令和6(行ヒ)241 懲戒免職処分取消等、懲戒処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年9月2日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄自判 福岡高等裁判所 令和4(行コ)50
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判決文本文12,365 文字)

- 1 - 主文 1 原判決中上告人敗訴部分を破棄する。 2 第1審判決中上告人敗訴部分を取り消す。 3 前項の取消部分につき被上告人の請求をいずれも棄却する。 4 第1項の破棄部分に関する被上告人の附帯控訴を棄却する。 5 訴訟の総費用は被上告人の負担とする。 理由 上告代理人市丸信敏ほかの上告受理申立て理由(ただし、排除された部分を除く。)について 1 本件は、普通地方公共団体である上告人の消防職員であった被上告人が、任命権者である糸島市消防長(以下「消防長」という。)から、部下に対する言動等を理由とする懲戒免職処分(以下「本件処分」という。)を受けたため、上告人を相手に、その取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求める事案である。 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は、次のとおりである。 ⑴ 地方公務員法29条1項は、職員が、同法、これに基づく地方公共団体の機関の定める規程等に違反した場合(1号)、職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合(2号)等においては、当該職員に対し、懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる旨を規定する。 また、糸島市ハラスメントの防止等に関する規程(平成22年糸島市訓令第12号)は、パワー・ハラスメントとは、他の職員に対して、職務上の地位や人間関係令和6年(行ヒ)第241号懲戒免職処分取消等、懲戒処分取消請求事件令和7年9月2日第三小法廷判決- 2 -などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的若しくは身体的苦痛を与える言動又は職場環境を悪化させる言動をいうものとした上 請求事件令和7年9月2日第三小法廷判決- 2 -などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的若しくは身体的苦痛を与える言動又は職場環境を悪化させる言動をいうものとした上で(2条2号)、職員は、職員相互の人権を尊重し、ハラスメントをしてはならない旨を規定する(5条1項)。 ⑵ 被上告人は、平成5年4月に消防職員として採用され、平成14年4月に消防士長に、平成22年4月に消防司令補に昇任し、同月から消防隊の小隊長を務め、平成29年3月当時、糸島市消防本部(以下「消防本部」という。)a課b係長を務めていた。被上告人につき、本件処分以外の懲戒処分歴はない。 ⑶ 被上告人は、平成15年頃から平成28年11月までの間、別紙(被上告人の行為一覧)のとおりの行為をした。 上記行為のうち、別紙記載5、6及び9の各行為は、被上告人がいずれも採用後1年にも満たない部下に対し、訓練やトレーニングに係る指示や指導として行ったものであり(以下「各指導」という。)、別紙記載1から4まで、7、8、10から16まで及び19の各行為は、被上告人が部下に対してした発言である(以下「各発言」といい、各指導と併せて「本件各行為」という。)。本件各行為は、被上告人が、部下に対する嫌悪、苛立ち及び悪感情を主な動機として、感情の赴くままにした部分が大きく、その対象となった部下は、少なくとも10人に上る。 ⑷ 消防本部においては、平成28年6月頃、消防職員を対象とした職場環境改善に関するアンケートが実施され、職場にパワー・ハラスメントがまん延している、数年間で若手の職員が3名退職したのは職場環境が原因である、外部調査等の対処をしてほしいなどの回答が出された。 糸島市長は、同年7月頃、消防職員有志一同名義の文書の提出を受けた。同文書は、消防本部でのいじ 若手の職員が3名退職したのは職場環境が原因である、外部調査等の対処をしてほしいなどの回答が出された。 糸島市長は、同年7月頃、消防職員有志一同名義の文書の提出を受けた。同文書は、消防本部でのいじめやしごき等を原因として数年間で6人の若手の職員が退職し3人の職員がうつ病等のため休職していること、被上告人が訓練の名を借りていじめやしごきをしており、暴言も度を越していること、加害者が複数おり、そのトップにいるのがc課課長補佐のAであること等の記載があり、定期的に行われてい- 3 -るアンケートに指摘しても何も変化がないとして、実態調査のための調査委員会の設置を要望するものであった。これを受けて、糸島市長は、同月以降、消防職員に対する事情聴取を実施するなどした。 ⑸ 消防長は、平成29年3月3日、被上告人に対し、本件各行為が上記規程5条1項に違反すること等を理由に、地方公務員法29条1項1号及び2号に基づき本件処分をした。 ⑹ 本件処分の取消請求を認容する旨の第1審判決が言い渡された後、上告人の消防職員66人は、被上告人及び分限免職処分を受けたAが復職すると、職場の秩序が乱れ、消防事務に支障が生じる上、報復により更なる被害が生じる不安があるとして、被上告人及びAの職場復帰に反対する旨の書面を提出した。 3 原審は、上記事実関係等の下において、要旨次のとおり判断し、本件処分の取消請求及び損害賠償請求の一部を認容すべきものとした。 被上告人がした各指導は、訓練やトレーニングとして通常行われる範囲を逸脱したものではあるけれども、逸脱の程度が特段大きいとまではいい難い。各発言についても、これにより精神的に苦痛を受けた者が相当数に上るものの、言い過ぎの面や、表現が適切でなく、口の悪さが現れたにすぎないところもある。被害を受けた職員に重大な負 きいとまではいい難い。各発言についても、これにより精神的に苦痛を受けた者が相当数に上るものの、言い過ぎの面や、表現が適切でなく、口の悪さが現れたにすぎないところもある。被害を受けた職員に重大な負傷も生じていないことを踏まえると、被上告人がした非違行為による他の職員及び社会に対する影響が特に大きいとまではいえない上、被上告人が、本件処分以前に懲戒処分を受けたことがなく、訓練やトレーニングの際の指導等につき個別に注意等を受けたとの事情も見当たらないこと、被上告人が一定の反省の態度を示していること等をも考慮すると、懲戒の中で最も重い免職を選択した本件処分は、重きに失するものとして社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用した違法なものである。 4 しかしながら、原審の上記判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。 ⑴ 公務員に対する懲戒処分について、懲戒権者は、諸般の事情を考慮して、懲- 4 -戒処分をするか否か、また、懲戒処分をする場合にいかなる処分を選択するかを決定する裁量権を有しており、その判断は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したと認められる場合に、違法となるものと解される(最高裁昭和47年(行ツ)第52号同52年12月20日第三小法廷判決・民集31巻7号1101頁、最高裁平成23年(行ツ)第263号、同年(行ヒ)第294号同24年1月16日第一小法廷判決・裁判集民事239号253頁等参照)。 ⑵ 本件各行為のうち各指導は、いずれも、被上告人が職場内における優位性を背景として、採用後間もない部下に対し、鉄棒に掛けたロープで身体を縛って懸垂をさせた上で力尽きた後もそのロープを保持して数分間宙づりにして更に懸垂するよう指示したり、熱中症の症状を呈 おける優位性を背景として、採用後間もない部下に対し、鉄棒に掛けたロープで身体を縛って懸垂をさせた上で力尽きた後もそのロープを保持して数分間宙づりにして更に懸垂するよう指示したり、熱中症の症状を呈するまで訓練を繰り返させたり、体力の限界のため倒れ込んだことに対するペナルティと称して更に過酷なトレーニングをさせるなどしたものであり、部下に傷害を負わせるものであるか否かにかかわりなく、訓練やトレーニングに係る指示や指導としての範ちゅうを大きく逸脱するものというほかない。また、各発言には、部下に恐怖感や屈辱感を与えたり、その人格を否定したりするもののみならず、その家族をも侮辱したりするものも含まれている。このように、本件各行為は、部下に対する言動として極めて不適切なものであり、長期間、多数回にわたり繰り返されたものであることにも照らせば、その非違の程度は極めて重いというべきである。 また、消防職員については、火災等の現場において住民の生命や身体の安全確保のための活動等を行うという職務の性質上、厳しい訓練が必要となる場合があるとしても、指示や指導としての範ちゅうを大きく逸脱する各指導が許容される余地はないのであって、各指導を含む本件各行為が、部下に対する悪感情等の赴くままに行われた部分が大きかったことからしても、被上告人が本件各行為に及んだ経緯に酌むべき事情があるとはいえない。 さらに、本件各行為は、小隊長等として消防職員を指導すべき立場にある被上告- 5 -人が、少なくとも10人もの部下に対し、十数年もの長期間、多数回にわたり、上記のような不適切な指導や発言を執拗に繰り返したというものであり、甚だしく職場環境を害し、上告人の消防組織の秩序や規律を著しく乱すものというべきである。消防組織においては、職員間で緊密な意思疎通を図ることが職務 適切な指導や発言を執拗に繰り返したというものであり、甚だしく職場環境を害し、上告人の消防組織の秩序や規律を著しく乱すものというべきである。消防組織においては、職員間で緊密な意思疎通を図ることが職務の遂行上重要であることにも鑑みれば、本件各行為が及ぼす上記のような悪影響は看過することができないものである。消防本部において被上告人らによるいじめやしごき等により若手の職員の退職が相次いでいるなどの記載がある文書の提出を受けた糸島市長の指示により調査が行われ、多数の職員が被上告人の職場復帰に反対する旨の書面を提出したことは、以上の現れということができる。 以上説示したところに照らせば、被上告人には本件処分以外に懲戒処分歴がないこと等の事情があり、免職処分が公務員の地位の喪失という重大な結果を生じさせるものであることを踏まえても、被上告人に対する処分として免職を選択した消防長の判断が、社会観念上著しく妥当を欠くものであるとはいえず、懲戒権者に与えられた裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものということはできない。 ⑶ したがって、本件処分が裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用した違法なものであるとした原審の判断には、懲戒権者の裁量権に関する法令の解釈適用を誤った違法があるというべきである。 5 以上のとおり、原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり、原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れない。そして、前記事実関係等の下においては、本件処分にその他の違法事由も見当たらず、被上告人の請求は理由がないから、第1審判決中上告人敗訴部分を取り消した上、同部分に関する被上告人の請求をいずれも棄却し、かつ、上記破棄部分に関する被上告人の附帯控訴を棄却すべきである。 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判 判決中上告人敗訴部分を取り消した上、同部分に関する被上告人の請求をいずれも棄却し、かつ、上記破棄部分に関する被上告人の附帯控訴を棄却すべきである。 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。なお、裁判官林道晴の補足意見がある。 裁判官林道晴の補足意見は、次のとおりである。 - 6 -私は、法廷意見に賛同するものであるが、さらに以下の点を敷衍しておきたい。 1 本件各行為は、被上告人が、職場内での優位性を背景として、長期間、多数の部下に対して極めて不適切な言動を繰り返したというものであり、職場環境を害し、消防組織の規律や秩序を著しく乱すものであることは法廷意見が述べるとおりであるが、このことは、本件各行為が消防組織内でされたことからも基礎付けられているといえる。すなわち、消防職員が、危険と隣合わせの火災等の現場において、その職務を安全、確実かつ迅速に遂行するためには、職員同士の緊密な意思疎通を図ることが必要であると考えられるところ、そのような消防職員の職務の性質に照らしても、本件各行為が消防組織の規律や秩序等に及ぼした悪影響は、特に大きいものということができる。 2 ところで、消防職員については、その職務の性質上、部隊等での上下関係を基に、厳しい訓練が必要となる場合があると考えられるところ、そのような上下関係が、その職務の遂行のための必要性とは裏腹に、職場内での優位性を背景とした不適切な言動が行われる危険を孕んでいるといえることは、本件のみならず、本件と同じく消防職員に対する処分に関する事案につき当小法廷が言い渡した令和3年(行ヒ)第164号同4年6月14日判決・裁判集民事268号23頁及び令和4年(行ヒ)第7号同年9月13日判決・裁判集民事269号21頁からもうかがわれる。 現に、各消防本部においては、消防 3年(行ヒ)第164号同4年6月14日判決・裁判集民事268号23頁及び令和4年(行ヒ)第7号同年9月13日判決・裁判集民事269号21頁からもうかがわれる。 現に、各消防本部においては、消防組織における上記のような危険の存在が認識され、これに対する対策が実施されていることもうかがわれるところ、上記1で述べたことに照らせば、消防組織において、消防職員がその職務を適切に遂行するために、上記の対策を確実に実施していくことが望まれるといえよう。 3 本件において、被上告人がした本件各行為が上告人の消防組織や職場環境に及ぼした悪影響が特に大きいものであることは、その行為の態様が極めて不適切であることのみならず、その期間の長さ、行為の回数や被害者の多さ等の諸事情から明らかであり、法廷意見が述べるとおり、多数の消防職員が被上告人の職場復帰に- 7 -反対するという事態に至っていることにも現れているといえる。 これに対し、原審は、要するに、個々の行為を単体で評価すると免職が重きに失する旨判断するものということができるところ、本件各行為が全体としてどのような悪影響をもたらすものであるかをも十分に評価すべきであったにもかかわらず、これを怠ったものといわざるを得ない。 法廷意見は、懲戒権者の裁量権行使に際して考慮すべき事情あるいは考慮することができる事情である、非違行為による影響について、上記のような本件各行為に係る諸事情を基礎として評価する必要があることを示したものである。職場内での優越的な関係を背景として繰り返される不適切な言動を理由とする懲戒処分の適否が問題となる事案に関しては、当該事案における諸事情を十分に踏まえ、非違行為による影響を適切に評価していく必要があるものと考える。 (裁判長裁判官石兼公博裁判官宇賀克也裁判官林 分の適否が問題となる事案に関しては、当該事案における諸事情を十分に踏まえ、非違行為による影響を適切に評価していく必要があるものと考える。 (裁判長裁判官石兼公博裁判官宇賀克也裁判官林道晴裁判官渡辺惠理子裁判官平木正洋) (別紙)被上告人の行為一覧 1 被上告人は、平成15年頃以降、Bについて、同人がいない場で、「あいつ馬鹿やろうが。」「何やあの訓練。」などと言ったほか、同人の部下に対し、「お前の小隊長は、新しいものばっかり目がいって今を見てない。dで何をやってたかというのはお前の小隊長に言うな、俺に言え。」「お前が今せないかんことと後でもできることの区別もつかんのは、お前の小隊長がそういう区別がつかん環境を作りようから。2部にいることでお前の成長が10年遅くなった。」「遅い。前はもっと早くしよったぜ。2部の環境がお前をそうさせとっちゃね。だいたいお前の小隊長はつまらんけん、お前もつまらんくなる。」「新しい資器材に頼るのは消防士としていかんやろ。まあお前の小隊長がそういうの好きやもんね。」などと言っ- 8 -た。 2 被上告人は、平成20年頃、Bが指導員を務める訓練を行っていたCに対し、「訓練しよっても静かやけん、お通夜かと思った。」「お前らは仲良しクラブやもんね。あんな訓練して意味あると。俺んときはこうやったもんね。どうせお前はB派やけん分からんやろうね。」「お前、B寄りやろうが。」「Bの手下やろうが。気持ち悪いったい。」「まあお前に言ってもB一派やろうけん、分からんやろうけどね。」などと多数回言った。 3 被上告人は、平成21年4月頃から平成22年3月頃までの間、Dに対し、次の各行為をした。 ⑴ 職員が参加する旅行で訪れた宿泊施設において、Dを呼び出し、「とりあえずそこで腕立て伏せ 言った。 3 被上告人は、平成21年4月頃から平成22年3月頃までの間、Dに対し、次の各行為をした。 ⑴ 職員が参加する旅行で訪れた宿泊施設において、Dを呼び出し、「とりあえずそこで腕立て伏せしよけ。」と命じた。同人が、約5分間、腕立て伏せをした後、部屋に戻ったところ、被上告人は、Dの携帯電話に電話をかけ、留守番電話に「ぶっ殺すぞ、お前。」と大声でメッセージを残した。 ⑵ 日常的に「このストレッサーが。」「ぶっ殺すぞ、お前。」「お前は俺の近くにおるな、死ね。」「お前はできん。」「お前は俺にストレスを与える。」「死ね。」などと言った。 4 被上告人は、平成22年4月から平成23年2月までの間、Eと共に通信勤務をした際、同人を床に正座させ、「お前全然できんもんね。訓練もできんし、気も利かん。お前は駄目だ。向いていない。」などと言った。 5 被上告人は、平成23年10月頃から平成24年3月頃までの間、F及びGと共に、平成23年4月に採用されたHに対し、夜間に、トレーニングとして、次の各行為をそれぞれ複数回行った。 ⑴ Hの身体を鉄棒に掛けたロープで縛った状態で懸垂をさせ、同人が力尽きて鉄棒から手を放すと、上記ロープを保持して数分間宙づりにし、更に懸垂をするよう指示した。 ⑵ 雑巾掛け競争を行わせ、これに負けたペナルティとして、腕立て伏せ等をさ- 9 -せた。 6 被上告人は、平成24年6月8日、I及び同年4月に採用されたJに対し、3、4回、防御訓練を繰り返し行わせ、その際、同僚を要救助者とする搬送等の訓練をさせ、Jを熱中症の症状を呈する状態に至らしめた。同人は、一時意識を失って失禁したため、病院に運ばれた。 7 被上告人は、平成24年7月頃、訓練中に動きが悪くなったJに対し、「丈夫に産んでくれんやった親が悪い。残念やね。」と る状態に至らしめた。同人は、一時意識を失って失禁したため、病院に運ばれた。 7 被上告人は、平成24年7月頃、訓練中に動きが悪くなったJに対し、「丈夫に産んでくれんやった親が悪い。残念やね。」と言い、同月頃から同年8月頃までの間、「お前、俺のこと苦手やろ。俺もお前のこと好かんけどね。」と言い、同年10月頃、「出張所でだらだらしとったら、こっち呼びつけて殺すけんな。」と言った。 8 被上告人は、平成24年4月に採用されたKに対し、次の各行為をした。 ⑴ 平成24年11月から平成25年3月までの間、訓練中に「お前と話すと会話にならん。お前は頭が悪いから俺と話が合わん。」「お前と話すと話にならん。」「向いてない。やる気もない。」「普段の生活がおかしいから仕事に出るっちゃろうが。」「Lはできるのに何でお前はできんとや。」などと言った。 ⑵ 平成24年11月頃、消防署内の食堂において、Kが被上告人の隣に座ったところ、「近い。どっか行け。」と言った。 ⑶ 平成24年12月頃、「お前を恐怖で支配するけん。」「お前を理不尽で支配する。」と言った。 ⑷ 平成24年12月頃、「お前、俺のこと嫌いやろ。」と言い、Kが「そんなことないです。」と答えると、「俺はお前のこと嫌いやけん。恐怖でお前を言うこと聞かすけん。」と言った。 ⑸ 平成24年12月頃から平成25年1月頃までの間、きょうだいの数を尋ね、Kが3人兄弟で兄が2人いると答えると、「そん中で誰が一番しっかりしとる。」と尋ね、同人が「そうですね、一番上ですかね。」と答えると、「ああ良かった、良かった。お前が一番しっかりしてるんやったら、お前んちの兄貴がおかし- 10 -いっちゃろうね、と思って。」と言った。 9 被上告人は、Kに対し、次の各行為をした。 ⑴ 平成24年12月頃から平成25年1 が一番しっかりしてるんやったら、お前んちの兄貴がおかし- 10 -いっちゃろうね、と思って。」と言った。 9 被上告人は、Kに対し、次の各行為をした。 ⑴ 平成24年12月頃から平成25年1月頃、夜間に通信指令室に呼び出し、Kが通信訓練を受けなかったことに対するペナルティとして、パイプ椅子の上で腕立て伏せを100回程度させた。 ⑵ 平成25年2月、夜間に、訓練として、Mと共に、Kに搬送等をさせ、同人が体力の限界のため倒れ込むと、ペナルティとして、消火活動等の際に着用する面体を顔面に装着した状態で腕立て伏せをさせたり、同僚を担いで車庫内を走らせたりした。 ⑶ 平成25年3月、夜間に、訓練として、M及びNと共に、Kに潜水ボンベを1本ずつ両手の人差し指と中指に挟んで持たせた状態で、車庫内を往復させ、同人が潜水ボンベを地面に降ろすと、ペナルティとして、腕立て伏せをさせたり、同僚を担いで走らせたりした。 10 被上告人は、平成25年1月に実施された職員が参加する旅行中、いわゆるデリバリーヘルスの話題になった際、Jに対し、「お前の娘もそうなるっちゃろ。」などと言った。 11 被上告人は、Oに対し、次の各行為をした。 ⑴ 平成26年11月頃から同年12月頃までの間、「上が抜けて俺が中隊長になったら、お前みたいな奴は、やるけんな。俺の息子の方が頭いいぜ。お前みたいなできん奴は、とことん理不尽で殺すけんな。今は次長の下におるけど、すぐおらんくなるけん、お前分かっとろうな。お前、考えとったがいいぜ。Pの下におっても何もならんけんね。」などと言った。 ⑵ 平成27年11月16日、パワー・ハラスメントに関する研修の終了後、「お前、今日の研修、オアシス研修やったろうが。気持ちよかったろうが、お前みたいな奴は。だいたいお前、どう感じたとや。 った。 ⑵ 平成27年11月16日、パワー・ハラスメントに関する研修の終了後、「お前、今日の研修、オアシス研修やったろうが。気持ちよかったろうが、お前みたいな奴は。だいたいお前、どう感じたとや。」「お前みたいな奴がおるけん駄目になっていくったい。現場活動ができんったい。お前みたいな甘い奴がおるけん消- 11 -防が弱くなっていくったい。だいたいお前、俺の家が火事んなって、お前がへまして俺の家燃やしたら分かっとろうね。覚えとけよ。訴えるけんな。」などと言った。 12 被上告人は、Qに対し、次の各行為をした。 ⑴ 平成27年3月末頃から同年5月頃までの間、Qが消防救助技術大会に向けて訓練をしていたところ、「救助訓練のレベルが下がって面白くない。それでも訓練することは時間とお金の無駄。」「調子に乗るなよ。」「だいたい、何でお前しようとや。」「お前達が訓練しようのは自己満やろうが。ひとっつも署のためになんてないんやけん。そんなことに何で時間割かないかんとや。」「むかつく。」「何でお前らに訓練させないかんとや。」などと言い、同大会が近付いてくると、「あともうちょっとでお前らの自己満が終わるね。」「救助、救助言いやがって。 現場訓練はせんで。」などと言い、同大会が終わると、「やっとお前らの自己満の訓練が終わった。これでやっと仕事できるね。」などと言った。 ⑵ 平成28年4月から同年8月までの間、Qが消防救助技術大会に向けて訓練をしていたところ、上記⑴と同様のことを言った。 13 被上告人は、平成27年6月末頃から同年10月頃、酸欠状態になるまで搬送等の訓練をさせられた後に喫煙室で休憩していたKに対し、「そんな倒れて給料もらえていいね。俺もそっちの方がいいや。」などと言った。 14 被上告人は、平成27年4月から平成28年3月までの間、救 送等の訓練をさせられた後に喫煙室で休憩していたKに対し、「そんな倒れて給料もらえていいね。俺もそっちの方がいいや。」などと言った。 14 被上告人は、平成27年4月から平成28年3月までの間、救急隊に所属していたJに対し、「救急は忙しいだけ。牧のうどんと一緒。」「お前らは、救急の頭でしか想定を出しよらん。お前らの考えは救助隊の考えとはずれとるから意味ないもんね。」「救急は1日出てるけど、出動1件の価値が違う。救助は、数は少ないけど価値が違うもんね。救急は忙しいだけ。」「救急は件数が多いだけ。質が悪い。消防活動と救急活動は1件の価値が違う。お前、救急隊歴長いけん、ここで考えなやばいよ。」などと言った。 15 被上告人は、平成27年度、Q、E及びRに対し、「どうせお前は仕事してなかろうが。お前は信用できん。仕事は、俺に合わせて仕事するのが当たり前や- 12 -けん、平日の非番に勝手に予定を入れるな。」「何で帰るとや。」「仕事を中途半端に残して帰るとや。」「俺は仕事しとうのに、お前ら休むっちゃろ。」「責任感がない。お前の仕事は自分で終わらせて帰れ。何で申し送るとや。」「お前次来るの2日後やろうが。2日間放置や。」「宇宙は太陽が中心やろうが。ここでは俺が太陽たい。俺を中心に仕事をしろ。」「俺は毎日出て来ようのに、お前らは3日に1回しか出てこんで、すぐ仕事をリセットする。担当官なら日勤するつもりで毎日来い。」「最後までして行けよ。」などと発言した。これを受けて、同人らは、申請を行うことなく、時間外労働を行った。 16 被上告人は、前職がd消防庁の消防士であったRに対し、次の各行為をした。 ⑴ 平成27年8月、「査察の処理は今じゃなくて夜できろうが。お前が今せないかんことと後でもできることの区別もつかんのは、お前の小隊長がそういう区別が 消防士であったRに対し、次の各行為をした。 ⑴ 平成27年8月、「査察の処理は今じゃなくて夜できろうが。お前が今せないかんことと後でもできることの区別もつかんのは、お前の小隊長がそういう区別がつかん環境を作りようから。2部にいることでお前の成長が10年遅くなった。」などと言った。 ⑵ 平成27年8月から同年9月までの間、複数回にわたり「つまらん訓練しようねえ。dではどんな訓練しよったと。」などと言ったほか、「dでも理不尽で殺されとったろうが。俺とお前が同じ部になったら理不尽で殺すけん、覚悟しとけよ。」などと言った。 ⑶ 平成27年8月から平成28年3月までの間、「d消防庁も大したことないね。」と少なくとも1回言った。 ⑷ 平成28年2月1日、当務中に何をしていたのかを尋ね、Rが月報を作成していた旨を答えたところ、「月報なんて2分で終わろうもん。仕事せんならいらん。辞めろ。」などと言った。 17 被上告人は、平成28年2月19日から同年3月31日まで、及び、同年10月3日から同年11月17日までの各期間において、平均して1日合計1時間以上の離席を繰り返し、その間、職務に従事しなかった。 - 13 - 18 被上告人は、平成28年5月25日、訓練に関する発表を見学していた幼児を含む市民や他の消防隊員がいる前で、「こいつらがくだらない訓練してるから、俺達の訓練ができない。無駄な訓練しやがって。こんな訓練、オナニー訓練やろうが。」などと言った。 19 被上告人は、Qに対し、次の各行為をした。 ⑴ 平成28年8月9日、少年消防クラブのキャンプに業務として同行したQの代わりに被上告人が勤務したことについて、「貴様この前は、少年消防とか調子に乗って行きやがって、ふざけるな。警備人員も編成も考えずにふざけるな。だいたい当務で人を出 キャンプに業務として同行したQの代わりに被上告人が勤務したことについて、「貴様この前は、少年消防とか調子に乗って行きやがって、ふざけるな。警備人員も編成も考えずにふざけるな。だいたい当務で人を出す必要があるとや。なめやがって。そもそもSは来てないっちゃろうが。そもそもお前がへぼいけんいかん。何も言い切らんかろうが。びびりやがって。お前は絶対将来伸びんし、失敗する。駄目人間やね。当務に迷惑かけて救助訓練させてもらいようのに、恩を仇で返しやがって。まじなめとうね。おかげで、俺が出てこないかんくなったろうが。俺はしつこいけん、一生根に持つけんな。はしご調査は救助訓練の都合で変わってもらうくせに、少年消防クラブは行くとや。仲良しクラブで調子に乗りやがって。ふざけんな。このスパイ野郎が。なめやがって。夕方から勤務することになった原因は全てお前の責任だ。俺の休みを返せ。」などと言った。 ⑵ 平成28年8月19日、Qが同月17日午後に年休を取得したことについて、「貴様この間は昼から帰りやがって、ふざけるな。日勤日やけん昼からも訓練しろ。市長挨拶とか関係なかろうが。帰って来て訓練すればよかろうが。訓練もせんとに時間がないとか言いやがって調子に乗るなよ。お前はそもそも履き違えとろうが。ふざけるな。だいたい全国大会とか実力で行ったわけじゃなくて抽選で当たったけん行けとろうが。実力もないのに舞い上がるな。調子に乗るな。お前達は絶対失敗する。そもそも失敗すればいいのに。」などと言った。 ⑶ 平成28年9月6日、同月5日に実施された訓練に関し、「だいたい何や、あの訓練は。お前は、何も言わん、何もせんあっちの仲間やけんな。」「お前は成- 14 -長せんし、失敗する。」「くだらん。」などと約1時間にわたって言った。 の訓練は。お前は、何も言わん、何もせんあっちの仲間やけんな。」「お前は成- 14 -長せんし、失敗する。」「くだらん。」などと約1時間にわたって言った。

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