昭和63(ワ)355 広麺商事退職金請求

裁判年月日・裁判所
平成2年7月27日 広島地方裁判所
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【DRY-RUN】主   文 一 被告は、原告Aに対し金二一二万五〇〇〇円、原告Bに対し金二八七万五〇〇 〇円、原告Cに対し金二二万五〇〇〇円、原告Eに対し金一一万二五〇〇円、原告 Fに対し金一一万二五〇〇円及び右各金

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判決文本文5,120 文字)

主文 一被告は、原告Aに対し金二一二万五〇〇〇円、原告Bに対し金二八七万五〇〇〇円、原告Cに対し金二二万五〇〇〇円、原告Eに対し金一一万二五〇〇円、原告Fに対し金一一万二五〇〇円及び右各金員に対する昭和六三年五月七日から各支払済まで年五分の割合による金員を支払え。 二訴訟費用は被告の負担とする。 三この判決は仮に執行することができる。 事実及び理由 第一請求主文同旨第二事案の概要一争いのない事実 1 原告A(以下「原告A」という。)、原告B(以下「原告B」という。)及び亡D(以下「亡D」という。なお、右三名を以下「原告ら」という。)は、被告の従業員であったものである。 2 被告の就業規則によると、退職金は、次のとおり、勤続年数に応じて支給するものとされている。 (一) 五年未満 〇(二) 五年以上八年未満基本給月額の三か月分(三) 八年以上一〇年未満基本給月額の六か月分(四) 一〇年以上一三年未満基本給月額の一二・五か月分 3 原告らは、被告に対し、昭和六三年二月九日到達の書面で、被告を退職する旨の意思表示をした。 4 退職時までの原告A、同Bの勤続年数は、いずれも2項の(四)に該当する。 また、昭和六三年一月現在の基本給月額は、原告Aが一七万円、原告Bが二三万円、亡Dが一五万円である。 5 亡Dは、本訴提起後の平成二年一月二四日に死亡し、原告Cが相続分二分の一、同E及び同Fが相続分各四分の一の割合にてそれぞれ法定相続した。 6 訴状送達の日の翌日(遅延損害金の起算日)は、昭和六三年五月七日である。 二争点 1 亡Dは、退職時までに一の2の(二)に該当する五年以上八年未満の勤続年数に達していたか(亡Dの入社日につき、亡Dの訴訟承継人らは昭和五八年二月五日、被告は昭和五八年四月一日とそれぞれ主張する。 1 亡Dは、退職時までに一の2の(二)に該当する五年以上八年未満の勤続年数に達していたか(亡Dの入社日につき、亡Dの訴訟承継人らは昭和五八年二月五日、被告は昭和五八年四月一日とそれぞれ主張する。)。 2 原告らは、被告を退職する際に、退職金請求権を放棄したか。 3 原告らの退職前の行為に、別紙就業規則所定の懲戒解雇事由に該当する事由があることを理由として、退職金の支払を拒めるか。 右争点につき、被告は、「原告らは、被告を倒産させる目的で、昭和六三年二月九日に到達した同月八日付けの書面で、同月九日をもって被告を退職する旨被告代表者に通知し、同月八日以降は、訴外広麺フード企業組合(以下「広麺フード」という。)の仕事に従事して、被告の業務を全くしなかった(なお、就業規則によれば、退職の効力が発生するのは、右書面の到達日から一四日を経過した同月二四日であるから、原告らは、同月二三日までは被告の従業員としての地位にある。)。 原告らのかかる行為は、就業規則四二条一号、三号、七号、八号、一一号、一三号に該当し、懲戒解雇に処せられるべき行為であるから、原告らには退職金請求権はない。」と主張している。 第三争点に対する判断一争点1について 1 証拠(証人G、右証言により成立を認める甲二五の一)によれば、亡Dは、遅くとも昭和五八年二月上旬には被告に入社していたことが認められる。 また、争いのない事実(第二の一の3)と証拠(甲二三の二)によれば、亡Dは、昭和六三年二月九日に被告に到達した同月八日付けの書面で、同月九日をもって被告を退職する旨の意思表示をしたことが認められる。しかるに、右意思表示により同月九日に退職の効果が発生したと認めることはできないが(九日をもって雇用契約を合意解約したいとの申込みを被告が承諾した事実は認められない。)、被告の就業規 が認められる。しかるに、右意思表示により同月九日に退職の効果が発生したと認めることはできないが(九日をもって雇用契約を合意解約したいとの申込みを被告が承諾した事実は認められない。)、被告の就業規則(乙二)一一条には、退職の意思表示をしてから一四日を経過したときは、その日の翌日をもって従業員としての身分を失うとの定めが置かれていることからすると、原告と亡Dとの雇用関係は、昭和六三年二月二四日に終了したものと認めることができる。 右認定によれば、亡Dは、退職時において、五年以上八年未満の勤続年数に達していたことは明らかである。 2 もっとも、乙第二〇号証(亡Dの労働者名簿)には、亡Dは、昭和五八年四月一日に被告に入社した旨の記載があり、また、乙第二二号証の三ないし七(昭和五八年二月及び三月の被告の給料台帳)には、昭和五八年二月及び三月に亡Dに対し給与が支払われた旨の記載がないところ、右各書証は、入社年月についての前記認定事実に反するものである。 3 しかしながら、証拠(甲二五の一ないし一四、証人G、原告B本人)によると、次の事実が認められる。 (一) 亡Dの妻は、亡Dの入社時からの給料明細書を保管しているところ、右保管にかかる給料明細書の中に、昭和五八年二月及び三月分の明細書が存在した。 (二) 右五八年二月及び三月分の明細書(甲二五の一、二)は、同年四月分以降の明細書(甲二五の三ないし一四)と同様に、被告の従業員として経理事務を担当していたHにより作成されたものであって、亡Dやその妻子が偽造したものではない。 (三) 原告Bの実際の入社年月日は昭和五二年三月二〇日であるにもかかわらず、乙第一九号証(原告Bの労働者名簿)には、右年月日が同年五月二日との記載がなされており、被告作成の労働者名簿においては、実際の入社年月日がそのまま記載されて 和五二年三月二〇日であるにもかかわらず、乙第一九号証(原告Bの労働者名簿)には、右年月日が同年五月二日との記載がなされており、被告作成の労働者名簿においては、実際の入社年月日がそのまま記載されているとは限らない(証人Gの証言によれば、被告作成の労働者名簿には、試用期間経過後の年月日が入社年月日として記載されている可能性も考えられる。)。 右認定事実に照らすと、前掲乙第二〇号証に入社年月日が昭和五八年四月一日と記載されていることや前掲乙第二二号証の三ないし七に昭和五八年二月及び三月に亡Dに対し給与が支払われた旨の記載がないことは、1項での認定を左右するものとは言い難い。 二争点2について証拠(乙一五)によれば、広麺フードは、原告らの所属する広島県西部労働組合との間で、昭和六三年二月八日、原告らを同月一〇日から雇用する旨約すとともに、原告らの退職金については、広麺フードと被告双方に勤続していた年数を合計したものを勤続年数とした上、算定する旨約したことが認められる。また、証拠(乙一、原告A本人)によれば、原告Aは、昭和六三年四月一日頃、「広麺フードの代表者であるGから、退職金は広麺フードが責任をもって払うからと言われたので、被告に対し退職の意思表示をした。」との趣旨の記載のある証明書に署名、押印したことが認められる。 被告が「原告らは、被告を退職する際に、退職金請求権を放棄した。」と主張する根拠は、右認定事実にあると思われる。しかしながら、証拠(甲二三の一ないし三、乙一五、原告A、同B各本人)によると、広麺フードは、広島県西部労働組合との間で、退職金についての前記約定をする際に、被告から退職金が支給された場合には、右支給額を前記算定にかかる退職金額から控除する旨の約定をもしていること、原告らは、被告に対し、退職の意思表示をなす際に退 で、退職金についての前記約定をする際に、被告から退職金が支給された場合には、右支給額を前記算定にかかる退職金額から控除する旨の約定をもしていること、原告らは、被告に対し、退職の意思表示をなす際に退職金の請求をも合わせて行っていることが認められ、右認定事実に照らせば、前段で認定した事実から退職金請求権放棄の事実を推認することはできず、他に、右放棄の事実を認めるに足りる証拠はない。 三争点3について退職金請求権が雇用契約から生ずる従業員の基本的な権利であることに鑑みると、その支払を拒めるのは、就業規則に定められた不支給事由が存在する場合に限定されると解するべきである。 しかるに、証拠(乙二)によると、被告の就業規則には、懲戒解雇された者には退職金を支給しない旨の規定が置かれているが、懲戒解雇に該当する事由がある者には退職金を支給しない旨の規定は存在しないことが認められる。そうすると、原告らの退職前の行為に別紙就業規則所定の懲戒解雇事由に該当する事由があったとしても、懲戒解雇の手続を取らないまま(右手続を取ったことについての主張、立証はない。仮に、本訴で懲戒解雇の意思表示をしたとしても、原告らの退職の意思表示が被告に到達した日は、昭和六三年二月九日であって、第三の一の1で述べたとおり、原告ら、被告間の雇用関係は同月二四日に終了しているものであるから、その後に、懲戒解雇の意思表示をしたとしても、懲戒解雇の効果は生じない。)、右事由が存在することのみを理由として退職金の支払を拒むことはできないと解するべきである。 (裁判官山田俊雄)就業規則(抜粋)第一一条次の各号の一に該当する場合は、その日の翌日をもって従業員としての身分を失う。 (1) 退職を願い出て承認されたときまたは願出後一四日を経過したとき(以下略)第一二条次の各号 (抜粋)第一一条次の各号の一に該当する場合は、その日の翌日をもって従業員としての身分を失う。 (1) 退職を願い出て承認されたときまたは願出後一四日を経過したとき(以下略)第一二条次の各号の一に該当する場合は、三〇日前に予告するかまたは平均賃金の三〇日分を支給して解雇する。 (中略)(4) 懲戒解雇に該当すると認めたとき第一四条従業員が退職しようとする場合は、一四日前までに、原則として書面により願出しなければならない。 第一五条従業員が任意または解雇等により退職する場合は、次の手続きを行なわなければならない。 (1) 会社の指定する後任者の業務の引き継ぎをすること(以下略)第二二条組合運動、政治活動その他会社の業務に関係のない活動(集会及び印刷物等の配付、掲示を含む。)は勤務時間中に行ってはならない。ただし、あらかじめ会社の許可を得て行う場合はこの限りではない。 (以下略)第四二条従業員が次の各号の一に該当する行為を行った場合は、これを制裁処分する。 (1) 正当な理由なく、しばしば遅刻、早退、外出または欠勤したとき(2) 許可なく会社の物品を持出し又は持出そうとしたとき(3) 故意または重大な過失により会社所有財産に損害を与えまたは与えようとしたとき(4) 故意または重大な過失により災害、事故を発生させまたはさせようとしたとき(5) 会社の物品または施設を利用して私物を作成しもしくは他人に作成させたとき(6) 火気を粗略に取扱いまたは紊りに焚火をしたとき(7) 事業場の内外を問わず不正または不誠実行為をなし、会社または従業員の名誉を傷つけたとき(8) 職務上の指示命令に不当に反抗し、あるいは素行不良により会社の規律、秩序または風紀を乱しもしくは乱そうとしたとき(9) 経歴を詐って雇傭されたことが明らかとな は従業員の名誉を傷つけたとき(8) 職務上の指示命令に不当に反抗し、あるいは素行不良により会社の規律、秩序または風紀を乱しもしくは乱そうとしたとき(9) 経歴を詐って雇傭されたことが明らかとなったとき(10) 事業の重大な秘密を漏らしまたは漏らそうとしたとき(11) 正当な理由なく会社以外の業務に従事したとき(12) 法令違反により有罪と判決されたとき(13) 第二二条に違反して業務外活動を行なったとき(14) しばしば制裁されたにもかかわらず、なお改めないとき(15) その他前各号に準ずる行為のあったとき第四三条制裁の種類、方法は次のとおりとし、二以上の方法を併せ行なうことがある。 (中略)(5) 懲戒解雇(第一二条により解雇する。)二前条事由に基づく前項の適用は次のとおり行なう。 (中略)(5) 懲戒解雇前条第一号で一四日以上無断欠勤し出勤督促に応じないもの、第二号から第八号、第一〇号、第一三号およびこれらに準ずるもので悪質なもの、第九号で採用条件たる経歴詐称または第一一号、第一二号、第一四号およびこれらに準ずる行為のあったもの

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