平成30(行ケ)10004 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成30年7月25日 知的財産高等裁判所 4部 判決 請求棄却
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平成30年7月25日判決言渡平成30年(行ケ)第10004号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成30年6月27日判決 原告株式会社R&MJaPan 訴訟代理人弁護士池田智洋 被告ルイスポールセンエイ/エス 訴訟代理人弁理士村木清司同関口一秀同川端佳代子主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が無効2017-890003号事件について平成29年12月1日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等(1) 原告は,以下の商標(登録第5643726号。以下「本件商標」という。)の商標権者である(甲1,2)。 商標別紙1記載のとおり 登録出願日平成25年6月14日登録査定日平成25年12月27日設定登録日平成26年1月17日指定役務第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電球類及び照明用器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,屋内用ブラインドの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供, 売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,屋内用ブラインドの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,すだれの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,装飾用ビーズカーテンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,日よけの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物製いすカバーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物製壁掛けの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,カーテンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,テーブル掛けの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,敷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,壁掛け(織物製のものを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(2) 被告は,平成28年12月31日,本件商標について商標登録無効審判を請求した。 特許庁は,上記請求を無効2017-890003号事件として審理を行い,平成29年12月1日,「登録第5643726号の登録を無効とす る。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同月12日,原告に送達された。 (3) 原告は,平成30年1月6日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりである。 その要旨は,本件商標は,その登録出願前ないし登録査定時において,他人(被告)の業務に係る商品であることを表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されていた,別紙2記載のとおりのランプシェードの立 件商標は,その登録出願前ないし登録査定時において,他人(被告)の業務に係る商品であることを表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されていた,別紙2記載のとおりのランプシェードの立体的形状(登録第5825191号商標と同一の構成からなるもの。以下「引用商標」という。甲8,9)と類似の商標であって,原告が不正の目的をもって使用をするものであるから,商標法4条1項19号に該当し,本件商標の登録は,同号に違反してされたものであるから,請求人(被告)主張のその余の無効理由(同項7号,10号,15号及び16号)について判断するまでもなく,同法46条1項の規定により無効とすべきであるというものである。 3 取消事由商標法4条1項19号該当性の判断の誤り第3 当事者の主張 1 原告の主張(1) 引用商標の周知性について本件審決は,①引用商標は,デンマーク国法人の被告が1958年に販売を開始した,ポール・ヘニングセン(以下,特に断りのない限り,「ヘニングセン」という。)のデザインによる「PH5」と称されるランプシェード(以下「被告商品」という場合がある。)の立体的形状であること,②被告商品は,日本国内において,遅くとも1976年から40年以上にわたり継続して,被告の日本法人を通じて販売されていること,定期的に作成された 被告の販売代理店や日本法人等の商品カタログに,被告商品がその写真と共に掲載され,当該商品カタログが全国的に配布されたことが推認されること,被告商品は,照明又はインテリアの書籍,雑誌及びカタログに掲載されたのみならず,平成9年度「グッド・デザイン外国商品賞」を受賞し,平成24年に高等学校の教科書にも掲載されたこと,ファッション及び経済関係の雑誌にも,被告商品は,近代照明の父といわれるデザイナーの たのみならず,平成9年度「グッド・デザイン外国商品賞」を受賞し,平成24年に高等学校の教科書にも掲載されたこと,ファッション及び経済関係の雑誌にも,被告商品は,近代照明の父といわれるデザイナーのヘニングセンによりデザインされ,被告の販売に係る名作のランプシェードとして,その写真と共に長期にわたって採り上げられていることに照らせば,被告商品は,本件商標の登録出願前から被告の業務に係る商品として日本国内における需要者の間に広く認識され,その状況は本件商標の登録査定時においても継続していたこと,③引用商標の立体的形状(5層構造のランプシェードの立体的形状の2層目から5層目が独特に組み合わさった形状に基づく4枚のシェードからなる構成)は,需要者の目を引きやすく,強い印象を与えるものであって,引用商標は,被告商品が1958年から現在まで約60年にわたって販売され,照明器具関連の専門誌やファッション雑誌等に掲載されて使用されてきたことによれば,引用商標が被告商品に永年使用された結果,引用商標それ自体が独立して自他商品識別力を獲得するに至っており,取引者,需要者がこれを見れば被告の販売に係るランプシェードであることを識別することができること,以上の諸事情を総合すれば,引用商標は,本件商標の登録出願前ないし登録査定時において,他人(被告)の業務に係る商品であることを表示するものとして,日本国内における需要者の間に広く認識されていた旨判断したが,以下のとおり誤りである。 ア商品の機能又は美感に資することを目的として採用される商品の立体的形状であって,パブリックドメインになっているものは,原則として公正かつ自由な競争に資するため,何人も自由に実施し,使用することができるものであるから,本来的に自他商品識別力を有する文字,図形等で構成 される ブリックドメインになっているものは,原則として公正かつ自由な競争に資するため,何人も自由に実施し,使用することができるものであるから,本来的に自他商品識別力を有する文字,図形等で構成 される商標よりも,周知性を厳格に判断すべきである。 引用商標は,円周,高さ,外周の曲がり具合の異なる下方向に開いた3枚の円筒状のシェードが下から上に向かい徐々に広がるようにランダムな間隔で積み重ねられ,それらの上に,下3枚とは異なるカーブで上向きに開いた1枚のシェード,最上部には円筒形の電球取付ソケット部とみられる部分が積み重ねられ,また,シェード内部に水平の反射板を持ち,下から2枚目のシェードと4枚目のシェードにかけて,円弧状の細長い棒が3本渡されて構成されているが,このような引用商標の立体的形状は,ペンダントランプ用のランプシェードの基本的な機能及び美感を発揮させるために必要な形状の範囲内のものであるから,それ自体に自他商品識別力はない。 イ(ア) 被告商品が掲載された商品カタログやインターネット販売サイトには,同種商品が多数掲載されており,被告商品は一商品として掲載されていたに過ぎないので,そこに掲載されていた被告商品を需要者が目にしていたとは限らない。また,被告商品の立体的形状は,商品の機能及び美感に資する目的で採用されたものであり,本来的に自他商品識別力を有しておらず,需要者は,被告商品を見たとしても,その立体的形状がもたらす美感・印象に目をとどめるだけで,当該立体的形状については,美感を際立たせるために選択されたものとしてしか認識しないというべきである。 しかも,本件審決には,商品カタログの配布部数,地域,一般的な需要者層への配布状況が示されておらず,また,被告商品の広告宣伝がされた期間,地域,規模などを示す証拠も提出されて いうべきである。 しかも,本件審決には,商品カタログの配布部数,地域,一般的な需要者層への配布状況が示されておらず,また,被告商品の広告宣伝がされた期間,地域,規模などを示す証拠も提出されていないから,被告商品の立体的形状が,被告の業務に係る商品であることを表示するものとして,自他商品識別力を獲得するに至ったとみるべき事情はない。 (イ) 商品カタログ,雑誌等の記事には,被告商品は「PH5」として紹 介されていることからすると,商品カタログ等に接した需要者は,「PH5」を自他商品識別標識として認識し,被告商品の立体的形状は,あくまでも商品の形状そのものとして認識するにとどまる。 (ウ) 本件審決は,被告商品は,世界で50万台を超すセールスを記録しているロングセラー商品であり,日本国内においては,1999年から2014年の間に,約7万5000台が販売された旨認定している。 しかし,被告商品が世界で50万台販売されたというのは,客観的裏付けに乏しく,信用し難いし,仮に50万台販売されたとしても,世界全体での販売台数としては,特段多くはない。 また,被告商品が1999年から2014年までの15年間に約7万5000台販売されたとすると,1年間の平均販売台数は約5000台ということになるが,2016年上半期の日本における屋内家庭用照明器具の販売台数が570万台(甲173・審決乙1)であることと対比すると,被告商品の販売台数は,わずか0.04%程度のマーケットシェアに過ぎない。 この点について,本件審決は,上記屋内家庭用照明器具の販売台数と比較すると,被告商品の販売台数は必ずしも多いとはいえないが,被告商品が8万8560円(甲167)と決して安くなく,高価な照明器具の販売台数としては決して少なくない旨述べるが,被告商品の価 売台数と比較すると,被告商品の販売台数は必ずしも多いとはいえないが,被告商品が8万8560円(甲167)と決して安くなく,高価な照明器具の販売台数としては決して少なくない旨述べるが,被告商品の価格が高いのは,被告商品にのみ特有の個別的な事情であり,照明器具についての一般的な取引の実情ではないから,参酌すべきではない。 (エ) 本件審決は,被告商品が掲載された商品カタログは,全国の建築設計事務所,住宅メーカー,インテリアコーディネーター,インテリアショップ,百貨店等の約5千社(人)の顧客へ配布された旨認定している。 しかし,照明器具が半年(2016年上半期)で570万台前後販売される中で,わずか5000人の顧客に対して,様々な商品が多数掲載 された商品カタログを定期的に配布するだけで,被告商品の立体的形状のみが周知になるとは考え難い。しかも,5000人の中には同一法人に所属する個人が多数含まれているので,同一法人に対して重複して配布している分は除外して評価すべきである。 ランプシェードは,家庭用の屋内照明に用いられるものであり,その需要者は一般消費者であるところ,商品カタログの配布先の顧客は,主として建築設計事務所などいわゆるインテリア等の専門家であって,一般消費者とはいえない。それらの顧客に対する商品カタログの配布や取引により,被告商品の立体的形状が,通常の需要者である一般消費者の間で,広く認識されるに至ったものとはいえない。また,本件審決では,一般消費者に対して被告商品の広告宣伝等が積極的に行われていたことが示されていない。 (エ) 本件審決は,被告商品が,「グッド・デザイン外国商品賞」を受賞し,高等学校の教科書にも掲載されたことを参酌している。 しかし,グッド・デザイン賞は,有料で申請した商品が審査されて受賞 (エ) 本件審決は,被告商品が,「グッド・デザイン外国商品賞」を受賞し,高等学校の教科書にも掲載されたことを参酌している。 しかし,グッド・デザイン賞は,有料で申請した商品が審査されて受賞されるものであり,市場の商品を主催者等がノミネートして賞を授与するものではないのみならず,申請した商品のうち約30%が受賞するといわれ,被告商品が受賞した1997年度は842点が受賞しており(甲174),被告商品は,その一つに過ぎない。 また,教科書で紹介されたのは,被告商品とは異なる別の商品であり,両商品の形状が異なる。 ウ以上を総合すると,被告商品の立体的形状からなる引用商標は,本来的に自他商品識別力を備えていないのみならず,被告商品の立体的形状からなる引用商標が被告商品に使用された結果,引用商標それ自体が本件商標の登録出願前に自他商品識別力を獲得したものということはできないから,引用商標が,本件商標の登録出願前ないし登録査定時において,被告 の業務に係る商品であることを表示するものとして,日本国内における需要者の間に広く認識されていたことを認めた本件審決の判断は誤りである。 (2) 不正の目的について本件審決は,①原告は,被告の販売する著名な被告商品に対し,輸入差止申立てを行い,その正規品の輸入を阻害する行為に及んでいること,②原告は,ヘニングセンのデザインによる「PH5」と称されるランプシェード(被告商品)が現在も販売されている状況において,原告が「PH5」の「リプロダクト製品」を販売することが,被告の営業に重大な支障を来すおそれがあることを認知していたと容易に予想されるところであり,しかも,原告が被告から平成25年2月20日及び同年11月11日に警告状を受けたことから,両者の間には,「リプロダクト製品」の販売に関 おそれがあることを認知していたと容易に予想されるところであり,しかも,原告が被告から平成25年2月20日及び同年11月11日に警告状を受けたことから,両者の間には,「リプロダクト製品」の販売に関して,紛争が生じていたことがうかがえること,③これらの事情に加え,本件商標と引用商標が類似の商標といえること,本件商標の構成のうち,「上部に大きく描かれた左右対称の5層の幾何図形」部分(以下「本件図形」という。)が被告商品の取扱説明書に表示されている引用商標を側面から描写した図と酷似していること,本件商標の登録出願時に既に引用商標が被告商品に係る立体商標として日本国内における著名性を獲得していたことを併せ考慮すると,原告は,引用商標が未だ商標登録されていないことに乗じ,これに化体された信用及び顧客吸引力にただ乗りし,本件商標を使用することで利益を得,又は被告商品の営業に支障を生じさせて損害を生じさせることを目的として本件商標を使用するものと推認されるから,本件商標は,原告が不正の目的をもって使用をするものである旨判断したが,以下のとおり誤りである。 ア(ア) 商品の基本的な機能及び美感を発揮させるために必要な形状は,その形状により発揮される機能の観点からは発明ないし考案として,商品の美感の観点からは意匠として,特許法,実用新案法及び意匠法がそれ ぞれ定める要件を満たせば,独占権が付与されて保護される。一方で,特許,実用新案又は意匠に関する権利の存続期間終了後は,当該商品の形状は,パブリックドメインとして,何人も自由に実施し,使用することができるものとなる。 そして,特許,実用新案又は意匠に関する権利の存続期間終了によりパブリックドメインになった家具や照明器具などの工業製品の立体的形状を忠実に再現したレプリカを,リプロダクト品,ジェ るものとなる。 そして,特許,実用新案又は意匠に関する権利の存続期間終了によりパブリックドメインになった家具や照明器具などの工業製品の立体的形状を忠実に再現したレプリカを,リプロダクト品,ジェネリック品としてオリジナル製品より安い価格設定で製造,販売することは,本件商標の登録出願前から,当該商品分野の業界で普通に行われていた。 引用商標を構成する立体的形状については,被告商品が1958年から販売されていることからすると,仮に特許権,実用新案権又は意匠権があったとしても,本件商標の登録出願前には存続期間が終了していたことは明らかである。また,本件商標の登録出願前に立体商標制度はあったが,引用商標については登録出願されていなかったのみならず,引用商標を構成する立体的形状を真横から見た側面形状を表す図形を使用することについて,法的な制限を受けると認識すべき状況も全くなかったこのような事情から,原告は,被告から平成25年2月20日付け警告書の送付を受けた当時,引用商標を構成する立体的形状は,パブリックドメインになっており,業界の慣行に従って,リプロダクト品に自由に使用できるものと認識していた。 (イ) 原告による本件商標の登録出願の目的は,本件商標の商標権を取得することにより,被告からの言いがかりを回避するためであり,その取得後も,被告以外には,第三者に対する輸入や販売の差止め等を行っていない。 また,原告のウェブサイトでは,原告の販売する商品はリプロダクト 品であることを一貫して述べており,かつ,実際の購入画面には,必ず「※商品はリプロダクト品となります。LouisPoulsen(ルイスポールセン)社の”PH5”ではございません,」の表示があるので,原告は,原告の販売する「PH5」のリプロダクト品(以下「原告 「※商品はリプロダクト品となります。LouisPoulsen(ルイスポールセン)社の”PH5”ではございません,」の表示があるので,原告は,原告の販売する「PH5」のリプロダクト品(以下「原告商品」という。)が真正品であるかのように装っていない。 さらに,原告が本件商標の登録出願前に原告商品を販売していたことは,競業秩序を逸脱するものではなく,信義則にも反しない。 したがって,原告は,不正の目的をもって本件商標の登録出願を行ったものではない。 イ原告が本件商標の商標権に基づいて被告商品の輸入差止申立てを行ったのは,本件商標の登録の日から2年6月以上経過した平成28年9月2日のことであり,しかも,この輸入差止申立ては,被告が同年5月11日に引用商標の商標権に基づいて原告のみを標的とする輸入差止申立てを行ってきたことから,その痛みを理解させるために,対抗措置としてやむなく行ったものである。 したがって,原告による上記輸入差止申立ては,本件商標の登録出願時における不正の目的を推認させる根拠にはならない。 ウ以上のとおり,原告は,不正の目的をもって本件商標の登録出願を行ったものではないから,本件商標は,原告が不正の目的をもって使用をするものであるとした本件審決の判断は誤りである。 (3) 小括以上によれば,本件商標が商標法4条1項19号に該当するとした本件審決の判断に誤りがあるから,本件審決は,違法として取り消されるべきである。 2 被告の主張(1) 引用商標の周知性について ア本件審決は,引用商標の立体的形状自体に自他商品識別機能があると判断したのではなく,引用商標が被告商品に長年使用された結果,引用商標の立体的形状が独立して自他商品識別力を獲得し,日本国内における需要者の間で,被告の販売に係る 形状自体に自他商品識別機能があると判断したのではなく,引用商標が被告商品に長年使用された結果,引用商標の立体的形状が独立して自他商品識別力を獲得し,日本国内における需要者の間で,被告の販売に係る商品であることを十分に認識することができるほどの周知著名性を有していると認定した上で,引用商標は,本件商標の登録出願前ないし登録査定時において,被告の業務に係る商品であることを表示するものとして,日本国内における需要者の間に広く認識されていた旨を判断したものであり,本件審決の上記判断に誤りはない。 イ(ア) 原告は,本件審決認定の被告商品の販売台数に関し,日本における屋内家庭用照明器具の販売台数が570万台であるの対し,被告商品の販売台数は,わずか0.04%程度のマーケットシェアに過ぎない旨主張する。 しかし,上記屋内家庭用照明器具の販売台数には,玄関,廊下,居間,洗面所や浴室などの場所で意匠の価値とは関係なく,「明かり」を確保する設備として使用されるある程度安価な照明器具が多く含まれているから,屋内家庭用照明器具の販売台数全体を比較することに特別な意味を見いだせない。また,被告商品のマーケットシェアを問題とするのであれば,被告商品と同程度に意匠性が重視される,ある程度の高価な照明器具の販売台数と比較すべきである。 したがって,原告の上記主張は失当である。 (イ) 原告は,被告商品が掲載された商品カタログの配布先の顧客は,主として建築設計事務所などいわゆるインテリア等の専門家であって,一般消費者とはいえないから,被告商品の立体的形状が,通常の需要者である一般消費者の間で,広く認識されるに至ったものとはいえない旨主張する。 しかし,被告商品は,照明器具の業界の書籍・雑誌や,学生向けの技 術等の教科書に掲載されるなどの実績 の需要者である一般消費者の間で,広く認識されるに至ったものとはいえない旨主張する。 しかし,被告商品は,照明器具の業界の書籍・雑誌や,学生向けの技 術等の教科書に掲載されるなどの実績を残しているのみならず,商品カタログには,被告商品が一商品として掲載されている場合のほか,被告商品のデザイナーと共に,デザイナーズブランド商品として紹介される場合もあり,かつ,その広告活動が継続的にされた結果,被告商品は,一部の照明器具愛好家にとどまらず,広く一般需要者にも知られるものとなっていたものである。 また,原告がリプロダクト品の対象として被告商品を選択したこと自体が,被告商品及びその立体的形状である引用商標が需要者の間に周知であったことを示すものといえる。 したがって,原告の上記主張は失当である。 ウ以上のとおり,原告の主張は,いずれも客観的妥当性を欠くものであり,引用商標が被告商品に長年使用された結果,引用商標が自他商品識別力を獲得したことを認定した本件審決の判断を覆すものではない。 (2) 不正の目的についてア(ア) 原告は,商品の立体的形状は,特許,実用新案又は意匠に関する権利の存続期間終了によりパブリックドメインになり,何人も自由に使用できる旨主張する。 しかし,周知な商品の形態(立体的形状)は,周知な「商品等表示」(不正競争防止法2条1項1号)として不正競争防止法により保護されているから,同法による保護を考慮していない点において,原告の上記主張は誤りである。 また,引用商標が被告商品に長年使用された結果,自他商品識別力を獲得し,被告の業務に係る商品であることを表示するものとして,日本国内における需要者の間に広く認識されていたことは,前記(1)のとおりであるから,引用商標は,周知な「商品等表示」に該当 商品識別力を獲得し,被告の業務に係る商品であることを表示するものとして,日本国内における需要者の間に広く認識されていたことは,前記(1)のとおりであるから,引用商標は,周知な「商品等表示」に該当するものとして保護を受け得るものである。そして,原告は,被告から不正競争 防止法に基づく警告書(甲14)を受けたのであるから,同法に基づく違法性の有無を判断する必要があった。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 (イ) 次に,たとえ,他人の商品の模倣品(原告のいう「リプロダクト品」)を販売することが一般的に行われていたとしても,リプロダクト品の販売する行為と,他人の商品を真横から見た形状を表す図形について商標権を取得しようとする行為とは,全く異なるものである。 そして,本件商標を構成する本件図形は,被告商品の取扱説明書(甲19)に表示された図形と酷似していることに照らすと原告は,警告書を送ってきた係争相手方が創作したデザインについて,自らが権利を取得しようとして,そのデザインの図形を取り込んだ本件商標の登録出願を行ったものであるから,原告の不正の目的は明らかである。 (ウ) 原告は,原告による本件商標の登録出願の目的は,被告からの言いがかりを回避するためである旨主張するが,被告の著名商標が登録されていないことを奇貨として自らの侵害行為を合法化し,被告に損害を与える目的で本件商標の登録出願を行ったものであるから,原告の主張は失当である。 イ原告は,平成28年9月2日付けで,本件商標の商標権に基づいて,被告に対し,輸入差止申立てを行い,正規品である被告商品の輸入を阻害する行為に及んでおり,原告が本件商標の商標登録を取得することにより被告にダメージを与える目的を有していたことは明らかである。 ウしたがって,原告は, 立てを行い,正規品である被告商品の輸入を阻害する行為に及んでおり,原告が本件商標の商標登録を取得することにより被告にダメージを与える目的を有していたことは明らかである。 ウしたがって,原告は,引用商標が未だ商標登録されていないことに乗じ,これに化体された信用及び顧客吸引力にただ乗りし,本件商標を使用することで利益を得,又は被告商品の営業に支障を生じさせて損害を生じさせることを目的として本件商標の登録出願を行ったものであるから,本件商標は,原告が不正の目的をもって使用をするものに該当する。 (3) 小括以上によれば,本件商標が商標法4条1項19号に該当するとした本件審決の判断に誤りはないから,原告主張の取消事由は理由がない。 第4 当裁判所の判断 1 引用商標の周知性について(1) 認定事実前記第2の1の事実と証拠(甲4ないし6,10ないし12,24ないし90,102ないし164,167ないし169,173,174,乙15)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 ア被告被告は,1874年に設立された,電気器具,照明器具の製造販売等を行等するデンマーク国法人である。 被告は,1967年(昭和42年)から,ドイツ,フランス,スウェーデン,アメリカ,ノルウェー,オランダ,オーストラリア,フィンランド,スイス及びイギリスの各国に100%子会社の現地法人を設立し,日本においても,1990年(平成2年)に,照明器具の製造,輸出入,卸売を業とする「ルイスポールセンジャパン株式会社」(旧商号・「タルジェッティポールセンジャパン株式会社」。以下「被告日本法人」という。)を設立した。 イ被告商品の販売状況(ア) 被告は,1958年(昭和33年)に,デンマークのデザイナーであるヘ ェッティポールセンジャパン株式会社」。以下「被告日本法人」という。)を設立した。 イ被告商品の販売状況(ア) 被告は,1958年(昭和33年)に,デンマークのデザイナーであるヘニングセンがデザインした「PH5」と称されるランプシェード(被告商品)の販売を開始して以来,各国の現地法人等を通じて,被告商品を含むヘニングセンがデザインしたランプシェード商品(「PHシリーズ」)の販売を世界的に展開している。 日本においては,1976年(昭和51年)当時から,株式会社YA MAGIWA(旧商号「株式会社ヤマギワ」。以下「ヤマギワ」という。)が被告の販売代理店として,1993年(平成5年)当時から,被告日本法人が,現地法人として被告商品の輸入,販売等を行い,両社は,2014年(平成26年)7月以前からそれぞれのインターネット販売サイトで被告商品の販売を行っている。 日本における1999年(平成11年)から2014年(平成26年)までの間の被告商品の販売台数は,合計7万4627台(甲169)である。 (イ) 被告の顧客リスト(甲102)には,全国の建築設計事務所,ゼネコン設計部,照明設計事務所,インテリアデザイン・内装設計事務所,住宅リフォームメーカー,家具・インテリアショップ,プレス等の約5000社(人)(同一法人の重複分を含む。)が掲載されており,被告商品は,北海道から九州にかけての全国的な範囲で取り扱われている。 ウ広告宣伝(ア) 商品カタログヤマギワ又は被告日本法人は,1976年(昭和51年)以降,被告商品がその写真と共に掲載された商品カタログ(甲103ないし129,132,133,135,137,138,141,142,144ないし151,153ないし161)を定期的に作成し,被告の顧客リ 告商品がその写真と共に掲載された商品カタログ(甲103ないし129,132,133,135,137,138,141,142,144ないし151,153ないし161)を定期的に作成し,被告の顧客リスト掲載の顧客等に配布している。 ヤマギワ作成の商品カタログでは,被告商品が写真と共に1頁にわたって掲載され,「「P-HLAMP」 「永遠のあかり」とたたえられる一級品。」,「世界的に有名な建築家であり,インダストリアル・デザイナーでもあるポール・ヘニングセンの頭文字をその名に持つP-Hランプ…。この作品は,原型が1928年のパリ万国博に出品され金メダルを受賞。すでに60年を経た世界のベスト&ロングセラーです。」 (1983年版(甲107))等の説明がされており,また,被告商品及び「PH」シリーズの他の複数の商品について,これらの商品の形態(立体的形状)が認識できるような写真が掲載されると共に,「ルイスポールセン/PH5/近代照明の父と呼ばれるポール・ヘニングセン。彼が生涯にわたって探求した「人と物,空間を美しく照らす良質な光」の基礎は,現在になっても色褪せるものではまったくありません。」(「1998-99」版(甲120),「2002-2003」版(甲122))等の説明がされている。このほかのヤマギワ作成の商品カタログにおいても,被告商品が写真と共に大きく紹介されている(「1977年」版(甲104),「1980年」版(甲105),「1982年」版(甲106),「1984年」版(甲108),「1985年」版(甲109),「1986-1987年」版(甲110),「1988-1989年」版(甲111),「1990-1991年」版(甲112),「1991-1992年」版(甲113),「1996年」版(甲118),「1996年」版( 987年」版(甲110),「1988-1989年」版(甲111),「1990-1991年」版(甲112),「1991-1992年」版(甲113),「1996年」版(甲118),「1996年」版(甲119),「1987年」版(甲125),「1972年」版(甲126),「1974年」版(甲127))。 また,被告日本法人作成の商品カタログでも,被告商品が写真と共に1頁にわたって掲載され,「PHランプ5 デザイン:ポールヘニングセン 1958年発表以来,今日まで衰えない人気を保っているロングセラーで,ヘニングセンの傑作のひとつ」(「1992年」版(甲129),「1996年」版(甲133)),「PH5&PH5プラス自然光の美しい夕刻の時間帯にふさわしい人工照明として1958年に発売」(「2001年」版(甲142),「2007年」版(甲146))等の説明がされている。 さらに,ミサワホーム株式会社作成の商品カタログでは,被告商品について,その写真が掲載されると共に,「言わずと知れたポール・ヘニ ングセンの代表作PH5。一度は目にしたことがあるのでは?」(「2012-2013」版(甲164))等の説明がされている。 (イ) 被告商品の雑誌等の出版物への掲載被告商品は,1990年(平成2年)から2013年(平成25年)ころまでの間に,家具に関する書籍,照明に関する雑誌・カタログ,インテリア雑誌,ファッション雑誌,経済雑誌等の多数の出版物(甲24ないし78,79ないし84,89,90)で紹介されている。 これらの出版物においては,被告商品について,その商品の形態(立体的形状)が認識できるような写真が掲載されると共に,例えば,以下のような説明がされている。 a 「PH5…PaulHenningsen/LouisPou 被告商品について,その商品の形態(立体的形状)が認識できるような写真が掲載されると共に,例えば,以下のような説明がされている。 a 「PH5…PaulHenningsen/LouisPoulsenLighting,Denmark…PHシリーズ中,住宅用ペンダントライトとして最も普及した」(「CONFORT № 104 2008.10」・甲24)b 「ポール・ヘニングセンデンマーク生まれ。近代照明の父と言われる。…北欧を代表する多くの照明器具を生み出した」(「照明学会誌vol.90 №6 2006」・甲26)c 「1958年 PH5 ルイスポールセン 1874年に創業したデンマークの照明器具メーカー,ルイスポールセンの定番として,世界で50万台を超すセールスを記録しているロングセラー商品。1920年代半ばから当社との協力関係を結んだ気鋭のデザイナー,ポール・ヘニングセンによるデザインで,58年に販売を開始。…以降の照明デザインの歴史を変えた名作とされており,世界中で数多くの模倣品を生んだ。」(「週刊東洋経済 2008 1/12」・甲27)d 「ポール・ヘニングセンは,北欧のデザイナーとして最もよく知られる人物の一人だ。…ルイス・ポールセン社の「PH」と呼ばれる吊 り下げ型の照明器具をデザインした。…ペンダント型の照明器具といえば,すぐにヘニングセンのデザインした一連の器具が想起されるほどに,彼のデザインは,世界中で最も長く使われてきている。」(柏木博著「家具のモダンデザイン」・甲29)e 「ポール・ヘニングセンPH5 ヘニングセンがたどりついた「黄昏の光」を,このランプはいまも生み出し続ける。…デンマークの国民的ランプと称され,北欧のみならず世界のスタンダードの座に,21世紀もおそらく君臨するのだろう。 H5 ヘニングセンがたどりついた「黄昏の光」を,このランプはいまも生み出し続ける。…デンマークの国民的ランプと称され,北欧のみならず世界のスタンダードの座に,21世紀もおそらく君臨するのだろう。」(「Pen №57 200 1 4/1 」・甲36)f 「巨匠が到達した理想の光 PH5プラス…「ポール・ヘニングセン」の集大成といえる傑作。」(「最新輸入住宅のインテリアを楽しむ本」・甲41)g 「世界の名品・定番品その愛される理由 PH-5ランプ…その好例が今回紹介するポール・ヘニングセンのデザインした<PH・5ランプ>である。…この<PH・5ランプ>は,数あるペンダントランプの中でも最高傑作だと思う。」(「リプラン vol.60」・甲44)h 「男の逸品館ルイスポールセン PH5/PH5PLUS…「PH5」は,半世紀近くにわたって家庭用照明の大定番品として,リビングやダイニングを暖かく優雅に照らし続けてきた。」(「特選街007.1」・甲59)i 「PH5&PH5Plus ルイスポールセン社の顔であり,20世紀を代表する傑作照明を手がけたデザイナーが,ポール・ヘニングセンである。…<PH5>は,まずデンマーク本国で人気を集め,国民的ランプと称されるようになった。そして今では,世界中で愛用されるようになったのだ。」(「Safari 2007.2」・甲 61)j 「ポール・ヘニングセン美しい存在感でどんな部屋にもなじむペンダントライト『PH5 プラス』」(「Domani 2007. 6」・甲63)k 「PH5 Pendant(LouisPoulsen/デンマーク) デンマークの建築家ポール・ヘニングセンによって1958年にデザインされた,…20世紀を代表する古典と呼べる名品です。」(石井幹子著 H5 Pendant(LouisPoulsen/デンマーク) デンマークの建築家ポール・ヘニングセンによって1958年にデザインされた,…20世紀を代表する古典と呼べる名品です。」(石井幹子著「美しい光でつくる暮らしの照明」・甲83)エグッド・デザイン賞の受賞等(ア) 被告商品は,「名作といわれる器具の形を変えることなく内部構造の見直しを図り,より適応性の高い商品に仕上げたことが評価」され,平成9年度通商産業省選定グッド・デザイン外国商品賞(インテリア用品部門。甲10)を受賞した。 (イ) 被告商品ないしそのシリーズ商品は,文部科学大臣が認可した教科書「美術2・3上生活の中に生きる美術」(平成24年1月15日発行。甲11)において,「時代の流れの中で変化するデザイン」の見出しの下に,PHランプの写真と共に,「1925 PHランプ…ポール・ヘニングセン」として,「高等学校芸術科工芸Ⅰ」(平成24年3月5日検定済。甲12)において,被告商品の写真と共に,「モダンデザインの代表的ペンダント PH5…ポール・ヘニングセン」として掲載された。 (2) 引用商標の周知性の有無についてア引用商標は,別紙2記載のとおり,上部に小さな凸部を有する5層構造のランプシェードの立体的形状からなり,上から1層目の円筒状の形状と2層目から5層目が組み合わさった4枚のシェードの形状から構成されている。このような2層目から5層目が組み合わさった形状は,独特なも のであり,特徴的な形状として需要者の目をひくものと認められる。 そして,引用商標は,ヘニングセンがデザインした「PH5」と称されるランプシェード(被告商品)の立体的形状であり,日本国内で被告商品の販売が開始された1976年(昭和51年)当時には,引用商標における2層目から5 は,ヘニングセンがデザインした「PH5」と称されるランプシェード(被告商品)の立体的形状であり,日本国内で被告商品の販売が開始された1976年(昭和51年)当時には,引用商標における2層目から5層目が組み合わさった形状は,他のランプシェード商品には見られない独自のデザインであったものと認められる。また,被告商品の上記販売開始後本件商標の登録出願日(平成25年6月14日)までの間に,被告以外の業者が製造する被告商品と同一又は類似の形態の競合商品が日本国内において一般的に流通していたことを認めるに足りる証拠はない。 もっとも,被告商品の立体的形状は,ランプシェードとしての機能をより効果的に発揮させ,美感をより優れたものとする目的で採用されたものであり(甲107,120,122等),しかも,ランプシェードの形状として通常採用されている範囲を大きく超えるものとはいえないから,被告商品の立体的形状それ自体に商品の出所を表示し,自他商品を識別する機能(自他商品識別機能)ないし自他商品識別力があるものとは認められない。 以上を前提に,引用商標が,被告商品に使用された結果,本件商標の登録出願前において,自他商品識別機能ないし自他商品識別力を獲得するに至り,被告の業務に係る商品であることを表示するものとして,日本国内における「需要者の間に広く認識されている」ものであったかどうかについて判断する。 イ被告商品がランプシェード商品であることからすると,被告商品の需要者は,照明器具,インテリアの取引業者及び照明器具,インテリアに関心のある一般消費者であることが認められる。 そこで,まず,被告商品の販売状況をみると,前記(1)イの事実及び甲1 69を総合すれば,①被告商品は,1976年(昭和51年)に日本国内における販売が開始されて あることが認められる。 そこで,まず,被告商品の販売状況をみると,前記(1)イの事実及び甲1 69を総合すれば,①被告商品は,1976年(昭和51年)に日本国内における販売が開始されて以来,2014年(平成26年)までの約40年間にわたり,継続して販売されていること,②その間の1999年(平成11年)から2014年(平成26年)までの16年間の被告商品の販売台数は,合計7万4627台であり,1年当たりの平均販売台数は約4664台であること,③最近の5年間の被告商品の販売台数は,2010年(平成22年)が4458台,2011年(平成23年)が4920台,2012年(平成24年)が5062台,2013年(平成25年)が6858台,2014年(平成26年)が7006台(甲169)であることが認められる。 上記認定事実によれば,被告商品は,日本国内において,1976年(昭和51年)から約40年間にわたり継続して販売されているランプシェードのロングセラー商品であり,最近の販売台数は,1999年(平成11年)以降の1年当たりの平均販売台数(約4664台)を上回り,増加傾向にあることが認められる。 ウ(ア) 被告商品の広告宣伝状況をみると,ヤマギワ又は被告日本法人は,全国の建築設計事務所,ゼネコン設計部,照明設計事務所,インテリアデザイン・内装設計事務所,住宅リフォームメーカー,家具・インテリアショップ,プレス等の約5000社(人)(同一法人の重複分を含む。)の被告の顧客リスト(甲102)に掲載された顧客に対し,定期的に被告商品が掲載された商品カタログを配布していたことは,前記(1)イ(イ)及びウ(ア)のとおりである。 そして,商品カタログにおける被告商品の取り上げ方をみると,ヤマギワ作成の商品カタログでは,被告商品が写真と れた商品カタログを配布していたことは,前記(1)イ(イ)及びウ(ア)のとおりである。 そして,商品カタログにおける被告商品の取り上げ方をみると,ヤマギワ作成の商品カタログでは,被告商品が写真と共に1頁にわたって掲載され,「「P-HLAMP」 「永遠のあかり」とたたえられる一級品。」,「世界的に有名な建築家であり,インダストリアル・デザイ ナーでもあるポール・ヘニングセンの頭文字をその名に持つP-Hランプ…。この作品は,原型が1928年のパリ万国博に出品され金メダルを受賞。すでに60年を経た世界のベスト&ロングセラーです。」等の説明が付されたものや,被告商品及び「PH」シリーズの他の複数の商品について,これらの商品の形態(立体的形状)が認識できるような写真が掲載されると共に,「ルイスポールセン/PH5/近代照明の父と呼ばれるポール・ヘニングセン。彼が生涯にわたって探求した「人と物,空間を美しく照らす良質な光」の基礎は,現在になっても色褪せるものではまったくありません。」等の説明が付されたものがあり,このほかのヤマギワ作成の商品カタログにおいても,被告商品が写真と共に大きく紹介されていることに照らすと,被告商品が近代照明の父と呼ばれるヘニングセンがデザインした「世界のロングセラー」商品であって,「PH」シリーズの中の代表的な商品であることを強調し,被告商品のデザインを印象づけるような広告が繰り返しされている。また,被告日本法人作成の商品カタログでも,被告商品が写真と共に1頁にわたって掲載され,「PHランプ5 デザイン:ポールヘニングセン 1958年発表以来,今日まで衰えない人気を保っているロングセラーで,ヘニングセンの傑作のひとつ」等の説明が付されたものなどがあり,被告商品がヘニングセンがデザインした「世界のロングセラ ングセン 1958年発表以来,今日まで衰えない人気を保っているロングセラーで,ヘニングセンの傑作のひとつ」等の説明が付されたものなどがあり,被告商品がヘニングセンがデザインした「世界のロングセラー」商品であることを強調し,被告商品のデザインを印象づけるような広告が繰り返しされている。 (イ) 被告商品の雑誌等の出版物への掲載状況をみると,前記(1)ウ(イ)のとおり,被告商品は,1990年(平成2年)から2013年(平成25年)ころまでの間,家具に関する書籍,照明に関する雑誌・カタログ,インテリア雑誌,ファッション雑誌,経済雑誌等の多数の出版物において,被告商品の形態(立体的形状)が認識できるような写真と共に 紹介されており,その基本的な内容は,被告商品は,20世紀を代表するデザイナーであるヘニングセンが1958年にデザインし,被告が販売する世界のロングセラー商品であり,そのデザインが優れていることを強調するものといえる。 エ前記イ及びウで認定した被告商品の販売状況及び広告宣伝状況に加えて,被告商品は,平成9年度通商産業省選定グッド・デザイン外国商品賞(インテリア用品部門)を受賞し,平成24年には高等学校の教科書において,被告商品の写真と共に,「モダンデザインの代表的ペンダント PH5…ポール・ヘニングセン」として掲載されたこと(前記(1)エ)を総合すると,被告商品は,その販売が開始された1976年(昭和51年)当時,その2層目から5層目が組み合わさった形状において,他のランプシェード商品には見られない独自の特徴を有しており,しかも,被告商品が上記販売開始後本件商標の登録出願日(平成25年6月14日)までの約40年間にわたり全国的に継続して販売され,この間被告商品のデザインを印象づけるような広告宣伝が継続して繰り返し しかも,被告商品が上記販売開始後本件商標の登録出願日(平成25年6月14日)までの約40年間にわたり全国的に継続して販売され,この間被告商品のデザインを印象づけるような広告宣伝が継続して繰り返し行われた結果,本件商標の登録出願時までには,被告商品が日本国内の広範囲にわたる照明器具,インテリアの取引業者及び照明器具,インテリアに関心のある一般消費者の間で被告が製造販売するランプシェードとして広く知られるようになり,被告商品の立体的形状(引用商標)は,周知著名となり,自他商品識別機能ないし自他商品識別力を獲得するに至ったものと認められる。 そうすると,引用商標が被告商品に長年使用された結果,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時(登録査定日・同年12月27日)において,被告の業務に係る商品であることを表示するものとして,日本国内における需要者の間に広く認識されていたことが認められる。 (3) 原告の主張について原告は,①被告商品が掲載された商品カタログには,同種商品が多数掲載 されており,被告商品は一商品として掲載されていたに過ぎないし,また,被告商品は,「PH5」として認識されており,その立体的形状は,あくまでも商品の形状そのものとして認識されるにとどまる,②商品カタログの配布先の顧客は,主として建築設計事務所などいわゆるインテリア等の専門家であって,一般消費者とはいえないし,被告商品の立体的形状が,通常の需要者である一般消費者の間で,広く認識されるに至ったものとはいえない,③被告商品が1999年(平成11年)から2014年(平成26年)までの15年間に約7万5000台販売されたとすると,1年間の平均販売台数は約5000台ということになるが,2016年上半期の日本における屋内家庭用照明器具の販売台数が570 014年(平成26年)までの15年間に約7万5000台販売されたとすると,1年間の平均販売台数は約5000台ということになるが,2016年上半期の日本における屋内家庭用照明器具の販売台数が570万台であることと対比すると,被告商品の販売台数は,わずか0.04%程度のマーケットシェアに過ぎないなどとして,被告商品の立体的形状からなる引用商標は,自他商品識別力を獲得していない旨主張する。 しかしながら,上記①の点については,前記(2)ウ(ア)のとおり,商品カタログでは,被告商品は,写真と共に1頁にわたって掲載されるなど大きく取り上げられ,被告商品が近代照明の父と呼ばれるヘニングセンがデザインした「世界のロングセラー」商品であって,「PH」シリーズの中の代表的な商品であり,被告商品のデザインを印象づけるような広告が繰り返しされており,多数掲載されている同種商品の一商品として位置づけられているものではないし,また,被告商品の立体的形状が商品の形状そのものとして認識されるにとどまるものとはいえない。 次に,上記②の点については,被告商品は,1990年(平成2年)から2013年(平成25年)ころまでの間,家具に関する書籍,照明に関する雑誌・カタログ,インテリア雑誌,ファッション雑誌,経済雑誌等の多数の出版物において,20世紀を代表するデザイナーであるヘニングセンが1958年にデザインし,被告が製造販売する世界のロングセラー商品であり, そのデザインが優れていることが強調されていること(前記(2)ウ(イ)),平成9年度通商産業省選定グッド・デザイン外国商品賞(インテリア用品部門)を受賞し,平成24年には高等学校の教科書において,被告商品の写真と共に,「モダンデザインの代表的ペンダント PH5…ポール・ヘニングセン」として掲載され ・デザイン外国商品賞(インテリア用品部門)を受賞し,平成24年には高等学校の教科書において,被告商品の写真と共に,「モダンデザインの代表的ペンダント PH5…ポール・ヘニングセン」として掲載されたこと(前記(1)エ)に照らすと,照明器具,インテリアに関心のある一般消費者の間においても,被告商品及びそのデザイン,被告商品が被告の製造販売に係る商品であることが広く知られるようになったものと認められる。 さらに,上記③の点については,被告商品の1年間の平均販売台数と2016年上半期の日本における屋内家庭用照明器具の販売台数570万台とを対比した場合,被告商品の販売台数のマーケットシェアが0.04%程度であったとしても,被告商品は,日本国内において,1976年(昭和51年)から約40年以上にわたり継続して販売されているランプシェードのロングセラー商品であり,最近の販売台数は,1999年(平成11年)以降の1年当たりの平均販売台数(約4664台)を上回り,増加傾向にあること(前記(2)イ),被告商品の広告宣伝状況(前記(2)ウ)に照らすと,被告商品の販売台数のマーケットシェアが上記の程度であることは引用商標が自他商品識別力を獲得したことを否定する根拠となるものではない。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 (4) 小括以上によれば,引用商標は,他人(被告)の業務に係る商品であることを表示するものとして,日本国内における「需要者の間に広く認識されている商標」に該当するものと認められる。 2 本件商標と引用商標の類否について本件商標は,別紙1記載のとおり,上部に大きく描かれた左右の5層の幾何図形部分(本件図形)と,その左下に略三角形の中に「R&M」の文字を配し た図形部分,及びその右に「R&MInterior 件商標は,別紙1記載のとおり,上部に大きく描かれた左右の5層の幾何図形部分(本件図形)と,その左下に略三角形の中に「R&M」の文字を配し た図形部分,及びその右に「R&MInteriorStore」の文字を配した構成からなるものである。 本件商標は,その構成態様から,上部に大きく描かれた本件図形が,取引者,需要者に対し,商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるから,本件図形が独立して自他役務識別標識としての機能を果たすとみるのが相当である。 そして,本件商標の本件図形と引用商標の立体的形状とを対比すると,両者は,上部の小さな凸部及び上から2層目と3層目の2本又は3本の細い帯状の線の有無に差異はあるものの,両者とも全体の構成が左右対称の5層の形状となっているものである。そして,本件図形は,引用商標のランプシェードの真横から見たデザインに酷似している。 そうすると,本件図形と引用商標は,外観において極めて類似するから,本件商標は,引用商標に類似する商標であると認められる。 3 不正の目的について(1) 認定事実前記第2の1の事実と証拠(甲2,3,8,9,13,14,172,178,180,181,184ないし188,193,乙5ないし15)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 ア原告は,平成19年7月に設立された,インテリア商品の販売を業とする株式会社である。 原告は,意匠権の存続期間が終了した意匠に係る製品を,オリジナルデザインを元にできるだけ忠実に復刻生産し,これを「リプロダクト品」と称して,原告の管理するウェブサイト(甲3)で販売している。 イ原告は,平成25年2月当時,原告のウェブサイト上で,ポール・ヘニングセンのデザインによる「PH5」と類似し れを「リプロダクト品」と称して,原告の管理するウェブサイト(甲3)で販売している。 イ原告は,平成25年2月当時,原告のウェブサイト上で,ポール・ヘニングセンのデザインによる「PH5」と類似したランプシェードの商品(原告商品)を「ポール・ヘニングセンPH5」のリプロダクト品などと表示 して,販売していた。 ウ(ア) 被告は,平成25年2月20日,原告に対し,原告のウェブサイト上の原告商品等の販売が,被告の商標権及び著作権を侵害し,不正競争に当たるので,原告商品等の販売の差止め及び損害賠償を求めることなどを記載した電子メール(甲13・訳文乙13)を送信した。 (イ) 原告は,同年3月6日,被告に対し,原告は,日本における被告(「ルイス・ポールセン」)の著作権及び商標権を調査したが,原告が被告の著作権及び商標権を侵害した事実はないこと,もし原告が被告の知的財産権を侵害しているのであればその根拠を示して欲しいことなどを記載した電子メール(甲172・訳文乙14)を送信した。 被告は,同日,原告に対し,日本における被告の登録商標の登録証を添付した上で,同月8日までに原告のウェブサイトから被告の商標権及び著作権を侵害するすべての照明器具の掲載の削除を求めること,照明器具はデザイナーの死後70年間応用美術品として保護されることなどを記載した電子メール(甲172・訳文乙14)を返信した。 (ウ) 原告は,同月14日,被告に対し,原告は,被告から指摘のあった登録商標は原告のウェブサイトから削除したこと,原告が調べた被告の他の登録商標の商標権を侵害していないこと,照明製品の意匠等の知的財産はデザインしたときから20年は保護されるが,それ以降効力はないことなどを記載した電子メール(甲180・訳文甲181)を送信した。 エ原告は,平 を侵害していないこと,照明製品の意匠等の知的財産はデザインしたときから20年は保護されるが,それ以降効力はないことなどを記載した電子メール(甲180・訳文甲181)を送信した。 エ原告は,平成25年6月14日,本件商標について登録出願をした。 オ(ア) 被告の代理人弁理士は,平成25年11月11日付けで,原告に対し,PH5のデザインは,被告の製造,販売する商品を表示するものとして,日本において周知・著名な商品等表示であること,原告がそのウェブサイトでPH5のリプロダクト品と称して販売する原告商品の形状 は,PH5のデザインと酷似していること,原告の上記販売行為は,不正競争防止法2条1項1号の不正競争に当たるので,販売を中止し,上記ウェブサイトから上記商品のページを削除することを求めることなどを記載した警告書(甲14)を送付した。 (イ) 原告の代理人弁護士は,同月22日付け内容証明郵便で,被告に対し,原告が販売する商品は,リプロダクト品である旨をホームページで明記しており,不正競争防止法2条1項1号に規定する「他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」に当たらないので,被告の要求はすべて断ることなどを記載した回答書(甲14)を送付した。 カ被告は,平成25年12月13日,引用商標について登録出願をした。 キ原告は,平成25年12月27日,本件商標の登録出願について登録査定を受け,平成26年1月17日,その旨の設定登録を受けた。 ク被告は,引用商標の登録出願について,平成26年10月7日付けの拒絶査定を受けたため,平成27年1月14日,拒絶査定不服審判を請求した。 特許庁は,上記請求について審理をした結果,同年12月15日,引用商標は,商標法3条1項3号に該当するものの,同条2項の要件を具備しているとして, 7年1月14日,拒絶査定不服審判を請求した。 特許庁は,上記請求について審理をした結果,同年12月15日,引用商標は,商標法3条1項3号に該当するものの,同条2項の要件を具備しているとして,原査定を取り消し,引用商標を登録すべきものとする旨の審決(甲9)をした。 被告は,平成28年2月12日,引用商標(立体商標)について,指定25191号。甲8)を受けた。 ケ(ア) 被告は,平成28年5月11日付けで,関税法69条の13第1項に基づき,東京税関長に対し,「侵害すると認める物品」を引用商標又はこれに類似する商標を付したランプシェード,「予想される輸入者」を不明として,輸入差止申立て(乙6)をした。 (イ) 原告は,同年9月2日付けで,関税法69条の13第1項に基づき,東京税関長に対し,「侵害すると認める物品」を本件商標又はこれに類被告として,輸入差止申立て(乙11)をした。 (ウ) 東京税関長は,同年12月1日付けで,被告に対し,前記(ア)の輸入差止申立てについて受理通知(乙7)をした。 大阪税関南港出張所長は,同月9日付けで,被告に対し,輸入差止申立てに係る疑義貨物が発見されたので,認定手続を執る旨の通知(乙8)をした。 (エ) 被告は,同月31日,本件商標について商標登録無効審判を請求した。 (オ) 大阪税関南港出張所長は,平成29年3月9日付けで,被告に対し,前記(ウ)の疑義貨物が侵害物品に該当する旨の認定結果通知(乙9)をした。 (カ) 原告は,同月28日付けで,東京税関長から,前記(イ)の輸入差止申立てについて不受理結果通知(乙12)を受けた。 その後,輸入差止めを受けた株式会社アイエーシーインターナショナル(代表者は原告代表者)は,同年5月18日付けで,大阪税関長に対し,再調査請求(甲18 について不受理結果通知(乙12)を受けた。 その後,輸入差止めを受けた株式会社アイエーシーインターナショナル(代表者は原告代表者)は,同年5月18日付けで,大阪税関長に対し,再調査請求(甲185)をしたが,同年8月22日付けで,大阪税関長から,再調査請求の棄却決定(甲186)を受けた。 株式会社アイエーシーインターナショナルは,同年9月19日付けで,上記棄却決定の取消しを求めて審査請求(甲187,188)をした。 コ原告は,特許庁が平成29年12月1日にした本件商標の商標登録を無効とする旨の本件審決を不服として,平成30年1月6日,本件訴訟を提起した。 (2) 不正の目的の有無について ア被告商品は,本件商標の登録出願時までには,被告商品が日本国内の広範囲にわたる照明器具,インテリアの取引業者及び照明器具,インテリアに関心のある一般消費者の間で被告が製造販売するランプシェードとして広く知られるようになり,被告商品の立体的形状(引用商標)が周知著名となっていたことは,前記1(2)エのとおりである。 加えて,原告は,平成25年2月当時,被告商品を元にできるだけ忠実に復刻生産したランプシェードの商品(原告商品)を「ポール・ヘニングセンPH5」のリプロダクト品として原告のウェブサイト上で販売していたこと(前記(1)ア及びイ)を併せ考慮すると,原告は,本件商標の登録出願時(同年6月14日)において,被告商品は,ヘニングセンがデザインした被告が製造販売する商品であること及び被告商品の立体的形状(引用商標)について十分に認識していたことが認められる。 イ前記(1)の認定事実によれば,原告は,被告から,被告商品(PH5のランプシェード)のリプロダクト品である原告商品の販売が被告の商標権及び著作権を侵害し,不正競争に当た いたことが認められる。 イ前記(1)の認定事実によれば,原告は,被告から,被告商品(PH5のランプシェード)のリプロダクト品である原告商品の販売が被告の商標権及び著作権を侵害し,不正競争に当たるので,原告商品等の販売の差止め及び損害賠償を求めることなどを記載した電子メールの送信を受けた後,被告との交渉を進める中で,本件商標の登録出願を行い,しかも,被告が,商標登録された引用商標の商標権に基づき,引用商標又はこれに類似する商標を付したランプシェードについて東京税関長に対して輸入差止申立てをしたことの対抗措置として,本件商標の商標権に基づいて被告商品について東京税関長に対して輸入差止申立てをしたことが認められる。 また,周知な商品の形態(立体的形状)は,周知な「商品等表示」(不正競争防止法2条1項1号)として不正競争防止法により保護され得ることは,インテリア商品の販売を業とする原告においては当然に認識すべき事柄であるといえる。 ウ前記ア及びイの認定事実を総合すると,原告は,被告商品の立体的形状 (引用商標)が被告商品を表示するものとして需要者の間に周知著名であることを十分に認識しながら,被告から原告商品の販売が被告の商標権及び著作権を侵害し,不正競争に当たる旨の警告を受けた際に,引用商標が未だ商標登録されていないことに乗じ,被告との交渉を有利に進め,あるいは対抗手段を確保することを意図して,本件商標の登録出願を行い,しかも,現に本件商標の商標権に基づいて被告商品に対する輸入差止申立てを行っていることが認められるから,原告による本件商標の登録出願は,被告による被告商品の営業活動に支障を生じさせることを目的とするものというべきである。 そうすると,本件商標は,原告が不正の目的をもって使用をするものと認められる。 ( 本件商標の登録出願は,被告による被告商品の営業活動に支障を生じさせることを目的とするものというべきである。 そうすると,本件商標は,原告が不正の目的をもって使用をするものと認められる。 (3) 原告の主張について原告は,①引用商標を構成する立体的形状については,被告商品が1958年(昭和33年)から販売されていることからすると,仮に特許権,実用新案権又は意匠権があったとしても,本件商標の登録出願前には存続期間が終了し,パブリックドメインになっており,業界の慣行に従って,リプロダクト品を自由に使用できるものと認識していたこと,②原告による本件商標の登録出願の目的は,本件商標の商標権を取得することにより,被告からの言いがかりを回避するためのものであることからすると,本件商標は,原告が不正の目的をもって使用をするものに該当しない旨主張する。 しかしながら,上記①の点は,前記(2)イのとおり,周知な商品の形態(立体的形状)は,周知な「商品等表示」(不正競争防止法2条1項1号)として不正競争防止法により保護され得ることを考慮していない点において誤りであり,また,このように周知な商品の形態(立体的形状)が同法により保護され得ることは,原告のようなインテリア商品の販売を業とする者においては当然に認識すべき事柄である。 次に,上記②の点は,被告が原告に対して警告したことは,正当な権利行使であって,言いがかりであるということはできないし,また,前記(1)認定の本件の経過等の下において,本件商標の登録出願前に周知著名であった被告商品の立体的形状を平面商標とした本件商標について,原告が登録出願をすべき合理的事情は認められないというべきである。 したがって,原告の上記主張は,理由がない。 (4) 小括以上のとおり,原告に 立体的形状を平面商標とした本件商標について,原告が登録出願をすべき合理的事情は認められないというべきである。したがって,原告の上記主張は,理由がない。 (4) 小括 以上のとおり,原告による本件商標の登録出願は,被告による被告商品の営業活動に支障を生じさせることを目的とするものであるから,本件商標は,原告が不正の目的をもって使用をするものと認められる。 4 結論 以上によれば,本件商標が商標法4条1項19号に該当するとした本件審決の判断に誤りはないから,原告主張の取消事由は理由がない。したがって,原告の請求は棄却されるべきものである。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官古河謙一 裁判官関根澄子 (別紙1) (別紙2) 第1図 第2図 第3図 第4図 第5図 第6図

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