- 1 -主文 本件訴えを却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 原告原告が被告に対し平成15年3月11日付けでした,原告が多治見市α×-113の土地内に小規模産業廃棄物処理施設を設置する旨の届出に対し,被告が岐阜県産業廃棄物の適正処理に関する指導要綱13条2項の適合通知書を原告に交付しないことは,違法であることを確認する。 被告(1)本案前の答弁本件訴えを却下する。 (2)本案に対する答弁原告の請求を棄却する。 第2事案の概要本件は,原告が,被告に対し,原告は小規模産業廃棄物処理施設を設置しようとして,岐阜県廃棄物の適正処理等に関する条例(以下「本件条例」という)21条1項による。 届出をしたが,被告が岐阜県産業廃棄物の適正処理に関する指導要綱(以下「本件指導要綱」という)13条2項の適合通知書を交付しないため,原告は小規模産業廃棄物処。 理施設の設置等の工事ができないところ,被告が適合通知書を交付しないことは違法な不作為であるとして,その確認を求めた事案である。 争いのない事実等(1)産業廃棄物処理施設の設置に関する規制について(「」。),廃棄物の処理及び清掃に関する法律以下廃棄物処理法という15条1項は産業廃棄物処理施設を設置しようとする者は,当該産業廃棄物処理施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を得なければならないと定めている。 さらに,岐阜県では,産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く)の処分を業として。 行っている者又は行おうとする者は,廃棄物処理法15条1項の産業廃棄物処理施設以外の産業廃棄物を処理する施設(小規模産業廃棄物処理施設)を新たに設置する等しようとするときは,当該小規模産業廃棄物処理施設の種類, 又は行おうとする者は,廃棄物処理法15条1項の産業廃棄物処理施設以外の産業廃棄物を処理する施設(小規模産業廃棄物処理施設)を新たに設置する等しようとするときは,当該小規模産業廃棄物処理施設の種類,処理能力その他の規則で定める事項をあらかじめ知事に届け出なければならない(本件条例21条1項)と定めている。 ,,,そして本件指導要綱は小規模産業廃棄物処理施設の設置等をしようとする者は,,(),あらかじめその旨を知事に届け出て適合通知を受けておくものとし13条1項知事は,上記届出については,廃棄物処理法15条の2第1項の規定の例により審査し,同項に適合していると認めるときは,適合通知書を交付するものとし(13条2項,処分施設設置者は,13条1項の規定による適合通知を受けた後に設置等の工事)に着手するものとする(12条)旨を定めている。 (2)原告の届出の経緯について- 2 -原告は,廃棄物処理法15条の営業許可を得て,多治見市α×-113の土地に小規模産業廃棄物処理施設(以下「本件施設」という)を設置し,小規模産業廃棄物処。 理業を営業しようとする者である。 原告は,平成15年3月10日,本件条例21条1項に基づき,被告に対し,本件施設を設置する旨の届出をし(以下「本件届出」という,被告はそのころこれを受。)理した。 しかるに,被告は,同年5月29日に行政指導をしたものの,その後も本件指導要綱13条2項の適合通知書を原告に交付しない。 争点 (1)被告が,本件条例21条1項に基づく届出に対し,本件指導要綱13条2項の適合通知書を交付する行為は,不作為の違法確認の訴えの対象となる「法令に基づく申請」に対する「行政庁の処分」に該当するか。また,原告は,当該処分についての申請をした者として,当事者適格を有するか の適合通知書を交付する行為は,不作為の違法確認の訴えの対象となる「法令に基づく申請」に対する「行政庁の処分」に該当するか。また,原告は,当該処分についての申請をした者として,当事者適格を有するか(本案前の主張)。 (被告の主張)ア行政事件訴訟法(以下「行訴法」という)3条5項は,不作為の違法確認の訴え。 とは,行政庁が法令に基づく申請に対し,相当の期間内になんらかの処分又は裁決をすべきにかかわらず,これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいうと定めており,本件届出が上記「法令に基づく申請」に該当するか,本件届出に対する適合通知書の交付が,上記「行政庁の処分」に該当するかが問題となる。 イ本件届出は,本件条例21条1項に基づくものであるから,行政手続法の適用はなく(同法3条2項,岐阜県行政手続条例が適用されるところ,本件届出は,同条)「」,「」。 例2条1項4号にいう申請には該当せず同項8号にいう届出に該当するまた,本件指導要綱13条2項の適合通知書を交付することは,本件条例21条1項に基づく届出の受理を前提とした指導要綱の一内容であるから,行政指導であって,処分性のない行政行為である。 ウそうすると,本件届出に対する適合通知書の交付は「法令に基づく申請」に対す,る「行政庁の処分」に該当しないし,そうであれば,原告は,行訴法37条の「不作為の違法確認の訴えは,処分又は裁決についての申請をした者に限る」との要件。 も満たさず,当事者適格を有しない。 よって,原告の本件訴えは,訴訟要件を欠き,不適法である。 (原告の主張)ア本件条例21条1項,本件条例施行規則,本件指導要綱10条2項,13条1項等によれば,(ア)原告が本件施設を建設する際には,本件条例等で定められた種類,処理能力等を記載した書類 原告の主張)ア本件条例21条1項,本件条例施行規則,本件指導要綱10条2項,13条1項等によれば,(ア)原告が本件施設を建設する際には,本件条例等で定められた種類,処理能力等を記載した書類及び同意書等を被告に提出しなければならない,(イ)被告は,提出された書類を廃棄物処理法15条の2が定める産業廃棄物処理施設の設置の許可基準に準じて審査し,これに適合している場合には,適合通知書を交付する,(ウ)原告は,上記の適合通知書の交付を受けなければ本件施設の建設工事に着手することはできず,かつ,本件施設を使用して産業廃棄物の処分業を営業する- 3 -ことはできない,等とされている。 ,,,,そうすると本件条例21条1項は文言上は届出としているもののこれは本件指導要綱によって実質的には許可とされているというべきであり,これによれば,本件届出は,岐阜県行政手続条例2条1項4号の「申請」に該当し,適合通知書の交付は同号の「許可」に該当し,適合通知書の不交付は「不許可」若しくは「処分をしない」ことになるから,処分性を有するものといえる。 イ仮に,本件届出が許可を求める申請ではないとしても,本件施設を設置するため本件届出をしたことは,岐阜県行政手続条例2条1項4号にいう「その他の自己に対し,何らかの利益を付与する処分を求める行為」として,同号の「申請」に該当するというべきところ,申請に対しては,行政庁は諾否の応答をすべき義務があるのであるから,被告は本件施設の設置について,諾否の応答をすべき義務があり,法令上の要件を充足していた場合には,適合通知書を交付すべき義務がある。 したがって,適合通知書を交付するかどうかは処分性を有する。 (),。 本件届出に対し被告が適合通知書を交付しないことは違法な不作為といえるか(被 には,適合通知書を交付すべき義務がある。 したがって,適合通知書を交付するかどうかは処分性を有する。 (),。 本件届出に対し被告が適合通知書を交付しないことは違法な不作為といえるか(被告の主張)原告が本件施設の設置の工事に着手することは,許可の対象ではなく,届出の対象に過ぎず,被告は処分の義務を負うものではない。 また,被告は,原告の本件届出を平成15年3月11日受理した上,本件条例21条4項により届出書の補正指示を出したところ,原告がこれに対する回答を不誠実に懈怠しているものであるから,被告が適合通知書を交付しないことは何ら違法ではない。 (原告の主張)ア被告は,本件届出に対し,平成15年5月29日付け岐阜県健康福祉環境部廃棄物対策室長名の「小規模産業廃棄物処理施設設置届出書の補正について」と題する文書で何点かの行政指導をしてきたので,原告は,原則としてこれに従い補正したが,同文書中別紙1届出書(10)の「多治見市)第××区長及び第××区長から(の同意書は,設置施設が「産業廃棄物中間処理施設(堆肥化,破砕,選別方式」と)なっており,設置予定の飼料化施設が含まれていないため,飼料化施設の設置について同意を得ること」と指摘された点については,補正に応じなかった。 イ上記の補正に応じなかった理由は,(ア)それまで一貫して被告の指導に従い,上記同意書についても2地区の同意が必要との被告の指導と事前承認を受けて,上記2地区から同意を得てきたこと,(イ)被告の指摘する飼料化施設についても事実上説明して同意を得てきており,かつ,実質的には既に同意を得た文書にも「飼料化」との記載があり,改めて追加訂正を要しないこと,(ウ)法令上は地元の同意は必要とならないこと,とりわけ隣の地区の××区長の同意は同意を求める合理的理由のな 質的には既に同意を得た文書にも「飼料化」との記載があり,改めて追加訂正を要しないこと,(ウ)法令上は地元の同意は必要とならないこと,とりわけ隣の地区の××区長の同意は同意を求める合理的理由のないこと等によるものであり,上記の行政指導に応じる必要はない。 ウそれにもかかわらず,被告は,上記の行政指導に応じないことを理由に,原告に- 4 -対し適合通知書を交付しないのであり,これは違法な不作為である。 第3争点に対する判断 争点(1)について(1)行訴法3条5項は「不作為の違法確認の訴えとは,行政庁が法令に基づく申請,に対し,相当の期間内になんらかの処分又は裁決をすべきにかかわらず,これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう」と規定し,同法37条は「不作。 ,為の違法確認の訴えは,処分又は裁決についての申請をした者に限り,提起することができる」と規定している。 。 ところで,本件届出は,本件条例21条1項に基づくものであるから,これが上記「法令に基づく申請」に該当するか否かについては,岐阜県行政手続条例によることとなる(行政手続法3条2項)ところ,同条例は「申請とは,条例等に基づき,行政,庁の許可,認可,免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分を求める行為であって,当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう(2条4号「処分とは,条例等に基づく行政庁の処分その他公権力の行使に当。」),たる行為をいう(2条3号)と規定している。そして,公権力の行使とは,公権力。」,,の主体たる岐阜県が行う行為のうちその行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解すべきである。 (2)そこで,本件条例21条1項に基づく届出が 体たる岐阜県が行う行為のうちその行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解すべきである。 (2)そこで,本件条例21条1項に基づく届出が,上記「法令に基づく申請」に該当するか否か,また,上記届出に対する適合通知書の交付が,上記申請に対する「行政庁の処分」に該当するか否かについて検討する。 本件条例によれば,小規模産業廃棄物処理施設を設置しようとする者は,その旨の届出をすることを要するものの(21条1項,知事は,当該届出が技術上の基準に適)合しないときに内容の変更などを勧告することができるにとどまり(同条4項,諾否)の応答をすべきとする規定はない。 また,本件指導要綱は,本件条例21条1項に基づく届出に対して,知事が,要件,()。 ,を審査の上適合通知書を交付すべきことを定めている13条2項しかしながら本件指導要綱は,第4章「産業廃棄物処理施設に関する指導」において,適合通知書の交付を受けた後に,設置等の工事に着手すべきものと規定する(13条)ものの,指導違反に対しては,勧告をし,さらに勧告違反等に対して公表することがあることを規定する(17,18条)にとどまるものであるから,これらはいずれも岐阜県行政手続条例2条7号にいう行政指導(県の機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導,勧告,助言,その他の行為であって,処分に該当しないもの)に該当し,小規模産業廃棄物処理施設の設置等の工事に着手しようとする私人の行為を法的拘束力ないし法的強制力をもって禁止するものではないから,知事が適合通知書を交付することも,。 小規模産業廃棄物処理施設を設置等する私人の行為に許可を与えるものとはいえない以上のとおり の行為を法的拘束力ないし法的強制力をもって禁止するものではないから,知事が適合通知書を交付することも,。 小規模産業廃棄物処理施設を設置等する私人の行為に許可を与えるものとはいえない以上のとおり,本件条例21条1項に基づく届出は,本件条例上,知事が諾否の応答をすべきものとされておらず,適合通知書の交付・不交付は,本件指導要綱上,小規模産業廃棄物処理施設の設置等を許可ないし不許可とするという強制力を伴う効果を生じさせるようなものではなく,直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確- 5 -定するものとはいえない。 したがって,本件条例21条1項に基づく届出及びこれに対する適合通知書の交付は,行訴法3条5項にいう「法令に基づく申請」及びこれに対する「行政庁の処分」には該当しないというべきである。 (3)そうすると,原告の本件訴えは,行訴法3条5項の定める不作為の違法確認の訴えの要件を欠き,かつ,原告は,同法37条の定める当事者適格を有しないというべきである。 結論 よって,その余の争点を検討するまでもなく,原告の本件訴えは不適法であるから却下し,訴訟費用の負担につき行訴法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 岐阜地方裁判所民事第1部裁判長裁判官筏津順子裁判官倉田慎也裁判官小林謙介
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