平成17年3月16日宣告平成13年(わ)第1512号等殺人,死体遺棄,恐喝第1723号 主文 被告人を懲役20年に処する。 未決勾留日数中600日をその刑に算入する。 押収してある柄の曲がったコンビハンマー1本を没収する。 訴訟費用は全部被告人の負担とする。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,第1 A,B,C,D,E,F,G及びHと共謀の上, 1 当時Aの夫であったI(当時34歳)を殺害しようと企て,平成12年12月30日午前2時20分ころ,千葉県白井市(当時は印旛郡a町)bc番地のdeの同人方において,被告人において,所携のコンビハンマーで眠っているIの頭部を数回殴打した上,被告人及びDにおいて,所携のタオルをIの頸部に巻いて絞め付け,よって,そのころ,同所において,同人を頸部圧迫により窒息死させて殺害し 2 同日午前3時ころ,被告人,D及びEにおいて,Iの死体を上記eの敷地内に駐車中の普通乗用自動車のトランク内に積み込み,同所から埼玉県草加市f町g番地h内プレハブ連棟式鉄板屋根付倉庫まで運搬し,同日午前4時ころ,同所において,被告人,C,D及びEにおいて,上記死体をドラム缶内に入れた上,コンクリート詰めにして隠匿し,もって,死体を遺棄し第2 C,D及びEと共謀の上,かねてB(当時28歳)に出資金として要求していた200万円の支払が滞っているとして,これとは別に同人から金員を喝取しようと企て,平成13年2月24日ころ,東京都足立区ij丁目k番l号m店内において,同人に対し,Dにおいて,包帯を巻いた左手小指を示して上記200万円の支払が遅延した責任を取って同小指を詰めたように装った上,被告人において,「200万円を払うのが遅れたから中国人マフィアが怒っている。もう300万円を3月20日までに払うことで話が 上記200万円の支払が遅延した責任を取って同小指を詰めたように装った上,被告人において,「200万円を払うのが遅れたから中国人マフィアが怒っている。もう300万円を3月20日までに払うことで話がついた。今回はDの指で収まったが,今度遅れたらそっちの命が危うくなる」などと申し向けて,別途300万円の支払を要求し,さらに,同年3月20日午後9時30分ころ,埼玉県草加市f町n番地op号室において,Cにおいて,Bに対し,「金どうすんだ。やくざなめんじゃねえ」などと怒号しながら特殊警棒で同人の体を数十回殴打し,催涙スプレーを同人の顔面に向けて噴射し,千枚通しでその左腕部等を数回突き刺すなどの暴行を加えて,引き続き上記300万円の支払を要求し,この要求に応じなければ更に同人の生命,身体にどのような危害をも加えかねない気勢を示して同人を畏怖させ,金員を喝取しようとしたが,同月29日,同人の父が警察に届け出たため,その目的を遂げず,その際,上記暴行により,Bに全治約3週間を要する両前腕・肘挫傷の傷害を負わせたものである。 (法令の適用)罰条判示第1の1の所為につき刑法60条,平成16年法律第156号による改正前の刑法199条(行為時においては上記改正前の刑法199条に,裁判時においてはその改正後の刑法199条に該当するが,これは犯罪後の法令によって刑の変更があったときに当たるから刑法6条,10条により軽い行為時法の刑による。所定刑中有期懲役刑の長期は,行為時においては上記改正前の刑法12条1項に,裁判時においてはその改正後の刑法12条1項によることになるが,同様に刑法6条,10条により軽い行為時法の刑による。)判示第1の2の所為につき刑法60条,190条判示第2の所為のうち に,裁判時においてはその改正後の刑法12条1項によることになるが,同様に刑法6条,10条により軽い行為時法の刑による。)判示第1の2の所為につき刑法60条,190条判示第2の所為のうち恐喝未遂の点につき刑法60条,250条,249条1項傷害の点につき刑法60条,上記改正前の刑法204条(行為時においては上記改正前の刑法204条に,裁判時においてはその改正後の刑法204条に該当するが,これは犯罪後の法令によって刑の変更があったときに当たるから刑法6条,10条により軽い行為時法の刑による。)科刑上一罪の処理判示第2につき刑法54条1項前段,10条(1罪として犯情の重い傷害罪について定めた懲役刑で処断)刑種の選択判示第1の1の罪につき有期懲役刑併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条,上記改正前の刑法14条(有期懲役刑の加重の限度は,行為時においては上記改正前の刑法14条に,裁判時においてはその改正後の刑法14条2項によることになるが,これは犯罪後の法令によって刑の変更があったときに当たるから刑法6条,10条により軽い行為時法の刑による。)(最も重い判示第1の1の罪の刑に法定の加重)未決勾留日数の本刑算入刑法21条没収刑法19条1項2号,2項本文(判示第1の1の犯行の用に供した物)訴訟費用の処理刑事訴訟法181条1項本文(量刑の理由)本件は,被告人が,産業廃棄物の運搬等を目的とする会社を経営していたI(当時34歳。以下「被害者」という。)の殺害を計画していた当時の同人の妻A及び同会社の従業員3名に殺し屋の手配を依頼されたAの情交相手であったBから被害者の殺害等を依頼され,上記Aら5名及び暴力団関係者であるCほか2名と順次共謀の上,被害者を殺害 ていた当時の同人の妻A及び同会社の従業員3名に殺し屋の手配を依頼されたAの情交相手であったBから被害者の殺害等を依頼され,上記Aら5名及び暴力団関係者であるCほか2名と順次共謀の上,被害者を殺害し(判示第1の1),その死体をドラム缶に入れてコンクリート詰めにして遺棄した(判示第1の2)事案及びCほか2名と共謀の上,判示第1の共犯者であるB(当時28歳)に暴行・脅迫を加えて同人から300万円を喝取しようとしたが未遂に終わり,その際同人に全治約3週間を要する傷害を負わせた事案(判示第2)から成る。 第1 殺人(判示第1の1)及び死体遺棄(判示第1の2)(以下,これらを「本件殺人等」ということがある。)の各犯行について 1 本件殺人等の犯行は,被害者の当時の妻A及び被害者の経営する会社の従業員3名(前記F,同G,同H)が,殺し屋に依頼して被害者を殺害した上その死体を遺棄することを共謀し,Aの情交相手であったBを介して同人と交友のあった暴力団関係者である被告人に報酬600万円の約束でその実行者の手配を依頼し,同依頼を受けた被告人が,知人の暴力団関係者であるCほか1名(E)と共に本件殺人等の犯行を計画し,あらかじめ,死体を隠匿しておくための倉庫を借り受けて,同所に死体をコンクリート詰めにするのに使用するドラム缶やセメント等を準備し,コンビハンマーやナイフ等の凶器のほか被害者を拘束するための手錠や被害者を眠らせるための睡眠薬等を準備する一方,Bを介して依頼者グループの首謀者であったAと連絡を取って,被害者方で被害者を殺害する手はずを整えた上,犯行当日都合により犯行に加わることができなくなったCの代わりに,急きょ知人の暴力団関係者であるDを引き入れて,被告人及びDにおいて被害者を殺害し,次いで,Eのほか途中からCも加わってその死体を遺棄したという 合により犯行に加わることができなくなったCの代わりに,急きょ知人の暴力団関係者であるDを引き入れて,被告人及びDにおいて被害者を殺害し,次いで,Eのほか途中からCも加わってその死体を遺棄したというもので,同犯行は依頼者グループ及び実行者グループの多数の者が関与して敢行した計画性の高いものである。 その犯行態様は,Aが被告人らから渡された睡眠薬を飲料に混ぜて被害者に飲ませて眠らせた後,被告人及びDにおいて,Aが錠を開けておいた玄関から被害者方に入り,被告人において,眠っている被害者の頭部を準備しておいたコンビハンマーで数回殴打し,Dにおいて,痛みで目を覚ました被害者の頸部をタオルで絞め付け,次いで被告人及びDにおいて,さらに再度Dにおいて,それぞれ同タオルで被害者の頸部を絞め付けて殺害した上,被害者の足首及び頭部にガムテープを巻き,両手に手錠を掛けて,外で待機していたEと共に被害者の死体を乗用車のトランクに入れて上記倉庫に運び込んだ後,途中で合流したCと共に,同所で同死体をドラム缶に入れてコンクリートを流し込み,コンクリート詰めにして放置したというもので,本件殺人等は,人間の尊厳を一顧だにしない誠に冷酷で残忍な犯行である。 被害者の尊い生命を奪った結果が極めて重大であることはもとより,被害者は,会社を経営する中,34歳の若さで無惨に殺害され,遺棄されるに至ったもので,その無念さはいかばかりであったかと推察される。被害者をこのようなむごい犯行によって奪われた母親ら遺族の悲嘆と被告人らに対する激しい怒りの念は察するに余りあり,極刑を望む被害者の母親の心情も十分理解できる。また,本件殺人等の犯行が地域社会に与えたであろう衝撃も軽視することはできない。 弁護人は,被害者がAや従業員らに対し常軌を逸した激しい虐待を加えていたことなどを挙げて, 親の心情も十分理解できる。また,本件殺人等の犯行が地域社会に与えたであろう衝撃も軽視することはできない。 弁護人は,被害者がAや従業員らに対し常軌を逸した激しい虐待を加えていたことなどを挙げて,被害者の落ち度が極めて大きい旨主張するが,このような事情は,そのような暴行等の被害を受けていたAや従業員らの刑責を考える上ではともかく,かかる被害を受けていたわけではなく,後記のとおり多額の報酬目当てに本件殺人等を敢行した被告人の刑責を考える上では,酌むべき事情とはいえない。 2 被告人の犯行の動機等について被告人は,平成12年10月ころ,かねてからの知人であり,被告人が計画していた携帯電話機のリース業務の準備等を契機に付き合うようになったBから人を殺してくれる人を探してくれないかと頼まれ,当初は断ったものの,殺害の対象者がBの情交相手の夫であり,妻らに暴行を加えていることなどをも聞かされつつ更に懇請されたことから,報酬を600万円としてこれを引き受けたが,殺人を引き受けてくれる者が見付からなかったことから,親しい暴力団関係者のCに相談をして,報酬の上乗せとしてBに対し被告人らが設立を計画していた会社(以下「J」という。)に500万円を出資することをも約束させた上,Cと共に,同人の仕事を手伝っていたEに手伝わせて,被害者の殺害等を被告人らにおいて実行することとしたもので,Bから懇請されたとはいえ,被告人の犯行の動機が報酬目当ての利欲的なものであったことは明らかであり,この点に酌量の余地は全くない。 弁護人は,被告人は,友人であるBから被害者の悪行やそのことによる被害者の家族らの窮状を聞き及ぶとともに,涙ながらに執ようかつ真剣に頼まれた結果,誤った男気を出して本件殺人等を引き受けてしまったもので,単なる報酬目的の犯行ではない旨主張し,被告人 そのことによる被害者の家族らの窮状を聞き及ぶとともに,涙ながらに執ようかつ真剣に頼まれた結果,誤った男気を出して本件殺人等を引き受けてしまったもので,単なる報酬目的の犯行ではない旨主張し,被告人も,被害者の子供らがかわいそうだと思ったなどと供述しているが,被告人がそれまで単なる知人にすぎなかったBと付き合うようになったのは,被告人が携帯電話機のリース業務の準備等をしていた平成12年夏ころからであり,それも親友というほどの関係ではなかったと認められ,Bからいかに涙ながらに懇請されたとはいえ,その程度の関係にとどまる者の依頼が殺人という重大な犯罪の動機になり得るとは考えにくい。まして,Aやその家族,さらには被害者の経営する会社の従業員らとは,本件殺人等の依頼まで全く関係がなかったのであって,これらの者に同情する気持ちがあったとしても,それが被告人にとって報酬を得ること以外に全く利害関係のない被害者の殺害等を引き受ける動機であったというのは明らかに不合理である。犯行の動機が多額の報酬を得ることにあったことは,Cから600万円では少ないと言われてBに報酬の増額を要求し,Jに対する出資金として500万円を支払うことを約束させたことなどからも明らかである。 3 被告人の役割等及び刑事責任について被告人は,Bから被害者を殺害してくれる者の手配を依頼されて,Cと共にEに手伝わせて被害者の殺害等を実行することを計画し,依頼者グループとの折衝及び連絡を一手に引き受け,報酬額を取り決めた上,犯行後,報酬の請求及び授受を自ら行った。犯行の準備においては,C共々,Eに指示して,被害者方周辺の下見をさせるとともに,死体を処分し隠匿しておくための倉庫を賃借させ,死体をコンクリート詰めにするためのドラム缶やセメント等を準備させる一方,自らも被害者方周辺の下見 ,Eに指示して,被害者方周辺の下見をさせるとともに,死体を処分し隠匿しておくための倉庫を賃借させ,死体をコンクリート詰めにするためのドラム缶やセメント等を準備させる一方,自らも被害者方周辺の下見をし,犯行に使用するコンビハンマー,手錠等を準備し,C及びEと殺害日時や場所,方法等を決定し,犯行直前にAにCが準備した睡眠薬を渡すなど,Cと共に被害者の殺害等の計画及び準備を主導した。また,犯行に際しては,Cが所用で間に合わないとみるや,被告人においてCが参加しないまま犯行を実行することを決断し,Dに犯行に加担することを要請し,Dと共に被害者方に入った上,被害者の頭部をコンビハンマーで殴打し,D共々タオルで頸部を絞め付けるなど殺人の実行行為の重要部分を行い,さらに,死体遺棄の犯行に関しては,被害者の手首に手錠を掛け,足首等にガムテープを巻き,Eにも手伝わせて被害者の死体を運び出し,同死体を乗用車で前記倉庫まで運ぶ一方,Bに対しAに血の付いた布団を処分させるよう指示し,死体の処分作業中は見張り役を担当した。 以上のとおり,被告人は,本件殺人等の引受けから計画,準備,実行,犯行後の報酬の授受に至るまで,終始実行者グループの中核として犯行の準備,実行等を主導し,依頼者グループから受領した殺害等の報酬500万円のうち百数十万円を取得したもので,依頼者グループの者も含めた本件殺人等の関与者全員の中でも,首謀者の一人であるということができる。 弁護人は,本件殺人等について被告人の刑責はAよりも軽いと主張するところ,Aらの依頼がなければ被告人が本件殺人等を実行することはなかったという事情はあるものの,被告人は,被告人自身には被害者を殺害すべき事情は全くないにもかかわらず,多額の報酬目当てにその殺害等を引き受けて実行したもので,本件殺人等がAらの依頼に基 ることはなかったという事情はあるものの,被告人は,被告人自身には被害者を殺害すべき事情は全くないにもかかわらず,多額の報酬目当てにその殺害等を引き受けて実行したもので,本件殺人等がAらの依頼に基づくものであることは,反面において,金のためには殺人等の重大犯罪を犯すことも辞さないという被告人のものの考え方や行動様式を示しているともいうことができ,本件殺人等はAらの依頼が契機となったものであることを量刑上重視することは相当でない。そして,Aには,被害者から少なからず暴行を受けていたという事情があったのであるから,本件殺人等に関する被告人の刑責がAより軽いとか同人と同等であるなどということはできず,本件殺人等に関する被告人の刑責は極めて重いというべきである。 第2 恐喝未遂及び傷害(判示第2。以下「本件恐喝未遂等」という。)の犯行について 1 本件恐喝未遂等の犯行は,被告人らに被害者の殺害等を依頼したBにおいて前記のとおり500万円の出資を約束したにもかかわらず,そのうち200万円の支払が遅れていたことから,Jの運営資金等を得る目的で,これに乗じて同人から更に金員を支払わせようと考えて敢行したもので,利欲的な犯行動機に酌量の余地は全くない。 その犯行態様は,Bに対し本件殺人等の実行には中国人マフィアがかかわっていると説明していたことを利用して,被告人において,Jの事業にも中国人マフィアがかかわっている旨説明した上,DにおいてBが出資金の支払を遅延したためDが中国マフィアに指を詰めさせられたように装い,被告人において中国人マフィアに支払うためと称して300万円の支払を要求し,さらに,その約1か月後,J事務所(p号室)において,主としてCにおいてBに対し判示のような激しくかつ執ような暴行,脅迫を加えて傷害を負わせた上,上記金員の支払を要 と称して300万円の支払を要求し,さらに,その約1か月後,J事務所(p号室)において,主としてCにおいてBに対し判示のような激しくかつ執ような暴行,脅迫を加えて傷害を負わせた上,上記金員の支払を要求したというもので,その後も,Dらにおいて,BをD方に宿泊させるなどした上,金融会社を回って金策に連れ回すなど,本件恐喝未遂等は,Bの弱みにつけ込んだ卑劣な犯行であるとともに,被告人らの暴力団的体質が如実に表れた極めて悪質な犯行である。 Bの父が警察に届け出たため,恐喝の点は未遂に終わったものの,Bは上記暴行により全治約3週間を要する両前腕挫傷等の傷害を負ったほか,同人が受けた肉体的苦痛や恐怖は甚大であり,結果は軽いものではない。 2 被告人は,Jの運営資金として,Bから同人が従前約束していたものに加えて更に300万円を支払わせようと考え,その旨Cの了解を取った上,自らの発案により,Dをして指を詰めさせられた演技をさせて自らBに対し金員を要求し,さらに,Bをら致した上,被告人が中国マフィアに監禁されて痛め付けられているとの筋書きの下に,Bに暴行を加えて金員を要求することを発案し,その旨Dに指示するとともに,Cにも説明して,同人らに実行させ,Bをら致してCらにおいて暴行を加えるなどした際も,その状況について電話連絡を受けていたものである。 このように,被告人は,Bから300万円を喝取すること及びその筋書きを自ら計画し,Cと連携しつつ,自ら重要な脅迫行為を行うとともに,Dらに指示するなどして,犯行を遂行したもので,本件恐喝未遂等の紛れもない首謀者である。被告人は,CらがBに暴行を加えた際は犯行の現場におらず,被告人自身は暴行を加えていないものの,もともとBをら致して痛め付ける計画であり,CがBに対し相当の暴行を加えることは十分予想していた ある。被告人は,CらがBに暴行を加えた際は犯行の現場におらず,被告人自身は暴行を加えていないものの,もともとBをら致して痛め付ける計画であり,CがBに対し相当の暴行を加えることは十分予想していたのであるから,この点をもって共犯者に比し被告人の刑責が軽いということはできない。 なお,被告人は,当公判廷において,「Bから300万円を支払わせることは,Cが言い出したことである。DがBを連れてきてぶっ飛ばしてもいいかと言うので,暴力ざたにならないようにDが指を詰めさせられたという話を考えた。DがBを連れてくることは考えてなかった」などと弁解しているが,被告人が,他方において,DはBになめられていると思って,CがBに暴行を振るうことを予想しつつ,なめられる心配のないCに来てもらい,Cから電話でBに暴行を加えていると聞いた際にもそれについて何も言わなかったなどとも供述していることのほか,前記説明に沿う証人C及び同Dの各供述並びに被告人の捜査段階における供述に照らし,被告人の上記弁解供述は信用できない。 また,弁護人は,本件恐喝未遂等の主犯はCとDとであり,被告人は従たる立場にあった旨,及び,Bは本件殺人等を依頼した者である上,法的に問題があることを知りながら出資を約束したもので,同人には相応の落ち度がある旨主張するが,本件恐喝未遂等の犯行において被告人が従たる立場にあった旨の主張が失当であることは前述したところから明らかであり,同犯行はBの弱みに付け込んで多額の金員を要求したもので,同人に落ち度があるというのは相当でない。 第3 その余の情状及び被告人の刑事責任について被告人は,本件起訴から約3年半が経過した現在においても,本件殺人等の遺族ら及びBに対し何らの慰謝の措置も採ってはおらず(被告人は,友人等から借金をして見舞金を支払うことを考え の刑事責任について被告人は,本件起訴から約3年半が経過した現在においても,本件殺人等の遺族ら及びBに対し何らの慰謝の措置も採ってはおらず(被告人は,友人等から借金をして見舞金を支払うことを考えているというが,具体性がなく,その実現は期待し難い。),以上述べた諸点に照らし,被告人の刑責は誠に重大である。 加えて,被告人が,平成12年6月30日に詐欺及び同未遂の各罪により懲役1年4月,執行猶予4年に処せられながら,同判決後わずか半年で本件殺人等の重大犯罪に及んだことをも考慮すると,被告人の規範意識の欠如は顕著である。 もっとも,本件殺人等の犯行については,同犯行は共犯者の依頼を契機とするもので,かかる依頼がなければ被告人において同犯行に及ぶことはなかったとはいえること,被告人が,公判廷で謝罪の意を表明するなどそれなりに悔悟の情を示すとともに,写経をして被害者の冥福を祈っていること,本件恐喝未遂等の犯行については,被告人自身は暴行を加えておらず,公判廷で謝罪の意を表明していることなど被告人のため酌むべき諸情状もある。 以上の諸情状及び共犯者らとの刑の均衡を総合勘案すると,被告人に対し無期懲役刑をもって臨むのはやや重きに失するというべきであるが,併合罪による刑の加重後の有期懲役刑の上限を下回るのも相当でないというべきであり,被告人に対しては,主文の刑が相当である。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑無期懲役,コンビハンマー1本の没収)平成17年3月16日千葉地方裁判所刑事第1部裁判長裁判官金谷暁裁判官堀内有子裁判官堀江明子 内有子裁判官堀江明子
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