令和5(わ)2967 詐欺

裁判年月日・裁判所
令和6年1月16日 大阪地方裁判所
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判決文本文1,557 文字)

- 1 - 主文 被告人を懲役2年に処する。 この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。 理由 【犯罪事実】起訴状記載の公訴事実と同一であるからこれを引用する。(起訴状の添付省略)【法令の適用】罰条第1、第2、第3の所為各包括して刑法246条1項併合罪の処理刑法45条前段、47条本文、10条(犯情の最も重い第3の詐欺罪の刑に法定の加重)刑の全部執行猶予刑法25条1項【量刑の理由】A株式会社B支店の次長・リーダーの地位にあり、営業担当をしていた被告人が、静岡県掛川市及び焼津市からワクチン接種事業に係るコールセンター等業務を受注した際に、コールセンターに派遣した作業従事者の人数を水増しするなどの方法により両市に対して業務委託費を過大に請求し、掛川市から合計1 億704万4969円(うち水増し・架空分2262万2160円)を、焼津市から合計1億1718万635円(うち水増し分3018万9500円)を、それぞれ詐取したという詐欺事案である。 詐取金額は非常に高額であり、水増し・架空請求した分に限ってみても合計5281万1660円に上っており、結果は重大というほかない。 もっとも、詐取に至る経緯・動機や詐取金の帰属先についてみると、被告人は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い旅行の需要が減り、会社の業績が悪化している中、自らの営業により受注できたワクチン接種事業に係るコールセンター業務につき市や再委託先業者と折衝等を重ねる過程で、市側が当初要求していたとおりの人数の作業従事者を派遣したり多言語対応をしたりせずともコールセンターの応答に支障は生じないなどと考える一方、これを機に派遣人数を水増しするなど- 2 -の方法で過 市側が当初要求していたとおりの人数の作業従事者を派遣したり多言語対応をしたりせずともコールセンターの応答に支障は生じないなどと考える一方、これを機に派遣人数を水増しするなど- 2 -の方法で過大請求を行えば、会社の収益が上がり、危機的状況にある会社に貢献し得るなどと考え、各犯行に及んだと認められる。公的資金を詐取するという事の重大さに思いを致すことなく犯行に及んだ被告人の判断は、安易というほかないが、一次的には会社の売上増を目的とした犯行であって、だまし取った現金を自らに帰属させる詐欺事案とは異なるし、高い計画性を認め得る事案ともいい難い。A社内で過大請求等を是正し得るようなチェック機能が働いていなかったことも、巨額の被害を発生させた要因の一つと言い得る。 また、犯行後の事情とはいえ、Aと掛川市及び焼津市との間では、本件過大請求に係るA側の不当利得金について、遅延損害金を含めて市側に返還することを合意する旨の和解契約がそれぞれ締結されており、同契約に基づく被害弁償も実施済みであり、両市の財産的被害は既に回復済みと認められる。この点は財産犯である本件につき、被告人の刑事責任を大幅に軽減する事情といえる。 以上の事情のほか、被告人が各犯行を認めて反省の態度を示していることや、自業自得とはいえ、本件を機に懲戒解雇されて退職金も得られなくなるなど一定の社会的制裁を受けていることも踏まえると、前科前歴がなく、現時点で再犯可能性が高いとは認められない被告人につき、実刑を選択することは酷といえる。そこで、被告人に対しては、主文のとおりの刑に処した上で、その執行を全部猶予し、社会内で更生する機会を与えることとした。 (求刑―懲役2年)令和6年1月16日 大阪地方裁判所第9刑事部 裁判官矢野直 その執行を全部猶予し、社会内で更生する機会を与えることとした。(求刑―懲役2年)令和6年1月16日 大阪地方裁判所第9刑事部 裁判官矢野直邦

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