昭和46(行コ)8 電気ガス税賦課決定取消請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
昭和50年1月22日 仙台高等裁判所 租税
ファイル
hanrei-pdf-18004.txt
🤖 AI生成要約2026/3/13

【DRY-RUN】○ 主文 原判決を取り消す。 被控訴人の請求を棄却する。 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。 ○ 事実 控訴人指定代理人は主文と同旨の判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求 めた。

タグ

キーワード(AI生成)

判決文本文49,192 文字)

○ 主文原判決を取り消す。 被控訴人の請求を棄却する。 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。 ○ 事実控訴人指定代理人は主文と同旨の判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。 当事者双方の主張及び証拠の関係は、次に付加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。 (控訴人の主張)一、被控訴人がその山形工場において製造していた金属マンガン(電解法によるもの、以下同じ。)は、次に掲げる理由により、地方税法(昭和四〇年三月三一日法律第三五号による改正前のもの、以下特に断らない限り同じ。)四八九条一項二号に定める電気ガス税の非課税品目たる「合金鉄」に該当しないものと解すべきであり、したがつて控訴人が昭和四二年四月一四日被控訴人に対して、金属マンガンを製造するために使用する電気についての電気ガス税として、昭和三九年度分金七〇一万九一六九円、昭和四〇年度分金一九八万四一六七円の合計金九〇〇万三三三六円を賦課することとした決定(以下、本件賦課決定という。)には、非課税品目について課税したとの違法は存しない。すなわち、 1 税法上の法律用語の意味内容は、その税法に解釈規定があればもちろんそれによるが、それがない場合には、まず当該法律自体(改正経過をもあわせて)から矛盾のないように解釈すべきである。そして、その解釈のための資料として、同一税法体系における他の税法の定義、社会常識上の意味、立法の目的などが考慮されるものである。 地方税法四八九条一項二号の一合金鉄」に関する規定が合金鉄の製造を問題としていることは原判決の判示のとおりであるが、それだからといつて原判決にいう工業上の取扱いのみを問題とすればよい、というものではない。 2 一般常識上、金属マンガン合金鉄に含まれていない。 一般に、「合金」とは一種の金属元素と一種又 りであるが、それだからといつて原判決にいう工業上の取扱いのみを問題とすればよい、というものではない。 2 一般常識上、金属マンガン合金鉄に含まれていない。 一般に、「合金」とは一種の金属元素と一種又はそれ以上の金属元素又は非金属元素の共融体の総称であり、各金属元素は化合せず、物理的に結合させるものであつて、実際には二種類以上の金属を含むものが圧倒的に多いとされている。これに対し、金属マンガンは一般常識上も「単一金属元素」であつて、「合金」ではない。 控訴人は、原審で「金属学上」金属マンガンは合金鉄ではないと主張したが、これを「一般常識上」金属マンガンは合金鉄ではないと改める。 なお、合金と不純物との違いは、他の元素の入ることが望ましいと考えられるか、ない方がよいと考えられるかという点にあるので、他の元素の含有量の多寡とは必ずしも関係がない。すなわち、意図して他の元素を加える場合が合金であり、金属を精錬するときの技術上の問題で入つてしまう元素で、害の程度が許容できる量以下に制限して存在を認められるものが不純物元素である。 3 地方税法自体の解釈からすると、金属マンガンは同法四八九条一項二号にいう「合金鉄」に含まれないことが明らかである。 (一) 地方税法四八九条一項二号に掲記されている製品中、「合金鉄」を除いた他の製品に共通の金属元素は鉄であり、また同項一号の製品に共通の金属元素は炭素、三号のそれは金、四号のそれは銅、五号のそれは鉛、六号のそれは錫、七号のそれは亜鉛である。このことから右の一号から七号までの各号が単一元素ごとにまとめて規定したものであると考えられるから、二号掲記の「合金鉄」はあくまでも鉄という金属元素に他の金属元素あるいは非金属元素を混合融和したものと考えるべきであつて、鉄元素とは性質の異なる非鉄金属である金属マンガンが右「合金 と考えられるから、二号掲記の「合金鉄」はあくまでも鉄という金属元素に他の金属元素あるいは非金属元素を混合融和したものと考えるべきであつて、鉄元素とは性質の異なる非鉄金属である金属マンガンが右「合金鉄」に含まれるものと解すべきではない。 なお、鉄とマンガンが全く性質を異にする別個の金属元素であることは、元素周期律表に照らして明らかであり、金属マンガンはマンガンの純度の非常に高い金属をいうものである。 したがつて、仮に金属マンガンが地方税法四八九条一項中に掲記されるとすれば、同項二号とは別の号に規定されるべきこととなる。 (二) 地方税法四八九条一項二号に規定された各製品の製造工程を概観すると、次のとおりである。すなわち、鉄鋼石又は砂鉄は、これを原料としてコークス、石灰石と共に溶鉱炉で還元熔融することにより、製鋼用銑、鋳物用銑、特殊銑といつた、一種の鉄の合金である銑鉄が製造される。鋳物用銑を電気炉等で精錬し、熱処理することにより可鍛鋳鉄が得られる。製鋼用銑及び特殊銑を原料とし、これに屑鉄、合金鉄を加えて平炉、転炉、電気炉で精錬することにより鋼塊が造られるが、これは圧延鋼材、鋳鍛鋼の原料となる。その製品はさらに二次加工される。純鉄(乾式)は、炭素その他の元素の含有量の極めて少ない純度の高い鉄であつて、特殊銑に合金鉄を加え密閉型電気炉で二次精錬して造られる。電解鉄(湿式)は鉄鋼を薬品で溶かして硫酸鉄や塩酸鉄にし、その他の塩化物の混合液にしたうえ電解して造られる。また、合金鉄は鉱石と鉄源をコークス、石灰石と共に電気炉に投入し精錬して造られるものであつて、右のように製鋼に使用される。合金鉄の製造方法には工業技術的には電気炉法以外の方法もあるが、現実に行われている製造方法はほとんど電気炉法である。 右のような製造工程に照らすと、地方税法四八九条一項二 右のように製鋼に使用される。合金鉄の製造方法には工業技術的には電気炉法以外の方法もあるが、現実に行われている製造方法はほとんど電気炉法である。 右のような製造工程に照らすと、地方税法四八九条一項二号は、鉄、鋼材の一連の製造工程における製品名を規定したものであることがわかる。 また、純度の高い鉄であることにおいて異なるところのない純鉄と電解鉄について、同号が「練鉄及び電解鉄」と掲記したのは、製造方法の異なる両者を非課税製品として掲げることにより、非課税対象を一義的に明確にし、疑義を残さないようにしたものと考えられる。 右のような規定の仕方からすれば、地方税法はその四八九条一項二号で、鉄鋼材の製造工程に着目して、非課税に値する製品を一義的に明確に規定したものと考えられる(日本工業規格では定められていない鋼塊が本号に規定されていることからも、このことが肯定されよう。)。 ところで、本件の電解金属マンガンの製造工程は基本的には右電解鉄と同じであつて、精製した硫酸マンガンの硫酸酸性溶液に硫酸アンモニウムを加え、鉛合金を電極として陰性にマンガンを折出させるものである。これに対し、合金鉄は既述のとおり一般的には電気炉法によつて製造されるのであつて、電解法によつて製造されることはない。製造方法において、電解金属マンガンとは全く異なつている。したがつて、既述のような規定の仕方からすれば、本号の「合金鉄」に金属マンガンを含めることはできないのである。この点においても、金属マンガンを非課税製品とするためには、本号とは別の号「電解金属マンガン」あるいは「金属マンガン(電解法によるものに限る)」として規定されるべきである。 (三) 昭和二五年度制定の地方税法四八九条一項に定められている非課税品目(三五品目)の配列は、おおむね昭和二三年度の価格調整補給金の配列、すな 解法によるものに限る)」として規定されるべきである。 (三) 昭和二五年度制定の地方税法四八九条一項に定められている非課税品目(三五品目)の配列は、おおむね昭和二三年度の価格調整補給金の配列、すなわち「1石炭、2鉄鋼、3非鉄金属、4ソーダー、5肥料」の順によつているものと考えられる。それは、右制定当時価格調整補給金が交付されている品目について電気ガス税を賦課することは問題であるとされたことに基因して非課税品目が決められるに至つたことから、両者は強い関連をもつものであつたからである。ところが、金属マンガンが非鉄金属であることは明らかであるから、これが非課税品目であるとすれば、右価格調整補給金の配列順序に対応して地方税法四八九条一項三号以下の非鉄金属のところに掲記されるべきである。 この点からしても、金属マンガンが同項二号の合金鉄に含まれるとする被控訴人の主張は失当である。 4 地方税法四八九条の改正の経過の点からみても、同法の「合金鉄」は金属マンガンを含まないものと解すべきである。 この点に関し、原判決は、昭和二五年法律第二二六号をもつて制定された地方税法第四八九条一項二号の「合金鉄」は金属マンガンを含み、昭和四〇年法律第三五号による同法の改正により、それ以後はじめて金属マンガンが右「合金鉄」に包含されないこととなつたとの解釈も可能である旨判示しているが、法律解釈の常識上不可解なものといわざるを得ない。いわゆる永久非課税扱いと三年間の限定非課税扱いとの関係については、昭和三七年一月通産省企業局長と自治省税務局長との間で取り交わされた「電気ガス税に関する覚書」のなかで、「新規重要産業にかかる品目については、三年間の指定期間を経過した場合において、当該品目が重要基幹産業であると認められるときは、期限を付さず、引き続き非課税とする。」と定めら 関する覚書」のなかで、「新規重要産業にかかる品目については、三年間の指定期間を経過した場合において、当該品目が重要基幹産業であると認められるときは、期限を付さず、引き続き非課税とする。」と定められている。かように、三年間の限定非課税扱いは永久非課税扱いをする前の段階的な扱いであつて、原判決の右判示の如く永久非課税品目を三年間の退定非課税品目に変更するようなことは、考えられないことである。 また、右法改正にあたつては、自治省、通産省のみならず、法制局も関与して、前後に矛盾のないよう十分検討のうえ、行われたものである。原判示のごとく、改正前の「合金鉄」は金属マンガンを含み、改正後の「合金鉄」は金属マンガンを含まないというように、同一用語に何ら手を加えることなく異なつた意味をもたせるような改正は、まさに筋が通らず、拙劣極まりない改正といわざるを得ず、専門家による法改正としては、全く考えられないことである。以上により、右改正前の「合金鉄」に金属マンガンが含まれていなかつたことは、右改正の経緯に照らし明白といわざるを得ない。 5 日本鉱業協会から通産省に対し、また同省から自治省に対し、それぞれ金属マンガンの非課税立法の要望がなされたこと、さらに同協会発行の雑誌「鉱山」に鉱業界の要望により非課税とされたとする記事が掲載されていることについて、原判決は、右要望等が金属マンガンについての実態の調査をせず、現実にも課税されているとの誤認に基づき、金属マンガンを製造している被控訴会社外一社との無関係になされたものであると推定し、金属マンガンの製造に使用する電気が電気ガス税の課税対象であつたと確認する資料とはなし難い旨判示している。 しかし、現実に課税されているか否かと法解釈上課税の対象とされるかどうかとは、おのずから別個に考えられるべきものであつて、むしろ 気ガス税の課税対象であつたと確認する資料とはなし難い旨判示している。 しかし、現実に課税されているか否かと法解釈上課税の対象とされるかどうかとは、おのずから別個に考えられるべきものであつて、むしろ鉱業界でも課税されているものと考えていたくらいであるから、法解釈上金属マンガンの製造に使用する電気が課税対象とされることには問題がなかつたといえるのである。 のみならず、非課税の要望は、決して一企業の問題としてのみなされるものではなく、生産コストの問題として、生産会社と無関係になされることもあるのであり、また製品が生産量の増加によつて試作品の段階から課税の対象物品にとりあげられてくることもあり、それまでに課税されなかつたからといつて、当然に非課税品目であつたということはできない。そこで、日本鉱業協会としても、当然輸出が廷びてきた金属マンガンに課税されることによりそれだけ生産コストが高くなることを避けるため、生産量の増加に伴い、一般的に課税の対象と考えられるに至つた時点で、その除外を求めて前記の要望をしたものと考えられ、この点においても原判決の右判示は正当でない。 6 日本工業規格において金属マンガンが「フエロアロイ」に含まれているからといつて、金属マンガンが地方税法四八九条一項二号の「合金鉄」に含まれると解することはできない。 (一) 通産大臣が工業標準化法に基づき日本工業規格を定め、そのなかで現行のようなフエロアロイの規格を定めたのは昭和二五年七月二八日であり、同大臣は同年同月三一日法律第二二六号により地方税法が制定されるにあたつても電気ガス税に関して関与しているのである。このことを考えれば、同一物を一方では「フエロアロイ」、他方では「合金鉄」というように異なつた名称で表現することはあり得ない。 (二) 日本工業規格は、電気ガス税に関する立法 て関与しているのである。このことを考えれば、同一物を一方では「フエロアロイ」、他方では「合金鉄」というように異なつた名称で表現することはあり得ない。 (二) 日本工業規格は、電気ガス税に関する立法上の非課税措置と無関係に、別個の立場からなされたものである。すなわち、(1) 日本工業規格により工業標準を制定する目的は、鉱工業品の品質、試験方法、などを全国的に統一することにより、生産能率の増進、その他生産の合理化、取引の単純公正化、使用及び消費の合理化を図ることにある。電気ガス税の非課税措置がこのような目的を有していないことはいうまでもない。 日本工業規格の制定手続は、関係学会、工業会、日本規格協会等の民間団体の作成した原案が、日本工業標準調査会の専門委員会で審議され、そこで決議されたものが部門ごとの部会の審議に付され、さらに標準会議、調整委員会等を経てはじめて制定の手続がとられることになつている。これに対し、電気ガス税の非課税措置は、電気ガスの消費量等からの生産コスト等への影響についての関係業界の非課税要望に基づき、金属マンガンであれば通産省鉱山局鉱業課がこれを検討し、同省企業局第二課の審議を経て、自治省税務局において立法手続がすすめられる。 このように、全く異なつた目的のもとに異なつた機関及び手続を経て行われる日本工業規格の制定と、電気ガス税の非課税措置との間には相互に関連性がない。したがつて、その間に用語の使用概念内容について統一性がみられないのは当然である。 (2) 金属マンガン、金属ケイ素、金属クロム等(以下本項において金属マンガン等という。)は、昭和二一年一二月はじめ日本規格として「フエロアロイ」のなかに制定され、これが日本工業規格に引き継がれたものであるが、金属学上はもちろん一般常識上においても非鉄金属である金属マンガン等が「 う。)は、昭和二一年一二月はじめ日本規格として「フエロアロイ」のなかに制定され、これが日本工業規格に引き継がれたものであるが、金属学上はもちろん一般常識上においても非鉄金属である金属マンガン等が「フエロアロイ」に含まれるに至つた理由は、金属マンガン等の用途、生産者等が金属マンガン等を除いたフエロアロイのそれとおおむね同一であつて、同じ部局がこれを所掌していたことによる。もつとも、このように金属マンガン等を「フエロアロイ」に含めるに至つたのは、単に右のような偶然の事情ばかりではなく、日本工業規格の前記目的に添うものであることによる。 以上のことは、非鉄金属である金属マンガン等が合金鉄と訳されるフエロアロイのなかに含まれているのは、日本工業規格においてのみであることを意味している。 電気ガス税の非課税措置において、右のような理由から金属マンガンが「合金鉄」に含められることはない。仮に含まれるというのであれば、地方税法四八九条一項二号においても「合金鉄」なる用語ではなく、「フエロアロイ」なる用語を使用すべきである。端的にいえば、「フエロアロイ」なる用語は、直訳すると合金鉄ということになるが、その実は非鉄金属である金属マンガン等を含めたところの独立の用語であつて、それが即本来の合金鉄を意味するものではないのである。ちなみに、日本工業規格では合金鉄なる用語は全く使用されていないが、それは日本工業規格制定の目的からして、本来の意味の合金鉄で分類することは適当でなく、本来の意味における合金鉄に金属マンガン等を含めたものとしての「フエロアロイ」で分類することが適当であるとの考慮に基づくものである。 (三) 課税は、国税であれ、地方税であれ、法の認めたものとはいえ、私有財産権の保障に対する例外であり、非課税要件規定はその例外の例外ということになる。したが 適当であるとの考慮に基づくものである。 (三) 課税は、国税であれ、地方税であれ、法の認めたものとはいえ、私有財産権の保障に対する例外であり、非課税要件規定はその例外の例外ということになる。したがつて、非課税要件規定は、租税の公平な負担という面から課税要件規定より狭義な、より厳格な解釈適用が要請されるのであつて、電気ガス税の非課税措置について、税法外の規格、概念、分類に基づいて非課税とすることは厳に戒しめなければならない。ことに、地方税法の非課税が日本工業規格によつて決められるとするならば、ある品目が工業上の分類により日本工業規格に新たに規定されたり、削除されたりすることに伴い、地方税法の改正が行われることもなく、非課税とされたり、課税とされたりすることとなるのであつて、これが相当でないことは明白であろう。 二、本件賦課決定は、いわゆる禁反言の法理ないし信義則に反しない。 1 税法上禁反言ないし信義則を適用するにあたつては、(1)課税庁が相手方である納税者に何らかの明示の行動をしていること、(2)納税者が課税庁の行動を信頼し、それによりはじめて誤信するに至つたこと、(3)納税者が右誤信の故に特段の行為に及んだこと、(4)禁反言の適用を認めると違法な結果を生ずる場合にその適用が阻却されることといつた要件を慎重に検討すべきものである。 換言すると、禁反言の法理とか信義則の法理は、元来私人相互間の私経済取引の安全、迅速の保護を目的として発達してきたものであるから、租税法律主義、租税負担の公平の要請の強い租税の賦課、徴収の分野においては、右法理がそのままの形で適用されるものではなく、これらの要請を加味して、租税体系全体の上に立つて制限的に適用されるべきである。 これは本件についてみるに、控訴人と被控訴人との間において、電気ガス税の課税、非課税につ 形で適用されるものではなく、これらの要請を加味して、租税体系全体の上に立つて制限的に適用されるべきである。 これは本件についてみるに、控訴人と被控訴人との間において、電気ガス税の課税、非課税についての約束とか、それについての何らかの表示がなされたということはないし、被控訴人としてもかかる約束や表示を信頼して特別な行為をして新たな法律関係を作り出したこともなく、したがつて本件課税により信頼を破られ、不利益を受けるということもない。すなわち、本件は単に課税しなかつたという事実状態が継続して存在したにとどまり、このような事実関係においては、禁反言とか、信義則が適用される余地はない。 2 しかも、被控訴人の非課税申告は、「フエロアロイ」、「合金鉄」、「電解鉄関係」等の製品についてのものであつて、「金属マンガン」を表示して申告したものではない。このような状態のもとでは、原判示のような「合金鉄は金属マンガンを含むとする一種の法的状態を作出した」とか、被控訴人に対し「同旨の内容の信頼を付与した」ものということはできない。 3 原判決は、本件賦課決定が「合理的な理由も存せず、慎重な配慮に欠けている」と判示している。しかし、賦課しないことが違法であるということが判明すれば、控訴人としては一日も早くこれを改め賦課の措置をとるのが、公益の要求として租税の目的に合致するものであつて、そこにはその欠缺によつて賦課が違法となるような特別な合理的理由を要しないものというべきである。 (被控訴人の主張)一、金属マンガンは、原判決の判示のように、地方税法四八九条一項二号にいう「合金鉄」に含まれるものと解すべきであつて、この点に関する控訴人の前記一の主張はすべて失当である。 1 (控訴人の前記一の1の主張について)本件は右法条にいう「合金鉄」に金属マンガンが含まれるか否 「合金鉄」に含まれるものと解すべきであつて、この点に関する控訴人の前記一の主張はすべて失当である。 1 (控訴人の前記一の1の主張について)本件は右法条にいう「合金鉄」に金属マンガンが含まれるか否かの争いであるから、租税法の解釈に関する問題である。およそ租税法の解釈というものは、その法の目的を的確につかみ、いたずらに法条に捕われることなく、経済的実質的意義を考え、諸事情の発展を考慮し、しかも国民の通念に反しないように、租税法の目的に即して合目的になされるべきものである。これに対し、控訴人の主張は、法条の文言に捕われ、あるいは合目的的解釈を拒否し、前記の租税法の解釈基準に添わないものである。 地方税法四八九条は重要産業にかかる製品の生産コストの低減を図ることを趣旨として、産業政策的立法であり、その立法の趣旨、目的からして、同条一項二号の「合金鉄」は原判決の判示のように工業上合金鉄として取り扱われるものをいうものと解すべきである。 2 (控訴人の前記一の2の主張について)控訴人のいう金属学上の意味であろうと、常識上のそれであろうと、いずれも当を得ない。地方税法四八九条一項二号は前記のとおり産業政策的立法であり、合金鉄の製造を問題としているのであるから、右法条の解釈に学術上ないし金属学上の分類を導入することは無意味である。まだ、法文の用語の解釈は常識をもつて律しられないものが多く、さればこそ、この点につき数知れない判例があり、通牒、通達が存するのであつて、税法とてもその例外ではない。金属マンガンが「1常識上」合金鉄ではないとの根拠は何ら存在しない。 控訴人は「合金」の定義についてうんぬんするが、本件は「合金鉄」の問題であつて、「合金」の問題ではない。控訴人が書証として提出した鉄鋼辞典(乙第二三号証の一、二、甲第一七号証)や工業大事典(乙第二 控訴人は「合金」の定義についてうんぬんするが、本件は「合金鉄」の問題であつて、「合金」の問題ではない。控訴人が書証として提出した鉄鋼辞典(乙第二三号証の一、二、甲第一七号証)や工業大事典(乙第二六号証)では、金属マンガンや金属ケイ素がフエロアロイ(合金鉄)に含めて説明されていることからしても、「合金」の定義は「合金鉄」の意義を決めるうえで、何ら参考とならないことが明らかである。地方税法上の「合金鉄」が「合金」でなければならないということは、同法の文言上も、またその制定の趣旨のどこからも出て来ないことである。 控訴人は「合金」と「不純物」との相違について述べているが、この点も本件とは関係がない。 3 控訴人の前記一の3の主張もすべて理由がない。 (一) (控訴人の前記一の3の主張について)地方税法四八九条一項の規定は、非課税品目を単一元素ごとにまとめて規定したものではない。 確かに、本項の一号から七号まで(問題の二号は別として)は、結果として、各号とも共通の元素がある。ところが、控訴人が挙げた七号のすぐ次の同号の二以下の各号には、共通の元素のないものが多数ある。例えば、七号の二、八号、一三号、一六号、一七号がそれである。都合のよい号だけを挙げ、都合の悪い号に全く触れない控訴人の主張は失当である。 むしろ、本項は、産業政策的立法であることからして、当然のことながら、同種又は関連産業ごとにまとめて規定したものである。例えば、三号から七号まで、及び九号の三は金、鋼等それぞれの鉱石の堀採業とその製錬業であり、七号の二は七号までを除く他の鉱物の堀採業、二三号は合成せんい産業である。その他の号も一産業だけの場合以外は、同様に産業による分類である。問題の二号も、鉄鋼原料(鉄鉱と砂鉄)の堀採から圧延等に至る一連の鉄鋼原料と鉄鋼の産業であり、「合金鉄」は 号は合成せんい産業である。その他の号も一産業だけの場合以外は、同様に産業による分類である。問題の二号も、鉄鋼原料(鉄鉱と砂鉄)の堀採から圧延等に至る一連の鉄鋼原料と鉄鋼の産業であり、「合金鉄」は製鋼のための重要な原料の製造業として位置している。かように、本項が同種又は関連産業を基準とした分類によつて非課税品目を掲記したものであるところから、例えば一号、三号から五号まで、七号等においては、各号ごとに結果としてたまたま共通の元素があることになつたというだけのことである。 条文上「単一元素ごとにまとめて規定」されたものでないことは、次の点からも明らかである。すなわち、控訴人の主張によれば、一号は炭素でまとめてあるということであるが、一〇号掲記の各品目も炭素が共通の元素である。単一元素ごとにまとめて規定するというのなら、一号と一〇号は一括されなければならない。それが別号であるのは、別個の産業にかかるものだからである。このほかにも、化学的に炭素を含む品目は、石油化学製品など多数ある。同様に、カルシウムは七号の二、一三号、一四号に、ナトリウムは一一号、一二号、二二号にそれぞれ分けて規定されている。また、複数の元素から成る品目も多いが、それらを元素ごとにまとめて規定するとするならば、複数の号に入つてしまうことになる。 これを法改正の沿革の点からみると、昭和二三年制定の地方税法では各号が一品目ずつになつており、昭和二五年制定の地方税法でも一号から一六号までのうち大部分、すなわち一号、四号から八号まで、一〇号、一一号、一三号、一四号は一号一品ずつである。したがつて、単一元素ごとにまとめるという観念を容れる余地すらない。かえつて、昭和二五年制定の地方税法でも、すでに産業別分類によるものが規定されている。人造肥料産業に関する一二号のほか、一五号、一六号がそれ て、単一元素ごとにまとめるという観念を容れる余地すらない。かえつて、昭和二五年制定の地方税法でも、すでに産業別分類によるものが規定されている。人造肥料産業に関する一二号のほか、一五号、一六号がそれである。また、現行地方税法を昭和二五年制定のものと対比すると、一号の石炭に亜炭が加わり、四号から七号までは金属の製錬業のみであつたのが、錫を除き、それぞれの鉱石の堀採業が追加されていることが明らかである。これらの法改正の沿革の点からしても、条文上「単一元素ごとにまとめて規定」されたものではなく、産業別分類によるものであることが明らかである。鉄とマンガンが別個の金属元素であることが元素周期律表により明らかであるとの点は、控訴人の主張のとおりであるが、このようなことは本件とは何の関係もない。 (二) (控訴人の前記一の3の(二)の主張について)(1) 控訴人は、鉄鋼製造工程の説明において、合金鉄を製鋼原料として説明している。ところが、この製鋼用に使用される原料こそ、まさしく「フエロアロイ」と称されているのであつて、控訴人の前記説明における合金鉄は、その製造方法や成分とは関係なく、製鋼工程において脱酸、脱硫、合金成分添加の目的で使用されるフ工ロアロイ(合金鉄)を意味している。他方、金属マンガンが製鋼原料として他のフエ口アロイと同一用途に使用されることは、控訴人も争つていない。そうすると、製鋼工程に関する控訴人の前記説明においては、その主張の「合金鉄」を製造方法や成分を限定せず、金属マンガンを含めた「フエロアロイ(合金鉄)」と置き換えるのが矛盾のない説明となるのであり、かように訂正された後の控訴人の前記説明はむしろ被控訴人の従来の主張の正しいことを明白ならしめるものである。 (2) 控訴人は製造方法の相違を理由として金属マンガンは地方税法にいう「合金 るのであり、かように訂正された後の控訴人の前記説明はむしろ被控訴人の従来の主張の正しいことを明白ならしめるものである。 (2) 控訴人は製造方法の相違を理由として金属マンガンは地方税法にいう「合金鉄」でないと主張するが、右主張は誤りである。 合金鉄の製造方法は電気炉法に限られるものではなく、その品種によつては高炉法、テルミツト法、電解法、転炉法がある、電気炉法以外の製造方法によるものであつても、「鉄に鉄以外の金属又は非金属元素を髭合融和させたもの」であれば、地方税法にいう「合金鉄」であることを、控訴人といえども否定し得ない筈である。例えば、テルミツト法はアルミニウム又はシリコンなどの酸化反応による高熱で金属を還元する方法であつて、電気炉を使わないが、この方法で製造されるものに、フエロバナジウム、フエロモリブデン等がある。これらの製品は、いずれも日本工業規格によるとその成分たる鉄が不純物ではないことからして、控訴人のいう「鉄に鉄以外の元素を混合融和させたもの」に該当し、また関税定率法や日本標準商品分類によつてフエロアロイに含まれるから、控訴人の主張によつても地方税法の「合金鉄」であるということになる。 法律解釈の原則からしても、地方税法の「合金鉄」は製造方法を問わない趣旨である。同法四八九条一項において、製造方法を限定する場合には、例えば八号、九号の四、一五号の二、一六号、一七号、二二号にみられるように、括弧してその旨を明記している。かような場合、反対解釈として法文で製造方法を限定していない品目は製造方法を問わない趣旨であると解釈するのが、法律解釈の原則である。仮に地方税法の「合金鉄」が製造方法を限定する趣旨であるならば、右例示の場合のようにその旨明記されるはずである。控訴人も、製鋼工程の説明において、鋼塊の製造方法には平炉、転炉、電気炉 の原則である。仮に地方税法の「合金鉄」が製造方法を限定する趣旨であるならば、右例示の場合のようにその旨明記されるはずである。控訴人も、製鋼工程の説明において、鋼塊の製造方法には平炉、転炉、電気炉の三種がある旨述べており、「合金鉄」と同じ二号の「鋼塊」が製造方法を問わないことを認めている。 金属マンガンは以前は電気炉により製造されていた。したがつて、控訴人のいうように製造方法の相違を決定的な理由とするならば、金属マンガンは電気炉法によつていた時は地方税法の「合金鉄」であり、電解法が用いられるようになつてからはそうでないという不可解な結果となる。 (三) (控訴人の前記一の3の(三)の主張について)(1) 地方税法四八九条一項の非課税品目の配列は価格調整補給金のそれによつていない。 控訴人が引用する昭和二三年度以外の年度の価格調整補給金の配列をもあわせて検討すると、右の非課税品目の配列と価格調整補給金のそれとは関係がないことが明らかとなる。控訴人は右補給金につき昭和二三年度の分だけを引用しているが、地方税法は昭和二五年の立法であるから、もし右補給金と対比するなら、昭和二五年度の分をまず検討し、次いで昭和二四、二三年度等を検討すべきである。昭和二五年度分の右補給金の配列は石炭、鉄、ソーダ、昭和二四年度分のそれは石炭、鉄鋼、銅、肥料、ソーダ、昭和二三年度分のそれは石炭、鉄鋼、非鉄金属、ソーダ、肥料、昭和二二年度分のそれは石炭、鉄鋼、非鉄金属、肥料、ソーダとなつている。してみると、昭和二五年度分は三種だけで地方税法四八九条一項と比較すらできないし、肥料とソーダは昭和二二年度から昭和二四年度まで毎年順序が逆になつているし、また控訴人が重視する非鉄金属は昭和二四年度では消えて銅が入つていることがわかる。かように品目も順序も不確定な右補給金の配列を地 とソーダは昭和二二年度から昭和二四年度まで毎年順序が逆になつているし、また控訴人が重視する非鉄金属は昭和二四年度では消えて銅が入つていることがわかる。かように品目も順序も不確定な右補給金の配列を地方税法四八九条一項の解釈の根拠とすることはできない。 また、昭和二五年立法当時の地方税法四八九条一項の品目のうち、九号の人造電極、電刷子、黒鉛粉末、一一号の電気製塩、一三号から一六号までの品目は、いずれも昭和二一年から同二五年までの右補給金の対象としては一度も掲げられていない。さらに、右補給金が「-鋼」などと一括して表現されているのに対し、右条項は「銑鉄」「合金鉄」などと具体的に表現されているという相違もある。これほど、両者は相違しているのに、右条項の品目が右補給金の配列によつているとは到底いえない。 強いてこれに対比するなら、昭和二五年立法当時の右条項の品目はむしろ昭和二三年立法の地方税法の非課税品目に類似していることを注目すべきである。前者の品目は後者のそれに追加して業種等で整理したものとみるのが事実に則している。 (2) 右のような配列のいかんと金属マンガンが地方税法の「合金鉄」に含まれるかどうかということは、全く無関係である。 金属マンガンが右の「合金鉄」に入るかどうかは、昭和二六、七年ころの金属マンガンの製造開始と共に生じた問題であつて、その時から金属マンガンが地方税法四八九条一項二号の「合金鉄」に入れば、他の号に掲記する必要はないし、右「合金鉄」に入らなければ、他に掲記されない限り非課税ではないというに過ぎない。 4 控訴人の前記一の4の主張も理由がない。 昭和四〇年の地方税法の改正が金属マンガンに関する限り不要な改正であつたことは、従前主張のとおりである。しかし、改正後の法条が当然無効であるといえない以上、一般規定、特別規定の原則から 理由がない。 昭和四〇年の地方税法の改正が金属マンガンに関する限り不要な改正であつたことは、従前主張のとおりである。しかし、改正後の法条が当然無効であるといえない以上、一般規定、特別規定の原則から、右改正後の「合金鉄」が金属マンガンを含まないのは当然のことである。したがつて、被控訴人の主張のように右改正前の「合金鉄」には金属マンガンが含まれると判断すれば、金属マンガンを別掲した右法改正により論理必然的に右改正後の「合金鉄」は金属マンガンを含まなくなるのである。原判決は、右の当然の事理を述べているのであつて、控訴人がいうような「永久非課税品目を限定非課税品目に変更する」等ということは判示していない。 なお、控訴人は、限定非課税扱いは永久非課税扱いとする前の段階的な扱いである旨述べているが、控訴人主張の覚書によれば、重要基幹産業にかかる製品は最初から永久非課税扱いにするということになつているし、また実際の立法上の扱いは、右覚書どおりでも、控訴人主張どおりでもなく、判然しない。 控訴人は、昭和四〇年の地方税法の改正について、これが自治省、通産省のみならず法制局も関与し矛盾のないよう十分検討のうえ行われた旨主張するが、実際には、本件訴訟でなされているような本質的な検討や実態調査等を経ないで、右の改正がなされたのである。 5 控訴人の前記一の5の主張は、昭和四〇年の地方税法改正の実情を無視した議論である。すなわち、我が国で金属マンガンを製造しているのは、被控訴会社と訴外中央電工株式会社だけであつて、両社とも金属マンガンについて非課税の扱いを受けていた。したがつて、右両社が非課税扱いの自社製品を課税されているものと誤認するはずがないし、また金属マンガンを製造していない会社については、かかる誤認の問題を生じない。ところが、日本鉱業協会、通産省、自治省は がつて、右両社が非課税扱いの自社製品を課税されているものと誤認するはずがないし、また金属マンガンを製造していない会社については、かかる誤認の問題を生じない。ところが、日本鉱業協会、通産省、自治省は、右法改正当時まで金属マンガンが非課税扱いであつたことについて事実調査せず、課税されているものと誤信して、非課税の要望ないし立法措置をしたものである。 控訴人は、非課税の要望は生産会社と無関係になされることもある旨主張するが、この点も事実に反する。電気ガス税を非課税とする立法は議会における野党の反対が強いので、業界あるいは業者の強い要望がなければ自治省において立法措置を講じないものである。例えば、昭和四〇年に金属マンガンに対する非課税の立法措置がとられたとき、金属学上金属マンガンと同類とされている金属ケイ素についても当然非課税の立法措置が講ぜられるべきものであつたのに、これがなされなかつたのは、業界、業者から非課税の要望がなかつたからにほかならない。 6 (控訴人の前記一の6の主張について)(一) 控訴人の前記一の6の(一)の主張は理由がない。 控訴人の右主張は、日本工業規格は鉄鋼の場合日本工業標準調査会鉄鋼部会で審議されるが、鉄鋼のうちフエロアロイについてはフエロアロイ専門委員会で審議されるものであること、昭和二五年制定の地方税法は形式は新法の制定となつているが、実質的には昭和二三年制定の地方税法の改正であること、同法の立法に対する通産大臣の関与は、例えば昭和四〇年の法改正にみられるように、通産省鉱山局がずさんな資料を提出する程度であること、等の現実と遊離した、全くの形式論である。 日本工業規格と地方税法の規定とでは、その表現が異なるのが当然であつて、同一に表現されたことこそあり得ない。日本工業規格は工業用の規格を定めるものであるから、詳細な 遊離した、全くの形式論である。 日本工業規格と地方税法の規定とでは、その表現が異なるのが当然であつて、同一に表現されたことこそあり得ない。日本工業規格は工業用の規格を定めるものであるから、詳細な定めが必要である。フエロアロイの場合、現在一九品種に大別され、さらにそれぞれが数号に分けられている。これを「フエロアロイ」とか「合金鉄」とか一括して表現することは不可能であり、またそう表現したのでは規格としての意味をなさない。また技術の進歩に伴い、新しい品種が開発されたり、反対に生産が中止されると、規格も新たに制定されたり、発止されたりする。例えば、フエロアロイの場合G二三一七ないし二三一九の品目は昭和三六年一一月の制定であり、乾式金属マンガンは生産需要共にないので、昭和三九年にその規格が廃止されている。これに対し、地方税法では昭和二五年に「合金鉄」が掲記されて以来現在までその用語の変更はない。 次に、日本工業規格と地方税法の品目が異なつて表現されている例を挙げると、地方税法四八九条一項二号の「鋼材」は昭和二三年に掲記され、「鋼材」の用語のまま現在に至つているのに対し、日本工業規格では「鋼材」という一種類の規格はなく、数え切れない位の規格に分れている。 (二) 日本工業規格の制定手続が控訴人主張のとおりであることは、これを認める。 また、電気ガス税の非課税措置の手続に関する控訴人の主張については、金属マンガンであれば通産省鉱山局鉱業課がこれを検討し、同省企業局第二課の審議を経て自治省税務局においてその立法手続がすすめられるとの点は、これを認める、電気ガス税の非課税措置は関係業界からのその旨の要望に基づくとの点は、金属マンガンの場合についてはこれを否認し、そのほかの品目の場合についてはこれを認める。 (三) 金属マンガンが日本工業規格のフエロアロ ス税の非課税措置は関係業界からのその旨の要望に基づくとの点は、金属マンガンの場合についてはこれを否認し、そのほかの品目の場合についてはこれを認める。 (三) 金属マンガンが日本工業規格のフエロアロイに含められたのは、控訴人のいう偶然の事情が主ではなく、むしろ控訴人が従たる理由であるかのごとくいう、日本工業規格制定の目的に添うことが主たる理由である。 金属マンガンは、ひとり日本工業規格においてのみならず、多数の辞典、便覧、統計においても、フエロアロイの項目中に記載されている。また、金属マンガンをフエロアロイに含めている日本工業規格は、工業標準化法の趣旨から尊重されるべきであるだけでなく、現実にも生産者、需要家等の間で最重視されている。これらの事実によれば、控訴人の主張とは逆に、金属学上も(この概念が本訴と関係がないことは別として)、また一般的にも、金属マンガンをフエロアロイに含めていることが明らかである。工業標準化法の趣旨からすると、地方税法四八九条一項二号の「合金鉄」は「フエロアロイ」と規定されるべきであつた。そう規定するのが法文の位置からも正しいし、現実にも従来はその趣旨に添つて取り扱われて来た。ところが、「合金鉄」と規定されて現在に至つているのは、昭和四〇年の法改正が十分に課税の実態を調査しないでなされたことにもみられるように、立法手続の不完全さと関係があるように思われる。 (四) 控訴人は、金属マンガンが日本工業規格のフエロアロイに含まれるからといつて、地方税法四八九条一項二号の「合金鉄」に含まれることにはならない旨主張し、その根拠として日本工業規格のフエロアロイ制定の経緯や、金属マンガンが右フエロアロイ中に含まれるに至つた経緯を挙げている。 しかし、自治省は、地方税法四八九条一項二号の「合金鉄」を解釈するにあたつて、右のような経 日本工業規格のフエロアロイ制定の経緯や、金属マンガンが右フエロアロイ中に含まれるに至つた経緯を挙げている。 しかし、自治省は、地方税法四八九条一項二号の「合金鉄」を解釈するにあたつて、右のような経緯を全然考慮せず、かえつて日本工業規格のフエロアロイに含まれることから、右「合金鉄」なりと解するという積極的見解を示している。次にその例を挙げる。 控訴人のいう「金属学上はもちろん一般常識上」においても金属マンガンと同類型である金属ケイ素が日本工業規格のフエロアロイ中に含まれるに至つた経緯は、金属マンガンの場合と変らないはずである。そうすると、もし金属マンガンが日本工業規格のフエロアロイ中に含まれるに至つた経緯からして、これが地方税法四八九条一項二号の「合金鉄」にあらすというならば金属ケイ素も同様の理由で右「合金鉄一にあらすということになる。ところが、金属ケイ素の製造所のある長野県塩尻市、福島県郡山市、同県田村郡小野町、新潟県直江津市、岩手県和賀郡和賀町、熊本県水俣市においては、いずれも金属ケイ素について電気ガス税を賦課徴収していない。それは金属ケイ素について非課税とするような法律や条例があることを理由とするのではなく、金属ケイ素は地方税法四八九条一項二号にいう「合金鉄」であると解して非課税扱いをしているのである。他方、地方公共団体に対し指導、監督、助言、勧告等の権限をもつ自治省は、同省税務局市町村税課長らが本件訴訟の原審において証人として出頭したことにより、右の各市町村における金属ケイ素に対する非課税の事実を遅くとも昭和四三年には知悉していたにもかかわらず、その後現在に至るまで何の措置も講じていない。これは、自治省も金属ケイ素を右「合金鉄」なりと解釈しているからにほかならず、かように解釈する根拠は日本工業規格のフエロアロイに含まれているから わらず、その後現在に至るまで何の措置も講じていない。これは、自治省も金属ケイ素を右「合金鉄」なりと解釈しているからにほかならず、かように解釈する根拠は日本工業規格のフエロアロイに含まれているからという以外には見出すことができない、この金属ケイ素についての見解は、そのまま金属マンガンに通用する。 次に、自治庁市町村税課長は、新潟県総務部長に対し昭和二八年五月一五日自税市発第九〇号「カルシウムシリコンに対する電気ガス税について」という書面をもつて、カルシウムシリコンは日本工業規格においても「合金鉄部門」に含めており、地方税法四八九条一項二号に規定する「合金鉄」に該当するものであるから、直接その製造用に使用する電気については電気ガス税を課税しないよう新潟市に御連絡願いたい旨の指示をしている。右指示中に「合金鉄部門」とあるが、日本工業規格には「合金鉄部門」という名称はないから「フエロアロイ」を指していることは間違いなく、したがつて自治庁は公式見解として、カルシウムシリコンは日本工業規格においてフエロアロイに含められているから地方税法四八九条一項二号の「合金鉄」に該当すると指示したことになる。 また、自治省税務局編集にかかる地方税法質疑応答集には、昭和三六年二月初版発行の分においても、また昭和四二年一月発行の分においても、金属マンガン、金属ケイ素は地方税法四八九条一項二号の「合金鉄」であるとの回答が登載されている。右回答がその解釈の根拠を金属マンガンが日本工業規格のフエロアロイに含まれていることに求めたであろうことは推認に難くなく、右応答集は自治省税務局の編集にかかるものであるから、自治省が右のように解していたことは明らかである。なお、右応答集に付されている同省税務局長の「地方税法の具体的な解釈書として今後の運営に本書の果す役割は大きいことを期 の編集にかかるものであるから、自治省が右のように解していたことは明らかである。なお、右応答集に付されている同省税務局長の「地方税法の具体的な解釈書として今後の運営に本書の果す役割は大きいことを期待している」旨の序文は、本質的には控訴人のいう内部の責任者の決裁と同じ効力を有するのであろう。 (五) 「非課税要件規定は、租税の公平な負担という面から課税要件規定より狭義な、より厳格な解釈適用が要請される」との控訴人の主張は、論理的に矛盾を含み、かつ租税法律主義の基本理念を否定する思想である。 控訴人の主張のように「課税は私有財産権の保障に対する例外であり、非課税要件規定はその例外の例外である」との前提に立つ以上、課税要件の解釈適用を誤れば論理必然的に私有財産権の侵害を招来するのと同様に、非課税要件規定の解釈適用を誤ればその結果課税要件の適用を受け、私有財産権を侵害されることになるのであつて、私有財産権の侵害という結果においては両者間に差がない。 控訴人のいう「租税の公平な負担」とは非課税規定と課税規定の適用を受ける者相互間の公平という趣旨であろうが、税法においては課税物件と非課税物件があり、税率が異なる等課税要件は無数といつてよい位異なつて規定されている。しかし、課税要件が異なるのは、例えば電気ガス税の非課税規定には原判示のような産業政策という理由があるように、それぞれ立法上の理由があつて法定されていることによるものであつて、これを行政庁が恣意的に、ある場合には狭義に厳格に、他の場合には広義に緩やかに解釈適用する(控訴人の主張は結果としてそうなる。)ことは、まさしく課税要件を法定するこことになり、行政庁の恣意的な徴税を排除し、財産権の侵害がないことを趣旨とする租税法律主義の否定というべき思想である。 (六) 控訴人は「原判決の判示が正しいとする とは、まさしく課税要件を法定するこことになり、行政庁の恣意的な徴税を排除し、財産権の侵害がないことを趣旨とする租税法律主義の否定というべき思想である。 (六) 控訴人は「原判決の判示が正しいとすると、ある品目が工業上の分類により日本工業規格に新たに規定されたり、削除されたりすることに伴い地方税法の改正が行なわれることなく、非課税とされたり課税されたりすることとなる旨主張するが、これは原判決の判示の趣旨と法律解釈の原則を理解しないものである。 日本工業規格は工業標準化法に基づいて制定されているのであつて、合理的な理由もなしにそう入、削除が行われることはない。 そして、原判決は、地方税法四八九条一項二号の「合金鉄」は工業上合金鉄として取り扱われ、その製造に電気を多量に消費するものを指称するとし、工業上の概念として日本工業規格が最も権威がある旨判示しているが、その前提として「地方税法上他に特別に解すべき事由がない限り」と断わつている。したがつて、仮に日本工業規格に規定されていても、法律解釈上合金鉄といえない品目は「特別に解すべき事由」があるとして、地方税法四八九条一項二号の「合金鉄」ではないと解釈されるのは当然である。 二、本件賦課決定はいわゆる信義則に反するものである。 民法に定められた信義則は、法の一般原理の具体的表現と解すべきもので、その趣旨は公法にも妥当するものと考えられるようになつてきている。すなわち、行政行為の効果の決定にあたつても、単に形式論理的な見地からみて判断するのではなく、法規の目的論的解釈と法律生活の安定、第三者の信頼保護など他の法律価値との比較衡量によつて合理的にその効果を決定し、具体的に妥当な結果を得ようとするのは、まさにこの原則の適用にほかならない。 そして、控訴人が問題にしている本件の申告に関する事実関係は従前主張の 律価値との比較衡量によつて合理的にその効果を決定し、具体的に妥当な結果を得ようとするのは、まさにこの原則の適用にほかならない。 そして、控訴人が問題にしている本件の申告に関する事実関係は従前主張のとおりであつて(被控訴人は金属マンガンの製造を開始した昭和二七年八月申告分から昭和三一年九月申告分までは金属マンガンを「フエロアロイ」又は「合金鉄」に含めて申告し、その後は「電解鉄関係」と記載して申告したが、およそ申告書に具体的品名を記載すべき旨の根拠は存しないし、右申告につき控訴人から格別の指示を受けたり、不服を唱えられたりしたことはない。)、被控訴人には何ら責められるべき点はなく、一五年間にわたる法的安定と信頼の事実は信義則を適用すべき要件を完全に充足している。 控訴人は、本件賦課決定が法的安定と被控訴人の信頼を破壊するにもかかわらず、昭和四〇年の法改正に基づく形式的な法律解釈と自治省の一事務官の、それも何を書いてあるかわからない文書のメモのみを根拠として本件賦課決定をしたのであるから、かような控訴人の措置が「合理的な理由がなく、慎重な配慮を欠くもので、信義則に反する」旨判断されるのは当然である。 三、仮に被控訴人の主張がすべて理由がないとしても、本件賦課徴収処分は憲法八四条、一四条に定める課徴税平等の原則に反する違法があり、この点において取り消されるべきである。 憲法八四条は租税法律主義を規定しており、その当然の帰結である課徴税平等の原則は憲法一四条の課徴税の面における発現であるということができる。右租税法律主義ないし課徴税平等の原則に鑑みると、特定時期における特定種類の課税物件に対する課徴税は日本全国を通じて同一であるべきであつて、もし同一時期における同一種類の課税物件に対する二個以上の課徴税処分が異なるとき、あるいは課徴税処分をした 特定時期における特定種類の課税物件に対する課徴税は日本全国を通じて同一であるべきであつて、もし同一時期における同一種類の課税物件に対する二個以上の課徴税処分が異なるとき、あるいは課徴税処分をしたところとしないところとが生じたときは、実際に追徴ないし徴収したことがなく、かつ追徴ないし徴収する見込みがない状態の継続した期間中は、法律の規定に反して多数の税務官庁が採用した軽減された課税標準ないし税率あるいは非課税措置が実定法上正当なものとされ、かえつて法定の課税標準、税率に従つた課税処分、あるいは課税処分それ自体が実定法に反して違法となるものと解すべぎである。これを本件についてみるに、控訴人は被控訴人に対し金属マンガンの製造に直接要した電気について昭和三九、四〇年度分の電気ガス税の賦課徴収処分をしたのであるが、本件の場合を除くと、金属マンガン及びこれと金属学上その他よりしても同一種類とされている金属ケイ素の製造に要した電気について、いずれの市町村長も本件の右対象期間において電気ガス税の賦課徴収をしていないことは従前主張のとおりである。そして、右の各市町村においては、今後右期間中の電気ガス税を賦課徴収することに時効の点ですでに不可能である。 電気ガス税は地方税であつて、その課税権者は全国に複数存在し、それぞれ独立の課税権を有しているのであるが、このことは前記租税法律主義ないし課徴税平等の原則を排除すべき理由とはならない。地方税も地方税法等の国法に基づいて課徴されるものであり、地方公共団体が有する課税権は地方公共団体に固有のものではなく、課税権の主体たる国から伝承したものだからである。もし各市町村が各別の課税権の主体であるとの故をもつて、地方税法四八九条一項二号の「合金鉄」について異なつた解釈のもとに電気ガス税の賦課徴収、不徴収が許されるとした る国から伝承したものだからである。もし各市町村が各別の課税権の主体であるとの故をもつて、地方税法四八九条一項二号の「合金鉄」について異なつた解釈のもとに電気ガス税の賦課徴収、不徴収が許されるとしたならば、憲法の定める前記諸原則は空文となる。 (証拠関係)(省略)○ 理由一、控訴人が昭和四二年四月一四日被控訴人に対し、被控訴人がその山形工場において金属マンガンを製造するために使用した電気についての電気ガス税として、昭和三九年度分(昭和三九年四月一日から昭和四〇年二月二八日まで)金七〇一万九一六九円、昭和四〇年度分(昭和四〇年三月一日から同年五月三一日まで)金一九八万四一六七円の合計金九〇〇万三、一二三六円を賦課する旨の決定をしたこと、これに対し被控訴人が昭和四二年五月一一日控訴人に対し右賦課決定の取消しを求める異議申立をしたところ、控訴人は同年六月五日右申立を棄却する旨の決定をなし、その決定書謄本は同月七日被控訴人に送達されたこと、以上の事実は当事者間に争いがない。 二、被控訴人は、本件賦課決定は金属マンガンが地方税法四八九条一項二号にいう「合金鉄」に該当し、非課税物件であるにもかかわらず、しからずとしてなされた点において違法である旨主張するので、以下この点について検討する。 1 ある用語、名称によつて表示される物質がいかなるものであるか、その概念が租税法規上明確に規定されている場合にはもとよりこれによるべきであるが、右の「合金鉄」あるいは「金属マンガン」については本件租税法規上かかる概念規定は全く存しないのであるから、かかる場合は、まずそれらが金属材料の一種であることから、その概念規定について最も正確を期待し得る学術、すなわち金属学においてどのように定められているか、そしてそれが一般国民の知識水準に照らして認識理解し得るところである が金属材料の一種であることから、その概念規定について最も正確を期待し得る学術、すなわち金属学においてどのように定められているか、そしてそれが一般国民の知識水準に照らして認識理解し得るところであるかどうかを明らかにし、次いで本件租税法規の趣旨目的等からしてこれを別異に解すべき特段の事由が存するかどうかを検討すべきである。 しかして、成立に争いのない乙第一二号証の二、第二三ないし二六号証の一ないし三、原審証人Aの証言によると、学術上(金属学上)金属材料は通常純金属と合金との二つに大別されるが、前者が単一金属元素より成るものである(他に元素を含んでいても、その単一金属元素の性質に影響を及ぼさない程度に僅かに含まれるものは不純物であつて、合金元素ではない。)のに対し、後者は一つの金属元素と一つ又は二つ以上の金属元素又は非金属元素を融合混和させたものであつて、金属としての諸性質を失わず、しかも種々の優れた性質を現すものであり、合金鉄というのは鉄と鉄以外の元素(一般には後者の含有量が前者のそれよりも多い。)を融合混和した合金の一種をいうものと理解されていることが認められる。他に右認定を左右するに足りる証拠はない。そして、右のように学術上(金属学上)の概念に従つて、合金鉄とは鉄と鉄以外の元素の融合混合した合金であつて、単一金属元素よりなる純金属と区別されるものをいうものと理解することは、一般の国民の知識水準によつても容易であるから、地方税法四八九条一項二号にいう「合金鉄」は、他に特段の事由がない限り、右と同様に解するのが相当である。 他方、成立に争いのない乙第一三号証の一、二、前掲の乙第一二号証の二並びに証人Aの証言によると、学術上(金属学上)金属マンガンはマンガン金属単体であつて、前記純金属の一種として理解されるものであり、金属マンガンにあつては鉄 第一三号証の一、二、前掲の乙第一二号証の二並びに証人Aの証言によると、学術上(金属学上)金属マンガンはマンガン金属単体であつて、前記純金属の一種として理解されるものであり、金属マンガンにあつては鉄は不純物であつて、その製造過程においても、鉄をはじめケイ素、炭素、燐硫黄等の不純物を極力排除して純度を高める方法が採られ、ことに電解法により製造されるものは、九九・九二パーセントを越える純度を有することが認められる。他に右認定を左右するに足りる証拠はない。かように、、学術上(金属学上)の概念に従つて、金属マンガンはマンガン金属単体であつていわゆる純金属に含まれ、合金鉄とは区別されるものであると理解することも、一般の国民の知識水準をもつてすれば、容易なことがらに属するものというべきである。 ちなみに、成立に争いのない乙第一号証によると、被控訴人がその業務内容を一般に知らせるために発行したものと窺われる「会社の概要」と題する小冊子においても、被控訴人の製造にかかる電解金属マンガンの説明が「フエロアロイ」の項においてではなく、「電解金属」と題する別項において行われていることが認められる。 もつとも、成立に争いのない甲第一七号証の一ないし三、第一八号証、第一九号証の一ないし七、第二〇、二一号証の各一ないし三、第二二号証の一ないし五、第二四号証の一ないし七、第二五号証の一ないし三によると、日本規格協会編集の「JISハンドブツク鉄鋼」をはじめ、鉄鋼新聞社編著の「鉄鋼辞典」、工業技術院監修の「鉄鋼便覧」等多くの実務的な解説書においては、合金属と和訳される「フエロアロイ」の項において金属マンガンの規格、製造方法、用途等の説明がなされていることが認められるが、この事実も金属マンガンの意義、概念に関する前記の認定判断を左右するに足りないものというべきである。けだ ロイ」の項において金属マンガンの規格、製造方法、用途等の説明がなされていることが認められるが、この事実も金属マンガンの意義、概念に関する前記の認定判断を左右するに足りないものというべきである。けだし、これらの解説書においては、執筆者の説明の便宜上、ないし読者の利用の便宜を慮り、後述の日本工業規格の分類に準拠しているに過ぎないものであることが、その説明自体により容易に窺知することができるからである。 また、被控訴人は、金属マンガンは合金鉄に含まれることの明らかなフエロマンガンの不純物の極少なるものと理解することもできる旨主張するが、前掲の乙第一二号証の二及び証人Aの証言によると、フエロマンガンはマンガン金属と鉄の合金であり、その場合不純物とされるものは炭素、ケイ素、燐等であつて、鉄ではないことが認められ、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。してみると、フエロマンガンから右のような不純物が極力取り除かれたとしても、金属マンガンとなるわけではないというべきであるから(ちなみに、成立に争いのない甲第六号証-日本工業規格フエロアロイ解説-によると、全量に占める鉄の含有量の割合は、フエロマンガンにあつては八・八八ないし一七・〇八パーセントであるのに対し、金属マンガンにあつては〇・〇一パーセント以下とされており、著しい差異の存することが認められる。)、被控訴人の右主張は採用することができない。 してみると、他に特段の事由がない限り、金属マンガンは地方税法四八九条一項二号にいう「合金鉄」に含まれないものというべきである。 2 これに対し、被控訴人は、租税法の解釈はその法の目的に即した合目的解釈によるべきであるとし、(イ)地方税法四八九条一項二号の立法の趣旨ないし目的は、国民生活において重要な基礎資材である鉄鋼及びその原料について電気ガス税を非課税と 解釈はその法の目的に即した合目的解釈によるべきであるとし、(イ)地方税法四八九条一項二号の立法の趣旨ないし目的は、国民生活において重要な基礎資材である鉄鋼及びその原料について電気ガス税を非課税とすることにより、製造原価を引き下げ、もつて国民経済の利益を図ることにあるのであつて、同号に「合金鉄」が掲記されているのも、合金鉄が脱酸、脱硫及び合金成分添加等の目的のため鉄鋼原料として不可欠であり、かつ製造原価に占める電気料金の割合が高いことによるものであり、(ロ)地方税法四八九条一項二号は右のような趣旨ないし目的による産業政策的立法であるから、同号にいう「合金鉄」は工業上合金鉄として取り扱われるものをいうものと解すべく、他方(ハ)金属マンガンはその用途において右(イ)の合金鉄のそれと同一であり、また製造原価に占める電力料金の割合が二〇パーセントを超えるのみならず、工業上の合金鉄の概念について最も権威のある日本工業規格において、金属マンガンが合金鉄と和訳されるフエロアロイに含まれていることからしても、金属マンガンは地方税法四八九条一項二号にいう「合金鉄」に含まれるものと解すべきである旨主張する。 (一) しかし、被控訴人主張のような意味における合目的解釈ないし法規の趣旨を尊重した解釈に基づいて法律の規定を適用するときは、いわゆる類推ないし拡張解釈に等しく、結果的に法律の規定の本来の規制内容を緩和して適用することとなるのであるが、かようなことは地方税法四八九条のような非課税要件規定においては避けられるべきものである。 けだし、租税の賦課徴収と国民における財産権の保障との関係が法理論的に後者が原則的であるのに対し、前者が例外的なものとして理解されるべきであるという形式的な観点(例外の内容を原則との比較においてより広義に、より緩和して解すると、やが 財産権の保障との関係が法理論的に後者が原則的であるのに対し、前者が例外的なものとして理解されるべきであるという形式的な観点(例外の内容を原則との比較においてより広義に、より緩和して解すると、やがては原則と例外との区別を失わせるという不当な結果を招くことになる。)のみならず、財産権の保障、租税負担の公平等をその実質的内容とする租税法律主義の原則からいつても、租税法規ことに課税要件規定は狭義に厳格になされなければならないことは異論のないところであろうが、租税法規における非課税要件規定は、課税要件規定を原則的規定とすると、これに対する例外的規定としての地位にあるものと理解され、実質的にも非課税要件規定は、それが課税要件規定とは異なる何らかの財政、経済政策的配慮から定立されるものであるが故に、課税要件規定が実現維持しようとする租税負担の公平等の理念に対して何もかの意味におけるいわゆる阻害的な影響を及ぼすものであることからして、租税法規の解釈適用における前記の狭義性、厳格性の要請は、非課税要件規定の解釈適用において一層強調されてしかるべきだからである。 (二) 地方税法四八九条一項二号の規定について合目的解釈又は趣旨を尊重した解釈を行う場合におけるその目的ないし趣旨を「国民生活における重要な基礎資材である鉄鋼及びその原料について電気ガス税を非課税とすることにより製造原価を引き下げ、もつて国民経済の利益を図ること」、あるいは端的に「製造のため電力を多量に必要とする重要産業を保護育成せんとする産業政策的なものであること」自体に求めることも当を得ない。 電気ガス税の非課税の対象を「合金鉄」等の製品をもつて示すこととした右規定における立法の趣旨ないし目的は、一般に重要基幹産業における製品の製造原価を引き下げて国民経済の利益を図るという観点からみて当該非 ガス税の非課税の対象を「合金鉄」等の製品をもつて示すこととした右規定における立法の趣旨ないし目的は、一般に重要基幹産業における製品の製造原価を引き下げて国民経済の利益を図るという観点からみて当該非課税の対象とされ得べき製品のなかから、現実に非課税の対象とされる製品を選定して非課税とするということに存するものというべきであつて、かような例外の範囲を限定するという趣旨ないし目的こそが、いわゆる趣旨を尊重した解釈ないし合目的解釈にいう趣旨ないし目的とされるべきである。 (三) 地方税法四八九条一項二号が「合金鉄」という製品の名称で非課税の対象を限定している限り、被控訴人主張のような合金鉄の使用目的ないし用途は、右非課税要件規定の解釈上問題とすべきではない。もし右規定が「合金鉄」と使用目的ないし用途等について同一性を具有する物件にまでその非課税の効果を及ぼそうとするものであるならば、右規定はその使用目的ないし用途等をその要素として明示して構成されるのが一般だからである。むしろ、地方税法四八九条一項二号において「合金鉄」として製品の名称をもつて掲記されているのは、非課税の範囲を限定して、合金鉄と使用目的ないし用途等において同一性を有する物件のうち、一般的常識的理解において「合金鉄」と観念されるもののみを特に選定したものと解するのが相当である。 右の点からして、合金鉄の使用目的ないし用途上、鉄分の存在が不要であるか否か、又は支障になるか否かといつた点は、地方税法四八九条一項及び同項二号の解釈上問題とするに足りないものというべきである。 (四) 工業標準化法(昭和二四年法律第一八五号)に基づいて制定された日本工業規格が金属マンガンをフエロアロイに含めてその品質等の工業標準を定めていることは、地方税法四八九条一項二号にいう「合金鉄」の意味を定め、あるい (昭和二四年法律第一八五号)に基づいて制定された日本工業規格が金属マンガンをフエロアロイに含めてその品質等の工業標準を定めていることは、地方税法四八九条一項二号にいう「合金鉄」の意味を定め、あるいはこれに金属マンガンが含まれるか否かを決するうえで、決定的意義を有するものではない。 工業標準化法ないしこれに基づく日本工業規格と地方税法なかんずく電気ガス税の非課税に関する規定とが立法、制定の趣旨、目的ないし性格を異にする別個の法規、命令であることはいうまでもないから、右各法規ないし命令における「フエロアロイ」「合金鉄」なる概念は、たとえ一般的には一方が他方の訳語ないし同義語の関係にあるとしても、これを内容要素とする法規、命令の異なるに従い、それぞれ別個、独自の意味内容をもつものであることはむしろ当然であり、地方税法四八九条一項二号にいう「合金鉄」が日本工業規格からの借用概念であるとはその内容、形式からして到底認め難く、他に地方税法四八九条一項二号にいう「合金鉄」の概念を日本工業規格に従つて理解するのを相当とするような特段の事情が存しない(合金鉄の使用目的ないし用途が右非課税要件規定の解釈上問題とされるべきでないことは既述のとおりであり、また工業標準化法二六条にいう「事務」は、租税法規において非課税の対象ないし要素として特定の品目を表示することまでも含むものではないと解すべきである。)以上、右「フエロアロイ」「合金鉄」なる各概念はそれぞれの法規の解釈の枠内で独自に理解されるべきであつて、たやすく概念の借用ないし流用関係を認めるべきではない。 被控訴人は、工業標準化法の趣旨からして地方税法四八九条一項の規定の制定にあたつては「合金鉄」という用語ではなく「フエロアロイ」なる用語を用いるべきであつた旨主張するが、立法論としてはともかく、解釈論とし 人は、工業標準化法の趣旨からして地方税法四八九条一項の規定の制定にあたつては「合金鉄」という用語ではなく「フエロアロイ」なる用語を用いるべきであつた旨主張するが、立法論としてはともかく、解釈論としてはむしろ日本工業規格において「フエロアロイ」なる用語がすでに用いられており、いわゆる工業上の分類として一般化していたにもかかわらず、あえて地方税法がその四八九条一項二号において「フエロアロイ}なる用語ではなく「合金鉄」という用語を用いていることに格別の意義を見出すべきであると反論することも容易である。 (五) 以上の諸点からして、被控訴人の前記主張は採用することができない。 3 本件の山形市内の市町村における金属マンガンあるいはこれと同種とみられる製品に関する電気ガス税の賦課徴収の実態や、財団法人地方財務協会発行自治省税務局編「地方税質疑応答集」あるいに自治庁市町村税課長の回答における金属マンガン金属ケイ素、カルシウムシリコン等に関する見解は、まさにその当否が問題とされるのであつて、その課徴税の実務や見解自体が前記1の解釈を変更すべき特段の事由となるものではない。 そのほか、当事者双方の主張を検討するも前記の特段の事由は存せず、かつ右主張の範囲外においても右の事由を認めるに足りる証拠は存しない。 4 かえつて、地方税法四八九条における「合金鉄」及び「金属マンガン」に関する立法の変遷は、これを客観的に直視する限り、金属マンガンが合金鉄に含まれないとする前記1の解釈に添うものというべきである。すなわち、昭和二五年七月三一日法律第二二六号により制定された地方税法四八九条一項二号は「銑鉄、鋼塊、鋼材、鋳鍛鋼、可鍛鋳鉄」と共に「合金鉄」を電気ガス税のいわゆる永久非課税品目に指定し、その後右「合金鉄」自体については明文上何らの改正も加えられていないが、昭和 法四八九条一項二号は「銑鉄、鋼塊、鋼材、鋳鍛鋼、可鍛鋳鉄」と共に「合金鉄」を電気ガス税のいわゆる永久非課税品目に指定し、その後右「合金鉄」自体については明文上何らの改正も加えられていないが、昭和四〇年三月三一日法律第三五号による同法の改正により同条二項五号において「金属マンガン及び二酸化マンガン(電解法によるもの)」なる品目が新たにいわゆる期間限定(三年間)非課税品目として追加指定され、さらに昭和四三年三月三〇日法律第四号による同法の改正により、右「金属マンガン及び二酸化マンガン(電解法によるもの)」は同条二項五号の期間限定非課税品目からはずされて、新たに同条一項二号の「合金鉄」とは別に同項九号の四に永久非課税品目として追加指定されるに至つた。してみると、昭和四〇年法律第三五号による改正以降の地方税法においては、「金属マンガン」が「合金鉄」に含まれないことは法文上明らかであり、また右法条にいう「合金鉄」は特段の事情のない限り右改正の前後を通じて同一の意味内容を有する概念として解釈するのが法規の常識的理解に添うものというべきであるから、右改正の経過はその間にどのような立法事情があつたにもせよ、これをそのまま直視する限り、昭和四〇年法律第三五号による改正前の地方税法四八九条一項二号にいう「合金鉄」は金属マンガンを含まないとする上記の見解が正しいことを裏づけるものというべきである。 このことは、立法当局者が右法改正にあたつて課徴税の実態について誤認していたかどうかによつて左右されるものではなく、まして右法改正自体を立法の誤りとする被控訴人の主張は到底採用することができない。 5 以上の検討により、地方税法四八九条一項二号にいう「合金鉄」には金属マンガンは含まれないものと解するのが相当であり、本件賦課決定が非課税物件について課税した違法がある 底採用することができない。 5 以上の検討により、地方税法四八九条一項二号にいう「合金鉄」には金属マンガンは含まれないものと解するのが相当であり、本件賦課決定が非課税物件について課税した違法があるとの被控訴人の主張は採用することができない。 三、被控訴人は、本件賦課決定は禁反言の法理又は信義則に違反し、違法である旨主張する。 しかし、本来契約当事者のような特殊な法律関係によつて結ばれている者の間で機能する禁反言の法理ないし信義則がそのまま公法上の権力関係としての性格の濃い租税の賦課決定の分野にも適用されると解することについては疑問の余地があるのみならず、右の適用が肯定されるとしても、かかる法理ないし原則は実質的に相対立する利益双互の調整を目的として本来法規上許されるべき権利の行使を抑制するものであるから、その適用は厳格、慎重になされなければならない。 ところで、成立に争いのない甲第一一号証の一ないし一〇、乙第一号証、同第二号証の一ないし四、同第一五号証、原審証人Bの証言に弁論の全趣旨をあわせ考慮すると、被控訴人はその山形工場において昭和二七年八月ころから金属マンガンを製造しており、そのころから繰り返してその製造に直接使用する電気について非課税対象として申告してきた(もつとも、被控訴会社山形工場長が控訴人に提出した法四八九条該当申告書においては、非課税の対象たる製品名が「満俺鉄、フエロアロイ、電解ソーダ」「合金鉄、電解ソーダ」「合金鉄、電解鉄関係」と記載されており、必ずしも金属マンガンがそれとして明示されているわけではない。)が、これに対し控訴人は何らの異議もさしはさまず、積極的にも消極的にも何らの応答もしないまま推移し、昭和四二年四月に至りはじめて金属マンガンは地方税法四八九条一項二号にいう「合金鉄」に含まれず、したがつて金属マンガンを製 何らの異議もさしはさまず、積極的にも消極的にも何らの応答もしないまま推移し、昭和四二年四月に至りはじめて金属マンガンは地方税法四八九条一項二号にいう「合金鉄」に含まれず、したがつて金属マンガンを製造するに直接使用した電気については非課税の対象とならないとの解釈により、過年度分にさかのぼり、すでに消滅時効にかかつた分を除いて本件賦課決定をしたものであることが認められ、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。右事実関係によると、本件の場合は、本件賦課決定の以前においては金属マンガンの製造に直接使用した電気に対する電気ガス税の賦課徴収に関して、課税行政庁たる控訴人の何らかの明示の行動があつたとか、あるいは相手方たる被控訴人が控訴人の明示の行動を信頼していたというような具体的事実は存しないのであつて、単に控訴人の不作為ないし課税されていないという事実状態が継続していた(控訴人が被控訴人の前記非課税申告に対し何らの異議をさしはさまなかつたからといつて、そのことから直ちに控訴人が地方税法における電気ガス税の課税要件に違反する事項を容認していたこととなるものではない。)に過ぎず、かかる不作為ないし事実状態をもつて禁反言の法理にいう信頼の対象たる表示に該当するものとすることはできないし、また信義則にいう相手方の信頼の原因たる行為に該当するものと解することも相当でない。 なお、右のような非課税の事実状態が約一五年の長きにわたり継続したからといつて、直ちにこれが法的確信にまで高められ、法的状態に転化したとか、あるいはこれに類する法的効力を生ずるに至つたものと解することはできない。 また、本件賦課決定によつて侵害されるという被控訴人の利益なるものは、いわば私人の利益であつて、しかも本来納税義務があるのを誤つた法解釈に基づきあるいは被控訴人の前記非課税申告に対 ことはできない。 また、本件賦課決定によつて侵害されるという被控訴人の利益なるものは、いわば私人の利益であつて、しかも本来納税義務があるのを誤つた法解釈に基づきあるいは被控訴人の前記非課税申告に対し何らの応答がなかつたことをもつて容認されたものと即断して、納税しなくてもよいとの期待をもつたというものに過ぎず、かかる利益は租税法律主義の原則に基づき課徴税を義務づけられている控訴人の公益とは比較にならず、まして租税法律主義の原則を犠牲にしてもなおかつ回復せしめるに値するほどの信頼利益であるとすることは到底できない。むしろ、従来の非課税の事実状態が法規の適正な解釈からして誤つていることに気付いたときは、税務行政庁たる控訴人としては速やかに法の命ずる状態を回復せしめること、すなわち課税処分を行うことこそ租税正義の理念に添うものというべきである。 次に、控訴人が本件賦課決定をするに至つた背景、事情についてさらに検討するに、前掲乙第二号証の一ないし四、甲第一号証の存在、成立に争いのない甲第二号証の一ないし三、同第三号証の二、原審証人C、同Bの各証言に弁論の全趣旨をあわせ考慮すると、昭和四一年一一月施行の山形市長選挙に際し、被控訴人に対する控訴人の電気ガス税の賦課徴収の取扱いについて不正がある旨等の記載のある、いわゆる怪文書が選挙民間に頒布されたことに端を発して、山形市議会内に電気ガス税賦課徴収、公有財産処分調査特別委員会が設置され、その調査報告を経て同市議会において、被控訴人の製造にかかる金属マンガンについて非課税扱いをしていたのは地方税法に違反しているので、時効にかかる部分を除き過年度分として課税すべきである旨の決議がなされたところから、これを受けた控訴人は改めて従来の取扱いに検討を加えた結果、昭和四〇年の地方税法の改正により金属マンガンが「合 で、時効にかかる部分を除き過年度分として課税すべきである旨の決議がなされたところから、これを受けた控訴人は改めて従来の取扱いに検討を加えた結果、昭和四〇年の地方税法の改正により金属マンガンが「合金鉄」に含まれないことが明文上明らかになつたことや、右改正前においても同様に解されるとする自治省事務官の見解に依拠して本件賦課決定をするに至つたものであることが認められ、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。右事実関係ららすると、本件賦課決定が単に被控訴人を困惑させる目的で恣意的にのみなされたものであるとか、公権力の行使として適法妥当であるかどうかを顧みず、政治的配慮のみに基づいてなされたものであるとかいうものでもないことが明らかであり、また課税要件に合致するとして課税処分を行うのに他に合理的な理由が必要であるとも解されない。本件賦課決定は、適正な法解釈に従い、従来の取扱いを是正し、課税すべきものを課税したものと認むべきものであつて、これに対し「合理的な理由も存せず、慎重な配慮に欠ける」旨非難するのは当らない。他に本件賦課決定が禁反言の法理ないし信義則に違背するものと解するのを相当とするような事由を認めるに足りる証拠は存しないから、被控訴人の前記主張は理由がない。 四、被控訴人は、本件賦課決定は課徴税平等の原則に反して違法である旨主張する。 前掲乙第一二号証の二、成立に争いのない甲第一二ないし一六号証の各一、二、前掲証人Aの証言並びに弁論の全趣旨によると、金属マンガンは我が国においては被控訴会社と訴外中央電気工業株式会社(田口工場)の二社のみで製造されており、右訴外会社の事業場の所在する新潟県中頸城郡妙高高原町においては金属マンガンの製造に使用する電気について電気ガス税を課税しておらず、また金属学上その他の点からしても金属マンガンと同一種類と ており、右訴外会社の事業場の所在する新潟県中頸城郡妙高高原町においては金属マンガンの製造に使用する電気について電気ガス税を課税しておらず、また金属学上その他の点からしても金属マンガンと同一種類とされている金属ケイ素の製造に使用する電気については、福島県郡山市、同県田村郡小野町、長野県塩尻市、新潟県直江津市のいずれも本件の課税対象期間中電気ガス税を課徴していなかつたことが認められ、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。 しかし、本件の山形市以外の市町における金属マンガン及び金属ケイ素に関する非課税扱いが、これらの製品が地方税法四八九条一項二号にいう「合金鉄」に含まれるとの解釈に基づくものであるとすれば、かかる解釈は前記の適正な解釈に反するものであつて、その非課税扱いは違法であり、速やかに是正されるべきであるということになるに過ぎず、課徴税平等の原則といえども、控訴人をして課税主体を異にする他の市町村におけるのと同様に非課税扱いという違法な状態のまま放置することを余儀なくさせ、他に違法事由のない本件賦課決定を違法たらしめるものであるとは到底解することができない。このことは、他の市町村において本件の課税対象期間と同年度分をさかのぼつて賦課徴収することが時効の点からしてもはや不可能であるとしても、同様である。 よつて、被控訴人の前記主張は採用することができない。 五、以上の説示のとおり、山形市長のした本件電気ガス税の賦課決定を違法ということはできないので、これを違法としてその取消しを求める被控訴人の本訴請求は棄却を免れず、これを認容した原判決は失当として取り消すべきものとする。よつて、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九六条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官松本晃平石川良雄小林隆夫)(原裁判等の表示)○ 主文一、被告 して取り消すべきものとする。よつて、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九六条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官松本晃平石川良雄小林隆夫)(原裁判等の表示)○ 主文一、被告が昭和四二年四月一四日原告に対してなした、電気ガス税、昭和三九年度分七〇一万九、一六九円、昭和四〇年度分一九八万四、一六七円の各賦課決定を取消す。 二、訴訟費用は被告の負担とする。 ○ 事実第一、当事者の求める裁判一、原告において主文同旨の判決。 二、被告において(一) 原告の請求を棄却する。 (二) 訴訟費用は原告の負担とする。 との判央。 第二、当事者の事実上の主張一、請求原因(予備的請求原因を含む)(一) 被告は、昭和四二年四月一四日原告に対し、原告がその山形工場において金属マンガン(電解法によるもの、以下同じ)を製造するために使用する電気についての電気ガス税として、昭和三九年度分(昭和三九年四月一日ないし昭和四〇年二月二八日)七〇一万九、一六九円、昭和四〇年度分(昭和四〇年三月一日ないし同年五月三一日)一九八万四、一六七円(合計九〇〇万三、三三六円)をそれぞれ賦課決定(以下単に本件賦課と略称する)した。 (二) 原告は昭和四二年五月一一日被告に対し本件賦課に対し、異議申立をしたところ、被告は同年六月五日右申立を棄却する旨の決定をなし、その決定書謄本を同月七日原告に送達した。 (三) 本件賦課は次の理由により違法である。 1、金属マンガンは地方税法(昭和四〇年三月三一日法律第三五号による改正前・以下特に断らない限り同じ)四八九条一項二号の合金鉄に該当し、非課税物件である。 2、仮に右の合金鉄に該当しないとしても、本件賦課は禁反言の法理又は信義則に違反する。(予備的請求原因)(1) 所謂禁反言すなわち自己の過去の言動に反する主張をするこ に該当し、非課税物件である。 2、仮に右の合金鉄に該当しないとしても、本件賦課は禁反言の法理又は信義則に違反する。(予備的請求原因)(1) 所謂禁反言すなわち自己の過去の言動に反する主張をすることにより、その言動を信頼した相手方の利益を害することは許されないとの法理は、税法の分野においても適用されると解すべきである。もつとも税法の分野においては厳格な法律の遵守が要請されることに鑑み、右法理の適用は私法分野に比しより厳格でなければならないが、租税法規が著るしく複雑かつ専門化した現在においては、国民が善良な市民として混乱なく適法に社会経済生活を営むためには、租税法規の解釈適用に関する通達等の事実上の行政作用を信頼し、これを前提として行動せざるを得ない実情のもとにおいて、事実上の行政作用を信頼して行動した者にとつては何ら責められるべき事由がないから、禁反言の法理を適用すべきが当然である。 (2) イ原告はその山形工場において昭和二七年八月より金属マンガンの製造を開始したが、以来金属マンガンは地方税法上の合金鉄に該当し、所謂非課税品目であると考え、被告に対し、金属マンガン製造のために使用した電気を、非課税対象として申告し、これに対し被告は何らの異議もさしはさまず、本件賦課まで右申告を容認した。 ロ電気ガス税は、製品コスト中電気料金が五%以上を占めている重要産業の製品を基準として非課税とされているものであるところ、金属マンガンは製品コストに占める電気料金が二〇%を超えることや同種製品が合金鉄に該当するもとして非課税とされていることから原告においてイの如く非課税物件であると判断したことは当然である。 (3) 右(2)によれば本件賦課については、右(1)の要件を具備していることが明らかであるから、禁反言の法理が適用される。 (4) なお禁反言の の如く非課税物件であると判断したことは当然である。 (3) 右(2)によれば本件賦課については、右(1)の要件を具備していることが明らかであるから、禁反言の法理が適用される。 (4) なお禁反言の法理の適用により、結果的に課税物件に対し非課税の取扱をなすことになり、一応租税法律主義の原則に反することとなるが、それは右主義の形式的適用により、原告に招来される損害を阻止するという具体的妥当性を図る見地からやむをえないものというべきである。 四よつて本件賦課の取消を求める。 二、答弁請求原因事実に対し、(一) その(一)は認。 (二) その(二)は認。 (三) その(三)につき、1、その1は否認。 2、その2(2)イは認。 3、その2(2)ロは否認。 4、その2(3)は否認。 5 (1) 一般に、禁反言の法理はその適用の結果違法な状態が招来される場合にはその適用が否定されると解すべきであり、仮に本件につき、その適用があるとしても禁反言の法理が適用される場合の「表示」とは事実の表示であることを要し、単なる意見又は意向の表示では足らないと解すべきである。 (2) イ、本件賦課は租税に関する公法行為であり、租税法律主義の原則が適用される典型的な覇束行為であるから非課税に取扱つたことが誤まりであると認識すれば、直ちに課税すべき義務があり、又非課税物件でないものを非課税に取扱うことは違法である。従つて斯様な法律関係においては禁反言則を適用すべきでない。 ロ、かりにその適用があるとしても、被告は原告に対し金属マンガンが非課税物件である旨告知したことはなく、たまたま、被告の係員の税法解釈の誤りに起因して賦課されなかつたにすぎないのである。従つて被告は禁反言則にいう表示をなしたものではないから、その適用がない。 ハ、原告が非課税扱いによつて受けた利益と、その非 、被告の係員の税法解釈の誤りに起因して賦課されなかつたにすぎないのである。従つて被告は禁反言則にいう表示をなしたものではないから、その適用がない。 ハ、原告が非課税扱いによつて受けた利益と、その非課税を撤回することにより被告が受ける利益とを比較考量するに、前者は私人の利益で、本来納税義務があるのを、たまたま被告係員の誤解により納税しなくともよいとの期待を持つに至つたに過ぎないのに対し、後者は、公益で租税法律主義の原則に基づき、法律により徴収を義務づけられたものであるから、明らかに後者のそれが大であり、従つてこれを採用することがより正義に合致することとなり、この点からも右の法理は適用されない。 三、抗弁金属マンガンは次の理由により地方税法四八九条一項二号の合金鉄に該当しないから非課税品目ではなく、本件賦課は適法である。但し金属マンガン(電解法によるものに限る以下同じ)は、昭和四〇年六月一日以降は地方税法の改正及び関係法令により非課税物件となつた。 (一) 金属学上の定義1、金属学上金属材料は純金属と合金に区別されるところ、前者は単一金属元素より成り、後者は一つの金属元素を母金属とし、これに一つ又は二つ以上の金属又は非金属を互に融合混和させるものである。 2、合金鉄とは、鉄に鉄以外の元素を多量に加えた合金である。 3、金属マンガンは単一金属元素より成る純金属であり合金である合金鉄には包含されない。 (二) 地方税法の法文の構造 1 (1)地方税法(昭和二六年七月三一日法律第二二六号)四八九条一項二号は合金鉄を電気ガス税のいわゆる永久非課税品目に指定した。 (2) 同法が昭和四〇年三月三一日法律第三五号により改正された際、同法四八九条一項二号により合金鉄はそのまま永久非課税品目とされたが、金属マンガンは同条二項五号によつていわゆる三年間の期間 した。 (2) 同法が昭和四〇年三月三一日法律第三五号により改正された際、同法四八九条一項二号により合金鉄はそのまま永久非課税品目とされたが、金属マンガンは同条二項五号によつていわゆる三年間の期間限定非課税品目に指定された。 (3) 同法が昭和四三年三月三〇日法律第四号により改正された際、合金鉄は同法四八九条一項二号により金属マンガンは同条同項九号の四によりいずれもいわゆる永久非課税品目に指定された。 2、右1(2)(3)の立法によれば、合金鉄が金属マンガンを包含していないことが明白であり、従つて右1(1)の立法においても同様の趣旨であると解すべきである。 (三) 金属マンガンの製造開始の時期わが国における、金属マンガンの生産は、戦前よりなされていたが、戦後一時中断され、昭和二六年一二月新潟県の訴外中央電気工業株式会社(以下訴外中央電工という)田口工場、昭和二七年八月原告山形工場で再開されたもので、右(二)1(1)の昭和二五年地方税法が旅行当時は製造されていなかつたから、非課税措置が講ぜられるはずがない。 (四) 三年間の期間限定非課税措置立法の経緯通産省鉱山局が、鉱業界の要望に基づき昭和三七年以降毎年自治省税務局に対し金属マンガンの非課税立法の要望をした結果右(二)1(2)の昭和四〇年の非課税立法が成立したもので右立法前は金属マンガンが課税品目であつたことは鉱業界自ら認めていたことである。 (五) 関税定率法、日本標準商品分類上の定義 1 (1)関税定率法別表関税率表(昭和四一年法律第三七号による改正されたもの)第七三類鉄鋼及びその製品欄注1(c)は次のように規定する。 即ち、「フエロアロイ」とは、実用上圧廷又は鍛造に適しない鉄合金で通常鉄鋼の製造に用いるもののうち、次に揚げげる元素のいずれか一つのの含有量が重量比で、それぞれ次に掲げる c)は次のように規定する。 即ち、「フエロアロイ」とは、実用上圧廷又は鍛造に適しない鉄合金で通常鉄鋼の製造に用いるもののうち、次に揚げげる元素のいずれか一つのの含有量が重量比で、それぞれ次に掲げる割合をこえ、鉄以外の合金元素の含有量の合計が全重量の九〇%(マンガンを含有し、かつけい素を含有しないものにあつては九二%とし、けい素を含有するものにあつては九六%とする。)以下のものをいう。 けい素八%マンガン三〇%クロム三〇%タングステン四〇%アルミニウム、チタン、バナジウム、モリブデン、ニオブ、その他の合金元素(鋼を除く)合計一〇%(2) 金属マンガンは日本工業規格によれば、炭素〇・〇一%以下、けい素〇・〇一%以下、燐〇・〇一%以下、硫黄〇・〇四%以下、鉄〇・〇一%以下、マンガンは残部九九・九二%以上の成分を有するから、関税定率法上は金属マンガンはフエロアロイには該当せず、同表八一類卑金属マンガンに分類される。ちなみにフエロマンガンは同表上「フエロアロイ」に分類される。 (3) 関税定率法も地方税法もいわゆる税法に属するところ同一法体系のもとでは特別の理由のない限り、同一の法律用語は同一意義に解するのが相当であるから地方税法上も金属マンガンはフエロアロイに該当せず、従つて合金鉄に該当しない。 2、行政管理庁設置法第二条六号の規定に基づいて行政管理庁が制定した日本標準商品分類は金属マンガンを金属ケイ素、金属クロム等と共にフエロアロイ類似品に分類し、フエロアロイには分類していない(フエロマンガン、シリコマンガン、スピーゲル等はフエロアロイに分類されている)。 (六) 日本工業規格及び地方税質疑応答集について1、日本工業規格は、金属マンガンをフエロアロイに分類しているが、同規格は金属材料の工業上の取扱に際し、ロツトの作り方、品質、試 に分類されている)。 (六) 日本工業規格及び地方税質疑応答集について1、日本工業規格は、金属マンガンをフエロアロイに分類しているが、同規格は金属材料の工業上の取扱に際し、ロツトの作り方、品質、試験及び検査、表示の規格等については当然尊重されなければならないがその分類は絶対的なものではなく、税法上は別個の観点から考察して差支えない。 2、財団法人地方財務協会発行自治省税務局編地方税質疑応答集には、金属マンガンが地方税法四八九条一項二号の合金鉄に該当する旨の記載があるが、これは税務局の責任者の決裁を経由したものではなく、雑誌「地方税」に発表された個人的見解を項目別に整理して登載したものに過ぎないから、それは自治省の責任のある文書ではない。 四、抗弁に対する答弁抗弁欄冒頭記載の事実は否認(但し昭和四〇年六月一日以降非課税とされたことは認)。金属マンガンは次の理由により地方税法四八九条一項二号の合金鉄に該当すると解すべきである。 (一) 地方税法四八九条一項二号の立法趣旨1、地方税法四八九条一項二号は、国民生活において重要な基礎資材である鉄鋼及びその原料について電気ガス税を非課税とすることにより、コストを引き下げ、もつて国民経済の利益を図る趣旨によるのであり、同号に合金鉄が掲記されているのは、合金鉄が脱酸、脱硫及び合金成分添加等の目的のため鉄鋼原料として不可欠であり、かつ生産費に占める電気料金の割合が高いからである。 2、金属マンガンは製鋼のための脱酸、脱硫及び合金成分添加のために使用され、製造原価に占める電力料金は二〇%を超えている。 3、金属マンガンは、右2の用途と同一であり、かつ、同号の合金鉄に包含されることの明白である。フエロマンガン(JISG二三〇一)の不純物の極少なものと解することもできる。 4、右1ないし3によると金属マンガンは ガンは、右2の用途と同一であり、かつ、同号の合金鉄に包含されることの明白である。フエロマンガン(JISG二三〇一)の不純物の極少なものと解することもできる。 4、右1ないし3によると金属マンガンは本号にいう合金鉄に含まれると解すべきである。 (二) 金属学上の定義に関する被告の主張について 1 金属学上の金属マンガンの定義は自然科学上のものであり、これが右(一)の法条の合金鉄に該当するか否かは法律解釈の問題であるから、右の定義は税法解釈の根拠とはならない。 2 合金鉄という用語につき(1) 右(一)の法条は合金鉄なる用語を使用しているが、鉄分を相当量含んでいなければならないものではなく、合金鉄なる用語は、単にその沿革を示すに止まるものである。 (2) イ合金鉄(この英語がフエロアロイであり、フエロは鉄、アロイは合金を意味する。以下合金鉄とフエロアロイを適宜使い分ける。)は製造開始の頃は溶鉱炉によつて製造されたため、鉄分の含有量が多く、その鉄分を多量に含有するという事実に基づき合金鉄と呼称されたものと考えられる。 ロしかして合金鉄は製鋼のための脱酸、脱硫剤として、また合金成分添加剤として使用されているものであるがその目的のためには合金鉄中のマンガンやクロムやシリコン等が必要であり、鉄分は本来不必要なのであるが、製鋼のため使用されるのでおるから、鉄分は有害でもなく、また鉄分を除去するためには更に工程を必要とし、そのためコストが高くなるので鉄分を含んだまま使用されていた。 ハしかし高級特殊鋼の製造のため使用する場合には、鉄分の存在が支障になるので、鉄分を除去する必要があつたところ、電解法その他枝術の進歩により鉄分の含有量の少ない合金鉄が製造されるようになつたもので、金属マンガンもその一である。 ニ従つて金属マンガンは合金鉄のうち、鉄分の 、鉄分を除去する必要があつたところ、電解法その他枝術の進歩により鉄分の含有量の少ない合金鉄が製造されるようになつたもので、金属マンガンもその一である。 ニ従つて金属マンガンは合金鉄のうち、鉄分の含有量が少ない純度の高いものということができる。 (3) 日本工業規格では鉄分を殆んど含まない本件の金属マンガンは勿論、金属クロム、金属ケイ素、カルシウムシリコンをフエロアロイに分類している。 (4) 従つて金属マンガンが鉄分をほとんど含有しないことは金属マンガンが本号の合金鉄に含まれると解することの支障とはならない。 (三) 地方税法の法文の構造に関する被告の主張について金属マンガンのメーカーは、わが国には右三(三)の訴外中央電工と原告会社の二社しかなく、かつ二社共その製造に関し昭和四〇年以前非課税であつたところ、昭和四〇年の期間限定非課税措置は、立法ないし法案作成当局が右の事情を知らないまま、調査もせず、金属マンガンは課税対象の物件であるとの誤解に基づきなされたものである。しかし立法がなされた以上、金属マンガンは昭和四〇年から三年間期間限定の非課税物件と考えざるを得ないが、逆にこの立法を根拠にして、被告主張のように金属マンガンは、昭和四〇年以降始めて期間限定非課税物件となつたものであつて、その以前は課税物件であると解釈することは当らない。 (四) 非課税立法の経緯に関する被告の主張について1、右(三)のとおりわが国で金属マンガンを製造しているのは訴外中央電工及び原告会社のみであり、両社共製造開始以来これにつき、非課税の取扱を受けてきたから、非課税立法を要望する必要性がない。 2、但し原告は昭和四三年自治省税務局に対し金属マンガンの永久的非課税立法を要望したことがあるが、それは右昭和四〇年の期間限定非課税措置の終期が昭和四三年五月末日であり、も を要望する必要性がない。 2、但し原告は昭和四三年自治省税務局に対し金属マンガンの永久的非課税立法を要望したことがあるが、それは右昭和四〇年の期間限定非課税措置の終期が昭和四三年五月末日であり、もし永久的非課税立法がなされないときは、右終期までの間、本訴において、原告が勝訴とならない限り被告は右終期後原告に対し、課税することが確実視され、それにより、原告が一時的にも納税の必要に迫られるおそれがあるからであつて、昭和四〇年以前において金属マンガンが課税物件であつたことを前提にしたものではない。 (五) 関税定率法上の定義に関する被告の主張について関税は輸入品に対する国内産業保護、輸出促進、国民生活に対する考慮、相手国のわが国に対する措置等税収以外の目的によつて主として決定され、税収目的は従たるものであつて、関税率を定める関税定率法はその目的において通常の税法とは著るしく異なり、同一の法体系ということはできず、右法のフエロアロイの定義は地方税法上の参考にならない。 (六) 日本工業規格及び地方税質疑応答集について1、金属マンガンを、工業標準化法に基づく日本工業規格はフエロアロイ中に分類し、財団法人地方財務協会発行自治省税務局編「地方税質疑応答集」は合金鉄に包含されるとしている。 2、現実の徴税事務は右1に依拠して執行されている。すなわち、金属マンガンにつき新潟県中頚城郡妙高高原町は後者を根拠に、金属ケイ素につき、長野県塩尻市は後者を、福島県郡山市、同県田村郡小野町、新潟県直江津市は前者を、それぞれ根拠に地方税法四八九条一項二号の合金鉄に該当するものとして非課税の取扱をなし、被告もまた本件賦課処分前は後者を根拠に非課税の取扱をしていたのである。 3、なお自治庁税務局市町村税課長が前者に依拠して地方税法上の合金鉄の解釈をした次の如き実例がある。 として非課税の取扱をなし、被告もまた本件賦課処分前は後者を根拠に非課税の取扱をしていたのである。 3、なお自治庁税務局市町村税課長が前者に依拠して地方税法上の合金鉄の解釈をした次の如き実例がある。 昭和二八年五月一五日自治庁市町村税課長は新潟県総務部長に宛てたカルシウム、シリコンに対する電気ガス税についてと題する文書(甲第七号証の六)において、カルシウム、シリコンは工業技術院(通商産業省付属機関)制定の日本工業規格(JIS)においても合金鉄部門に含めているから、地方税法第四八九条一項二号に規定する合金鉄に該当する旨の見解を表明した。 第三、証拠関係(省略)○ 理由第一、請求原因について、その(一)、(二)の事実は当事者間に争いがない。 第二、抗弁について、一、合金鉄の意義(一) 地方税法四八九条一項二号所定の意義1、地方税法四八九条一項の趣旨は、重要産業に係る製品の生産コストを低下させて国民経済の利益を図るため、同産業に係る製品中、その生産費に占める電気料金の割合の高いものの生産に直接使用する電気について電気ガス税を課税しないことにある。 2 (1)右の電気料金の割合は概ね五%以上と解するのが相当である。 (2) 成立につき当事者間に争いのない乙第六号証によれば昭和三七年一月五日地方税法法案の立案関係当事者である通商産業省企業局長と自治省税務局長の間において、電気ガス税の非課税品目についての覚書が取り交わされ、そのなかで重要基幹産業又は新規重要産業に係る製品のうち生産コスト中に占める電気料金の割合が概ね五%以上である品目は新たに追加し、それに満たないものは整理する旨の了解がなされた事実が認められ、これに反する証拠はない。 (3) 右(2)の事実は、右(1)の解釈の基礎をなすものである。 3、右1の立法趣旨及び2によれば、地方税法四八九 に満たないものは整理する旨の了解がなされた事実が認められ、これに反する証拠はない。 (3) 右(2)の事実は、右(1)の解釈の基礎をなすものである。 3、右1の立法趣旨及び2によれば、地方税法四八九条一項二号所定の合金鉄は、地方税法上他に特別に解すべき事由がない限り、工業上合金として取扱われその製造に多量の電気を費消するものを指称すると解するのが相当である。 (二) 金属マンガンの性質証人Dの証言により真正に成立したものと認める乙第八号証の一ないし三、成立につき当事者間に争いのない乙第一三号証の一、二、一八号証の一、二、証人Aの証言によれば次の事実を認めることができ、これに反する証拠はない。 1、金属マンガンは、通常高級特殊鋼製造のための脱酸剤、脱硫剤および磁石鋼、特殊軽合金、鋼合金などの各合金成分添加剤として、さらに溶接棒フラツクスや化学薬品、電気接点、化学触媒などにそれぞれ使用されているが、類似の製品であるフエ口マンガンよりマンガン分の純度が著るしく高く、コストも割高であるため、同じ製鋼用に用いられるとしてもコストの関係からフエ口マンガンと異なり右のように主として、比較的高級な鋼の製造に使用されている。 2、金属マンガンはマンガン絋を原料として電解槽で電解して製造するため多量の電気を必要とし、生産コストに占める電気料金の割合はほぼ二〇%である。 (三) 工業上の意義工業上の合金鉄の概念については、絋工業品の品質の改善、生産能率の増進その他生産の合理化、取引の単純公正化及び使用又は消費の合理化を図り、あわせて公共の福祉の増進に寄与することをめざす工業標準化法(昭和二四年六月一日法律第一八五号)の立法目的により、同法に基づいて定められた日本工業規格が最も権威があるものと考えられるところ、成立につき当事者間に争いのない甲第六号証の一ないし二 工業標準化法(昭和二四年六月一日法律第一八五号)の立法目的により、同法に基づいて定められた日本工業規格が最も権威があるものと考えられるところ、成立につき当事者間に争いのない甲第六号証の一ないし二〇によれば日本工業規格はフエロマンガン・フエロシリコン・フエロクロム・シリコンマンガン・スピーゲル・フエロタングステン・フエロモリブデン・フエロバナジウム・フエ口チタン・フエロホスホル・金属ケイ素・金属クロム・カルシウムシリコン・シリコンクロム・フエロニツケル・高窒素フエ口クロム・フエロボロン・フエロニオフとともに本件の金属マンガンをフエロアロイ(合金鉄の英語従つてフエロアロイと合金鉄は同義語である)に包含している。その用途は、各物質により必らずしも一様ではないが鉄鋼又は非鉄合金製造のための脱酸・脱硫又は合金成分添加剤として使用されている。 四右(二)、(三)によれば、金属マンガンは工業上合金鉄として取扱われ、その製造に多量の電気を消費することが明らかであるから、(一)3に従い、地方税法上、他に特別に解すべき事由がない限り地方税法上の合金鉄に包含されると解すべきである。 二、右一(四)の特別に解すべき事由の存否(抗弁の順序に従う)(一) 金属学上の定義(抗弁(一))との関連において1、前記甲第六号証の一「ないし一三によれば、日本工業規格(JIS)は金属マンガンの成分を炭素、ケイ素、燐、鉄各〇・〇一%以下、硫黄〇・〇四%以下、マンガン残り全部、金属ケイ素の成分を、その一号がケイ素九八・〇%以上、炭素〇・一〇%以下、燐、硫黄各〇・〇五%以下、鉄〇・七%以下、その二号がケイ素九七・〇%以上、炭素〇・一〇%以下、燐、硫黄各〇・〇五%以下、鉄一・〇%以下、金属クロムの成分を、クロム九九・〇%以上、炭素〇・〇四%以下、ケイ素〇・二%以下、燐、硫黄、鉄各 下、その二号がケイ素九七・〇%以上、炭素〇・一〇%以下、燐、硫黄各〇・〇五%以下、鉄一・〇%以下、金属クロムの成分を、クロム九九・〇%以上、炭素〇・〇四%以下、ケイ素〇・二%以下、燐、硫黄、鉄各〇・〇五%以下、アルミニウム〇・三%以下、又は全体として燐〇・〇二%以下と規定していることが認められ、これに反する証拠はない。 右事実によれば、これらの金属は、鉄分の含有量は極めて少量であるのみならず、その主体となる金属以外のものは何%以下と規定されているから、仮に工業技術の発展によつて純度一〇〇%のものが精錬されることになつたとしても、それはフエロアロイに包含されることになり、従つて工業上は鉄分を相当に含有せず、かつ合金でないものもフエロアロイとされることになる。 2、地方税法四八九条一項二号は合金鉄の製造を問題としているから、工業上の取扱のみを問題とすれば足り、厳密な金属学上の定義には関わりを持たない。従つて工業上右のように解して差支えない以上、地方税法上特に合金鉄とは鉄分を多量に含有する合金でなければならないと狭く解する必要はない。 3、従つて、金属学上の定義をもつて右一(四)の特別に解すべき事由が存在するものとは言えない。 (二) 地方税法の変遷(抗弁(二))との関連において1、右法律改正の経過(1) 地方税法(昭和二五年七月三一日法律第二二六号)四八九条一項二号は、合金鉄を、銑鉄、鋼●、鋼材、鋳鍛鋼、可鍛鋳鉄とともに電気ガス税のいわゆる永久非課税品目に指定した。 (2) 昭和四〇年三月三一日法律第三五号による、同法の改正により、合金鉄は、同法四八九条一項二号で、そのまま永久非課税品目とされたが、金属マンガンは同条二項五号で三年間の期間を限定し非課税品目に指定された。 (3) 昭和四三年三月三〇日法律第四号による同法の改正により、合金鉄( 四八九条一項二号で、そのまま永久非課税品目とされたが、金属マンガンは同条二項五号で三年間の期間を限定し非課税品目に指定された。 (3) 昭和四三年三月三〇日法律第四号による同法の改正により、合金鉄(同法四八九条一項二号)及び金属マンガン(同条同項九号の四)のいずれも永久非課税品目に指定された。 2、右1に基づく解釈(1) 右1(2)(3)の如く昭和四〇年以降金属マンガンが合金鉄に包含されない旨の規定が地方税法に導入されたことに鑑み、それ以前(右1(1)を指す)の法律は右1(2)(3)と同一の明文化を欠いたのみで実質上はこれと同趣旨に解すべきであるとの見解(被告の主張するところである)も成立する余地はあるが、新設された法条の存在により特段の事由もなく、直ちに明文化されていないそれ以前における法解釈につき演繹をすることは慎重でなければならない(本件においては右特段の事情は認め難い)上、右1(1)の立法においては金属マンガンは合金鉄に包含され1(2)の立法によりそれ以後はじめて金属マンガンは合金鉄に包含されなくなつたものとの解釈も可能である。 (2) 右(1)によると、右法律改正の経過をもつて右一(四)の特別に解すべき事由が存在するものとは言えない。 (二) 金属マンガン製造開始の時期(抗弁(三))との関連において1、右主張を敷桁すると昭和二五年地方税法が施行当時、製造されていない金属マンガンに課税非課税いずれの措置もとりえない、ということに帰着する。 2、右1の見解に従えば、地方税法が施行された昭和二五年当時、現に製造されている製品についてのみ課税ができ、産業の発展等によつてその後新たに開発製造されるに至つた類似の製品に係る電気についての電気ガス税を課税しえないという結論が導かれ、斯様な解釈が法律的に妥当でないことは論をまたない。 3、右2に でき、産業の発展等によつてその後新たに開発製造されるに至つた類似の製品に係る電気についての電気ガス税を課税しえないという結論が導かれ、斯様な解釈が法律的に妥当でないことは論をまたない。 3、右2によると、右1の主張は、それ自体失当であり、従つて右一、(四)の特別に解すべき事由が存在するものとは言えない。 四三年間の期間限定非課税措置立法の経緯(抗弁(四))との関連において1、成立につき当事者間に争いのない甲第一二号証の二、乙第九号証の一ないし七、第一〇号証の一ないし六、証人Dの証言により真正に成立したものと認める乙第七号証の一ないし三、第八号証の一ないし三及び弁論の全趣旨によれば次の事実を認めることができ、これに反する証拠はない(1) 昭和三七年頃より日本鉱業協会から通産省に対し、金属マンガンの製造に使用する電気について非課税措置化の要望がなされたので同省は自治省に対し、同年以来毎年金属マンガンの非課税措置を要望した。 (2) 通産省鋼山局が昭和三九年九月自治省税務局に提出した電気ガス税非課税品目追加要望品目説明資料には、金属マンガン製造についての電気ガス税は原告は、昭和三八年度実績八四七万円、昭和三九年度推定八九六万円、昭和四〇年度見込九三一万円、訴外中央電工は昭和三八年度実績二七三万円、昭和三九年度推定二九四万円、昭和四〇年度見込三一五万円である旨の各記載がある。 (3) 日本鉱業協会発行雑誌「鉱山」の昭和三九年七月号五〇頁の電気ガス税と題する項には、金属鉱業関係としては、電解マンガン並びに石膏を非課税品目として要望してきたが、その必要性は認めながら財源の関係から見送られた旨の記載、昭和四〇年七月号四六頁の電気ガス税と題する項には、当業界としては、昭和四〇年度電気ガス税非課税追加品目として、電解マンガン(電解金属マンガン)、電解二 認めながら財源の関係から見送られた旨の記載、昭和四〇年七月号四六頁の電気ガス税と題する項には、当業界としては、昭和四〇年度電気ガス税非課税追加品目として、電解マンガン(電解金属マンガン)、電解二酸化マンガン並びに石膏を要望した結果、電解マンガンについては昭和四〇年六月一日から三年間に限り非課税扱いとされることが決定した旨の各記載がある。 (4) わが国で金属マンガンを製造しているのは訴外中央電工(製造開始昭和二六年頃)及び原告(製造開始昭和二七年頃)のみであり、被告は、本件賦課に至るまで、金属マンガンは合金鉄に含まれるものとして、これを非課税扱としており、原告が昭和四二年に至り始めて本伴課税処分を受けるまで、右両社とも製造開始以来金属マンガン製造に使用する電気について電気ガス税が課されなかつた。 2、右1の事実に基づく判断(1) 一般に、ある税について長期にわたり、非課税の取扱を受けている者が相当の根拠をもつてその取扱が、税法上適法な措置であると思料している場合、新たに課税立法措置の動き等特別の事情がない限りその品目につき改めて非課税立法の措置を要望することのないことは経験則上明白であると解されるところ、本件において昭和一二七年以降右特別の事情が存在したことを認めるに足る証拠はない。 (2) 右(1)によると、右1(1)の要望、同(2)の記載、同(3)の記事は、いずれも、その当事者が金属マンガンについて実態の調査をせず現実に課税されているとの誤認に基づき、同(4)の二社と無関係になされたものであると推定するのが相当である。 (3) 右(2)によると、右1、(1)ないし(3)の事実は昭和四〇年以前金属マンガン製造に使用する電気が、電気ガス税の課税対象であつたと推認する資料とはなし難く、従つて右事実をもつて右一、(四)の特別に解すべき事由が存 と、右1、(1)ないし(3)の事実は昭和四〇年以前金属マンガン製造に使用する電気が、電気ガス税の課税対象であつたと推認する資料とはなし難く、従つて右事実をもつて右一、(四)の特別に解すべき事由が存在するものとは言えない。 (五) 関税定率法、日本標準商品分類上の定義(抗弁(五))との関連において 1 (1)関税定率法上、金属マンガンは、同表別表関税率表第七三類のフエロアロイではなく、同表第八一類の卑金属に該当せしめており、他方工業上の標準として権威のある日本工業規格は、金属マンガンをフエロアロイに包含している。 (2) 一般に同一法体系の下では特別の理由のない限り同一法律用語は同一意義に解すべきであるとする原則が働くところ、右(1)の日本工業規格は右関税定率法上の定めに対し、所謂特別の理由に該当するものと考えるのが相当であり、従つて右関税定率法上の定義のみをもつてして、金属マンガンが合金鉄に包含されるものでないと結論づけることはできない。 2 (1)日本標準商品分類は金属マンガンをフエロアロイ類似品に分類し、フエロアロイには分類していない。 (2) 成立につき当事者間に争いのない乙第一四号証の一ないし六によれば同分類は各種の統計調査の目的に資するため、統計技術上の観点から制定されたものであることが認められ、これに反する証拠はない。 従つて同分類は地方税法の解釈に直接結びつくものではないことが明らかである。 3、右1(2)、2(2)によると、1(1)、2(1)をもつて一(四)の特別に解すべき事由が存在するものとは言えない。 (六) 地方税質疑応答集等(抗弁(六)及び事実欄四、(六))との関連において1、前記甲第六号証の一ないし二〇、成立につき当事者間に争いのない甲第七号証の六、第八、一〇号証の各一ないし三、第一二ないし一六号証の各一、二、証人B 弁(六)及び事実欄四、(六))との関連において1、前記甲第六号証の一ないし二〇、成立につき当事者間に争いのない甲第七号証の六、第八、一〇号証の各一ないし三、第一二ないし一六号証の各一、二、証人Bの証言によると、事実欄四(六)の事実が認められ、これに反する証拠はない。 2、しかし、本件では金属マンガンが地方税法上の合金鉄に包含されるか否かという命題の下に右地方税質疑応答集、1の関係市町村(山形市を除く)の徴税実務及び自治庁市町村税課長の見解の正否をも間接的には審査の対象とするのであるから、それらの右命題の判断の資料とはならない。 三、結論(一) 右二(一)ないし(六)によると、本件当事者の主張の範囲において一(四)の地方税法上特別に解すべき事由は存在せず、かつ本件全証拠によるも右主張の範囲外においても右の事由を認定することはできない。 (二) 従つて金属マンガンは地方税法四八九条一項二号の非課税物件たる合金鉄に該当すると解すべきであり、抗弁は失当である。 第三、総合判断一、右第一、第二によると、被告のなした本件賦課は法律の適用を誤つた違法があり取消を免れない。 二、付言する。 (一) 前提事実電気ガス税は、昭和二五年七月地方税法の制定により市町村税となり、同法四八九条一項二号で合金鉄が永久非課税品目として規定されたこと(右第二、二、(二)1(1))、原告はその山形工場において昭和二七年八月から金属マンガンを製造しているが、これに対し、山形市は昭和四〇年法律第三五号による地方税法改正前は自治省の指導等により金属マンガンが合金鉄に該当するものとして非課税扱いをしていたこと(右第二、二、(四)1、(4))、地方税法は昭和四〇年法律第三五号による改正によりその四八九条二項五号に、新たに三年間の期限をつけて非課税物件として「金属マンガン(電解法 非課税扱いをしていたこと(右第二、二、(四)1、(4))、地方税法は昭和四〇年法律第三五号による改正によりその四八九条二項五号に、新たに三年間の期限をつけて非課税物件として「金属マンガン(電解法によるものに限る)」と追加規定したこと(右第二、二(二)1(2))から山形市は昭和四二年に至り自治省事務官の指示に基づきはじめて本件賦課をなしたこと(右第一)はいずれも前記認定のとおりである。 (二) 判断1、仮に金属マンガンが合金鉄に含まれないとしても、右(一)の経緯により約一五年間金属マンガンを非課税とした山形市の措置は、合金鉄は金属マンガンを含むとする一種の法的状態に類する事実状態を作出したものであり、これにより原告に対し同旨の内容の信頼を付与したものと言うべきである。 2、本件賦課は、右1の事実状態信頼を破壊し、長年培われた平地に波乱を生じしめるもので著しく原告の利益をを損うものであるから、その決定は、合理的理由に基づき、かつ、慎重になされなければならず、これを欠く場合は信義則上違法であると解さなければならない。 3、本件賦課は右(一)の如く昭和四〇年の法律改正と自治省事務官の法律解釈に基づいた指示に依拠したもので、合理的な理由も存せず、慎重な配慮に欠けている。 4、右3によると、本件賦課は右2の信義則に背反しているものと認めるのが相当であり、違法たるを免れず、従つてこの点から見ても本件賦課は取消を免れない。 第四、結論よつて、原告の本訴請求は正当であるからこれを認容し、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る