主文 1原告の請求をいずれも棄却する。 2原告は,被告NCSに対し,505万8719円及びこれに対する平成12年2月2日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 3被告NCSのその余の請求を棄却する。 4訴訟費用は,原告と被告NECとの間においては全部原告の負担とし,原告と被告NCSとの間においては,本訴反訴を通じ,被告NCSに生じた費用の5分の2を被告NCSの負担とし,被告NCSに生じたその余の費用及び原告に生じた費用を原告の負担とする。 5この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1当事者の求めた裁判1本訴について(1)請求の趣旨ア被告らは,原告に対し,連帯して2億3569万4711円及びこれに対する平成11年10月9日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 イ訴訟費用は被告らの負担とする。 ウ仮執行宣言(2)請求の趣旨に対する答弁ア被告NEC(ア)原告の被告NECに対する請求を棄却する。 (イ)訴訟費用は原告の負担とする。 イ被告NCS(ア)原告の被告NCSに対する請求を棄却する。 (イ)訴訟費用は原告の負担とする。 2反訴について(1)請求の趣旨ア原告は,被告NCSに対し,1億円及びこれに対する平成12年2月2日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 イ訴訟費用は原告の負担とする。 ウ仮執行宣言(2)請求の趣旨に対する答弁ア被告NCSの請求を棄却する。 イ訴訟費用は被告NCSの負担とする。 第2事案の概要1本件は,行政事務のシステム化を図った原告と被告らとの間での同システムにかかわる紛争であり,本訴及び反訴から成る。 (1)(本訴)原告は,原告と被告らとの間に,(ア)主位的にシステム全体の開発・納入等を目的とする基本契約が存すると主張し,(イ)予備的に,個別のシステムの開 わる紛争であり,本訴及び反訴から成る。 (1)(本訴)原告は,原告と被告らとの間に,(ア)主位的にシステム全体の開発・納入等を目的とする基本契約が存すると主張し,(イ)予備的に,個別のシステムの開発・納入等を目的とする個別契約が存する,又は住民記録・税関連システムの開発・納入等を目的とする契約が存すると主張し,①‐1上記基本契約の債務不履行に基づく損害の賠償を,①‐2上記個別契約に付された解除条件が被告らの責めに帰すべき事由により成就したことに基づく損害の賠償を,①‐3住民記録・税関連システムの開発・納入等を目的とする契約の債務不履行に基づく損害の賠償を,②上記個別契約の錯誤無効を主張し,不当利得の返還を,③上記個別契約の締結に関して被告らに詐欺行為があったと主張し,不法行為に基づく損害の賠償を,被告NECについては,さらに,④被告NECが上記基本契約等の各契約の当事者ではないとしても,被告NECは,被告NCSが上記各契約に関連して負担する債務につき商法23条又は同条の類推適用により連帯責任を負うと主張し,損害等の賠償を請求するとして,被告らに対し,2億3569万4711円及びこれに対する本訴状送達の日以降である平成11年10月9日から支払済みまでの商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (2)(反訴)被告NCSは,上記システムの導入に関連して,原告との間で,①システム機器等の保守契約を締結したと主張し,同契約に基づく保守料を,②住民記録システム及び人事・給与システムにつきカスタマイズ契約を締結したと主張し,同契約に基づくカスタマイズ費用を,税関連システムにつき,③‐1主位的に,請負契約を締結したと主張し,同契約に基づく請負代金を,③‐2予備的に,契約締結上の過失又は不法行為に基づく損害賠償を請求するとして,原告に対し タマイズ費用を,税関連システムにつき,③‐1主位的に,請負契約を締結したと主張し,同契約に基づく請負代金を,③‐2予備的に,契約締結上の過失又は不法行為に基づく損害賠償を請求するとして,原告に対し,1億円及びこれに対する反訴状送達の日の翌日である平成12年2月2日から支払済みまでの商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (3)本訴及び反訴は,いずれも一部請求である。 2前提となる事実(争いのない事実及び証拠により容易に認定可能な事実)(1)原告は,愛知県海部郡内の地方自治体である。 被告NECは,通信機器,コンピューターその他の電子機器及び電子デバイスの製造,販売及びこれに関連するサービスの提供等を目的とする株式会社である。 被告NCSは,コンピューター・ソフトウェアの開発,ソフトウェア・パッケージの開発・販売等を目的とする株式会社である。 (2)原告は,従前,日本電子計算株式会社(以下「JIP」という。)に対して外部委託していた税関連業務をはじめとする電算業務の処理について,経済性や効率性の観点等から見直すため,平成6年7月ころ,原告職員から成る「プロジェクトチーム」を編成して内部検討を始め,平成7年5月ころ,被告らを含むコンピューター業界有力業者に対して資料の提供を求めた。 被告らは,上記資料請求に対し,平成7年5月31日付けの「蟹江町総合行政情報システムご提案書」(甲16号証)を共同で提出した。 (3)原告は,平成7年11月,「総合行政情報システム」(以下「本件総合システム」という。)を導入する方針を打ち出した。その概要は,以下のとおりである。 ア基本事項①現在委託処理している業務を自庁に持ち込み,システムの一元化を図る。 ②拡張性,経済性に富み,かつ効率的なシステムを導入する。 イ新システムの仕様①ハードウェアに関して のとおりである。 ア基本事項①現在委託処理している業務を自庁に持ち込み,システムの一元化を図る。 ②拡張性,経済性に富み,かつ効率的なシステムを導入する。 イ新システムの仕様①ハードウェアに関しては,クライアント・サーバ方式を採用する。 ②ソフトウェアに関しては,パッケージソフトの標準機能を極力活用し,また,原課において市販ソフトを活用した帳票作成ができるようにする。 ウ導入システムの業務範囲①統合OAシステム(電子メール,電子掲示板,スケジュール管理等)②財務会計システム(予算編成,予算執行,決算書,起債等)③住民記録・税関連システム(住民記録関係,税関係,健康管理,老人医療,児童手当,農家台帳,保育,水道料金等)④人事・給与システム(給与,人事記録等)エ新システムの導入時期①統合OAシステム及び財務会計システム(平成8年度,平成9年度)②住民記録・税関連システム及び人事・給与システム(平成9年度,平成10年度)(4)原告は,平成7年11月6日,被告らを含む5社(被告らを1社と数える。)に対し,本件総合システムに関する前記概要等を記載した「総合行政情報システム導入に関する提案書の提出について(依頼)」と題する書面(甲1号証。以下「本件提案依頼書」という。)を交付し,提案書及び見積書の提出を求めた。 被告らは,同月20日付けの「御提案書」(甲2号証。以下「本件提案書」という。)及び「御見積書」(甲3号証。以下「本件見積書」という。)を原告に共同で提出した。 原告は,同月24日から同年12月6日までの間に,上記5社の担当者を招いて,提案内容に関する説明会(以下「本件説明会」という。)を開いた。 (5)原告は,被告らの提案を採用する旨の平成8年1月24日付けの書面(甲15号証。以下「本件採用通知」という。)を,被告NCSに対して送付した。 ( る説明会(以下「本件説明会」という。)を開いた。 (5)原告は,被告らの提案を採用する旨の平成8年1月24日付けの書面(甲15号証。以下「本件採用通知」という。)を,被告NCSに対して送付した。 (6)その後,原告と被告NCSは,本件総合システムの具体的な導入方法等について協議し,原告に納入されたシステム機器等につき,原告と日本電気リース株式会社(以下「NECリース」という。)がリース契約を締結するとともに,原告と被告NCSが保守契約を締結することとした。 (7)原告は,平成8年3月22日,蟹江町指名業者審査委員会において,統合OAシステム及び財務会計システムの保守委託,パソコン等機器の保守委託,財務会計データセットアップ委託について,被告NCSを指名業者とすることを決定した(乙ロ9号証)。 原告は,同年5月13日,蟹江町指名業者審査委員会において,借上業務について,NECリースを指名業者とすることを決定した。 (8)被告NCSは,統合OAシステム及び財務会計システムについて,パッケージソフト等のソフトウェアを被告NEC製のコンピューター等のハード機器にセットアップし,これらを原告に引き渡した。 原告とNECリースは,平成8年8月30日付けで,上記統合OAシステム及び財務会計システムを構成するソフトウェア及びハード機器等につき,リース契約を締結した(甲5及び甲6号証)。 原告と被告NCSは,上記統合OAシステム及び財務会計システムを構成するソフトウェア及びハード機器等につき,保守契約を締結した。 上記各システムは,同年10月1日から稼働することとなった。 (9)ア被告NCSは,住民記録・税関連システムのうちの税関連システム以外の部分(以下「住民記録システム」という。)及び人事・給与システムについて,ソフトウェアに必要なカスタマイズを加えたうえでハ (9)ア被告NCSは,住民記録・税関連システムのうちの税関連システム以外の部分(以下「住民記録システム」という。)及び人事・給与システムについて,ソフトウェアに必要なカスタマイズを加えたうえでハード機器にセットアップし,これらを原告に引き渡した。 イ原告とNECリースは,平成9年12月1日付けで,上記住民記録システムを構成するソフトウェア及びハード機器等につき,リース契約を締結した(甲7ないし11号証)。 原告と被告NCSは,上記住民記録システムを構成するソフトウェア及びハード機器等につき,保守契約を締結した。 住民記録システムは,同日から稼働することとなった。 ウ原告とNECリースは,同10年2月1日付けで,上記人事・給与システムを構成するソフトウェア及びハード機器等につき,リース契約を締結した(甲12及び甲13号証)。 原告と被告NCSは,上記人事・給与システムを構成するソフトウェア及びハード機器等につき,保守契約を締結した。 人事・給与システムは,同日から稼働することとなった。 (10)このほかにも,原告は,被告NCSから,財務出先システム,プロジェクタ,栄養計算システム,消防OAシステム等の提供を受けて,それぞれ,NECリースとの間でリース契約を,被告NCSとの間で保守契約を締結し,順次稼働されることとなった。 原告と被告NCSが締結した平成10年度における保守契約は,別紙平成10年度保守契約一覧のとおりである(乙イ1ないし24号証)。 (11)ア原告と被告NCSは,平成11年4月1日,以下に記載する裁断機等についての保守契約(以下「本件裁断機等保守契約」という。)を締結した。 業務内容連続フォームバスター・インタースタッカー・スクリプトラベル貼付機,クーポンステッチャー・シュレッダー機械保守業務保守料月額9万3975円(消費税含む)契約 守契約」という。)を締結した。 業務内容連続フォームバスター・インタースタッカー・スクリプトラベル貼付機,クーポンステッチャー・シュレッダー機械保守業務保守料月額9万3975円(消費税含む)契約期間平成11年4月1日から平成12年3月31日まで支払方法当月分を請求後,30日以内に支払う。 イ被告NCSは,平成11年4月から8月まで,上記平成10年度における保守契約と同内容の保守業務及び本件裁断機等保守契約に基づく保守業務を行った。 被告NCSは,平成11年9月から11月まで,住民記録システム,マルチサーバーシステム,ハイレゾ・ノートPCについてのソフト及びハードウェアに関する保守業務(別紙平成10年度保守契約一覧1(3),同(7),同(8),2(4),同(5)及び同(7)に記載する業務に相当するもの。以下「本件住民記録システムに関する保守業務」という。)を除き,上記平成10年度における保守契約と同内容の保守業務を行った。 ウ原告は,平成11年12月24日,被告NCSに対し,平成11年4月ないし10月分の保守料として1147万9273円を支払った。 (12)原告と被告NCSは,上記住民記録及び人事・給与システムの導入と前後して,税関連システムの仕様確認作業に着手したが,同システムは,結局稼働するに至らなかった。 また,原告は,住民記録システムについても,後日運用を停止した。 第3当事者の主張1本訴について(1)原告の主張ア基本契約の履行不能に基づく損害賠償請求(ア)基本契約の成立原告と被告らは,被告らが,本件総合システムを開発した上,これを同システムの稼働に必要なハード機器とともに原告に納入するという契約(以下「本件基本契約」という。その性質は請負である。)を以下の経過で締結した。 a原告は,平成7年11月6日,被告らに対し,本件提案依頼 テムの稼働に必要なハード機器とともに原告に納入するという契約(以下「本件基本契約」という。その性質は請負である。)を以下の経過で締結した。 a原告は,平成7年11月6日,被告らに対し,本件提案依頼書を交付し,提案書の提出を求めることにより,契約の申込みの誘引をした。 b被告らは,原告に対し,本件提案書及び本件見積書を提出し,契約の申込みをした。 被告らの申込みは,本件説明会において,提案内容を具体的に説明するという形で,口頭においてもされた。 c原告は,平成8年1月24日ころ,被告らを本件総合システムの導入を委託する業者として採用する旨の本件採用通知を,被告両名を代表して被告NCSに対して発送し,上記契約の申込みに対する承諾をした。 (イ)本件基本契約の内容本件基本契約は,本件提案依頼書,本件提案書及び本件見積書の記載内容に従うもので,以下の内容を含む。 a仕事の内容①統合OAシステム,②財務会計システム,③住民記録・税関連システム及び④人事・給与システムが有機的一体的につながった一個のシステムである本件総合システムの開発及び同システムと,同システムの稼働に必要なハード機器の納入。 特に住民記録システムと税関連システムとは,情報の共通利用及び一括処理が可能な一体性の強いシステムである。 bシステムの開発手法標準機能のままでも十分利用可能なパッケージシステムに,必要最小限のカスタマイズを加えるという手法で行う。 c請負代金上記a①ないし④の各個別システムの合計で,保守料を除き,1億2493万円に必要最小限のカスタマイズ費用を加算した金額。 必要最小限のカスタマイズ費用とは,パッケージシステムが標準機能のままで,地方自治体に一般的に求められる機能を果たせるものであることが前提であったため,原則は0円であり,例外的に,原告・被告らの打合せの結果 限のカスタマイズ費用とは,パッケージシステムが標準機能のままで,地方自治体に一般的に求められる機能を果たせるものであることが前提であったため,原則は0円であり,例外的に,原告・被告らの打合せの結果,地方自治体に一般的に求められる以外の機能を原告独自の要望により付加することとなった場合,それに要する費用をカスタマイズ費用として上記代金に加算するものとして予定されていた。 dカスタマイズの範囲の決定方法被告らにおいてプロトタイピングの手法を用いて基本パッケージの内容を十分に説明するとともに,原告においてその現行業務内容を十分に説明し,原告・被告らともに,パッケージシステムを極力活用する方向で検討し,カスタマイズ項目を必要最小限に絞り込む。 e各システムの稼働時期(a)統合OAシステム及び財務会計システム平成8年度ないし平成9年度中(b)住民記録・税関連システム及び人事・給与システム平成9年度ないし平成10年度中なお,システムの稼働時期が遅れると,後述のとおり,原告の行政事務に支障が生じることは必至であるため,この稼働時期の合意は特に強調された。 fその他の合意内容(a)システムの構築から,保守,町職員の教育に至るまで,被告NEC及びその関連企業が,原告に対し,全面的に協力する。 被告NEC及びその関連企業は,原告に対し,市町村に対するサービスを専門とする熟練したスタッフを派遣する。 (b)被告らは,原告が従前JIPに委託していたときのデータを新システムにおいても支障なく活用できるようにする。 被告らは,自庁処理による原告の情報化体制を構築し,原告職員における重複事務を解消する。 (ウ)本件基本契約に基づくリース契約及び保守契約の締結本件基本契約締結後,原告と被告らは,本件総合システムの具体的な導入方法に関して協議し,次のとおり合意した。 職員における重複事務を解消する。 (ウ)本件基本契約に基づくリース契約及び保守契約の締結本件基本契約締結後,原告と被告らは,本件総合システムの具体的な導入方法に関して協議し,次のとおり合意した。 a被告らが原告に提供するソフトウェア(基本パッケージとカスタマイズを含む)及びハード機器については,NECリースと原告とがリース契約を締結し,5年間のリース契約終了後は,リース物件の所有権は原告に移転する。 b被告らが原告の要望に沿うソフトウェアを期限内に完成させた段階で,個別的に,原告とNECリースとの間でリース契約を締結するとともに,原告と被告NCSとの間で保守契約を締結する。 (エ)被告らの債務不履行(履行不能)a被告らは,本件総合システムのうち,統合OAシステム,財務会計システム,住民記録システム及び人事・給与システム等については,それぞれ原告に引き渡したが,税関連システムについては,原告と被告らとの間の打合せが遅滞し,平成10年6月16日に至っても,基本パッケージの仕様確認及びカスタマイズ項目の決定作業が終わらない状態であり,カスタマイズ項目決定後引渡しまでに必要なカスタマイズ作業,印刷用紙最終確認,データ移行テスト等を行うには膨大な作業が必要であることを考えると,仮に,同日以降,速やかにカスタマイズ項目が決定されたとしても,期限である平成11年3月末日からの稼働が不可能な状態であった。 b仮にシステムの稼働時期が遅れると,原告はJIPとの契約を更新しなければならず,電算のための予算を二重に組む結果となり,また,固定資産税の関連業務においては,平成12年の固定資産の評価替えに関する膨大な作業をJIP委託時と新システム稼働時の2回行わなければならなくなって原告職員に過大な負担が生じ,電算化する意味は無に帰する。 cところで,原告が被告ら ,平成12年の固定資産の評価替えに関する膨大な作業をJIP委託時と新システム稼働時の2回行わなければならなくなって原告職員に過大な負担が生じ,電算化する意味は無に帰する。 cところで,原告が被告らに対して開発,納入を求めた本件総合システムは,上記各個別システムを統合し,各端末においてすべてのシステムの利用を可能にするとともに,住民情報等の情報の一元化と共通利用を図るという「総合」行政情報システムであって,具体的には,税関連システムからの住民情報を人事・給与システムで利用し,給与情報を財務会計システムの予算編成処理で利用することができ,さらには,統合OAシステムにおいて他システムのデータを取り込み,必要な統計処理等を行うこと等を可能にするシステムである。 dそうすると,被告らが税関連システムを平成11年3月末日までに引き渡すことができず,平成10年度内の稼働ができなくなったことにより,被告らの本件基本契約に基づく債務は,社会通念上履行不能になったといえる。 (オ)債務不履行が被告らの責に帰すること上記のように,税関連システムの打合せが遅れたのは,以下のような被告らの事情によるものであるから,被告らの債務不履行は,被告らの責に帰する。 a被告らは,本件基本契約において,標準機能のままでも十分利用可能なパッケージシステムを提供することを約しながら,基本パッケージの代金額の20倍ものカスタマイズ費用を支払わなければ税システムを完成できないと主張して譲らなかった。 b被告ら(具体的には被告NCS担当者)は,税法及び原告の業務並びに基本パッケージに対する知識不足のために,原告からの基本パッケージの仕様等に関する質問に対して回答を留保することがほとんどであり,また,原告の要望を的確に聞き取る能力を有せず,あるいは,故意に原告の要望を聞き取ろうとせず,原告 足のために,原告からの基本パッケージの仕様等に関する質問に対して回答を留保することがほとんどであり,また,原告の要望を的確に聞き取る能力を有せず,あるいは,故意に原告の要望を聞き取ろうとせず,原告の要望が基本パッケージで果たせるかどうか(カスタマイズが必要かどうか)という検証作業を後回しに,結局実施しなかった。 c被告らは,打合せの手法としてプロトタイピングをうたいながらもこれを実行せず,原告から求められても,基本パッケージのデモンストレーションや帳票サンプルの提示もなかなか行わなかった。 また,原告が平成10年4月8日以降,被告らに対し,とりあえずカスタマイズなしの基本パッケージのみを納入してほしい旨再三要請したにもかかわらず,一向に基本パッケージの納入を行わなかった。 d原告と被告らとの間で,平成10年6月3日,原告の業務の聞き取り作業が行われたが,結局カスタマイズ項目の決定には至らなかったところ,被告NCSは,同月11日,原告町長A(以下「町長」という。)に対し,カスタマイズ必要項目が明らかになる程度に打合せが熟した旨の虚偽の報告をし,カスタマイズ費用の折衝を申し入れるなど不誠実な対応をした。 (カ)損害原告は,被告らの債務不履行により,以下のとおり,損害を被った。 a(a)原告は,平成11年8月31日までに,住民記録システムに関し,NECリースに対しリース契約に基づくリース料として,被告NCSに対し保守契約に基づく保守料として,合計1億1077万6438円を支払った。 原告は,同日以降,住民記録システムに関し,NECリースに対し,リース契約に基づくリース料として,1億2048万1514円を支払った。 (b)原告は,JIPに対し,税関連システム導入のために発注したデータ移行作業料として,1672万1369円を支払った。 (c)住民記録 に基づくリース料として,1億2048万1514円を支払った。 (b)原告は,JIPに対し,税関連システム導入のために発注したデータ移行作業料として,1672万1369円を支払った。 (c)住民記録の電算業務を従前通りJIPに委託していた場合,原告は,平成9年12月1日から同11年8月31日までの間に,JIPに対し,業務委託料として合計1228万4610円を支払わざるを得なかったことが予想される。 b(a)原告とNECリースとのリース契約は,被告らの要望により,被告らの関連会社であるNECリースとの間で締結されたものであるから,同リース契約に基づく原告の債務負担は,本件基本契約の締結との間に相当因果関係が存する。 原告と被告NCSとの保守契約は,本件基本契約の一部を成すものであるから,同保守契約に基づく原告の債務負担は,本件基本契約の債務不履行との間に相当因果関係が存する。 (b)原告がJIPに対して支払ったデータ移行作業料は,被告らが税関連システムを期限内に完成しなかったため,結果として無駄な費用になったものである。 c従って,原告が被った損害は,前記a(a)及び同(b)の合計額から同(c)を控除した残額である金2億3569万4711円である。 イ本件各個別契約に係る損害賠償請求(予備的主張)(ア)個々のシステムの請負契約の締結原告は,被告らとの間で,本件総合システムを構成する①統合OAシステム部分,②財務会計システム部分,③住民記録システム部分,④人事・給与システム部分のシステムにつき,個別に請負契約(以下「本件各個別契約」という。)を締結した。 (イ)解除条件の約定a本件各個別契約については,原告と被告らとの間で,①被告らが本件総合システム全体を完成させること,②本件総合システム全体の費用を本件見積書に記載された費用を超えない範囲に限定 (イ)解除条件の約定a本件各個別契約については,原告と被告らとの間で,①被告らが本件総合システム全体を完成させること,②本件総合システム全体の費用を本件見積書に記載された費用を超えない範囲に限定させることのいずれかが遵守されないことが解除条件として約定されていた。 b上記解除条件の約定の存在を基礎づける事実は,以下のとおりである。 (a)原告と被告らとの間において,上記ア(イ)aないしfの内容の合意がされた事実。 (b)被告らは,本件説明会において,被告らが本件総合システム構築を受注した場合の契約内容を,本件提案書及び本件見積書を引用しながら詳しく説明したが,その際,提案するシステムの特徴として,システムが一体であることがこのシステムの最大の価値であること,そのような優れたシステムが基本パッケージで完璧に実現できることを強調した。 c以上のとおり,原告が上記各個別のシステムについて被告らとの間で請負契約を締結した最大の動機は,本件総合システム全体が一体として稼働すること及びそのようなシステムがカスタマイズ無しの基本パッケージの納入で実現できることにあり,そのことは被告らも熟知していた。すなわち,①被告らが本件総合システム全体を完成させること,②本件総合システム全体の費用を本件見積書に記載された費用を超えない範囲に限定させることのいずれかが遵守されなければ,個々のシステムそれ自体としても請負の目的物として完成されたことにはならないことについて,原告と被告らとの間に意思の齟齬はなかった。 これを法的に評価すれば,上記①又は②のいずれかが遵守されないことが,個々の請負契約の解除条件として約定された,ということにほかならない。 (ウ)解除条件の成就上記ア(エ)a,b及びdに記載した事実と同じ(ただし,「本件基本契約」とあるのを「本件各個別契約」と が,個々の請負契約の解除条件として約定された,ということにほかならない。 (ウ)解除条件の成就上記ア(エ)a,b及びdに記載した事実と同じ(ただし,「本件基本契約」とあるのを「本件各個別契約」と読み替える。)。 (エ)損害上記ア(カ)に記載した事実と同じ(ただし,「本件基本契約」とあるのを「本件各個別契約」と読み替える。)。 ウ住民記録・税関連システム作成契約の債務不履行に基づく損害賠償請求(予備的主張)(ア)本件基本契約の成立上記ア(ア)及び(イ)に記載した事実と同じ。 (イ)住民記録・税関連システム作成契約の成立原告と被告らは,本件基本契約に基づき,本件総合システムを構成する住民記録・税関連システムを被告らが完成し,これに対して原告が報酬を与える旨の請負契約(以下「住民記録・税関連システム作成契約」という。)を締結した。 住民記録システムと税関連システムは,情報の共通利用及び一括処理が可能な一体性の強いシステムであったことから,住民記録・税関連システムの全体を完成させることが,一つの請負契約の目的とされた。そして,同システムの稼働時期に関して,平成9年度ないし平成10年度に稼働させることを合意した。 (ウ)被告らの債務不履行(履行不能)上記ア(エ)a,b及びdに記載した事実と同じ(ただし,「本件基本契約」とあるのを「住民記録・税関連システム作成契約」と読み替える。)。 (エ)債務不履行が被告らの責めに帰すること上記ア(オ)に記載した事実と同じ。 (オ)損害上記ア(カ)に記載した事実と同じ(ただし,「本件基本契約」とあるのを「住民記録・税関連システム作成契約」と読み替える。)。 エ不当利得返還請求(ア)本件各個別契約の締結上記イ(ア)に記載した事実と同じ。 (イ)契約の錯誤無効被告らは,上記(ア)の契約締結に当たり,上記ア(イ) 連システム作成契約」と読み替える。)。 エ不当利得返還請求(ア)本件各個別契約の締結上記イ(ア)に記載した事実と同じ。 (イ)契約の錯誤無効被告らは,上記(ア)の契約締結に当たり,上記ア(イ)aないしeの事項を約束し,原告もそれらを要素として,請負契約を締結する旨の意思表示をした。 しかるに,以下の事情によれば,当該意思表示は,原告の錯誤に基づくものであり,したがって,本件各個別契約は無効である。 a①統合OAシステム,②財務会計システム,③住民記録・税関連システム,④人事・給与システムの各システムは,有機的一体的につながっておらず,寄せ集めであったこと。 bパッケージシステムの性能に欠陥があり,標準機能のままでは利用できないこと。 c被告らは,原告に対して,基本パッケージのプロトタイプモデルを見せることもできず,他の方法によっても,基本パッケージの内容を説明することができず,したがって,平成11年3月末日までに本件総合システム全体を完成,稼働することが不可能であったこと。 (ウ)被告らの利得及び原告の損失上記ア(カ)aに記載した事実と同じ。 (エ)被告らの利得と原告の損失との間に因果関係があること上記ア(カ)bに記載した事実と同じ(ただし,「本件基本契約」を「本件各個別契約」と読み替える。)。 (オ)被告らの利得に法律上の原因がないこと上記(イ)のとおり,本件各個別契約は無効であるから,被告らの利得には法律上の原因がない。 オ不法行為に基づく損害賠償請求(ア)違法な加害行為a欺罔行為被告らは,原告に対し,上記ア(イ)aないしeの事項を申し述べたが,上記エ(イ)aないしcのとおり,その内容には虚偽があった。 b因果関係原告は,被告らが上記ア(イ)aないしeの事項を申し述べなければ,本件各個別契約の締結に応じなかった。 (イ)損害の 述べたが,上記エ(イ)aないしcのとおり,その内容には虚偽があった。 b因果関係原告は,被告らが上記ア(イ)aないしeの事項を申し述べなければ,本件各個別契約の締結に応じなかった。 (イ)損害の発生原告は,被告らとの間で,本件各個別契約を締結したことから,上記ア(カ)に記載(ただし,「本件基本契約」とあるのを「本件各個別契約」と読み替える。)のとおりの損害を被った。 (ウ)被告らの故意又は過失被告らは,上記ア(イ)aないしeが虚偽であることを知りながら,又は過失によりこれを知らないで,原告に知らせなかった。 カ被告NECに対する商法23条に基づく請求(ア)商法23条の直接適用a被告NECは,被告NCSをして,自己の商号,自己が有する商標(住民記録・税関連システムについての「COKAS‐N」という商標のパッケージソフト)を使用して営業することを認めていた。 b原告は,決して被告NCSの技術力を信用したのではなく,専ら被告NECの技術力及び被告NECを中心とした関連企業全体のサポートがあることのみを信用し,被告NECが十分に能力を備えたパッケージソフトを使用して,被告NCSと共同で,原告の本件総合システムを構築する責任を負うものであることを信用して,本件基本契約,本件各個別契約又は税関連システム作成契約の締結に応じた。 (イ)商法23条類推適用a被告NECは,被告NCSをして,自己の商号,自己が有する商標(上記のCOKAS‐Nという商標のパッケージソフト)を使用して営業する外観を作出し,あるいは同外観が作出されていることを確知した後もこれをこのまま放置し,同商号及び商標使用の外観を放置した。 b原告は,上記の外観に基づいて,被告NECが十分に能力を備えたパッケージソフトを使用して,被告NCSと共同で,原告の本件総合システムを構築する責任 まま放置し,同商号及び商標使用の外観を放置した。 b原告は,上記の外観に基づいて,被告NECが十分に能力を備えたパッケージソフトを使用して,被告NCSと共同で,原告の本件総合システムを構築する責任を負うものと誤信して,本件基本契約,本件各個別契約又は税関連システム作成契約の締結に応じた。 キ一部請求であること原告は,被告らに対し,上記ア(カ)aのほか,本件総合システムの導入に関する費用として,統合OAシステム部分,財務会計システム部分及び人事・給与システム部分並びにこれらをセットアップするためのハード機器等の代金も既に支払ったものであるが,原告は,被告らの納入したシステム及びハード機器のうち,住民記録システム部分を除くその余の部分については,現時点でも,やむを得ず使用しているので,本訴では,当該使用している部分に関する代金等に関しては損害または損失に計上せず,一部請求として上記ア(カ)cの金額の支払を求める。 ?被告NECの主張ア基本契約の履行不能に基づく損害賠償請求について本件において,本件基本契約なるものは存在しない。 イ本件各個別契約に係る損害賠償請求について被告NECは,原告との間で本件各個別契約を締結していない。原告と契約を締結したのは被告NCSである。したがって,解除条件の約定もしていない。 ウ住民記録・税関連システム作成契約の債務不履行に基づく損害賠償請求について本件基本契約なるものは存在しないし,被告NECが,原告との間で住民記録・税関連システム作成契約を締結した事実もない。 エ不当利得返還請求について被告NECは,原告との間で本件各個別契約を締結していない。したがって,それについての要素の錯誤もあり得ない。 また,被告NECは,本件総合システムに関して,原告から1円たりとも代金を受け取っていない。 オ不法行為に基づく で本件各個別契約を締結していない。したがって,それについての要素の錯誤もあり得ない。 また,被告NECは,本件総合システムに関して,原告から1円たりとも代金を受け取っていない。 オ不法行為に基づく損害賠償請求について被告NECは,原告との間で本件各個別契約を締結していない。 被告NECは,原告に対して,被告NECは契約当事者でないこと,被告NECは原告に対して直接にシステム完成義務を負わないことを説明していたし,実際,原告もそのように認識していたのであるから,本件各個別契約の締結にあたって,被告NECが原告を欺罔することなどあり得ない。 カ商法23条に基づく請求について(ア)本件において,被告NCSを被告NECと混同するような外観,つまり営業主体を誤認混同するような外観は一切存在しないし,実際,原告には何らの誤解もなかった。 また,被告NECが,被告NCSに対して,被告NECの商号やその商標を使用して営業することを認めたり,そのような外観を作出することを放置したなどということはない。 (イ)本件当時の原告情報管理課長であったBは,本件総合システムの導入に関する契約の当事者は被告NCSであって,被告NECは契約の当事者とはならないことを知っていた。 仮に,原告が本件総合システムの導入に関する契約の当事者が被告NCSであることを知らなかったとしても,原告には,この点につき重大な過失がある。 (3)被告NCSの主張ア基本契約の履行不能に基づく損害賠償請求について原告の主張する本件基本契約なるものは,内容確定性及び実現可能性を欠くものであって,その存在が認められない。 イ本件各個別契約に係る損害賠償請求について(ア)本件各個別契約に関する「本件総合システムを構成する」との原告の主張については,その趣旨が明らかではないが,原告と被告NCSが,本件各個 められない。 イ本件各個別契約に係る損害賠償請求について(ア)本件各個別契約に関する「本件総合システムを構成する」との原告の主張については,その趣旨が明らかではないが,原告と被告NCSが,本件各個別契約を締結した事実は認める。 (イ)しかしながら,本件各個別契約に解除条件の約定はないし,したがって,解除条件の成就ということもあり得ない。 ウ住民記録・税関連システム作成契約の債務不履行に基づく損害賠償請求について(ア)本件基本契約が成立したとする事実,同契約に基づき住民記録・税関連システム作成契約が成立したとする事実,住民記録・税関連システムが一体性の強いシステムであって一つの請負契約の目的とされたとする事実,同システムの稼働時期に関する合意がされたとする事実については,すべて否認する。 (イ)また,税関連システム開発作業が履行不能となったことの原因は,原告が,従前慣れ親しんでいたJIP仕様に固執して,一方的に,当初の方針に反して膨大なカスタマイズ項目を要求するなどの非協力的態度に終始したことにあるのであって,被告NCSに責任があるとの主張は争う。 エ不当利得返還請求及び不法行為に基づく損害賠償請求について否認ないし争う。 2反訴について(1)被告NCSの主張ア保守契約に基づく未収保守料支払請求(ア)被告NCSと原告は,平成11年度における保守契約について,本件裁断機等保守契約を締結したほか,平成11年3月下旬ころ,平成10年度におけるものと同一内容の保守契約を平成11年度も継続することに合意した。 上記平成11年度の各保守契約の約定月額保守料合計額は,199万4367円である。 (イ)被告NCSは,平成11年4月1日から同年8月31日まで,上記平成11年度各保守契約に基づき,各保守業務を行ったが,原告は,同年9月以降,一部保守業務について 計額は,199万4367円である。 (イ)被告NCSは,平成11年4月1日から同年8月31日まで,上記平成11年度各保守契約に基づき,各保守業務を行ったが,原告は,同年9月以降,一部保守業務については,被告NCSが履行の提供をするも,これを受領することさえ拒絶している。 (ウ)原告は,上記平成11年度各保守契約に基づき,平成11年4月分ないし11月分の保守料合計1595万4936円を支払う義務があるところ,被告NCSが催告するも,同年12月24日に1147万9273円を支払ったのみで,残りの447万5663円を支払わない。 イ住民記録システム及び人事・給与システムに関するカスタマイズ契約に基づくカスタマイズ費用請求(ア)被告NCSは,住民記録システム及び人事・給与システムを,当面必要と思われたカスタマイズを完了した上で原告に引き渡し,原告とNECリースとの間で,同システムにつき,同カスタマイズ費用を含めたリース契約が締結された。 (イ)その後,被告NCSは,同システムにつき,原告の要望により,以下の追加カスタマイズを行った。 a住民記録システム「COKAS-N」サブプログラム(a)カスタマイズ内容住民票原本に行政世帯番号を印字する様にする変更,口座振替領収書のサイズ変更,印鑑証明書の電子公印文面追加等(乙イ27号証の別紙「明細書」記載のもの)(b)見積書提出平成9年9月1日(乙イ27号証)355万円(消費税別)(c)発注日平成9年9月2日(乙イ28号証)355万円(消費税別)(d)納入・検収日平成9年10月31日(乙イ29号証)b国民年金システムサブプログラム(a)カスタマイズ内容検認MTと同じレイアウトで,平成9年12月から平成10年11月分の収納データMTを作成する。 (b)見積書提出平成11年2月25日(乙イ30号証)5 システムサブプログラム(a)カスタマイズ内容検認MTと同じレイアウトで,平成9年12月から平成10年11月分の収納データMTを作成する。 (b)見積書提出平成11年2月25日(乙イ30号証)55万円(消費税別)(c)発注日平成11年5月28日55万円(消費税別)(d)納入・検収日平成11年6月8日及び9日(ウ)原告は,上記追加カスタマイズ費用410万円及び同消費税20万5000円の合計430万5000円を支払わない。 ウ税関連システム請負契約に基づく請負代金請求(ア)被告NCSと原告は,住民記録システム及び人事・給与システムの導入,稼働と前後して,税関連システムの仕様確認作業に着手したが,原告が,従前使用しているJIPの仕様に固執し,様々な要望を出してきたため,多量のカスタマイズが必要となった。 (イ)しかし,原告は,被告NCSが,いざ具体的なカスタマイズ項目の詳細確認を行おうとすると,打合せを延期又は拒否するなどの非協力的対応に終始した。 (ウ)原告の上記非協力的な対応は,税関連システムの平成11年3月末日の全面稼働が日程的に難しい状況になっても続いたため,被告NCSは,平成10年6月17日,「税システムカストマイズ項目一覧」(乙イ31号証)を原告に示して善処をするように求め,その結果,被告NCS及び原告間において,カスタマイズ対象項目の確定作業が行われた。同作業は,同月19日に完了し,同日,被告NCSと原告との間に,以下の内容の請負契約(以下「本件税関連システム請負契約」という。)が成立した。 aカスタマイズ内容「税システムカストマイズ項目一覧」(乙イ31号証)記載のものb費用(a)カスタマイズ費用1億1175万円(b)データ移行費用4380万円(c)パッケージソフト代775万円(d)消費税816万5000円合計1億7 ズ項目一覧」(乙イ31号証)記載のものb費用(a)カスタマイズ費用1億1175万円(b)データ移行費用4380万円(c)パッケージソフト代775万円(d)消費税816万5000円合計1億7146万5000円なお,被告NCSは,同月17日,カスタマイズ費用及びデータ移行費用について「システム工数見積り」(乙イ32号証)を原告に示しているので,原告は,上記カスタマイズには少なくとも上記の費用を要することを確認,了承の上,カスタマイズ項目の確定に合意したものである。また,パッケージソフト代についても,被告NCSは,原告に対して既に提示済みであった。 (エ)原告は,本件税関連システム請負契約が成立した後も,打合せを一方的に中止若しくは延期し,又は新たなカスタマイズを要望するなどの非協力的対応を続けた。 被告NCSは,逐一代替案を提示するなど,税関連システムの構築・稼働に向けて極めて誠実に対応したが,原告は,平成10年9月30日,突如として,「カスタマイズ費用はパッケージソフト価格に含まれていたはずである」,「カスタマイズ費用を支払うにしても4000万円以上は支払わない」,「税関連システム開発・導入を見送りたい」との一方的な契約破棄の申入れを行い,その後は,被告NCSが各種の提案を行うも,いっこうにこれに応じない。 そのため,被告NCSは,税関連システム開発作業そのものを完成させることができない。 (オ)本件税関連システム請負契約に基づく同システムの開発作業の履行不能は,上記のとおり,原告の非協力的な対応に基づくものであるから,注文者の故意,過失又は信義則上これと同視すべき事由に基づくことは明らかである。 したがって,原告には,被告NCSに対し,民法536条2項に基づき,本件税関連システム請負契約に基づく請負代金合計1億7146万5000円を 信義則上これと同視すべき事由に基づくことは明らかである。 したがって,原告には,被告NCSに対し,民法536条2項に基づき,本件税関連システム請負契約に基づく請負代金合計1億7146万5000円を支払う義務が存する。 エ契約締結上の過失又は不法行為に基づく損害賠償請求(予備的主張)(ア)仮に,被告NCSと原告との間に本件税関連システム請負契約が成立していなかったとしても,上記のとおり,同契約締結の準備は十二分に進捗し,被告NCSにおいて,同契約が確実に成立するとの期待を抱き,将来に向けての人員配置等も手配済みであったのであるから,原告には,被告NCSの同期待等を侵害したり,被告NCSの財産に損害を与えないよう,誠実に契約の成立に努めるべき信義則上の義務があるところ,原告の上記非協力的な対応や一方的に契約交渉を打ち切った経緯等に鑑みるならば,原告に同義務違反があることは明らかである。 (イ)被告NCSは,平成9年9月以降,原告の各種カスタマイズ要望に応えるべく,順次,多額の人件費等を要しており,原告の上記義務違反により被った損害は,人件費等の実費だけでも,7061万5362円を下らない。 むしろ,本件のごとく,契約交渉が最終局面に達しながら,何らの正当な理由に基づくことなく,突然契約交渉を一方的に打ち切った経緯,原告の重過失又は害意あるとでもいうべき対応を考慮するならば,いわゆる信頼利益か履行利益かの形式的な区別に拘泥することなく,原告は,契約上の責任と同様又はこれに相応する責任を負担すべきものである。 (ウ)したがって,原告には,被告NCSに対し,上記信義則上の義務違反に基づき,契約締結上の過失又は不法行為に基づく損害賠償として,被告NCSが支出した人件費等実費相当額とともに,本件税関連システム請負契約により被告NCSが得べかりし利益を含 上記信義則上の義務違反に基づき,契約締結上の過失又は不法行為に基づく損害賠償として,被告NCSが支出した人件費等実費相当額とともに,本件税関連システム請負契約により被告NCSが得べかりし利益を含めた,同契約に基づく請負代金相当額1億7146万5000円を支払う義務がある。 オ一部請求であること被告NCSは,原告に対し,①保守契約に基づく保守料請求権として447万5663円,②住民記録システム及び人事・給与システムに関するカスタマイズ契約に基づくカスタマイズ代金請求権として430万5000円,③本件税関連システム請負契約に基づく請負代金請求権として,又は予備的に契約締結上の過失又は不法行為に基づく損害賠償請求権として1億7146万5000円の各請求権を有するところ,一部請求として,1億円の支払を求める。 (2)原告の主張ア保守契約に基づく未収保守料支払請求について(ア)原告と被告NCSが,平成11年度も平成10年度と同一内容の保守契約を継続することを合意したとの点は否認する。 (イ)原告は,平成11年度の当初の時期には,税関連システムの導入のめどが立たないことが明らかとなったため,住民記録に関する業務をJIPに委託することで一元化するかどうかの検討を行っていたが,一元化が完了するまでの期間は被告NCSのシステムを使用せざるを得ないことから,期間を定めない暫定的な合意に基づき,被告NCSから保守サービスの提供を受けていた。 原告は,住民記録に関する業務を平成11年9月1日からJIPに委託することを内部的に決定した後,これを,同年6月初めころに開かれた蟹江町議会の全員協議会で報告するとともに,同月4日,被告NCSに伝えた。 原告と被告NCSは,平成11年12月ころ,本件住民記録システムに関する保守業務について,原告は,同年4月1日から同年8月 た蟹江町議会の全員協議会で報告するとともに,同月4日,被告NCSに伝えた。 原告と被告NCSは,平成11年12月ころ,本件住民記録システムに関する保守業務について,原告は,同年4月1日から同年8月31日までの期間に限定して保守料を支払い,被告NCSは,同年9月1日以降は保守業務を行わず,また,原告に保守料を請求しないことを合意した。 同合意に伴う契約書上の処理としては,保守期間を同年4月1日から平成12年3月31日までとする契約書を作成し,その後,同期間を同11年8月31日までに変更するという内容の変更契約を締結することで合意した。 (ウ)原告と被告NCSは,平成11年12月ころ,上記合意に基づいて,保守期間を同年4月1日から平成12年3月31日までとする保守契約書に調印し,原告は,同11年12月24日,被告NCSに対し,本件住民記録システムに関する保守業務の同年4月分ないし8月分の保守料及びこれ以外の保守業務に関する同年4月分ないし10月分の保守料合計1147万9273円を支払った。 続いて,原告は,平成12年1月ころ,被告NCSに対し変更契約書を交付したが,被告NCSは同契約書に調印することを拒んだ。 イ住民記録システム及び人事・給与システムに関するカスタマイズ契約に基づくカスタマイズ費用請求について(ア)住民記録システム「COKAS-N」サブプログラムについて被告NCSが主張する追加カスタマイズは,それ以前に被告NCSが行ったカスタマイズの修正,改良作業にすぎず,費用も以前のカスタマイズ費用に含まれている。 このことは,被告NCSも承知していたのであって,だからこそ,原告が上記追加カスタマイズについて検収した後も被告NCSから費用の請求はないし,また,上記追加カスタマイズについてリース契約も締結されていない。なお,上記追加カスタマイズ たのであって,だからこそ,原告が上記追加カスタマイズについて検収した後も被告NCSから費用の請求はないし,また,上記追加カスタマイズについてリース契約も締結されていない。なお,上記追加カスタマイズと同じく平成9年9月1日付けで見積書の提出があった別件追加カスタマイズ(甲22及び23号証)については,それ以前に行われたカスタマイズとともに,NECリースとリース契約を締結して代金を支払っている(甲24ないし26号証)。 (イ)国民年金システムサブプログラムについての被告NCSの主張は認める。 しかしながら,被告NCSは,本件基本契約に従ってシステム等を供給する義務を負うのであって,本件基本契約と独立して,個々のソフトウェアやカスタマイズが請負契約の目的となるものではないところ,被告NCSは,税関連システムを完成させなかったことにより,本件基本契約に違反しているのであるから,同カスタマイズについて,原告に費用を支払う義務はない。 ウ税関連システム請負契約に基づく請負代金請求について(ア)原告と被告NCSとの間でカスタマイズ対象項目の確定作業が行われ,同確定作業が平成10年6月19日までに終了したことは認めるが,同日に税関連システムについての請負契約が成立したことは否認する。 同確定作業は,税関連システムの稼働を平成11年3月末日に間に合わせるために,当面被告NCSが作業する内容を暫定的に合意したものにすぎない。 (イ)被告NCSが原告に「システム工数見積り」(乙イ32号証)を示したことは認めるが,原告が同書面に記載された費用を要することを確認,了承したことは否認する。 したがって,上記合意時には代金も決定されていない。 ちなみに,被告NCSは,上記合意がなされた後である平成10年7月2日,工数を削減した費用の概算(甲27号証)を原告に示している。 ( は否認する。 したがって,上記合意時には代金も決定されていない。 ちなみに,被告NCSは,上記合意がなされた後である平成10年7月2日,工数を削減した費用の概算(甲27号証)を原告に示している。 (ウ)被告NCSが税関連システム開発作業を完成させないことは認めるが,その責任が原告にあるとすることは争う。 そもそも,原告と被告NCSとの間の税関連システムの仕様確認等に関する打合せが思うように進展しなかったのは,被告NCSが,原告の再三にわたる要求にもかかわらず,帳票サンプルを提出しなかったことに原因がある。 また,原告が,被告NCSに対し,支払可能なカスタマイズ費用が4000万円であることを伝えたことはあるが,それは平成10年3月上旬ころのことである。 さらに,原告が,被告NCSに対し,JIPへの一元化を最終的に通告したのは平成11年6月4日であって,それ以前においては,原告と被告NCSとの間で,税関連システム導入作業の延期を含めて,調整がされていた。 エ契約締結上の過失又は不法行為に基づく損害賠償請求について原告と被告NCSとの間で,税関連システムについての請負契約締結の準備が十二分に進捗していたとはいえない。 請負契約においては,完成すべき仕事の内容及び代金が本質的な要素であるところ,原告と被告NCSとの間では,カスタマイズ費用が確定されていなかった。 第4当裁判所の判断1前提となる事実,甲1ないし3,27,30,59ないし62,66,67号証,乙イ1ないし24号証,乙イ25号証の1及び2,乙イ27ないし32,乙イ59号証の1及び2,乙イ62,63,66,67号証,証人C,同D及び同Eの各証言,原告代表者町長Aの供述,並びに弁論の全趣旨によると,以下の事実が認められる。 (1)ア本件で原告が導入を目指した「総合行政情報システム『NEOSOCIA 66,67号証,証人C,同D及び同Eの各証言,原告代表者町長Aの供述,並びに弁論の全趣旨によると,以下の事実が認められる。 (1)ア本件で原告が導入を目指した「総合行政情報システム『NEOSOCIA』」は,本件提案書等によれば,「住民情報システム,内部情報システム,文化情報システムを中核にして,総合行政情報システムを体系化」(甲61号証)したシステムであって,被告NECが開発したものである。本件においてNEOSOCIAを構成するパッケージソフトは,統合OAシステムについては「STAROFFICE」,財務会計システムについては「PC‐LAFOCS」,住民記録・税関連システムについては「COKAS‐N」,人事・給与システムについては「SOLIST」であって,「PC‐LAFOCS」は被告NCSが開発したものであるが,その他は被告NECが開発したものである。 また,本件で提案されているコンピューター等のハード機器の多くは,被告NECの製品である。 イ本件提案書には,「提案のポイント」として,「NEOSOCIAを構成する各パッケージは全て,当社の自治体専任組織『公共システム事業部パッケージ開発部』により開発され」ているため,「全庁的な『横断』システムが実現可能になります。」(「総合行政情報システム『NEOSOCIA』による全庁統一的なシステム構築」)との記載がある(9頁ないし11頁)。 ウ「COKAS‐N」は,本件提案書によれば,「住記,印鑑,税等,市区町村における住民情報関連業務全般を処理するシステム」であって,住民基本システム,住記バッチシステム,税オンラインシステム,税バッチシステム等のサブシステムを持ち(23頁),住民記録,印鑑登録,外国人登録等の業務間において,個人情報の一元管理等が可能である(35頁ないし47頁)。また,各サブシステムは, ラインシステム,税バッチシステム等のサブシステムを持ち(23頁),住民記録,印鑑登録,外国人登録等の業務間において,個人情報の一元管理等が可能である(35頁ないし47頁)。また,各サブシステムは,事業計画に応じて,必要な業務を選択したり,段階的に導入していくことができる(甲62号証)。 本件総合システム導入について原告と交渉した被告NCS名古屋支社は,本件以前において,COKAS-Nを自治体に納入したことがなかった。 (2)ア本件提案依頼書には,「パッケージソフトの導入の際には,パッケージの標準機能を極力活用するという前提に,ご提案をいただいておりますので,画面・帳表の変更,プログラムロジックの変更等,町独自のカスタマイズが必要となる際に発生する費用につきましては,選定業者との打合せの上算出するものとし,今回の費用算出ではカスタマイズに要する費用は不要とします。」との記載がある。 イ本件提案書には,本件総合システムを構成する各システムの開発,導入作業として,仕様確認(現行業務のまとめ・分析,パッケージの詳細説明,パッケージと現稼働システムの相違点抽出),システム構築(パッケージの必須作業(パラメーター設定等),パッケージのカスタマイズ作業(追加機能の決定及び修正作業)),テスト(テストデータの生成,総合テスト,テスト結果の照合・確認),マスタセットアップ(マスタ移行に関しての検討及び移行作業),操作研修・運用準備(システムの運用計画作成,操作研修)等が記載されている(212頁ないし219頁)。 また,開発方法として,「〈ステップ1〉仕様確認伝票,台帳等管理方法の検討,関連業務との調整,使用項目・出力帳票の決定等,本パッケージを適用するための調査・分析を行います。」,「〈ステップ2〉システム構築豊富な自治体システムの開発実績に培われた,パッケ 等管理方法の検討,関連業務との調整,使用項目・出力帳票の決定等,本パッケージを適用するための調査・分析を行います。」,「〈ステップ2〉システム構築豊富な自治体システムの開発実績に培われた,パッケージシステムとして開発されていますので,標準機能のままでも十分にご利用いただけます。しかしながら,仕様確認の結果,一部機能の変更等が必要な場合,標準機能との差異について,修正・変更,機能の追加を行います。」(195頁),「仕様確認/システム構築においては,当社では,お客様と当社SEの打合わせに『プロトタイピング』の手法を採用します。これは,仕様の打ち合わせにおいて,口頭や紙を中心とした資料での確認では,SEとお客様の間で認識違いや仕様の確認漏れといったトラブルが発生が予想され,この点を認識した上で,仕様の打ち合わせ時パッケージで提供される帳票サンプルや,画面のレイアウト・各項目データの表示方法など,実際に実物を見ながら確認していただく方法を採用しています。」(196頁)との記載がある。 (3)アパッケージソフト(基本パッケージ)とは,特定の業種において一般的に必要とされる機能を盛り込んだ既存の標準ソフトウェアのことである。需用者の求める最大公約数的な機能を盛り込んでいることから,多数の需用者に販売することが可能であって,開発費用を多数の需用者で少しずつ負担し合う結果となり,廉価となる。 カスタマイズとは,カスタム化,つまり「お客様仕様」という意味であり,パッケージソフトの機能をユーザーの希望に応じて追加又は変更することをいう。 イ本件においては,統合OAシステム及び財務会計システムについてはパッケージソフトをそのまま使用してシステムが導入され,カスタマイズは行われなかったが,住民記録システムについては,後述する追加カスタマイズに関するものを除き,約2 テム及び財務会計システムについてはパッケージソフトをそのまま使用してシステムが導入され,カスタマイズは行われなかったが,住民記録システムについては,後述する追加カスタマイズに関するものを除き,約2760万円の,人事・給与システムについては約270万円のカスタマイズ費用が発生した。 (4)原告と被告NCSの税関連システムに関する打合せ状況は,以下のとおりである。 ア原告は,平成8年7月15日,被告NCSに現行業務の帳票サンプル等を交付し,被告NCSとの間で,同年11月ころ,各税別の業務内容の確認と現行帳票の内容確認作業を行った。 原告は,平成9年6月ころ,被告NCSに対し,税システムに関する打合せの早期実現と新システムにおける帳票サンプルの提出を依頼した。 イ原告と被告NCSは,平成9年10月ころから,各税目単位の打合せを開始した。 ウ固定資産税に関しては,平成9年10月16日から同10年1月8日までの間に12回の打合せが行われた。 (ア)この間,現行システムとCOKAS-Nの対応帳票の確認作業が行われた。同作業の資料として,被告NCSは,COKAS‐Nの帳票レイアウトを用いたが,帳票レイアウトではわかりにくいと感じた原告税務課職員ら(以下「原課」という。)は,被告NCSに対し,再三にわたり,帳票サンプルの提出を依頼した。しかし,被告NCSは,帳票サンプルを入手できず,これを原告に提出できなかった。 (イ)原課は,COKAS‐Nでは対応する帳票がないもの,又は形式等が異なる帳票について,現行帳票の必要性等を説明した。これに対し,被告NCSの担当者は,同人らにとってカスタマイズをすることを意味する「はい,解りました」とか「改造します」と答えることが多く,また,COKAS‐Nの既存の他の帳票を使用したり,オンライン画面により検索をする等の代替案を示す にとってカスタマイズをすることを意味する「はい,解りました」とか「改造します」と答えることが多く,また,COKAS‐Nの既存の他の帳票を使用したり,オンライン画面により検索をする等の代替案を示すこともあったが,帳票サンプルやCOKAS‐Nを実際に操作して見せるなどすることができなかったため,原課の理解を得ることができなかった。このような状況の中,被告NCSがカスタマイズしなければ原課の要望に沿うことができないと判断する事項が多数にのぼったが,原課は,被告NCSの担当者に対し,再三にわたり「今できていることはカスタマイズに当たらないので,原告に費用を請求してもらっては困る」旨伝えた。これに対し,被告NCS担当者は,「最後に調整します。」と答えた。 エ被告NCSは,平成10年1月13日及び同月14日,原告役場内において,COKAS-Nのデモンストレーションを行った。原課は,軽自動車税,住民税,固定資産税に関するデモンストレーションにおいて,現行業務の手順に従った画面展開をすることなどを要求したが,被告NCSがこれらを実行できていないと感じ,デモンストレーションは失敗に終わったものと判断した。 このデモンストレーション以外に,デモンストレーションや,実際のCOKAS-Nを操作しての仕様確認は行われなかった。 オ原課は,平成10年1月14日,町長に対し,上記COKAS-Nのデモンストレーションが失敗に終わった旨報告するとともに,原課が繁忙期に入っているため,被告NCSとの打合せを一時中断したい旨伝えた。 町長は,原課より,COKAS-Nの導入自体を再検討したいという申出を受け,原課との間で,同年2月4日,「税システムの導入に伴う検討会」を行い,被告NCSとの打合せを一時中断することを決めた。 被告NCSは,同年2月12日,原課に対して,打合せの再開 たいという申出を受け,原課との間で,同年2月4日,「税システムの導入に伴う検討会」を行い,被告NCSとの打合せを一時中断することを決めた。 被告NCSは,同年2月12日,原課に対して,打合せの再開を申し出たが,原課は,繁忙期であることを理由に断った。 カ原告と被告NCSは,平成10年3月4日,町長,原課,被告NCS担当者,被告NEC営業担当のFらが出席し,被告NCSの作成にかかる「税システムの本番稼働に向けて」(甲28号証)に基づき,打合せの再開等について協議した。 被告NCSは,同月20日,町長に対し,税システム導入に関する打合せの再開を申し入れた。町長は,被告NCSに対し,打合せ再開の要件として,住民税及び固定資産税に関するシステムの導入経験者を打合せに参加させること,今度失敗したら後がないことを伝えた。 町長は,同年4月8日,原課に対し,被告NCSとの打合せ再開を打診した。これに対し,原課は,COKAS-N税システムの導入に否定的な意見を述べたが,被告NCSがカスタマイズなしのパッケージソフトを納入することを条件に,同意した。 キ原告は,平成10年5月14日,被告NCSに対し,当座のカスタマイズ費用として,データ移行費とは別途に,4000万円の予算を確保した旨説明した。 ク原課と被告NCSは,平成10年5月21日から同年6月8日までの間,仕様確認等の打合せを行った。この打合せには,税システム導入経験者として,被告NCS大阪及び被告NECのシステムエンジニアが参加した。 ケ被告NCSは,平成10年6月11日,町長に対し,原課との打合せ作業が終了した旨報告し,また,カスタマイズを要する項目の一覧表を提出するとともに,カスタマイズ項目が膨大であるため,平成10年度内のシステム稼働がスケジュール的に極めて厳しい状況であることを伝えた。町長は,被 旨報告し,また,カスタマイズを要する項目の一覧表を提出するとともに,カスタマイズ項目が膨大であるため,平成10年度内のシステム稼働がスケジュール的に極めて厳しい状況であることを伝えた。町長は,被告NCSに対し,カスタマイズ項目に重要度に応じたランク付けをすることを指示した。 被告NCSは,カスタマイズ項目のランク付けを行った上,同月17日,町長に対し,上記一覧表にランク付けを記載した「税システムカストマイズ項目一覧」(乙イ31号証)及び「税システム工数見積り(第1版)」(乙イ32号証)を提出し,同月19日までに回答をするように要求した。 町長は,同月19日,被告NCSに対し,「税システムカストマイズ項目一覧」(乙イ31号証)に記載された事項のうち,Aランクが付された事項につき,カスタマイズ作業に入ることに同意した(以下「本件同意」という。)。 原課は,町長から上記「税システムカストマイズ項目一覧」(乙イ31号証)を見せられ,町長に対し,被告NCSとの打合せは終了していないし,カスタマイズ項目として挙がっているもののなかに,原課が承諾していないものがあって,承諾できない旨申し入れ,また,被告NCSに対し,カスタマイズ項目を町長と被告NCSが勝手に決めた旨の苦情を申し入れた。 コ被告NCSは,平成10年7月2日,原告に対し,被告NECに対する現行パッケージの機能強化を依頼することで工数を削減し,「税システム工数見積り(第1版)」(乙イ32号証)で示した金額から5375万円の費用を削減できることが見込まれるが,原告の関係予算6200万円(カスタマイズ費用関係4000万円,データ移行費用関係2200万円)との間では,いまだ3980万円を調整できない旨を報告する書面(甲27号証)を提出した。 サ被告NCSは,原告に対し,平成10年8月11日付け「税 用関係4000万円,データ移行費用関係2200万円)との間では,いまだ3980万円を調整できない旨を報告する書面(甲27号証)を提出した。 サ被告NCSは,原告に対し,平成10年8月11日付け「税システム開発におけるペンディング事項」,同月19日付け「税業務データコンバートご検証時期のお願い」(乙イ66号証)と題する書面を提出し,平成11年度からのシステム導入を前提とする作業日程を示したが,原課の納得を得られなかった。 原課は,同月27日,町長に対し,「NCSでは11年度課税不可能見込みの理由書」を示しながら,平成11年度から新システムにより課税業務を行うことは困難であることを説明し,同日,被告NCSに対しても,これを伝えた。 被告NECは,平成10年9月3日,原課から税関連システムの導入作業の現況について聞き取り調査を行った。この席で,原課から,被告NCSは,税業務の知識がなく,又原告の現行業務とCOKAS-N税システムの違いを説明できないことなどから,被告NCSへの信頼を無くしたこと,原課は,被告NCSに対し,同年4月の時点で,基本的にノンカスタマイズの方向で検討する旨話し,帳票サンプルの提示を求めたが,被告NCSは,帳票サンプルを見て,それぞれの項目に何が入るかの説明もできなかったこと,導入作業に関する詳細な日程が同年8月になって提示されたこと,しかも,日程は原課との打合せにより決定されるべきはずのものであるが,被告NCSが一方的に決定したこと,現在提示されている作業日程では,どんなにがんばってもシステムの平成11年1月からの本番稼働は無理であると思われること,機能面についても被告NCSから一方的に提示されているが,原課としては,現段階で帳票も見ていないので,何がどのように違うのか十分分からないこと,などの問題点が指摘された。 被告 であると思われること,機能面についても被告NCSから一方的に提示されているが,原課としては,現段階で帳票も見ていないので,何がどのように違うのか十分分からないこと,などの問題点が指摘された。 被告NCSは,平成10年9月17日,原告に対し,「税システム導入に関する確認事項に対するご回答(第二版)」(乙イ67号証)を提出し,原告から,システム開発費用について,税システム及びその他(児童・保育等)を含め,当初提案時の3666万3000円の範囲で納めることなどを要望されているが,①3666万3000円はパッケージの基本価格であってカスタマイズ費用は別途必要であること,及びその他(児童・保育等)については現在仕様確認中であり,見積り不可能であるが,税システムと同等程度になると予測されること,②カスタマイズが必要な部分については,平成10年6月19日付けで町長から了解を得ていること,③以上の前提条件を含め,原告として平成11年1月本稼働についての回答を9月25日までに求めたいことなどを報告した。 原告は,被告NCSに対し,同年9月30日をもって,税関連システムの開発,導入を一時中断する旨伝えた。 原告は,蟹江町役場平成10年12月全員協議会(同月4日開催)において,税関連システムを平成11年度から使用することを断念し,引き続き平成13年度までJIPへの業務委託を継続することを報告した。 (5)原告は,平成11年6月4日,被告NCSに対し,住民記録システムについても再度JIPに業務委託する予定であることを伝えた。 被告NCSは,原告に対し,平成11年7月7日付け「住民情報システム一元化ご方針に関する問合せ(お願い)」(乙イ25号証の2)を送付し,再度JIPに委託する業務の範囲,日程,住民記録システム機器の委託後の扱い等について回答を求めた。 原告は,被告 「住民情報システム一元化ご方針に関する問合せ(お願い)」(乙イ25号証の2)を送付し,再度JIPに委託する業務の範囲,日程,住民記録システム機器の委託後の扱い等について回答を求めた。 原告は,被告NCSに対し,同年8月19日付け「住民情報システム一元化ご方針に関する問合せについて(回答)」(乙イ25号証の1)を送付し,COKAS-Nの運用を同年9月1日から停止する予定であること,及び同日以降のハード及びソフトの保守契約を打ち切る予定であることを通知した。 2本訴について(1)本件基本契約の履行不能に基づく損害賠償請求についてア前記認定事実によると,原告は,本件総合システムを導入するに当たり,パッケージソフトを極力活用し,カスタマイズは必要最小限に抑えるとの基本方針を有していたことが認められるが,同時に,カスタマイズが必要となることがあり得ることも想定していたことが認められる。 イ弁論の全趣旨によると,本件総合システムの導入に際して締結されるような,業務用コンピューターソフトの作成やカスタマイズを目的とする請負契約は,業者とユーザー間の仕様確認等の交渉を経て,業者から仕様書及び見積書などが提示され,これをユーザーが承認して発注することにより相互の債権債務の内容が確定したところで成立するに至るのが通常であると考えられる。前記に認定したところによると,本件において,被告らが,本件提案書を作成するに当たり原告の業務内容等につき原告と打合せをするなどして十分に検討した事実は認められず,また,原告においても,被告らから本件提案書等を受領してから被告NCSに採用通知を送付するまでの間,被告らの提案するシステムを導入するにあたり,パッケージソフトのカスタマイズを要するか否か,カスタマイズを要するとしてどのような内容,程度のものが必要となるか,これに要す 採用通知を送付するまでの間,被告らの提案するシステムを導入するにあたり,パッケージソフトのカスタマイズを要するか否か,カスタマイズを要するとしてどのような内容,程度のものが必要となるか,これに要する費用がどの程度となるか等につき,具体的に検討した事実は認められず,これらの点について検討し,確定させるのは,専ら,その後の仕様確認等の交渉を経てされることが予定されていたものであることが推認される。 原告は,本件提案書等の提出をもって,被告らによる契約の申込みである旨主張するが,本件提案書は,上述のとおり,被告らにおいて原告の業務内容等を十分に検討した上で作成されたものとは認められない上,その内容は必ずしも具体的でなく,原告らの要望に即した形で被告ら及びその提供するシステム等の概要及び長所を紹介したものとの域を出ないともいい得る。また,原告は,被告NCSに対する本件採用通知の送付をもって,契約の申込みに対する承諾である旨主張するが,上記のとおり,本件提案書の内容は必ずしも具体的ではないのであるから,何について承諾をしたといえるのかが明確でなく,むしろ,本件採用通知の送付は,今後本件総合システムの導入を委託する業者として交渉していく相手方を被告NCSに決定したことを意味するに止まるものと解するのが相当である。以上によると,本件においては,原告と被告NCSとの間で,個別のシステム又はプログラム等につき,仕様確認等の交渉を経て,カスタマイズの有無,カスタマイズの範囲及び費用等につき合意がされた時点で,契約として成立することが予定されていたものというべきである。 ウそうすると,原告が被告NCSに対して本件採用通知を送付したことをもって,原告と被告らとの間で,本件提案書及び本件見積書等に記載された内容に沿った一定の合意がされたとみる余地があるとしても, る。 ウそうすると,原告が被告NCSに対して本件採用通知を送付したことをもって,原告と被告らとの間で,本件提案書及び本件見積書等に記載された内容に沿った一定の合意がされたとみる余地があるとしても,その合意内容は,原告が被告らに対してその履行を強制し,あるいはその不履行に対して直ちに損害賠償を請求することができるような性質のものということはできないし,また,それらが可能であるという程度に特定又は具体化されていたということもできない。 その他,本件提案書等の内容又はこれに沿う内容の合意が,その不履行に対して損害賠償等を請求できる性質のものであるとか,これらが可能な程度に特定又は具体化されていたものと認めるに足りる証拠は存しない。 エしたがって,本件基本契約の履行不能に基づく損害賠償請求に係る主張は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 (2)本件各個別契約に係る損害賠償請求についてア前記認定事実によると,原告は,統合OAシステム,財務会計システム,住民記録システム及び人事給与システムを導入するに当たって,専ら被告NCSとの間で仕様確認等の打合せを行ったこと,また,被告NCSは,上記各システムについてカスタマイズやセットアップなどの作業を行ったことが認められ,被告NECがこれらの作業を行ったことは認められないところ,本件各証拠及び弁論の全趣旨によると,原告が本件各個別契約を締結した相手方は被告NCSであることが認められ,被告NECが同契約の当事者となったことを認めるに足りる証拠は存しない。 したがって,被告NECに対する請求には理由がない。 イまた,以下に検討するとおり,本件各個別契約を締結するにあたり,原告と被告NCSとの間で,原告の主張するような解除条件の合意があったものと解することはできない。 (ア)原告は,本件提案書の内容等に イまた,以下に検討するとおり,本件各個別契約を締結するにあたり,原告と被告NCSとの間で,原告の主張するような解除条件の合意があったものと解することはできない。 (ア)原告は,本件提案書の内容等によると,原告が本件総合システムを導入しようとした動機が,各個別システムが一体として稼働すること,そのようなシステムがカスタマイズ無しのパッケージソフトの納入で実現できることにあり,これを被告らも熟知していたことが認められ,このことをもって解除条件の合意があったと法的に評価すべき根拠である旨主張する。 (イ)この点,確かに,本件提案書(甲2号証)には,「総合行政情報システム『NEOSOCIA』による全庁統一的なシステム構築」とか「豊富な自治体システムの開発実績に培われた,パッケージシステムとして開発されていますので,標準機能のままでも十分にご利用いただけます。」などの記載があり,前記認定事実によると,原告がこれらについて期待を抱いていたことがうかがわれる。 (ウ)しかしながら,前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,本件総合システムを構成する各システムは,それぞれが独立したシステムであって,本件総合システム全体が完成しなければ稼働できないというものではなく,また,システム全体が完成しなければ本件各個別契約の目的を達成することができないとまでは直ちにいえないこと,原告が当初からカスタマイズが必要となり得ることを想定していたことが認められることに加え,仮に,原告が主張するような解除条件が存在し,同条件が成就したとすると,当該時点までに行われたカスタマイズ等の作業はすべて無駄になることなどを考え併せると,原告及び被告NCSが,上記解除条件を約定したものと認めることはできない。 その他,上記解除条件の約定が存在し,又は同約定が存在したと解すべき根拠となる 事実 はすべて無駄になることなどを考え併せると,原告及び被告NCSが,上記解除条件を約定したものと認めることはできない。 その他,上記解除条件の約定が存在し,又は同約定が存在したと解すべき根拠となる事実を認めるに足りる証拠は存しない。 (エ)したがって,解除条件の約定の存在を前提とする被告NCSに対する請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 (3)住民記録・税関連システム作成契約の債務不履行に基づく損害賠償請求についてア上記認定事実によると,原告と被告NCSは,住民記録・税関連システムのうち,住民記録システム部分について,税関連システムとは独立して,仕様確認,カスタマイズ及びセットアップ等を行ったこと,その後,税関連システムについて仕様確認作業が始められたことが認められ,これによれば,原告と被告NCSは,住民記録システムと税関連システムとは別個に契約を締結したものであることが推認される。 イ原告は,住民記録システムと税関連システムは,一体性の強いシステムであって,一つの請負契約の目的とされた旨主張する。 この点,確かに,両システムについては,データの共通項も多く,システムの一元化による一括管理が望ましいことは被告NCSも認めるところである。 しかしながら,本件における契約は,原告と被告NCSとの間で,個々のシステム等につき,それぞれ仕様確認等を経て,カスタマイズの内容及び費用等について合意がされた時点で成立したものとみるべきであることは前述のとおりであるし,前記認定のとおり,現に本件において住民記録システムが税関連システムに先行して稼働していたように,両システムは,それぞれ独立では稼働しないとか不可分一体であるとまではいえない。 ウしたがって,住民記録システムと税関連システムの作成を目的とする一つの請負契約が成立したことを前提とす ていたように,両システムは,それぞれ独立では稼働しないとか不可分一体であるとまではいえない。 ウしたがって,住民記録システムと税関連システムの作成を目的とする一つの請負契約が成立したことを前提とする原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 (4)不当利得返還請求についてアこの点に関する原告の主張は,本件各個別契約の締結に当たり,被告らが,いつ,どの様にして原告主張の事項を約束したとする趣旨であるのか明確でないといわざるを得ない。仮に,それが本件提案書の提示等を指すのであれば,前述のとおり,本件提案書の内容は,直ちに具体的な履行を強制できるような性質のものとはいい難いものであり,これをもって直ちに本件各個別契約の要素になるものと解することはできない。 その他,原告の主張する事項が本件各個別契約の要素とされたことを認めるに足りる証拠は存しない。 なお,原告は,本件パッケージシステムの性能に欠陥がある旨主張する。しかし,証人E及び同Dの各証言並びに弁論の全趣旨によると,NEOSOCIAを構成するパッケージソフトは相当数の市町村に導入されていることが認められるところであり,本件各証拠によっても原告の上記主張を認めることはできない。 イしたがって,本件各個別契約が錯誤により無効であることを前提とする不当利得返還請求は,その前提を認めることができず,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 (5)不法行為に基づく損害賠償請求についてアこの点に関する原告の主張は,本件各個別契約の締結に当たり,被告らが,いつ,どの様にして原告主張の事項を申し述べたとする趣旨であるのか明確でないといわざるを得ない。仮に,それが本件提案書の提示等のことを指すのであれば,前述のとおり,本件提案書の内容は,直ちに具体的な履行を強制できるような性 張の事項を申し述べたとする趣旨であるのか明確でないといわざるを得ない。仮に,それが本件提案書の提示等のことを指すのであれば,前述のとおり,本件提案書の内容は,直ちに具体的な履行を強制できるような性質のものとはいい難いものであるから,事実に反する部分があったとしても,これをもって直ちに違法な欺罔行為であるとか,不法行為であるということはできない。 その他,本件において,被告らが本件各個別契約を締結するにあたり不法行為を行ったことを認めるに足る証拠はない。 なお,本件パッケージシステムの性能に欠陥がある旨の原告の主張を採用できないことは前述のとおりである。 イしたがって,不法行為に基づく損害賠償請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 (6)被告NECに対する商法23条に基づく請求についてア上述のとおり,原告が本件各個別契約を締結した相手は被告NCSであることが認められるところ,被告NCSが同NECの商号を使用したり,COKAS-Nの商標を使用したことを認めることはできず,また,乙ロ5,7及び13号証によって認められる以下の事実によれば,原告も本件各個別契約の相手が被告NCSであることを理解していたことが認められる。 (ア)平成10年第4回蟹江町議会定例会(同年12月15日開催)において,Bは,被告NECと同NCSの関係について,「私どもに提案をされたのが,NCSとNECということで,いわゆるパッケージとハードウェアはNECの製品を使いまして,実際にもしカスタマイズとか稼働とかそういうものの業務につきましては,保守もそうでありますけれども,NCSが担当をするということでの提案でありました。」と発言している。 (イ)平成11年第2回蟹江町議会定例会(同年6月14日開催)において、町長は,「当初平成8年3月,この情報化を進めるとき ども,NCSが担当をするということでの提案でありました。」と発言している。 (イ)平成11年第2回蟹江町議会定例会(同年6月14日開催)において、町長は,「当初平成8年3月,この情報化を進めるときに,既にNCSが契約相手だよということでご説明をさせていただきました。」と発言し,Bは,蟹江町議会議員の「平成8年6月の全員協議会の時点で,NECはハードの会社でございます。NCSはそのハードを運用するシステムの会社です。ということの説明を受けているはずです。これだけもう一度情報課長に確認をお願いしたいと思います。」との質問を受けて,「平成8年6月議会の協議会の資料のことだと思いますけれども,業者の概要ということで日本コンピューター・システム,いわゆるNCSを決定をしたというご報告を申し上げております。」,「新システム等の内容の中で,基幹業務系についてはNEC社のネオソシヤを使っていくよと。統合OAについてはスターオフィスを使っていきますよというような説明をいたしたところであります。」と発言している。 (ウ)蟹江町役場平成11年6月全員協議会(同月7日開催)において,町長は,「契約書は最初の提案の,これは情報課長も言いましたけれども,提案書がNEC・NCSですけれども,実際の支払い行為の相手はNCSですから,結局契約の相手はNCSだというふうに,契約書はないけれども,NCSだということで,まず。それは前ずっと説明したとおりですから。」と発言している。 イしたがって,本件において商法23条が問題となる余地はなく,同条に基づく請求は理由がない。 3反訴について(1)保守契約に基づく未収保守料支払請求についてア被告NCSは,原告に対し,平成11年4月ないし11月分の保守料の支払を請求するところ,前提となる事実,甲19号証,甲20号証の1ないし18,甲 て(1)保守契約に基づく未収保守料支払請求についてア被告NCSは,原告に対し,平成11年4月ないし11月分の保守料の支払を請求するところ,前提となる事実,甲19号証,甲20号証の1ないし18,甲21号証,乙イ34ないし58号証及び弁論の全趣旨によれば,被告NCSは,平成11年度に入ってからも,同10年度に引き続き,同10年度に締結した保守契約における保守業務と同様の保守業務を行っていたこと,同保守業務に関し,契約期間を同11年4月1日から同12年3月31日までとする契約書が作成されたこと,原告は,同11年12月24日,被告NCSに対し,(ア)上記契約書を作成した保守業務及び本件裁断機等保守契約に基づく保守業務についての同年4月ないし8月分の保守料997万1835円(月額199万4367円×5か月)並びに(イ)同保守業務のうち,本件住民記録システムに関する保守業務及び本件裁断機等保守契約に基づく保守業務についての保守料(月額124万0648円)を除く,同年9月及び10月分の保守料150万7438円(月額(199万4367円-124万0648円)×2か月)の合計1147万9273円を支払ったことが認められる。これによれば,原告と被告NCSは,同11年度におけるシステム機器等の保守業務について,本件裁断機等保守契約のほか,平成10年度の保守契約と同内容の保守業務につき,期間を同年4月1日から同12年3月31日までとする保守契約(以下,本件裁断機等保守契約と併せて「本件平成11年度各保守契約」という。)を締結することに合意していたことが認められるが,被告NCSが,平成11年9月1日以降,本件住民記録システムに関する保守業務の履行の提供をした事実を認めるに足りる証拠はない。 イそうすると,原告が本件平成11年度各保守契約に基づいて被告NCSに対し 被告NCSが,平成11年9月1日以降,本件住民記録システムに関する保守業務の履行の提供をした事実を認めるに足りる証拠はない。 イそうすると,原告が本件平成11年度各保守契約に基づいて被告NCSに対して支払うべき同年4月ないし11月分の保守料は,4月ないし8月分の997万1835円及び,本件住民記録システムに関する保守業務及び本件裁断機等保守契約に基づく保守業務分を除く,9月ないし11月分の226万1157円(月額(199万4367円-124万0648円)×3か月)の合計1223万2992円となるが,前記のとおり,原告は,被告NCSに対し,平成11年12月24日に1147万9273円を支払ったので,未払額は75万3719円となる。 ウしたがって,保守契約に基づく未収保守料請求は,75万3719円の限度で理由があるが,その余については理由がない。 (2)住民記録システム及び人事・給与システムに関するカスタマイズ契約に基づくカスタマイズ費用請求についてア住民記録システム「COKAS-N」サブプログラムについて(ア)乙イ27ないし29号証によれば,被告NCSは,原告に対し,住民記録システム「COKAS-N」サブプログラムの追加カスタマイズに関し,カスタマイズ費用を355万円(消費税別)とする平成9年9月1日付け「御見積書」(乙イ27号証)を提出し,原告は,被告NCSに対し,同内容の同月2日付け「注文書」(乙イ28号証)を交付したこと,被告NCSは,上記追加カスタマイズを完了して原告に納入し,原告は,被告NCSに対し,平成9年10月31日付け「検収書」(乙イ29号証)を交付したことが認められる。これによれば,原告と被告NCSは,住民記録システム「COKAS-N」サブプログラム追加カスタマイズについて,カスタマイズ費用を355万円(消費税別)とするカ イ29号証)を交付したことが認められる。これによれば,原告と被告NCSは,住民記録システム「COKAS-N」サブプログラム追加カスタマイズについて,カスタマイズ費用を355万円(消費税別)とするカスタマイズ契約を締結したこと,被告NCSは,同契約に基づき,カスタマイズを完了し,これを原告に納入したことが認められる。 そうすると,原告には,被告NCSに対し,同契約に基づき,カスタマイズ費用として355万円(消費税別)を支払う義務がある。 (イ)原告は,上記追加カスタマイズは,被告NCSがこれより以前に行ったカスタマイズの修正又は改良にすぎず,これに要する費用も以前のカスタマイズ費用に含まれており,上記追加カスタマイズについてはリース契約が締結されていないことなどによれば,被告NCSも上記追加カスタマイズ費用が以前に行われたカスタマイズの費用に含まれていることを承知していた旨主張する。しかし,原告がリース契約を締結しなかったからといって,被告NCSも上記追加カスタマイズ費用が以前に行われたカスタマイズの費用に含まれていることを承知していたと認めることはできない。そして,上記金額の記載された見積書,注文書及び検収書が作成されていることからすれば,原告と被告NCS間においては,上記追加カスタマイズが上記見積書に記載されたとおりの費用のかかるものであることを前提としていたものと考えられる。 イ国民年金システムサブプログラムについて(ア)乙イ30号証及び弁論の全趣旨によれば,被告NCSは,原告に対し,国民年金システムサブプログラムの追加カスタマイズについて,平成11年2月25日,カスタマイズ費用を55万円(消費税別)とする「御見積書」(乙イ30号証)を提出し,原告は,被告NCSに対し,同年5月28日,これを発注したこと,被告NCSは,同年6月8日及び 平成11年2月25日,カスタマイズ費用を55万円(消費税別)とする「御見積書」(乙イ30号証)を提出し,原告は,被告NCSに対し,同年5月28日,これを発注したこと,被告NCSは,同年6月8日及び同月9日,これを原告に納入し,同日,原告はこれを検収したことが認められる。これによれば,原告と被告NCSは,国民年金システムサブプログラムの追加カスタマイズに関し,同年5月28日,カスタマイズ費用を55万円(消費税別)とするカスタマイズ契約を締結したこと,被告NCSは,同契約に基づき,カスタマイズを完了し,これを原告に納入したことが認められる。 そうすると,原告には,被告NCSに対し,同契約に基づき,カスタマイズ費用として55万円(消費税別)を支払う義務がある。 (イ)原告は,本件基本契約と独立して個々のカスタマイズが請負契約の目的となるものではないとか,被告NCSは本件基本契約に違反しているからカスタマイズ費用を支払う義務がないなどと主張するが,いずれも独自の見解であって採用できない。 (3)税関連システム請負契約に基づく請負代金請求についてア被告NCSは,平成10年6月19日に原告との間で本件税関連システム請負契約が成立した旨主張するところ,確かに,前記のとおり,同日町長が被告NCSに対して,本件同意により,「税システムカストマイズ項目一覧」に記載された事項のうちのAランクが付された事項についてカスタマイズ作業に入ることに同意したことが認められる。しかし,前記認定事実によると,原告の原課の担当者が,被告NCSに対し,「今できていることはカスタマイズに当たらないので,原告に費用を請求してもらっては困る」旨再三伝えており,また,税関連システムについてのカスタマイズ費用として確保できている予算は4000万円にすぎないことを伝えていたこと,原告と被告 当たらないので,原告に費用を請求してもらっては困る」旨再三伝えており,また,税関連システムについてのカスタマイズ費用として確保できている予算は4000万円にすぎないことを伝えていたこと,原告と被告NCSとの間で,同日以降もカスタマイズ費用について交渉がされていること,原課から被告NCSに対し,カスタマイズ項目を町長と被告NCSが勝手に決めた旨の苦情が申し入れられていること,原告から被告NCSに対し注文書が交付されていないことが認められるのである。上記認定事実に照らすと,原告と被告NCSとの間では,税関連システムに係るカスタマイズの範囲及び費用の負担についての理解に大きな隔たりが存したままであったことがうかがわれ,更にその費用について原告の確保できる予算額と被告NCSの算出した金額との間にも大きな差が存しており,この金額の差については被告NCSの担当者も十分に認識していたことがうかがわれる。以上に検討したところによると,本件同意において,カスタマイズの範囲及び費用について明確な合意がされたものと認めることはできず,本件同意をもって本件税関連システム請負契約が成立したものと解することはできない。他に上記契約が成立したことを認めるに足りる証拠は存しない。 イそうすると,本件において,被告NCSが主張する,カスタマイズ費用等合計1億7146万5000円とする本件税関連システム請負契約が成立したとは認められないから,同契約が成立したことを前提とする被告NCSの主張は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 (4)契約締結上の過失又は不法行為に基づく損害賠償請求についてア本件においては,上記認定のとおり,結局,原告と被告NCSとの間で,カスタマイズ費用について折り合いがつかなかったことなどが原因で,税関連システム請負契約は成立しなかった づく損害賠償請求についてア本件においては,上記認定のとおり,結局,原告と被告NCSとの間で,カスタマイズ費用について折り合いがつかなかったことなどが原因で,税関連システム請負契約は成立しなかったものといわざるを得ない。 イ被告NCSは,原告と被告NCSとの間の上記契約の準備は十二分に進捗し,被告NCSにおいて将来に向けての人員配置等も手配済みであったことなどからすれば,原告には同契約の成立に努めるべき信義則上の義務があるところ,原告は,同義務に違反した旨主張する。 しかしながら,上記認定事実によれば,原告と被告NCSとの間でカスタマイズの範囲及び費用の負担についての理解などに大きな隔たりがあり,被告NCSにおいて,カスタマイズ費用について被告NCSが主張する金額での合意ができない可能性があることは十分に予測し得たものと考えられること,被告NCSが,カスタマイズ費用について明確に合意ができたとはいえない状況でカスタマイズ作業に入らざるを得なかったのは,原課との仕様確認作業が予定の期間に終了せず,平成11年1月のシステム稼働を実現するために早急にカスタマイズ作業に着手する必要があったためであるところ,仕様確認作業が予定の期間に終わらなかったのは,被告NCS名古屋支社にCOKAS-Nの導入経験がなく,また,原課が要望するCOKAS-Nの帳票サンプルやCOKAS-Nを実際に使用した打合せを行うことができなかったことなどから,原課の納得を得られる内容の説明等ができなかったことなどに原因があることが認められることを考え併せると,原告に被告NCSの主張する信義則上の義務の違反があったものと認めることはできない。 ウしたがって,被告NCSの契約締結上の過失又は不法行為に基づく損害賠償請求は理由がない。 (5)以上によれば,被告NCSの原告に対する反訴請 義則上の義務の違反があったものと認めることはできない。 ウしたがって,被告NCSの契約締結上の過失又は不法行為に基づく損害賠償請求は理由がない。 (5)以上によれば,被告NCSの原告に対する反訴請求は,①保守契約に基づく未収保守料請求として75万3719円,②住民記録システム「COKAS-N」サブプログラムの追加カスタマイズ費用として372万7500円(消費税込み),③国民年金システムサブプログラムの追加カスタマイズ費用として57万7500円(消費税込み)の合計505万8719円の限度で理由がある。 なお,本件反訴状が平成12年2月1日に送達されたことは本件記録上明らかである。 第5結論以上のとおりであって,本訴請求については,理由がないから棄却し,反訴請求については,505万8719円及びこれに対する平成12年2月2日から支払済みまで年6分の割合の金員の支払を求める限度で理由があるからこれを認容するとともにその余の請求を棄却し,訴訟費用の負担について民事訴訟法61条,64条,65条を,仮執行宣言について同法259条をそれぞれ適用し,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第4部裁判長裁判官佐久間邦夫裁判官樋口英明裁判官及川勝広(別紙)平成10年度保守契約一覧1ソフトウェアメンテナンス保守契約(1)指定システム統合OAシステム契約締結日平成10年4月1日委託業務ソフトウェアメンテナンスサポート保守料月額5万1030円契約期間平成10年4月1日から同11年3月31日まで(2)指定システム人事・給与システム保守料月額3万0030円契約締結日,委託業務及び契約期間については(1)と同じ(3)指定システム住民記録システム保守料月額19万5195円契約締結日,委託業務及び契約期間については(1)と同じ(4)指定システム財務 契約締結日,委託業務及び契約期間については(1)と同じ(3)指定システム住民記録システム保守料月額19万5195円契約締結日,委託業務及び契約期間については(1)と同じ(4)指定システム財務会計出先システム保守料月額4万0950円契約締結日,委託業務及び契約期間については(1)と同じ(5)指定システム財務会計システム保守料月額3万3642円契約締結日,委託業務及び契約期間については(1)と同じ(6)指定システム栄養計算システム保守料月額3万7800円契約締結日,委託業務及び契約期間については(1)と同じ(7)指定システムマルチサーバーシステム保守料月額28万3500円契約締結日,委託業務及び契約期間については(1)と同じ(8)指定システムハイレゾ・ノートPC保守料月額2万9400円契約締結日,委託業務及び契約期間については(1)と同じ(9)指定システム消防OAシステム保守料月額4410円契約締結日,委託業務及び契約期間については(1)と同じ(10)指定システム財務会計出先システム(保育3)契約締結日平成10年5月1日保守料月額1万1812円契約期間平成10年5月1日から同11年3月31日まで委託業務については(1)と同じ(11)指定システム図書館システム契約締結日平成10年6月1日保守料月額10万0275円契約期間平成10年6月1日から同11年3月31日まで委託業務については(1)と同じ2ハードウェアメンテナンス保守契約(1)業務内容財務出先機械保守業務契約締結日平成10年4月1日保守料月額9万8910円契約期間平成10年4月1日から同11年3月31日まで(2)業務内容財務会計機械保守業務保守料月額6万3262円契約締結日及び契約期間については(1)と同じ(3)業務内容統合OA機械保守業務保 契約期間平成10年4月1日から同11年3月31日まで(2)業務内容財務会計機械保守業務保守料月額6万3262円契約締結日及び契約期間については(1)と同じ(3)業務内容統合OA機械保守業務保守料月額9万0478円契約締結日及び契約期間については(1)と同じ(4)業務内容ハイレゾ・ノートPC機械保守業務契約締結日平成10年6月1日保守料月額5万9850円契約期間平成10年6月1日から同11年3月31日まで(5)業務内容マルチサーバーシステム機械保守業務保守料月額30万4500円契約締結日及び契約期間については(4)と同じ(6)業務内容図書館システム機械保守業務契約締結日平成10年12月1日保守料月額14万4112円契約期間平成10年12月1日から同11年3月31日まで(7)業務内容住民記録システム機械保守業務保守料月額27万4228円契約締結日及び契約期間については(4)と同じ(8)業務内容人事・給与システム機械保守業務契約締結日平成10年7月31日保守料月額6373円契約期間平成10年8月1日から同11年3月31日まで(9)業務内容栄養計算システム機械保守業務保守料月額2730円契約締結日及び契約期間については(4)と同じ(10)業務内容財務会計出先システム(保育3)機械保守業務契約締結日平成10年10月30日保守料月額3万1500円契約期間平成10年11月1日から同11年3月31日まで(11)業務内容消防OAシステム機械保守業務保守料月額2730円契約締結日及び契約期間については(8)と同じ(12)業務内容LANカード機器保守業務保守料月額1260円契約締結日及び契約期間については(8)と同じ(13)業務内容増設ディスク機器保守業務保守料月額2415円契約締結日及び契約期間については(8)と同 LANカード機器保守業務保守料月額1260円契約締結日及び契約期間については(8)と同じ(13)業務内容増設ディスク機器保守業務保守料月額2415円契約締結日及び契約期間については(8)と同じ以上
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