平成14年6月17日宣告平成14年(わ)第277号判決本籍千葉県松戸市ab番地住居東京都台東区cd丁目eビルf号室無職A昭和g年h月i日生上記の者に対する業務上横領,有印私文書偽造・同行使,詐欺被告事件について,当裁判所は,検察官柴田紀子出席の上審理し,次のとおり判決する。 主文 被告人を懲役4年6月に処する。 未決勾留日数中80日をその刑に算入する。 千葉地方検察庁で保管中の払戻請求書9通(平成13年千葉検領第○○○○号符号38,39,41,44,47,49,51,53,55)の各偽造部分を没収する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,j市総務企画本部(平成12年3月31日までは総務部)人事課に職員厚生係として勤務していたものであるが,第1 平成7年4月1日から同12年3月31日まで同係が所掌するj市役所職員共済組合(以下,「組合」という。)の諸控除関係の事務を担当し,組合の組合員から徴収した団体扱いの生命保険及び損害保険の保険料並びに組合の組合員が加入していた生活協同組合から払い戻される出資金等につき,組合の預金口座に入金を受け,同預金を管理し,同口座から出金して保険会社及び組合の組合員に支払う等の業務に従事していたところ, 1 組合の組合員が保険会社と締結した団体扱いの生命保険契約及び損害保険契約の保険料として同組合員の給与等から控除・徴収し,千葉県松戸市k町l番m号B銀行C支店に開設された組合事務局長名義の普通預金口座(口座番号○○○○○○○)に入金された組合の預金を,同口座を管理することにより組合のため業務上預かり保管中,別紙犯罪事実一覧表記載のと 番m号B銀行C支店に開設された組合事務局長名義の普通預金口座(口座番号○○○○○○○)に入金された組合の預金を,同口座を管理することにより組合のため業務上預かり保管中,別紙犯罪事実一覧表記載のとおり,同8年8月27日から同12年3月28日までの間,前後30回にわたり,同支店において,自己の用途に充てるため,ほしいままに,合計4884万7745円を同預金口座から払い戻して同支店ほか1か所に開設した被告人名義の普通預金口座に入金して横領し 2 組合の組合員が加入していた生活協同組合等から脱退に伴う出資の払戻金等として同組合員に支払われ,前記B銀行C支店に開設された千葉県市町村職員共済組合j市長名義の普通預金口座(口座番号○○○○○○○)に入金された組合の預金を,同口座を管理することにより組合のため業務上預かり保管中,同9年10月29日,同市n番地B銀行C支店D出張所において,自己の用途に充てるため,ほしいままに,150万2050円を同預金口座から払い戻して東京都足立区op丁目q番r号E銀行F支店に開設した被告人名義の普通預金口座に入金して横領し第2 j市役所職員共済組合の預金通帳と印鑑を不正に使用して預金払戻し名下に金員を詐取しようと企て 1 平成12年7月14日ころ,千葉県j市s番地のj市役所総務企画本部人事課事務所において,行使の目的をもって,ほしいままに,普通預金払戻請求書用紙の金額欄に「¥2985314」,おなまえ欄に「j市役所職員共済組合事務局長G」と各冒書し,その名下に組合事務局長の印鑑を冒捺し,もって組合事務局長作成名義の普通預金払戻請求書1通(平成13年千葉検領第○○○○号符号38)を偽造し,同日,前記B銀行C支店において,同支店係員に対し,同払戻請求書を真正に成立したもののように装い,同事務局長名義の普通預金通帳(口 金払戻請求書1通(平成13年千葉検領第○○○○号符号38)を偽造し,同日,前記B銀行C支店において,同支店係員に対し,同払戻請求書を真正に成立したもののように装い,同事務局長名義の普通預金通帳(口座番号○○○○○○○)とともに提出して預金の払戻しを請求し,同係員をして正当な権限に基づく払戻し請求であると誤信させ,よって,そのころ同所において,同係員から預金払戻し名下に現金298万5314円の交付を受け 2 同年7月28日ころ,前記人事課事務室において,行使の目的をもって,ほしいままに,前同様の方法により,j市職員火災共済j市長H作成名義で同人名の押印のある金額220万円の普通預金払戻請求書1通(同号符号39)を偽造し,同日,前記B銀行C支店において,同支店係員に対し,同払戻請求書を真正に成立したもののように装い,これを前記j市長名義の普通預金通帳(口座番号○○○○○○○)とともに提出行使して預金の払戻しを請求し,同係員をして前同様誤信させ,よって,そのころ同所において,同係員から預金払戻し名下に現金220万円の交付を受け 3 同年8月10日ころ,前記人事課事務室及び前記B銀行C支店において,行使の目的をもって,ほしいままに,前同様の方式により,前記j市長H作成名義で同人名の押印ある金額970万735円の普通預金払戻請求書1通(同号符号41)を偽造し,同月11日,前記B銀行C支店において,同支店係員に対し,同払戻請求書を真正に成立したもののように装い,これを前記j市長名義の普通預金通帳(口座番号○○○○○○○)及び振込依頼書とともに提出行使して,預金の払戻しを請求するとともに被告人名義の預金口座への振込みを依頼し,同係員をして正当な権限に基づく払戻し請求及び振込依頼であると誤信させ,よって,そのころ同所において,同係員から預金払戻 して,預金の払戻しを請求するとともに被告人名義の預金口座への振込みを依頼し,同係員をして正当な権限に基づく払戻し請求及び振込依頼であると誤信させ,よって,そのころ同所において,同係員から預金払戻し名下に,現金70万円の交付を受けるとともに,同支店の被告人名義の普通預金口座に450万円,前記E銀行F支店の被告人名義の普通預金口座に450万円の各振込入金を受け 4 同年9月1日ころ,前記人事課事務室において,行使の目的をもって,ほしいままに,前同様の方法により,組合事務局長作成名義で同人名の押印ある金額280万円の普通預金払戻請求書1通(同号符号44)を偽造し,同日,前記B銀行C支店において,同支店係員に対し,同払戻請求書を真正に成立したもののように装い,これを組合事務局長名義の普通預金通帳(口座番号○○○○○○○)及び振込依頼書とともに提出行使して,普通預金の払戻しを請求するとともに被告人名義の預金口座への振込みを依頼し,同係員をして正当な権限に基づく払戻し請求及び振込み依頼であると誤信させ,よって,そのころ同所において,同係員から預金払戻し名下に前記E銀行F支店の被告人名義の普通預金口座に280万円の振込入金を受け 5 同年9月21日ころ,前記人事課事務室において,行使の目的をもって,ほしいままに,前同様の方法により,組合事務局長作成名義で同人名の押印ある金額329万8000円の普通預金払戻請求書1通(同号符号47)を偽造し,同日,前記B銀行C支店において,同支店係員に対し,同払戻請求書を真正に成立したもののように装い,これを組合事務局長名義の普通預金通帳(口座番号○○○○○○○)及び振込依頼書とともに提出行使して,普通預金の払戻しを請求するとともに被告人名義の預金口座への振込を依頼し,同係員をして前同様誤信させ,よってそのこ 長名義の普通預金通帳(口座番号○○○○○○○)及び振込依頼書とともに提出行使して,普通預金の払戻しを請求するとともに被告人名義の預金口座への振込を依頼し,同係員をして前同様誤信させ,よってそのころ同所において,同係員から預金払戻し名下に前記E銀行F支店の被告人名義の普通預金口座に329万8000円の振込入金を受け 6 同年10月31日ころ,前記人事課事務室において,行使の目的をもって,ほしいままに,前同様の方法により,組合事務局長作成名義で同人名の押印ある金額307万4200円の普通預金払戻請求書1通(同号符号49)を偽造し,同日,前記B銀行C支店において,同支店係員に対し,同払戻請求書を真正に成立したもののように装い,これを組合事務局長名義の普通預金通帳(口座番号○○○○○○○)及び振込依頼書とともに提出行使して,普通預金の払戻しを請求するとともに被告人名義の預金口座への振込みを依頼し,同係員をして前同様誤信させ,よって,そのころ同所において,同係員から預金払戻し名下に,上記払戻請求金額のうち,現金2835円の交付を受けるとともに,前記E銀行F支店の被告人名義の普通預金口座に247万円の振込入金を受け 7 同年12月21日ころ,前記人事課事務室において,行使の目的をもって,ほしいままに,前同様の方法により,組合事務局長名義で同人名の押印ある金額199万5000円の普通預金払戻請求書1通(同号符号51)を偽造し,同日,前記B銀行C支店において,同支店係員に対し,同払戻請求書を真正に成立したもののように装い,これを組合事務局長名義の普通預金通帳(口座番号○○○○○○○)及び振込依頼書とともに提出行使して,普通預金の払戻しを請求するとともに被告人名義の預金口座への振込みを依頼し,同係員をして前同様誤信させ,よって,そのころ同所におい 通帳(口座番号○○○○○○○)及び振込依頼書とともに提出行使して,普通預金の払戻しを請求するとともに被告人名義の預金口座への振込みを依頼し,同係員をして前同様誤信させ,よって,そのころ同所において,同係員から預金払戻し名下に前記E銀行F支店の被告人名義の普通預金口座に199万5000円の振込入金を受け 8 同13年2月23日ころ,前記人事課事務室において,行使の目的をもって,ほしいままに,前同様の方法により,千葉県市町村職員共済組合j市長H作成名義で同人名の押印ある金額240万円の普通預金払戻請求書1通(同号符号53)を偽造し,同日,前記B銀行C支店において,同支店係員に対し,同払戻請求書を真正に成立したもののように装い,これを前記j市長名義の普通預金通帳(口座番号○○○○○○○)及び振込依頼書とともに提出行使して,普通預金の払戻しを請求するとともに被告人名義の預金口座への振込みを依頼し,同係員をして前同様誤信させ,よって,そのころ同所において,同係員から預金払戻し名下に前記E銀行F支店の被告人名義の普通預金口座に240万円の振込入金を受け 9 同年3月23日ころ,前記人事課事務室において,行使の目的をもって,ほしいままに,前同様の方法により,千葉県市町村職員共済組合j市長H作成名義で同人名の押印ある金額571万4580円の普通預金払戻請求書1通(同号符号55)を偽造し,同日,前記B銀行C支店において,同支店係員に対し,同払戻請求書を真正に成立したもののように装い,これを前記j市長名義の普通預金通帳(口座番号○○○○○○○)及び振込依頼書とともに提出行使して,普通預金の払戻しを請求するとともに被告人名義の預金口座への振込みを依頼し,同係員をして前同様誤信させ,よって,そのころ同所において,同係員から預金払戻し名下に前記E銀行F支店 ともに提出行使して,普通預金の払戻しを請求するとともに被告人名義の預金口座への振込みを依頼し,同係員をして前同様誤信させ,よって,そのころ同所において,同係員から預金払戻し名下に前記E銀行F支店の被告人名義の普通預金口座に571万4580円の振込入金を受けもって人を欺いて財物を交付させたものである。 (証拠の標目)(法令の適用)罰条判示第1の1,2につきいずれも刑法253条,判示第2の1ないし9のうち,私文書偽造につきいずれも同法159条1項,同行使につきいずれも同法161条1項,詐欺につきいずれも同法246条1項科刑上一罪判示第2の1ないし9につき,それぞれ,同法54条1項後段,10条(最も重い詐欺罪の罪の刑(但し短期は行使罪の刑のそれによる))併合罪加重同法45条前段,10条,47条本文(刑及び犯情の最も重い判示第2の9の刑に法定の加重)未決勾留日数同法21条没収同法19条1項1号,2項本文(量刑の理由)本件は,千葉県j市役所の職員であった被告人が,5年間に渡り,j市の共済組合の口座から現金を着服横領し,あるいは,その担当からはずれた後も,払戻請求書を偽造行使するなどして,現金を詐取したという事案である。 被告人は,公務員として給料を受け取っておきながら,遊興費等欲しさのために本件各犯行を行ったものであり,身勝手極まりない犯行動機に酌量の余地は皆無である。 被告人は,口座を管理している者は1人であること,あるいは,担当からはずれても後任者が事務に不慣れであったことから,本件各犯行を繰り返して行っているのであるから,計画的かつ常習的な犯行態様である。 そして,被害結果は,8391万5524円に及んでいるのであるから,極めて重大であり,被告人は,そのうち殆どを,高級料亭や高級 繰り返して行っているのであるから,計画的かつ常習的な犯行態様である。 そして,被害結果は,8391万5524円に及んでいるのであるから,極めて重大であり,被告人は,そのうち殆どを,高級料亭や高級風俗店の費用等に使っているのであり,その額や被告人の資力からすれば,直ちに被害弁償をするのは,不可能であると認めざるを得ず,被害関係者の被害感情には厳しいものがある。 被告人の行為は,真面目に働いていた他のj市職員や,公務員に対する,市民や国民の信頼を揺るがす行為であるから,犯情悪質である。 以上被告人の刑責は軽視できず,弁護人の主張するように,執行猶予を付すべき事案であるとは全く考えられない。 しかしながら,刑の量定に当たっては,j市において,共済組合が受け取っている事務手数料につき,税務申告するか否かについてあいまいな態度をとっており,それが本件犯行の引き金となった面は否めないこと,また,多額の金員を被告人1人に管理させていた管理体制に問題がなかったとはいえないこと,被告人は270万円を被害者に返済していること,被告人には前科前歴がないこと,捜査機関に対して積極的に事実を認め(但し,被告人が出頭する前に,j市は告訴をしているのであるから,自首には当たらない),当公判廷においても反省の情を示していること,被告人の妹が今後被告人を監督することを誓っていること,被告人は本件により懲戒免職を受けたことなど弁護人が主張して立証した被告人にとって有利ないし酌むべき事情を考慮して,主文掲記の刑を量定した。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑懲役6年,没収)平成14年6月17日千葉地方裁判所刑事第2部裁判官左近司映子 ,没収)平成14年6月17日千葉地方裁判所刑事第2部裁判官左近司映子
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