平成18(ネ)6031 請負代金請求控訴,同附帯控訴

裁判年月日・裁判所
平成19年4月26日 東京高等裁判所 破棄自判 東京地方裁判所 平成18(ワ)2759
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判決文本文12,207 文字)

- 1 -H19. 4.26東京高等裁判所平成18年(ネ)第6031号請負代金請求控訴事件,平成19年(ネ)第951号同附帯控訴事件主文 原判決を取り消す。 被控訴人の請求を棄却する。 本件附帯控訴を棄却する。 訴訟費用(附帯控訴費用を含む。)は,第1,2審を通じて被控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨主文第1,2項と同旨第2附帯控訴の趣旨 原判決を次のとおり変更する。 控訴人は,被控訴人に対し,329万8485円及びこれに対する平成14年3月26日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第3被控訴人の請求の趣旨第2の2のとおり。 第4事案の概要 本件は,被控訴人が,控訴人から控訴人が競落した不動産に関し建物占有者の明渡し等の業務を請け負い,当該業務を完了したにもかかわらず,約定の請負代金のうち329万8485円が未払であるとして,控訴人に対し,同金員及びこれに対する平成13年8月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 原判決は,平成15年6月27日が遅延損害金の始期となると判断し,被控訴人の請求のうち遅延損害金の支払請求を一部棄却したが,被控訴人- 2 -の請求のうちその余の部分はすべて認容した。これを不服とする控訴人が控訴を提起し,被控訴人は附帯控訴を提起した。被控訴人は,当審において,遅延損害金の始期を平成14年3月26日まで繰り下げて請求することとし,もって,請求の減縮(訴えの一部取下げ)をした。控訴人は,上記の訴えの一部取下げの書面(附帯控訴状)の送達を受けた日から2週間以内に異議を述べなかったので,民事訴訟法第261条第5項前段により上記の訴えの一部取下げに同意したものとみなされた。 前提とな 記の訴えの一部取下げの書面(附帯控訴状)の送達を受けた日から2週間以内に異議を述べなかったので,民事訴訟法第261条第5項前段により上記の訴えの一部取下げに同意したものとみなされた。 前提となる事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,次の3のとおり当事者の主張を付加し,後記のとおり被控訴人の当審における主張を追加するほかは,原判決「事実及び理由」欄中の「第2事案の概要」の1及び2(原判決2頁3行目から5頁8行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 当事者の主張(1)被控訴人の請求の原因ア本件契約の締結被控訴人と控訴人とは,平成13年2月26日,本件物件について,被控訴人が,①本件建物の占有権原を買受人に対抗することができない占有者に対して明渡しの交渉をして当該占有者を本件建物から退去させること(同年5月末ないし6月末ころまでに明渡しを完了することが予定された。),②控訴人が本件土地(共有地)の分割請求訴訟を東京地方裁判所に提起するについて,その準備を行い,控訴人に訴訟代理人となる弁護士を紹介し,控訴人の窓口として弁護士と連絡をとって上記訴訟を円滑に進行させることをそれぞれ請け負い,これに対し,③控訴人が,被控訴人に対して請負代金2100万円(消費税を含む。)を支払うこと,④請負代金の支払方法は,明渡しの交渉開始時に3分の1,中間期に3分の1,被控訴人の業務終了- 3 -時に3分の1をそれぞれ支払うこと,以上を内容とする契約(本件契約)を締結した。 イ被控訴人による業務の完了被控訴人は,平成13年6月末日までに上記アの①の業務(明渡しに関する業務)を完了した。また,被控訴人は同年7月末日までに上記アの②の業務を行い,東京地方裁判所は平成14年3月25日本件土地(共有地)の分割請求訴訟につ 6月末日までに上記アの①の業務(明渡しに関する業務)を完了した。また,被控訴人は同年7月末日までに上記アの②の業務を行い,東京地方裁判所は平成14年3月25日本件土地(共有地)の分割請求訴訟について判決を言い渡したから,上記アの②の業務は同日をもって完了した。 ウ控訴人による請負代金の弁済状況控訴人は,被控訴人に対し,以下のとおり請負代金を一部支払った。 a平成13年3月1日700万円b同年6月29日700万円c平成16年12月24日370万1515円エよって,被控訴人は,控訴人に対し,請負代金残金329万8485円及びこれに対する平成14年3月26日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (2)請求の原因に対する控訴人の認否ア請求の原因アの事実は,そのうち被控訴人が請け負った業務の内容が次のとおり一部異なることを別として,認める。被控訴人が請け負った業務の内容は,請求の原因アの①のほか,本件土地の全持分を控訴人に取得させることであった。被控訴人が本件土地(共有地)に関して請け負った業務の内容は,上記②の点に尽きるものではない。 イ同イの事実のうち上記アの①の業務が完了したことは認め,本件契約に基づく被控訴人の業務がすべて完了したことは否認する。 ウ同ウの事実は認める。 エ同エは争う。 - 4 -(3)控訴人の抗弁本件契約は,弁護士法第72条に違反して無効である。 本件契約により被控訴人が行うことと定められた本件建物の占有者との明渡交渉は,弁護士法第72条に定める法律事務であり,これを取り扱うことを業とすることは,非弁活動に該当する。また,占有者への明渡交渉だけで2000万円(消費税別)という報酬契約は暴利そのもので無効であり,弁護士倫理に反する行為である。請求の原因ア これを取り扱うことを業とすることは,非弁活動に該当する。また,占有者への明渡交渉だけで2000万円(消費税別)という報酬契約は暴利そのもので無効であり,弁護士倫理に反する行為である。請求の原因アの②(被控訴人が,控訴人が本件土地(共有地)の分割請求訴訟を東京地方裁判所に提起するについて,その準備を行い,控訴人に訴訟代理人となる弁護士を紹介し,控訴人の窓口として弁護士と連絡をとって上記訴訟を円滑に進行させることを請け負ったこと)は弁護士を下請業として位置づける契約であって同条の精神に反する。 (4)抗弁に対する被控訴人の認否控訴人の抗弁は争う。本件契約において被控訴人が請け負ったのは,①占有者(正確には対抗力のある占有者を除く。)との明渡交渉及び②底地のうち共有である本件土地持分の分割請求のための弁護士の紹介にすぎないから,弁護士法には違反しない。 仮に本件契約の内容が法律事務の取扱等をすることに該当するとしても,被控訴人は,たまたま被控訴人が控訴人に競売情報を提供したこと,控訴人所在地が東京から遠かったことから,控訴人に求められて本件契約を締結したにすぎず,同種契約を反復する意思も反復したこともないから,弁護士法第72条に違反しない。また,本件契約の報酬は,立退料その他諸経費を含むもので,何ら暴利ではない。 第5当裁判所の判断 前提となる事実に証拠(甲1~5,乙1及び2の各1及び2,3の1~7,4の1,2,5,6,7の1~4,8の1~3,9の1~3,10の- 5 -1及び2,11,原審における被控訴人代表者及び控訴人代表者の各尋問の結果並びにA弁護士に対する書面尋問の結果)並びに弁論の全趣旨を併せて考えれば,次の事実を認めることができる。 (1)本件契約締結に至るまでの経緯ア被控訴人は,平成4年に設立された不動産 尋問の結果並びにA弁護士に対する書面尋問の結果)並びに弁論の全趣旨を併せて考えれば,次の事実を認めることができる。 (1)本件契約締結に至るまでの経緯ア被控訴人は,平成4年に設立された不動産競売物件の情報処理及び情報提供に関するサービス業務,不動産の売買,賃貸,管理及びこれらの斡旋並びに仲介等を業とする株式会社であり,民事執行法の定める不動産の売却手続(以下「競売手続」という。)において不動産の買受人となって取得した不動産を転売したり,会員となった顧客に対して関東圏の不動産競売物件の詳細記録を提供したりする業務を営んでいる。 控訴人は,昭和48年に設立され,兵庫県a市b町c番地のdに本店を置き,総合建設請負業等を営む株式会社である。関東地方には支店等を設置しておらず,主として兵庫県△部を中心に地元の公共工事,民間工事を請け負い,年商20億円程度の業績を上げていた。現在の控訴人代表取締役は,平成12年ころに先代と交替して新たに代表取締役に就任すると,不景気の中,新たな事業展開として競売物件を手掛けることを考えるに至った。控訴人は,平成12年ころ,被控訴人が上記の競売情報を扱っていることを知り,被控訴人の会員となった。 イ控訴人は,平成12年の年末ころ,被控訴人から,本件物件に関する情報の提供を受け,本件物件につき入札をするかどうか打診された。 上記のとおり控訴人が提供を受けた情報の内容は,次のとおりであった。 a本件建物は建築に約10億円を要した物件であり,本件物件には約50億円の担保が設定されていた。他方,本件土地は債務者とBの共有であり,債務者の持分が15分の13及びBの持分が15分- 6 -の2であって,債務者の有する上記持分だけについて競売手続が実施され,Bは行方不明であり,Bの持分について債務者が有している利用 有であり,債務者の持分が15分の13及びBの持分が15分- 6 -の2であって,債務者の有する上記持分だけについて競売手続が実施され,Bは行方不明であり,Bの持分について債務者が有している利用権原は不明であるという事情があった。執行裁判所は,上記の事情を考慮して,本件建物の最低売却価格を4億1211万円と定めた。 b本件建物の占有者は次のとおりであった。まず,1階の一部について買受人に対抗することができる権原を有する賃借人Cがいた。 次に,引渡命令の対象となるとされた建物占有者十数名(所有者,占有権原を買受人に対抗することができない賃借人6社,使用借人1社,その他差押後の占有者)がいた。このうち占有権原を買受人に対抗することができない賃借人6社の月額賃料は合計約430万円で,うち4社は賃貸借契約に際し保証金合計3600万円を差し入れていた。 被控訴人は,控訴人に対し,本件物件について上記の情報の提供をした上で,被控訴人が関与すれば,①本件建物の占有権原を買受人に対抗することができない占有者に対して明渡しの交渉をして当該占有者を本件建物から退去させること,②本件土地について第三者が有する持分を控訴人に取得させることが可能であるとの見通しを説明した。控訴人は,被控訴人から上記の情報の提供及び説明を受け,被控訴人が上記の①及び②を行ってくれるのであれば,競売手続において本件物件に入札して買受人となり,入居者から明渡しを受けた後本件建物のリフォームをして第三者に賃貸することが可能となると考えた。そこで,控訴人は,被控訴人に対し,上記の①及び②を行うことを求め,被控訴人がこれを承諾したので,本件物件について,4億5000万円で入札をして最高価買受申出人となり,平成13年2月15日東京地方裁判所から売却許可決定を受けた。 - 7 - び②を行うことを求め,被控訴人がこれを承諾したので,本件物件について,4億5000万円で入札をして最高価買受申出人となり,平成13年2月15日東京地方裁判所から売却許可決定を受けた。 - 7 -ウ控訴人は,平成13年2月26日,被控訴人との間で,「明渡し業務請負約定書」と題する書面(約定書)を取り交わして,本件契約を締結した。本件契約に際し,被控訴人は,請負代金額を2500万円とすることを求めたが,控訴人はこれを2000万円に減額するよう申し入れ,最終的に2000万円で合意された(いずれも消費税別)。 被控訴人が控訴人から請け負った業務の内容は,①本件建物の占有権原を買受人に対抗することができない占有者に対して明渡しの交渉をして当該占有者を本件建物から退去させること,②控訴人が本件土地(共有地)の分割請求訴訟を東京地方裁判所に提起するについて,その準備を行い,控訴人に訴訟代理人となる弁護士を紹介し,控訴人の窓口として弁護士と連絡をとって上記訴訟を円滑に進行させることであった。 乙第11号証の記載及び原審における控訴人代表者の供述中には,上記認定に反し,Cに対して明渡しの交渉をして本件建物から退去させることも本件契約に基づく被控訴人の業務に含まれていたとする部分があるが,約定書添付のスケジュール表には,「請け負い内容占有者の排除及び明渡に関する業務,請負金額は諸経費を含み2000万円とする。(税別)(着手時3分の1,中間金3分の1,業務完了時残金)」,「3/1(木)売却許可決定確定後,明渡し交渉開始・請負金及び明渡し経費の内3分の1を受領」,「中間金3分の1を受領。5月末~6月末頃明渡し完了予定」と記載されているのに対し,後記のとおり被控訴人がCとの間で控訴人の代理人として明渡しの交渉を行い,控訴人とCとの間で明渡しに関 1を受領」,「中間金3分の1を受領。5月末~6月末頃明渡し完了予定」と記載されているのに対し,後記のとおり被控訴人がCとの間で控訴人の代理人として明渡しの交渉を行い,控訴人とCとの間で明渡しに関する和解を成立させたのは,平成13年10月17日であり,約定書添付のスケジュール表記載のスケジュールとかなり時期的に異なっていること,仮に元々本件契約において被控訴人がCに対して明渡しの交渉をして本件建物から退去- 8 -させることが合意されたとすれば,明渡しの完了時期や,中間金の支払時期は,約定書添付のスケジュール表でもっと後の時期に予定されたはずであると考えられることなどに照らし,たやすく採用することができないというべきである。 また,控訴人は,本件契約で合意された被控訴人の業務には本件土地について第三者が有する持分を控訴人に取得させることも含むと主張し,乙第11号証の記載及び原審における控訴人代表者の供述中には上記主張に沿う部分がある。しかしながら,前記認定のとおり,約定書には請負内容として「占有者の排除及び明渡に関する業務」と記載されているのみであり,添付されたスケジュール表にも「底地の持分の分割請求を東京地裁に提訴」と記載されているにとどまるのであって,これらの事実に照らすと,上記主張に沿う部分はたやすく採用することができず,他に控訴人の上記主張事実を認めるに足りる証拠はない。 (2)被控訴人による本件建物の占有者との明渡しの交渉及び控訴人による代金支払の状況等ア被控訴人は,本件建物の占有権原を買受人に対抗することができない占有者との間で明渡しの交渉を進め,平成13年7月半ばころまでにこれを完了した。 イ控訴人は,被控訴人に対し,同年3月1日に請負代金の3分の1に相当する700万円を支払い,次いで同年6月29日にも70 者との間で明渡しの交渉を進め,平成13年7月半ばころまでにこれを完了した。 イ控訴人は,被控訴人に対し,同年3月1日に請負代金の3分の1に相当する700万円を支払い,次いで同年6月29日にも700万円を支払った。 ウ被控訴人は,Cが金銭の支払を受けることができるならば本件建物の占有部分を明け渡す意向であるとの情報を入手し,控訴人にその旨連絡した。これを受け,控訴人は,被控訴人に対し,Cと明渡しの交渉をして本件建物から退去させることを依頼した。被控訴人は,これ- 9 -を承諾し,Cとの間でも控訴人の代理人として明渡しの交渉を行い,平成13年10月17日,控訴人の代理人有限会社D代表取締役E名義で,Cと「建物明渡しに関する和解書」と題する書面を取り交わし,控訴人とCとの間における明渡しに関する和解を成立させた。Cは,上記和解により,控訴人に対し,敷金を含め460万円(和解成立時200万円,明渡時260万円支払)の支払を受けて同年12月27日までに本件建物の賃借部分を明け渡すことを約した。この和解金460万円は控訴人が負担した。 (3)本件土地に関する共有物分割請求訴訟の提起及び競売の申立て等ア控訴人は本件土地について持分移転登記を受けた。被控訴人は,本件契約に基づき,共有物分割請求訴訟の提起の準備を進め,控訴人にA弁護士を紹介し,控訴人はA弁護士に共有物分割請求訴訟の提起及び追行を委任した。A弁護士は,平成13年末ころ,本件土地の持分15分の2を有するBを被告として東京地方裁判所に共有物分割請求訴訟を提起した(同裁判所平成○○年(ワ)第△△△△号事件)。同裁判所は,Bの住居所が不明のため公示送達を行い,平成14年3月25日,控訴人の請求どおり,本件土地について競売を命じその売得金を控訴人15分の13,B15分の2の割合で分 )第△△△△号事件)。同裁判所は,Bの住居所が不明のため公示送達を行い,平成14年3月25日,控訴人の請求どおり,本件土地について競売を命じその売得金を控訴人15分の13,B15分の2の割合で分割するとの判決を言い渡し,同判決は同年4月10日確定した。A弁護士は,引き続き控訴人から委任を受け,本件土地について分割のための競売を申し立てた。これら手続において,A弁護士と控訴人との間の連絡,報告は,すべて被控訴人代表者が行った。 イ平成15年初め,最低売却価格を2309万円として本件土地の競売が実施された。しかし,控訴人は,これを落札することができず,Fを買受人として売却許可決定がされた。被控訴人は,控訴人から依頼され,同年4月から6月にかけてFとの間で本件土地の買取り交渉- 10 -を行ったが,不調に終わり,Fは,平成15年6月26日代金を納付して本件土地の所有権を取得した上,同年7月1日付け書面により,控訴人に対し本件建物を取り壊して本件土地を明け渡すよう求めた。 ウA弁護士は,共有物分割請求訴訟及び競売申立ての着手金及び費用(競売予納金を含む。)として,平成14年9月30日までに被控訴人から合計325万5800円を受領した。被控訴人は,平成15年9月18日,控訴人に対し,A弁護士から受領した競売申立費用の明細を添付して費用合計85万6078円を請求し,控訴人は,同年10月21日,これを被控訴人に送金して支払った。 エFは,平成15年11月ころ,控訴人及び控訴人から本件建物を賃借していた4名を相手に建物収去土地明渡等を求める訴えを東京地方裁判所に提起した。控訴人はこの訴訟の追行をA弁護士に委任し,同年11月21日,同弁護士に着手金200万円を支払った。このFとの紛争は,平成16年4月30日,控訴人が本件土地を5650万円 京地方裁判所に提起した。控訴人はこの訴訟の追行をA弁護士に委任し,同年11月21日,同弁護士に着手金200万円を支払った。このFとの紛争は,平成16年4月30日,控訴人が本件土地を5650万円で買い戻す形で解決し,控訴人は,同年4月30日,A弁護士に対し,本件土地の被告への所有権移転登記申請費用として60万円を支払った。 (4)最終金の支払控訴人は,平成16年12月24日,被控訴人に対し,本件代金残金700万円から,(3)ウのとおり被控訴人に費用として支払った85万6078円のうち69万7750円及び(3)エのとおりA弁護士に支払った260万円を控除し,さらに振込手数料735円を控除した残金370万1515円を支払った。 上記認定事実によれば,被控訴人は,本件契約により請け負った業務をすべて完了したものということができる。したがって,本件契約がその効力を有するとすれば,被控訴人は,控訴人に対し,本件契約に基づき,請- 11 -負代金残金の支払を請求することができることになる。 これに対し,控訴人は,①競売手続に要した費用,②Fから提起された訴訟に応訴するためA弁護士に支払った費用,③本件土地の所有権移転登記手続のため要した費用について,これらは被控訴人が負担すべきものであると主張する。 しかしながら,本件契約によって合意された被控訴人の業務内容は前記のとおりであり,これに応じて請負代金が合意されていたのであって,控訴人が主張する各費用を被控訴人が負担すべき根拠は見いだし難く,これを認めるに足りる的確な証拠はないというべきである。したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。 そこで,控訴人の抗弁について判断する。 (1)前記認定事実によれば,被控訴人は,会員となった顧客に対して関東圏の不動産競売物件の詳 る。したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。 そこで,控訴人の抗弁について判断する。 (1)前記認定事実によれば,被控訴人は,会員となった顧客に対して関東圏の不動産競売物件の詳細記録を提供したりする業務を行っており,会員となった控訴人に対し,本件物件に関する競売手続の情報を提供した上で,被控訴人が関与すれば,①本件建物の占有権原を買受人に対抗することができない占有者に対して明渡しの交渉をして当該占有者を本件建物から退去させること,②本件土地について第三者が有する持分を控訴人に取得させることが可能であるとの見通しを説明して本件契約の申込みの誘因をし,その結果,控訴人との間で,被控訴人が上記の占有者との間で本件建物の占有部分の明渡しに関する和解交渉を行うこと及び被控訴人は控訴人が本件土地(共有地)の分割請求訴訟を東京地方裁判所に提起するについてその準備を行い,控訴人に訴訟代理人となる弁護士を紹介し,控訴人の窓口として弁護士と連絡をとって上記訴訟を円滑に進行させること並びに控訴人は被控訴人に対し請負代金(報酬)として2100万円(消費税を含む。)を支払うこと,以上の各点を内容とする本件契約を締結し,本件契約に基づき,本件建物の買受人- 12 -となった控訴人の代理人として,本件建物の占有者との間で本件建物の占有部分の明渡しに関する和解交渉を行い,その結果,各占有部分につき明渡しを内容とする和解を成立させ,また,控訴人が本件土地(共有地)の分割請求訴訟を東京地方裁判所に提起するについて,その準備を行い,控訴人に訴訟代理人となる弁護士を紹介し,控訴人の窓口として弁護士と連絡をとって上記訴訟を円滑に進行させ,約定の報酬の相当部分の支払を受けたということができるから,被控訴人の上記の行為は,弁護士法第72条本文にいう となる弁護士を紹介し,控訴人の窓口として弁護士と連絡をとって上記訴訟を円滑に進行させ,約定の報酬の相当部分の支払を受けたということができるから,被控訴人の上記の行為は,弁護士法第72条本文にいう「報酬を得る目的で訴訟事件,非訟事件(中略)その他一般の法律事件に関して(中略)代理,(中略)和解その他の法律事務を取り扱い,又はこれらの周旋をすること」に当たるものというべきである。そして,被控訴人の上記行為は,民事執行法第13条第1項所定の「執行裁判所でする手続」に該当するものではなく,したがって,同項所定の他の要件も満たすものではないから,弁護士法第72条ただし書に該当しないことが明らかである。 同条本文は,弁護士でない者が,報酬を得る目的で,業として,同条本文所定の法律事務を取り扱い,又はこれらの周旋をすることを禁止する規定であり,上記の「業として」というのは,反復的に又は反復の意思をもって上記の法律事務の取扱い等をし,それが業務性を帯びるに至った場合を指すと解するのが相当である(最高裁昭和44年(あ)第1124号同46年7月14日大法廷判決・刑集25巻5号690頁,最高裁昭和47年(オ)第751号同50年4月4日第二小法廷判決・民集29巻4号317頁参照)。そこで,被控訴人が反復的に又は反復の意思をもって上記の法律事務の取扱い等をし,それが業務性を帯びるに至ったということができるかどうかを検討すると,上記のとおり,被控訴人は,会員となった顧客に対して関東圏の不動産競売物件の詳細記録を提供したりする業務を営んでいたところ,自己の会員となった控訴人- 13 -に対し,競売手続の対象物件に関する情報を提供し,これにより控訴人が当該物件に興味を抱いたことから,被控訴人が競売手続に関して実績があり,被控訴人が関与すれば,競売手続の対象で 控訴人- 13 -に対し,競売手続の対象物件に関する情報を提供し,これにより控訴人が当該物件に興味を抱いたことから,被控訴人が競売手続に関して実績があり,被控訴人が関与すれば,競売手続の対象である建物の占有者に対して明渡しの交渉をして当該占有者を本件建物から退去させることが可能であることなどの見通しを説明して本件契約の申込みの誘因をし,その結果,控訴人との間で,上記の内容の本件契約を締結し,本件契約に基づき,本件建物の買受人となった控訴人の代理人として,本件建物の占有者との間で本件建物の占有部分の明渡しに関する和解交渉を行い,その結果,各占有部分につき明渡しを内容とする和解を成立させるなどの法律事務を取り扱ったものであって,①被控訴人の会員となり,被控訴人から関東圏の不動産競売物件の詳細記録の提供を受ける顧客は,控訴人に限られるものではなく,複数の会員が存在し,会員であることを理由にその一人のために法律事務を取り扱うことは,他の会員のためにも同様に法律事務を取り扱うことになり得るという論理的連関があること,②被控訴人が提供した競売手続の対象物件に関する情報に関し,当該物件に興味を覚えた会員の一人から被控訴人に対して照会があったことを受けて,被控訴人が自己の実績を宣伝し,当該物件の占有者の排除を請け負うに至るという行為の態様は,被控訴人が行っている会員制の競売情報提供システムともいうべき事業と密接な関係があり,また,被控訴人が自ら入手した競売手続の対象物件に関する情報に基づき自ら買受人となって当該物件の占有者の排除を行うという被控訴人の業務とも密接な関連性,同質性があることにかんがみると,被控訴人は,反復の意思をもって前記の法律事務の取扱い等をしたものであり,それゆえに業務性があるというべきである。 (2)被控訴人は,① 人の業務とも密接な関連性,同質性があることにかんがみると,被控訴人は,反復の意思をもって前記の法律事務の取扱い等をしたものであり,それゆえに業務性があるというべきである。 (2)被控訴人は,①本件契約により,買受人に対抗することができる権原を有しない占有者との間で事実行為としての明渡交渉をすることを- 14 -請け負ったにすぎず,このようなことは,法律上の権利義務に関し争いや疑義があり,又は新たな権利義務関係の発生する場合に当たらないとし,このことを理由に弁護士法第72条本文にいう法律事件や法律事務に当たらないと主張し,また,②被控訴人は,競売情報を入手し,自ら競売物件の買受人となってこれを転売することと,競売情報を他人に販売することを業としているところ,本件は,被控訴人の競売情報を買い取り,競売物件の買受人となろうとした控訴人が,自己の本拠地が関西にあり,競売物件の所在地が東京にあって不便であるため,たまたま情報を提供した被控訴人に対し前記の請負業務を依頼したものであり,本件契約は被控訴人がその本来の業務の一環として締結したものではなく,被控訴人は,本件契約以外に他人間の法律事件や法律事務を取り扱ったことはない旨主張する。 しかしながら,前記認定事実によれば,被控訴人は,控訴人の代理人として,本件建物の占有者との間で明渡交渉をし,その結果,各占有部分につき明渡しを内容とする和解を成立させたものであるから,上記占有者らが買受人に対抗することができる権原を有しないからといって,このことを理由に被控訴人の上記行為が弁護士法第72条本文所定の法律事件に関して法律事務を取り扱ったことに当たらないということはできない。また,被控訴人が反復の意思をもって前記の法律事務の取扱い等をし,それゆえに業務性があるというべきであることは,前記 所定の法律事件に関して法律事務を取り扱ったことに当たらないということはできない。また,被控訴人が反復の意思をもって前記の法律事務の取扱い等をし,それゆえに業務性があるというべきであることは,前記のとおりである。したがって,被控訴人の上記各主張はいずれも採用することができない。 (3)以上によれば,被控訴人が控訴人との間で本件契約を締結して前記の行為を行ったことは,弁護士でない者が,報酬を得る目的で,業として,弁護士法第72条本文所定の法律事務を取り扱い,その周旋を行ったことに当たり,同条本文に違反するものといわざるを得ない。本件契- 15 -約は,同条違反の法律事務の取扱いの根拠となるものであり,本件契約を有効とすることは,同条本文に違反する行為が繰り返されることを是認することにほかならない。したがって,本件契約は,同条本文に違反する事項を目的とする契約として民法第90条により無効であるというべきである。控訴人の抗弁は理由がある。 したがって,被控訴人の本件請求は結局理由がないから,これを棄却すべきである。 以上によれば,本件附帯控訴は理由がないから,これを棄却すべきである。 第6 結論 よって,本件控訴は理由があり,原判決は不当であるからこれを取り消し,被控訴人の請求を棄却することとし,本件附帯控訴を棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第21民事部裁判長裁判官浜野惺裁判官奥田隆文裁判官高世三郎

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