主文 本件控訴及び差戻後の当審における請求の拡張に基づき,原判決中,被控訴人らに係る部分を次のとおり変更する。 被控訴人らは,控訴人X1に対し,連帯して3億0014万6123円及(1)びこれに対する平成8年8月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被控訴人らは,控訴人X2に対し,連帯して495万円及びこれに対する(2)平成8年8月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被控訴人らは,控訴人X3に対し,連帯して192万5000円及びこれ(3)に対する平成8年8月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 控訴人らのその余の請求(差戻後の当審における拡張請求を含む)をい(4)。 ずれも棄却する。 訴訟の総費用はこれを2分し,その1を控訴人らの負担とし,その余を被控訴人らの負担とする。 この判決は,第1項ないしに限り,仮に執行することができる。 (1)(3)事実及び理由第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 被控訴人らは,控訴人X1に対し,連帯して6億1412万5463円及びこれに対する平成8年8月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被控訴人らは,控訴人X2に対し,連帯して1765万5000円及びこれに対する平成8年8月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被控訴人らは,控訴人X3に対し,連帯して1471万2500円及びこれ に対する平成8年8月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 仮執行宣言第2事案の概要 訴訟物本件は,被控訴人学校法人Y1学校(以下「被控訴学校」という)の設置。 するA高校(以下「A高校」という)に在籍し,サッカー部に所属していた。 控訴人X1が,平成8 言第2事案の概要 訴訟物本件は,被控訴人学校法人Y1学校(以下「被控訴学校」という)の設置。 するA高校(以下「A高校」という)に在籍し,サッカー部に所属していた。 控訴人X1が,平成8年8月13日,同校の課外のクラブ活動の一環として大「」阪府高槻市で開催されたサッカー競技大会である第10回Bフェスティバル(以下「本件大会」という)に参加していた際に出場した試合の開始後間も。 なく落雷を受けた事故に関し,同校サッカー部の引率者兼監督であったC教諭(以下「C教諭」という)及び上記大会の主催者であった被控訴人財団法人。 Y2協会(以下「被控訴協会」という)の担当者には落雷を予見して回避す。 べき安全配慮義務を怠った過失があるなどとして,同控訴人の母である控訴人X2及び兄である控訴人X3とともに,被控訴人らに対し,債務不履行又は不法行為(民法715条の使用者責任)に基づき,損害賠償を請求する事案である。 審理の経緯原審及び差戻前の控訴審(1)控訴人X1,同控訴人の父である訴訟承継前控訴人X4及び控訴人X2は平成11年3月29日,控訴人X3は平成13年12月5日,それぞれ被控訴学校及び被控訴協会のほか1審被告高槻市及びDサッカー連盟(以下「サッカー連盟」という)の会長である1審被告Z(以下「1審被告Z」とい。 う)を被告として高知地方裁判所に本件訴えを提起したが,同裁判所は平。 成15年6月30日控訴人ら及びX4の請求をいずれも棄却する旨の判決(第1審判決)を言い渡した。これに対し,控訴人ら及びX4が高松高等裁 判所に控訴し,同裁判所は平成16年10月29日上記控訴をいずれも棄却する旨の判決(差戻前控訴審判決)を言い渡した。これに対し,控訴人ら及びX4が最高裁判所に上告受理申立てをした。 上告審(2)最高裁判所は ,同裁判所は平成16年10月29日上記控訴をいずれも棄却する旨の判決(差戻前控訴審判決)を言い渡した。これに対し,控訴人ら及びX4が最高裁判所に上告受理申立てをした。 上告審(2)最高裁判所は,平成17年12月9日,控訴人ら及びX4の上告受理申立てのうち,1審被告高槻市及び1審被告Zに対する請求に関する部分を受理せず,被控訴学校及び被控訴協会に対する請求に関する部分の一部(上告受理申立て理由第7点ないし第10点及び第16点)を重要でないとして排除し,その余の点(同第1点ないし第6点及び第11点ないし第15点)について,上告を受理する旨の決定をした(この結果,控訴人ら及びX4の1審被告高槻市及び1審被告Zに対する請求をいずれも棄却した第1審判決が確定し,控訴人ら及びX4と被控訴人らとの間の上告審において,上告受理申立て理由第7点ないし第10点及び第16点は審理判断の対象外となった。 。)最高裁判所は,平成18年3月13日,上告受理申立て理由第1点ないし第5点について判断の上,原判決のうち被控訴人らに関する部分を破棄し,同部分を高松高等裁判所に差し戻す旨の判決(上告審判決)をした。 差戻後の当審(3)ア請求の拡張控訴人ら及びX4は,平成19年4月18日の当審口頭弁論期日において,請求を拡張した。拡張後における請求の趣旨は次のとおりである。 被控訴人らは,控訴人X1に対し,連帯して6億1143万5733(ア)円及びこれに対する平成8年8月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員を支払え。 被控訴人らは,X4に対し,連帯して1177万円及びこれに対する(イ)平成8年8月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金 員を支払え。 被控訴人らは,控訴人X2に対し,連帯して1177万円及びこれに(ウ)対す て1177万円及びこれに対する(イ)平成8年8月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金 員を支払え。 被控訴人らは,控訴人X2に対し,連帯して1177万円及びこれに(ウ)対する平成8年8月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員を支払え。 被控訴人らは,控訴人X3に対し,連帯して1177万円及びこれに(エ)対する平成8年8月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員を支払え。 イ訴訟承継に伴う請求の趣旨の訂正控訴人らは,X4の平成19年9月7日死亡による相続開始に伴いその訴訟上の地位を承継し,同年11月28日の当審口頭弁論期日において,控訴人X1において次のとおり,控訴人X2及び控訴人X3において前記第1の3,4記載のとおり,請求の趣旨を訂正した。 被控訴人らは,控訴人X1に対し,連帯して6億1437万8233円及びこれに対する平成8年8月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ウ請求の減縮控訴人X1は,平成20年5月21日の当審口頭弁論期日において,前記第1の2記載のとおり,請求を減縮した。 争いのない事実等(証拠により認定した事実については後記括弧内に証拠を掲げる。なお,以下において書証につき枝番があるときは枝番を含む)。 当事者(1)ア控訴人ら控訴人X1(昭和55年7月8日生)は,平成8年当時,被控訴学校が設置・運営するA高校の1年に在籍し,同校の課外のクラブ活動としてサッカー部に所属していた者である。 X4と控訴人X2は夫婦であり,控訴人X3はその長男であり,控訴人 X1はその二男である。 X4は平成19年9月7日死亡し,控訴人らがX4を相続した。その相続分は,控訴人X2が2分の1,控訴人X1及び控訴人X3が各4分の1である(甲1,69,弁論の り,控訴人 X1はその二男である。 X4は平成19年9月7日死亡し,控訴人らがX4を相続した。その相続分は,控訴人X2が2分の1,控訴人X1及び控訴人X3が各4分の1である(甲1,69,弁論の全趣旨)。 イ被控訴人ら被控訴学校は,頭書肩書地を主たる事務所とし,学校教育法及び私立学校法に基づくA高校及びE中学校を同所に設置し,これらの学校に入学した生徒に対し,教育基本法,学校教育法その他の教育関係法規に基づき教育活動を行うことを目的として,これらの学校を運営している学校法人である。 被控訴協会は,大阪府教育委員会の許可を受けて設立されたスポーツ振興等を主な目的とする財団法人である。サッカー連盟は,同被控訴人に加盟する権利能力なき社団である。 本件大会(2)アサッカー連盟は,Bフェスティバル(以下「フェスティバル」という)。 実行委員会(以下「本件実行委員会」という)を設け,平成8年8月1。 2日から同月15日までの予定で本件大会を実施することを企画した(以下の記述において,平成8年の日付に限り月日のみで表示することがある。本件大会のパンフレットには,主催者として「財団法人Y2協会。),サッカー連盟」という名称が記載されていた。 イ本件大会は,全国から62チームが参加し(その大半は高校のクラブ活動であった,大阪府高槻市a町b所在の南大樋運動広場(敷地面積1万5)063平方メートル,以下「本件運動広場」という)その他の会場で開。 催された。本件運動広場は,被控訴協会が高槻市から本件大会開催のために貸与を受けたものである(甲8,91,92,弁論の全趣旨)。 ウ被控訴学校は,本件大会にA高校サッカー部を参加させることとし,そ の引率者兼監督をC教諭とした。同教諭は,8月13日控訴人X1他21名のサッカー部員を引率し ,91,92,弁論の全趣旨)。 ウ被控訴学校は,本件大会にA高校サッカー部を参加させることとし,そ の引率者兼監督をC教諭とした。同教諭は,8月13日控訴人X1他21名のサッカー部員を引率して本件大会の会場の一つである本件運動広場に赴き,試合に臨んだ。同校の出場する試合は,本件運動広場に2面設置されたフィールド(Aコート,Bコート)のうち北西側に位置するBコートにおける同日午後1時45分から午後2時50分までの予定の対「F」戦(以下「A高校の第1試合」という)及び同日午後4時15分から5時。 「」(「」。)20分までの予定の対Gチーム戦以下A高校の第2試合というであった(甲8,9,15,16,63,乙1,丙1)。 エT(以下「T」という)は本件実行委員会から依頼を受けてBコート。 の会場担当者として同コートの整備や試合の進行管理その他雑用等に当たっていた。同人は,I1高校の体育教諭で「Gチーム」の監督でもあったが,8月13日当日は,専ら本部テントにおいて会場担当者としての業務,。 に当たり同チームの試合の指揮は同チームの他のコーチが当たっていた(丁14,原審証人T)オA高校の第2試合は,予定よりやや遅れて8月13日午後4時30分ころ開始された。 落雷事故(3)8月13日午後4時35分ころ,A高校の第2試合が行われていた本件運動広場Bコートに落雷があり,同試合に出場中の控訴人X1は頭部にその直撃を受けた(以下「本件落雷事故」という。これにより,同控訴人は脳に。)損傷を受け,心肺停止,意識不明となった(甲19,200,乙1)。 その後の経過の概要(4)ア控訴人X1は救急搬送された大阪府高槻市c町d番e号所在の財団法人J救命救急センター(以下「J救命救急センター」という)における治療。 により蘇生した 0,乙1)。 その後の経過の概要(4)ア控訴人X1は救急搬送された大阪府高槻市c町d番e号所在の財団法人J救命救急センター(以下「J救命救急センター」という)における治療。 により蘇生したが,視力障害(明暗弁,両下肢機能全廃,両上肢機能の)著しい障害等の重度の後遺障害が残った(甲17,27,200。 ) イ控訴人X1の入退院の経過は,別紙入退院経過一覧表記載のとおりである。 ウ被控訴学校は,平成11年3月末日をもって,控訴人X1をA高校から除籍した(甲120,原審証人L1)。 エ控訴人X1は,平成16年4月7日,K盲学校に入学し,平成17年4,,,,月7日同校の寮に入寮したが同年12月ころ休学し平成19年4月復学し,現在に至っている。 第3争点及びこれに関する当事者の主張 被控訴学校ないしC教諭の注意義務違反控訴人らの主張(1)教育活動の一環として行われる学校の課外のクラブ活動においては,生徒は担当教諭の指導監督に従って行動するのであるから,担当教諭はできる限り生徒の安全にかかわる事故の危険性を具体的に予見し,その予見に基づいて当該事故の発生を未然に防止する措置を執り,クラブ活動中の生徒を保護すべき注意義務を負うものというべきである。 少なくとも,落雷による死傷事故は,平成5年から平成7年までに全国で5ないし11件発生し,毎年3ないし6人が死亡しており,また,落雷事故を予防するための注意に関しては,平成8年までに,文献上の記載が多く存在していたところ,A高校の第2試合の開始直前ころには,本件運動広場の南西方向の上空には黒く固まった暗雲が立ち込め,雷鳴が聞こえ,雲の間で放電が起きるのが目撃されていたというのであるから,上記雷鳴が大きな音ではなかったとしても,同校サッカー部の引率者兼監督であったC教諭と 向の上空には黒く固まった暗雲が立ち込め,雷鳴が聞こえ,雲の間で放電が起きるのが目撃されていたというのであるから,上記雷鳴が大きな音ではなかったとしても,同校サッカー部の引率者兼監督であったC教諭としては,上記時点ころまでには落雷事故発生の危険が迫っていることを具体的に予見することが可能であったというべきであり,また,予見すべき注意義務を怠ったものというべきである。このことは,たとえ平均的なスポーツ指導者において,落雷事故発生の危険性の認識が薄く,雨がやみ,空が明るく なり,雷鳴が遠のくにつれ,落雷事故発生の危険性は減弱するとの認識が一般的なものであったとしても左右されるものではない。なぜなら,上記のような認識は,平成8年までに多く存していた落雷事故を予防するための注意に関する上記文献上の記載の内容と相いれないものであり,当時の科学的知見に反するものであって,その指導監督に従って行動する生徒を保護すべきクラブ活動の担当教諭の注意義務を免れさせる事情とはなり得ないからである。 ,,,そして上記文献上の科学的知見によれば落雷被害を回避するためには安全空間(コンクリートの建物,列車,自動車,バス等の導体<電気を通す物体>で囲まれ,仮に落雷しても雷の電流が導体の表面に沿って流れ,地面に拡散されるため,内部に侵入しない空間)に避難することが最も安全であるが,仮に近辺に安全空間が存在しない場合には,次善の策として,避雷針あるいは高い物体があることにより落雷が起こらない範囲である保護範囲(,,通常避雷針の場合その頂点の垂線に対する角度60度の円錐内の範囲45メートル以上30メートル以下の高い物体の場合最上部を45度以上の角度で見上げる範囲内で,落雷の際の側撃を避けるために高い物体から2ないし4メートル程度離れたところ)に避難し,姿勢を 錐内の範囲45メートル以上30メートル以下の高い物体の場合最上部を45度以上の角度で見上げる範囲内で,落雷の際の側撃を避けるために高い物体から2ないし4メートル程度離れたところ)に避難し,姿勢を低くしていれば十分に安全であるとされ,更に状況を見計らって安全空間に移動すれば,確実に被害を回避できるとされているところ,本件運動広場の東側,北側及び西側の外周には,防球ネットを張り巡らせるため地上からの高さ8メートルのコンクリート製柱が10メートル又は11メートル間隔で合計50本設置されていたのであるから,上記のように,A高校の第2試合の開始直前ころまでには落雷事故発生の危険が迫っていることを具体的に予見していたとすれば,C教諭としては,当面,上記コンクリート製柱沿いの2ないし4メートル程度離れた保護範囲に控訴人X1を含む生徒らを誘導し,避難させて,落雷被害を回避する措置を執ることが可能であったものであり,その措置を執ってい れば,本件落雷事故の発生を回避することができたものというべきである。 したがって,C教諭は,落雷事故発生の危険が迫っていることを具体的に予見すべき注意義務を怠ったため,予見していたとすれば,その被害を回避する措置を執ることが可能であったのに,その措置を執ることもなく,本件落雷事故を発生させた過失があることが明らかである。 被控訴学校の主張(2)控訴人らの上記主張は争う。下記アないしカのとおり,C教諭は,8月13日午後4時30分(A高校の第2試合開始直前)ころ,本件落雷事故発生の結果回避のための措置を執ることはできなかったものであり,結果回避可能性はなかったのであるから,何ら注意義務違反の責めを負うことはない。 アC教諭は,本件落雷事故の発生当時,避雷に関する保護範囲についての知識を何ら有していなかったものであり, のであり,結果回避可能性はなかったのであるから,何ら注意義務違反の責めを負うことはない。 アC教諭は,本件落雷事故の発生当時,避雷に関する保護範囲についての知識を何ら有していなかったものであり,速やかに生徒らを保護範囲に誘導することは全く不可能であったから,同教諭には本件落雷事故の発生について結果回避可能性はなく,注意義務違反はない。 イ当時,本件運動広場のAコート,Bコートの2面のフィールドには,1,,2チーム約200人の生徒らがいて4チームの生徒らが試合の準備をし8チームの生徒らがあちこちで待機ないし観戦をするなどの態勢にあったところ,天候は,雨がやみ,上空の大部分は明るくなりつつあったが,本件運動広場の南西方向の上空には黒く固まった暗雲が立ち込め,雷鳴が聞こえ,雲の間で放電が起きるのが目撃され,雷鳴は大きな音ではなく,遠くの空で発生したものと考えられる程度であり,生徒らを含む一般人にとって落雷の予見可能性や落雷の危険についての認識は低い状態にあり,落雷の危険が差し迫っているとは考えられず,現に,本件運動広場の誰からもサッカー大会の中止,中断が進言されたことはないのであるから,そのような状況下において,C教諭がいきなり「危険だ。逃げろ」などと叫。 んでも不審に思われるだけで,誰も言うことを聞かないことは自明の理で ある。生徒らに言うことを聞いてもらうためには,このような天候下にお。 ,いても落雷の危険が差し迫っていることを理解させる必要があるさらに生徒らをコンクリート製柱沿いの最上部を45度以上の角度で見上げる範囲内で2ないし4メートル程度離れた保護範囲に誘導するについても,生徒らに対し,明確とはいえない範囲について説明の上コンクリート製柱に近づきすぎても離れすぎても危ないということを理解させなければならない。と いし4メートル程度離れた保護範囲に誘導するについても,生徒らに対し,明確とはいえない範囲について説明の上コンクリート製柱に近づきすぎても離れすぎても危ないということを理解させなければならない。ところが,生徒らは約200人もいるのであるから,上記のような説明をして理解をしてもらった上で保護範囲に誘導するには相当に長時間を要することは明らかであり,8月13日のA高校の第2試合開始直前の4時30分から本件落雷事故発生の4時35分までの5分間に,同教諭が本件運動広場の生徒ら200人を保護範囲に誘導することは現実的に不可能というべきである。したがって,同教諭に本件落雷事故の発生について結果回避可能性はなく,注意義務違反はない。 ウ保護範囲は文献により必ずしも一定せず,その範囲は曖昧である。落雷の際の側撃を避けるために高い物体から離れる距離にしても2ないし4メートルとするものもあれば,2メートル以上,あるいは5メートル以上とするものもあり,現場の個別の状況によってはその範囲も変わってくるものであり,本件運動広場のコンクリート製柱に沿って低いフェンスも設置されており,フェンスからの側撃も加味する必要があり,その保護範囲は必ずしも明確ではない上に,保護範囲にいたとしても100パーセント安全が保障されるわけではないことも文献等から明らかであり,保護範囲自体が一般に認知されているわけではなく,落雷回避の場所として社会的にも採用されておらず,逆に一般人(特に生徒ら)は雷は高いものに落ちるため高い物の側は危険であると認識しており,保護範囲にじっとしているように命じられても,不安と抵抗を感じるものであるから,その場に長時間にわたり留めて待たせるというのは現実的ではなく,A高校の第2試合 (,,開始直前ころの天候雨がやみ上空の大部分は明るくなりつ 命じられても,不安と抵抗を感じるものであるから,その場に長時間にわたり留めて待たせるというのは現実的ではなく,A高校の第2試合 (,,開始直前ころの天候雨がやみ上空の大部分は明るくなりつつあったが本件運動広場の南西方向の上空には黒く固まった暗雲が立ち込め,雷鳴が聞こえ,雲の間で放電が起きるのが目撃され,雷鳴は大きな音ではなく,遠くの空で発生したものと考えられる程度であり,生徒らを含む一般人に。)とって落雷の予見可能性や落雷の危険についての認識は低い状態にある下において,C教諭に生徒らを保護範囲に誘導させるべき法的義務を課するのは社会的に妥当ではない。 エC教諭が生徒らを保護範囲に誘導するということは,サッカーの試合を中止,中断させることになるところ,試合の中止,中断の権限を有するのは本件大会の主催者及び試合の審判であり,本件大会の一参加校の引率者兼監督にすぎない同教諭にはその権限はなく,独断で試合を放棄して生徒らを引き上げることは明らかなルール違反であり,許されていなかった。 同教諭としては,試合の中止,中断を本件大会の主催者及び試合の審判に進言することができたにとどまる。仮に,同教諭が独断で試合を放棄して,,生徒らを引き上げたとすれば他の参加チームから非常識との批判を受け今後本件大会に参加できなくなることはもちろんのこと,A高校サッカー部の評判を悪化させ,同部がその後の対外試合が減少するなどの不利益を被ることとなり,同部員生徒ら,保護者,教員,その他学校関係者からも非難されることになるのは確実であり,同部の監督の地位を失い,教諭としての職も失った可能性もある。このように,同教諭に生徒らを保護範囲に誘導する義務を課することは,同教諭に社会的に非常識な行為と甚大な犠牲,代償を強いるものであり,到底容認できるものではな ,教諭としての職も失った可能性もある。このように,同教諭に生徒らを保護範囲に誘導する義務を課することは,同教諭に社会的に非常識な行為と甚大な犠牲,代償を強いるものであり,到底容認できるものではない。 オ一般に,事故が発生する危険がある場合における結果回避義務の範囲,程度は,事故発生の蓋然性の大小,事故発生の危険についての予見可能性の大小,結果回避のための犠牲,代償の大小,結果回避行為の社会的妥当性等に応じて異なるものというべきところ,本件大会は,生徒らのサッカ ー競技力の向上,選手間の親睦,指導者間における情報交換,交流等を目的に開催されたものであり,生徒らの野外活動として社会的にも極めて有用な行為であり,落雷事故発生の可能性がある場合に,主催者や引率者がこれら一切の活動を停止する義務を負うとなると,社会的に有用な野外活動はいずれも不可能ないし著しく困難となり,その社会的な犠牲,代償は甚大であるのに対し,A高校の第2試合開始直前ころには落雷事故の発生する蓋然性が低く,落雷の危険について予見可能性も低かったのであるから,このような場合には,主催者や引率者は,落雷事故による結果回避義務違反の責めを負わないものというべきである。 カ保護範囲が落雷に対し100パーセント安全ではなく,生徒らを本件運動広場内の保護範囲と称する一定の範囲に長時間に避難させておくことが現実的でないことは前記ウのとおりであるところ,控訴人らは,保護範囲にいったん避難した上で,更に状況を見計らって安全空間に移動すべきであると主張するが,本件運動広場及びその周辺には,約200人の生徒らを収容し得るような安全空間はなく,高槻市の小学校や中学校を避難場所として手配する余地があるとしても,移動にはタクシーやバスを要し,C教諭がそのようなことを行うのは事実上不可能であ 200人の生徒らを収容し得るような安全空間はなく,高槻市の小学校や中学校を避難場所として手配する余地があるとしても,移動にはタクシーやバスを要し,C教諭がそのようなことを行うのは事実上不可能であり,これらの確保は本来本件大会の主催者がすべきことであるから,この点からも同教諭に結果回避義務は生じないものというべきである。 被控訴協会の主催者性控訴人らの主張(1)被控訴協会は,大阪府教育委員会の許可を受けて設立されたスポーツ振興等を主な目的とする財団法人であるが,その加盟団体であり権利能力なき社団であるサッカー連盟に,本件実行委員会を設置させて,本件大会を開催したこと,高槻市から本件運動広場の貸与を受けていたのは同被控訴人であったこと,本件大会のパンフレットには,主催者として「財団法人Y2協会サ ッカー連盟」という名称が記載されていたことによれば,特段の事情のない限り,同被控訴人が本件大会の主催者であると推認するのが相当である。そして,同被控訴人の加盟団体であり権利能力なき社団である同連盟が本件大会の実施を担当していたからといって,上記特段の事情があるということはできない。 被控訴協会の主張(2)控訴人らの上記主張は争う。下記アないしエのとおり,被控訴協会が本件大会の主催者であると推認するのが相当といえない特段の事情がある。 ア被控訴協会がサッカー連盟に本件実行委員会を設置させて本件大会を開催したことはない。本件実行委員会は,同被控訴人の加盟団体である同連盟の構成員である高槻市内の公私の高校のサッカーチームの監督ら(高校教諭ら)が自ら委員となって本件大会を開催,運営するために組織したものであり,本件大会は,本件実行委員会によって開催され,運営された。 イ被控訴協会は,傘下のサッカー連盟等の各スポーツ連盟のため,使用予 )が自ら委員となって本件大会を開催,運営するために組織したものであり,本件大会は,本件実行委員会によって開催され,運営された。 イ被控訴協会は,傘下のサッカー連盟等の各スポーツ連盟のため,使用予定施設を確保する事務手続を行ったり,教育委員会等への後援依頼の事務手続を行っており,各連盟から年間の事業計画の報告を受けてとりまとめてはいるが,各連盟の事業計画について形式的な調整を除いては内容に関与することはなく,各連盟において決定された内容の報告を受けてとりまとめた上,同被控訴人が主体となって行う事業計画とあわせて高槻市等へ報告しているだけであり,サッカー連盟に対して本件実行委員会を設置するよう指示したり,構成員の人選を行ったり,本件大会について予算の付,。 与を行ったりしたことはなく人的・組織的・資金的関与は全くなかったウ高槻市に対して本件運動広場の貸与許可申請をしたのは被控訴協会であったが,これは同被控訴人傘下の多数のスポーツ連盟等の団体が個々別々に高槻市に対してその管理施設の貸与許可申請を行うこととなれば,手続が錯綜するおそれがあるため,これを回避する趣旨で,同被控訴人が各加 盟団体からの許可申請手続依頼に基づいて集約して行っている事務手続の一環であるにすぎず,同被控訴人は名目上被貸与者であっても,貸与許可申請手続の代行機関であり,実質的な被貸与者はあくまでもサッカー連盟である。 エ本件大会のパンフレットの共催団体を示す場所には「財団法人Y2協会」,,,サッカー連盟との記載があるがそれは主催者が被控訴協会ではなくサッカー連盟であることを示すためのものであり,現に,本件大会への参加依頼のための文書である「第10回Bフェスティバル開催について」と題する書面(丁15)は「Dサッカー連盟」の名義で作成されており,,こ 連盟であることを示すためのものであり,現に,本件大会への参加依頼のための文書である「第10回Bフェスティバル開催について」と題する書面(丁15)は「Dサッカー連盟」の名義で作成されており,,これは同連盟が本件大会の主催者であることの証左である。高槻市も,本件大会は同連盟が主催している旨認識していた。 被控訴協会ないしTその他本件大会運営担当者の注意義務違反控訴人らの主張(1)被控訴協会ないしBコートの会場担当者であったTその他本件大会運営担当者は,本件大会の主催者ないしその補助者として,できる限り生徒の安全にかかわる事故の危険性を具体的に予見し,その予見に基づいて当該事故の発生を未然に防止する措置を執り,本件大会に参加中の生徒を保護すべき注意義務を負うものというべきである。 Tその他本件大会運営担当者は,A高校の第2試合開始直前の時点ころまでには落雷事故発生の危険が迫っていることを具体的に予見することが可能であったというべきであり,また,予見すべき注意義務を怠ったものというべきである。 Tその他本件大会運営担当者は,上記の予見に基づき,控訴人X1を含む本件大会に参加した生徒らを落雷の危険性の小さい保護範囲(本件運動広場の外周に存するコンクリート製柱の周囲の部分)に避難させることにより,本件落雷事故の発生を回避することができた。 被控訴協会の主張(2)控訴人らの上記主張は争う。被控訴協会ないしTその他本件大会運営担当者は,下記ア,イのとおり,本件落雷事故を回避することはできなかった。 ア控訴人X1が在学関係にある被控訴学校と,何らの契約関係に立たない被控訴協会とでは,同控訴人との関係において大きな差異があり,同被控訴人の注意義務が被控訴学校の引率教諭と同程度ということはあり得な。 ,,い本件大会は練習試合であり対 何らの契約関係に立たない被控訴協会とでは,同控訴人との関係において大きな差異があり,同被控訴人の注意義務が被控訴学校の引率教諭と同程度ということはあり得な。 ,,い本件大会は練習試合であり対戦中における試合開始の延期や中止は監督同士の話合いに任せられており,被控訴協会には中止権限がない。また,本件大会が複数の会場で分散開催されている以上,本件大会運営担当者が協議することは不可能である。したがって,被控訴学校こそが本件落雷事故の回避義務違反に問われるべきである。 イA高校の第2試合開始直前の午後4時30分ころ本件落雷事故の予見が可能となり,生徒らに避雷回避のための避難行動をとらせるにしても,当時本件運動広場には約200人の生徒らが散在していたものであり,試合中止のために各学校の引率教員やサッカー連盟関係者が集合して協議し,試合中止を決定し,生徒らに対して避難方法を説明し,理解させ,避難行動に移させるという一連の措置を執らなければならないが,これらの措置を本件落雷事故発生の4時35分までの5分間にすべて完了することは到底不可能である。また,生徒らが避雷法に関する保護範囲を知っているわけではなく,生徒らをコンクリート製柱の脇にしゃがませるということも困難であり,さらに,その後待避すべき安全空間及びそこへの移動手段を,。 確保するのも困難であって控訴人ら主張の回避措置は実行不可能である保護範囲の安全性は100パーセントではないから,控訴人ら主張の結果回避手段は安全性を欠く不十分なものである。 損害控訴人らの主張(1) 控訴人らの主張は別紙損害一覧表の請求項目請求額(円)及び控,「」,「」「訴人らの主張」の各欄に記載のとおりである。 被控訴学校の主張(2)被控訴学校の主張は,別紙損害一覧表の「被控訴 の主張は別紙損害一覧表の請求項目請求額(円)及び控,「」,「」「訴人らの主張」の各欄に記載のとおりである。 被控訴学校の主張(2)被控訴学校の主張は,別紙損害一覧表の「被控訴学校の認否」欄に記載のとおりである。 被控訴協会の主張(3)被控訴協会の主張は,別紙損害一覧表の「被控訴協会の認否」欄に記載のとおりである。 第4当裁判所の判断 争点1(被控訴学校ないしC教諭の注意義務違反)について予見義務(1)まず,C教諭の予見義務について検討する。 ア本件落雷事故発生時の状況証拠(甲8,9,23,98,325,乙1,9,10,丁14,原審証人C,同T,同L2,同L3,1審被告Z本人)及び弁論の全趣旨によれば,本件落雷事故当日の状況に関し,次の事実を認めることができる。 A高校の第1試合が開始された8月13日午後1時50分ころには,本件運動広場の上空には雷雲が現れ,小雨が降り始め,時々遠雷が聞こえるような状態であった。同校のサッカー部の選手の中には,上記試合の前後に,落雷防止のため,首にしていたペンダントを外す者等もおり,控訴人X1も,チームメートにペンダントを外した方がいいか聞いたりしていたが,結局外さなかった。上記試合が終了した同日午後2時55分ころからは,上空に暗雲が立ちこめて暗くなり,ラインの確認が困難なほどの豪雨が降り続いた。同日午後3時15分ころには,大阪管区気象台から雷注意報が発令されたが,C教諭及び本件大会運営担当者らはこのことを知らなかった。このころ,同校の選手らはベンチで次の試合のために待機し,他 校のチームの対戦を観戦していたが,上記の状況下において「こんな天,気で試合をやりたくない」などのやり取りをする者もいた。当時,雲は。 ほぼ南から北へ流れており,同日午後4時30分の直前こ 校のチームの対戦を観戦していたが,上記の状況下において「こんな天,気で試合をやりたくない」などのやり取りをする者もいた。当時,雲は。 ほぼ南から北へ流れており,同日午後4時30分の直前ころには,雨がやみ,上空の大部分は明るくなりつつあったが,本件運動広場の南西方向の上空には黒く固まった暗雲が立ち込め,雷鳴が聞こえ,雲の間で放電が起きるのが目撃された。雷鳴は大きな音ではなく,遠くの空で発生したものと考えられる程度ではあった。 C教諭は,稲光の4,5秒後に雷の音が聞こえる状況になれば雷が近くなっているものの,それ以上間隔が空いているときには落雷の可能性はほとんどないと認識していたため,同日午後4時30分の直前ころには落雷事故発生の可能性があるとは考えていなかった。そのため,同教諭は,A高校の第2試合開始の時点で,対戦相手である「Gチーム」の監督でありBコートの会場担当者でもあったTや,上記試合担当の主審に対し,試合の中止や開始の延期を申し入れることはなかった。 A高校の第2試合は,同日午後4時30分ころ,上記気象状況の下で,本件運動広場のBコートで開始され,控訴人X1を含む同校サッカー部員が出場した。同日午後4時35分ころ,同控訴人に落雷があり,同控訴人はその場に倒れた。当時,C教諭は,上記試合前に同コートで実施されたI2高校対I3高校の試合で主審を務めた際に上記豪雨で汚れた靴とソックスを水道で洗っていた。 イ落雷事故発生の危険性に関する科学的知見後記括弧内掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件落雷事故当時における落雷事故発生の危険性に関する科学的知見について,次のとおり認められる。 落雷による死傷事故は,全国で,平成5年に5件(うち3人が死亡,)平成6年に11件(うち4人が死亡,平成7年に10件(うち6人が死) 険性に関する科学的知見について,次のとおり認められる。 落雷による死傷事故は,全国で,平成5年に5件(うち3人が死亡,)平成6年に11件(うち4人が死亡,平成7年に10件(うち6人が死) 亡)発生していた(乙5。 )落雷の研究における我が国の第一人者とされる北川信一郎元埼玉大学工学部教授が編集委員長となっている日本大気電気学会編の「雷から身を守るには-安全対策Q&A-(平成3年6月刊行)には,雷の発生,接近」,「,,を知る方法に関し人間の五感で判断するラジオ・無線機を利用する雷注意報などの気象情報に注目する等の方法があります。しかし,どの方,,,(,,法でも正確な予測は困難ですから早めに安全な場所建物自動車バス,列車等の内部(中略)に移っていることが,有効な避雷法です」)。 との記載や,運動場等にいて雷雲が近付いてきた場合に関し「雷鳴がき,こえるとき,入道雲がモクモク発達するとき,頭上に厚い雲が広がるときは(中略)直ちに屋内に避難します。雷鳴は遠くかすかでも危険信号ですから,時をうつさず,屋内に避難します」との記載があった(甲38の。 1。これと同趣旨の落雷事故を予防するための注意に関する文献上の記)載は,平成8年までに多く存在しており,例えば,横山正(東京学芸大学附属小金井小学校副校長)編の「理科室が火事だ!どうする?(平成2」年4月刊行)には「遠くで『ゴロゴロッ』と鳴りだしたら,もう危険が,せまっているわけですから,はやめに避難するようにしましょう」との。 記載が存在し(甲208,矢花槇雄(気象庁長期予報課勤務)著の「夏)のお天気(平成8年3月刊行)には「雷鳴の聞こえる範囲は,せいぜい」,20kmです。雷鳴が聞こえたら,雷雲が頭上に近いと思った方が良いでしょう。また落 花槇雄(気象庁長期予報課勤務)著の「夏)のお天気(平成8年3月刊行)には「雷鳴の聞こえる範囲は,せいぜい」,20kmです。雷鳴が聞こえたら,雷雲が頭上に近いと思った方が良いでしょう。また落雷は雨の降り出す前や小やみのときにも多いことが分かっています。遠くで雷鳴が聞こえたら,すぐに避難し,雨がやんでもすぐに屋外に出ないことが大切です」との記載が存在する(甲61)などしてい。 た。 ウ落雷事故発生の危険性の予見可能性及び予見義務教育活動の一環として行われる学校の課外のクラブ活動においては,生 徒は担当教諭の指導監督に従って行動するのであるから,担当教諭は,できる限り生徒の安全にかかわる事故の危険性を具体的に予見し,その予見に基づいて当該事故の発生を未然に防止する措置を執り,クラブ活動中の生徒を保護すべき注意義務を負うものというべきである。 上記ア,イで認定した事実関係によれば,落雷による死傷事故は,平成5年から平成7年までに全国で毎年5ないし11件発生し,毎年3ないし6人が死亡しており,また,落雷事故を予防するための注意に関しては,平成8年までに,前記イの各文献上の記載が多く存在していたのであり,A高校の第2試合の開始直前ころには,本件運動広場の南西方向の上空には黒く固まった暗雲が立ち込め,雷鳴が聞こえ,雲の間で放電が起きるのが目撃されていたというのである。そうすると,上記雷鳴が大きな音ではなかったとしても,同校サッカー部の引率者兼監督であったC教諭としては,上記時点ころまでには落雷事故発生の危険が迫っていることを具体的に予見することが可能であったというべきであり,また,予見すべき注意義務を怠ったものというべきである。このことは,たとえ平均的なスポーツ指導者において,落雷事故発生の危険性の認識が薄く,雨がやみ,空が明るく ことが可能であったというべきであり,また,予見すべき注意義務を怠ったものというべきである。このことは,たとえ平均的なスポーツ指導者において,落雷事故発生の危険性の認識が薄く,雨がやみ,空が明るくなり,雷鳴が遠のくにつれ,落雷事故発生の危険性は減弱するとの。 ,認識が一般的なものであったとしても左右されるものではないなぜなら上記のような認識は,平成8年までに多く存在していた落雷事故発生の危険性に関する前記イの各記載等の内容と相いれないものであり,当時の科学的知見に反するものであって,その指導監督に従って行動する生徒を保護すべきクラブ活動の担当教諭の注意義務を免れさせる事情とはなり得ないからである(本件における上告審判決参照。 )本件落雷事故発生の回避措置及び回避可能性(2)次に,A高校の第2試合の開始直前ころまでに,C教諭が落雷事故発生の危険を具体的に予見していたとすれば,どのような措置を執ることができた か,同教諭がその措置を執っていたとすれば,本件落雷事故の発生を回避することができたかについて検討する。 ア本件落雷事故発生当時の本件運動広場の状況等証拠(甲16,63,327,365,388,389,原審証人C,同T,同L4,1審被告Z本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 本件運動広場の外周には,防球ネットを設置するためのコンクリート製柱が,東側に22本,北側に12本,西側に16本,計50本存在する。 各コンクリート製柱は,高さ地上8メートルであり,コンクリート製柱の間隔は10ないし11メートルである。 A高校の第2試合開始直前ころ,本件運動広場のAコート,Bコートの2面のフィールドには,同高校を含む4チームのサッカー部員らが試合の準備をしており,コート周辺では8チームのサッカー部員らがあちこちで A高校の第2試合開始直前ころ,本件運動広場のAコート,Bコートの2面のフィールドには,同高校を含む4チームのサッカー部員らが試合の準備をしており,コート周辺では8チームのサッカー部員らがあちこちで待機ないし観戦をするなどしており,同広場全体で約200名の生徒らがいた。 本件大会において,通例,試合の延期や中止は,対戦チームの監督や会場担当者が協議し,必要に応じて会場担当者が大会実行委員と協議して決定することになっていた。 イ落雷に対する安全対策に関する科学的知見証拠(甲34,209,328,413,418,当審証人L5,後記括弧内掲記の各証拠)によれば,落雷に対する安全対策に関する知見について,次のとおり認められる。 平成8年8月当時の落雷に対する安全対策に関する科学的知見は,人体は同じサイズの金属像と同様に落雷を誘引するものであり,ゴム製の雨合羽や長靴等の絶縁物を身に着けていても落雷を阻止する効果がないとして,落雷を免れる最善の安全対策は,導体で囲まれ,落雷が侵入しない安 全空間に入ることであるとし,一般的に確実な安全対策としては,自動車(無蓋車を除く,バス,列車,コンクリート建築の内部に留まること,。)一般家屋内では,屋外テレビアンテナに接続されたテレビセットから2メートル以上離れ,万全を期するには,電灯線,電話線,アンテナ線,設置線,これらに接続されたすべての電気機器から1メートル以上離れ,電話は使用しないこととし,これに次ぐ安全対策は,避雷針又は高い物体の保護範囲に入ることであるとし,保護範囲とは,4メートル以上の高い物体の頂上を45度以上の角度に見上げる範囲,すなわち同頂上から下ろした垂線と地表との交点を中心に同頂上までの高さ(ただし,30メートルまで)を半径として描いた円周内(もっとも,高い物体が不導体の場合 の頂上を45度以上の角度に見上げる範囲,すなわち同頂上から下ろした垂線と地表との交点を中心に同頂上までの高さ(ただし,30メートルまで)を半径として描いた円周内(もっとも,高い物体が不導体の場合,人体は高い物体への落雷による側撃を受ける可能性があるから,高い物体そのものから2メートル以上離れる必要がある)とし,例えば,高さ4メ。 ートル以上の物体(樹木,ポールなど)が近傍にあるときは,その頂上を45度以上の角度で見上げ,その物体のどの部分からも2メートル以上離れた位置で姿勢を低くし,樹木の場合はすべての枝先,葉先から2メートル以上離れることが肝要であるとし,ただし,保護範囲もその安全性は100パーセントではないとするものであった。 上記知見に関しては,以下の各文献において発表され,広く一般に流布されていた。 日本大気電気学会編の「雷から身を守るには-安全対策Q&A-(平」成3年6月刊行)には,屋外での避雷対策に関し「高さ4メートル以上の,,高い物体があればその物体から二~四メートル離れたところでしゃがむ或いは腰を下ろしていれば比較的安全です「高い物体のてっぺんを四。」,五度以上の急角度で見上げる範囲は,保護範囲といわれています」との記載があった(甲38の1。これと同趣旨の避雷対策に関する文献上の記)載は平成8年までに多く存在しており,例えば,日本放送協会編の「NH K最新気象用語ハンドブック(昭和61年11月刊行)には「避雷の方」,法」の項目中に「大きな木(高さ10m以上)の場合,木の根元から5~10mの範囲内で,幹や枝から2m以上離れて姿勢を低くする」との記。 載があり(甲406,横山正編の「理科室が火事だ!どうする?(平成)」2年4月刊行)には「四メートル以上の高い木は,そのてっぺんを四五度以上の角度 枝から2m以上離れて姿勢を低くする」との記。 載があり(甲406,横山正編の「理科室が火事だ!どうする?(平成)」2年4月刊行)には「四メートル以上の高い木は,そのてっぺんを四五度以上の角度で見あげる範囲に入ると,直撃を避けることができます。このときすべての枝先,葉先から二メートル以上はなれて,姿勢を低くすることが大切です」との記載があり(甲407,宮澤清治(日本気象協会調。 )査役,元神戸海洋気象台長)著の「天気図と気象の本(平成3年7月刊」行)には「平地で木(高さ10m以上)のある場合,木の根元から5~10mの範囲で,幹や枝から2m以上離れて姿勢を低くする「避雷針には」,保護範囲がある。避雷針の突針の先端を頂点とする円錐を考え,頂角の1/2を保護角といい,普通の建物では60度以下,油タンクとか火薬庫のような危険物貯蔵庫の場合は45度以下にとるようにきめられている」。 との記載があり(甲408,細田剛(元河口湖測候所長)著の「天気が)わかることわざ事典(平成3年6月刊行)には,避雷法に関し「樹木の」下へ入って(中略)正三角形の範囲内で木や枝から2m以上離れて体を低くする」との記載があり(甲409,小倉義光(日本気象協会顧問,元。 )東京大学海洋研究所教授)著の「お天気の科学(平成6年9月刊行)に」は「避雷針がカバーする安全な範囲は,例えば高さ30mの避雷針だったら,根本を中心として半径30mの円内である。送電線や避雷針のついた鉄塔のそばにいるときには,これらの一番高いところを45°の仰角で見る範囲内に入り,しかも塔の根本から1m以上離れる」との記載がある。 (甲411。 )上記認定事実によれば,平成8年8月当時,落雷に対する安全対策に関する科学的知見として,避雷法,安全空間,保護範囲については広く一般 根本から1m以上離れる」との記載がある。 (甲411。 )上記認定事実によれば,平成8年8月当時,落雷に対する安全対策に関する科学的知見として,避雷法,安全空間,保護範囲については広く一般 に知られていたものと認められる。 ウ本件落雷事故発生の回避措置及び回避可能性前記ア,イで認定した事実関係を前提とすれば,本件運動広場においては,各コンクリート製柱を中心とした半径8メートル(同柱の高さに相当する)の円内で,かつ,柱から2メートル程度以上離れた部分が避雷の。 ための保護範囲となり,この範囲内にとどまる限り,落雷の直撃に遭う危険性はかなりの程度軽減されることが明らかであり,また,コンクリート製柱は同広場の外周の東側,北側,西側に10ないし11メートルの間隔をもって合計50本が存在していたことからすると,これにより形成される保護範囲は相当広範囲に及び,A高校の第2試合開始直前ころ同広場にいた約200名の生徒ら全員が一時的にしゃがむなどしてとどまり,避雷する場所としては十分な面積があったものということができ,C教諭としては,少なくとも当面同高校の生徒らを上記保護範囲に避難させ,姿勢を低くした状態で待機するよう指示した上,同試合の対戦相手である「Gチーム」の監督であるとともにBコートの会場担当者であったTに対し,試合の延期や中止の場合の通例に従って,落雷の危険が去るまで同試合の開始を延期することを申し入れて協議をし,他校の生徒らについても同様に保護範囲に避難させるなどの措置を執り,天候の変化に注目しつつ,更に安全空間への退避の方法についても検討するなどの措置を執ることが可能であり,そうしていれば,同試合開始後間もなく発生した本件落雷事故を回避できたものといえる。 補足(3)被控訴学校は,前記第3の1のとおり,C教諭に本件落雷 も検討するなどの措置を執ることが可能であり,そうしていれば,同試合開始後間もなく発生した本件落雷事故を回避できたものといえる。 補足(3)被控訴学校は,前記第3の1のとおり,C教諭に本件落雷事故発生の結(2)果回避可能性はなく,何らの注意義務違反の責めを負うことはない旨主張するが,下記アないしカのとおり,いずれも採用できない。 ア被控訴学校は,前記第3の1アのとおり,C教諭が本件落雷事故当時(2) 避雷に関する保護範囲についての知識を何ら有しておらず,速やかに生徒らを保護範囲に誘導することは全く不可能であった旨主張する。 しかし,避雷に関する保護範囲についての知見は,平成8年までに広く一般に知られている状況にあり,C教諭は,A高校のサッカー部の指導監督をする担当教諭として,生徒の安全にかかわる落雷事故の危険性を具体的に予見する義務がある立場にあったのであるから,生徒の安全を守るべき立場のものとして,広く一般に知られている避雷に関する保護範囲については当然に知識を有しているべきであり,これを有していなかったこと自体が問題であって,避雷に関する保護範囲についての知識を有していなかったからといって,生徒の安全を守るべき立場としての責めを免れるべき理由にはならない。被控訴学校の上記主張を前提にすれば,学校や教諭が生徒の安全確保のため必要な一般的な科学的知見や知識を獲得する努力を怠っていれば,そのことの故に生徒の安全確保に係る責任を免れ得ることになるが,そのような帰結が不当であることは明らかである。上記主張は失当である。 イ被控訴学校は,前記第3の1イのとおり,C教諭が,A高校の第2試(2)合開始直前ころである午後4時30分ころから本件落雷事故の発生した4時35分ころまでのわずか5分間の間に,本件運動広場の約200人もの 校は,前記第3の1イのとおり,C教諭が,A高校の第2試(2)合開始直前ころである午後4時30分ころから本件落雷事故の発生した4時35分ころまでのわずか5分間の間に,本件運動広場の約200人もの生徒らに落雷の危険性や保護範囲について理解させた上,保護範囲に誘導することは現実的に不可能である旨主張する。 しかし,約200人の生徒らに対するものとはいえ,笛や号令等により注意喚起を促した上で,落雷の危険性を告げ,コンクリート製柱の近くの保護範囲を指示すること自体にさほど時間を要するとは考えられず,生徒らが落雷の危険性や保護範囲について時間をかけて理解しない限りC教諭の指示に従わないとも考え難い。かえって,控訴人X1を含むA高校の生徒らは落雷防止のためペンダントを外した方がいいかどうかを気にし,ま た,当時の状況下において「こんな天気で試合をやりたくない」などの,。 やり取りをする生徒らもいたことからすると,同控訴人や同生徒らは落雷に対する本能的な恐怖を感じていたものと推認されるところ,他校の生徒らも同様の状況下にあったのであるから,むしろ同広場にいた多数の生徒らは避雷の指示に対し機敏に反応した可能性の方が高いものというべきである。その上,同教諭が引率者兼監督として注意義務を負うのはA高校のサッカー部員に対してだけであり,他校の生徒が多数いることを根拠に,その義務を免れるべきいわれはない。上記主張は理由がない。 ウ被控訴学校は,前記第3の1ウのとおり,保護範囲は文献により一定(2)せず,その範囲が曖昧であり,100パーセント安全ではなく,本件運動広場のコンクリート製柱に沿うフェンスからの側撃も加味する必要があり,一般人(特に生徒ら)が雷は高い物に落ちるため高い物は危険であると認識しており,生徒らをコンクリート製柱の周囲の保護範 ,本件運動広場のコンクリート製柱に沿うフェンスからの側撃も加味する必要があり,一般人(特に生徒ら)が雷は高い物に落ちるため高い物は危険であると認識しており,生徒らをコンクリート製柱の周囲の保護範囲に長時間にわたり留めて待たせるのは現実的ではない旨主張する。 しかし,保護範囲が文献により多少相違する事実があるとしても,その相違は実際の現場での対応に困難が生じるほどのものとはいい難く,上記文献上の相違をもって,生徒らを保護範囲に誘導しないことを正当化する根拠とはなし難い。また,保護範囲が100パーセント安全でないことも主張のとおりであるが,保護範囲が落雷被害をかなりの程度軽減することは前述のとおりであり,100パーセント安全でないことをもって,生徒らを保護範囲に誘導しないことを正当化する根拠ともなし難い。さらに,本件運動広場のコンクリート製柱に沿う低いフェンスからの側撃も加味する必要があるとの点については,コンクリート製柱への落雷がフェンス伝いに生徒らを側撃することを想定するものと解されるが,コンクリート製柱自体が導体であることからすると,一般にコンクリート製柱からフェン,,スにそして更に人体に側撃する物理現象自体があり得るのか疑問であり 上記主張の点をもって,生徒らを保護範囲に誘導しないことを正当化する根拠とはなし難い。一般人(特に生徒ら)が雷は高い物に落ちるため高い物は危険であると認識しており,生徒らをコンクリート製柱の周囲の保護範囲に長時間にわたり留めて待たせるのは現実的ではないとの点については,避雷に関する保護範囲についての知見が平成8年までに広く一般に知られている状況にあることからして,必ずしも一般人(特に生徒ら)が雷に対して高い物の側はすべて危険であるとの誤った認識をしているとは限らない上に,誤った認識を有する者 見が平成8年までに広く一般に知られている状況にあることからして,必ずしも一般人(特に生徒ら)が雷に対して高い物の側はすべて危険であるとの誤った認識をしているとは限らない上に,誤った認識を有する者が一部にいるとしても,適切な誘導の後に説明すれば足りるものであり,誤った認識を有する者がいる可能性をもって,生徒らを保護範囲に誘導しないことを正当化する根拠とはなし難い。なお,生徒らをコンクリート製柱の周囲の保護範囲に誘導した後は,天候等の状況次第によって対応すべきことになるところ,天候が回復すればそれ以上に特段の措置を要しないし,回復しなくても安全空間への退避,,が可能であれば保護範囲にとどまるのは一時的なことになるであろうし落雷の危険が継続して他に避雷のために適切な場所がない場合には,生徒らをコンクリート製柱の周囲の保護範囲にしばらくの間留めて待たせるほかないが,このような可能性があるからといって,保護範囲に誘導することが現実的でないなどとはいえない。ましてや生徒らを保護範囲に誘導し。 。 ないことを正当化する根拠とはなし難い上記主張は採用の限りではないエ被控訴学校は,前記第3の1エのとおり,C教諭にサッカーの試合を(2)中止,中断させる権限はなく,独断で試合を放棄して生徒らを引き上げさせることはルール違反であり,他チームから非常識との非難を受け,今後本件大会に参加できなくなり,A高校サッカー部の評判を悪化させ,学校関係者等から非難され,同教諭が同部の監督ばかりか教諭としての職も失った可能性もあるから,同教諭に生徒らを保護範囲に誘導する義務を課することは,同教諭に社会的に非常識な行為と甚大な犠牲,代償を強いるも のであり,到底容認できるものではない旨主張する。 しかし,A高校の第2試合の開始直前ころまでに,落雷事故発生の危 る義務を課することは,同教諭に社会的に非常識な行為と甚大な犠牲,代償を強いるも のであり,到底容認できるものではない旨主張する。 しかし,A高校の第2試合の開始直前ころまでに,落雷事故発生の危険が迫っていることを具体的に予見することが可能であり,C教諭が予見すべきであったものであるところ,同教諭としては,前述のとおり,同試合の開始に先立ち,落雷事故の回避のため,まず同校サッカー部の生徒らを上記保護範囲内に誘導し,姿勢を低くした状態で待機するよう指示をした上で,Tに対し,同試合の開始の延期を申し入れて協議の上,他校の生徒らについても同様に保護範囲に避難させるなどの措置を執り,天候の変化に注目しつつ,更に安全空間への退避の方法についても検討するなどの措置を執るべきであったのであり,これらの措置の目的や内容に照らし,そうしたからといって,試合の中止,中断ないし独断による試合放棄をしたことになるとはいえないし,ルール違反とも非常識ともいい難いことはもちろん,今後本件大会に参加できなくなり,A高校サッカー部の評判が悪化し,同教諭が学校関係者等から非難され,同教諭が同部の監督ばかりか教諭としての職も失う可能性があったなどとは到底考え難い上に,そのような可能性があることを慮って,生徒らに落雷事故発生の危険が迫っているのに,避雷のための措置を執らないで放置することは,まさに本末転倒というほかなく,それこそ社会的に非常識な行為であり,上記可能性を回避することを優先して生徒らの生命身体に甚大な犠牲,代償を強いるに等しく,容認できないものというべきである。上記主張は到底採用の限りではない。 オ被控訴学校は,前記第3の1オのとおり,本件大会が生徒らの野外活(2)動として社会的にも極めて有用なものであるとして,落雷事故発生の可能性がある場合に, 上記主張は到底採用の限りではない。 オ被控訴学校は,前記第3の1オのとおり,本件大会が生徒らの野外活(2)動として社会的にも極めて有用なものであるとして,落雷事故発生の可能性がある場合に,主催者や引率者が活動を停止する義務を負うとなると,社会的に有用な野外活動はいずれも不可能ないし著しく困難となり,その社会的な犠牲,代償は甚大であるのに対し,A高校の第2試合開始直前こ ろには落雷事故の発生する蓋然性は低く,落雷の危険について予見可能性も低かったとして,主催者や引率者は落雷事故による結果回避義務を負わない旨主張する。 しかし,A高校の第2試合開始直前ころには落雷事故の発生する蓋然性は低く,落雷の危険について予見可能性も低かったとはいえないことは,既に認定したとおりであるほか,本件大会が生徒らの野外活動として社会的にも極めて有用なものであるとしても,落雷事故発生の危険性がある場合にまで活動を強行して,生徒らの生命身体を危険にさらすことが許されるはずはなく,主催者や引率者が活動を停止する義務を負うのはむしろ当然というべきである。そのような義務を課したからといって,社会的に有用な野外活動が不可能ないし著しく困難になるものとはいえない。なぜなら,野外活動は本来生徒の生命身体の安全を確保した上で行うべきもので,,ある上に前記の落雷に関する前記各文献等の記載からも明らかなように野外活動に際しての雷に対する注意事項の事前検討ないし確認や雷に遭遇した場合の効果的な避雷方法の実施はさほど困難な事柄とはいい難く,雷の性質に対する正確な認識を基に事前に準備して適切かつ迅速に対処する限り,一般的には落雷事故の発生は十分に回避し得るものであるからである。もちろん,予期できない場合や突発的な場合に回避しきれない事態もあり得ないではないが,そのよ 前に準備して適切かつ迅速に対処する限り,一般的には落雷事故の発生は十分に回避し得るものであるからである。もちろん,予期できない場合や突発的な場合に回避しきれない事態もあり得ないではないが,そのような場合にまで主催者や引率者の責任が問われるものではない。上記主張は理由がない。 カ被控訴学校は,前記第3の1カのとおり,保護範囲にいったん避難し(2)ても,本件運動広場及びその周辺には約200人の生徒らを収容し得るような安全空間はなく,移動するにしてもタクシーやバスを要し,これらの確保は本来本件大会の主催者がすべきであり,C教諭が行うのは事実上不可能であったとして,同教諭に結果回避義務は生じない旨主張する。 しかし,近くに安全空間がないからといって,落雷の危険がある以上, 生徒らを当面手近にある保護範囲に避難させる必要がなくなるものではない。安全空間や移動手段の確保が本件大会の主催者のなすべき事柄であるとしても,だからといって,C教諭が自らが引率してきたA高校の生徒らを保護範囲に避難させなくてもよいことになる筋合いのものでもない。上記主張は失当である。 被控訴学校の責任(4)前記ないしによれば,C教諭は,A高校の第2試合開始直前ころまで(1)(3)には本件落雷事故発生の危険が迫っていることを具体的に予見することが可,,,能でありこれを予見すべき注意義務があったにもかかわらずこれを怠り同校サッカー部の生徒らを保護範囲(本件運動広場外周に存する50本の各コンクリート製柱を中心とした半径8メートルの円内で,かつ,柱から2メートル程度以上離れた場所)に誘導し,姿勢を低くした状態で待機するよう指示し,かつ,Tに対し,同試合の開始の延期を申し入れて協議の上,更に安全空間に生徒らを退避させる方法を検討,準備するなどの措置を執るな 程度以上離れた場所)に誘導し,姿勢を低くした状態で待機するよう指示し,かつ,Tに対し,同試合の開始の延期を申し入れて協議の上,更に安全空間に生徒らを退避させる方法を検討,準備するなどの措置を執るなどの落雷事故発生の回避のための措置を執ることなく,漫然と同試合に控訴人X1を出場させ,その結果,同控訴人を本件落雷事故に遭わしめた過失があるものというべきである。 したがって,被控訴学校は,本件落雷事故について,C教諭の使用者として,民法715条に基づき不法行為責任(使用者責任)を負うものというべきである。 争点2(被控訴協会の主催者性)について本件大会の開催(1)証拠(甲8,丙2,丁1ないし9,12,13,15,16,19,原審証人L4,1審被告Z本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 被控訴協会は,市民の体位の向上と正しいスポーツの普及を通じ競技力の 向上を行い,併せてアマチュアスポーツ精神の高揚を図り,もってスポーツ振興に寄与することを目的とし,この目的を達成するため,市民大会,講習会等スポーツに関する行事の開催,スポーツ関係諸団体との連絡協調等の事業を行う財団法人である。同被控訴人には,理事が10名以上15名以内,監事が2名又は3名,評議員が30名以上50名以内置かれ,理事が理事会を,評議員が評議員会を構成する。同被控訴人は,その目的に賛同しその事業を援助する団体で,かつ理事会及び評議員会で承認された高槻市におけるアマチュアスポーツ団体を加盟団体としている。 サッカー連盟は,高槻市におけるサッカーの普及と技術の向上を図り,加盟団体相互間及び全国サッカー関係者との親睦を図ることを目的とし,各種サッカー大会の主催及び主管並びに後援,サッカーの振興普及及び指導者の育成,その他前記目的を達成するために必要 術の向上を図り,加盟団体相互間及び全国サッカー関係者との親睦を図ることを目的とし,各種サッカー大会の主催及び主管並びに後援,サッカーの振興普及及び指導者の育成,その他前記目的を達成するために必要な事業を行う団体であり,いわゆる権利能力なき社団である。同連盟には,会長1名,副会長若干名,理事長1名,副理事長及び理事が若干名置かれ,意思決定機関として理事会がある。同連盟は,同市内のサッカーチームを加盟団体とし,5つの部(社会人の部,高校の部,中学の部,少年の部,女子の部)に別れて活動している。 同連盟は,被控訴協会の加盟団体となっている。 サッカー連盟を含む被控訴協会の加盟団体がその体育活動を行う際には毎年度当初に年間事業計画を同被控訴人に提出し,同被控訴人がこれを自らの主催事業として高槻市教育委員会に後援依頼申請をし,同委員会がこれを受けて後援許可通知書を発行することになっていた。同連盟の体育活動は対外的にはすべて同被控訴人の加盟団体として実施しており,同連盟には同被控訴人と関係のない独自の活動は存在しなかった。 サッカー連盟は,昭和62年以降,高校生の世代におけるサッカーの競技力向上,選手の交流,指導者間の情報交換等を目的として,フェスティバル(Bフェスティバル)を開催していた。平成8年に開催された本件大会につ いても,年間事業計画に組み込み,被控訴協会に提出していた。同連盟は,フェスティバルの開催に当たり,上記5つの部のうち高校の部に所属する高槻市内の高等学校のサッカー部の担当教諭を中心として実行委員会を結成さ,,。 せフェスティバルの企画運営に当たらせており本件大会も同様であった被控訴協会は,サッカー連盟の要請に応じて,本件大会のパンフレットに主催者として「財団法人Y2協会サッカー連盟」を掲げ,本件大会のため高槻市から本 ルの企画運営に当たらせており本件大会も同様であった被控訴協会は,サッカー連盟の要請に応じて,本件大会のパンフレットに主催者として「財団法人Y2協会サッカー連盟」を掲げ,本件大会のため高槻市から本件運動広場の貸与を受けることを了承した。 以上のとおり認められる。 上記認定事実,特に被控訴協会及びサッカー連盟の団体としての性質,両者の関係,同連盟の体育活動が対外的にはすべて同被控訴人の加盟団体として実施しており,同連盟には同被控訴人と関係のない独自の活動は存在しなかったこと,同連盟が体育活動を行う際には毎年度当初に年間事業計画を同被控訴人に提出し,同被控訴人がこれを自らの主催事業として高槻市教育委員会に後援依頼申請をし,同委員会がこれを受けて後援許可通知書を発行することになっており,本件大会も同様であったこと,本件大会においても同被控訴人が会場を借り受け,主催者として名を掲げることについて了承していることなどからすれば,同被控訴人は,その加盟団体であり権利能力なき社団である同連盟に,本件実行委員会を設置させて本件大会を開催したと認めることができる。 本件大会の主催者(2)前記認定のとおり,被控訴協会がその加盟団体であり権利能力なき社団(1)であるサッカー連盟に本件実行委員会を設置させて本件大会を開催したことに加えて,前記第2の3イのとおり,高槻市から本件運動広場の貸与を受(2)けていたのは同被控訴人であったこと,同アのとおり,本件大会のパンフレットには,主催者として「財団法人Y2協会サッカー連盟」という名称が記載されていたことによれば,特段の事情のない限り,同被控訴人が本件大会 の主催者であると推認される(本件における上告審判決。 )特段の事情の有無(3)被控訴協会は,前記第3の2のとおり,前記の特段の事情がある旨 ,特段の事情のない限り,同被控訴人が本件大会 の主催者であると推認される(本件における上告審判決。 )特段の事情の有無(3)被控訴協会は,前記第3の2のとおり,前記の特段の事情がある旨主(2)(2)張するが,下記アないしオのとおり採用できない。 ア被控訴協会は,前記第3の2アのとおり,本件大会はサッカー連盟の(2)構成員である高槻市内の公私の高校のサッカーチームの監督ら(高校教諭ら)が自ら委員となって開催し,運営した旨主張し,同被控訴人による開催を否定するが,前記説示のとおり,同被控訴人は,その加盟団体であ(1)り権利能力なき社団である同連盟に,本件実行委員会を設置させて本件大会を開催したと認めることができるから,本件大会の開催,運営の現場を高校のサッカーチームの監督ら(高校教諭ら)が担ったとはいえても,同人らが大会の主催者であるとはいえないところであり,上記主張は採用できない。 イ被控訴協会は,前記第3の2イのとおり,同被控訴人がサッカー連盟(2)等の各スポーツ連盟の活動に対する関与は事務的形式的なものにすぎず,本件大会についても人的,組織的,資金的関与は全くなかった旨主張するが,前記認定の同被控訴人及びサッカー連盟の団体としての性質,両者(1)の関係,同連盟の体育活動が対外的にはすべて同被控訴人の加盟団体として実施しており,同連盟には同被控訴人と関係のない独自の活動は存在しなかったこと,同連盟が体育活動を行う際には毎年度当初に年間事業計画を同被控訴人に提出し,同被控訴人がこれを自らの主催事業として高槻市教育委員会に後援依頼申請をし,同委員会がこれを受けて後援許可通知書を発行することになっており,本件大会も同様であったこと,本件大会においても同被控訴人が会場を借り受け,主催者として名を掲げること 教育委員会に後援依頼申請をし,同委員会がこれを受けて後援許可通知書を発行することになっており,本件大会も同様であったこと,本件大会においても同被控訴人が会場を借り受け,主催者として名を掲げることについて了承していることなどに照らせば,同被控訴人の本件大会に対する関与が事務的形式的なものとはいい難い上に,本件大会の開催運営に当たっ て同被控訴人が指示をしたり人を派遣したり資金を供与したりしていないとしても,そのことから直ちに同被控訴人が本件大会の主催者であるとの前記推認を妨げるに足りる特段の事情があるとはいえない。 ウ被控訴協会は,前記第3の2ウのとおり,同被控訴人が高槻市に本件(2)運動広場の貸与許可申請をしたのは手続の錯綜を回避する趣旨による名目上の事務手続の一環にすぎず,サッカー連盟の貸与申請手続を代行したのみで,実質的な同広場の被貸与者は同連盟である旨主張するが,前記説(1)示のとおり,同被控訴人は,その加盟団体であり権利能力なき社団である同連盟に,本件実行委員会を設置させて本件大会を開催したと認めることができるところであり,同被控訴人が同連盟の貸与申請事務を代行したのみで,実質的な同広場の被貸与者は同連盟であるとはいえない。 エ被控訴協会は,前記第3の2エのとおり,本件大会のパンフレットの(2)「」,財団法人Y2協会サッカー連盟の記載は主催者が同被控訴人ではなくサッカー連盟であることを示すためのものである旨主張するが,上記記載から直ちにその旨を読み取ることは困難である。また,本件大会への参加依頼のための文書である「第10回Bフェスティバル開催について」と題()「」,する書面丁15がDサッカー連盟の名義で作成されていることが同連盟が本件大会の主催者であることの証左である旨,高槻市も本件 である「第10回Bフェスティバル開催について」と題()「」,する書面丁15がDサッカー連盟の名義で作成されていることが同連盟が本件大会の主催者であることの証左である旨,高槻市も本件大会は同連盟が主催している旨認識していた旨主張するが,前記認定の事実(1)関係の下においては,上記文書や高槻市の認識があるからといって,同被控訴人が本件大会の主催者であるとの前記推認を妨げるに足りる特段の事情とすることはできない。 オ他に被控訴協会が本件大会の主催者であるとの前記推認を妨げるに足りる特段の事情を認めるに足りる証拠はない。 争点3(被控訴協会ないしTその他本件大会運営担当者の注意義務違反)について 予見義務(1)被控訴協会が本件落雷事故発生を予見すべき義務があり,これに基づいて結果を回避することができたかという点について検討する,ア事実関係本件落雷事故発生時の状況及び落雷事故発生の危険性に関する科学的知見は前記1ア,イのとおりである。 (1)被控訴協会は,市民の体位の向上と正しいスポーツの普及を通じ競技力の向上を行い,併せてアマチュアスポーツ精神の高揚を図り,もってスポ,,,ーツ振興に寄与することを目的としこの目的を達成するため市民大会講習会等スポーツに関する行事の開催,スポーツ関係諸団体との連絡協調等の事業を行う財団法人であること,同被控訴人の加盟団体であるサッカー連盟は,高槻市におけるサッカーの普及と技術の向上を図り,加盟団体相互間及び全国サッカー関係者との親睦を図ることを目的とし,各種サッカー大会の主催及び主管並びに後援,サッカーの振興普及及び指導者の育成,その他前記目的を達成するために必要な事業を行う団体であり,いわゆる権利能力なき社団であること,同被控訴人は同連盟に本件実行委員会を設 の主催及び主管並びに後援,サッカーの振興普及及び指導者の育成,その他前記目的を達成するために必要な事業を行う団体であり,いわゆる権利能力なき社団であること,同被控訴人は同連盟に本件実行委員会を設置させて主催者として本件大会を開催したこと,本件大会は,高校生の世代におけるサッカーの競技力向上,選手の交流,指導者間の情報交換等を目的として開催され,同連盟はその開催に当たり同連盟の高校の部に所属する高槻市内の高校のサッカー部の担当教諭を中心として実行委員会を結成し,企画運営に当たらせたことは,前記2,のとおりである。 (1)(2)本件大会には全国から62チームが参加したが,その大半は高校のクラブ活動であったことは前記第2の3イのとおりである。 (2)TはI1高校の体育教諭で「Gチーム」の監督であったが,同チームの試合の指揮は同チームの他のコーチに任せ,本件実行委員会から依頼を受けて本件運動広場のBコートの会場担当者として同コートの整備や試合の 進行管理その他雑用等に当たっていたことは,前記第2の3エのとおり(2)である。 イ落雷事故発生の危険性の予見可能性及び予見義務前記ア認定の事実関係からすれば,本件大会の主催者である被控訴協会ないしTその他本件大会運営担当者は,本件大会が,高等学校における教育活動の一環として行われる課外のクラブ活動の参加により成り立っていることからすれば,本件大会に参加する生徒の安全に関わる事故の危険性をできる限り具体的に予見し,その予見に基づいて当該事故の発生を未然に防止する措置を執り,本件大会に参加する生徒を保護すべき注意義務を負うものというべきである。 そして,落雷による死傷事故は,平成5年から平成7年までに全国で毎年5ないし11件発生し,毎年3ないし6人が死亡しており,また,落雷事故発生 る生徒を保護すべき注意義務を負うものというべきである。 そして,落雷による死傷事故は,平成5年から平成7年までに全国で毎年5ないし11件発生し,毎年3ないし6人が死亡しており,また,落雷事故発生の危険性に関しては,平成8年までに前記1イのとおり文献上(1)の記載が多く存在していたのであり,さらに,本件運動広場のBコートにおけるA高校の第2試合の開始直前ころには,同広場の南西方向の上空には黒く固まった暗雲が立ち込め,雷鳴が聞こえ,雲の間で放電が起きるのが目撃されていたというのであるから,上記雷鳴が大きな音ではなかったとしても,同コートの会場担当者であり高校教諭としてサッカーの指導にも当たっていたTとしては,上記時点ころまでには落雷事故発生の危険が迫っていることを具体的に予見することが可能であったというべきであり,また,予見すべき注意義務を怠ったものというべきである。このことは,たとえ平均的なスポーツ指導者において,落雷事故発生の危険性の認識が薄く,雨がやみ,空が明るくなり,雷鳴が遠のくにつれ,落雷事故発生の危険性は減弱するとの認識が一般的なものであったとしても左右されるものではない。なぜなら,上記のような認識が,平成8年までに多く存在していた落雷事故発生の危険性に関する上記文献上の記載と相いれない ものであり,当時の科学的知見に反するものであって,その指導監督に従って行動する生徒を保護すべきクラブ活動の担当教諭でありかつクラブ活動チームによるサッカー競技大会である本件大会の会場担当者である者の注意義務を免れさせる事情とはなり得ないからである。 本件落雷事故発生の回避措置及び回避可能性(2)次に,A高校の第2試合の開始直前ころまでに,Tが落雷事故発生の危険を具体的に予見していたとすれば,どのような措置を執ることができたか, らである。 本件落雷事故発生の回避措置及び回避可能性(2)次に,A高校の第2試合の開始直前ころまでに,Tが落雷事故発生の危険を具体的に予見していたとすれば,どのような措置を執ることができたか,同人がその措置を執っていたとすれば,本件落雷事故の発生を回避することができたかについて検討する。 前記1アの本件落雷事故発生当時の本件運動広場の状況等,同イの落雷(2)に対する安全対策に関する科学的知見を前提とすれば,本件運動広場においては,各コンクリート製柱を中心とした半径8メートル(同柱の高さに相当する)の円内で,かつ,柱から2メートル程度以上離れた部分が避雷のた。 めの保護範囲となり,この範囲内にとどまる限り,落雷の直撃に遭う危険性はかなりの程度軽減されることが明らかであり,また,コンクリート製柱は同広場の外周の東側,北側,西側に10ないし11メートルの間隔をもって合計50本が存在していたことからすると,これにより形成される保護範囲は相当広範囲に及び,A高校の第2試合開始直前ころ同広場にいた約200名の生徒ら全員が一時的にしゃがむなどしてとどまり,避雷する場所としては十分な面積があったものということができ,Bコートの会場担当者であり「Gチーム」の監督であるTとしては,同コートで開始直前の試合の対戦相手であるA高校の監督であるC教諭に対し,試合の延期や中止の場合の通例に従って,落雷の危険が去るまで同試合の開始を延期することを申し入れて協議をし,他校の生徒らについても同様に保護範囲に避難させるなどの措置を執り,天候の変化に注目しつつ,更に安全空間への退避の方法についても検討するなどの措置を執ることが可能であり,そうしていれば,同試合開始 後間もなく発生した本件落雷事故を回避できたものといえる。 補足(3)被控訴協会は,前記第3の 間への退避の方法についても検討するなどの措置を執ることが可能であり,そうしていれば,同試合開始 後間もなく発生した本件落雷事故を回避できたものといえる。 補足(3)被控訴協会は,前記第3の3のとおり,被控訴協会ないしTその他本件(2)大会運営担当者が本件落雷事故を回避することはできなかった旨主張するが,下記ア,イのとおり,いずれも採用できない。 ア被控訴協会は,前記第3の3アのとおり,被控訴学校と被控訴協会と(2)ではA高校の在学生である控訴人X1に対する注意義務が同程度ではあり得ない旨,本件大会における試合の延期や中止は対戦相手の監督同士の話合いに任せられており,同被控訴人には中止権限がなく,試合が複数の会場で行われている以上,本件大会運営担当者が協議することは不可能である旨主張する。 しかし,被控訴協会が控訴人X1に対する関係において被控訴学校とは立場を異にすることは明らかであるとしても,本件大会は,計62チームが参加し,その大半が高校のクラブ活動であり,サッカー連盟の高校の部に所属する高槻市内の高等学校教諭を中心として結成された本件実行委員会により企画運営されていたことを考慮するならば,その開催中に生じる事故を専ら参加者である学校側の自己責任に属する問題にすぎないものと位置付けるのは相当でなく,同被控訴人は,主催者として本件大会に参加する生徒の安全に関わる事故の危険性をできる限り具体的に予見し,その予見に基づいて当該事故の発生を未然に防止する措置を執り,本件大会に参加する生徒を保護すべき注意義務を負うものというべきである。また,本件大会における試合開始の延期や中止の判断に主催者側(具体的には実行委員会からの依頼を受けた会場担当者)が関与することができたことは前記1アのとおりであるほか,生徒に危険が及んでいる る。また,本件大会における試合開始の延期や中止の判断に主催者側(具体的には実行委員会からの依頼を受けた会場担当者)が関与することができたことは前記1アのとおりであるほか,生徒に危険が及んでいるのに試合を中止(2)する権限が同被控訴人にないことを首肯させるような事実を認める証拠はなく,さらに,試合が複数会場で行われているからといって,Tが自ら会 場担当者となっているBコートにおける試合について,上記注意義務を免れるべき事由とはなし難い。上記主張は理由がない。 イ被控訴協会は,前記第3の3イのとおり,A高校の第2試合開始直前(2)ころである午後4時30分ころから本件落雷事故の発生した午後4時35分ころまでのわずか5分間で,本件運動広場の約200人もの生徒らに落雷の危険性や保護範囲について理解させた上,保護範囲に誘導することは到底不可能であり,また,生徒らが避雷法に関する保護範囲を知っているわけではなく,生徒らをコンクリート製柱の脇にしゃがませることも困難であり,さらに,その後退避すべき安全空間及びそこへの移動手段を確保するのも困難であるほか,保護範囲の安全性が100パーセントでないなどと主張する。 しかし,これらの点に関しては,前記1イ,ウ,カの説示がTについ(3)ても妥当するものというべきであり,上記主張は理由がない。 被控訴協会の責任(4)前記ないしによれば,Bコートの会場担当者であったTは,A高校の(1)(3)第2試合開始直前ころまでには本件落雷事故発生の危険が迫っていることを具体的に予見することが可能であり,これを予見すべき注意義務があったにもかかわらず,これを怠り,同コートで同試合に出場するチームに属する生徒らを保護範囲(本件運動広場外周に存するコンクリート製柱を中心とした半径8メートルの円内で, これを予見すべき注意義務があったにもかかわらず,これを怠り,同コートで同試合に出場するチームに属する生徒らを保護範囲(本件運動広場外周に存するコンクリート製柱を中心とした半径8メートルの円内で,かつ,柱から2メートル程度以上離れた場所)に,,,,誘導し姿勢を低くした状態で待機するよう指示をしかつC教諭に対し同試合の開始の延期を申し入れてその間により安全な場所に生徒らを待避させる方法を検討,準備するなどの落雷事故発生の回避のための措置を執ることもなく,漫然と同試合を開始するに任せ,その結果,同試合に出場した控訴人X1を本件落雷事故に遭わしめた過失があるものというべきである。 そして,被控訴協会は,本件大会の主催者としてTにBコートの会場担当 者としての業務をなさしめていたものであるから,同人の使用者として,本件落雷事故について,民法715条に基づき不法行為責任(使用者責任)を負うものというべきである。 争点4(損害)について控訴人X1の治療経過等(1),(,,,,前記第2の3で認定した事実に加え 証拠 甲29 (4)99,112ないし114,137,318,371,372,374ないし381,390,395,原審<第1,第2回>及び差戻後の当審における控訴人X2本人,原審及び差戻後の当審における控訴人X3本人)並びに弁論の全趣旨によれば次の事実を認めることができる。 ア控訴人X1は,平成8年8月13日から9月9日まで,J救命救急センターに入院した(入院日数28日。入院当初(同年8月13日午後4時)57分ころ,同控訴人は心肺停止状態であり,救命処置により同日午後)5時30分ころ自発呼吸を再開したが,刺激に全く反応せず,救命できるかどうか予断を許さない状況であった。同月22日ころ四肢 時)57分ころ,同控訴人は心肺停止状態であり,救命処置により同日午後)5時30分ころ自発呼吸を再開したが,刺激に全く反応せず,救命できるかどうか予断を許さない状況であった。同月22日ころ四肢の動きは皆無であるが,刺激に対して開眼が見られるようになり,同センターは同控訴人の母である控訴人X2の付添いの下リハビリ治療を開始した(甲37。 1)控訴人X1は平成8年9月9日M1病院に転院したが,その際のJ救命救急センターの診断名は,雷撃症(傷,心筋障害(下壁,蘇生後脳症で))あり,身体の回復状況は,上肢の動きは軽度にあるが,発語はなく,指示には応えられない,痛み刺激に対して嫌な顔をしたり,払いのけるような動作をする,下肢は足趾を動かすが,膝の屈曲は認めない,移動は全介助で車いすにより可能という程度であった(甲371,372)。 イ控訴人X1は,平成8年9月9日から平成9年4月17日まで,M1病院に入院した(入院日数221日。控訴人X2は,積極的に控訴人X1) の身体を動かす等のリハビリに取り組み,話しかける等の働きかけを続けた。運動レベルに改善の傾向が見られ,当初全身硬直状態であったのが徐々に身体が動くようになり,平成8年9月17日には名前の呼びかけに反応するようになり,翌18日には自発開眼するようになったが,未だ呼び,(,かけに対する注視はできず皮質盲脳の後頭葉有線領皮質に障害があり,)。 視覚路視覚器が正常であるのに視覚を喪失している状態と診断された同年10月11日ころから発語もみられるようになり,徐々に発語の語彙も増え,たどたどしいながら簡単な会話もできるようになっていった。退院するころには,運動障害は顕著であるが,わずかに車いすに座って背筋を伸ばす姿勢をとることができ,座ったまま右足で軽くボールを蹴る も増え,たどたどしいながら簡単な会話もできるようになっていった。退院するころには,運動障害は顕著であるが,わずかに車いすに座って背筋を伸ばす姿勢をとることができ,座ったまま右足で軽くボールを蹴るくらいの動作程度ならできるようになった。歩行は不能で,視力はなく,色や形はぼんやりと分かる程度で,日常生活動作については,パンなど手で持って食べられるものは手渡されるとなんとか食べることができるようになり,排泄はナースコールをして便器を使用するが,時に間に合わないこともあり,更衣,歯磨き,入浴,移動などは全介助を要する状態であった。 (甲372)M1病院のN1医師は,平成9年3月4日,控訴人X1につき,診断日を同年2月24日とし「傷病名」欄に「蘇生後脳症,電撃脳脊髄損傷」,と「症状固定日」欄に「平成9年2月24日」と「自覚症状」欄に「目,,が見えない,両方の手足が動かない,手足の感覚が鈍い,歩けない,言葉がしゃべりにくい」と「他覚症状および検査結果,精神・神経の障害」,欄に「意識は清明であるが,視力は両眼光覚のみである。構語障害(特に舌音)あり四肢不全麻痺(下肢に強い)を認める。座位は体固定が十分でなく,端座位保持も数分しかできず,立位は不能。両側上肢に不随意運動がみられ,四肢の深部知覚障害がみられる」等と「障害内容の増悪・緩。 ,解の見通しなど」欄に「症状固定と思われる」と記載した後遺障害診断書 を作成した(甲29。上記診断書は,同医師が被控訴協会関係者のL4)から損害保険金の請求のために必要であるとの依頼を受けて作成したものである(甲86,87。同じころ同医師は,O1保険会社あて同月20)日付け診断書及びO2保険会社あて同年3月4日付け診断書を作成したが,これらにはいずれも治療継続中の旨記載していた(甲372。 ) ある(甲86,87。同じころ同医師は,O1保険会社あて同月20)日付け診断書及びO2保険会社あて同年3月4日付け診断書を作成したが,これらにはいずれも治療継続中の旨記載していた(甲372。 )ウ控訴人X1は,平成9年4月17日から平成10年3月14日まで,M2病院に入院した(入院日数332日。同病院入院中における理学療法)(PT,作業療法(OT,言語療法(ST)等により,同控訴人は,退))院時には,意識清明,コミュニケーション構音障害(発音の障害,吃様)あり,知能面での著明な低下なし,しかし記銘力低下を軽度認める,皮質盲は重度の物体失認,手動弁,色弁別可,四肢測定障害あり,体幹失調あり,下肢間接位置覚あり,寝返り,起き上がりは自立,端座位安定,プッシュアップで位置を換える,移動は移動バーを用いて監視,車いすの駆動は両上肢にて可,設定された空間内での移動は可,四つ這いは可で屋内移動手段となり得る,歩行はバランス悪く全介助,振り出しは自立,食事自立,排泄,トイレ,肛門処理は介助,更衣は上着は自立,ズボンは介助,入浴介助,洗顔自立,その他の日常生活動作は一部介助という状態にまで改善した(甲374,390)。 エ控訴人X1は,控訴人X2等の付添いにより,平成9年10月14日から17日にかけて,M3病院,M4病院,M5病院,再度M3病院を受診し,同月18日帰宅し,平成10年1月7日,M4病院及びM6病院を受診した(甲96,112,114。 )控訴人X2は,控訴人X1の治療方法について相談するため,平成9年11月27日,M6病院等を訪問した(甲96,113。 )オ控訴人X1は,M2病院を退院した後,在宅で介護を受けつつ,これまでに改善した身体機能の維持とともに,更なる改善のため,M7クリニッ クに通院してリハビリ(PT, した(甲96,113。 )オ控訴人X1は,M2病院を退院した後,在宅で介護を受けつつ,これまでに改善した身体機能の維持とともに,更なる改善のため,M7クリニッ クに通院してリハビリ(PT,OT,ST)を継続した(甲375。ま)た,次のとおり,M2病院に計15回,短期入院(ショートステイ)した(甲376。 )①平成10年5月14日から同月18日まで(入院日数5日)②同年6月25日から同月28日まで(同4日)③同年8月7日から同月9日まで(同3日)④同年10月2日から同月12日まで(同11日)⑤平成11年1月6日から同月11日まで(同6日)⑥同年5月24日から同月29日まで(同6日)⑦同年7月19日から同月26日まで(同8日)⑧同年8月26日から同年9月2日まで(同8日)⑨同年10月4日から同月11日まで(同8日)⑩同年12月18日から同月27日まで(同10日)⑪平成12年4月14日から同月24日まで(同11日)⑫平成12年10月25日から同月30日まで(同6日)⑬平成13年1月5日から同月14日まで(同10日)⑭平成13年3月19日から同月31日まで(同13日)⑮平成16年12月24日から平成17年1月11日まで(同19日),,,カ被控訴学校は控訴人X1について平成9年4月及び平成10年4月いずれもA高校1年の留年扱いとした。同控訴人は,同年6月ころから同年9月ころまで,何とか勉学を続けたいとの思いから,在宅介護を受けながら,時間を割いて,控訴人X2の付添いの下,同校に赴き,授業を聴講するなどしたが,目も見えず,四肢不全麻痺等で日常動作もままならないため,容易には付いていけなかった(甲96,99。同被控訴人は,平)成11年3月末日をもって,控訴人X1をA高校から除籍した。 , するなどしたが,目も見えず,四肢不全麻痺等で日常動作もままならないため,容易には付いていけなかった(甲96,99。同被控訴人は,平)成11年3月末日をもって,控訴人X1をA高校から除籍した。 ,,,キM7クリニックのN2医師は平成14年7月5日控訴人X1につき 「傷病名」欄に「落雷による脳損傷」と「障害状況の詳細」欄に「皮質,盲の為,重度の視覚認知障害を認める。かろうじて色覚が認知できることもあるが,形態や遠近感は認知できない。四肢不全麻痺,深部知覚障害により,立位には支持を要し,歩行は歩行器を使用して,介助~見守りレベルであり,実用性はない。注意障害,記憶障害を主体とした高次脳機能障。 ,。」,害を認める全体として認知機能身体機能ともに重度障害であると「症状固定日」欄に「平成14年6月26日」と記載した証明書を作成した。上記証明書は,A高校校長が同控訴人の本件落雷事故による傷病,障害につきPセンターの共済給付金の支払を請求するための障害報告書に付属するものとして作成されたものである(甲137)。 ク控訴人X1は,平成16年4月7日K盲学校に入学し,平成17年4月から12月まで同校の寮に入寮し,毎週月曜日朝から金曜日夕方まで寮で過ごし,土日に帰宅する生活をした後,M8病院に入院等のため,同月休学した(甲317,318,381,395)。 ケ控訴人X1は,リハビリのため,平成16年2月以降,次のとおり,M8病院に計5回入院した(甲377ないし381。 )①平成16年2月4日から同月10日まで(入院日数7日)②同年3月15日から同年4月4日まで(入院日数21日)③同年7月29日から同年8月27日まで(入院日数30日)④平成17年7月19日から同年8月24日まで(入院日数37日)⑤平成17年1 ②同年3月15日から同年4月4日まで(入院日数21日)③同年7月29日から同年8月27日まで(入院日数30日)④平成17年7月19日から同年8月24日まで(入院日数37日)⑤平成17年12月5日から平成18年10月17日まで(入院日数317日)上記入院中,控訴人X1は,作業療法,理学療法,言語療法等を受け,その結果,その身体機能等に更に改善が見られ,車いすによる移動については,病院内の地図の理解には特に問題がなく,人通りの多い場所での安全確認については繰り返し練習が必要であり,自分から声をかけることが できない,メンタルマップを描いて移動することはできている,日常生活動作については洗濯は単独でできるようになっている,触覚による探索は特に問題がない,パソコンについては,アルファベット,数字,記号の入力は更に上達し,特殊音はまだあまり慣れておらず,Ctrl+Altをうまく押せないことがあるが,キーの位置は理解しており,入力は,濁音・拗音・促音ともに特に問題ない等と評価されるまでに至った(甲381)。 ,,コ控訴人X1は平成18年10月23日からM9センターに入所した後平成19年4月,K盲学校に復学し,前記クと同様の入寮生活を送っている。同校を平成21年3月に卒業する予定であり,その後は大学に進学したいと考えている。 サ東京都渋谷区所在のM10病院のN3医師は,平成9年4月17日当時M2病院に勤務していたことから,控訴人X1の同病院入院当初からそのリハビリに当たり,その後,平成14年にM10病院に勤務するようになっていたものであるが,平成18年11月29日同控訴人を診察し,次のように診断した。すなわち,同控訴人には,それまでのリハビリの成果により,遂行性機能障害,意欲発動性の低下,皮質盲等の高次脳機能障害について のであるが,平成18年11月29日同控訴人を診察し,次のように診断した。すなわち,同控訴人には,それまでのリハビリの成果により,遂行性機能障害,意欲発動性の低下,皮質盲等の高次脳機能障害については若干の改善が認められ,体幹機能については,一部支えのある状態ではあるものの自力で立位し,立位姿勢を保持できるなど顕著な改善が認められ,日常会話等においても,反応遅延は認められるものの改善が認められる。これまでのリハビリの経過や同控訴人の年齢からすると,積極的なリハビリを実施することにより,今後も数年間は効果を上げることが期待できるが,受傷から既に10年以上経過していることからすれば,今後明らかな改善は期待できず,一度獲得した身体機能も,生活パターンの変化や体調不良が長引くなどして,減退することも予想されるため,積極的リハビリを終了した後は,獲得した身体機能が減退することのないよう維持的なリハビリを将来にわたって継続する必要があり,3か月に一度程 度定期的にリハビリ専門医の診断を受けて能力の減退が認められた場合には,必要に応じたリハビリを集中的に実施するのがよいと考えられる(なお,維持的リハビリとして,1か月に1度は理学療法士,作業療法士,言語療法士による障害の評価を行い,適切な日常生活上のアドバイスを受けることが必要である。今後の介護については,視覚面での皮質盲,四肢。)運動失調等の身体機能面での障害が残存しており,そのため,目の前に障害物があっても認識できないなど,行動する際に存在する障害を除去することができず,日常生活動作の中で,物を落としたりしていてもそれに気が付くことができず,危険に気付いたとしても,行動の修正を自ら行うことができないなどの問題があるが,皮質盲や体幹機能障害に関しては今後の大幅な改善は期待できないので,上 落としたりしていてもそれに気が付くことができず,危険に気付いたとしても,行動の修正を自ら行うことができないなどの問題があるが,皮質盲や体幹機能障害に関しては今後の大幅な改善は期待できないので,上記問題を克服することは極めて困難である。今後も,食事,衣服着脱,入浴,車いす移乗,パソコンの設置,外出,時間管理,予定管理,危機管理等の主要な日常生活動作について,介助,声かけ,監視等が必要であり,その他ほとんどの日常生活動作について何らかの援助が必要である(甲350,390)。 控訴人X1の後遺障害等(2)前記認定の控訴人X1の受傷の部位,程度,その治療及びリハビリの経(1)過,それによる身体機能改善の程度,限界,残存する身体機能障害の状況,介護の必要,程度,本件落雷事故からの経過年数,同控訴人の年齢,今後の改善の見込み等を総合すると,同控訴人の本件落雷事故による受傷による症状は,重度の視力障害及び体幹機能障害等の後遺障害を残す状態で平成18年12月1日には固定したものと認めるのが相当であるところ,上記後遺障害の内容程度からして,終生その労働能力は100パーセント喪失されたものと認めるのが相当である。 ところで,前記イ認定のとおり,M1病院のN1医師は,平成9年3月(1)4日,控訴人X1につき同年2月24日の診断に基づく同日症状固定と思わ れる旨の記載のある後遺障害診断書(甲29)を作成しているが,上記診断書は,同医師が被控訴協会関係者のL4から損害保険金の請求のために必要であるとの依頼を受けて作成したものであり,同じころ同医師は,O1保険会社あて同月20日付け診断書及びO2保険会社あて同年3月4日付け診断書を作成したが,これらにはいずれも治療継続中の旨記載していたことに加,,,えて前記ウないしサ認定のとおりその後 O1保険会社あて同月20日付け診断書及びO2保険会社あて同年3月4日付け診断書を作成したが,これらにはいずれも治療継続中の旨記載していたことに加,,,えて前記ウないしサ認定のとおりその後も同控訴人はリハビリを続け(1)身体機能等にかなりの改善が見られた事実からして,上記診断書の作成当時に実際に症状が固定していたとはいい難く,上記診断書の存在をもって,前記認定判断を左右するには足りない。 また,前記キ認定のとおり,M7クリニックのN2医師は,平成14年(1)7月5日,控訴人X1につき同年6月26日症状固定とする証明書(甲137)を作成しているが,上記証明書は,A高校校長が同控訴人の本件落雷事故による傷病,障害につきPセンターの共済給付金の支払を請求するための障害報告書に付属するものとして作成されたものであることや,前記ケな(1)いしサ認定のとおり,その後も同控訴人はリハビリを続け,身体機能等にかなりの改善が見られた事実からして,上記診断書の作成当時に実際に症状が固定していたとはいい難く,上記証明書の存在をもって,前記認定判断を左右するには足りない。 控訴人X1の逸失利益(3)控訴人X1は,本件落雷事故当時A高校に在籍していたところ,A高校の(,卒業生はその大部分が4年制大学に進学していた実情にあること甲336337,同控訴人の両親であるX4及び控訴人X2並びに兄である控訴人)(,),X3はいずれも4年制大学を卒業していること甲9699に照らすと控訴人X1もまた本件落雷事故に遭わなければ4年制大学に進学し,卒業し,()た蓋然性が高いからその大学卒業年の就職時期である平成15年22歳4月から67歳になる平成60年3月までの45年間は稼働可能であったも のと認めるのが相当である。 ,,前記 し,()た蓋然性が高いからその大学卒業年の就職時期である平成15年22歳4月から67歳になる平成60年3月までの45年間は稼働可能であったも のと認めるのが相当である。 ,,前記認定のとおり控訴人X1の本件落雷事故による受傷による症状は(2)重度の視力障害及び体幹機能障害等の後遺障害を残す状態で平成18年12月1日には固定し,当該後遺障害により終生その労働能力を100パーセント喪失したものであるところ,同月までの治療やリハビリの経過に照らし,大学卒業年の就職時期である平成15年4月から上記症状固定時期である平成18年12月1日までの間も就労が不可能であったことは明らかであるから,同控訴人の同事故による受傷を原因とする平成15年4月から平成60年3月までの45年間就労できないことによる逸失利益は,平成15年賃金センサス第1表企業規模計,産業計男子労働者大卒全年齢平均年収である658万7500円に稼働可能年数45年に対応する中間利息控除のためのライプニッツ係数17.7741を乗じて得た1億1708万6884円(円未満四捨五入。以下同じ)と認めるのが相当である(別紙損害一覧表の「当裁判所の判断」欄の「控訴人X1」欄の「逸失利益」欄のとおり。 。)控訴人X1の治療関連費(4)控訴人X1の治療関係費に関する認定判断は,別紙損害一覧表の「当裁判所の判断」欄の「控訴人X1」欄の「治療関係費」欄のとおりである。 控訴人X1のための自宅改造費(5)控訴人X1のための自宅改造費に関する認定判断は別紙損害一覧表の当,「裁判所の判断」欄の「控訴人X1」欄の「自宅改造費」欄のとおりである。 控訴人X1の将来介護費(6)前記サのとおり,控訴人X1には,高次脳機能障害,皮質盲,四肢運動(1)失調等の重度の後遺障害があり,日常生 欄の「控訴人X1」欄の「自宅改造費」欄のとおりである。 控訴人X1の将来介護費(6)前記サのとおり,控訴人X1には,高次脳機能障害,皮質盲,四肢運動(1)失調等の重度の後遺障害があり,日常生活動作の大部分に介助を要し,目の前に障害物があっても認識できないなど,行動する際に存在する障害を除去することができず,日常生活動作の中で,物を落としたりしていてもそれに気が付くことができず,危険に気付いたとしても,行動の修正を自ら行うこ とができないなどの問題があるが,皮質盲や体幹機能障害に関しては今後の大幅な改善は期待できないので,上記問題を克服することは極めて困難であり,今後も,食事,衣服着脱,入浴,車いす移乗,パソコンの設置,外出,時間管理,予定管理,危機管理等の主要な日常生活動作について,介助,声かけ,監視等が必要であり,その他ほとんどの日常生活動作について何らかの援助が必要であるから,同控訴人には,将来にわたり,常時の介護を要するものと認めるのが相当である。 控訴人X1の介護には今後も控訴人X2及び控訴人X3が当たることになるが,同控訴人は稼働して収入を得ており,他方,控訴人X2についても一家の支柱であったX4が平成19年9月7日死亡し,今後は稼働する必要があるため,昼間における控訴人X1の介護については職業介護者に頼らざるを得ない状況にある(差戻後の当審における控訴人X2本人及び同控訴人。 X3本人)なお,介護に要する費用を検討するに当たっては,控訴人X1については常時介護を要するとはいえ,生活上の全場面について全介助を要するものではなく,自立している場面や一部介助で足りる場面が多いことも前記サ認(1)定のとおりであるから,この点もあわせ考慮することになる。 以上の諸事情を総合すると,控訴人X1の将来の介護費は,常時介護 はなく,自立している場面や一部介助で足りる場面が多いことも前記サ認(1)定のとおりであるから,この点もあわせ考慮することになる。 以上の諸事情を総合すると,控訴人X1の将来の介護費は,常時介護を前提に,昼間8時間の職業介護者の費用として日額1万2000円,家族介護費用として日額6000円と認め,年間365日として,平成18年12月1日の症状固定時(26歳)から77歳までの51年(第18回生命表参考表の26歳男子の平均余命)に対応する中間利息控除のためのライプニッツ係数18.3390を乗じて得た1億2048万7230円と認めるのが相当である別紙損害一覧表の当裁判所の判断欄の控訴人X1欄の将(「」「」「来介護費」欄のとおり。 。)ホームエレベーターの将来の保守・点検・整備に要する費用(7) 控訴人X1の身体障害に照らせば,同控訴人が自宅の2階に移動するにはホームエレベーターを使用するほかないものと認められ,今後その保守・点検・整備が必要というべきであるところ,甲358によれば,その保守・点検・整備に要する費用は一括払いで年額3万1500円であるから,ホームエレベーターの将来の保守・点検・整備に要する費用の現価は,上記年額に平成18年12月1日の症状固定時(26歳)から77歳までの51年(第18回生命表参考表の26歳男子の平均余命)に対応する中間利息控除のためのライプニッツ係数18.3390を乗じて得た57万7679円と認め(「」「」るのが相当である別紙損害一覧表の当裁判所の判断欄の控訴人X1欄の「ホームエレベーターの将来の保守・点検・整備に要する費用」欄のとおり。 。)控訴人X1の将来における日常生活用具・器械類の買換え費用(8)将来における控訴人X1の日常生活用具・器械類の 欄の「ホームエレベーターの将来の保守・点検・整備に要する費用」欄のとおり。 。)控訴人X1の将来における日常生活用具・器械類の買換え費用(8)将来における控訴人X1の日常生活用具・器械類の買換え費用に関する認定判断は別紙損害一覧表の当裁判所の判断欄の控訴人X1欄の将,「」「」「来における控訴人X1の日常生活用具・器械類の買換え費用」欄のとおりである。 被控訴人らは,上記費用につき,これまで公的助成を受けることのできた費用については,将来それが得られなくなるという確実性がない限り損害と認めるべきでない等と主張するが,上記公的助成は行政の福祉施策によるものである上(甲359ないし361,助成を受けるのは将来においてであ)って現時点においては現実に助成を受けているものではないのであるから,将来もこれまでと同様の助成を受けることを前提としてその額を損害から控除することは相当でないというべきである。上記主張は採用できない。 控訴人X1の将来におけるEPA-α購入費(9)将来におけるEPA-α購入費に関する認定判断は別紙損害一覧表の当,「裁判所の判断」欄の「控訴人X1」欄の「将来におけるEPA-α購入費」 欄のとおりである。 控訴人X1の将来におけるリハビリ及び検診費用(10)控訴人X1が,本件落雷事故による受傷後,現在に至るまで,控訴人X1は身体機能を回復し維持しているのは,リハビリテーションの効用による部分が大きいものと認められ,将来も相当な範囲でリハビリテーションを受けることが身体機能維持のために必要かつ相当であることは,前記ウないし(1)サ認定のとおりであるところ,維持的リハビリとして1か月に1度は理学療法士,作業療法士,言語療法士による障害の評価を行い,適切な日常生活上のアドバイスを受 つ相当であることは,前記ウないし(1)サ認定のとおりであるところ,維持的リハビリとして1か月に1度は理学療法士,作業療法士,言語療法士による障害の評価を行い,適切な日常生活上のアドバイスを受けることとするのが相当である。 そして,脳血管疾患等リハビリテーション料は診療報酬としては1回7500円と評価されるから(甲362,その12か月分である9万円に平成)18年12月1日の症状固定時(26歳)から77歳までの51年(第18回生命表参考表の26歳男子の平均余命)に対応する中間利息控除のためのライプニッツ係数18.3390を乗じて得た165万0510円と認めるのが相当である(別紙損害一覧表の「当裁判所の判断」欄の「控訴人X1」欄の「将来におけるリハビリ及び検診費用」欄のとおり。 。)控訴人X1の慰謝料(11)控訴人X1の慰謝料に関する認定判断は,別紙損害一覧表の「当裁判所の判断」欄の「控訴人X1」欄の「慰謝料」欄のとおりである。 控訴人X1の損益相殺(12)控訴人X1の損益相殺に関する認定判断は,別紙損害一覧表の「当裁判所の判断」欄の「控訴人X1」欄の「損益相殺」欄のとおりである。 控訴人X1の弁護士費用(13)控訴人X1の弁護士費用に関する認定判断は,別紙損害一覧表の「当裁判所の判断」欄の「控訴人X1」欄の「弁護士費用」欄のとおりである。 控訴人X1の亡X4からの相続分(14) 控訴人X1の亡X4からの相続分に関する認定判断は,別紙損害一覧表の「当裁判所の判断」欄の「控訴人X1」欄の「亡X4からの相続分」欄のとおりである。 控訴人X2の慰謝料(15)控訴人X2の慰謝料に関する認定判断は,別紙損害一覧表の「当裁判所の判断」欄の「控訴人X2」欄の「慰謝料」欄のとおりである。 控訴人X2の弁護士費用(16)控訴人X2 控訴人X2の慰謝料(15)控訴人X2の慰謝料に関する認定判断は,別紙損害一覧表の「当裁判所の判断」欄の「控訴人X2」欄の「慰謝料」欄のとおりである。 控訴人X2の弁護士費用(16)控訴人X2の弁護士費用に関する認定判断は,別紙損害一覧表の「当裁判所の判断」欄の「控訴人X2」欄の「弁護士費用」欄のとおりである。 控訴人X2の亡X4からの相続分(17)控訴人X2の亡X4からの相続分に関する認定判断は,別紙損害一覧表の「当裁判所の判断」欄の「控訴人X2」欄の「亡X4からの相続分」欄のとおりである。 控訴人X3の慰謝料(18)控訴人X3の慰謝料に関する認定判断は,別紙損害一覧表の「当裁判所の判断」欄の「控訴人X3」欄の「慰謝料」欄のとおりである。 控訴人X3の弁護士費用(19)控訴人X3の弁護士費用に関する認定判断は,別紙損害一覧表の「当裁判所の判断」欄の「控訴人X3」欄の「弁護士費用」欄のとおりである。 控訴人X3の亡X4からの相続分(20)控訴人X3の亡X4からの相続分に関する認定判断は,別紙損害一覧表の「当裁判所の判断」欄の「控訴人X3」欄の「亡X4からの相続分」欄のとおりである。 まとめ(21)以上によれば,控訴人X1の残損害額は前記の逸失利益1億1708万(3)6884円,前記の治療関係費3062万5180円,前記の自宅改造(4)(5) 費1933万1707円,前記の将来介護費1億2048万7230円,(6)前記のホームエレベーターの将来の保守・点検・整備に要する費用57万(7)7679円,前記の将来における日常生活用具・器械類の買換え費用42(8),,3万6554円前記の将来におけるEPA-α購入費59万4184円(9)(10)(11)前記の将来におけるリハビリ及び検診費用 来における日常生活用具・器械類の買換え費用42(8),,3万6554円前記の将来におけるEPA-α購入費59万4184円(9)(10)(11)前記の将来におけるリハビリ及び検診費用165万0510円及び前記の慰謝料3500万円の合計額3億2958万9928円から前記の損益(12)相殺額5426万8805円を控除し,前記の弁護士費用2400万円及(13)び前記の亡X4からの相続分82万5000円を加算して得た額3億00(14),,14万6123円となり控訴人X2の損害額は前記の慰謝料300万円(15)前記の弁護士費用30万円及び前記の亡X4からの相続分165万円の(16)(17),,合計額495万円となり控訴人X3の損害額は前記の慰謝料100万円(18)前記の弁護士費用10万円及び前記の亡X4からの相続分82万500(19)(18)0円の合計額192万5000円となる。 結論 以上によれば,控訴人らの被控訴人らに対する不法行為に基づく請求(差戻後の当審における拡張請求を含む)は,被控訴人らに対し,控訴人X1が3。 億0014万6123円及びこれに対する本件落雷事故発生の日である平成8年8月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求め,控訴人X2が495万円及びこれに対する本件落雷事故発生の日である平成8年8月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求め,控訴人X3が192万5000円及びこれに対する本件落雷事故発生の日である平成8年8月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるから,,それぞれ認容しその余の請求にはいずれも理由がないから棄却すべきところ原判 ある平成8年8月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるから,,それぞれ認容しその余の請求にはいずれも理由がないから棄却すべきところ原判決中,上記認容すべき請求をいずれも棄却した部分は相当でないから,上記の趣旨に従って原判決を変更することとし,主文のとおり判決する。 高松高等裁判所第4部裁判長裁判官矢延正平裁判官和食俊朗裁判官齋藤聡 (別紙)略語表(省略)(別紙)入退院経過一覧表(別紙)損害一覧表(別紙)逸失利益算定表(省略)(別紙)日常生活用具に関する将来損害原価表(省略)
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