平成22(ワ)10064 特許権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年10月4日 大阪地方裁判所
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判決文本文61,090 文字)

平成24年10月4日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成22年ワ第10064号 特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日 平成24年7月13日判決      原告株式会社エムケーエンジニアリング              同訴訟代理人弁護士小松陽一郎              同井口喜久治            同川端さとみ              同森本 純            同山崎道雄            同辻 淳子          同藤野睦子              同補佐人弁理士小谷悦司同小谷昌崇              被告岐阜工業株式会社              同訴訟代理人弁護士櫻林正己              同訴訟代理人弁理士中嶋恭久      同補佐人弁理士小林徳夫主文 1 被告は,別紙物件目録1記載の製品を製造し    同訴訟代理人弁理士中嶋恭久      同補佐人弁理士小林徳夫主文 1 被告は,別紙物件目録1記載の製品を製造し,販売し又は貸渡してはならない。 2 被告は,別紙物件目録1記載の製品及びその半製品(別紙物件目録1記載の構造を具備しているもの)を廃棄せよ。 3 被告は,原告に対し,636万9375円及びこれに対する平成22年7月24日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 4 原告による別紙物件目録3記載の製品の製造及び販売について,被告が特許第3928931号の特許権に基づく差止請求権を有しないことを確認する。 5 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 6 訴訟費用は,これを3分し,その1を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 7 この判決は,第1,第3及び第6項に限り,仮に執行することができる。事実及び理由第1 当事者の求めた裁判 1 原告(1)被告は,別紙物件目録1及び2記載の各製品を製造し,販売し又は貸渡してはならない。(2)被告は,別紙物件目録1及び2記載の各製品及びその半製品(別紙物件目録1又は2記載の構造を具備しているもの)をいずれも廃棄せよ。(3)被告は,原告に対し,2200万円及びこれに対する平成22年7月24日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。(4)主文4項と同旨(5)訴訟費用は被告の負担とする。(6)1ないし3,5について仮執行宣言  2 被告(1)原告の請求をいずれも棄却する。(2)訴訟費用は原告の負担とする。第2 事案の概要 1 前提事実(証拠等の掲記のない事実は当事者間に争いがない。)(1)当事者原告は,トンネル架 告の請求をいずれも棄却する。(2)訴訟費用は原告の負担とする。第2 事案の概要 1 前提事実(証拠等の掲記のない事実は当事者間に争いがない。)(1)当事者原告は,トンネル架設工事資材の設計製造,販売及び一般土木工事資材の設計製造,販売等を目的とする株式会社であり,トンネル用セントル(トンネルの壁面にコンクリートを打設するための円筒形・半円筒形等の型枠)等の製造・販売等を主たる事業としている。被告は,トンネル建設機械の設計・製作・販売・賃貸等を目的とする株式会社である。(2)原告特許権1ア原告は次の特許(以下「原告特許1」といい,同特許に係る発明のうち【請求項1】の発明を「原告特許発明1」という。また,原告特許1に係る出願明細書を「原告特許1明細書」という。)につき特許権(以下「原告特許権1」という。)を有する。特許番号第3891210号発明の名称内型枠構造出願日平成17年9月27日登録日平成18年12月15日特許請求の範囲【請求項1】外型枠の内側に配されて,該外型枠との間でコンクリート製構造物を作製するための内型枠構造において,内型枠に設けた開閉窓と,外型枠と内型枠との間に設ける上記コンクリート製構造物用の鉄筋を形成するための足場用に用いられ,上記開閉窓より内側の収納位置と上記開閉窓より少なくとも先端部が外側に突出する使用位置とにわたり移動可能に設けられた足場形成部材とを具備することを特徴とする内型枠構造。イ原告特許発明1の構成要件の分説原告特許発明1を構成要件に分説すると,次のとおりとなる。1A 外型枠の内側に配されて,該外型枠との間でコンクリート製構造物を作製するための内型枠構造において,1B 内型枠に設けた開閉窓と 特許発明1を構成要件に分説すると,次のとおりとなる。1A 外型枠の内側に配されて,該外型枠との間でコンクリート製構造物を作製するための内型枠構造において,1B 内型枠に設けた開閉窓と,1C 外型枠と内型枠との間に設ける上記コンクリート製構造物用の鉄筋を形成するための足場用に用いられ,上記開閉窓より内側の収納位置と上記開閉窓より少なくとも先端部が外側に突出する使用位置とにわたり移動可能に設けられた足場形成部材とを具備する1D ことを特徴とする内型枠構造。(3)原告特許権2ア原告は次の特許(以下「原告特許2」といい,同特許に係る発明のうち【請求項1】の発明を「原告特許発明2」という。また,本件特許2に係る出願明細書を「原告特許2明細書」という。)につき特許権(以下「原告特許権2」という。)を有する。特許番号第3933674号発明の名称外型枠構造出願日平成17年9月29日登録日平成19年3月30日特許請求の範囲【請求項1】アーチ状のコンクリート製構造物を,内型枠の外側に配して形成するための外型枠構造において,天井部分で2分割され,その分割部の各端面どうしが接離可能に設けられた2つの半割外型枠と,該2つの半割外型枠の各端面どうしを接離可能に連結する連結手段と,各半割外型枠の下端に固定された水平軸と,該水平軸に回動可能に支持されかつその水平軸に沿ってスライド可能に設けられた車輪と,各車輪の下側に設けられたレールとを具備し,上記連結手段の連結状態を緩めて両半割外型枠の端面どうしを少し離すことで,両半割外型枠の下端に固定された水平軸が,車輪に対し各半割外型枠の自重によりスライドすることで,上記両半割外型枠の下端が水平軸に沿う外方へ広がって上記コンクリート製 の端面どうしを少し離すことで,両半割外型枠の下端に固定された水平軸が,車輪に対し各半割外型枠の自重によりスライドすることで,上記両半割外型枠の下端が水平軸に沿う外方へ広がって上記コンクリート製構造物に対して離型するように構成されていることを特徴とする外型枠構造。イ原告特許発明2の構成要件の分説原告特許発明2を構成要件に分節すると,次のとおりとなる。2A アーチ状のコンクリート製構造物を,内型枠の外側に配して形成するための外型枠構造において,2B 天井部分で2分割され,2C その分割部の各端面どうしが接離可能に設けられた2つの半割外型枠と,2D 該2つの半割外型枠の各端面どうしを接離可能に連結する連結手段と,2E 各半割外型枠の下端に固定された水平軸と,2F 該水平軸に回動可能に支持されかつその水平軸に沿ってスライド可能に設けられた車輪と,2G 各車輪の下側に設けられたレールとを具備し,2H 上記連結手段の連結状態を緩めて両半割外型枠の端面どうしを少し離すことで,両半割外型枠の下端に固定された水平軸が,車輪に対し各半割外型枠の自重によりスライドすることで,上記両半割外型枠の下端が水平軸に沿う外方へ広がって上記コンクリート製構造物に対して離型するように構成されている2I ことを特徴とする外型枠構造。(4)被告特許権ア被告は次の特許(以下「被告特許」といい,同特許に係る発明のうち 【請求項1】ないし【請求項4】の各発明を,それぞれ「被告特許発明1」ないし「被告特許発明4」といい,併せて「被告各特許発明」という。また,被告特許に係る出願明細書を「被告特許明細書」という。)につき特許権(以下「被告特許権」という。)を有する。特許番号第3928931号発明の名称トンネル用 各特許発明」という。また,被告特許に係る出願明細書を「被告特許明細書」という。)につき特許権(以下「被告特許権」という。)を有する。特許番号第3928931号発明の名称トンネル用コンクリート打設方法およびその装置出願日平成14年3月22日登録日平成19年3月16日特許請求の範囲【請求項1】トンネル内に型枠 を介して覆工用のコンクリートを打設する工程において,型枠 のラップ側外方周縁に,弾性素材からなり,断面略台形型の本体内部に通孔 を本体の長さ方向に貫通させてなる目地材を配する一方,型枠 の妻側外方周縁には打継面形成用突部を配し,型枠 のラップ側端と既コンクリート打設面との重合時に,目地材をその素材および通孔 により弾性変形させ,型枠 のラップ側端と既コンクリート打設面のうち打継面形成用突部によって形成された打継部 とを重合させることにより,既コンクリート打設面への型枠 の衝突によるクラックの発生,打設コンクリートの剥落を防止し,打設コンクリートの気密性を向上させることを特徴とするトンネル用コンクリート打設方法。【請求項2】目地材の通孔 内に緊締部材を挿通させ,この緊締部材の締付けにより,目地材を型枠 に止着することを特徴とする請求項1記載のトンネル用コンクリート打設方法。【請求項3】 トンネル内に型枠 を介して覆工用のコンクリートを打設する装置において,型枠 のラップ側外方周縁に,弾性素材からなり,断面略台形型の本体内部に通孔 を本体 トンネル内に型枠 を介して覆工用のコンクリートを打設する装置において,型枠 のラップ側外方周縁に,弾性素材からなり,断面略台形型の本体内部に通孔 を本体の長さ方向に貫通させてなる目地材を配する一方,型枠 の妻側外方周縁には打継面形成用突部を配してなり,型枠 のラップ側端と既コンクリート打設面との重合時に,目地材をその素材および通孔 により弾性変形させ,型枠 のラップ側端と既コンクリート打設面のうち打継面形成用突部によって形成された打継部 とを重合させることを特徴とするトンネル用コンクリート打設装置。【請求項4】目地材の通孔 内に緊締部材を挿通させ,この緊締部材の締付けにより,目地材を型枠 に止着することを特徴とする請求項3記載のトンネル用コンクリート打設装置。イ被告特許発明1の構成要件の分説被告特許発明1を構成要件に分説すると,次のとおりとなる。1A トンネル内に型枠 を介して覆工用のコンクリートを打設する工程において,1B 型枠 のラップ側外方周縁に,弾性素材からなり,断面略台形型の本体内部に通孔 を本体の長さ方向に貫通させてなる目地材を配する一方,型枠 の妻側外方周縁には打継面形成用突部を配し,1C 型枠 のラップ側端と既コンクリート打設面との重合時に,目地材をその素材および通孔 により弾性変形させ,型枠 のラップ側端と既コンクリート打設面のうち打継面形成用突部によって形成された打継部 とを重合させることに 地材をその素材および通孔 により弾性変形させ,型枠 のラップ側端と既コンクリート打設面のうち打継面形成用突部によって形成された打継部 とを重合させることにより,既コンクリート打設面への型枠 の衝突によるクラックの発生, 打設コンクリートの剥落を防止し,打設コンクリートの気密性を向上させる1D ことを特徴とするトンネル用コンクリート打設方法。ウ被告特許発明2の構成要件の分説被告特許発明2を構成要件に分説すると,上記被告特許発明1のAないしCに,次のE,Fを加えたものとなる。2E 目地材の通孔 内に緊締部材を挿通させ,この緊締部材の締付けにより,目地材を型枠 に止着する2F ことを特徴とする請求項1記載のトンネル用コンクリート打設方法。エ被告特許発明3の構成要件の分説被告特許発明3を構成要件に分説すると,次のとおりとなる。3A トンネル内に型枠 を介して覆工用のコンクリートを打設する装置において,3B 型枠 のラップ側外方周縁に,弾性素材からなり,断面略台形型の本体内部に通孔 を本体の長さ方向に貫通させてなる目地材を配する一方,型枠 の妻側外方周縁には打継面形成用突部を配してなり,3C 型枠 のラップ側端と既コンクリート打設面との重合時に,目地材をその素材および通孔 により弾性変形させ,型枠 のラップ側端と既コンクリート打設面のうち打継面形成用突部によって形成された打継部 とを重合させる3D ことを特徴とするトンネル用コンクリート打設装置。オ被告特許発明4の構成 プ側端と既コンクリート打設面のうち打継面形成用突部によって形成された打継部 とを重合させる3D ことを特徴とするトンネル用コンクリート打設装置。オ被告特許発明4の構成要件の分説被告特許発明4を構成要件に分説すると,上記被告特許発明3のAないしCに,次のE,Fを加えたものとなる。 4E 目地材の通孔 内に緊締部材を挿通させ,この緊締部材の締付けにより,目地材を型枠 に止着する4F ことを特徴とする請求項3記載のトンネル用コンクリート打設装置。(5)被告の行為その1 ア被告は,別紙物件目録1記載のトンネル用内型枠(以下「被告製品1」という。)を業として,製造し,販売あるいは貸渡している。イ被告は,被告製品1を,平成19年,真柄建設株式会社に,平成21年,株式会社奥村組にそれぞれ賃貸し,これらは,京都府相楽郡の工事現場(後述する祝園貯蔵庫工事)で使用された。(6)被告の行為その2 ア被告は,別紙物件目録2記載のトンネル用外型枠(以下「被告製品2」という。)を業として,製造し,販売あるいは貸渡している。(なお,被告製品2の特定について,当事者間に争いがあるが,別紙物件目録2記載のとおり特定することが相当であると考える。当裁判所の判断32参照)イ被告は,平成21年,被告製品2を株式会社奥村組に販売あるいは賃貸し,これは,京都府相楽郡の工事現場で使用された。(7)原告の行為と被告の対応ア原告は,別紙物件目録3記載のトンネル用コンクリート打設装置(以下「原告製品」という。)を業として製造し,岐阜県加茂郡において行われた「18美濃3工区農道用1号トンネル工事」の工事現場用の「2次覆工用セントル」として,●●●●●●●● コンクリート打設装置(以下「原告製品」という。)を業として製造し,岐阜県加茂郡において行われた「18美濃3工区農道用1号トンネル工事」の工事現場用の「2次覆工用セントル」として,●●●●●●●●に販売した。イ被告は,平成22年4月28日付警告書(甲5)を原告に送付し,原告の上記行為が,被告特許権を侵害していると主張し,原告に対し,原告製品の回収,廃棄と損害賠償を求めた。(8)被告製品1が原告特許発明1の技術的範囲に属すること等被告製品1が原告特許発明1の技術的範囲に属することは当事者間に争いがない。なお,原告特許2が有効であることも当事者間に争いはない。 2 原告の請求原告は,被告の行為(前提事実(5),(6))が,それぞれ原告特許権1,2を侵害するものであるとして(原告特許権2については,均等侵害であるとして),被告に対し,被告製品1,2の製造,販売,貸渡しの差止めと,同製品1,2及びそれらの半製品の廃棄を求めるとともに,原告特許権1の侵害の損害賠償として2200万円(原告特許権1,2の侵害の有無についての審理が終了した後,原告は,原告特許権1の侵害の損害についてのみ主張,立証を重ね,その結果,同損害賠償の一部請求として2200万円を請求することを明らかにしている〔原告第13準備書面5頁〕。)及びこれに対する訴状送達の日(平成22年7月24日)から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求めている。また,原告は,原告方法及び同方法に用いる原告製品が,いずれも被告特許権を侵害するものでないとして,被告が,原告製品の製造,販売につき,同権利に基づく差止請求権を有しないことの確認を求めている。 3 争 点(1)原告特許1の無効理由の存否(2)被告製品2の原告特許発明2の でないとして,被告が,原告製品の製造,販売につき,同権利に基づく差止請求権を有しないことの確認を求めている。 3 争 点(1)原告特許1の無効理由の存否(2)被告製品2の原告特許発明2の技術的範囲への属否(3)原告方法及び原告製品の被告各特許発明の技術的範囲への属否(4)被告特許の無効理由の存否(5)先使用による被告各特許発明の通常実施権の成否(6)損害第3 争点に関する当事者の主張 1 原告特許1の無効理由の存否【被告の主張】(1)乙4図面に基づく新規性欠如(法29条1項1,3号) ア乙4図面の公開による出願前公知の有無(法29条1項1号)被告は,平成22年9月9日,近畿中部防衛局長に対し,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)に基づいて,大阪防衛施設局建設部において保管する土木工事資料について情報公開請求を行い,平成22年10月7日,祝園分屯地の貯蔵庫建設工事(以下「祝園貯蔵庫工事」という。)において使用されたセントルの構造図について,開示決定を受けた(乙3)。それにより開示された文書が乙4の2の図面(祝園貯蔵庫工事に際し使用されたセントルの完成図面であり,以下「乙4図面」という。)であるところ,本図面には,原告特許発明1の発明が全て開示されている。 すなわち,本図に示される内型枠は,「外型枠の内側に配されて,該外型枠との間でコンクリート製構造物を作製するための内型枠」であり,「内型枠に設けた開閉窓」があり,「外型枠と内型枠との間に設ける上記コンクリート製構造物用の鉄筋を形成するための足場用に用いられ,上記開閉窓より内側の収納位置と上記開閉窓より少なくとも先端部が外側に突出する使用位置とにわたり移動可能に設けられた足場形成部材」が具備されている。 用の鉄筋を形成するための足場用に用いられ,上記開閉窓より内側の収納位置と上記開閉窓より少なくとも先端部が外側に突出する使用位置とにわたり移動可能に設けられた足場形成部材」が具備されている。乙4図面は,遅くとも平成15年12月中には近畿中部防衛局において管理されていた(本件特許1の出願日は,平成17年9月27日であり,情報公開法は平成13年4月1日施行である。)。本文書は,情報公開法により何人も入手できるものであるから,公知である。イ乙4図面の刊行物該当性(法29条1項3号)前記アのとおり,乙4図面には,原告特許発明1の発明が全て開示されている。 上記図面は,情報公開法により,当該原本自体が公開されて公衆の自由な閲覧に供され,かつ,その複写物が公衆からの要求に即応して遅滞なく交付される態勢が整っていたから,法29条1項3号の刊行物に相当する。また,頒布された刊行物とは,一般公衆,すなわち不特定多数人がその内容を了知することのできる状態におかれた刊行物をいうものと解するのが相当であるが,上記文書は,情報公開の対象となった時点で,「一般公衆,すなわち不特定多数人がその内容を了知することのできる状態におかれた刊行物」になった。 したがって,乙4図面が,情報公開法に基づき閲覧謄写可能となったことにより,原告特許発明1は,法29条1項3号の「出願前に刊行物に記載された発明」となった。 (2)祝園貯蔵庫工事に基づく新規性欠如(法29条1項1,2号) ア祝園貯蔵庫工事の実施による公知,公用平成14年から平成15年にかけ,当時,防衛庁から祝園貯蔵庫工事を請け負っていたゼネコンに対し,内型枠が,秘密保持義務を課することなく納入され,そのころ,上記工事において,公然使用された。上記内型枠は,乙4図面に基 15年にかけ,当時,防衛庁から祝園貯蔵庫工事を請け負っていたゼネコンに対し,内型枠が,秘密保持義務を課することなく納入され,そのころ,上記工事において,公然使用された。上記内型枠は,乙4図面に基づいて製造されたものであるが,前記1アのとおり,乙4図面には,原告特許発明1の発明が全て開示されている。 なお,乙4図面は竣工後の完成図書であるところ,その日付が平成15年12月付になっていることから見て,遅くともそのときまでには工事は行われている。 また,上記内型枠は,一度自社で組み立てて,問題がないことを確認し,必要に応じて発注者の検査の後,分解して現場に運搬し,現地で再度組み立てて使用する。 この自社での組立ては,社内ではあるものの,屋外のオープンな場所で行われるが,そのとき,たまたま居合わせた社内外の別の関係者や,付近を行き来して見聞した者に秘密保持義務は課されていない。よって,原告特許発明1は,その出願前(本件特許1の出願日は平成17年9月27日)に公知又は公然実施(公用)となっていた。 なお,公然実施の要件としては,秘密保持義務を負っていない者の前で実施すれば公知というべきであるし,不特定または相当数の者の見分しうる状況であれば,公然実施というべきである。イ守秘義務の対象について(原告の主張に対する反論) 秘密保持義務の主張(原告の主張2イ)は争う。行政庁が求めている秘密保持の対象は,工事の具体的な場所や建築物の具体的な構造や,それと結びつく工事の施工方法であり,抽象的な技術それ自体に関する秘密保持を求めていない。現に,原告自身は,乙4図面に関する技術につき,原告特許1の出願をしている。出願の1年6か月後には出願公開がされ,その技術内容は明らかとなる。また,原告が,上記 る秘密保持を求めていない。現に,原告自身は,乙4図面に関する技術につき,原告特許1の出願をしている。出願の1年6か月後には出願公開がされ,その技術内容は明らかとなる。また,原告が,上記出願をしたのは,原告が秘密保持義務を課されていないからである。(3)国道479号工事における公知公用技術に基づく進歩性欠如(法29条2項) ア国道479号工事における公知公用発明(国道479号発明)被告は,平成15年ころ,国道479号諏訪共同溝設置工事(以下「国道479号工事」という。)に際し,共同溝形成用スチールフォーム(内型枠)を大林・三井特定建設工事共同企業体に納入した。上記スチールフォーム(内型枠)を撮影した写真が乙7であるが,同写真からは,次の発明(以下「国道479号発明」という。)を認めることができる。なお,同発明は,上記写真を撮影した平成15年6月6日当時,公知であった。a 共同溝の内側に配されて,該共同溝との間でコンクリート製構造物を作製するための内型枠構造において,b 内型枠に設けた開閉窓と,c 内型枠外側で作業するための足場用に用いられ,上記開閉窓から内側の収納位置と上記開閉窓から少なくとも先端部が外側に突出する使用位置とにわたり移動可能に設けられた足場用単管パイプとを具備することを特徴とするd 内型枠構造。イ原告特許発明1と国道479号発明との一致点及び相違点(ア)相違点1原告特許発明1は「外型枠の内側に配されて,該外型枠との間でコンクリート製構造物を作製する」のに対し,国道479号発明は共同溝の内側に配されて,該共同溝との間でコンクリート製構造物を作製するものであり,外型枠の内側に配置されるものではない点。 (イ)相違点2原告特許発明1は「外型枠と内 し,国道479号発明は共同溝の内側に配されて,該共同溝との間でコンクリート製構造物を作製するものであり,外型枠の内側に配置されるものではない点。 (イ)相違点2原告特許発明1は「外型枠と内型枠との間に設ける上記コンクリート製構造物用の鉄筋を形成するための足場用に用いられ(る)」のに対して,国道479号発明は内型枠外側で作業するための足場用に用いられるものであり,鉄筋を形成するための足場用に用いられたものではない点。 (ウ)一致点原告特許発明1と国道479号発明は,その余の構成について,一致する。 ウ容易想到性(ア)相違点1について原告特許発明1は外型枠を前提とする「内型枠構造」に関する発明であるところ,外型枠の有無については原告特許発明1との関係では何らの技術的な意味はない。 国道479号発明では,共同溝の内壁が原告特許発明1にいう外型枠に相当するものであり,相違点1は実質的な相違点ではない。 (イ)相違点2について原告特許発明1の「外型枠と内型枠との間に設ける上記コンクリート製構造物用の鉄筋を形成するための足場用に用いられ」とは,単に「足場形成部材」の用途を限定したにすぎず,「内型枠構造」という発明の構成を特定するものではない。 あえて,原告特許発明1の「コンクリート製構造物用の鉄筋を形成するための足場用に用いられ(る)」意味を見出すと,形成した鉄筋に干渉することのないように足場形成部材を収納できるような構成を有するという点に特徴があるものの,構成は同一である。 したがって,原告特許発明1の「外型枠と内型枠との間に設ける上記コンクリート製構造物用の鉄筋を形成するための足場用に用いられ(る)足場形成部材」とは,結局,国道479号発明の「足場用単管パイプ」そのものであり,相違点2 明1の「外型枠と内型枠との間に設ける上記コンクリート製構造物用の鉄筋を形成するための足場用に用いられ(る)足場形成部材」とは,結局,国道479号発明の「足場用単管パイプ」そのものであり,相違点2は新規性,進歩性を判断する上での相違点とはなり得ない。 (ウ)容易想到以上のとおり,上記相違点1,2は実質的な相違点とはいえない。 また,仮にこれらの相違点があると認められるとしても,内型枠における足場形成部材の構成は同一であり,スライド足場が周知技術であることを併せ考えると,原告特許発明1の構成は,その出願時において,国道479号発明に基づいて当業者が容易に想到できたものであって,法29条2項の規定により特許を受けることができない発明である。(4)神岬トンネル工事における公知公用技術に基づく進歩性欠如(法29条2項) ア神岬トンネル工事における公知公用発明被告は,平成15年4月ころ,北海道積丹郡の神岬トンネル工事(以下「神岬トンネル工事」という。)に際し,全断面スチールフォーム(内型枠)を伊藤・草別・安田特定建設工事共同企業体に納入した。上記スチームフォーム(内型枠)を撮影した写真が乙11の1ないし5であるが,同写真からは,次の発明(以下「神岬トンネル発明」という。)を認めることができる。なお,同発明は,上記写真を撮影した平成15年6月ころ当時,公知であった。a トンネルの内側に配されて,該トンネルとの間でコンクリート製構造物を作製するための内型枠構造において,b 内型枠に設けた開閉窓と,c 内型枠外側で作業するための足場用に用いられ,上記開閉窓より内側の収納位置と上記開閉窓より少なくとも先端部が外側に突出する使用位置とにわたり移動可能に設けられた足場用単管パイプとを具備することを特 内型枠外側で作業するための足場用に用いられ,上記開閉窓より内側の収納位置と上記開閉窓より少なくとも先端部が外側に突出する使用位置とにわたり移動可能に設けられた足場用単管パイプとを具備することを特徴とするd 内型枠構造。 イ原告特許発明1と神岬トンネル発明との一致点及び相違点(ア)相違点1本件発明1は「外型枠の内側に配されて,該外型枠との間でコンクリート製構造物を作製する」のに対し,上記神岬トンネル発明はトンネルの内側に配されて,該トンネルとの間でコンクリート製構造物を作製するものであり,外型枠の内側に配置されるものではない点。 (イ)相違点2本件発明1は「外型枠と内型枠との間に設ける上記コンクリート製構造物用の鉄筋を形成するための足場用に用いられ(る)」のに対して,神岬トンネル発明は内型枠外側で作業するための足場用に用いられるものであり,鉄筋を形成するための足場用に用いられるのではない点。 (ウ)一致点原告特許発明1と神岬トンネル発明は,その余の構成について,一致する。 ウ容易想到性これら相違点1及び相違点2は,いずれも原告特許発明1と国道479号発明との対比で既に説明したとおり(前記(3)ウ),実質的な相違点といえない。 したがって,原告特許発明1は,その出願時において,神岬トンネル発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない発明である。【原告の主張】(1)乙4図面に基づく新規性欠如の主張について ア乙4図面の公開による出願前公知(法29条1項1号)の有無特許法29条1項1号に基づいて「出願前公知」といえるためには,守秘義務を負わない第三者に,現実に知られたことが必要であるが,原告特許1が出願 面の公開による出願前公知(法29条1項1号)の有無特許法29条1項1号に基づいて「出願前公知」といえるためには,守秘義務を負わない第三者に,現実に知られたことが必要であるが,原告特許1が出願される前に,情報公開請求等により,乙4図面が第三者に実際に開示されたことを示す証拠はない(甲33の1のとおり,原告特許1の出願日である平成17年9月27日以前に,乙4図面の開示請求はなかった。また,甲33の2のとおり,上記工事で使用されたのと同じ外枠が使用された工事についても,平成17年9月27日以前に,セントルに関する図面等の開示請求はなかった。)。また,乙4図面の記載内容からは,当業者が,原告特許発明1の内容が開示されていると技術的に理解することはできない。したがって,仮に,原告特許1出願前に開示された事実があったとしても,そのことによって,原告特許発明1が知られたと認めることはできない。イ乙4図面の刊行物該当性(法29条1項3号)の有無 法29条1項3号に定める「刊行物」というためには,不特定又は多数の者を対象とする公開性と,頒布目的が必要である。 乙4図面は,防衛庁が原本を保管しており,情報公開法に基づく開示請求があった場合に,不開示情報に該当するか否かを判断した上で,該当しないと判断した場合に限って開示するものであり,原本自体が公開されて公衆の自由な閲覧に供されているわけではない。したがって,上記図面について頒布目的は認められず,法29条1項3号の「刊行物」には該当しない。(2)祝園貯蔵庫工事の実施による公知,公用(公然実施)の主張について ア乙4図面に記載された装置が原告特許発明1の技術的範囲に属することは認める。イ工事関係者の守秘義務乙4図面は,陸上自衛隊の分屯地の貯蔵庫● よる公知,公用(公然実施)の主張について ア乙4図面に記載された装置が原告特許発明1の技術的範囲に属することは認める。イ工事関係者の守秘義務乙4図面は,陸上自衛隊の分屯地の貯蔵庫●●●●●の製造に係る型枠の図面であり,上記貯蔵庫の製造工事の工事関係者は,その性質上当然に秘密保持義務を負っている。また,防衛施設に係る建設工事については,平成6年10月5日付の防衛施設庁建設部建設企画課長から各防衛施設局建設部長及び各防衛施設支局長宛の「建設工事に係る設計図書等の適正な管理について(通知)」 と題する書面が発せられており(甲15),工事を受注する業者が知り得た情報につき秘密保持義務を負担することを当然の内容としている。祝園分屯地工事では,貯蔵庫の建設を請け負った業者(ゼネコン)から,大阪防衛施設局に対し,「設計図書等の管理に関する誓約書」等の提出がされており,ゼネコンから工事を請け負う各業者もまた,ゼネコンに対し,「秘密保持に関する誓約書」を提出する等して(甲17),あるいは,少なくとも防衛省から請け負った工事案件として業者間の当然の理解として,設計図書等及び当該工事施工から知り得た情報に付き秘密保持義務を負担していた。ウ守秘義務を負わない不特定多数の者が発明の内容を知りうるような方法で実施されていないこと上記祝園分屯地内に一般人が自由に立ち入ることはできず,特に,祝園分屯地の工事現場で,内型枠の構造を認識できるのは,上記イの守秘義務を負った工事関係者のみであった。仮に,分屯地の外から,分屯地敷地内を遠望するなど,何らかの方法で,セントルの内型枠を工事関係者以外の第三者が見る可能性があったとしても,原告特許発明1の特徴は,内型枠に設けられた蓋部材によって開閉可能な窓と,外型枠と内型枠との 内を遠望するなど,何らかの方法で,セントルの内型枠を工事関係者以外の第三者が見る可能性があったとしても,原告特許発明1の特徴は,内型枠に設けられた蓋部材によって開閉可能な窓と,外型枠と内型枠との間に設ける上記コンクリート製構造物用の鉄筋を形成するための足場に用いられ,上記窓を通って移動可能に設けられたスライド足場受けにあるところ,上記内型枠を遠望しただけでは,上記発明の特徴を認識することはできない。エまとめしたがって,祝園貯蔵庫工事の実施があったからといって,原告特許発明1が,出願前に,公然に知られたり,実施されたりしたとはいえない。(3)国道479号工事における公知公用技術に基づく進歩性欠如の主張について以下のとおり,国道479号発明は,単発的なクレーム処理のために,一時的に,足場用単管パイプを内型枠に取り付けて,作業が終了すれば,これを取り外しているに過ぎず,原告特許発明1と技術思想,構成,課題が異なるから,国道479号発明に基づき原告特許発明1が容易想到であるとはいえない。ア国道479号発明の認定の誤り国道479号工事に納入されたスチームフォーム(内型枠)において,内型枠に取り付けられた足場用単管パイプは,収納位置と使用位置(先端部が開閉窓から突出した状態)とにわたり移動可能に取り付けられていない。すなわち,国道479号発明は,単発的に発生する受入先からのクレームに対して対応するために,新たに一時的に足場用単管パイプが内型枠に取り付けられ,クレーム処理が終われば取り外されるものにすぎない。 仮に,国道479号発明において,足場用単管パイプを開閉窓から出し,あるいは,クレーム処理が終了して窓から突出している足場用単管パイプを型枠内側に引き入れることがあったとしても,それは,単に,取 。 仮に,国道479号発明において,足場用単管パイプを開閉窓から出し,あるいは,クレーム処理が終了して窓から突出している足場用単管パイプを型枠内側に引き入れることがあったとしても,それは,単に,取り付け・取り外しの過程において開閉窓から出し入れをしているにすぎない。イ一致点,相違点の誤り原告特許発明1における足場形成部材は,あくまで内型枠の一構成部材として,収納位置と使用位置との間で移動可能に設けられるものである(構成要件1C,原告特許1明細書【0004】~【0006】)。上記アのとおり,国道479号発明において,足場用単管パイプは収納位置と使用位置とにわたり移動可能に取り付けられていないのであるから,この点において,原告特許発明1と相違する。ウ進歩性上記アのとおり,国道479号発明において,内型枠に取り付けられた足場用単管は,一時的に取り付けられたり,取り外されたりするものである。足場形成部材を内型枠の一構成部材として,収納位置と使用位置との間で移動可能に設ける原告特許発明1とは,発明の技術思想及び構成を全く異にするものである。また,原告特許発明1の課題は,トンネル等のコンクリート製構造物につき部分部分を連結しつつ作成するに当たっては,足場をその移動の都度組立て・分解しなければならないところ,これを簡単に行い得る内型枠構造を提供することにある(原告特許1明細書【0004】~【0006】)。単発のクレーム処理の際の一時的な対応のための発明である国道479号発明では,上記原告特許発明1の課題は全く想定されておらず,国道479号発明から,同課題解決のための具体的手段である原告特許発明1に到達する契機は全くない。 よって,国道479号発明に基づき原告特許発明1が容易想到であるとする被告の主張に理 ておらず,国道479号発明から,同課題解決のための具体的手段である原告特許発明1に到達する契機は全くない。 よって,国道479号発明に基づき原告特許発明1が容易想到であるとする被告の主張に理由はない。(4)神岬トンネル工事における公知公用技術に基づく進歩性欠如の主張についてア神岬トンネル発明は,国道479号発明と実質的に同一である。イ神岬トンネル工事に納入されたスチームフォーム(内型枠)も,国道479号発明と同様,内型枠に取り付けられた足場用単管パイプは,収納位置と使用位置(先端部が開閉窓から突出した状態)とにわたり移動可能に取り付けられていない。ウしたがって,国道479号発明と同様,神岬トンネル発明を理由に,原告特許発明1の進歩性の欠如をいうことはできない。  2 被告製品2の原告特許発明2の技術的範囲への属否【原告の主張】(1)被告製品2(外型枠)の特定被告製品2の構成及び動作の説明は,別紙物件目録21ないし4に次の構成を加えたものである。「5 被告製品2は,両半割外型枠の端面どうしを少し離すことで,各半割外型枠の自重により車輪の上方に位置する両半割外型枠の下端に反力が働き,車輪がそのリム幅(約8㎝)とその下方に位置するレールの幅(約5~6㎝)の差約2~3㎝を外側へスライドすることで,上記半割外型枠の下端が上記差幅分だけ外側へ広がって上記コンクリート製構造物に対して離型するように構成されている。」(2)被告製品2の構成被告製品2の構成を原告特許発明2の構成要件に即して分説すると,次のとおりとなる。2a 内型枠と外型枠の間にコンクリートを充填して,アーチ状のコンクリート製構造物を形成する外型枠の構造において,2b アーチの頭頂部で2分割され,2c そ 分説すると,次のとおりとなる。2a 内型枠と外型枠の間にコンクリートを充填して,アーチ状のコンクリート製構造物を形成する外型枠の構造において,2b アーチの頭頂部で2分割され,2c その分割部の各端面どうしが接離可能に設けられた2つの半割外型枠と,2d 頭頂部分に固定された該2つの半割外型枠の各端面どうしを接離可能に連結する連結手段と,2e 各半割外型枠の下端に設けられた車輪の中央を貫通するよう固定された水平軸と,2f 該水平軸に回動可能に支持されたフランジ付き車輪と,2g 各車輪の下側に設けられた上記車輪のリム幅よりも細幅のレールとを具備し,2h 上記連結手段の連結状態を緩めて両半割外型枠の端面どうしを少し離すことで,各半割外型枠の自重により車輪の上方に位置する両半割外型枠の下端に反力が働き,車輪がそのリム幅(約8㎝)とその下方に位置するレールの幅(約5~6㎝)の差約2ないし3㎝を外側へスライドすることで,上記半割外型枠の下端が上記差幅分だけ外側へ広がって上記コンクリート製構造物に対して離型するように構成されている2i ことを特徴とする外型枠構造(3)構成要件の充足前記2の2a,2b,2c,2d,2e,2g,2iは,それぞれ2A,2B,2C,2D,2E,2G,2Iを文言上充足し,2f,2hは,2F,2Hを文言上は充足しない。(4)均等侵害の成立被告製品2の構成2f,2hは,原告特許発明2の構成要件の水平軸をスライドする車輪を利用した離型の構成(2F,2H)を置換したものであるところ,次のとおり,被告製品2の構成は,原告特許発明2と均等であり,原告特許発明2の技術的範囲に属する。ア原告特許発明2の本質的部分 原告特許発明2は,低コストで,コンクリート製構造物 ところ,次のとおり,被告製品2の構成は,原告特許発明2と均等であり,原告特許発明2の技術的範囲に属する。ア原告特許発明2の本質的部分 原告特許発明2は,低コストで,コンクリート製構造物から外型枠を離型させることができ,かつ移動も可能であって,作業性に優れた外型枠構造を提供することを目的とする。したがって,その本質的部分は,2つの半割外型枠の連結手段の連結状態を緩めて両半割外型枠の端面どうしを少し離すことで,両半割外枠の下端に固定された水平軸が,車輪に対し各半割外型枠の自重によりスライドすることで,上記両半割外型枠の下端が水平軸に沿って外側へ広がり,上記コンクリート製構造物から容易に離型できる点,すなわち,両半割外型枠の自重により両半割外型枠の下端が外側へ広がる点にある。構成要件2F,2Hは,水平軸が,車輪に対し各半割外型枠の自重によりスライドすることを規定している。しかし,コンクリート製構造物を離型するには,半割外型枠の端面どうしを離反させるのに伴って外型枠が若干外側に広がれば十分なのであって,車輪が水平軸をスライドせずとも,リム幅とレール幅の差幅分だけ外側へスライドすることのみによっても,原告特許発明2と同様の目的を実現することができる。すなわち,原告特許発明2において本質的なのは,各半割外型枠の天井部の連結部分を緩めることにより,両半割外型枠の端部が離隔し,この離隔に伴って自重により自動的に各半割外型枠の下端が外側へスライドする点にあり,リム幅とレール幅の差幅分2~3㎝だけ外側へスライドするのか,それとも上記差幅を超えて水平軸上をさらに数㎝スライドするように構成されているか否かという相違は本質的部分ではない。したがって,被告製品2の構成と構成要件2F,2Hの相違は原告特許発明2の本質的部分に関 も上記差幅を超えて水平軸上をさらに数㎝スライドするように構成されているか否かという相違は本質的部分ではない。したがって,被告製品2の構成と構成要件2F,2Hの相違は原告特許発明2の本質的部分に関するものではない。イ置換可能性各半割外型枠の下端をリム幅とレール幅の差幅分外側にスライドさせても,車輪を水平軸に沿ってスライドさせる場合と同様,各半割外型枠をコンクリート構造物から容易に離型させうるという原告特許発明2の目的を達することができる。また,作業性が大幅に向上するとともに,従来のように外型枠を支持するための大型の支持構造体を外型枠の外側に必要としないため,コストの上昇を抑制することができるという原告特許発明2と同一の作用効果も有する。ウ置換容易性 前記アのとおり,原告特許発明2の本質的部分は,各半割外型枠の天井部の連結部分を緩めることにより,両半割外型枠の端部が離隔し,自重により自動的に各半割外型枠の下端が外側へスライドする点にある。 とすれば,車輪を水平軸に沿ってスライドさせることにより各半割外型枠の下端を外側へ広げる構成は,上記本質的部分を実現させるための具体的構成の一つに過ぎず,車輪を水平軸に対してスライドさせる代わりに,車輪をレールに対してスライドさせることは,当業者によって容易に想到できる。したがって,原告特許発明2の「該水平軸に沿ってスライドする車輪」をレールに対してスライドする車輪に置換し,車輪は水平軸に沿ってスライドしないように構成することは容易に想到することができるものである。エその他の要件被告製品2は,原告特許発明2の出願時において,公知技術と同一でなく,当業者にとって容易に推考できたものでない。また,被告製品2は,原告特許発明2の出願手続において,意識的に その他の要件被告製品2は,原告特許発明2の出願時において,公知技術と同一でなく,当業者にとって容易に推考できたものでない。また,被告製品2は,原告特許発明2の出願手続において,意識的に除外されたものでもない。 (5)被告の主張(後記【被告の主張】3ア)に対する反論 被告製品2には,自重により外側への反力が働くことは力学上明らかであり,被告製品2の頭頂部分に固定された伸縮ジャッキを伸ばして半割外型枠の端部を離すことによって,より一層,反力が働き,車輪のリム幅とレール幅の差だけ車輪は外側へスライドすることになる。 被告製品2の頭頂部分に固定された伸縮ジャッキが収縮され,半割外型枠どうしが密着している状態において,車輪とレールとの間に1㎝程度の隙間が生じる。したがって,伸縮ジャッキを伸張させて半割外型枠の端部を離すことによって,反力が働き,車輪が外側に1㎝スライドすることが可能であることは明らかである。 そして,外型枠を内型枠との間に形成されたコンクリート製構造物から離型するためには1㎝程度外側へ外型枠の下端が広がることで十分である。【被告の主張】(1)被告製品2の特定被告製品2の構成及び動作の説明は,別紙物件目録21ないし4に次の構成を加えたものである。「(5)① 被告製品2は二つの半割外型枠を頭頂部で双方に跨って配置された「伸縮ジャッキ」により連結されているが,この伸縮ジャッキはハンドルの操作により全長を伸張及び収縮させることができ,同伸縮により両半割外型枠の端面どうしを接離可能である。 ② 被告製品2は,下端に「横送りジャッキ」と「昇降ジャッキ(ジャーナルジャッキ)」とを備えている。 1)a 「横送りジャッキ」は,基台と,その基台に回転可能に配置された送りネジと, 能である。 ② 被告製品2は,下端に「横送りジャッキ」と「昇降ジャッキ(ジャーナルジャッキ)」とを備えている。 1)a 「横送りジャッキ」は,基台と,その基台に回転可能に配置された送りネジと,基台上に配置され送りネジに螺合された送り台とを基本構成としている。 b 送りネジの両端は,四角柱状になって基台から突出しており,ハンドルを装着可能となっている。 c 装着したハンドル(ラチェットレンチ)を回転させると送りネジが回転し,送りネジに螺合された送り台が基台に対して移動する。 d 「横送りジャッキ」の基台下側には一対の支持用フランジが対向配置されており,両フランジ間に軸が挿通され車輪が回転可能に支持されている。 2)a 一方,「横送りジャッキ」の上には「昇降ジャッキ」が配置され,この昇降ジャッキの上に半割外型枠が固定されている。 b 「昇降ジャッキ」も送り台の移動方向が基台に対して上下方向である以外は「横送りジャッキ」と同じであり,ハンドル(ラチェットレンチ)を回転させることにより半割外型枠を基台に対して昇降させることが可能である。 ③ 被告製品2は,伸縮ジャッキにより両半割外型枠の端面どうしを少し離すとともに,各半割外型枠と車輪との間に備えられた横送りジャッキにより両半割外型枠の下端どうしを少し離すことで,各半割外型枠どうしが離間する力が働き,車輪に対して各半割外型枠がジャッキが伸張した長さだけ外側へスライドし,各半割外型枠全体がその長さだけ外側へ広がってコンクリート製構造物に対して離型するように構成されている。 ④ このとき,基台に固定されている車輪はその位置を変えることはないが,基台に対して移動する送り台上に配置されている半割外型枠がコンクリート製構造物から離型することとなる。 ⑤ また,より隙 。 ④ このとき,基台に固定されている車輪はその位置を変えることはないが,基台に対して移動する送り台上に配置されている半割外型枠がコンクリート製構造物から離型することとなる。 ⑤ また,より隙間を形成するため,上記伸縮ジャッキと横送りジャッキの作動後,昇降ジャッキを動作させて半割外型枠を上昇させる。」(2)被告製品2の構成原告の主張する被告製品2の構成2a,2b,2c,2d,2e,2gは,認める。原告の主張する被告製品2の構成2f,2hは,否認する。被告製品2の構成は,前記1のとおりである。(3)均等侵害の成否ア置換部分が原告特許発明2の本質的部分であること上記1のとおり,被告製品2の両半割外型枠は横送りジャッキを動作させることにより外側に広がるのであり,たとえ両半割外型枠の伸縮ジャッキを伸張させてその端面どうしを離間させて各半割外型枠に自重を掛けたとしても,横送りジャッキを動作させない限り外側に広がることはない。すなわち,被告製品2は,上部の伸縮ジャッキと車輪の上側に配置した横送りジャッキとを同時に動作させて,枠を離型しているものであり,原告が主張するメカニズムではない。しかも,原告の主張するメカニズムは,原告特許2明細書には一切記載がない。そもそも,外型枠は,数トン単位の自重がかかり,常に外側に広がろうとする力がかかっている。そのため,半割外型枠どうしが密着している状態(伸縮ジャッキが収縮している状態)であっても,車輪の内側のリムがレールに接触している状態である(半割外型枠どうしが離間しても,自重でスライドすることはない。)。したがって,被告製品2は,原告特許発明2の本質的部分である「水平軸が,車輪に対し各半割外型枠の自重によりスライドすることで,上記両半割外型 しが離間しても,自重でスライドすることはない。)。したがって,被告製品2は,原告特許発明2の本質的部分である「水平軸が,車輪に対し各半割外型枠の自重によりスライドすることで,上記両半割外型枠の下端が水平軸に沿って外側へ広がり‥‥」「両半割外型枠の自重により両半割外型枠の下端が外側に広がる点」を有していない。イ置換部分の構成が出願前公知であったこと特開平3-9658公報(乙13)には,「車輪の上部には横送りジャッキが装備され,これにより型枠を外側に移動させて脱枠を行う作用を有する。」との記載があり,被告製品2の構成のうち,置換部分の構成は,原告特許発明2の出願日(平成17年9月29日)において公知であった。ウ原告の反論(前記【原告の主張】5)に対する再反論 外型枠は,コンクリートが固化した後,コンクリートから離間させ,レール上を動かして移動させなければならない。この時,外型枠がコンクリートに接触すれば,商品であるコンクリート自体に傷が付いてしまうし,外型枠の内面(コンクリートに接する面)にも傷が付くことになる。このような事態が生じないよう,接触しないだけの十分な離間が必要である。 また,この外型枠は現場において臨時に設置されたレール上を移動する。レールの設置位置には一定の施工誤差があり,その誤差は最低でも1ないし2㎝は見込まなければならない。したがって,1㎝程度の離間では,このレール上を型枠が移動する際のレールの施工誤差からくる型枠のブレを吸収できないため,型枠とコンクリートの接触,不具合の発生を回避できず,実用性がない。 3 原告方法及び原告製品の被告各特許発明の技術的範囲への属否【被告の主張】(1)原告製品を用いたコンクリート打設方法(「原告方法」)の構成原告製品 合の発生を回避できず,実用性がない。 3 原告方法及び原告製品の被告各特許発明の技術的範囲への属否【被告の主張】(1)原告製品を用いたコンクリート打設方法(「原告方法」)の構成原告製品を用いたコンクリート打設方法(以下「原告方法」という。)の構成を被告特許発明1の構成要件に即して分説すると,次のとおりとなる。1a トンネル内にスライドセントルを介して覆工用のコンクリートを打設する工程において,1b スライドセントルのラップ側外方周縁に,弾性素材からなり,断面略台形型の本体内部に貫通孔を本体の長さ方向に貫通させてなるゴム製コーキングを配する一方,スライドセントルの妻側外方周縁には鋼製コーキングを配し,1c スライドセントルのラップ側端と既コンクリート打設面との重合時に,ゴム製コーキングをその素材および貫通孔により弾性変形させ,スライドセントルのラップ側端と既コンクリート打設面のうち鋼製コーキングによって形成された打継段部とを重合させることにより,既コンクリート打設面へのスライドセントルの衝突によるクラックの発生,打設コンクリートの剥落を防止し,打設コンクリートの気密性を向上させる1d ことを特徴とするトンネル用コンクリート打設方法。 さらに,原告方法の構成を被告特許発明2の構成要件に即して分説すると,上記原告方法の1aないし1dに,次の2e,2fを加えたものとなる。2e ゴム製コーキングの貫通孔内にワイヤーを挿通させ,このワイヤーの締付けにより,ゴム製コーキングをスライドセントルに止着する2f ことを特徴とする1a乃至1dのトンネル用コンクリート打設方法。(2)原告製品の構成原告製品の構成を被告特許発明3の構成要件に即して分説すると,次のとおりとなる。3a トンネル内にスライドセ を特徴とする1a乃至1dのトンネル用コンクリート打設方法。(2)原告製品の構成原告製品の構成を被告特許発明3の構成要件に即して分説すると,次のとおりとなる。3a トンネル内にスライドセントルを介して覆工用のコンクリートを打設する装置において,3b スライドセントルのラップ側外方周縁に,弾性素材からなり,断面略台形型の本体内部に貫通孔を本体の長さ方向に貫通させてなるゴム製コーキングを配する一方,スライドセントルの妻側外方周縁には鋼製コーキングを配してなり,3c スライドセントルのラップ側端と既コンクリート打設面との重合時に,ゴム製コーキングをその素材および貫通孔により弾性変形させ,スライドセントルのラップ側端と既コンクリート打設面のうち鋼製コーキングによって形成された打継段部とを重合させる3d ことを特徴とするトンネル用コンクリート打設装置。 さらに,原告製品の構成を被告特許発明4の構成要件に即して分説すると,上記原告製品の構成3aないし3dに,次の,4e,4fを加えたものとなる。4e ゴム製コーキングの貫通孔内にワイヤーを挿通させ,このワイヤーの締付けにより,ゴム製コーキングをスライドセントルに止着する4f ことを特徴とする2a乃至2dのトンネル用コンクリート打設装置。 (3)原告方法が被告特許発明1の技術的範囲に属すること原告方法の「スライドセントル」,「本体」,「挿通孔」,「ゴム製コーキング」,「鋼製コーキング」,「打継段部」は,被告特許発明1の「型枠 」,「本体」,「通孔 」,「目地材」,「打継面形成用突部」,「打継部 」にそれぞれ相当し,原告方法の構成1a,1b,1c,1dは,被告特許発明1の構成要件1A,1B,1C,1Dをそれぞれ充足する 」,「目地材」,「打継面形成用突部」,「打継部 」にそれぞれ相当し,原告方法の構成1a,1b,1c,1dは,被告特許発明1の構成要件1A,1B,1C,1Dをそれぞれ充足する。(4)原告方法が被告特許発明2の技術的範囲に属すること原告製品の「ワイヤー」は,被告特許発明2の「緊締部材」に相当し,原告方法の構成2eは,被告特許発明2の構成要件2Eを充足するとともに,被告特許発明1の構成要件1Aないし1Dを全て充足した方法に使用されることから,被告特許発明2の構成要件2Fを充足する。(5)原告製品が被告特許発明3の技術的範囲に属すること原告製品の「スライドセントル」,「本体」,「挿通孔」,「ゴム製コーキング」,「鋼製コーキング」,「打継段部」は,被告特許発明3の「型枠 」,「本体」,「通孔 」,「目地材」,「打継面形成用突部」,「打継部 」にそれぞれ相当し,原告製品の構成3a,3b,3c,3dは,被告特許発明3の構成要件3A,3B,3C,3Dをそれぞれ充足する。(6)原告製品が被告特許発明4の技術的範囲に属すること原告製品の「ワイヤー」は,被告特許発明4の「緊締部材」に相当し,原告製品の構成4eは,被告特許発明4の構成要件4Eを充足するとともに,被告発明3の構成要件3Aないし3Dを全て充足した方法に使用されることから,被告特許発明4の構成要件4Fを充足する。【原告の主張】(1)原告方法の構成 原告方法の構成1cのうち「ゴム製コーキングをその素材および貫通孔により弾性変形させ,スライドセントルのラップ側端と既コンクリート打設面のうち鋼製コーキングによって形成された打継段部とを重合させることにより」とあるのは,単に「ゴム製 の素材および貫通孔により弾性変形させ,スライドセントルのラップ側端と既コンクリート打設面のうち鋼製コーキングによって形成された打継段部とを重合させることにより」とあるのは,単に「ゴム製コーキングを,スライドセントルのラップ側端と既コンクリート打設面のうち鋼製コーキングによって形成された打継段部とを重合させることにより」と改めるべきである。 その余の構成については認める。(2)原告製品の構成 原告製品の構成3cのうち「ゴム製コーキングをその素材および貫通孔により弾性変形させ,スライドセントルのラップ側端と既コンクリート打設面のうち鋼製コーキングによって形成された打継段部とを重合させることにより」とあるのは,単に「ゴム製コーキングを,スライドセントルのラップ側端と既コンクリート打設面のうち鋼製コーキングによって形成された打継段部とを重合させることにより」と改めるべきである。 その余の構成については認める。(3)原告方法が被告特許発明1,2の技術的範囲に属しないことア原告方法の1bが被告特許発明1の構成要件1Bを充足しないこと被告特許発明1の構成要件1Bにおける「弾性素材からなり,通孔を本体の長さ方向に貫通させてなる」とは,本体内部に単なる小さな穴が貫通されている状態ではなく,目地材の弾性変形に影響を与えるほどの大きな通孔が貫通していることを構成要素とする。 原告方法に使用されるゴム製コーキングは,断面略台形型であり,内部に本体の長さ方向に直径8㎜の小さな穴が貫通されているが,それはワイヤー(直径4㎜)を通す目的でかつそれに十分な限度の大きさしか有しておらず,原告方法は,被告特許発明1の構成要件1Bを充足しない。 イ原告方法の1cが被告特許発明1の構成要件1Cを充足しないこと被告特許発明 す目的でかつそれに十分な限度の大きさしか有しておらず,原告方法は,被告特許発明1の構成要件1Bを充足しない。 イ原告方法の1cが被告特許発明1の構成要件1Cを充足しないこと被告特許発明1の構成要件1Cは,「型枠のラップ側端と既コンクリート打設面との重合時に,目地材をその素材および通孔により弾性変形させ」ることを要件としており,「目地材」を「弾性変形させる」起因となるのは,素材と通孔の両方であると解釈される。 原告方法に使用されるゴム製コーキングは,断面略台形型であり,内部に本体の長さ方向に直径8㎜の小さな穴が貫通されているが,それはワイヤー(直径4 ㎜)を通す目的でかつそれに十分な限度の大きさしか有していないため,被告特許発明1の構成要件1Cの「目地材をその素材および通孔により弾性変形」しないのであるから,原告方法1の構成1cは,被告特許発明1の構成要件1Cを充足しない。ウ以上のとおりであるから,原告方法の2fは,被告特許発明2の構成要件2Fを充足しない。 したがって,原告方法は,被告特許発明1,2の技術的範囲に属しない。(4)原告製品が被告特許発明3,4の技術的範囲に属しないこと原告製品の構成3b,3cが,被告特許発明の構成要件3B,3Cを充足しないことは,前記3と同様の理由による。また,原告製品の構成4fは,被告特許発明4の構成要件4Fを充足しない。したがって,原告製品は,被告特許発明3,4の技術的範囲に属しない。 4 被告特許の無効理由の存否 【原告の主張】(1)細野トンネル工事において使用された工法(細野トンネル使用工法)及び同工法に使用された装置(細野トンネル使用装置)に基づく新規性欠如(法29条1項2号)ア細野トンネル工事原告は,平成13年12月 ネル工事において使用された工法(細野トンネル使用工法)及び同工法に使用された装置(細野トンネル使用装置)に基づく新規性欠如(法29条1項2号)ア細野トンネル工事原告は,平成13年12月末ころ,旧日本道路公団四国支社が実施した高知自動車道(四車線化)細野トンネルの工事において,覆工用コンクリート打設工事に用いる装置(以下「細野トンネル使用装置」という。)を元請業者(●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。以下「●●●●●●●●●」という。)に納入し,同企業体が,細野トンネル使用装置を用いて覆工用コンクリート打設工事を行い,平成14年10月始めころ完了した。上記覆工用コンクリート打設工事に際し,原告が企業体に提出した設計図(甲9)や,上記工事に使用する装置の製造に当たり取り交わした見積書,図面など(甲10~12)から,上記工事の方法(以下「細野トンネル使用工法」という。)や使用した装置が分かる。イ細野トンネル使用工法に関する発明(細野トンネル方法発明)細野トンネル使用工法に関する発明(以下「細野トンネル方法発明」という。)の構成は,次のとおりである。① トンネル内に型枠を介して覆工用のコンクリートを打設する工程である。② 型枠のラップ側外方周縁に,ゴム製の断面が略台形型であって,内部に通孔を本体の長さ方向に貫通しているラップ側目地材を配する。③ 型枠の妻側外方周縁に,鉄製の断面が略台形型の4辺のうち1辺を平行な2辺と直角とする4辺形である妻側目地材を配する。④ 型枠のラップ側端と既コンクリート打設面との重合する際に,ゴム製でありかつ通孔を有するラップ側目地材を変形させ,型枠のラップ側端と既コンクリート打設面のうちに配された妻側目地材により形成された打継面を重合させる。⑤ ラップ側 打設面との重合する際に,ゴム製でありかつ通孔を有するラップ側目地材を変形させ,型枠のラップ側端と既コンクリート打設面のうちに配された妻側目地材により形成された打継面を重合させる。⑤ ラップ側目地材の通孔内にワイヤーを挿通させ,このワイヤーを型枠に掛け締め付けることでラップ側目地材を型枠に固定する。ウ細野トンネル使用装置に関する発明(細野トンネル装置発明)細野トンネル使用装置に関する発明(以下「細野トンネル装置発明」という。)の構成は,次のとおりである。① トンネル内に型枠を介して覆工用のコンクリートを打設する装置である。② 型枠のラップ側外方周縁に,ゴム製の断面が略台形型であって,内部に通孔を本体の長さ方向に貫通しているラップ側目地材を配する。③ 型枠の妻側外方周縁に,鉄製の断面が略台形型の4辺のうち1辺を平行な2辺と直角とする4辺形である妻側目地材を配する。④ 型枠のラップ側端と既コンクリート打設面との重合する際に,ゴム製でありかつ通孔を有するラップ側目地材を変形させ,型枠のラップ側端と既コンクリート打設面のうちに配された妻側目地材により形成された打継面を重合させる。⑤ ラップ側目地材の通孔内にワイヤーを挿通させ,このワイヤーを型枠に掛け締め付けることでラップ側目地材を型枠に固定する。エ公然実施細野トンネル工事は,原告従業員のみならず,請負業者(●●●●●●●●●)やその他の工事の施工業者従業員や日本道路公団四国支社(当時)の関係者が立ち入り,もしくは作業を行う中で実施された。上記工事現場では,関係者に秘密にする措置が講じられておらず,上記工事は,不特定多数の者により認識されうる状態に置かれていた。したがって,細野トンネル方法発明,同装置発明は,いずれも公然実施されたとい 現場では,関係者に秘密にする措置が講じられておらず,上記工事は,不特定多数の者により認識されうる状態に置かれていた。したがって,細野トンネル方法発明,同装置発明は,いずれも公然実施されたということができる。オ細野トンネル方法発明と被告特許発明1,2との対比以下のとおり,細野トンネル方法発明は,被告特許発明1,2を含むものである。(ア)細野トンネル方法発明の構成①は,被告特許発明1,2の構成要件1,1D,2Fと同一である。(イ)細野トンネル方法発明の構成②,③は,被告特許発明1,2の構成要件1Bと同一である。(ウ)細野トンネル方法発明の構成④は,被告特許発明1,2の構成要件1Cと同一である。(エ)細野トンネル方法発明の構成⑤は,原告特許発明2の構成要件2Eと同一である。カ細野トンネル装置発明と被告特許発明3,4との対比以下のとおり,細野トンネル装置発明は,被告特許発明3,4を含むものである。(ア)細野トンネル装置発明の構成①は,被告特許発明3,4の構成要件3,3D,4Fと同一である。(イ)細野トンネル装置発明の構成②,③は,被告特許発明3,4の構成要件3Bと同一である。(ウ)細野トンネル装置発明の構成④は,被告特許発明3,4の構成要件3Cと同一である。(エ)細野トンネル方法発明の構成⑤は,被告特許発明4の構成要件4Eと同一である。キ被告の主張(後記【被告の主張】1イ)に対する反論 ラップ側ゴム製目地材は,当初設計図(甲9)と異なり,高さを約51㎜としており(甲12),褄側鋼性目地材より高くなっているので,弾性変形する。(2)甲38文献に基づく進歩性欠如(法29条2項) アトンネルコンクリート施工指針案(甲38)コンクリート・ライブラリー1 ),褄側鋼性目地材より高くなっているので,弾性変形する。(2)甲38文献に基づく進歩性欠如(法29条2項) アトンネルコンクリート施工指針案(甲38)コンクリート・ライブラリー102号「トンネルコンクリート施工指針(案)」(甲38)は,平成12年7月31日,社団法人土木学会により,頒布された刊行物(特許法29条1項3号)に該当する(以下,上記文献を「甲38文献」という。)。イ甲38発明甲38文献に記載された内容から,次の2つの発明(以下,「甲38発明1」「甲38発明2」という。)を認めることができる。 (甲38発明1)① トンネル内に型枠を介して覆工用のコンクリートを打設する工程において,② 型枠のラップ側外方周縁に,ゴム製で断面が略台形型のラップ側目地材を配し,③ 型枠のラップ側目地材は,既設コンクリートの目地深さよりも若干高くし,④ 型枠の妻側外方周縁に,断面が略台形型のつま側目地材を配し,⑤ 型枠のラップ側端と既コンクリート打設面との重合時に,ゴム製であるラップ側目地材を変形させ,型枠のラップ側端と既コンクリート打設面のうちに配されたつま側目地材により形成された打継面を重合させ,⑥ 既設コンクリート打設面への型枠の衝突によるクラックの発生,打設コンクリートの剥落を防止し,打設コンクリートの気密性を向上させる,⑦ コンクリート打設方法(甲38発明2)① トンネル内に型枠を介して覆工用のコンクリートを打設する装置において,② 型枠のラップ側外方周縁に,ゴム製で断面が略台形型のラップ側目地材を配し,③ 型枠のラップ側目地材は,既設コンクリートの目地深さよりも若干高くし,④ 型枠の妻側外方周縁に,断面が略台形型のつま側目地材を配し,⑤ 型枠 が略台形型のラップ側目地材を配し,③ 型枠のラップ側目地材は,既設コンクリートの目地深さよりも若干高くし,④ 型枠の妻側外方周縁に,断面が略台形型のつま側目地材を配し,⑤ 型枠のラップ側端と既コンクリート打設面との重合時に,ゴム製であるラップ側目地材を変形させ,型枠のラップ側端と既コンクリート打設面のうちに配されたつま側目地材により形成された打継面を重合させる,⑥ コンクリート打設装置。ウ被告特許発明1と甲38発明1との一致点,相違点型枠のラップ側目地材に本体長さ方向に貫通させてなる通孔に関し,被告特許発明1は通孔を有するのに対して,甲38発明1は通孔を有しない点において相違し,その余の構成は一致する。エ上記ウの相違点に関する容易想到性目地材に本体長さ方向に貫通させてなる通孔を設けることは,特開平6-88321号公報(甲36)や,特公昭46-23856号公報(甲37),日本道路公団発行の覆工コンクリート施工マニュアル(試験研究所技術資料360号:甲23)の記載にあるように,被告特許出願当時(平成14年3月22日),当業者において周知・慣用技術であった。そのため,原告は,細野トンネル工事においても,被告特許出願日以前に,本体長さ方向に中空を設けた目地材を使用していた(甲10~12)。 甲38発明1に周知・慣用技術を付加することは,当業者が所望に応じて選択できる,あるいは所望に応じて適宜付加できる単なる設計的事項に過ぎず,また,公知技術の組み合わせにも特別な技術的意義を見出すことはできないから,被告特許発明1は,公知技術の単なる寄せ集めに過ぎず,甲38発明1に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。オ被告特許発明2と甲38発明1との一致点,相違点 被告特許発明2は, 告特許発明1は,公知技術の単なる寄せ集めに過ぎず,甲38発明1に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。オ被告特許発明2と甲38発明1との一致点,相違点 被告特許発明2は,目地材の通孔内に緊結部材を挿通させ,その締付けにより,目地材を型枠に止着するが,甲38発明1には,記載がない点において相違し,その他の一致点,相違点は,前記ウと同じである。カ上記オの相違点に関する容易想到性目地材の通孔内に緊結部材を挿通させ,その締付けにより止着することは,特開平6-88321号公報(甲36)や,日本道路公団発行の覆工コンクリート施工マニュアル(試験研究所技術資料360号:甲23)の記載にあるように,被告特許出願当時(平成14年3月22日),当業者において周知・慣用技術であった。そのため,原告は,細野トンネル工事においても,本体長さ方向に中空を設けた目地材に,ワイヤーを通して固定して使用していた(甲10~12)。 甲38発明1に周知・慣用技術を付加することは,単なる設計事項に過ぎず,被告特許発明2も,甲38発明1に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。キ被告特許発明3と甲38発明2との一致点,相違点型枠のラップ側目地材に本体長さ方向に貫通させてなる通孔に関し,被告特許発明3は通孔を有するのに対して,甲38発明2は通孔を有しない点において相違し,その余の構成は一致する。ク上記キの相違点に関する容易想到性被告目地材に本体長さ方向に貫通させてなる通孔を設けることは,被告特許出願当時(平成14年3月22日),当業者において周知・慣用技術であって,被告発明3は,甲38発明2に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。ケ被告特許発明4と甲38発明2との一致点,相違点被告特許発明4は,目 日),当業者において周知・慣用技術であって,被告発明3は,甲38発明2に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。ケ被告特許発明4と甲38発明2との一致点,相違点被告特許発明4は,目地材の通孔内に緊結部材を挿通させ,その締付けにより,目地材を型枠に止着するが,甲38発明2には,記載がない点において相違し,その他の一致点,相違点は,前記キと同じである。コ上記ケの相違点に関する容易想到性目地材の通孔内に緊結部材を挿通させ,その締付けにより止着することは,被告特許出願当時,当業者において周知・慣用技術であって,被告発明4は,甲38発明2に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。【被告の主張】(1)細野トンネル工事において実施された工法,装置に基づく新規性欠如の主張について ア細野トンネル使用工法,同使用装置原告の主張する細野トンネル使用工法,同使用装置は,特定が不十分である。イ細野トンネル使用工法,同使用装置について甲9に記入されている数値によれば,⑰「ラップ側ゴム製目地材」と,⑱「褄側鋼性目地材」はともに同一形状である。また,甲10にも,甲9と同じ高さ(50㎜)及び裾の曲率半径(R30)の「褄側鋼製目地材」及び「ラップ側ゴム製目地材」が記載されている。これらによれば,「ラップ側ゴム製目地材」と「褄側鋼性目地材」はいずれも同一の形状で設計,製造されていることが明らかであるが,「ラップ側ゴム製目地材」と「褄側鋼性目地材」がともに同一の形状を有する場合には,「褄側鋼性目地材」によって形成されたコンクリート打設部分の「凹部」に同一形状の「ラップ側ゴム製目地材」を重合させたとしても,その「凹部」に「ラップ側ゴム製目地材」がピッタリ重なるのみであって,「ラップ側ゴム製目地材」が て形成されたコンクリート打設部分の「凹部」に同一形状の「ラップ側ゴム製目地材」を重合させたとしても,その「凹部」に「ラップ側ゴム製目地材」がピッタリ重なるのみであって,「ラップ側ゴム製目地材」が弾性変形することはない。ウ細野トンネル方法発明の実施を理由とする,被告特許発明1,2の特許出願前公然実施の有無前記イによると,細野トンネル方法発明は,被告特許発明1Cの構成を有しない。したがって,細野トンネル方法発明の実施をもって,被告特許発明1が,特許出願前に公然実施されたということはできない。また,被告特許発明1をその内容とする被告特許発明2についても同様に,公然実施されたということはできない。エ細野トンネル装置発明の実施を理由とする,被告特許発明3,4の特許出願前公然実施の有無前記イによると,細野トンネル装置発明は,被告特許発明3Cの構成を有しない。したがって,細野トンネル装置発明の実施をもって,被告特許発明3が,特許出願前に公然実施されたということはできない。また,被告特許発明3をその内容とする被告特許発明4についても同様に,公然実施されたということはできない。(2)甲38文献に基づく進歩性欠如の主張についてア被告特許発明1と甲38発明1との相違点について目地材に本体長さ方向に貫通させてなる通孔を設けることは,被告特許出願当時,当業者にとって周知慣用技術とはいえない。また,目地材の通孔内に緊結部材を挿通させ,その締付けにより止着することも,被告特許出願当時,当業者にとって周知慣用技術とはいえない。イ容易想到性したがって,被告特許発明1が,同特許出願当時,甲38発明1に基づいて,当業者が容易に想到し得たものということはできない。 また,被告特許発明2は被告特許発明1を引用し い。イ容易想到性したがって,被告特許発明1が,同特許出願当時,甲38発明1に基づいて,当業者が容易に想到し得たものということはできない。 また,被告特許発明2は被告特許発明1を引用して従属する従属請求項であり,被告特許発明3は被告特許発明1と同じ課題を解決するトンネル用コンクリート打設装置に関する物の発明であり,被告特許発明4は被告特許発明3を引用して従属する従属請求項である。 よって,被告特許発明1と同様の理由により,被告特許発明2ないし4が,同特許出願当時,甲38発明1,2に基づいて,当業者において容易に想到し得たものということはできない。 5 先使用による被告各特許発明の通常実施権の成否【原告の主張】仮に,原告方法が被告特許発明1,2の技術的範囲に,原告製品が被告特許発明3,4の技術的範囲に属するとしても,原告は,以下のとおり,① 特許出願に係る発明と同一の内容の発明をし(先使用発明の完成),② 特許出願に係る発明の内容を知らないで(発明知得経路の別個独立性),③ 事業を実施又はその準備をし,④ 本件訴訟の対象となっている実施行為(原告製品の製造,販売)が,特許出願の際,実施または準備をしていた発明及び事業の目的の範囲であるから,原告には,被告特許権について,先使用による通常実施権が成立している。(1)先使用発明の完成前記4【原告の主張】1のとおり,細野トンネル工事において,細野トンネル方法発明(先使用発明1)が行われ,その際,細野トンネル装置発明(先使用発明2)が使用されたが,先使用発明1は被告特許発明1,2と同一の内容の発明であり,先使用発明2は被告特許発明3,4と同一の内容の発明である。上記先使用発明1は,遅くとも,細野トンネル工事において第1回コンクリート打設工事 明1は被告特許発明1,2と同一の内容の発明であり,先使用発明2は被告特許発明3,4と同一の内容の発明である。上記先使用発明1は,遅くとも,細野トンネル工事において第1回コンクリート打設工事が終了した平成14年1月15日には完成した。(2)発明知得経路の別個独立性 原告は,被告特許出願以前から,本体長さ方向に貫通させてなる通孔を設けたラップ側目地材の通孔内にワイヤーを挿通させ,その締付けにより止着することを行っていた。また,ラップ側目地材の高さと妻側目地材の部分に高さの差を設けることは周知・慣用技術であり,しかも,原告は,被告特許出願以前から実施していたのであるから,原告は,被告各特許発明の内容を知らないで,覆工セントル工事に先使用発明1および2を完成させ,実施していたといえる。(3)事業又はその準備原告は,細野トンネル工事の覆工用コンクリート打設工事において使用するため,覆工用セントル装置(細野トンネル使用装置を含む。)を製造し,●●●●●●●●●に対して販売し,●●●●●●が,上記覆工用セントル装置を使用して,覆工用コンクリート打設工事を施工し,細野トンネル方法発明が実施された。 したがって,原告は,先行発明1,2を実施する事業をし,または,少なくとも,その準備をしていたといえる。【被告の主張】 (1)細野トンネル方法発明(先使用発明1,2)と被告特許発明1ないし4との異同(その1)先使用発明1,2は,ラップ側のゴム製目地材の高さが51±2㎜であり,妻側目地材の高さ50㎜よりも高いとは限らないことから,被告発明1ないし4の「型枠 のラップ側端と既コンクリート打設面との重合時に,目地材をその素材および通孔 により弾性変形させ,型枠 のラップ ないことから,被告発明1ないし4の「型枠 のラップ側端と既コンクリート打設面との重合時に,目地材をその素材および通孔 により弾性変形させ,型枠 のラップ側端と既コンクリート打設面のうち打継面形成用突部によって形成された打継部 とを重合させる」との構成を有しているとはいえない。したがって,原告が出願前に実施していたと主張する細野トンネル工事(先使用発明1,2)は,被告特許発明1ないし4と同一の内容の発明とはいえないことから,少なくともこの点において原告の先使用権は認められない。(2)細野トンネル工事(先使用発明1,2)と被告特許発明1ないし4との異同(その2)仮に,先使用発明1,2において,原告の主張するとおり,ゴム製目地材が51㎜で製造されていたとしても,このゴム製目地材が配置されたラップ側を,型枠が直接,既設コンクリートに接触しないように押圧するためには,0数㎜の圧縮量しか確保することができず,型枠という巨大な構造物を移動させるにあたってこの0数㎜という移動量を調整するのは不可能であるから,ゴム製目地材が51㎜の高さで製造されており,鋼製目地材との間に1㎜の高さの差があったとしても,そのような差では型枠を既設コンクリートに衝突させることなくゴム製目地材のみを弾性変形させるということは現実的には不可能である。したがって,仮に,先使用発明1,2において,原告の主張するとおり,ゴム製目地材が51㎜で製造されていたとしても,先使用発明1,2は,被告発明1ないし4の「型枠 のラップ側端と既コンクリート打設面との重合時に,目地材をその素材および通孔 により弾性変形させ,型枠 のラップ側端と既コンクリート打設面 告発明1ないし4の「型枠 のラップ側端と既コンクリート打設面との重合時に,目地材をその素材および通孔 により弾性変形させ,型枠 のラップ側端と既コンクリート打設面のうち打継面形成用突部によって形成された打継部 とを重合させる」との構成を有しているとはいえない。よって,原告主張の先使用発明1,2(細野トンネル工事)は,被告特許発明1ないし4と同一の内容の発明とはいえないことから,少なくともこの点において被告特許に対する原告の先使用権は認められない。 6 損害 【原告の主張】(1)被告製品1の製造,販売によって原告の受けた損害の額(法102条1項:主位的主張)被告は,被告製品1を少なくとも2台,販売(貸渡)したことにより,原告は,次のとおり,●●●●●●●●●円相当の損害を被った。よって,内金2200万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める。ア原告実施品1台当たりの利益額原告は,原告特許発明1の実施品(以下「原告実施品」という。)を製造(委託製造),販売しているが,その取引形態は,原告実施品を販売し,販売先での使用が終われば原告が原告実施品を買い戻すといういわゆるバイバック方式であり,ひとつの現場で取引先に販売した原告実施品の使用が終わると,その製品は原告に買い戻され,整備や部品の交換を経た上で,再販売される。 原告実施品を販売した場合の1台当たりの利益額は,下記のとおり少なくとも●●●●●●●●●円である(甲54)。 記【売上額】 ●●●●●円上述したとおり,原告は,原告実施品の販売にあたり,バイバック方式をとっているが,買戻価格は●●●●●●●●であり,上記●●●●万円は,買戻価格を控除 記【売上額】 ●●●●●円上述したとおり,原告は,原告実施品の販売にあたり,バイバック方式をとっているが,買戻価格は●●●●●●●●であり,上記●●●●万円は,買戻価格を控除した金額である。 【支出額】 ●●●●●●●●円① 原寸費(実物大の大きさで製作する箇所を平面的に描画する際の費用)●円(再販売のため無し。新作の場合でも●●●円程度)② 製缶費(鋼材の切断・溶接等原告実施品の整備に要する費用,塗装費用及び社内運搬費を含む) ●●●●円③ 部品費(現場毎に取り替えるパネルやボルトといった部品の費用)●●●●●●●●円④ 表面処理費(コンクリート仕上がり面のパネルにコーティングするための費用) ●●●●●●●円⑤ 設計費 ●●円⑥ 営業経費(交通費)●●円⑦ 営業経費(人件費)●●●円【利益額】 ●●●●●●●●●円(一台当たり)なお,祝園における3つの工事を除いた平均値でみると,売上額は●●●●●●●●●円,経費額は●●●●●●●●円であり,利益額は●●●●●●●●●円となる。イ実施能力及び寄与率(ア)原告は,平成14年11月ころ原告実施品を陸上自衛隊祝園分屯地内の工事現場に納品し,その後も継続的に同現場の工事やその他の現場(岡山県三軒屋の陸上自衛隊駐屯地内の工事現場等)に原告実施品を納品していた。したがって,被告製品1の販売台数に相当する需要があれば,これに応ずる実施能力を十分に備えていた。(イ)従来工法との比較(従来工法)従来,施工長さが1~3スパン程度の短いトンネル工事では,仮設足場材と単管(以下合わせて「仮設足場材等」という。)を使用して内型枠外周曲面に鉄筋組立のための足場が組まれ,それより長いスパンのトンネル工事では,仮設足場材等で ン程度の短いトンネル工事では,仮設足場材と単管(以下合わせて「仮設足場材等」という。)を使用して内型枠外周曲面に鉄筋組立のための足場が組まれ,それより長いスパンのトンネル工事では,仮設足場材等ではなく,独立型又は外型枠合体型の門型を利用して鉄筋組立作業を行う従来工法(内型枠先行工法と外型枠先行工法の2種類)が一般的に採用されてきた。(スパンの短い場合における従来工法との比較)仮設足場材等を使用した場合,1スパンにつき足場組立・鉄筋組立・足場収納までの全工程に約9日を要するところ,原告特許発明1を実施した内型枠を使用する工法(以下「本件特許工法」という。)による場合はその約半分の約5日ですむ。その結果,原告特許発明1を使用した方が,仮設足場材等を利用するよりも安く(10スパンの工事であれば●●●●●円以上),迅速にかつ安全に施工することができる。(スパンの長い場合における従来工法との比較)従来工法を使用する場合,走行クレーン方式の門型(約4350万円)あるいは外型枠合体型のアーチ状門型補強材(約2250万円)が必要となり,専用の鉄筋組立て台車(500~600万円)も必要となる。これに対し,原告特許発明1を実施した内型枠は従来の内型枠本体に開閉窓とスライド式足場受けを設備するだけで他に追加設備する物はなく,その結果,原告は,競合他社より少なくとも●●●●●円以上安い受注価格を実現することができることとなった。(まとめ)以上のとおり,その経済的・実用的に顕著な効果から,原告特許発明1が被告製品1の需要者・取引者の購入動機の中心をなしていることが明らかであり,その価値は極めて高い。そして,被告製品1には,原告特許発明1の機能以外に特徴的な機能はないのであるから,原告特許発明1の被告製品1の販売 取引者の購入動機の中心をなしていることが明らかであり,その価値は極めて高い。そして,被告製品1には,原告特許発明1の機能以外に特徴的な機能はないのであるから,原告特許発明1の被告製品1の販売利益に対する寄与率は100%と評価すべきである。(2)被告製品1の製造,販売によって原告の受けた損害の額(法102条2項:予備的主張)ア真柄建設関係(ア)売上額 ●●●●●円(イ)利益率被告製品1の売上額(賃貸の場合の賃料を含む。)に対する利益率は50%である。なお,被告は,経費として,後記【被告の主張】2イのとおり主張するが,被告は,被告製品1を賃貸しているところ,2度目以降の貸渡の際,製造原価の控除は不要である。(ウ)利益額●●●●●●●●円イ奥村組関係(ア)売上額 ●●●●●円(イ)利益率前記アイと同様,被告製品1の売上げに対する利益率は50%である。(ウ)利益額●●●●円ウ寄与率仮に,法102条2項の算定に寄与率を考慮することが許されるとしても,本件において,被告製品1の売上額に対する,原告特許発明1の寄与率は100%であり,その理由は,前記1イイと同じである。【被告の主張】(1)上記【原告の主張】1についてア原告実施品1台当たりの利益額について(ア)売上額について原告実施品は,イン,アウト両方のセントルで,被告が販売したセントルとほぼ金額的に近似している。しかし,原告実施品は,現場保管のまま,少ないときには●●●●円程度の加工作業で,次の工事に使用するというのであるが,顧客が,このような製品について,被告製品とほぼ同額の代金を払うとは考えがたい。(イ)仕入価格について 争う。原 ●●円程度の加工作業で,次の工事に使用するというのであるが,顧客が,このような製品について,被告製品とほぼ同額の代金を払うとは考えがたい。(イ)仕入価格について 争う。原告は「仕入価格は,各工事で必要となるメンテナンスや改造等作業内容の違いにより変動する」としながら,「内訳明細はない」と述べており,その仕入価格は信用できない。 (ウ)営業経費について原告は営業経費を一律●●●円と計上しているが,算定根拠が不明である。イ実施能力及び寄与率(ア)実施能力 原告は,本件のカルバート型の型枠を2台保有しているが(甲54),奥村組の工事が施工された平成21年度,原告は4件のカルバート型の型枠工事に携わっていたので,奥村組の型枠工事にまで携わる余裕はなかったはずである。(イ)事業規模(受注の仕組み)被告は,長年の販売実績と,業界シェアの過半を有する最大手であり,生産体制,人員共に充実しており,自社工場で生産している製品の品質が評価されているだけでなく,技術力,提案力,製品の信頼性,さらには,販売後のメンテナンスも評価されており,少々販売価格が高くても,高い顧客吸引力を有している。他方,原告は,製造を自社では行わず,委託製造である上,企業規模も小さいため,価格面で優位である。ただ,蓄積された技術力があるのか,メンテナンスのために十分な人手があるのか,販売後のメンテナンスは大丈夫なのかなどといった不安を感じる顧客もありうると推測する。本件の現場についてみても,被告は,本件の現場のゼネコンである真柄建設,奥村組とは,従前から取引があり,被告製型枠の品質,アフターサービスについて信頼を得ていたこと,予算が合ったことから,順調に話が進み,購入されたものであり,顧客が被告製品1 ある真柄建設,奥村組とは,従前から取引があり,被告製型枠の品質,アフターサービスについて信頼を得ていたこと,予算が合ったことから,順調に話が進み,購入されたものであり,顧客が被告製品1の購入を決定するに際し,原告特許発明1の採否は全く条件となっていない。(ウ)従来工法との比較原告は,原告特許発明1を使用した場合,コストが大幅に削減されると主張する。しかし,従来工法で使用されるビティ足場は,簡易迅速に組むことができ,構造的にも原告特許発明1を使用した工法より安定しており,低コストでもある。また,スパンが長いからといって,コストの高い門型の足場(内型枠先行工法において用いられる。)を使用するとは限らない。(2)上記【原告の主張】2についてア被告が被告製品1を製造し,真柄建設,奥村組に賃貸して得た売上額については,いずれも認める。イ真柄建設に対する賃貸による利益被告が真柄建設に対し被告製品1を貸与して得た売上げに係る経費は,次のとおり合計●●●●●●●●●円である。(製造原価) 小計●●●●●●●●●円原寸費 ●●●●●●●円製缶費 ●●●●●●●●●円部品費 ●●●●●●●●円表面処理費 ●●●●●●●円運搬費 ●●●●●●●●円設計費 ●●●●●●●円(作業時間●●●●●時間,1時間●●●●●円)(営業経費) 小計●●●●●●●円営業経費(交通費) ●●●●●●円営業経費(人件費) ●●●●●●●円(現場打合せ,現場立会い,保守管理など)合計 ●●●●●●●●●円したがって,売上額(●●●●●円)から上記経費を控除すると利益はない。ウ奥 業経費(人件費) ●●●●●●●円(現場打合せ,現場立会い,保守管理など)合計 ●●●●●●●●●円したがって,売上額(●●●●●円)から上記経費を控除すると利益はない。ウ奥村組に対する賃貸による利益被告が奥村組に対し被告製品1を貸与して得た売上げに係る経費は,次のとおり合計●●●●●●●●●円である。(製造原価) 小計●●●●●●●●●円原寸費 ●●●●●●●円製缶費 ●●●●●●●●円部品費 ●●●●●●●●円表面処理費 ●●●●●●●円運搬費 ●●●●●●●円(社内のみ)設計費 ●●●●●●●●円(作業時間●●●●●時間,1時間●●●●●円)(営業経費) 小計 ●●●●●●●●円営業経費(交通費) ●●●●●●●円営業経費(人件費)●●●●●●●●円(現場打合せ,現場立会い,保守管理など)合計 ●●●●●●●●●円したがって,売上額(●●●●●円)から上記経費を控除すると利益はない。第4 当裁判所の判断 1 被告製品1の原告特許発明1の技術的範囲への属否(1)被告製品1の製造,販売等前提事実5のとおり,被告は,平成19年以降,被告製品1を業として製造,販売している。(2)被告製品1が,原告特許発明1の技術的範囲に属すること被告製品1が,原告特許発明1の構成要件を,文言上,全て充足することについて争いがない。 2 原告特許1の無効理由の存否(1)乙4図面に基づく新規性欠如の有無ア乙4図面の公開による出願前公知の有無(法29条1項1号)被告は,乙4図面に原告特許発明1の発明が全て開示されており,情報公開法により公開されてい (1)乙4図面に基づく新規性欠如の有無ア乙4図面の公開による出願前公知の有無(法29条1項1号)被告は,乙4図面に原告特許発明1の発明が全て開示されており,情報公開法により公開されている結果,乙4図面に記載された発明は,原告特許1出願前に公然に知られた発明であると主張する。乙4図面は,平成15年12月に作成された,祝園貯蔵庫工事に際して作成されたセントルの完成図面(概略構造図)であり,被告が,情報公開請求により入手,提出したものであって,第三者にも入手可能であったことが認められる(乙4の1・2)。しかし,法29条1項1号による「公然知られた」とは,秘密保持義務のない第三者に実際に知られたことをいうと解されるところ,乙4図面が,原告特許1の出願日(平成17年9月27日)前に情報公開請求により第三者に対して開示されたことを認めるに足りる証拠はなく(甲33の1・2によると,開示された事実はなかったことが認められる。),他に,乙4図面が上記出願日前に公然知られたことを窺わせる事実の主張,立証もない。しかも,乙4図面は上述したとおり概略構造図であり,開閉窓より内側の収納位置から,開閉窓より先端部が突出する使用位置まで移動可能に設けられた足場形成部材が存在するかどうかまでを読み取ることは困難である。したがって,乙4図面が情報公開の対象文書となっていたことのみを理由に,法29条1項1号の適用があるとはいえない。イ乙4図面の刊行物該当性(法29条1項3号)また,被告は,乙4図面をもって,情報公開請求により公開されるべき文書であるから,情報公開法による情報公開請求が可能となった時点から,法29条1項3号の刊行物に該当すると主張する。しかし,法29条1項3号の「刊行物」とは,「公衆に対し,頒布に 公開されるべき文書であるから,情報公開法による情報公開請求が可能となった時点から,法29条1項3号の刊行物に該当すると主張する。しかし,法29条1項3号の「刊行物」とは,「公衆に対し,頒布により公開することを目的として複製された文書・図書等の情報伝達媒体」をいうところ,乙4図面は,頒布により公開することを目的として複製されたものとはいえない(請求があれば,その都度複製して交付することをもって,頒布ということはできない。)。したがって,乙4図面を「頒布された刊行物」であるということはできず,法29条1項3号の適用があるとはいえない。(2)祝園貯蔵庫工事に基づく新規性欠如の有無ア祝園貯蔵庫工事の実施による出願前公知の有無(法29条1項1号)被告は,原告が納入した内型枠を使用した工事が実施され,原告特許発明1が公然知られたと主張する。たしかに,上記工事において,原告特許発明1を実施した構造の内型枠が使用されているところ(弁論の全趣旨),上記工事の規模から考えて,多数の関係者が関与していることは窺える(弁論の全趣旨)。また,その装置の寸法が大きいことから(乙4の2,弁論の全趣旨),守秘義務を負う工事関係者以外の者が,工事で使用された内型枠を目撃した可能性を否定することもできない。しかし,守秘義務を負わない第三者が,単に,原告が納入した内型枠の存在を目撃したというだけではなく,祝園貯蔵庫工事に関係するなどして,原告特許発明1の構造を認識したということがあったと認めるに足りる証拠はない。しかも,証拠(甲15,乙3,乙4の1・2)によると,上記工事は,防衛庁の施設であり,設備の具体的な内容(構造や強度など)は,高い機密性が求められることは容易に推認される。なお,このことは,原告が自ら,原告特許発 15,乙3,乙4の1・2)によると,上記工事は,防衛庁の施設であり,設備の具体的な内容(構造や強度など)は,高い機密性が求められることは容易に推認される。なお,このことは,原告が自ら,原告特許発明1について特許出願し,その技術的内容を公開するに至らせたことと矛盾するわけではない。前記1アで述べたとおり,法29条1項1号の「公然知られた」というためには,実際に,守秘義務を負わない第三者によって知られたことを要するところ,祝園貯蔵庫工事が実施されたことにより,同条項に該当する事態が発生したと認めることはできない。イ祝園貯蔵庫工事の実施による出願前公用(公然実施)の有無(法29条1項2号)前記アのとおり,祝園貯蔵庫工事において,守秘義務を負う工事関係者以外の者が,原告特許発明1が実施された内型枠を目撃した可能性を否定することはできない。しかし,法29条1項2号の「公然実施」というためには,不特定の者が発明の内容を知りうる状態で実施することを要するところ,上述したような,目撃しただけで,原告特許発明1の内容を知ることができたとは認められない。また,目撃の可能性があるとしても,具体的な目撃の状況については,これを認めるに足りる証拠もない。したがって,祝園貯蔵庫工事を実施したことをもって,公然実施があったということはできず,法29条1項2号の事由があるとはいえない。(3)国道479号工事における公知公用技術に基づく進歩性欠如の有無ア被告主張の国道479号発明証拠(乙5,6,乙7の1・2)及び弁論の全趣旨によると,被告は,平成15年6月ころ,国道479号工事に際し,共同溝を設置するための共同溝形成用スチールフォーム(内型枠)を納入したが,その製品にクレームがあったため,被告の従業員が現場に赴き ,被告は,平成15年6月ころ,国道479号工事に際し,共同溝を設置するための共同溝形成用スチールフォーム(内型枠)を納入したが,その製品にクレームがあったため,被告の従業員が現場に赴き,補修作業を行ったこと,その際,内型枠に設置された複数の開閉窓からパイプを内型枠の外に出し,パイプの上に足場を設置していること(国道479号発明)が窺える。上記国道479号発明の実施自体が,公知であったかどうかについては,これを認めるに足りる証拠はないが,仮に,上記発明が公知であったとしても,次のとおり,同発明を主引例として,原告特許発明1の進歩性を否定することはできないと考える。イ国道479号発明の内容証拠(乙5,6,乙7の1・2)及び弁論の全趣旨によると,国道479号発明の内容は次のとおりであると認められる。 a 共同溝の内側に配されて,該共同溝との間でコンクリート製構造物を作製するための内型枠構造において,b 内型枠に設けた開閉窓と,c 内型枠外側で作業するための足場用に用いられ,上記開閉窓から先端部が外側に突出するよう設けられた足場用単管パイプとを具備することを特徴とするd 内型枠構造。 なお,被告は,上記cの構造について,「上記開閉窓から内側の収納位置と上記開閉窓から少なくとも先端部が外側に突出する使用位置とにわたり移動可能に設けられた足場用単管パイプ」と認定すべであると主張する。 しかし,証拠(乙7の1・2)を見ても,足場用単管パイプが移動可能に設けられたかどうかは不明である。このため,仮に,公知であると認定されたとしても,上記のとおりの発明の限度で公知であったというべきである。ウ一致点,相違点そうすると,被告の主張する相違点1,2(前記第3の1【被告の主張】3イ)の と認定されたとしても,上記のとおりの発明の限度で公知であったというべきである。ウ一致点,相違点そうすると,被告の主張する相違点1,2(前記第3の1【被告の主張】3イ)のほか,移動可能であるかどうか不明であるという点について相違している(相違点3)というべきであり,その余の構造については,一致している。エ容易想到性の有無国道479号工事において,開閉窓より内側の収納位置と,先端部が開閉窓より外側に突出する使用位置とにわたり移動可能であることを示すものは何もない。前記アのとおり,一時的な補修目的であったことも併せ考えると,足場を設置するためのパイプを移動可能にする必要性はなく,パイプを移動可能に設置するための課題や動機も見あたらない。 したがって,当業者にとって,原告特許1出願当時,国道479号発明から原告特許発明1を想到することは,容易とはいえない。(4)神岬トンネル工事における公知公用技術に基づく進歩性欠如の有無ア被告主張の神岬トンネル発明証拠(乙8~10,乙11の1~5,乙15)及び弁論の全趣旨によると,被告は,平成15年6月ころ,神岬トンネル工事に際し,全断面スチールフォーム(内型枠)を納入したが,その製品にクレームがあったため,国道479号工事と同様,被告の従業員が現場に赴き,補修作業を行ったこと,その際,内型枠に設置された開閉窓から,パイプを内型枠の外に出し,パイプの上に足場を設置していること(神岬トンネル発明)が窺える。上記神岬トンネル発明の実施自体が,公知であったかどうかについては,これを認めるに足りる証拠はないが,仮に,上記発明が公知であったとしても,次のとおり,同発明を主引例として,原告特許発明1の進歩性を否定することはできないと考える。イ神岬ト いては,これを認めるに足りる証拠はないが,仮に,上記発明が公知であったとしても,次のとおり,同発明を主引例として,原告特許発明1の進歩性を否定することはできないと考える。イ神岬トンネル発明の内容証拠(乙8~10,乙11の1~5,乙15)及び弁論の全趣旨によると,神岬トンネル発明の内容は,国道479号発明の内容と同じであることが認められる。ウ容易想到性の有無前記イのとおり,神岬トンネル発明の内容は,国道479号発明の内容と同じであると認められるので,前記3で述べたのと同様の理由により,当業者にとって,原告特許1出願当時,神岬トンネル発明から原告特許発明1を想到することは,容易とはいえない。また,これと異なる判断をすべき事情は見あたらない。 3 被告製品2の原告特許発明2の技術的範囲への属否(均等侵害の成否)(1)被告製品2の製造,販売等前提事実6のとおり,被告は,平成21年以降,被告製品2を業として,製造,販売している。(2)被告製品2の特定物件目録2のうち1ないし4については当事者間に争いがない。原告は,被告製品2の特定について,上記構成,動作に加え,5として,前記第3の2【原告の主張】1のとおり主張し,被告は,これに対し,同【被告の主張】1のとおり主張する。証拠(乙1の1~6,乙12の1・2)及び弁論の全趣旨によると,原告の請求の内容を特定するためには,被告製品2を別紙物件目録2のとおり特定することで十分であると考える。(3)被告製品2の構成ア原告は,被告製品2の構成について,第3の2【原告の主張】2のとおり主張するが,そのうち,2a,2b,2c,2d,2e,2g,2iは,当事者間に争いはない。残りの構成2f,2h ア原告は,被告製品2の構成について,第3の2【原告の主張】2のとおり主張するが,そのうち,2a,2b,2c,2d,2e,2g,2iは,当事者間に争いはない。残りの構成2f,2hについては,証拠(乙1の1~6,乙12の1・2)及び弁論の全趣旨によると,次のとおり認めることができる。 2f:水平軸(2e)に回動可能に指示されたフランジ付き車輪と2h:2gの車輪のリム幅は約8㎝であり,その下方に位置するレールの幅は約5ないし6㎝である。被告製品2は,両半割外型枠の上部に,端面どうしを離すためのジャッキがあり,両半割外型枠の下部にも,外型枠の下部を外側に広げるよう,横送りするためのジャッキ(横送りジャッキ)と,外型枠自体を持ち上げるためのジャッキ(伸縮ジャッキ)がある。上記半割外型枠の下端が外側へ広がり,上にも移動することにより,上記コンクリート製構造物に対して離型するように構成されている。 イ原告の主張についてなお,原告は,被告製品2の構成2hについて,「連結手段の連結状態を緩めて両半割外型枠の端面どうしを少し離すことで,各半割外型枠の自重により車輪の上方に位置する両半割外型枠の下端に反力が働き,車輪がそのリム幅(約8㎝)とその下方に位置するレールの幅(約5~6㎝)の差約2~3㎝を外側へスライドする」と主張する。前記アで認定したとおり,被告製品2の構成2hでは,車輪のリム幅とレールの幅に約2ないし3㎝の違いはあるが,原告が主張する機序により,車輪が外側にスライドするとしても,被告製品2の全体の大きさに比べると,そのスライド幅は極めて僅かである。そうすると,上記の幅をスライドするだけで(横送りジャッキや伸縮ジャッキの作用を抜き にして),半割外型枠の下端が外側に広がり,コン 体の大きさに比べると,そのスライド幅は極めて僅かである。そうすると,上記の幅をスライドするだけで(横送りジャッキや伸縮ジャッキの作用を抜き にして),半割外型枠の下端が外側に広がり,コンクリート製構造物に対し離型するとまで認めることは困難である。(4)均等侵害の成否ア原告特許発明2の構成要件のうち,2F,2Hの文言非充足被告製品2の構成のうち,2f,2hが原告特許発明2の構成要件2F,2Hを充足せず,被告製品2のその他の構成が原告特許発明2のその他の構成要件を充足することについて,当事者間に争いがない。原告は,被告製品2が原告特許発明2と均等であると主張するので,以下,被告製品2による原告特許権2の均等侵害の成否について,検討する。イ均等侵害の成立する場合特許請求の範囲に記載された構成中に対象製品等と異なる部分が存する場合であっても,① 当該部分が特許発明の本質的部分ではなく,② 当該部分を対象製品等におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって,③ このように置き換えることに,当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が,対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり,④ 対象製品等が,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから右出願時に容易に想到できたものではなく,かつ,⑤ 対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは,当該対象製品等は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である(最高裁平成6年オ第1083号同10年2月24日第 事情もないときは,当該対象製品等は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である(最高裁平成6年オ第1083号同10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁参照)。ウ本件へのあてはめ そこで,原告特許発明2構成要件2F,2Hに相当する,被告製品2の構成が,これらの構成要件と均等なものといえるか否かについて検討する。(5)非本質的部分性(①の要件)ア原告特許2明細書の記載 証拠(甲4)によると,原告特許2明細書中に次の記載があり,この記載によると,両半割外型枠の端面どうしを少し離しただけでは,コンクリート製構造物から離型することはなく,外型枠の自重により,水平軸に沿ってスライドする結果,離型することが,原告特許発明2の本質的な特徴部分であると認めることができる。「【0003】‥‥しかしながら,このような外型枠に対して内型枠の移動機構を同様に設けても,外型枠とコンクリート製構造物との間での離型が困難であった。【0004】そこで,外型枠の外側に外型枠の全体を支持する支持構造体を設けるとともに,外型枠自体を上部枠と下部枠とに分けて両者をヒンジにより連結し,下部枠の下側にシリンダを設けるとともに更にそのシリンダの下側に車輪が設けられた構成の外型枠構造が提案され,使用されている。 この外型枠構造の場合には,ジャーナル・ジャッキにより外型枠全体を持ち上げるとともに下部枠の下端を外側に広げることでコンクリート製構造物から離型させ,その後下部枠の下側に設けた車輪を介して移動させることができる。【0005】しかしながら,この外型枠構造による場合には,外型枠の外側に頑丈な上記支持構造体を必要とするために,コストが大幅に上昇 後下部枠の下側に設けた車輪を介して移動させることができる。【0005】しかしながら,この外型枠構造による場合には,外型枠の外側に頑丈な上記支持構造体を必要とするために,コストが大幅に上昇するという問題があった。【0006】本発明は,このように従来技術の課題を解決するためになされたものであり,コンクリート製構造物から外型枠を離型させることができ,かつ移動も可能であって作業性に優れ,しかもコストの上昇を抑制することができる外型枠構造を提供することを目的とする。【課題を解決するための手段】【0007】本発明の請求項1に係る外型枠構造は,アーチ状のコンクリート製構造物を,内型枠の外側に配して形成するための外型枠構造において,天井部分で2分割され,その分割部の各端面どうしが接離可能に設けられた2つの半割外型枠と,該2つの半割外型枠の各端面どうしを接離可能に連結する連結手段と,各半割外型枠の下端に固定された水平軸と,該水平軸に回動可能に支持されかつその水平軸に沿ってスライド可能に設けられた車輪と,各車輪の下側に設けられたレールとを具備し,上記連結手段の連結状態を緩めて両半割外型枠の端面どうしを少し離すことで,両半割外型枠の下端に固定された水平軸が,車輪に対し各半割外型枠の自重によりスライドすることで,上記両半割外型枠の下端が水平軸に沿う外方へ広がって上記コンクリート製構造物に対して離型するように構成されていることを特徴とする。」イ構成要件2F,2Hの本質的部分該当性前記アによると,従来技術では,外型枠をコンクリート製構造物から離型させるために,外型枠をジャーナルジャッキにより持ち上げていたが,そのためには,頑丈な支持構造体を必要とし,コストがかかるところ,原告特許発明2の目的,作用効果は,構 をコンクリート製構造物から離型させるために,外型枠をジャーナルジャッキにより持ち上げていたが,そのためには,頑丈な支持構造体を必要とし,コストがかかるところ,原告特許発明2の目的,作用効果は,構成要件2F,2Hの構成を採用することにより,外型枠を持ち上げる支持構造体を要することなく,両半割外型枠の上端面どうしを,連結手段を緩めて,少し離すことにより,自重により外型枠の下端に固定された水平軸を外側にスライドさせることにより,自動的に外型枠をコンクリート製構造物から離型させることにある。したがって,上記の点をもって,原告特許発明2の課題解決のための特徴的部分であるといえるが,構成要件2F,2Hは,そのための構成である。一方,被告製品2は,前記3アのとおり,両半割外型枠の上端面どうしを少し離し,それに加え,横送りジャッキにより外型枠の下端を外側に送り出すとともに,伸縮ジャッキにより外型枠自体を持ち上げることにより,外型枠をコンクリート製構造物に対して離型するものである。そして,前記3イのとおり,被告製品の両半割外型枠の下端に設けられた車輪が自重により,外側にスライドするとしても,そのスライドの幅から考えて,そのことのみによって外型枠が離型するとは考えられず,上記ジャッキによる外型枠の移動をもって,離型するものと認められる。そうすると,被告製品2は,原告特許発明2の本質的部分において,同発明の構成と異なる構成をとっているというべきである。(6)まとめ以上のとおり,被告製品2が原告特許発明2と均等なものとして,その技術的範囲に属すると認めることはできない。 4 原告方法及び原告製品の被告各特許発明の技術的範囲への属否(1)原告製品の製造,販売等前提事実7のとおり,原告は,原告製品 のとして,その技術的範囲に属すると認めることはできない。 4 原告方法及び原告製品の被告各特許発明の技術的範囲への属否(1)原告製品の製造,販売等前提事実7のとおり,原告は,原告製品を製造し,●●●●●●●●に販売し,同製品は,同社が受注した18美濃3工区農道用1号トンネル工事(所在:岐阜県加茂郡)において使用された。(2)原告方法及び原告製品ア被告は,原告方法及び原告製品の構成について,第3の3【被告の主張】1,2のとおり主張するが,1c,3cを除き,当事者間に争いはない。証拠(甲9,10,甲31の1~3,甲32)及び弁論の全趣旨によると,原告方法1c及び原告製品3cは次のとおりであると認めることができる。(原告方法)1c スライドセントルのラップ側端と既コンクリート打設面との重合時に,ゴム製コーキングをその素材および直径約8㎜の貫通孔により弾性変形させ,スライドセントルのラップ側端と既コンクリート打設面のうち鋼製コーキングによって形成された打継段部とを重合させることにより,既コンクリート打設面へのスライドセントルの衝突によるクラックの発生,打設コンクリートの剥落を防止し,打設コンクリートの気密性を向上させる(原告製品)3c スライドセントルのラップ側端と既コンクリート打設面との重合時に,ゴム製コーキングをその素材および貫通孔により弾性変形させ,スライドセントルのラップ側端と既コンクリート打設面のうち鋼製コーキングによって形成された打継段部とを重合させるイ原告の主張について被告は,平成23年3月28日付被告準備書面14頁において,原告製品のうちゴム製コーキング(断面略台形)に対し,圧力をかけることにより,断面全体が変形するだけでなく,貫通孔(直径8㎜で,中に直 被告は,平成23年3月28日付被告準備書面14頁において,原告製品のうちゴム製コーキング(断面略台形)に対し,圧力をかけることにより,断面全体が変形するだけでなく,貫通孔(直径8㎜で,中に直径3~4㎜のワイヤーが挿通されている。)も変形しており,素材及び貫通孔(の存在)により弾性変形している実験結果を記載している(ただし,かけられた圧力の強さは不明である。)。これに対して,原告は,原告方法に用いる原告製品のうちゴム製コーキングが,素材及び貫通孔により弾性変形することを否認し,実験結果(甲39,41)を提出する。上記実験結果によると,貫通孔のないゴム製コーキングと,直径23㎜の貫通孔のあるものとに圧力を加えて比べた場合,圧力に対する圧縮量(変形率)は,いずれも正比例の関係にあり,その程度は,貫通孔のあるものの圧縮量は,貫通孔のないものに比べ大きい(なお,貫通孔のないものも圧縮されている以上,素材に起因する変形があったというべきである。)。そして,直径8㎜の貫通孔のあるものと比べても,上記の差ほどではないにしても圧縮量(変形率)に違いがあることが認められる(これらの圧縮があった場合,コーキングの断面全体だけが圧縮するとは考えられず,貫通孔の断面も同時に圧縮されると考えられる。)。このことから,直径8㎜であっても,貫通孔が存することに起因する弾性変形率の増大を見て取ることができる。(3)原告方法の被告特許発明1,2の技術的範囲への属否/原告方法の構成の被告特許発明1,2の構成要件充足性原告方法の構成1a,1d,2eが,被告特許発明1の構成要件1A,1D,被告特許発明2の構成要件2Eを充足することについて争いはない。そこで,原告方法が,被告特許発明1の構成要件1B,1C,被告特許発明2の構成要件2F 2eが,被告特許発明1の構成要件1A,1D,被告特許発明2の構成要件2Eを充足することについて争いはない。そこで,原告方法が,被告特許発明1の構成要件1B,1C,被告特許発明2の構成要件2Fを充足するか否かについて,以下検討する。ア被告特許発明1の構成要件1B原告は,原告方法に使用されるゴム製コーキングに設けられた直径8㎜の穴は,直径4㎜のワイヤーを通す目的でかつそれに十分な限度の大きさしか有しておらず,構成要件1Bを充足しないと主張する。しかし,構成要件1Bからは,通孔が長さ方向に貫通されていることのみを要件としており,通孔の大きさは規定されていない。仮に,通孔の直径と同じ直径のワイヤーが挿通された結果,通孔が塞がれたような場合はともかく,単に,通孔にワイヤーなどが挿通された場合を排除するものとは考えられない。そうすると,原告方法1b(第3の3【被告の主張】1のとおりであることに争いがない。)は,構成要件1Bを充足するといえる。イ被告特許発明1の構成要件1C原告は,原告方法に使用されるゴム製コーキングに設けられた穴は,ワイヤー(直径4㎜)を通す目的でかつそれに十分な限度の大きさしか有していないため,「目地材をその素材および通孔により弾性変形」しないと主張する。しかし,前記2のとおり,原告方法に使用されるゴム製コーキングは,圧力をかけることにより,断面全体が変形するだけでなく,貫通孔も変形しており,素材及び貫通孔の存在により弾性変形していることが認められる。したがって,原告方法の構成1cは,構成要件1Cを充足するといえる。 ウ被告特許発明2の構成要件2F被告特許発明2は,構成要件2Fのとおり,被告特許発明1を内容とするため,原告は,構成要件1B,1Cの非充足 の構成1cは,構成要件1Cを充足するといえる。 ウ被告特許発明2の構成要件2F被告特許発明2は,構成要件2Fのとおり,被告特許発明1を内容とするため,原告は,構成要件1B,1Cの非充足を理由に,構成要件2Fの充足を争うものであるが,前記ア,イのとおり,原告方法は,これらの構成要件を充足するので,構成要件2Fについても充足することとなる。エまとめ以上によると,原告方法は被告特許発明1,2の技術的範囲に属するということができる。 (4)原告製品の被告特許発明3,4の技術的範囲への属否/原告製品の構成の被告特許発明3,4の構成要件充足性原告製品の構成3a,3d,4eが,被告特許発明3の構成要件3A,3D,被告特許発明4の構成要件4Eを充足することについて争いはない。そこで,原告製品が,被告特許発明3の構成要件3B,3C,被告特許発明4の構成要件4Fを充足するか否かについて,以下検討する。ア被告特許発明3の構成要件3B原告は,原告製品に使用されるゴム製コーキングに設けられた直径8㎜の穴は,直径4㎜のワイヤーを通す目的でかつそれに十分な限度の大きさしか有しておらず,構成要件3Bを充足しないと主張する。しかし,構成要件3Bからは,通孔が長さ方向に貫通されていることのみを要件としており,通孔の大きさは規定されていない。仮に,通孔の直径と同じ直径のワイヤーが挿通された結果,通孔が塞がれたような場合はともかく,単に,通孔にワイヤーなどが挿通された場合を排除するものとは考えられない。そうすると,原告製品3b(第3の3【被告の主張】2のとおりであることに争いがない。)は,構成要件3Bを充足するといえる。イ被告特許発明3の構成要件3C原告は,原告製品に使用されるゴム製コーキングに 告製品3b(第3の3【被告の主張】2のとおりであることに争いがない。)は,構成要件3Bを充足するといえる。イ被告特許発明3の構成要件3C原告は,原告製品に使用されるゴム製コーキングに設けられた穴は,ワイヤー(直径4㎜)を通す目的でかつそれに十分な限度の大きさしか有していないため,「目地材をその素材および通孔により弾性変形」しないと主張する。しかし,前記2のとおり,原告製品に使用されるゴム製コーキングは,圧力をかけることにより,断面全体が変形するだけでなく,貫通孔も変形しており,素材及び貫通孔の存在により弾性変形していることが認められる。 したがって,原告製品の構成3cは,構成要件3Cを充足するといえる。 ウ被告特許発明4の構成要件4F被告特許発明4は,構成要件4Fのとおり,被告特許発明3を内容とするため,原告は,構成要件3B,3Cの非充足を理由に,構成要件4Fの充足を争うものであるが,前記ア,イのとおり,原告製品は,これらの構成要件を充足するので,構成要件4Fについても充足することとなる。エまとめ以上によると,原告製品は被告特許発明3,4の技術的範囲に属するということができる。(5)作用効果なお,貫通孔の大きさが一定程度より小さい場合は,貫通孔があることによる弾性変形の増大がほとんど認められなくなり,貫通孔を設けたことによる作用効果を奏しているといえなくなり(実質的には従来技術と変わらない。),被告各特許発明の技術的範囲に属しない可能性がある。しかし,前記2イで検討したとおり,原告方法に用いられる原告製品に設けられた貫通孔の直径は8㎜であるところ,同貫通孔の存在に起因する弾性変形を認めることができるので,その作用効果を奏していないとはいえない。 5 被 討したとおり,原告方法に用いられる原告製品に設けられた貫通孔の直径は8㎜であるところ,同貫通孔の存在に起因する弾性変形を認めることができるので,その作用効果を奏していないとはいえない。 5 被告特許の無効理由の存否(1)細野トンネル工事ア原告は,細野トンネル工事使用装置,同使用工法が,被告各特許発明と実質的に同一であり,被告各特許には,法29条1項2号の事由が存すると主張する。イ細野トンネル方法発明と被告特許発明1,2との対比 (ア) 証拠(甲9~12)及び弁論の全趣旨によると,細野トンネル方法発明の内容は,次のとおりであると認められる。① トンネル内に型枠を介して覆工用のコンクリートを打設する工程である。② 型枠のラップ側外方周縁に,ゴム製の断面が略台形型であって,内部に通孔を本体の長さ方向に貫通しているラップ側目地材を配する。③ 型枠の妻側外方周縁に,鉄製の断面が略台形型の4辺のうち1辺を平行な2辺と直角とする4辺形である妻側目地材を配する。④ 型枠のラップ側端と既コンクリート打設面との重合する際に,ゴム製でありかつ通孔を有するラップ側目地材を変形させ,型枠のラップ側端と既コンクリート打設面のうちに配された妻側目地材により形成された打継面を重合させる。⑤ ラップ側目地材の通孔内にワイヤーを挿通させ,このワイヤーを型枠に掛け締め付けることでラップ側目地材を型枠に固定する。(イ) これに対して,被告は,甲9,10によれば,「ラップ側ゴム製目地材」と「褄側鋼性目地材」はいずれも同一の形状で設計,製造されていることが明らかであるが,「褄側鋼性目地材」によって形成されたコンクリート打設部分の「凹部」に同一形状の「ラップ側ゴム製目地材」を重合させたとしても,その「凹部」に「ラップ側ゴム製目地材」 されていることが明らかであるが,「褄側鋼性目地材」によって形成されたコンクリート打設部分の「凹部」に同一形状の「ラップ側ゴム製目地材」を重合させたとしても,その「凹部」に「ラップ側ゴム製目地材」がピッタリ重なるのみであって,「ラップ側ゴム製目地材」が弾性変形することはなく,被告特許発明1,2の技術的範囲に属しないと主張する。しかし,甲12によると,「ラップ側ゴム製目地材」は,「褄側鋼性目地材」よりやや高く設計されていることが認められ,前記アの認定を左右するものではない。 ウ公然実施の成否細野トンネル方法,同装置発明が,被告各特許発明と実質的に同一であるか否かという点を検討する前に,細野トンネル方法発明,同装置発明が,被告各特許発明の出願前に公然実施されたと認められるかどうかについて,検討する。細野トンネル工事が実施された際の状況は必ずしも明らかではなく,複数の工事関係者が工事現場に出入りしていたことは窺えるものの,守秘義務の課せられていない第三者が出入りしていたかどうかについては,これを認めるに足りる証拠はなく,細野トンネル使用装置,同工法が,「公然実施をされた」発明であると認めることはできない。(2)甲38文献に基づく進歩性欠如の有無ア甲38発明甲38文献によると,次の発明を認めることができる。(甲38発明1)① トンネル内に型枠を介して覆工用のコンクリートを打設する工程において,② 型枠のラップ側外方周縁に,ゴム製で断面が略台形型のラップ側目地材を配し,③ 型枠のラップ側目地材は,既設コンクリートの目地深さよりも若干高くし,④ 型枠の妻側外方周縁に,断面が略台形型のつま側目地材を配し,⑤ 型枠のラップ側端と既コンクリート打設面との重合時に,ゴム製であるラップ 地材は,既設コンクリートの目地深さよりも若干高くし,④ 型枠の妻側外方周縁に,断面が略台形型のつま側目地材を配し,⑤ 型枠のラップ側端と既コンクリート打設面との重合時に,ゴム製であるラップ側目地材を変形させ,型枠のラップ側端と既コンクリート打設面のうちに配されたつま側目地材により形成された打継面を重合させ,⑥ 既設コンクリート打設面への型枠の衝突によるクラックの発生,打 設コンクリートの剥落を防止し,打設コンクリートの気密性を向上させる,⑦ コンクリート打設方法(甲38発明2)① トンネル内に型枠を介して覆工用のコンクリートを打設する装置において,② 型枠のラップ側外方周縁に,ゴム製で断面が略台形型のラップ側目地材を配し,③ 型枠のラップ側目地材は,既設コンクリートの目地深さよりも若干高くし,④ 型枠の妻側外方周縁に,断面が略台形型のつま側目地材を配し,⑤ 型枠のラップ側端と既コンクリート打設面との重合時に,ゴム製であるラップ側目地材を変形させ,型枠のラップ側端と既コンクリート打設面のうちに配されたつま側目地材により形成された打継面を重合させる,⑥ コンクリート打設装置イ被告特許発明1と甲38発明1との一致点,相違点被告特許発明1は,型枠のラップ側目地材に本体長さ方向に貫通させてなる通孔に関し,被告特許発明1は通孔を有するのに対して,甲38発明1は通孔を有しない点において相違し,その余の構成は一致する。ウ上記イの相違点に関する容易想到性原告は,甲38発明1に周知・慣用技術(甲23,36,37)を適用することにより,当業者が,容易に被告特許発明1を想到することができると主張する。しかし,甲23(覆工コンクリート施工マニュアル)には,「ダミージョイント(被告特許 23,36,37)を適用することにより,当業者が,容易に被告特許発明1を想到することができると主張する。しかし,甲23(覆工コンクリート施工マニュアル)には,「ダミージョイント(被告特許発明1の目地材に相当)内部に通したワイヤーを用い(る)」との記載があるが,上記ワイヤーをどのようにして目地材の内部を通すかについては不明であり,上記記載から,目地材に通孔を設けることまでを読み取ることはできない。また,甲36(特開平6-88321)には,中空部のあるクッション片(ゴムもしくは弾性合成樹脂からなる)の記載があるが,上記公報に記載された発明は,硬化済みの既設コンクリート層へ,端部を水密状に圧接させることができるスライド型枠とダムフォーム工法を提供する発明であり,上記クッション片は,既設コンクリート層の端部とスライド型枠の端部を密接させるためのものであり,被告各特許発明における目地材とは,その解決する課題が異なり,技術的にも異なるものである。 したがって,当業者が,容易に甲38発明1に適用することを想到できたとは認められない。また,甲37(特公昭46-23856)には,中空部のある目地棒(弾性挟持力を有する)の記載があるが,上記公報に記載された発明は,コンクリートの打設と同時に,上記打設面にタイルを正確美麗に貼り付ける工法を提供する発明であり,被告各特許発明における目地材とは,その解決する課題が異なり,技術的にも異なるものである。したがって,当業者が,容易に甲38発明1に適用することを想到できたとは認められない。以上によると,被告特許の出願当時,当業者が,甲38発明1に基づいて,被告特許発明1の構成を容易に想到することができたとはいえない。エ被告特許発明2の進歩性と甲38発明1前記ウのとおり, 以上によると,被告特許の出願当時,当業者が,甲38発明1に基づいて,被告特許発明1の構成を容易に想到することができたとはいえない。エ被告特許発明2の進歩性と甲38発明1前記ウのとおり,被告特許の出願当時,当業者が,甲38発明1に基づいて,被告特許発明1を容易に発明することができない以上,被告特許発明1の全部を含む被告特許発明2についても同様,被告特許の出願当時,当業者が,甲38発明1に基づいて,容易に発明することができたとはいえない。オ被告特許発明3,4の進歩性と甲38発明2前記イないしエと同様,被告特許の出願当時,当業者が,甲38発明2に基づいて,被告特許発明3,4を容易に発明することができたとはいえない。  6 先使用による被告各特許発明の通常実施権の成否(1)使用発明1,2(細野トンネル方法発明,同装置発明)の完成証拠(甲9~12)及び弁論の全趣旨によると,細野トンネル方法発明,同装置発明は,細野トンネル工事に使用されたのであるから,同工事において,これらの工法,装置が実施された工事のうち最初のコンクリート打設工事が終了した時点(平成14年1月15日であることについて,明らかな争いはない。)では,発明として完成したといえる。一方,前記4のとおり,原告方法及び原告製品は,被告各特許発明の技術的範囲に属すると認められるところ,細野トンネル方法発明及び同装置発明と,原告方法及び原告製品は,技術的に同一ということができる。すなわち,証拠(甲9,10)及び弁論の全趣旨によると,細野トンネル方法発明,同装置発明と原告方法,原告製品とは,目地材の内部,本体の長さ方向に貫通している通孔の直径が,前者は5㎜,後者は8㎜という点において相違するが,その余の構成は一致している。そして,上記相異点の 明,同装置発明と原告方法,原告製品とは,目地材の内部,本体の長さ方向に貫通している通孔の直径が,前者は5㎜,後者は8㎜という点において相違するが,その余の構成は一致している。そして,上記相異点の違いにより技術的な意味において違いがあるとは認められない(仮に,細野トンネル方法発明及び同装置発明が,被告各特許発明と同一でないというのであれば,原告方法及び原告製品は,被告各特許発明の技術的範囲に属しないということになる。)。以上を総合すると,細野トンネル方法発明及び同装置発明は,被告各特許発明と同一ということができる。(2)被告各特許発明の内容を知らなかったこと被告特許の出願日は,平成14年3月22日であるところ,細野トンネル工事において,細野トンネル使用装置を使用し,同使用工法が実施されたのが,上記1のとおり,それより前の同年1月15日であった。したがって,原告は,被告各特許発明を知らないで,細野トンネル方法発明,同装置発明を発明したということができ,他に,これを左右するに足りる証拠はない。(3)事業又はその準備証拠(甲9~12)及び弁論の全趣旨によると,原告は,細野トンネル使用装置を製造の上,細野トンネル工事の元請業者に販売し,当該業者において,上記使用装置を用いて,細野トンネル方法発明を実施したことが認められる。したがって,原告は,細野トンネル使用工法,同装置を使用した事業の実施をしたといえる。(4)まとめ以上のとおり,原告は,被告特許発明を独自に開発し,これを事業として実施していたので,法79条により,被告各特許発明について通常実施権を有する。 7 差止め以上によると,被告の行為その1(被告製品1の製造,貸渡)は,原告特許権1を侵害するものであり,原告は,被告に対し, で,法79条により,被告各特許発明について通常実施権を有する。 7 差止め以上によると,被告の行為その1(被告製品1の製造,貸渡)は,原告特許権1を侵害するものであり,原告は,被告に対し,上記行為の差止めを求めることができる。なお,被告は,現在,被告製品1の製造はしていないと主張するが,上記行為に至る経緯(元請けから原告特許発明1の実施を要請された)に照らすと,上記差止めの必要性は未だ消滅していないというべきである。 8 損害 以上の検討の結果,原告特許権1の侵害についての損害を算定する。(1)法102条1項による算定 ア原告実施品1台あたりの利益額(ア)売上額証拠(甲54~56)及び弁論の全趣旨によると,原告は,祝園貯蔵庫工事に際し,4回にわたり,原告実施品(内型枠)を販売しているが,その際,いずれも外型枠と合わせて仕入れ,これを合わせて販売したことが認められる。上記販売における,外型枠と内型枠との価格内訳は明らかではなく,仕入れに際しては,資材の重量によって価格が決まることからすれば,上記価格の内訳は,外型枠と内型枠の重量比(内型枠は全体の4分の3)によって推計することが相当であり(甲56,57),内型枠の仕入価格は,仕入価格全体の4分の3であるから,販売価格も同様,販売価格全体の4分の3であると推計することとする。また,上記販売は,バイバック方式といい,後に原告が買い戻すことが予定されているものであり,その買戻価格は,常に当初の販売価格の●●●であり,納入先からは,上記買戻価格を予め控除した残額の支払を受けていたことが認められる(甲54。以下,便宜上,上記控除後の金額を「販売価格)という。)。以上を踏まえ,証拠(甲54~56,甲58の1・2,甲59の1~5)及び弁 予め控除した残額の支払を受けていたことが認められる(甲54。以下,便宜上,上記控除後の金額を「販売価格)という。)。以上を踏まえ,証拠(甲54~56,甲58の1・2,甲59の1~5)及び弁論の全趣旨によると,内型枠1台当たりの売上額は,●●●●●●●●●円であると認められる。ところで,被告は,わずかな費用の加工費用で再度販売(バイバック方式)される場合であるにもかかわらず,原告の主張する●●●●●円という価格で,再販売品を購入する顧客はいないと主張する。しかし,上述したとおり,原告は,4回に渡り原告実施品を販売しており,その販売価格に多少のばらつきはあるものの,ほぼ一定していることが窺える。また,上記販売価格(平均●●●●●●●●●円)は,被告が被告製品1を賃貸した際の売上額(真柄建設に対する賃料:●●●●●円,奥村組に対する賃料:●●●●●円)とそれほど大きな違いはない。たしかに,仕入価格については,別紙計算表のとおり,祝園貯蔵庫工事における4回の販売の間でも,相当大きな変動が認められるものの,販売価格としてはある程度一定していると考える方が自然である。 加工費如何によっては,利益率が大きく変動するものの,そのような販売形態があっても不思議ではなく,上記算定を左右するに足りる事情は見いだせない。(イ)経費額既に前記アで述べたとおり,経費についても,売上額と同様の推計をすべきところ,証拠(甲54~56,甲58の3・4,甲59の6~9)及び弁論の全趣旨によると,原告実施品を製造するのに要した費用(仕入価格)は,別紙計算表のとおり,原告実施品(内型枠)1台当たり,●●●●●●●●円であると認めることができる。また,証拠(甲54~56)及び弁論の全趣旨によると,営業経費についても,別紙計 仕入価格)は,別紙計算表のとおり,原告実施品(内型枠)1台当たり,●●●●●●●●円であると認めることができる。また,証拠(甲54~56)及び弁論の全趣旨によると,営業経費についても,別紙計算表のとおり,1台当たり●●●円であると認めることができる。 (ウ)原告実施品1台当たりの利益額原告実施品の1台当たりの利益額は●●●●●●●●●円であったと認めることができる。イ実施能力及び寄与率(ア)実施能力被告は,原告が原告実施品と同じ型枠を2台しか保有しておらず, 4件の工事に携わっていた当時,被告の顧客に販売する能力はなかった旨主張する。しかし,2台の保有により,4件の工事に提供していることからも,被告が被告製品1を賃貸した当時,上記保有の原告実施品を提供できなかったことを認めるに足りる証拠はなく,また,上記の事情のみにより,原告実施品と同等の製品を製造,販売する能力がなかったともいえない。(イ)顧客吸引力被告はトンネル建設機械の分野において高いシェアを有していることが認められる(弁論の全趣旨)。建設機械の受注に際し,シェアなど,それまでの実績は,重要な要素となり得るが,それのみによって,契約の成否が決まるものではない。(ウ) 発注の経緯被告は,真柄建設にしても奥村組にしても,被告の納入する内型枠に原告特許発明1の技術を採用するか否かは,受注時には決まっておらず,真柄建設からは,受注後,上記技術の採用を依頼されたと主張する。しかし,被告自身,真柄建設から原告特許発明1(上記受注時には,原告特許1は登録されている。)の使用を依頼されたと述べており,しかも,それまでは,被告の納入する内型枠に原告特許発明1の技術が用いられることはなかったにもかかわらず,奥村組に対して販 受注時には,原告特許1は登録されている。)の使用を依頼されたと述べており,しかも,それまでは,被告の納入する内型枠に原告特許発明1の技術が用いられることはなかったにもかかわらず,奥村組に対して販売した被告製品1にも同様の構成がとられていたことを併せ考えると,原告特許発明1が,受注に影響していないということは困難である。以上によると,被告の主張する発注の経緯にもかかわらず,原告特許発明1の採用と発注との関係を否定することはできず,むしろ,真 柄建設からわざわざ原告特許発明1の実施を依頼されたということは,上記発明の寄与率が小さくないことを表しているというべきである。(エ) 従来工法との違い証拠(甲53)及び弁論の全趣旨によると,従来,内型枠の外側で鉄筋の組立作業を行うにあたり,施工長さの短い工事では,足場を組み,施工長さの長い工事では,門型を利用して鉄筋組立作業を行っていた。これに対し,原告特許発明1を実施した内型枠では,足場を下から組み立てる必要や別途門型を製造する必要は原則としてなく,工期も短縮でき,その結果,コストを削減できることが窺える。もっとも,原告特許発明1を実施したからといって,内型枠の全てをカバーできるわけではなく,足場を下から組む必要が生じる可能性を否定できない。(オ) まとめ以上を総合すると,前記アウの利益のうち,原告特許発明1の使用と相当因果関係のある利益は●●●であると認めるのが相当である。ウ小括以上によると,被告が被告製品1を少なくとも2台賃貸したことにより,原告に与えた損害は636万9375円と算定するのが相当である。〔計算式〕●●●●●●●●●●●●●●●●=   (2)法102条2項による算定ア売上額被告が被告製品 原告に与えた損害は636万9375円と算定するのが相当である。〔計算式〕●●●●●●●●●●●●●●●●=   (2)法102条2項による算定ア売上額被告が被告製品1を賃貸したことによる売上額は次のとおり合計3027万円であることに争いはない。真柄建設への売上 ●●●●●円奥村組への売上 ●●●●●円 イ経費額原告は,経費率はそれぞれ50%(利益率50%)であると主張するが,被告が主張する経費の実額について,それ以上の反論をしない。ウ被告の受けた利益以上によると,被告が被告製品を賃貸したことにより受けた利益を具体的に認めることはできず,他に,被告の受けた利益を認めるに足りる証拠はない。したがって,被告が被告製品1を製造,賃貸したことにより,原告が被った損害は,法102条1項により算定することとする(前記1参照)。第5 結 論以上によると,原告の請求は,被告に対し,被告製品1の製造,販売等の差止めと廃棄,損害賠償として636万9375円及びこれに対する遅延損害金(平成22年7月24日から支払済みまで年5%の割合による)の支払を求め,被告特許権に基づき,原告製品の製造,販売の差止めを求める権利がないことの確認を求める限度において理由があるので,これらを認容し,その余は理由がないので,いずれも棄却し,訴訟費用の負担につき,民事訴訟法64条,61条を,仮執行の宣言につき同法259条1項を,それぞれ適用して,主文のとおり判決する。大阪地方裁判所第26民事部裁判長裁判官山 田陽 三裁判官西 田昌 吾 裁判官 松川充康は,差し支えのため,署名押印 民事部裁判長裁判官山 田陽 三裁判官西 田昌 吾 裁判官 松川充康は,差し支えのため,署名押印することができない。裁判長裁判官山 田陽 三 (別紙)物件目録1被告製品1(内型枠)/構成及び動作の説明(1)被告製品1は,外型枠の内側に設けられ,該外型枠との間でコンクリート製構造物を作製するものであり,アーチ状に形成されている。(2)被告製品1には,開閉することができる窓が,三段階の高さ位置において,それぞれ水平方向に多数設けられている。(3)被告製品1の内側には,被告製品1を支えるための支持骨格が形成されている。(4)支持骨格には,上記内型枠の各窓に対応してスライド足場受けが水平方向に移動可能に取り付けられている。 スライド足場受けは,被告製品1の内側に上記各窓に対向した状態で収納される収納位置と,この収納位置から長手方向に引き出して先端部が上記窓から被告製品1の外側に突出する使用位置との間で,移動させることが可能である。 スライド足場受けは,使用位置において,これらの先端部の上に足場板を置くことによって,鉄筋を形成するための足場を形成することが可能である。 (別紙)物件目録2被告製品2(外型枠)/構成及び動作の説明(1)被告製品2は,内型枠の外側に設けられ,内型枠との間にコンクリートを充填して,アーチ状のコンクリート製構造物を形成する外型枠であり,アーチ状に形成されている。(2)被告製品2は,半円を描くアーチの頭頂部で2分割され, その分割部の各端面どうしが連結手段で接続されている。(3)被告製品2は,接離可能に設けら 外型枠であり,アーチ状に形成されている。(2)被告製品2は,半円を描くアーチの頭頂部で2分割され, その分割部の各端面どうしが連結手段で接続されている。(3)被告製品2は,接離可能に設けられた2つの半割外型枠と頭頂部分に固定された該2つの半割外型枠の各端面どうしを接離可能に連結する連結手段を有している。(4)被告製品2は,各半割外型枠の下端に設けられた車輪の中央を貫通するよう固定された水平軸と該水平軸に回動可能に支持されたフランジ付き車輪と,各車輪の下側に設けられた上記車輪のリム幅よりも細幅のレールとを具備している。(5)a (4)の車輪のリム幅は約8㎝であり,その下方に位置するレールの幅は約5ないし6㎝である。 b 被告製品2は,両半割外型枠の上部に,端面どうしを離すためのジャッキがあり,両半割外型枠の下部にも,外型枠の下部を外側に広げるよう,横送りするためのジャッキ(横送りジャッキ)と,外型枠自体を持ち上げるためのジャッキ(伸縮ジャッキ)がある。 c 上記半割外型枠の下端が外側へ広がり,上にも移動することにより,上記コンクリート製構造物に対して離型するように構成されている。  (別紙)物件目録3原告製品製品名 「2次覆工用セントル」使用場所工事名 18美濃3工区農道用1号トンネル工事所在地岐阜県加茂郡 

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