令和1(ワ)32779 特許権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年4月26日 東京地方裁判所
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判決文本文94,622 文字)

令和6年4月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 令和元年(ワ)第32779号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日令和6年1月30日判決 原告 株式会社セフト研究所 同訴訟代理人弁護士 鮫島正洋 高橋正憲 永島太郎 被告 株式会社サンエス(以下「被告サンエス」という。) ビツグボーン株式会社(以下「被告ビツグボーン」という。) ビッグボーン商事株式会社(以下「被告ビッグボーン商事」という。) アタックベース株式会社(以下「被告アタックベース」という。) 大川被服株式会社(以下「被告大川被服」という。) 福徳産業株式会社(以下「被告福徳産業」という。) 美津濃株式会社(以下「被告美津濃」という。) 株式会社コーコス信岡(以下「被告コーコス信岡」という。) 上記8名訴訟代理人弁護士 堀籠佳典 林いづみ 岡田健太郎 同訴訟代理人弁理士 福田伸一 水﨑慎 同補佐人弁理士 高橋克宗 主文 1 被告サンエスは、別紙物件目録記載1の各製品を製造し、譲渡し、輸入し又は譲渡の申出をしてはならない。 2 被告サンエスは、前項記載の各製品を廃棄せよ。 3 被告サンエスは、原告に対し、72万2351円及びこれに対する令和元年 記載1の各製品を製造し、譲渡し、輸入し又は譲渡の申出をしてはならない。 2 被告サンエスは、前項記載の各製品を廃棄せよ。 3 被告サンエスは、原告に対し、72万2351円及びこれに対する令和元年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告ビツグボーンは、別紙物件目録記載2の各製品を製造し、譲渡し又は譲渡の申出をしてはならない。 5 被告ビツグボーンは、前項記載の各製品を廃棄せよ。 6 被告ビッグボーン商事は、別紙物件目録記載2の各製品を製造し、譲渡し又は譲渡の申出をしてはならない。 7 被告ビッグボーン商事は、前項記載の各製品を廃棄せよ。 8 被告ビッグボーン商事は、原告に対し、1万5005円及びこれに対する令和元年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 9 被告アタックベースは、別紙物件目録記載3の各製品を製造し、譲渡し又は譲渡の申出をしてはならない。 被告アタックベースは、前項記載の各製品を廃棄せよ。 11 被告アタックベースは、原告に対し、43万0926円及びこれに対する令和4年8月16日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 12 被告大川被服は、別紙物件目録記載4の各製品を製造し、譲渡し又は譲渡の申出をしてはならない。 13 被告大川被服は、前項記載の各製品を廃棄せよ。 14 被告大川被服は、原告に対し、1万9113円及びこれに対する令和元年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告福徳産業は、別紙物件目録記載5の各製品を製造し、譲渡し又は譲渡の申出をしてはならない。 16 被告福徳産業は、前項記載の各製品を廃棄せよ。 17 被告福徳産業は、原告に対し、1万29 被告福徳産業は、別紙物件目録記載5の各製品を製造し、譲渡し又は譲渡の申出をしてはならない。 16 被告福徳産業は、前項記載の各製品を廃棄せよ。 17 被告福徳産業は、原告に対し、1万2954円及びこれに対する令和元年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 18 被告美津濃は、別紙物件目録記載6の製品を製造し、譲渡し又は譲渡の申出をしてはならない。 19 被告美津濃は、前項記載の製品を廃棄せよ。 被告美津濃は、原告に対し、46万8944円及びこれに対する令和2年1月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 21 被告コーコス信岡は、別紙物件目録記載7の製品を譲渡し又は譲渡の申出をしてはならない。 22 被告コーコス信岡は、前項記載の製品を廃棄せよ。 23 被告コーコス信岡は、原告に対し、35万6433円及びこれに対する令和4年8月16日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 24 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は、原告に生じた費用の10分の3と被告サンエスに生じた費用との合計の5分の3を原告の、その余を被告サンエスの各負担とし、原告に生じ た費用の20分の1と被告ビツグボーンに生じた費用との合計を被告ビツグボーンの負担とし、原告に生じた費用の20分の1と被告ビッグボーン商事に生じた費用との合計の20分の1を原告の、その余を被告ビッグボーン商事の各負担とし、原告に生じた費用の20分の3と被告アタックベースに生じた費用との合計の5分の3を原告の、その余を被告アタックベースの各負担とし、原 告に生じた費用の20分の1と被告大川被服に生じた費用との合計の10分の 1を原告の、その余を被告大川被服の各負担とし 5分の3を原告の、その余を被告アタックベースの各負担とし、原 告に生じた費用の20分の1と被告大川被服に生じた費用との合計の10分の 1を原告の、その余を被告大川被服の各負担とし、原告に生じた費用の20分の1と被告福徳産業に生じた費用との合計の10分の1を原告の、その余を被告福徳産業の各負担とし、原告に生じた費用の5分の1と被告美津濃に生じた費用との合計の10分の7を原告の、その余を被告美津濃の各負担とし、原告に生じた費用の20分の3と被告コーコス信岡に生じた費用との合計の5分の 3を原告の、その余を被告コーコス信岡の各負担とする。 26 この判決は、第1項、第3項、第4項、第6項、第8項、第9項、第11項、第12項、第14項、第15項、第17項、第18項、第20項、第21項及び第23項に限り、仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告サンエスは、別紙物件目録記載1の各製品を製造し、譲渡し、輸出し、輸入し又は譲渡の申出をしてはならない。 2 被告サンエスは、前項記載の各製品を廃棄せよ。 3 被告サンエスは、原告に対し、739万3768円及びこれに対する令和元 年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告ビツグボーンは、別紙物件目録記載2の各製品を製造し、譲渡し、輸出し、輸入し又は譲渡の申出をしてはならない。 5 被告ビツグボーンは、前項記載の各製品を廃棄せよ。 6 被告ビッグボーン商事は、別紙物件目録記載2の各製品を製造し、譲渡し、 輸出し、輸入し又は譲渡の申出をしてはならない。 7 被告ビッグボーン商事は、前項記載の各製品を廃棄せよ。 8 被告ビッグボーン商事は、原告に対し、14万8559円及びこれに対する令和元年12月1 輸出し、輸入し又は譲渡の申出をしてはならない。 7 被告ビッグボーン商事は、前項記載の各製品を廃棄せよ。 8 被告ビッグボーン商事は、原告に対し、14万8559円及びこれに対する令和元年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 9 被告アタックベースは、別紙物件目録記載3の各製品を製造し、譲渡し、輸 出し、輸入し又は譲渡の申出をしてはならない。 被告アタックベースは、前項記載の各製品を廃棄せよ。 11 被告アタックベースは、原告に対し、433万9489円及びこれに対する令和元年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 12 被告大川被服は、別紙物件目録記載4の各製品を製造し、譲渡し、輸出し、輸入し又は譲渡の申出をしてはならない。 13 被告大川被服は、前項記載の各製品を廃棄せよ。 14 被告大川被服は、原告に対し、19万3454円及びこれに対する令和元年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告福徳産業は、別紙物件目録記載5の各製品を製造し、譲渡し、輸出し、輸入し又は譲渡の申出をしてはならない。 16 被告福徳産業は、前項記載の各製品を廃棄せよ。 17 被告福徳産業は、原告に対し、14万5768円及びこれに対する令和元年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 18 被告美津濃は、別紙物件目録記載6の製品を製造し、譲渡し、輸出し、輸入し又は譲渡の申出をしてはならない。 19 被告美津濃は、前項記載の製品を廃棄せよ。 被告美津濃は、原告に対し、528万1804円及びこれに対する令和元年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 21 被告コーコス信岡は、別紙物件目録記載 品を廃棄せよ。 被告美津濃は、原告に対し、528万1804円及びこれに対する令和元年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 21 被告コーコス信岡は、別紙物件目録記載7の製品を製造し、譲渡し、輸出し、輸入し又は譲渡の申出をしてはならない。 22 被告コーコス信岡は、前項記載の製品を廃棄せよ。 23 被告コーコス信岡は、原告に対し、355万7759円及びこれに対する令和元年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の要旨 本件は、発明の名称を「服」とする特許第6545543号の特許(以下 「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を保有する原告が、被告らによる別紙物件目録記載の各製品(以下、項番に従って、「被告製品1」などといい、これらを総称して「被告各製品」という。)の製造、販売等は本件特許権を侵害すると主張して、被告らに対し、特許法100条1項及び2項に基づき、被告各製品の製造、譲渡等の差止め及び廃棄を求め、民法 709条に基づき、別紙損害賠償請求に係る訴訟物一覧表の「被告」欄記載の各被告に対し、同「実施期間」欄記載の各期間における本件特許に係る発明の実施を理由として、同「根拠規定」欄記載の各条項により算定される損害額及び弁護士費用相当額の合計である同「損害額」欄記載の各金額の損害金並びにこれに対する令和元年12月19日(訴状送達の日)から支払済みまで民法 (平成29年法律第44号による改正前のもの)所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 なお、原告は、被告美津濃に対する損害賠償請求の基礎となる実施行為の期間を令和元年6月28日から同年9月30日までと減縮したが、被告美津 所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 なお、原告は、被告美津濃に対する損害賠償請求の基礎となる実施行為の期間を令和元年6月28日から同年9月30日までと減縮したが、被告美津濃は、これに同意しなかった。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の各証拠(以下、特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)(1) 当事者ア原告は、電動ファンを用いた衣服、寝具、ざぶとん等の開発、製造及び販売等を行う株式会社である。 原告は、少なくとも令和元年6月28日から令和4年8月16日までの間、フルハーネス対応型電動ファン付きウェア(装着したフルハーネスに重ねて着用できるウェア)を製造し、「空調服」とのブランドを付して販売をしていた(甲57、弁論の全趣旨)。 イ被告サンエスは、ユニホーム、カジュアルウェア等の開発、製造及び販 売等を行う株式会社である。 被告ビツグボーンは、ユニホーム、カジュアルウェア等の開発、製造及び販売等を行う株式会社である。 被告ビッグボーン商事は、ユニホーム、カジュアルウェア等の開発、製造及び販売等を行う株式会社である。 被告アタックベースは、ワーキングウェア等の開発、製造及び販売等を 行う株式会社である。 被告大川被服は、作業服等の開発、製造及び販売等を行う株式会社である。 被告福徳産業は、手袋、作業服等の開発、製造及び販売等を行う株式会社である。 被告美津濃は、スポーツ用品等の開発、製造及び販売等を行う株式会社である。 被告コーコス信岡は、繊維製品の売買、製造及び委託加工等を行う株式会社である。 (2) 本件特許 原告は、平成27年6月30日、本件特許に係る特許 及び販売等を行う株式会社である。 被告コーコス信岡は、繊維製品の売買、製造及び委託加工等を行う株式会社である。 (2) 本件特許 原告は、平成27年6月30日、本件特許に係る特許出願(特願2015-130592号)をした(以下、「本件出願」といい、本件出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面を併せて「本件当初明細書等」という。また、明細書の発明の詳細な説明中の段落番号を【0001】、図面を【図1】などと記載する。)。 原告は、平成31年2月28日付けの拒絶理由通知を受けて、同年4月11日付けで、本件当初明細書等について補正をした(以下、「本件補正」といい、本件補正後の明細書及び図面を併せて「本件明細書」という。乙4、34)。 原告は、令和元年6月28日、本件特許権の設定登録(請求項の数10) を受けた(甲1、2)。 (3) 本件特許の特許請求の範囲本件補正後の本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし6、8及び9の記載は、以下のとおりである(以下、各請求項に係る発明を、請求項の番号に従って、「本件発明1」ないし「本件発明6」、「本件発明8」及び「本件発明9」といい、これらを総称して「本件各発明」という。なお、鉤括弧で括 った部分は、本件補正によって加入、修正された部分である。)。 ア請求項1服内に空気の流れを生じさせる送風手段を取り付けるための取付部を備える服であって、「前記服の服地に形成された貫通孔と、」 命綱が貫通する命綱貫通部「と、」を備え、前記命綱貫通部は、当該命綱貫通部からの空気の漏れを防止する第1空気漏れ防止手段を備え、 「一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され、前記服地の裏面側に格納された状 前記命綱貫通部は、当該命綱貫通部からの空気の漏れを防止する第1空気漏れ防止手段を備え、 「一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され、前記服地の裏面側に格納された状態と、前記貫通孔を介して前記服地の表面側へと引き出された状態とを切り替え可能である」ことを特徴とする服。 イ請求項2 「前記第1空気漏れ防止手段は、紐通し部と、前記紐通し部に通された紐と、前記紐に取り付けられたコードストッパーと、を有することを特徴とする請求項1に記載の服。」ウ請求項3「前記命綱貫通部は、前記貫通孔を囲むようにして前記服地の裏面側に 接合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の服。」 エ請求項4「前記貫通孔を開閉自在とする」開閉手段を備えることを特徴とする請求項1「から3のいずれか一項」に記載の服。 オ請求項5前記開閉手段はファスナーであることを特徴とする請求項「4」に記載 の服。 カ請求項6「前記命綱貫通部は、前記服地の裏面側に接合される内側端部の周長が、前記開閉手段の長さの二倍より長く、 他端の外側端部の周長が、前記内側端部の周長より短いことを特徴とする請求項4又は5に記載の服。」キ請求項8前記服の内部において前記命綱貫通部を固定する固定手段を、前記服の内部に備えることを特徴とする請求項1から「6」のいずれか一項に記載 の服。 ク請求項9前記服の所定の端部に設けられ、当該端部からの空気の漏れを防止する第2空気漏れ防止手段を備えることを特徴とする請求項1「から8のいずれか一項」に記載の服。 (4) 本件各発明の構成要件の分説本件各発明は、次のとおりの構成要件に分説することができる(以下、各構成要件につき 備えることを特徴とする請求項1「から8のいずれか一項」に記載の服。 (4) 本件各発明の構成要件の分説本件各発明は、次のとおりの構成要件に分説することができる(以下、各構成要件につき、頭書の符号に従って「構成要件A」などという。)。 ア本件発明1(請求項1)A 服内に空気の流れを生じさせる送風手段を取り付けるための取付部を 備える服であって、 B 前記服の服地に形成された貫通孔と、命綱が貫通する命綱貫通部と、を備え、C 前記命綱貫通部は、当該命綱貫通部からの空気の漏れを防止する第1空気漏れ防止手段を備え、D 一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され、 E 前記服地の裏面側に格納された状態と、前記貫通孔を介して前記服地の表面側へと引き出された状態とを切り替え可能であることを特徴とする服。 イ本件発明2(請求項2)F 前記第1空気漏れ防止手段は、紐通し部と、前記紐通し部に通された 紐と、前記紐に取り付けられたコードストッパーと、を有することを特徴とするG 請求項1に記載の服。 ウ本件発明3(請求項3)H 前記命綱貫通部は、前記貫通孔を囲むようにして前記服地の裏面側に 接合されていることを特徴とするI 請求項1又は2に記載の服。 エ本件発明4(請求項4)J 前記貫通孔を開閉自在とする開閉手段を備えることを特徴とするK 請求項1から3のいずれか一項に記載の服。 オ本件発明5(請求項5)L 前記開閉手段はファスナーであることを特徴とするM 請求項4に記載の服。 カ本件発明6(請求項6)N 前記命綱貫通部は、前記服地の裏面側に接合される内側端部の周長が、 前記開閉手段の長さの二倍より長く、 とするM 請求項4に記載の服。 カ本件発明6(請求項6)N 前記命綱貫通部は、前記服地の裏面側に接合される内側端部の周長が、 前記開閉手段の長さの二倍より長く、 O 他端の外側端部の周長が、前記内側端部の周長より短いことを特徴とするP 請求項4又は5に記載の服。 キ本件発明8(請求項8)Q 前記服の内部において前記命綱貫通部を固定する固定手段を、前記服 の内部に備えることを特徴とするR 請求項1から6のいずれか一項に記載の服。 ク本件発明9(請求項9)S 前記服の所定の端部に設けられ、当該端部からの空気の漏れを防止する第2空気漏れ防止手段を備えることを特徴とする T 請求項1から8のいずれか一項に記載の服。 (5) 被告らによる被告各製品の製造、譲渡等ア被告サンエス(ア) 被告サンエスは、令和元年6月28日から同年9月30日までの間、被告製品1の製造、譲渡、輸入及び譲渡の申出をした。 (イ) 被告サンエスが被告製品1の販売により受けた粗利益(販売額から仕入額を控除した額。消費税抜き。以下、特記ない限り同じ。)の額は、別紙損害額一覧表(被告サンエス)「裁判所認定額」「対象期間計」「粗利益額(税抜)」欄記載のとおりである。 イ被告ビツグボーン 被告ビツグボーンは、令和元年6月28日以降、被告製品2の製造、譲渡及び譲渡の申出をした。 ウ被告ビッグボーン商事(ア) 被告ビッグボーン商事は、令和元年6月28日から同年9月30日までの間、被告製品2の製造、譲渡及び譲渡の申出をした。 (イ) 被告ビッグボーン商事が被告製品2の販売により受けた粗利益の額は、 別紙損害額一覧表(被告ビッグボーン商事)「裁判所認定額」「対象期間計 、譲渡及び譲渡の申出をした。 (イ) 被告ビッグボーン商事が被告製品2の販売により受けた粗利益の額は、 別紙損害額一覧表(被告ビッグボーン商事)「裁判所認定額」「対象期間計」「粗利益額(税抜)」欄記載のとおりである。 エ被告アタックベース(ア) 被告アタックベースは、令和元年6月28日から令和4年8月16日までの間、被告製品3の製造、譲渡及び譲渡の申出をした。 (イ) 被告アタックベースが令和元年6月28日から令和2年12月31日までの間に被告製品3の販売により受けた粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「裁判所認定額」「対象期間計」「粗利益額(税抜)」欄記載のとおりである。 また、被告アタックベースによる令和3年1月1日から令和4年8月 16日までの間の被告製品3の販売額(消費税抜き)は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「裁判所認定額」「対象期間計」「販売額②(税抜)」欄記載のとおりである。 オ被告大川被服(ア) 被告大川被服は、令和元年6月28日から同年9月30日までの間、 被告製品4の製造、譲渡及び譲渡の申出をした。 (イ) 被告大川被服が被告製品4の販売により受けた粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告大川被服)「裁判所認定額」「対象期間計」「粗利益額(税抜)」欄記載のとおりである。 カ被告福徳産業 (ア) 被告福徳産業は、令和元年6月28日から同年9月30日までの間、被告製品5の製造、譲渡及び譲渡の申出をした。 (イ) 被告福徳産業が被告製品5の販売により受けた粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告福徳産業)「裁判所認定額」「対象期間計」「粗利益額(税抜)」欄記載のとおりである。 キ被告美津濃 (ア) 被告美津 販売により受けた粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告福徳産業)「裁判所認定額」「対象期間計」「粗利益額(税抜)」欄記載のとおりである。 キ被告美津濃 (ア) 被告美津濃は、令和元年6月28日から令和4年8月16日までの間、被告製品6の製造、譲渡及び譲渡の申出をした。 (イ) 被告美津濃による令和元年6月28日から同年9月30日までの間の被告製品6の販売により受けた粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「裁判所認定額」「R1.6.28 からR1.9.30 まで」「粗利益額(税抜)」 欄記載のとおりである。 また、被告美津濃による令和元年10月1日から令和4年8月16日までの間の被告製品6の販売により受けた粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「裁判所認定額」「R1.10.1 からR4.8.16 まで」「粗利益額(税抜)」欄記載のとおりである。なお、同期間の「粗利益額(税 抜)」欄記載の計数がマイナスの値となっているのは、返品又はキャンセルされた売上げをマイナスの値で計上する形式で処理したものが含まれていることによるものである(乙F8)。 ク被告コーコス信岡(ア) 被告コーコス信岡は、令和元年6月28日から令和4年8月16日ま での間、被告製品7の譲渡及び譲渡の申出をした。 (イ) 被告コーコス信岡が被告製品7の販売により受けた粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告コーコス信岡)「裁判所認定額」「対象期間計」「粗利益額(税抜)」欄記載のとおりである。 (6) 被告各製品の構成 被告各製品は、別紙被告各製品構成目録記載の構成(以下、頭書の符号に従って、「構成a」などという。)を有している。ただし、構成b及びdに関し、円柱状構造物が服地へ縫い付けられている具体的態様に 被告各製品は、別紙被告各製品構成目録記載の構成(以下、頭書の符号に従って、「構成a」などという。)を有している。ただし、構成b及びdに関し、円柱状構造物が服地へ縫い付けられている具体的態様については争いがある。 (7) 被告各製品の構成要件充足性 被告各製品は、構成要件AないしC、E、F、H、J、L、N、O、Q及 びSをいずれも充足する。 3 争点(1) 被告各製品が本件各発明の技術的範囲に属するか(争点1)(2) 無効の抗弁の成否(争点2)ア特許法17条の2第3項所定の補正要件違反(争点2-1) イ公知・公然実施発明に基づく新規性及び進歩性欠如(争点2-2)ウ特許法29条の2所定の拡大先願要件違反(争点2-3)エ明確性要件違反(争点2-4)(3) 差止め等の必要性(争点3)(4) 損害の有無及びその額(争点4) 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(被告各製品が本件各発明の技術的範囲に属するか)について(原告の主張)ア構成要件Dを充足すること(ア) 「一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され」の意 義本件特許の特許請求の範囲の記載に加え、本件明細書の【0018】及び【図3】の各記載も考慮すると、「一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され」とは、① 「前記命綱貫通部は、」「一方の端部が前記服地の裏面側に接合さ れ」ていること② 「前記命綱貫通部は、」「筒状に形成され」ていることを意味する。 (イ) 被告各製品の構成及びあてはめ被告各製品の円柱状構造物は、構成要件B及びCの「命綱貫通部」に 該当する。 そして、被告各製品の円柱状構造物の服側の端部は、服本体の内 (イ) 被告各製品の構成及びあてはめ被告各製品の円柱状構造物は、構成要件B及びCの「命綱貫通部」に 該当する。 そして、被告各製品の円柱状構造物の服側の端部は、服本体の内側の生地に接着する形で縫い付けられているから、「前記命綱貫通部は、」「一方の端部が前記服地の裏面側に接合され」ている。 また、被告各製品の円柱状構造物の形状は筒状であるから、「前記命綱貫通部は、」「筒状に形成され」ている。 したがって、被告各製品は、構成要件Dを充足する。 (ウ) 被告らの主張について被告らは、構成要件Dの「一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され」とは、命綱貫通部の服地の裏側への接合が、円筒状に、かつ、その縁でされていることを意味すると主張する。 しかし、構成要件Dの文言からすると、「筒状に形成」されているのは「前記命綱貫通部」であって、接合が「筒状」であると理解することはできない。そして、接合の箇所についても、「端部」すなわち「端」の部分(領域として幅のある概念)が「裏面側に接合」されるのであって、接合が縁(領域的な幅を持たない極限としての先端)でされるものと理 解することはできない。 また、本件明細書には、命綱貫通部の服地の裏側への接合が、円筒状に、かつ、その縁でされていることについて、何ら記載も示唆もされていない。 さらに、布と布とを縫い付けて接合する際、余白である縫い代をある 程度確保しなれば強度の点等で不都合が生じるから、縫い代を確保することは技術常識であるところ、接合が縁(領域的な幅を持たない極限としての先端)でされるとする解釈は、この技術常識に反する。 したがって、構成要件Dについての被告らの上記解釈は誤りである。 イ構成要件G、I、K、M、P、R及びT が縁(領域的な幅を持たない極限としての先端)でされるとする解釈は、この技術常識に反する。 したがって、構成要件Dについての被告らの上記解釈は誤りである。 イ構成要件G、I、K、M、P、R及びTをいずれも充足すること (ア) 被告各製品は、構成要件Dを充足し、「請求項1に記載の服」に当たる から、構成要件Gを充足する。 (イ) 被告各製品は、構成要件D及びGをいずれも充足し、「請求項1又は2に記載の服」に当たるから、構成要件Iを充足する。 (ウ) 被告各製品は、構成要件D、G及びIをいずれも充足し、「請求項1から3のいずれか一項に記載の服」に当たるから、構成要件Kを充足する。 (エ) 被告各製品は、構成要件Kを充足し、「請求項4に記載の服」に当たるから、構成要件Mを充足する。 (オ) 被告各製品は、構成要件K及びMをいずれも充足し、「請求項4又は5に記載の服」に当たるから、構成要件Pを充足する。 (カ) 被告各製品は、構成要件D、G、I、K、M及びPをいずれも充足し、 「請求項1から6のいずれか一項に記載の服」に当たるから、構成要件Rを充足する。 (キ) 被告各製品は、構成要件D、G、I、K、M、P及びRをいずれも充足し、「請求項1から8のいずれか一項に記載の服」に当たるから、構成要件Tを充足する。 ウ小括したがって、被告各製品は、本件各発明の技術的範囲に属する。 (被告らの主張)ア構成要件Dを充足しないこと(ア) 「一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され」の意 義用語の通常の用法に照らせば、①「端部」とは、「物の末の部分」や「先端の部分」などを、②「筒状」とは、「円く細長くて中空になっている状態、管状、円筒状の形状」をそれぞれ意味する。そうす 義用語の通常の用法に照らせば、①「端部」とは、「物の末の部分」や「先端の部分」などを、②「筒状」とは、「円く細長くて中空になっている状態、管状、円筒状の形状」をそれぞれ意味する。そうすると、「筒状」のものの「端部」とは、管の先端の部分、すなわち、管の縁の部分を指 す。 また、本件明細書の【0018】、【0019】、【図2】及び【図3】には、ワイヤー貫通手段2の服地の裏側への接合は、円筒状に、かつ、縁でされていることが示されている。 したがって、構成要件Dの「一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され」とは、命綱貫通部の服地の裏側への接合が、円筒 状に、かつ、その縁でされていることを意味する。 (イ) 被告各製品の構成本件各発明の「命綱貫通部」に対応する被告各製品の部材は、円柱状構造物である。別紙被告ら主張図面目録の図1及び2のとおり、円柱状構造物は、その底の中央が服地に縫い付けられており、当該底の両端は 服地に縫い付けられていない。そのため、袋の底の両端の部分は、袋の隅の形状で、いわゆる袋小路の状態となっている。このように、被告各製品では、円柱状構造物の服地への縫い付けが円筒状となっていない。 また、被告各製品の円柱状構造物は、1枚の布で構成されているところ、その縁(別紙被告ら主張図面目録の図3中の赤色の破線部)は、通 常の着用状態を基準として左右端及び下端に位置しており、服地との接合部に位置していない。 (ウ) あてはめ前記(イ)のとおり、被告各製品では、「命綱貫通部」である円柱状構造物の服地の裏側への接合が円筒状に、かつ、その縁でされていないから、 「命綱貫通部」は「一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成」されているとはいえない。 し 部」である円柱状構造物の服地の裏側への接合が円筒状に、かつ、その縁でされていないから、 「命綱貫通部」は「一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成」されているとはいえない。 したがって、被告各製品は、構成要件Dを充足しない。 イ構成要件G、I、K、M、P、R及びTをいずれも充足しないこと(ア) 被告各製品は、構成要件Dを充足せず、「請求項1に記載の服」に当た らないから、構成要件Gを充足しない。 (イ) 被告各製品は、構成要件D及びGをいずれも充足せず、「請求項1又は2に記載の服」に当たらないから、構成要件Iを充足しない。 (ウ) 被告各製品は、構成要件D、G及びIをいずれも充足せず、「請求項1から3のいずれか一項に記載の服」に当たらないから、構成要件Kを充足しない。 (エ) 被告各製品は、構成要件Kを充足せず、「請求項4に記載の服」に当たらないから、構成要件Mを充足しない。 (オ) 被告各製品は、構成要件K及びMをいずれも充足せず、「請求項4又は5に記載の服」に当たらないから、構成要件Pを充足しない。 (カ) 被告各製品は、構成要件D、G、I、K、M及びPをいずれも充足せ ず、「請求項1から6のいずれか一項に記載の服」に当たらないから、構成要件Rを充足しない。 (キ) 被告各製品は、構成要件D、G、I、K、M、P及びRをいずれも充足せず、「請求項1から8のいずれか一項に記載の服」に当たらないから、構成要件Tを充足しない。 ウ小括したがって、被告各製品は、本件各発明の技術的範囲に属しない。 (2) 争点2-1(特許法17条の2第3項所定の補正要件違反)について(被告らの主張)ア請求項1の「前記命綱貫通部は、一方の端部が前記服地の裏面側に接合 の技術的範囲に属しない。 (2) 争点2-1(特許法17条の2第3項所定の補正要件違反)について(被告らの主張)ア請求項1の「前記命綱貫通部は、一方の端部が前記服地の裏面側に接合 された筒状に形成され」に係る補正が新規事項を追加するものであること「服地の裏面側に接合され」とは、服地の表裏どちらの面かを問わず、接合する面が服地の裏面側であることを意味する(別紙被告ら主張図面目録の図4は、服地の裏面側で接合するとともに、服地の表面で接合する例を図示したものである。)。これに対し、「服地の裏面に接合され」とは、服 地の向き(表側及び裏側)を問わず、服地の裏面に接合していることを意 味する。このように、「服地の裏面側に接合され」と「服地の裏面に接合され」とは異なる概念である。 しかし、本件当初明細書等には、「ワイヤー貫通手段2」が「服地の裏面に接合され」(【0018】)、「ワイヤー貫通手段2のうち服本体10の裏面に接合されていない部分」(【0021】)との記載があるものの、「前記命 綱貫通部は、一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され」ていることについて何ら記載がない。 したがって、請求項1の「前記命綱貫通部は、一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され」に係る補正は、本件当初明細書等に記載された事項の範囲を超えるもの、すなわち新規事項を追加するもので ある。 イ請求項1の「前記服地の裏面側に格納された」に係る補正が新規事項を追加するものであること本件当初明細書等には、「ワイヤー貫通手段2」を「服本体10の内部に格納し」(【0021】)、「服本体10の内側に押し込み」(【0028】)と の記載がある。ここで、「服本体10の内側」は、服の内と外の境界の内側 、「ワイヤー貫通手段2」を「服本体10の内部に格納し」(【0021】)、「服本体10の内側に押し込み」(【0028】)と の記載がある。ここで、「服本体10の内側」は、服の内と外の境界の内側を意味するところ、服の内と外は必ずしも服地によって遮断されるものではなく、服地が部分的に存在しない箇所では、他の部材によって服の内と外とが遮断されることがある。後者の場合には、この服の内と外とを遮断する部材の内側が服の内側となる(別紙被告ら主張図面目録の図5は、服 地の開口にフラップを設けた例における服の内側と服地の裏側を図示するものである。)。すなわち、「服本体10の内側」と「服地の裏面側」とは異なる概念である。 しかし、本件当初明細書等には、「ワイヤー貫通手段2」に関し、「前記服地の裏面側に格納された」ことについて何ら記載がない。 したがって、請求項1の「前記服地の裏面側に格納された」に係る補正 は、本件当初明細書等に記載された事項の範囲を超えるもの、すなわち新規事項を追加するものである。 ウそれ以外の補正箇所について請求項3の「前記服地の裏面側に接合されている」、請求項6の「前記服地の裏面側に接合される」、本件明細書の【0008】の「前記服地の裏面 側に接合される」に係る各補正も、前記アと同様の理由により、本件当初明細書等に記載された事項の範囲を超えるもの、すなわち新規事項を追加するものである。 エ小括したがって、本件補正は、特許法17条の2第3項所定の補正要件に違 反する。 (原告の主張)ア請求項1の「前記命綱貫通部は、一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され」に係る補正が新規事項を追加するものではないこと 「裏面」は「うらがわの面」を、「側」は「 張)ア請求項1の「前記命綱貫通部は、一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され」に係る補正が新規事項を追加するものではないこと 「裏面」は「うらがわの面」を、「側」は「物の一つの方向・面。相対する二つの一方。片方」をそれぞれ意味するから、「服地の裏面側」とは、服地の表面と裏面という二つの面のうちの一つの裏の面との意味である。そうすると、請求項1の「服地の裏面側に接合」とは、服地の表面と裏面という二つの面のうちの裏面に接合することを意味する。 そして、本件当初明細書等には、「服地の裏面に接合」(【0018】、【0019】)、「服本体10の裏面に接合」(【0021】)との記載がある。 したがって、請求項1の「前記命綱貫通部は、一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され」に係る補正は、本件当初明細書等に明示的に記載された事項又は本件当初明細書等の記載から自明な事項であ って、新たな技術的事項を導入するものではない。 イ請求項1の「前記服地の裏面側に格納された」に係る補正が新規事項を追加するものではないこと「裏面」は「うらがわの面」を、「側」は「物の一つの方向・面。相対する二つの一方。片方」を、「…に格納された」は所定の場所に格納されたことをそれぞれ意味するから、「前記服地の裏面側に格納された」とは、服地 の表面と裏面という二つの面のうちの裏面方向の場所に格納されたことを意味する。 本件当初明細書等には、「服本体10の内部に格納」(【0021】)、「空調服1の内部に収納」(【0028】)、「服本体10の内部に収納」(【0029】)との記載がある。この点、「内部」は「内の部分。うちがわ」を意味 するから、「服本体の内部に格納」とは、服本体の内側の場所に格納 納」(【0028】)、「服本体10の内部に収納」(【0029】)との記載がある。この点、「内部」は「内の部分。うちがわ」を意味 するから、「服本体の内部に格納」とは、服本体の内側の場所に格納することを意味する。また、本件当初明細書等の【図5】及び【図6】には、「ワイヤー貫通手段2」が、「服本体10の内部に格納」された様子が示されている。このように、本件当初明細書等においては、「服本体10の内部に格納」との語は、服地の裏面方向の場所に格納と同様の意味で用いられてい る。 被告らは、服地の開口部の表側にフラップを付けた特殊環境を取り上げて、請求項1の「前記服地の裏面側に格納された」と本件当初明細書等の「服本体10の内部に格納」(【0021】)とが、異なる技術事項であるかのような主張をする。しかし、本件明細書及び図面の全ての記載を総合す ると、本件各発明は、当該特殊環境における発明ではなく、「服本体10の内部に格納」との語が服地の裏面方向の場所に格納(「前記服地の裏面側に格納」)と同様の意味で用いられていることは明らかである。 したがって、請求項1の「前記服地の裏面側に格納された」に係る補正は、本件当初明細書等に明示的に記載された事項又は本件当初明細書等の 記載から自明な事項であって、新たな技術的事項を導入するものではない。 (3) 争点2-2(公知・公然実施発明に基づく新規性及び進歩性欠如)について(被告らの主張)ア被告サンエスが作製したフルハーネス対応型電動ファン付きウェアのサンプル(以下「本件サンプル」という。)に係る発明は、本件出願前に公然 知られた発明であるとともに、本件出願前に公然実施をされた発明であること被告サンエスは、平成27年5月15日頃、本件サンプルを作製し、 本件サンプル」という。)に係る発明は、本件出願前に公然 知られた発明であるとともに、本件出願前に公然実施をされた発明であること被告サンエスは、平成27年5月15日頃、本件サンプルを作製し、同月19日、守秘義務を負わない株式会社作業服K(以下「作業服K」という。)に本件サンプルを送付した。作業服Kは、本件サンプルを、取引先の 関係者等も日常的に出入りする事務室の中に、外から見えるように置いていた。 したがって、本件サンプルに係る発明は、本件出願前に公然知られた発明であるとともに、本件出願前に公然実施をされた発明である。 イ本件サンプルに係る発明の構成 本件サンプルに係る発明の構成は、次のとおりである(以下、被告らが主張する構成を備える発明を「本件サンプル発明」という。)。 (ア) 本件発明1に対応する構成本件サンプルでは、命綱不使用時に、貫通孔は収納片によって閉塞され、服の内部と外部とが遮断されるから、当該収納片は、当該貫通孔の 領域において、実質的に「服地」に当たる。そして、当該収納片の内側に取出し筒が格納されるのであるから、これは「前記服地の裏面側に格納された状態」といえる。また、取出し筒を、服の背中部分の貫通孔から服本体の服地の裏面側に押し込むことで、服本体の服地の裏面側に格納することが可能であるから、この観点からも、当該取出し筒が「前記 服地の裏面側に格納された状態」に切り替え可能といえる。 したがって、本件発明1に対応する構成は次のとおりとなる。 a 服内に空気の流れを生じさせる送風手段を取り付けるための取付部を備える服であって、b 前記服の服地に形成された貫通孔と、命綱が貫通する命綱貫通部と、を備え、 c 前記命綱貫通部は、当該命綱貫通部 流れを生じさせる送風手段を取り付けるための取付部を備える服であって、b 前記服の服地に形成された貫通孔と、命綱が貫通する命綱貫通部と、を備え、 c 前記命綱貫通部は、当該命綱貫通部からの空気の漏れを防止する第1空気漏れ防止手段を備え、d1 一方の端部が前記服地の表面側に接合されたd2 筒状に形成され、e 前記服地の裏面側に格納された状態と、前記貫通孔を介して前記 服地の表面側へと引き出された状態とを切り替え可能であることを特徴とする服。 (イ) 本件発明2に対応する構成f 前記第1空気漏れ防止手段は、f1 紐通し部と、 f2 前記紐通し部に通された紐と、f3 を有することを特徴とするg 前記(ア)に記載の服。 (ウ) 本件発明3に対応する構成h 前記命綱貫通部は、 h1 前記貫通孔を囲むようにしてh2 前記服地にh3 接合されていることを特徴とするi 前記(ア)又は(イ)に記載の服。 (エ) 本件発明4に対応する構成 j 前記貫通孔を開閉自在とする開閉手段を備えることを特徴とする k 前記(ア)から(ウ)のいずれか一項に記載の服。 (オ) 本件発明5に対応する構成本件サンプルでは、貫通孔を開閉自在とする開閉手段として面ファスナーが用いられているところ、これはファスナーである。 したがって、本件発明5に対応する構成は次のとおりとなる。 l 前記開閉手段はファスナーであることを特徴とするm 前記(エ)に記載の服。 (カ) 本件発明6に対応する構成n 前記命綱貫通部は、n1 前記服地に接合される n2 内側端部の周長が、前記開閉手段の長さの二倍より長く、o 他端の外側端部の周長が、 。 (カ) 本件発明6に対応する構成n 前記命綱貫通部は、n1 前記服地に接合される n2 内側端部の周長が、前記開閉手段の長さの二倍より長く、o 他端の外側端部の周長が、前記内側端部の周長より短いことを特徴とするp 前記(エ)又は(オ)に記載の服。 (キ) 本件発明8に対応する構成 q 前記服の内部において前記命綱貫通部を固定する固定手段を、前記服の内部に備えることを特徴とするr 前記(ア)から(カ)のいずれか一項に記載の服。 (ク) 本件発明9に対応する構成s 前記服の所定の端部に設けられ、当該端部からの空気の漏れを防 止する第2空気漏れ防止手段を備えることを特徴とするt 前記(ア)から(キ)のいずれか一項に記載の服。 ウ本件各発明は本件サンプル発明と同一であるか、本件サンプル発明に基づいて容易に発明をすることができたこと(ア) 本件発明1について a 本件発明1と本件サンプル発明との対比 (a) 一致点本件発明1と本件サンプル発明は、前記イの構成aないしc、d2及びeの点で一致する。 (b) 相違点本件発明1では、命綱貫通部は、「一方の端部が前記服地の裏面側 に接合され」ているのに対し、本件サンプル発明では、一方の端部が服地の「表面側」に接合されている点(以下「相違点1」という。)において相違する。 b 本件発明1に新規性又は進歩性がないこと被服の分野において、服地の開口部の表側に引出し可能に取付物を 取り付ける場合に、取付物の接合を服地の表面側とするか裏面側とするかは、当業者が適宜選択できる設計的事項にすぎない。 また、被服の分野において、服地の開口部の表側に引出し可能に取付物を取り付ける場合に、取付物の接 、取付物の接合を服地の表面側とするか裏面側とするかは、当業者が適宜選択できる設計的事項にすぎない。 また、被服の分野において、服地の開口部の表側に引出し可能に取付物を取り付ける場合に、取付物の接合を服地の裏面側とすることは、周知慣用の技術である。 そうすると、相違点1は実質的な相違点でないか、少なくとも、本件サンプル発明に上記周知慣用の技術を適用することにより、当業者は、相違点1に係る本件発明1の構成を容易に想到できた。 したがって、本件発明1は新規性又は進歩性を欠く。 (イ) 本件発明2について a 本件発明2と本件サンプル発明との対比(a) 一致点本件発明2と本件サンプル発明は、前記イの構成aないしc、d2ないしgの点で一致する。 (b) 相違点 本件発明2と本件サンプル発明は、相違点1に加えて、本件発明 2では「前記紐に取り付けられたコードストッパーと、を有する」のに対し、本件サンプル発明では当該構成を備えない点(以下「相違点2」という。)において相違する。 b 本件発明2は新規性又は進歩性がないこと前記(ア)のとおり、相違点1は実質的な相違点でないか、当業者は、 相違点1に係る本件発明2の構成を容易に想到できた。 また、紐(紐状体)で形成された口を閉じるためにコードストッパーを用いることは、当業者が適宜選択できる設計的事項又は周知慣用の技術であるから、相違点2は実質的な相違点でないか、少なくとも、本件サンプル発明に当該周知慣用の技術を適用することにより、当業 者は、相違点2に係る本件発明2の構成を容易に想到できた。 したがって、本件発明2は新規性又は進歩性を欠く。 (ウ) 本件発明3についてa 本件発明3と本件サンプル発明との対比( 業 者は、相違点2に係る本件発明2の構成を容易に想到できた。 したがって、本件発明2は新規性又は進歩性を欠く。 (ウ) 本件発明3についてa 本件発明3と本件サンプル発明との対比(a) 一致点 本件発明3と本件サンプル発明は、前記イの構成aないしc、d2ないしiの点で一致する。 (b) 相違点本件発明3と本件サンプル発明は、相違点1及び2に加えて、本件発明3では、「前記命綱貫通部は、」…「前記服地の裏面側に接合 されている」のに対し、本件サンプル発明では当該構成を備えない点(以下「相違点3」という。)において相違する。 b 本件発明3は新規性又は進歩性がないこと前記(ア)及び(イ)のとおり、相違点1及び2は実質的な相違点でないか、当業者は、相違点1及び2に係る本件発明3の構成を容易に想到 できた。 また、相違点3に係る「裏面側に」の点は、実質的に相違点1と同じであるから、本件発明1について主張したところと同様である。仮にこの点が形式的には相違点であるとしても、部材を開口に沿って接合することは、当業者が適宜選択できる設計的事項又は周知慣用の技術である。そうすると、相違点3は実質的な相違点でないか、少なく とも、本件サンプル発明に当該周知慣用の技術を適用することにより、当業者は、相違点3に係る本件発明3の構成を容易に想到できた。 したがって、本件発明3は新規性又は進歩性を欠く。 (エ) 本件発明4についてa 本件発明4と本件サンプル発明との対比 本件発明4と本件サンプル発明は、前記イの構成aないしc、d2ないしkの点で一致し、相違点1ないし3において相違する。 b 本件発明4は新規性又は進歩性がないこと前記(ア)ないし(ウ)のとおり、相違点 明4と本件サンプル発明は、前記イの構成aないしc、d2ないしkの点で一致し、相違点1ないし3において相違する。 b 本件発明4は新規性又は進歩性がないこと前記(ア)ないし(ウ)のとおり、相違点1ないし3は実質的な相違点でないか、当業者は、相違点1ないし3に係る本件発明4の構成を容易 に想到できた。 したがって、本件発明4は新規性又は進歩性を欠く。 (オ) 本件発明5についてa 本件発明5と本件サンプル発明との対比本件発明5と本件サンプル発明は、前記イの構成aないしc、d2 ないしmの点で一致し、相違点1ないし3において相違する。 仮に、開閉手段について、本件発明5では「ファスナー」であるのに対し、本件サンプル発明では「面ファスナー」であると認定されるなら、この点も本件発明5と本件サンプル発明との相違点(以下「相違点5」という。)となる。 b 本件発明5は新規性又は進歩性がないこと 前記(ア)ないし(ウ)のとおり、相違点1ないし3は実質的な相違点でないか、当業者は、相違点1ないし3に係る本件発明5の構成を容易に想到できた。 また、相違点5が存在するとしても、本件明細書の【0035】には、「第2開閉手段15は、ファスナーに限らず、面ファスナーやボタ ン等一般的な手段を使用することもできる。」と記載されており、本件明細書は、留め具として、「ファスナー」を使用するか「面ファスナー」を使用するかは、当業者が適宜選択できる設計的事項であることを自認しているといえるし、少なくとも、この点は周知の技術にすぎない。 そうすると、相違点5は実質的な相違点でないか、少なくとも、本件 サンプル発明に当該周知の技術を適用することにより、当業者は、相違点5に係る本件発明5の構成を容易に想到できた。 術にすぎない。 そうすると、相違点5は実質的な相違点でないか、少なくとも、本件 サンプル発明に当該周知の技術を適用することにより、当業者は、相違点5に係る本件発明5の構成を容易に想到できた。 したがって、本件発明5は新規性又は進歩性を欠く。 (カ) 本件発明6についてa 本件発明6と本件サンプル発明との対比 本件発明6と本件サンプル発明は、前記イの構成aないしc、d2ないしpの点で一致し、相違点1ないし3及び5(本件サンプル発明の開閉手段を「面ファスナー」と認定した場合)において相違する。 b 本件発明6は新規性及び進歩性がないこと前記のとおり、相違点1ないし3及び5は実質的な相違点でないか、 当業者は、相違点1ないし3及び5に係る本件発明6の構成を容易に想到できた。 また、「裏面側に」の点は、実質的に相違点1と同じであるから、本件発明1について主張したところと同様である。 したがって、本件発明6は新規性又は進歩性を欠く。 (キ) 本件発明8について a 本件発明8と本件サンプル発明との対比本件発明8と本件サンプル発明は、前記イの構成aないしc、d2ないしrの点で一致し、相違点1ないし3及び5(本件サンプル発明の開閉手段を「面ファスナー」と認定した場合)において相違する。 仮に、本件サンプル発明が「前記服の内部において前記命綱貫通部 を固定する固定手段を、前記服の内部に備える」との構成を備えていないと認定されるなら、この点も本件発明8と本件サンプル発明との相違点(以下「相違点8」という。)となる。 b 本件発明8は新規性及び進歩性がないこと前記のとおり、相違点1ないし3及び5は実質的な相違点でないか、 当業者は、相違点1ないし3及び5に係る本件発明8の構成を 8」という。)となる。 b 本件発明8は新規性及び進歩性がないこと前記のとおり、相違点1ないし3及び5は実質的な相違点でないか、 当業者は、相違点1ないし3及び5に係る本件発明8の構成を容易に想到できた。 仮に、相違点8が存在するとしても、同相違点に係る本件発明8の構成は、周知慣用の技術である。 したがって、本件発明8は新規性又は進歩性を欠く。 (ク) 本件発明9についてa 本件発明9と本件サンプル発明との対比本件発明9と本件サンプル発明は、前記イの構成aないしc、d2ないしtの点で一致し、相違点1ないし3、5(本件サンプル発明の開閉手段を「面ファスナー」と認定した場合)及び8において相違す る。 b 本件発明9は新規性及び進歩性がないこと前記のとおり、相違点1ないし3及び5は実質的な相違点でないか、当業者は、相違点1ないし3、5及び8に係る本件発明9の構成を容易に想到できた。 したがって、本件発明9は新規性又は進歩性を欠く。 (ケ) 小括以上のとおり、本件各発明は、いずれも、本件サンプル発明と実質的に同一であるか、少なくとも、当業者が、本件サンプル発明に周知慣用の技術を組み合わせることにより、容易に発明をすることができたものである。 (原告の主張)ア本件サンプルに係る発明は、本件出願前に公然知られた発明にも、本件出願前に公然実施をされた発明にも当たらないこと被告サンエスと取引関係を有している作業服Kは、被告サンエスとの関係において、社会通念上又は商慣習上、発明者側の特段の明示的な指示や 要求がなくとも、発明者のために秘密を保つべきことが暗黙のうちに求められ、かつ、期待されるから、発売前の被告サンエスの開発品に関してやりとりされる情報や物につ 発明者側の特段の明示的な指示や 要求がなくとも、発明者のために秘密を保つべきことが暗黙のうちに求められ、かつ、期待されるから、発売前の被告サンエスの開発品に関してやりとりされる情報や物については、被告サンエスのために秘密を保つ義務がある。 また、作業服Kと同社の従業員との関係において、当該従業員は、作業 服Kに対し、その就業規則等に基づき、当然に秘密保持義務を負う。これに対し、作業服K及び同社の従業員がこれらの秘密保持義務を負っていないことについて、客観的な証拠による立証はされていない。 イ本件サンプルに係る発明は、特許を受ける権利を有する者の意に反して、本件出願前に公然知られた発明又は公然実施をされた発明に該当するに至 ったものであること本件サンプルに係る発明は、原告代表者によって創作されたものであるから、原告は、当該発明について、特許を受ける権利を有する。 原告は、当時、電動ファン付きウェアの製造委託先であった被告サンエスとの間で取引基本契約を締結しており、被告サンエスは、原告に対し、 秘密保持義務を負っていた。そして、原告は、平成27年3月3日及び同 年4月10日、被告サンエスに対し、当該契約所定の電動ファン付きウェアに係る技術的な改良を行った場合の通知の定めに基づき、本件サンプルに係る発明を開示した。 被告らは、平成27年5月20日頃、本件サンプルに係る発明が公然実施され、本件出願前に公然知られた発明又は公然実施をされた発明に該当 するに至ったと主張しているところ、本件出願は、その該当するに至った日から6月以内の日である同年6月30日にされている。 したがって、特許法(平成30年法律第33号による改正前のもの)30条1項に基づき、本件サンプルに係る発明は、本件出願前に公然 該当するに至った日から6月以内の日である同年6月30日にされている。 したがって、特許法(平成30年法律第33号による改正前のもの)30条1項に基づき、本件サンプルに係る発明は、本件出願前に公然知られた発明又は公然実施をされた発明に該当するに至らなかったものとみなさ れる。 ウ本件各発明は、本件サンプルに係る発明と同一のものではなく、かつ、同発明に基づいて容易に発明をすることができないこと(ア) 本件サンプルに係る発明の構成(以下、原告が主張する構成に基づく発明を「本件サンプル発明′」という。) 本件サンプルの具体的な構成、素直に把握される形状及び現実の使用形態からすると、本件サンプル発明′は次の構成を備える。 a 服内に空気の流れを生じさせる送風手段を取り付けるための取付部を備える服であって、b 前記服の服地に形成された貫通孔と、命綱が貫通する命綱貫通部と、 を備え、c 前記命綱貫通部は、当該命綱貫通部からの空気の漏れを防止する第1空気漏れ防止手段を備え、d1 一方の端部が前記服地の表面側に接合されたd2 筒状に形成され、 e′ 服地の表面側に露出した状態(命綱の使用時)と、服地の表面側 の領域で畳まれた状態で、収納片により固定される状態(命綱の不使用時)とを切り替え可能であることを特徴とする服。 (イ) 本件発明1についてa 本件発明1と本件サンプル発明′との相違点(a) 本件発明1と本件サンプル発明′との間には、次の相違点がある。 本件発明1では、空気漏れ防止手段を備え筒状に形成された命綱貫通部の一方の端部が前記服地の裏面側に接合されて、前記服地の裏面側に格納された状態と、前記貫通孔を介して前記服地の表面側へと引き出された状態とを切り替え可能 漏れ防止手段を備え筒状に形成された命綱貫通部の一方の端部が前記服地の裏面側に接合されて、前記服地の裏面側に格納された状態と、前記貫通孔を介して前記服地の表面側へと引き出された状態とを切り替え可能であるのに対し、本件サンプル発明′では、空気漏れ防止手段を備え筒状に形成された命綱貫 通部の一方の端部が前記服地の表面側に接合されて、服地の表面側に露出した状態(命綱の使用時)と、服地の表面側の領域で畳まれた状態で、収納片により固定される状態(命綱の不使用時)とを切り替え可能である点(以下「相違点1′」という。)。 (b) 仮に本件サンプルの収納片が「服地」に当たるとすると、本件発 明1と本件サンプル発明′との相違点は次のとおりとなる。 本件発明1では、「空気漏れ防止手段を備え」「筒状に形成され」た「命綱貫通部」の「一方の端部が前記服地の裏面側に接合され」て、「前記服地の裏面側に格納された状態と、前記貫通孔を介して前記服地の表面側へと引き出された状態とを切り替え可能である」の に対し、本件サンプル発明′は、空気漏れ防止手段を備え筒状に形成された命綱貫通部の一方の端部が前記服地の表面側に接合されて、服地の表面側に露出した状態(命綱の使用時)と、服地の表面側の領域で畳まれた状態で、その更に表面側に位置する服地である収納片により固定される状態(命綱の不使用時)とを切り替え可能であ る点(以下「相違点1′の2」という。)。 b 相違点1′及び1′の2に係る本件発明1の構成を容易に想到できないこと(a) 本件各発明に係る課題の斬新性本件各発明は、命綱の使用時及び不使用時のいずれの場合であっても、人体の安全性を確保しつつ、かつ冷却効果を発揮させること を課題とする(本件明細書の【0004】及び【 発明に係る課題の斬新性本件各発明は、命綱の使用時及び不使用時のいずれの場合であっても、人体の安全性を確保しつつ、かつ冷却効果を発揮させること を課題とする(本件明細書の【0004】及び【0007】)。そして、本件各発明は、この課題を解決するために、「空気漏れ防止手段を備え」「筒状に形成され」た「命綱貫通部」が、その「一方の端部が前記服地の裏面側に接合され」かつ「前記服地の裏面側に格納された状態と、前記貫通孔を介して前記服地の表面側へと引き出され た状態とを切り替え可能である」ように構成し、命綱使用時は、命綱の作用により人体の安全性を確保しつつ、冷却効果を発揮するとの効果を、命綱不使用時は、命綱貫通部を服地裏面側に確実に格納して人体の安全性を確保しつつ(建設現場等の高所では、服地の表側に引っ掛かりの原因となる構造があると大事故が生じるおそれが ある。)、冷却効果を確保するとの効果を奏するものである。 これに対し、本件サンプルから把握できる課題は、命綱貫通部を服地の表側領域に畳んで、収納片により固定することのみであり、命綱不使用時に、命綱貫通部を服地裏面側に確実に格納して人体の安全性を確保するとの課題を把握することはできない。むしろ、本 件サンプル発明′は、服地の表面側に引っ掛かりの原因を有しており、建設現場等の高所における大事故の危険性を有している。 このように、本件各発明は、本件サンプル発明′と比較すると、斬新な作用、効果を奏するものである。 (b) 本件サンプル発明′に被告らが指摘する周知慣用の技術を組み合 わせる動機付けがないこと 実際に製造、販売された物は、様々な具体的課題を解決しながら最適化、完成されたものであるから、公然実施品から認定された発明を主引用発明とする容易 わせる動機付けがないこと 実際に製造、販売された物は、様々な具体的課題を解決しながら最適化、完成されたものであるから、公然実施品から認定された発明を主引用発明とする容易想到性の判断においては、特許公報に記載されている発明を主引用発明とする容易想到性の判断と比較して、相違点に係る本件各発明の構成に変更するためのより強い動機付け が必要である。 そして、本件サンプル発明′は、服地に取り付けられたファンの作用により身体を冷却する服であって、命綱を利用するという特殊用途向けの服という技術分野に属するのに対し、被告らが指摘する周知慣用の技術は、いずれも通常使用される衣服の技術分野に属す るものであって、両者は技術分野が異なる。 また、本件サンプル発明′の課題は、命綱貫通部を服地の表側領域に畳んで、収納片により固定することであり、服地の内部に命綱貫通部を格納するという課題は全く把握できないのに対し、被告らが指摘する周知慣用の技術は、いずれも対象物を服地の裏面側に格 納するという課題を有するものであって、両者は課題が異なる。同様の理由から、両者は、作用、効果の点においても異なる。 さらに、本件サンプルの構成に照らすと、本件サンプル発明′は、①大型構造で多数の面ファスナーで構成された収納片、②内側右面及び内側左面の各ファスナーを予定しているものである。しかし、 本件サンプル発明′の命綱貫通部と被告らが指摘する周知慣用の技術に係る取付物とを置換すると、当該収納片並びに内側右面及び内側左面の各ファスナーの技術的意義が失われてしまうから、本件サンプル発明′に被告らが指摘する周知慣用の技術を組み合わせることには阻害要因がある。 以上によれば、本件サンプル発明′に被告らが指摘する周知慣用 の技術的意義が失われてしまうから、本件サンプル発明′に被告らが指摘する周知慣用の技術を組み合わせることには阻害要因がある。 以上によれば、本件サンプル発明′に被告らが指摘する周知慣用 の技術を組み合わせることについて、より強い動機付けがあるとはいえない。 (c) 本件サンプル発明′に被告らが指摘する周知慣用の技術を組み合わせても本件発明1に至らないこと被告らが指摘する周知慣用の技術は、ポケット又は意匠を格納す るものにとどまるものであるから、仮に本件サンプル発明′に被告らが指摘する周知慣用の技術を組み合わせたとしても、本件発明1に到達しない。 (d) 本件発明1には本件サンプル発明′と比較して有利な効果があること 本件サンプル発明′は、命綱貫通部を服地の表側領域に畳み、収納片により固定するとの構造を有するものであるから、命綱不使用時は、命綱貫通部及び収納片が服地表面側に突出し、これが引っ掛かりの原因となって、建設現場等の高所における大事故の危険性を有するものである。 これに対し、本件発明1は、相違点1′又は1′の2に係る構成を備えることにより、命綱使用時は、命綱の作用により人体の安全性を確保しつつ、冷却効果を発揮するとの効果を、命綱不使用時は、命綱貫通部を服地裏面側に確実に格納して人体の安全性を確保しつつ、冷却効果を確保するとの効果を奏するものであって、従来技術 に対し有利な効果を奏するものである。 (e) まとめしたがって、当業者は、相違点1′又は1′の2に係る本件発明1の構成を容易に想到することができない。 c 小括 以上によれば、本件発明1は、本件サンプル発明′と同一のもので はなく、かつ、当業者は、本件サンプル発明′に基づいて、本 1の構成を容易に想到することができない。 c 小括 以上によれば、本件発明1は、本件サンプル発明′と同一のもので はなく、かつ、当業者は、本件サンプル発明′に基づいて、本件発明1を容易に発明することができたとはいえない。 (ウ) 本件発明2についてa 本件発明2と本件サンプル発明′との相違点本件発明2と本件サンプル発明′は、相違点1′又は1′の2及び 2において相違する。 被告らは、相違点2は実質的な相違点ではないと主張するが、本件発明2は、本件発明1の構成に加え、相違点2に係る本件発明2の構成を含む「前記第1空気漏れ防止手段は、紐通し部と、前記紐通し部に通された紐と、前記紐に取り付けられたコードストッパーと、を有 する」との構成を備えることで、より空気漏れを防止でき、命綱使用時は、命綱の作用により人体の安全性を確保しつつ冷却効果を発揮するとの効果を、命綱不使用時は、命綱貫通部を服地裏面側に確実に格納して人体の安全性を確保しつつ冷却効果を確保するとの効果を、それぞれ奏するものであるから、相違点2は実質的な相違点である。 b 小括以上によれば、本件発明2は、本件サンプル発明′と同一のものではなく、かつ、前記(イ)bと同様の理由及び相違点2に係る構成の容易想到性についての被告らの主張が失当であることから、当業者は、本件サンプル発明′に基づいて、本件発明2を容易に発明することがで きたとはいえない。 (エ) 本件発明3についてa 本件発明3と本件サンプル発明′との相違点本件発明3と本件サンプル発明′は、相違点1′又は1′の2、2及び3において相違する。 被告らは、相違点3は実質的な相違点ではないと主張するが、本件 発明3は、本件発明2の構成に加 明3と本件サンプル発明′は、相違点1′又は1′の2、2及び3において相違する。 被告らは、相違点3は実質的な相違点ではないと主張するが、本件 発明3は、本件発明2の構成に加え、相違点3に係る本件発明3の構成を備えることで、より格納性を高め、命綱使用時は、命綱の作用により人体の安全性を確保しつつ冷却効果を発揮するとの効果を、命綱不使用時は、命綱貫通部を服地裏面側に確実に格納して人体の安全性を確保しつつ冷却効果を確保するとの効果を奏するものであるから、 相違点3は実質的な相違点である。 b 小括以上によれば、本件発明3は、本件サンプル発明′と同一のものではなく、かつ、前記(イ)bと同様の理由並びに相違点2及び3に係る構成の容易想到性についての被告らの主張が失当であることから、当業 者は、本件サンプル発明′に基づいて、本件発明3を容易に発明することができたとはいえない。 (オ) 本件発明4についてa 本件発明4と本件サンプル発明′との相違点本件発明4と本件サンプル発明′は、相違点1′又は1′の2、2 及び3に加えて、本件発明4では、「前記貫通孔を開閉自在とする開閉手段を備える」のに対し、本件サンプル発明′では当該構成を備えない点(以下「相違点4」という。)において相違する。 b 小括以上によれば、本件発明4は、本件サンプル発明′と同一のもので はなく、かつ、前記(イ)bと同様の理由及び相違点2ないし4に係る構成の容易想到性についての被告らの主張が失当であることから、当業者は、本件サンプル発明′に基づいて、本件発明4を容易に発明することができたとはいえない。 (カ) 本件発明5について a 本件発明5と本件サンプル発明′との相違点 本件発明5と本件サ プル発明′に基づいて、本件発明4を容易に発明することができたとはいえない。 (カ) 本件発明5について a 本件発明5と本件サンプル発明′との相違点 本件発明5と本件サンプル発明′は、相違点1′又は1′の2、2ないし4に加えて、本件発明5では、「前記開閉手段はファスナーである」のに対し、本件サンプル発明′では当該構成を有しない点(以下「相違点5′」という。)において相違する。 b 小括 以上によれば、本件発明5は、本件サンプル発明′と同一のものではなく、かつ、前記(イ)bと同様の理由並びに相違点2ないし4及び5′に係る構成の容易想到性について被告らの主張が失当であることから、当業者は、本件サンプル発明′に基づいて、本件発明5を容易に発明することができたとはいえない。 (キ) 本件発明6についてa 本件発明6と本件サンプル発明′との相違点本件発明6と本件サンプル発明′は、相違点1′又は1′の2、2ないし4及び5′に加えて、本件発明6では、「前記命綱貫通部は、前記服地の裏面側に接合される内側端部の周長が、前記開閉手段の長さ の二倍より長く、他端の外側端部の周長が、前記内側端部の周長より短い」のに対し、本件サンプル発明′では当該構成を有しない点(以下「相違点6」という。)において相違する。 b 小括以上によれば、本件発明6は、本件サンプル発明′と同一のもので はなく、かつ、前記(イ)bと同様の理由並びに相違点2ないし4、5′及び6に係る構成の容易想到性についての被告らの主張が失当であることから、当業者は、本件サンプル発明′に基づいて、本件発明6を容易に発明することができたとはいえない。 (ク) 本件発明8について a 本件発明8と本件サンプル発明′との相違点 であることから、当業者は、本件サンプル発明′に基づいて、本件発明6を容易に発明することができたとはいえない。 (ク) 本件発明8について a 本件発明8と本件サンプル発明′との相違点 本件発明8と本件サンプル発明′は、相違点1′又は1′の2、2ないし6及び8において相違する。 被告らは、相違点8がないと主張するが、本件発明8は、本件発明1ないし6の構成に加え、相違点8に係る本件発明8の構成を備えることで、服内部の空気の流通を促進し、命綱使用時は、命綱の作用に より人体の安全性を確保しつつ、冷却効果を発揮するとの効果を、命綱不使用時は、命綱貫通部を服地裏面側に確実に格納して人体の安全性を確保しつつ、冷却効果を確保するとの効果を奏するものであるから、本件発明8と本件サンプル発明′との間に相違点8が存在し、かつ、これは実質的相違点である。 b 小括以上によれば、本件発明8は、本件サンプル発明′と同一のものではなく、かつ、前記(イ)bと同様の理由並びに相違点2ないし4、5′、6及び8に係る構成の容易想到性についての被告らの主張が失当であることから、当業者は、本件サンプル発明′に基づいて、本件発明8 を容易に発明することができたとはいえない。 (ケ) 本件発明9についてa 本件発明9と本件サンプル発明′との相違点本件発明9と本件サンプル発明′は、相違点1′又は1′の2、2ないし6及び8に加えて、本件発明9では、「前記服の所定の端部に設 けられ、当該端部からの空気の漏れを防止する第2空気漏れ防止手段を備える」のに対し、本件サンプル発明′では当該構成を有しない点において相違する(以下「相違点9」という。)。 b 小括以上によれば、本件発明9は、本件サンプル発明′と同一のもので 漏れ防止手段を備える」のに対し、本件サンプル発明′では当該構成を有しない点において相違する(以下「相違点9」という。)。 b 小括以上によれば、本件発明9は、本件サンプル発明′と同一のもので はなく、かつ、前記(イ)bと同様の理由並びに相違点2ないし4、5′、 6、8及び9に係る構成の容易想到性についての被告らの主張が失当であることから、当業者は、本件サンプル発明′に基づいて、本件発明9を容易に発明することができたとはいえない。 (4) 争点2-3(特許法29条の2所定の拡大先願要件違反)について(被告らの主張) ア実願2015-2274号に係る実用新案登録出願(以下「乙15出願」という。)被告サンエスは、本件出願日より前の平成27年5月11日、乙15出願をし、本件出願後の同年7月23日に同出願に係る登録実用新案公報が発行された。 本件特許に係る発明の発明者は、乙15出願に係る考案をした者と同一ではなく、本件出願時において、本件出願の出願人と乙15出願の出願人とは同一でなかった。 イ乙15出願に係る明細書等に記載されている考案乙15出願の願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又 は図面には、次の構成を備える考案(以下「乙15考案」という。)が記載されている。 (ア) 本件発明1に対応する構成a 服内に空気の流れを生じさせる送風手段を取り付けるための取付部を備える服であって、 b 前記服の服地に形成された貫通孔と、命綱が貫通する命綱貫通部と、を備え、c 前記命綱貫通部は、当該命綱貫通部からの空気の漏れを防止する第1空気漏れ防止手段を備え、d1 一方の端部が前記服地に接合された d2 筒状に形成され、 e c 前記命綱貫通部は、当該命綱貫通部からの空気の漏れを防止する第1空気漏れ防止手段を備え、d1 一方の端部が前記服地に接合された d2 筒状に形成され、 e 前記服地の裏面側に格納された状態と、前記貫通孔を介して前記服地の表面側へと引き出された状態とを切り替え可能であることを特徴とする服。 (イ) 本件発明2に対応する構成f 前記第1空気漏れ防止手段は、 f1 紐通し部と、f2 前記紐通し部に通された紐と、f3 を有することを特徴とするg 前記(ア)に記載の服。 (ウ) 本件発明3に対応する構成 h 前記命綱貫通部は、h1 前記貫通孔を囲むようにしてh2 前記服地にh3 接合されていることを特徴とするi 前記(ア)又は(イ)に記載の服。 (エ) 本件発明4に対応する構成j 前記貫通孔を開閉自在とする開閉手段を備えることを特徴とするk 前記(ア)から(ウ)のいずれか一項に記載の服。 (オ) 本件発明5に対応する構成l 前記開閉手段はファスナーであることを特徴とする m 前記(エ)に記載の服。 (カ) 本件発明6に対応する構成n 前記命綱貫通部は、n1 前記服地に接合されるn2 内側端部の周長が、前記開閉手段の長さの二倍より長く、 o 他端の外側端部の周長が、前記内側端部の周長より短いことを特 徴とするp 前記(エ)又は(オ)に記載の服。 (キ) 本件発明8に対応する構成q 前記服の内部において前記命綱貫通部を固定する固定手段を、前記服の内部に備えることを特徴とする r 前記(ア)から(カ)のいずれか一項に記載の服。 (ク) 本件発明9に対応する構成s 記服の内部において前記命綱貫通部を固定する固定手段を、前記服の内部に備えることを特徴とする r 前記(ア)から(カ)のいずれか一項に記載の服。 (ク) 本件発明9に対応する構成s 前記服の所定の端部に設けられ、当該端部からの空気の漏れを防止する第2空気漏れ防止手段を備えることを特徴とするt 前記(ア)から(キ)のいずれか一項に記載の服。 ウ本件各発明と乙15考案とは実質的に同一であること(ア) 本件発明1について本件発明1では、命綱貫通部は、「一方の端部が前記服地の裏面側に接合され」ている(構成要件D)のに対し、乙15考案では、一方の端部が服地の「裏面側」に接合されていることが明記されていない(前記イ の構成d1)点で、形式的に相違する。 しかし、被服の分野において、服地の開口部の表側に引出し可能に取付物を取り付ける場合には、取付物を服地の裏面側か表面側に接合させるほかはなく、かつ、外観上の見栄えをよくするために、裏面側に接合させるのが一般的であり、取付物を服地の裏面側に接合することは、本 件出願前に慣用的に行われていたことである。そして、命綱貫通部の一方の端部を服地の裏面側に接合するか表面側に接合するかは、本件発明1の課題解決手段と何の関係のないことであって、裏面側に接合することにより新たな効果を何ら奏するものではない。 したがって、上記の相違点は微差にすぎず、本件発明1と乙15考案 は実質的同一である。 (イ) 本件発明2ないし6、8及び9について前記(3)(被告らの主張)イ及び前記イのとおり、乙15考案の構成fないしtは、本件サンプル発明の構成fないしtと同一である。 そして、本件各発明と乙15考案との間に形式的な相違点があるとしても、前記(3) (被告らの主張)イ及び前記イのとおり、乙15考案の構成fないしtは、本件サンプル発明の構成fないしtと同一である。 そして、本件各発明と乙15考案との間に形式的な相違点があるとしても、前記(3)(被告らの主張)ウにおいて本件サンプル発明に関して主 張したとおり、これらはいずれも微差にすぎないから、本件各発明と乙15考案とは実質的に同一である。 エ小括したがって、本件出願は、特許法29条の2所定の拡大先願要件に違反する。 (原告の主張)ア本件各発明は乙15出願に係る明細書等に記載されている考案と同一でないこと本件発明1において、「命綱貫通部」は、その「一方の端部が前記服地の裏面側に接合され」たものであって、「前記服地の裏面側に格納された状態 と、前記貫通孔を介して前記服地の表面側へと引き出された状態とを切り替え可能である」。これに対し、乙15出願に係る明細書等に記載されている考案において、「取出し筒13」は、「収納片17」により、「取出し筒13及び口紐14を空調服との間に収納」するものであるから、本件発明1と乙15出願に係る明細書等に記載されている考案とは同一でない。 また、本件発明2ないし6、8及び9は、本件発明1を引用するものであるから、同様に乙15出願に係る明細書等に記載されている考案とは同一でない。 イ本件各発明の発明者と乙15出願に係る明細書等に記載されている考案の考案者とは同一の者であること 乙15出願に係る明細書等に記載されている考案は、前記(3)(原告の主 張)イのとおり、原告が被告サンエスに開示した本件サンプルに係る発明を基にされたものであるから、本件各発明の発明者及び乙15出願に係る明細書等に記載されている考案の考案者は、いずれも原告代表者であ 張)イのとおり、原告が被告サンエスに開示した本件サンプルに係る発明を基にされたものであるから、本件各発明の発明者及び乙15出願に係る明細書等に記載されている考案の考案者は、いずれも原告代表者であって、同一の者である。 (5) 争点2-4(明確性要件違反)について (被告らの主張)ア原告主張の「特殊環境」について仮に、明示の記載が存在しないにもかかわらず、原告が前記(2)(原告の主張)イにおいて指摘する「特殊環境」が本件各発明から除外されていると解釈されるのであれば、どのような「特殊環境」が本件各発明から除外 されているか不明であるから、本件各発明はその外延が不明確である。 イ 「服地の裏面側」について前記(3)(原告の主張)ウのとおり、原告は、本件サンプル発明の構成e(原告の主張では構成e′)に関し、命綱の不使用時には、命綱貫通部が服地の表面側の領域で畳まれた状態で固定されると主張しているところ、 これは、服地の開口部分に収納片を設けた形態において、当該収納片が本件各発明の「服地」に含まれないということである。 仮に、本件サンプルの収納片が本件各発明の「服地」に当たらないと解釈されるのであれば、「服地」(生地)が途切れている部分(開口部分等)においては、「服地の裏面側」か否かを判断することができない(「服地」 は常に平面を形成するものではない。)から、本件各発明はその外延が不明確である。 ウ 「服地」について前記イのとおり、原告は、本件サンプル発明の構成e(原告の主張では構成e′)に関し、服地の開口部分に収納片を設けた形態において、当該 収納片が本件各発明の「服地」に含まれないと主張している。 この原告の主張を前提とすると、空調服の服地(生地)には、本件各発 服地の開口部分に収納片を設けた形態において、当該 収納片が本件各発明の「服地」に含まれないと主張している。 この原告の主張を前提とすると、空調服の服地(生地)には、本件各発明の「服地」に当たるものと、「服地」に当たらないものとがあることになるが、その区別は不明であるから、本件各発明の「服地」の意味も不明である。 エ小括 したがって、本件特許の特許請求の範囲の記載は、明確性要件(特許法36条6項2号)に適合しない。 (原告の主張)ア 「特殊環境」について原告は、前記(2)(原告の主張)イのとおり、「特殊環境」とは、服地の 開口部の表側にフラップを取り付けた場合をいうと、具体的かつ明確に主張している。 イ 「服地」及び「服地の裏面側」について本件特許の特許請求の範囲の記載並びに本件明細書の【0003】、【0006】及び【0029】の記載を参酌すると、当業者は、「服地」とは、 空気の流れを生じさせる空気流通路を構成する服本体の生地であると十分に理解することができ、よって、「服地の地面側」についても十分に理解することができる。 ウ小括本件特許に係る特許請求の範囲及び本件明細書の記載によれば、当該特 許請求の範囲の記載は明確であって、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確とはいえない。 (6) 争点3(差止め等の必要性)について(原告の主張)被告らは、業として、被告各製品を製造、譲渡、輸出、輸入又は譲渡の申 出を行っており、これらは、本件特許権を侵害する行為である。 したがって、原告においては、被告らに対し、本件特許権に基づき、被告各製品の製造、譲渡、輸出、輸入及び譲渡の申出の差止め並びに被告各製品の廃棄を求める必要がある。 (被告ら る。 したがって、原告においては、被告らに対し、本件特許権に基づき、被告各製品の製造、譲渡、輸出、輸入及び譲渡の申出の差止め並びに被告各製品の廃棄を求める必要がある。 (被告らの主張)争う。 (7) 争点4(損害の有無及びその額)について(原告の主張)ア被告らに共通する主張(ア) 特許法102条2項が適用されること原告は、本件特許権の設定登録日以降、本件各発明の技術的範囲に属 するフルハーネス対応型電動ファン付きウェアを製造、販売している。 被告らは、原告の製造、販売する製品が被告サンエスの保有する実用新案権を侵害するとして製造及び販売の差止めを命じた判決(東京地方裁判所平成29年(ワ)第22010号実用新案権侵害差止等請求事件。 以下「別件訴訟事件」という。)を指摘して、原告が、本件特許権の設定 登録日以降、被告各製品の競合品であるフルハーネス対応型電動ファン付きウェアを適法に製造、販売できなかったと主張する。しかし、当該判決が確定したのは、最高裁判所が、上告受理申立てを受理しないと決定した令和3年8月19日であるから、原告が、それまでの間に、被告らの指摘する型番の電動ファン付きウェアを製造、販売したことが被告 サンエスの保有する実用新案権を侵害しているとはいえず、同製品を適法に製造、販売できなかったとはいえない。 したがって、本件特許権の特許権者である原告には、侵害者である被告らによる本件特許権の侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうとの事情が存在する。 (イ) 推定覆滅事由について a 被告らが主張する電動ファン付きウェア製品市場における原告及び被告ら以外の事業者の市場占有率は、いずれも本件特許権の設定登録日前のものであるから、参 イ) 推定覆滅事由について a 被告らが主張する電動ファン付きウェア製品市場における原告及び被告ら以外の事業者の市場占有率は、いずれも本件特許権の設定登録日前のものであるから、参考にならない。むしろ、株式会社空調服を含む原告のグループは、平成30年から令和元年にかけて、大幅に市場占有率を伸ばしているから、需要者が原告の製品を購入する傾向に あること、すなわち原告の製品が高い顧客誘引力を有することが強く推認される。 b 被告らは、被告各製品の販売に当たり、「空調風神服」のブランド力が大きく貢献していると主張する。 しかし、前記aのとおり、被告らは、平成30年から令和元年にか けて、大幅に市場占有率を落としており、「空調風神服」のブランド力が大きく貢献しているということはない。また、被告美津濃は、「空調風神服」とのブランドを付して被告製品6を販売していないから、被告美津濃との関係で、この事情が推定覆滅事由となることはない。 c 前記(3)(原告の主張)ウのとおり、本件各発明は、本件サンプル発 明′に比して、斬新な課題、構成及び効果を有するものである。被告らが、本件サンプルを製品化することなく、本件各発明を実施した製品を製造、販売したという事実自体、本件各発明が被告各製品の売上げに大きく貢献していることを示している。 また、被告らは、被告各製品が高性能の製品であると主張するが、 バッテリーやファンの性能及び重量の点では、原告の製品は被告各製品よりも高性能かつ軽量であるか、少なくとも同程度の性能を有している。 このほか、被告らは、被告各製品が多機能であると主張するが、それらが具体的にどのような機能を有し、その機能が存在することで、 具体的にどの程度、被告各製品の売上げに 性能を有している。 このほか、被告らは、被告各製品が多機能であると主張するが、それらが具体的にどのような機能を有し、その機能が存在することで、 具体的にどの程度、被告各製品の売上げに貢献しているのかは、全く 不明である。 d 被告らは、原告の製品は需要者からの評判が悪いと主張するが、4年も前にされたごく少数の者によるカスタマーレビューへの書き込みという一事をもって、原告の製品についての需要者の評価が低いと根拠づけることはできない。 e 以上のとおり、被告らが主張する事情は、いずれも推定覆滅事由に当たらない。 イ被告サンエス関係(ア) 被告製品1の販売により受けた利益の額被告サンエスが被告製品1の販売により受けた利益の額(消費税込み) は、別紙損害額一覧表(被告サンエス)「原告の主張」「対象期間計」「粗利益額(税込)」欄記載のとおりであり、これは、特許法102条2項により、原告が受けた損害の額と推定される。 (イ) 控除すべき経費について被告サンエスが経費として控除すべきと主張する各費用は、いずれも 被告製品1を製造、販売することによりその製造、販売に直接関連して追加的に必要となった経費ではないから、当該各費用の額を控除することはできない。 (ウ) 推定覆滅事由について被告サンエスは、電動ファン付きウェアの開発及び普及において多大 な貢献をしていると主張する。 しかし、電動ファン付きウェアの量産品の開発は、原告代表者が単独で行ったのであって、被告サンエスは、原告代表者の指揮、命令の下で、電動ファン付きウェアの服部分を提供する受託製造業者にすぎず、電動ファン付きウェアの量産品の開発を行っていない。 また、仮に、被告サンエスにユニホームメーカーとしての相応 指揮、命令の下で、電動ファン付きウェアの服部分を提供する受託製造業者にすぎず、電動ファン付きウェアの量産品の開発を行っていない。 また、仮に、被告サンエスにユニホームメーカーとしての相応の売上 実績があるとしても、電動ファン付きウェアの分野においては無名の存在であった上、原告の受託製造業者ないし原告及び株式会社空調服のブランドである「空調服」を販売する販売業者として活動していたにすぎないから、被告サンエスに何らかの貢献があるとしても、受託製造業者ないし販売業者としての貢献にとどまる。 (エ) 弁護士費用相当額被告サンエスによる本件特許権の侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は、別紙損害額一覧表(被告サンエス)「原告の主張」「対象期間計」「弁護士費用相当額」欄記載のとおりである。 (オ) 小括 したがって、被告サンエスの不法行為によって原告に生じた損害の額は、別紙損害額一覧表(被告サンエス)「原告の主張」「対象期間計」「損害額合計」欄記載のとおりとなる。 ウ被告ビッグボーン商事関係(ア) 被告製品2の販売により受けた利益の額 被告ビッグボーン商事が被告製品2の販売により受けた利益の額(消費税込み)は、別紙損害額一覧表(被告ビッグボーン商事)「原告の主張」「対象期間計」「粗利益額(税込)」欄記載のとおりであり、これは、特許法102条2項により、原告が受けた損害の額と推定される。 (イ) 控除すべき経費について 被告ビッグボーン商事が経費として控除すべきと主張する費用は、被告製品2を製造販売することによりその製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費ではないから、当該費用の額を控除することはできない。 (ウ) 弁護士費用相当額 被告ビッグボーン商事によ 製品2を製造販売することによりその製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費ではないから、当該費用の額を控除することはできない。 (ウ) 弁護士費用相当額 被告ビッグボーン商事による本件特許権の侵害行為と相当因果関係の ある弁護士費用は、別紙損害額一覧表(被告ビッグボーン商事)「原告の主張」「対象期間計」「弁護士費用相当額」欄記載のとおりである。 (エ) 小括したがって、被告ビッグボーン商事の不法行為によって原告に生じた損害の額は、別紙損害額一覧表(被告ビッグボーン商事)「原告の主張」 「対象期間計」「損害額合計」欄記載のとおりとなる。 エ被告アタックベース関係(ア) 総論原告は、被告アタックベースが令和元年6月28日から令和2年12月31日までの間に被告製品3を販売したことによって生じた損害につ いては特許法102条2項により算定される損害額を、同被告が令和3年1月1日から令和4年8月16日までの間に被告製品3を販売したことによって生じた損害については同条3項により算定される損害額を、それぞれ主張する。 (イ) 特許法102条2項により算定される損害額 a 被告製品3の販売により受けた利益の額被告アタックベースが令和元年6月28日から令和2年12月31日までの間に被告製品3の販売により受けた利益の額(消費税込み)は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「原告の主張」「対象期間計」「粗利益額(税込)」欄記載のとおりであり、これは、特許法1 02条2項により、原告が受けた損害の額と推定される。 b 控除すべき経費について被告アタックベースが経費として控除すべきと主張する費用は、被告製品3を製造、販売することによりその製造、販売に直接関連して追加 けた損害の額と推定される。 b 控除すべき経費について被告アタックベースが経費として控除すべきと主張する費用は、被告製品3を製造、販売することによりその製造、販売に直接関連して追加的に必要となった経費ではないから、当該費用の額を控除するこ とはできない。 c 以上によれば、被告アタックベースが令和元年6月28日から令和2年12月31日までの間に販売した被告製品3に関し、特許法102条2項により算定される損害の額(消費税込み)は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「原告の主張」「対象期間計」「2項損害額」欄記載のとおりとなる。 (ウ) 特許法102条3項により算定される損害額a 被告アタックベースが、令和3年1月1日から令和4年8月16日までの間に販売した被告製品3の販売額(消費税抜き)は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「原告の主張」「対象期間計」「販売額②(税抜)」欄記載のとおりである。 b 原告は、本件各発明と同一の技術分野に属する発明に係る特許権について、当該特許権を侵害した複数の会社との間で成立した和解契約に基づいて実施許諾をしているところ、その実施料率は、販売単価の約17パーセントないし約40パーセントである。そして、特許法102条3項の「受けるべき金銭の額」を算定する基礎となる相当な実 施料率は、特許権侵害をした者に対して事後的に定められるものである以上、特許権実施許諾契約に基づく通常の実施料率に比べて高いものになる。 また、前記(3)(原告の主張)ウのとおり、本件各発明は、本件サンプル発明′と比較して、斬新な課題、構成、効果を有するものである。 さらに、本件各発明の構成は、特に安全性という観点から強い訴求力を有し、需要者の購入動機に のとおり、本件各発明は、本件サンプル発明′と比較して、斬新な課題、構成、効果を有するものである。 さらに、本件各発明の構成は、特に安全性という観点から強い訴求力を有し、需要者の購入動機にも大きな影響を与えるものであるから、本件各発明が、被告製品3に係る被告アタックベースの売上げ及び利益に貢献したことは明らかである。 加えて、原告と被告アタックベースは、いずれも電動ファン付きウ ェアの製造販売業者として競業関係にあるにとどまらず、被告アタッ クベースは、原告及び株式会社空調服との間で複数の紛争が生じている被告サンエスグループの一員であることからすると、原告が被告アタックベースに本件特許権を実施許諾することはあり得ない。 これらの諸事情を踏まえると、特許法102条3項の「受けるべき金銭の額」を算定する基礎となる相当な実施料率は40パーセントで ある。 c 以上によれば、被告アタックベースが令和3年1月1日から令和4年8月16日までの間に販売した被告製品3に関し、特許法102条3項により算定される損害の額(消費税込み)は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「原告の主張」「対象期間計」「3項損害額」欄 記載のとおりとなる。 (エ) 弁護士費用相当額被告アタックベースによる本件特許権の侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「原告の主張」「対象期間計」「弁護士費用相当額」欄記載のとおりである。 (オ) 小括したがって、被告アタックベースの不法行為によって原告に生じた損害の額は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「原告の主張」「対象期間計」「損害額合計」欄記載のとおりとなる。 オ被告大川被服関係 (ア) 被告製品4の販売によ よって原告に生じた損害の額は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「原告の主張」「対象期間計」「損害額合計」欄記載のとおりとなる。 オ被告大川被服関係 (ア) 被告製品4の販売により受けた利益の額被告大川被服が被告製品4の販売により受けた利益の額(消費税込み)は、別紙損害額一覧表(被告大川被服)「原告の主張」「対象期間計」「粗利益額(税込)」欄記載のとおりであり、これは、特許法102条2項により、原告が受けた損害の額と推定される。 (イ) 控除すべき経費について 被告大川被服が経費として控除すべきと主張する費用は、被告製品4を製造、販売することによりその製造、販売に直接関連して追加的に必要となった経費ではないから、当該費用の額を控除することはできない。 (ウ) 弁護士費用相当額被告大川被服による本件特許権の侵害行為と相当因果関係のある弁護 士費用は、別紙損害額一覧表(被告大川被服)「原告の主張」「対象期間計」「弁護士費用相当額」欄記載のとおりである。 (エ) 小括したがって、被告大川被服の不法行為によって原告に生じた損害の額は、別紙損害額一覧表(被告大川被服)「原告の主張」「対象期間計」「損 害額合計」欄記載のとおりとなる。 カ被告福徳産業関係(ア) 被告製品5の販売により受けた利益の額被告福徳産業が被告製品5の販売により受けた利益の額(消費税込み)は、別紙損害額一覧表(被告福徳産業)「原告の主張」「対象期間計」「粗 利益額(税込)」欄記載のとおりであり、これは、特許法102条2項により、原告が受けた損害の額と推定される。 (イ) 控除すべき経費について被告福徳産業が経費として控除すべきと主張する費用は、被告製品5を製造、販売することによりその製造、販 許法102条2項により、原告が受けた損害の額と推定される。 (イ) 控除すべき経費について被告福徳産業が経費として控除すべきと主張する費用は、被告製品5を製造、販売することによりその製造、販売に直接関連して追加的に必 要となった経費ではないから、当該費用の額を控除することはできない。 (ウ) 弁護士費用相当額被告福徳産業による本件特許権の侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は、別紙損害額一覧表(被告福徳産業)「原告の主張」「対象期間計」「弁護士費用相当額」欄記載のとおりである。 (エ) 小括 したがって、被告福徳産業の不法行為によって原告に生じた損害の額は、別紙損害額一覧表(被告福徳産業)「原告の主張」「対象期間計」「損害額合計」欄記載のとおりとなる。 キ被告美津濃関係(ア) 被告製品6の販売により受けた利益の額 被告美津濃が令和元年6月28日から同年9月30日までの間に被告製品6の販売により受けた利益の額(消費税込み)は、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「原告の主張」「R1.6.28 からR1.9.30 まで」「粗利益額(税込)」欄記載のとおりであり、これは、特許法102条2項により、原告が受けた損害の額と推定される。 なお、被告美津濃が令和元年10月1日から令和4年8月16日までの間に被告製品6の販売により受けた利益の額(消費税抜き)は、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「原告の主張」「R1.10.1 からR4.8.16 まで」「粗利益額(税抜)」欄記載のとおりマイナスの値となっているところ、原告に生じた損害の額がマイナスの値となることはあり得ないから、同 期間に係る計数を考慮する必要はない。 (イ) 控除すべき経費について被告美津濃が経費として控除すべきと主 ているところ、原告に生じた損害の額がマイナスの値となることはあり得ないから、同 期間に係る計数を考慮する必要はない。 (イ) 控除すべき経費について被告美津濃が経費として控除すべきと主張する費用は、被告製品6を製造、販売することによりその製造、販売に直接関連して追加的に必要となった経費ではないから、当該費用の額を控除することはできない。 (ウ) 弁護士費用相当額被告美津濃による本件特許権の侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「原告の主張」「対象期間計」「弁護士費用相当額」欄記載のとおりである。 (エ) 小括 したがって、被告美津濃の不法行為によって原告に生じた損害の額は、 別紙損害額一覧表(被告美津濃)「原告の主張」「対象期間計」「損害額合計」欄記載のとおりとなる。 ク被告コーコス信岡関係(ア) 被告製品7の販売により受けた利益の額被告コーコス信岡が被告製品7の販売により受けた利益の額(消費税 込み)は、別紙損害額一覧表(被告コーコス信岡)「原告の主張」「対象期間計」「粗利益額(税込)」欄記載のとおりであり、これは、特許法102条2項により、原告が受けた損害の額と推定される。 (イ) 控除すべき経費について被告コーコス信岡が経費として控除すべきと主張する費用は、被告製 品7を製造、販売することによりその製造、販売に直接関連して追加的に必要となった経費ではないから、当該費用の額を控除することはできない。 (ウ) 弁護士費用相当額被告コーコス信岡による本件特許権の侵害行為と相当因果関係のある 弁護士費用は、別紙損害額一覧表(被告コーコス信岡)「原告の主張」「対象期間計」「弁護士費用相当額」欄記載のとおりである。 (エ) コーコス信岡による本件特許権の侵害行為と相当因果関係のある 弁護士費用は、別紙損害額一覧表(被告コーコス信岡)「原告の主張」「対象期間計」「弁護士費用相当額」欄記載のとおりである。 (エ) 小括したがって、被告コーコス信岡の不法行為によって原告に生じた損害の額は、別紙損害額一覧表(被告コーコス信岡)「原告の主張」「対象期 間計」「損害額合計」欄記載のとおりとなる。 (被告らの主張)ア被告らに共通する主張について(ア) 特許法102条2項は適用されないこと東京地方裁判所は、令和2年2月5日、別件訴訟事件において、原告 が製造、販売するフルハーネス対応型電動ファン付きウェア(BP50 0FH、P500FH、KU9054F、BM500FH、M500FH及びKU9055F)が被告サンエスの保有する実用新案権(実用新案登録第3198778号)を侵害するとして、製造及び販売の差止めを命じる判決をした。 そのため、原告は、本件特許権の設定登録がされた日以降、被告各製 品の競合品であるフルハーネス対応型電動ファン付きウェアを適法に製造、販売できなかったのであるから、本件において特許法102条2項は適用されない。 (イ) 特許法102条2項の推定が覆滅されることa 原告及び被告ら以外の多くの事業者も、フルハーネス対応型電動フ ァン付きウェアを販売しており、フルハーネスに対応した製品を含む電動ファン付きウェア製品市場において、そのような販売者が占める割合は約33パーセント(原告の市場占有率は約20パーセント)に及ぶ。そして、これらの代替品の販売者は、当該市場への強い訴求力及び十分な生産余力ないし供給能力を有していることが推測される。 したがって、被告らが被告各製品を販売しなかったと パーセント)に及ぶ。そして、これらの代替品の販売者は、当該市場への強い訴求力及び十分な生産余力ないし供給能力を有していることが推測される。 したがって、被告らが被告各製品を販売しなかったとしても、需要者の半数以上は、原告の製品ではなく、第三者の製品を購入するはずである。 b 被告各製品は、「空調風神服」ブランドを付して販売しているところ、「空調風神服」は一般的な名称である「空調服」と異なり、独自のブ ランドとして強い出所識別力を有しており、空調服市場においても相当の市場占有率を誇っている。 c 本件各発明は、「ハーネス型安全帯を着用した場合であっても、冷却効果を発揮することができる高所作業用の空調服」に関する発明である(【0006】)ところ、このような空調服は本件サンプル発明で既 に実現されているから、本件出願時の先行技術との対比において、こ の点が本件各発明の特徴となることはなく、本件各発明の実質は全く存在しないか極めて限定されたものといわざるを得ない。また、服本体の完全な内部において命綱貫通部が服地のどちらの面に接合しているのかは、本件各発明の課題の解決と関係がないし、需要者たる顧客も、命綱貫通部の接合面についてはおよそ関心がないから、被告各製 品のうち本件各発明を実施した部分は、全く顧客誘引力を有しない。 したがって、被告各製品における本件各発明の寄与率は全くないか極めて低いというべきである。 これに対し、被告各製品は、ファンの送風能力の高さ並びにバッテリーの容量の大きさ及び安全性に顧客誘引力があり、命綱貫通部以外 にも多数の機能を有している上、被告らは、本件サンプル発明を実施することにより、「ハーネス型安全帯を着用した場合であっても、冷却効果を発揮することができる高所作業用の があり、命綱貫通部以外 にも多数の機能を有している上、被告らは、本件サンプル発明を実施することにより、「ハーネス型安全帯を着用した場合であっても、冷却効果を発揮することができる高所作業用の空調服」を販売して、同じ額を売り上げることができたから、被告らが本件各発明を実施しなくとも原告が得た利益は変わらなかったといえる。 d 原告の製品は、オンラインストア上のカスタマーレビューで酷評されており、需要者の評判が良くない。 また、前記(ア)のとおり、原告は被告各製品の競合品であるフルハーネス対応型電動ファン付きウェアを適法に製造、販売できなかったのであるから、被告らが被告各製品を販売しなければ、原告がそれに相当す る利益を得られたとはいえない。 イ被告サンエス関係(ア) 控除すべき経費以下のaないしfの各費用は、いずれも被告製品1の製造、販売等に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告サンエスが被 告製品1の販売により受けた利益の額を算定するに当たって控除すべき である。 a カタログに関する費用被告サンエスは、被告製品1についてカタログを製作、印刷し、これを配送するために、別紙損害額一覧表(被告サンエス)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」「カタログ費用」欄記載の額を支 出した。 仮に、当該カタログにおいて被告製品1以外の製品も掲載されていることを考慮しなければならない場合には、全掲載製品数に対する被告製品1の製品数の割合である●(省略)●パーセントを乗じた額を、予備的に主張する。 b チラシに関する費用被告サンエスは、被告製品1についてチラシを製作、印刷し、これを配送するために、別紙損害額一覧表(被告サンエス)「被告らの主張」「対象期 を、予備的に主張する。 b チラシに関する費用被告サンエスは、被告製品1についてチラシを製作、印刷し、これを配送するために、別紙損害額一覧表(被告サンエス)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」「チラシ費用」欄記載の額を支出した。 仮に、当該チラシにおいて被告製品1以外の製品も掲載されている ことを考慮しなければならない場合には、全掲載製品数に対する被告製品1の製品数の割合である●(省略)●パーセントを乗じた額を、予備的に主張する。 c テレビCMに関する費用被告サンエスは、被告製品1についてテレビCMを製作し、これを 放送するために、別紙損害額一覧表(被告サンエス)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」「テレビCM費用」欄記載の額を支出した。 仮に、当該テレビCMにおいて被告製品1以外の製品も宣伝されていることを考慮しなければならない場合には、前記aのカタログにお ける全掲載製品数に対する被告製品1の製品数の割合である●(省略) ●パーセントを乗じた額を、予備的に主張する。 d 雑誌への広告掲載、●(省略)●空調風神服勉強会等に関する費用被告サンエスは、被告製品1について雑誌に広告を掲載し、●(省略)●と出演契約等を締結し、空調風神服勉強会を開催し、販売促進品を製作し、ウェブ広告を掲載するために、別紙損害額一覧表(被告 サンエス)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」「雑誌広告掲載等費用」欄記載の額を支出した。 仮に、当該雑誌広告等において被告製品1以外の製品も宣伝されていることを考慮しなければならない場合には、前記aのカタログにおける全掲載製品数に対する被告製品1の製品数の割合である●(省略) ●パーセントを乗じた額を、予備的に主 1以外の製品も宣伝されていることを考慮しなければならない場合には、前記aのカタログにおける全掲載製品数に対する被告製品1の製品数の割合である●(省略) ●パーセントを乗じた額を、予備的に主張する。 e 展示会出展費用等に関する費用被告サンエスは、被告製品1を含む空調服製品を展示会等に出品し、別紙損害額一覧表(被告サンエス)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」「展示会出展等費用」欄記載の額を支出した。 仮に、当該展示会等において被告製品1以外の製品も出品されていることを考慮しなければならない場合には、全出品製品数に対する被告製品1の製品数の割合である●(省略)●パーセント(一部の展示会については、前記aのカタログにおける全掲載製品数に対する被告製品1の製品数の割合である●(省略)●パーセントと仮定した。)を 乗じた額を、予備的に主張する。 f 送料被告サンエスは、被告製品1について運送会社に運送を依頼し、別紙損害額一覧表(被告サンエス)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」「送料」欄記載の額を支出した。 (イ) 特許法102条2項は適用されないか、同項所定の推定が覆滅される ことa 前記ア(ア)のとおり、本件において特許法102条2項は適用されない。 b 仮に特許法102条2項の推定が適用されるとしても、以下のとおり、被告サンエスは、電動ファン付きウェアの技術及び意匠の面での 開発並びにその普及において多大な貢献をしており、これらの点は、被告サンエスによる被告製品1の販売に大きく寄与しているから、特許法102条2項の推定を覆滅する事由に当たる。 (a) 開発過程における貢献被告サンエスは、平成14年10月頃に社内で電動ファン付きウ ェア 被告製品1の販売に大きく寄与しているから、特許法102条2項の推定を覆滅する事由に当たる。 (a) 開発過程における貢献被告サンエスは、平成14年10月頃に社内で電動ファン付きウ ェアの開発を開始して以来、小型の電動ファンにより、体の表面に大量の風を流すことにより、汗を気化させて、涼しく快適に過ごせるようにするという電動ファン付きウェアの目的を実現するために、服の形状、大きさ、ファンの性能等について多大な費用、労力をかけて開発を続け、被告サンエス製の作業服を完成させるに至った。 特に、量産型電動ファン付きウェアの開発の課題を解決する突破口となった吸い込み方式は、被告サンエスが開発したものである。 (b) 普及における貢献被告サンエスは、量産型電動ファン付きウェアが上市された前後を通じて、ユニフォームの分野において、全国的な流通・販売網を 維持しており、多額の広告宣伝費を投入してきた。また、平成17年に発売された量産型電動ファン付きウェアの多くは、被告サンエスの既存の作業服をベースにしたものであった。 c 前記ア(イ)及びbにおいて主張した事情を考慮すると、被告サンエスが被告製品1の販売により受けた利益の全て又は少なくとも99.9 パーセントは、原告の受けた損害との間に相当因果関係がなく、推定 が覆滅される。 (ウ) 弁護士費用相当額について争う。 ウ被告ビッグボーン商事関係(ア) 控除すべき経費 被告ビッグボーン商事は、販売する商品(主に作業服)の運送、管理を、●(省略)●に委託している。●(省略)●被告ビッグボーン商事が被告製品2を販売した期間における全取扱商品の販売数と被告製品2の販売数の割合を考慮すると、被告製品2に係る運送、管理の業務委託費は、別紙損害額 に委託している。●(省略)●被告ビッグボーン商事が被告製品2を販売した期間における全取扱商品の販売数と被告製品2の販売数の割合を考慮すると、被告製品2に係る運送、管理の業務委託費は、別紙損害額一覧表(被告ビッグボーン商 事)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」「業務委託費」欄記載のとおりとなる。 この費用は、被告製品2の製造、販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告ビッグボーン商事が被告製品2の販売により受けた利益の額を算定するに当たって控除すべきである。 (イ) 特許法102条2項は適用されないか、同項所定の推定が覆滅されること前記ア(ア)及び(イ)のとおり、本件において、特許法102条2項は適用されないか、仮に適用されるとしても、被告ビッグボーン商事が被告製品2の販売により受けた利益の全て又は少なくとも99.9パーセン トは、原告の受けた損害との間に相当因果関係がなく、推定が覆滅される。 (ウ) 弁護士費用相当額について争う。 エ被告アタックベース関係 (ア) 総論 a 原告は、令和2年12月31日以前と令和3年1月1日以降とに分けて、前者については特許法102条2項により、後者については同条3項により、それぞれ損害額を算定している。 しかし、被告アタックベースは、期間全体を通じて被告製品3をその時々の状況に応じた適正な価格で販売しており、被告製品3の販売 は一体とみるべきであるから、一部の期間についてのみ特許法102条2項により損害額を算定することは許されない。 b なお、被告アタックベースは、被告製品3について定価を定めておらず、原告が主張する別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「原告の主張」「販売額②(税抜)」欄記載の額 算定することは許されない。 b なお、被告アタックベースは、被告製品3について定価を定めておらず、原告が主張する別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「原告の主張」「販売額②(税抜)」欄記載の額は、令和3年1月1日から令 和4年8月16日までの間における通常の販売価格にすぎない。 そして、被告アタックベースが期間全体を通じて被告製品3をその時々の状況に応じた適正な価格で販売していたことは、前記aのとおりである。 (イ) 特許法102条2項により算定される損害額 a 被告アタックベースが被告製品3の販売によって受けた利益の額(消費税抜き)は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「被告らの主張」「対象期間計」「粗利益額(税抜)」欄記載のとおりである。 b 控除すべき経費以下の(a)及び(b)の各費用は、いずれも被告製品3の製造、販売に 直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告アタックベースが被告製品3の販売により受けた利益の額を算定するに当たって控除すべきである。 (a) カタログに関する費用被告アタックベースは、被告製品3についてカタログを製作、印 刷し、これを配送するために、別紙損害額一覧表(被告アタックベ ース)「被告らの主張」「控除額(税込)」「カタログ費用」欄記載の額を支出した。 仮に、当該カタログにおいて被告製品3以外の製品も掲載されていることを考慮しなければならない場合には、全掲載製品数に対する被告製品3の製品数の割合を乗じた額を予備的に主張する。 (b) 送料被告アタックベースは、被告製品3について運送会社に運送を依頼し、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」「送料」欄記 (b) 送料被告アタックベースは、被告製品3について運送会社に運送を依頼し、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」「送料」欄記載の額を支出した。 仮に、令和2年12月31日以前に販売した被告製品3から受け た利益のみに基づいて特許法102条2項による損害額を算定することが許容されるとすると、令和元年10月1日から令和2年12月31日までに生じた別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」の送料に基づく「同(予備的主張)」欄記載の額を予備的に主張する。 c 特許法102条2項は適用されないか、同項所定の推定が覆滅されること前記ア(ア)及び(イ)のとおり、本件において、特許法102条2項は適用されないか、仮に適用されるとしても、被告アタックベースが被告製品3の販売により受けた利益の全て又は少なくとも99.9パー セントは、原告の受けた損害との間に相当因果関係がなく、推定が覆滅される。 (ウ) 特許法102条3項により算定される損害額相当な実施料率に関し、原告が本件特許権について第三者と実施許諾契約を締結した事実は立証されていない。そして、業界における実施料 の相場等をみると、「個人用品または家庭用品」の分野のロイヤルティ料 率の平均値は3.5パーセント、最大値は7.5パーセント、最小値は0.5パーセントとされている。 また、本件各発明において課題とされている、「ハーネス型安全帯を着用した場合であっても、冷却効果を発揮することができる高所作業用の空調服を提供すること」(【0007】)は、本件サンプル発明において既 に実現されていたことであるから、本件各発明は、本件出願時の 用した場合であっても、冷却効果を発揮することができる高所作業用の空調服を提供すること」(【0007】)は、本件サンプル発明において既 に実現されていたことであるから、本件各発明は、本件出願時の先行技術に比して、技術的意義や有利な効果も、需要者に対する訴求力もなく、この点が売上げや利益に貢献しているとはいえない。 これらの事情に照らせば、本件各発明の実施に対して受けるべき料率は、「個人用品または家庭用品」の分野のロイヤルティ料率の平均値3. 5パーセントを大きく下回るものであって、具体的には0.1パーセントを超えないというべきである。 (エ) 弁護士費用相当額について争う。 オ被告大川被服関係 (ア) 控除すべき経費被告大川被服は、被告製品4について運送会社に運送を依頼し、別紙損害額一覧表(被告大川被服)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」「送料」欄記載の額を支出した。 この費用は、被告製品4の製造、販売に直接関連して追加的に必要と なった経費であるから、被告大川被服が被告製品4の販売により受けた利益の額を算定するに当たって控除すべきである。 (イ) 特許法102条2項の推定は適用されないか、推定が覆滅されること前記ア(ア)及び(イ)のとおり、本件において、特許法102条2項は適用されないか、仮に適用されるとしても、被告大川被服が被告製品4の 販売により受けた利益の全て又は少なくとも99.9パーセントは、原 告の受けた損害との間に相当因果関係がなく、推定が覆滅される。 (ウ) 弁護士費用相当額について争う。 カ被告福徳産業関係(ア) 控除すべき経費 以下のaないしcの各費用は、いずれも被告製品5の製造、販売に直接関連して追加的に必要となった経費 (ウ) 弁護士費用相当額について争う。 カ被告福徳産業関係(ア) 控除すべき経費 以下のaないしcの各費用は、いずれも被告製品5の製造、販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告福徳産業が被告製品5の販売により受けた利益の額を算定するに当たって控除すべきである。 a 送料 被告福徳産業は、被告製品5について運送会社に運送を依頼し、別紙損害額一覧表(被告福徳産業)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」「送料」欄記載の額を支出した。 b カタログ及びチラシの製作費用被告福徳産業は、被告製品5についてカタログ及びチラシを製作、 印刷するために、別紙損害額一覧表(被告福徳産業)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」「カタログ等製作費用」欄記載の額を支出した。 仮に、当該カタログ等において被告製品5以外の製品も掲載されていることを考慮しなければならない場合には、全掲載製品数に対する 被告製品5の製品数の割合である●(省略)●パーセントを乗じた額を、予備的に主張する。 c カタログ及びチラシの発送費用被告福徳産業は、被告製品5についてカタログ及びチラシを発送するために、別紙損害額一覧表(被告福徳産業)「被告らの主張」「対象 期間計」「控除額(税込)」「カタログ等発送費用」欄記載の額を支出し た。 仮に、当該カタログ等において被告製品5以外の製品も掲載されていることを考慮しなければならない場合には、全掲載製品数に対する被告製品5の製品数の割合である●(省略)●パーセントを乗じた額を、予備的に主張する。 (イ) 特許法102条2項は適用されないか、同項所定の推定が覆滅されること前記ア(ア)及び(イ)のとおり、本件において、特許法 る●(省略)●パーセントを乗じた額を、予備的に主張する。 (イ) 特許法102条2項は適用されないか、同項所定の推定が覆滅されること前記ア(ア)及び(イ)のとおり、本件において、特許法102条2項は適用されないか、仮に適用されるとしても、被告福徳産業が被告製品5の販売により受けた利益の全て又は少なくとも99.9パーセントは、原 告の受けた損害との間に相当因果関係がなく、推定が覆滅される。 (ウ) 弁護士費用相当額について争う。 キ被告美津濃関係(ア) 被告製品6の販売により受けた利益の額 被告美津濃においては、販売した商品の返品又はキャンセルがあった場合、元の売上げを修正又は削除する代わりに、新たにマイナスの値で売上げを計上する経理処理を行っている。令和元年10月以降の被告製品6に係る「販売額(税抜)」がマイナスの値となっているのは、その期間において、被告製品6を複数点販売したものの、これを上回る返品又 はキャンセルに伴ってマイナスの値で売上げを計上したためである。 被告美津濃が採用している経理システム上、返品又はキャンセルに係るマイナスの売上げと、その元となった売上げとを個々に対応付けることは困難である。しかし、令和元年10月以降に売上げがマイナスの値で計上されたもののほとんどは、同年9月以前に販売したものが返品又 はキャンセルされたものであるから、被告美津濃が被告製品6の販売に より受けた利益の額を算定する際には、同年10月以降にマイナスの値で売上げが計上されたものも通算するのが相当である。 したがって、被告美津濃が被告製品6の販売により受けた粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「被告らの主張」「対象期間計」「粗利益額(税抜)」記載の額にとどまる。 るのが相当である。 したがって、被告美津濃が被告製品6の販売により受けた粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「被告らの主張」「対象期間計」「粗利益額(税抜)」記載の額にとどまる。 (イ) 控除すべき経費以下のaないしcの各費用は、いずれも被告製品6の製造、販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告美津濃が被告製品6の販売により受けた利益の額を算定するに当たって控除すべきである。 a カタログ及びパンフレットの製作費用被告美津濃は、被告製品6についてカタログ及びパンフレットを製作、印刷するために、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」「カタログ等費用」欄記載の額を支出した。 仮に、当該カタログ等において被告製品6以外の製品も掲載されていることを考慮しなければならない場合には、全掲載製品数に対する被告製品6の製品数の割合を乗じた額を予備的に主張する。 b 送料被告美津濃は、被告製品6について運送会社に運送を依頼し、別紙 損害額一覧表(被告美津濃)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」「送料」欄記載の額を支出した。 c 倉庫保管料被告美津濃は、被告製品6についての倉庫保管料として、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税 込)」「倉庫保管料」欄記載の額を支出した。 (ウ) 特許法102条2項は適用されないか、同項所定の推定が覆滅されること前記ア(ア)及び(イ)のとおり、本件において、特許法102条2項は適用されないか、仮に適用されるとしても、被告美津濃が被告製品6の販売により受けた利益の全て又は少なくとも99.9パーセントは、原告 の )及び(イ)のとおり、本件において、特許法102条2項は適用されないか、仮に適用されるとしても、被告美津濃が被告製品6の販売により受けた利益の全て又は少なくとも99.9パーセントは、原告 の受けた損害との間に相当因果関係がなく、推定が覆滅される。 (エ) 弁護士費用相当額について争う。 ク被告コーコス信岡関係(ア) 控除すべき経費 被告コーコス信岡は、被告製品7についてカタログを製作、印刷するために、別紙損害額一覧表(被告コーコス信岡)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」「カタログ費用」欄記載の額を支出した。 この費用は、被告製品7の製造、販売に直接関連して追加的に必要となった経費であるから、被告コーコス信岡が被告製品7の販売により受 けた利益の額を算定するに当たって控除すべきである。 (イ) 特許法102条2項は適用されないか、同項所定の推定が覆滅されること前記ア(ア)及び(イ)のとおり、本件において、特許法102条2項は適用されないか、仮に適用されるとしても、被告コーコス信岡が被告製品 7の販売により受けた利益の全て又は少なくとも99.9パーセントは、原告の受けた損害との間に相当因果関係がなく、推定が覆滅される。 (ウ) 弁護士費用相当額について争う。 第3 当裁判所の判断 1 本件明細書の記載事項等 (1) 本件明細書(甲2)の「発明の詳細な説明」には、以下の記載がある(下記記載中に引用する図面については、別紙本件明細書図面目録参照)。 ア 【技術分野】【0001】本発明は、服内に空気の流れを生じさせる送風手段を取り付けるため の取付部を備える服に関するものである。 【背景技術】【0002】近年、身体を冷却する空調服が実用化 】【0001】本発明は、服内に空気の流れを生じさせる送風手段を取り付けるため の取付部を備える服に関するものである。 【背景技術】【0002】近年、身体を冷却する空調服が実用化され急激に普及しつつある。従来の空調服101は、通気性の小さな素材で縫製された服本体110と、 服本体110の後側部の下方に取り付けられた2つのファン140、140と、2つのファン140、140に電力を供給するための電源装置(不図示)と、電源装置と2つのファン140、140とを電気的に接続するための電源ケーブル(不図示)とを備える。 【0003】 ファン140を作動させると、大量の空気がファン140から服本体110内に取り込まれる。取り込まれた空気の圧力により服本体110と身体又は下着との間に空気流通路が自動的に形成され、取り込まれた空気は、形成された空気流通路を身体又は下着の表面に沿って上方に流通し、例えば、襟部の周囲や袖口部から外部に排出される。ここで、襟 部の周囲や袖口部は、空気排出部130としての役割を果たしている。 そして、空気は、服本体110と身体又は下着との間の空気流通路を流通する間に身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する時の気化熱により身体が冷却される… 。 【0004】 ところで、建設現場等の高所作業では転落事故の防止のため、…先端 にフックHK81を有するワイヤーWR81が背上部に連結されたハーネス型安全帯HN81を主に使用し、フックHK81を固定物に引っ掛けることにより、万一作業者が足を踏み外した場合でもワイヤーWR81が命綱となり、地上等への転落を防止するような安全対策が講じられている。 そして、従来は、このようなハーネス型安全帯HN81を空調服101の上から着 が足を踏み外した場合でもワイヤーWR81が命綱となり、地上等への転落を防止するような安全対策が講じられている。 そして、従来は、このようなハーネス型安全帯HN81を空調服101の上から着用していた。 イ 【発明が解決しようとする課題】【0006】しかしながら、従来の空調服101の上からハーネス型安全帯HN8 1を着用した場合、ハーネス型安全帯HN81の帯により、空調服101の服地と体との間の空気流通路が塞がれてしまい冷却効果が激減してしまうといった問題点があった。 【0007】本発明の課題は、ハーネス型安全帯を着用した場合であっても、冷却 効果を発揮することができる高所作業用の空調服を提供することにある。 ウ 【課題を解決するための手段】【0008】上記課題を達成するため、この発明は、服内に空気の流れを生じさせる送風手段を取り付けるための取付部を 備える服であって、前記服の服地に形成された貫通孔と、命綱が貫通する命綱貫通部と、を備え、前記命綱貫通部は、 当該命綱貫通部からの空気の漏れを防止する第1空気漏れ防止手段を 備え、一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され、前記服地の裏面側に格納された状態と、前記貫通孔を介して前記服地の表面側へと引き出された状態とを切り替え可能であることを特徴とする服である。 エ 【発明の効果】【0010】本発明によれば、転落防止用のワイヤーが取り付けられた安全帯を着用した場合であっても、その上から空調服を着用でき、ワイヤーを通したワイヤー貫通手段からの空気の漏れを 効果】【0010】本発明によれば、転落防止用のワイヤーが取り付けられた安全帯を着用した場合であっても、その上から空調服を着用でき、ワイヤーを通したワイヤー貫通手段からの空気の漏れを防止できるので、空調服として の冷却効果を発揮することができる。 オ 【発明を実施するための形態】【0018】ワイヤー貫通手段2は、図2及び図3に示すように一方の端部が背上部に設けられたフック貫通孔HL31を開閉する第2開閉手段15を囲 むように服地の裏面に接合され、他方の端部に第1空気漏れ防止手段23が設けられた通気性の小さな又は通気性のないしなやかな(折り曲げ自在な)シート状素材により筒状に作製されている。 …【0019】 ワイヤー貫通手段2について、より具体的に説明する。 背上部の服地の裏面に接合される端部(内側端部TM31)の周長は第2開閉手段15の長さFLの二倍より十分に長く、他端(外側端部TM32)の周長は内側端部TM31の周長より短く、また内側端部TM31から外側端部TM32までの長さ(服地の裏面に接合される部分を 除くワイヤー貫通手段2の全長)Lは、後述の第1空気漏れ防止手段2 3を形成するのに十分な長さを有するものである。 …【0021】ワイヤー貫通手段2は、しなやかなシート状素材で作製されているので、服本体10の内部に格納し、第2開閉手段15であるファスナーを 閉じることもできるし、第2開閉手段15を開けて、ワイヤー貫通手段2のうち服本体10の裏面に接合されていない部分の大半を外側に引き出すこともできる。 【0024】次に、空調服1の効果について説明する。 先端 て、ワイヤー貫通手段2のうち服本体10の裏面に接合されていない部分の大半を外側に引き出すこともできる。 【0024】次に、空調服1の効果について説明する。 先端にフックHK41の付いたワイヤーWR41が空調服1を貫通しているのでハーネス型安全帯HN41を着用しその上に空調服1を着用した場合でも、フックHK41をしかるべきところに引っ掛け安全を確保することができる。 【0025】 また、第1空気漏れ防止手段23によりワイヤー貫通手段2の外側端部TM32とワイヤーWR41とは密着している。このため、空調服1を作動させても、当該密着部分からの空気の漏れはないので、通常の空調服と同様にファン4により服本体10内に大量の空気が取り込まれ、自動的に形成された空気流通路を身体又は下着の表面に沿って上方に流 通し、空気排出部12から排出されるので、効率よく汗を蒸発させ体を冷却することができる。 【0027】また、使用者は、常にハーネス型安全帯HN41を着用するのではなく、ハーネス型安全帯HN41を使用しない作業(通常作業)も行うこ とがある。… 【0028】先ず、外側に飛び出したワイヤー貫通手段2を背上部にある開かれた第2開閉手段15の開口部から服本体10の内側に押し込み第2開閉手段15を閉じる。これによりワイヤー貫通手段2は空調服1の内部に収納され通常の空調服として使用することができる。 (2) 前記(1)の記載事項によれば、本件明細書には、本件各発明に関し、以下のとおりの開示があると認められる。 ア従来の空調服は、通気性の小さな素材で縫製された服本体と、服本体の後側部の下方に取り付けられた2つのファン等を備えており、ファンを作動させると に関し、以下のとおりの開示があると認められる。 ア従来の空調服は、通気性の小さな素材で縫製された服本体と、服本体の後側部の下方に取り付けられた2つのファン等を備えており、ファンを作動させると、大量の空気がファンから服本体内に取り込まれ、取り込まれ た空気の圧力により服本体と身体又は下着との間に空気流通路が自動的に形成され、取り込まれた空気は、形成された空気流通路を身体又は下着の表面に沿って上方に流通する間に身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する時の気化熱により身体が冷却される構造である(【0002】及び【0003】)。その一方で、建設現場等の高所作業では転落事故の防止のため、先 端にフックを有するワイヤーが背上部に連結されたハーネス型安全帯を使用し、フックを固定物に引っ掛けることにより、万一作業者が足を踏み外した場合でもワイヤーが命綱となり、地上等への転落を防止するような安全対策が講じられており、従来は、このようなハーネス型安全帯を空調服の上から着用していたところ、この方法では、ハーネス型安全帯の帯によ り、空調服の服地と体との間の空気流通路が塞がれてしまい冷却効果が激減してしまうといった問題点があった(【0004】及び【0006】)。 イこの発明は、前記アの問題を解決することを目的として、服内に空気の流れを生じさせる送風手段を取り付けるための取付部を備える服であって、前記服の服地に形成された貫通孔と、命綱が貫通する命綱貫通部と、を備 え、前記命綱貫通部は、当該命綱貫通部からの空気の漏れを防止する第1 空気漏れ防止手段を備え、一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され、前記服地の裏面側に格納された状態と、前記貫通孔を介して前記服地の表面側へと引き出された状態とを切り替え可 空気漏れ防止手段を備え、一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され、前記服地の裏面側に格納された状態と、前記貫通孔を介して前記服地の表面側へと引き出された状態とを切り替え可能であることを特徴とする服との構成を採用することにより、転落防止用のワイヤーが取り付けられた安全帯を着用した場合であっても、その上から空調服を着用 でき、ワイヤーを通したワイヤー貫通手段からの空気の漏れを防止できるので、空調服としての冷却効果を発揮することができるとの効果を奏する(【0007】、【0008】及び【0010】)。 2 争点1(被告各製品が本件各発明の技術的範囲に属するか)について(1) 構成要件Dの充足性 ア 「一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され」の意義(ア) 本件特許の特許請求の範囲には、「前記命綱貫通部は、当該命綱貫通部からの空気の漏れを防止する第1空気漏れ防止手段を備え、」(構成要件C)との記載及びこれに続く「一方の端部が前記服地の裏面側に接合さ れた筒状に形成され、」(構成要件D)との記載がある。これらの記載によれば、構成要件Dの「接合され」及び「形成され」の各述語の主語は、いずれも構成要件Cが規定する「前記命綱貫通部」であることが明らかであるから、「前記命綱貫通部」は、「一方の端部が前記服地の裏面側に接合され」るものであって、かつ、「筒状に形成され」るものであると理 解できる。他方で、上記の記載から、「命綱貫通部」の「一方の端部」が「服地の裏面側」にどのように「接合」されるのかについては特段規定されてないと理解できる。 (イ) 被告らは、本件明細書の【0018】、【0019】、【図2】及び【図3】には、ワイヤー貫通手段2の服地の裏側への接合は円筒状に、かつ、 されるのかについては特段規定されてないと理解できる。 (イ) 被告らは、本件明細書の【0018】、【0019】、【図2】及び【図3】には、ワイヤー貫通手段2の服地の裏側への接合は円筒状に、かつ、 縁でされていることが示されているとして、構成要件Dの「一方の端部 が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され」とは、命綱貫通部の服地の裏側への接合が、円筒状に、かつ、その縁でされていることを意味すると主張する。 しかし、本件明細書の【0018】には、「ワイヤー貫通手段2は」「第2開閉手段15を囲むように服地の裏面に接合され」ることが記載 されているものの、同【0018】及び【0019】のいずれにおいても、その「接合」が円筒状にされることも縁でされることも記載されていない。そうすると、仮に同【0018】で引用されている【図2】及び【図3】において被告らの主張する接合の態様が示されているとしても、そのような態様に限定されるものではないと理解できる。これらの ほか、本件特許の特許請求の記載及び本件明細書の他の記載を考慮しても、被告らが主張する解釈が示されていると認めることはできない。 したがって、被告らの上記主張を採用することはできない。 イ被告各製品の構成及びあてはめ(ア) 被告各製品の円柱状構造物が、本件各発明の「命綱貫通部」に当たる ことは当事者間に争いがない、(イ) 被告各製品の構成d(前提事実(6)、別紙被告各製品構成目録参照)のとおり、被告各製品の円柱状構造物の開口部の反対側(服側)の端部は、服本体の内側の生地に接着する形で縫い付けられているから、被告各製品の円柱状構造物は、その「一方の端部が前記服地の裏面側に接合され」 ているというべきである。 また、上記構成dのとおり 服本体の内側の生地に接着する形で縫い付けられているから、被告各製品の円柱状構造物は、その「一方の端部が前記服地の裏面側に接合され」 ているというべきである。 また、上記構成dのとおり、被告製品の円柱状構造物の形状は筒状であるから、「筒状に形成され」ているものといえる。 したがって、被告各製品は、構成要件Dを充足すると認められる。 (2) 構成要件G、I、K、M、P、R及びTの充足性 前提事実(7)のとおり、被告各製品は、構成要件AないしC、E、F、H、 J、L、N、O、Q及びSをいずれも充足する。 そして、前記(1)のとおり、被告各製品は、構成要件Dを充足し、「請求項1に記載の服」に当たるから、構成要件G、I、K、R及びTを充足するとともに、構成要件M及びPを充足すると認められる。 (3) 小括 以上によれば、被告各製品は、本件各発明の技術的範囲に属すると認められる。 3 争点2-1(特許法17条の2第3項所定の補正要件違反)について(1) 本件当初明細書等の記載本件当初明細書等には、以下の記載があることが認められる(乙3)。 【0018】ワイヤー貫通手段2は、図2及び図3に示すように一方の端部が背上部に設けられたフック貫通孔HL31を開閉する第2開閉手段15を囲むように服地の裏面に接合され、…通気性の小さな又は通気性のないしなやかな(折り曲げ自在な)シート状素材により筒状に作製されている。 【0019】ワイヤー貫通手段2について、より具体的に説明する。 背上部の服地の裏面に接合される端部(内側端部TM31)…【0021】ワイヤー貫通手段2は、しなやかなシート状素材で作製されているので、 服本体10の内部に格納し、第2開閉手段15であるファ 部の服地の裏面に接合される端部(内側端部TM31)…【0021】ワイヤー貫通手段2は、しなやかなシート状素材で作製されているので、 服本体10の内部に格納し、第2開閉手段15であるファスナーを閉じることもできるし、第2開閉手段15を開けて、ワイヤー貫通手段2のうち服本体10の裏面に接合されていない部分の大半を外側に引き出すこともできる。 【0023】最初に、ハーネス型安全帯HN41を通常の手順で着用する。 そして、…空調服1の内側からワイヤー貫通手段2を介しフックHK41 を外側に引き出す。 …【0027】また、使用者は、常にハーネス型安全帯HN41を着用するのではなく、ハーネス型安全帯HN41を使用しない作業(通常作業)も行うことがある。 この場合のハーネス型安全帯HN41を使用した後の状態(第2開閉手段15が開いてワイヤー貫通手段2が外側に飛び出している)から通常作業を行う場合の使用方法について説明する。 【0028】先ず、外側に飛び出したワイヤー貫通手段2を背上部にある開かれた第2 開閉手段15の開口部から服本体10の内側に押し込み第2開閉手段15を閉じる。これによりワイヤー貫通手段2は空調服1の内部に収納され通常の空調服として使用することができる。 【0029】… 実施形態の空調服1を通常作業用に使用する場合では、服本体10の内部に収納されたワイヤー貫通手段2が身体又は下着と、空調服1の服地との間の当該空気流通路をふさぎ冷却能力が部分的に劣化することがある。 …(2) 請求項1の「前記命綱貫通部は、一方の端部が前記服地の裏面側に接合さ れた筒状に形成され」に係る補正が新規事項を追加するものであるとの主張について本件当初明細書等の【0 。 …(2) 請求項1の「前記命綱貫通部は、一方の端部が前記服地の裏面側に接合さ れた筒状に形成され」に係る補正が新規事項を追加するものであるとの主張について本件当初明細書等の【0023】、【0027】及び【0028】の記載によれば、本件当初明細書等には、本件各発明の目的として、①ハーネス型安全帯HN41を使用する作業を行う際には、空調服1の内側からワイヤー貫 通手段2を介しフックHK41を外側に引き出すことができ、②ハーネス型 安全帯HN41を使用しない作業(通常作業)を行う際には、ワイヤー貫通手段2を空調服1の内部に収納し、通常の空調服として使用できるという二種類の使用方法を実現することが開示されていると認められる。これを踏まえて、本件当初明細書等の【0021】の記載を読むと、上記の目的を十分に達成するためには、空調服の内部にワイヤー貫通手段2を完全に格納する ため、ワイヤー貫通手段2を格納する側に、ワイヤー貫通手段2と服本体10の接合部があることが必要であり、この構成を採用することによって、①ハーネス型安全帯HN41を使用する作業を行う際には、ワイヤー貫通手段2の大半を服本体10の外側に引き出すことが可能となり、②ハーネス型安全帯HN41を使用しない作業(通常作業)を行う際には、ワイヤー貫通手 段2全体を服本体10の内部に格納することが可能となるとの効果を奏するものと理解できる。そうすると、本件当初明細書等に記載されていた「服地の裏面に接合」と、本件補正によって追加された「服地の裏面側に接合」とは、いずれもワイヤー貫通手段2と「服地」との「接合」が、ワイヤー貫通手段2を格納する側でされることを意味すると認められる。 また、本件当初明細書等の【0021】の記載から、ワイヤー貫 」とは、いずれもワイヤー貫通手段2と「服地」との「接合」が、ワイヤー貫通手段2を格納する側でされることを意味すると認められる。 また、本件当初明細書等の【0021】の記載から、ワイヤー貫通手段2は、請求項1の「命綱貫通部」に当たると認められる。 したがって、請求項1の「前記命綱貫通部は、一方の端部が前記服地の裏面側に接合された筒状に形成され」に係る補正は、本件当初明細書等に開示されていた事項に係るものであって、新たな技術的事項を追加するものとは いえない。 (3) 請求項1の「前記服地の裏面側に格納された」に係る補正が新規事項を追加するものであるとの主張について本件当初明細書等(乙3)には、ワイヤー貫通手段2に関し、前記(1)のとおり、「服本体の内部に格納」(【0021】)、「服本体の内部に収納」(【00 29】)されるものであることが記載されているものの、「前記服地の裏面側 に格納された」との文言そのものを用いて説明する記載はないことが認められる。 しかし、前記(2)において説示したとおり、本件各発明の目的の一つは、ハーネス型安全帯HN41を使用しない作業(通常作業)を行う際に、ワイヤー貫通手段2を空調服1の内部に収納し、通常の空調服として使用可能とす ることであると認められる。そして、本件当初明細書等の「ワイヤー貫通手段2は、図2及び図3に示すように一方の端部が…服地の裏面に接合され」(【0018】)、「ワイヤー貫通手段2について、より具体的に説明する。背上部の服地の裏面に接合される端部(内側端部TM31)…」(【0019】)との記載並びに【図2】及び【図3】を考慮すると、本件当初明細書等 の【0021】及び【0029】の記載は、ワイヤー貫通手段2と「服地」との「接合」は、ワ 側端部TM31)…」(【0019】)との記載並びに【図2】及び【図3】を考慮すると、本件当初明細書等 の【0021】及び【0029】の記載は、ワイヤー貫通手段2と「服地」との「接合」は、ワイヤー貫通手段2を格納する側でされることに加え、ワイヤー貫通手段2が「格納」(「収納」と同義)される側は、「服本体」又は「服本体」を構成する部材としての「服地」を基準としたときの「裏面」(内部と同義)側であるとの意味と理解できる。 したがって、請求項1の「前記服地の裏面側に格納された」に係る補正は、本件当初明細書等に開示されていた事項に係るものであって、新たな技術的事項を追加するものとはいえない。 (4) それ以外の補正箇所について被告らは、請求項3の「前記服地の裏面側に接合されている」、請求項6の 「前記服地の裏面側に接合される」、本件明細書の【0008】の「前記服地の裏面側に接合される」に係る各補正についても、新規事項を追加するものであるとの主張するが、前記(2)において説示したとおり、新たな技術的事項を追加するものとはいえない。 (5) 小括 したがって、本件補正は、特許法17条の2第3項所定の補正要件に違反 するものと認めることはできない。 4 争点2-2(公知・公然実施発明に基づく新規性及び進歩性欠如)について(1) 本件サンプルに係る発明が本件特許出願前に公然知られた発明又は公然実施をされた発明であるかについて証拠(乙16ないし19、54)によれば、作業服Kは、平成27年5月 20日頃、被告サンエスから本件サンプルを受領し、各店舗の責任者に対してその着用方法を説明したり、本件サンプルを社内の会議室に展示したりしていたことが認められる。そして、作業服Kが、被告サンエスに対し、本件 、被告サンエスから本件サンプルを受領し、各店舗の責任者に対してその着用方法を説明したり、本件サンプルを社内の会議室に展示したりしていたことが認められる。そして、作業服Kが、被告サンエスに対し、本件サンプルの存在、具体的構成などについて秘密保持義務を負っていたと認めるに足りる証拠はない。 これらの事実に照らせば、本件サンプルに係る発明は、本件出願前に公然知られた発明かつ公然実施をされた発明であると認められる。 (2) 本件サンプルに係る発明の構成ア本件サンプルに係る発明が次の構成を備えることは、当事者間に争いがない。 a 服内に空気の流れを生じさせる送風手段を取り付けるための取付部を備える服であって、b 前記服の服地に形成された貫通孔と、命綱が貫通する命綱貫通部と、を備え、c 前記命綱貫通部は、当該命綱貫通部からの空気の漏れを防止する第 1空気漏れ防止手段を備え、d1 一方の端部が前記服地の表面側に接合されたd2 筒状に形成され、イ被告らが主張する構成e及び原告が主張する構成e′について(ア) 証拠(乙20、62、71ないし74)によれば、本件サンプルは、 次の構造を有することが認められる。 服本体の背部に貫通孔が設けられ、命綱が貫通する取出し筒の一方の端部が、当該貫通孔の外側かつ服本体の表面側に接合されている。 フルハーネス着用時には、取出し筒を引き出して使用される。 フルハーネス非着用時には、当該取出し筒を折りたたみ、服本体の背部に設けられている面ファスナーと、収納片に設けられている面ファス ナーとを貼り合わせ、服本体の背部外側に開閉可能なように設けられている収納片を閉じ、折りたたんだ当該取出し筒を当該服本体と当該収納片との間に格納できる。 ナーと、収納片に設けられている面ファス ナーとを貼り合わせ、服本体の背部外側に開閉可能なように設けられている収納片を閉じ、折りたたんだ当該取出し筒を当該服本体と当該収納片との間に格納できる。また、取出し筒の内側には、相互に貼り付けることができる一対の面ファスナーが設けられており、当該取出し筒を折りたたむ際に固定するとともに貫通孔を閉塞するために、当該面ファス ナーを利用することができる。 (イ) 公然実施をされた発明は、機械、装置、システムなどを媒体として、不特定の者に公然知られる状況又は公然知られるおそれのある状況において実施された発明であるから、媒体となった公然実施品の構造、動作等の事実から本件各発明との対比に必要な発明の構成を認定すべきであ り、その事実の解釈に当たっては、発明が実施された時における技術常識を参酌することにより当業者が導き出せる事項も、認定の基礎とすることができると解される。また、公然実施品においては、特許公報等の刊行物と異なり、それ自体からは構成部材の範囲を厳格に定める定義等が明らかでないことが通常であるため、各部材が当該公然実施品におい てどのような機能を果たしているかに着目して、本件各発明との対比に必要な構成を認定することができると解するのが相当である。 本件についてみると、本件明細書の【0021】の「ワイヤー貫通手段2は、しなやかなシート状素材で作製されているので、服本体10の内部に格納し、第2開閉手段15であるファスナーを閉じることもでき る」と記載されていることからすると、命綱貫通部を服の内部に格納し、 格納した命綱貫通部を外界から遮断することは、本件発明1の技術的意義の一つと解される。そして、前記3(3)のとおり、「ワイヤー貫通手段2」が「格 ると、命綱貫通部を服の内部に格納し、 格納した命綱貫通部を外界から遮断することは、本件発明1の技術的意義の一つと解される。そして、前記3(3)のとおり、「ワイヤー貫通手段2」が「格納」される側は、「服本体」又は「服本体」を構成する部材としての「服地」を基準としたときの「裏面」側であり、また、「ワイヤー貫通手段2」が「接合」されるのは、「服本体」と同義の「服地」である ことを考慮すると、本件発明1と対比すべき本件サンプルに係る発明を認定するに当たり、「服本体」ないし「服地」を構成する部材のみならず、当該命綱貫通部に相当する部材の格納場所は、その重要な構成要素というべきである。 前記(ア)において認定した本件サンプルの構造に照らせば、収納片は、 本件発明1が規定する「命綱貫通部」に相当する取出し筒の格納時に、周辺の服地(服本体を構成する部材)と一体となって貫通孔を閉塞し、服の内部と外部との境界となるものであるから、本件発明1が規定する「服地」に当たる。また、取出し筒についても、服地(服本体)との接合部から当該取出し筒の内側に設けられている面ファスナーまでの部分 は、取出し筒の格納時に、周辺の服地(服本体を構成する部材)と一体となって貫通孔を閉塞し、服の内部と外部との境界となるものであるから、同様に本件発明1が規定する「服地」に当たると解することができる(なお、服地には表地と裏地があるように、服の内部と外部との境界を構成する服地が複数あることは何ら不自然ではないといえ、本件サン プルに係る発明が公然実施された時において、このような理解を妨げるような技術常識が存在したことはうかがわれない。)。 以上によれば、被告らが主張する構成e及び原告が主張する構成e′に相当する本件サンプルに係る発明の構成は、次 た時において、このような理解を妨げるような技術常識が存在したことはうかがわれない。)。 以上によれば、被告らが主張する構成e及び原告が主張する構成e′に相当する本件サンプルに係る発明の構成は、次のように認定するのが相当である。 e″ 服地(服本体)の表面側に露出した状態(命綱使用時)と、服本 体の背部外側に開閉可能に設けられている収納片を閉じ、当該服本体の外側に設けられている面ファスナーと、当該収納片に設けられている面ファスナーとを貼り合わせ、折りたたんだ当該命綱貫通部を、当該収納片と、当該命綱貫通部のうち服地(服本体)との接合部から当該命綱貫通部の内側に設けられている面ファスナーまでの 部分との間に格納できる状態(命綱不使用時)とを切り替え可能であることを特徴とする服。 (3) 本件発明1と本件サンプルに係る発明との間の一致点及び相違点ア一致点本件発明1と前記(2)において認定した本件サンプルに係る発明(以下 「本件サンプル発明″」という。)との間の一致点は、次のとおりと認められる。 ① 服内に空気の流れを生じさせる送風手段を取り付けるための取付部を備える服であって、② 前記服の服地に形成された貫通孔と、命綱が貫通する命綱貫通部と、 を備え、③ 前記命綱貫通部は、当該命綱貫通部からの空気の漏れを防止する第1空気漏れ防止手段を備え、④ 一方の端部が前記服地に接合された筒状に形成され、⑤ 命綱使用時に服地の表面側に露出した状態となる との点イ相違点(ア) 本件発明1の構成と前記(2)において認定した本件サンプル発明″の構成とを対比すると、本件発明1と本件サンプル発明″は、構成d1及びe″の点において一部相違するといえる。そして、本件明細書の【00 発明1の構成と前記(2)において認定した本件サンプル発明″の構成とを対比すると、本件発明1と本件サンプル発明″は、構成d1及びe″の点において一部相違するといえる。そして、本件明細書の【00 21】において、「ワイヤー貫通手段2のうち服本体10の裏面に接合さ れていない部分の大半を外側に引き出すこともできる。」と記載されており、この記載から、通常作業を行う場合(【0027】参照)には、服本体の内側に命綱貫通部全体が格納されていることを前提に、命綱使用時には、その格納された命綱貫通部の「大半」を外側に引き出すことができるものと理解することができる。このような記載に照らすと、本件発 明1の技術的意義は、服本体との接合部を含む命綱貫通部の全体を、服本体の内側に格納することにあると認められる。そうすると、本件発明1において、構成要件Dの命綱貫通部の「一方の端部が」「服地の裏面側に接合され」ているとの構成は、上記の技術的意義を実現するための必要不可欠な手段であると理解できる。したがって、命綱貫通部と服地と の接合態様に係る構成要件Dとこれに対応する構成d1との相違点については、命綱貫通部の収納を実現するための構成要件Eとこれに対応する構成e″との相違点と合わせて一体の相違点として認定するのが相当である。 (イ) 以上によれば、本件発明1と本件サンプル発明″との間の相違点(以 下「相違点1″」という。)は、次のとおりと認められる。 本件発明1では、命綱貫通部の一方の端部が服地(服本体)の裏面側に接合されており、命綱不使用時に命綱貫通部の全体が服地(服本体)の裏面側に格納されるのに対し、本件サンプル発明″では、命綱貫通部の一方の端部が服地(服本体)の表面側に接合されており、服本体の背 部外側に開閉可 綱不使用時に命綱貫通部の全体が服地(服本体)の裏面側に格納されるのに対し、本件サンプル発明″では、命綱貫通部の一方の端部が服地(服本体)の表面側に接合されており、服本体の背 部外側に開閉可能に設けられている収納片を閉じ、当該服本体の外側に設けられている面ファスナーと、当該収納片に設けられている面ファスナーとを貼り合わせ、折りたたんだ当該命綱貫通部を、当該収納片と、当該命綱貫通部のうち服地(服本体)との接合部から当該命綱貫通部の内側に設けられている面ファスナーまでの部分との間に格納される点 ウ小括 したがって、その余の点について判断するまでもなく、本件各発明が本件サンプル発明″と同一の発明であると認めることはできない。 (4) 本件発明1の容易想到性についてア相違点1″について(ア) 被告らは、被服の分野において、服地の開口部の表側に引出し可能に 取付物を取り付ける場合に、取付物の接合を服地の裏面側とすることは、周知慣用の技術であり、本件サンプル発明にこの技術を適用することにより、当業者は、相違点に係る本件発明1の構成を容易に想到できたと主張する。 (イ) そこで検討すると、被告らが前記(ア)の主張の根拠とする乙21号証な いし27号証は、ポケットの内部や、表地と裏地の間に格納するために、部材を服地(表地や裏地を含む、服の内部と外部との境界を構成する個々の部材)の裏面側に接合する技術を開示するものと認められる。そして、本件サンプルは、被服の分野に属する製品であると認められるから、ポケットの内部や、表地と裏地の間に格納する技術と本件サンプル 発明″とは、技術分野が一応関連するものといえる。 しかし、上記のとおり、乙21号証ないし27号証が開示する技術は、部材をポケットの内部 の内部や、表地と裏地の間に格納する技術と本件サンプル 発明″とは、技術分野が一応関連するものといえる。 しかし、上記のとおり、乙21号証ないし27号証が開示する技術は、部材をポケットの内部に格納したり、表地と裏地の間に格納したりするものであって、ある部材の位置を服本体の表面側と裏面側との間で切り替え可能としたり、服本体の裏面側に格納したりする技術であるとはい えないし、それらの証拠を精査しても、服本体に貫通孔が設けられ、その周囲に筒状体の一方の端部が服本体に接合されているような例が開示されているとは認めることができないから、技術分野が具体的に関連しているとまではいえない。加えて、本件サンプル発明″と被告らが主張する周知慣用の技術との間において、課題、作用又は機能の共通性や本 件サンプル発明″に同周知慣用の技術を適用することの示唆があると認 めるに足りる証拠はない。 そうすると、服本体に貫通孔が設けられ、その周囲に筒状体の一方の端部が服本体の表面側に接合されている構成につき、当業者において、部材をポケットの内部や表地と裏地の間に格納するために当該部材を服地の裏面側に接合する技術を適用して、筒状体の一方の端部の接合部を 服本体の表面側から裏面側に変更するとの動機付けがあるとは認め難いというべきである。 仮に、当業者が本件サンプル発明″において命綱貫通部の一方の端部を服本体の裏面側に接合するように変更することを想到できたとしても、折りたたんだ命綱貫通部を、収納片と、当該命綱貫通部のうち服地(服 本体)との接合部から当該命綱貫通部の内側に設けられている面ファスナーまでの部分との間に格納されるとの構成が維持されることとなるから、結局、本件発明1に到達しないこととなる。 以上によれば、当業者が、 )との接合部から当該命綱貫通部の内側に設けられている面ファスナーまでの部分との間に格納されるとの構成が維持されることとなるから、結局、本件発明1に到達しないこととなる。 以上によれば、当業者が、本件サンプル発明″に上記周知慣用技術を適用することにより、相違点1″に係る本件発明1の構成を容易に想到 することができたと認めることはできない。 イ小括したがって、本件発明1について、当業者が、本件サンプル発明″と周知慣用の技術に基づいて、容易に発明をすることができたとは認めることはできない。 (5) 本件発明2ないし6、8及び9について本件発明2ないし6、8及び9は、本件発明1を引用しているから、本件サンプル発明″と少なくとも相違点1″において相違する。 そして、前記(4)のとおり、当業者が、相違点1″に係る本件発明1の構成を容易に想到することができたと認めることはできない。 したがって、本件発明2ないし6、8及び9について、当業者が、本件サ ンプル発明″と周知慣用の技術に基づいて、容易に発明をすることができたと認めることはできない。 (6) 小括以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、本件各発明は、本件サンプルに係る公知・公然実施発明に基づき、新規性又は進歩性を欠く ものと認めることはできない。 5 争点2-3(特許法29条の2所定の拡大先願要件違反)について(1) 本件発明1と乙15出願に係る明細書等に記載されている考案との対比ア本件特許の特許請求の範囲の請求項1(前提事実(3)ア)のとおり、本件発明1において、「命綱貫通部」は、その「一方の端部が前記服地の裏面側 に接合され」たものであって、「前記服地の裏面側に格納された状態と、前記貫通孔 請求項1(前提事実(3)ア)のとおり、本件発明1において、「命綱貫通部」は、その「一方の端部が前記服地の裏面側 に接合され」たものであって、「前記服地の裏面側に格納された状態と、前記貫通孔を介して前記服地の表面側へと引き出された状態とを切り替え可能」なものである。 イこれに対し、乙15出願に係る明細書等(乙15)の【0012】には、本件発明1の「命綱貫通部」に相当する「取出し筒13」について、「非使 用時に取出し筒13を収納可能な収納片17が設けられて」おり、「収納片17は、面ファスナーにより空調服本体に対して開閉可能であり、閉じた際に取出し筒13…を空調服との間に収納することができる」との記載があるから、乙15出願に係る明細書等に記載されている考案の「取出し筒13」は、「収納片17」により、「空調服との間に収納」されるものと認 められる。 ウ前提事実(3)ア及び前記イのとおり、本件発明1では、「命綱貫通部」が「服地の裏面側に格納され」るのに対し、乙15出願に係る明細書等に記載されている考案では、「取出し筒13」が「収納片17」により「空調服との間に収納」される点において相違する。 そして、当該相違点が、周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であ って、新たな効果を奏するものではなく、課題解決のための具体化手段における微差にすぎないとの事実を認めるに足りる証拠はない。 したがって、本件発明1は、乙15出願に係る明細書等に記載されている考案と同一であると認めることはできない。 (2) 本件発明2ないし6、8及び9と乙15出願に係る明細書等に記載されて いる考案との対比本件発明2ないし6、8及び9は、本件発明1を引用するものであるから、同様に乙15出願に係る明細書等に記載され 発明2ないし6、8及び9と乙15出願に係る明細書等に記載されて いる考案との対比本件発明2ないし6、8及び9は、本件発明1を引用するものであるから、同様に乙15出願に係る明細書等に記載されている考案と同一であると認めることはできない。 (3) 小括 したがって、その余の点について判断するまでもなく、本件出願は、特許法29条の2所定の拡大先願要件に違反するものと認めることはできない。 6 争点2-4(明確性要件違反)について(1) 原告主張の「特殊環境」について被告らは、争点2-1(前記第2の4(2))において、服地の開口にフラッ プを設けた例を挙げて主張したことに対し、原告が、「服地の開口部の表側にフラップを付けた特殊環境を取り上げて」と反論したことを捉えて、どのような「特殊環境」が本件各発明から除外されているか不明であるから、本件各発明はその外延が不明確であると主張する。 しかし、被告らが主張する「特殊環境」との語は、本件特許の特許請求の 範囲に記載されておらず、被告らが、特許請求の範囲の記載のうち、いずれの部分が不明確であると主張するのかについては具体的に特定されているとはいえない。 したがって、この点についての被告らの主張は失当であるといわざるを得ない。 (2) 「服地の裏面側」について ア被告らは、本件サンプルの収納片が本件各発明の「服地」に当たらないと解釈されるのであれば、「服地」(生地)が途切れている部分(開口部分等)においては、「服地の裏面側」か否かを判断することができないと主張する。 イ前記4(2)イ(イ)のとおり、本件サンプルの収納片は、本件各発明が規定 する「服地」に当たると認められるから、被告らの主張はその前提を欠くというべきである。 とができないと主張する。 イ前記4(2)イ(イ)のとおり、本件サンプルの収納片は、本件各発明が規定 する「服地」に当たると認められるから、被告らの主張はその前提を欠くというべきである。 ウさらに、前提事実(3)ア及び(4)アのとおり、本件特許の特許請求の範囲の構成要件D及びEにおいては、「服地の裏面側」との語が用いられているところ、構成要件Dの(前記命綱貫通部の)「一方の端部が前記服地の裏面 側に接合された」との記載から、「服地の裏面側」は、「命綱貫通部」の「一方の端部が」接合される部位を示すものであると理解することができる。そして、「服地」(生地)が途切れている部分(開口部分等)であっても、「命綱貫通部」が接合される予定の部位には服地が存在する(そうでないと、そもそも接合不能である。)から、構成要件Dの「服地の裏面側」は、 当該接合される予定部位の服地の「裏面側」であることを理解することができ、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 次に、構成要件Eの「服地の裏面側」は、(前記命綱貫通部は)「前記服地の裏面側に格納された状態」との記載から、「命綱貫通部」が格納される側を示すものであると解される。そして、「服地」(生地)が途切れている 部分(開口部分等)であっても、当業者は、服地の裏面側の方向(空間)がどちら側であるかについて、開口部周囲の服地から理解することができ、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 エしたがって、被告らの前記アの主張を採用することはできない。 (3) 「服地」について ア被告らは、服地の開口部分にフラップ(収納片)を設けた形態における 当該フラップは本件各発明の「服地」に含まれないとの原告の主張を前提とする (3) 「服地」について ア被告らは、服地の開口部分にフラップ(収納片)を設けた形態における 当該フラップは本件各発明の「服地」に含まれないとの原告の主張を前提とすると、服地(生地)には、本件各発明の「服地」に当たるものと、「服地」に当たらないものがあることになるところ、その区別は不明であると主張する。 イ前記4(2)イ(イ)のとおり、本件サンプルの収納片は、本件各発明が規定 する「服地」に当たると認められるから、被告らの主張はその前提を欠くというべきである。 ウさらに、本件特許の特許請求の範囲(前提事実(3)及び(4))において、「服地」は、① 「服」を構成する生地又は布地(構成要件B) ② 「命綱」が貫通する「貫通孔」が形成される部位(構成要件B)③ 「命綱貫通部」が接合される部位(構成要件D、H及びN)④ 「命綱貫通部」を裏面側に格納し、表面側へ引き出す部位(構成要件E)を指すものとして、それぞれ用いられていることが認められる。 これらの記載に接した当業者は、「服地」とは、本件各発明の「服」を構成する生地又は布地であって、「命綱」が貫通する「貫通孔」が形成され、「命綱貫通部」と接合されて、これを裏面側に格納したり、表面側に引き出すことを可能とする部位を指すものであると理解することができるから、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 エしたがって、被告らの前記アの主張を採用することはできない。 (4) 小括以上によれば、本件特許の特許請求の範囲の記載が明確性要件に違反するものと認めることはできない。 7 争点3(差止め等の必要性)について (1) 前提事実(5)アないしク及び前記2ないし6のとおり、別紙 本件特許の特許請求の範囲の記載が明確性要件に違反するものと認めることはできない。 7 争点3(差止め等の必要性)について (1) 前提事実(5)アないしク及び前記2ないし6のとおり、別紙実施行為一覧表 の「被告」欄記載の各被告は、同「製品」欄記載の各製品について、同「実施行為」欄記載の各行為をしたところ、被告各製品は本件各発明の技術的範囲に属すると認められるから、被告らのこれらの行為は本件特許権を侵害する。 そして、被告らは、本件訴訟において、前記第2の4の各(被告らの主張) のとおり、被告各製品が本件各発明の技術的範囲に属すること及び本件特許の有効性のいずれについても争っていることを考慮すると、別紙実施行為一覧表の「被告」欄記載の各被告に対し、同「製品」欄記載の各製品について、同「実施行為」欄記載の各行為の差止め及び当該各製品の廃棄を命じる必要性が認められる。 (2) 原告は、被告らに対し、被告各製品の製造、譲渡、輸出、輸入及び譲渡の申出の差止めをそれぞれ求めているが、別紙実施行為一覧表の「被告」欄記載の各被告が、同「製品」欄記載の各製品について、同「実施行為」欄記載の各行為以外の行為をしているとか、そのおそれがあると認めるに足りる証拠はないから、同「被告」欄記載の各被告に対する同「製品」欄記載の各製 品についての同「実施行為」欄記載の各行為以外の行為についての差止請求はいずれも理由がない。 8 争点4(損害の有無及びその額)について(1) 特許法102条2項の適用の可否ア前提事実(1)アによれば、原告は、本件特許権の設定登録日である令和元 年6月28日以降、フルハーネス対応型電動ファン付きウェアを製造、販売していることが認められるところ、当該製品は、フルハーネス対応型電 )アによれば、原告は、本件特許権の設定登録日である令和元 年6月28日以降、フルハーネス対応型電動ファン付きウェアを製造、販売していることが認められるところ、当該製品は、フルハーネス対応型電動ファン付きウェアとの点で被告各製品と同じ部類の製品といえるから、被告各製品の競合品であると認められる。 イこの点に関し、被告らは、別件訴訟事件において、原告が製造、販売す るフルハーネス対応型電動ファン付きウェアについて、製造及び販売の差 止めを命じる判決が言い渡されたため、原告は、本件特許権の設定登録日以降、被告各製品の競合品であるフルハーネス対応型空調服を適法に製造、販売できなかったと主張する。 しかし、原告は、別件訴訟事件において製造及び販売の差止めが命じられた製品の品番(BP500FH、P500FH、KU9054F、BM 500FH、M500FH及びKU9055F)とは異なる品番のフルハーネス対応型電動ファン付きウェアも販売していると認められるところ(甲57、乙63)、これらの品番の異なる製品が被告サンエスの保有する実用新案権に係る考案の技術的範囲に属するものであると認めるに足りる証拠はない。 したがって、被告らの上記主張を採用することはできない。 ウ以上によれば、被告らが被告各製品を販売して本件特許権を侵害しなければ、原告が原告の製品を更に販売して利益を得られたであろうという事情が認められるから、本件において特許法102条2項を適用することができるというべきである。 (2) 被告サンエス関係ア粗利益額前提事実(5)アのとおり、被告サンエスが被告製品1の販売により受けた粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告サンエス)「裁判所認定額」「対象期間計」「粗利益額(税抜)」欄 ンエス関係ア粗利益額前提事実(5)アのとおり、被告サンエスが被告製品1の販売により受けた粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告サンエス)「裁判所認定額」「対象期間計」「粗利益額(税抜)」欄記載のとおりと認められるから、消費税相 当額を加算した粗利益の額は、同「裁判所認定額」「対象期間計」「粗利益額(税込)」欄記載のとおりとなる。 イ経費(ア) カタログに関する費用この費用は、販売促進費に当たるところ、このような性格の費用であ っても、被告製品1の製造、販売等のために追加的に経費が増加する関 係にあると認められる場合には、変動経費として控除し得ると解される。 証拠(甲4の3、乙145、乙A1)及び弁論の全趣旨によれば、①被告サンエスは、被告製品1(12点。色違いの製品を含む。以下同じ。)を含む合計151点が掲載されたカタログを製作するなどし、そのために別紙損害額一覧表(被告サンエス)「被告らの主張」「対象期間計」「控 除額(税込)」「カタログ費用」欄記載の額を支出したこと、②被告サンエスは、取引先に対し、当該カタログを頒布し、当該取引先は、当該カタログに表示された品番を注文書に記載して、被告サンエスに発注していることが認められる。 この認定事実に照らせば、上記カタログは被告製品1の販売等のため に製作するなどされていたと認められるものの、上記②において認定したカタログの利用方法からすると、取引先は、1冊のカタログを入手すれば、当該カタログに基づいて繰り返し複数の製品を発注することができるといえる。そうすると、被告商品1の製造数量、販売数量等が増加すれば、上記カタログに係る費用が増加するとの関係にあると認めるこ とはできないから、被告製品1を1着製造、販売等するごとに追加的に といえる。そうすると、被告商品1の製造数量、販売数量等が増加すれば、上記カタログに係る費用が増加するとの関係にあると認めるこ とはできないから、被告製品1を1着製造、販売等するごとに追加的に必要となる費用であるとはいえない。 したがって、カタログの製作等に要した費用は、被告製品1の製造、販売等に直接関連して追加的に必要となった経費に当たるものと認めることはできない。 (イ) チラシに関する費用この費用も、カタログに関する費用と同様、販売促進費に当たるところ、証拠(乙145、乙A2、A3)及び弁論の全趣旨によれば、被告サンエスは、被告製品1(9点)を含む合計146点が掲載されたチラシを製作するなどし、そのために別紙損害額一覧表(被告サンエス)「被 告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」「チラシ費用」欄記載の額 を支出したことが認められる。 この認定事実に照らせば、上記チラシは被告製品1の販売等のために製作するなどされていたと認められるものの、被告商品1の製造数量、販売数量等が増加すれば、上記チラシの製作部数が増加し、よって、その製作に係る費用が増加するとの関係にあると認めるに足りる証拠はな いから、被告製品1を1着製造、販売等するごとに追加的に必要となる費用であるとはいえない。 したがって、チラシの製作等に要した費用は、被告製品1の製造、販売等に直接関連して追加的に必要となった経費に当たるものと認めることはできない。 (ウ) テレビCMに関する費用この費用も、カタログ等に関する費用と同様、販売促進費に当たるところ、証拠(乙145、乙A4、A5)によれば、被告サンエスは、テレビCMを製作するなどし、そのために別紙損害額一覧表(被告サンエス)「被告らの主張」「対象期間計」 費用と同様、販売促進費に当たるところ、証拠(乙145、乙A4、A5)によれば、被告サンエスは、テレビCMを製作するなどし、そのために別紙損害額一覧表(被告サンエス)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」「テレビCM費用」 欄記載の額を支出したことが認められる。 しかし、上記テレビCMにおいて被告商品1が紹介されているかどうかは証拠上明らかでないし、被告商品1の製造数量、販売数量等が増加すれば、上記テレビCMに係る費用が増加するとの関係にあると認めるに足りる証拠はないから、被告製品1を1着製造、販売等するごとに追 加的に必要となる費用であるとはいえない。 したがって、テレビCMの製作等に要した費用は、被告製品1の製造、販売等に直接関連して追加的に必要となった経費に当たるものと認めることはできない。 (エ) 雑誌掲載、●(省略)●空調風神服勉強会等に関する費用 この費用も、カタログ等に関する費用と同様、販売促進費に当たると 解されるところ、証拠(乙145、乙A6ないしA17)によれば、被告サンエスは、雑誌に広告を掲載するなどし、そのために別紙損害額一覧表(被告サンエス)「裁判所認定額」「備考」「雑誌広告掲載等費用」欄記載の額を支出したことが認められる。 しかし、上記広告等において被告商品1が紹介されているかどうかは 証拠上明らかでないし、被告商品1の製造数量、販売数量等が増加すれば、上記広告等に係る費用が増加するとの関係にあると認めるに足りる証拠はないから、被告製品1を1着製造、販売等するごとに追加的に必要となる費用であるとはいえない。 したがって、雑誌への広告掲載等に要した費用は、被告製品1の製造、 販売等に直接関連して追加的に必要となった経費に当たるものと認めることはで とに追加的に必要となる費用であるとはいえない。 したがって、雑誌への広告掲載等に要した費用は、被告製品1の製造、 販売等に直接関連して追加的に必要となった経費に当たるものと認めることはできない。 (オ) 展示会出展費用等に関する費用この費用も、カタログ等に関する費用と同様、販売促進費に当たると解されるところ、証拠(乙145、乙A18ないしA35、弁論の全趣 旨)によれば、被告サンエスは、少なくとも合計9回にわたって展示会等に出展するなどし、そのために別紙損害額一覧表(被告サンエス)「被告らの主張」「対象期間計」「控除額(税込)」「展示会出展等費用」欄記載の額を支出したことが認められる。 しかし、上記展示会等において被告商品1が紹介されているかどうか は証拠上明らかでないし、被告商品1の製造数量、販売数量等が増加すれば、上記展示会等に係る費用が増加するとの関係にあると認めるに足りる証拠はないから、被告製品1を1着製造、販売等するごとに追加的に必要となる費用であるとはいえない。 したがって、展示会等への出展に要した費用は、被告製品1の製造、 販売等に直接関連して追加的に必要となった経費に当たるものと認める ことはできない。 (カ) 送料証拠(乙A36ないしA38)及び弁論の全趣旨によれば、被告サンエスは、令和元年6月28日から同年9月30日の間に、被告製品1を合計●(省略)●点販売したこと、同年6月及び7月に、全取扱製品合 計●(省略)●点について運送会社に運送を依頼し、送料として合計●(省略)●円(消費税抜き)を支払ったことが認められる。 そうすると、被告製品1の製造、販売等に直接関連して追加的に必要となった送料の額は、別紙損害額一覧表(被告サンエス)「裁判所認定額」「対象期 (省略)●円(消費税抜き)を支払ったことが認められる。 そうすると、被告製品1の製造、販売等に直接関連して追加的に必要となった送料の額は、別紙損害額一覧表(被告サンエス)「裁判所認定額」「対象期間計」「控除額(税込)」「送料」欄記載の額(被告らが主張する 限度。計算方法は同「備考」欄参照)と認められる。 ウ限界利益額前記ア及びイによれば、被告サンエスが被告製品1の製造等により得た限界利益の額は、別紙損害額一覧表(被告サンエス)「裁判所認定額」「対象期間計」「限界利益額(税込)」欄記載の額となる。 エ特許法102条2項の推定覆滅の成否(ア) 判断基準特許法102条2項における推定の覆滅については、侵害者が主張立証責任を負うものであり、侵害者が得た利益と特許権者が受けた損害との相当因果関係を阻害する事情がこれに当たると解される。例えば、① 特許権者と侵害者の業務態様等に相違が存在すること(市場の非同一性)、②市場における競合品の存在、③侵害者の営業努力(ブランド力、宣伝広告)、④侵害品の性能(機能、デザイン等特許発明以外の特徴)などの事情を推定覆滅の事情として考慮することができるものと解される。また、特許発明が侵害品の部分のみに実施されている場合においても、推 定覆滅の事情として考慮することができるが、特許発明が侵害品の部分 のみに実施されていることから直ちに上記推定の覆滅が認められるのではなく、特許発明が実施されている部分の侵害品中における位置付け、当該特許発明の顧客誘引力等の事情を総合的に考慮してこれを決するのが相当である。 (イ) 被告らに共通する事情について a 後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、電動ファン付きウェア製品市場に関し、以下の事実が認められる。 的に考慮してこれを決するのが相当である。 (イ) 被告らに共通する事情について a 後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、電動ファン付きウェア製品市場に関し、以下の事実が認められる。 原告グループ(原告、株式会社空調服等。以下同じ。)及び被告グループ(被告サンエス、被告ビッグボーン商事、被告大川被服、被告美津濃、被告コーコス信岡等)の電動ファン付きウェア製品市場におけ る市場占有率は、次のとおりであった(乙104、105、142、143の1、143の2)。 原告グループ被告グループ平成30年 (占有率省略) (占有率省略)令和元年 (占有率省略) (占有率省略) 令和2年 (占有率省略) (占有率省略)令和3年 (占有率省略) (占有率省略)令和4年 (占有率省略) (占有率省略)また、原告及び被告ら以外の多くの事業者も、本件特許権の設定登録日以前から、フルハーネス対応型電動ファン付きウェアを販売して いる(乙97ないし103、弁論の全趣旨)。 b 次に、被告各製品における本件各発明の位置付けについて、以下の点を指摘することができる。 (a) 前記1(1)ア(【0002】及び【0003】)のとおり、電動ファン付きウェアは、送風手段を用いて外部から服本体と身体又は下着 との間に空気を取り込み、当該空気が身体又は下着の表面に沿って 流通し、その間に身体から出た汗を蒸発させ、気化熱により体表面の温度を下げようとするものであるところ、前記1(2)のとおり、本件各発明は、服の服地に形成された貫通孔と、命綱が貫通する命綱貫通部と、を備え、前記命綱貫通部は、当該命綱貫通部からの空気の漏れを防止する第1空気漏れ防止手段を あるところ、前記1(2)のとおり、本件各発明は、服の服地に形成された貫通孔と、命綱が貫通する命綱貫通部と、を備え、前記命綱貫通部は、当該命綱貫通部からの空気の漏れを防止する第1空気漏れ防止手段を備え、一方の端部が前記 服地の裏面側に接合された筒状に形成され、前記服地の裏面側に格納された状態と、前記貫通孔を介して前記服地の表面側へと引き出された状態とを切り替え可能であることを特徴とする服との構成を採用することにより、転落防止用のワイヤーが取り付けられた安全帯を着用した場合であっても、その上から電動ファン付きウェアを 着用でき、ワイヤーを通したワイヤー貫通手段からの空気の漏れを防止できるようにしたものである。 上記の電動ファン付きウェア自体は、本件出願当時、既に市場において流通していた上(本件明細書の【0002】ないし【0004】)、本件サンプルにおいて開示されているとおり(前記4(2)ア)、 服の服地に形成された貫通孔と命綱が貫通する命綱貫通部とを備えるとともに、当該命綱貫通部は、当該命綱貫通部からの空気の漏れを防止する空気漏れ防止手段を備え、一方の端部が当該服地の表面側に接合された筒状に形成されているとの構成を備えることにより、転落防止用のワイヤーが取り付けられた安全帯を着用した場合であ っても、その上から電動ファン付きウェアを着用できる発明が存在していた。そうすると、従来技術と異なる本件各発明の技術的意義は、命綱貫通部の一方の端部が服地の裏面側に接合されて、前記服地の裏面側に格納された状態と、前記貫通孔を介して前記服地の表面側へと引き出された状態とを切り替え可能とした点に限られる。 そして、フルハーネス対応型電動ファン付きウェアである被告各 製品は、服本体のほか、電動ファン、バッ 前記服地の表面側へと引き出された状態とを切り替え可能とした点に限られる。 そして、フルハーネス対応型電動ファン付きウェアである被告各 製品は、服本体のほか、電動ファン、バッテリーなどから構成されるものと認められるところ(前提事実(6)(別紙被告各製品構成目録参照)、甲4ないし10、乙92、93、95、96、A2、C1、C3、E3、F1、G3)、本件各発明は、当該服本体のうちの命綱貫通部に係るものであるから、本件各発明は、被告各製品のうちの 一部の部材である円柱状構造物に関連して実施されているにすぎないものと認められる。 (b) この点に関し、原告は、本件各発明について、命綱使用時は、命綱の作用により人体の安全性を確保しつつ、冷却効果を発揮するとの効果を、命綱不使用時は、服地の表側に引っ掛かりの原因となる 構造を有しないよう、命綱貫通部を服地裏面側に確実に格納して、人体の安全性を確保しつつ、冷却効果を確保するとの斬新な作用、効果を奏するものであると主張する。 しかし、本件明細書には、命綱不使用時に、服地の表側に引っ掛かりの原因となる構造を有しないよう、命綱貫通部を服地裏面側に 確実に格納することが、本件各発明の課題である旨の記載はないし、本件各発明に係る構成を採用することによって、他のフルハーネス対応型電動ファン付きウェアと比較して、命綱不使用時の安全性の点で有意な差異があることを認めるに足りる証拠はない。 したがって、原告の指摘する上記の点が格別の顧客誘引力に繋が るものと認めることはできない。 c さらに、電動ファン付きウェアの広告における記載内容(甲4ないし10、乙50、92ないし97、99ないし103、A2、C1、C3、E3、F1、G3)からすると、需要者が電 ることはできない。 c さらに、電動ファン付きウェアの広告における記載内容(甲4ないし10、乙50、92ないし97、99ないし103、A2、C1、C3、E3、F1、G3)からすると、需要者が電動ファン付きウェアを選択する際には、価格、服地等の素材、カラーバリエーションを 含むデザイン性や、電動ファンの性能、バッテリーの重量・性能など も重要な考慮要素となると認められる。他方で、命綱貫通部の一方の端部が服地の裏面側に接合されていることや、当該命綱貫通部を服地の裏面側に格納された状態と、前記貫通孔を介して前記服地の表面側へと引き出された状態とを切り替え可能であるとの特徴が、需要者が電動ファン付きウェアを選択する際の大きな考慮要素となっていると 認めるに足りる証拠はない。 d 被告らは、「空調風神服」ブランドを付して被告各製品を販売しているところ、「空調風神服」は独自のブランドとして強い出所識別力を有していると主張する。 しかし、証拠(甲4ないし10、乙92、93、95、96、A2、 A6、A8、A10、A12、A14、A18、A21、A32、A37、C1、C3、E3、G3)によれば、被告ら(ただし、被告美津濃を除く。)は、「空調風神服」とのブランド名を付して被告各製品を販売していることが認められるものの、製品に独自のブランドを付して製造、販売すること自体は、他の事業者も通常行っていることで あるから、そのことから被告各製品の顧客誘引力が直ちに高いとはいえないし、被告らが他の事業者と異なる特段の営業努力をしていると評価することもできない。そして、「空調風神服」とのブランド名が需要者において格別の識別力を有するものであることを認めるに足りる証拠はなく、被告らが、被告各製品を製造、販売する際に、 力をしていると評価することもできない。そして、「空調風神服」とのブランド名が需要者において格別の識別力を有するものであることを認めるに足りる証拠はなく、被告らが、被告各製品を製造、販売する際に、通常の範 囲を超える営業努力をしていると認めるに足りる証拠もない。 また、被告各製品において、機能、デザイン等の本件各発明以外の特徴が、需要者が被告各製品を選択する際の大きな考慮要素となっていると認めるに足りる証拠はない。 (ウ) 被告サンエスに固有の事情について 被告サンエスは、電動ファン付きウェアの開発過程及び普及において 多大な貢献をしてきたと主張する。 しかし、新たな製品を開発する際には、他の事業者も、通常、開発及び普及に際して相応の努力、貢献をしていると考えられるところ、被告サンエスが、このような通常の範囲を超える努力、貢献をしてきたと認めるに足りる証拠はない。 (エ) 検討前記(イ)a及びbのとおり、電動ファン付きウェア製品市場において、他の事業者も被告各製品と競合する製品を販売していること、本件各発明は、被告各製品のうちの一部の部材である円柱状構造物に関連して実施されているにすぎないことが認められるところ、これらは、特許法1 02条2項の推定の覆滅事由に当たると認められる。 また、前記(イ)b(a)のとおり、本件出願当時、本件サンプルにおいて開示されている発明が存在していたと認められるから、命綱貫通部の一方の端部が服地の裏面側に接合されて、前記服地の裏面側に格納された状態と、貫通孔を介して前記服地の表面側へと引き出された状態とを切 り替え可能とした点の技術的意義が格別に大きいものであるとまではいえない。 このほか、前記(イ)及び(ウ)において認定した電動ファン付きウェ 介して前記服地の表面側へと引き出された状態とを切 り替え可能とした点の技術的意義が格別に大きいものであるとまではいえない。 このほか、前記(イ)及び(ウ)において認定した電動ファン付きウェア製品市場における原告、被告ら及び他の事業者の市場占有率や、被告らの広告宣伝の態様等を総合考慮すると、被告各製品の限界利益の額の90 パーセントに相当する額については、原告の受けた損害額との間の相当因果関係が阻害されると認められる。 オ特許法102条2項により推定される損害額前記ウ及びエによれば、特許法102条2項により推定される原告が受けた損害の額は、別紙損害額一覧表(被告サンエス)「裁判所認定額」「対 象期間計」「2項損害額」欄記載のとおり(1円未満四捨五入。特記ない限 り以下同じ。)となる。 カ弁護士費用相当額被告サンエスの本件特許権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は、別紙損害額一覧表(被告サンエス)「裁判所認定額」「対象期間計」「弁護士費用相当額」欄記載のとおりと認めるのが相当である。 キ小括以上によれば、被告サンエスの不法行為により原告に生じた損害額は、別紙損害額一覧表(被告サンエス)「裁判所認定額」「対象期間計」「損害額合計」欄のとおりとなる。 (3) 被告ビッグボーン商事関係 ア粗利益額前提事実(5)ウのとおり、被告ビッグボーン商事が被告製品2の販売により受けた粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告ビッグボーン商事)「裁判所認定額」「対象期間計」「粗利益額(税抜)」欄記載のとおりと認められるから、消費税相当額を加算した粗利益の額は、同「裁判所認定額」「対象期 間計」「粗利益額(税込)」欄記載のとおりとなる。 イ経費証拠(乙B1)及び弁論の全趣 」欄記載のとおりと認められるから、消費税相当額を加算した粗利益の額は、同「裁判所認定額」「対象期 間計」「粗利益額(税込)」欄記載のとおりとなる。 イ経費証拠(乙B1)及び弁論の全趣旨によれば、被告ビッグボーン商事は、平成28年6月21日以降、●(省略)●に対し、●(省略)●ことを約して委託したことが認められる。 このような委託料の月額の定め方からすると、●(省略)●に対する委託料は、被告ビッグボーン商事が被告製品2を1着製造、販売等するごとに追加的に必要となる費用であるとはいえない。 したがって、上記費用は、被告製品2の製造、販売等に直接関連して追加的に必要となった経費に当たるものと認めることはできない。 ウ限界利益額 前記ア及びイによれば、被告ビッグボーン商事が被告製品2の製造等により得た限界利益の額は、別紙損害額一覧表(被告ビッグボーン商事)「裁判所認定額」「対象期間計」「限界利益額(税込)」欄記載の額となる。 エ特許法102条2項の推定覆滅の成否前記(2)エのとおり、被告各製品の限界利益の額の90パーセントに相当 する額については、原告の受けた損害額との間の相当因果関係が阻害されると認められる。 オ特許法102条2項により推定される損害額前記ウ及びエによれば、特許法102条2項により推定される原告が受けた損害の額は、別紙損害額一覧表(被告ビッグボーン商事)「裁判所認定 額」「対象期間計」「2項損害額」欄記載のとおりとなる。 カ弁護士費用相当額被告ビッグボーン商事の本件特許権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は、別紙損害額一覧表(被告ビッグボーン商事)「裁判所認定額」「対象期間計」「弁護士費用相当額」欄記載のとおりと認めるのが相当であ 告ビッグボーン商事の本件特許権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は、別紙損害額一覧表(被告ビッグボーン商事)「裁判所認定額」「対象期間計」「弁護士費用相当額」欄記載のとおりと認めるのが相当であ る。 キ小括以上によれば、被告ビッグボーン商事の不法行為により原告に生じた損害額は、別紙損害額一覧表(被告ビッグボーン商事)「裁判所認定額」「対象期間計」「損害額合計」欄のとおりとなる。 (4) 被告アタックベース関係ア侵害者による実施期間を区切って期間ごとに特許法102条2項及び3項により算定される損害額をそれぞれ主張することの当否原告は、被告アタックベースが令和元年6月28日から令和2年12月31日までの間に被告製品3を販売したことによって生じた損害について は特許法102条2項により算定される損害額を、同被告が令和3年1月 1日から令和4年8月16日までの間に被告製品3を販売したことによって生じた損害については同条3項により算定される損害額を、それぞれ主張する。 そのような主張の当否について検討すると、侵害者が継続的に特許権侵害行為をしていた場合、特許権者は、期間を区切って別個の損害賠償請求 訴訟を提起することができるところ、それぞれの訴訟において、特許権者に生じた損害について特許法102条2項又は3項のいずれにより算定される損害額を主張するかは、特許権者の選択に委ねられている。これを本件についてみると、原告が、被告アタックベースによる被告製品3の販売が本件特許権を侵害するとして不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起 するに当たり、不法行為の期間を令和元年6月28日から令和2年12月31日までと令和3年1月1日から令和4年8月16日までとに区切って、別個の訴訟を提起し 行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起 するに当たり、不法行為の期間を令和元年6月28日から令和2年12月31日までと令和3年1月1日から令和4年8月16日までとに区切って、別個の訴訟を提起し、前者においては特許法102条2項により算定される損害額を、後者においては、同条3項により算定される損害額をそれぞれ主張することも妨げられないということになる。そして、このように別 個に提起された訴訟について弁論を併合して審理することも妨げられない以上、原告が一つの訴訟において上記のような主張をすることも許されるというべきである。 イ令和元年6月28日から令和2年12月31日までの間に生じた損害額(ア) 粗利益額 前提事実(5)エのとおり、被告アタックベースが令和元年6月28日から令和2年12月31日までの間に被告製品3の販売により受けた粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「裁判所認定額」「対象期間計」「粗利益額(税抜)」欄記載のとおりと認められるから、消費税相当額を加算した粗利益の額は、同「裁判所認定額」「対象期間計」 「粗利益額(税込)」欄記載のとおりとなる(消費税率変更前後の計数は、 「R1.6.28 からR1.9.30 まで」及び「R1.10.1 からR4.8.16 まで」の各欄を参照)。 (イ) 経費a カタログに関する費用この費用は、販売促進費に当たるところ、証拠(乙C1ないしC4) によれば、被告アタックベースは、被告製品3を含む取扱製品が掲載されたカタログを製作し、そのために合計●(省略)●円を支出したことが認められる。 この認定事実に照らせば、上記カタログは被告製品3の販売等のために製作されていたと認められるものの、本件証拠上、被告商品3の 製作し、そのために合計●(省略)●円を支出したことが認められる。 この認定事実に照らせば、上記カタログは被告製品3の販売等のために製作されていたと認められるものの、本件証拠上、被告商品3の 製造数量、販売数量等が増加すれば、上記カタログに係る費用が増加するとの関係にあると認めることはできないから、被告製品3を1着製造、販売等するごとに追加的に必要となる費用であるとはいえない。 したがって、上記カタログの製作に要した費用は、被告製品3の製造、販売等に直接関連して追加的に必要となった経費に当たるものと 認めることはできない。 b 送料証拠(乙C5)及び弁論の全趣旨によれば、被告アタックベースは、被告製品3について運送会社に運送を依頼し、令和元年6月から同年9月までの送料(各月に運送を依頼した全取扱製品についての送料を、 全取扱製品の点数で除した上で、被告製品3の販売点数を乗じた額を積算したもの)として合計●(省略)●円(消費税込み)を、同年10月から令和2年12月までの送料(前同)として合計●(省略)●円(消費税込み)を支払ったことが認められる。 そうすると、被告製品3の製造、販売等に直接関連して追加的に必 要となった送料の額は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「裁 判所認定額」「対象期間計」「控除額(税込)」「送料」欄記載の額(被告らが主張する限度)と認められる。 (ウ) 限界利益額前記(ア)及び(イ)によれば、被告アタックベースが令和元年6月28日から令和2年12月31日までの間に被告製品3の製造等により得た限 界利益の額は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「裁判所認定額」「対象期間計」「限界利益額(税込)」欄記載の額となる。 (エ) 特許法102条2項の の間に被告製品3の製造等により得た限 界利益の額は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「裁判所認定額」「対象期間計」「限界利益額(税込)」欄記載の額となる。 (エ) 特許法102条2項の推定覆滅の成否前記(2)エのとおり、被告各製品の限界利益の額の90パーセントに相当する額については、原告の受けた損害額との間の相当因果関係が阻害 されると認められる。 (オ) 特許法102条2項により推定される損害額前記(ウ)及び(エ)によれば、特許法102条2項により推定される原告が受けた損害の額は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「裁判所認定額」「対象期間計」「2項損害額」欄記載のとおりとなる。 ウ令和3年1月1日から令和4年8月16日までの間に生じた損害額(ア) 判断基準特許法102条3項による損害の額は、原則として、侵害品の売上高を基準とし、そこに、実施に対し受けるべき料率を乗じて算定すべきである。そして、実施に対し受けるべき料率は、①特許発明の実際の実施 許諾契約における実施料率や、それが明らかでない場合には業界における実施料の相場等も考慮に入れつつ、②当該特許発明自体の価値すなわち特許発明の技術内容や重要性、他のものによる代替可能性、③当該特許発明を当該製品に用いた場合の売上げ及び利益への貢献や侵害の態様、④特許権者と侵害者との競業関係や特許権者の営業方針等訴訟に現れた 諸事情を総合考慮して、合理的な料率を定めるべきである。 (イ) 被告製品3の売上高前提事実(5)エのとおり、被告アタックベースによる令和3年1月1日から令和4年8月16日までの間の被告製品3の売上高(消費税抜き)は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「裁判所認定額」「対象期間計」「販 )エのとおり、被告アタックベースによる令和3年1月1日から令和4年8月16日までの間の被告製品3の売上高(消費税抜き)は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「裁判所認定額」「対象期間計」「販売額②(税抜)」欄記載のとおりであると認められる。 (ウ) 実施に対し受けるべき料率a 原告が本件特許権について第三者と実施許諾契約を締結したことを認めるに足りる証拠はない。 そして、証拠(乙C7)によれば、我が国における「技術分類別ロイヤルティ料率」についてのアンケート調査の結果、「個人用品または 家庭用品」の分野のロイヤルティ料率の平均値は3.5パーセント、最大値は7.5パーセント、最小値は0.5パーセントであることが認められる。 b 前記(2)エ(イ)bのとおり、本件各発明の技術的意義は、命綱貫通部の一方の端部が服地の裏面側に接合されて、服地の裏面側に格納され た状態と、貫通孔を介して前記服地の表面側へと引き出された状態とを切り替え可能とした点にあり、本件各発明は、被告各製品のうちの一部の部材である円柱状構造物に関連して実施されているにすぎないものと認められる。 そして、本件出願当時、本件サンプルにおいて開示されているとお り、命綱貫通部の一方の端部を服地の表面側に接合する方法は既に公知であり、命綱不使用時に命綱貫通部を格納する場所についても、本件各発明以外の方法を採用する余地があったものである。 また、前記(2)エ(イ)cのとおり、需要者が電動ファン付きウェアを選択する際には、価格、服地等の素材、カラーバリエーションを含む デザイン性や、電動ファンの性能、バッテリーの重量・性能なども重 要な考慮要素となる一方、貫通部の一方の端部が服地の裏面側に接合されていることや、命 ラーバリエーションを含む デザイン性や、電動ファンの性能、バッテリーの重量・性能なども重 要な考慮要素となる一方、貫通部の一方の端部が服地の裏面側に接合されていることや、命綱貫通部を服地の裏面側に格納された状態と、貫通孔を介して前記服地の表面側へと引き出された状態とを切り替え可能であるとの特徴が、需要者が電動ファン付きウェアを選択する際の大きな考慮要素となっていると認めるに足りる証拠はない。 c 前記(2)エ(イ)aのとおり、原告グループと被告グループとは、電動ファン付きウェア市場において競合関係にあった上、原告及び株式会社空調服と被告サンエスとは、遅くとも本件特許権が設定登録された頃には、相互に複数の訴訟事件を提起するなど係争状態にあったことからすると(乙63、78、90、91)、原告が被告らに本件各発明 について廉価な料率で実施許諾することは想定し難いと認められる。 d これらの事情を総合考慮すると、特許権侵害をした者に対して事後的に定められる本件各発明の実施に対し受けるべき料率は●(省略)●パーセントと認めるのが相当である。 (エ) 特許法102条3項により推定される損害額 前記(イ)及び(ウ)によれば、 特許法102条3項により推定される原告の受けた損害の額(消費税相当額を加算したもの)は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「裁判所認定額」「対象期間計」「3項損害額」欄記載のとおりとなる。 エ弁護士費用相当額 被告アタックベースの本件特許権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「裁判所認定額」「対象期間計」「弁護士費用相当額」欄記載のとおりと認めるのが相当である。 オ小括以上によれば、被告アタッ 当因果関係のある弁護士費用は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「裁判所認定額」「対象期間計」「弁護士費用相当額」欄記載のとおりと認めるのが相当である。 オ小括以上によれば、被告アタックベースの不法行為により原告に生じた損害 額は、別紙損害額一覧表(被告アタックベース)「裁判所認定額」「対象期 間計」「損害額合計」欄のとおりとなる。 (5) 被告大川被服関係ア粗利益額前提事実(5)オのとおり、被告大川被服が被告製品4の販売により受けた粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告大川被服)「裁判所認定額」「対象 期間計」「粗利益額(税抜)」欄記載のとおりと認められるから、消費税相当額を加算した粗利益の額は、同「裁判所の判断」「対象期間計」「粗利益額(税込)」欄記載のとおりとなる。 イ経費証拠(乙D2)及び弁論の全趣旨によれば、被告大川被服は、①令和元 年6月28日から同年9月30日の間に、被告製品4を合計●(省略)●点販売したこと、②平成30年3月から令和元年11月までの間に、全取扱製品合計●(省略)●点について運送会社に運送を依頼し、送料として合計●(省略)●円(消費税抜き)を支払ったことが認められる。 そうすると、被告製品4の製造、販売等に直接関連して追加的に必要と なった送料の額は、別紙損害額一覧表(被告大川被服)「裁判所認定額」「対象期間計」「控除額(税込)」「送料」欄記載の額(計算方法は同「備考欄」参照)と認められる。 ウ限界利益額前記ア及びイによれば、被告大川被服が被告製品4の製造等により得た 限界利益の額は、別紙損害額一覧表(被告大川被服)「裁判所認定額」「対象期間計」「限界利益額(税込)」欄記載の額となる。 エ特許法102条2項の推定覆滅の成否 告製品4の製造等により得た 限界利益の額は、別紙損害額一覧表(被告大川被服)「裁判所認定額」「対象期間計」「限界利益額(税込)」欄記載の額となる。 エ特許法102条2項の推定覆滅の成否前記(2)エのとおり、被告各製品の限界利益の額の90パーセントに相当する額については、原告の受けた損害額との間の相当因果関係が阻害され ると認められる。 オ特許法102条2項により推定される損害額前記ウ及びエによれば、特許法102条2項により推定される原告が受けた損害の額は、別紙損害額一覧表(被告大川被服)「裁判所認定額」「対象期間計」「2項損害額」欄記載のとおりとなる。 カ弁護士費用相当額 被告大川被服の本件特許権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は、別紙損害額一覧表(被告大川被服)「裁判所認定額」「対象期間計」「弁護士費用相当額」欄記載のとおりと認めるのが相当である。 キ小括以上によれば、被告大川被服の不法行為により原告に生じた損害額は、 別紙損害額一覧表(被告大川被服)「裁判所認定額」「対象期間計」「損害額合計」欄のとおりとなる。 (6) 被告福徳産業関係ア粗利益額前提事実(5)カのとおり、被告福徳産業が被告製品5の販売により受けた 粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告福徳産業)「裁判所認定額」「対象期間計」「粗利益額(税抜)」欄記載のとおりと認められるから、消費税相当額を加算した粗利益の額は、同「裁判所認定額」「対象期間計」「粗利益額(税込)」欄記載のとおりとなる。 イ経費 (ア) 送料証拠(乙E1、E2、E5)及び弁論の全趣旨によれば、①被告福徳産業は、令和元年6月28日から同年9月30日までの間に、「空調風神服」のブランドを付した被告製品5 イ経費 (ア) 送料証拠(乙E1、E2、E5)及び弁論の全趣旨によれば、①被告福徳産業は、令和元年6月28日から同年9月30日までの間に、「空調風神服」のブランドを付した被告製品5を合計●(省略)●点販売したこと、②平成30年4月から令和元年11月までの間の「空調風神服」のブラ ンドを付した製品の販売数が●(省略)●点であるのに対し、運送会社 に運送を依頼した回数は●(省略)●回であったこと、③令和元年7月、取扱製品について運送会社に運送を合計●(省略)●回依頼し、送料及び振込手数料として合計●(省略)●円(消費税抜き)を支払ったことが認められる。 上記②によれば、運送依頼1回当たり平均約●(省略)●点の「空調 風神服」のブランドを付した製品を販売したといえるから、被告製品5についての運送依頼回数は●(省略)●回となる。そうすると、被告製品5の製造、販売等に直接関連して追加的に必要となった送料の額は、別紙損害額一覧表(被告福徳産業)「裁判所認定額」「対象期間計」「控除額(税込)」「送料」欄記載の額(被告らが主張する限度。計算方法は同 「備考欄」参照)と認められる。 (イ) カタログ及びチラシの製作費用この費用は、販売促進費に当たるところ、証拠(乙E3、E5、弁論の全趣旨)によれば、被告福徳産業は、被告製品5を含む取扱製品が掲載されたカタログ及びチラシを製作し、そのために合計●(省略)●円 を支出したことが認められる(乙E3記載の金額が、消費税相当額を含むものか否かを認めるに足りる証拠がないから、主張立証責任にかんがみ、消費税相当額を含むものとして認定する。)。 この事実関係に照らせば、上記カタログ等は被告製品5の販売等のために製作するなどされていたと認められる。しかし、本 拠がないから、主張立証責任にかんがみ、消費税相当額を含むものとして認定する。)。 この事実関係に照らせば、上記カタログ等は被告製品5の販売等のために製作するなどされていたと認められる。しかし、本件証拠上、被告 商品5の製造数量、販売数量等が増加すれば、上記カタログ等に係る費用が増加するとの関係にあると認めることはできないから、被告製品5を1着製造、販売等するごとに追加的に必要となる費用であるとはいえない。 したがって、上記カタログ等の製作等に要した費用は、被告製品5の 製造、販売等に直接関連して追加的に必要となった経費に当たるものと 認めることはできない。 (ウ) カタログ及びチラシの発送費用この費用は、販売促進費に当たるところ、証拠(乙E4、E5)によれば、被告福徳産業は、被告製品5を含む取扱製品が掲載されたカタログ及びチラシを発送するために、合計●(省略)●円を支出したことが 認められる。 この事実関係に照らせば、上記カタログ等は被告製品5の販売等のために製作するなどされていたと認められる。しかし、本件証拠上、被告商品5の製造数量、販売数量等が増加すれば、上記カタログ等に係る費用が増加するとの関係にあると認めることはできないから、被告製品5 を1着製造、販売等するごとに追加的に必要となる費用であるとはいえない。 したがって、上記カタログ等の発送に要した費用は、被告製品5の製造、販売等に直接関連して追加的に必要となった経費に当たるものと認めることはできない。 ウ限界利益額前記ア及びイによれば、被告福徳産業が被告製品5の製造等により得た限界利益の額は、別紙損害額一覧表(被告福徳産業)「裁判所認定額」「対象期間計」「限界利益額(税込)」欄記載の額となる。 エ特許法1 記ア及びイによれば、被告福徳産業が被告製品5の製造等により得た限界利益の額は、別紙損害額一覧表(被告福徳産業)「裁判所認定額」「対象期間計」「限界利益額(税込)」欄記載の額となる。 エ特許法102条2項の推定覆滅の成否 前記(2)エのとおり、被告各製品の限界利益の額の90パーセントに相当する額については、原告の受けた損害額との間の相当因果関係が阻害されると認められる。 オ特許法102条2項により推定される損害額前記ウ及びエによれば、特許法102条2項により推定される原告が受 けた損害の額は、別紙損害額一覧表(被告福徳産業)「裁判所認定額」「対 象期間計」「2項損害額」欄記載のとおりとなる。 カ弁護士費用相当額被告福徳産業の本件特許権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は、別紙損害額一覧表(被告福徳産業)「裁判所認定額」「対象期間計」「弁護士費用相当額」欄記載のとおりと認めるのが相当である。 キ小括以上によれば、被告福徳産業の不法行為により原告に生じた損害額は、別紙損害額一覧表(被告福徳産業)「裁判所認定額」「対象期間計」「損害額合計」欄のとおりとなる。 (7) 被告美津濃関係 ア粗利益額(ア) 前提事実(5)キのとおり、被告美津濃による令和元年6月28日から同年9月30日までの間の被告製品6の販売により受けた粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「裁判所認定額」「R1.6.28 からR1.9.30まで」「粗利益額(税抜)」欄記載の、また、同被告による令和元年10 月1日から令和4年8月16日までの間の被告製品6の販売により受けた粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「裁判所認定額」「R1.10.1 からR4.8.16 まで」「粗利益額(税抜 月1日から令和4年8月16日までの間の被告製品6の販売により受けた粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「裁判所認定額」「R1.10.1 からR4.8.16 まで」「粗利益額(税抜)」欄記載のとおりであることが認められる。なお、同期間の「粗利益額(税抜)」欄記載の計数がマイナスの値となっているのは、返品又はキャンセルされた売上げをマ イナスの値で計上する形式で処理したものが含まれていることによるものと認められる。 (イ) この点に関し、原告は、被告美津濃が令和元年10月1日から令和4年8月16日までの間に被告製品6の販売により受けた利益の額がマイナスの値となっているところ、これにより原告に生じた損害の額がマイ ナスの値となることはあり得ないから、同期間に係る計数を考慮する必 要はないと主張する。 しかし、前記(ア)のとおり、同期間の計数がマイナスの値となっているのは、返品又はキャンセルされた売上げをマイナスの値で計上したことによるものであるから、実際に被告美津濃が被告製品6の販売により受けた利益の額を算定するためには、令和元年6月28日から令和4年8 月16日までの計数を通算するのが相当というべきである。 (ウ) 令和元年9月30日までの間にした商品の販売について、同年10月1日以後に商品が返品され、対価の返還等をした場合には、改正前消費税法の規定に基づいて売上げに係る対価の返還等に係る消費税額を計算することとされている(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本 的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(平成24年法律第68号)附則11条、16条)。 証拠(乙F8)によれば、被告美津濃は、令和元年10月1日以降、被告製品6の販売により合計●(省略)●円の粗利益 の消費税法の一部を改正する等の法律(平成24年法律第68号)附則11条、16条)。 証拠(乙F8)によれば、被告美津濃は、令和元年10月1日以降、被告製品6の販売により合計●(省略)●円の粗利益を計上しているのに対し、返品又はキャンセルにより●(省略)●円の粗利益相当額をマ イナスの値で計上していることが認められるところ、当該返品又はキャンセルの対象となった売上げがいつの時期にされたのかを認めるに足りる証拠はない。侵害者が特許権侵害行為により受けた利益の額については、消費税相当額を含め、特許権者が主張立証責任を負うと解されるから、上記の返品又はキャンセルによりマイナスの値で計上された粗利益 相当額の絶対値を、まず令和元年10月1日以降に計上された粗利益から控除し、残額を同年6月28日から同年9月30日までに計上された粗利益から控除した上、同年6月28日から同年9月30日までの間に適用されていた消費税率8パーセントに相当する消費税相当額を加算して算定するのが相当である。 上記のとおり、令和元年10月1日以降に被告製品6の販売により計 上された粗利益よりも、返品又はキャンセルにより計上された粗利益相当額の絶対値のほうが大きいから、被告美津濃が被告製品6の販売により受けた粗利益の額(消費税込み)は、結局のところ、令和元年6月28日から令和4年8月16日まで通算して計上した販売額(消費税抜き)から同期間において計上した仕入額(消費税抜き)を控除し、消費税率 8パーセントに相当する消費税相当額を加算して算定すべきである。 したがって、被告美津濃が被告製品6の販売により受けた粗利益の額(消費税込み)は、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「裁判所認定額」「対象期間計」「粗利益額(税込)」欄記載のとおりとな すべきである。 したがって、被告美津濃が被告製品6の販売により受けた粗利益の額(消費税込み)は、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「裁判所認定額」「対象期間計」「粗利益額(税込)」欄記載のとおりとなる。 イ経費 (ア) カタログ及びパンフレットの製作費用この費用は、販売促進費に当たるところ、証拠(甲9の1、乙F1、F2)及び弁論の全趣旨によれば、被告美津濃は、被告製品6が掲載されたカタログ及びパンフレットを製作するなどし、そのために別紙損害額一覧表(被告美津濃)「被告らの主張」「控除額(税込)」「カタログ等 製作費用」欄記載の額を支出したことが認められる。 この認定事実に照らせば、上記カタログ等は被告製品6の販売等のために製作するなどされていたと認められるものの、本件証拠上、被告商品6の製造数量、販売数量等が増加すれば、上記カタログ等に係る費用が増加するとの関係にあると認めることはできないから、被告製品6を 1着製造、販売等するごとに追加的に必要となる費用であるとはいえない。 したがって、上記カタログ等の製作に要した費用は、被告製品6の製造、販売等に直接関連して追加的に必要となった経費に当たるものと認めることはできない。 (イ) 送料 証拠(乙F3、F4)及び弁論の全趣旨によれば、①被告美津濃は、令和元年6月28日から令和4年8月16日までの間に、被告製品6について、運送会社に●(省略)●の条件で合計●(省略)●回運送を依頼したこと、②当該運送会社における1回当たりの運送料金は、時期や送り先の住所によって異なり、●(省略)●円ないし●(省略)●円 (消費税抜き)であったことが認められる。 しかし、被告美津濃が、上記期間において、被告製品6の送料として具体的に支払 、時期や送り先の住所によって異なり、●(省略)●円ないし●(省略)●円 (消費税抜き)であったことが認められる。 しかし、被告美津濃が、上記期間において、被告製品6の送料として具体的に支払った額についても、運送を依頼した具体的な時期、回数、送り先についても、これを認めるに足りる証拠はないから、1回当たりの運送料金を、上記②のうちの最も安い運送料金(●(省略)●円)に 増税前の消費税率(8パーセント)を適用して算定した●(省略)●円(消費税込み)とし、その限度で送料を算定するのが相当というべきである。 そうすると、被告製品6の製造、販売等に直接関連して追加的に必要となった送料の額は、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「裁判所認定額」 「対象期間計」「控除額(税込)」「送料」欄記載の額(計算方法は同「備考欄」参照)と認められる。 (ウ) 倉庫保管料証拠(乙F6)及び弁論の全趣旨によれば、被告美津濃は、令和元年6月28日から令和4年8月16日までの間に、被告製品6の倉庫保管 料として、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「裁判所認定額」「対象期間計」「控除額(税込)」「倉庫保管料」欄記載の額を要したことが認められる。 そうすると、被告製品6の製造、販売等に直接関連して追加的に必要となった倉庫保管料の額は、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「裁判所認 定額」「対象期間計」「控除額(税込)」「倉庫保管料」欄記載の額と認め られる。 ウ限界利益額前記ア及びイによれば、被告美津濃が被告製品6の製造等により得た限界利益の額は、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「裁判所認定額」「対象期間計」「限界利益額(税込)」欄記載の額となる。 エ特許法102条2項の推定覆滅の成否前記(2)エのとお により得た限界利益の額は、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「裁判所認定額」「対象期間計」「限界利益額(税込)」欄記載の額となる。 エ特許法102条2項の推定覆滅の成否前記(2)エのとおり、被告各製品の限界利益の額の90パーセントに相当する額については、原告の受けた損害額との間の相当因果関係が阻害されると認められる。 オ特許法102条2項により推定される損害額 前記ウ及びエによれば、特許法102条2項により推定される原告が受けた損害の額は、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「裁判所認定額」「対象期間計」「2項損害額」欄記載のとおりとなる。 カ弁護士費用相当額被告美津濃の本件特許権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は、 別紙損害額一覧表(被告美津濃)「裁判所認定額」「対象期間計」「弁護士費用相当額」欄記載のとおりと認めるのが相当である。 キ小括以上によれば、被告美津濃の不法行為により原告に生じた損害額は、別紙損害額一覧表(被告美津濃)「裁判所認定額」「対象期間計」「損害額合計」 欄のとおりとなる。 (8) 被告コーコス信岡関係ア粗利益額前提事実(5)ク及び弁論の全趣旨によれば、被告コーコス信岡が被告製品7の販売により受けた粗利益の額は、別紙損害額一覧表(被告コーコス信 岡)「裁判所認定額」「R1.6.28 からR1.9.30 まで」「粗利益額(税抜)」欄及 び同「裁判所認定額」「R1.10.1 からR4.8.16 まで」「粗利益額(税抜)」欄各記載のとおりと認められるから、消費税相当額を加算した粗利益の額は、同「裁判所認定額」「対象期間計」「粗利益額(税込)」欄記載のとおりとなる。 イ経費 被告コーコス信岡は、被告製品7についてカタログを製作、印 から、消費税相当額を加算した粗利益の額は、同「裁判所認定額」「対象期間計」「粗利益額(税込)」欄記載のとおりとなる。 イ経費 被告コーコス信岡は、被告製品7についてカタログを製作、印刷するために要した費用を、経費として控除すべきと主張する。 この費用は、販売促進費に当たるところ、証拠(甲10の2、乙G1ないしG3)によれば、被告コーコス信岡は、被告製品7を含む取扱製品が掲載されたカタログを製作、印刷するために、合計●(省略)●円を支出 したことが認められる(乙G2記載の金額が、消費税相当額を含むものか否かを認めるに足りる証拠がないから、主張立証責任にかんがみ、消費税相当額を含むものとして認定する。)。 この認定事実に照らせば、上記カタログ等は被告製品7の販売等のために製作するなどされていたと認められるものの、本件証拠上、被告商品7 の製造数量、販売数量等が増加すれば、上記カタログ等に係る費用が増加するとの関係にあると認めることはできないから、被告製品7を1着製造、販売等するごとに追加的に必要となる費用であるとはいえない。 したがって、上記カタログ等の製作、印刷に要した費用は、被告製品7の製造、販売等に直接関連して追加的に必要となった経費に当たるものと 認めることはできない。 ウ限界利益額前記ア及びイによれば、被告コーコス信岡が被告製品7の譲渡等により得た限界利益の額は、別紙損害額一覧表(被告コーコス信岡)「裁判所認定額」「対象期間計」「限界利益額(税込)」欄記載の額となる。 エ特許法102条2項の推定覆滅の成否 前記(2)エのとおり、被告各製品の限界利益の額の90パーセントに相当する額については、原告の受けた損害額との間の相当因果関係が阻害されると認められる。 条2項の推定覆滅の成否 前記(2)エのとおり、被告各製品の限界利益の額の90パーセントに相当する額については、原告の受けた損害額との間の相当因果関係が阻害されると認められる。 オ特許法102条2項により推定される損害額前記ウ及びエによれば、特許法102条2項により推定される原告が受 けた損害の額は、別紙損害額一覧表(被告コーコス信岡)「裁判所認定額」「対象期間計」「2項損害額」欄記載のとおりとなる。 カ弁護士費用相当額被告福徳産業の本件特許権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は、別紙損害額一覧表(被告コーコス信岡)「裁判所認定額」「対象期間計」「弁 護士費用相当額」欄記載のとおりと認めるのが相当である。 キ小括以上によれば、被告コーコス信岡の不法行為により原告に生じた損害額は、別紙損害額一覧表(被告コーコス信岡)「裁判所認定額」「対象期間計」「損害額合計」欄のとおりとなる。 (9) 遅延損害金の起算日及び利率被告らによる本件特許権の侵害行為は継続的不法行為に当たるから、遅延損害金の起算日は不法行為の終了日とし、その利率は当該不法行為の終了日の時点で適用されていた民法所定の法定利率とするのが相当である。 証拠(乙F8)及び弁論の全趣旨によれば、被告らによる不法行為の終了 日は、以下のとおりと認められるから(不法行為の終了日が期間内のいずれかの時点としか認定できない場合は、当該期間の末日とするのが相当である。)、遅延損害金の起算日は当該不法行為の終了日(ただし、当該不法行為の終了日が原告の請求する遅延損害金の起算日である令和元年12月19日より前のときは同日)となる。 不法行為の終了日利率 被告サンエス令和元年9月30日 終了日が原告の請求する遅延損害金の起算日である令和元年12月19日より前のときは同日)となる。 不法行為の終了日利率 被告サンエス令和元年9月30日年5分被告ビッグボーン商事令和元年9月30日年5分被告アタックベース令和4年8月16日年3パーセント被告大川被服令和元年9月30日年5分被告福徳産業令和元年9月30日年5分 被告美津濃令和2年1月31日年5分被告コーコス信岡令和4年8月16日年3パーセント第4 結論以上によれば、原告の請求は、主文の限度で理由があるからこれを認容することとし、その余は理由がないからいずれも棄却することとして、主文のとお り判決する。なお、主文第2項、第5項、第7項、第10項、第13項、第16項、第19項及び第22項については、仮執行宣言を付すことは相当でないので、これを付さないこととする。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 間明宏充 裁判官 木村洋一 (別紙物件目録省略)(別紙損害賠償請求に係る訴訟物一覧表省略)(別紙損害額一覧表(被告サンエス) 省略)(別紙損害 木村洋一 (別紙物件目録省略)(別紙損害賠償請求に係る訴訟物一覧表省略)(別紙損害額一覧表(被告サンエス) 省略)(別紙損害額一覧表(被告ビッグボーン商事) 省略)(別紙損害額一覧表(被告アタックベース) 省略) (別紙損害額一覧表(被告大川被服) 省略)(別紙損害額一覧表(被告福徳産業) 省略)(別紙損害額一覧表(被告美津濃) 省略)(別紙損害額一覧表(被告コーコス信岡) 省略)

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