平成9(行コ)51 補助金支出差止等請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成9年(行ウ)第13号)

裁判年月日・裁判所
平成16年2月24日 大阪高等裁判所 住民訴訟
ファイル
hanrei-pdf-15056.txt

判決文本文38,127 文字)

主文 1 原判決を次のとおり変更する。 2 控訴人の被控訴人吹田市長A,被控訴人吹田市収入役B,被控訴人市立吹田市民病院企業出納員Cに対する本件口頭弁論終結時以降,被控訴人社団法人大阪府市町村職員互助会への職員互助会補給金支出の差し止めを求める訴え(後記控訴の趣旨(2)の訴え)並びにその余の被控訴人らに対する平成8年11月以降の吹田市から被控訴人社団法人大阪府市町村職員互助会への職員互助会補給金支出を原因とする損害賠償及び不当利得返還を求める訴え(後記控訴の趣旨(3)のアないしウの各(ア)ないし(ウ)の各①の請求のうち,各②の請求分を超える部分の訴え,同(4)のアないしウの各(ア)の請求のうち,各(イ)の請求分を超える部分の訴え)をいずれも却下する。 3 被控訴人社団法人大阪府市町村職員互助会は,吹田市に対し,7221万6651円を支払え。 4 控訴人のその余の請求を棄却する。 5 訴訟費用は,第1,2審を通じて,控訴人と被控訴人社団法人大阪府市町村職員互助会との間で生じた費用のうち,その10分の1を被控訴人社団法人大阪府市町村職員互助会の負担とし,その余及び同被控訴人以外の被控訴人らとの間で生じた費用全てを控訴人の負担とする。 事実 第1 当事者の求める裁判 1 控訴の趣旨(控訴人)(1) 原判決を取り消す。 (2) 1号差止請求(当審の新請求)ア被控訴人吹田市長A(以下,単に「被控訴人吹田市長」という。),被控訴人吹田市収入役B(以下,単に「被控訴人吹田市収入役」という。),被控訴人市立吹田市民病院企業出納員C(以下,単に「被控訴人市立吹田市民病院企業出納員」という。)は,本件口頭弁論終結時以降,被控訴人社団法人 収入役B(以下,単に「被控訴人吹田市収入役」という。),被控訴人市立吹田市民病院企業出納員C(以下,単に「被控訴人市立吹田市民病院企業出納員」という。)は,本件口頭弁論終結時以降,被控訴人社団法人大阪府市町村職員互助会(以下「被控訴人互助会」という。)に対し,職員互助会補給金(以下「本件補給金」という。)を支出してはならない。 イ被控訴人吹田市長,被控訴人吹田市収入役,被控訴人市立吹田市民病院企業出納員は,本件口頭弁論終結時以降,被控訴人互助会に対し,同会が行う福利厚生事業のうち,各種給付事業(退会給付金を含む。)に充当される部分について,本件補給金を支出してはならない。 ウ被控訴人吹田市長,被控訴人吹田市収入役,被控訴人市立吹田市民病院企業出納員は,本件口頭弁論終結時以降,被控訴人互助会に対し,同会が行う福利厚生事業のうち,退会給付金に充当される部分について,本件補給金を支出してはならない。 (3) 4号前段損害賠償請求(下記の各(ア)ないし(ウ)の各①のうち,各②を超える部分の請求は当審の新請求)ア被控訴人亡D訴訟承継人E(以下「被控訴人E」という。)に対し(ア) 1次的① 被控訴人Eは,吹田市に対し,6億0288万3401円及びうち金1億1945万4544円に対する平成9年2月28日から,うち金4億8342万8857円に対する平成11年3月18日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ② 被控訴人Eは,吹田市に対し,1億1945万4544円及びこれに対する平成9年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (イ) 2次的① 被控訴人Eは,吹田市に対し,5億3053万7392円及びうち金1億0511万9998円に対する平成9年2月 8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (イ) 2次的① 被控訴人Eは,吹田市に対し,5億3053万7392円及びうち金1億0511万9998円に対する平成9年2月28日から,うち金4億2541万7394円に対する平成11年3月18日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ② 被控訴人Eは,吹田市に対し,1億0511万9998円及びこれに対する平成9年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (ウ) 3次的① 被控訴人Eは,吹田市に対し,4億0393万1878円及びうち金8003万4544円に対する平成9年2月28日から,うち金3億2389万7334円に対する平成11年3月18日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ② 被控訴人Eは,吹田市に対し,8003万4544円及びこれに対する平成9年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ被控訴人亡D訴訟承継人F(以下「被控訴人F」という。),亡D訴訟承継人被控訴人G(以下「被控訴人G」という。)に対し(ア) 1次的① 被控訴人F及び被控訴人Gは,それぞれ吹田市に対し,3億0144万1700円及びうち金5972万7271円に対する平成9年2月28日から,うち金2億4171万4429円に対する平成11年3月18日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ② 被控訴人F及び被控訴人Gは,それぞれ吹田市に対し,5972万7271円及びこれに対する平成9年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (イ) 2次的① 被控訴人F及び被控訴人Gは,それぞれ吹田市に対し,2億6526万8696円 及びこれに対する平成9年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (イ) 2次的① 被控訴人F及び被控訴人Gは,それぞれ吹田市に対し,2億6526万8696円及びうち金5255万9999円に対する平成9年2月28日から,うち金2億1270万8697円に対する平成11年3月18日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ② 被控訴人F及び被控訴人Gは,それぞれ吹田市に対し,5255万9999円及びこれに対する平成9年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (ウ) 3次的① 被控訴人F及び被控訴人Gは,それぞれ吹田市に対し,2億0196万5939円及びうち金4001万7272円に対する平成9年2月28日から,うち金1億6194万8667円に対する平成11年3月18日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ② 被控訴人F及び被控訴人Gは,それぞれ吹田市に対し,4001万7272円及びこれに対する平成9年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ウ被控訴人H,被控訴人I,被控訴人J,被控訴人K,被控訴人L,被控訴人M,被控訴人Nに対し(ア) 1次的① 被控訴人H,被控訴人I,被控訴人J,被控訴人K,被控訴人L,被控訴人M,被控訴人Nは,連帯して,吹田市に対し,12億0576万6801円及びうち金2億3890万9087円に対する平成9年2月28日から,うち金9億6685万7714円に対する平成11年3月18日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(但し,被控訴人H及び被控訴人Nは,それぞれ10億6169万0616円,被控訴人Iは,1億4407万6185円,被控訴人Mは,98 11年3月18日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(但し,被控訴人H及び被控訴人Nは,それぞれ10億6169万0616円,被控訴人Iは,1億4407万6185円,被控訴人Mは,9811万6795円,被控訴人Jは,2億5134万3106円,被控訴人Kは,1億1532万6583円,被控訴人Lは,2億0601万8364円の各元金及びこれらに対する附帯請求の限度で)。 ② 被控訴人H,被控訴人I,被控訴人J,被控訴人K,被控訴人L,被控訴人M,被控訴人Nは,連帯して,吹田市に対し,2億3890万9087円及びこれに対する平成9年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(但し,被控訴人H及び被控訴人Nは,それぞれ2億1036万2710円,被控訴人Iは,2854万6377円,被控訴人Mは,2854万6377円,被控訴人Jは,1億4671万8050円,被控訴人Kは,2261万6845円,被控訴人Lは,4102万7815円の各元金及びこれらに対する附帯請求の限度で)。 (イ) 2次的① 被控訴人H,被控訴人I,被控訴人J,被控訴人K,被控訴人L,被控訴人M,被控訴人Nは,連帯して,吹田市に対し,10億6107万4785円及びうち金2億1023万9997円に対する平成9年2月28日から,うち金8億5083万4788円に対する平成11年3月18日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(但し,被控訴人H及び被控訴人Nは,それぞれ9億3428万7742円,被控訴人Iは,1億2678万7042円,被控訴人Mは,8634万2779円,被控訴人Jは,2億2118万1933円,被控訴人Kは,1億0148万7393円,被控訴人Lは,1億8129万6160円の各元金及びこれらの附帯請求の限度で)。 訴人Mは,8634万2779円,被控訴人Jは,2億2118万1933円,被控訴人Kは,1億0148万7393円,被控訴人Lは,1億8129万6160円の各元金及びこれらの附帯請求の限度で)。 ② 被控訴人H,被控訴人I,被控訴人J,被控訴人K,被控訴人L,被控訴人M,被控訴人Nは,連帯して,吹田市に対し,2億1023万9997円及びこれに対する平成9年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(但し,被控訴人H及び被控訴人Nは,それぞれ1億8511万9184円,被控訴人Iは,2512万0811円,被控訴人Mは,2512万0811円,被控訴人Jは,1億2911万1884円,被控訴人Kは,1990万2824円,被控訴人Lは,3610万4477円の各元金及びこれらの附帯請求の限度で)。 (ウ) 3次的① 被控訴人H,被控訴人I,被控訴人J,被控訴人K,被控訴人L,被控訴人M,被控訴人Nは,連帯して,吹田市に対し,8億0786万3757円及びうち金1億6006万9088円に対する平成9年2月28日から,うち金6億4779万4669円に対する平成11年3月18日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(但し,被控訴人H及び被控訴人Nは,それぞれ7億0071万5806円,被控訴人Iは,9509万0282円,被控訴人Mは,6475万7084円,被控訴人Jは,1億6588万6450円,被控訴人Kは,7611万5544円,被控訴人Lは,1億3597万2120円の各元金及びこれらの附帯請求の限度で)。 ② 被控訴人H,被控訴人I,被控訴人J,被控訴人K,被控訴人L,被控訴人M,被控訴人Nは,連帯して,吹田市に対し,1億6006万9088円及びこれに対する平成9年2月28日から支払済みま ② 被控訴人H,被控訴人I,被控訴人J,被控訴人K,被控訴人L,被控訴人M,被控訴人Nは,連帯して,吹田市に対し,1億6006万9088円及びこれに対する平成9年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(但し,被控訴人H及び被控訴人Nは,それぞれ1億3883万9389円,被控訴人Iは,1884万0609円,被控訴人Mは,1884万0609円,被控訴人Jは,9683万3913円,被控訴人Kは,1492万7117円,被控訴人Lは,2707万8358円の各元金及びこれらの附帯請求の限度で)。 (4) 4号後段損害賠償,不当利得返還請求(不当利得返還請求及び下記の各アないしウの各(ア)のうち,各(イ)を超える部分の損害賠償請求は当審の新請求)ア 1次的(ア) 被控訴人互助会は,吹田市に対し,12億0576万6801円及びうち金2億3890万9087円に対する平成9年2月28日から,うち金9億6685万7714円に対する平成11年3月18日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (イ) 被控訴人互助会は,吹田市に対し,2億3890万9087円及びこれに対する平成9年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ 2次的(ア) 被控訴人互助会は,吹田市に対し,10億6107万4785円及びうち金2億1023万9997円に対する平成9年2月28日から,うち金8億5083万4788円に対する平成11年3月18日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (イ) 被控訴人互助会は,吹田市に対し,2億1023万9997円及びこれに対する平成9年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ウ 3次的(ア) 被控訴人 (イ) 被控訴人互助会は,吹田市に対し,2億1023万9997円及びこれに対する平成9年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ウ 3次的(ア) 被控訴人互助会は,吹田市に対し,8億0786万3757円及びうち金1億6006万9088円に対する平成9年2月28日から,うち金6億4779万4669円に対する平成11年3月18日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (イ) 被控訴人互助会は,吹田市に対し,1億6006万9088円及びこれに対する平成9年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (5) 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人らの負担とする。 (6) 上記(3),(4)項につき,仮執行宣言(なお,控訴人は,被控訴人吹田市長,被控訴人吹田市収入役,被控訴人市立吹田市民病院企業出納員に対する被控訴人互助会への本件補給金支出の差し止めを求める訴えについて,原審では特に時期の制限を設けていなかったが,当審で上記のとおりその時期を特定した。また,控訴人は,当審で上記金員の請求のうち,上記(3)のアないしウの各(ア)ないし(ウ)のうちの各②の請求及び上記(4)のアないしウのうちの各(イ)の請求について,同各請求のとおり一部減縮し,被控訴人ら(但し,被控訴人吹田市長,被控訴人吹田市収入役,被控訴人市立吹田市民病院企業出納員を除く。)はそれに同意した。ところで,上記金員の請求のうち,上記(3)のアないしウの各(ア)ないし(ウ)のうちの各②の請求は各①の請求に,上記(4)のアないしウのうちの各(イ)の請求は(ア)の各請求に含まれるものであるが,後記請求原因の記載とのわかりやすさから分けて記載している。) 2 本案前の答弁(被控訴人ら)(1) 上記(4)のアないしウのうちの各(イ)の請求は(ア)の各請求に含まれるものであるが,後記請求原因の記載とのわかりやすさから分けて記載している。) 2 本案前の答弁(被控訴人ら)(1) 差し止めを求める訴えについて控訴人が被控訴人吹田市長,被控訴人吹田市収入役,被控訴人市立吹田市民病院企業出納員に対して,本件口頭弁論終結時以降の本件補給金支出の差し止めを求める訴えをいずれも却下する。 (2) 4号前段損害賠償請求について上記(3)のアないしウの各(ア)ないし(ウ)の各①の請求のうち,各②の請求分を超える部分の訴えを却下する。 (3) 4号後段損害賠償,不当利得返還請求について上記(4)のアないしウの各(ア)の請求のうち,各(イ)の請求分を超える部分の訴えを却下する。 3 控訴の趣旨に対する答弁(被控訴人ら)(1) 控訴人の控訴をいずれも棄却する。 (2) 控訴費用は控訴人の負担とする。 第2 主張 1 請求原因(本件で適用される地方自治法242条の2は平成14年法律第4号による改正前のものである。)(控訴人)(1) 控訴人は,吹田市の住民である。 (2)ア被控訴人吹田市長,被控訴人吹田市収入役,被控訴人市立吹田市民病院企業出納員は,本件補給金の支出に関して法令上本来的な権限を有する者である。 イ訴訟承継前被控訴人亡D(以下「亡D」という。)は,元吹田市長であった。 ウ被控訴人Hは,元同市収入役であった。 エ被控訴人Jは,元同市総務部人事課長として,吹田市事務処理規程16条に基づき,本件補給金の支出に関する市長の権限に属する事務のうち,支出負担行為及び支出命令にかかる事務の専決を任されて同事務を処理する者であった。 オ被控訴人Nは,元同市収 事務処理規程16条に基づき,本件補給金の支出に関する市長の権限に属する事務のうち,支出負担行為及び支出命令にかかる事務の専決を任されて同事務を処理する者であった。 オ被控訴人Nは,元同市収入役室長として,吹田市収入役事務決裁規程3条に基づき,本件補給金の支出に関する収入役の権限に属する事務のうち,支出命令書による支出決定にかかる事務の専決を任されて同事務を処理する者であった。 カ被控訴人Kは,元同市消防本部庶務課長として,消防長等における市長権限事務の専決及び代決等に関する規程2条1項,吹田市事務処理規程16条1項に基づき,本件補給金(消防本部及び消防署関係)の支出に関する市長の権限に属する事務のうち,支出命令にかかる事務の専決を任されて同事務を処理する者であった。 キ被控訴人Lは,元同市教育委員会事務局管理部総務課長として,委員会等の職員の市長権限事務の専決及び代決等に関する規程2条1項に基づき,本件補給金(教育委員会関係)の支出に関する市長の権限に属する事務のうち,支出命令にかかる事務の専決を任されて同事務を処理する者であった。 ク被控訴人Iは,元市立吹田市民病院企業出納員として,地方公営企業法28条,市立吹田市民病院財務規則3条,企業出納員に権限を委任する規則2条に基づき,同病院における会計事務を司る権限を有し,本件補給金(同病院関係)の支出を行った者であった。 ケ被控訴人Mは,元同病院事務局次長(庶務課長事務取扱)として,市立吹田市民病院処務規程5条1項,吹田市事務処理規程16条1項に基づき,本件補給金(同病院関係)の支出に関する市長の権限に属する事務のうち,支払伝票の発行にかかる事務の専決を任されて同事務を処理する者であった。 コなお,亡Dは,平成12年7月20日死亡し,同人の妻で 給金(同病院関係)の支出に関する市長の権限に属する事務のうち,支払伝票の発行にかかる事務の専決を任されて同事務を処理する者であった。 コなお,亡Dは,平成12年7月20日死亡し,同人の妻である被控訴人E(法定相続分2分の1),長男である被控訴人F及び長女である被控訴人G(法定相続分各4分の1)が相続によりその権利義務を承継した。 (3) 被控訴人互助会は,昭和7年に設立された団体であり,大阪府下の市町村及び一部事務組合(法令による一部事務組合に準ずるものを含む。)の常勤の職員(臨時職員で勤務月数が引き続き6か月未満のものを除く。)並びに大阪府市長会,大阪府町村長会,市町村の職員の団体及び被控訴人互助会の事務部局に勤務する職員であって,被控訴人互助会に入会した者を会員とし,互助共済の精神に基づき,会員の共助制度を確立し実施することにより,会員の福利増進,生活の向上を期し,もって執務の公正,能率化を増進し,進んで地方自治の本旨の実現に協力することを目的として,給付事業,貸付事業,福利厚生事業その他同目的達成のために必要な事業等を行っている。 (4) 吹田市の各部局は,被控訴人互助会に対し,従来から職員厚生費として本件補給金を支出してきた。平成8年度から同10年度までの支出金額は,次のとおりである。 ア平成8年4月から同年10月まで(合計2億3890万9087円)(ア) 本庁 1億4671万8050円(イ) 消防本部及び消防署 2261万6845円(ウ) 教育委員会 4102万7815円(エ) 市民病院 2854万6377円イ平成8年度(平成8年4月から平成9年3月まで)(合計4億0902万9987円) 4102万7815円(エ) 市民病院 2854万6377円イ平成8年度(平成8年4月から平成9年3月まで)(合計4億0902万9987円)(ア) 市長部局 2億5134万3106円(イ) 消防本部及び消防署 3868万0626円(ウ) 教育委員会 7028万7814円(エ) 市民病院 4871万8441円ウ平成9年度(平成9年4月から平成10年3月まで)(合計4億1465万9853円)(ア) 市長部局 2億5443万1380円(イ) 消防本部及び消防署 3956万0876円(ウ) 教育委員会 7126万9243円(エ) 市民病院 4939万8354円エ平成10年度(平成10年4月から平成11年2月まで)(合計3億8207万6961円)(ア) 市長部局 2億3457万1183円(イ) 消防本部及び消防署 3708万5081円(ウ) 教育委員会 6446万1307円(エ) 市民病院 4595万9390円オ以上イないしエの合計 12億0576万6801円(5)ア吹田市等の地方公共団体による被控訴人互助会に対する本件補給金の支出は公益上の必要がある場合に限られる(地方自治法232条の2)。 しかし,吹田市の被控訴人互助会に対する本件補給金の支出はこの要件を満たさない。 仮に,本件補給金の支出が公益上の必要がある場合に該当するとしても,同支出は地方自治 2条の2)。 しかし,吹田市の被控訴人互助会に対する本件補給金の支出はこの要件を満たさない。 仮に,本件補給金の支出が公益上の必要がある場合に該当するとしても,同支出は地方自治法2条13項(平成11年法律第87号による改正前のもの),地方財政法4条に反するものであり,違法である。 イまた,本件補給金の根拠となる吹田市条例(昭和51年10月28日条例第42号吹田市職員の厚生制度に関する条例〔以下「厚生条例」という。〕)は,地方公務員法42条をその根拠としているところ,吹田市長も被控訴人互助会の会員として退会給付金等の給付を受けるが,同法42条は,特別職である市長等を対象としていない。したがって,本件補給金の支出は違法である。 ウそして,本件補給金は,被控訴人互助会において,地方公務員法の福利厚生規定の対象外である大阪府町村長会,大阪府市長会,大阪府市町村職員共済組合,大阪府市町村職員健康保険組合,被控訴人互助会に所属する職員の福利厚生事業にも使用されている。したがって,本件補給金の支出は,法令に根拠のない違法な支出である。 エ吹田市の予算説明書では,本件補給金を共済費として計上し,法定の共済制度と錯覚させることで,同市議会の議決を騙取している。これは,予算の目的外支出にあたり,違法である。したがって,本件補給金の支出は違法である。 (6)ア被控訴人互助会は,その沿革からすると第二共済ともいうべきものであって,そこで支給される給付金はやみ共済給付金に相当する。このような被控訴人互助会に係わる給付金制度は地方公務員の福利厚生について規定する地方公務員等共済組合法の上乗せ,横出しの制度である。そうすると,被控訴人互助会を通した給付金の支給は違法といわなければならない。したがって,同給付金に充てられる 地方公務員の福利厚生について規定する地方公務員等共済組合法の上乗せ,横出しの制度である。そうすると,被控訴人互助会を通した給付金の支給は違法といわなければならない。したがって,同給付金に充てられる本件補給金の支出は違法である。 イ(ア) 本件補給金の一部は被控訴人互助会の会員が退会する際の退会給付金に充てられているが,同退会給付金は,会員が退職したとき,勤続年数及び会費算定の基礎となる給料月額の30分の1相当額を算定基準として支給されている。 (イ) ところで,被控訴人互助会が会員に支給する退会給付金は退職金に類似したものであり,その金額からいっても,社会通念上認められる額ではなく,職員に対する福利厚生事業の範囲を逸脱しており,公益とは何ら関わりのない金員で,地方自治法204条,同条の2,地方公務員法14条,24条,25条,41条の諸規定を潜脱するやみ退職金ともいうべきものである。したがって,少なくとも本件補給金のうち,退会給付金に充てられている部分が違法な支出というべきである。 ウ本件補給金の一部は被控訴人互助会の会員の退会給付金以外の給付金にも充てられているが,それらの給付金も社会通念及び社会儀礼の範囲を逸脱し,地方公務員法41条に違反し,実質的には給与とみられるべきものである。したがって,本件補給金のうち退会給付金以外の給付金に充てられている部分も違法な支出である。 (7) 本件補給金支出のうち,被控訴人互助会において各種給付事業(退会給付金を含む。)に充てられた割合,退会給付金に充てられた割合は以下のとおりである。 ア平成8年度(平成8年4月から同年10月まで)退会給付金+それ以外の各種給付金  92パーセント退会給付金 73パーセントイ平成 る。 ア平成8年度(平成8年4月から同年10月まで)退会給付金+それ以外の各種給付金  92パーセント退会給付金 73パーセントイ平成8年度(平成8年4月から平成9年3月まで)退会給付金+それ以外の各種給付金  87パーセント退会給付金 64パーセントウ平成9年度(平成9年4月から平成10年3月まで)退会給付金+それ以外の各種給付金  87パーセント退会給付金 66パーセントエ平成10年度(平成10年4月から平成11年2月まで)退会給付金+それ以外の各種給付金  91パーセント退会給付金 73パーセントオ平成10年度(平成10年4月から平成11年3月まで)退会給付金+それ以外の各種給付金  90パーセント退会給付金 70パーセントカ平成8年度から平成10年度(但し,同年度は,同年4月から平成11年2月まで)退会給付金+それ以外の各種給付金  88パーセント退会給付金 68パーセントキ平成8年度から平成10年度(但し,同年度は,同年4月から平成11年3月まで)退会給付金+それ以外の各種給付金  88パーセント退会給付金 67パーセントなお,上記割合計算の計算方法は,下記のとおりである。 記(被控訴人互助会の別紙1各年度事業費目別支出額表の支出の部の退会給付金+一般給付)÷別紙1各年度事業費 算方法は,下記のとおりである。 記(被控訴人互助会の別紙1各年度事業費目別支出額表の支出の部の退会給付金+一般給付)÷別紙1各年度事業費目別支出額表の支出の部の計から積立金を控除した金額=(退会給付金+それ以外の各種給付金)の割合(別紙1各年度事業費目別支出額表の支出の部の退会給付金÷別紙1各年度事業費目別支出額表の支出の部の計から積立金を控除した金額=退会給付金の割合(8) 本件補給金支出のうち,88パーセント(平成8年度から平成10年度までの3年間の平均値)が各種給付事業(退会給付金を含む。)に充てられた。以下の各年度における具体的な金額は以下のとおりである。 ア平成8年4月から同年10月まで2億1023万9997円(小数点以下四捨五入)イ平成8年度ないし平成10年度(但し,同年度は,同年4月から平成11年2月まで)10億6107万4785円(小数点以下四捨五入)(9) 本件補給金支出のうち,67パーセント(平成8年度から平成10年度3年間の平均値)が退会給付金に充てられた。以下の各年度における具体的な金額は,以下のとおりである。 ア平成8年4月から同年10月まで1億6006万9088円イ平成8年度ないし平成10年度(但し,同年度は,同年4月から平成11年2月まで)8億0786万3757円(10)ア亡Dは,吹田市長として本件補給金の支出について,法令に違反していないかを確認すべき義務がある。 イ亡Dは,その職歴及び自らも被控訴人互助会会員として多額の退会給付金を受け取っていることや,他の地方公共団体を調査することにより,本件補給金の に違反していないかを確認すべき義務がある。 イ亡Dは,その職歴及び自らも被控訴人互助会会員として多額の退会給付金を受け取っていることや,他の地方公共団体を調査することにより,本件補給金の使途(退会給付金及びそれ以外の各種給付金の支出)の異常性,違法性を認識できたはずであるから,故意又は重大な過失により違法な本件補給金の支出をし,吹田市に同支出金額相当,少なくとも,本件補給金のうち退会給付金及びそれ以外の各種給付金の支給分に充てられた金額相当の損害を与えたものである。 (11)ア被控訴人H,被控訴人I,被控訴人J,被控訴人K,被控訴人L,被控訴人M,被控訴人Nは,上記(2)で記載した各地位に基づいて支出負担行為や支出命令を行う者としてその権限の範囲内で本件補給金の支出に係る支出負担行為や支出命令が法令に違反していないかを確認すべき義務がある。 イ同被控訴人らは,被控訴人互助会の会員であり,その事業内容を十分に認識しており,本件補給金支出,少なくとも本件補給金の受給を受けて被控訴人互助会が行った退会給付金及びそれ以外の各種給付金の支給の違法性を認識すべき事情があったにもかかわらず,支出負担行為等をしたもので,故意又は重大な過失により違法な本件補給金の支出をし,吹田市に同支出金額相当の損害,少なくとも,本件補給金のうち退会給付金及びそれ以外の各種給付金の支給分に充てられた金額相当の損害を与えたものである。 (12)ア被控訴人互助会は,被控訴人らが上記のとおり行った本件補給金の支出が違法であることを知りながら,又は違法であることを知り得たにもかかわらず,吹田市から本件補給金の支給を受け,その結果,吹田市に同支出金額相当の損害を与えたものである。そうでないとしても,被控訴人互助会は,その支給された金員を利得し,よって, とを知り得たにもかかわらず,吹田市から本件補給金の支給を受け,その結果,吹田市に同支出金額相当の損害を与えたものである。そうでないとしても,被控訴人互助会は,その支給された金員を利得し,よって,吹田市に同金額の損失が生じた。 イ被控訴人互助会は,少なくとも,本件補給金の支給を受けて行った退会給付金及びそれ以外の各種給付金の支給が違法であることを知りながら,又は違法であることを知り得たにもかかわらずその支給を行い,その結果,吹田市に本件補給金のうち退会給付金及びそれ以外の各種給付金の支給分に充てられた金額相当の損害を与えたものである。そうでないとしても,被控訴人互助会は,その支給された金員を利得し,よって,吹田市に同金額の損失が生じた。 (13) 控訴人は,平成8年12月26日,吹田市監査委員に対し,平成8年度においては職員厚生費中の負担金,本件補給金及び交付金として3億6409万8694円が予算計上されていることを前提として,同市の被控訴人互助会に対する本件補給金の支出は同市職員の私的利益を図るもので違法である等として,本件補給金支出の差し止め及び吹田市長である亡Dらに対して損害賠償等を求める旨の住民監査請求(以下「本件監査請求」という。)をした。 吹田市監査委員は,平成9年2月13日,本件監査請求を棄却する旨の決定(以下「本件監査決定」という。)をしたところ,控訴人は,それから間もない時期に同監査結果の通知を受けた。 (14) 仮に,控訴人が被控訴人ら(但し,被控訴人吹田市長,被控訴人吹田市収入役,被控訴人市立吹田市民病院企業出納員を除く。)に対して求める本件損害賠償及び不当利得返還の各請求のうち,本件監査請求を経ていない部分が不適法であるとすれば,同被控訴人らに対し,本件補給金支出のうち,同監査請求を経ている 院企業出納員を除く。)に対して求める本件損害賠償及び不当利得返還の各請求のうち,本件監査請求を経ていない部分が不適法であるとすれば,同被控訴人らに対し,本件補給金支出のうち,同監査請求を経ている平成8年4月から同年10月までに支出した金員について損害賠償及び不当利得返還をそれぞれ求める。 (15) よって,控訴人は,ア被控訴人吹田市長,被控訴人吹田市収入役,被控訴人市立吹田市民病院企業出納員に対して本件口頭弁論終結時以降の本件補給金支出(①1次的には本件補給金支出全て,②2次的には本件補給金のうち,退会給付金を含む各種給付金に充てられる部分,③3次的には本件補給金のうち,退会給付金に充てられる部分)の差し止めをイ上記アの被控訴人らを除いた被控訴人ら(但し,被控訴人互助会を除く。)に対して,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償の請求(①1次的には本件補給金全額に相当する損害,②2次的には本件補給金のうち,退会給付金を含む各種給付金に支出した金額に相当する損害,③3次的には本件補給金のうち,退会給付金に支出した金額に相当する損害)(附帯請求を含む。)をウ被控訴人互助会に対し,不法行為に基づく損害賠償又は不当利得返還の各請求(①1次的には本件補給金全額に相当する損害ないし利得,②2次的には本件補給金のうち,退会給付金を含む各種給付金に支出した金額に相当する損害ないし利得,③3次的には本件補給金のうち,退会給付金に支出した金額に相当する損害ないし利得)(附帯請求を含む。)を各求める。 2 本案前の答弁の理由(被控訴人ら)(1) 本件補給金支出の差し止めを求める訴えについてア控訴人は,平成8年11月以降の吹田市から被控訴人互助会への本件補給金の支出について,吹田市監査委員に対する監査請求を 被控訴人ら)(1) 本件補給金支出の差し止めを求める訴えについてア控訴人は,平成8年11月以降の吹田市から被控訴人互助会への本件補給金の支出について,吹田市監査委員に対する監査請求を経ていない。 イしたがって,控訴人が本件口頭弁論終結時以降の本件補給金支出の差し止めを求める訴えはいずれも不適法である。 (2) 損害賠償等を求める訴えについてア控訴人は,平成8年11月から平成11年2月までの吹田市から被控訴人互助会への本件補給金の支出について,吹田市監査委員に対する監査請求を経ていない。 イしたがって,控訴人が本件補給金支出のうち,平成8年11月から平成11年2月までの支出を原因とする損害賠償及び不当利得返還の各訴えは,不適法である。 3 本案前の答弁の理由に対する認否(控訴人)本案前の答弁の理由のうち,平成8年11月から平成11年2月までの吹田市から被控訴人互助会への本件補給金支出については,形式的には住民監査請求の手続を経ていないことは認める。 しかし,控訴人が行った本件監査請求の趣旨は,単に平成8年4月から同年10月までの本件補給金支出のみが違法であるというのではなく,過去から将来にわたる支出を一連のものとしてとらえ,そのすべてが違法であると主張するものである。本件監査請求には同請求以降における本件補給金支出の違法性も黙示的に含んでいる。 そして,本件において,当初の請求(原審での請求)と追加した請求(当審で追加した請求)の基礎は紛争の実体的関係から見ると同一であり,訴訟法的観点から見ても,訴訟資料及び証拠資料は共通であり,違法とする理由や損害賠償請求の相手方も同一である。被控訴人らは,控訴人が本件補給金の支出の差し止めを求めたにもかかわらず,あえて違法な支 訴訟法的観点から見ても,訴訟資料及び証拠資料は共通であり,違法とする理由や損害賠償請求の相手方も同一である。被控訴人らは,控訴人が本件補給金の支出の差し止めを求めたにもかかわらず,あえて違法な支出を継続しているものであり,また,当初の訴えの時点では,既に支出済みの分しか損害賠償請求をすることができなかったという事情があったので,住民監査請求の前置につき特段の事情があるというべきであり,したがって,平成8年11月以降の本件補給金の支出について住民監査請求の手続を経ていなくても,本件補給金支出の差し止め及び同年11月以降の同補給金支出を原因とする損害賠償,不当利得返還の各訴えは,適法であって,訴えの追加的併合が認められるべきである。 4 請求原因に対する認否(被控訴人ら)(1) 請求原因(1)ないし(4)は認める。 (2) 同(5)のうち,アのうちの吹田市等の地方公共団体による被控訴人互助会に対する本件補給金の支出は,補助金に該当するから公益上の必要がある場合に限られること(地方自治法232条の2),イのうちの本件補給金の根拠となる厚生条例は地方公務員法42条をその根拠としていること及びウのうちの大阪府町村長会,大阪府市長会,大阪府市町村職員共済組合,大阪府市町村職員健康保険組合,被控訴人互助会に所属する職員も被控訴人互助会の会員であることは認め,その余は否認する。 (3) 同(6)のうち,イ(ア)は認め,その余は否認する。 (4) 同(7)ないし(10)は否認ないし争う。 (5) 同(11)のうち,アは認め,その余は否認する。 なお,被控訴人Jは,平成9年4月18日付け人事異動により,平成9年度及び平成10年度の支出には関与しておらず,被控訴人Mは,平成10年3月末日をもって退職したため,平成10年度の支出に 。 なお,被控訴人Jは,平成9年4月18日付け人事異動により,平成9年度及び平成10年度の支出には関与しておらず,被控訴人Mは,平成10年3月末日をもって退職したため,平成10年度の支出には関与していない。 (6) 同(12)は否認ないし争う。 (7) 同(13)は認める。 (8) 同(14)(15)は争う。 5 被控訴人らの主張(1) 被控訴人ら(但し,被控訴人互助会を除く。)の主張ア支出負担行為者が支出負担行為をするときは,支出負担行為の理由,金額,契約の方法等必要な事項を決定しなければならず,支出命令者が支出命令をするときは,法令,契約等の定めに違反していないか,予算の目的に反していないか,配当を受けた歳出予算の額を超過することがないか,会計年度,支出金額及び支出科目を誤っていないか,請求書その他の証拠書類は完備しているか等を調査し,支出命令書によりこれをしなければならないとされている。 イ被控訴人J,被控訴人K,被控訴人L,被控訴人M及び被控訴人Nは,本件補給金の支出に際し,議決予算,厚生制度に関する条例その他関係諸規定に基づき,適正にかつ裁量の余地なく決裁処理を行ったものであり,違法性及び故意,過失がないから,同被控訴人らには損害賠償義務がない。 ウ被控訴人Iは,市立吹田市民病院企業出納員として,議決予算の中から厚生制度に関する条例,市立吹田市民病院財務規則及び企業出納員に権限を委任する規則の規定にしたがい,適正に発行された支払伝票により本件補給金の支出をしたものであり,違法性及び故意,過失がないから,同被控訴人には損害賠償義務がない。 エ被控訴人Hは,吹田市収入役として,本件補給金の支出について,地方自治法232条の4及び吹田市財務規則50条に基づき審査を行っ 及び故意,過失がないから,同被控訴人には損害賠償義務がない。 エ被控訴人Hは,吹田市収入役として,本件補給金の支出について,地方自治法232条の4及び吹田市財務規則50条に基づき審査を行ったが,会計年度,支出科目,予算配当金額,支出金額及び債権者等に誤りがなく,また,支出負担行為者に明らかな無効事由が存在する等といった特段の事由が認められなかったものであり,違法性及び故意,過失がないから,同被控訴人には損害賠償義務がない。 オ亡Dは,吹田市長として,財務会計上の行為を行う権限を地方自治法上及び地方公営企業法上有しているところ,吹田市においては,吹田市事務処理規程等によりその権限に属する一定範囲の財務会計上の行為を予め特定の補助職員に専決させることにより処理しているが,本件補給金支出については,適正に支出されたものであり,何ら違法な公金支出でないこと及び上記被控訴人らに対する指揮監督上の帰責事由が存しないことは明らかである。 (2) 被控訴人互助会の主張ア吹田市は,地方公務員法42条に基づき,同市の職員の福利厚生を被控訴人互助会を通して行っている。 また,被控訴人互助会は,昭和7年に設立された公益社団法人で,その目的は,大阪府下の市町村等で働く職員が互いに助け合うことにより,福利の増進や生活の向上を図り,もって,公務の能率的増進と地方自治の振興に寄与することにあるところ,現在まで65年以上にわたり,同目的を果してきた運営実績のある団体である。 したがって,吹田市が,上記目的の実現に寄与するため,被控訴人互助会に対して本件補給金を交付することは極めて高い公益性が認められる。 イ退会給付金制度は退職後の生活の安定及び安心を趣旨とした福利厚生事業の一環であり,これを通じて会員の在職中の勤労 訴人互助会に対して本件補給金を交付することは極めて高い公益性が認められる。 イ退会給付金制度は退職後の生活の安定及び安心を趣旨とした福利厚生事業の一環であり,これを通じて会員の在職中の勤労意欲をかき立て,上記目的を実現するものであり,その意味で公益に資するものであることは明らかである。 ウ本件補給金は厚生条例4条,被控訴人互助会定款31条及び同会費・補給金規程4条に基づき,予算として計上され,吹田市議会で承認されたうえで,その執行行為として支出されているのであって,同支出行為に違法性がないことはもちろんのこと,吹田市の執行機関は,同条例及び予算に基づき,同支出行為を誠実に執行する義務を負っているのであるから(地方自治法138条の2),裁量判断を誤ることはありえない。 エ被控訴人互助会の会員に対する給付金を含めた運営費は会員が毎月納付する会費と市町村から納付される補給金で賄われている。 オそして,会員の退会時に給付される退会給付金と会員から納付される会費収入の金額を比較すると,別紙2(互助会退会給付金額と吹田市退職手当額)記載の会費累計額,互助会退会給付金額のとおりであり,一定の在会年数以上になると,納入会費の方が退会給付金の額より高くなる。もっとも,一定の在会年数の場合は,納入会費の方が退会給付金の額より低くなるが,これは,全会員の会費を運用して得る利益等によって補填されているものである。 また,別紙3(各年度会費収入と退会給付金支出調べ)のとおり,平成9年度までは,会費の収入合計が退会給付金の合計額を上回っている。 したがって,退会給付金の支給は違法ではなく,著しく不当でもない。 6 被控訴人らの主張に対する認否,反論(1) 被控訴人らの主張(1)のうち,アは認め,その余は否認する。 っている。 したがって,退会給付金の支給は違法ではなく,著しく不当でもない。 6 被控訴人らの主張に対する認否,反論(1) 被控訴人らの主張(1)のうち,アは認め,その余は否認する。 ところで,厚生条例は本件補給金支出の根拠になるとしても,具体的な支出にあたっては,被控訴人吹田市長に善良な管理者としての注意義務が求められる。 本件補給金の支出に当たって,議決機関が歳出予算の議決をしているが,執行機関に対し,公金の支出を義務付けるわけではなく,その権限を与えるにすぎず,したがって,執行機関はその適法性を審査する権限を有し,義務を負うので,市長その他執行機関が当該行為をすることにつき,議会が議決をもって承認しているからといって,法令上違法な行為が適法になるわけではない。 (2) 同(2)は否認する(但し,同アのうちの被控訴人互助会が昭和7年に設立された公益社団法人であることは除く。)。 第3 証拠証拠関係は当審及び原審記録中の証拠目録記載のとおりである。 理由 1 本案前の答弁に対する判断(平成8年11月以降の本件補給金の支出に係る訴えについて)(1) 本件で適用される地方自治法242条の2は平成14年法律第4号による改正前のものである。 (2) 請求原因(13)は当事者間に争いがないところ,以上の事実及び証拠(甲1ないし3)並びに弁論の全趣旨によれば,本件住民監査請求の際,控訴人が提出した事実証明書は吹田市の被控訴人互助会に対する平成8年4月から10月分の支出に係るものだけであったこと,吹田市監査委員は,同提出書類を踏まえ,同期間の本件補給金の支出をその対象として本件監査決定をしたことが認められるところ,以上の事実に控訴人が平成8年 から10月分の支出に係るものだけであったこと,吹田市監査委員は,同提出書類を踏まえ,同期間の本件補給金の支出をその対象として本件監査決定をしたことが認められるところ,以上の事実に控訴人が平成8年11月から平成11年2月までの吹田市から被控訴人互助会への本件補給金支出について,形式的には住民監査請求の手続を経ていないことを認めていることを踏まえると,控訴人は,平成8年11月分以降の吹田市から被控訴人互助会への本件補給金の支出について住民監査請求を経ていないことが推認され,それを覆すに足りる証拠はない。 (3) ところで,住民訴訟を適法に提起するためには,住民監査請求を経ることが要件とされる(住民監査請求前置)(地方自治法法242条の2第1項)ところ,控訴人は,上記(2)のとおり平成8年4月から同年10月までの本件補給金の支出について,住民監査請求を経ているが,同年11月以降のそれについては同監査請求を経ていない。 そうすると,控訴人は,本件口頭弁論終結時以降の本件補給金の支出に関する差し止め及び平成8年11月分以降に係る本件補給金の支出を原因とする損害賠償並びに不当利得返還を求める各訴えについて,いずれも原告としての適格を有していないといわなければならない。 (4) ところで,控訴人は,本件監査請求の趣旨が単に平成8年4月から同年10月までの支出が違法であるというのではなく,過去から将来にわたる支出を一連のものとしてとらえ,そのすべてが違法であり,本件監査請求には同請求以降における本件補給金支出の違法性も黙示的に含んでいる旨主張する。また,本件において,当初の請求と追加した請求の基礎は,紛争の実体的関係から見ると同一であり,訴訟法的観点から見ても,訴訟資料及び証拠資料は共通であり,違法とする理由や損害賠償請求の相手方も同 る。また,本件において,当初の請求と追加した請求の基礎は,紛争の実体的関係から見ると同一であり,訴訟法的観点から見ても,訴訟資料及び証拠資料は共通であり,違法とする理由や損害賠償請求の相手方も同一である等として,住民監査請求の前置につき特段の事情があり,平成8年11月以降の本件補給金の支出について住民監査請求の手続を経ていなくても,上記本件補給金支出の差し止め及び同年11月以降の同支出を原因とする損害賠償,不当利得返還の各訴えは適法であって,訴えの追加的併合が認められるべきである旨主張する。 しかし,控訴人の本件監査請求は上記のとおり平成8年4月から10月までの本件補給金の支出を対象とするものであって,それ以降である同年11月以降の本件補給金の支出を対象とするものではなく,その他,同月以降の同支出についてその対象としたと認めるに足りる証拠はなく,また,黙示的にも同監査請求において過去から将来にわたる支出を一連のものとして同監査請求以降の支出の違法性もその対象として含んでいたとまで認めるに足りる証拠はない。 そして,控訴人の上記後段の主張は住民監査請求前置を規定した地方自治法法242条の2第1項の趣旨を無視するものであって採用できない。 (5) したがって,控訴人が求める本件口頭弁論終結時以降の本件補給金の支出に関する差し止め及び平成8年11月以降の同補給金の支出を原因とする損害賠償並びに不当利得返還の各訴えはいずれも不適法であるから却下するのが相当である。 2 平成8年4月から同年10月までの吹田市の本件補給金の支出について(1) 請求原因(1)ないし(4),同(5)のうち,アのうちの吹田市等の地方公共団体による被控訴人互助会に対する本件補給金の支出は補助金の支出に該当するから公益上の必要がある場合に限られること(地方自治 請求原因(1)ないし(4),同(5)のうち,アのうちの吹田市等の地方公共団体による被控訴人互助会に対する本件補給金の支出は補助金の支出に該当するから公益上の必要がある場合に限られること(地方自治法232条の2),イのうちの本件補給金の根拠となる厚生条例は,地方公務員法42条をその根拠としていること及びウのうちの大阪府町村長会,大阪府市長会,大阪府市町村職員共済組合,大阪府市町村職員健康保険組合,被控訴人互助会に所属する職員も被控訴人互助会の会員であること,同(6)のうち,イ(ア),同(11)のうち,ア,被控訴人らの主張(1)のうち,アは当事者間に争いがない。 (2) 上記(1)の事実及び証拠(甲7,18,19,42ないし46,49ないし54,65,83,84,86,87,乙13ないし16,丙1ないし4,6の1,7,11,12の1ないし3,15,16)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。なお,平成8年11月以降のことがらは,同年4月から同年10月までのことがらの認定判断を的確にするために言及するものである。 ア吹田市職員に対する互助共済を含む福利厚生等は別紙4(地公法体系と互助会制度)記載のとおりの制度に基づいてなされている。 なお,共済組合事業の概要と被控訴人互助会を通じた事業との概要は別紙5(地公法第42条(福利厚生)と第43条(共済制度)の規定に基づく各事業概要)記載のとおりである。 ところで,吹田市における地方公務員法42条による互助共済事業には,厚生条例に基づく別紙4記載のとおりの被控訴人互助会を通じた事業と吹田市職員厚生会を通じて行う事業とがある(甲86,87)イ吹田市においては地方公務員法42条の規定を受けて厚生条例を定めているところ,同条例2条1号,3条1号は職員の互助共済 じた事業と吹田市職員厚生会を通じて行う事業とがある(甲86,87)イ吹田市においては地方公務員法42条の規定を受けて厚生条例を定めているところ,同条例2条1号,3条1号は職員の互助共済事業については職員を被控訴人互助会に加入させることにより行う旨定めるとともに同条例4条1項は被控訴人互助会に対し定款に定める補助金を交付するもの(但し,その額のみならず,その算定方法等の具体的な定めはない。)として,同市が互助共済事業に係る費用の一部を負担すべき旨定めている。なお,吹田市以外の大阪府下の他の市町村(大阪市を除く。)も各所属の職員に対する同法42条に基づく互助共済事業については吹田市と同様の上記取扱(被控訴人互助会を通じて職員の福利厚生を行う扱い)をしている。 ウ被控訴人互助会に加入する会員は上記請求原因(3)のとおりであるが,会員のほとんどは各市町の職員及び一部事務組合の職員で,その者らで会員の99パーセント以上を占めているところ,被控訴人互助会は,上記目的を遂行するため,次の事業を行っている。 (ア) 給付事業① 医療給付金(入院費補助金,人間ドック補助金,休業補助金)② 見舞金(障害見舞金,災害見舞金)③ 弔慰金(死亡弔慰金,親族死亡弔慰金)④ 準備金(結婚準備金,出産準備金)⑤ 祝金(入学・進学祝金,成年,在会慰労金,結婚記念祝金)⑥ 退会金(退会給付金,生業資金・付加金)(イ) 貸付事業① 生活資金② 住宅資金③ 進学資金④ 特別資金(ウ) 福利厚生事業① 互助会館の運営② 銀婚記念品・ギフトカードの贈呈③ 金③ 進学資金④ 特別資金(ウ) 福利厚生事業① 互助会館の運営② 銀婚記念品・ギフトカードの贈呈③ 指定契約施設の利用④ 買物優待券の交付⑤ 広報誌等の発行(エ) その他目的達成のために必要な事業及び上記(ア)ないし(ウ)に付帯する事業エ(ア) 被控訴人互助会の事業運営資金は会員が納付する会費及び市町村等が負担する補給金(被控訴人互助会が行う事業につき,構成する市町村等がその事業を育成助長するために交付する経費負担金)及びこれらの運用益で賄われている。 (イ) 上記会費総額と補給金総額の割合は以下のとおりである。なお,会員が納付する会費の月額は給料月額(但し,42万4000円を上限とする。)の1000分の14に相当する額とされ,各市町村が負担する補給金の月額は当該月に所属する会員の会費総額を基準としてその割合を示すと以下のとおりとなる。 改正年月会費総額補給金比率昭和53年度以前 1000分の14  1000分の56  1対4昭和54年4月  1000分の14  1000分42 1対3昭和55年4月  1000分の14  1000分の35  1対2.5平成元年4月 1000分の14  1000分の28  1対2平成11年4月  1000分の14  1000分の26  1対1.8平成16年4月  1000分の14  1000分の23  1対1.6上記年月は各改正施行年月を示している。 (甲47,83,84)(ウ) 分の14  1000分の23  1対1.6上記年月は各改正施行年月を示している。 (甲47,83,84)(ウ) 平成8年度ないし平成10年度における被控訴人互助会全体に対する会費,補給金の額は別紙1記載のとおりであり,吹田市が被控訴人互助会に交付している会費総額,補給金総額は別紙6(吹田市会費,補給金額表)の会費総額欄及び補給金総額欄記載のとおりである。 被控訴人互助会に対して交付される補給金のうち,吹田市の補給金が占める割合は別紙7(市町村全体と吹田市の補給金額等とその割合調べ)の年度別の場合及び当該請求期間の場合の各欄の市町村全体の補給金に対する吹田市補給金の割合欄記載のとおりである。 オ被控訴人互助会における平成8年度ないし平成10年度当時の会員に対する各種給付事業に係る給付金支給額(但し,退会給付金は除く。)は以下のとおりである(丙3)。 (ア) 医療給付金① 入院費補助金(1日につき,会員は1000円,会員の子・扶養親族500円)② 人間ドック補助金(会員は利用者負担額の75%,扶養親族は同50%)③ 休業補助金(公務外疾病で休職し給料が減額されたとき,給料月額の80%相当額〔3年間〕でその計算は次のとおりである。)休業補助金=給料月額×100分の80-(減額給料月額+傷病手当金等)(イ) 見舞金① 障害見舞金(障害の程度に応じ,60万円以内〔顧問医師の査定による。〕)② 災害見舞金(家屋・被害程度に応じ100万円以内,家財・被害程度に応じ50万円以内,災害による会員死亡30万円,災害による扶養親族死亡20万円)(ウ) 弔慰金 による。〕)② 災害見舞金(家屋・被害程度に応じ100万円以内,家財・被害程度に応じ50万円以内,災害による会員死亡30万円,災害による扶養親族死亡20万円)(ウ) 弔慰金① 死亡弔慰金(会員死亡50万円〔在会6か月未満25万円〕,扶養親族数×5万円を加給)② 親族死亡弔慰金(配偶者20万円,扶養又は同居の実養父母子10万円,別居の実養父母子5万円,扶養又は同居の配偶者の実養父母5万円,別居の配偶者の実養父母子2万円,扶養又は同居の実養祖父母,兄弟姉妹5万円,別居の実養祖父母,兄弟姉妹2万円)(エ) 準備金① 結婚準備金(10万円,再婚1回限り5万円)② 出産準備金(1児につき5万円)(オ) 祝金① 入学・進学祝金(幼稚園〔保育所〕2万円,小学校3万円,中学校3万5000円,高校(高専,専修高等)4万5000円,進学祝金〔会員のみ〕5万5000円)② 成年祝金(会員,会員の実・養子又は扶養親族が18歳に達したときに5万5000円)③ 在会慰労金(在会10年2万円,在会20年5万円,在会30年10万円)④ 結婚記念祝金(水晶婚祝金〔15年〕3万円,銀婚祝金〔25年〕5万円)カ(ア) 被控訴人互助会は,会員が退職等に伴って退会する場合,同会員に対し,退会給付金を(昭和55年3月時点で在会6か月以上の会員に対しては生業資金を退会給付金と併せて)支給している。 (イ) 上記退会給付金の額は会費算定の基礎となった給料月額の30分の1相当額に在会年数(但し,昭和55年3月以前に入会した者については同年4月以降の在会年数)に応じて定められた給付日数を乗じて得た金額とされている(丙7)。 上記計算の基礎とされる日数であるが 当額に在会年数(但し,昭和55年3月以前に入会した者については同年4月以降の在会年数)に応じて定められた給付日数を乗じて得た金額とされている(丙7)。 上記計算の基礎とされる日数であるが,別紙8(退会給付率表)(丙12の3)記載のとおりである。なお,同表中現行欄は,平成7年4月1日以降平成11年3月31日までのものを示し,同変更後欄は同年4月1日以降適用されたものである。 (ウ) 被控訴人互助会が平成8年度ないし平成10年度に会員に対して支給した退会給付金の総額は別紙7の市町村全体の退会給付金額欄記載のとおりであり(別紙1の退会給付金欄の記載も同様),それの同各年度の補給金総額に対する割合は別紙7の年度別の場合及び当該請求期間の場合の各欄の市町村全体の補給金に対する退会給付金額の割合欄記載のとおり平成8年度は約69.07%,平成9年度は約78.42%,平成10年度は約88.02%(3年間の平均は約80.42%)であり,また,被控訴人互助会収入全体に対する退会給付金の割合は別紙7の年度別の場合及び当該請求期間の場合の各欄の市町村全体の収入に対する退会給付金の割合欄記載のとおり平成8年度は約43.92%,平成9年度は約50.01%,平成10年度は約56.43%(3年間の平均は約51.52%)である。 また,被控訴人互助会作成のモデル(別紙2のうち,退職手当額欄部分の記載を除いたものと同一。昭和55年に18歳〔高卒〕で入会し60歳定年退会まで42年間在職の例)によれば,退会給付金は在職18・19年程度で200万円を超え,22・23年程度で300万円を超え,24・25年程度で400万円を超え,在職29年以降は560万円余りとなっている(丙11)。 なお,上記モデルによる会費の累計は別紙9(会費累計表)の会費累計 ・23年程度で300万円を超え,24・25年程度で400万円を超え,在職29年以降は560万円余りとなっている(丙11)。 なお,上記モデルによる会費の累計は別紙9(会費累計表)の会費累計欄記載のとおりである(なお,別紙2の各年度会費累計欄記載の金額を会費累計額と判断しないことは後記4(3)エのとおり。)。 ところで,退会した吹田市職員は,平成8年度において,被控訴人互助会から別紙10(平成8年度吹田市職員の退会給付金給付一覧表)(丙15)記載のとおり退会給付金の支給を受けている(おおむね在職10年以上で100万円を超え,同十数年で200万円を超え,21年で300万円を超え,30年で400万円を超えている。)。 キ被控訴人互助会の平成8年度ないし平成10年度の収支額等は別紙1(各年度事業費目別支出額表)記載のとおりである(甲74の2)。 ク吹田市職員が平成8年度,平成9年度に被控訴人互助会から受給していた各種給付事業の件数と金額は別紙11(給付額表1,2)記載のとおりである(甲65,乙13)。 ケ吹田市における被控訴人互助会への補給金支出手続は別紙12(補給金支出手続表)記載のとおりで,予算案の一部として議会での審議,議決を経たうえでその支出がなされている(乙14)コ吹田市の職員は,前掲被控訴人互助会作成のモデル(別紙2)のように在職した場合,地方公務員法43条に基づき退職の際に吹田市から別紙2の退職手当額欄記載の退職手当金を受給することになる。実際にも,同市職員は平成8年度において,別紙13(平成8年度吹田市職員の退職手当一覧表)記載のとおりの退職手当金を受給している。 サ(ア) 昭和53年2月,複数の日刊全国紙の関西版に被控訴人互助会への補給金の支給割合が高すぎることや同互助会に 平成8年度吹田市職員の退職手当一覧表)記載のとおりの退職手当金を受給している。 サ(ア) 昭和53年2月,複数の日刊全国紙の関西版に被控訴人互助会への補給金の支給割合が高すぎることや同互助会による職員の退職に伴う高額の生業資金(現状の退会給付金の前身制度による給付金)の支給について退職金の二重払い等の問題がある旨の記事が掲載された(甲49ないし51)。また,昭和53年7月,複数の日刊全国紙で大阪,京都,兵庫府県下の自治体が被控訴人互助会ないしそれと同様の組織に補給金(補助金という場合もある。)を支給し,その一部が職員の退職の際の高額の生業資金に充てられていたことがやみ退職金ではないかと報道され,その記事の中で自治省の批判的意見が記載されていた(甲42,52ないし54)。 (イ) 昭和53年,豊中市,池田市,茨木市,高槻市の各市議会で被控訴人互助会を通じた上記職員に対する退職に伴う生業資金(退会給付金制度の前の制度による退会による給付金)の支給について取り上げられ,問題視する意見が述べられている(甲43ないし46)。 被控訴人互助会では上記問題を受けて組織的・統一的に対処し,補給金率の段階的軽減と生業資金の凍結(昭和55年3月)をはかり,同年4月,生業資金制度に変わるものとして退会給付金制度を設けた(丙4)。 3(1)ア控訴人は,本件補給金の支出自体が地方自治法232条の2,2条13項,地方財政法4条に違反する旨主張する。 イところで,地方公務員法42条は「地方公共団体は,職員の保健,元気回復その他厚生に関する事項について計画を樹立し,これを実施しなければならない。」と規定し(なお,国家公務員法73条では同「元気回復」を「レクリエーション」と規定している。),各地方公共団体に対して職員の厚生に関する計画の樹立 いて計画を樹立し,これを実施しなければならない。」と規定し(なお,国家公務員法73条では同「元気回復」を「レクリエーション」と規定している。),各地方公共団体に対して職員の厚生に関する計画の樹立及び実施を義務付けているところ,この規定を受けて,各地方公共団体が職員の厚生を実現するため,具体的にどのような制度を設けるかは,それが適切かつ公正さを欠くものと認められない限り(同法41条参照),各地方公共団体が所属職員の人数やその厚生,地域の実状等に応じ,その裁量により決定すべきものであると解するのを相当とする。 ウそこで,吹田市は,上記認定したとおり地方公務員法42条を受けて厚生条例を設定し,同条の規定する厚生制度の一環である職員の互助共済事業について,大阪府下の市町村(但し,大阪市を除く。)と相互に協力して職員を被控訴人互助会に加入させ,同被控訴人を通じて行うものとしたうえ,その履行のため同被控訴人に補給金を交付している。このような方法自体は何ら地方公務員法等の法の禁止するところではなく,むしろ,同事業の効率的な運営という観点からは有益なものである。 そうすると,吹田市の被控訴人互助会に対する本件補給金の支給それ自体は地方公務員法42条,厚生条例に基づく職員の福利厚生に寄与するものであって,法令にその根拠を有する相当な資金の提供ともいうべきである。 エしたがって,控訴人の上記主張は採用できない。 (2)アまた,控訴人は,厚生条例の根拠となる地方公務員法42条が特別職である市長等を対象としていないのに吹田市長の地位にある者も被控訴人互助会の会員として退会給付金等の給付を受けるとして本件補給金の支出が違法である旨主張する。 イ確かに,被控訴人互助会の会員には吹田市長等特別職の地位にある者もその会員となっている。しか 訴人互助会の会員として退会給付金等の給付を受けるとして本件補給金の支出が違法である旨主張する。 イ確かに,被控訴人互助会の会員には吹田市長等特別職の地位にある者もその会員となっている。しかし,被控訴人互助会の会員はほとんど(99パーセントを超える。)が市町村,一部事務組合の職員であること,上記(1)イ,ウで説示したとおり吹田市が被控訴人互助会を通じて吹田市職員の厚生を図ることが地方公務員法42条の規定に適合する相当な方法であること,特別職の地位にある者の加入を認めることによって一般職の職員の厚生に好ましくない影響があると認めるに足りる証拠がないこと等からすると,被控訴人互助会の会員に特別職の地位にある者がいるという事実から本件補給金の支出が直ちに違法となるものではない。 ウそうすると,控訴人の上記主張は採用できない。 (3)アそして,控訴人は,本件補給金が被控訴人互助会を通じて地方公務員法の福利厚生規定の対象外である大阪府町村長会,大阪府市長会,大阪府市町村職員共済組合,大阪府市町村職員健康保険組合,被控訴人互助会に所属する職員の福利厚生事業にも使用されているとして,本件補給金の支出が法令に根拠のない違法な支出である旨主張する。 イ確かに,大阪府町村長会,大阪府市長会,大阪府市町村職員共済組合,大阪府市町村職員健康保険組合,被控訴人互助会に所属する職員も被控訴人互助会の会員となっている。しかし,被控訴人互助会の会員はほとんど(99パーセントを超える。)が市町村,一部事務組合の職員であること,上記(1)イ,ウで説示したとおり吹田市が被控訴人互助会を通じて吹田市職員の厚生を図ることが地方公務員法42条の規定に適合する相当な方法であること,被控訴人互助会の会員に大阪府町村長会,大阪府市長会等上記組織に所属する職員が存 おり吹田市が被控訴人互助会を通じて吹田市職員の厚生を図ることが地方公務員法42条の規定に適合する相当な方法であること,被控訴人互助会の会員に大阪府町村長会,大阪府市長会等上記組織に所属する職員が存することによって,一般職の職員の厚生に好ましくない影響があると認めるに足りる証拠がないこと等からすると,被控訴人互助会の会員に大阪府町村長会,大阪府市長会等上記組織に所属する職員が存するという事実から本件補給金の支出が直ちに違法となるものではない。 ウそうすると,控訴人の上記主張は採用できない。 (4)アさらに,控訴人は,吹田市の予算説明書では,本件補給金を共済費として計上し,法定の共済制度と錯覚させることで同市議会の議決を騙取しているとして,これは予算の目的外支出にあたり,違法である旨主張する。 イ証拠(乙1,2)によれば,吹田市一般会計予算,同市病院事業会計予算のいずれにおいても本件補給金が被控訴人互助会に対する補給金ないし負担金であることはそれぞれの予算説明書に明記してあることが認められる。 ウ上記イで認定した事実からすると,控訴人の上記主張に係る事実は認められず,かえって,上記イで認定した事実に弁論の全趣旨を総合すると,吹田市議会においては本件補給金が厚生条例に基づく被控訴人互助会への補助金であることを理解認識して議決を行っていることが推認される。 エそうすると,控訴人の上記主張は採用できない。 4(1)ア控訴人は,被控訴人互助会がその沿革からすると第二共済ともいうべきものであって,そこから会員である吹田市職員に支給される給付金はやみ共済給付金に相当し,したがって,被控訴人互助会に係わる制度は地方公務員の福利厚生について規定する地方公務員等共済組合法の上乗せ,横出しの制度であって,被控訴人互助会を通した給付金 れる給付金はやみ共済給付金に相当し,したがって,被控訴人互助会に係わる制度は地方公務員の福利厚生について規定する地方公務員等共済組合法の上乗せ,横出しの制度であって,被控訴人互助会を通した給付金の支給は違法といわなければならず,それに充てられる本件補給金の支出は違法である旨主張する。 イ確かに,吹田市は,厚生条例に基づき職員を被控訴人互助会に加入させて職員に対する厚生事業を行うほかに,地方公務員法43条を根拠とする地方公務員等共済組合法に基づき職員を大阪府市町村職員共済組合に加入させて共済制度による給付等を行っている。しかし,吹田市における職員に対する厚生事業は上記2(2)アで認定したとおり地方公務員法42条及び厚生条例に基づく互助共済制度にその根拠を有するものであって,その具体化としての被控訴人互助会を通じた吹田市職員に対する互助共済事業は上記3(1)イ,ウで説示したとおり相当な方法というべきである。そこで,被控訴人互助会による会員に対する各給付(但し,退会給付金は除く。なお退会給付金については後で判断する。)であるが,その内容(金額を含めて)は上記2(2)オで認定したとおり幅広くかつ手厚いものとなっているが,その内容に会員が上記認定した範囲で会費を負担していることからするといずれも職員の厚生のための制度として適切,妥当な範囲を逸脱しているものとまで認めることはできず,その他,それを認めるに足りる証拠はない。 ウそうすると,控訴人の上記主張は採用することができない。 (2)アまた,控訴人は,被控訴人互助会の会員に対する給付のうち退会給付金を除いた給付金について,社会通念及び社会儀礼の範囲を逸脱し,地方公務員法41条に違反し,実質的には給与と認められるべきものであるから,本件補給金のうち,同給付金に充てられている部分が違 退会給付金を除いた給付金について,社会通念及び社会儀礼の範囲を逸脱し,地方公務員法41条に違反し,実質的には給与と認められるべきものであるから,本件補給金のうち,同給付金に充てられている部分が違法な支出というべきである旨主張する。 イしかし,同給付金は上記(1)イで説示したとおりであって,社会通念及び社会儀礼の範囲を逸脱したものとまで認められず,また,実質給与とも認められない。 ウそうすると,控訴人の上記主張は採用することができない。 (3)アまた,控訴人は,被控訴人互助会が会員に支給する退会給付金が退職金に類似したものであり,その金額からいっても,社会通念上認められる額ではなく,職員の福利厚生事業の範囲を逸脱しており,公益とは何ら関わりのない金員で,地方自治法204条,同条の2,地方公務員法14条,24条,25条,41条の諸規定を潜脱するいわばやみ退職金ともいうべきものであるため,少なくとも本件補給金のうち,退会給付金に充てられている部分が違法な支出というべきである旨主張する。 イ確かに,本件補給金の支出自体が違法でないとしても,被控訴人互助会が運営する事業内容や被控訴人互助会が会員に対して支給する給付内容如何によっては,職員に対する手当と同視され,吹田市から被控訴人互助会に交付される本件補給金の一部が地方自治法204条の2,232条の2等の規定の趣旨に逸脱して違法と認められる場合もあるというべきである。 ウ(ア) 吹田市において,同市職員の退職後における職員とその家族の生活の充実,安定を図ることは,これを通じて在職中の勤労意欲を高め,執務の能率化に寄与するものでその意味においては職員の福利厚生の一部を果たしているものと考えられる。したがって,退会給付金であるからといってそれに充てられた本件補給金の支出部 職中の勤労意欲を高め,執務の能率化に寄与するものでその意味においては職員の福利厚生の一部を果たしているものと考えられる。したがって,退会給付金であるからといってそれに充てられた本件補給金の支出部分が直ちに違法となるものではない。 (イ) しかし,被控訴人互助会を通じて会員に在職中支給される各種給付金は上記2(2)オで認定したとおり幅広くかつ手厚いものとなっているうえ,被控訴人互助会が,会員が退会する際に支給する退会給付金は会員自ら会費として支払った金額を遙かに超えるものであって,補給金に対する割合も平成8年度で約80%(平成8年度ないし平成10年度の平均も約80%)と高率で,被控訴人互助会の全収入に対する割合も平成8年度で約44%(平成8年度ないし平成10年度の平均では約51%)と高率である。また,被控訴人互助会作成のモデル(別紙2のうち,退職手当額欄部分の記載を除いたもの)によれば,在職18・19年程度で200万円を超え,22・23年程度で300万円を超え,24・25年程度で400万円を超え,最も多い者は560万円余りと非常な高額となっている。実際にも,平成8年度において退職した吹田市職員は,別紙10(丙15)記載のとおり退会給付金の支給を受けている(おおむね在職10年以上で100万円を超え,同十数年で200万円を超え,21年で300万円を超え,30年で400万円を超えている。)。 (ウ) 仮に,平成8年度ないし平成10年度までの会費及び利息(会費のみならず補給金運用による利息も含む)を被控訴人互助会の運営経費等に充てることなく退会給付金を除いた給付金及び厚生事業費に全額が充てられたとして,同金額部分を控除した金額は以下のとおりとなる(以下の記載金額は別紙1参照)。この金額は,各年度の実績に基づき,被控訴人互助会の会費及 退会給付金を除いた給付金及び厚生事業費に全額が充てられたとして,同金額部分を控除した金額は以下のとおりとなる(以下の記載金額は別紙1参照)。この金額は,各年度の実績に基づき,被控訴人互助会の会費及び利息を先ず退会給付金を除いた給付金及び厚生事業費に充て,その後に退会給付金の財源に充てる場合の計算上の最大限度額を意味する。 ① 平成8年4月から同年10月まで 7億9931万9828円(22億2620万2601円+1億8872万1117円)-(12億5759万0752円+3億5801万3138円)=7億9931万9828円② 平成8年4月から平成9年3月まで(平成8年度)18億1170万1034円38億1083万6071円+5億6978万2193円)-(18億5035万8122円+7億1855万9108円)=18億1170万1034円③ 平成9年4月から平成10年3月まで(平成9年度)17億0403万4290円38億4886万7276円+5億4131万4258円)-(19億0024万3474円+7億8590万3770円)=17億0403万4290円④ 平成10年4月から平成11年3月まで(平成10年度)16億7848万4749円38億5932万2402円+4億8206万5245円)-(18億6821万6803円+7億9468万6095円)=16億7848万4749円(エ) 上記(ウ)の各年度に対応する各金額と各年度の退会給付金額との差額及び同差額が本件補給金に占める割合は以下のとお 1万6803円+7億9468万6095円)=16億7848万4749円(エ) 上記(ウ)の各年度に対応する各金額と各年度の退会給付金額との差額及び同差額が本件補給金に占める割合は以下のとおりとなる。同差額は,各年度の実績に基づき,被控訴人互助会が会費収入と利息収入から,退会給付金を除く給付金及び厚生事業に充てた残りの額を退会給付金の財源に充てた場合の,本件補給金から退会給付金の財源に用いられる計算上の最小限度の金額を意味する。 ① 平成8年4月から同年10月までⅰ 差額 40億7881万8031円48億7813万7859円-7億9931万9828円=40億7881万8031円ⅱ 割合 91%40億7881万8031円÷44億6832万9961円=0.91② 平成8年4月から平成9年3月まで(平成8年度)ⅰ 差額 34億7422万2462円52億8592万3496円-18億1170万1034円=34億7422万2462円ⅱ 割合 45%34億7422万2462円÷76億5245万8070円=0.45③ 平成9年4月から平成10年3月まで(平成9年度)ⅰ 差額 43億5773万5565円60億6176万9855円-17億0403万4290円=43億5773万5565円ⅱ 割合 56%43億5773万5565円÷77億2980万6629円=0.56 0円=43億5773万5565円ⅱ 割合 56%43億5773万5565円÷77億2980万6629円=0.56④ 平成10年4月から平成11年3月まで(平成10年度)ⅰ 差額 51億4785万8385円68億2634万3134円-16億7848万4749円=51億4785万8385円ⅱ 割合 66%51億4785万8385円÷77億5510万4081円=0.66エ(ア) そこで,退会給付金であるが,吹田市の職員は退職した際,上記2(2)コで認定したとおりの退職手当金の支給を受けている(長期間勤務した者は高額となっている。)うえ,一定の要件を充足すれば地方公務員共済年金も受給すること(後段部分は公知の事実)に加えて,被控訴人互助会から退会給付金の支給を受けるものであること,また,同職員は,地方公務員法43条に基づく共済制度による給付の他,その在職中被控訴人互助会に会費を支払っているとはいえ,在職中,貸付事業や福利厚生事業による利益享受の他,被控訴人互助会を通じて上記2(2)オのとおり幅広くかつ手厚く各種給付金の支給を受けていること,そして,被控訴人互助会を退会する(職員が地方公共団体を退職すると,被控訴人互助会を退会することになる。)吹田市の職員に支給される退会給付金は被控訴人互助会作成のモデル(別紙2)によれば,在職18・19年程度で200万円を超え,22・23年程度で300万円を超え,24・25年程度で400万円を超える等高額で自己が負担した会費額を遙かに上回っているうえ,退会給付金の各年度の本件補給金に対する割合 年程度で200万円を超え,22・23年程度で300万円を超え,24・25年程度で400万円を超える等高額で自己が負担した会費額を遙かに上回っているうえ,退会給付金の各年度の本件補給金に対する割合もかなりの高率で,平成8年度においては約69.07%(平成8年度ないし平成10年度の平均は約80.42%)となっており,退会給付金の被控訴人互助会の収入に対する割合も高率で平成8年度においては43.92%(平成8年度ないし平成10年度の平均は約51.52%)になっていること,さらに,その高額な支給から実質退職金(やみ退職金)との批判がなされてきているところ,以上の事実に地方自治法204条の2,地方公務員法25条の規定の趣旨を総合すると,少なくとも上記(2)ウ(エ)で記載した差額(少なくとも,会費及び利息を全て給付金〔充当関係はまず,退会給付金以外の給付金に,その残額を退会給付金に充てる。〕に充てたとすると,給付金総額との差額は本件補給金から全額を充てることになる。)の3分の2相当額の支出(平成8年度における本件補給金に対する割合としては約30%相当の支出)は当不当の問題を超え,違法といわなければならない(但し,平成8年4月から同年10月までの分の具体的な金額については後記カで判断するとおりである。)。 なお,地方自治法204条の2は地方公共団体が法律及び条例に基づかないで職員に給与その他の給付を支給することを禁じているのであって,社団法人である被控訴人互助会が会員に対してする給付はこれに直接抵触するものではない。また,地方公務員法42条は地方公共団体に職員の保健,元気回復その他厚生に関する事項の実施を求めており,地方公共団体がその実施費用を社会的相当と認められる範囲で負担することは同法の予定するところである。しかし,本件の場合 条は地方公共団体に職員の保健,元気回復その他厚生に関する事項の実施を求めており,地方公共団体がその実施費用を社会的相当と認められる範囲で負担することは同法の予定するところである。しかし,本件の場合退会給付金の主要な財源が吹田市等地方公共団体の補助金たる補給金であるところ,それを主要な財源とする退会給付金の額が高額である。吹田市の厚生条例は本件補給金の額や算定方法を定めているものではなく,被控訴人互助会に対し,定款に定める補助金を支給するとしている(4条1項)にすぎないため,厚生条例自体から自動的に本件補給金の額が算定される仕組みとはなっていないうえ,地方公務員法42条が地方公共団体に実施を求めているのは職員の保健,元気回復その他厚生に関する事項であって,退職する職員に退職手当以外に高額の退会給付金を支給することは職員のための厚生制度としては必ずしも本来的なものではない。また,地方公務員法43条は退職年金については共済制度として実施することを求めており,吹田市でも職員の退職年金については別に共済制度を実施しているが,退会給付金によって退職年金を補完することまでは予定されていない。また,職員の保健,元気回復その他厚生に関する事項については,地方公共団体がその費用を負担することは同法の予定するところであるが,ことの性質上負担額には限界があるというべきであって,高額の退会給付金の財源を地方公共団体の補給金をもって充てるのは同法の趣旨に反する。そして,被控訴人互助会が退会する会員に支給する退会給付金は,実際上の趣旨,金額,給付の時期等からみて,その相当性を超える部分については実質的には,地方公共団体が退職した職員に支給する退職手当金の上乗せを図っていると言わざるを得ない。そうすると,本件のような社会的相当性を逸脱した高額の退会給付金の支給を実 性を超える部分については実質的には,地方公共団体が退職した職員に支給する退職手当金の上乗せを図っていると言わざるを得ない。そうすると,本件のような社会的相当性を逸脱した高額の退会給付金の支給を実質上の目的とした本件補給金の支出は,少なくとも,上記説示した相当性を超える部分について,地方自治法204条の2の趣旨を潜脱するものであって,補助金の支給として同法232条の2所定の公益上必要があるという要件を欠き,違法というほかない。 (イ) ところで,被控訴人らは別紙2の各年度会費累計欄記載の金額と退会給付金襴記載の金額を比較して,また,別紙3の会費欄記載の会費収入額と退会給付金欄記載の退会給付金額を比較して本件補給金の支出について違法でない旨主張する。 しかし,別紙2の記載によっても在職6年から在職39年までの各会費累計額がそれに対応する退会給付金の支給額より少ない(その差は大きいときには280万円を超える。)うえ,別紙2記載の各年度会費累計額は収入会費の運用利回りを5.5%として計算した額であるが,現状の低金利との乖離が大きく,しかも,職員には,上記のとおり退会給付金を除いても,幅広く,また,手厚く各種給付金が支給されているにもかかわらず,同支給分を考慮していないことからすると,その数値に信用性がない。そうすると,被控訴人の別紙2記載の各年度会費累計額を基礎とした上記主張は採用できない。また,別紙3の記載であるが,被控訴人互助会は,退会給付金の前身としてあった制度により生業資金(昭和55年3月時点で在会6か月以上の会員に給付される資金で,退会給付金以前の制度による給付金)を併せて給付している(吹田市職員が平成8年,9年に受給した生業資金,同付加金は別紙11記載のとおりである。)が,別紙3には同給付額の記載がなく,単に退会 資金で,退会給付金以前の制度による給付金)を併せて給付している(吹田市職員が平成8年,9年に受給した生業資金,同付加金は別紙11記載のとおりである。)が,別紙3には同給付額の記載がなく,単に退会給付金額とのみ比較しているに過ぎない。そうすると,別紙3の退会給付金欄記載の金額をもって補給金襴記載の金額と直ちに比較することができない。したがって,被控訴人らの別紙3記載の退会給付金額を基礎とした上記主張は採用できない。 オ上記エ(ア)で説示したところの比率(3分の2)にしたがって本件補給金のうち,平成8年度ないし平成10年度までの退会給付金に充てられた支出額を計算すると以下のとおりとなる。 (ア) 平成8年4月から平成9年3月まで(平成8年度)23億1614万8308円34億7422万2462円×3分の2=23億1614万8308円(イ) 平成9年4月から平成10年3月まで(平成9年度)29億0515万7043円43億5773万5565円×3分の2=29億0515万7043円(ウ) 平成10年4月から平成11年3月まで(平成10年度)34億3190万5590円51億4785万8385円×3分の2=34億3190万5590円カところで,平成8年4月から同年10月までの本件補給金のうちの違法となる支出額であるが,本件補給金が1年を前提にして予算が組まれその支出がなされていること,また,平成8年4月から同年10月までの期間の退会給付金額と同年度の退会給付金額を比較すると前記期間に退会給付金の支出額がある程度偏っていたことが窺われることからすると,平成8年4月から同年10月までの期間の上記差 から同年10月までの期間の退会給付金額と同年度の退会給付金額を比較すると前記期間に退会給付金の支出額がある程度偏っていたことが窺われることからすると,平成8年4月から同年10月までの期間の上記差額をもってその計算根拠とするのは相当でなく同年度の平均値をもって同期間の違法支出額を計算するのが相当である。 それにしたがって計算すると以下のとおりとなる。 13億5108万6513円23億1614万8308円×12分の7(平成8年4月から同年10月までの7か月)=13億5108万6513円キ上記違法な支出のうち,吹田市に係る補給金負担部分は以下のとおりである。 7235万4067円13億5108万6513円×(4億0902万9987円〔吹田市の平成8年度の補給金額〕)÷76億5245万8070円(平成8年度の本件補給金額)=7221万6651円5(1) 被控訴人ら(但し,被控訴人吹田市長,被控訴人吹田市収入役,被控訴人市立吹田市民病院企業出納員,被控訴人互助会を除く。被控訴人互助会については後記のとおり)の責任について検討する。 (2)ア控訴人は,本件補給金を支出した当時の吹田市長であった亡Dには,上記違法な本件補給金の支出について,故意又は過失がある旨主張する。 イ確かに上記4(2)で説示したとおり平成8年4月から同年10月までの本件補給金の支出のうち7221万6651円の範囲で違法であり,昭和53年以降,新聞等で生業資金・付加金ないし退会給付金がやみ退職金と批判されてきたことがある。 しかし,上記期間を含めた本件補給金の支出は地方公務員法42条及び同条に基づく厚生条例にしたがって支出がなされてきたこと,同支出について,吹田市長であった亡Dは,吹田市議会の予算案の審議,議決とい しかし,上記期間を含めた本件補給金の支出は地方公務員法42条及び同条に基づく厚生条例にしたがって支出がなされてきたこと,同支出について,吹田市長であった亡Dは,吹田市議会の予算案の審議,議決という手続きを経てその支出を行っていること,また,吹田市における同支出は被控訴人互助会を通じて各職員の福利厚生を行っている各市町村との連携が不可欠で,吹田市以外の市町村ないしその議会等で同支出の一部が違法であるとか,違法であるからその支出を止める旨の決議がなされたことがなかったことからすると,吹田市長であった亡Dにとって,同期間における同支出が適正確保の見地から看過し得ない瑕疵があるとまで認識することができず,したがって,その支出が違法との認識を持っていた,少なくとも,その認識を持たなかったことについて過失(注意義務違反)があったとまで認めることができず,その他,それを認めるに足りる証拠はない。 ウそうすると,吹田市長であった亡Dに上記範囲での本件補給金の支出について,不法行為責任を認めることはできず,したがって,同人の責任を前提とする同人の訴訟承継人である被控訴人E,被控訴人F,被控訴人Gに対する請求はいずれも認められない。 (3)ア控訴人は,被控訴人H,被控訴人I,被控訴人J,被控訴人K,被控訴人L,被控訴人M,被控訴人Nらがいずれも本件補給金の支出負担行為等をしたもので,上記違法な本件補給金の支出について,故意又は過失がある旨主張する。 イしかし,上記期間を含めた本件補給金の支出は上記5(2)イで説示したとおりであって,同人らの同支出負担行為等について,吹田市長であった亡Dと同様,上記期間の同支出にあたって違法との認識を持っていた,少なくとも,その認識を持たなかったことについて過失があったとまで認めることができず,その他,それ 担行為等について,吹田市長であった亡Dと同様,上記期間の同支出にあたって違法との認識を持っていた,少なくとも,その認識を持たなかったことについて過失があったとまで認めることができず,その他,それを認めるに足りる証拠はない。 ウそうすると,上記被控訴人らについて不法行為責任を認めることはできない。 6 被控訴人互助会に対する請求について検討する。 (1) 控訴人は,被控訴人互助会についても吹田市長であった亡Dらの不法行為を前提として同人らとの共同不法行為による損害賠償請求を求めるが,その前提事実が認められないことは上記5で説示したとおりであり,上記5(2)イで説示したことからすると,被控訴人互助会独自についても上記期間の本件補給金の収入にあたって違法との認識を持っていた,少なくとも,その認識を持たなかったことについて過失があったとまで認めることができず,その他,それを認めるに足りる証拠はない。 そうすると,控訴人主張の被控訴人互助会に対する不法行為に基づく損害賠償請求は認められない。 (2) 控訴人は,被控訴人互助会に対して,上記違法な支出に係る金員について不当利得返還を求める。 上記4(2)で説示したとおり平成8年4月から同年10月までの吹田市における本件補給金の支出のうち7221万6651円の支出の範囲で違法である。 被控訴人互助会は,同違法な範囲で本件補給金を保持すべき正当な権限はなく,したがって,同金額の範囲で利得し,他方,吹田市は,同金額の範囲で損失を被っているといわなければならない。 なお,被控訴人互助会は,同利得した金額部分を会員等に支払をしたり,積立金として留保等しているが,その支払に回された部分はその支払の限度で規約に基づく会員に対する支払義務を免れることになっているため,支払をした金員相当 は,同利得した金額部分を会員等に支払をしたり,積立金として留保等しているが,その支払に回された部分はその支払の限度で規約に基づく会員に対する支払義務を免れることになっているため,支払をした金員相当部分についても利得が残存していることになる(参照最高裁判所平成3年11月19日第三小法廷判決民集45巻8号1209頁)。 そうすると,被控訴人互助会は,上記7221万6651円の範囲で吹田市に対して不当利得返還義務を有していることになる。 したがって,控訴人の被控訴人互助会に対する上記不当利得返還請求(第1の1(4)ウ(イ))のうち同金額の支払いを求める範囲で理由があり,その余は,理由がない。 なお,不当利得返還請求に対する附帯請求であるが,それを基礎づけるに足る主張がなく,立証もない。 7 以上によれば,控訴人の訴えのうち,本件口頭弁論終結時以降の本件補給金の支出に関する差し止め並びに平成8年11月以降の本件補給金の支出を原因とする損害賠償及び不当利得返還を求める各訴えはいずれも不適法であるから却下することとし,同訴え部分を除いた請求のうち,被控訴人互助会に対する上記不当利得返還請求を認めた範囲の請求を認容し,その余は棄却するのが相当である。 よって,上記結論と異なる原判決を変更することとして,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法67条,61条,64条を適用し,仮執行の宣言は相当でないのでこれを付さないこととし,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第13民事部 裁判長裁判官井土正明裁判官中村哲裁判官久保田 裁判長 裁判官井土正明 裁判官中村哲 裁判官久保田浩史

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る