令和1(ワ)23033 商標権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年5月21日 東京地方裁判所
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令和3年5月21日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和元年(ワ)第23033号商標権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日令和3年3月11日判決 原告エジプシャンマジックスキンクリーム リミテッドライアビリティカンパニー 同訴訟代理人弁護士塚原朋一 同訴訟代理人弁理士赤澤克豪 同鈴木英彦 同訴訟復代理人弁護士新開正史 同補佐人弁理士盛合隆子被告蒼基株式会社同訴訟代理人弁護士宮迫圭秀 主文 1 被告は,別紙1被告標章目録記載の各標章を,別紙2被告商品目録記載の各商品若しくはその包装に付し,又は同商品若しくはその包装に同標章を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,若しくは輸出してはならない。 2 被告は,別紙1被告標章目録記載の各標章を付した別紙2被告商品目録記載 の各商品又はその包装を廃棄せよ。 3 被告は,別紙2被告商品目録記載の各商品に関する広告,価格表若しくは取引書類に別紙1被告標章目録記載の各標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に同標章を付して電磁的方法により提供してはならない。 4 被告は,別紙1被告標章目録記載の各標章を付した別紙2被告商品目録記載 の各商品に関する広告,価格表又は取引書類を廃棄せよ。 5 被告は,別紙3被告ウェブページ目録記載1の各ウェブページから,別紙1被告標章目録記載の各標章を削除せよ。 6 被告は,別紙3被告ウェブページ目録記載1の各ウェブページを表示するため せよ。 5 被告は,別紙3被告ウェブページ目録記載1の各ウェブページから,別紙1被告標章目録記載の各標章を削除せよ。 6 被告は,別紙3被告ウェブページ目録記載1の各ウェブページを表示するための電子ファイルに別紙1被告標章目録記載の被告標章12をタイトルタグと して記載してはならない。 7 被告は,別紙3被告ウェブページ目録記載1の各ウェブページを表示するための電子ファイルの〈title〉から別紙1被告標章目録記載の被告標章12を除去せよ。 8 被告は,原告に対し,2000万円及びこれに対する令和元年9月20日か ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 9 訴訟費用は被告の負担とする。 10 この判決は,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 主文1ないし7項に関するもの主文と同旨 2 主文8項に関するもの(1) 主位的請求主文と同旨 (2) 前記(1)に対する予備的請求被告は,原告に対し,1100万円及びこれに対する令和元年9月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 前記(1)及び(2)に対する予備的請求被告は,原告に対し,536万6211円及びこれに対する令和元年9月 20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要(1) 本件は,別紙4商標権目録記載1及び2の各商標権を有する原告が,被告に対し,被告が別紙1被告標章目録記載の各標章を使用する行為は上記各商標権を侵害すると主張して,商標法36条1項及び2項に基づき,その使用 の差止め及び削除等を求めるとともに(前記第1の1の請求),主位的請求として,民法709条に基づき,上記侵害行為により平成18年8月11日 主張して,商標法36条1項及び2項に基づき,その使用 の差止め及び削除等を求めるとともに(前記第1の1の請求),主位的請求として,民法709条に基づき,上記侵害行為により平成18年8月11日から令和元年8月27日までの間に原告に生じた損害(逸失利益及び弁護士費用)の一部である2000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和元年9月20日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号によ る改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め(前記第1の2(1)の請求),その予備的請求として,民法709条に基づき,上記侵害行為により平成18年8月11日から令和元年8月27日までの間に原告に生じた損害(逸失利益及び弁護士費用)の一部である1100万円及びこれに対する令和元年9月20日から支払済みまで民法所定の 年5分の割合による遅延損害金の支払を求め(前記第1の2(2)の請求),さらにその予備的請求として,民法703条に基づき,上記侵害行為により平成21年8月27日から平成28年8月26日までに被告が得た不当利得金536万6211円及びこれに対する訴状送達による請求日の翌日である令和元年9月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害 金の支払を求める(前記第1の2(3)の請求)事案である。 なお,別紙4商標権目録記載1の商標権を根拠とする上記差止め等の請求と,同目録記載2の商標権を根拠とする同請求は選択的である。また,民法709条に基づく損害賠償請求のうち,平成29年10月20日から令和元年8月27日までの間に生じた損害の賠償を求める部分に関し,同目録記載 1の商標権の侵害を根拠とするものと,同目録記載2の商標権の侵害を根拠 とするものは,選択的である。 ら令和元年8月27日までの間に生じた損害の賠償を求める部分に関し,同目録記載 1の商標権の侵害を根拠とするものと,同目録記載2の商標権の侵害を根拠 とするものは,選択的である。 (2) 以下,別紙4商標権目録記載1の商標権を「原告商標権1」と,同目録記載2の商標権を「原告商標権2」といい,これらを「原告各商標権」と総称し,原告商標権1に係る登録商標を「原告商標1」と,原告商標権2に係る登録商標を「原告商標2」といい,これらを「原告各商標」と総称する。 また,別紙1被告標章目録記載1の標章を「被告標章1」といい,その余も同様の例により,被告標章1ないし22を「被告各標章」と総称するほか,被告標章1ないし5,8,13,14,16及び19を「被告欧文字標章1」と,被告標章6,15及び18を「被告欧文字標章2」と,被告標章7,9,ないし12,17及び20ないし22を「被告カタカナ標章」とそれぞれ総 称する。 さらに,別紙2被告商品目録記載1の商品を「被告商品1」と,同目録記載2の商品を「被告商品2」といい,これらを「被告各商品」と総称する。 そして,別紙3被告ウェブページ目録記載1の各ウェブページからなるウェブサイトを「被告ウェブサイト」という。また,同目録記載2(1)のウェ ブページを「被告ウェブページ1」といい,その余も同様の例により,被告ウェブページ1ないし5を「被告各ウェブページ」と総称する。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実,当裁判所に顕著な事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者等 ア原告は,アメリカ合衆国内に本社を置く法人であり,世界各国で化粧クリーム等を販売するものである(甲32,33)。 イ被告は,医薬品,医薬部外品,化粧品, る事実)(1) 当事者等 ア原告は,アメリカ合衆国内に本社を置く法人であり,世界各国で化粧クリーム等を販売するものである(甲32,33)。 イ被告は,医薬品,医薬部外品,化粧品,健康食品,食料品の製造,販売及び輸出入並びにそれらの原材料の輸出入を行う株式会社である。 (2) 原告各商標権 ア原告商標権1 原告は,別紙4商標権目録記載1の商標権(原告商標権1)を有している(甲1の1,1の2)。 なお,原告商標権1は,平成18年8月11日付けで,原告代表者を商標権者として登録されたものであり,原告代表者は,平成29年4月10日,原告に対して原告商標権1を譲渡し,その旨が商標登録原簿に登 録された(甲1の1,1の2,34)。 イ原告商標権2原告は,別紙4商標権目録記載2の商標権(原告商標権2)を有している(甲2の1,2の2)。 (3) 原告による化粧クリームの販売 原告は,平成3年から,別紙5原告商品外観記載のとおり「EGYPTIANMAGIC」という記載を容器に付した化粧クリーム(以下「原告商品」という。)を,アメリカ合衆国内等で販売していた(甲3,8,31ないし33)。 (4) 被告による被告各標章の使用等 ア被告各商品における被告各標章の使用(ア) 被告商品1の販売被告は,被告商品1に属する別紙6被告使用態様目録記載第1の1及び2の化粧クリーム(以下,同目録記載第1の1の化粧クリームを「本件被告販売商品1-1」と,同2の化粧クリームを「本件被告販売商品 1-2」という。)を製造し,株式会社楽天(以下「楽天」という。)が運営するインターネットショッピングサイトである「楽天市場」に「ピュアナチュラル」という名称の店舗を出店してこれらを販売していたほ 1-2」という。)を製造し,株式会社楽天(以下「楽天」という。)が運営するインターネットショッピングサイトである「楽天市場」に「ピュアナチュラル」という名称の店舗を出店してこれらを販売していたほか,後記エの被告のウェブサイト内に作成したオンラインショップ用のウェブページ上でも販売していた(甲3ないし5,7,16,18,2 7,35,36)。また,被告は,少なくとも本件被告販売商品1-2 を国外に向けて販売していた(甲31)。 なお,本件被告販売商品1-1は,原告商品を日本人向けに調合し直して開発された化粧クリームであり,本件被告販売商品1-2は,同1-1を改良して開発された化粧クリームである(甲3,8)。 (イ) 被告商品2の販売 被告は,被告商品2に属する別紙6被告使用態様目録第1の3記載のせっけん(以下「本件被告販売商品2」といい,本件被告販売商品1-1及び1-2と合わせて「本件各被告販売商品」という。)を,前記(ア)と同様に楽天市場で販売していたほか,インターネットショッピングサイトである「Amazon」でも販売していた(甲12,15,16)。 (ウ) 本件各被告販売商品における被告各標章の使用a 本件被告販売商品1-1について別紙6被告使用態様目録記載第1の1(3)及び第2のとおり,本件被告販売商品1-1の包装箱に被告標章2が,化粧クリームの容器の本体側面に被告標章1,3及び4が,それぞれ付されている(甲3, 4)。 b 本件被告販売商品1-2について別紙6被告使用態様目録記載第1の2(4)及び第2のとおり,本件被告販売商品1-2の包装箱に被告標章2又は被告標章8及び14が,化粧クリームの円筒状の容器の本体側面に被告標章5ないし7が,化 粧クリームのチューブ状の容器の 2(4)及び第2のとおり,本件被告販売商品1-2の包装箱に被告標章2又は被告標章8及び14が,化粧クリームの円筒状の容器の本体側面に被告標章5ないし7が,化 粧クリームのチューブ状の容器の側面に被告標章9が,それぞれ付されている(甲5ないし8)。 c 本件被告販売商品2について別紙6被告使用態様目録記載第1 の3(3)及び第2のとおり,本件被告販売商品2の包装箱に,被告標章3及び15が付されている(甲 10,11,13,14)。 イチラシ及びインターネットショッピングサイトにおける被告各標章の使用(ア) 本件被告販売商品1-2を購入すると同商品のチラシ(甲8)が同梱されるところ(甲5),別紙6被告使用態様目録記載第3の「広告2」欄記載のとおり,同チラシには被告標章12が付されている(甲8)。 (イ) 被告は,前記ア(ア)及び(イ)のとおり,インターネットショッピングサイトにおいて本件各被告販売商品を販売していたところ,同サイト上の本件各被告販売商品の販売ページには,別紙6被告使用態様目録記載第3の「広告1」及び「広告3」ないし「広告6」の態様で,被告各標章が記載されていた。その具体的な態様は,以下のとおりである。 a 本件被告販売商品1-1について楽天市場における本件被告販売商品1-1の販売ページには,被告標章22が記載されていた(甲3)。 b 本件被告販売商品1-2について楽天市場における本件被告販売商品1-2の販売ページには,被告 標章10及び11が記載されていた(甲7)。 c 本件被告販売商品2についてAmazonにおける本件被告販売商品2の販売ページには,被告標章3,12及び15が記載されていた(甲11,12)。 また,楽天市場における本件被告販売商品2の販 c 本件被告販売商品2についてAmazonにおける本件被告販売商品2の販売ページには,被告標章3,12及び15が記載されていた(甲11,12)。 また,楽天市場における本件被告販売商品2の販売ページには,被 告標章16及び17が記載されていた(甲15)。 (ウ) 被告は,別紙3被告ウェブページ目録記載2(1)ないし(5)の各ウェブページ(被告各ウェブページ)を開設し,運営していたところ,同各ウェブページの一部には,別紙6被告使用態様目録記載第3の「広告7」ないし「広告10」の態様で,被告各標章が記載されていた。 すなわち,被告ウェブページ1には被告標章19が(甲17),被告 ウェブページ2には被告標章12及び20が(甲18),被告ウェブページ3には被告標章2,12及び21が(甲4),被告ウェブページ5には被告標章12が(甲20),それぞれ記載されていた。 ウ購入明細書及び納品書における被告各標章の使用別紙6被告使用態様目録記載第4の「取引書類1」欄記載のとおり,発 行者を「ピュアナチュラル」及び被告とする「<ピュアナチュラル>お買い上げ明細書」と題する書面(甲27。以下「本件購入明細書」という。)の「商品名/商品番号/項目:選択肢」の欄に,「エジプシャンマジッククリームジャパンエキストラバージョン」,「62g」などと記載され,個数(「1個」),単価及び小計(いずれも「8,500円」),総 合計及び請求金額(いずれも「9,720円」)等が記載されている(上記記載中「エジプシャンマジック」が被告標章12に相当する。)。 また,同目録記載第4の「取引書類2」欄記載のとおり,発行者を「ナチュレルハウス」とする「納品書」と題する書面(甲28。以下「本件納品書」という。)の「商品名」の欄に「エジプ 12に相当する。)。 また,同目録記載第4の「取引書類2」欄記載のとおり,発行者を「ナチュレルハウス」とする「納品書」と題する書面(甲28。以下「本件納品書」という。)の「商品名」の欄に「エジプシャンマジッククリーム ジャパンエキストラバージョン 20g(4g×5)」と記載され,数量(「1」),単価,金額及び小計(いずれも「2,800」又は「2,800円」),送料(「648円」),総買上金額(「3,448円」)等の記載がある(上記記載中「エジプシャンマジック」が被告標章12に相当する。)。 エ被告各ウェブページのタイトルタグにおける被告各標章の使用被告各ウェブページは,別紙3被告ウェブページ目録記載1の各ウェブページ(被告ウェブサイト)のドメイン名下において存在するインターネットウェブページであるところ,被告各ウェブページのタイトルタグには,いずれも「エジプシャンマジック」の記載が含まれている(当該 記載が被告標章12に相当する。甲21ないし25)。 オ本件各被告販売商品の需要者前記アのとおり,本件各被告販売商品は,楽天市場やAmazonなどのインターネットショッピングサイトや,ショッピング用ウェブサイト上で,日本語を用いて,日本国内向けに販売されている。また,本件被告販売商品1-1及び1-2は,日本人の肌に合わせて配合されたスキ ンケア用の化粧クリームとして,全身の肌や髪の毛に様々な用途で使用することができることがうたわれ(甲3,4,7,8),本件被告販売商品2は,肌に有益な栄養を多く含み,保湿成分を落とさないなどの作用効果をうたったせっけんである(甲9ないし15)。 このように,本件各被告販売商品の需要者は,主として,肌や髪の毛の 美容と健康に関心を有する日本人である。 保湿成分を落とさないなどの作用効果をうたったせっけんである(甲9ないし15)。 このように,本件各被告販売商品の需要者は,主として,肌や髪の毛の 美容と健康に関心を有する日本人である。 (5) 損害賠償請求権及び不当利得返還請求権の譲渡の通知原告訴訟代理人弁護士塚原朋一(以下「原告代理人」という。)は,原告代表者を代理して,被告に対し,令和2年7月28日の第6回弁論準備手続期日において,原告代表者が,原告に対し,令和元年8月9日,被告による 原告商標権1の侵害行為により取得した損害賠償請求権及び不当利得返還請求権を譲渡した旨を通知した(以下「本件通知」といい,上記損害賠償請求権及び不当利得返還請求権の譲渡を「本件債権譲渡」という。)。 (6) 本件訴えの提起原告は,本件訴えを令和元年8月27日に提起した。 3 争点(1) 商標権侵害の成否(争点1)ア原告各商標と被告各標章との類否(争点1-1)イ原告各商標の指定商品と被告各商品との類否(争点1-2)(2) 債務者対抗要件の具備(争点2) (3) 差止め等の必要性(争点3) (4) 消滅時効の抗弁の成否(争点4)(5) 損害の発生及び額(争点5)(6) 不当利得返還請求権の成否及び利得額(争点6) 4 争点に関する当事者の主張(1) 商標権侵害の成否(争点1) (原告の主張)ア原告各商標と被告各標章との類否(争点1-1)(ア) 原告各商標別紙4商標権目録記載1及び2のとおり,原告商標1の外観は,標準文字で表されたアルファベットの「EGYPTIANMAGIC」か ら構成され,また,原告商標2の外観は,ゴシック体で表されたアルファベットの「EGYPTIANMAGIC」から構成される。 字で表されたアルファベットの「EGYPTIANMAGIC」か ら構成され,また,原告商標2の外観は,ゴシック体で表されたアルファベットの「EGYPTIANMAGIC」から構成される。 また,原告各商標は,いずれも「エジプシャンマジック」の称呼を生ずるとともに,それらの構成要素である英単語から,いずれも「エジプト人の魔法」の観念を生ずる。 (イ) 被告欧文字標章1被告欧文字標章1の外観は,いずれも,同じ書体,同じ大きさ及び同じ色で表されたアルファベットの「EGYPTIAN」及び「MAGIC」が上下2段に配されて構成される。 また,被告欧文字標章1は,いずれも「エジプシャンマジック」の称 呼を生ずるとともに,それらの構成要素である英単語から,いずれも「エジプト人の魔法」の観念を生ずる。 (ウ) 被告欧文字標章2被告欧文字標章2の外観は,いずれも,同じ書体,同じ大きさ及び同じ色で表されたアルファベットの「EGYPTIANMAGIC」か ら構成される。 また,被告欧文字標章2は,いずれも「エジプシャンマジック」の称呼を生じるとともに,それらの構成要素である英単語から,いずれも「エジプト人の魔法」の観念を生じる。 (エ) 被告カタカナ標章被告カタカナ標章の外観は,いずれも,同じ書体,同じ大きさ及び同 じ色で表された片仮名の「エジプシャンマジック」(被告標章21を除く。)又は上記標章に中黒を加えて表された「エジプシャン・マジック」(被告標章21に限る。)から構成される。 また,被告カタカナ標章は,いずれも「エジプシャンマジック」の称呼を生じ,「エジプト人の魔法」の観念を生じる。 (オ) 原告各商標と被告各標章の対比原告各商標と被告欧文字標章1を比較すると,これらは,い ナ標章は,いずれも「エジプシャンマジック」の称呼を生じ,「エジプト人の魔法」の観念を生じる。 (オ) 原告各商標と被告各標章の対比原告各商標と被告欧文字標章1を比較すると,これらは,いずれも同一の英単語から構成されているから,外観が類似する。また,称呼及び観念が同一である。したがって,原告各商標と被告欧文字標章1は互いに類似する。 次に,原告各商標と被告欧文字標章2を比較すると,これらの外観が類似し,称呼及び観念が同一であるから,原告各商標と被告欧文字標章2は互いに類似する。 さらに,原告各商標と被告カタカナ標章を比較すると,中黒が含まれるか否かにかかわらず,これらの称呼及び観念が同一であるから,互い に類似する。 イ原告各商標の指定商品と被告各商品との類否(争点1-2)(ア) 原告商標1の指定商品は,「第3類」の「ヘアークリーム・肌用クリームその他の化粧品」である。 他方,被告商品1は化粧クリームであり,上記指定商品と同一又は類 似する。また,被告商品2はせっけんであるところ,被告は,肌に有益 な栄養を含むことを強調して被告商品2を販売しているから,その実質に即せば,せっけんであると同時に化粧品でもある商品といえ,被告商品2は上記指定商品と同一又は類似するものである。 (イ) 原告商標2の指定商品は,「第3類」の「化粧品,せっけん類,洗濯用漂白剤,歯磨き,香料,薫料,つけづめ,つけまつげ」であるから, 化粧クリームである被告商品1及びせっけんである被告商品2は,上記指定商品と同一又は類似する。 ウ小括以上のとおり,被告各標章の使用行為は,指定商品と同一又は類似する商品についての登録商標に同一又は類似する商標の使用に該当し,原告 各商標権を侵害するものである。 は類似する。 ウ小括以上のとおり,被告各標章の使用行為は,指定商品と同一又は類似する商品についての登録商標に同一又は類似する商標の使用に該当し,原告 各商標権を侵害するものである。 (被告の主張)被告が被告各標章を使用したことは積極的には争わないが,被告各標章が原告各商標と同一又は類似であること及び被告各商品が原告各商標の指定商品と同一又は類似であることはいずれも争う。 (2) 債務者対抗要件の具備(争点2)(原告の主張)ア原告商標権1の侵害により生じた被告に対する損害賠償請求権及び不当利得返還請求権のうち,原告商標権1が原告に譲渡された日である平成29年4月10日までに発生したものについては,上記商標権の商標権者で ある原告代表者が取得していたものである。 しかるところ,本件に関する原告及び原告代表者の決裁事務の合理化等のため,原告代表者が取得していた上記の各請求権を,令和元年8月9日,原告に譲渡し(本件債権譲渡),前記前提事実(5)のとおり,原告代理人が,原告代表者を代理して,債務者である被告に対し,本件債権譲 渡の通知をした(本件通知)。 したがって,原告は,債務者である被告に対し,本件債権譲渡を対抗することができる。 イこの点,被告は,原告代表者の原告代理人に対する委任に疑義があるとして,本件通知の適法性を争っている。 しかしながら,本件通知は,原告代理人が債権の譲渡人である原告代表 者からの委任を受けて行ったものであり,原告代理人は,債権の譲受人である原告の代理人でもあるが,債権の譲受人が譲渡人を代理して債務者に通知することも可能であると解されていることから,本件通知の適法性に問題はない。 したがって,被告の主張には根拠がなく,被告の債務者対抗要件に係 人でもあるが,債権の譲受人が譲渡人を代理して債務者に通知することも可能であると解されていることから,本件通知の適法性に問題はない。 したがって,被告の主張には根拠がなく,被告の債務者対抗要件に係る 抗弁にも理由がない。 (被告の主張)ア原告は,原告商標権1を被告が侵害したとして,原告代表者が,被告に対する損害賠償請求権又は不当利得返還請求権(ただし,平成29年4月10日までに発生するもの。)を取得し,さらに,本件債権譲渡をしたと 主張する。 しかしながら,被告は,本件債権譲渡について通知を受けておらず,承諾をしてもいない。 したがって,本件債権譲渡を被告に対抗することはできないから(民法467条1項),原告が本件債権譲渡を通知し,又は被告が本件債権譲渡 を承諾するまで,原告が平成29年4月10日以前に発生した損害賠償請求権又は不当利得返還請求権の債権者であると認めない。 イ原告は,令和元年8月9日に本件債権譲渡をし,前記前提事実(5)のとおり適法に通知したと主張する。 しかしながら,原告代表者が原告代理人に対して本件通知に係る委任を したとの事実については,本件の事実経過に照らして疑義があり,本件 通知の適法性は争う。 以上を前提とすれば,原告による債務者対抗要件具備の主張には理由がないというべきであり,前記アの権利主張により,原告は,被告に対し,本件債権譲渡を対抗することができない。 (3) 差止め等の必要性(争点3) (原告の主張)被告は,別紙6被告使用態様目録記載のとおり,被告各標章を化粧クリームの容器及び包装箱並びにせっけんの包装に付して販売,輸出し,化粧クリーム及びせっけんに関する広告若しくは取引書類に被告各標章を用いているところ,被告が被告各標章を使用する行 被告各標章を化粧クリームの容器及び包装箱並びにせっけんの包装に付して販売,輸出し,化粧クリーム及びせっけんに関する広告若しくは取引書類に被告各標章を用いているところ,被告が被告各標章を使用する行為は,原告が保有する原告各商標権 を侵害するものであり,差止めの必要性があることは明らかである。 仮に,被告が現時点で本件各被告販売商品を販売していないとしても,従前の経緯に照らせば,差止めの必要性があるというべきである。 (被告の主張)争う。現在,被告は本件各被告販売商品を販売していないし,被告各ウェ ブページも存在しない。 (4) 消滅時効の抗弁の成否(争点4)(被告の主張)原告は,平成18年8月11日には,原告主張に係る損害及び加害者を知っていた。したがって,本件の訴状提出の日(令和元年8月27日)から3 年間遡った日より前に発生した損害賠償請求権は,消滅時効が完成し(民法724条前段),被告がこれを援用したことにより,同損害賠償請求権は消滅した。 したがって,原告の損害賠償請求権のうち,平成28年8月26日以前に生じた部分については,理由がない。 (原告の主張) 争う。 (5) 損害の発生及び額(争点5)(原告の主張)ア被告が受けた利益に相当する損害額(ア) 主位的請求に係る請求原因事実 a 楽天に対する調査嘱託の回答によれば,被告が本件各被告販売商品を平成18年8月11日から令和元年8月27日までに販売したことによる売上高は2759万1819円であると認められる。 そのため,商標法38条2項により,同額が原告の損害額と推定される。 b 仮に,前記aの売上高から経費を差し引かなければならないとしても,本件各被告販売商品は一般的に利益率の高い化粧品に属 そのため,商標法38条2項により,同額が原告の損害額と推定される。 b 仮に,前記aの売上高から経費を差し引かなければならないとしても,本件各被告販売商品は一般的に利益率の高い化粧品に属する商品であるから,その利益率は低く見積もっても70%を下回らないというべきである。 したがって,前記aの売上高の70%に相当する1931万427 3円が,商標法38条2項により推定される原告の損害額というべきである。 (イ) 予備的請求に係る請求原因事実楽天に対する調査嘱託の回答によれば,被告が本件各被告販売商品を平成18年8月11日から令和元年8月27日までに販売したことによ る売上高は2759万1819円とのことであるが,実際に被告が得た売上高の総額は同額に止まらず,1億円を下らないものと想定される。 これを前提とすると,原告が被告による原告各商標権の侵害行為に関して商標法38条3項に基づき受けるべき金銭の額に相当する額は,1億円の1割である1000万円を下らないというべきである。 イ弁護士費用 原告各商標権の侵害行為と相当因果関係がある弁護士費用の額は,前記(ア)については200万円と,前記(イ)については100万円と,それぞれ認めるのが相当である。 ウ被告の主張に対する反論以上に対し,被告は,前記アの売上高から差し引くべき経費として,楽 天市場の出品手数料や広告料,製造原価等に関する主張立証をするため,令和3年3月11日,準備書面及び書証(乙1)を提出し,さらに,これに関連する立証を行うため,上記提出に先立ち楽天に対する調査嘱託の申立てをした。 しかしながら,これらは,いずれも時機に後れた防御方法であるから, 民事訴訟法157条1項に基づき,却下されるべきである。すなわち ため,上記提出に先立ち楽天に対する調査嘱託の申立てをした。 しかしながら,これらは,いずれも時機に後れた防御方法であるから, 民事訴訟法157条1項に基づき,却下されるべきである。すなわち,損害論に関する被告の反論等は,令和3年3月1日までに提出するものと定められていたところ,同反論等は,被告において当然把握しているはずの情報に係るものであることから,上記の期限までに提出することは十分に可能であったというべきである。 (被告の主張)ア前記(4)(被告の主張)のとおり,原告の被告に対する損害賠償請求権のうち,平成28年8月26日以前に生じた部分については,時効により消滅した。そのため,仮に上記損害賠償請求権があるとしても,その額については,平成28年9月以降の売上高である811万4677円に基づ いて算定されるべきである。 イまた,原告は,本件各被告販売商品の利益率が70%であると主張するが,否認ないし争う。上記の利益率は高きに失する。 ウさらに,前記アの額には,被告が楽天に支払うべき出品手数料や広告料,製造原価等の費用が含まれており,少なくとも,楽天市場の出品手数料や 広告料は被告の限界利益に含まれない。 エ被告は,売上高から差し引くべき出品手数料や広告料の具体的な額を把握するため,調査嘱託を申し立て,また,楽天市場の出品手数料に関する書証の提出や準備書面の提出を試みた。これらについては,時機に後れた防御方法とはいえないから,採用されるべきである。すなわち,被告が本件各被告販売商品の販売を取りやめてから複数年が経過したため,本件に 関する資料が被告の事務所には存在しない。また,被告において楽天に繰り返し問い合わせたものの,担当者と話をすることができなかった。したがって,上 売を取りやめてから複数年が経過したため,本件に 関する資料が被告の事務所には存在しない。また,被告において楽天に繰り返し問い合わせたものの,担当者と話をすることができなかった。したがって,上記の防御方法は,時機に後れて提出されたものとはいえない。 (6) 不当利得返還請求権の成否及び利得額(争点6)(原告の主張) 被告は,原告が保有する原告各商標権を侵害したものであるから,仮に平成28年8月26日以前の損害賠償請求権が時効により消滅したとしても,平成21年8月27日から平成28年8月26日までに被告が受けた利益については,原告の被告に対する不当利得返還請求権が発生する。 そして,上記の期間における本件各被告販売商品の売上額は少なくとも5 366万2119円と見込まれるから,同期間において,原告各商標の使用に対して原告が被告から受けるべき金員の額に相当する額は,その1割である536万6211円と認められる。 したがって,被告は,原告各商標権を侵害することにより上記の額の利益を受け,原告に同額の損害を及ぼしたものである。 よって,原告は,被告に対し,536万6211円の不当利得返還請求権を有する。 (被告の主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(商標権の侵害の成否)について (1) 争点1-1(原告各商標と被告各標章との類否)についてア原告各商標と被告欧文字標章1について(ア) 原告商標1は,「EGYPTIANMAGIC」の標準文字からなり,これを英語として読むことにより,「エジプシャンマジック」の称呼が生じ,「エジプト人の魔法」という観念が生じる。 また,原告商標2の外観は,ゴシック体様の書体により,無色地に黒色で「EGYPTIAN」と「MAGIC」 より,「エジプシャンマジック」の称呼が生じ,「エジプト人の魔法」という観念が生じる。 また,原告商標2の外観は,ゴシック体様の書体により,無色地に黒色で「EGYPTIAN」と「MAGIC」の各文字列が1文字分の空白を挟んで1段で続けて横書きされ,かつ,各文字の高さはほぼ同じであり,文字と文字の間に空隙が生じないよう,前後の文字間を詰めて配置することによって,全体としてまとまりのある印象を形成している。 そして,原告商標2は原告商標1と同様,「エジプシャンマジック」の称呼及び「エジプト人の魔法」という観念が生じる。 (イ) 被告欧文字標章1のうち,被告標章1,3,4,5,8及び13の外観は,ゴシック体様の書体により,同一色の背景に,被告標章1,3及び4については赤色で,被告標章5及び8については紺色で,被告標 章13については色彩を問わずに,上段に「EGYPTIAN」と,下段に「MAGIC」と記載され,かつ,当該上下2段の文字が狭い行間で中央揃えにより配置されたものである。そして,各文字の高さはほぼ同じであり,文字と文字の間に空隙が生じないよう,前後の文字間を詰めて配置することによって,全体としてまとまりのある印象を形成して いる。 また,被告欧文字標章1のうち,被告標章2,14,16及び19の外観は,明朝体様の書体により,同一色の背景に,被告標章2については茶色で,被告標章14については色彩を問わずに,被告標章16については白色で,被告標章19については黒色で,上段に「EGYPTI AN」と,下段に「MAGIC」と記載された部分からなる2段のもの である。当該上下2段の行間の幅は,被告標章1,3,4,5,8及び13と比較するとやや広いが,いずれも,標章を構成する各文字の高さとの比較では GIC」と記載された部分からなる2段のもの である。当該上下2段の行間の幅は,被告標章1,3,4,5,8及び13と比較するとやや広いが,いずれも,標章を構成する各文字の高さとの比較では,相当狭いといえるから,当該上下2段が一体的なものであるとの印象を与える。また,被告標章2,14,16及び19に見られるその余の特徴は,被告標章1,3,4,5,8及び13と同様であ る。 そして,被告欧文字標章1は,上記のとおり,「EGYPTIAN」と「MAGIC」とが,ほぼ行間を空けることなく,まとまりよく配置されているから,被告欧文字標章1を目にした者は,一連の英語として,1段目の「EGYPTIAN」に続けて2段目の「MAGIC」を読む のが自然である。したがって,被告欧文字標章1は,いずれも,「エジプシャンマジック」の称呼を生じるとともに,「エジプト人の魔法」の観念を生じる。 (ウ) 原告各商標と被告欧文字標章1を対比すると,外観において,①原告各商標は1段で続けて「EGYPTIANMAGIC」と記載され ているのに対し,被告欧文字標章1はいずれも「EGYPTIAN」と「MAGIC」が2段に分けて記載されている点,②原告商標1は標準文字からなるのに対し,被告欧文字標章1のうち被告標章1,3,4,5,8及び13はゴシック体様の書体からなり,また,原告商標2はゴシック体様の書体からなるのに対し,被告欧文字標章1のうち被告標章 2,14,16及び19は明朝体様の書体からなる点,③原告商標2は黒色により文字の部分が記載されているのに対し,被告欧文字標章1は,被告標章19を除き,黒色以外の色により文字の部分が記載されている点で相違する。 しかしながら,原告各商標と被告欧文字標章1は,いずれも文字の みで ているのに対し,被告欧文字標章1は,被告標章19を除き,黒色以外の色により文字の部分が記載されている点で相違する。 しかしながら,原告各商標と被告欧文字標章1は,いずれも文字の みで構成される標章であり,しかも,構成する文字は原告各商標と被告 欧文字標章1とで全く同一であることからすれば,原告各商標と被告欧文字標章1は,外観において類似すると認められる。上記の各相違点のうち,①の文字列の配置の相違については,2つの文字列(「EGYPTIAN」及び「MAGIC」)が1文字分の空白を挟んで1段で続けて記載されているか,これらが2段に分けて記載されているかという相 違にすぎず,いずれもまとまりよく配置され,これを目にした者に,「EGYPTIAN」に続けて「MAGIC」と読ませる外観を有するといえる以上,両者の類似性に関する上記の認定を左右するものではない。また,その余の②及び③の点は,上記の類似点に比べ,いずれも些末な点の差異にすぎず,両者の外観における類似性を損なうものとは認 めがたい。 そして,原告各商標と被告欧文字標章1はいずれも「エジプシャンマジック」の称呼が生じる点及び「エジプト人の魔法」という観念が生じる点において同一である。 以上のとおり,原告各商標と被告欧文字標章1は,称呼及び観念が同 一であり,外観が類似するものといえる。そうすると,被告欧文字標章1はいずれも原告各商標に類似する商標であるものと認められる。 イ原告各商標と被告欧文字標章2について(ア) 被告欧文字標章2の外観は,被告標章6及び15では,同一色の背景にゴシック体様の書体により,紺色又は白色の字で,また,被告標章 18では書体と色彩を問わずに,いずれも「EGYPTIAN」と「MAGIC」の各文字列が1文 告標章6及び15では,同一色の背景にゴシック体様の書体により,紺色又は白色の字で,また,被告標章 18では書体と色彩を問わずに,いずれも「EGYPTIAN」と「MAGIC」の各文字列が1文字分の空白を挟んで1段で続けて横書きされ,かつ,各文字の高さはほぼ同じであり,文字と文字の間に空隙が生じないよう,前後の文字間を詰めて配置することによって,全体としてまとまりのある印象を形成している。そして,被告欧文字標章2は, 「エジプシャンマジック」の称呼及び「エジプト人の魔法」という観念 が生じる。 (イ) 原告各商標と被告欧文字標章2を対比すると,原告商標1は,標準文字からなり,被告欧文字標章2の書体とは異なり,また,両者の文字の色にも相違がある。しかし,両者は,いずれも文字のみで構成される標章であり,しかも,構成する文字は原告各商標と被告欧文字標章2と で全く同一である上,それらが1段で続けて表記されている点も共通することからすれば,原告各商標と被告欧文字標章2は,外観において高い類似性が認められる。このような類似点に比し,上記の相違点は,いずれも些末な点の差異にすぎず,両者の外観における類似性を損なうものとは認めがたい。 そして,原告各商標と被告欧文字標章2はいずれも「エジプシャンマジック」の称呼が生じる点及び「エジプト人の魔法」という観念が生じる点において同一である。 したがって,原告各商標と被告欧文字標章2は,称呼及び観念が同一であり,外観においても高い類似性が認められるから,被告欧文字標章 2はいずれも原告各商標に類似する商標であるものと認められる。 ウ原告各商標と被告カタカナ標章について(ア) 被告カタカナ標章は「エジプシャンマジック」又は「エジプシャン・マジック」と1段で続 2はいずれも原告各商標に類似する商標であるものと認められる。 ウ原告各商標と被告カタカナ標章について(ア) 被告カタカナ標章は「エジプシャンマジック」又は「エジプシャン・マジック」と1段で続けて横書きされて構成されている。また,被告カタカナ標章の各文字の高さ及び幅はほぼ同じであり,こうした文字 の配置は,全体としてまとまりのある印象を形成している。 そして,被告カタカナ標章は,「エジプシャンマジック」の称呼及び「エジプト人の魔法」という観念が生じる。 (イ) 原告各商標と被告カタカナ標章を対比すると,両者はいずれも専ら又は主として文字の部分を中心とする標章であるところ,原告各商標は 欧文字で「EGYPTIANMAGIC」と記載されているのに対し, 被告カタカナ標章は片仮名で「エジプシャンマジック」又は「エジプシャン・マジック」と記載されており,両者において共通する文字の部分は全くないから,外観が同一ないし類似するということはできない。 しかしながら,原告各商標と被告カタカナ標章はいずれも「エジプシャンマジック」の称呼が生じる点及び「エジプト人の魔法」という 観念が生じる点において同一である。以上に加え,前記前提事実(4)のとおり,本件被告販売商品1-1及び1-2は,日本語で記載された被告ウェブサイトやインターネットショッピングサイト等において,主として日本人に向けて販売されていたものであって,こうした本件被告販売商品1-1及び1-2の取引の実情からすると,原告各商標 及び被告カタカナ標章が原告各商標の指定商品である化粧クリーム又はせっけんに使用された場合には,商品の出所について,需要者である,主として肌や髪の毛の美容と健康に関心を有する日本人に誤認混同を生じさせるおそれがあるというべきであ の指定商品である化粧クリーム又はせっけんに使用された場合には,商品の出所について,需要者である,主として肌や髪の毛の美容と健康に関心を有する日本人に誤認混同を生じさせるおそれがあるというべきである。 したがって,被告カタカナ標章はいずれも原告各商標に類似する商標 であると認められる。 (2) 争点1-2(原告各商標の指定商品と被告各商品との類否)についてア前記前提事実のとおり,本件各被告販売商品は化粧クリーム(被告商品1)又はせっけん(被告商品2)である。 イ原告商標1の指定商品は「ヘアークリーム・肌用クリームその他の化粧 品」であるから,被告商品1は,それらのうちの「肌用クリームその他の化粧品」と同一であると認められる。 また,せっけんは,一般には洗顔等の用途に用いられるものではあるが,証拠(甲9,11,15)によれば,本件被告販売商品2は,その広告において,肌に有益な栄養を多く含み,成分の浸透性を高めた配合がさ れ,肌の再生力を正常化することがうたわれているものと認められる。 以上に加え,前記前提事実(1)イのとおり,被告が化粧品等の製造,販売及び輸出入等を業とする株式会社であることを併せ考えると,本件被告販売商品2を含む被告商品2は,化粧品と同様の作用効果があることを顧客に対して訴えた商品であると推認される。以上によれば,被告商品2に原告商標1の指定商品である「肌用クリームその他の化粧品」と同 一又は類似の商標が使用されるときは,その需要者により同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認混同されるおそれがあるといえる。したがって,被告商品2は,「肌用クリームその他の化粧品」と類似する商品と認めるのが相当である。 ウ原告商標2の指定商品は「化粧品,せっけん類,洗濯用漂白剤,歯磨き, れるおそれがあるといえる。したがって,被告商品2は,「肌用クリームその他の化粧品」と類似する商品と認めるのが相当である。 ウ原告商標2の指定商品は「化粧品,せっけん類,洗濯用漂白剤,歯磨き, 香料,薫料,つけづめ,つけまつげ」であり,被告商品1はそれらのうちの「化粧品」と,被告商品2はそれらのうちの「せっけん類」と同一の商品と認められる。 エよって,原告各商標の指定商品と被告各商品は,同一又は類似であると認められる。 (3) 小括以上の次第で,被告各標章は,いずれも,原告各商標と類似するものであり,かつ,被告各商品は,いずれも,原告各商標の指定商品と同一又は類似であるから,被告が被告各商品に被告各標章を使用する行為は,原告が有する原告各商標権を侵害するものとみなされる(商標法37条1号)。 2 争点2(本件債権譲渡に係る債務者対抗要件の具備の成否)について(1) 証拠(甲34)及び弁論の全趣旨によれば,原告代表者は,原告代理人に対し,本件通知に関する代理権を授与したことが認められる(被告は,同代理権授与の事実が疑わしい旨主張するが,同主張は,具体的な根拠に基づくものではなく,採用することができない。)。そして,前記前提事実(5)のと おり,本件債権譲渡に関し,原告代理人は,債権の譲渡人である原告代表者 を代理して,債務者である被告に対し本件通知をした。 したがって,本件債権譲渡に係る債権の譲受人である原告は,同債務者である被告に対し,本件債権譲渡を対抗することができる(民法467条1項)。 (2) なお,指名債権譲渡の通知は,その債権の譲渡人,その包括承継人又はそ れらから委任を受けた者がなすべきとされているところ(最高裁昭和45年(オ)第4号同46年3月25日第一小法廷判 。 (2) なお,指名債権譲渡の通知は,その債権の譲渡人,その包括承継人又はそ れらから委任を受けた者がなすべきとされているところ(最高裁昭和45年(オ)第4号同46年3月25日第一小法廷判決・集民102号319頁参照),本件債権譲渡に係る債権の譲渡人である原告代表者は,原告代理人に債権譲渡の通知に関する代理権を授与し,原告代理人が原告代表者を代理して本件通知をしたものである。そして,原告代理人は,本件において,上記 債権の譲受人である原告の訴訟代理人でもあるが,本件通知は,上記のとおり譲渡人である原告代表者の上記代理権授与に基づきなされており,その意思に沿うものであるから,原告代表者に不測の損害を生じさせるものとも認められない。そうすると,原告代理人による本件通知は有効であると解するのが相当である。 (3) したがって,本件債権譲渡については,債務者対抗要件の具備が認められる。 3 争点3(差止め等の必要性)について(1) 被告各商品の販売に関する差止め等請求(主文1及び2項)についてア前記1のとおり,被告各標章は,いずれも,原告各商標と類似するもの であり,かつ,被告各商品は,いずれも,原告各商標の指定商品と同一又は類似である。 被告は,前記前提事実(4)アのとおり,本件各被告販売商品を,その包装箱又は容器に被告各標章を付して,国内外で販売したことが認められるところ,被告が本件各被告販売商品の包装に被告各標章を付する行為 は,商標法2条3項1号所定の「使用」に当たり,また,被告が本件各 被告販売商品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出する行為は,同項2号所定の「使用」に当たる。 したがって,被告の上記行為は,同法37条1号により,原告が有する原告各商標 被告販売商品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出する行為は,同項2号所定の「使用」に当たる。 したがって,被告の上記行為は,同法37条1号により,原告が有する原告各商標権を侵害するものとみなされる。 イ(ア) そして,証拠(甲29の1,2及び30の1ないし3)及び弁論の全 趣旨によれば,原告は,被告に対し,本件訴えの提起に先立つ平成29年5月22日,本件各被告販売商品等を被告が販売する行為は商標権侵害に当たる旨記載した同月15日付けの通告書を送付したが,被告は何らの回答もしなかったこと,原告は,被告に対し,同年8月30日付けで上記と同様の通告書を一般書留郵便により送付したが,被告は同通告 書を受領しなかったことが認められる。本件訴え提起の前における被告のこうした態度に加え,本件において被告が商標権侵害を争っていること,本件被告販売商品1-1及び1-2が被告商品1に,本件被告販売商品2が被告商品2に属すること,前記前提事実(1)イのとおり,被告が化粧品等の製造,販売,輸出入等を業とする株式会社であることなど からすれば,被告が被告各標章を被告各商品若しくはその包装に付すること又は被告各商品若しくはその包装に被告各標章を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,若しくは輸出することの差止めの必要性があるというべきである。 (イ) 被告は,本件各被告販売商品を販売していないから,それを差し止 める必要性はないと主張する。 しかしながら,本件各被告販売商品の販売が停止されたことを認めるに足りる的確な証拠はないし,前記(ア)で説示したところによれば,仮に被告が現時点において本件各被告販売商品を販売していないとしても,そのような事実のみによって差止めの必要性を否定するこ とを認めるに足りる的確な証拠はないし,前記(ア)で説示したところによれば,仮に被告が現時点において本件各被告販売商品を販売していないとしても,そのような事実のみによって差止めの必要性を否定することはできない というべきである。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 ウ前記前提事実(4)ア(ア)及び(イ)のとおり,被告は,本件各被告販売商品を自ら製造して販売等していたと認められる。また,証拠(甲3,7,9,16)によれば,被告は,東京都調布市内に工場を保有していたこと,本件各被告販売商品の問い合わせ先として上記工場の所在地及び電話番号等 をインターネット通信販売サイトに掲載していたことが認められる。 これらの事実を総合すれば,被告は上記工場で被告各標章を付した被告各商品又はその包装を製造しているものと推認される。そして,前記イ(イ)のとおり,被告において被告各商品の販売を終了したとは認められないことからすると,被告は,現時点においても,被告各標章が付された 被告各商品又はその包装を所持しているものと推認される。 以上によれば,被告各標章が付された被告各商品又はその包装を廃棄する必要性が認められる。 (2) 広告,価格表若しくは取引書類に関する差止め等請求(主文3ないし5項)について ア前記1のとおり,被告各標章は,いずれも,原告各商標と類似するものであり,かつ,被告各商品は,いずれも,原告各商標の指定商品と同一又は類似である。したがって,被告が,被告各商品に関する広告,価格表若しくは取引書類に被告各標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に被告各標章を付して電磁的方法により提供する行為 は,商標法2条3項8号所定の「使用」に当たり,同法37条1 くは取引書類に被告各標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に被告各標章を付して電磁的方法により提供する行為 は,商標法2条3項8号所定の「使用」に当たり,同法37条1号により,原告が有する原告各商標権を侵害するものとみなされる。 イそして,前記前提事実(4)ウのとおり,被告は,被告標章12が付された本件購入明細書(甲27)及び本件納品書(甲28)を発行し,本件被告販売商品1-2の購入者に交付しているところ,本件購入明細書及び本 件納品書には,宛名,発行者,注文日又は発行日,購入された本件被告販 売商品1-2の商品名,価格等が記載されているから,本件購入明細書及び本件納品書は,少なくとも本件被告販売商品1-2に関する「取引書類」(商標法2条3項8号)に該当するものというべきである。 また,前記前提事実(4)イ(ア)及び(イ)のとおり,被告は,本件被告販売商品1-2のチラシ(甲8)に被告標章12を付して購入者に送付し,ま た,本件各被告販売商品の販売ページに被告標章3,10ないし12,15ないし17及び22を付したところ,上記チラシ及び販売ページは,その記載内容に照らし,本件各販売商品の「広告」(同項8号)に該当するものというべきである。 さらに,前記前提事実(4)イ(ウ)及び証拠(甲4,17ないし20)のと おり,被告は,「エジプシャンマジッククリーム(EMCJ)」又は「エジプシャンマジッククリームジャパンエキストラバージョン」をタイトルとする被告ウェブページ1ないし3及び5に,被告標章2,12,19,20又は21を記載して本件被告販売商品1-1又は1-2の情報を掲載するとともに,「詳細はこちら」,「ご購入はこちら」などとして,閲覧者 に商品の購入を促し,商品の購入 告標章2,12,19,20又は21を記載して本件被告販売商品1-1又は1-2の情報を掲載するとともに,「詳細はこちら」,「ご購入はこちら」などとして,閲覧者 に商品の購入を促し,商品の購入が可能なウェブページへのアクセスを可能にしているから,被告ウェブページ1ないし3及び5は,本件被告販売商品1-1又は1-2に関する「広告」(同項8号)に該当するといえる。 このように,被告は,被告各標章を用いて,現に取引書類を頒布するとともに,広告を頒布又は電磁的方法により提供しているというべきところ, 前記(1)イ(ア)で摘示した事情も併せ考えれば,被告各商品に関する広告,価格表若しくは取引書類に被告各標章を付して展示し,頒布し,又はこれらを内容とする情報に被告各標章を付して電磁的方法により提供することを差し止める必要性があり,かつ,被告各標章を付した被告各商品に関する広告,価格表又は取引書類の廃棄及び被告ウェブサイトからの被告各標 章の削除を請求する必要性があるというべきである(なお,上記説示した ところによれば,被告ウェブページ1ないし3及び5のみならず,被告ウェブサイトを構成するウェブページに,被告各標章を用いた「広告,価格表」が掲載されていることが推認され,あるいは被告において容易に被告各標章を用いて「広告,価格表」を内容とする電磁的情報を提供することが可能と推認されるから,上記の差止め及び削除の必要性は,被告ウェブ ページ1ないし3及び5に限られず,被告ウェブサイトにおいて認められるというべきである。)。 以上に対し,被告は,上記ウェブページを削除した旨を主張するが,これを認めるに足りる的確な証拠はない。 (3) ウェブページのタイトルタグに関する差止め等請求(主文6及び7項)に ついてア 上に対し,被告は,上記ウェブページを削除した旨を主張するが,これを認めるに足りる的確な証拠はない。 (3) ウェブページのタイトルタグに関する差止め等請求(主文6及び7項)に ついてア前記1のとおり,被告標章12は原告各商標と類似するものであり,かつ,原告各商標の指定商品と被告各商品はいずれも同一又は類似である。 また,前記(2)イのとおり,被告ウェブページ1ないし3及び5は,本件被告販売商品1-1又は1-2に関する「広告」(商標法2条3項8号) に該当するというべきである。加えて,被告ウェブページ4についてみても,証拠(甲19)によれば,そのタイトルには「エジプシャンマジッククリーム(EMCJ)正規代理店【蒼基】」などと,左側部分には「EMCJエキストラバージョン」,「エジプシャン・マジッククリーム」などと記載され,かつ,「モバイル版SOKIホームページアクセス方法」とし て,被告の携帯電話端末専用ウェブページへのアクセス方法が記載されていることが認められるから,同ウェブページについても,本件被告販売商品1-1又は1-2に関する「広告」(同項8号)に該当すると認めるのが相当である。 したがって,被告が,被告各ウェブページを表示するための電子ファイ ルに被告標章12をタイトルタグとして記載する行為は,少なくとも, 本件被告販売商品1-1及び1-2が属する被告商品1に関する広告を内容とする情報に被告標章12を付して電磁的方法により提供する行為であるから,同号所定の「使用」に当たり,同法37条1号により,原告が有する原告各商標権を侵害するものとみなされる。 イそして,前記(1)イ(ア)で摘示した事情も併せ考えれば,被告が,本件ウ ェブサイトを表示するための電子ファイルに被告標章12をタイト 原告が有する原告各商標権を侵害するものとみなされる。 イそして,前記(1)イ(ア)で摘示した事情も併せ考えれば,被告が,本件ウ ェブサイトを表示するための電子ファイルに被告標章12をタイトルタグとして記載することを差し止める必要性があり,かつ,被告ウェブサイトを表示するためのhtmlファイルを含む電子ファイルの〈title〉から被告標章12を除去することを請求する必要性があるというべきである。なお,前記(2)イで説示したところによれば,上記の差止め及び除去 の必要性は,被告各ウェブページに限られず,被告ウェブサイト全体において認められるというべきである。 上記ウェブページを削除した旨の被告主張を認めるに足りる的確な証拠がないことは,前記(2)イで説示したとおりである。 4 争点4(消滅時効の抗弁の成否)について 被告は,原告は平成18年8月11日の時点で損害及び加害者を知っていたとして,消滅時効の成立を主張する。 しかしながら,原告が被告に送付した通告書(甲29の1)の作成日である平成29年5月15日の時点において,原告が,原告各商標権に対する侵害行為に係る損害及び加害者を知っていたことは認められるものの,本件訴えが提 起された令和元年8月27日より3年以上前の時点において,原告がこれらの事実を知っていたことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,平成18年8月11日の時点において,原告が損害及び加害者を知っていたとは認められず,消滅時効に関する被告の主張には全部理由がない。 5 争点5(損害の発生及び額)について (1) 損害の発生及び本件各被告販売商品の売上高等ア前記前提事実(3)及び(4)ア(ア)のとおり,原告は,原告商品を販売しており,本件被告販売商品1-1は原告 生及び額)について (1) 損害の発生及び本件各被告販売商品の売上高等ア前記前提事実(3)及び(4)ア(ア)のとおり,原告は,原告商品を販売しており,本件被告販売商品1-1は原告商品をもとに開発され,同1-2は同1-1を改良して開発されたものであるから,原告には,被告の前記1の侵害行為によって,被告が同侵害行為により受けた利益に相当する損害 及び本件訴訟提起に係る弁護士費用相当額の損害が発生したと認めるのが相当である。 イそして,証拠(甲35,36)及び調査嘱託(原告が令和2年8月28日付けで申し立てたもの及び被告が令和2年12月21日付けで申し立てたもの。)の結果によれば,別紙7売上高等一覧表記載のとおり,被告は, 平成22年3月から本件訴えの提起の日である令和元年8月27日までの間に,本件被告販売商品1-2を1962個販売し,2759万1819円を売り上げたと認められる。他方,原告商標1の登録日である平成18年8月11日から上記令和元年8月27日までの間に,被告が本件被告販売商品1-1及び本件被告販売商品2を販売したことによる売上げについ ては,これを認めるに足りる証拠はない。 (2) 主位的請求についてア商標法38条2項所定の侵害行為により侵害者が受けた利益の額は,侵害者の侵害品の売上高から,侵害者において侵害品を製造販売することによりその製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費を控除した限 界利益の額であり,その主張立証責任は商標権者側にあるものと解すべきである。 イ原告は,被告が原告各商標権を侵害したことにより原告が被った逸失利益の額は前記(1)の売上高を下らない旨を主張するが,本件被告販売商品1-2を製造販売することに直接関連して追加的に必要となった経費が全 ,被告が原告各商標権を侵害したことにより原告が被った逸失利益の額は前記(1)の売上高を下らない旨を主張するが,本件被告販売商品1-2を製造販売することに直接関連して追加的に必要となった経費が全 くなかったことを認めるに足りる証拠はないから,上記主張は採用するこ とができない。 これに対して,原告は,侵害行為による被告の現実の売上高は1億円を超えるから,証拠上明らかな被告の売上高である2759万1819円がそのまま原告の逸失利益の額と認められる旨を主張するが,被告の売上高が1億円を超え,限界利益が2759万1819円を超えることを 認めるに足りる証拠はない。 また,原告は,売上高から控除し得る費用等を適時的確に主張立証しない被告の応訴態度等を根拠として,被告の上記売上高をそのまま原告の逸失利益の額と認めるべきである旨を主張する。しかしながら,この点については,被告の主張立証が時機に後れた防御方法であることの根拠 にはなり得るとしても,限界利益の算出に係る経費が全く発生しなかったと認める根拠とはならないというべきである。 したがって,原告の上記主張はいずれも採用することができない。 ウ以上を前提に,商標法38条2項により推定される「利益」の額を算出すると,以下に説示するとおり,1931万4273円となる。 (ア) 売上高被告は,前記(1)イのとおり,本件被告販売商品1-2を販売したことによって,2759万1819円を売り上げた。 (イ) 控除すべき経費a 原価率 本件被告販売商品1-2は化粧品の一種である化粧クリームであるところ弁論の全趣旨によれば,一般的に化粧品の原価率は低いと認められることから,本件被告販売商品1-2の原価率を売上高の30%と認めるのが相当であり,この認定を 化粧品の一種である化粧クリームであるところ弁論の全趣旨によれば,一般的に化粧品の原価率は低いと認められることから,本件被告販売商品1-2の原価率を売上高の30%と認めるのが相当であり,この認定を覆すに足りる証拠はない。 b 楽天市場の出店手数料及び広告料について (a) 以上に対し,被告は,①前記(1)イの売上高には,被告が楽天に 支払うべき楽天市場の出店手数料及び広告料が含まれているから,限界利益を算定する上では,上記の売上高から上記出店手数料や広告料を差し引くべきである旨を主張し,②上記①の主張に関連して,平成18年8月11日から令和元年8月27日までの間の売上高に関して被告が楽天に支払った月ごと又は年ごとの金額を調査の趣旨 とする令和2年2月28日付けの調査嘱託を申し立て(以下「本件調査嘱託の申立て」という。),さらに,③楽天市場に出店する際の月額固定費,売上げに応じた変動費等が支払われており,これらを差し引くべきであるとの主張を記載した令和3年3月11日付け準備書面(以下「本件被告準備書面」という。)及び同日作成の書証 (「楽天市場への出店方法の流れと費用,体験談から見るメリット・デメリットを解説」と題するウェブページをプリントアウトしたもの。以下「本件被告書証」という。)を提出した。 これに対し,原告は,前記第2の4(5)(原告の主張)ウのとおり,上記②及び③は時機に後れた防御方法に当たるから,民事訴訟 法157条1項により却下されるべきであるとの意見を述べた。 (b) そこで検討すると,本件の審理が以下の経過をたどったことは,当裁判所に顕著である。 ⅰ 本件の訴状は令和元年9月19日に被告に送達された。 ⅱ 本件は,令和元年10月30日の第1回口頭弁論期日の後, 弁論準備 件の審理が以下の経過をたどったことは,当裁判所に顕著である。 ⅰ 本件の訴状は令和元年9月19日に被告に送達された。 ⅱ 本件は,令和元年10月30日の第1回口頭弁論期日の後, 弁論準備手続に付され,令和2年8月28日の第7回弁論準備手続期日まで,主として,被告による原告各商標権侵害の成否(いわゆる侵害論)についての争点整理が行われた。 ⅲ 原告は,令和2年8月28日,平成18年8月11日から令和元年8月27日までの間における本件被告販売商品1-1及 び1-2の売上高等に関する楽天に対する調査嘱託を申し立て たところ,同年10月29日,楽天は,上記調査嘱託の回答書(甲35)を提出した。 なお,上記提出に先立つ同月5日の第8回弁論準備手続期日において,被告は,調査嘱託の回答があったときには,次回期日までに,調査嘱託の回答を踏まえて,主張立証の方針につい て検討する旨を陳述した。 ⅳ 被告は,令和2年12月14日の第9回弁論準備手続期日において,前記ⅲの回答書(甲35)に関し,月ごとの売上高等を調査事項とする調査嘱託を申し立てる意向を示すとともに,損害論に関する事実調査を尽くす旨を陳述した。 そして,被告は,同月21日,楽天に対する上記調査嘱託を申し立て,楽天は,令和3年1月21日,同調査嘱託に対する回答書(甲36)を提出した。 ⅴ 被告は,令和3年1月28日の第10回弁論準備手続期日において,同年3月1日までに,損害論についての認否反論を尽 くす旨を陳述した。 ⅵ 被告は,前記(a)②のとおり,令和3年2月28日付けで本件調査嘱託の申立てをした。これに対し,原告は,本件調査嘱託の申立ては,必要性がなく,かつ不適法であるとの意見を記載した同年3月5日付け意見書を提出した。 おり,令和3年2月28日付けで本件調査嘱託の申立てをした。これに対し,原告は,本件調査嘱託の申立ては,必要性がなく,かつ不適法であるとの意見を記載した同年3月5日付け意見書を提出した。 ⅶ 被告は,前記(a)①の主張を記載した本件被告準備書面を提出し,令和3年3月11日の第11回弁論準備手続期日において同準備書面を陳述した。 また,被告は,前記(a)③の主張を記載した準備書面(同月11日付け)を提出するとともに,本件被告書証を乙第1号証と して提出した。 (c) 本件では,訴状において,商標法38条2項により推定される逸失利益の額に関する主張が記載されていたから,被告においても,限界利益の算定に当たって控除すべき経費の項目及び額が争点となり得ることについては,同訴状送達日である令和元年9月19日の時点で認識することができたといえる。 そして,前記(b)ⅱのとおり,本件の審理において,侵害論の争点整理は令和2年8月28日までにおおむね終了し,同日からは損害の発生及び額(いわゆる損害論)に関する争点整理に進み,その後の4回の弁論準備手続期日の中で,被告には,前記ⅳ及びⅴのとおり,損害論に関する事実調査及び主張立証を尽くす機会が与えら れたというべきである。 以上のような審理経過に加え,被告が楽天に支払った手数料の額に関する情報は,通常,被告において管理されていてしかるべきものであって,仮にその情報が被告の元に存在しなかったとしても,そのような事情はさほど期間を要せずとも把握することが可能な性 質のものであることを考慮すれば,被告は,遅くとも令和2年12月21日付けの調査嘱託を申し立てた時点において,それと同時に本件調査嘱託の申立てをすることが十分に可能であったというべきであるし, 質のものであることを考慮すれば,被告は,遅くとも令和2年12月21日付けの調査嘱託を申し立てた時点において,それと同時に本件調査嘱託の申立てをすることが十分に可能であったというべきであるし,そのころ,本件被告準備書面及び本件被告書証を提出することも十分に可能であったというべきである。しかるに,訴状が 送達された日から約1年3か月が経過し,損害論の審理に入ってからも約半年が経過して,損害論について主張立証を尽くす旨を陳述した第10回弁論準備手続期日の後,その期限である同年3月1日の直前になって,本件調査嘱託の申立てがされ,同期限後に作成された本件被告準備書面及び本件被告書証が提出されたものであるか ら,これらはいずれも時機に後れた防御方法の提出であり,かつ, このことについて被告に重大な過失があると認めざるを得ない。 そして,本件調査嘱託の申立てを採用すれば,楽天から回答を受けるのに相当期間を要した後,その回答を踏まえた主張立証がされることとなるから,訴訟の完結を遅延させることとなるのは明らかである。 また,本件被告準備書面を陳述させ,本件被告書証を取り調べると,これらに対する原告の反論の機会を設ける必要があるほか,損害論に関する被告の主張の整理に相応の期間を要することとなり,訴訟の完結を遅延させることとなるのは明らかである。 (d) 以上のとおり,本件調査嘱託の申立て,本件被告準備書面及び本 件被告書証は,いずれも,被告が重大な過失により時機に後れて提出した防御の方法に該当し,かつ,訴訟の完結を遅延させることとなるものと認められる。よって,本件調査嘱託の申立て,本件被告準備書面及び本件被告書証の提出は,いずれも時機に後れた防御方法として,却下する(民事訴訟法157条1項)。 ( 延させることとなるものと認められる。よって,本件調査嘱託の申立て,本件被告準備書面及び本件被告書証の提出は,いずれも時機に後れた防御方法として,却下する(民事訴訟法157条1項)。 (ウ) 小括したがって,被告の侵害行為によって被告が得た「利益」の額は,本件被告販売商品1-2の売上高である2759万1819円の70%である1931万4273円と認められるから,上記侵害行為によって原告が受けた損害の額は,商標法38条2項により,1931万4273 円と推定される。 (3) 弁護士費用原告には,被告の侵害行為により被告が得た利益に相当する損害が発生したことが認められ,その額は,前記(2)のとおり1931万4273円と推定されるところ,被告の侵害行為と相当因果関係を有する弁護士費用の 額は,上記の推定される損害額の約1割に当たる200万円と認めるのが 相当である。 (4) 小括したがって,原告の損害額は,前記(2)及び(3)の合計額である2131万4273円と認められる。 6 結論 以上によれば,原告の請求(金銭請求については主位的請求)は全部理由があるから,これらを認容することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 小川暁 裁判官 佐 々 小川暁 裁判官 佐 々 木亮 別紙一覧 別紙1 被告標章目録別紙2 被告商品目録(別紙3被告ウェブページ目録省略)別紙4 商標権目録(別紙5原告商品外観省略)別紙6 被告使用態様目録(第2本件各被告販売商品の外観及び使用標章等省略)(別紙7売上高等一覧表省略)以上 (別紙1)被告標章目録被告標章1~11,15~17及び19~22は、当該色彩で表示された標章を特定するものであり、同12~14,18は、色彩を問わずに特定するものである。 また、被告標章1~11,13~17及び19~22は、当該字体で表示された標章を特定するものであり、同12及び18は、字体を問わずに特定するものである。 エジプシャンマジック(色彩・字体を問わない) EGYPTIANMAGIC(色彩・字体を問わない) 以上 (別紙2)被告商品目録 1 化粧クリーム 2 せっけん以上 (別紙4)商標権目録 1 原告商標権1(1) 登録番号第4977743号(2) 出願日平成16年10月19日(3) 登録日平成18年8月11日(4) 更新登録日平成2 標権目録 1 原告商標権1(1) 登録番号第4977743号(2) 出願日平成16年10月19日(3) 登録日平成18年8月11日(4) 更新登録日平成29年2月7日(5) 商標 EGYPTIANMAGIC(標準文字)(6) 商品の区分第3類(7) 指定商品ヘアークリーム・肌用クリームその他の化粧品 2 原告商標権2(1) 登録番号第5990618号(2) 出願日平成29年4月5日(3) 登録日平成29年10月20日(4) 商標(5) 商品の区分第3類(6) 指定商品化粧品,せっけん類,洗濯用漂白剤,歯磨き,香料,薫料, つけづめ,つけまつげ 以上 (別紙6)被告使用態様目録 この目録中,単に「標章○」と記載されている箇所は,「被告標章○」を指す。 第1 本件各被告販売商品の概要 1 本件被告販売商品1-1(1) 商品名エジプシャンマジッククリームジャパン(2) 品目化粧クリーム(3) 外観第2の商品1A,1B,1Eのとおり(4) 使用標章被告標章1ないし4 2 本件被告販売商品1-2(1) 商品名エジプシャンマジッククリームジャパンエキストラバージョン(2) 品目化粧クリーム(3) 内容量 3グラム,20グラム,62グラム又は125グラム(4) 外観第2の商品1C,1D,1Fのとおり(5) 使用標章被告標章2,5ないし9,14 3 本件被告販売商品2(1) 商品名 EMCソープ(2) 品目せっけん(3) 外観第2の商品2A,2B,2Cのとおり(4) 使用標章被告標章2,5ないし9,14 3 本件被告販売商品2(1) 商品名 EMCソープ(2) 品目せっけん(3) 外観第2の商品2A,2B,2Cのとおり(4) 使用標章被告標章3,15

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