昭和52(オ)405 損害賠償

裁判年月日・裁判所
昭和55年7月10日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 広島高等裁判所 昭和49(ネ)240
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由   上告代理人堀家嘉郎、同長谷川一郎、同甲斐・の上告理由について  所論の点に関

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判決文本文2,356 文字)

主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由   上告代理人堀家嘉郎、同長谷川一郎、同甲斐・の上告理由について  所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、是認しえ ないものではなく、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専 権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立つて原 判決の不当をいうものにすぎず、採用することができない。  よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官藤崎萬里、同本山亨の 反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。  裁判官藤崎萬里、同本山亨の反対意見は、次のとおりである。  われわれは、本件勧奨行為を違法とした原審の判断には、法令の解釈適用の誤り、 理由不備、審理不尽の違法があるものと考える。すなわち、  公務員に対する退職の勧奨は、定年制の定めのない公務員について職員の高齢化 による人事の停滞、公務能率の低下、人件費の膨張等を回避するため、一定年齢に 達した者について行われるものであつて、その目的は合理性を有するから、被勧奨 者が退職勧奨を受けるに相当な年齢に達しており、かつ、その選定が公平なもので あり、また、説得のための手段・方法が社会通念上相当と認められる範囲を逸脱し ない限り、任命権者が正当な業務行為としてこれを行いうるものと解すべきことは、 異論のないところであろう。  本件において、原審の認定したところによれば、D教育委員会(以下「市教委」 という。)は人事異動方針の一環として県教育委員会の定める退職勧奨基準年齢に 準じ、高年齢者に対する退職勧奨を実施してきたものであり、被上告人B1に対し - 1 - ては昭和四〇年度末から、同B2に対しては昭和四一年度末から勧奨を行 として県教育委員会の定める退職勧奨基準年齢に 準じ、高年齢者に対する退職勧奨を実施してきたものであり、被上告人B1に対し - 1 - ては昭和四〇年度末から、同B2に対しては昭和四一年度末から勧奨を行つてきた が、被上告人らはいずれもこれに応ぜず、昭和四四年度末もこれを拒否する態度を 明確に示していたのであるから、市教委の立場からすれば、繰り返し説得行為を行 うこととしたのも当然であるといわなければならない。しかも、退職後は講師とし て発令するという条件や、被上告人B2については市教委への配置転換の提示をす るなど、条件を附加又は変更して説得にあたつていたのであり、また、被上告人ら は本件勧奨行為によつては結局退職しなかつたことでもあるから、勧奨行為が頻繁 にわたつたからといつて本件退職勧奨が直ちに退職を強要したものということはで きない。原審は教育次長兼学校教育課長Eらの発言内容をも総合し被上告人らに対 し退職を強要したと判断しているが、原審の認定した右発言内容なるものは被上告 人らないし組合役員との説得、交渉の過程において発せられたものであるから、E らの発言のみをとり出して評価するのは相当でなく、発言の前後のやりとりや発言 がされるに至つた事情をも総合的に考察して判断すべきものである。原判決のあげ る宿直廃止、欠員不補充の問題についても、原審の認定によれば、本件退職勧奨に ついては被上告人らの属する組合が被上告人らを援助し市教委と対決していたこと が窺われるのであつて、組合との交渉の経緯いかんによつては、市教委が宿直廃止、 欠員不補充の問題と退職勧奨の交渉を関連させてもあながち不当とはいえない。更 に、原審は、Eが被上告人らに対し研究物の提出を命じた行為も不当であるとして いるが、他方、この提出要求は市議会においてF商業高校の本件退職勧奨問題が提 起されるにそなえ行わ ながち不当とはいえない。更 に、原審は、Eが被上告人らに対し研究物の提出を命じた行為も不当であるとして いるが、他方、この提出要求は市議会においてF商業高校の本件退職勧奨問題が提 起されるにそなえ行われた旨認定していることでもあるから、結果的にそれが必要 でなかつたとしても、右の提出要求が不当であるとはいえない。また、原審が問題 にする被上告人B2に対する市教委への配置転換の提案については、原審認定の事 実を前提としてみても、同被上告人があくまで退職勧奨を拒否するため、次善の策 として行われたとみることも可能であり、これによつて退職勧奨の方法が違法とな - 2 - るとはいえない。  そうすると、原審の認定した事実関係からは、本件退職勧奨における説得のため の手段・方法が社会通念上相当と認められる範囲を逸脱したとまではいえないから、 本件勧奨行為を違法とした原審の判断には、法令の解釈適用の誤り、理由不備、審 理不尽の違法があるものといわなければならず、右の違法は原判決の結論に影響を 及ぼすことが明らかであるから、その余の点について判断するまでもなく論旨は理 由があり、原判決は破棄を免れない。そして更に審理を尽くさせるため本件を原審 に差し戻すべきものと考える。      最高裁判所第一小法廷          裁判長裁判官    団   藤   重   光             裁判官    藤   崎   萬   里             裁判官    本   山       亨             裁判官    中   村   治   朗             裁判官    谷   口   正   孝 - 3 - 判官    谷   口   正   孝 - 3 -

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