平成14(行ウ)46 営業廃止処分の無効確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成15年6月25日 名古屋地方裁判所 警察関係
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判決文本文33,664 文字)

主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告が平成14年6月14日付けで原告に対してなした名古屋市中村区則武○丁目○番○号所在のソープランドaに係る店舗型性風俗特殊営業の営業廃止を命じた処分が無効であることを確認する。 2 被告が平成14年6月14日付けで原告に対してなした名古屋市中村区則武○丁目○番○号所在のソープランドaに係る店舗型性風俗特殊営業の営業廃止を命じた処分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)2条6項1号所定の店舗型性風俗特殊営業を営んでいた原告に対し,被告が,原告がその従業員をして売春をさせることを内容とする契約を締結させたこと及び売春の周旋をさせたことを理由として,前掲の営業廃止処分(以下「本件処分」という。)をしたため,原告が,同処分は,処分理由に重大な事実誤認があり,処分基準の事前公表を定めた行政手続法12条等に違反し,また比例原則,平等原則に違反するなどと主張して,その無効確認及び取消しを求めた抗告訴訟である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実等)(1) 原告による個室付浴場の営業についてア原告は,かつて,名古屋市中村区則武○丁目○番○号所在の建物において,簡易旅館を営んでいたものの,宿泊客が減少したことから,いわゆるソープランド営業に転業することとし,昭和41年3月14日,公衆浴場法2条1項に基づく営業許可を受け,「ソープランドa(開業当初の名称は「トルコa」であった。以下「本件店舗」という。)」を開業した(甲5)。 その後,当時の風俗営業等取締法が昭和59年法律第76号によって風営法に改正された際,本 け,「ソープランドa(開業当初の名称は「トルコa」であった。以下「本件店舗」という。)」を開業した(甲5)。 その後,当時の風俗営業等取締法が昭和59年法律第76号によって風営法に改正された際,本件店舗は,同法2条4項所定の「風俗関連営業」のうち1号のいわゆる「個室付浴場業」として規制の対象となったことから,原告は,被告に対し,同法27条1項,同改正附則4条に基づく届出をした上で,営業を継続していた。 なお,平成10年法律第55号による風営法の改正の結果,改正前の同法2条4項所定の「風俗関連営業」は,同法2条6項の「店舗型性風俗特殊営業」に変更されている。 イ風営法28条1項は,学校等の敷地の周囲200メートルの区域内では店舗型性風俗特殊営業を禁止する旨を定め,さらに,同条2項は,都道府県は,善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するために必要があるときは,条例により,地域を定めて,店舗型性風俗特殊営業を営むことを禁止することができる旨定めているところ,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(昭和59年愛知県条例第36号)12条1号は,愛知県全域で,店舗型性風俗特殊営業のうち個室付浴場の営業を禁止している。 もっとも,同法28条3項は,同条1項の規定又は同条2項に基づく条例の規定は,これらの規定の施行又は適用の際現に店舗型性風俗特殊営業の届出書を提出してその営業を営んでいる者の当該営業については,適用しない旨定めているところ,本件店舗の営業は,上記のいわゆる既得権営業に当たる。 (2) 本件処分及びその聴聞手続について被告は,平成14年6月11日,愛知県警察本部1階聴聞室において,風営法41条1項に基づき,別紙「処分の理由」記載の各事実(以下,その1に係る行為を「本件売 (2) 本件処分及びその聴聞手続について被告は,平成14年6月11日,愛知県警察本部1階聴聞室において,風営法41条1項に基づき,別紙「処分の理由」記載の各事実(以下,その1に係る行為を「本件売春契約」と,その2に係る各行為を総称して「本件周旋」と,両者を併せて「本件違反」というほか,本件周旋のうち個別の事実を違反事実一覧表中の番号に対応させて「本件周旋1」などという。)について,原告に対する聴聞手続を行った(乙14)ところ,原告が事実は間違いない旨陳述したので,手続は短時間で終了した(甲5)。 そこで,被告は,同月14日,原告に対し,風営法30条2項に基づき,本件違反の事実により本件店舗における個室付浴場の営業の廃止を命じる本件処分(甲1)をした。 (3) 刑事裁判手続についてア原告は,平成14年5月29日,甥(戸籍上は弟)であるbと共謀して本件周旋を行ったとの事実により売春防止法違反の罪で起訴され(甲2),同年7月16日,名古屋地方裁判所において懲役2年,執行猶予4年の判決を受け,同月31日,同判決が確定した。 イ原告の婿養子にして甥でもあるcは,本件売春契約及び16歳の少女との淫行の事実により売春防止法違反及び愛知県青少年保護育成条例違反の各罪で起訴され,平成14年6月10日,名古屋地方裁判所において懲役1年6月,執行猶予4年の判決を受け,同月25日,同判決が確定した。 ウ bは,本件周旋を行ったとの事実により売春防止法違反の罪で起訴され,平成14年9月3日,名古屋地方裁判所において懲役1年6月,執行猶予5年の判決を受け,同月18日,同判決が確定した。 (4) 風営法に基づく営業停止命令等の基準(抜粋)についてア平成13年9月20日付け警察庁丙生環発第25号による改正前の基準(以下「警察庁旧基準」という。甲3の2)1な ,同判決が確定した。 (4) 風営法に基づく営業停止命令等の基準(抜粋)についてア平成13年9月20日付け警察庁丙生環発第25号による改正前の基準(以下「警察庁旧基準」という。甲3の2)1ないし3 略(営業廃止命令) 4 営業廃止命令は,6から9までに定めるところにより,営業停止命令の量定の長期が8月に達した場合で,10に掲げる処分を加重すべき事由が複数あり,又はその程度が著しい等の事情から,再び法令違反行為を繰り返すおそれが強い等営業禁止地域において営業を継続させることが妥当でないと判断されるときに行うものとする。 5 略(営業停止命令等の量定) 6 営業停止命令又は営業禁止命令(以下「営業停止等命令」という。)の基本的な量定は,別表(本判決添付の別表1)に定めるところによるものとする。 7ないし9 略(営業停止命令期間等の決定)営業停止等命令により営業の停止又は禁止を命ずる期間は,原則として別表に定める基準期間(7に規定する場合は長期とされる量定について定められた基準期間の1.5倍の期間を基準期間とし,8に規定する場合は長期とされる量定について定められた基準期間を基準期間とし,9に規定する場合はその量定について定められた基準期間の2倍の期間を基準期間とする。)によることとし,次のような事由があるときは,情状により,6から9までに定める量定の範囲内において加重し,又は軽減するものとする。 (1) 処分を加重すべき事由とは,例えば,次のようなものである。 イ最近3年間に同一の法令に違反して行政処分に処せられたこと。 ロ指示処分中にその処分事由と同一の法令に違反する行為を行ったこと。 ハ法令違反行為の態様が著しく悪質であること。 ニ従業者の大多数が法令違反行為に加担していること。 ホ法令違反行為に対する悔悛の情が見られ 中にその処分事由と同一の法令に違反する行為を行ったこと。 ハ法令違反行為の態様が著しく悪質であること。 ニ従業者の大多数が法令違反行為に加担していること。 ホ法令違反行為に対する悔悛の情が見られないこと。 ヘ付近の住民からの苦情が多数あること。 ト結果が重大であり,社会的反響が著しく大きいこと。 チ 16歳未満の者の福祉を害する犯罪であること。 (2) 処分を軽減すべき事由とは,例えば,次のようなものである。 イ他人に強いられて法令違反を行ったこと。 ロ営業者の関与がほとんどないこと。 ハ最近3年間に法令違反がなく,悔悛の情が著しいこと。 ニ具体的な営業の改善措置を違反後自主的に行っていること。 11以下略なお,別表は,売春防止法11条2項,12条,13条の罪以外の同法第2章に規定する罪の量定の区分をBとした上,店舗型性風俗特殊営業等においては,Bについては30日以上150日以下の営業停止等命令,基準期間を40日としている。 イ平成13年9月20日付け警察庁丙生環発第25号による改正後の基準(以下「警察庁新基準」という。乙1)1ないし3 略(営業廃止命令) 4 営業廃止命令は,6から9までに定めるところにより,営業停止命令の量定の長期が8月に達した場合で,10に掲げる処分を加重すべき事由が複数あり,又はその程度が著しい等の事情から,再び法令違反行為を繰り返すおそれが強い等営業禁止地域において営業を継続させることが妥当でないと判断されるときに行うものとする。 5 略(営業停止命令等の量定) 6 営業停止命令(略)又は営業禁止命令(以下「営業停止等命令」という。)の量定の区分は,次のとおりとし,各処分事由に係る量定は,別表(本判決添付の別表2)に定めるところによるものとする。 (1) 風俗営業,飲食店営業,興行場営業,特定性風俗 「営業停止等命令」という。)の量定の区分は,次のとおりとし,各処分事由に係る量定は,別表(本判決添付の別表2)に定めるところによるものとする。 (1) 風俗営業,飲食店営業,興行場営業,特定性風俗物品販売等営業,接客業務受託営業A 風俗営業にあっては取消し。飲食店営業,興行場営業,特定性風俗物品販売等営業及び接客業務受託営業にあっては6月の営業停止等命令B以下略(2) 店舗型性風俗特殊営業,無店舗型性風俗特殊営業A 8月の営業停止等命令B以下略7ないし9略(営業停止命令期間等の決定)営業停止等命令により営業の停止又は禁止を命ずる期間は,次のとおりとする。 (1) 原則として,量定がAに相当するものについて営業停止等命令を行う場合は,当該営業の種別に応じて6月又は8月とする。 以下略11以下略なお,別表は,売春防止法第2章に規定する罪の量定区分をAとしている。 ウ平成14年1月18日付け改正後の被告の「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく指示及び営業停止命令等の基準」(以下「2月基準」といい,改正前の警察庁旧基準に則った基準を「被告旧基準」という。乙2の1)。 1,2 略 3 指示(1) 指示の基準ア指示は,法令又は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(略)違反行為(略)が行われた場合で,……行うものとする。ただし,風俗営業の許可を取消し,又は店舗型性風俗特殊営業の廃止を命ずる場合は指示を行わないものとする。 また,次のような場合は,指示を行わず,直ちに取消し,営業停止命令,営業廃止命令又は営業禁止命令を行っても差し支えない。 (ア),(イ)略(ウ) 罰則の適用がある法令違反行為によって検挙された場合(起訴相当として送致した場合に限る。)以下略 4 略 5 営業停止 廃止命令又は営業禁止命令を行っても差し支えない。 (ア),(イ)略(ウ) 罰則の適用がある法令違反行為によって検挙された場合(起訴相当として送致した場合に限る。)以下略 4 略 5 営業停止命令等(1) 営業停止命令等を行う場合営業停止命令又は営業禁止命令(略)は,処分を行うべき事由(以下「処分事由」という。)について指示を行い,当該指示に違反した場合,又は3の(1)アの(ア)から(エ)に該当した場合に行うものとする。 (2) 量定ア本来の量定風俗営業……については別表第1に,店舗型性風俗特殊営業……については別表第2(本判決添付の別表3)に定める法令違反行為別量定基準によるものとする。 以下略イないしエ略(3) 略(4) 期間の加重又は軽減前記(3)により決定した期間を基準に,次に掲げる事由があるときは,情状により,前記(2)に定める量定の範囲内において加重し,又は軽減するものとする。 ア処分を加重すべき事由(ア) 過去3年間に同一法令に違反して行政処分に処せられたこと。 (イ) 指示期間中にその処分事由と同一の法令に違反する行為を行ったこと。 (ウ) その他法令違反の内容が著しく悪質と認められること。 (エ) 従業者の大多数が法令違反行為に加担していること。 (オ) 法令違反行為に対する改しゅんの情がみられないこと。 (カ) 付近住民,客等から苦情等があること。 (キ) 結果が重大であり,社会的に反響が著しく大きいこと。 (ク) 16歳未満の者の福祉を害する犯罪であること。 イ処分を軽減すべき事由(ア) 他人に強いられて法令違反行為を行ったこと。 (イ) 営業者(法人にあっては役員)の関与がほとんどなく,かつ,処分事由に係る法令違反行為を防止できなかったことについて過失がないと認められること。 (ウ) 最近3年間に法令 違反行為を行ったこと。 (イ) 営業者(法人にあっては役員)の関与がほとんどなく,かつ,処分事由に係る法令違反行為を防止できなかったことについて過失がないと認められること。 (ウ) 最近3年間に法令違反がなく,改しゅんの情が著しいこと。 (エ) 具体的な営業の改善措置を違反後自主的に行っていること。 (オ) その他法令違反の内容が軽微と認められること。 6 略 7 営業廃止命令営業廃止命令は,5の(2)に定めるところにより,営業停止命令の量定の長期が240日に達した場合で,同(4)のアに掲げる処分を加重すべき事由が複数あり,又はその程度が著しいなどの事情から,再び法令違反を繰り返すおそれが強いなど,営業禁止地域において営業を継続させることが妥当でないと判断されるときに行うものとする。 8 略なお,店舗型性風俗特殊営業等に適用される別表第2は,処分事由が売春防止法第2章に規定する罪の場合の量定基準を営業停止等240日としている。 2 本件の争点本件処分の違法性の有無(裁量権の逸脱・濫用等の有無)(1) 重大な事実誤認の存否(2) 処分基準の事前公表の欠如を理由とする行政手続法12条,憲法31条及び罪刑法定主義の趣旨違反の有無(3) 比例原則又は平等原則違反の有無(4) 本件に適用されるべき処分基準の種別及び処分加重事由の存否 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)についてア被告(ア) 原告は,捜査官による取調べにおいて,原告がcに対して,本件店舗のいわゆるソープ嬢を採用する権限を全面的に与え,cは原告の指示に従って恒常的にソープ嬢と売春契約を締結していたこと,本件売春契約についても原告とcとの間に共謀があったこと,原告と共謀したbが,原告の指示に従って本件店舗の店長として売春の周旋を繰り返しており,本件周旋についても共犯と と売春契約を締結していたこと,本件売春契約についても原告とcとの間に共謀があったこと,原告と共謀したbが,原告の指示に従って本件店舗の店長として売春の周旋を繰り返しており,本件周旋についても共犯となること,これらについて認める旨供述している。そして,この供述は,c,b及びdらの供述とも整合しており,本件売春契約及び本件周旋の事実を明らかに認めることができる。 この点について,原告は,少なくとも本件売春契約について共謀した事実はないと主張するが,下記のとおり,虚偽であることが明白である。 すなわち,原告は,本件店舗において,bが夕食をとる約1時間は,自ら,カウンターに立って客に料金の説明をし,入浴料を徴収し,待合室にいるソープ嬢を呼んで客に引き合わせるという客付けを行っているところ,この業界においては,ソープ嬢に客付けをすることが売春の周旋を行うものであることは常識であり,のみならず,本件店舗の各個室内には,売春が行われていたことを推測できる「プレイ料金」との表題の表や,「エイズの感染を予防するために……衛生器具の使用を徹底し……」との謹告が掲示されていること,dが,社長(原告)や店長(b)から機会ある毎に,客を満足させるようにと指示されていたことを供述していることなどに照らすと,本件店舗の営業がソープ嬢による売春を前提としており,経営者である原告がそのことを認識していたことは明らかである。 (イ) cは,原告からソープ嬢のスカウトを依頼されてこれに従事していたところ,cは,その費用として原告から5万円ないし10万円を受け取っていたほか,その妻にして原告の娘であるeは,本件店舗において軽微な作業しか行っていないにもかかわらず,本件店舗の専従者として月額45万円の給与を受けており,これは実質的には,cの稼働分に対する対価というべきであるから して原告の娘であるeは,本件店舗において軽微な作業しか行っていないにもかかわらず,本件店舗の専従者として月額45万円の給与を受けており,これは実質的には,cの稼働分に対する対価というべきであるから,cは,本件店舗における原告の従業員に当たる。 したがって,仮に,本件売春契約につき原告との共謀が存在しないとしても,cは売春防止法14条の「人の代理人,使用人その他の従業者」に該当するから,原告自身も処罰の対象となり,さらに,風営法30条1項の「店舗型性風俗特殊営業を営む者若しくはその代理人等」にも該当するから,原告に対して営業の停止を命ずることができる。 (ウ) 風営法28条11項2号は,店舗型性風俗特殊営業を営む者に対して,18歳未満の者を接客業務に従事させることを禁止し,同法49条4項は,「……第28条第11項第2号……に掲げる行為をした者は,当該18歳未満の者の年齢を知らないことを理由として,前項の規定による処罰を免れることはできない。ただし,過失のないときは,この限りでない。」と定めているが,過失がないというためには,本人の戸籍抄本,住民票等の信頼し得る客観的資料を提出させた上,これについて正確な調査をするなど,社会通念上,風俗営業を営む者として,その年齢調査の確実を期するために可能な限りの注意を尽くす必要があるところ,dの採用に当たり,b及び原告ともに,年齢確認義務を怠っていることは明らかであり,原告が18歳未満の者の採用禁止を指示していたとは到底いえない。 (エ) なお,原告は,本件売春契約について起訴されていないものの,そもそも,刑事訴訟法は,起訴便宜主義を定めており,ある犯罪事実について起訴されなかったからといって,その事実が存在しなかったといえないことは明らかであり,また,刑事訴追の有無をもって常に行政処分の基礎たらしめ 事訴訟法は,起訴便宜主義を定めており,ある犯罪事実について起訴されなかったからといって,その事実が存在しなかったといえないことは明らかであり,また,刑事訴追の有無をもって常に行政処分の基礎たらしめることは,行政官庁の権限行使について定めた法律の趣旨を没却することになるところ,風営法の目的を達するためには,本件違反の事実についての刑事訴追と無関係に,被告独自の立場で事実を認定し,風営法30条1,2項に定める処分を行うことは何ら差し支えないというべきである。 ちなみに,原告は,本件処分のための聴聞手続において,本件違反の事実を争うことはなかったし,刑事事件の第1回公判においても,営業廃止処分を覚悟していたこと,この処分を争うつもりはないことなどを供述しており,原告の主張は,禁反言の法理に照らしても,到底許されるものではない。 イ原告被告は,本件処分の理由として,本件売春契約及び本件周旋の各事実を挙げるが,原告は,下記のとおり,少なくとも本件売春契約を締結することを共謀した事実はなく,本件処分には,重大な事実誤認がある。 (ア) 本件店舗における営業は,顧客に個室付きの浴場を提供し,いわゆるソープ嬢がサービスをすることを基本とするが,ソープ嬢が具体的にいかなるサービスを行っているかについては,原告は与り知らない。実際にも,少なくとも昭和40年代前半ころまでは,この業界においていわゆる本番行為が行われることは少なかったし,本件店舗でも行われていなかった。 すなわち,本件店舗は,原告の亡妻fが中心になり,それをbが手伝う形で経営されていたのであり,原告が糖尿病等を患ってからは,bを店長とし,原告は,業務から離れて経理等を手伝うにすぎなかった。また,ソープ嬢のサービスの指導は先輩格のソープ嬢が自主的に行っていて,原告が行うことはなかったし,ソープ が糖尿病等を患ってからは,bを店長とし,原告は,業務から離れて経理等を手伝うにすぎなかった。また,ソープ嬢のサービスの指導は先輩格のソープ嬢が自主的に行っていて,原告が行うことはなかったし,ソープ嬢の採用もcに依頼して,事後的に知らされる状態であった。それ故,原告がソープ嬢に売春をするような指示を出すことはなかった。 (イ) 原告は,本件売春契約の相手方であるdの採用について一切関与せず,18歳未満であることは警察で初めて知らされたにすぎない。かえって,原告は,普段から,bやcに対し,ソープ嬢を採用するに当たり,18歳未満の未成年は採用しないように厳しく注意していた。したがって,dの採用は,cが不用意に決め,dも姉の氏名と健康保険証を使ってbを騙した結果,行われたものであって,これは原告の指示を著しく逸脱するものであり,本件売春契約について共謀は成立し得ない。 (ウ) 確かに,原告の供述調書には,本件売春契約についての共謀を認めるかのような記載がある。しかし,原告は,取調官に対し,売春することを採用条件とするようなことを指示したことはない旨申し述べていたにもかかわらず,取調官から,経営者である以上は知らないはずがない,cは認めている等と言われ,ソープランド営業は警察が所轄官庁であり,c及びbを早く釈放したいという一心で,事実に反する供述調書が作成されることになったにすぎない。 (エ) また,cは,原告が経営する料理店「g」で料理人として働いており,その恩義から,娘婿という立場で任意にソープ嬢のスカウトを手伝っていただけであり,本件店舗の従業者(使用人)ではないから,cによる本件売春契約を原告の行為とみなすことは無理がある。それ故,検察官は,前記の供述調書の存在にもかかわらず,本件売春契約について,原告を起訴することがなかったのである。 (使用人)ではないから,cによる本件売春契約を原告の行為とみなすことは無理がある。それ故,検察官は,前記の供述調書の存在にもかかわらず,本件売春契約について,原告を起訴することがなかったのである。 (オ) なお,被告は,本件処分に先立つ聴聞手続において,原告が本件違反の事実を争わなかった旨主張するが,原告は,同手続において,刑事訴追されていなかった本件売春契約が処分の原因となる事実として取り上げられていることについて一切認識がなかったのであり,仮にそれを認めるがごとき陳述をしたとしても,それは錯誤による結果にすぎない。 (2) 争点(2)についてア被告(ア) 行政手続法12条が,処分基準の設定・公表を要求しているのは,①不利益処分の決定過程が公正を疑われることのないように十分に透明でなければならないこと,②国民に対して,いかなる場合に,どのような不利益処分がなされるかについて,一定の予見可能性を与えるのが妥当であることなどの理由による。しかしながら,処分基準をあらかじめ具体的な形で公表すると,脱法的な行為が助長される場合があり得る。ところで,本件処分の理由となった本件違反の事実は,いずれも犯罪行為であるが,「罪を犯してはならない」ということは人間社会における当然の規範であり,常に予告されているというべきであるから,仮に2月基準があらかじめ公表されていなくても,国民の予見可能性という観点からは全く不都合はなく,被告は,どのような罪を犯せばどの程度の処分がなされるかを原告を含む業者に公表する義務はない。 (イ) しかるところ,警察庁が,平成13年9月20日,警察庁旧基準を廃止して警察庁新基準を制定したことを受けて,被告は,平成14年1月18日,施行日を同年2月1日とする2月基準を制定し,施行日と同日,保安課及び聴聞官室に備え付 平成13年9月20日,警察庁旧基準を廃止して警察庁新基準を制定したことを受けて,被告は,平成14年1月18日,施行日を同年2月1日とする2月基準を制定し,施行日と同日,保安課及び聴聞官室に備え付け,同月4日,愛知県警察のホームページで公表しているところ,本件処分は,その2月基準に基づいてなされたものであるから,憲法31条及びその趣旨に違反せず,適法である。 原告は,平成14年8月16日現在の警察庁のホームページには,警察庁旧基準が公開されていたから,本件処分は違法であるなどと主張するが,単にホームページの更新作業が遅れていたにすぎず,そもそも,本件処分は,警察庁の基準ではなく,2月基準に基づいてなされたのである上,上記のとおり公表義務はないから,上記主張は失当である。 イ原告(ア) 行政手続法12条1項は,不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準(処分基準)を定め,かつ,これを公にしておくよう努めなければならないと定めている。この定めは,一般に訓示規定と解されているが,不利益処分は,国民に義務を課し,その権利を制限するための公権力行使を特色とするものであるから,法律による行政原理が最も厳格に遵守されなければならない領域であり,その決定過程は,公正さが疑われることがないように透明性が確保される必要があるし,また,国民に対して,いかなる場合に不利益処分がなされるかについて,一定の予見可能性が与えられる必要がある。その意味では,同法5条の審査基準以上に,その設定・公表の必要性が高いといえる。したがって,合理的な理由なくしてこれが適正に行われず,行政庁の努力義務が尽くされない場合には,当該処分は違法と解すべきである。 また,同法12条が訓示規定であるとしても,誤っ 必要性が高いといえる。したがって,合理的な理由なくしてこれが適正に行われず,行政庁の努力義務が尽くされない場合には,当該処分は違法と解すべきである。 また,同法12条が訓示規定であるとしても,誤った処分基準の公表は,処分基準を公表しないこと以上に,国民に対する予見可能性を狂わせることになるから,その違法性は極めて強いというべきである。 さらに,同法5条3項は,公表の方法につき,原則として行政機関の事務所に備え付けて,いつでも見られるようにする状態にすることを想定しているが,一定の場合には,これを超えて,あらかじめその内容について積極的に周知することを求めていると解すべきところ,同法12条においても,営業廃止処分が厳しい不利益処分であることに照らすと,処分基準を対外的に積極的に周知することが必要であると解すべきである。 (イ) ところで,被告は,本件処分の基準につき,平成13年9月に警察庁新基準が策定されたのを受けて,平成14年2月に2月基準が制定・実施されたと主張する。しかしながら,原告代理人が,本件処分後の平成14年8月16日,被告を訪れ,処分基準について説明を求めた際,保安課担当者は,①適用した基準(2月基準)は,警察庁の訓令・通達によって作成され,各県ではそれに従って改訂されており,愛知県の場合には,平成14年2月に改訂されたこと,②新基準の実施は各県一律ではないが,全国で足並みが揃ったのは同年4月であること,③適用した基準の内容は,警察庁のホームページを見てほしい旨回答した。そこで,警察庁のホームページを確認したところ,そこで公表されていた基準は,警察庁旧基準であり,これによれば,本件においては,せいぜい数か月の営業停止処分にとどまるはずであった。そうすると,営業廃止に直結するような重大な処分基準の変更について,誤った基準が ていた基準は,警察庁旧基準であり,これによれば,本件においては,せいぜい数か月の営業停止処分にとどまるはずであった。そうすると,営業廃止に直結するような重大な処分基準の変更について,誤った基準が公表されていたことになり,その違法性の程度は重大である。ちなみに,愛知県警のホームページを確認したところ,新基準が公表されていたものの,その作成日は平成14年4月1日となっており,2月基準は公表されていなかった。 また,愛知県においては,県内全域が風営法28条2項に基づく規制地域とされ,既得権営業しか認められていないところ,2月基準によれば,売春防止法違反があれば,直ちに営業廃止処分の基準に達してしまい,深刻な事態を招きかねないから,被告は,処分基準の変更を積極的に業界団体等を通じて周知する必要があったというべきである。しかるところ,愛知県には,個室付浴場業者の大部分によって組織されている愛知県SB防犯協会があり,従前は,法律改正等がある場合には,所轄の警察署の担当者による注意事項の説明や指導を受けていた。ところが,同協会に2月基準への改正が知らされたのは,平成14年6月6日が最初であり,2月基準の実施は,国民(業界)にとって,不意打ちであった。 したがって,それ以前に行われた本件違反に対して,2月基準を適用することは,行政手続法12条,適正手続を保障する憲法31条及び罪刑法定主義の趣旨に反し,違法である。 (3) 争点(3)についてア被告(ア) 風営法の目的は,同法1条で定めるとおり,「……善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し,及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため,風俗営業及び性風俗関連特殊営業等……の健全化に資するため,その業務の適正化を促進する等の措置を講ずること」にあり,この目的を達成するため,同法30条は,風俗環 成に障害を及ぼす行為を防止するため,風俗営業及び性風俗関連特殊営業等……の健全化に資するため,その業務の適正化を促進する等の措置を講ずること」にあり,この目的を達成するため,同法30条は,風俗環境を害する違法行為を定め,その違法行為を行ったものを排除する手段として営業停止等の処分を定めている。そして,今日の性風俗の乱れ,とりわけ幼児を含めた少年に対する性的搾取は世界的に問題となっており,我が国も,平成6年5月16日,「児童の権利に関する条約」を批准・公布し,平成11年5月26日,「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」を制定し(同年11月1日施行),さらに,同年6月23日,男女共同参画社会基本法を制定するなど,売買春に対する厳しい対応が求められている。しかるところ,最近の風俗情勢は悪化の一途をたどっており,愛知県においても,営業禁止地域に未だ存在しているソープランドにおいて,恒常的に売春が行われ,中には18歳未満の者を使用するなど,営利至上主義による違法営業に一層拍車がかかっているという実態がある。 そのため,被告は,警察庁新基準に則って風営法の規制対象全般にわたり,一定の法令違反行為が当該営業に関して行われた場合の量定を引き上げることとし,2月基準を定めたものである。しかも,2月基準は,同法30条1項で定める違法行為を行った場合,一律に営業停止240日間の処分をするのではなく,極めて反社会的な違法行為である売春防止法第2章に定める罪や刑法違反等について,風営法30条1項の範囲内である「営業停止240日」と量定しているのであり,適正な処分基準である。 (イ) 原告は,過去の処分例との比較を主張するが,前記のような考えに基づいて2月基準が策定された以上,今後は,これに基づいた量定基準の適用が積み重ねられ ているのであり,適正な処分基準である。 (イ) 原告は,過去の処分例との比較を主張するが,前記のような考えに基づいて2月基準が策定された以上,今後は,これに基づいた量定基準の適用が積み重ねられていくのであり,原告のみに厳しい行政処分が行われるものではないから,過去の処分例と比較することは相当でない。 なお,原告の指摘する,本件処分と同時期に立件された売春防止法違反の事案は,平成13年7月に行われた違反を理由とするものであり,そのため被告旧基準が適用されたのであって,本件処分と比較すべき事案ではない。 イ原告(ア) 風営法30条1項は,店舗型性風俗特殊営業を営む者等が売春防止法第2章に規定する罪を犯した場合,公安委員会が,8月を超えない範囲内で期間を定めて当該営業の全部又は一部の停止を命ずることができる旨規定しているにとどまり,同委員会に対し,常に営業停止処分を命じたり,一律に8月の営業停止を命ずることを義務付けているものではなく,営業停止命令を課すか否かを含めて,その裁量に委ねている。そして,処分基準の策定は,実質的には,これを補充するものであるので,この法の趣旨を超えて厳罰化することは,違法である。 ところが,同じ売春防止法違反の事由でも,警察庁旧基準や被告旧基準においては,「基準期間40日間」の営業停止処分であったにもかかわらず,警察庁新基準や2月基準では,「一律240日」の営業停止処分となり,実質的に6倍以上の長期となるところ,このような急激な厳罰化は,業界の実態に鑑みても,およそ予測可能性がなく,酷に過ぎるといわねばならない。しかも,違反者の営業が,いわゆる既得権営業の場合には,風営法30条2項が営業の「停止命令に代えて,当該施設を用いて営む風俗関連営業の廃止を命じることができる。」と規定しており,その結果,2月基準に かも,違反者の営業が,いわゆる既得権営業の場合には,風営法30条2項が営業の「停止命令に代えて,当該施設を用いて営む風俗関連営業の廃止を命じることができる。」と規定しており,その結果,2月基準による240日間の営業停止は,そのまま「営業廃止処分」につながる可能性を秘めており,営業の廃止となれば,将来にわたってこれを禁止することを命じる点で,いわば,営業停止が有期刑であるのに対し,死刑にも比肩する重大な違いがあるのであるから,このような著しい厳罰化は,全く合理性がなく,比例原則に違反するものとして違法である。 (イ) 実際にも,警察庁新基準による基準が,全国的に実施されるようになったのは,平成14年4月以降のことであり,平成14年2月1日段階では,ごく一部の都府県でしか施行されていなかった上,過去において同様の売春防止法第2章の罪を犯した他の同業者に対する処分は,すべて数か月の営業停止処分が出されており,本件とほぼ同時期である平成14年2,3月ころに警察によって立件された売春防止法違反事件でも,営業停止40日間の命令にとどまっていて,本件処分のような営業の廃止を命じた例は皆無であるから,本件処分は,著しく均衡を失するものとして,平等原則にも違反する。 (4) 争点(4)についてア被告本件違反のうち,本件売春契約と本件周旋1は,被告旧基準が適用される事実であるが,本件周旋2ないし5は,2月基準が適用される事実であり,この事実が売春防止法第2章に規定する罪に該当することから,「営業停止240日」が量定されることになる。 ところで,本件においては,以下のとおり,「加重すべき事由の程度が著しい」場合に該当すると認められ,原告において再び法令違反を繰り返すおそれが強く,営業禁止地域において営業を継続させることが妥当でないと判断されたも おいては,以下のとおり,「加重すべき事由の程度が著しい」場合に該当すると認められ,原告において再び法令違反を繰り返すおそれが強く,営業禁止地域において営業を継続させることが妥当でないと判断されたものである。 (ア) 本件違反は,経営者である原告を始め,親族であるc及びbの三者によって,組織的,計画的かつ継続して敢行されたものであり,本件店舗の営業が専ら売春を目的とした営業であったと認められる。 (イ) cは,当時16歳のd自身に対していん行を行った上,原告らは,本件売春契約に基づき,ソープ嬢として継続的に売春させている。 (ウ) 原告は,本件店舗の営業において,過去にも売春防止法第2章に規定する罪を犯して摘発された事実があるにもかかわらず,その後も同店舗内において,売春契約を締結したソープ嬢らに対して売春の周旋を反復して行っている。 イ原告2月基準においては,その実施日以前の違反行為については,被告旧基準を適用することとされているところ,本件売春契約は,2月基準実施の1年以上も前のことであり,本件周旋1も実施前であり,これらの事実については,被告旧基準が適用されるべきであり,この意味で,営業廃止を選択すべき事案ではなかったというべきである。 また,本件においては,以下のとおり,原告には2月基準で示す加重事由は存在せず,かえって,軽減事由が存するものであって,このような事案について,死刑宣告ともいえる営業廃止処分を命じることは,加重事由の存否等の判断について,恣意的な適用があったといわねばらならず,裁量権の濫用あるいは著しく逸脱した違法がある。 (ア) 争点(1)において主張したとおり,本件売春契約を締結するに当たり,原告がcと共謀した事実はない。そうでないとしても,dの採用が実質的に原告の意思に反するものであったことは明らかである。 ま (ア) 争点(1)において主張したとおり,本件売春契約を締結するに当たり,原告がcと共謀した事実はない。そうでないとしても,dの採用が実質的に原告の意思に反するものであったことは明らかである。 また,cは,本件店舗の従業員ではなく,単に娘婿という立場でソープ嬢のスカウトを手伝っていただけにすぎず,同人の行為を本件店舗の従業員のそれとみなすことは無理がある。 本件周旋についても,実質的にはbの行為であり,原告の与り知らぬことである。 (イ) 本件は,単に売春の事実だけを理由に「著しく悪質」とは評価できず,また原告の関与は極めて低く,実質的には従業員の一部の違反行為にすぎない。さらに,dは16歳未満の者には該当しない。まして,「複数の加重事由」が存在するとは,到底いえない。 (ウ) 逆に,原告自身は,実質的に本件店舗の営業に関与していないこと,最近3年間に法令違反の事実がなく,改しゅんの情が著しいなどの処分軽減事由が存する。 第3 当裁判所の判断 1 判断枠組みについて風営法1条は,「この法律は,善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し,及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため,風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について……規制するとともに,風俗営業の健全化に資するため,その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする。」と定め,この目的を達成するための規制手段として,同法30条1項は,「公安委員会は,店舗型性風俗特殊営業を営む者若しくはその代理人等が当該営業に関し……売春防止法第2章に規定する罪……に当たる違法な行為……をしたとき……は,当該店舗型性風俗特殊営業を営む者に対し,当該施設を用いて営む店舗型性風俗特殊営業について,8月を超えない範囲内で期間を定めて当該店舗型性風俗特殊営業の全部又は一部の停止を命ずることができる …は,当該店舗型性風俗特殊営業を営む者に対し,当該施設を用いて営む店舗型性風俗特殊営業について,8月を超えない範囲内で期間を定めて当該店舗型性風俗特殊営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。 」とし,さらに同条2項は,「公安委員会は,前項の場合において,当該店舗型性風俗特殊営業を営む者が…(いわゆる既得権営業)を営む者であるときは,その者に対し,前項の規定による停止の命令に代えて,当該施設を用いて営む店舗型性風俗特殊営業の廃止を命ずることができる。」と定めている。同条は,その法文の形式から明らかなとおり,公安委員会に対して,営業廃止命令等を発するか否か,その内容をいかなるものにするかについて裁量権を付与するものであり,換言すれば,営業廃止処分等は,その要件充足を前提として,公安委員会の裁量的判断に委ねられているということができる。 もっとも,営業廃止処分等が公安委員会の裁量に委ねられているとしても,その行使が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかな場合,具体的には,①当該処分の理由となった事実の認定に重大な誤りがあった場合,②当該処分が,憲法その他の法令から導き出される比例原則,平等原則等のなどの諸原則に反する場合,③内部的準則として定めた処分基準が著しく合理性を欠く場合,④当該処分が処分基準を著しく逸脱した場合などは,当該処分は,裁量権を逸脱又は濫用するものとして違法性を帯びることがあるのは当然であり,かつその程度が甚だしく,明白かつ重大といえる段階に達した場合は,無効を来すこともあり得ると解される。 以下,この見地から判断を加える。 2 争点(1)(重大な事実誤認の存否)について(1) 前記前提事実及び以下に掲記の証拠等によれば,次の事実が認められる。 ア原告は,司法警察員及び検察官に対して,要旨,次のとおり,供述し える。 2 争点(1)(重大な事実誤認の存否)について(1) 前記前提事実及び以下に掲記の証拠等によれば,次の事実が認められる。 ア原告は,司法警察員及び検察官に対して,要旨,次のとおり,供述している(乙10ないし13,26)。 「①原告は,本件店舗の所在地において,かつてビジネス旅館を営業していましたが,昭和39年に新幹線が開通し,日帰りの出張が増えて,利用客が減りました。 そこで,昭和41年に旅館を改築してソープランドを営むようになりました。当初は,マッサージをさせていましたが,1,2年して,ソープ嬢が個室で売春するようになり,もうかるようになりました。②店のシステムは,客から入泉料を徴収し,店長らが客にソープ嬢を紹介し,客付けをし,店がソープ嬢に個室の場所を提供して,ソープ嬢が個室で売春代を徴収して売春するというものです。そして,本件店舗での料金コースは,原則として50分コースと呼んでいるコース(50分の間にソープ嬢がお客さんとセックスするコース)しかなく,例外的に午後11時10分以降については30分コースを設けています。50分コースの場合には,お客が入浴料としてフロントで払うお金が7000円で,サービス料つまりセックス代としてソープ嬢に支払うお金が1万円となっており,このうちフロントで払う7000円が本件店舗の利益となるので,売春客が増えれば本件店舗の利益が多くなります。③本件店舗が売春をする場であったことは間違いないため,私は,経営者として,ソープ嬢に対し,客とセックスをする際には,コンドームを着けて行うよう指導したり,性病やエイズの検査を受けさせ,その診断書を提出するように注意していました。④店長のbは,客からの料金の徴収などのフロント業務,ソープ嬢への客付け,ソープ嬢の出勤管理などの営業活動をしていましたが,私も,ほぼ ズの検査を受けさせ,その診断書を提出するように注意していました。④店長のbは,客からの料金の徴収などのフロント業務,ソープ嬢への客付け,ソープ嬢の出勤管理などの営業活動をしていましたが,私も,ほぼ毎日本件店舗に通い,bの仕事状況を見,bが夕食をとる午後5時40分ころから1時間程度の間は,本件店舗で客付けをしています。bも,20年以上にわたって本件店舗で働き,平成2年には,私と一緒に売春防止法違反の罪で有罪判決を受けていることからも,本件店舗のソープ嬢たちが客から金を受け取ってセックスをする売春行為をしていることは分かっていたはずです。⑤そして,出勤表によると,bが,平成14年3月15日の午後4時10分ころ,h及びiに,同日午後4時25分ころ,jに,警察の捜索が入ったころ,kに,それぞれ客付けをしたことは間違いありません。⑥また,cについては,2年前ころファッションへルスの店が多くなり,広告ではソープ嬢が来ないから,cに若くて店にお客が来るような女の子をスカウトして採用するよう依頼し,そのころから,ソープ嬢の面接採用を全面的にcに任せるようになりました。」イ cは,司法警察員に対して,要旨,次のとおり供述している(乙3ないし7)「原告やbから,平成12年9月ころ,ソープ嬢の数が少なくなったことから,ソープ嬢のスカウトを頼まれました。ファッションヘルス等で私がスカウトしてきた女の子は,私が面接し,採用を決めていましたが,店に直接面接に来る女の子についても,同年秋ころ以降は,私が面接,採用するようになりました。今までに20ないし30人の女の子と面接し,そのうち10人位をソープ嬢として採用しました。dは,スカウトを手伝ってくれていたlから紹介された女の子で,最初から16歳であることを聞かされていました。原告からは,18歳以上を雇うように言 面接し,そのうち10人位をソープ嬢として採用しました。dは,スカウトを手伝ってくれていたlから紹介された女の子で,最初から16歳であることを聞かされていました。原告からは,18歳以上を雇うように言われていたため,本人に確認すると16歳と答えたので,あきらめてもらうために,ソープは本番するところだけど,お金で割り切れるかと聞いたところ,大丈夫という返事でした。いったんは帰ってもらいましたが,dから再度,本件店舗で働きたいと言ってきたので,自分とセックスしてくれたらソープ嬢として雇っていいと言うと,了解したので,平成13年3月6日午後10時50分ころ,名古屋市中村区名駅南○丁目○番○号「ホテルm」307号室において,自分とのセックスに応じてくれたdを本件店舗のソープ嬢として雇うことを約束しました。その際,1週間は店の余ったコンドームを使えるけど,その後は自己負担だ,お客さんが望めば,2回セックスの相手をすること,客のえり好みはできないこと,セックスのときはコンドームを必ず着けることを説明しました。そして,絶対に年齢を言わないように念押ししました。」ウ bは,検察官及び司法警察員に対して,要旨,次のとおり供述している(乙8,9,16)「私は,平成2年にも売春防止法違反で捕まっており,ソープ嬢にも,セックスの時に使用するコンドームを配っていることから,本件店舗では,不特定多数のお客から入泉料やサービス料といった名目でお金をもらって,店で待機している女の子達にセックスをさせる,いわゆる売春をしていることは当然知っていました。そして,私は,店長として,本件店舗にやって来たお客さんから入泉料を徴収し,ソープ嬢に客付けしたり,ソープ嬢の出勤の管理などを行っていました。そして,原告は,日曜祝日以外はほぼ毎日,本件店舗に顔を出し,本件店舗の利益計算 て,本件店舗にやって来たお客さんから入泉料を徴収し,ソープ嬢に客付けしたり,ソープ嬢の出勤の管理などを行っていました。そして,原告は,日曜祝日以外はほぼ毎日,本件店舗に顔を出し,本件店舗の利益計算を行っていましたし,私が食事に出ている午後6時から午後7時ころにかけての時間には,私に代わって客付けの仕事を行っていました。また,2年ほど前から,本件店舗で働くソープ嬢の面接や採用をcが行うようになり,原告から,女の子は全部cに任せたからと言われていました。そのため,ここ2年ほどは,私が面接し,採用を決めたソープ嬢はいなかったと思います。dさんは,cが採用してきたソープ嬢で,平成13年3月ころから本件店舗で働いていました。cからは20歳だと聞いていましたし,dさんからも20歳だということは確認しています。ただ,私は,dさんに何度も身分証明書を持ってくるように言ったのですが,持ってくる様子はなかったので,注意した覚えがあります。そして,出勤表によると,平成14年1月6日は,dさんは出勤しており,午後5時から午後5時50分の客と,午後9時30分から午後10時20分の客がフリーで,午後5時55分から午後6時45分,午後6時50分から午後7時40分,午後7時40分から午後8時30分,午後8時35分から午後9時25分の客5名が指名のあった客ということが分かりますので,dさんやnさんが,その日客付けしたのが私だと確認しているのであれば,dさんに売春の客としてnさんを紹介したことは間違いありません。また,平成14年3月15日午後4時10分ころ,早番で出勤したhにoという遊客を,午後4時10分ころ,iにpという遊客を,午後4時25分ころ,jにqという遊客を,午後4時30分ころ,kにrという遊客を,それぞれ客付けしたことは間違いありません。なお,dの稼働期 にoという遊客を,午後4時10分ころ,iにpという遊客を,午後4時25分ころ,jにqという遊客を,午後4時30分ころ,kにrという遊客を,それぞれ客付けしたことは間違いありません。なお,dの稼働期間は154日間で,その間の売春客は指名延長を含めて572人です。」エ dは,司法警察員に対し,要旨,次のとおり供述している(乙15)「①私は,cとホテルでエッチさせられた後,本件店舗でソープ嬢として売春して働くことが決まり,いつから働くかはcからの連絡を待つことになりました。すると2,3日後,cから私の携帯電話に今日から働いてもらう,これから迎えに行くという連絡が入ったので,本件店舗に行きました。②本件店舗に着き,店長から履歴書のような紙(従業員名簿)を渡され,姉の名前と,cから事前に指示されたとおり,20歳になるように生年月日を書きました。この名簿の日付けが平成13年3月9日となっており,その日から働き始めました。平成14年1月22日にいったん辞めて再び働くことになった初日の平成14年2月15日,警察に補導されました。③店長から,免許証を持って来てと言われましたが,それっきり何も言って来ず,やばいからこれ以上聞いてこないんだと思っていました。④名簿を書き終えると,新入りとして紹介され,先輩からマットサービスの仕方を教えてくれました。そして,ベッドは自分のやり方でやってねと言われました。店のシステムとして,コンドームを必ず客に着けさせてサービスすること,これは店でまとめ買いするが自前であること,医者のエイズ検査の結果を月1回提出することを強調されました。私は,店側から「売春」という言葉は言われたことはなかったが,cは,私が本番,つまり売春すると約束したからこそソープ嬢に雇ったのだから,とにかく本番しなければいけないと思っていました。⑤原 ました。私は,店側から「売春」という言葉は言われたことはなかったが,cは,私が本番,つまり売春すると約束したからこそソープ嬢に雇ったのだから,とにかく本番しなければいけないと思っていました。⑤原告とは何度も顔を合わせることがあり,私の顔やしぐさを見れば18歳未満かもしれないと感じたはずですが,年齢等を確認してくることはありませんでした。⑥原告や店長からは,機会あるごとに客を満足させるようにと指示されていました。cは,私がソープ嬢として働き出すと,ちゃんとやらしとるか,できるなら2回やらせろと時間内に2回本番するように指示していました。平成13年3月9日から平成14年1月21日までの約11か月間に,最低月の半分働いていたので,約605回客を取り,ちゃんと契約どおり売春していました。⑦本件店舗には,私の知る限り,私以外にも18歳未満のソープ嬢が4名いました。」オ本件店舗の室内状況は,次のとおりである(乙17の1,2,18)。 本件店舗の1階には,受付カウンター,ソープ嬢待機室,21ないし23,25号の個室が設けられおり,その2階には,1ないし3,5,7,10,11ないし13,15,17号の個室が設けられている。そして,各個室には,ベッド及び風呂が備え付けられており,ベッド脇には,「プレイ料金 50分17000円入場料・指名料無料!」との掲示と,「入泉の皆様エイズの感染を予防するために,今後入泉頂く皆様には衛生器具の使用を徹底し,お客様が安全で且つ安心感ある憩いの,ひと時を過ごして頂くため積極的なご協力を下さるよう,謹んでお願い申し上げます。平成4年7月愛知県特殊浴場協会」との謹告が貼られている。そして,ソープ嬢待機室には,エイズ・梅毒検査表が掲示されている。 カ本件に係る刑事手続の概略は,次のとおりである。 (ア) 愛知県中村 す。平成4年7月愛知県特殊浴場協会」との謹告が貼られている。そして,ソープ嬢待機室には,エイズ・梅毒検査表が掲示されている。 カ本件に係る刑事手続の概略は,次のとおりである。 (ア) 愛知県中村警察署は,平成14年2月15日,本件店舗に対する立入調査を実施したところ,17歳の少女であるdがソープ嬢として働いているのを確認したので補導し,その供述などを基に,同年3月15日,cを児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反並びに売春防止法違反の容疑で,bを売春防止法違反の容疑でそれぞれ逮捕するとともに,本件店舗に対する捜索差押えを実施するなどの強制捜査を行った。また,同署は,原告についても売春防止法違反の容疑で,任意の取調べを行った(弁論の全趣旨)。一連の捜査の結果,名古屋地方検察庁は,平成14年5月29日,原告を売春防止法違反の事実(本件周旋)で名古屋地方裁判所に起訴した(甲2)。原告は,公訴事実を認め(乙21の1),同年7月16日,懲役2年,執行猶予4年の判決を受け,同月31日,同判決が確定している。 (イ) cは,売春防止法違反(本件売春契約)及び愛知県青少年保護育成条例違反(いん行)で起訴され,平成14年6月10日,名古屋地方裁判所において懲役1年6月,執行猶予4年の判決を受け,同月25日,同判決が確定した。 (ウ) bは,売春防止法違反(本件周旋)で起訴され,平成14年9月3日,名古屋地方裁判所において,懲役1年6月,執行猶予5年の判決を受け,同月18日,同判決が確定している。 キ本件処分に先立つ聴聞手続の概略は,次のとおりである。 被告は,原告に対し,平成14年5月28日付け聴聞通知書をそのころ送付した(乙14)。同通知書の聴聞の件名の欄には,「原告に対する店舗型性風俗特殊営業及び浴場業営業の,廃止 略は,次のとおりである。 被告は,原告に対し,平成14年5月28日付け聴聞通知書をそのころ送付した(乙14)。同通知書の聴聞の件名の欄には,「原告に対する店舗型性風俗特殊営業及び浴場業営業の,廃止又は営業停止に関する件」と,予定される不利益処分の内容欄には,「店舗型性風俗特殊営業及び浴場業営業の廃止又は営業停止」と,不利益処分の原因となる事実欄には,「別紙のとおり(1 本件売春契約,2 本件周旋1をはじめ,合計5回にわたり,女性従業員に対し遊客を売春の相手として紹介し,売春を周旋した事実)」と各記載されている(乙14)。そして,原告は,平成14年6月11日,聴聞手続に出頭し,愛知県警察本部1階の聴聞室において,不利益処分の原因となる事実を読み上げられ,間違いない旨陳述した。その際,刑事弁護を依頼していたs弁護士に作成してもらった意見書も提出した(甲5)。 (2) 上記各事実を総合すれば,原告の経営する本件店舗においては,開業後ほどなくしてソープ嬢による売春が恒常的に行われるようになり,営業システムも,売春を当然の前提として構築されていたものであるところ,原告は,これを禁止するどころか,売春を内容とする顧客サービスを積極的に行うようソープ嬢に対してしょうようし,また,これらの実態を熟知している店長のbをして,日常的に客付け行為を行わしめ,時間帯によっては自ら客付け行為を行っていたというのであるから,共謀による本件周旋の事実が認められることは明らかである。 また,原告は,cに対し,ソープ嬢のスカウトを依頼し,それに要した費用を支給しているところ,本件店舗の上記営業内容に照らせば,ソープ嬢の採用は,客に対して売春を中心とする性的サービスを提供させることを目的とするものであったことが明らかであるから,cが,平成13年3月6日ころ,dを本件店舗の 件店舗の上記営業内容に照らせば,ソープ嬢の採用は,客に対して売春を中心とする性的サービスを提供させることを目的とするものであったことが明らかであるから,cが,平成13年3月6日ころ,dを本件店舗のソープ嬢として採用した際,dとの間で,客に売春させる内容の契約を締結したことは,原告からの依頼の趣旨に沿った当然の行為であり,現に,dは,採用後,多数の客と売春行為を繰り返し,原告らも,これにより多額の利益を取得していたものである。したがって,本件売春契約についても,原告はcとの共謀に基づく責任を負うべきことが明らかである。 (3) この点につき,原告は,少なくとも本件売春契約を締結することを共謀した事実はない旨主張するところ,なるほど,原告提出の証拠(甲5,8ないし11)には,①本件店舗では,ソープ嬢が客から受け取ったサービス料については,一切受け取らないことにしていること,ソープ嬢に対して,売春を禁止するような指示はしていないが,売春行為をするよう指示したり,指導したりすることはないこと,②dについても,18歳未満の女の子をソープ嬢に採用することは禁止しており,cからは,dが19歳で今年20歳になると聞いていたため,cと共謀してdについて売春契約を締結したとされるのは不本意であること,客付け等もbがほとんど取り仕切っていたこと,③刑事事件での調書は,cとbが認めていることならば間違いないだろうと思い,両名を早く警察から出してやりたいと思い,警察官や検察官の話には逆らわないようにし,④聴聞手続においても,18歳未満の女性を採用したことについて聞かれると思っており,営業廃止処分については一切予測していなかったところ,担当官から何を聞かれたかほとんど覚えていないが,できるだけ逆らわないようにと考えていたので,本件売春契約と本件周旋の事実とを区 れると思っており,営業廃止処分については一切予測していなかったところ,担当官から何を聞かれたかほとんど覚えていないが,できるだけ逆らわないようにと考えていたので,本件売春契約と本件周旋の事実とを区別しないまま,間違いありませんと言ったかもしれない旨,その主張に沿った内容の記載がある。 しかしながら,前記のとおり,原告は,ファッションヘルスなどの風俗店との対抗上,若年の女子を積極的に採用するようにcに申し向けていたこと,店長であるbは,平成13年3月9日,dに対して,従業員名簿に氏名・住所・生年月日の記載を求めてその裏付けとなる身分証明書の提示を求めたものの,年齢を証明する客観的文書の提示がないまま,その日のうちにソープ嬢として働かせていること,原告も,何度も機会がありながら,自らdの年齢等を確認することがなかったこと,原告は,本件処分に先立つ聴聞手続において,不利益処分の原因となる本件違反の事実を自認していること(s弁護士の意見書も,本件違反の事実を争う趣旨のものでなかったと思料される。),これらの事実を総合すれば,18歳未満の者を雇わないとの原告の指示は,多分に名目的なものにすぎず,cが,原告から,売春行為を行うソープ嬢の採用について全面的な権限を授与されていたことをも考慮すると,dの採用と本件売春契約が原告の意思に反するものであるとは到底認め難く,本件売春契約についても共謀に基づく責任を免れないとの前記判断を覆すには至らない。 さらに,原告は,本件売春契約について公訴を提起されていない旨主張するが,およそ法令が,行政庁に対して行政上の規制権限を与えている場合,これを発動するための要件充足の認定権限も当該行政庁に委ねているのが原則であるから,本件で問題とされている風営法30条2項に定める営業廃止処分の要件である売春防止法第2章に規定 限を与えている場合,これを発動するための要件充足の認定権限も当該行政庁に委ねているのが原則であるから,本件で問題とされている風営法30条2項に定める営業廃止処分の要件である売春防止法第2章に規定する罪の存否も,それが「売春防止法第2章に規定する罪によって公訴を提起されたとき」とか,「売春防止法第2章に規定する罪によって有罪判決を受けたとき」というように定められていない以上,刑事訴追の有無等に関わらず,被告が独自の立場で認定,判断することは当然に許されるというべきところ,本件売春契約につき,cと原告との共謀の事実が認められることは前記認定のとおりである。 よって,本件処分に重大な事実誤認が存したとの原告の主張は,採用できない。 3 争点(2)(行政手続法12条違反等の有無)について(1) 行政手続法12条の「不利益処分」とは,「行政庁が,法令に基づき,特定の者を名あて人として,直接に,これに義務を課し,又はその権利を制限する処分」(同法2条4号)であるところ,営業廃止処分がこれに当たることはいうまでもない。そして,行政手続法12条1項は,「行政庁は,不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分をするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準(処分基準)を定め,かつ,これを公表しておくよう努めなければならない。」と定めている。 本規定は,その文言からも明らかなように,申請に対する処分をする場合の同法5条の審査基準の公表と異なって,行政庁の努力義務を定めたものであって,いわゆる訓示規定であると解される。すなわち,一般的に処分に関する行政庁の裁量権が広く認められる上,処分を決定するためには,その原因となる事実の反社会性や対象者の情状等を個別的,具体的に総合評価しなければならないため,あらかじめ画一的な処分基準を定めるこ 関する行政庁の裁量権が広く認められる上,処分を決定するためには,その原因となる事実の反社会性や対象者の情状等を個別的,具体的に総合評価しなければならないため,あらかじめ画一的な処分基準を定めることが困難な場合があり,また,処分基準を公にすることにより,それに達しない程度の違反行為は実害を受けないとして,脱法的な行為を助長するおそれもあるため,これらの諸点を考慮して,行政庁があらかじめ処分基準を公表することなく,不利益処分を行ったとしても,それだけでは,直ちに当該処分の効力に影響を与えないとしたものである。 しかしながら,そもそも,不利益処分は,公権力の行使として,国民に義務を課し,その権利を制限するものであるから,その処分に至る過程は,公正さを疑われることのないように,十分に透明でなければならず,また,国民に対し,どのような場合に,どのような不利益処分がなされるかについて,一定の予見可能性を与えることが望ましいことはいうまでもない。このような見地からすれば,いったん処分基準が公表された場合には,それは当該処分に関して基準を策定することが可能であることの現れであり,かつ公表された処分基準について国民の信頼が生ずることになるのであるから,行政庁が従前の処分基準を著しく厳格化したにもかかわらず,何らの合理的な理由もなく,国民がこの事実を認識し得る方策を講じなかった場合は,行政庁に与えられた裁量権を逸脱又は濫用するものとして,当該処分は違法となり得ると解すべきである。 もっとも,行政手続法は,公表を義務付けた審査基準についても,「行政上特別の支障があるときを除き,法令により当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法」によって公表しなければならない旨定めているにとどまる(5条3項)から,上記のように処分基準を厳 があるときを除き,法令により当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法」によって公表しなければならない旨定めているにとどまる(5条3項)から,上記のように処分基準を厳格な内容に改定する場合は,国民が新しい処分基準を認識することが可能になると考えられる従前と同程度の公表措置を講ずることで足りるというべきである。この点について,原告は,一定の場合には国民に積極的に周知させる必要があるところ,2月基準は被告旧基準を厳格化するものであるから,愛知県SB防犯協会などを通じて,あらかじめ説明や指導を行うべきであった旨主張するが,前記のとおり,公表義務のある審査基準ですら,対外的に積極的に周知することまで行政庁に義務付けるものではないことに照らせば,本件において,原告主張のように解する法的根拠は認め難い。 (2) そこで,2月基準の公表経緯について検討するに,前記前提事実及び証拠(甲4,7の1及び2,乙1,2の1及び2,22ないし25)並びに弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実が認められる。 ア警察庁生活安全局長は,平成13年9月20日付けで,各都道府県警察の長等にあてて警察庁丙生環発第25号を発したが,その内容は,警察庁旧基準を廃止し,警察庁新基準を策定したので,各都道府県警察においては,これを参考として,厳正かつ適切,公平な処分がなされるように配意されたいというものであった。 イこれを受けて,被告は,平成14年1月18日までに,審議の上,被告旧基準を2月基準に改正し,同年2月1日から適用することを決定した。そして,愛知県警察本部生活安全部保安課は,同年1月29日,同本部総務部聴聞官室に対し,2月基準を審査基準一覧表へ掲載するよう依頼し,同室長は同月31日,これを,高速道路交通警察隊及び各警察署に送付して備え付けさ 警察本部生活安全部保安課は,同年1月29日,同本部総務部聴聞官室に対し,2月基準を審査基準一覧表へ掲載するよう依頼し,同室長は同月31日,これを,高速道路交通警察隊及び各警察署に送付して備え付けさせ,閲覧の求めがあれば随時これに応ずるように指示するとともに,愛知県警察広報課にホームページの更新を依頼した。同課は,同年2月1日に,愛知県警察のホームページを更新して,同月4日以降,2月基準をこれに掲載した。 ウその後,平成13年6月20日の風営法の一部改正に伴い,店舗型電話異性紹介営業及び無店舗型電話異性紹介営業に対する愛知県内の営業禁止地域等が,同年12月21日,「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例」の改正(平成14年4月1日施行)によって定められたため,被告は,これに関する行政処分の量定を加えた基準を策定した上,平成14年4月1日から実施することとし,同基準をホームページにおいても公表した。 エ原告代理人のt弁護士は,本件処分後の平成14年8月16日,被告を訪れ,本件処分の基準について問い合わせ,その閲覧・コピーを求めたところ,保安課担当者は,被告は警察庁の訓令・通達に従って処分基準を平成14年2月に改定したこと,新しい基準は警察庁のホームページで公表しているので,それを見て欲しい旨返答した。そこで上記弁護士が,そのころ,警察庁のホームページを確認したところ,警察庁旧基準が掲載されていた。 (3) 以上の事実によれば,警察庁新基準は,少なくとも平成14年8月16日段階では警察庁のホームページに掲載されていなかったものの,警察庁の示す基準は,処分権者である各都道府県の公安委員会が策定する処分基準の指針となるものにすぎず,直接,国民に対する処分基準として機能するものでないことが明らかであるから,これをもって本件処分の 察庁の示す基準は,処分権者である各都道府県の公安委員会が策定する処分基準の指針となるものにすぎず,直接,国民に対する処分基準として機能するものでないことが明らかであるから,これをもって本件処分の違法を基礎付けるものとはいえない。そして,本件処分の直接の根拠となった2月基準については,その施行日とされた日以降,愛知県内の各警察署等へ備え置いて国民からの閲覧に応じる態勢を執っており,また,愛知県警察のホームページにおいても,実施日から間がない平成14年2月4日には,被告旧基準を更新して2月基準が掲載されているところ,本件処分の理由となった本件違反のうち,本件周旋2ないし5の事実は,いずれも上記ホームページ更新の日以後に行われていることに照らせば,被告による2月基準の適用が,行政手続法12条に反して違法であるとは認められず,また憲法31条の定める適正手続や罪刑法定主義の趣旨に反するともいえない。 4 争点(3)(比例原則又は平等原則違反の有無)について(1) 前記のとおり,風営法30条1,2項は,善良な風俗と清浄な風俗環境を保持し,少年の健全育成に障害を及ぼす行為を防止するため,公安委員会に対して営業停止若しくは営業廃止を命じる権限を付与しているが,反面,その権限行使によって,国民の営業の自由を制約することになるのであるから,同条の定める要件に反しないことはもとより,その目的を達成するための必要性と合理性を著しく欠いた処分は,違法となり得るというべきである。 (2) そこで,まず,本件処分の直接の根拠となった2月基準について検討するに,証拠(甲6の2ないし8,7の2,乙1,2の1及び2)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア今日における性風俗の乱れ,とりわけ未成年者に対する性的搾取や女性の性の商品化は世界的に問題とされて 6の2ないし8,7の2,乙1,2の1及び2)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア今日における性風俗の乱れ,とりわけ未成年者に対する性的搾取や女性の性の商品化は世界的に問題とされており,我が国においても例外ではないため,政府は,平成6年5月16日,「児童の権利に関する条約」を批准・公布し,平成11年5月26日には,「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」を,さらに,平成11年6月23日には男女共同参画社会基本法をそれぞれ制定するなどして,対策に乗り出している。しかしながら,情勢は悪化の一途をたどり,児童買春などの悪質な事案や,外国人女性による売春事案の横行,さらには性風俗店の増加は,大きな問題となっている。 イ店舗型性風俗特殊営業,中でもソープランド営業は,浴場業の施設として個室を設け,当該個室において異性の客に接触する役務を提供するものであるから,個室内においてソープ嬢が遊客を相手に売春をし,これをソープランド営業者が管理し,利益を上げることが容易に行われやすいという特色を有している。 ウそこで,警察庁は,これらの情勢に対処し,風営法1条の掲げる目的,すなわち善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し,少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止を達成すべく,規制内容を全体的に強め,風俗環境を害する違反行為に対する行政処分を引き上げることを決め,平成13年9月20日付けで,警察庁新基準を策定し,全国の都道府県警察の長等に通知した。 エ愛知県内においては,名古屋市でソープランドを営業する業者15者によって愛知県SB防犯協会が組織され,警察の指導を受けるなどしているが,店舗型性風俗特殊営業において,18歳未満の子女をして客に接触させる業務に従事させたり,売春させることを内容とする契約を締結させたり,あ 知県SB防犯協会が組織され,警察の指導を受けるなどしているが,店舗型性風俗特殊営業において,18歳未満の子女をして客に接触させる業務に従事させたり,売春させることを内容とする契約を締結させたり,あるいは売春を行う場所を提供したりする事案が後を絶たないことから,被告は,平成14年1月18日,警察庁新基準に則って,2月基準を策定することになった。なお,全国における新基準への移行状況は,若干の遅速があり,平成14年1月10日ころ,警察庁新基準を参考にした新処分基準を定めていた都道府県は,東京都,神奈川県,大阪府,北海道にすぎなかったが,その他の各府県も順次基準の改正が予定されており,概ね同年4月には足並みが揃うに至っている。 (3) 以上の認定事実によれば,2月基準は,性風俗環境の悪化に歯止めをかけるべく,関係法令の厳正な運用を行い,規制を強化するために策定されたものであり,その目的,趣旨において合理性があると判断できる。 もっとも,その内容は,売春防止法11条2項,12条,13条以外の同法第2章に規定する罪を犯した場合について,被告旧基準が営業停止150日を量定基準とし,その基準期間を40日としていたのに対し,風営法30条1項の上限である8月以内である営業停止240日に引き上げており,同条2項の営業廃止処分が可能となったことをも考慮すると,相当な規制強化であることは否定できない。 しかしながら,もともと上記犯罪の法定刑は,軽いものでも6月以下の懲役又は1万円以下の罰金(5条)であり,重いものでは5年以下の懲役及び20万円以下の罰金(8条1項)であり,決して罪質の軽い罪ではないこと,営業廃止処分は,本来は店舗型性風俗特殊営業の許されない地域において行われている営業を対象とするものであり,ただ,風営法の施行前から営業を営んでいた者の利益に配慮し ,決して罪質の軽い罪ではないこと,営業廃止処分は,本来は店舗型性風俗特殊営業の許されない地域において行われている営業を対象とするものであり,ただ,風営法の施行前から営業を営んでいた者の利益に配慮して,例外的に許容されてきたものにすぎず,上記のような犯罪が行われた以上,かかる既得権を剥奪する結果になったとしてもやむを得ないと考えられること,営業廃止処分は,売春防止法第2章の罪が行われただけでは発動されず,これに複数の加重事由が加わるなど,法令違反を繰り返すおそれが強いと判断された場合に限って可能となること,これらを総合すれば,上記のように相当な規制強化であるからといって,その必要性,合理性を欠く過酷な基準と断ずることはできず,比例原則に反するものではないというべきである。また,全国的にも,多少の遅速はあるものの,警察庁新基準に基づく処分基準によって統一的な規制が実施されていると認められるから,平等原則に反するともいえない。 (4) 次に,本件処分について検討するに,その根拠となった2月基準が比例原則,平等原則に反するものといえないことは前記のとおりであり,2月基準における営業廃止処分の要件充足の有無は,次項で判断するとおりである。 この点につき,原告は,本件と同様の過去の事案においては,すべて営業停止処分にとどまっており,ほぼ同時期に立件された売春防止法違反等の事例においても,営業停止処分にとどまっている旨主張するところ,証拠(甲6の2ないし8)によれば,被告が,平成12年10月以降の風営法28条11項2号あるいは売春防止法第2章に規定する罪違反に該当する行為を理由に行った処分は,本件処分を除き,すべて営業停止処分であったことが認められる。 しかしながら,甲6の2ないし5の事例のように,2月基準が実施される以前の行為に対しては,被告旧基 反に該当する行為を理由に行った処分は,本件処分を除き,すべて営業停止処分であったことが認められる。 しかしながら,甲6の2ないし5の事例のように,2月基準が実施される以前の行為に対しては,被告旧基準が適用されるのであるから,2月基準の実施後の処分である本件処分と比較すること自体が無意味であるし(そもそも,甲6の2ないし4の違反行為は,風営法28条11項2号違反であるから,2月基準によっても営業停止30日ないし240日,基準期間60日とされているから,営業廃止処分が行われないのが通常である。),甲6の7及び8の違反行為が,2月基準実施後に行われたとしても,前記のとおり,売春防止法第2章に規定する罪に該当しただけで直ちに営業廃止処分を受けるというものではないから,上記事実だけで,本件処分が平等原則に反するといえないことは明らかである。 よって,この点に関する原告の主張は採用できない。 5 争点(4)(本件に適用されるべき処分基準の種別及び処分加重事由の存否)について(1) 本件違反のうち,本件売春契約は,平成13年3月6日ころに行われ,本件周旋1は,平成14年1月6日に行われたものであって,いずれも被告旧基準の適用対象となる。これに対し,本件周旋2ないし5は,いずれも平成14年3月6日に行われているから,2月基準が適用されることになる。そうすると,本件違反に対して,被告旧基準と2月基準がそれぞれ適用され,結果的に重い量定に従って本件処分が行われたことは当然であって,この点について何らの違法も存しない。 (2) ところで,少なくとも本件周旋2ないし5は,2月基準5(1),3(1)ア(ウ)の「罰則の適用がある法令違反行為によって検挙された場合(起訴相当として送致した場合に限る。)」に該当し,その営業停止命令の量定は,同基準5(2)により,別 5は,2月基準5(1),3(1)ア(ウ)の「罰則の適用がある法令違反行為によって検挙された場合(起訴相当として送致した場合に限る。)」に該当し,その営業停止命令の量定は,同基準5(2)により,別表3の処分事由「売春防止法第2章に規定する罪」欄の240日となり,同基準7の「5の(2)に定めるところにより,営業停止命令の量定の長期が240日に達した場合」に当たることが明らかである。 そして,前記のとおり,本件周旋は,いずれも,原告から店長としての仕事を委ねられたbによって実行されたものであること,原告も本件店舗において売春が恒常化していることを認識しており,むしろ利益を上げるためにbとともに売春行為の周旋を組織的かつ恒常的に推進してきたものであること,また,原告からソープ嬢の採用を任されていたcは,dが18歳未満であることを認識しながら本件売春契約を締結しており,しかも,年齢等の確認を任されていたbや原告は,年齢を証明する客観的書類の提出を待つことなく,ソープ嬢としてdを稼動させ,あるいは稼動を容認しており,少年に対する健全育成保護の配慮を全く欠いていること,原告は,本件店舗の利益を上げるため,cに対して若年の女子を積極的にスカウトするよう依頼していたこと,原告は,平成2年にも,本件店舗の営業に関して売春防止法第2章に規定する罪を犯し,検挙された事実があるにもかかわらず,ほどなくして同種の周旋を再開し,これを継続してきたこと,これらの事実が認められるところ,これらは,加重事由(ウ)の「その他法令違反の内容が著しく悪質と認められること」に該当すると認められる。加えて,前記認定事実及び証拠(乙19の1,26)によれば,本件店舗の従業員として,売春行為を恒常的に行っていた相当数のソープ嬢のほか,店長のb及びスカウト役のc,専従者として事務等 と認められる。加えて,前記認定事実及び証拠(乙19の1,26)によれば,本件店舗の従業員として,売春行為を恒常的に行っていた相当数のソープ嬢のほか,店長のb及びスカウト役のc,専従者として事務等を担当していたe,清掃係のu,パート従業員のvらが稼動していたにすぎないから,加重事由(エ)の「従業員の大多数が法令違反行為に加担していること」に該当すると認められる。そうすると,複数の加重事由の存在が認められ,かつ,法令違反を繰り返すおそれが強いといわざるを得ない。 この点につき,原告は,本件においては,処分の軽減事由が存する旨主張するところ,確かに,原告には最近3年間に法令違反を理由に検挙されたことはなく,また聴聞手続や刑事裁判の際,事実関係を争うことがなかったことが認められるものの,前記のとおり,平成2年に検挙された後においても,原告やその意を受けたbが恒常的に売春の周旋を行い,利益を上げてきたことは疑いがないこと,にもかかわらず,原告は,本件処分後,本件違反につき,関与していないとか関与の程度が低いなどと主張して,その責任を否定するがごとき言動を示しており,聴聞手続や刑事裁判における態度は,処分や処罰の軽減を目的とした作為的なものであったとの疑いを払拭できないことに照らすと,本件違反につき改しゅんの情が著しいと認めることは困難であって,結局,処分の軽減事由が存するとはいえない。 よって,本件違反に対して,被告が加重事由を認定して営業廃止処分を選択したことにつき,その要件の認定を誤り,あるいは裁量権を逸脱ないし濫用した違法が存すると認めることはできない。 6 結論以上の次第で,本件処分は適法というべきであり,原告の本訴各請求はいずれも理由がないから,棄却することとし,訴訟費用の負担につき,行訴法7条,民訴法61条を適用して,主文のとお できない。 6 結論以上の次第で,本件処分は適法というべきであり,原告の本訴各請求はいずれも理由がないから,棄却することとし,訴訟費用の負担につき,行訴法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部裁判長裁判官加藤幸雄裁判官舟橋恭子裁判官平山馨(別紙添付省略)

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