平成18(ワ)370 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成20年3月13日 広島地方裁判所
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判決文本文13,720 文字)

- 1 -平成18 年ワ第370 号損害賠償請求事件( )主文 被告は、原告に対し、22 万円及びこれに対する平成17 年12 月14 日から支払済みまで年5 分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用はこれを10 分し、その1 を被告の、その余を原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求被告は、原告に対し、220 万円及び及びこれに対する平成17 年12 月14 日から支払済みまで年5 分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要広島弁護士会所属の弁護士である原告が、平成17 年12 月2 日(以下、平成 17 年については年の記載を省略することがある)付けで殺人・死体遺棄被疑事件(以下「本件被疑事件」という)の被疑者であるA(以下「本件被疑者」という)から弁護人に選任されたところ、同月13 日広島地方検察庁(以下「広島地検」という)所属の検察事務官B(以下「B事務官」という)から、翌14 日同庁所属の検察官検事C(以下「C検事」という)からいずれも本件被疑者との接見を違法に妨害されたと主張して、国賠法1 条1 項に基づく損害賠償及びこれに対する違法行為日ないしその翌日である平成17 年12 月14 日から支払済みまで民法所定の年5 分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 前提事実(証拠により認定した事実はその証拠を該当箇所に掲記する)本件被疑者(1)本件被疑者は、11 月30 日、海田警察署(以下「海田署」という)に殺人罪及び死体遺棄罪の被疑事実で逮捕され、12 月1 日、身柄を広島地検に送致され、翌2 日勾留決定(勾留場所は海田署、同月9 日勾留延長決定がさ)- 2 -れ、同月21 日、殺人・死体遺棄・強制わいせつ致死の公訴事実で起訴された者である。ペルー 、身柄を広島地検に送致され、翌2 日勾留決定(勾留場所は海田署、同月9 日勾留延長決定がさ)- 2 -れ、同月21 日、殺人・死体遺棄・強制わいせつ致死の公訴事実で起訴された者である。ペルー国籍であり、スペイン語の通訳を必要とした。 本件被疑者の留置場出入状況は、別紙1「Aの出入状況」に記載のとおりである(甲2 。 )弁護人の選任(2)広島弁護士会所属の弁護士である原告は、弁護士E(以下「E弁護士」という)とともに、11 月30 日、12 月1 日の両日とも本件被疑者と接見し、翌 2 日付けで弁護人に選任された。原告が主任弁護人であり、上記2 名の弁護人以外に事実上これを補助するために4 名の弁護士が活動することになった(以下、以上の6 名を「弁護団」という(弁論の全趣旨。 ))弁護団の接見状況は別紙2「Aの接見状況」に記載のとおりである(甲 2 。 ) 12 月13 日の経過(3)ア 12 月13 日午前10 時から11 時頃まで、広島簡易裁判所において本件被疑者の勾留理由開示のための公判が行われた。同被疑者は、同期日において「被害者を殺すつもりも傷つけるつもりも全くありませんでした」と、いう意味の陳述(以下「本件陳述」という)をした。 イE弁護士が同日午後0 時30 分頃事件の主任検察官であるC検事に架電したところ、その立会事務官であるB事務官が電話に出た。同検事の所在を尋ねたところ、同事務官から不在であることを告げられるなどして、電話を切った(通話内容は当事者間に争いがある。B事務官は、E弁護士)から電話があったことをC検事に伝えなかった。また、その後同日中に弁護団が広島地検に電話その他の連絡をすることはなかった。 ウ原告その他の弁護団の弁護士は、同日、前記公判後は本件被疑者に接見することができなかった。 検事に伝えなかった。また、その後同日中に弁護団が広島地検に電話その他の連絡をすることはなかった。 ウ原告その他の弁護団の弁護士は、同日、前記公判後は本件被疑者に接見することができなかった。 12 月14 日の経過(時刻につき甲5 の②)(4)- 3 -原告は、翌14 日午後2 時過ぎにC検事に架電して本件被疑者と同日中に接見させるよう申し出たところ、本日は午後9 時ないし10 時頃まで取調べの予定であり海田署留置場に戻して接見させることはできないと言われたので、さらに同日中に検察庁内で接見させるよう申し出た。C検事は、取調室が空いているかどうかを確認すると告げていったん電話を切った。 C検事は、午後2 時15 分頃原告に架電して「検察庁内での接見をするためには緊急性が必要ですが、緊急性はありますか」と尋ねたところ、原告から本件陳述の真意を確認する必要がある旨の説明を受けた。そこで、さらに、原告に対して、本件被疑者から既に本件陳述同様の供述を聞いているのではないか、真意は既に確認できているのではないかなどと質問したところ、「接見内容を答える必要はない」と回答を拒否され、再び検討のため電話を切った。 C検事は、午後2 時18 分頃再度原告に架電して、現在本件被疑者を取調べ中であること、緊急性はないことを理由に接見を拒否したところ、原告から「接見指定ということですか」と問われ「接見指定ではありません」な、どと返答し、原告から「接見指定もなく、とにかく接見を拒否するということですか」などと念を押されたのに対して「そうです」と答えたところ、原告は「分かりました」と言って電話を切った。 同検事はその後も原告に対する接見指定をしなかった。 主要な争点及び当事者の主張違法な接見妨害行為の有無(1)(原告の主張)弁護人が被疑者と即時に秘 は「分かりました」と言って電話を切った。 同検事はその後も原告に対する接見指定をしなかった。 主要な争点及び当事者の主張違法な接見妨害行為の有無(1)(原告の主張)弁護人が被疑者と即時に秘密接見交通をする権利(刑事訴訟法〔以下「刑訴法」という〕39 条1 項)は憲法34 条前段に由来し国際人権法の要請する極めて重要な権利であるにもかかわらず、以下のとおりB事務官及びC検事は弁護人である原告の本件被疑者に対する接見を違法に妨害した。 - 4 -アB事務官による接見妨害行為原告の指示を受けたE弁護士が12 月13 日午後0 時30 分頃の電話でB事務官に対して「弁護人としては本日午後7 時にならないと接見できないので、7 時からの接見を希望したい」と申し出たところ「C検事は不在、です。午後4 時から取調べ予定なので、それまでには戻ると思いますが、どこにいるかは不明です。被疑者の接見については、今日は勾留理由開示公判があったので、検事調べを午後4 時から午後9 時か10 時までする予定です。ですから、本日の弁護人接見はご遠慮いただき、明日接見して下さい」という返答があり、電話を切った。同事務官はE弁護士から電話のあったことをC検事に報告せず放置した。 すなわち、同事務官はE弁護士から原告による接見の申し出を受けた以上そのことを接見指定の権限を持つ主任検察官(C検事)に伝達する義務があったのにこれを怠った。この不作為は故意又は過失による違法行為に当たる。 イC検事による接見妨害行為即時に接見させなかったこと又は接見指定しなかったことの違法性(ア)a捜査機関の接見指定を認める刑訴法39 条3 項は憲法34 条前段に反し無効であるから、C検事による接見拒否行為は違法である。 b捜査機関は弁護人から被疑者との接見の申し出があっ 違法性(ア)a捜査機関の接見指定を認める刑訴法39 条3 項は憲法34 条前段に反し無効であるから、C検事による接見拒否行為は違法である。 b捜査機関は弁護人から被疑者との接見の申し出があったときは原則としていつでも刑訴法39 条1 項の接見(以下「秘密接見」ともいう)の機会を与えなければならない。捜査の中断による支障が顕著である場合は接見指定が可能であるとしても、捜査機関は被疑者の取調べ状況のみから形式的に接見指定の要件を即断してはならず、取調べの重要性や取調べ開始時刻を遅らせることによる捜査への影響等を具体的に検討して弁護人の接見希望時間との調整を図った上でなお弁護人の接見を認めることにより捜査の中断による支障が顕著であるか否- 5 -かを慎重に検討すべき義務がある。 本件においては次のとおりである。 ①前記のとおり広島地検庁舎内における秘密接見は可能であった。 ② 12 月14 日の電話の時点で本件被疑者は昼食休憩中であり、取調べ中ではなかった。 ③C検事は同日夜遅くまでの取調べを予定していた。 ④被疑者に対しては勾留中の20 日間連日8 ~12 時間程度の取調べが行われており、なおかつ12 月13 日、14 日以外は毎日1 ~2 時間程度の弁護人による秘密接見が確保されていた(甲2 。 )⑤ 12 月20 日、海田署において午後6 時過ぎから秘密接見が行われ、その後8 時過ぎから検察官の取調べが行われた。そのことからすれば12 月14 日も同様の取扱いが可能であったはずである。 ⑥ 12 月13 日の勾留理由開示における本件陳述の真意を確認する緊)、急の必要があり(逮捕直後の初回接見と同程度の緊急性があったC検事もそのことを認識していた。 以上のとおり、12 月14 日の原告とC検事の電話の時点では、C検事による 陳述の真意を確認する緊)、急の必要があり(逮捕直後の初回接見と同程度の緊急性があったC検事もそのことを認識していた。 以上のとおり、12 月14 日の原告とC検事の電話の時点では、C検事による被疑者取調べの開始時刻を遅らせることによって即時の接見を認めたとしても捜査の中断による支障が顕著であるとはいえないのであり、同検事は原告に対して即時の接見を認めるべき義務を有していたところ、同検事は原告に対して即時の接見を拒否する際に被疑者を取調べ中であるという虚偽の説明を行うにとどまり捜査の支障が顕著であるか否かを具体的に検討しなかったのであるから、同検事の前記拒否行為は違法である。 c捜査機関が接見指定をすることなく即時の接見も拒否することは違法である。C検事は接見指定もそのための協議もしなかった。 なお、原告がC検事に対して面会接見の申し出をしたという被告の- 6 -主張は否認する。原告は一貫して秘密接見を申し出ていたのであって、 12 月14 日の会話では原告もC検事も「面会接見」の語を用いたことはない。本件では判例(最高裁判所第三小法廷平成17 年4 月19 日判決・民集59 巻3 号563 頁)の定める面会接見の要件も満たしていない。広島地検の庁舎内における秘密接見は過去にも多数行われたことがあるから、同庁舎内での接見を原告が申し入れたことが直ちに面会接見の申し出を意味するはずもない。さらに、原告が立会人ありの面会である面会接見で目的を達することができないことは明らかであった。 あらかじめ接見日時の協議をしなかったことの違法性(イ)本件においては、弁護団とC検事の指示を受けた捜査機関との間には、毎日午後6 時ないし7 時からの接見を認める合意があった。 仮にそうでなくとも、11 月30 日から12 月13 日、14 日まで毎日 本件においては、弁護団とC検事の指示を受けた捜査機関との間には、毎日午後6 時ないし7 時からの接見を認める合意があった。 仮にそうでなくとも、11 月30 日から12 月13 日、14 日まで毎日上記時間帯に接見しており、特に本件ではスペイン語の通訳を必要とするため毎日決まった時間帯に接見することが重要であった。 したがって、捜査機関において上記合意ないし運用を一方的に破棄するすることは許されないにもかかわらず、C検事はあらかじめ接見日時についての調整をすることなく一方的に接見を拒否したのであり、これは故意又は重過失による違法行為である。 (被告の主張)アB事務官による接見妨害行為についてB事務官がE弁護士からの電話において接見の申し出を受けたことは(ア)否認する。E弁護士からはC検事の所在を尋ねられたに過ぎない。したがって、原告の主張は前提を欠き失当である。 仮に原告が主張し証人Eが証言するような事実があったとしても、B(イ)事務官は午後7 時からの接見を求めるE弁護士に対して同日午後4 時か- 7 -ら被疑者取調べ予定であること(捜査のため必要があるとき」に当た「ること)を伝えるとともに接見を翌日にしてくれるよう電話で求め、同弁護士は検討すると言って電話を切ったというのであるから、これによって接見日時の協議が開始されたのであって、同事務官の対応は違法ではない。 イC検事による接見妨害行為について即時に接見させなかったこと又は接見指定しなかったことの違法性に(ア)ついてa刑訴法39 条3 項は憲法34 条前段に反するものでない(最高裁判所大法廷平成11 年3 月24 日判決・民集53 巻3 号514 頁、同裁判所第三小法廷平成16 年9 月7 日判決・判例時報1878 号88 頁など。 )b原告がC検事に電話 でない(最高裁判所大法廷平成11 年3 月24 日判決・民集53 巻3 号514 頁、同裁判所第三小法廷平成16 年9 月7 日判決・判例時報1878 号88 頁など。 )b原告がC検事に電話してきた12 月14 日午後2 時過ぎの時点で、C検事はまさに本件被疑者を取り調べようとしていた。そして、それまでには被疑者から犯罪事実についてほとんど聴取できていなかったこと、被疑者の供述態度や要通訳事件であることから取調べには特に時間を要したこと、海田署での接見を認めれば2 時間以上も取調べが中断することなどからして、接見を認めた場合の捜査の中断による支障が顕著であり、刑訴法39 条3 項本文の「捜査のため必要があるとき」の要件を満たしていた。 そして、C検事は、12 月14 日の原告との電話において、現に被疑者を取調べ中であり同日午後9 ~10 時まで取り調べる予定であることを理由に当日の立会人のない接見はできないことを説明したうえで、翌日午前8 時30 分から午前9 時30 分までに接見をしてはどうかと提案し協議を行おうとした。 以上によれば、同検事が即時の接見を拒否したことに違法性はない。 なお、本件で初回接見と同程度の接見の必要性があったことは争う。 - 8 -c前記提案に対して原告から「検察庁での接見をお願いしたい」という申し出があった。 C検事は、広島地検においては従前から庁舎内での秘密接見を認めておらずそのことは原告も知悉しているはずであったことなどから、前記申し出の意図は前記最高裁平成17 年判決の中で判示された面会接見の申し出であると理解した。 そこで、原告に対して面会接見の要件である緊急性の有無につき意見を聴取するなどした結果、緊急性は認められないと判断されたので、「現在、取調べ中であるうえ、本件では面会接見を認める であると理解した。 そこで、原告に対して面会接見の要件である緊急性の有無につき意見を聴取するなどした結果、緊急性は認められないと判断されたので、「現在、取調べ中であるうえ、本件では面会接見を認める緊急性はないと思われますので、接見はできません」と説明して面会接見を拒否した。 したがって、面会接見を拒否したことにつき違法性はない。 また、仮にC検事においてこれが秘密接見の申し出であると解すべきであったとしても、上記最高裁判決にいう要件を充たすような設備はなかったから、そのことを理由として秘密接見の申し出を拒否したことに違法性はない。 あらかじめ接見日時の協議をしなかったことの違法性について(イ)原告の主張するような合意の存在は否認し、その余は争う。 損害額(2)(原告の主張)被疑者に対する厳しい取調べが連日されていた中で前記各違法行為により弁護人は2 日間にわたって被疑者との接見ができない事態となったのであり、その被害は甚大であった。これを考慮すれば、慰藉料は合計200 万円、弁護士費用は合計20 万円が相当である。 第3争点に対する判断 争点 (違法な接見妨害行為の有無)について(1)- 9 -B事務官による接見妨害行為について(1)ア原告本人によれば、原告がE弁護士に依頼したのは当日午後7 時に海田署において原告が本件被疑者と接見したい旨をC検事に伝えて配慮を請う趣旨であったというのであって、海田署において接見するのであれば同署担当官に接見の申し出をすれば足りるし、原告の主張するE弁護士とB事務官の通話内容にも照らして、E弁護士は接見の予定を具体化するためにC検事から当日の取調べ予定を確認しようとしたに過ぎないと解すべきである。そうすると、原告の主張はE弁護士が原告による接見の申し出をしたことという前提を欠く。 E弁護士は接見の予定を具体化するためにC検事から当日の取調べ予定を確認しようとしたに過ぎないと解すべきである。そうすると、原告の主張はE弁護士が原告による接見の申し出をしたことという前提を欠く。 イまた、原告がE弁護士がB事務官との電話において接見を申し出たとする内容は第2・2(1)(原告の主張)ア第1 段落(4 頁)のとおりであり、この点につき証人Eは「明日接見して下さい」と言われたのに対して「検討します」と言って電話を切りC検事への伝言は頼まなかったと供述する。 仮に前記主張・供述に係る事実が存在したとしても、E弁護士が「検討します」と言って電話を切ったのは、当初の予定である同日午後7 時からの接見をするか否かを弁護団内部で再検討したうえで改めて態度を明らかにする趣旨に出たものとみるのが自然かつ合理的である。 証拠(甲1、証人E)によれば、E弁護士がB事務官との通話終了直後である同日午後0 時44 分に弁護団宛の電子メールを発信して午後4 時以前に海田署において接見可能な者が存在するかどうかを問い合わせた事実が認められる。すなわち、E弁護士は上記通話によって同日の取調べ予定を知り、弁護団のメンバーの予定によっては改めてその前に接見することを海田署に申し入れる方向で検討したというのである。 そうすると、原告の主張と証人Eの供述を前提としても、E弁護士による接見申し出はこれがなされたとしても電話が終了する前に撤回されたものとみるべきであるから、原告の主張するような義務がB事務官に生じた- 10 -ということはできない。 ウ他にB事務官による違法行為の存在を認定するに足りる証拠はない。 エ以上によれば、その余の点を検討するまでもなく、この点に関する原告の主張は理由がない。 C検事による接見妨害行為について(2)ア即時に接見させ る違法行為の存在を認定するに足りる証拠はない。 エ以上によれば、その余の点を検討するまでもなく、この点に関する原告の主張は理由がない。 C検事による接見妨害行為について(2)ア即時に接見させなかったことの違法性について憲法違反を前提とする主張について(ア)刑訴法39 条3 項が憲法34 条前段に違反すると解する根拠はない(被告指摘の各判例を参照。原告のこの点に関する主張は前提を欠き失当)である。 接見指定をしないまま即時の接見を拒否したことの違法性について(イ)a当裁判所の判断検察官は、弁護人から接見の申し出を受けた場合において、捜査の中断による支障が顕著であることを理由として即時の接見を拒否する。 ときは、必ず刑訴法39 条3 項本文の接見指定をしなければならない他方、接見指定をしない場合は即時の接見を認める義務がある。これらの義務を怠ったときは国家賠償法上も違法となるものと解される。 前記前提事実によれば、C検事は12 月14 日の原告との電話において接見の申し出を受けたにもかかわらず接見指定をしないまま即時の接見を拒否したのであるから、上記行為は国家賠償法上も違法である。 そして、その違法性は明らかであるから、C検事には少なくとも過失があるというべきである。 b被告の主張に対する補足説明a接見指定に向けての協議をしたという主張について( )原告とC検事との間で接見指定に関する協議が調ったことはないこと及び同検事が接見指定をしなかったことは当事者間に争いがな- 11 -い。したがって、仮に被告の主張するような事実があったとしても、そのことは同検事の行為の違法性を左右しない。この点に関する被告の主張はそれ自体失当である。 b面会接見に関する主張について( )①面会接見に関する判例前記最高裁平成17 あったとしても、そのことは同検事の行為の違法性を左右しない。この点に関する被告の主張はそれ自体失当である。 b面会接見に関する主張について( )①面会接見に関する判例前記最高裁平成17 年判決は「検察官が〔弁護人等と被疑者との立会人なしの接見を認めても、被疑者の逃亡や罪証の隠滅を防止することができ、戒護上の支障が生じないような〕設備のある部屋等が存在しないことを理由として接見の申出を拒否したにもかかわらず、弁護人等がなお検察庁の庁舎内における即時の接見を求め、即時に接見をする必要性が認められる場合には、検察官は、例えば立会人の居る部屋での短時間の『接見』などのように、いわゆる秘密交通権が十分に保障されないような態様の短時間の『接見(以下、便宜『面会接見』という)であってもよいか』。 どうかという点につき、弁護人等の意向を確かめ、弁護人等がそのような面会接見であっても差し支えないとの意向を示したときは、面会接見ができるように特別の配慮をすべき義務がある」と判示して、面会接見の意義・要件等について判示した(亀甲括弧内は当裁判所による補充部分。 )②被告の主張自体の当否仮に原告による面会接見の申し出の事実が存在したとしても、C検事は面会接見の申し出を拒否する際に併せて当初の秘密接見の申し出に対する接見指定をするか、そうでなければ即時の接見を認める義務があったのであって、同検事がこれに違反したことに変わりはない。この点に関する被告の主張する事実は違法行為の成否を左右するものではなく、主張自体失当である。 - 12 -ⅰすなわち、a(10 頁)で判示したとおり、検察官は、弁護人の接見申し出に対して即時の接見を拒否するときは必ず接見指定をしなければならず、接見指定をしないのであれば即時の接見を許さなければならない。 ま ち、a(10 頁)で判示したとおり、検察官は、弁護人の接見申し出に対して即時の接見を拒否するときは必ず接見指定をしなければならず、接見指定をしないのであれば即時の接見を許さなければならない。 また、①で掲記した最高裁判決からすれば、面会接見は秘密接見が拒否された場合の補充的な手段に過ぎないことが明らかである。 そうすると、捜査機関としては、弁護人からの面会接見の申し出を拒否するときは、弁護人が「面会接見が拒否される場合は接見指定も求めない」という意見を表明するなど特段の事情がない限り、併せて当初の秘密接見の申し出に対する接見指定をする義務を免れないものというべきである。この解釈は弁護人の通常の意思にも適うものと解される。無論、捜査機関は接見指定をしない場合は即時の接見を認めなければならない。 ⅱこれを本件についてみるに、前記前提事実のとおり、C検事は同日中に海田署で秘密接見をしたいという原告の申し出を捜査の支障を理由に拒否し、次いで広島地検庁舎内で即時に接見したいという申し出も認めなかったにもかかわらず、接見指定をしなかった。 そして、ⅰの特段の事情に該当するような事実の主張は何らなされていない(なお、原告がC検事に対し3 回目の電話で「接見指定もなく、とにかく接見を拒否するということですか」などと念押しした事実は当事者間に争いがない。これは、検察官は即時の接見を拒否するのであれば接見指定をすべきであり接見指定をしないのであれば即時の接見を許すべきである旨の注意喚起にほかならない。したがって、本件において前記- 13 -特段の事情が存在するといえないことが明らかである。 )③被告の主張する事実(面会接見の申し出)の有無ⅰ本件においては、C検事が面会接見であってもよいかどうかという点につき原告の意向を確かめ弁護人等がそ が存在するといえないことが明らかである。 )③被告の主張する事実(面会接見の申し出)の有無ⅰ本件においては、C検事が面会接見であってもよいかどうかという点につき原告の意向を確かめ弁護人等がそのような面会接見であっても差し支えないとする意向を示したという事実は全くないから、当時広島地検が同庁舎内における秘密接見を認めない運用をしていたか否か、そのことを原告が知っていたか否かなどの事情のいかんにかかわらず、原告が面会接見を申し出たものと解する余地はない。 ⅱ特に、本件においては、原告は、勾留理由開示公判における被疑者の「殺すつもりも、傷つけるつもりも全くありませんでした」という陳述の真意を確認する必要があることを理由として接見の申し出をしている(当事者間に争いがない。そうす)ると、立会人がいる面会接見で原告の意図するところを達成することができないことは明らかであるから、原告の「それでは検察庁での接見をお願いしたい」という要求が面会接見の申し出であると解することはできないし、C検事が面会接見の申し出であると誤解したとしてもその誤解に合理的な理由があるとはいいがたい。 ⅲまた、原告との電話においてC検事が回答したところは「接」、見指定ですか」というのに対して「接見指定ではありません「接見指定もなく、とにかく接見を拒否するということですか」というのに対して「そうです」というにとどまり、C検事が面会接見を念頭においていたのが真実であれば、面会接見について話していることを原告に対して確認するのが当然であるのに、全くそのような形跡がない。そもそも面会接見の性質上、- 14 -改めてその日時、場所及び時間を指定するということは通常想定できないのである。 ⅳ他に原告の検察庁内における接見の申し出が面会接見の申し出であると解すべ 。そもそも面会接見の性質上、- 14 -改めてその日時、場所及び時間を指定するということは通常想定できないのである。 ⅳ他に原告の検察庁内における接見の申し出が面会接見の申し出であると解すべき事実を認めるに足りる証拠はない。 ④以上によれば、いずれにせよ被告の主張は採用しがたい。 接見指定の要件を欠くという原告の主張について(ウ)前記のとおりC検事は接見指定をしないまま即時接見を拒否したのであるから、接見指定の要件の有無は同検事の行為の適法性を基礎付けるものではない(但し、接見指定の要件の有無は争点〔損害額〕を決め(2)るための重要な考慮要素ではあると解されるから、同争点に対する判断である後記2において必要な限度で検討する。 )イあらかじめ接見日時の協議をしなかったことの違法性について原告のいう合意の存在を認めるに足りる証拠はない。 (ア)で判示したとおり、原告の主張するような取扱いをすることについ(イ)(ア)ての合意があるとはいえないのであって、原告の主張するような取扱いがなされていたとしてもそれは事実上のものにとどまる。捜査官がこれと異なる取扱いをしたとしても、それは当・不当の問題を生ずるに過ぎない。 したがって、この点に関する原告の主張はいずれも理由がない。 (ウ) 争点 (損害額)について(2)接見指定の要件の有無について(1)前記のとおりC検事が接見指定をしないまま即時の接見を拒否した行為は違法であるので、以下では損害額について検討する。 ア損害額(慰藉料額)を判断するに当たっては12 月14 日の電話の当時接見指定の要件が存在したか否かが重要な考慮要素となるものと解されるところ、以下のとおりその要件が存在したものと解される。 - 15 -捜査機関は弁護人等から被疑者との接見等の申出があったとき 当時接見指定の要件が存在したか否かが重要な考慮要素となるものと解されるところ、以下のとおりその要件が存在したものと解される。 - 15 -捜査機関は弁護人等から被疑者との接見等の申出があったときは原則(ア)としていつでも接見等の機会を与えなければならないのであり、刑訴法 39 条3 項本文にいう「捜査のため必要があるとき」とは接見等を認めると取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に限られる。 そして、弁護人等から接見等の申出を受けた時に捜査機関が現に被疑者を取調べ中である場合や実況見分・検証等に立ち会わせている場合、また間近い時に取調べ等をする確実な予定があって弁護人等の申し出に沿った接見等を認めたのでは取調べ等が予定どおり開始できなくなるおそれがある場合などは、原則として取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に当たると解すべきである(最高裁判所大法廷平成。 11 年3 月24 日判決・民集53 巻3 号514 頁)証拠(乙2、4、証人C)によれば、①原告がC検事に対して接見申(イ)し出をした12 月14 日午後2 時過ぎの時点では本件被疑者を別室に待機させており取調べを開始する直前であったこと、②同取調べは主任検察官であるC検事による勾留延長後2 回目の取調べであったこと、③その時点では犯行動機・具体的な犯行状況等についての詳細な供述が得られていないことからこれを聴取する必要があったところ、被疑者の取調べに通訳を要することや被疑者の供述態度などからみて、取調べには今後も相当の時間を要すると判断されたこと、④12 月14 日午前中の取調べでは身上関係について聴取できたにとどまり犯罪事実についてはほとんど聴いていなかったこと、⑤同日の取調べは午後10 時前までかかったこと、以上の各事実が認められる。 また、⑥ 14 日午前中の取調べでは身上関係について聴取できたにとどまり犯罪事実についてはほとんど聴いていなかったこと、⑤同日の取調べは午後10 時前までかかったこと、以上の各事実が認められる。 また、⑥原告らが本件被疑者の逮捕当日から12 月12 日まで毎日被疑者と接見していたことは前記前提事実のとおりである。 以上の各事実によれば次のようにいうことができる。 (ウ)a本件においては、C検事において間近い時に上記取調べ等をする確- 16 -実な予定があって弁護人等の申出に沿った接見等を認めたのでは取調べ等が予定どおり開始できなくなるおそれがある場合に該当するから、原則として取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に当たる。 b⑥をふまえれば12 月14 日の接見が初回接見と同視しうるものと(イ)はいえないし、同②~⑤の点や本件被疑事件が重大な刑事事件であることなどにも照らせば本件において12 月14 日の取調べが予定どおりに行えないとしても捜査に顕著な支障が生じないというべき例外的な事情があると認めることはできない。 原告が第2・2(原告の主張)イb(4 頁以下)で指摘する点(1)(ア)も前記判断を左右するようなものではなく、他に本件において捜査に顕著な支障が生じない場合に該当することを認めるに足りる証拠はない。 損害額(2)以上を前提に判断すると、①接見交通権は被疑者・弁護人に認められた防御権行使のための重要な権利であり、特に本件においては本件陳述の真意を確認する必要があるとして緊急に接見を申し出たものであって、早期の接見の必要性を否定することはできないこと、②接見指定をすることなく即時の接見を拒否したことの違法性は明らかであり、C検事はそのことを原告から指摘されたにもかかわらずなお接見指定も即時接見の の接見の必要性を否定することはできないこと、②接見指定をすることなく即時の接見を拒否したことの違法性は明らかであり、C検事はそのことを原告から指摘されたにもかかわらずなお接見指定も即時接見の許可もしなかったこと、③他方、のとおり本件においては接見指定の要件自体は存在したものと(1)いうべきところ、原告は電話の翌日である12 月15 日午前8 時45 分から午前9 時36 分までの間に本件被疑者と接見しているのであり、仮にC検事が接見指定をしたとしてもこれより早い日時に接見ができたものと認め- 17 -るに足りる証拠はないから、事後的にみれば接見指定をしなかったことが原告の弁護活動に対して与えた実質的な悪影響はさほど大きなものではなかったといえること(但し、前記違法行為により接見可能な日時場所の不確実な状態に原告が置かれたことは軽視すべきでない)など本件に現れた一切の事情を考慮すれば、C検事の前記違法行為による慰藉料は20 万円、弁護士費用2 万円をもってそれぞれ相当とする。 第4結論よって、原告の請求は主文の限度で理由があるからこれを認容し、その余の請求は理由がないからこれを棄却し、仮執行宣言は必要があるとは認められないからこれを付さないこととして、主文のとおり判決をする。 広島地方裁判所民事第2 部裁判長裁判官橋本良成裁判官佐々木亘裁判官相澤聡(別紙1,2は省略)

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