令和5(ワ)1625 所有権確認、持分全部移転登記手続、共有物分割、建物等収去土地明渡請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年6月16日 千葉地方裁判所
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判決文本文19,932 文字)

令和5年(ワ)第1625号所有権確認、持分全部移転登記手続、共有物分割、建物等収去土地明渡請求事件令和7年6月16日千葉地方裁判所民事第2部判決口頭弁論終結日令和7年2月17日 主文 1 原告と被告らとの間において、原告が別紙1物件目録記載1の土地の所有権を有することを確認する。 2 被告a、被告b、被告c及び被告dは、原告に対し、別紙1物件目録記載2の 土地につき、それぞれ真正な登記名義の回復を原因とする各持分全部移転登記手続をせよ。 3 別紙1物件目録記載3の土地を次のとおり分割する。 ⑴ 別紙1物件目録記載3の土地を原告の所有とする。 ⑵ 原告は、被告a、被告b、被告c及び被告dに対し、それぞれ26万152 7円を支払え。 4 被告三里塚芝山連合空港反対同盟は、本判決が確定したときは、原告に対し、別紙1物件目録記載5⑴ないし⑹の各建物及び⑺の工作物を収去して、別紙1物件目録記載4の土地を明け渡せ。 5 原告の被告三里塚芝山連合空港反対同盟に対するその余の請求を棄却する。 6 訴訟費用は被告らの負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告⑴(所有権確認請求) 主文第1項と同旨⑵(持分全部移転登記請求) 主文第2項と同旨⑶(共有物分割請求)主文第3項と同旨⑷(建物等収去土地明渡請求)被告三里塚芝山連合空港反対同盟(以下「被告反対同盟」という。)は、原告 に対し、別紙1物件目録記載5⑴ないし⑹の各建物及び⑺の工作物を収去して別紙1物件目録記載4の土地を明け渡せ。 2 被告ら⑴ 本案前の答弁本件訴えをいずれも却下する。 ⑵ 本案に対する答弁原 ⑹の各建物及び⑺の工作物を収去して別紙1物件目録記載4の土地を明け渡せ。 2 被告ら⑴ 本案前の答弁本件訴えをいずれも却下する。 ⑵ 本案に対する答弁原告の請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、原告が、成田国際空港(成田空港)の建設予定地内において、土地の 共有持分を有する被告a、被告b、被告c及び被告d(以下「被告a ら」という。)並びに土地を占有する被告反対同盟に対し、以下の各請求をする事案である。 ⑴(所有権確認請求)原告が、被告らに対し、原告が別紙1物件目録記載1の土地(本件係争地①)の所有権を有することの確認を求めるものである。 ⑵(持分全部移転登記請求)原告が、被告aらに対し、別紙1物件目録記載2の土地(t番1の土地)の所有権に基づき、原告への真正な登記名義の回復を原因とする各持分全部移転登記手続を求めるものである。 ⑶(共有物分割請求) 原告が、被告aらに対し、民法258条1項に基づき、別紙1物件目録記載 3の土地(本件係争地②)について、全面的価格賠償の方法による共有物分割を求めるものである。 ⑷(建物等収去土地明渡請求)原告が、被告反対同盟に対し、別紙1物件目録記載6⑴の土地(s番3の土地)、同目録記載6⑵の土地(s番4の土地)、t番1の土地、同目録記載6⑶ の土地(t番2の土地)及び同目録記載6⑷の土地(t番3の土地)の所有権に基づき、同目録記載5⑴ないし⑹の各建物及び⑺の工作物(本件各建物等)を収去して同目録記載4の土地(本件土地)を明け渡すことを求めるものである。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により 容易に認められる事実)⑴(当事者 を収去して同目録記載4の土地(本件土地)を明け渡すことを求めるものである。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により 容易に認められる事実)⑴(当事者等)ア原告は、成田空港の設置及び管理を効率的に行うこと等により、航空輸送の利用者の利便の向上を図り、もって航空の総合的な発達に資するとともに、我が国の産業、観光等の国際競争力の強化に寄与することを目的として、平 成16年4月1日に政府全額出資により設立された資本金1197億3680万円の株式会社であり、その設立時に、新東京国際空港公団法に基づき昭和41年7月30日に設立された新東京国際空港公団(空港公団)の一切の権利義務を承継した(甲30の1)。 イ被告反対同盟は、昭和41年、成田空港の建設に反対するため、成田空港 の建設予定地及びその周辺に居住する住民らが結成した権利能力なき社団である。 被告反対同盟は、空港建設に対する反対運動の一環として、反対運動の大衆化、全国化を目的に、成田空港建設予定地内の土地を、被告反対同盟の関係者らが共有する、いわゆる一坪共有運動を行ったが、昭和58年3月、一 坪共有地の再共有化をめぐって、いわゆるw 派といわゆるx派に分裂した。 (甲26、乙51)ウ被告aらはw 派に所属し、被告aは被告反対同盟の代表世話人である。 ⑵(関係土地等)ア eは、山武郡(住所省略)t番の土地(旧t番の土地)を所有していたところ、昭和29年2月11日、これをt番1の土地とt番2の土地に分筆し た(甲10)。 イ t番1の土地について、別紙3のとおり、昭和41年10月21日、同年9月30日売買を原因とする、fら10名への所有権一部移転登記手続が行われた(甲5)。 し た(甲10)。 イ t番1の土地について、別紙3のとおり、昭和41年10月21日、同年9月30日売買を原因とする、fら10名への所有権一部移転登記手続が行われた(甲5)。 t番1の土地の登記名義人は、現在、別紙3のとおり、原告(持分198 分の194)、被告aら(持分各198分の1)となっている(甲5)。 ウ空港公団は、昭和47年8月24日、eから、t番2の土地を取得した(甲2、8、10)。 t番2の土地は、平成元年11月8日、t番2の土地及びt番3の土地に分筆された(甲8)。 エ空港公団は、昭和47年8月11日にs番3の土地を、同月24日にs番4の土地をそれぞれ取得した(甲1、3、6、7)。 ⑶(被告反対同盟の占有)被告反対同盟は、別紙1物件目録記載5⑴ないし⑹の各建物及び⑺の工作物(本件各建物等)を所有して、本件土地を占有している。 ⑷(本件訴訟等)ア原告は、令和5年6月、被告aらに対し、同月15日付け書面を送付し、補償金額26万1527円の支払と引き換えに、本件係争地②の共有持分各198分の1を譲渡することを申し入れ、同月30日までに返答することを求めたが、被告aらは返答しなかった(甲19)。 イ原告は、被告反対同盟に対し、同月15日付け申入書を送付し、本件各建 物等を収去して、本件土地を明け渡すことを求めたが、被告反対同盟は、これに応じなかった(甲27)。 ウ原告は、同年8月2日、本件訴訟を提起した。 3 当事者の主張⑴ 本案前の答弁に関する主張 (被告らの主張)本件各訴えは、以下の事情により、権利保護の利益を欠き、不適法ないし信義則に反するものである。 ア本件訴訟は、政府、運輸省・国土交通省、空港公団及び原告が、 る主張 (被告らの主張)本件各訴えは、以下の事情により、権利保護の利益を欠き、不適法ないし信義則に反するものである。 ア本件訴訟は、政府、運輸省・国土交通省、空港公団及び原告が、被告反対同盟に対して、繰り返し訴訟に持ち込まないと不提訴を約束してきた歴史的 経緯に著しく反する。原告としては、話合いによる解決を本則としなければならないのにもかかわらず、話合いをすることなく、いきなり本件訴訟を提起したのであり、著しい背信行為である。 イ被告反対同盟は、平成3年11月から平成6年10月まで、空港公団、運輸省等とともに、話合いの場として、シンポジウムを15回、円卓会議を1 2回、それぞれ開催し、空港公団は、被告らに対して、用地取得について、話合いにより問題の解決を図ること、民事訴訟や強制執行を含む「あらゆる意味での強制的手段」によらないことを約束した。 ウ空港公団のg総裁は、平成6年10月11日の第12回円卓会議において、h調査団からの所見を受け入れる、空港計画地内及び周辺地域の方々と誠意 をもって話合いを行っていくと述べ、運輸省のⅰ事務次官は、誠意をもって話合いを行うことにより、用地の取得や騒音移転の問題の解決に全力を尽くすと述べた。 エ空港公団は、平成14年12月24日、シンポジウム及び円卓会議に参加していなかったx派が管理していた共有地につき訴訟を提起したが、空港公 団のj用地業務推進室長は、記者会見で、他の共有地は引き続き任意交渉す る、訴訟で取得を求めるのは今回が最後と強調していた(乙47)。他の共有地とは、本件訴訟に関連する土地のことである。 また、平成20年12月18日付けの朝日新聞千葉版(乙46)は、原告の「協力が得られない場合でも訴訟による解決は考えていない」との 乙47)。他の共有地とは、本件訴訟に関連する土地のことである。 また、平成20年12月18日付けの朝日新聞千葉版(乙46)は、原告の「協力が得られない場合でも訴訟による解決は考えていない」との談話を載せている。 オ原告の運営する空港ホームページ(乙6、44、45)において、誠意をもって話合いを行うことにより、用地の取得や騒音移転の問題の解決に全力を尽くすことが表明され、シンポジウム・円卓会議の結論において、国は強制的手段を用いないことを約束したことが記載されている。 カ原告は、成田空港の中央部に位置する「木の根ペンション」の立ち退きに ついて、今後も引き続き話合いに努めると述べている(乙43)。 キ原告代表者は、y農業研修センターがあるy地区に隣接するz地区の住民に対して、「z区の皆様へ」と題する謝罪文を渡し、住民との合意形成を図ることなく、一方的に、計画を策定し工事を進めたことについて、謝罪をした上、話合いによって解決する旨を述べた(乙49)。 (原告の主張)否認ないし争う。空港公団及び原告が、共有地について、任意の交渉によって共有持分の取得が実現できない場合においても、民事司法制度を通じて共有持分の取得を実現する権利を放棄したことはない。 ⑵ 本件係争地①の所有権確認請求 (原告の主張)空港公団は、昭和47年8月24日、eから、同人所有の本件係争地①を買い受けたことにより、原告は、本件係争地①を所有している。 なお、本件係争地①はt番1の土地にあるにもかかわらず、t番2の土地について同日買収を原因とする所有権移転登記がされているが、これは、空港公 団及びeが、本件係争地①を含む土地をt番2の土地であると誤って認識して いたためである。 (被告らの主 ついて同日買収を原因とする所有権移転登記がされているが、これは、空港公 団及びeが、本件係争地①を含む土地をt番2の土地であると誤って認識して いたためである。 (被告らの主張)争う。 ⑶ t番1の土地の持分全部移転登記請求(原告の主張) ア原告は、t番1の土地を所有している。 イ被告aらが共有持分を有しているのは、t番3の土地に所在する本件係争地②である。被告aらの共有持分移転登記は、t番1の土地上にされているが、これは、eが、本件係争地②をt番1の土地であると誤って認識していたためである。 (被告らの主張)ア eは、t番1の土地を所有していたところ、昭和41年9月30日、kに対し、共有持分11分の1を売り渡し、同人は、昭和63年8月8日、被告aらに対し、それぞれ共有持分198分の1を贈与した。したがって、被告aらはt番1の土地の共有持分を有している。 イなお、旧t番の土地のうち、一坪共有化の対象となったのは、分筆されたt番1の土地であるが、同土地は旧t番の土地の上部のほぼ中央部に位置していた。 ⑷ 本件係争地②の共有物分割請求(原告の主張) ア原告と被告aらは本件係争地②を共有している。 イ全面的価格賠償によるべき特段の事情 本件係争地②は、別紙4のとおり(なお、同別紙上に記載された本件土地は、t番1の土地ないしt番3の土地の3筆の土地の位置を示すものであって、別紙1物件目録記載4の本件土地とは異なるものである。別紙5 も同じ。)、成田空港の建設予定地内に所在し、空港建設を進めるために必 要不可欠である。 本件係争地②には、被告らがy農業研修センターと称している団結小屋が存在する 紙5 も同じ。)、成田空港の建設予定地内に所在し、空港建設を進めるために必 要不可欠である。 本件係争地②には、被告らがy農業研修センターと称している団結小屋が存在するが、その利用状況は、近年、年に1度、被告反対同盟が実施する旗開きの際に、支援者らが参集する程度であり、日頃、利用している者はいない。 ウ本件においては、以下の相当性に係る事情がある。 原告は、本件係争地②に隣接する全ての土地を取得しており、本件係争地②は原告所有地に囲まれている。 本件係争地②の共有関係は、一坪共有運動により生じたものであり、共有者において、本来の経済的用法に従って本件係争地②を使用収益するこ とを予定していたものではない。 本件係争地②の面積は595㎡であるところ、原告の共有持分は198分の194であるのに対し、被告aらの共有持分は各198分の1であるから、現物分割には何ら合理性がない。 本件係争地②に存在するy農業研修センターは、平成元年10月、当時 共有持分11分の7を取得済みであった空港公団の再三の警告を無視して無断で建設されたものであり、同建物により占有している土地面積は約77㎡であるところ、被告aらの共有持分に相当する土地面積は約12㎡にすぎない。そのため、被告aらが現物分割により本件係争地②のうち約12㎡を取得したとしても、被告反対同盟が同建物を維持することはでき ない。 エ実質的公平性について 他の空港用地の地権者に対する提示価格との均衡を図るため、被告aらに支払う賠償額の算定に当たっては、平成14年11月時点における本件係争地②の価格を基準とした。これによると、被告aらの各共有持分に対 する賠償額は、26万1 価格との均衡を図るため、被告aらに支払う賠償額の算定に当たっては、平成14年11月時点における本件係争地②の価格を基準とした。これによると、被告aらの各共有持分に対 する賠償額は、26万1527円である。 原告は、政府全額出資(資本金1197億3680万円)の株式会社であり、被告aらに対する上記賠償額の全額を支払う能力を十分に有している。 (被告らの主張)ア本件係争地②はt番1の土地の一部であり、被告aらはこれを共有してい る。 イ上記⑷イないしエの事情については否認ないし争う。被告反対同盟は、別紙1物件目録記載5⑴の建物をy農業研修センターとして利用、管理している。 ⑸ 本件土地の建物等収去土地明渡請求 (原告の主張)原告はs番3の土地、s番4の土地、t番1の土地、t番2の土地及びt番3の土地を所有しており、本件土地はこれらの土地の一部である。 (被告らの主張)否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ⑴ 成田空港の建設等(甲30の1、36、乙50)ア空港公団は、昭和42年1月、運輸大臣から成田空港の工事実施計画の認 可を受けた。同工事実施計画では、昭和46年4月までに4000mの平行滑走路(A滑走路)を整備し(第1期計画)、昭和49年4月までに2500mの平行滑走路(B滑走路)及び3200mの横風用滑走路(横風用C滑走路)を整備する(第2期計画)こととされた。 イ成田空港は、昭和53年、A滑走路1本で開港した。 ウ空港公団は、昭和62年11月から2期工事に着工し、平成11年12月 の運輸大臣の認可を受けて、平成14年4月、当初2500m 成田空港は、昭和53年、A滑走路1本で開港した。 ウ空港公団は、昭和62年11月から2期工事に着工し、平成11年12月 の運輸大臣の認可を受けて、平成14年4月、当初2500mであったB滑走路を2180mとする暫定滑走路(B´滑走路)の供用を開始した。 エ原告は、平成18年の国土交通大臣による空港施設変更の許可を受けて、平成21年10月、2500mのB滑走路の供用を開始した。 オ国、原告、千葉県及び空港周辺9市町から構成される四者協議会は、平成 30年3月、①既存のB滑走路の南側に3500mの滑走路(新C滑走路)を増設すること、②横風用C滑走路の計画を廃止すること、③B滑走路を北伸して3500mに変更すること、④年間の発着容量を30万回から50万回とすることを合意し、原告は、令和2年1月、国土交通大臣から、上記①ないし④を内容とする空港施設変更の許可を受けた。上記変更において、新 C滑走路は別紙5(なお、同別紙上に記載された本件土地は、別紙4と同様に、t番1の土地ないしt番3の土地の3筆の土地の位置を示すものであって、別紙1物件目録記載4の本件土地とは異なるものである。)に記載された位置に設置することとされ、本件土地は新C滑走路への誘導路の予定地になっている(別紙4)。 ⑵ 成田空港問題シンポジウムア運輸大臣が、平成3年5月、成田空港建設について、「2期工事の土地問題を解決するために、いかなる状況のもとにおいても強制的手段をとらない」ことを確約したことを受けて、成田空港問題を話合いで解決しようとする機運が高まり、h東京大学名誉教授ら5名の学識経験者(h調査団)の主宰の もと、運輸省、空港公団、千葉県、被告反対同盟(w 派)が参加して、平成3年11月21日から平成5年5月24日 うとする機運が高まり、h東京大学名誉教授ら5名の学識経験者(h調査団)の主宰の もと、運輸省、空港公団、千葉県、被告反対同盟(w 派)が参加して、平成3年11月21日から平成5年5月24日まで、15回にわたり、成田空港問題シンポジウムが開催された(甲26の1、乙1、6、7)。 イ運輸大臣は、第1回シンポジウムにおいて、これまで空港用地の強制収用による取得をめぐって、流血の事態が生じたことなどを踏まえ、今後、用地 問題については、強制的手段によることなく、話合いによる解決をしたいと の決意を述べた(乙7)。 ウ h調査団は、同日の第15回シンポジウムにおいて、①運輸省及び空港公団は、土地収用裁決申請を取り下げること、②B滑走路、横風用C滑走路の建設計画について、白紙の状態に戻し、地域の人々と民主的に話合いをすることにより解決すること、③成田空港問題を話し合う新しい協議の場を設け ることなどを提案し、運輸省及び空港公団は、これを受け入れ、空港公団は、同年6月、第2期計画に係る工事区域の収用裁決申請及び明渡裁決申立てを取り下げた(甲30の1、乙1、6、7)。 ⑶ 成田空港問題円卓会議ア h調査団の主宰により、平成5年9月20日から平成6年10月11日ま で、12回にわたり、成田空港問題円卓会議が開催され、国、空港公団、千葉県、被告反対同盟(w 派)らが参加した。 イ h調査団は、同日の第12回円卓会議において、滑走路計画について、①平行滑走路の建設を必要とするという運輸省の方針は理解できるところであるが、平行滑走路の用地取得のために、あらゆる意味で強制的手段が用い られてはならず、あくまでも話合いにより解決されなければならないこと、②横風用滑走路については、平行滑走路が完成した時点で あるが、平行滑走路の用地取得のために、あらゆる意味で強制的手段が用い られてはならず、あくまでも話合いにより解決されなければならないこと、②横風用滑走路については、平行滑走路が完成した時点で、改めて提案し、地域社会と十分話合いを重ね、その賛意を得て進めるのが適当であること、③空港の建設が共生の基本原則に沿って公正に行われているかを見守り、空港の運用に伴い発生するデメリットを解決する方策を討議する場として、共 生懇談会といった第三者機関を設けることなどを内容とする所見を示し、空港公団及び運輸省はこれを受け入れた。 なお、上記の円卓会議において、運輸省のⅰ事務次官は「今後は、これまでの空港づくりの反省の上に立って誠意をもって話合いを行うことにより、用地の取得や騒音移転の問題の解決に全力を尽くす」旨を、空港公団のg総 裁は「空港計画地と周辺地域を一体的な視野でみるという認識を大事にする とともに、移転をお願いする方々の様々なお考え、お気持ちを伺いながら、あくまで誠意をもって話合いを進めるという心構えに立って空港づくりを進める」旨を、それぞれ述べた。(乙2、6、40~42)ウ円卓会議終了後の平成6年12月、「円卓会議の結論を受けて空港の整備・運用に関し、空港からマイナスの影響を受ける地域及び地域住民に対する円 卓会議の合意事項の実施状況について点検を行うための第三者機関として、空港の建設及び運用に関する民主的手続の確保と地域環境の改善を図り、空港と地域の共生の実現に資すること」を目的とした成田空港地域共生委員会が設立された。同委員会は、平成7年1月から平成19年9月まで、59回開催された。 また、運輸省及び空港公団は、50を超える市町村等との100回を超える意見交換を行い、平成10年12月 会が設立された。同委員会は、平成7年1月から平成19年9月まで、59回開催された。 また、運輸省及び空港公団は、50を超える市町村等との100回を超える意見交換を行い、平成10年12月、地域と共生する空港づくり大綱を策定した。(乙44、45)⑷ 反対運動等ア成田空港の建設に反対する被告反対同盟は、成田空港の敷地予定地につい て一坪共有運動を開始し、別紙3のとおり、t番1の土地は、昭和41年、11名の共有名義となり、昭和63年、kの持分11分の1につき、再共有化の登記手続が行われた(甲5)。 イ被告反対同盟は、昭和52年、本件係争地②に団結小屋として鉄骨プレハブ造二階建の三里塚闘争連帯労農合宿所(本館)を開所した。本館は、平成 元年10月、焼失したが、被告反対同盟は、新たに軽量鉄骨造平家建の建物(別紙2図面①の建物。別紙1物件目録記載5⑴の建物)を建設した。なお、上記合宿所は、平成9年に閉所し、y農業研修センターに改称された。(甲11、22、35、乙51)ウ空港公団は、平成元年11月8日、t番2の土地からt番3の土地を分筆 する旨の登記をし、千葉地方裁判所は、同月15日、空港公団の申立てによ り、被告aらに対し、別紙2図面①の建物(別紙1物件目録記載5⑴の建物)についての占有移転等を禁止する旨の仮処分決定をした(甲15の1)。 エ空港公団は、平成14年12月、一坪共有地について、x派の支援者17名を相手方として、共有物分割を求める訴訟を提起した。その際、空港公団のj用地業務推進室長は、他の一坪地については「引き続き任意交渉する。 訴訟で取得を求めるのは今回が最後」と説明した。(乙47)オ原告は、平成20年12月、成田空港用地のうち未買収 団のj用地業務推進室長は、他の一坪地については「引き続き任意交渉する。 訴訟で取得を求めるのは今回が最後」と説明した。(乙47)オ原告は、平成20年12月、成田空港用地のうち未買収の8か所の一坪共有地の共有者1140名に対し、売却を求める書面を送付したが、「協力を得られない場合でも、訴訟による解決は考えていない」と説明していた。なお、上記1140名のほとんどはw 派の支援者であった。(乙46) カ被告aの呼び掛けにより、平成30年10月、「三里塚闘争に連帯し、三里塚大地共有運動を継承し発展させること」を目的とした、一般社団法人三里塚大地共有運動の会が設立され、個人の共有持分を法人に移すこととした(乙16-2、25~27)。 ⑸ 訴訟等 ア原告は、平成21年9月、被告b、被告c及び被告dらに対し、千葉県山武郡(住所省略)の土地の共有物分割を求める訴訟を提起し、千葉地方裁判所は、平成23年9月16日、同土地を原告の単独所有とする旨の判決をし(平成21年(ワ)第2801号)、東京高等裁判所も、平成24年10月25日、同旨の判決をし(平成23年(ネ)第7128号)、その後、同判決は 確定した(甲26)。 イ原告は、平成21年9月、被告aに対し、千葉県山武郡(住所省略)の土地等の共有物分割を求める訴訟を提起し、千葉地方裁判所は、平成23年9月22日、同土地等を原告の単独所有とする旨の判決をし(平成21年(ワ)第2802号等)、東京高等裁判所は、平成24年8月9日、被告aの控訴を 棄却し(平成23年(ネ)第7090号)、その後、同判決は確定した(甲3 4)。 ウなお、原告は、平成21年9月、上記のほかに提起した共有物分割を求める訴訟2件について、平成22年12月及び 平成23年(ネ)第7090号)、その後、同判決は確定した(甲3 4)。 ウなお、原告は、平成21年9月、上記のほかに提起した共有物分割を求める訴訟2件について、平成22年12月及び平成23年9月、それぞれ和解が成立した(甲35)。 エ空港公団は、平成6年以降、w 派の幹部と用地交渉をして、順次、持分の 売買契約を締結した(甲35)。 また、t番1の土地について、別紙3のとおり、昭和63年に、kの持分11の1につき、10名による再共有化の持分一部移転登記手続が行われたが、平成11年以降、6名の共有者について、lへの持分移転登記手続を経て、原告への持分移転登記手続が行われた(甲5)。 2 本件訴えの適法性について⑴ 信義則違反の主張についてア被告らは、空港公団及び国はこれまで強制的手段による解決をしない旨を表明していたから、本件訴えは、信義則に反するものであり、不適法であると主張する。 イ確かに、運輸大臣は、平成3年5月、成田空港建設について、「2期工事の土地問題を解決するために、いかなる状況のもとにおいても強制的手段をとらない」ことを確約し(認定事実⑵ア)、同年11月の第1回シンポジウムにおいても、用地問題について、強制的手段によることなく、話合いで解決する決意を表明し(同⑵イ)、空港公団及び国は、平成5年5月の第15回シン ポジウムにおいて、h調査団による収用裁決申請の取下げの提案を受け入れ(同⑵ウ)、平成6年10月の第12回円卓会議において、平行滑走路の用地取得のために、あらゆる意味で強制的手段が用いられてはならず、あくまでも話合いにより解決されなければならないことなどを内容とするh調査団の所見を受け入れている(同⑶イ)。また、空港公団総裁は、平成17年5 月 ゆる意味で強制的手段が用いられてはならず、あくまでも話合いにより解決されなければならないことなどを内容とするh調査団の所見を受け入れている(同⑶イ)。また、空港公団総裁は、平成17年5 月9日付けで、z区の住民に対し、円卓会議におけるh調査団の所見にもか かわらず、z区の住民と合意形成を図ることなく、一方的に暫定滑走路に係る計画を策定し、工事を進めたことをお詫びする内容の書面を送付している(乙49)。 ウしかしながら、本件係争地①に係る所有権確認請求は、原告が現に所有する土地の所有権確認を求めるものであるから、用地取得の強制的手段ではな く、t番1の土地の持分全部移転登記請求も、本来あるべき姿に登記の是正を求めるものであるから、同様である。 また、共有物分割請求は、共有者が共有関係の解消を求めるものであって、その分割方法は、共有者間の協議が整わないときは裁判所が定めるものであり、請求者の単独取得になるか否かは、裁判所が諸事情を考慮して行う裁量 判断により決せられるから、これが用地取得の強制的手段に当たるということはできない(東京高等裁判所平成23年(ネ)第7128号判決参照。甲26の2、認定事実⑸ア)。 さらに、建物等収去土地明渡請求は、上記の共有物分割請求により原告の単独所有となることを前提とし、被告反対同盟の占有権原の有無によって決 せられるものであるから、その占有権原が認められない場合には、用地取得の強制的手段に当たらない。 エ上記ウの点を措くとしても、成田空港の用地取得については、強制収用が行われ、これに伴い多数の死傷者が出たことがあり(甲30の1)、このような歴史的経緯が話合いによる解決を妨げる事情となっており、h調査団が 平成5年5月24日の第15回シンポジウムで収用裁決 行われ、これに伴い多数の死傷者が出たことがあり(甲30の1)、このような歴史的経緯が話合いによる解決を妨げる事情となっており、h調査団が 平成5年5月24日の第15回シンポジウムで収用裁決申請の取下げを提案し、空港公団は同年6月に収用裁決申請及び明渡裁決申立てを取り下げていること(認定事実⑵ウ)に照らすと、運輸大臣の表明やh調査団の円卓会議での所見における「強制的手段」とは、土地収用法に基づく収用手続を想定していたものと認められる。 そして、土地収用法に基づく収用手続による用地取得の実現と、民事訴訟 手続による用地取得の実現は、制度趣旨、法的性質を異にするものであり、土地収用法に基づく収用は、特定の公益事業のために必要とされる土地を任意で取得し得ない場合に、権利者の意思に反しても、強制的に当該土地を起業者に取得させるとともに、これに伴う損失を補償する制度であるのに対し、民事訴訟手続は、本来、所有権等の権利を有する者がその権利の存在を確定 させる手続であり、判決等により権利の存在が確定されたにもかかわらず、相手方が任意に履行しない場合には、権利者は、執行手続により、これを実現することができるものである。このような両者の違いを考慮すると、運輸大臣の表明等や、空港公団がh調査団の所見等を受け入れたことをもって、空港公団が、民事訴訟手続による権利の実現をしないことまでも表明したも のとは認められない。 オまた、空港公団及び原告は、円卓会議後、t番1の土地の共有名義人を含む一坪共有地の共有者との間で持分の任意売却による用地取得を進めていた上(認定事実⑸エ)、民事訴訟を提起したとしても、訴訟の手続において話合いによる解決を模索し実現することができ、現に、原告は、他の土地に 関し、提 間で持分の任意売却による用地取得を進めていた上(認定事実⑸エ)、民事訴訟を提起したとしても、訴訟の手続において話合いによる解決を模索し実現することができ、現に、原告は、他の土地に 関し、提起した共有物分割訴訟において、和解が成立して、用地を取得するに至っている(同⑸ウ)。 カなお、空港公団は、平成14年12月、一坪共有地を取得するため、共有者に対し共有物分割を求める訴訟を提起しているが、その際、空港公団のj用地業務推進室長は「訴訟で取得を求めるのは今回が最後」と述べている(認 定事実⑷エ)。しかし、これは、z区の住民との合意形成を図ることなく計画を策定し、供用開始時期から逆算したスケジュールで工事を進め、平成14年に供用が開始された暫定滑走路(B´滑走路)の誘導路が、「への字型」カーブになっていることを解消することを目指すものであり(乙47、49)、これに対し、本件訴訟は平成30年に空港周辺9市町も参加した四者協議会 において増設が合意された新C滑走路に関するものであるから、状況、経緯 を異にしている。 また、原告は、平成20年12月、一坪共有地の共有者に対し、持分の売却を求める手紙を送付したが、その際、「協力を得られない場合でも、訴訟による解決は考えていない。」と説明している(同⑷オ)。しかしながら、上記の送付は、用地取得の問題はあくまでも話合いにより進めるとのh調査 団の円卓会議での所見を踏まえ、話合いによる解決を模索するものであったと解され、また、送付先には被告aらも含むものであったと推認されるところ、被告aはこれに返信せず、被告反対同盟は「手紙に抗議し、共有地を断固堅持する」との声明を発しており(甲26、34の1)、h調査団の所見が想定した話合いの場すら設けることができる状況でなか るところ、被告aはこれに返信せず、被告反対同盟は「手紙に抗議し、共有地を断固堅持する」との声明を発しており(甲26、34の1)、h調査団の所見が想定した話合いの場すら設けることができる状況でなかったことから、原 告は平成21年に被告aらに対する共有物分割訴訟を提起し、判決に至ったものである(同⑸ア、イ)。 キこのほか、上記のとおり、原告が、被告aらに対し共有持分の譲渡を求めたものの、被告aはこれに返信せず、被告反対同盟が断固反対する旨の声明を出したことから、平成21年に被告aらに対し提起した共有物分割訴訟は、 原告の主張を認める判決が言い渡され、平成24年には被告aらの控訴を棄却する判決が言い渡されたが(認定事実⑸ア、イ)、その後においても、原告と被告aらとの関係が改善する兆候はなく、むしろ、空港周辺9市町も参加した四者協議会は平成30年に新C滑走路の増設を合意したこと(同⑴オ)に対し、被告aの呼び掛けにより、同年10月、「三里塚闘争に連帯し、三 里塚大地共有運動を継承し発展させること」を目的とした一般社団法人三里塚大地共有運動の会が設立されて、共有持分の法人化が進められ(同⑷カ)、また、原告は、令和5年6月、被告aらに対し、共有持分の譲渡を申し入れたが、被告aらはこれに返答しなかったこと(前提事実⑷ア)などに鑑みると、現状において、原告と新C滑走路の建設予定地を共有する被告aらとの 間で本件に関する協議が尽くされたものではないが、客観的にみて、訴訟手 続外において任意の協議が開始され、これによる紛争解決を期待できる状況にはほど遠いといわざるを得ないから、運輸大臣の表明等や空港公団がh調査団の所見等を受け入れたことなど被告らが指摘する諸事情をしんしゃくしても、本件訴えが信義則に反するもの 紛争解決を期待できる状況にはほど遠いといわざるを得ないから、運輸大臣の表明等や空港公団がh調査団の所見等を受け入れたことなど被告らが指摘する諸事情をしんしゃくしても、本件訴えが信義則に反するものとは認められない。 ⑵ 用地取得の必要性について ア原告は、新C滑走路の建設のために本件土地が必要であるとして、本件訴訟を提起しているところ、被告らは、新C滑走路は建設する必要はないし、本件土地を使用しなくても、建設は可能である旨を主張する。 イ成田空港は、当初、A滑走路とB滑走路の供用を基本計画とするものであったところ、これらの供用は既に実現している。しかし、原告は、成田空港 の機能強化のため、平成30年3月、国、千葉県、空港周辺9市町との四者協議会において、①既存のB滑走路の南側に3500mの滑走路(新C滑走路)を増設すること、②B滑走路を1000m延伸して、3500mにすること、③発着容量を30万回から50万回とすることを合意し、令和2年1月、国土交通大臣より、上記の内容の空港施設変更の許可を受けている(認 定事実⑴オ)。 そして、円安の影響もあり、成田空港を利用した日本人旅客数は、令和6年11月時点で、コロナ禍前の約半分になっているが、訪日外国人(インバウンド)は、コロナ禍前の3188万人を上回る数となっており(乙57-1・3)、政府も訪日外国人を2030年までに6000万人とする目標を 掲げている(乙58)。また、成田空港の国際競争力は低下しているが、これは諸外国の国際空港と比べ、滑走路の数が2本と少ないことなどによる発着回数の限界にも起因していると考えられる(乙58)。 上記によれば、原告が新C滑走路を建設することには合理的な理由があるものと認められる。 ウ国土交通大臣 ないことなどによる発着回数の限界にも起因していると考えられる(乙58)。 上記によれば、原告が新C滑走路を建設することには合理的な理由があるものと認められる。 ウ国土交通大臣の許可を受けた新C滑走路に係る空港施設変更においては、 本件土地は新C滑走路への誘導路の予定地となっており(認定事実⑴オ)、新C滑走路とターミナルビルの位置関係等(別紙4及び5参照)に照らすと、本件土地を上記誘導路を含む空港施設の敷地とすることは不合理な計画ではない。そして、現時点において、本件土地が空港施設の敷地として利用されない具体的な見通し、可能性があることを認めるに足りる的確な証拠はな い。 エ上記によれば、本件各訴えが、被告らの上記アの主張により、権利の濫用であるなどとして、不適法となるものではない。 ⑶ このほか、被告らの本件訴訟におけるその余の主張をしんしゃくしても、本件訴えが不適法となるものではない。 3 本件係争地①の所有権確認請求及びt番1の土地の持分全部移転登記請求について⑴ 証拠(甲12、16、20)及び弁論の全趣旨によれば、s番3の土地、s番4の土地、t番1の土地、t番2の土地及びt番3の土地の位置関係は、別紙2図面記載のとおりであり、本件係争地①はt番1の土地、本件係争地②は t番3の土地の全部又は一部であると認められ、これを覆すに足りる的確な証拠はない。 ⑵ア eは、昭和29年2月、旧t番の土地をt番1の土地とt番2の土地に分筆し、昭和47年8月24日、空港公団にt番2の土地を売却しており(前提事実⑵ア、ウ)、t番2の土地が原告の所有であることについては、争い がない(第3回口頭弁論調書)。 イ t番1の土地については、昭和41年10月21日、fら10名への各所 しており(前提事実⑵ア、ウ)、t番2の土地が原告の所有であることについては、争い がない(第3回口頭弁論調書)。 イ t番1の土地については、昭和41年10月21日、fら10名への各所有権一部移転登記手続が行われているが、これは、eが、当時、成田空港の建設に反対し、一坪共有運動に賛同した結果、行われたものである(認定事実⑷ア)。 しかしながら、被告反対同盟の拠点となる労農合宿所(団結小屋)は、当 初、本件係争地②上に存在しており、平成元年の焼失後に建設された別紙1物件目録記載5⑴の建物も、同様である(同⑷イ)。他方、t番1の土地上には、被告反対同盟の施設はほとんど存在していない。そして、一坪共有運動に賛同して昭和41年10月21日に所有権一部移転登記手続をしたm及びnは、平成元年11月10日、同月6日売買を原因とする空港公団への持 分移転登記手続をしているが、同日付け確認書において、空港公団に売り渡すt番1の土地は本件係争地②の位置である旨を述べており(甲14)、eの妻も同旨を述べていること(甲10)に照らすと、eら昭和41年10月21日に所有権一部移転登記手続をした当時の関係者は、本件係争地②について同手続をしたと認識していたものと推測され、eが一坪共有運動に提供 したのは、本件係争地①ではなく、本件係争地②であったと考えるのが自然であり合理的である。 ウ空港公団は、昭和47年にeからt番2の土地を取得しているが、これはt番1の土地が本件係争地②の位置にあり共有地であることを前提とするものであり(上記イ)、t番1の土地は本件係争地②ではなく本件係争地① の位置にあると認められる以上(上記⑴)、同人及び空港公団の合理的意思解釈として、両者は、本来同人が所有していた土地から共有 のであり(上記イ)、t番1の土地は本件係争地②ではなく本件係争地① の位置にあると認められる以上(上記⑴)、同人及び空港公団の合理的意思解釈として、両者は、本来同人が所有していた土地から共有地を除いたt番1の土地及びt番2の土地について売買契約を締結したものと認められる。 エしたがって、本件係争地①は原告の単独所有であり、被告aらが共有持分を有するのは本件係争地②であると認めるのが相当である。 ⑶ 上記によれば、原告の本件係争地①に係る所有権確認請求は理由があり(なお、本件係争地①については所有関係が争われているから、確認の利益は認められる。)、また、被告aらは、本来的に、本件係争地①に相当するt番1の土地について登記保持権原を有するものではないから、原告のt番1の土地に係る各持分全部移転登記請求も理由がある。 4 本件係争地②に係る共有物分割請求について ⑴ 前記3のとおり、本件係争地②は原告及び被告aらの共有地であると認められるところ、原告は、民法258条1項に基づき、本件係争地②を原告の単独所有として、被告aらに対し代償金を支払う、同条2項2号所定のいわゆる全面的価格賠償の方法による分割を求めている。 ⑵ 裁判所は、共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を 取得させる方法により、共有物の分割を命ずることができるところ(民法258条2項2号)、共有物分割の申立てを受けた裁判所としては、現物分割をするに当たって、持分の価格以上の現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせ、過不足の調整をすることができるのみならず、当該共有物の性質及び形状、共有関係の発生原因、共有者の数及び持分の割合、共有物の利用状況 及び分割された場合の経済的価値、分割方法について 支払わせ、過不足の調整をすることができるのみならず、当該共有物の性質及び形状、共有関係の発生原因、共有者の数及び持分の割合、共有物の利用状況 及び分割された場合の経済的価値、分割方法についての共有者の希望及びその合理性の有無等の事情を総合的に考慮し、当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ、かつ、その価格が適正に評価され、当該共有物を取得する者に支払能力があって、他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特 段の事情が存するときは、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法、すなわち全面的価格賠償の方法による分割をすることも許されるものというべきである(最高裁平成3年(オ)第1380号同8年10月31日第一小法廷判決・民集50巻9号2563頁参照)。 ⑶ 本件係争地②が共有地となったのは、eが成田空港の建設に反対し、一坪共有運動に賛同し提供したことによるものであるが、当時の11名の共有状態とは異なり、現在の共有持分は、原告が198分の194、被告aらが各198分の1となっており、被告aらの各持分に相当する面積は各約3㎡(=595㎡÷198×1)である。そして、本件係争地②は、新C滑走路の誘導路の予 定地に位置しており、本件係争地②の周囲は、いずれも原告の所有地であり、 成田空港の敷地の一部として供用され又はこれが予定されている(甲11、35、36)。なお、新C滑走路を建設することについて、合理的な理由が認められることは、前記2⑵のとおりである。 本件係争地②には、現在、y農業研修センターと称する別紙1物件目録記載5⑴の建物が存在する なお、新C滑走路を建設することについて、合理的な理由が認められることは、前記2⑵のとおりである。 本件係争地②には、現在、y農業研修センターと称する別紙1物件目録記載5⑴の建物が存在するところ、同建物は、被告反対同盟が平成元年に建設した ものであるが、本件係争地②の過半数以上の持分を有する空港公団の承諾を得て建設されたものではなく、被告反対同盟は共有持分の大部分を有する空港公団ないし原告に対し敷地利用についての対価を支払っていたわけでもない。また、y農業研修センターは、現在、居住や生計を営むといった恒常的な利用がされていることを認めるに足りる的確な証拠はない。 上記の事情を総合的に考慮すると、本件係争地②を原告に単独取得させるのが相当であると認められる。 ⑷ 次に持分の価格について検討する。①不動産鑑定士o及び同pは、平成14年11月1日時点における成田空港敷地予定地(千葉県成田市(住所省略)u~v番の土地)の土地5675㎡のうち、ほぼ中央に位置する形状、規模等の 個別的要因が近隣地域において標準的な規模1000㎡の土地について、1㎡あたりの価格を7万5000円と評価し(甲23)、不動産鑑定士q及び同rは、②令和5年3月31日時点における、上記のu~v番の土地の鑑定評価額を100とした場合のt番3の土地の価格指数を116と算出するとともに(甲24)、③平成14年以降の地価水準は、景気拡大等により一時上昇に転 じたものの、新型コロナウイルス感染症の拡大による景気の悪化の影響等により再び下落傾向にあることなどから、令和5年3月31日時点におけるt番3の土地の地価水準は、平成14年11月1日時点の地価水準を下回っているとしており(甲25)、上記の各不動産鑑定士の判断過程に不合理な点は認められない。 どから、令和5年3月31日時点におけるt番3の土地の地価水準は、平成14年11月1日時点の地価水準を下回っているとしており(甲25)、上記の各不動産鑑定士の判断過程に不合理な点は認められない。 そうすると、原告が主張する、原告の本件係争地②の単独取得に伴う各賠償 額26万1527円(=7万5000円/㎡×(116/100)×595. 2㎡×(1/198))は相当な額と認められ、これを被告aらに取得させることとしても、共有者間の実質的公平を害するものではないというべきである(なお、原告は、資本金1197億3680万円の株式会社であるから、上記の賠償額の支払能力が認められる。)。 ⑸ 上記によれば、本件係争地②は、原告の単独所有とし、原告が被告aらに対して各26万1527円の賠償金を支払う方法により、分割するのが相当である(なお、前記2で述べたところによれば、原告の共有物分割請求が権利の濫用となるものでもない。)。 5 本件土地に係る建物等収去土地明渡請求について ⑴ 本件土地は、s番3の土地、s番4の土地、t番1の土地、t番2の土地及びt番3の土地から構成されるところ、s番3の土地、s番4の土地及びt番2の土地については原告が所有し(前提事実⑵)、また、前記3のとおり、本件係争地①に相当するt番1の土地は原告の所有と認められる。そして、前記4の共有物分割により、本件係争地②を含むt番3の土地も原告の単独所有とな る。 ⑵ 被告反対同盟は、本件各建物等を所有して本件土地を占有しているところ(前提事実⑶)、上記の共有物分割により、本件係争地②は原告の単独所有となり、被告反対同盟は原告に対抗できる本件土地の占有権原を有することを認めるに足りる証拠はない。 ⑶ したがって、前記4の共有物分 )、上記の共有物分割により、本件係争地②は原告の単独所有となり、被告反対同盟は原告に対抗できる本件土地の占有権原を有することを認めるに足りる証拠はない。 ⑶ したがって、前記4の共有物分割請求に関する判決を含む本判決が確定することを条件に、原告の建物等収去土地明渡請求は理由がある。 第4 結論以上のとおり、⑴原告の被告らに対する本件係争地①についての所有権確認請求及び原告の被告aらに対するt番1の土地についての持分全部移転登記請求 はいずれも理由があり、⑵本件係争地②は、原告の単独所有とし、原告が被告a らに対し各26万1527円の賠償金を支払う方法により分割するのが相当であり、⑶原告の被告反対同盟に対する建物等収去土地明渡請求は、本判決の確定を条件とする限りにおいて、理由がある。 なお、原告は、建物等収去土地明渡請求について仮執行宣言の申立てをするが、同請求に関する主文第4項は本判決が確定することを条件とするものであるか ら、これを付さない。 よって、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官齊藤顕裁判官澤田順子裁判官松岡弘道) 別紙(省略)

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